(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】制御装置、電池パック及び電源装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240827BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240827BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H02J7/00 X
H01M10/48 P
H01M10/44 P
(21)【出願番号】P 2020123934
(22)【出願日】2020-07-20
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉森 駿一郎
(72)【発明者】
【氏名】草茅 佑亮
(72)【発明者】
【氏名】椛澤 孝
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-238358(JP,A)
【文献】特開2014-220236(JP,A)
【文献】特開2005-24566(JP,A)
【文献】特開2002-286817(JP,A)
【文献】特開2011-169831(JP,A)
【文献】特開2002-365347(JP,A)
【文献】特開2019-45419(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0158914(US,A1)
【文献】特開平6-327162(JP,A)
【文献】特開2014-128142(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0156202(US,A1)
【文献】特開2010-104129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 9/00
H01M 10/48
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の充電又は放電を実行する充放電回路の動作を制御する制御装置であって、
前記充放電回路を動作させるための電力供給を制御するように構成される制御部と、
前記制御部を駆動させるための電力を前記制御部へ供給する駆動用電源と、
前記二次電池の電池電圧を計測するように構成される電圧計測部と、
前記電圧計測部により計測された前記二次電池の電池電圧から前記二次電池の電池残量を推定するように構成される電池残量計と、
を具備し、
前記電池残量計は、前記制御部が前記駆動用電源に対して電力供給を開始するように指示するときの前記電池残量を、前記制御部が前記駆動用電源に対して電力供給を開始するように指示するタイミングにおいて検出した前記電池電圧に基づいて推定し、
前記制御部は、前記充放電回路による前記二次電池の放電を終了した後であって、前記電圧計測部により計測されている前記電池電圧が安定するタイミングで前記駆動用電源に対して電力供給を停止するように指示する、
制御装置。
【請求項2】
前記電池電圧が安定するタイミングは、前記電池電圧の時間当たりの変化率が所定の閾値未満になったタイミングである、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記電池電圧が安定するタイミングは、放電を終了後、予め設定した時間が経過したタイミングである、請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記時間は、30分から2時間である、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の制御装置と、前記充放電回路と、前記二次電池とを具備する電池パック。
【請求項6】
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の制御装置と、前記充放電回路と、前記二次電池とを具備する電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、電池パック及び電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電池パック又は電源装置等の電子機器には、二次電池及び当該二次電池の電池残量を推定可能な電池残量計が備えられている。上記電池残量計は、二次電池の充電を実行する場合に二次電池へ流れる充電電流及び二次電池の放電を実行する場合に二次電池から出力される放電電流を検出し、当該充電電流及び放電電流に基づいて二次電池の電池残量を推定している。
【0003】
ところで、上記二次電池の電池電圧は、充電又は放電を行っていないときの電池電圧を示すOCV(Open Circuit Voltage)と比較して、充電中の場合に高く、放電中の場合に低くなる。また、充放電を終了すると、当該二次電池の電池電圧は、徐々にOCVに近づいていくという特性を有している。ここで、電子機器が保有するマイコンへの電源投入時の電池残量は、当該電池電圧を基に推定する。このときの電池電圧は、OCVであると仮定したうえで電池残量推定を行う。すなわち、二次電池の充電又は放電を行った後、時間を待たずにマイコンの電源遮断及び電源再投入を行った場合、当該電池残量の推定精度が悪化するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、上記電子機器の停止(シャットダウン)から立ち上がった時点での二次電池の電池残量の推定精度を向上することができる制御装置、電池パック及び電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様として実現することができる。
【0006】
本態様に係る制御装置は、二次電池の充電又は放電を実行する充放電回路の動作を制御する制御装置であって、前記充放電回路を動作させるための電力供給を制御するように構成される制御部と、前記制御部を駆動させるための電力を前記制御部へ供給する駆動用電源と、前記二次電池の電池電圧を計測するように構成される電圧計測部と、前記電圧計測部により計測された前記二次電池の電池電圧から前記二次電池の電池残量を推定するように構成される電池残量計と、を具備し、前記電池残量計は、前記制御部が前記駆動用電源に対して電力供給を開始するように指示するときの前記電池残量を、前記制御部が前記駆動用電源に対して電力供給を開始するように指示するタイミングにおいて検出した前記電池電圧に基づいて推定し、前記制御部は、前記充放電回路による前記二次電池の放電を終了した後であって、前記電圧計測部により計測されている前記電池電圧が安定するタイミングで前記駆動用電源に対して電力供給を停止するように指示する。上記構成によれば、本態様に係る制御装置は、停止(シャットダウン)から立ち上がった時点での二次電池の電池残量の推定精度を向上することができる。
【0007】
本態様に係る電池パックは、本態様に係る制御装置と、前記充放電回路と、前記二次電池とを具備する。上記構成によれば、本態様に係る電池パックは、停止(シャットダウン)から立ち上がった時点での二次電池の電池残量の推定精度を向上することができる。
【0008】
本態様に係る電源装置は、本態様に係る制御装置と、前記充放電回路と、前記二次電池とを具備する。上記構成によれば、本態様に係る電源装置は、停止(シャットダウン)から立ち上がった時点での二次電池の電池残量の推定精度を向上することができる。
【発明の効果】
【0009】
本態様に係る制御装置、電池パック及び電源装置は、停止(シャットダウン)から立ち上がった時点での二次電池の電池残量の推定精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る電源装置を示す回路図である。
【
図2】
図1に示す電源装置において、二次電池の放電を実行した後に二次電池の充電を実行する場合のタイミングチャートの一例である。
【
図3】本実施形態に係る電源装置の効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態に係る制御装置、電池パック及び電源装置について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態は以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、実施形態の説明に用いる図面は、いずれも構成部材を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、または省略などを行っており、構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。
【0012】
(構成)
図1は、本実施形態に係る電源装置1を示す回路図である。
図1に示す電源装置1は、外部電源PSから供給される電力を負荷2に供給可能な電力に変換し、当該負荷2へ供給する。さらに、電源装置1は、当該負荷2へ電力を供給すると共に、当該電力により電源装置1自身に内蔵する二次電池BAを充電する。また、電源装置1は、停電等の要因により外部電源PSからの電力供給が停止した場合に、上記二次電池BAに蓄積された電力を放電し、当該負荷2へ供給する。なお、本実施形態に係る電源装置1は、当該負荷2へ電力を供給しつつ、二次電池BAを充電可能である。
【0013】
本実施形態に係る電源装置1は、
図1に示すように、電圧変換器CV及び電池パックBPを備える。電池パックBPは、上記二次電池BAと共に、充放電回路FC及び制御装置CUを備える。電圧変換器CVは、外部電源PSから供給される電力を負荷2に供給可能な電力に変換し、当該負荷2へ供給する。また、電圧変換器CVは、外部電源PSから供給される電力を、充放電回路FCを介して二次電池BAに供給可能な電力に変換し、当該二次電池BAへ供給する。
【0014】
充放電回路FCは、制御装置CUによる制御の下、二次電池BAの充電又は放電を実行する。本実施形態における充放電回路FCには、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2が設けられている。上記スイッチング素子Q1は、電圧変換器CVと二次電池BAとの間の電気経路L1に設けられる。より具体的には、スイッチング素子Q1のゲートは、後述する制御装置CUの制御部11に接続される。スイッチング素子Q1のドレインは、電圧変換器CVに接続される。スイッチング素子Q1のソースは、二次電池BAに接続される。
【0015】
上記スイッチング素子Q2の一端は、上記スイッチング素子Q1と二次電池BAとの間の電気経路L2に接続され、上記スイッチング素子Q2の他端は、電圧変換器CVと負荷2との間の電気経路L3に接続される。より具体的には、スイッチング素子Q2のゲートは、後述する制御装置CUの制御部11に接続される。スイッチング素子Q2のドレイン(上記一端)は、上記電気経路L2に接続される。スイッチング素子Q1のソース(上記他端)は、上記電気経路L3に接続される。
【0016】
本実施形態における充放電回路FCは、制御装置CUによる制御の下、上記スイッチング素子Q1又はスイッチング素子Q2のオンオフ動作を実行することで、上記二次電池BAの充電又は放電を実行する。例えば、充放電回路FCは、二次電池BAの充電を実行する場合、スイッチング素子Q1をオンし、スイッチング素子Q2をオフする。これにより、電圧変換器CV及びスイッチング素子Q1を介して、外部電源PSから二次電池BAへ電力が供給され、二次電池BAに電力が蓄積される。また、充放電回路FCは、二次電池BAの放電を実行する場合、スイッチング素子Q2をオンし、スイッチング素子Q1をオフする。これにより、スイッチング素子Q2を介して、二次電池BAから負荷2へ電力が供給される。
【0017】
制御装置CUは、上記充放電回路FCの動作を制御する。本実施形態における制御装置CUは、制御部11、スイッチング素子Q3、スイッチング素子Q4、レギュレータ12、電圧計測部13及び電池残量計14を備える。
【0018】
制御部11は、ハードウェア資源として、所定のプロセッサを含む。制御部11は、制御部11を駆動させるための電力を制御部11へ供給する駆動用電源Vccに接続されている。制御部11は、上記充放電回路FCを動作させるための電力供給を制御するように構成される。本実施形態における制御部11は、
図1に示すように、充放電回路FCのスイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2のゲート並びに制御装置CUのスイッチング素子Q4のゲートに接続される。制御部11は、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2及びスイッチング素子Q4各々のゲートに所定のゲート電圧を印加することで、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2及びスイッチング素子Q4各々をオンする。
【0019】
また、制御部11は、駆動用電源Vccに対して電力供給を開始するように指示するタイミング(すなわち、上記電源装置1を起動するタイミング)でスイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をオンし、駆動用電源Vccに対して電力供給を停止するように指示するタイミング(すなわち、上記電源装置1を停止(シャットダウン)するタイミング)で、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をオフするように構成される。なお、制御部11は、レギュレータ12から出力される電圧Vregを検出することで、充電動作を実行していることを把握することができる。ここで、レギュレータ12は、スイッチング素子Q3を介してスイッチング素子Q1に並列接続され、電圧変換器CVから二次電池BAに供給される電力を一定に保つように構成される。
【0020】
ここで、スイッチング素子Q3のゲートは、スイッチング素子Q4のドレインに接続される。スイッチング素子Q3のドレインは、上記スイッチング素子Q1のソースと、上記スイッチング素子Q2のドレインが接続された上記電気経路L2の接続箇所との間の電気経路L4に接続される。スイッチング素子Q3のソースは、上記レギュレータ12に接続される。スイッチング素子Q4のゲートは、上述の通り、制御部11に接続される。スイッチング素子Q4のドレインは、上述の通り、スイッチング素子Q3のゲートに接続される。スイッチング素子Q4のソースは、地絡される。すなわち、制御部11により所定のゲート電圧をスイッチング素子Q4のゲートに印加することで、スイッチング素子Q4がオンする。さらに、スイッチング素子Q4をオンすることで、スイッチング素子Q3のゲートにゲート電圧が印加される。これにより、スイッチング素子Q3がオンする。
【0021】
電圧計測部13は、上記二次電池BAに並列接続され、上記二次電池BAの電池電圧を計測するように構成される。電池残量計14は、上記電圧計測部13により計測された上記二次電池BAの電池電圧から上記二次電池BAの電池残量を推定するように構成される。例えば、本実施形態における電池残量計14は、制御部11が駆動用電源Vccに対して電力供給を開始するように指示するときの電池残量を、制御部11が駆動用電源Vccに対して電力供給を開始するように指示するタイミングにおいて検出した電池電圧に基づいて推定する。さらに、電池残量計14は、上記電池残量を表示するように構成される。例えば、電池残量計14は、上記電池残量を、電池残量計14自身に内蔵するディスプレイ又は外付けディスプレイ等の表示機器(図示せず)に表示する。
【0022】
ここで、本実施形態に係る電源装置1において、スイッチング素子Q1のソースと、上記スイッチング素子Q3のドレインが接続された上記電気経路L4の接続箇所との間の電気経路L5、スイッチング素子Q2のソースと、上記スイッチング素子Q2のソースが接続された上記電気経路L3の接続箇所との間の電気経路L6、電圧変換器CVと、上記スイッチング素子Q2のソースが接続された上記電気経路L3の接続箇所との間の電気経路L7、スイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q3との間の電気経路L8にはダイオードDが設けられており、各経路における電流の逆流を防いでいる。
【0023】
(二次電池の電池電圧と、各スイッチング素子のオンオフとの関係)
次に、二次電池BAの電池電圧と、各スイッチング素子のオンオフとの関係について、
図2を参照して詳細に説明する。
図2は、
図1に示す電源装置1において、二次電池BAの放電を実行した後に二次電池BAの充電を実行する場合のタイミングチャートの一例である。なお、
図1に示す電源装置1は、
図2に示すタイミングチャートに従って、満充電状態の二次電池BAからの放電を実行し、二次電池BAの放電を実行した後に動作を停止し、再び起動した後に二次電池BAの充電を実行する。また、
図2に示すタイミングチャートにおいて、縦軸は二次電池BAの電池電圧値又は電池残量計14において推定される電池残量値と、各スイッチング素子のステータスとを表し、横軸は時間を表す。また、
図2に示すタイミングチャートの開始時(すなわち、時間T
0)においては、本実施形態に係る電源装置1が起動していると仮定する。すなわち、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4は、時間T
0において、制御部11によりオンされていることとする。
【0024】
まず、
図2に示すように、本実施形態に係る電源装置1は、上記時間T
0から二次電池BAの放電を開始する時間T
sd直前までの期間において、二次電池BAの充電又は放電のいずれも実行していない。このとき、二次電池BAの電池電圧値及び電池残量計14において推定される電池残量値は一定である。
【0025】
また、制御装置CUの制御部11は、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2をオフする。また、制御部11は、上述の通り、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4のオン状態を維持する。
【0026】
次に、
図2に示すように、本実施形態に係る電源装置1は、上記時間T
sdから二次電池BAの放電を終了する時間T
edまでの期間において、二次電池BAの放電を開始し、当該期間だけ二次電池BAの放電を実行した後に、二次電池BAの放電を終了する。このとき、二次電池BAの電池電圧値は、二次電池BAの放電特性により、二次電池BAの放電を実行したときに急激に降下し、当該期間の中盤に緩やかに降下し、二次電池BAの放電を終了したときに再び急激に降下する。また、電池残量計14において推定される電池残量値は、線形的に減少する。
【0027】
また、制御部11は、上記時間Tsdにおいて、スイッチング素子Q2をオンし、スイッチング素子Q1のオフ状態を維持し、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4のオン状態を維持する。また、制御部11は、上記時間Tsd直後から時間Ted直前までの期間において、スイッチング素子Q1のオフ状態を維持し、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4のオン状態を維持する。また、制御部11は、上記時間Tedにおいて、スイッチング素子Q2をオフし、スイッチング素子Q1のオフ状態を維持し、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4のオン状態を維持する。
【0028】
次に、
図2に示すように、本実施形態に係る電源装置1は、上記時間T
ed直後から制御部11から駆動用電源Vccに対して電力供給を停止するように指示する時間T
оff(すなわち、電源装置1を停止する時間)までの期間において、二次電池BAの放電を実行せず、充放電回路FCへの電力供給を維持し、充放電回路FCへの電力供給を維持した後に充放電回路FCへの電力供給を停止し、制御部11から駆動用電源Vccに対して電力供給を停止するように指示する。このとき、二次電池BAの電池電圧値は、徐々に上昇し、当該期間の終盤に一定となる。また、電池残量計14において推定される電池残量値は一定である。
【0029】
ここで、電池残量計14において推定される電池残量値は一定である理由としては、電池残量計14による電池電圧の推定方法が挙げられる。電池残量計14は、二次電池BAの電池電圧から当該二次電池BAの電池残量を推定するように構成されている。すなわち、二次電池BAの充電又は放電を実行しなければ、当該電池残量は増加又は減少しない。このため、電池残量計14において推定される電池残量値は一定である。
【0030】
また、制御部11は、上記時間Ted直後から時間Tоff直前までの期間において、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2のオフ状態を維持し、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4のオン状態を維持する。また、制御部11は、上記時間Tоffにおいて、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2のオフ状態を維持し、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をオフする。すなわち、本実施形態における制御部11は、充放電回路FCによる二次電池BAの放電を終了した後であって、電圧計測部13により計測されている電池電圧が安定するタイミング(すなわち、一定となるタイミング)で、駆動用電源Vccに対して電力供給を停止するように指示する。本実施形態に係る電源装置1において、二次電池BAの電池電圧が安定するタイミングは、当該電池電圧の時間当たりの変化率が所定の閾値未満になったタイミングである。
【0031】
次に、
図2に示すように、本実施形態に係る電源装置1は、例えば、上記時間T
оff直後から制御部11が駆動用電源Vccに対して電力供給を開始するように指示する時間T
оn(すなわち、電源装置1を起動する時間)までの期間において、制御部11から駆動用電源Vccに対して電力供給を停止するように指示することで動作を停止し、動作を停止した後に制御部11から駆動用電源Vccに対して電力供給を開始するように指示することで動作を開始し、制御装置CUから充放電回路FCへの電力供給を開始する。このとき、二次電池BAの電池電圧値及び電池残量計14において推定される電池残量値は一定である。
【0032】
また、制御部11は、上記時間Tоff直後から時間Tоn直前までの期間において、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4のオフ状態を維持する。また、制御部11は、上記時間Tоnにおいて、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2のオフ状態を維持し、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をオンする。
【0033】
次に、
図2に示すように、本実施形態に係る電源装置1は、例えば、上記時間T
оn直後から二次電池BAの充電を実行する時間T
scまでの期間において、制御装置CUから充放電回路FCへの電力供給を実行し、制御装置CUから充放電回路FCへの電力供給を実行した後に二次電池BAの充電を実行する。このとき、二次電池BAの電池電圧値及び電池残量計14において推定される電池残量値は一定である。
【0034】
また、制御部11は、上記記時間Tоn直後から時間Tsc直前までの期間において、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2のオフ状態を維持し、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4のオン状態を維持する。また、制御部11は、上記時間Tscにおいて、スイッチング素子Q1をオンし、スイッチング素子Q2のオフ状態を維持し、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4のオン状態を維持する。
【0035】
最後に、
図2に示すように、本実施形態に係る電源装置1は、上記時間T
sc以降において、二次電池BAの充電を継続する。このとき、二次電池BAの電池電圧値は、二次電池BAの充電を実行した直後に急激に上昇し、以降、緩やかに上昇する。また、電池残量計14において推定される電池残量値は、線形的に上昇する。
【0036】
また、制御部11は、上記時間Tsc以降において、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4のオン状態を維持し、スイッチング素子Q2のオフ状態を維持する。
【0037】
上述の通り、本実施形態に係る電源装置1において、制御装置CUの制御部11は、充放電回路FCによる二次電池BAの放電を終了した後であって、電圧計測部13により計測されている電池電圧が安定するタイミングで、充放電回路FCへの電力供給を停止する。また、制御装置CUの電池残量計14は、制御部11が駆動用電源Vccに対して電力供給を開始するように指示するときの電池残量を、制御部11が駆動用電源Vccに対して電力供給を開始するように指示するタイミングにおいて検出した電池電圧に基づいて推定する。
【0038】
例えば、
図3に示すように、二次電池BAの放電を停止した直後において、二次電池BAの電池電圧が安定していないタイミング(すなわち、上記電池電圧の時間当たりの変化率が大きいタイミング)で、駆動用電源Vccに対して電力供給を停止するように指示する。この場合、当該電池電圧の変動の影響により、二次電池の放電を終了した後も上記電池電圧が変動し続けているため、本来は
図3の太線のように電池残量値が推定されなければならないにも関わらず、推定される電池残量は
図3の細線のように低くなってしまい、電池残量値に誤差が生じてしまう。
【0039】
一方、本実施形態に係る電源装置1において、制御装置CUの制御部11は、上記電池電圧の変動を考慮して、電圧計測部13により計測されている電池電圧が安定するタイミングで、駆動用電源Vccに対して電力供給を停止するように指示する。これにより、本実施形態に係る電源装置1は、上記誤差を考慮して電池残量を推定するため、二次電池BAの電池残量を正確に推定することができる。すなわち、本実施形態に係る電源装置1は、電池残量の推定精度を向上することができる。
【0040】
また、本実施形態における制御装置CUは、
図1に示すように、電池パックBPに内蔵されている。しかしながら、本実施形態における制御装置CUは、これに限定されない。例えば、本実施形態における制御装置CUは、
図4に示すように、電源装置1の一構成として組み込まれていてもよい。
【0041】
また、本実施形態における電源装置1において、二次電池BAの電池電圧が安定するタイミングは、当該電池電圧の時間当たりの変化率が所定の閾値未満になったタイミングである。しかしながら、本実施形態に係る電源装置1は、これに限定されない。例えば、本実施形態における電源装置1において、電池電圧が安定するタイミングは、放電を終了後、予め設定した時間が経過したタイミングとしてもよい。この場合、設定した時間を30分から2時間とする。また、電池電圧が安定するタイミングは、電池電圧が、放電の終了時の電池電圧に対し所定の値だけ変化したタイミングとしてもよい。
【0042】
また、本実施形態において、上記負荷2に供給可能な電力と、上記二次電池BAに供給可能な電力とは、経路を共有していることからもわかるように、同じものである。しかしながら、本実施形態に係る電源装置1は、これに限定されない。本実施形態において、さらに電源装置1内にインバータを設け、所望の電圧に変換した後に二次電池BAに蓄積された電力を出力可能としてもよい。
【0043】
また、本実施形態における外部電源PSは、家庭用電源であっても、商用電源であってもよい。また、外部電源PSは、直流電力を供給可能な電源であっても、交流電力を供給可能な電源であってもよい。すなわち、本実施形態に係る電源装置1は、外部電源PSの種類及び負荷2において使用可能な電力に応じて、内部構成を適宜変更可能である。このとき、本実施形態における電圧変換器CVは、外部電源PSの種類及び負荷2において使用可能な電力に応じて、適宜変更可能である。例えば、本実施形態における電圧変換器CVは、整流器(AC-DCコンバータ)であっても、DC-DCコンバータであってもよい。
【0044】
なお、本実施形態における二次電池BAは、例えば、リチウムイオン電池又は鉛蓄電池等の一般に知られているものである。また、本実施形態における負荷2は、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、ストレージ装置及び外部電源PSからの電力供給が停止した場合に、一定期間稼働することが求められるその他の装置を想定している。
【0045】
また、上記説明において用いた「所定のプロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等の専用又は汎用のプロセッサ、若しくは、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:Simple Programmable Logic Device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)等を意味する。また、本実施形態の各構成要素は、単一のプロセッサに限らず、複数のプロセッサによって実現するようにしてもよい。さらに、複数の構成要素を、単一のプロセッサによって実現するようにしてもよい。
【0046】
以上、実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0047】
1 電源装置
2 負荷
11 制御部
12 レギュレータ
13 電圧計測部
14 電池残量計
BA 二次電池
BP 電池パック
CU 制御装置
CV 電圧変換器
FC 充放電回路
Q1~Q4 スイッチング素子
PS 外部電源
Vcc 駆動用電源