(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】運転支援装置及びデータ収集システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240827BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240827BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20240827BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20240827BHJP
B60W 40/08 20120101ALI20240827BHJP
G09B 29/00 20060101ALN20240827BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/00 A
G01C21/26 C
B60W50/14
B60W40/08
G09B29/00 F
(21)【出願番号】P 2020066464
(22)【出願日】2020-04-02
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 育郎
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/024606(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/082234(WO,A1)
【文献】特開2019-169042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備えられた第1の検出器の検出結果に基づいて前記車両のドライバの感情を推定するドライバ感情推定部と、
前記車両に備えられた第2の検出器の検出結果に基づいて前記車両の周囲の交通参加者の感情を推定する交通参加者感情推定部と、
前記車両のドライバが危険を感じていない一方で前記交通参加者が前記車両に対して危険を感じたドライバ非認識ヒヤリハット地点のデータを記憶する記憶部と、
前記記憶された前記ドライバ非認識ヒヤリハット地点を前記ドライバに通知する通知制御部と、
を備える、運転支援装置。
【請求項2】
前記車両のドライバ以外の同乗者の感情を推定する同乗者感情推定部をさらに備え、
前記ドライバ非認識ヒヤリハット地点のデータは、前記車両のドライバが認識していない一方で前記車両の同乗者が危険を感じたヒヤリハット地点のデータを含む、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記通知制御部は、前記交通参加者が前記車両に対して危険を感じた前記ドライバ非認識ヒヤリハット地点と併せて、前記車両のドライバが危険を感じたドライバ認識ヒヤリハット地点を前記車両が走行する際においても事前に通知し、
前記ドライバ非認識ヒヤリハット地点に対する通知の仕方と、前記ドライバ認識ヒヤリハット地点に対する通知の仕方とが異なる、請求項1又は2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記車両のドライバがネガティブな感情を持っていない一方、前記交通参加者がネガティブな感情を持っていると推定された走行位置を、前記ドライバ非認識ヒヤリハット地点として記憶する、請求項1~3のいずれか1項に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記第2の検出器の検出結果に基づいて前記交通参加者が前記車両に対して危険を感じたか否かを判定する交通参加者危険状況認識判定部をさらに備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の
運転支援装置。
【請求項6】
車両に搭載される運転支援装置と、前記運転支援装置と通信可能な管理サーバと、を含むデータ収集システムにおいて、
前記運転支援装置は、
前記車両に備えられた第1の検出器の検出結果に基づいて前記車両のドライバの感情を推定するドライバ感情推定部と、
前記車両に備えられた第2の検出器の検出結果に基づいて前記車両の周囲の交通参加者の感情を推定する交通参加者感情推定部と、
前記車両のドライバが危険を感じていない一方で前記交通参加者が前記車両に対して危険を感じたドライバ非認識ヒヤリハット地点を記憶する記憶部と、
前記ドライバ非認識ヒヤリハット地点の情報を送信する第1の通信部と、を備え、
前記管理サーバは、
複数の前記運転支援装置から送信される前記ドライバ非認識ヒヤリハット地点のデータを蓄積するデータ蓄積部と、
蓄積された前記ドライバ非認識ヒヤリハット地点の情報を前記ドライバ非認識ヒヤリハット地点を走行する車両の前記運転支援装置へ送信する第2の通信部と、を備える、データ収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置及びデータ収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転中において、事故に至らないとしてドライバや乗員がヒヤリとするような危険状況に遭遇する場合がある。従来、このような危険状況に遭遇した地点(以下、「ヒヤリハット地点」ともいう)の情報を収集し、車両に対してヒヤリハット地点の情報を提供することによって、事故の低減や安心感の向上を図る技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、運転特性処理部が運転特性データベース内のデータを読み出し、加速度がドライバごとに設定された加速度の閾値を超えている地点をヒヤリハット地点としてヒヤリハット地点へ登録し、道路特性処理部は、運転特性データベース内のデータを読み出し、加速度が同じ道路特性を持つ地点ごとに設定された加速度の閾値を超えている地点をヒヤリハット地点としてヒヤリハット地点へ登録し、ヒヤリハット類似地点生成部は、ヒヤリハット地点と類似する地点を地図データベースを参照して抽出し、ヒヤリハット地点へ登録する、運転支援情報収集装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、生体センサがドライバの生体反応データを取得し、操作履歴記録手段が車両操作内容を操作履歴情報として記録し、情報入力手段が周辺監視カメラ、超音波センサ、レーダから障害物有無情報及び障害物距離情報を取得し、運転支援制御部が、情報入力手段の取得情報により示される自車両と障害物との間の距離があらかじめ設定された閾値以下となったときに、これを異常接近イベントとして認識し、その認識時点において生体反応データが安定範囲内にあった場合に、当該時点における操作履歴情報及びカーナビゲーション装置からの車両位置情報を互いに関連付けたウィークポイント情報として記録する車両用データ取集装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-097457号公報
【文献】特開2007-065997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1に記載の運転支援情報収集装置では、加速度がドライバごとに設定された閾値を超えている地点がヒヤリハット地点として登録される。また、特許文献2に記載の車両データ収集装置では、自車両と障害物との間の距離が閾値以下となったことを前提としてドライバが危険状況を認識しなかった地点の情報をウィークポイント情報として記録している。しかしながら、ドライバが危険状況に気付かない場合であっても、同乗者や他車両の乗員、車外から自車両を見ている歩行者等の視点や感覚では、危険と感じられる場合がある。
【0007】
例えば、左折しようとする車両の死角に自転車に乗る人がいる場合に、ドライバが自転車に気付かずに左折して自転車が急停止するような状況では、ドライバは危険状況に気付かないことが多い。また、住宅街の中の細い道路を車両が走行する際に、ドライバが怖いと感じることが無い場合であっても、同乗者が怖いと感じるような場合がある。上記の特許文献1や特許文献2では、ドライバの視点や感覚、あるいは、障害物との間の距離に着目してヒヤリハット地点の情報を収集するため、ドライバ以外の交通参加者の視点や感覚によって危険と感じられるような地点を車両へ提供することができない。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、車両のドライバ以外の交通参加者の観点から視て車両に対して危険を感じたヒヤリハット地点の情報を収集可能な運転支援装置及びデータ収集システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、車両のドライバの感情を推定するドライバ感情推定部と、車両の周囲の交通参加者の感情を推定する交通参加者感情推定部と、車両のドライバが危険を感じていない一方で交通参加者が車両に対して危険を感じたドライバ非認識ヒヤリハット地点のデータを記憶する記憶部と、記憶されたドライバ非認識ヒヤリハット地点をドライバに通知する通知制御部と、を備える運転支援装置が提供される。
【0010】
上記運転支援装置において、車両のドライバ以外の同乗者の感情を推定する同乗者感情推定部をさらに備え、ドライバ非認識ヒヤリハット地点のデータは、車両のドライバが認識していない一方で車両の同乗者が危険を感じたヒヤリハット地点のデータを含んでもよい。
【0011】
上記運転支援装置において、車両のドライバの感情を推定するドライバ感情推定部をさらに備え、通知制御部は、交通参加者が車両に対して危険を感じたドライバ非認識ヒヤリハット地点と併せて、車両のドライバが危険を感じたドライバ認識ヒヤリハット地点を車両が走行する際においても事前に通知し、ヒヤリハット地点に対する通知の仕方と、ドライバ認識ヒヤリハット地点に対する通知の仕方とが異なってもよい。
【0012】
上記運転支援装置において、記憶部は、車両のドライバがネガティブな感情を持っていない一方、交通参加者がネガティブな感情を持っていると推定された走行位置を、ドライバ非認識ヒヤリハット地点として記憶してもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、車両に搭載される運転支援装置と、運転支援装置と通信可能な管理サーバと、を含むデータ収集システムにおいて、運転支援装置は、車両のドライバの感情を推定するドライバ感情推定部と、車両の周囲の交通参加者の感情を推定する交通参加者感情推定部と、車両のドライバが危険を感じていない一方で交通参加者が車両に対して危険を感じたドライバ非認識ヒヤリハット地点を記憶する記憶部と、ドライバ非認識ヒヤリハット地点の情報を送信する第1の通信部と、を備え、管理サーバは、複数の運転支援装置から送信されるドライバ非認識ヒヤリハット地点のデータを蓄積するデータ蓄積部と、蓄積されたドライバ非認識ヒヤリハット地点の情報を複数の運転支援装置へ送信する第2の通信部と、を備えるデータ収集システムが提供される。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、車両のドライバ以外の交通参加者の観点から視て車両に対して危険を感じたヒヤリハット地点の情報を収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るデータ収集システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】ナビゲーション表示装置に表示される表示の例を示す説明図である。
【
図3】同実施形態に係る運転支援装置によるドライバ認識ヒヤリハット地点記憶処理動作を示すフローチャートである。
【
図4】同実施形態に係る運転支援装置によるドライバ非認識ヒヤリハット地点記憶処理動作を示すフローチャートである。
【
図5】同実施形態に係る運転支援装置による同乗者危険状況認識判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】同実施形態に係る運転支援装置による交通参加者危険状況認識判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】同実施形態に係る運転支援装置による通知制御処理の動作を示すフローチャートである。
【
図8】同実施形態に係る管理サーバの構成例を示すブロック図である。
【
図9】同実施形態に係る管理サーバによるヒヤリハット地点記憶処理動作を示すフローチャートである。
【
図10】同実施形態に係る管理サーバによるヒヤリハット地点情報送信処理動作を示すフローチャートである。
【
図11】管理サーバからヒヤリハット地点情報を受信した運転支援装置の通知制御処理動作のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
まず、本発明の実施の形態に係るデータ収集システムの構成例を説明する。
図1は、本実施形態に係るデータ収集システム1の構成例を示すブロック図である。
【0018】
データ収集システム1は、車両に搭載される運転支援装置10と、運転支援装置10と通信可能に接続された管理サーバ5とを備える。運転支援装置10は、データ収集システム1を利用する複数の車両に搭載される。データ収集システム1では、管理サーバ5が、それぞれの車両に搭載された運転支援装置10により収集されたヒヤリハット地点の情報を蓄積し、それぞれの運転支援装置10に対してヒヤリハット地点の情報を提供する。また、管理サーバ5からヒヤリハット地点の情報を受信した運転支援装置10は、車両のドライバに対してヒヤリハット地点の情報を通知する。これにより、事故が発生するおそれを低減し、道路交通に対する安心感を向上させる。
【0019】
特に、本実施形態に係るデータ収集システム1では、それぞれの車両のドライバが危険を感じていない一方で周囲の交通参加者が当該車両に対して危険を感じたヒヤリハット地点(以下、「ドライバ非認識ヒヤリハット地点」ともいう)の情報が収集され、当該ドライバ非認識ヒヤリハット地点の情報が車両のドライバに通知される。このため、各車両のドライバは、ドライバ自身が危険状況を認識しづらいようなヒヤリハット地点であっても、他の交通参加者が危険を感じた地点を通過する際に注意をはらうことができるようになり、事故が発生するおそれをさらに低減し、道路交通に対する安心感をより向上させることができる。
【0020】
<1.運転支援装置の構成例>
続いて、運転支援装置10の構成例を具体的に説明する。
運転支援装置10は、車両に搭載され、車両の走行に関連して危険と感じられるヒヤリハット地点の情報を収集し、当該ヒヤリハット地点の情報をドライバに通知する装置として構築されている。
【0021】
運転支援装置10は、車内撮影カメラ21、車外撮影カメラ23、周囲環境センサ25、GPSアンテナ29、地図データ記憶部31、通信装置41、HMI(Human Machine Interface)43、ナビゲーション表示装置45及び情報処理装置50を備えている。車内撮影カメラ21、車外撮影カメラ23、周囲環境センサ25、GPSアンテナ29、地図データ記憶部31、通信装置41、HMI43及びナビゲーション表示装置45は、それぞれ直接的に、又は、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Inter Net)等の通信手段を介して情報処理装置50に接続されている。
【0022】
(1-1.車内撮影カメラ)
車内撮影カメラ21は、車室内を撮影した画像データを生成する。車内撮影カメラ21は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を備え、生成した画像データを情報処理装置50へ送信する。車内撮影カメラ21は、車室内の乗員のうちの少なくともドライバが撮影範囲内に入るように設置される。同乗者が危険を感じたか否かを判別する場合、車内撮影カメラ21は、助手席あるいは後部座席に座る同乗者も撮影範囲内に入るように設置される。車内撮影カメラ21は1つのみ備えられてもよく、複数備えられてもよい。
【0023】
(1-2.車外撮影カメラ)
車外撮影カメラ23は、車両の周囲を撮影した画像データを生成する。車外撮影カメラ23は、車両の安全機能として搭載されていてもよく、ヒヤリハット地点の情報収集のために搭載されるものであってもよい。車外撮影カメラ23は、車内撮影カメラ21と同様にCCDやCMOS等の撮像素子を備え、生成した画像データを情報処理装置50へ送信する。車外撮影カメラ23は、車両の前方、側方及び後方の少なくともいずれかの方向を撮影可能に車両に設けられた一つ又は複数のカメラからなる。
【0024】
(1-3.周囲環境センサ)
周囲環境センサ25は、車両の周囲の人物や障害物を検出するセンサである。周囲環境センサ25は、例えば、高周波レーダセンサ、超音波センサ、LiDARのうちの一つ又は複数を含んで構成される。検出される障害物は、他車両や自転車、建造物、交通標識、交通信号機、自然物、その他、車両の周囲に存在するあらゆる物体を含む。
【0025】
(1-4.車両操作/挙動センサ)
車両操作/挙動センサ27は、車両の操作状態及び挙動を検出する少なくとも一つのセンサからなる。車両操作/挙動センサ27は、車速、加速度、ヨーレート等の車両の挙動の情報を検出する。車両操作/挙動センサ27は、例えば、エンジン回転数センサ、車速センサ、加速度センサ、角速度センサのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。また、車両操作/挙動センサ27は、アクセル操作量、ブレーキ操作量、ステアリング舵角等の車両の操作状態の情報を検出する。車両操作/挙動センサ27は、例えば、アクセルポジションセンサ、ブレーキストロークセンサ、舵角センサのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。車両操作/挙動センサ27は、検出した情報を情報処理装置50へ送信する。
【0026】
(1-5.GPSアンテナ)
GPSアンテナ29は、GPS(Global Positioning System)衛星からの衛星信号を受信する。GPSアンテナ29は、受信した衛星信号に含まれる車両の地図データ上の位置情報を情報処理装置50へ送信する。なお、GPSアンテナ29の代わりに、車両の位置を特定する他の衛星システムからの衛星信号を受信するアンテナが備えられていてもよい。
【0027】
(1-6.通信装置)
通信装置41は、情報処理装置50が移動体通信網等の通信手段により管理サーバ5と通信を行うためのインタフェースである。通信装置41は、通信手段の規格に対応するインタフェースを含む。通信装置41は、本発明における第1の通信部に相当する。
【0028】
(1-7.HMI)
HMI43は、情報処理装置50により制御され、画像表示や音声出力等の手段により、車両の乗員に対して種々の情報を通知する。HMI43は、例えばインストルメントパネル内に設けられた表示装置及びスピーカを含む。
【0029】
(1-8.ナビゲーション表示装置)
ナビゲーション表示装置45は、地図データを表示する。ナビゲーション表示装置45は、情報処理装置50により制御され、収集されたドライバ認識ヒヤリハット地点及びドライバ非認識ヒヤリハット地点のデータを地図データ上に反映させて表示する。ナビゲーション表示装置45は、例えば液晶パネル等の光学パネルからなる。ナビゲーション表示装置45は、HMI43の一部であってもよい。
【0030】
(1-9.情報処理装置)
情報処理装置50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等の演算処理装置及びGPU(Graphic Processing Unit)等の画像処理装置を備えて構成される。演算処理装置は、記憶素子に記憶されたプログラムを実行することにより種々の演算処理を実行する。なお、情報処理装置50の一部又は全部は、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、また、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。
【0031】
本実施形態において、情報処理装置50は、乗員検出部51、交通参加者検出部61及び周囲環境検出部67を備える。また、情報処理装置50は、ドライバ視線検出部53、ドライバ感情推定部55、同乗者視線検出部57、同乗者感情推定部59、交通参加者視線検出部63及び交通参加者感情推定部65を備える。また、情報処理装置50は、ドライバ注視対象判定部71、ドライバ危険状況認識判定部81、同乗者注視対象判定部73、同乗者危険状況認識判定部83、交通参加者注視対象判定部75及び交通参加者危険状況認識判定部85を備える。また、情報処理装置50は、ドライバ認識ヒヤリハット地点記憶処理部87及びドライバ非認識ヒヤリハット地点記憶処理部89を備える。また、情報処理装置50は、通知制御部95及び表示制御部97を備える。これらの各部は、具体的には、演算処理装置又は画像処理装置によるプログラムの実行により実現される機能である。
【0032】
さらに、情報処理装置50は、ドライバ認識ヒヤリハット地点データベース91及びドライバ非認識ヒヤリハット地点データベース93を備える。これらのデータベースは、記憶部としてのRAM(Random Access Memory)等の記憶素子、あるいは、HDD(Hard Disk Drive)やCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、SSD(Solid State Drive)、USB(Universal Serial Bus)フラッシュ、ストレージ装置等の記憶媒体により構成される。
【0033】
このほか、情報処理装置50は、演算処理装置又は画像処理装置により実行されるソフトウェアプログラムや、演算処理に用いられる種々のパラメタ、取得した情報、演算結果等を記憶する図示しないRAMやROM(Read Only Memory)等の記憶素子を備える。
【0034】
(1-9-1.乗員検出部)
乗員検出部51は、車内撮影カメラ21から送信される画像データに基づいて、車両の乗員を検出する。具体的に、乗員検出部51は、車内撮影カメラ21から送信される画像データを画像処理し、人物の顔の存在を特定することにより、車両の乗員を検出する。また、乗員検出部51は、車内撮影カメラ21から送信される画像データに基づいて、検出した乗員の座席位置をし、検出した乗員がドライバであるか又は同乗者であるかを判別する。乗員検出部51は、顔画像の特徴量分析等の手法を用いて検出した個々の乗員を識別してもよい。
【0035】
(1-9-2.交通参加者検出部)
交通参加者検出部61は、車外撮影カメラ23から送信される画像データに基づいて、車両の周囲の交通参加者を検出する。具体的に、交通参加者検出部61は、車外撮影カメラ23から送信される画像データを画像処理し、車両の周囲に存在する人物の顔の存在を特定することにより、交通参加者を検出する。交通参加者とは、歩行者、自転車に乗る人及び他車両の乗員を含む。交通参加者検出部61は、歩行者、自転車に乗る人及び他車両の乗員等、交通参加者を区分して検出してもよい。
【0036】
(1-9-3.周囲環境検出部)
周囲環境検出部67は、車外撮影カメラ23から送信される画像データ及び周囲環境センサ25から送信される情報に基づいて、車両の周囲環境の情報を検出する。具体的に、周囲環境検出部67は、車外撮影カメラ23から送信される画像データを画像処理することにより、物体検知の技術を用いて、車両の周囲に存在する人物や他車両、自転車、建造物、自然物等を特定するとともに、車両に対するこれらの物体の位置、車両とこれらの物体との間の距離や相対速度を算出する。
【0037】
周囲環境検出部67は、車車間通信又は路車間通信、移動体通信網等の通信手段を介して車外の装置から送信される情報を取得し、上記の車両の周囲環境の情報の一部を特定してもよい。また、周囲環境検出部67は、GPSアンテナ29により取得される車両の位置情報を用いて地図データ上の車両の位置を特定し、上記の車両の周囲の情報の一部を特定してもよい。
【0038】
(1-9-4.ドライバ視線検出部)
ドライバ視線検出部53は、ドライバが検出されている場合に、車内撮影カメラ21から送信される画像データに基づいて、ドライバの視線を検出する。具体的に、ドライバ視線検出部53は、車内撮影カメラ21から送信される画像データを画像処理し、検出されているドライバの顔向き及び瞳の向きを特定して、視線を検出する。
【0039】
(1-9-5.ドライバ感情推定部)
ドライバ感情推定部55は、ドライバが検出されている場合に、車内撮影カメラ21から送信される画像データに基づいて、ドライバの感情を推定する。具体的に、ドライバ感情推定部55は、例えばFACS理論に基づく表情解析の手法によりドライバの表情のデータを解析してドライバの感情を推定する。感情は、例えば喜怒哀楽等の感情の種類ごとに規定されたレベルにより推定されてもよいが、本実施形態においてドライバ感情推定部55は、少なくともドライバの恐怖、あるいは、驚き等のネガティブな感情を推定する。感情の推定方法は、他の手法であってもよい。
【0040】
(1-9-6.同乗者視線検出部)
同乗者視線検出部57は、ドライバ以外の同乗者が検出されている場合に、車内撮影カメラ21から送信される画像データに基づいて、同乗者の視線を検出する。具体的に、同乗者視線検出部57は、車内撮影カメラ21から送信される画像データを画像処理し、検出されている同乗者の顔向き及び瞳の向きを特定して、視線を検出する。
【0041】
(1-9-7.同乗者感情推定部)
同乗者感情推定部59は、ドライバ以外の同乗者が検出されている場合に、車内撮影カメラ21から送信される画像データに基づいて、同乗者の感情を推定する。具体的に、同乗者感情推定部59は、例えばFACS理論に基づく表情解析の手法により同乗者の表情のデータを解析して同乗者の感情を推定する。感情は、例えば喜怒哀楽等の感情の種類ごとに規定されたレベルにより推定されてもよいが、本実施形態において同乗者感情推定部59は、少なくとも同乗者の恐怖、あるいは、驚き等のネガティブな感情を推定する。感情の推定方法は、他の手法であってもよい。
【0042】
(1-9-8.交通参加者視線検出部)
交通参加者視線検出部63は、車両の周囲の交通参加者が検出されている場合に、車外撮影カメラ23から送信される画像データに基づいて、交通参加者の視線を検出する。具体的に、交通参加者視線検出部63は、車外撮影カメラ23から送信される画像データを画像処理し、検出されている交通参加者の顔向き及び瞳の向きを特定して、視線を検出する。
【0043】
(1-9-9.交通参加者感情推定部)
交通参加者感情推定部65は、車両の周囲の交通参加者が検出されている場合に、車外撮影カメラ23から送信される画像データに基づいて、交通参加者の感情を推定する。具体的に、交通参加者感情推定部65は、例えばFACS理論に基づく表情解析の手法により交通参加者の表情のデータを解析して交通参加者の感情を推定する。感情は、例えば喜怒哀楽等の感情の種類ごとに規定されたレベルにより推定されてもよいが、本実施形態において交通参加者感情推定部65は、少なくとも交通参加者の恐怖、あるいは、驚き等のネガティブな感情を推定する。感情の推定方法は、他の手法であってもよい。
【0044】
(1-9-10.ドライバ注視対象判定部)
ドライバ注視対象判定部71は、ドライバが検出されている場合に、ドライバが注視している対象を判定する。具体的に、ドライバ注視対象判定部71は、ドライバ視線検出部53により検出されたドライバの視線の方向と、周囲環境検出部67により検出された車両の周囲環境の情報とに基づき、ドライバの視線の先に存在する注視対象を判定する。注視対象の情報は、存在する人物や障害物等だけでなく、自車両と人物や障害物等との間の距離や相対速度の情報も含む。ドライバ注視対象判定部71は、地図データ記憶部31を参照して、ドライバの視線の先に存在する注視対象を特定してもよい。
【0045】
(1-9-11.同乗者注視対象判定部)
同乗者注視対象判定部73は、同乗者が検出されている場合に、同乗者が注視している対象を判定する。具体的に、同乗者注視対象判定部73は、同乗者視線検出部57により検出された同乗者の視線の方向と、周囲環境検出部67により検出された車両の周囲環境の情報とに基づき、同乗者の視線の先に存在する注視対象を判定する。注視対象の情報は、存在する人物や障害物等だけでなく、自車両と人物や障害物等との間の距離や相対速度の情報も含む。同乗者注視対象判定部73は、地図データ記憶部31を参照して、同乗者の視線の先に存在する注視対象を特定してもよい。
【0046】
(1-9-12.交通参加者注視対象判定部)
交通参加者注視対象判定部75は、車両の周囲の交通参加者が検出されている場合に、交通参加者が注視している対象を判定する。具体的に、交通参加者注視対象判定部75は、交通参加者視線検出部63により検出された交通参加者の視線の方向と、周囲環境検出部67により検出された車両の周囲環境の情報とに基づき、交通参加者の視線の先に存在する注視対象を判定する。注視対象の情報は、存在する自車両や他の交通参加者、障害物等だけでなく、交通参加者と自車両との間の距離や相対速度の情報も含む。交通参加者注視対象判定部75は、地図データ記憶部31を参照して、ドライバの視線の先に存在する注視対象を特定してもよい。
【0047】
(1-9-13.ドライバ危険状況認識判定部)
ドライバ危険状況認識判定部81は、ドライバが検出されている場合に、ドライバが危険を感じたか否かを判定する。つまり、ドライバ危険状況認識判定部81は、車両の衝突に至らないまでもドライバが危険を感じたヒヤリハット事象が発生したか否かを判定する。具体的に、ドライバ危険状況認識判定部81は、ドライバ感情推定部55で推定されたドライバの感情が恐怖あるいは驚きを示し、かつ、ドライバ注視対象判定部71で判定されたドライバの注視対象の内容が所定の危険状況を示している場合に、ドライバが危険を感じたと判定する。
【0048】
例えば、ドライバ危険状況認識判定部81は、車両と当該車両の周囲の人物や障害物、他車両等との間の距離が、互いの相対速度に応じた所定距離未満となったことに伴って、推定されるドライバの感情が、極短時間で恐怖あるいは驚きを示すように変化したときに、ドライバが危険状況を認識したと判定する。どのような状況をヒヤリハット事象と判定するかについては、上記の例に限られずあらかじめ適切な条件が設定されてもよい。また、ドライバの感情が恐怖あるいは驚きを示したと判定する条件についても、恐怖あるいは驚きの感情への変化度合いや変化時間に基づいて判定する等、あらかじめ適切な条件が設定され得る。
【0049】
(1-9-14.同乗者危険状況認識判定部)
同乗者危険状況認識判定部83は、同乗者が検出されている場合に、同乗者が自車両に対して危険を感じたか否かを判定する。つまり、同乗者危険状況認識判定部83は、車両の衝突に至らないまでも同乗者が危険を感じたヒヤリハット事象が発生したか否かを判定する。具体的に、同乗者危険状況認識判定部83は、同乗者感情推定部59で推定された同乗者の感情が恐怖あるいは驚きを示し、かつ、同乗者注視対象判定部73で判定された同乗者の注視対象の内容が所定の危険状況を示している場合に、同乗者が危険を感じたと判定する。同乗者が危険を感じたか否かの判定方法は、ドライバ危険状況認識判定部81と同じ判定方法であってよい。
【0050】
(1-9-15.交通参加者危険状況認識判定部)
交通参加者危険状況認識判定部85は、交通参加者が検出されている場合に、交通参加者が自車両に対して危険を感じたか否かを判定する。つまり、交通参加者危険状況認識判定部85は、交通参加者が自車両に対して危険を感じたヒヤリハット事象が発生したか否かを判定する。具体的に、交通参加者危険状況認識判定部85は、交通参加者感情推定部65で推定された交通参加者の感情が恐怖あるいは驚きを示し、かつ、交通参加者注視対象判定部75で判定された交通参加者の注視対象の内容が自車両に起因する所定の危険状況を示している場合に、交通参加者が危険を感じたと判定する。
【0051】
例えば、交通参加者危険状況認識判定部85は、車両と交通参加者、あるいは、交通参加者が乗る他車両や自転車等との間の距離が、互いの相対速度に応じた所定距離未満となった場合に、推定される交通参加者の感情が、極短時間で恐怖あるいは驚きを示すように変化したときに、交通参加者が危険を感じたと判定する。どのような状況をヒヤリハット事象と判定するかについては、上記の例に限られずあらかじめ適切な条件が設定されてもよい。また、交通参加者の感情が恐怖あるいは驚きを示したと判定する条件についても、恐怖あるいは驚きの感情への変化度合いや変化時間に基づいて判定する等、あらかじめ適切な条件が設定され得る。
【0052】
(1-9-16.ドライバ認識ヒヤリハット地点記憶処理部)
ドライバ認識ヒヤリハット地点記憶処理部87は、ドライバ危険状況認識判定部81によりドライバが危険を感じたヒヤリハット地点(以下、「ドライバ認識ヒヤリハット地点」ともいう)のデータをドライバ認識ヒヤリハット地点データベース91へ記憶させる。具体的に、ドライバ認識ヒヤリハット地点記憶処理部87は、ドライバ危険状況認識判定部81によりドライバが危険を感じたと判定された場合に、GPSアンテナ29からの出力信号及び地図データ記憶部31に基づいて地図データ上の車両の走行位置を特定し、当該走行位置をドライバ認識ヒヤリハット地点として記憶させる。ドライバ認識ヒヤリハット地点記憶処理部87は、それぞれのドライバ認識ヒヤリハット地点のデータを、ドライバが感じた恐怖あるいは驚きのレベルの情報とともに記憶させてもよい。
【0053】
(1-9-17.ドライバ非認識ヒヤリハット地点記憶処理部)
ドライバ非認識ヒヤリハット地点記憶処理部89は、ドライバが危険を感じていない一方で交通参加者又は同乗者のうちの少なくとも一方が危険を感じたドライバ非認識ヒヤリハット地点のデータをドライバ非認識ヒヤリハット地点データベース93へ記憶させる。具体的に、ドライバ非認識ヒヤリハット地点記憶処理部89は、同乗者危険状況認識判定部83により同乗者が危険を感じたと判定された場合、又は、交通参加者危険状況認識判定部85により交通参加者が危険を感じたと判定された場合の少なくとも一方の条件が成立したときに、GPSアンテナ29からの出力信号及び地図データ記憶部31に基づいて地図データ上の車両の走行位置を特定し、当該走行位置をドライバ非認識ヒヤリハット地点として記憶させる。
【0054】
ただし、ドライバ非認識ヒヤリハット地点記憶処理部89は、ドライバ危険状況認識判定部81によりドライバが危険を感じたと判定されている場合には、当該地点をドライバ非認識ヒヤリハット地点として記憶させないように構成されている。これにより、ドライバ非認識ヒヤリハット地点データベース93には、ドライバが認識していない一方、同乗者又は交通参加者の少なくとも一方が車両に対して危険を感じたドライバ非認識ヒヤリハット地点のデータが蓄積される。ドライバ非認識ヒヤリハット地点記憶処理部89は、それぞれのドライバ非認識ヒヤリハット地点のデータを、同乗者あるいは交通参加者が感じた恐怖あるいは驚きのレベルの情報とともに記憶させてもよい。
【0055】
(1-9-18.通知制御部)
通知制御部95は、HMI43の駆動を制御することにより、ドライバ非認識ヒヤリハット地点データベース93に記憶されたドライバ非認識ヒヤリハット地点をドライバへ通知する。具体的に、通知制御部95は、車両が、ドライバ非認識ヒヤリハット地点データベース93に記憶されたドライバ非認識ヒヤリハット地点を走行する際に、事前にドライバに対して通知する。例えば、通知制御部95は、GPSアンテナ29から送信される位置情報に基づいて特定される車両の走行位置が、ドライバ非認識ヒヤリハット地点に近づいたときに、音声又は警告音の発生あるいは警告表示のうちの少なくとも一つの手法により通知を行う。
【0056】
従来、実際に交通事故が発生したり、あるいは、統計的に事故が発生しやすい場所を走行する車両に対して、「事故多発地点です。注意して走行してください。」等の通知のみが行われていたのに対して、本実施形態に係る運転支援装置10では、「気付きにくい事故が発生しやすい地点に近づいています。左右や後方を十分に確認して運転操作してください。」との通知が行われる。これにより、ドライバ自身が危険を感じたことがない地点であっても、これまでに同乗者や交通参加者が、自身の運転する車両に対して危険を感じた地点を車両が走行する際に、ドライバに対して注意を喚起することができる。
【0057】
また、通知制御部95は、ドライバ非認識ヒヤリハット地点と併せて、ドライバ認識ヒヤリハット地点データベース91に記憶されたドライバ認識ヒヤリハット地点をドライバへ通知してもよい。これにより、過去にドライバ自身が危険を感じた地点を車両が走行する際に、ドライバに対して注意を喚起することができる。このとき、通知制御部95は、ドライバ認識ヒヤリハット地点の通知の仕方と、ドライバ非認識ヒヤリハット地点の通知の仕方とを異ならせてもよい。例えば、通知制御部95は、音声の内容、警告音の種類、警告表示の内容を異ならせることができる。これにより、ドライバは、当該ヒヤリハット地点が、これまでドライバ自身が危険を感じた地点であるか否かを認識することができ、自身が危険を感じていなかったドライバ非認識ヒヤリハット地点に対してより注意をはらうことができる。
【0058】
(1-9-19.表示制御部)
表示制御部97は、ドライバ認識ヒヤリハット地点及びドライバ非認識ヒヤリハット地点の情報を、ナビゲーション表示装置に表示される地図データ上に表示する。したがって、ナビゲーションシステムを利用するドライバがナビゲーション表示装置の画面を見ることにより、ドライバ認識ヒヤリハット地点及びドライバ非認識ヒヤリハット地点を認識することができる。この場合、ドライバ認識ヒヤリハット地点の表示と、ドライバ非認識ヒヤリハット地点の表示とを異ならせてもよい。
【0059】
図2は、ナビゲーション表示装置に表示される表示の例を示す。図示した表示の例では、ドライバ認識ヒヤリハット地点データベース91に記憶されたドライバ認識ヒヤリハット地点、及び、ドライバ非認識ヒヤリハット地点データベース93に記憶されたドライバ非認識ヒヤリハット地点が、設定された目標地点Gまでの走行ルート上に存在する場合、それぞれのヒヤリハット地点を示すアイコンが表示されている。また、ドライバ認識ヒヤリハット地点を示すアイコンdHYと、ドライバ非認識ヒヤリハット地点データベース93に記憶されたドライバ非認識ヒヤリハット地点を示すアイコンnHYとが異なっている。これにより、ドライバは、当該ヒヤリハット地点が、これまでドライバ自身が危険を感じた地点であるか否かを認識することができ、自身が危険を感じていなかったドライバ非認識ヒヤリハット地点に対してより注意をはらうことができる。
【0060】
<2.運転支援装置の動作例>
次に、本実施形態に係る運転支援装置の動作例を具体的に説明する。以下、運転支援装置の動作を、ドライバ認識ヒヤリハット地点記憶処理、ドライバ非認識ヒヤリハット地点記憶処理及び通知制御処理に分けて説明する。
【0061】
(2-1.ドライバ認識ヒヤリハット地点記憶処理)
図3は、ドライバ認識ヒヤリハット地点記憶処理動作を示すフローチャートである。
まず、情報処理装置50の乗員検出部51は、車内撮影カメラ21から送信される画像データに基づいて、乗員検出処理を行う(ステップS11)。例えば、乗員検出部51は、公知の人物の顔を検出する処理を実行し、乗員を検出する。次いで、乗員検出部51は、検出した乗員がドライバであるか否かを判別する(ステップS13)。検出した乗員がドライバであるか否かは、例えば検出した乗員の座席位置に基づいて判別することができる。
【0062】
検出した乗員がドライバでない場合(S13/No)、ドライバ視線検出部53はドライバ認識ヒヤリハット地点記憶処理のルーチンを終了する一方、検出した乗員がドライバである場合(S13/Yes)、ドライバ視線検出部53は、車内撮影カメラ21から送信される画像データに基づいてドライバの視線を検出する(ステップS15)。例えば、ドライバ視線検出部53は、検出したドライバの顔向き及び瞳の向きを特定し、視線を検出する。
【0063】
次いで、ドライバ感情推定部55は、車内撮影カメラ21から送信される画像データに基づいてドライバの感情を推定する(ステップS17)。例えば、ドライバ感情推定部55は、FACS理論に基づく表情解析の手法を用いてドライバの表情のデータを解析し、少なくともドライバの恐怖、あるいは、驚き等のネガティブな感情を推定する。
【0064】
次いで、周囲環境検出部67は、車外撮影カメラ23から送信される画像データ及び周囲環境センサ25から送信される情報に基づいて、車両の周囲環境の情報を検出する(ステップS19)。例えば、周囲環境検出部67は、公知の物体検知の技術を用いて車両の周囲に存在する人物や他車両、障害物等を特定するとともに、車両に対するこれらの物体の位置、車両とこれらの物体との間の距離や相対速度を算出する。
【0065】
次いで、ドライバ注視対象判定部71は、ドライバ視線検出部53により検出されたドライバの視線の方向と、周囲環境検出部67により検出された車両の周囲環境の情報とに基づき、ドライバの視線の先に存在する注視対象を判定する(ステップS21)。注視対象の情報は、存在する人物や障害物等だけでなく、自車両と人物や障害物等との間の距離や相対速度の情報も含む。
【0066】
次いで、ドライバ危険状況認識判定部81は、ドライバが危険を感じたか否かを判定する(ステップS23)。例えば、ドライバ危険状況認識判定部81は、ドライバ感情推定部55で推定されたドライバの感情がネガティブな感情を示し、かつ、ドライバ注視対象判定部71で判定されたドライバの注視対象の内容が所定の危険状況を示している場合に、ドライバが危険を感じたと判定する。例えば、ドライバ危険状況認識判定部81は、車両と当該車両の周囲の人物や障害物、他車両等との間の距離が、互いの相対速度に応じた所定距離未満となったことに伴って、推定されるドライバの感情が、極短時間でネガティブな感情を示すように変化したときに、ドライバが危険状況を認識したと判定する。どのような状況をヒヤリハット事象と判定するかについては、上記の例に限られずあらかじめ適切な条件が設定されてもよい。また、ドライバの感情がネガティブな感情を示したと判定する条件についても、ネガティブな感情への変化度合いや変化時間に基づいて判定する等、あらかじめ適切な条件が設定され得る。
【0067】
ドライバが危険を感じたと判定されなかった場合(S25/No)、ドライバ認識ヒヤリハット地点記憶処理部87は、そのまま本ルーチンを終了させる一方、ドライバが危険を感じたと判定された場合(S25/Yes)、ドライバ認識ヒヤリハット地点記憶処理部87は、GPSアンテナ29からの出力信号及び地図データ記憶部31に基づいて、ドライバが危険を感じたと判定された地図データ上の車両の走行位置を特定し、当該走行位置をドライバ認識ヒヤリハット地点としてドライバ認識ヒヤリハット地点データベース91へ記憶させる(ステップS27)。ドライバ認識ヒヤリハット地点記憶処理部87は、それぞれのドライバ認識ヒヤリハット地点のデータを、ドライバが感じたネガティブな感情のレベルの情報とともに記憶させてもよい。
【0068】
情報処理装置50は、以上説明したドライバ認識ヒヤリハット地点記憶処理に係るステップS11~ステップS27のルーチンを繰り返し実行する。これにより、情報処理装置50は、ドライバが危険を感じたヒヤリハット地点の情報を収集することができる。
【0069】
(2-2.ドライバ非認識ヒヤリハット地点記憶処理)
図4は、ドライバ非認識ヒヤリハット地点記憶処理動作を示すフローチャートである。
まず、情報処理装置50の乗員検出部51は、上述のステップS11と同様に、車内撮影カメラ21から送信される画像データに基づいて、乗員検出処理を行う(ステップS31)。次いで、乗員検出部51は、検出した乗員が同乗者であるか否かを判別する(ステップS33)。検出した乗員が同乗者であるか否かは、例えば検出した乗員の座席位置に基づいて判別することができる。
【0070】
検出した乗員が同乗者でない場合(S33/No)、情報処理装置50はステップS39の処理へ進む一方、検出した乗員が同乗者である場合(S33/Yes)、情報処理装置50は、同乗者危険状況認識判定処理を実行する(ステップS35)。
【0071】
図5は、同乗者危険状況認識判定処理の一例を示すフローチャートである。
まず、同乗者視線検出部57は、上述したステップS15の処理に準じて、車内撮影カメラ21から送信される画像データに基づいて同乗者の視線を検出する(ステップS51)。次いで、同乗者感情推定部59は、上述したステップS17の処理に準じて、車内撮影カメラ21から送信される画像データに基づいて同乗者の感情を推定する(ステップS53)。
【0072】
次いで、周囲環境検出部67は、上述したステップS19の処理に準じて、車外撮影カメラ23から送信される画像データ及び周囲環境センサ25から送信される情報に基づいて、車両の周囲環境の情報を検出する(ステップS55)。次いで、同乗者注視対象判定部73は、同乗者視線検出部57により検出された同乗者の視線の方向と、周囲環境検出部67により検出された車両の周囲環境の情報とに基づき、同乗者の視線の先に存在する注視対象を判定する(ステップS57)。
【0073】
次いで、同乗者危険状況認識判定部83は、上述のステップS21の処理に準じて、同乗者が危険を感じたか否かを判定する(ステップS59)。同乗者が危険を感じたと判定された場合(S59/Yes)、同乗者危険状況認識判定部83は、同乗者が危険状況を認識していると判定し(ステップS61)、本ルーチンを終了させる。一方、同乗者が危険を感じたと判定されなかった場合(S59/No)、同乗者危険状況認識判定部83は、同乗者が危険状況を認識していないと判定し(ステップS63)、本ルーチンを終了させる。
【0074】
図4に戻り、ステップS33が否定判定であった場合(S33/No)、あるいは、ステップS35における同乗者危険状況認識判定処理が完了した後、情報処理装置50の交通参加者検出部61は、上述したステップS11の処理に準じて、車外撮影カメラ23から送信される画像データに基づいて、交通参加者検出処理を行う(ステップS37)。次いで、交通参加者検出部61は、交通参加者が検出されたか否かを判別する(ステップS39)。
【0075】
交通参加者が検出されたと判定されない場合(S39/No)、情報処理装置50はステップS43の処理へ進む一方、交通参加者が検出されたと判定された場合(S39/Yes)、情報処理装置50は、交通参加者危険状況認識判定処理を実行する(ステップS41)。
【0076】
図6は、交通参加者危険状況認識判定処理の一例を示すフローチャートである。
まず、交通参加者視線検出部63は、上述したステップS15の処理に準じて、車外撮影カメラ23から送信される画像データに基づいて交通参加者の視線を検出する(ステップS71)。次いで、交通参加者感情推定部65は、上述したステップS17の処理に準じて、車外撮影カメラ23から送信される画像データに基づいて交通参加者の感情を推定する(ステップS73)。
【0077】
次いで、交通参加者注視対象判定部75は、交通参加者視線検出部63により検出された同乗者の視線の方向に基づいて注視対象を判定する(ステップS75)。次いで、交通参加者危険状況認識判定部85は、検出されている交通参加者が自車両を見ているか否かを判別する(ステップS77)。交通参加者が自車両を見ていると判定されない場合(S77/No)、交通参加者危険状況認識判定部85は、そのまま本ルーチンを終了させる一方、交通参加者が自車両を見ていると判定された場合(S77/Yes)、交通参加者危険状況認識判定部85は、上述のステップS21の処理に準じて、交通参加者が危険を感じたか否かを判定する(ステップS79)。
【0078】
交通参加者が危険を感じたと判定された場合(S79/Yes)、交通参加者危険状況認識判定部85は、交通参加者が危険状況を認識していると判定し(ステップS81)、本ルーチンを終了させる。一方、交通参加者が危険を感じたと判定されなかった場合(S83/No)、交通参加者危険状況認識判定部85は、同乗者が危険状況を認識していないと判定し(ステップS83)、本ルーチンを終了させる。
【0079】
図4に戻り、ステップS39が否定判定であった場合(S39/No)、あるいは、ステップS41における交通参加者危険状況認識判定処理が完了した後、ドライバ非認識ヒヤリハット地点記憶処理部89は、同乗者又は交通参加者の少なくとも一方が危険状況を認識していると判定されたか否かを判別する(ステップS43)。同乗者及び交通参加者のいずれもが危険状況を認識していると判定されていない場合(S43/No)、ドライバ非認識ヒヤリハット地点記憶処理部89は、そのまま本ルーチンを終了させる。
【0080】
一方、同乗者及び交通参加者の少なくとも一方が危険状況を認識していると判定されている場合(S43/Yes)、ドライバ非認識ヒヤリハット地点記憶処理部89は、同乗者及び交通参加者の少なくとも一方が危険状況を認識した時点で、ドライバが危険状況を認識していた否かを判別する(ステップS45)。ドライバが危険状況を認識していたと判定された場合(S45/Yes)、ドライバ非認識ヒヤリハット地点記憶処理部89は、ドライバ非認識ヒヤリハット地点をドライバ非認識ヒヤリハット地点データベース93へ記憶させずに本ルーチンを終了させる。一方、ドライバが危険状況を認識していたと判定されない場合(S45/No)、ドライバ非認識ヒヤリハット地点記憶処理部89は、GPSアンテナ29からの出力信号及び地図データ記憶部31に基づいて、同乗者あるいは交通参加者が危険を感じたと判定された地図データ上の車両の走行位置を特定し、当該走行位置をドライバ非認識ヒヤリハット地点としてドライバ非認識ヒヤリハット地点データベース93へ記憶させる(ステップS47)。ドライバ非認識ヒヤリハット地点記憶処理部89は、それぞれのドライバ非認識ヒヤリハット地点のデータを、同乗者あるいは交通参加者が感じたネガティブな感情のレベルの情報とともに記憶させてもよい。
【0081】
情報処理装置50は、以上説明したドライバ非認識ヒヤリハット地点記憶処理に係るステップS31~ステップS47のルーチンを繰り返し実行する。これにより、情報処理装置50は、ドライバ以外の同乗者や交通参加者の観点から視て自車両に対して危険を感じたヒヤリハット地点の情報を収集することができる。
【0082】
(2-3.通知制御処理)
図7は、通知制御処理の動作を示すフローチャートである。
まず、通知制御部95は、GPSアンテナ29から送信される位置情報に基づいて、自車両の地図データ上の走行位置を特定する(ステップS91)。次いで、通知制御部95は、自車両の走行位置が、ドライバ認識ヒヤリハット地点データベース91に記憶されたドライバ認識ヒヤリハット地点に近づいたか否かを判別する(ステップS93)。例えば、通知制御部95は、自車両の走行位置から、設定されている目標地点までの走行ルートの前方に存在するドライバ認識ヒヤリハット地点までの距離が所定の距離以内になったか否かを判別する。目標地点の設定が無い場合には、通知制御部95は、地図データ上における自車両の走行位置及び走行する道路を特定し、自車両の走行位置から、走行する道路の前方に存在するドライバ認識ヒヤリハット地点までの距離が所定の距離以内になったか否かを判別してもよい。所定の距離は、あらかじめ設定された固定値であってもよく、一般道路と高速道路とによって、あるいは、車速によって可変となる値であってもよい。
【0083】
自車両の走行位置がドライバ認識ヒヤリハット地点に近づいたと判定された場合(S93/Yes)、通知制御部95は、HMI43の駆動を制御し、ドライバ認識ヒヤリハット地点を通過予定であることをドライバに通知する第1通知処理を実行する(ステップS95)。通知制御部95は、第1通知処理において、音声又は警告音を発生させたり、警告表示を行わせたりしてもよい。
【0084】
自車両の走行位置がドライバ認識ヒヤリハット地点に近づいたと判定されなかった場合(S93/No)、通知制御部95は、自車両の走行位置が、ドライバ非認識ヒヤリハット地点データベース93に記憶されたドライバ非認識ヒヤリハット地点に近づいたか否かを判別する(ステップS97)。例えば、通知制御部95は、自車両の走行位置から、設定されている目標地点までの走行ルートの前方に存在するドライバ非認識ヒヤリハット地点までの距離が所定の距離以内になったか否かを判別する。目標地点の設定が無い場合には、通知制御部95は、地図データ上における自車両の走行位置及び走行する道路を特定し、自車両の走行位置から、走行する道路の前方に存在するドライバ非認識ヒヤリハット地点までの距離が所定の距離以内になったか否かを判別してもよい。所定の距離は、あらかじめ設定された固定値であってもよく、一般道路と高速道路とによって、あるいは、車速によって可変となる値であってもよい。
【0085】
自車両の走行位置がドライバ非認識ヒヤリハット地点に近づいたと判定された場合(S97/Yes)、通知制御部95は、HMI43の駆動を制御し、ドライバ非認識ヒヤリハット地点を通過予定であることをドライバに通知する第2通知処理を実行する(ステップS99)。通知制御部95は、第2通知処理において、第1通知処理とは異なる通知の仕方で音声又は警告音を発生させたり、警告表示を行わせたりしてもよい。
【0086】
情報処理装置50は、以上説明した通知制御処理に係るステップS91~ステップS99のルーチンを繰り返し実行する。これにより、ドライバは、自身が認識し得るヒヤリハット地点だけでなく、自身が認識しづらいヒヤリハット地点を通過することを知ることができる。その際に、ドライバは、ドライバ認識ヒヤリハット地点とドライバ非認識ヒヤリハット地点とを区別して知ることができる。したがって、自身が認識しづらい危険状況に遭遇しないように対して、より注意を払いながら車両を走行することができる。また、ドライバは、ドライバ認識ヒヤリハット地点とドライバ非認識ヒヤリハット地点とを区別して知ることができるために、ドライバは、自身が認識しづらい運転の危険性を知ることができる。したがって、ドライバの運転技能への意識付けを向上させることができる。
【0087】
<3.管理サーバの構成例>
次に、管理サーバ5の構成例を説明する。
図8は、本実施形態に係る管理サーバ5の構成例を示すブロック図である。
管理サーバ5は、通信装置101、制御部103及びヒヤリハット地点データベース105を備える。
【0088】
通信装置101は、各車両に搭載された運転支援装置10と通信を行うためのインタフェースである。通信装置101は、通信手段の規格に対応するインタフェースを含む。通信装置101は、本発明における第2の通信部に相当する。
【0089】
ヒヤリハット地点データベース105は、記憶部としてのRAM等の記憶素子、あるいは、HDDやCD、DVD、SSD、USBフラッシュ、ストレージ装置等の記憶媒体により構成される。ヒヤリハット地点データベース105は、本発明におけるデータ蓄積部に相当する。
【0090】
制御部103は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等の演算処理装置及びGPU(Graphic Processing Unit)等の画像処理装置を備えて構成される。演算処理装置は、図示しない記憶素子に記憶されたプログラムを実行することにより種々の演算処理を実行する。
【0091】
制御部103は、それぞれの車両に搭載された運転支援装置10から送信されるドライバ認識ヒヤリハット地点及びドライバ非認識ヒヤリハット地点の情報を受信し、ヒヤリハット地点データベース105に記憶させる。その際に、制御部103は、ドライバ認識ヒヤリハット地点及びドライバ非認識ヒヤリハット地点を区別して記憶させてもよい。また、制御部103は、ドライバ、同乗者又は交通参加者が感じた恐怖あるいは驚きのレベルの情報とともにドライバ認識ヒヤリハット地点及びドライバ非認識ヒヤリハット地点の情報を記憶させてもよい。
【0092】
また、制御部103は、それぞれの車両の運転支援装置10から、車両の走行位置の情報を受信する。そして、制御部103は、ヒヤリハット地点データベース105に記憶されたヒヤリハット地点のデータのうち、受信した走行位置から所定範囲内に存在するヒヤリハット地点のデータを抽出して、当該車両へ送信する。その際に、制御部103は、ヒヤリハット地点ごとに危険度の情報を併せて送信してもよい。危険度の情報は、例えば、過去の所定期間内における登録回数の情報であってもよく、全車両の通行回数に対するヒヤリハット地点の登録回数の割合の情報であってもよい。又は、危険度の情報は、ドライバ、同乗者又は交通参加者が感じた恐怖あるいは驚きのレベルの平均値の情報であってもよい。
【0093】
<4.管理サーバの動作例>
次に、本実施形態に係る管理サーバの動作例を具体的に説明する。以下、管理サーバの動作を、ヒヤリハット地点記憶処理及びヒヤリハット地点情報送信処理に分けて説明する。
【0094】
(4-1.ヒヤリハット地点記憶処理)
図9は、ヒヤリハット地点記憶処理動作を示すフローチャートである。
まず、管理サーバ5の制御部103は、それぞれの車両に搭載された運転支援装置10から送信されるヒヤリハット地点情報を受信する(ステップS101)。受信するヒヤリハット地点情報は、ドライバ認識ヒヤリハット地点及びドライバ非認識ヒヤリハット地点の情報を含む。このとき、制御部103は、それぞれのヒヤリハット地点でドライバ、同乗者又は交通参加者が感じた恐怖あるいは驚きのレベルの情報を併せて受信してもよい。また、制御部103は、車両の識別データを併せて受信してもよい。
【0095】
次いで、制御部103は、受信したヒヤリハット地点情報をヒヤリハット地点データベース105へ記憶させる(ステップS103)。制御部103は、ヒヤリハット地点記憶処理に係るステップS101~ステップS103の処理を繰り返し実行する。これにより、管理サーバ5のヒヤリハット地点データベース105には、複数の車両において収集されたドライバ認識ヒヤリハット地点及びドライバ非認識ヒヤリハット地点のデータが蓄積される。
【0096】
(4-2.ヒヤリハット地点情報送信処理)
図10は、ヒヤリハット地点情報送信処理動作を示すフローチャートである。
まず、制御部103は、それぞれの車両に搭載された運転支援装置10から、それぞれの車両の走行位置の情報を受信する(ステップS111)。次いで、制御部103は、受信した走行位置の周辺に、ヒヤリハット地点データベース105に記憶されたヒヤリハット地点のデータがあるか否かを判別する(ステップS113)。例えば、制御部103は、走行位置からの距離があらかじめ設定された範囲内に、記憶されたヒヤリハット地点のデータがあるか否かを判別してもよい。あるいは、制御部103は、車両の走行位置の情報と併せて車両の進行方向又は目標地点までの走行ルートの情報を取得し、進行方向の前方の所定範囲内にヒヤリハット地点のデータがあるか否かを判別してもよい。
【0097】
走行位置の周辺にヒヤリハット地点のデータがあると判定されない場合(S113/No)、制御部103はステップS111に戻る。一方、走行位置の周辺にヒヤリハット地点のデータがあると判定された場合(S113/Yes)、制御部103は、該当するヒヤリハット地点を抽出し、当該車両の運転支援装置10へヒヤリハット地点のデータを送信する(ステップS115)。その際に、制御部103は、ヒヤリハット地点ごとに危険度の情報を併せて送信してもよい。
【0098】
図11は、管理サーバ5からヒヤリハット地点情報を受信した運転支援装置10の通知制御処理動作のフローチャートを示す。
運転支援装置10の通知制御部95は、管理サーバ5から送信されるヒヤリハット地点情報を受信する(ステップS121)。次いで、通知制御部95は、ドライバ認識ヒヤリハット地点データベース91に記憶されたドライバ認識ヒヤリハット地点のデータに、受信したヒヤリハット地点のデータが存在するか否かを判別する(ステップS123)。
【0099】
ドライバ認識ヒヤリハット地点データベース91に記憶されたドライバ認識ヒヤリハット地点のデータに、受信したヒヤリハット地点のデータが存在すると判定された場合(S123/Yes)、通知制御部95は、受信したヒヤリハット地点をドライバ認識ヒヤリハット地点として取扱い、上述したステップS95の処理に準じて第1通知処理を実行する(ステップS125)。一方、ドライバ認識ヒヤリハット地点データベース91に記憶されたドライバ認識ヒヤリハット地点のデータに、受信したヒヤリハット地点のデータが存在すると判定されない場合(S123/No)、通知制御部95は、受信したヒヤリハット地点をドライバ非認識ヒヤリハット地点として取扱い、上述したステップS99の処理に準じて第2通知処理を実行する(ステップS127)。
【0100】
これにより、運転支援装置10は、自車両において記憶されたヒヤリハット地点だけでなく、他車両において記憶されたヒヤリハット地点のデータをドライバに通知することができる。したがって、ドライバは、他車両の走行に関連して他車両の同乗者や他車両の周囲の交通参加者が危険を感じたヒヤリハット地点を知ることができ、自身が認識しづらい危険状況に遭遇しないように対して、より注意を払いながら車両を走行することができる。
【0101】
以上説明したように、本実施形態に係る運転支援装置10及びデータ収集システム1によれば、車両のドライバ以外の交通参加者の観点から視て車両に対して危険を感じたヒヤリハット地点の情報を収集することができる。また、本実施形態に係る運転支援装置10及びデータ収集システム1によれば、車両のドライバ以外の同乗者が危険を感じたヒヤリハット地点の情報を収集することができる。したがって、ドライバ自身が危険を感じやすい状況のみならず、ドライバ自身が危険を感じにくい状況が発生しやすい地点を車両が走行する際に、ドライバに注意を促すことができる。これにより、事故が発生するおそれが低減され、交通に対する安心感を向上させることができる。
【0102】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0103】
例えば、上記実施形態において運転支援装置10は、管理サーバ5と通信し、ヒヤリハット地点の情報を送受信するように構成されていたが、本発明はかかる例に限定されない。運転支援装置10は、管理サーバ5との間でヒヤリハット地点の情報を送受信するものでなくてもよく、運転支援装置10のみで構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1…データ収集システム、5…管理サーバ、10…運転支援装置、21…車内撮影カメラ、23…車外撮影カメラ、25…周囲環境センサ、29…GPSアンテナ、31…地図データ記憶部、51…乗員検出部、53…ドライバ視線検出部、55…ドライバ感情推定部、57…同乗者視線検出部、59…同乗者感情推定部、61…交通参加者検出部、63…交通参加者視線検出部、65…交通参加者感情推定部、67…周囲環境検出部、71…ドライバ注視対象判定部、73…同乗者注視対象判定部、75…交通参加者注視対象判定部、81…ドライバ危険状況認識判定部、83…同乗者危険状況認識判定部、85…交通参加者危険状況認識判定部、87…ドライバ認識ヒヤリハット地点記憶処理部、89…ドライバ非認識ヒヤリハット地点記憶処理部、91…ドライバ認識ヒヤリハット地点データベース、93…ドライバ非認識ヒヤリハット地点データベース、95…通知制御部、97…表示制御部