(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】倉庫管理システム及び倉庫管理方法
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
B65G1/137 A
(21)【出願番号】P 2020175997
(22)【出願日】2020-10-20
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】324001734
【氏名又は名称】ロジスティード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】近藤 昌晴
(72)【発明者】
【氏名】鴨志田 亮太
(72)【発明者】
【氏名】小牟田 治
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-154621(JP,A)
【文献】特開2000-233810(JP,A)
【文献】国際公開第2017/149695(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00 - 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送機器によって搬送される物品を識別して、複数の作業場所の1つを前記搬送機器による前記物品の搬送先の候補として決定する搬送先候補決定部と、
前記複数の作業場所の各々における作業の空き時間を計算する空き時間計算部と、
前記物品の搬送先を決定する搬送制御部と、を有する倉庫管理システムであって、
前記作業場所では、前記物品を棚に格納する作業が行われ、
前記搬送先候補決定部は、
物品の品目、個数及び配送先を対応付けるオーダー情報を保持し、
前記オーダー情報に基づいて、前記各品目の物品を前記各配送先に仕分けることが前記各配送先への仕分けの終了に寄与する度合を示す寄与率を計算し、
前記寄与率が大きい品目の物品が上位となるように入庫優先順を決定し、
前記入庫優先順が同一の品目の物品が同一の前記作業場所に搬送されるように、前記物品の搬送先の候補を決定し、
前記搬送制御部は、
前記空き時間計算部から取得した前記複数の作業場所のいずれかの前記作業の空き時間が所定の値を超える場合、当該作業の空き時間が所定の値を超える作業場所の1つを前記物品の搬送先として決定し、
前記複数の作業場所のいずれの前記作業の空き時間も前記所定の値を超えない場合、前記搬送先候補決定部から取得した前記物品の搬送先の候補を前記物品の搬送先として決定する
ことを特徴とする倉庫管理システム。
【請求項2】
搬送機器によって搬送される物品を識別して、複数の作業場所の1つを前記搬送機器による前記物品の搬送先の候補として決定する搬送先候補決定部と、
前記複数の作業場所の各々における作業の空き時間を計算する空き時間計算部と、
前記物品の搬送先を決定する搬送制御部と、を有する倉庫管理システムであって、
前記作業場所では、前記物品を棚に格納する作業が行われ、
前記搬送先候補決定部は、
物品の品目、個数及び配送先を対応付けるオーダー情報を保持し、
前記オーダー情報に基づいて、同一の配送先に配送される複数の品目の物品に同一の入庫優先順を決定し、
同一の配送先に配送されない複数の品目の物品にそれぞれ異なる前記入庫優先順を決定し、
前記入庫優先順が同一の物品が同一の前記作業場所に搬送されるように、前記物品の搬送先の候補を決定し、
前記搬送制御部は、
前記空き時間計算部から取得した前記複数の作業場所のいずれかの前記作業の空き時間が所定の値を超える場合、当該作業の空き時間が所定の値を超える作業場所の1つを前記物品の搬送先として決定し、
前記複数の作業場所のいずれの前記作業の空き時間も前記所定の値を超えない場合、前記搬送先候補決定部から取得した前記物品の搬送先の候補を前記物品の搬送先として決定する
ことを特徴とする倉庫管理システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の倉庫管理システムであって、
前記搬送制御部は、前記複数の作業場所のうち2以上の作業場所の前記作業の空き時間が前記所定の値を超える場合、前記作業の空き時間が最大となる作業場所を前記物品の搬送先として決定することを特徴とする倉庫管理システム。
【請求項4】
請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の倉庫管理システムであって、
前記搬送機器は、1以上の分岐を有するコンベアであり、
前記搬送先候補決定部は、前記搬送機器によって搬送され、かつ、前記1以上の分岐のうち最初の分岐に到達する前の前記物品を識別して、前記物品の搬送先の候補を決定することを特徴とする倉庫管理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の倉庫管理システムであって、
前記寄与率は、前記各配送先に仕分けされる全品目の全物品の量のうち、まだ仕分けされていない物品の量に対する、前記各配送先に仕分けされる各品目の物品の量の割合であり、
前記搬送先候補決定部は、
品目ごとに、複数の配送先に関する前記寄与率の平均値を計算し、
前記平均値が最大の品目の物品に第1の入庫優先順を決定し、
前記平均値が最大の品目の全物品の前記各配送先への仕分けが終了したと仮定した場合の残りの品目の物品について、前記寄与率の平均値を計算し、
前記残りの品目の物品について計算された前記寄与率の平均値が最大の品目の物品に前記第1の入庫優先順より下位の第2の入庫優先順を決定することを特徴とする倉庫管理システム。
【請求項6】
プロセッサと、記憶装置と、を有する倉庫管理システムが実行する倉庫管理方法であって、
前記プロセッサが、搬送機器によって搬送される物品の識別結果に基づいて、複数の作業場所の1つを前記搬送機器による前記物品の搬送先の候補として決定する搬送先候補決定手順と、
前記プロセッサが、前記物品の搬送先を決定する搬送制御手順と、を含み、
前記作業場所では、前記物品を棚に格納する作業が行われ、
前記記憶装置は、物品の品目、個数及び配送先を対応付けるオーダー情報を保持し、
前記搬送先候補決定手順において、前記プロセッサは、
前記オーダー情報に基づいて、前記各品目の物品を前記各配送先に仕分けることが前記各配送先への仕分けの終了に寄与する度合を示す寄与率を計算し、
前記寄与率が大きい品目の物品が上位となるように入庫優先順を決定し、
前記入庫優先順が同一の品目の物品が同一の前記作業場所に搬送されるように、前記物品の搬送先の候補を決定し、
前記搬送制御手順において、前記プロセッサは、
前記複数の作業場所のいずれかの作業の空き時間が所定の値を超える場合、当該作業の空き時間が所定の値を超える作業場所の1つを前記物品の搬送先として決定し、
前記複数の作業場所のいずれの前記作業の空き時間も前記所定の値を超えない場合、前記搬送先候補決定手順において決定された前記物品の搬送先の候補を前記物品の搬送先として決定する
ことを特徴とする倉庫管理方法。
【請求項7】
プロセッサと、記憶装置と、を有する倉庫管理システムが実行する倉庫管理方法であって、
前記プロセッサが、搬送機器によって搬送される物品の識別結果に基づいて、複数の作業場所の1つを前記搬送機器による前記物品の搬送先の候補として決定する搬送先候補決定手順と、
前記プロセッサが、前記物品の搬送先を決定する搬送制御手順と、を含み、
前記作業場所では、前記物品を棚に格納する作業が行われ、
前記記憶装置は、物品の品目、個数及び配送先を対応付けるオーダー情報を保持し、
前記搬送先候補決定手順において、前記プロセッサは、
前記オーダー情報に基づいて、同一の配送先に配送される複数の品目の物品に同一の入庫優先順を決定し、
同一の配送先に配送されない複数の品目の物品にそれぞれ異なる前記入庫優先順を決定し、前記入庫優先順が同一の物品が同一の前記作業場所に搬送されるように、前記物品の搬送先の候補を決定し、
前記搬送制御手順において、前記プロセッサは、
前記複数の作業場所のいずれかの作業の空き時間が所定の値を超える場合、当該作業の空き時間が所定の値を超える作業場所の1つを前記物品の搬送先として決定し、
前記複数の作業場所のいずれの前記作業の空き時間も前記所定の値を超えない場合、前記搬送先候補決定手順において決定された前記物品の搬送先の候補を前記物品の搬送先として決定する
ことを特徴とする倉庫管理方法。
【請求項8】
請求項6または請求項7のいずれか一項に記載の倉庫管理方法であって、
前記搬送制御手順において、前記プロセッサは、前記複数の作業場所のうち2以上の作業場所の前記作業の空き時間が前記所定の値を超える場合、前記作業の空き時間が最大となる作業場所を前記物品の搬送先として決定することを特徴とする倉庫管理方法。
【請求項9】
請求項6または請求項7のいずれか一項に記載の倉庫管理方法であって、
前記搬送機器は、1以上の分岐を有するコンベアであり、
前記搬送先候補決定手順において、前記プロセッサは、前記搬送機器によって搬送され、かつ、前記1以上の分岐のうち最初の分岐に到達する前の前記物品の識別結果に基づいて、前記物品の搬送先の候補を決定することを特徴とする倉庫管理方法。
【請求項10】
請求項6に記載の倉庫管理方法であって、
前記寄与率は、前記各配送先に仕分けされる全品目の全物品の量のうち、まだ仕分けされていない物品の量に対する、前記各配送先に仕分けされる各品目の物品の量の割合であり、
前記搬送先候補決定手順において、前記プロセッサは、
品目ごとに、複数の配送先に関する前記寄与率の平均値を計算し、
前記平均値が最大の品目の物品に第1の入庫優先順を決定し、
前記平均値が最大の品目の全物品の前記各配送先への仕分けが終了したと仮定した場合の残りの品目の物品について、前記寄与率の平均値を計算し、
前記残りの品目の物品について計算された前記寄与率の平均値が最大の品目の物品に前記第1の入庫優先順より下位の第2の入庫優先順を決定することを特徴とする倉庫管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、在庫保有型の倉庫及び工場に適用した管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
倉庫内または工場内では、作業者がオーダーに従って保管された物品を収集し、出荷先へと仕分ける作業、すなわちピッキング作業が行われる。従来、ピッキング作業の方法として、作業者が、物品を格納した棚が配置された倉庫内を歩行して、オーダーに対応する所定の物品を取り出す方法があった。
【0003】
これに対して、近年、作業者が歩行して物品を取り出すのではなく、作業者の元に自動搬送装置(搬送車)が棚を搬送し、作業者が搬送された棚から物品を取り出すピッキングシステムの運用が盛んである。特許文献1では物流倉庫において、搬送車を利用してピッキング作業者の場所へ対象物品または対象物品が格納されている棚を搬送することでピッキングを行う技術が開示されている。
【0004】
上記のようなピッキング作業の対象となる棚には、例えば倉庫に搬入された物品が予め格納されている。物品を棚に格納する方法として、例えば特許文献2に記載された方法がある。特許文献2には、「物品の品目、個数及び配送先を対応付けるオーダー情報を保持する記憶部と、前記オーダー情報から特定される、各配送先に配送される前記物品の品目及び量に基づいて、複数の品目の物品の入庫優先順を決定する入庫優先順計算部と、前記入庫優先順に基づいて前記物品を格納する指示を出力する入庫指示部と、を含むコントローラを有する」「前記入庫優先順計算部は、前記オーダー情報に基づいて、前記各品目の物品を前記各配送先に仕分けることが前記各配送先への仕分けの終了に寄与する度合を示す寄与率を計算し、前記寄与率に基づいて前記入庫優先順を決定する」と記載されている。
【0005】
また、作業ステーションの作業量を均一化する方法として、例えば特許文献3に記載された方法がある。特許文献3は、1つの容器群に属する複数の容器のうち最初にコンベア上の検出用位置を通過した先頭容器が容器検出装置で検出された際に、管理在庫数(保管されている容器数、または容器に収容されている物品数)が最も少ない保管装置を、検出された先頭容器の属する容器群の入庫先として決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第8805573号明細書
【文献】国際公開第2017/149695号
【文献】特開2015-42589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
自動搬送車が保管棚や仕分け棚を搬送して物品の入出庫を実施するピッキングシステムにおいて保管棚に在庫を入庫する入庫作業を複数の作業ステーションで行うときに、分岐を持つコンベアで在庫を各作業ステーションに搬送することがある。
【0008】
特許文献2は、ピッキングシステムの出庫生産性を向上させるため、各配送先に配送される物品の品目及び個数からまず各品目の物品を各配送先に仕分けることが各配送先への仕分けの終了に寄与する度合を示す寄与率を計算後、それに基づいてグループ分けし、異なるグループの物品の入庫先の保管棚を分離することで出庫効率を向上させる。しかし特許文献2では、作業ステーションへの搬送をコンベアで行う場合、同じグループの物品を連続してコンベアに投入することは困難であるため、同じグループの物品が同じ保管棚に入庫されるようにするためには、作業ステーションごとに入庫する物品のグループを予め決めておく等の対応が必要である。このとき、コンベアに投入される物品グループに偏りが生じると、作業ステーションの入庫作業量が偏り、入庫作業効率が低下するという課題がある。
【0009】
特許文献3には、作業ステーションの作業量を均一化する方法が記載されている。しかし、特許文献3に記載された方法は、入庫先の保管装置の容器数または物品数のみを見て容器群の物品の入庫先を選択するものであり、入庫作業量を均一化できても出庫生産性を考慮できていない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題の少なくとも一つを解決するために、本発明は、搬送機器によって搬送される物品を識別して、複数の作業場所の1つを前記搬送機器による前記物品の搬送先の候補として決定する搬送先候補決定部と、前記複数の作業場所の各々における作業の空き時間を計算する空き時間計算部と、前記物品の搬送先を決定する搬送制御部と、を有する倉庫管理システムであって、前記搬送制御部は、前記空き時間計算部から取得した前記複数の作業場所のいずれかの前記作業の空き時間が所定の値を超える場合、当該作業の空き時間が所定の値を超える作業場所の1つを前記物品の搬送先として決定し、前記複数の作業場所のいずれの前記作業の空き時間も前記所定の値を超えない場合、前記搬送先候補決定部から取得した前記物品の搬送先の候補を前記物品の搬送先として決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、入庫作業が一定時間以上実施されない作業ステーションを考慮しながら入庫をすることが可能となり、さらに入庫作業が一定時間以上実施されない作業ステーションが存在しないときは出庫生産性を考慮した指標による入庫をすることで出荷(出庫、検品等)までの作業効率の向上が可能となる。つまり、入出庫両方の作業効率の向上が可能となる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】本発明の実施例1における入庫方法を備えた物品入庫設備の概略図である。
【
図1B】本発明の実施例1における物品入庫設備の各部の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施例1において分岐制御部が搬送手段による物品の搬送先の作業ステーションを選択する処理を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の実施例2において搬送先決定部が仕分けの終了に寄与する度合を示す寄与率に基づく入庫優先順から物品を搬送する作業ステーションの候補を事前決定する処理を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の実施例2において搬送先決定部が物品を搬送する作業ステーションの候補を事前決定する処理の具体例の説明図である。
【
図5】本発明の実施例3において搬送先決定部が物品同士の同梱関係に基づく入庫優先順から事前決定する処理を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施例3において搬送先決定部が物品を搬送する作業ステーションの候補を事前決定する処理の具体例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施例について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0014】
図1Aは、本発明の実施例1における入庫方法を備えた物品入庫設備の概略図である。
【0015】
本実施例の物品入庫設備は搬送手段101、搬送先決定部102、入庫空き時間計算部103-1~103-L、分岐制御部104、及び、入庫空き時間計算部103-1~103-Lに対応する作業ステーション106-1~106-Lから構成される。なお、作業ステーション106-1~106-Lの添え字1~Lを以下の説明において作業ステーション番号と記載する場合がある。これは、入庫空き時間計算部103-1~103-Lの添え字1~Lと対応する。本実施例は、搬送手段101をコンベアとし、本発明によって選択された作業ステーション106への搬送をコンベアの分岐によって制御する例である。
【0016】
搬送手段101によって搬送中の物品105が搬送先決定部102の前を通過する際、搬送先決定部102は物品105の物品情報を取得し、当該物品情報から物品105を搬送する作業ステーション106の候補を決定する。
【0017】
なお、搬送手段101が1以上の分岐を有するコンベアである場合、搬送先決定部102は、当該コンベアによって搬送されている物品105が最初の分岐に到達する前に当該物品105の物品情報を取得できるように設置される。
【0018】
その後、搬送先決定部102は物品105を搬送する作業ステーションの候補を分岐制御部104に通知する。搬送先決定部102は物品105を搬送する作業ステーションの候補を決定する。このとき、搬送先決定部102は、作業開始前に物品と作業ステーションの候補とを決定しておいて作業開始後にそれを参照してもよいし、作業ステーションの候補を決定するタイミングでリアルタイムの計算で決定してもよい。
【0019】
入庫空き時間計算部103-1~103-Nは、それぞれ、作業ステーション106-1~106-Lの作業空き時間を計測する。作業ステーション106-j(ただし1≦j≦L)で入庫作業が実施されない間は入庫空き時間計算部103-jの時間が増加していき、作業ステーション106-jで入庫作業が実施されたタイミングで入庫空き時間計算部103-jの時間をゼロクリアする。すなわち、入庫空き時間計算部103-jが計測した作業空き時間は、対応する作業ステーション106-jにおいて最後に入庫作業が行われてから現在までの経過時間である。
【0020】
なお、以下の説明において作業ステーション106-1~106-Lのいずれにも共通する説明をする場合など、作業ステーション106-1~106-Lの任意のいずれかを指して「作業ステーション106」と記載する場合がある。同様に、入庫空き時間計算部103-1~103-Nの任意のいずれかを指して「入庫空き時間計算部103」と記載する場合がある。
【0021】
分岐制御部104は、当該物品情報と入庫空き時間計算部103-1~103-Nからの取得情報から、後述するフローチャート(
図2参照)で示す手順によって、物品105を搬送する作業ステーション106を選択した後にコンベアの分岐を制御する。これによって、選択された作業ステーション106に物品105が搬送される。
【0022】
図1Bは、本発明の実施例1における物品入庫設備の各部の構成を示すブロック図である。
【0023】
本実施例の分岐制御部104は、例えば一般的な計算機であり、CPU(Central Processing Unit)111、メモリ112、入出力デバイス113、ネットワークインタフェース114、及び補助記憶デバイス115を有する。CPU111、メモリ112、入出力デバイス113、ネットワークインタフェース114、及び補助記憶デバイス115は、バス116を介して相互に接続される。
【0024】
CPU111は、各種演算処理を実行する。補助記憶デバイス115は非揮発性の非一時的な記憶媒体であり、メモリ112には、補助記憶デバイス115に記憶された各種プログラム及び各種データがロードされ、CPU111がメモリ112にロードされた各種プログラムを実行し、メモリ112にロードされた各種データを読み書きする。
【0025】
CPU111は、作業ステーション選択部117を有する。メモリ112には、作業ステーション選択部117に対応するプログラム(図示省略)が記憶される。CPU111がメモリ112に記憶されたプログラムを実行することによって、作業ステーション選択部117の機能が実現される。
【0026】
ネットワークインタフェース114は、ネットワーク120を介して搬送先決定部102及び入庫空き時間計算部103-1~103-N等とデータを通信するインターフェースである。なお、分岐制御部104と搬送先決定部102及び入庫空き時間計算部103-1~103-Nとは、有線で接続されていても無線で接続されていてもよい。
【0027】
本実施例の搬送先決定部102は、例えば一般的な計算機であり、CPU(Central Processing Unit)131、メモリ132、タグ読み取り部133、ネットワークインタフェース134、及び補助記憶デバイス135を有する。CPU131、メモリ132、タグ読み取り部133、ネットワークインタフェース134、及び補助記憶デバイス135は、バス136を介して相互に接続される。
【0028】
CPU131は、各種演算処理を実行する。補助記憶デバイス135は非揮発性の非一時的な記憶媒体であり、メモリ132には、補助記憶デバイス135に記憶された各種プログラム及び各種データがロードされ、CPU131がメモリ132にロードされた各種プログラムを実行し、メモリ132にロードされた各種データを読み書きする。
【0029】
CPU131は、入庫優先順計算部137を有する。メモリ132には、入庫優先順計算部137に対応するプログラム(図示省略)及びオーダーデータ138が記憶される。CPU131がメモリ132に記憶されたプログラムを実行することによって、入庫優先順計算部137の機能が実現される。
【0030】
メモリ132に記憶されるオーダーデータ138には、例えば、配送される物品の識別情報、配送された物品の個数、及び配送先等が登録される。
【0031】
ネットワークインタフェース114は、ネットワーク120を介して搬送先決定部102及び入庫空き時間計算部103-1~103-N等とデータを通信するインターフェースである。なお、分岐制御部104と搬送先決定部102及び入庫空き時間計算部103-1~103-Nとは、有線で接続されていても無線で接続されていてもよい。
【0032】
タグ読み取り部133は、物品105を識別する情報を読み取る機能を有していれば、どのようなものであってもよい。例えば、タグ読み取り部133は、物品105に添付されたRFID(Radio Frequency Identification)のような無線タグを読み取る装置、物品105に表示されたバーコード又は二次元コード等を読み取るコードリーダ、または、物品105に表示された文字を読み取るカメラ等であってもよい。
【0033】
図1Bには分岐制御部104及び搬送先決定部102がそれぞれ独立した計算機によって実現される例を示したが、実際にはこれらが単一の計算機によって実現されてもよい。例えば、搬送先決定部102のCPU131が作業ステーション選択部117をさらに有してもよい。その場合、後述する分岐制御部104の処理が搬送先決定部102によって実行される(言い換えると、搬送先決定部102が分岐制御部104としても動作する)。あるいは、分岐制御部104及び搬送先決定部102の処理がそれぞれ2以上の計算機によって分散して実行されてもよい。
【0034】
入庫空き時間計算部103-1は、センサ141及びタイマ142を有する。センサ141は、入庫空き時間計算部103-1に対応する作業ステーション106-1で入庫作業が行われたことを検知できるセンサであれば、どのようなものであってもよい。例えば、センサ141は、搬送手段101によって物品105が作業ステーション106-1に到来したことを検知してもよい。タイマ142は、時間の経過を計測し、センサ141が入庫作業を検知したときにリセットされる。
【0035】
図示は省略されているが、入庫空き時間計算部103-1は、分岐制御部104及び搬送先決定部102と同様に、CPU、メモリ及びネットワークインタフェース等を有してもよい。入庫空き時間計算部103-1は、タイマ142の計測値を、ネットワーク120を介して分岐制御部104に送信する。
【0036】
また、図示は省略されているが、入庫空き時間計算部103-2~103-Nの構成も入庫空き時間計算部103-1と同様である。
【0037】
図2は、本発明の実施例1において分岐制御部104が搬送手段101による物品の搬送先の作業ステーション106を選択する処理を示すフローチャートである。
【0038】
図2に示す処理は、例えば、分岐制御部104の作業ステーション選択部117によって実行される。
【0039】
まず、分岐制御部104は、搬送手段101によって搬送されている物品105に関する情報(例えば品目等)と、当該物品105の搬送先である作業ステーション106の候補と、を搬送先決定部102から取得する(ステップ201)。続けて、分岐制御部104は、各作業ステーション106に具備された入庫空き時間計算部103から各作業ステーション106の入庫空き時間を取得する(ステップ202)。
【0040】
次に、分岐制御部104は、取得した入庫作業空き時間が閾値以上となるような作業ステーション106が存在するか否かを確認する(ステップ203)。もし入庫作業空き時間が閾値以上となるような作業ステーション106が存在する場合、分岐制御部104は、搬送先決定部102から取得した作業ステーション106の候補ではなく、入庫作業空き時間が最大となる作業ステーション106を物品105の搬送先作業ステーションとして選択する(ステップ204)。一方、もし入庫作業空き時間が閾値以上となるような作業ステーション106が存在しない場合、分岐制御部104は、搬送先決定部102から取得した作業ステーション106の候補を物品105の搬送先作業ステーションとして選択する(ステップ205)。
【0041】
なお、分岐制御部104は、ステップ204及び205において、搬送先として決定した作業ステーション106に物品105が搬送されるように、搬送手段101を制御するための信号を出力する。例えば搬送手段101が分岐を有するコンベアである場合、分岐制御部104は、搬送先として決定した作業ステーション106に物品105が搬送されるように分岐を制御するための信号を出力する。
【実施例2】
【0042】
本実施例では、搬送先決定部102が出荷箱の完成を早期化するための入庫優先順に基づいて物品を搬送する作業ステーション106の候補を決定する処理を説明する。以下に説明する相違点を除き、実施例2のシステムの各部は、
図1A~
図2に示された実施例1の同一の符号を付された各部と同一の機能を有するため、それらの説明は省略する。
【0043】
図3は、本発明の実施例2において搬送先決定部102が仕分けの終了に寄与する度合を示す寄与率に基づく入庫優先順(特許文献2)から物品を搬送する作業ステーション106の候補を事前決定する処理を示すフローチャートである。
【0044】
図3に示す処理は、例えば、搬送先決定部102の入庫優先順計算部137によって実行される。
【0045】
作業ステーション106は、
図1と同様、1~Lという番号に対応しているものとする。入庫時、搬送先決定部102は、本処理によって事前に決定した物品105と作業ステーション106の候補との対応を参照することで作業ステーション106の候補を決定する。
【0046】
最初に、搬送先決定部102は、出荷箱ごとの物品構成情報の入力を得る(ステップ301)。次に、搬送先決定部102は、以下に記載する出荷箱完成寄与率を用いた第1段階目の順序が未決定である物品が存在する間に実行される繰り返し処理(ステップ302)を行う。繰り返し処理は具体的に、未完成な出荷箱、つまり、入れるべき物品が計算処理上残っている出荷箱全てに対して繰り返し処理(ステップ303)によって、出荷箱ごとに第1段階目の順序が未決定の物品の出荷箱完成寄与率を計算する(ステップ304)。出荷箱Boxbにおける物品Itemnの出荷箱完成寄与率contrib(Itemn,Boxb)は、数式(1)で計算される。
【0047】
【0048】
このようにして計算される出荷箱完成寄与率contrib(Item
n,Box
b)は、物品Item
nを出荷箱Box
bに格納することがその出荷箱Box
bの完成に寄与する度合を示す指標である。ここで、出荷箱Box
bの完成とは、オーダーデータ138に基づいて、出荷箱Box
bの出荷先(配送先)に出荷されるべき全ての物品の仕分けが終了すること、具体的には、例えば、出荷箱Box
bに格納されるべき全ての物品が出荷箱Box
bに格納されることを意味する。すなわち、出荷箱完成寄与率contrib(Item
n,Box
b)は、物品Item
nを出荷箱Box
bの配送先に仕分けることが当該配送先への仕分けの終了に寄与する度合を示す指標であると言い換えることができる。出荷箱Box
bにおける物品Item
nの不足数とは、出荷箱Box
bに格納されるべき物品Item
nの総数から、既に出荷箱Box
bに格納された物品Item
nの数を差し引いた残りの物品の数を示す値である。ただし、後述するように、
図3の処理中の計算は、実際にはまだ出荷箱に格納されていない物品が既に格納されたとの仮定に基づいて行われる場合がある。このような計算の具体例は後述する(
図4参照)。
【0049】
未完成の全ての出荷箱について出荷箱完成寄与率の計算が終了すると、搬送先決定部102は、物品ごとの平均出荷箱完成寄与率を計算する(ステップ305)。物品Itemnの平均出荷箱完成寄与率は数式(2)で計算される。つまり、その時点で未完成な出荷箱における物品Itemnの出荷箱完成寄与率の平均が計算される。
【0050】
【0051】
次に、搬送先決定部102は、その時点の平均出荷箱完成寄与率の一番高い物品を1つ選択し、当該物品の第1段階目の順序を、仮順序決定済みの物品の第1段階目の順序のすぐ後ろの順序に決定(ステップ306)した後、出荷箱物品構成情報から当該物品を除くように更新する(ステップ307)。出荷箱物品構成情報から当該物品を除くように更新するのは、計算上あたかも第1段階目の順序が決定した当該物品を出荷箱に入れたものとして扱い、当該物品を出荷箱に入れるべき(すなわちまだ入れられていない)物品から除外するためである。
【0052】
最後に、搬送先決定部102は、各物品に対して第2段階目の順序を決定する(ステップ308)。第1段階目の順序j(ただし、1≦j≦N、Nは出荷予定の物品種類数)の物品に対応する第2段階目の順序1~Lは、数式(3)で決定される。
【0053】
【0054】
以上のように各物品に対して第2段階目の順序(1~L)が事前に決定される。入庫作業時、搬送先決定部102は、各物品105について算出した第2段階目の順序を、物品105を搬送する作業ステーション106の候補と決定する。具体的には、搬送先決定部102は、同一の順序が与えられた物品105が同一の作業ステーション106に搬送されるように、作業ステーション106の候補を決定すればよい。
【0055】
図4は、本発明の実施例2において搬送先決定部102が物品を搬送する作業ステーション106の候補を事前決定する処理の具体例の説明図である。
【0056】
図4は、ステップ302から307までの繰り返し計算を、3種類の物品A、B及びCが出荷箱401から406によって各店舗に出荷される場合で実施した例である。各出荷箱にどの物品がいくつ梱包されるか(すなわちどの出荷先にどの物品がいくつ出荷されるか)は、オーダーデータ138から特定される。
【0057】
図4の上半分における各出荷箱401~406の下に記載された数値は、ステップ304で計算された3種類の物品A、B及びCそれぞれの出荷箱完成寄与率である。物品A、B及びCそれぞれに対応する計算式は、ステップ305で実施される各物品の出荷箱完成寄与率の平均を算出する式である。
【0058】
例えば、出荷箱405は、2個の物品A、2個の物品B及び1個の物品Cが格納されることで完成するが、ステップ703のループが最初に実行される時点ではいずれの物品も格納されていないため、その時点の物品A、B及びCの不足数はそれぞれ2個、2個及び1個であり、それらの合計は5個である。この場合、物品A、B及びCの出荷箱完成寄与率はそれぞれ2/5、2/5及び1/5となる。同様に他の出荷箱についても出荷箱完成寄与率を計算して物品A、B及びCについて平均を計算すると、それぞれ0.4、0.29及び0.31が得られる。
【0059】
ステップ305で算出された各物品の出荷箱完成寄与率の平均を用い、ステップ306で出荷箱完成寄与率の平均が一番大きい物品として物品Aが選択される。ここで、最初に選択された物品Aに対して、第1段階目の順序として1位が与えられる。
【0060】
図4の下半分における各出荷箱の下に記載された数値は、ステップ301で第1段階目の順序が決定した物品Aを出荷箱物品構成情報から除くように更新した後、ステップ304で計算された残り2種類の物品B及びCそれぞれの出荷箱完成寄与率である。物品B及びCそれぞれに対応する計算式は、ステップ305で実施される各物品の出荷箱完成寄与率の平均を算出する式である。
【0061】
例えば、ステップ303のループが2回目に実行される時点で、実際にはいずれの物品も格納箱に格納されていないが、上記の第1段階目の順序が1位となった物品Aが格納されたと仮定すると、出荷箱405における物品A、B及びCの不足数は、それぞれ、0個、2個及び1個であり、それらの合計は3個である。この場合、物品B及びCの出荷箱完成寄与率はそれぞれ2/3及び1/3となる。同様に他の出荷箱についても出荷箱完成寄与率を計算して物品B及びCについて平均を計算すると、それぞれ0.57及び0.43が得られる。
【0062】
ステップ305で算出された各物品の出荷箱完成寄与率の平均を用い、ステップ306で出荷箱完成寄与率の平均が一番大きい物品として物品Bが選択される。ここで、2番目に選択された物品Bに対して、第1段階目の順序として2位が与えられる。この時点で残った物品Cに対して、第1段階目の順序として3位が与えられる。
【0063】
上記のように、出荷箱完成寄与率の平均の大きさに基づく順位に従って入庫作業を行うことによって、その後のピッキング作業において同じ格納棚から連続して物品をピックできる確率を大きくすることができ、作業効率が向上する。また、ある物品の出荷箱完成寄与率が大きいことは、その物品を出荷箱に格納することによって出荷箱が完成に近づく度合いが大きいことを示していることから、上記のように出荷箱完成寄与率の平均が大きい物品を作業ステーション106にて同じ保管棚に入庫される確率を高めると、概ねその順にピッキング作業が行われ、完成しやすい出荷箱が完成し易くなる。従来は出庫作業終了時刻近くに出荷箱の完成が集中していたが、本処理によって出荷箱が完成するタイミングが分散し、出荷作業の負荷が平準化され、その結果出庫作業効率が向上する。
【0064】
本実施例のような作業ステーション候補の決定をしながら各作業ステーション候補の入庫空き時間も考慮することで、出荷作業の負荷平準化による出庫作業効率向上と入庫作業の平準化による入庫作業効率向上が可能となる。
【実施例3】
【0065】
本実施例では、入庫優先順の具体例として物品同士の同梱関係に基づく入庫優先順を説明する。以下に説明する相違点を除き、実施例3のシステムの各部は、
図1A~
図2に示された実施例1の同一の符号を付された各部と同一の機能を有するため、それらの説明は省略する。
【0066】
図5は、本発明の実施例3において搬送先決定部102が物品同士の同梱関係に基づく入庫優先順(特許文献2)から事前決定する処理を示すフローチャートである。
【0067】
図5に示す処理は、例えば、搬送先決定部102の入庫優先順計算部137によって実行される。
【0068】
作業ステーション106は、
図1と同様、1~Lという番号に対応しているものとする。入庫時、搬送先決定部102は、本処理によって事前に決定した物品と作業ステーション106の候補との対応を参照することで作業ステーション106の候補を決定する。
【0069】
当該フローチャートで示す処理では、同梱され得る物品を線で結んだ無向グラフを連結成分で分離し、各連結成分に属す物品をまとめたものを物品群とした後、物品群をL個のグループに分類する。
【0070】
最初に、搬送先決定部102は、出荷箱ごとの物品構成情報の入力を得る(ステップ501)。つぎに、搬送先決定部102は、属する物品群が未決定であるような物品が一つ以上ある場合(ステップ502)、その一つを任意に選んで新たに作成した物品群に当該物品を追加し(ステップ503)、以下、当該物品と同じ出荷箱に入る物品が新たに見つからなくなるまで追加された当該物品と同じ出荷箱に入る物品を当該物品群に追加する処理を繰り返す(ステップ504、505)。もし属する物品群が未決定であるような物品が残っていたら、ステップ502に戻る。
【0071】
つぎに、搬送先決定部102は、同じ物品群に含まれる全ての物品が同じ作業ステーションに搬送されるように、各物品に対して作業ステーション番号1~Lを決定する(ステップ507)。物品群数MがLより大きい場合は、複数の物品群をまとめることでM個の物品群をL個のグループに再構成する。物品群数MがLより小さいときはM個の物品群をそのままM個のグループと見なしてもよいし、物品数の多い物品群を適宜分割することでL個のグループに再構成してもよい。
【0072】
同じグループに入る物品の入庫タイミングを近接させることで、物品の入庫される棚から当該物品と異なるグループに入る物品を除外され易くし、それによってピッキングにおいて同じ棚から連続して物品をピックできる確率を大きくすることができる。
【0073】
図6は、本発明の実施例3において搬送先決定部102が物品を搬送する作業ステーション106の候補を事前決定する処理の具体例の説明図である。
【0074】
図6は、ステップ503から506までの繰り返し計算を、6種類の物品A~Fが出荷箱601から607によって各店舗に出荷される場合で実施した例である。各出荷箱にどの物品がいくつ梱包されるか(すなわちどの出荷先にどの物品がいくつ出荷されるか)は、オーダーデータ138から特定される。
【0075】
図6の上半分は、任意に選んだ物品Aと同じ出荷箱に入る同梱物品を再帰的に探索する過程を示す。
【0076】
搬送先決定部102は、ステップ503で任意に選んだ物品Aを選択してそれを新たに作成した空の物品群に追加した後、ステップ504から506において、物品Aと同じ出荷箱に入る物品を探索する。
図6の例では、出荷箱602、605及び606に物品Aと共に物品Bが入り、出荷箱605及び606には物品Aと共に物品Dが入る。このため、ステップ505において物品B及びDが得られ、ステップ506においてそれらが物品Aと同じ物品群(以下、第1の物品群と記載する)に追加される。さらに、搬送先決定部102は、物品B及びDに対してステップ904から906を適用することでこれらと同じ出荷箱に入る物品を探索する。このように、搬送先決定部102は、再帰的に同じ出荷箱に入る物品の探索と物品群への追加を、新たな同梱物品が見つからなくなるまで繰り返す。
【0077】
図6の例では、出荷箱602、605及び606に物品Bと共に物品Aが入り、出荷箱603、604、605及び606に物品Bと共に物品Dが入り、さらに、出荷箱603及び604に物品Bと共に物品Cが入る。これらのうち物品A及びDは既に第1の物品群に含まれているため、物品Cが新たに第1の物品群に追加される。さらに、物品Cについてステップ504から506が実行されると、出荷箱603及び604に物品Cと共に物品B及びDが入るが、これらはいずれも既に第1の物品群に含まれている。これで、物品Aに関しては、新たな同梱物品が見つからなくなったため、ステップ504から506のループが一旦終了する。
【0078】
その結果、物品Aを含む連結成分が物品A~Dから構成されることが示される。ここで、搬送先決定部102は、当該連結成分を構成する物品A~Dを同じ物品群(第1の物品群)としてまとめて、物品A~Dを物品群決定済み物品とする。
【0079】
上記のようにステップ504から506のループが一旦終了した時点で、
図6の例では、物品E及びFの属する物品群が未定であるため(ステップ502)、それらの物品のうち任意の一つ、例えば物品Eが選択される(ステップ503)。
図6の下半分は、上記のように任意に選んだ物品Eを起点として、同様にステップ504から506を再帰的に同じ出荷箱に入る物品の探索を、新たな同梱物品が見つからなくなるまで繰り返す例を示す。この例では、出荷箱607に物品Eと共に物品Fが入り、他の出荷箱には物品E及びFのいずれも入らない。その結果、物品Eを含む連結成分が物品E及びFから構成されることが示される。ここで、搬送先決定部102は、当該連結成分を構成する物品E及びFを同じ物品群(例えば第2の物品群)としてまとめて、物品E及びFを物品群決定済み物品とする。
図6の例ではここで全ての物品に対してそれぞれが属する物品群が決定できる。
【0080】
本実施例によれば、同じ出荷箱に入らない(すなわち同じ出荷先に出荷されることのない)複数の物品に異なる作業ステーションの候補が与えられる。このようにして決定された作業ステーションの決定に従って入庫作業が行われると、同じ出荷箱に入る複数の物品が同じ格納棚に入りやすく、同じ出荷箱に入らない複数の物品が同じ格納棚に入りにくくなるため、その後のピッキング作業において同じ棚から連続して物品をピックできる確率を大きくすることができ、作業効率が向上する。
【0081】
本実施例のような作業ステーション候補の決定をしながら各作業ステーション候補の入庫空き時間も考慮することで、出荷作業の負荷平準化による出庫作業効率向上と入庫作業の平準化による入庫作業効率向上が可能となる。
【0082】
実施例1~3には、搬送手段101が分岐を有するコンベア(例えばベルトコンベア等)である例を説明した。しかし、搬送手段101はコンベアに限定されず、例えば自動搬送車等、任意の搬送手段について本発明を適用することができる。特に、物品の搬送先を制御することはできるが、搬送中の物品の順序を変更できない場合であっても、本発明の実施例を適用することによって、出荷作業の負荷平準化による出庫作業効率向上と入庫作業の平準化による入庫作業効率向上が可能となる。
【0083】
なお、本発明のシステムは例えば次のように構成されてもよい。
【0084】
(1)搬送機器(例えば搬送手段101)によって搬送される物品を識別して、複数の作業場所(例えば作業ステーション106-1~106-L)の1つを搬送機器による物品の搬送先の候補として決定する搬送先候補決定部(例えば搬送先決定部102)と、複数の作業場所の各々における作業の空き時間を計算する空き時間計算部(例えば入庫空き時間計算部103-1~103-L)と、物品の搬送先を決定する搬送制御部(例えば分岐制御部104)と、を有する倉庫管理システムであって、搬送制御部は、空き時間計算部から取得した複数の作業場所のいずれかの作業の空き時間が所定の値を超える場合、当該作業の空き時間が所定の値を超える作業場所の1つを物品の搬送先として決定し(例えばステップ204)、複数の作業場所のいずれの作業の空き時間も所定の値を超えない場合、搬送先候補決定部から取得した物品の搬送先の候補を物品の搬送先として決定する(例えばステップ205)。
【0085】
これによって、出荷作業の負荷平準化による出庫作業効率向上と入庫作業の平準化による入庫作業効率向上が可能となる。
【0086】
(2)上記(1)において、搬送制御部は、複数の作業場所のうち2以上の作業場所の作業の空き時間が所定の値を超える場合、作業の空き時間が最大となる作業場所を物品の搬送先として決定する(例えばステップ204)。
【0087】
これによって、出荷作業の負荷平準化による出庫作業効率向上と入庫作業の平準化による入庫作業効率向上が可能となる。
【0088】
(3)上記(1)において、搬送機器は、1以上の分岐を有するコンベアであり、搬送先候補決定部は、搬送機器によって搬送され、かつ、1以上の分岐のうち最初の分岐に到達する前の物品を識別して、物品の搬送先の候補を決定する。なお、搬送制御部は、搬送先の候補の作業場所又は作業の空き時間が所定の値を超える作業場所を搬送先として決定した場合、決定した搬送先に物品が搬送されるようにコンベアの分岐を制御する信号を出力する(例えばステップ204、205)。
【0089】
これによって、出荷作業の負荷平準化による出庫作業効率向上とコンベアを用いた入庫作業の平準化による入庫作業効率向上が可能となる。
【0090】
(4)上記(1)において、作業場所では、物品を棚に格納する作業が行われ、搬送先候補決定部は、物品の品目、個数及び配送先を対応付けるオーダー情報(例えばオーダーデータ138)を保持し、オーダー情報に基づいて、棚に格納した物品を棚から取り出して配送先に仕分ける作業が効率化されるように、前記物品の搬送先の候補を決定する(例えば
図3~
図6)。
【0091】
これによって、出荷作業の負荷平準化による出庫作業効率向上のために適切な搬送先の候補を決定することができる。
【0092】
(5)上記(4)において、搬送先候補決定部は、オーダー情報に基づいて、各品目の物品を各配送先に仕分けることが各配送先への仕分けの終了に寄与する度合を示す寄与率を計算し、寄与率が大きい品目の物品が上位となるように入庫優先順を決定し、入庫優先順が同一の品目の物品が同一の作業場所に搬送されるように、物品の搬送先の候補を決定する(例えば
図3~
図4)。
【0093】
これによって、出荷作業の負荷平準化による出庫作業効率向上のために適切な搬送先の候補を決定することができる。
【0094】
(6)上記(5)において、寄与率は、各配送先に仕分けされる全品目の全物品の量のうち、まだ仕分けされていない物品の量に対する、各配送先に仕分けされる各品目の物品の量の割合であり、搬送先候補決定部は、品目ごとに、複数の配送先に関する寄与率の平均値を計算し、平均値が最大の品目の物品に第1の入庫優先順を決定し、平均値が最大の品目の全物品の各配送先への仕分けが終了したと仮定した場合の残りの品目の物品について、寄与率の平均値を計算し、残りの品目の物品について計算された寄与率の平均値が最大の品目の物品に第1の入庫優先順より下位の第2の入庫優先順を決定する(例えば
図3~
図4)。
【0095】
これによって、出荷作業の負荷平準化による出庫作業効率向上のために適切な搬送先の候補を決定することができる。
【0096】
(7)上記(4)において、搬送先候補決定部は、オーダー情報に基づいて、同一の配送先に配送される複数の品目の物品に同一の入庫優先順を決定し、同一の配送先に配送されない複数の品目の物品にそれぞれ異なる入庫優先順を決定し、入庫優先順が同一の物品が同一の作業場所に搬送されるように、物品の搬送先の候補を決定する(例えば
図5~
図6)。
【0097】
これによって、出荷作業の負荷平準化による出庫作業効率向上のために適切な搬送先の候補を決定することができる。
【0098】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることが可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0099】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によってハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによってソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)等の記憶デバイス、または、ICカード、SDカード、DVD等の計算機読み取り可能な非一時的データ記憶媒体に格納することができる。
【0100】
また、制御線及び情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線及び情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0101】
101 搬送手段
102 搬送先決定部
103-1~103-L 入庫空き時間計算部
104 分岐制御部
105 搬送手段によって搬送される物品
106-1~106-L 作業ステーション
111、131 CPU
112、132 メモリ
113 入出力デバイス
114、134 ネットワークインタフェース
115、135 補助記憶デバイス
116、136 バス
117 作業ステーション選択部
120 ネットワーク
133 タグ読み取り部
137 入庫優先順計算部
141 センサ
142 タイマ
201~205 実施例1の入庫手順を説明するフローチャートで実施するステップ
301~308 実施例2の物品を搬送する作業ステーションを事前決定する処理を示すフローチャートで実施するステップ
401~406 出荷箱
501~507 実施例3の物品を搬送する作業ステーションを事前決定する処理を示すフローチャートで実施するステップ
601~607 出荷箱