(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
B66C 13/00 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
B66C13/00 B
(21)【出願番号】P 2020155221
(22)【出願日】2020-09-16
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000140719
【氏名又は名称】株式会社加藤製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】三枝 寿
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-174480(JP,U)
【文献】特開2004-353271(JP,A)
【文献】実開昭56-020981(JP,U)
【文献】特開2012-075476(JP,A)
【文献】特開2000-177652(JP,A)
【文献】特開2006-089989(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0061808(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00- 15/06
B66C 19/00- 23/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転室を備える走行車体と、
前記走行車体に対して旋回可能に前記走行車体に鉛直上側から連結され、前記運転室に対して前記走行車体の後方側に設置される旋回体と、
前記旋回体に対して起伏可能、かつ、前記旋回体と一緒に前記走行車体に対して旋回可能に前記旋回体に連結され、長手方向に伸縮可能なブームであって、前記旋回体に後方端部が連結されるベースブーム筒と、前記長手方向に沿って移動することにより前記ベースブーム筒からの前方側への突出量が変化する可動ブーム筒と、を備えるブームと、
前記ベースブーム筒の前方端部に取外し可能に取付けられ、前記ブームが伏せる側から前記ベースブーム筒及び前記可動ブーム筒に隣接する状態で前記ベースブーム筒に取付けられる受け部材と、
を具備
し、
前記受け部材は、
第1の板面と、前記第1の板面とは反対側を向く第2の板面と、を備える基板と、
前記基板の前記第1の板面において前記第1の板面が向く側へ突出する1つ以上のリブと、
を備え、
前記受け部材は、前記ブームが位置する側を前記第1の板面が向く状態で、前記ベースブーム筒に取付けられ、
前記1つ以上のリブは、前記受け部材の幅方向について前記基板の全幅に渡って形成される全幅リブを備え、
前記全幅リブには、前記幅方向に交差する前記受け部材の長さ方向に前記全幅リブを貫通する孔が形成され、
前記第1の板面は、前記全幅リブの前記孔の縁の一部を形成する、
建設機械。
【請求項2】
前記受け部材は、前記基板の前記第2の板面に設置される取手を備える、請求項
1の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建設機械としてオールテレーンクレーンが開示されている。このような建設機械では、運転室を備える走行車体が設けられ、旋回体が、走行車体に対して旋回可能に、走行車体に鉛直上側から連結される。そして、旋回体は、運転室に対して走行車体の後方側に設置される。
【0003】
また、オールテレーンクレーン等の建設機械では、長手方向に伸縮可能なブームが、旋回体に対して起伏可能に、旋回体に連結される。ブームは、旋回体と一緒に、走行車体に対して旋回可能である。伸縮可能なブームは、ベースブーム筒及び1つ以上の可動ブーム筒を備え、複数段のブームである。ベースブーム筒は、後方端部が旋回体に連結され、ブームの初段(1段目)を構成する。そして、ベースブーム筒は、旋回体からブームの前方側へ向かって延設される。また、可動ブーム筒のそれぞれは、ブームの長手方向に沿って移動可能であり、可動ブーム筒のいずれかが移動することにより、ブームは伸長又は収縮する。2段目の可動ブーム筒は、ブームの長手方向に沿って移動することにより、ベースブーム筒からのブームの前方側への突出量が変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オールテレーンクレーン等の建設機械では、作業現場内を移動する走行時において、走行車体に旋回体を設置し、かつ、ブームを旋回体に連結した状態で、建設機械を走行させることがある。この場合、ブームの前方側(旋回体の前方側)を走行車体の前方側と一致又は略一致させ、かつ、ブームを旋回体に対して伏せた状態で建設機械を走行させる。また、建設機械の走行時においては、通常は、ブームを最も収縮した状態にする。ただし、状況等によっては、ブームが最も収縮した状態から2段目の可動ブーム筒をブームの前方側に僅かに移動させ、最も収縮した状態からブームが僅かに伸長した状態で、建設機械を走行させることがある。前述のように最も収縮した状態からブームが僅かに伸長した状態で建設機械を走行させる場合等においては、運転室を含む走行車体及び地面へのブーム(2段目の可動ブーム筒)から垂れたグリースの付着が有効に防止されることが、求められている。
【0006】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、ブームから垂れたグリースの走行車体及び地面への付着が有効に防止される建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明のある態様の建設機械は、運転室を備える走行車体と、前記走行車体に対して旋回可能に前記走行車体に鉛直上側から連結され、前記運転室に対して前記走行車体の後方側に設置される旋回体と、前記旋回体に対して起伏可能、かつ、前記旋回体と一緒に前記走行車体に対して旋回可能に前記旋回体に連結され、長手方向に伸縮可能なブームであって、前記旋回体に後方端部が連結されるベースブーム筒と、前記長手方向に沿って移動することにより前記ベースブーム筒からの前方側への突出量が変化する可動ブーム筒と、を備えるブームと、前記ベースブーム筒の前方端部に取外し可能に取付けられ、前記ブームが伏せる側から前記ベースブーム筒及び前記可動ブーム筒に隣接する状態で前記ベースブーム筒に取付けられる受け部材と、を備え、前記受け部材は、第1の板面と、前記第1の板面とは反対側を向く第2の板面と、を備える基板と、前記基板の前記第1の板面において前記第1の板面が向く側へ突出する1つ以上のリブと、を備え、前記受け部材は、前記ブームが位置する側を前記第1の板面が向く状態で、前記ベースブーム筒に取付けられ、前記1つ以上のリブは、前記受け部材の幅方向について前記基板の全幅に渡って形成される全幅リブを備え、前記全幅リブには、前記幅方向に交差する前記受け部材の長さ方向に前記全幅リブを貫通する孔が形成され、前記第1の板面は、前記全幅リブの前記孔の縁の一部を形成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ブームから垂れたグリースの走行車体及び地面への付着が有効に防止される建設機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るクレーンを、走行車体、旋回体及びブームのそれぞれを幅方向の一方側から視た状態で示す側面図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るクレーンのブーム及びその近傍を、ブームの幅方向について
図1とは反対側から視た状態で示す側面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係るクレーンのブーム及びその近傍を、ブームが伏せる側から視た状態で示す下面図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係るクレーンの受け部材及び受け部材のブームへの取付け構造を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係るクレーンの受け部材を、
図4とは異なる方向から視た状態で示す斜視図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係るクレーンの受け部材を、受け部材の長さ方向の一方側から視た状態で示す後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について、図面を参照にして説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、実施形態に係る建設機械の一例として、第1の実施形態に係るクレーン1を示す。クレーン1は、オールテレーンクレーンである。
図1に示すように、クレーン1は、走行車体2と、走行車体2に鉛直上側から連結される旋回体3と、を備える。旋回体3は、鉛直方向に沿う旋回軸Pを中心として、走行車体2に対して旋回可能である。走行車体2では、鉛直方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)前後方向、及び、鉛直方向及び前後方向の両方に対して交差する幅方向が、規定される。また、旋回体3でも、鉛直方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)前後方向、及び、鉛直方向及び前後方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)幅方向が規定される。
図1では、走行車体2の前方側が旋回体3の前方側と一致又は略一致する状態で、クレーン1を示す。また、
図1は、走行車体2及び旋回体3のそれぞれを、幅方向の一方側(右方側)から視た状態で示す。
【0012】
走行車体2は、運転室5、車体フレーム6及び二対のアウトリガ7A,7Bを備える。運転室5は、走行車体2において前方側の部位に設けられ、走行車体2の前方端を形成する。走行車体2の運転室5では、クレーン1を前進させる操作、及び、クレーン1を後退させる操作等のクレーン1の走行に関する操作が入力される。車体フレーム6は、運転室5から走行車体2の後方側へ延設され、走行車体2の後方端を形成する。一対のアウトリガ(前側アウトリガ)7Aは、走行車体2において前方側の部位に設けられ、走行車体2の前後方向について、運転室5と旋回体3との間に設けられる。また、一対のアウトリガ(後側アウトリガ)7Bは、走行車体2において後方側の部位に設けられ、旋回体3の旋回軸Pに対して走行車体2の後方側に設けられる。クレーン1を用いた作業時においては、アウトリガ7A,7Bのそれぞれを走行車体2の幅方向の外側へ張出すとともに、アウトリガ7A,7Bのそれぞれを地盤に接地させることにより、走行車体2を支える。
【0013】
旋回体3は、操作室(キャブ)8を備える。また、クレーン1では、旋回体3に対して起伏可能にブーム10が旋回体3に連結される。
図2及び
図3は、ブーム10及びその近傍を示す。
図1乃至
図3等に示すように、ブーム10では、長手方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)及び起伏方向(矢印Y1及び矢印Y2で示す方向)規定され、起伏方向は、長手方向に対して交差する(垂直又は略垂直である)。また、ブーム10では、長手方向及び起伏方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)幅方向(矢印W1及び矢印W2で示す方向)が、規定される。ブーム10では、長手方向の一方側(矢印X1側)が前方側となり、前方側とは反対側(矢印X2側)が後方側となる。また、ブーム10では、起伏方向の一方側(矢印Y1側)が起きる側となり、起きる側とは反対側(矢印Y2側)が伏せる側となる。
【0014】
ブーム10は、後方端部から前方端部まで、長手方向に沿って延設される。また、ブーム10は、旋回体3と一緒に、走行車体2に対して旋回可能である。ブーム10の前方側は、旋回体3の前方側と一致又は略一致し、ブーム10の幅方向は、旋回体3の幅方向と一致又は略一致する。ブーム10は、旋回体3への連結位置から、旋回体3の前方側へ向かって、すなわち、ブーム10の前方側へ向かって、延設される。
図1等の一例では、操作室8は、ブーム10に対して、旋回体3の幅方向の一方側(右方側)に並んで配置される。操作室8では、旋回体3を旋回させる操作、及び、ブーム10を起伏させる操作等のクレーン1での作業に関する操作が入力される。なお、
図1では、走行車体2の前方側がブーム10の前方側と一致又は略一致する状態で、クレーン1を示す。また、
図1は、ブーム10を、幅方向の一方側(右方側)から視た状態で示す。
図2では、ブーム10を、幅方向について
図1とは反対側(左方側)から視た状態で示し、
図3では、ブーム10を、伏せる側から視た状態で示す。
【0015】
本実施形態では、ブーム10は、長手方向に伸縮可能である。ブーム10は、ベースブーム筒11及び1つ以上の可動ブーム筒12を備え、複数段のブーム10である。
図1乃至
図3の一例では、ブーム10に可動ブーム筒12が5つ設けられ、ブーム10は、ベースブーム筒11が初段(1段目)を構成し、かつ、5つの可動ブーム筒12が2段目~6段目(最終段)を構成する6段のブーム10である。ここで、可動ブーム筒12の中で、2段目を可動ブーム筒12Aとし、最終段(
図1乃至
図3の一例では6段目)を可動ブーム筒12Bとする。ベースブーム筒11は、ブーム10が後方端を形成し、旋回体3には、ベースブーム筒11の後方端部が連結される。そして、ベースブーム筒11は、旋回体3からブーム10の前方側へ向かって延設される。また、ブーム10の前方端は、最終段の可動ブーム筒12Bが形成する。
【0016】
ブーム10では、ベースブーム筒11が最も外周側に配置され、可動ブーム筒12Bが最も内周側に配置される。そして、ベースブーム筒11及び可動ブーム筒12の中では、段番が大きいほど、すなわち、上段になるほど、ブーム10の内周側に位置する。また、ベースブーム筒11及び可動ブーム筒12の前方端の中では、ベースブーム筒11の前方端が最もブーム10の後方側に位置し、可動ブーム筒12Bの前方端が最もブーム10の前方側に位置する。そして、ベースブーム筒11及び可動ブーム筒12の中では、段番が大きいほど、すなわち、上段になるほど、前方端がブーム10の前方側に位置する。
【0017】
また、可動ブーム筒12のそれぞれは、ブーム10の長手方向に沿って移動可能である。可動ブーム筒12のそれぞれは、1段下段のブーム筒に対して、すなわち、最終段を除く可動ブーム筒12及びベースブーム筒11の対応する1つに対して、ブーム10の前方側へ突出する。可動ブーム筒12のそれぞれは、長手方向に沿って移動することにより、1段下段のブーム筒からのブーム10の前方側への突出量が変化する。例えば、2段目の可動ブーム筒12Aは、長手方向に沿って移動することにより、ベースブーム筒11からのブーム10の前方側への突出量が変化する。可動ブーム筒12のいずれかが長手方向に沿って移動することにより、ブーム10は伸長又は収縮する。
【0018】
図1等に示すように、旋回体3には、ウインチ21,25が設置される。ウインチ(主巻ウインチ)21には、ロープ(主巻ロープ)22が巻回され、ウインチ(補巻ウインチ)25には、ロープ(補巻ロープ)26が巻回される。クレーン1では、ウインチ21から繰り出されたロープ22を、ブーム10の起きる側の外表面に沿ってブーム10の前方端部(可動ブーム筒12Bの前方端部)まで延設させ、ブーム10の前方端部からロープ22を介してフック(メインフック)23を吊下げ可能である。また、クレーン1では、ウインチ25から繰り出されたロープ26を、ブーム10の起きる側の外表面に沿ってブーム10の前方端部(可動ブーム筒12Bの前方端部)まで延設させ、ブーム10の前方端部からロープ26を介してフック(サブフック)27を吊下げ可能である。
【0019】
また、走行車体2の運転室5では、運転室5の内部空間に対して走行車体2の前方側に位置する部位に、係合片28が形成される。ブーム10の前方側(旋回体3の前方側)が走行車体2の前方側と一致又は略一致し、かつ、ブーム10を旋回体3に対して伏せた状態では、ブーム10の前方端部から吊下げられたフック23,27を運転室5の係合片28に引掛け可能である。フック23,27が運転室5の係合片28に引掛けられた状態では、フック23,27は、運転室5に対して走行車体2の前方側に位置する。また、ブーム10が最も収縮した状態から2段目の可動ブーム筒12Aをブーム10の前方側に僅かに移動させ、最も収縮した状態からブーム10が僅かに伸長した状態で、フック23,27は、係合片28に引掛けられる。
【0020】
図1乃至
図3等に示すように、ブーム10のベースブーム筒11には、受け部材15が取外し可能に取付けられる。受け部材15は、ベースブーム筒11の前方端部に取付けられ、ブーム10の伏せる側からブーム10に対向する状態で取付けられる。また、ベースブーム筒11に受け部材15が取付けられた状態では、受け部材15は、ブーム10の長手方向について、ベースブーム筒11及び2段目の可動ブーム筒12Aに跨って配置される。したがって、受け部材15は、ブーム10が伏せる側からベースブーム筒11及び可動ブーム筒12Aに隣接する状態で、ベースブーム筒11に取付けられる。
【0021】
図4乃至
図6は、受け部材15を示し、
図4では、受け部材15に加えてベースブーム筒11への受け部材15の取付け構造が示される。
図4乃至
図6に示すように、受け部材15では、長さ方向(矢印X3及び矢印X4で示す方向)、長さ方向に交差する(垂直又は略垂直な)幅方向(矢印W3及び矢印W4で示す方向)、及び、長さ方向及び幅方向の両方に交差する高さ方向(矢印Y3及び矢印Y4で示す方向)が、規定される。受け部材15がベースブーム筒11に取付けられた状態では、受け部材15の長さ方向がブーム10の長手方向と一致又は略一致し、受け部材15の幅方向がブーム10の幅方向と一致又は略一致する。そして、受け部材15がベースブーム筒11に取付けられた状態では、受け部材15の高さ方向がブーム10の起伏方向と一致又は略一致する。なお、
図4及び
図5は、斜視図であり、
図4及び
図5では、受け部材15を視る方向が互いに対して異なる。また、
図6では、受け部材15は、長さ方向の一方側から視た状態で示される。
【0022】
受け部材15は、基板30を備え、基板30は、底板部31と一対の側板部32A,32Bを備える。底板部31の板幅方向は、受け部材15の幅方向と一致又は略一致し、底板部31の板厚方向は、受け部材15の高さ方向と一致又は略一致する。底板部31では、受け部材15の幅方向について一方側の端に、側板部(第1の側板部)32Aが接続される。そして、基板30では、受け部材15の幅方向について一方側の縁(端)が、側板部32Aによって形成される。また、底板部31では、受け部材15の幅方向について側板部32Aとは反対側の端に、側板部(第2の側板部)32Bが接続される。そして、基板30では、受け部材15の幅方向について側板部32Aとは反対側の縁(端)が、側板部32Bによって形成される。
【0023】
側板部32A,32Bのそれぞれは、受け部材15の高さ方向の一方側(矢印Y3側)へ、底板部31に対して折曲がる。側板部32Bは、受け部材15の高さ方向について、側板部32Aと同一の側へ、底板部31に対して折曲がる。側板部32A,32Bのそれぞれは、受け部材15の高さ方向及び幅方向に対して傾斜する状態で延設される。側板部32A,32Bのそれぞれでは、受け部材15の幅方向について外側の部位ほど、受け部材15の高さ方向について底板部31から離れる。
【0024】
また、基板30は、板面33,35を備える。板面(第1の板面)33及び板面(第2の板面)35は、互いに対して反対側を向く。板面33,35のそれぞれは、受け部材15の幅方向について、側板部32A側の縁から側板部32B側の縁に渡って延設される。このため、板面33,35のそれぞれは、底板部31を通って、側板部32Aから側板部32Bに渡って延設される。底板部31では、板面33,35は、受け部材15の高さ方向に対して垂直又は略垂直である。受け部材15は、ブーム10が位置する側を板面33が向く状態で、ベースブーム筒11に取付けられる。したがって、受け部材15は、ブーム10が起きる側を板面33が向き、かつ、側板部32A,32Bのそれぞれが底板部31に対してブーム10が起きる側へ折曲がる状態で、ベースブーム筒11に取付けられる。
【0025】
また、基板30の板面(第1の板面)33には、リブ41A,41B,42が形成される。リブ41A,41B,42のそれぞれは、板面33が向く側へ突出する。受け部材15がベースブーム筒11に取付けられた状態では、リブ41A,41B,42のそれぞれは、板面33からブーム10が起きる側へ突出する。リブ41A,41Bは、受け部材15の長さ方向について、互いに対してずれていない又はほとんどずれていない。ただし、リブ41A,41Bは、受け部材15の幅方向について、互いに対して離れて配置される。リブ41Aは、底板部31において側板部32Aが位置する側の端部、及び、側板部32Aに渡って形成される。そして、基板30では、リブ41Aは、受け部材15の幅方向について、側板部32A側の縁(端)まで延設される。また、リブ41Bは、底板部31において側板部32Bが位置する側の端部、及び、側板部32Bに渡って形成される。そして、基板30では、リブ41Bは、受け部材15の幅方向について、側板部32B側の縁(端)まで延設される。
【0026】
リブ42は、受け部材15の長さ方向について、リブ41A,41Bから離れて配置される。受け部材15は、リブ42がリブ41A,41Bに対してブーム10の後方側に位置する状態で、ベースブーム筒11に取付けられる。基板30では、リブ42は、受け部材15の幅方向について、側板部32A側の縁から側板部32B側の縁に渡って延設される。したがって、リブ42は、受け部材15の幅方向について基板30の全幅に渡って形成される全幅リブとなる。
【0027】
図2乃至
図4等に示すように、受け部材15は、連結ピン43A,43Bを介して、ブーム10のベースブーム筒11に取付けられる。また、ベースブーム筒11の前方端部には、二対のブラケット45A,45B,46A,46Bが設けられる。一対のブラケット45A,45Bは、ブーム10の長手方向について、互いに対してずれていない又はほとんどずれていない。また、ブラケット45A,45Bは、ブーム10の幅方向について、互いに対して離れて配置される。一対のブラケット46A,46Bは、ブーム10の長手方向について、互いに対してずれていない又はほとんどずれていない。また、ブラケット46A,46Bは、ブーム10の幅方向について、互いに対して離れて配置される。また、ブラケット46A,46Bは、ブラケット45A,45Bに対して、ブーム10の後方側に配置される。
【0028】
受け部材15がベースブーム筒11に取付けられた状態では、連結ピン43Aは、ブーム10の前方側から、リブ41A、リブ42、ブラケット45A、ブラケット46A及びワッシャー48Aの順に挿通される。そして、抜止めピン47Aによって、連結ピン43Aのリブ41A,42及びブラケット45A,46Aからの抜けが、防止される。また、受け部材15がベースブーム筒11に取付けられた状態では、連結ピン43Bは、ブーム10の前方側から、リブ41B、リブ42、ブラケット45B、ブラケット46B及びワッシャー48Bの順に挿通される。そして、抜止めピン47Bによって、連結ピン43Bのリブ41B,42及びブラケット45B,46Bからの抜けが、防止される。
【0029】
また、ブラケット45A,45Bの一方、及び、ブラケット46A,46Bの一方のそれぞれでは、連結ピン(43A,43Bの対応する一方)が挿通される孔が、ブーム10の幅方向についての寸法が大きいバカ孔(長孔)に形成される。ある一例では、ブラケット45A,46Aのそれぞれにおいて、連結ピン43Aが挿通される孔が、ブーム10の幅方向についての寸法が大きいバカ孔に形成される。これにより、受け部材15のベースブーム筒11への取付けにおいて、受け部材15及びブラケット45A,45B,46A,46B等の寸法公差が、吸収される。
【0030】
図5及び
図6等に示すように、受け部材15では、基板30の板面(第2の板面)35に、取手51A,51Bが設置される。取手51A,51Bは、受け部材15の長さ方向について、互いに対してずれていない又はほとんどずれていない。また、取手51A,51Bは、受け部材15の幅方向について、互いに対して離れて配置される。
図5及び
図6等の一例では、底板部31に取手51A,51Bが設置される。そして、受け部材15がベースブーム筒11に取付けられた状態では、取手51A,51Bは、基板30の板面35から、ブーム10とは反対側(ブーム10が伏せる側)へ突出する。
【0031】
また、リブ(全幅リブ)42には、孔52A,52Bが形成される。孔52A,52Bのそれぞれは、受け部材15の長さ方向について、リブ42を貫通する。また、孔52A,52Bは、受け部材15の幅方向について、互いに対して離れて配置される。孔52Aは、受け部材15の幅方向について、底板部31と側板部32Aとの境界部分に形成される。そして、孔52Bは、受け部材15の幅方向について、底板部31と側板部32Bとの境界部分に形成される。また、孔52A,52Bのそれぞれは、受け部材15の高さ方向について、リブ42が突出する側(リブ41A,41Bが突出する側)から、基板30の板面(第1の板面)33に隣接する。このため、孔52A,52Bのそれぞれの縁の一部は、板面33によって形成される。
【0032】
ここで、クレーン1では、作業現場内を移動する走行時において、走行車体2に旋回体3を設置し、かつ、ブーム10を旋回体3に連結した状態で、クレーン1を走行させることがある。この場合、ブーム10の前方側(旋回体3の前方側)を走行車体2の前方側と一致又は略一致させ、かつ、ブーム10を旋回体3に対して伏せた状態でクレーン1を走行させる。また、クレーン1の走行時においては、通常は、ブーム10を最も収縮した状態にする。ただし、状況等によっては、
図1等に示すように、ブーム10が最も収縮した状態から2段目の可動ブーム筒12Aをブーム10の前方側に僅かに移動させ、最も収縮した状態からブーム10が僅かに伸長した状態で、クレーン1を走行させることがある。この場合、フック23,27を運転室5の係合片28に引掛けた状態で、クレーン1を走行させる。
【0033】
本実施形態では、受け部材15は、ベースブーム筒11の前方端部に取外し可能に取付けられる。そして、受け部材15は、ブーム10が伏せる側からベースブーム筒11及び可動ブーム筒12Aに隣接する状態で、ベースブーム筒11に取付けられる。このため、前述のように最も収縮した状態からブーム10が僅かに伸長した状態でクレーン1を走行させても、ブーム10(2段目の可動ブーム筒12A)から垂れたグリースが、受け部材15の基板30で受けられる。これにより、ブーム10(可動ブーム筒12A)から垂れたグリースの走行車体2(運転室5)及び地面への付着が、有効に防止される。走行車体2の運転室5のフロントウィンド等へのグリースの付着が防止されることにより、クレーン1の走行時等において、運転手の視界が適切に確保される。
【0034】
また、本実施形態では、受け部材15がブーム10に取付けられる。このため、走行車体2の前後方向の寸法(走行車体2の車長)等に関係なく、ブーム10(可動ブーム筒12A)から垂れたグリースが、受け部材15の基板30で受けられる。また、受け部材15が取付けられるブーム10は、旋回体3と一緒に走行車体2に対して旋回する。このため、クレーン1の走行時等から、すなわち、ブーム10の前方側(旋回体3の前方側)が走行車体2の前方側と一致する状態から旋回体3を旋回させても、ブーム10(可動ブーム筒12A)から垂れたグリースが、受け部材15の基板30で受けられる。このため、クレーン1の走行時等から旋回体3が旋回した状態でも、ブーム10(可動ブーム筒12A)から垂れたグリースの走行車体2及び地面への付着が、有効に防止される。
【0035】
また、本実施形態では、連結ピン43A,43B及び抜止めピン47A,47Bを用いて、受け部材15が前述のようにベースブーム筒11に取付けられる。したがって、工具等を用いることなく、受け部材15がベースブーム筒11に容易に取付けられる。また、本実施形態では、受け部材15は、ベースブーム筒11から取外し可能である。このため、受け部材15のメンテナンスを行い易い。さらに、本実施形態では、受け部材15の基板30の板面(第2の板面)35に、取手51A,51Bが設置される。このため、受け部材15のベースブーム筒11への取付け作業、及び、ベースブーム筒11からの受け部材15の取外し作業を、さらに行い易くなる。また、取手51A,51Bが設けられることにより、受け部材15の運搬作業も、行い易くなる。
【0036】
また、本実施形態では、受け部材15の基板30において、側板部32A,32Bのそれぞれは、受け部材15の高さ方向の一方側(矢印Y3側)へ、底板部31に対して折曲がる。そして、基板30の板面(第1の板面)33では、リブ41A,41B,42が、板面33が向く側へ突出する。前述のように受け部材15が形成されるため、受け部材15が重量化することなく、受け部材15の強度及び剛性が確保される。また、リブ(全幅リブ)42は、受け部材15の幅方向について、基板30の全幅に渡って形成される。このため、受け部材15の強度及び剛性がさらに向上する。
【0037】
また、本実施形態では、リブ42を貫通する孔52A,52Bが形成される。雨が降っている状態等では、受け部材15の基板30の板面33において、孔52A,52Bのそれぞれを水が通過可能である。このため、受け部材15にリブ42を設けても、雨が降っている状態等において、基板30の板面33に水が溜まることが、有効に防止される。なお、グリースは、水に比べて粘度が高い。このため、受け部材15の基板30で受けられたグリースが地面等へ垂れることが、有効に防止される。
【0038】
(変形例)
なお、受け部材15の形状等は、前述の実施形態等の形状等に限るものではない。ただし、いずれの場合も、受け部材15は、ベースブーム筒11の前方端部に、取外し可能に取付けられる。そして、受け部材15は、ブーム10が伏せる側からベースブーム筒11及び2段目の可動ブーム筒12Aに隣接する状態で、ベースブーム筒11に取付けられる。
【0039】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。
【符号の説明】
【0040】
1…クレーン、2…走行車体、3…旋回体、5…運転室、10…ブーム、11…ベースブーム筒、12,12A,12B…可動ブーム筒、15…受け部材、30…基板、33…板面(第1の板面)、35…板面(第2の板面)、41A,41B,42…リブ、51A,51B…取手、52A,52B…孔。