(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】車載用アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/22 20060101AFI20240827BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20240827BHJP
H01Q 1/42 20060101ALN20240827BHJP
【FI】
H01Q1/22 B
B60R11/02 A
H01Q1/42
(21)【出願番号】P 2020142619
(22)【出願日】2020-08-26
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(74)【代理人】
【識別番号】100127306
【氏名又は名称】野中 剛
(72)【発明者】
【氏名】生方 敦史
(72)【発明者】
【氏名】野田 雅史
(72)【発明者】
【氏名】郷 清二
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-228954(JP,A)
【文献】特開平08-237014(JP,A)
【文献】特開平08-321707(JP,A)
【文献】実開平03-073013(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/22
B60R 11/02
H01Q 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体外装板に取り付けられる車載用アンテナ装置であって、
アンテナ部と、
前記アンテナ部の少なくとも一部を載置するベース部と、
を備え、
前記ベース部は、
所定の基準面に対する第1座面と、
前記基準面に対する第2座面と、
を有し、
前記第1座面と前記第2座面とは、前記車体外装板への取付時において、前記車体外装板からの高さが異な
り、
前記車体外装板への取付用の締結具、を更に備え、
前記締結具は、
締結時に前記第1座面との間で前記車体外装板を挟む爪部と、
締結時に前記第2座面との間で前記車体外装板を挟む爪部と、
を有する、
車載用アンテナ装置。
【請求項2】
前記車体外装板への取付時に前記ベース部と前記車体外装板との間に介在する弾性部材、を更に備え、
前記弾性部材は、部位に応じて弾性が異なる、
請求項
1に記載の車載用アンテナ装置。
【請求項3】
前記弾性部材は、部位に応じて、幅、高さ、断面積および断面形状のうちの何れかが異なることで弾性が異なる、
請求項
2に記載の車載用アンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体外装板に取り付けられる車載用アンテナ装置には、車体外装板に固定されるアンテナベースと、そのアンテナベースに対して取り付けられるアンテナカバーとで形成される内部空間に、アンテナエレメント等を収容する装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
アンテナベースは、車体外装板に開けられた挿通孔を通して車内側に突出する締結凸部を有する。締結凸部には、爪部を有する金属製の取付部品(キャプチャーファスナーなどとも呼ばれる部品)が取り付けられている。アンテナベースと取付部品とで車体外装板を挟み、締結具を締めることで車載用アンテナ装置が車体外装板に固定される。アンテナベースは取付部品を介して車体外装板と電気的にも接続されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車載用アンテナ装置には、AM/FMのラジオ放送受信用アンテナだけでなく、携帯電話用アンテナ、測位システム用アンテナ、衛星放送ラジオ用アンテナ、道路交通システム用アンテナなど、複数種類のアンテナが搭載される場合が多い。そのため、車内のケーブルに接続するための太い接続ケーブルや大型のコネクタが使用される場合が多い。以下、コネクタが使用される場合を代表例として説明する。車載用アンテナ装置が車体外装板に固定されると締結凸部とコネクタが車内に向けて突出する。
【0006】
図6は、車載用アンテナ装置10Xのデザインの一例を示す図であって、車載用アンテナ装置10Xを車体外装板8に取り付けた状態を左方から見た側面図である。
図6中の直交三軸は、Z軸正方向を上方向とする右手系であり、前方がX軸正方向、左方がY軸正方向、上方がZ軸正方向である。
【0007】
車載用アンテナ装置10Xは、金属ベース30にアウターケース12を取り付けて内部空間を形成し、そこにアンテナや基板等を収容している。金属ベース30の締結凸部32とコネクタ21とは、車体外装板8の挿通孔を通じて車内に突出し、爪部62を有するワッシャー60(締結具)をボルト70で締結凸部32に締結することで金属ベース30が車体外装板8に固定される。
【0008】
ワッシャー60を締結凸部32に締結すると、爪部62と金属ベース30との間で車体外装板8を挟み込む。爪部62は、締結凸部32の四方に均等に配置されるのが望ましいが、
図6の例では、締結凸部32の四方に爪部62を配置しようとしても、締結凸部32の一方(X軸プラス方向側;前方)にコネクタ21があり、左方・右方・後方の三方しか爪部62を設けることができない。
【0009】
図6では理解を容易にするために意図的に車体外装板8を極端な凸形状で描いているが、車体外装板8は、自動車のデザイン上、上に向けて緩やかに凸形状を成している。左方・右方・後方の三方については、爪部62によって車体外装板8が金属ベース30に押し付けられている。しかし、爪部62を設けられなかった前方は、車体外装板8を金属ベース30に押し付ける力が弱い。そのため、場合によっては車載用アンテナ装置10Xが車体外装板8から僅かに浮くことがあり得る。
【0010】
本発明の目的の一例は、車体外装板に対して車載用アンテナ装置の一部が浮き上がることを抑制できる技術を提案すること、である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様は、車体外装板に取り付けられる車載用アンテナ装置であって、アンテナ部と、前記アンテナ部の少なくとも一部を載置するベース部と、を備え、前記ベース部は、第1座面と、第2座面と、を有し、前記第1座面と前記第2座面とは、前記車体外装板への取付時において、前記車体外装板からの高さが異なる、車載用アンテナ装置である。
【0012】
第1の態様によれば、車載用アンテナ装置は、車体外装板への取付時において、車体外装板からの高さが異なる2種類の座面を備える。よって、第1座面又は第2座面を車体外装板に当接するようにあてがい、車載用アンテナ装置を車体外装板に取り付けると、車体外装板に対するベース部の相対姿勢を特定の方向に傾斜させることができる。特定の方向を適切に設定することで、車体外装板に対して車載用アンテナ装置の一部が浮き上がることを抑制できる。
【0013】
本発明の第2の態様は、車体外装板に取り付けられる車載用アンテナ装置であって、アンテナ部と、ベース部と、前記車体外装板への取付時に前記ベース部と前記車体外装板との間に介在する弾性部材と、を備え、前記弾性部材は、部位に応じて弾性が異なる、車載用アンテナ装置である。
【0014】
第2の態様によれば、ベース部と車体外装板との間に介在する弾性部材は、各部位の弾性に応じて弾性変形する。弾性部材は、ベース部と車体外装板との間に介在し、部位に応じて弾性の異なるシール材となる。よって、各部位の弾性を適切に設定することで、取付後の車体外装板に対するベース部の相対姿勢を特定の方向に傾斜させ、車体外装板に対して車載用アンテナ装置の一部が浮き上がることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】車載用アンテナ装置の構成例を示す分解斜視図。
【
図6】車載用アンテナ装置のデザインの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態の例を説明するが、本発明を適用可能な形態は以下の実施形態に限定されない。各図には共通する方向を示すための直交三軸を示す。直交三軸は、Z軸正方向を上方向とする右手系である。車載用アンテナ装置にとっての前方(車体に取り付けたときに前方を向く側)がX軸プラス方向、左方がY軸プラス方向、上方がZ軸プラス方向である。
【0017】
図1は、本実施形態の車載用アンテナ装置10の構成例を示す分解斜視図である。
車載用アンテナ装置10は、アウターケース12と、アウターパッド14と、インナーケース16と、アンテナ部18(TELアンテナ18a、GNSS(Global Navigation Satellite System)アンテナ18b、SXM(SiriusXM)アンテナ18c)と、基板20と、インナーパッド22と、金属ベース30と、シール40と、仮留め用ホルダー50と、ワッシャー(締結具)60と、ボルト70と、を有する。
【0018】
アウターケース12は、電波透過性を有する合成樹脂製である。アウターケース12は、例えば、X軸プラス方向すなわち車載用アンテナ装置10の後方から前方へ向かって低く傾斜し、左右の側面が内側に湾曲したいわゆるシャークフィン形状を有し、下方に向けて開口する中空体としてデザインされている。
【0019】
アウターパッド14は、中央にインナーケース16を挿通可能な中央空間を有する。アウターパッド14は、中央空間にインナーケース16を通しながらインナーケース16の下方外縁部に被せられる。
【0020】
インナーケース16は、アウターケース12の内部空間にアンテナ部18を立体的に配置するための構造体となる合成樹脂製の部品である。インナーケース16は、アウターケース12の内部空間に挿入可能なサイズと形状を有する。インナーケース16は、下方に向けて開口した中空体としてデザインされ、アンテナ部18や基板20を覆ってその内部空間に収容する。
【0021】
基板20は、受信信号や送信信号を増幅するアンテナアンプなど、アンテナ部18に関連する電子部品を実装する。基板20の下面には、車体側のアンテナ接続ケーブルと電気的に接続するためのコネクタ21が突設されている。
【0022】
インナーパッド22は、エラストマー(Elastomer)やゴムなどで形成された環状の弾性部材である。インナーパッド22は、インナーケース16と金属ベース30との間に挟み込まれることでインナーケース16と金属ベース30との間の隙間をシールして、インナーケース16の内部空間への水の浸入を防止する。
【0023】
金属ベース30は、車載用アンテナ装置10を自動車に取り付けるための土台(ベース)となる金属製部品であって、車体外装板8の外面に取り付けられる部品である。金属ベース30の下面には、仮留め用ホルダー50及びワッシャー60を取り付けるための締結凸部32が突設されている。金属ベース30は、金属のみのベース部であってもよいし、樹脂部と金属部とを有するベース部であってもよい。金属ベース30は、アンテナ部18の少なくとも一部を載置する。
【0024】
図2は、シール40の構成例を示す上面図である。
シール40は、エラストマーやゴムなど(例えば、ウレタンフォーム)で形成された環状の弾性部材である。シール40は、車体外装板8に開けられた概形が四角形形状の取付挿通孔9と対向する範囲(
図3の破線範囲;括弧付きの符号[9]の範囲。)を囲繞し、金属ベース30の下面と車体外装板との間に挟まれて弾性変形することで隙間を埋め、挿通孔への水の浸入を防止する。
【0025】
シール40は、前方と後方とその中間とで上から視た幅が異なる。具体的には、シール40は、前後中間より前方に第1幅W1の前方部41(
図2において右上から左下に向かう斜線でハッチングされた部分)を有する。また、前後中間より更に後方側に、第1幅W1より幅広の第2幅W2の後方部42(
図2において左上から右下に向かう斜線でハッチングされた部分)を有する。前方部41と後方部42の中間には、両者の幅違いを前後方向になだらかに繋ぐ接続部43(
図2においてハッチングされていない部分)を有する。
【0026】
図1に戻って、仮留め用ホルダー50は、金属ベース30を車体外装板8に仮留めする部品である。
図1に示していないが、車体外装板8を描くとすると、車体外装板8は、シール40より下に描かれることになる。
【0027】
ワッシャー60は、締結凸部32にボルト70で締結される部品であり、金属ベース30を車体外装板8に締結する締結具である。ワッシャー60は、3つの爪部62(62a,62b,62c)を有する。具体的には、上向きの左前方爪部62aと、右前方爪部62bと、後方爪部62cとを有する。
【0028】
図3は、金属ベース30の構成例を示す下面図である。金属ベース30の下面は車体取付側の面である。
図4は、金属ベース30の左側面図である。
図5は、
図3のV
-V断面図である。
【0029】
金属ベース30は、下面に、締結凸部32と、コネクタ挿通孔34と、座面36(36a,36b,36c)と、嵌合溝38と、を有する。
【0030】
締結凸部32は、下面のほぼ中央から下方に向けて突設され、その先端にボルト70用のネジ穴を有する。
【0031】
コネクタ挿通孔34は、締結凸部32の前方側に設けられており、基板20を金属ベース30に組み付けると、コネクタ21が下方へ挿通して車内へ突出する。
【0032】
締結凸部32とコネクタ挿通孔34とは、取り付け時に車体外装板8の取付挿通孔9と対向する範囲内(
図3の破線で囲まれた範囲内)に設けられている。
【0033】
嵌合溝38は、シール40を嵌め込むための溝である。嵌合溝38はその範囲に、締結凸部32と、コネクタ挿通孔34と、取り付け時に車体外装板8の取付挿通孔9と対向する範囲と、を含む。
【0034】
座面36(36a,36b,36c)は、それぞれ締結凸部32の左方・右方・後方に設けられた平面部である。座面36(36a,36b,36c)は、ワッシャー60が締結凸部32に所定姿勢で締結されると、各爪部62と各座面36とは1対1の関係で車体外装板を挟んで対向関係となる。
【0035】
具体的には、左前方座面36aは締結凸部32の左方にあり、右前方座面36bは締結凸部32の右方にあり、後方座面36cは締結凸部32の後方にある。左前方座面36aと右前方座面36bとは、X軸を対称軸とする対称位置関係にある。
【0036】
図4,
図5に示すように、金属ベース30の下端を通る基準面Gを設定する。基準面Gからの各座面36(36a,36b,36c)までの最短距離La,最短距離Lb,最短距離Lcに着目すると、左前方座面36aの最短距離Laと右前方座面36bの最短距離Lbは同じである。しかし、後方座面36cの最短距離Lcは最短距離La,Lbより小さく設定されている。
【0037】
本実施形態では、後方座面36cは基準面Gと同じ高さに形成されている(最短距離Lc=0)。左前方座面36aと右前方座面36bとは、基準面Gよりも高い位置にあり(La>0、Lb>0)、例えば金属ベース30の左右辺縁33(
図5参照)と同じ高さに形成されている。
【0038】
金属ベース30の固定作業は次のようになる。
車体へ組み付けられる前の車載用アンテナ装置10では、締結凸部32の下端に、仮留め用ホルダー50とワッシャー60とがボルト70で軽く共締めされている。左前方爪部62aは左前方座面36aと対向し、右前方爪部62bは右前方座面36bと対向し、後方爪部62cは後方座面36cと対向する状態にある。
【0039】
作業員は、締結凸部32を仮留め用ホルダー50とワッシャー60とを外さずに、金属ベース30を取付挿通孔9へ上から近づけ、金属ベース30の下面が車体外装板8の上面に当たるまで押し込む。押し込み動作により、仮留め用ホルダー50が弾性変形しながら締結凸部32が取付挿通孔9を抜けて、最終的にはコネクタ21と仮留め用ホルダー50とワッシャー60とが車内に突出した状態となる。
【0040】
仮留め用ホルダー50は、取付挿通孔9を抜けると一部弾性変形していた部分の変形が解かれる。仮留め用ホルダー50は、弾性変形が解かれると取付挿通孔9の周辺部に車内側から当接して金属ベース30を仮留め状態にする。
【0041】
作業員は、この仮留め状態からボルト70を増し締めして、ワッシャー60を完全に締結凸部32に締結させて固定作業を完了する。固定作業が完了すると、車体外装板8の上面が基準面Gとなる。ワッシャー60は、仮留め状態よりも更に締結凸部32に接近するので、爪部62は更に弾性変形を増し、ワッシャー60と金属ベース30との間でより強く車体外装板8を挟持する。
【0042】
車載用アンテナ装置10は、取付挿通孔9の左辺を左前方爪部62aと左前方座面36aとで挟み、右辺を右前方爪部62bと右前方座面36bとで挟み、後方辺を後方爪部62cと後方座面36cとで挟んで挟持する。
車体外装板8は、取付挿通孔9の左辺・右辺・後方辺の各1箇所ずつ合計3箇所で挟持されるので、取付挿通孔9の左辺・右辺・後方辺の周囲は、ほぼ平面となるように金属ベース30の平坦に沿わされる。
【0043】
しかし、左前方座面36a及び右前方座面36bは、高さ違いの後方座面36cよりも相対的に上方に位置する。そのため、ワッシャー60で締結されて車体外装板8に取り付けられた状態の車載用アンテナ装置10は、後方座面36cに比べて、左前方座面36a及び右前方座面36bの方が車体外装板8に強く引き付けられた状態、すなわち下方への押し下げ力が強い状態にある。したがって、3つの座面36が同じ高さにある場合よりも、車体外装板8に対して車載用アンテナ装置10は前傾姿勢をとることになる。
【0044】
シール40は、後方部42の上面視幅が前方部41のそれよりも大きい。そのため、シール40が金属ベース30と車体外装板8とに挟まれて弾性変形する際、後方部42の変形後の上下方向の厚さが前方部41のそれよりも大きくなる。言い換えると、上面視幅を違えたことで、後方部42の弾性は前方部41の弾性よりも相対的に大きい。車載用アンテナ装置10が車体外装板8に取り付けられてシール40が弾性変形すると、その弾性変形後の上下厚さが前方部41よりも後方部42の方が大きくなる。よって、シール40の弾性変形が、車載用アンテナ装置10を車体外装板8に対して前傾させる作用をもたらす。
【0045】
車体外装板8に取り付けられた車載用アンテナ装置10は、爪部62が設けられていない側(前方)へ傾斜姿勢となるので、爪部62が設けられていない側が車体外装板8から浮き上がることを抑制できる。
【0046】
シール40についても同様の作用がある。シール40の上面視幅が、後方部42よりも前方部41の方が小さい。そのため、車体外装板8に取り付けられた車載用アンテナ装置10は、前方部41(前方)へ傾斜姿勢となり、前方が車体外装板8から浮き上がることを抑制できる。
【0047】
〔変形例その1〕
なお、本実施形態では、コネクタ21を締結凸部32の前方に配置した構成を例示したが、コネクタ21を締結凸部32の後方に配置した構成とすることもできる。
【0048】
その場合、
図3で例示した締結凸部32周りの構成は、嵌合溝38の内側の配置を、前後反転(
図3に向かって左右反転)した構成とすればよい。
具体的には、締結凸部32の前方に1つの前方座面、締結凸部32の左右それぞれに左後方座面、右後方座面を設ける。前方座面を基準面Gより高い位置に設け、左後方座面及び右後方座面を、基準面Gと同じ高さに設ける。
【0049】
当該構成で使用されるワッシャー60は、上記実施形態のワッシャー60の爪部の配置が前後反転した構成とする。具体的には、前方に前方座面へ対応する前方爪部を設け、左方に前方座面へ対応する左方爪部、右方に右後方座面へ対応する右方爪部の3つの爪を備える構成とする。
【0050】
当該構成の車載用アンテナ装置10を取り付けると、取付挿通孔9の前方辺・後方辺・左辺・右辺のうち、前方辺を前方爪部と前方座面とで挟み、左辺を左後方爪部と左後方座面とで挟み、右辺を右後方爪部と右後方座面とで挟んで3箇所で挟持する。前方座面が、相対的に左後方座面及び右後方座面よりも相対的に上方に位置する。そのため、車体外装板8に取り付けられた状態の車載用アンテナ装置10は、左後方座面及び右後方座面に比べて、前方座面の方が車体外装板8に強く引き付けられた状態、すなわち下方への押し下げ力が強い状態にある。したがって、3つの座面が同じ高さにある場合よりも、車体外装板8に対して車載用アンテナ装置10は前傾姿勢をとることになる。よって、車体外装板8の前方が車体外装板8から浮き上がることを抑制できる。
【0051】
〔変形例その2〕
シール40について、上記実施形態では、前方部41よりも後方部42の弾性を高める方法として、上面視幅を違える例を示した。これに代えて、前方部41と後方部42とで、上下の高さ、断面積、断面形状のうちの何れかを違えることで弾性の違いを実現してもよい。
【0052】
〔概括〕
上述した実施形態およびその変形例を含め、本明細書の開示は、次のように概括することができる。
【0053】
本開示の第1の態様は、車体外装板に取り付けられる車載用アンテナ装置であって、アンテナ部と、前記アンテナ部の少なくとも一部を載置するベース部と、を備え、前記ベース部は、第1座面と、第2座面と、を有し、前記第1座面と前記第2座面とは、前記車体外装板への取付時において、前記車体外装板からの高さが異なる、車載用アンテナ装置である。
【0054】
第1の態様によれば、車載用アンテナ装置は、車体外装板への取付時において、車体外装板からの高さが異なる2種類の座面を備える。よって、第1座面又は第2座面を車体外装板に当接するようにあてがい、車載用アンテナ装置を車体外装板に取り付けると、車体外装板に対するベース部の相対姿勢を特定の方向に傾斜させることができる。特定の方向を適切に設定することで、車体外装板に対して車載用アンテナ装置の一部が浮き上がることを抑制できる。
【0055】
前記車体外装板への取付用の締結具、を更に備え、前記締結具は、締結時に前記第1座面との間で前記車体外装板を挟む爪部と、締結時に前記第2座面との間で前記車体外装板を挟む爪部と、を有するとしてもよい。
【0056】
車体外装板への取付時に前記ベース部と前記車体外装板との間に介在する弾性部材、を更に備え、前記弾性部材は、部位に応じて弾性が異なってもよい。
【0057】
これにより、車体外装板に対して車載用アンテナ装置の一部が浮き上がることをより抑制できる。
【0058】
本開示の第2の態様は、車体外装板に取り付けられる車載用アンテナ装置であって、アンテナ部と、ベース部と、前記車体外装板への取付時に前記ベース部と前記車体外装板との間に介在する弾性部材と、を備え、前記弾性部材は、部位に応じて弾性が異なる、車載用アンテナ装置としてもよい。
【0059】
第2の態様によれば、ベース部と車体外装板との間に介在する弾性部材は、各部位の弾性に応じて弾性変形する。弾性部材は、ベース部と車体外装板との間に介在し、部位に応じて弾性の異なるシール材となる。よって、各部位の弾性を適切に設定することで、取付後の車体外装板に対するベース部の相対姿勢を特定の方向に傾斜させ、車体外装板に対して車載用アンテナ装置の一部が浮き上がることを抑制できる。
【0060】
前記弾性部材は、部位に応じて、幅、高さ、断面積および断面形状のうちの何れかが異なることで弾性が異なるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
8…車体外装板
9…取付挿通孔
10…車載用アンテナ装置
21…コネクタ
30…金属ベース
32…締結凸部
34…コネクタ挿通孔
36…座面
36a…左前方座面
36b…右前方座面
36c…後方座面
38…嵌合溝
40…シール
41…前方部
42…後方部
43…接続部
60…締結具
62…爪部
62a…左前方爪部
62b…右前方爪部
62c…後方爪部
70…ボルト
G…基準面
La…最短距離
Lb…最短距離
Lc…最短距離
W1…第1幅
W2…第2幅