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特許7544510ヒューズユニットおよびヒューズユニットのカバー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】ヒューズユニットおよびヒューズユニットのカバー
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/588 20210101AFI20240827BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20240827BHJP
   H01M 50/543 20210101ALI20240827BHJP
【FI】
H01M50/588 101
H01M50/591
H01M50/543
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020098201
(22)【出願日】2020-06-05
(65)【公開番号】P2021190410
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】大橋 紀弘
(72)【発明者】
【氏名】小澤 匡義
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-053956(JP,A)
【文献】特開2007-087616(JP,A)
【文献】特開2019-175643(JP,A)
【文献】特開2003-115291(JP,A)
【文献】特開2019-054661(JP,A)
【文献】特開2019-139962(JP,A)
【文献】特開2017-199475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ端子に係合するバッテリ端子係合部と、
前記バッテリ端子を介してバッテリのバッテリポストに設置されたときに所定の第1の方向で見て少なくとも前記バッテリ端子係合部が覗けるように、前記バッテリ端子と前記バッテリポストと前記バッテリ端子係合部とを囲んでいる筒状の囲み壁と、
を有するヒューズユニット。
【請求項2】
前記バッテリに設置されている状態で前記バッテリに係合することで回り止めをする回り止め部が前記囲み壁の一部で構成されている請求項1に記載のヒューズユニット。
【請求項3】
前記バッテリには、くびれ部が設けられており、
前記回り止め部は、前記囲み壁に形成された切り欠きを備えて構成されており、
前記切り欠きを間にしてお互いが対向している一対の部位で前記バッテリのくびれ部を挟み込むことで、前記回り止めがされるように構成されている請求項2に記載のヒューズユニット。
【請求項4】
前記所定の方向で見ると、前記囲み壁の内側には貫通孔が形成されており、前記バッテリ端子を介して前記バッテリポストに設置されている状態では、前記バッテリ端子の一部と前記バッテリポストとが前記貫通孔内に存在している請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のヒューズユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のヒューズユニットの囲み壁の開口部を塞ぐヒューズユニットのカバーであって、
固定部と、この固定部の端部に設けられたヒンジ部と、前記ヒンジ部を介して前記固定部につながっている開閉部とを備え、
前記固定部が前記ヒューズユニットに設けられている状態では、前記固定部が前記囲み壁の開口部の一部を塞いでおり、
前記固定部が前記ヒューズユニットに設けられている状態で、前記ヒンジ部を回動中心にして、前記囲み壁の残りの開口部の部位を塞いでいる回動閉塞位置と、前記囲み壁の残りの開口部の部位を大きく開いている回動解放位置との間で、前記開閉部が回動するように構成されているヒューズユニットのカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒューズユニットおよびヒューズユニットのカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒューズユニット本体とバッテリカバーとを備えたヒューズユニットが知られている(特許文献1参照)。従来のヒューズユニットのヒューズユニット本体は、バッテリのバッテリポストにバッテリ端子を介して固定されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-209188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のヒューズユニットにおいて、バッテリ端子を介してヒューズユニット本体をバッテリのバッテリポストに設置した後に、バッテリカバーの装着をし忘れ事態がごく稀にではあるが発生するおそれがある。また、バッテリカバーの脱落が発生する事態がごく稀にではあるが発生するおそれがある。なお、上記ヒューズユニット本体であるが、これを本発明の実施形態の表現に合わせて「ヒューズユニット」としてもよい。
【0005】
ここで、バッテリカバーの装着のし忘れ、もしくは、バッテリカバーの脱落が発生した場合であっても、ヒューズユニットのうちの樹脂で覆われていない部位等がむき出しにならないようにすることが重要である。
【0006】
本発明は、バッテリカバーの装着のし忘れ、もしくは、バッテリカバーの脱落が発生した場合であっても、ヒューズユニットのうちの樹脂で覆われていない部位等がむき出しにならないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係るヒューズユニットは、バッテリ端子に係合するバッテリ端子係合部と、前記バッテリ端子を介してバッテリのバッテリポストに設置されたときに所定の第1の方向で見て少なくとも前記バッテリ端子係合部が覗けるように、前記バッテリ端子と前記バッテリポストと前記バッテリ端子係合部とを囲んでいる囲み壁とを有する。
【0008】
また、本発明の態様に係るヒューズユニットでは、前記バッテリに設置されている状態で前記バッテリに係合することで回り止めをする回り止め部が前記囲み壁の一部で構成されている。
【0009】
また、本発明の態様に係るヒューズユニットでは、前記バッテリにくびれ部が設けられており、前記回り止め部は、前記囲み壁に形成された切り欠きを備えて構成されており、前記切り欠きを間にしてお互いが対向している一対の部位で前記バッテリのくびれ部を挟み込むことで、前記回り止めがされるように構成されている。
【0010】
また、本発明の態様に係るヒューズユニットは、前記所定の方向で見ると、前記囲み壁の内側には貫通孔が形成されており、前記バッテリ端子を介して前記バッテリポストに設置されている状態では、前記バッテリ端子の一部と前記バッテリポストとが前記貫通孔内に存在している。
【0011】
また、本発明の態様に係るヒューズユニットのカバーは、ヒューズユニットの囲み壁の開口部を塞ぐヒューズユニットのカバーであって、固定部と、この固定部の端部に設けられたヒンジ部と、前記ヒンジ部を介して前記固定部につながっている開閉部とを備え、前記固定部が前記ヒューズユニットに設けられている状態では、前記固定部が前記囲み壁の開口部の一部を塞いでおり、前記固定部が前記ヒューズユニットに設けられている状態で、前記ヒンジ部を回動中心にして、前記囲み壁の残りの開口部の部位を塞いでいる回動閉塞位置と、前記囲み壁の残りの開口部の部位を大きく開いている回動解放位置との間で、前記開閉部が回動するように構成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、バッテリカバーの装着のし忘れ、もしくは、バッテリカバーの脱落が発生した場合であっても、ヒューズユニットのうちの樹脂で覆われていない部位等がむき出しにならないようにすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るヒューズユニットのカバーとバッテリに設置されている本発明の実施形態に係るヒューズユニットとを示す斜視図である。
図2図1に示す状態からヒューズユニットのカバーをヒューズユニットに設置し終えた状態を示す斜視図である。
図3図1もしくは図2で示す状態からヒューズユニットのカバーを取り除いた状態を示す斜視図である。
図4図3のIV部の拡大図である。
図5図3におけるV矢視図である。
図6図3におけるVI矢視図である。
図7図3におけるVII矢視図である。
図8図3におけるVIII矢視図である。
図9図3におけるIX矢視図である。
図10図3におけるX矢視図である。
図11】本発明の実施形態に係るヒューズユニットを示す斜視図である。
図12図11におけるXII矢視図である。
図13図11におけるXIII矢視図である。
図14図11におけるXIV矢視図である。
図15図11におけるXV矢視図である。
図16図11におけるXVI矢視図である。
図17図11におけるXVII矢視図である。
図18】比較例に係るヒューズユニットを示す図である。
図19】比較例に係るヒューズユニットを示す図である。
図20】比較例に係るヒューズユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係るヒューズユニット1は、図1図3図4図5図11図12図14で示すように、たとえば、バッテリ端子3を介して車両のバッテリ5(バッテリポスト7)に一体的に設置されて使用されるものである。
【0015】
ヒューズユニット(ヒュージブルリンクユニット)1は、図11図17等で示すように、バスバー9と絶縁性を備えた樹脂部11とを備えて構成されている。樹脂部11は、バスバー9の一部が露出するようにバスバー9を覆っているとともにバスバー9に一体的に設けられている。なお、バスバー9には、ヒューズ部(図示せず)等が形成されている。
【0016】
また、ヒューズユニット1は、ヒューズユニット本体部13とバッテリ端子係合部(バッテリ端子設置部)15と囲み壁(保護壁)17とを備えて構成されている。バッテリ端子係合部15と囲み壁17とは、ヒューズユニット本体部13に設けられている。バッテリ端子係合部15は、樹脂部11で覆われていないことで露出しているバスバー9の部位を備えて構成されており、囲み壁17は、樹脂部11の一部で構成されている。
【0017】
ここで説明の便宜のために、水平な所定の一方向を縦方向とし、水平な所定の他の一方向であって縦方向に対して直交する方向を横方向とし、縦方向と横方向とに対して直交する方向を上下方向(高さ方向)とする。
【0018】
バッテリ端子係合部15は、バッテリ端子3を介してバッテリ5にヒューズユニット1を設置するときに、バッテリ端子3に係合する部位である。すなわち、バッテリ端子係合部15にバッテリ端子3が設置され、このバッテリ端子3が、バッテリ5(バッテリポスト7)に設置されることで、ヒューズユニット1がバッテリ5に設置されるようになっている。
【0019】
囲み壁17は、バッテリ端子3を介してバッテリ5のバッテリポスト7にヒューズユニット1が設置されたときに(ヒューズユニット1の設置完了状態のときに)、バッテリ端子3とバッテリポスト7とバッテリ端子係合部15とを囲んでいる。ただし、ヒューズユニット1の設置完了状態のときにあらゆる方向で見て、囲み壁17がバッテリ端子3とバッテリポスト7とバッテリ端子係合部15とを囲んでいるわけではない。
【0020】
ヒューズユニット1の設置完了状態のときに、所定の第1の方向(たとえば上下方向)で見て、少なくともバッテリ端子係合部15が覗けるように、バッテリ端子3とバッテリポスト7とバッテリ端子係合部15とを、囲み壁17が囲んでいる。
【0021】
より具体的には、ヒューズユニット1の設置完了状態のときに、ヒューズユニット1の上側から下側に向かってヒューズユニット1等を眺めると、バッテリ端子3とバッテリポスト7とバッテリ端子係合部15とが囲み壁17の内側に位置している(図5等参照)。
【0022】
すなわち、ヒューズユニット1の設置完了状態のときに、ヒューズユニット1の上側から下側に向かってヒューズユニット1等を眺めると、バッテリ端子3とバッテリポスト7とバッテリ端子係合部15とが露出している。
【0023】
囲み壁17は、ヒューズユニット1の設置完了状態のときに、バッテリ端子3とバッテリポスト7とバッテリ端子係合部15とを保護するために、設けられているものである。さらに説明すると、囲み壁17を設けてあることで、囲み壁17の外側にある物が水平方向でのみ移動してヒューズユニット1に近づく方向に移動しても、囲み壁17にぶつかるようになっている。そして、少なくとも囲み壁17の内部にあるバッテリ端子係合部15等には至らないようになっている。
【0024】
囲み壁17はヒューズユニット1のうちの樹脂部11で覆われていないバスバー9の露出部位(ヒューズユニット本体部13を含む)を囲んでいる。ただし、ヒューズユニット本体部13に設けられ電線付き端子が設置される電線付き端子設置部19は、囲み壁17で囲まれておらず、囲み壁17の外側で囲み壁17に隣接している。
【0025】
囲み壁17は所定の厚さで所定の幅の板状に形成されている。囲み壁17の厚さ方向が水平方向になっており、囲み壁17の幅さ方向が上下方向になっている。囲み壁17は、円筒状等のすっきりした筒状ではないが、大雑把に言えば、背の低い筒状に形成されている。そして、ヒューズユニット1の設置完了状態でバッテリ端子3とバッテリポスト7とバッテリ端子係合部15とを囲んでいる。
【0026】
囲み壁17が筒状に形成されていることで、囲み壁17はこの上端が開口している。すなわち、囲み壁17の上端には開口部21が形成されている。これにより、ヒューズユニット1の設置完了状態を上から下に向かって見ると、囲み壁17の内側に位置しているバッテリ端子3とバッテリポスト7とバッテリ端子係合部15とが見えるようになっている。
【0027】
一方、水平方向で見ると、囲み壁17で遮られていることで、バッテリ端子3とバッテリポスト7とバッテリ端子係合部15とがほとんど見えないようになっている。特に、あらゆる水平方向で見ても、バスバー9の露出部位の例であるバッテリ端子係合部15の総ては完全に囲み壁17で隠されている。
【0028】
バッテリ5は、直方体状のバッテリ本体部23と、円柱状に形成されておりバッテリ本体部23の上面から上側に突出している一対のバッテリポスト7とを備えて構成されている。ヒューズユニット1は直方体状のバッテリ本体部23の上端部にある4つの角部のうちの1つの角部25のところに設置されるようになっている。角部25は、一対のバッテリポストのうちの1つのバッテリポスト7の近傍に位置している。
【0029】
詳しくは後述するが、囲み壁17のうちの1つの角部25のところの位置している平板状の部位27は、上下方向の寸法の値が他の部位に比べて大きくなっている。これにより、囲み壁17の平板状の部位27の厚さ方向(水平な所定の一方向)であってヒューズユニット1の外側から見ると、平板状の部位27によってバッテリ端子3が隠れている。
【0030】
すなわち、ヒューズユニット1の設置完了状態では、バッテリ端子3の総てとバッテリポスト7の総てとバッテリ端子係合部15の総てとが平板状の部位27で隠れている。なお、平板状の部位27の厚さ方向は、縦方向および横方向に対して斜めになっている。また、上下方向で見ると、図5等で示すように、バッテリ端子3とバッテリポスト7とバッテリ端子係合部15とが、平板状の部位27よりもバッテリ5の中心側に位置している。
【0031】
ヒューズユニット1の設置完了状態を、囲み壁17のうちの他の部位(平板状の部位27以外の部位)の厚さ方向で見ると、バッテリ端子3の一部、バッテリポスト7の一部が見える場合がある(図8図10参照)。
【0032】
バッテリ端子3は、図5図12等で示すように、バッテリ端子本体部29と、バッテリポスト7と係合するバッテリポスト係合部31と、ヒューズユニット1と係合するヒューズユニット係合部33とを備えて構成されている。
【0033】
バッテリポスト係合部31は、バッテリ端子本体部29の一方の端部である第1の端部に設けられており、ヒューズユニット係合部33は、バッテリ端子本体部29の他方の端部である第2の端部に設けられている。
【0034】
バッテリ端子3は、図12等で示すように、ボルトとナットとを用いてバッテリポスト7を締め付けるようになっている。これにより、バッテリ端子3がバッテリ5(バッテリポスト7)に一体的に設置されるようになっている。
【0035】
バッテリ端子3のヒューズユニット係合部33は、貫通孔35を備えて構成されている。ヒューズユニット1のバッテリ端子係合部15は、オスネジ部39とこのオスネジ部39に螺合するナット(図示せず)とを備えて構成されている。そして、バッテリ端子係合部15のオスネジ部39をヒューズユニット係合部33の貫通孔35に通し、ヒューズユニット係合部33から突出しているオスネジ部39に螺合しているナット(図示せず)を締める。これにより、ヒューズユニット1がバッテリ端子3に一体的に設置されるようになっている。
【0036】
また、ヒューズユニット1には、回り止め部41が設けられている。回り止め部41は、囲み壁17の一部(たとえば、平板状部位27の一部)で構成されている。回り止め部41は、ヒューズユニット1がバッテリ5に設置されている状態(ヒューズユニット1の設置完了状態)でバッテリ5に係合するようになっている。そして、ヒューズユニット1がバッテリ5に対して、上下方向に延びている所定の軸(たとえば、オスネジ部75の中心軸)まわりで回ってしまうことが防止されるようになっている。
【0037】
ここで、ヒューズユニット1の設置完了状態でのヒューズユニット1の回り止めについてさらに説明する。
【0038】
バッテリ5には、くびれ部43が設けられている。くびれ部43は、上述したバッテリ本体部23の角部25のところに設けられている。回り止め部41は、囲み壁17(平板状の部位27)に形成された切り欠き45(たとえば図11等参照)を備えて構成されている。そして、図1等で示すように、切り欠き45を間にしてお互いが対向している一対の部位45A、45Bでバッテリ5のくびれ部43を挟み込むことで、回り止めがされるように構成されている。
【0039】
ヒューズユニット1の設置完了状態のヒューズユニット1を上下方向で見ると、図5等で示すように、囲み壁17の平板状の部位27は、バッテリ本体部23の角部25のところを通り、直線状になって延びている。また、上下方向で見ると、平板状の部位27の、角部25のところ以外の部位は、バッテリ本体部23の外側に位置している。
【0040】
また、ヒューズユニット1を上下方向で見ると、図12等で示すように、囲み壁17の内側には貫通孔47が形成されている。ヒューズユニット1がバッテリ端子3を介してバッテリ5のバッテリポスト7に設置されている状態(ヒューズユニット1の設置完了状態)では、バッテリ端子3等が、貫通孔47内に存在している。
【0041】
すなわち、ヒューズユニット1の設置完了状態を上下方向で見ると、バッテリ端子3の一部とバッテリポスト7とが貫通孔47内に存在している。バッテリ端子3の一部とは、バッテリ端子3の、ヒューズユニット1のバッテリ端子係合部15に係合している部位以外の部位である。
【0042】
設置完了状態のヒューズユニット1には、図1図2等で示すように、ヒューズユニットのカバー(バッテリカバー)49が設置されるようになっている。この設置によって、ヒューズユニットのカバー49が、ヒューズユニット1の囲み壁17の上端の開口部21を塞ぐようになっている。
【0043】
ヒューズユニットのカバー49は、固定部51とヒンジ部53と開閉部55とを備えて構成されている。ヒンジ部53は、固定部51の端部の一部に設けられている。開閉部55の一部は、ヒンジ部53を介して固定部51につながっている。
【0044】
固定部51は、ヒューズユニット1に一体的に設けられるようになっている。固定部51がヒューズユニット1に設けられている状態では、固定部51が囲み壁17の上端の開口部21の一部(たとえば、バッテリ端子係合部15の上部)を塞いでいる。
【0045】
固定部51がヒューズユニット1に設けられている状態で、開閉部55がヒンジ部53を回動中心にして、固定部51とヒューズユニット1とバッテリ5とに対して回動するようになっている。開閉部55の回動は、回動閉塞位置と回動解放位置との間でなされるようになっている。回動閉塞位置とは、囲み壁17の開口部21の残りの部位(たとえば、バッテリポスト7の上部)を塞いでいる位置である。回動解放位置とは、囲み壁17の開口部21の残りの部位を大きく開いている位置である。
【0046】
開閉部55が回動解放位置にあるときには、上下方向で見て、たとえば、バッテリポスト7と、バッテリ端子3の、バッテリポスト7側に部位とが覗けるようになっている。一方、開閉部55が回動閉塞位置になるときには、ヒューズユニットのカバー49によって、囲み壁17の上端の開口部21の総てが塞がれるようになっている。
【0047】
ここで、ヒューズユニット1等について、図3等を参照しつつさらに詳しく説明する。
【0048】
まず、バッテリ5のくびれ部43について説明する。なお、この説明はくびれ部43の形状を示すための便宜的なものである。
【0049】
バッテリ本体部23は、4つの側壁57と1つの底壁59との囲まれている直方体状の下側部位61と、矩形な平板状に形成されている上側部位63とを備えて構成されている。さらに、上側部位63は、矩形な板状の上側部位本体部65と上側部位本体部65の4つの角部のそれぞれから突出している突出部位67とを備えて構成されている。
【0050】
下側部位61の矩形状の上面に、厚さ方向が上下方向になっている上側部位63が配置されている。下側部位61の矩形状の上面は、上側部位本体部65で覆われている。しかし、上側部位本体部65の矩形の大きさが、下側部位61の上面の矩形の大きさよりも僅かに小さいことで、下側部位61の矩形状の上面の外周(矩形な環状の部位)69が、上側部位本体部65で覆われることなく露出している。
【0051】
突出部位67は、背の低い柱状(たとえば、底面が1/4の円になっている柱状)に形成されている。突出部位67の柱の高さ方向が上下方向になっている。また、突出部位67は、上側部位本体部65とつながって、上側部位本体部65の4つの角部のそれぞれから、水平な所定の方向に突出している。上下方向で見ると、突出部位67の円弧は、上側部位本体部65の角部とは反対側を向いている(外側を向いている)。
【0052】
上側部位本体部65の4つの角部のそれぞれから突出している4つの突出部位67のそれぞれにくびれ部43が形成されている。くびれ部43は、上側部位本体部65と突出部位67との境界のところに形成されている。また上下方向で見ると、くびれ部43のそれぞれは、矩形な環状の部位69の角部のところに位置している。
【0053】
図3で示すように、くびれ部43の高さ寸法Hの値は、矩形な平板状の上側部位63の厚さ寸法の値と一致している。くびれ部43の最小幅寸法Wは、上側部位本体部65と突出部位67との境界のところにおけるくびれ部43の水平方向の寸法である。
【0054】
ヒューズユニット1は、図12等で示すように、平板状の中央部位71を備えて構成されている。中央部位71の厚さ方向は、上下方向になっている。バッテリ端子係合部15と貫通孔47とは、中央部位71の中間部に配置されている。電線付き端子設置部19は、複数(たとえば4つ)設けられており、中央部位71の端部に配置されている。なお、説明の都合上、中央部位71は電線付き端子設置部19を含まないものとする。
【0055】
バッテリ端子係合部15は、厚さ方向が上下方向になっている平板状部位73を備えて構成されている。平板状部位73ではバスバー9が露出している。
【0056】
電線付き端子設置部19は、オスネジ部75とこのオスネジ部75の周りに形成されている平面状の上面部77とを備えて構成されている。上面部77ではバスバー9が露出しており、オスネジ部75はバスバー9と導通している。オスネジ部75は上面部77の中央部で上面部77から上側に突出している。
【0057】
なお、バッテリ端子係合部15の平板状部位73の上面と、電線付き端子設置部19の上面部77と、中央部位71の上面とは、上下方向でのお互いの位置がほぼ一致している。
【0058】
筒状に形成されている囲み壁17は、図12で示すように、第1の板状部位27(上述した平板状の部位27)と第2の板状部位79と第3の板状部位81と第4の板状部位83と第5の板状部位85と第6の板状部位87とを備えて構成されている。
【0059】
第1の板状部位27は、中央部位71の縁の一部の部位から上側と下側とに所定の高さだけ突出している。第2の板状部位79、第3の板状部位81、第4の板状部位83も、中央部位71の縁の他の一部の部位から上側と下側とに所定の高さだけ突出している。
【0060】
第5の板状部位85は、中央部位71と一方の電線付き端子設置部19との境界のところから上側と下側とに所定の高さだけ突出している。第6の板状部位87も、中央部位71と他方の電線付き端子設置部19との境界のところから上側と下側とに所定の高さだけ突出している。
【0061】
これにより、上下方向で見ると、中央部位71の端の総てが、第1の板状部位27と第2の板状部位79と第3の板状部位81と第4の板状部位83と第5の板状部位85と第6の板状部位87とで囲まれている。
【0062】
中央部位71から上側への突出高さの値は、第1の板状部位27の値が最も大きく、次に、第5の板状部位85、第6の板状部位87の値が大きく、第2の板状部位79、第3の板状部位81、第4の板状部位83に値が最も小さくなっている。
【0063】
中央部位71から下側への突出高さの値は、第5の板状部位85、第6の板状部位87の値が最も大きく、次に、第1の板状部位27の値が大きく、第2の板状部位79、第3の板状部位81、第4の板状部位83に値が最も小さくなっている。
【0064】
また、上下方向で見ると、貫通孔47の縁の一部が、第1の板状部位27の一部に接しており、バッテリ端子係合部15の縁の一部が第4の板状部位83の一部に接している。
【0065】
回り止め部41を構成している切り欠き45は、第1の板状部位27の肉部をこの厚さ方向で貫通しており、第1の板状部位27の厚さ方向で見て矩形状に形成されている。切り欠き45は、第1の板状部位27の下端から上側に凹んだ態様で構成されている。また、切り欠き45は、第1の板状部位27の下端の長手方向で下端の中間部に設けられている。
【0066】
ヒューズユニット1の設置完了状態では、上述したように、切り欠き45を間にしてお互いが対向している一対の部位45A、45Bがバッテリ5のくびれ部43に入りくびれ部43を挟み込んでいる。これにより、ヒューズユニット1のバッテリ5およびバッテリ端子3に対する回り止めがされるとともに、バッテリ5によって、ヒューズユニット1の第1の板状部位27の厚さ方向での移動が阻止される。
【0067】
また、ヒューズユニット1の設置完了状態を上下方向で見ると、図5等で示すように、中央部位71がバッテリ本体部23のところに位置しているが、電線付き端子設置部19は、バッテリ本体部23の外側に位置している。
【0068】
ヒューズユニットのカバー49の固定部51は、底壁部91とこの底壁部91の外周の一部から下側に突出している側壁部93とを備えて構成されている。ヒンジ部53は、底壁部91の外周の他の直線状の部位に設けられている。
【0069】
ヒューズユニットのカバー49の開閉部55も、底壁部95とこの底壁部95の外周の一部から下側に突出している側壁部97とを備えて構成されている。ヒンジ部53は、底壁部95の外周の他の直線状の部位に設けられている。なお、図1等に示す線分89は、固定部51と開閉部55とを隔てているスリットである。
【0070】
ヒューズユニット1の設置完了状態においてヒューズユニットのカバー49がヒューズユニット1に設置されたときには、固定部51に設けられている被係止部(図示せず)が、ヒューズユニット1に設けられている係止部(図示せず)に係止される。そして、ヒューズユニット1と固定部51とが一体化するようになっている。
【0071】
また、ヒューズユニット1の設置完了状態において固定部51がヒューズユニット1に設置され、さらに、開閉部55が回動閉塞位置にあるときには、ヒューズユニット1と開閉部55とが一体化するようになっている。すなわち、開閉部55に設けられている被係止部(図示せず)が、ヒューズユニット1に設けられている別の係止部(図示せず)に係止されて、ヒューズユニット1と開閉部55とが一体化するようになっている。
【0072】
また、固定部51がヒューズユニット1に設置され、さらに、開閉部55が回動閉塞位置にあるときには、図2で示すように、ヒューズユニットのカバー49が、ヒューズユニット1の全体を上側から覆うようになっている。さらに、ヒューズユニットのカバー49が、電線付き端子設置部19と電線付き端子設置部19に設置されている端子(図示せず)を上側から覆うようになっている。
【0073】
次に、ヒューズユニット1のバッテリ5への設置について説明する。
【0074】
まず、ヒューズユニット1にバッテリ端子3を装着する。続いて、ヒューズユニット1が装着されたバッテリ端子3をバッテリポスト7に設置する。
【0075】
続いて、端子付き電線の端子(図示せず)をヒューズユニット1の電線付き端子設置部19に設置する。続いて、ヒューズユニット1にヒューズユニットのカバー49を設置する。
【0076】
ヒューズユニット1は、バッテリ端子係合部15と囲み壁17とを備えて構成されている。囲み壁17は、ヒューズユニット1がバッテリ端子3を介してバッテリポスト7に設置されたときに、上下方向で見てバッテリ端子3等が覗けるようにバッテリ端子3とバッテリポスト7とバッテリ端子係合部15とを囲んでいる。
【0077】
これにより、ヒューズユニットのカバー49の装着のし忘れ等があっても、バッテリ端子3、バッテリポスト7、バッテリ端子係合部15がむき出しになることが防止される。すなわち、樹脂部11で覆われていない部位がむき出しになってしまうことが防止される。
【0078】
これに対して比較例に係るヒューズユニット301では、図18図20で示すように、バッテリカバー303の装着のし忘れ等が発生すると、ヒューズユニット本体305のうちの樹脂で覆われていない部位307等がむき出しになってしまう。
【0079】
また、ヒューズユニット1によれば、バッテリ5に係合することで回り止めをする回り止め部41が囲み壁17の一部で構成されているので、ヒューズユニット1の構成を簡素化することができる。さらに、ヒューズユニット1によれば、ヒューズユニットのカバー49の装着のし忘れ等があったときであっても、バッテリポスト7を中心とするバッテリ5に対するヒューズユニット1の回転を防ぐことができる。
【0080】
これに対して比較例に係るヒューズユニット301のバッテリカバー303は、図19で示すように、ヒューズユニット本体305に装着されてヒューズユニット本体305を被うようになっている。また、比較例に係るヒューズユニット301のバッテリカバー303には、バッテリ309に当接するバッテリ当接部311が設けられている。
【0081】
比較例に係るヒューズユニット301のバッテリカバー303に設けられているバッテリ当接部311は、バッテリ309の側面に面接触している。これにより、バッテリポスト313(図18参照)を中心とするヒューズユニット301の回転に対して回り止めの機能をはたしている。すなわち、図9で示す矢印A19の方向でヒューズユニット301とバッテリカバー303とが回ってしまうことが防止されるようになっている。
【0082】
したがって、比較例に係るヒューズユニット301においてバッテリカバー303の装着のし忘れ等があると、バッテリポスト313を中心とするヒューズユニット1の回転が発生してしまう。
【0083】
また、ヒューズユニット1は、回り止め部41が囲み壁17に形成された切り欠き45を備えて構成されている。また、切り欠き45を間にしてお互いが対向している一対の囲み壁17の部位45A、45Bでバッテリ5のくびれ部43を挟み込むことで、回り止めがされるように構成されている。
【0084】
これにより、回り止め部41がバッテリ5にしっかりと固定されており、ヒューズユニット1がバッテリ5に設置されるときおよび設置されたとの、ヒューズユニット1の回転を確実に防止することができる。
【0085】
ヒューズユニット1は、囲み壁17の内側に貫通孔47が形成されている。そして、ヒューズユニット1が、バッテリ端子3を介してバッテリポスト7に設置されている状態で、バッテリ端子3とバッテリポスト7とが貫通孔47内に存在している。これにより、バッテリ端子3とバッテリポスト7との収容スペースが確保される。
【0086】
また、ヒューズユニットのカバー49は、開閉部55が、ヒンジ部53を回動中心にして、回動閉塞位置と回動解放位置との間で回動するように構成されている。これにより、開閉部55が囲み壁17の開口部21の残りの部位を塞いでいる状態(回動閉塞位置にある状態)では、バッテリ端子3等が露出することを防ぐことができる。また、開閉部55が囲み壁17の開口部21の残りの部位を大きく開いている状態(回動解放位置にある状態)では、バッテリ端子3等を上側から覗くことができ、バッテリ5のメンテナンス等をしやすくなる。
【0087】
ところで、上記説明では、バッテリ端子3を用いてヒューズユニット1をバッテリ5のバッテリポスト7に設置しているが、バッテリ端子3を用いることなくヒューズユニット1をバッテリ5のバッテリポスト7に直接設置してもよい。
【0088】
このように構成されている場合のヒューズユニット1は、バッテリ係合部と囲み壁とを備えて構成されていることになる。ここで、バッテリ係合部はバッテリのバッテリポストに係合するようになっている。囲み壁は、バッテリのバッテリポストに設置されたときに上下方向で見て、少なくともバッテリ係合部が覗けるように、バッテリポストとバッテリ係合部とを囲んでいる。
【0089】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 ヒューズユニット
3 バッテリ端子
5 バッテリ
7 バッテリポスト
15 バッテリ端子係合部
17 囲み壁
21 開口部
41 回り止め部
43 くびれ部
45 切り欠き
45A、45B 一対の部位
47 貫通孔
49 ヒューズユニットのカバー
51 固定部
53 ヒンジ部
55 開閉部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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