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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】措置工法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/94 20060101AFI20240827BHJP
   F16L 5/04 20060101ALI20240827BHJP
   F16L 5/02 20060101ALI20240827BHJP
   F16L 5/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
E04B1/94 F
E04B1/94 L
F16L5/04
F16L5/02 C
F16L5/00 X
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020158675
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2022052339
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2023-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】龍田 佳招
【審査官】坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-189954(JP,A)
【文献】特開2014-007892(JP,A)
【文献】特開2014-007893(JP,A)
【文献】特開2012-037036(JP,A)
【文献】特許第6196552(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2018/0306352(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62-1/99
F16L 5/00ー5/04
H02G 3/22-3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の区画体に区画貫通孔が形成され、該区画貫通孔に長尺体が挿通される区画貫通構造を、挿入方向手前側に位置する第1部位と挿入方向奥側に位置する第2部位とを有する閉塞部材で閉じるための措置工法であって、
前記区画体の一方側から前記閉塞部材の全体前記区画貫通孔に挿入して前記第1部位を前記区画貫通孔の内周面に当接させずに前記長尺体の外周面に当接させるとともに、前記第2部位を前記第1部位よりも挿入方向奥側の位置で前記区画貫通孔の内周面に当接させることで、該区画体の前記区画貫通孔の内周面と前記長尺体の外周面との間を閉じて前記閉塞部材の前記第2部位の挿入方向手前側に空間を形成する閉じ工程と、
前記閉じ工程で閉じられて形成された前記空間内に前記区画体の一方側から充填材を充填する充填工程と、
を備えていることを特徴とする措置工法。
【請求項2】
前記閉塞部材の挿入方向手前側端部を前記区画貫通孔の挿入方向手前側端部よりも挿入方向奥側に配置させることを特徴とする請求項に記載の措置工法。
【請求項3】
前記充填工程では、前記空間内において、挿入方向奥側から前記閉塞部材の挿入方向手前側端部を挿入方向手前側に越えて、前記長尺体の外周面のうちの前記閉塞部材の挿入方向手前側端部よりも手前側部分の外周面に接触するように前記充填材を充填することを特徴とする請求項1または2に記載の措置工法。
【請求項4】
前記閉じ工程では、前記第2部位は、挿入方向に凹む凹形状で該凹形状の傾斜した先端部が前記区画貫通孔の内周面に当接し、前記充填工程では、前記空間内において、挿入方向奥側から前記先端部を挿入方向手前側に越えて、前記区画貫通孔の内周面における前記先端部よりも挿入方向手前側の部分の内周面に接触するように前記充填材を充填することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の措置工法。
【請求項5】
前記閉塞部材は、前記長尺体に外装可能で、かつ、前記区画貫通孔内に挿入可能で前記第1部位を含むスリーブと、該スリーブの外周面に径外方向に突設され該スリーブの前記区画貫通孔へ挿入する時に該区画貫通孔の内周面との当接により変形可能に構成されて前記第2部位を含むシール材とを備え、
前記スリーブを前記区画貫通孔内に挿入することにより、前記閉じ工程が完了することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の措置工法。
【請求項6】
前記スリーブは、複数の部材を備え、該複数の部材は、互いに係止により一体化されることで前記長尺体に外装されることを特徴とする請求項に記載の措置工法。
【請求項7】
前記閉じ工程は、前記長尺体に外装された前記スリーブを前記区画貫通孔内に押し込むことで前記区画貫通孔の内周面と前記長尺体の外周面との間を前記シール材で閉じる工程であることを特徴とする請求項5または6に記載の措置工法。
【請求項8】
前記区画体の一方側から前記長尺体の外周面に熱膨張材を配置する配置工程を備えていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の措置工法
【請求項9】
前記熱膨張材は、前記スリーブに設けられていることを特徴とする請求項5または6または7を引用する請求項8に記載の措置工法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の仕切り部に設けられる床や壁等の区画体に区画貫通孔が形成され、該区画貫通孔に長尺体が挿通される区画貫通構造を閉じるための措置工法に関する。
【0002】
従来から、前記区画体を貫通する区画貫通孔に配管を挿通した後、区画貫通孔と長尺体である配管との間の隙間を埋める作業を行っている。
【0003】
例えば、床に貫通形成された区画貫通孔に挿通された配管と該区画貫通孔との隙間をモルタルで埋める場合には、まず、床面側の階上に対して下側の階下で区画貫通孔の下端の開口を穴埋め工事材で閉じる。下端の開口を閉じた後は、床面側の階上へ移動して区画貫通孔の上端の開口からモルタルを区画貫通孔内に充填して配管と区画貫通孔との隙間を埋める(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-131487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、階下で区画貫通孔の下端の開口を閉じる作業を行ってから、階上に移動してモルタルの充填作業を行わなければならず、作業が面倒であった。因みに、同一階において壁で仕切られている場合も、隣り合う一方側で区画貫通孔の一端の開口を閉じてから、隣り合う他方側に移動して区画貫通孔の他端の開口からモルタルを充填することになるため、前述した同様の不都合が発生する。
【0006】
本発明は前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、長尺体と区画貫通孔との隙間を埋める作業を容易に行える措置工法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の措置工法は、前述の課題解決のために、建築物の区画体に区画貫通孔が形成され、該区画貫通孔に長尺体が挿通される区画貫通構造を閉じるための措置工法であって、前記区画体の一方側から閉塞部材を挿入して該区画体の前記区画貫通孔の内周面と前記長尺体の外周面との間を閉じる閉じ工程と、前記閉じ工程で閉じられて形成された空間内に前記区画体の一方側から充填材を充填する充填工程と、を備えていることを特徴としている。
【0008】
本発明によれば、区画体の一方側から区画貫通孔へ閉塞部材を挿入することによって、区画貫通孔の内周面と長尺体の外周面との間を閉じることができる(閉じ工程)。この閉じ工程で閉じられて形成された空間内(区画貫通孔内)に区画体の一方側から充填材を充填する(充填工程)。したがって、区画貫通孔を閉じる作業と区画貫通孔内へ充填材を充填する作業とを同一側で行うことができる。
【0009】
又、本発明の措置工法は、前記区画体の一方側から前記長尺体の外周面に熱膨張材を配置する配置工程を備えていてもよい。
【0010】
上記のように、配置工程により区画体の一方側から長尺体の外周面に熱膨張材を配置することによって、熱膨張材が火炎等の熱により膨張して、長尺体の外周面に沿って区画貫通孔の一方側で発生した火炎が区画貫通孔の他方側へ移動することを防止することができる。
【0011】
又、本発明の措置工法は、前記閉塞部材が、前記長尺体に外装可能で、かつ、前記区画貫通孔内に挿入可能なスリーブと、該スリーブの外周面に径外方向に突設され該スリーブの前記区画貫通孔へ挿入する時に該区画貫通孔の内周面との当接により変形可能に構成されたシール材と、を備え、前記スリーブを前記区画貫通孔内に挿入することにより、前記閉じ工程及び前記配置工程が完了する構成であってもよい。
【0012】
上記のように、変形可能に構成されたシール材を備えるスリーブを区画貫通孔内に挿入すると、区画貫通孔の内周面との当接によりシール材が変形することで、区画貫通孔を閉じることができるとともに、スリーブに設けられた熱膨張材が長尺体の外周面に配置される。したがって、スリーブを区画貫通孔に挿入することによって、閉じ工程及び配置工程が完了する。
【0013】
又、本発明の措置工法は、前記熱膨張材が、前記スリーブに設けられていてもよい。
【0014】
上記のように、熱膨張材が、スリーブに設けられていれば、スリーブを区画貫通孔へ挿入することにより、長尺体に熱膨張材を配置できる。
【0015】
又、本発明の措置工法は、前記スリーブが、複数の部材を備え、該複数の部材は、互いに係止により一体化されることで前記長尺体に外装されてもよい。
【0016】
上記のように、複数の部材を互いに係止することにより一体化されたスリーブが長尺体に外装される。
【0017】
又、本発明の措置工法は、前記閉じ工程が、前記長尺体に外装された前記スリーブを前記区画貫通孔内に押し込むことで前記区画貫通孔の内周面と前記長尺体の外周面との間を前記シール材で閉じる工程であってもよい。
【0018】
上記のように、長尺体に外装されたスリーブを区画貫通孔内に押し込むことによって、区画貫通孔の内周面と長尺体の外周面との間をシール材で閉じる閉じ工程を完了することができる。
【0019】
又、本発明の措置工法は、前記スリーブの挿入方向手前側端部を前記区画貫通孔の手前側端部よりも挿入方向後端側に配置させてもよい。
【0020】
上記のように、スリーブの挿入方向手前側端部を区画貫通孔の手前側端部よりも挿入方向後端側に配置することによって、区画貫通孔と長尺体との間を充填材のみが密着して存在する部分を、スリーブの挿入方向手前側端部と区画貫通孔のスリーブの挿入方向手前側端部との間に形成することで確実に止水を行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、区画貫通孔を閉じる作業と区画貫通孔内へ充填材を充填する作業とを同一側で行うことができるので、長尺体と区画貫通孔との隙間を埋める作業を容易に行える措置工法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の措置工法に用いる措置具の斜視図である。
図2】区画体である床に区画貫通孔が形成され、形成された区画貫通孔に配管が挿通された区画貫通構造示す縦断面図である。
図3】配管に外装したシール材付きスリーブを区画貫通孔へ押し込む直前の状態を示す縦断面図である。
図4】シール材付きスリーブを区画貫通孔内の所定の設置位置に位置した状態を示す縦断面図である。
図5】区画貫通孔への充填材の充填が完了した状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の区画貫通構造に措置(この実施形態では耐火措置)を施すための措置工法(耐火措置工法)の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
区画貫通構造では、区画体である床又は壁に区画貫通孔が形成され、区画貫通孔に長尺体である配管が挿通される。前記挿通された配管と区画貫通孔との間には、隙間が発生しており、この隙間を埋める措置工法による作業が行われる。その措置工法に使用される措置具が、図1に示されている。この実施形態では、床を例に挙げて説明する。
【0025】
措置具は、区画体(床3)の一方側から区画貫通孔4内に挿入する閉塞部材1を備えている。この閉塞部材1は、図1及び図3に示すように、配管2に外装可能で、かつ、床3に形成された区画貫通孔4内に挿入可能なスリーブ5と、スリーブ5の外周面5Aに径外方向に突設されスリーブ5の区画貫通孔4へ挿入する時に区画貫通孔4の内周面4Aとの当接により変形可能に構成されたシール材6と、スリーブ5に設けられた熱膨張材7と、を備えている。前記配管2としては、給湯管、給水管、排水管、電線管、冷媒管等が挙げられる。
【0026】
シール材6は、区画貫通孔4の径よりも大きな外径を有しているため、スリーブ5を区画貫通孔4へ挿入した時に区画貫通孔4の内周面4Aとの当接により変形する。これにより区画貫通孔4の内周面4Aと配管2の外周面2Aとの間を閉じることで区画貫通孔4内に空間S(図4参照)が形成される。この空間S内に充填材8を充填する。シール材6は、例えば、スポンジ、柔らかいゴム、発泡ポリウレタン等発泡材などの復元可能で変形可能な弾性部材から構成されている。
【0027】
また、シール材6は、断面形状が矩形状でかつ平面視において2つの半割りのリング体6A,6Aからなり、後述する半割り部材5B,5Bに両面テープや接着剤等によりリング体6A,6Aが固定され、後述する半割り部材5B,5Bの両端部同士が係止されて円筒状になったときにリング体6A,6Aが途切れの無い円環状のシール材6を構成する。
【0028】
スリーブ5は、軸方向一端部(図2では下端部)が挿入方向の先端側で、かつ、軸方向他端部(図1では上端部)が挿入方向後端側となる向きで区画貫通孔4に挿入可能に構成されている。また、スリーブ5は、合成樹脂(金属でもよい)で構成され、平面視において半円状で同一構成の2つの半割り部材5B,5Bを一体化することにより、配管2に外装可能に構成されている。各半割り部材5Bの周方向一端部には、例えば被係止部(図示せず)を備え、周方向他端部には、被係止部に係止及び係止解除可能な係止部(図示せず)が形成されている。したがって、一方の半割り部材5Bの一端部の被係止部にこれに対向する他方の半割り部材5Bの他端部の係止部を係止し、かつ、一方の半割り部材5Bの他端部の係止部をこれに対向する他方の半割り部材5Bの一端部の被係止部に係止することによって、円筒状のスリーブ5を構成することができる。
【0029】
熱膨張材7は、2つの半割り部材5B,5Bの内面のそれぞれに設けられ、各半割り部材5Bの周方向全域に亘る周方向の寸法を有し、各半割り部材5Bの上下端からはみ出すことがないように各半割り部材5Bの上下寸法よりも少し小さな寸法を有している。また、熱膨張材7は、配管2の外周面に配置されるようにスリーブ5の内部に(奥まって)配置され、かつ、区画貫通孔4へスリーブ5内におけるシール材6に径方向において一部が重複した状態でスリーブ5の挿入方向手前側に向かって配置されている。このように、熱膨張材7を配置することによって、図5に示すように、熱膨張材7の充填材受け部(シール材6)よりもスリーブ5の挿入方向手前側(後端側)の部分において、熱膨張材7が火災等の熱により膨張した時に、熱膨張材7が外側に広がることを充填材8で抑制できるので、熱膨張材7が内側に膨張しやすくなって、配管2とスリーブ5との隙間を確実に塞ぐことができる。
【0030】
また、熱膨張材7は、熱膨張性(加熱により体積が増加する性質)と耐火性(熱に耐えやすい性質、溶融温度が高く燃えにくい性質)とを有する部材である。熱膨張材7としては、公知の材質のものを特に制限なく用いることができ、例えばパテ状部材(熱膨張性パテ状耐火材)を用いることができる。また、熱膨張材7は、例えば所定温度(例えば200℃)以上に加熱された際に、その厚み方向に膨張して図5に示す配管2の外周面2Aとスリーブ5の内周面5Cとの間の隙間を埋めることで区画貫通孔4の一方側で発生した火炎が区画貫通孔4の他方側へ移動することを防止する。
【0031】
上記のように構成されたシール材6及び熱膨張材7を備えたスリーブ5を用いて配管2と区画貫通孔4との間の隙間を埋めるための措置工法について説明する。
【0032】
まず、床面3Aのある階上において先に施工されて区画貫通孔4から上方に突出している配管2に(図2参照)、区画貫通孔4の近くにおいて、配管2の側方(径方向外側)からシール材6及び熱膨張材7を備えたスリーブ5をそれぞれ被せながら両端部同士を前述のように係止することで外装させる(図3参照)。外装後に、スリーブ5を持って下方へ(図3の矢印方向へ)押すことにより、スリーブ5を区画貫通孔4内へ押し込む。この時、スリーブ5に備えるシール材6が区画貫通孔4の内周面4Aと当接することによって、シール材6が凹状に変形し、その先端部が区画貫通孔4の内周面4Aに密着しながら、スリーブ5と共に区画貫通孔4内へ入り込んでいく(図4参照)。したがって、シール材6が区画貫通孔4内へ入り込んでいく際に、区画貫通孔4の内周面4Aと配管2の外周面2Aおよびスリーブ5との間をシール材6で閉じることで、区画貫通孔4の内周面4Aと配管2の外周面2Aとの間をシールする(閉じる)ことができる。そして、区画貫通孔4の上端からスリーブ5の上端までの距離が予め設定されている距離になったことを目測又は計器による計測等により確認すると、スリーブ5が区画貫通孔4内の所定の設置位置に位置したと判断する。この設置位置は、スリーブ5の挿入方向手前側端部を区画貫通孔3の手前側端部よりも挿入方向後端側(挿入方向奥側)に配置した位置である。このように、スリーブ5の挿入方向手前側端部を区画貫通孔3の手前側端部よりも挿入方向後端側(挿入方向奥側)に配置することによって、区画貫通孔4と配管2との間を充填材8のみが密着して存在する部分を、スリーブ5の挿入方向手前側端部と区画貫通孔3のスリーブの挿入方向手前側端部との間に形成することで確実に止水を行うことができる。スリーブ5を前記設置位置に位置した時、シール材6が区画貫通孔4を閉じた状態となり、スリーブ5の押し込み作業が完了する。この押し込み作業が完了することによって、区画貫通孔4の内周面4Aと配管2の外周面2Aとの間を閉じる閉じ工程と、配管2の外周面2Aに区画体(床3)の一方側、つまり床面3A側から熱膨張材7を配置する配置工程とを完了することができる。完了後は、充填材が詰まったカートリッジ式のチューブ体H(図5参照)から充填材8をスリーブ5を挿入した同一側、つまり床面3A側から区画貫通孔4へ充填して充填作業が終了する(充填工程、図5参照)。前記設定位置は、図4では、スリーブ5を区画貫通孔4内の上下方向略中央部に位置させているが、スリーブ5の下端が区画貫通孔4の下端と同一レベルになる位置にスリーブ5を位置させてもよく、スリーブ5が区画貫通孔4内に位置していればどのような位置に設定してもよい。
【0033】
充填材8は、水系アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、シリコーン系等を用いる他、モルタルを用いてもよい。特に、粘度が汎用の建築用のシーリング材よりも低く、区画貫通孔4に充填しやすい流動性に優れたものを用いることによって、区画貫通孔4と配管2との隙間が小さい場合でも良好に充填できる利点がある。また、充填材8は、不燃、難燃、微燃、可燃等の材料から構成されていてもよい。
【0034】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0035】
前記実施形態では、2つの半割り部材の両端部を係止することで両者を一体化してスリーブ5を構成したが、3つ以上の任意の個数を互いに係止により一体化してスリーブ5を構成してもよいし、また2つの部材を一端部同士を軸により互いに回転可能に連結し、2つの部材の他端部に、係止及び係止解除可能な被係止部及び係止部を備えて実施してもよい。また、面ファスナーや両面テープを用いて複数の部材を一体化してもよい。また、配管に外装できるように、一端が開放可能に弾性体で構成された円環状の部材、又は可撓性のある平板材や波形材などからスリーブを構成してもよい。
【0036】
また、前記実施形態では、床を例に挙げたが、壁を例に挙げてもよい。尚、壁の場合には、区画貫通孔の両端にそれぞれ、壁面が存在する。
【0037】
また、前記実施形態では、区画貫通孔4が平面視において丸いものであったが、平面視において矩形状のものであってもよい。このとき、鍔部6の形状も平面視において矩形状とする。
【0038】
また、前記実施形態では、熱膨張材7を、区画貫通孔4へスリーブ5内におけるシール材6に径方向において一部が重複した状態でスリーブ5の挿入方向手前側に向かって配置したが、区画貫通孔4へスリーブ5内におけるシール材6に径方向において一部が重複しないように、シール材6よりもスリーブ5の挿入方向手前側(終端側)に熱膨張材7を配置してもよい。
【0039】
また、前記実施形態では、熱膨張材7をスリーブ5の内面に取り付けたが、熱膨張材7をスリーブ5に内蔵してもよいし、熱膨張材を含んだ材料、つまり熱膨張性の樹脂成型品でスリーブを形成してもよい。また、熱膨張材7をスリーブ5とは別に設けて、配管2の外周面2Aに区画体の一方側から熱膨張材7を巻き付けることで、配管2の外周面2Aに熱膨張材7を配置する配置工程を行ってから、区画体の一方側から区画貫通孔4へ閉塞部材1を挿入して区画貫通孔4の内周面4Aと配管2の外周面2Aとの間を閉じる閉じ工程を行うようにしてもよい。また、耐火措置の必要な場所に限られない。その場合は、熱膨張材7を省略した閉塞部材1であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…閉塞部材(措置材)、2…配管、2A…外周面、3…床(区画体)、3A…床面、4…区画貫通孔、4A…内周面、5…スリーブ、5A…外周面、5B…半割り部材、5C…内周面、6…シール材、6A…リング体、7…熱膨張材、8…充填材
図1
図2
図3
図4
図5