(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】コミュニケーション装置、提案支援システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0201 20230101AFI20240827BHJP
【FI】
G06Q30/0201
(21)【出願番号】P 2020176403
(22)【出願日】2020-10-21
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】平瀬 公太
(72)【発明者】
【氏名】川田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】大野 明子
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-207926(JP,A)
【文献】特開2008-276543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザとのコミュニケーションが可能であり、ユーザに商品またはサービスを説明するコミュニケーション装置であって、
商品またはサービスに関してのユーザの反応に関する反応情報を取得する取得手段と、
前記反応情報が予め定められた条件を満たす場合に商品またはサービスに関して否定的であると特定されるユーザの反応に関する否定情報に対し、当該否定情報に関連付けられた情報であって当該予め定められた条件を満たさない反応情報を含んで作成された商品またはサービスの説明に関する説明情報を出力する出力手段と、
を備えるコミュニケーション装置。
【請求項2】
前記否定情報は、商品またはサービスに関して否定的であると特定される語句に関する情報であり、
前記説明情報には、否定的であると特定される前記語句の対義語に関する対義語情報が含まれることを特徴とする請求項1記載のコミュニケーション装置。
【請求項3】
前記語句は、商品またはサービスにおける特定の対象に対して否定的であると特定される語句であり、
前記対義語情報は、商品またはサービスにおいて前記特定の対象に関連する対象を説明する前記対義語に関する情報であることを特徴とする請求項2記載のコミュニケーション装置。
【請求項4】
前記否定情報は、商品またはサービスにおける特定の対象に対して否定的であると特定される語句に関する情報であり、
前記説明情報には、否定的と特定される前記語句が換言された語句であって前記特定の対象を説明する語句に関する情報が含まれることを特徴とする請求項1記載のコミュニケーション装置。
【請求項5】
前記説明情報には、商品またはサービスが用いられる対象に関する語句であって前記換言された語句に関連付けられた語句に関する情報が含まれることを特徴とする請求項4記載のコミュニケーション装置。
【請求項6】
前記否定情報は、商品またはサービスにおける特定の対象に対して否定的であると特定される第1ユーザの反応に関する情報であり、
前記説明情報には、前記特定の対象に対して肯定的であると特定される第2ユーザの反応に関する情報が含まれることを特徴とする請求項1記載のコミュニケーション装置。
【請求項7】
前記否定情報は、商品またはサービスにおける特定の対象に対して否定的であると特定される反応に関する情報であり、
前記説明情報には、当該説明情報における説明の対象である商品またはサービスに関連付けられた商品またはサービスにおける前記特定の対象に対する説明に関する情報が含まれることを特徴とする請求項1記載のコミュニケーション装置。
【請求項8】
前記出力手段は、商品またはサービスに関する否定的な反応をユーザに促す促進情報を出力することを特徴とする請求項1記載のコミュニケーション装置。
【請求項9】
前記促進情報は、前記取得手段に取得された前記反応情報に基づく態様により出力されることを特徴とする請求項8記載のコミュニケーション装置。
【請求項10】
商品またはサービスに関してのユーザの反応に関する
反応情報を取得する取得手段と、
前記反応情報が予め定められた条件を満たす場合に商品またはサービスに関して否定的であると特定されるユーザの反応に関する否定情報に対し、当該否定情報に関連付けられた情報であって当該予め定められた条件を満たさない反応情報を含んで商品またはサービスの説明に関する
説明情報を作成する作成手段と、
を備える提案支援システム。
【請求項11】
コンピュータに、
商品またはサービスに関してのユーザの反応に関する
反応情報を取得する機能と、
前記反応情報が予め定められた条件を満たす場合に商品またはサービスに関して否定的であると特定されるユーザの反応に関する否定情報に対し、当該否定情報に関連付けられた情報であって当該予め定められた条件を満たさない反応情報を含んで作成された商品またはサービスの説明に関する
説明情報を出力する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コミュニケーション装置、提案支援システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、商品説明を行うべき対象車についてデータを入手し、入手したデータに基づいて顧客に商品説明を実行することが記載されている。
例えば特許文献2には、ロボットがユーザと行う会話において、ロボットが当該会話に対応する商品を提案した場合のユーザの反応を分析する解析部とを備え、当該解析部の解析結果を、解析対象となった会話と対応付けて記録し、少なくとも解析結果のうち肯定的な反応を示した解析結果には、さらに解析対象となった会話に対応する商品と共に記録し、解析結果と対応する商品とを参照可能とすることが記載されている。
例えば特許文献3には、管理装置は、顔画像から検出される消費者の表情及び視線に基づいて棚前心理パターンを特定し、商品に対する消費者の動きに基づいて棚前行動パターンを特定し、これら各パターンに対応する消費者の購買意欲パターンを判別することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-015433号公報
【文献】特開2017-207926号公報
【文献】特開2019-032778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、ロボットが商品を提案した場合のユーザの反応を解析し、商品に対して肯定的であると特定されたユーザの反応が示された解析の結果を、商品の説明に活用する技術が存在する。しかしながら、この場合、商品またはサービスに関して肯定的ではないと特定されるユーザの反応が示された場合に、この反応に関する情報を、商品またはサービスの説明に活用することができなかった。
【0005】
本発明の目的は、商品またはサービスに関して肯定的ではないと特定されたユーザの反応に関する情報を、商品またはサービスの説明に活用することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、ユーザとのコミュニケーションが可能であり、ユーザに商品またはサービスを説明するコミュニケーション装置であって、商品またはサービスに関してのユーザの反応に関する反応情報を取得する取得手段と、前記反応情報が予め定められた条件を満たす場合に商品またはサービスに関して否定的であると特定されるユーザの反応に関する否定情報に対し、当該否定情報に関連付けられた情報であって当該予め定められた条件を満たさない反応情報を含んで作成された商品またはサービスの説明に関する説明情報を出力する出力手段と、を備えるコミュニケーション装置である。
請求項2に記載の発明は、前記否定情報は、商品またはサービスに関して否定的であると特定される語句に関する情報であり、前記説明情報には、否定的であると特定される前記語句の対義語に関する対義語情報が含まれることを特徴とする請求項1記載のコミュニケーション装置である。
請求項3に記載の発明は、前記語句は、商品またはサービスにおける特定の対象に対して否定的であると特定される語句であり、前記対義語情報は、商品またはサービスにおいて前記特定の対象に関連する対象を説明する前記対義語に関する情報であることを特徴とする請求項2記載のコミュニケーション装置である。
請求項4に記載の発明は、前記否定情報は、商品またはサービスにおける特定の対象に対して否定的であると特定される語句に関する情報であり、前記説明情報には、否定的と特定される前記語句が換言された語句であって前記特定の対象を説明する語句に関する情報が含まれることを特徴とする請求項1記載のコミュニケーション装置である。
請求項5に記載の発明は、前記説明情報には、商品またはサービスが用いられる対象に関する語句であって前記換言された語句に関連付けられた語句に関する情報が含まれることを特徴とする請求項4記載のコミュニケーション装置である。
請求項6に記載の発明は、前記否定情報は、商品またはサービスにおける特定の対象に対して否定的であると特定される第1ユーザの反応に関する情報であり、前記説明情報には、前記特定の対象に対して肯定的であると特定される第2ユーザの反応に関する情報が含まれることを特徴とする請求項1記載のコミュニケーション装置である。
請求項7に記載の発明は、前記否定情報は、商品またはサービスにおける特定の対象に対して否定的であると特定される反応に関する情報であり、前記説明情報には、当該説明情報における説明の対象である商品またはサービスに関連付けられた商品またはサービスにおける前記特定の対象に対する説明に関する情報が含まれることを特徴とする請求項1記載のコミュニケーション装置である。
請求項8に記載の発明は、前記出力手段は、商品またはサービスに関する否定的な反応をユーザに促す促進情報を出力することを特徴とする請求項1記載のコミュニケーション装置である。
請求項9に記載の発明は、前記促進情報は、前記取得手段に取得された前記反応情報に基づく態様により出力されることを特徴とする請求項8記載のコミュニケーション装置である。
請求項10に記載の発明は、商品またはサービスに関してのユーザの反応に関する反応情報を取得する取得手段と、前記反応情報が予め定められた条件を満たす場合に商品またはサービスに関して否定的であると特定されるユーザの反応に関する否定情報に対し、当該否定情報に関連付けられた情報であって当該予め定められた条件を満たさない反応情報を含んで商品またはサービスの説明に関する説明情報を作成する作成手段と、を備える提案支援システムである。
請求項11に記載の発明は、コンピュータに、商品またはサービスに関してのユーザの反応に関する反応情報を取得する機能と、前記反応情報が予め定められた条件を満たす場合に商品またはサービスに関して否定的であると特定されるユーザの反応に関する否定情報に対し、当該否定情報に関連付けられた情報であって当該予め定められた条件を満たさない反応情報を含んで作成された商品またはサービスの説明に関する説明情報を出力する機能と、を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、商品またはサービスに関して肯定的ではないと特定されたユーザの反応に関する情報を、商品またはサービスの説明に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】提案支援システムの全体構成例を示した図である。
【
図2】サーバ装置および会話ロボットのハードウェア構成例を示す図である。
【
図4】会話ロボットの機能構成例を示した図である。
【
図5】(a)乃至(c)は、会話ロボットの動作例を示した図である。
【
図7】否定情報に基づいて説明情報を作成するための提案支援システムの処理を説明する図である。
【
図8】(a)、(b)は、会話ロボットの動作例を示した図である。
【
図9】変形例における反応管理テーブルを示した図である。
【
図10】(a)、(b)は、変形例における会話ロボットの動作例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<提案支援システムの構成>
図1は、本実施形態に係る提案支援システム1の全体構成例を示した図である。
提案支援システム1は、商品やサービスの提案を支援するシステムである。より具体的には、提案支援システム1は、商品やサービスに関しての顧客の反応に基づいて商品やサービスの説明文を作成し、作成した説明文を用いて商品やサービスを説明することで、商品やサービスの提案者による提案を支援する。商品やサービスの提案としては、例えば、商品やサービスの販売の提案や、商品やサービスの顧客による使用の契約の提案等が挙げられる。また、商品やサービスに関しての顧客の反応には、商品やサービスに対する顧客の感想や言動が含まれる。また、商品やサービスに関しての顧客の反応には、顧客が商品やサービスの説明を受けている際の顧客の言動が含まれる。また、商品やサービスに関しての顧客の反応には、顧客が感想を発しないことや、顧客が言動しないことが含まれてもよい。以下では、商品やサービスを、まとめて「商品等」と称することがある。
提案支援システム1は、サーバ装置10と、会話ロボット20とを備える。サーバ装置10と会話ロボット20とは、ネットワークを介して接続されている。
【0010】
サーバ装置10は、商品等の説明に関する情報を作成するサーバである。より具体的には、サーバ装置10は、商品等に関しての顧客の反応に関する情報を取得すると、取得した情報を用いて、商品等の説明に関する情報を作成する。商品等に関しての顧客の反応に関する情報としては、例えば、商品等に関しての顧客の反応が音として記録された情報や、商品等に関しての顧客の反応が文章として記録された情報等が挙げられる。商品等に関しての顧客の反応に関する情報を、以下では、反応情報と称することがある。なお、反応情報は、音声や文章として記録された生データであってもよいし、生データに基づいて音声や文章を示す情報として加工されたデータであってもよい。
【0011】
また、本実施形態では、サーバ装置10は、反応情報から、商品等に関しての顧客の否定的な反応を特定する。そして、否定的であると特定される顧客の反応に関する情報を用いて、商品等の説明に関する情報を作成する。サーバ装置10は、作成した情報を、会話ロボット20に送信する。
否定的であると特定される顧客の反応に関する情報としては、商品等に関して否定的であると特定される反応が音声や文章として記録された情報が挙げられる。また、否定的であると特定される顧客の反応には、消極的であると特定される顧客の反応が含まれる。否定的であると特定される顧客の反応に関する情報を、以下では、否定情報と称することがある。なお、否定情報は、音声や文章として記録された生データであってもよいし、生データに基づいて音声や文章を示す情報として加工されたデータであってもよい。
また、商品等の説明に関する情報としては、例えば、商品等の説明文が示された情報が挙げられる。商品等の説明に関する情報を、以下では、説明情報と称することがある。なお、説明情報は、説明文が示された生データであってもよいし、生データに基づいて説明文を示す情報として加工されたデータであってもよい。
【0012】
サーバ装置10は、例えば、コンピュータにより実現される。サーバ装置10は、単一のコンピュータにより構成しても良いし、複数のコンピュータによる分散処理により実現しても良い。また、サーバ装置10は、クラウドコンピューティングにより提供される仮想的なハードウェア上にて実現してもよい。
【0013】
コミュニケーション装置の一例としての会話ロボット20は、顧客と会話するロボットである。会話ロボット20は、顧客との会話を通じて、顧客とコミュニケーションを図る。また、本実施形態の会話ロボット20は、顧客に対して商品等を説明する。会話ロボット20には、商品やサービスごとに説明情報が予め記憶されており、会話ロボット20は、説明の対象である商品等に応じた説明情報を出力することにより、顧客に対して商品等を説明する。会話ロボット20に予め記憶されている説明情報は、否定情報に基づいてサーバ装置10に作成された説明情報とは異なる、初期の説明情報である。
会話ロボット20は、音を取得するマイクロフォン21と、情報を表示するディスプレイ22と、音を出力するスピーカ23とを備える。また、会話ロボット20は、会話ロボット20が動作するための電力を供給するモバイル型電池24を備える。
【0014】
また、本実施形態の会話ロボット20は、録音が可能に設けられている。会話ロボット20は、顧客との会話を録音し、録音された情報を、サーバ装置10に送信する。顧客との会話が録音された情報を、以下では、録音情報と称することがある。録音情報は、反応情報や否定情報が含まれる情報であって、サーバ装置10による説明情報の作成に用いられる情報である。また、会話ロボット20は、特定の商品等を対象としてサーバ装置10に作成された説明情報をサーバ装置10から取得する。会話ロボット20は、説明情報を取得すると、対象の商品等の説明に用いる説明情報を、初期の説明情報から、取得した説明情報に更新する。
会話ロボット20は、例えば、コンピュータにより実現される。
【0015】
サーバ装置10と会話ロボット20との接続に用いられるネットワークは、データの送受信が可能であれば、その種類は特に限定されず、例えばインターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等として良い。データの送受信に用いられる通信回線は、有線であっても無線であっても良い。また、複数のネットワークや通信回線を介して各装置を接続する構成としても良い。
【0016】
<ハードウェア構成例>
図2は、サーバ装置10および会話ロボット20のハードウェア構成例を示す図である。
図2に示すように、サーバ装置10および会話ロボット20は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)100aと、主記憶手段であるメモリ100cとを備える。また、各装置は、外部デバイスとして、不揮発性記録デバイス100g、ネットワークインターフェイス100f、表示機構100d、音声機構100h、キーボードやマウス等の入力デバイス100i等を備える。なお、表示機構100dおよび入力デバイス100iが一体として構成されたタッチパネルが用いられてもよい。
【0017】
メモリ100cおよび表示機構100dは、システムコントローラ100bを介してCPU100aに接続されている。また、ネットワークインターフェイス100f、不揮発性記録デバイス100g、音声機構100hおよび入力デバイス100iは、ブリッジコントローラ100eを介してシステムコントローラ100bと接続されている。各構成要素は、システムバスや入出力バスなどの各種のバスによって接続される。
【0018】
不揮発性記録デバイス100gには、各機能を実現するためのプログラムが格納されている。そして、このプログラムがメモリ100cにロードされ、このプログラムに基づく処理がCPU100aにより実行されることで、各種の機能が実現される。不揮発性記録デバイス100gとしては、例えば、SSD(Solid State Drive)等の半導体メモリやHDD(Hard Disk Drive)等の磁気ディスク装置などが挙げられる。
【0019】
<サーバ装置の機能構成>
次に、サーバ装置10の機能構成について説明する。
図3は、サーバ装置10の機能構成例を示した図である。
サーバ装置10は、取得部101と、記憶部102と、分類部103と、特定部104と、作成部105と、出力部106とを備える。
【0020】
取得手段の一例としての取得部101は、ネットワークを介して送信された情報を取得する。取得部101に取得される情報の一例としては、会話ロボット20から送信された録音情報が挙げられる。
記憶部102は、取得部101に取得された情報等を記憶する。記憶部102に記憶される情報の一例としては、取得部101に取得された録音情報が挙げられる。記憶部102の記憶内容については、後に詳述する。
【0021】
分類部103は、録音情報に含まれる反応情報を分類する。より具体的には、分類部103は、商品等について区分けされた複数の項目のうちの、反応情報から特定される顧客の反応に対応する項目と、この反応情報とを関連付けることで、反応情報を分類する。一例として、商品である「住宅」における場所ごとに項目が区分けされている場合を挙げる。この場合において、「住宅」における場所の項目である「ベランダ」の説明に対して「広い」という顧客の反応が示された反応情報が録音情報に含まれる場合に、分類部103は、この反応情報を、「ベランダ」の項目に関連付ける。
分類部103は、録音情報に含まれる反応情報ごとに、反応情報を、この反応情報に対応する項目に関連付けて、記憶部102に記憶させる。
【0022】
特定部104は、否定情報を特定する。特定部104は、反応情報から特定される顧客の反応が商品等に関する顧客の否定的な反応であるか否かを判定することにより、反応情報が否定情報であるか否かを決定する。特定部104は、分類部103に分類された反応情報ごとに、反応情報が否定情報であるか否かを決定する。
【0023】
作成手段の一例としての作成部105は、特定部104に特定された否定情報に基づいて、説明情報を作成する。より具体的には、作成部105は、否定情報と、否定情報に対応する項目として分類部103に関連付けられた項目とに基づいて、説明情報を作成する。なお、作成部105に作成される説明情報は、否定情報から特定される顧客の反応の対象と同じ商品等を説明の対象にした情報であってもよいし、否定情報から特定される顧客の反応の対象とは異なる商品等を説明の対象にした情報であってもよい。
出力部106は、作成部105に作成された説明情報を会話ロボット20に送信する。
【0024】
<会話ロボットの機能構成>
次に、会話ロボット20の機能構成について説明する。
図4は、会話ロボット20の機能構成例を示した図である。
会話ロボット20は、送受信部201と、録音部202と、記憶部203と、対象決定部204と、説明決定部205と、促進部206と、出力部207とを備える。
【0025】
送受信部201は、情報の送信および受信を行う。送受信部201が送信する情報の一例としては、録音情報が挙げられる。また、送受信部201が受信する情報の一例としては、説明情報が挙げられる。
取得手段の一例としての録音部202は、録音することにより、録音情報を取得する。
記憶手段の一例としての記憶部203は、情報を記憶する。記憶部203に記憶される情報としては、説明情報、録音情報等が挙げられる。
【0026】
対象決定部204は、会話ロボット20が商品等を説明する場合における説明の対象を決定する。説明の対象としては、例えば、説明の対象になる商品またはサービスが挙げられる。また、説明の対象としては、例えば、商品やサービスについて区分けされた複数の項目のうちの、説明の対象になる項目が挙げられる。
【0027】
対象決定部204は、商品またはサービスを識別する情報が会話ロボット20に入力されると、入力された情報から特定される商品またはサービスを説明の対象に決定してもよい。また、対象決定部204は、商品やサービスについて区分けされた項目を識別する情報が会話ロボット20に入力されると、入力された情報から特定される項目を説明の対象に決定してもよい。対象決定部204が説明の対象を決定するために会話ロボット20に入力される情報は、音声であってもよいし、文字であってもよい。
また、会話ロボット20の位置を検知する位置センサ(不図示)が会話ロボット20に設けられてもよい。例えば、会話ロボット20が商品やサービスの一例である建物を説明する場合において、対象決定部204は、建物のうちの会話ロボット20が位置している場所として位置センサに検出された結果に基づいて、建物のうちの説明の対象にする場所を決定してもよい。
【0028】
説明決定部205は、商品等の説明に用いる説明情報を決定する。本実施形態では、会話ロボット20の記憶部203には、商品ごと、およびサービスごとに、説明情報が設けられている。また、記憶部203には、商品の項目ごと、およびサービスの項目ごとに、説明情報が設けられている。説明決定部205は、記憶部203に記憶されている説明情報のうちの、対象決定部204に決定された説明の対象に対応する説明情報を、商品等の説明に用いる説明情報に決定する。
【0029】
促進部206は、顧客が商品等に対して否定的な反応をすることを促進する。より具体的には、促進部206は、顧客が商品等に対して否定的な反応をすることを顧客に促すための情報を、会話ロボット20に出力させる。なお、顧客が商品等に対して否定的な反応をすることを顧客に促すための情報を、以下では、促進情報と称することがある。
【0030】
促進部206は、録音部202に録音されている顧客の反応に基づいて、促進情報を出力させるタイミングや、促進情報において促進する対象の商品等の項目を決定する。言い換えると、促進部206は、録音情報に含まれる反応情報が促進条件を満たす場合に、促進情報を出力させる。促進条件は、促進情報を出力するか否かの促進部206による判定に用いられる条件である。促進条件は、顧客が商品等に関して否定的な反応をする可能性が高いと促進部206に判定される観点から定められる。促進条件としては、例えば、会話ロボット20が商品等を説明してから予め定められた時間以上顧客からの反応が得られないことが挙げられる。予め定められた時間は、何れの時間であってもよいが、例えば、10秒間である。
促進部206の処理の一例を説明する。会話ロボット20が、サービスである宿泊施設について区分けされた項目である「食事」の説明をしてから、予め定められた時間以上顧客からの反応が得られないものとする。この場合、促進部206は、会話ロボット20が食事の説明をしてから予め定められた時間が経過したタイミングで、宿泊施設の項目である「食事」に対する顧客の否定的な反応を促すための促進情報を出力させる。
【0031】
出力手段の一例としての出力部207は、説明決定部205や促進部206に指示された情報を出力する。より具体的には、出力部207は、情報を画像によりディスプレイ22に表示したり、情報を音によりスピーカ23から出力したりする。
【0032】
<会話ロボットの動作例>
次に、会話ロボット20の動作例について説明する。
図5(a)乃至
図5(c)は、会話ロボット20の動作例を示した図である。以下では、会話ロボット20が、顧客である「X」に対して、商品である「A住宅」を、説明情報を用いて説明する場合について説明する。なお、この説明において会話ロボット20に用いられる説明情報は、否定情報に基づいて作成された説明情報とは異なる、初期の説明情報であるものとする。
【0033】
図5(a)に示すように、会話ロボット20がA住宅の玄関に位置する場合に、会話ロボット20は、A住宅の玄関について説明する。より具体的には、会話ロボット20は、A住宅の玄関のデザインについて説明する。図示の例では、会話ロボット20は、A住宅の玄関のデザインについて、「玄関は、シックなデザインにしています」の説明情報を音声により出力する。また、顧客Xは、会話ロボット20の説明に対する反応として、「おしゃれだね」という感想を話している。なお、会話ロボット20による説明の対象である「玄関」は、商品である住宅における場所について区分けされた項目の一例である。また、会話ロボット20による説明の対象である「デザイン」は、商品である住宅における性質について区分けされた項目の一例である。
また、会話ロボット20が説明する際における会話ロボット20と顧客Xとの会話は、録音部202に録音されている。
【0034】
次に、
図5(b)に示すように、会話ロボット20がA住宅の浴室に位置する場合、会話ロボット20は、A住宅の浴室について説明する。図示の例では、会話ロボット20は、A住宅の浴室のデザインについて、「浴室はモダンなデザインにしています」の説明情報を音声により出力する。また、図示の例では、顧客Xは、会話ロボット20の説明に対して、沈黙している。なお、会話ロボット20による説明の対象である「浴室」は、商品である住宅における場所について区分けされた項目の一例である。
【0035】
そして、会話ロボット20がA住宅の浴室を説明してから顧客Xが沈黙している時間が予め定められた時間経過すると、会話ロボット20の録音により作成された録音情報に含まれる反応情報が促進条件を満たす。このタイミングで、会話ロボット20は、
図5(c)に示すように、A住宅の浴室に対する顧客Xの否定的な反応を促すための促進情報を出力する。より具体的には、会話ロボット20は、「気に入らない点はありませんか?」の促進情報を音声により出力する。また、顧客Xは、会話ロボット20からの促進情報に対して「浴室が狭いかな」という感想を話している。
また、会話ロボット20は、顧客Xに対するA住宅の説明を終えると、顧客Xとの会話が記録された録音情報を、サーバ装置10に送信する。
【0036】
<記憶部の記憶内容>
次に、サーバ装置10の記憶部102に記憶されている情報の内容について説明する。
図6は、反応管理テーブルを示した図である。反応管理テーブルは、反応情報を管理するためのテーブルである。反応管理テーブルは、記憶部102に記憶されている。また、記憶部102には、録音情報ごとに反応管理テーブルが設けられている。
図6に示す反応管理テーブルには、会話ロボット20が「顧客X」に対して「A住宅」を説明した際の顧客Xの反応に係る反応情報が管理されている。
【0037】
図6に示す反応管理テーブルでは、「場所」に、「A住宅」における場所が示されている。より具体的には、「場所」として、「全体」、「玄関」、「廊下」、「部屋a」、「部屋b」、「トイレ」、「浴室」、「キッチン」、「リビング」、「ベランダ」が示されている。また、「浴室」には、A住宅の浴室における場所として、「全体」、「浴槽」、「洗い場」が示されている。また、「キッチン」には、A住宅のキッチンにおける場所として、「全体」、「調理台」、「流し台」、「カウンター」が示されている。
【0038】
また、反応管理テーブルでは、「性質」に、「A住宅」における性質が示されている。より具体的には、「性質」として、「広さ」、「形状」、「デザイン」、「色」、「高さ」、「光環境」、「音環境」、「ネットワーク環境」、「温熱環境」、「安全性」、「価格」、「その他」が示されている。
反応管理テーブルに示された各「場所」および各「性質」は、商品である「A住宅」について区分けされた項目の一例である。また、各「場所」および各「性質」は、会話ロボット20による説明の対象の一例である。すなわち、会話ロボット20には、「A住宅」について、「場所」ごとに説明情報が設けられるとともに、「性質」ごとに説明情報が設けられている。
【0039】
また、反応管理テーブルには、録音情報から特定された反応情報が示されている。本実施形態では、録音情報から特定された各反応情報が、分類部103に関連付けられた「場所」および「性質」に示されている。そのため、反応管理テーブルに示された各「場所」および各「性質」は、反応情報から特定される反応の対象としても捉えられる。
【0040】
反応管理テーブルに示された反応情報について具体的に説明する。反応管理テーブルの「全体」の「色」に示された「明るい」は、「A住宅」における「全体」に対する「顧客X」の「色」の感想が示された反応情報である。また、反応管理テーブルの「玄関」の「デザイン」に示された「おしゃれ」は、「A住宅」における「玄関」に対する「顧客X」の「デザイン」の感想が示された反応情報である。なお、この反応情報に示された感想は、会話ロボット20による「A住宅」における「玄関」の「デザイン」の説明に対する「顧客X」の感想(
図5(a)参照)である。
【0041】
また、反応管理テーブルの「部屋a」の「音環境」に示された「音漏れ」は、「A住宅」における「部屋a」に対して、「音漏れ」により部屋aの外からの音が部屋aの内部に伝わるという「顧客X」の「音環境」の感想が示された反応情報である。また、反応管理テーブルにおける「浴室」の「全体」の「広さ」に示された「狭い」は、「A住宅」における「浴室」の「全体」に対する「顧客X」の「広さ」の感想が示された反応情報である。なお、この反応情報に示された感想は、会話ロボット20による「A住宅」における「浴室」についての促進情報に対する「顧客X」の感想(
図5(c)参照)である。
また、反応管理テーブルの「浴室」における「全体」の「デザイン」に示された「…」は、会話ロボット20による「浴室」における「全体」の「デザイン」の説明に対して「顧客X」の反応が得られなかったことを意味する。
【0042】
このように、サーバ装置10に録音情報が取得されると、この録音情報から特定される各反応情報は、分類部103により分類され、対応する項目に関連付けられて反応管理テーブルにて記憶される。
【0043】
(特定部の処理)
次に、サーバ装置10の特定部104の処理について説明する。特定部104は、反応管理テーブルに示された各反応情報が否定情報であるか否かを特定する。より具体的には、反応管理テーブルに示された反応情報から特定される顧客の反応が否定的な反応であるか否かを特定することにより、反応情報が否定情報であるか否かを特定する。
特定部104は、反応情報が特定条件を満たす場合に、反応情報が否定情報であると決定し、反応情報が特定条件を満たさない場合に、反応情報が否定情報ではないと決定する。特定条件は、反応情報が否定情報であるか否かの特定部104による判定に用いられる条件である。特定条件の一例としては、反応情報から特定される顧客の言葉に、特定の言葉が含まれることが挙げられる。特定の言葉としては、例えば、「嫌」、「あまり」、「汚い」、「狭い」、「過ぎる」等の言葉が挙げられる。また、特定の言葉には、例えば、「うーん」等の相槌が含まれてもよい。また、特定条件の他の一例としては、反応情報から特定される顧客の音声の高さが予め定められた周波数以下であることが挙げられる。なお、特定条件としては、何れの条件が定められてもよい。
【0044】
図6に示す例では、特定部104は、反応管理テーブルの「部屋a」の「音環境」に示された「音漏れ」を、否定情報であると特定する。また、特定部104は、反応管理テーブルにおける「浴室」の「全体」の「広さ」に示された「狭い」を、否定情報であると特定する。
なお、特定部104は、反応情報に示された顧客の反応が肯定的であるか否かを特定してもよい。
【0045】
(作成部の処理)
次に、サーバ装置10の作成部105の処理について説明する。作成部105は、特定部104に否定情報であると特定された反応情報を用いて、説明情報を作成する。
図6に示す例では、作成部105は、反応管理テーブルの「部屋a」の「音環境」に示された「音漏れ」に基づいて、説明情報を作成する。また、作成部105は、反応管理テーブルにおける「浴室」の「全体」の「広さ」に示された「狭い」に基づいて、説明情報を作成する。
なお、作成部105は、否定情報に基づいて説明情報を作成する場合に、否定情報が関連付けられた項目が説明の対象である説明情報を作成してもよいし、否定情報が関連付けられていない項目が説明の対象である説明情報を作成してもよい。また、作成部105は、否定情報が示された商品またはサービスが説明の対象である説明情報を作成してもよいし、否定情報が示された商品またはサービスとは異なる商品またはサービスが説明の対象である説明情報を作成してもよい。また、作成部105は、反応情報に示された顧客の反応が肯定的であると特定部104に特定された反応情報と、否定情報とに基づいて、説明情報を作成してもよい。
【0046】
<説明情報を作成するための処理>
図7は、否定情報に基づいて説明情報を作成するための提案支援システム1の処理を説明する図である。
まず、会話ロボット20が、顧客に対して商品等を説明する。この説明において、会話ロボット20は、商品等に関しての顧客の反応を、録音情報として取得する(ステップ1)。
会話ロボット20は、取得した録音情報を、サーバ装置10に送信する(ステップ2)。サーバ装置10に取得された録音情報は、サーバ装置10の記憶部102に記憶される。
【0047】
サーバ装置10の分類部103は、録音情報に含まれる各反応情報を分類する(ステップ3)。分類部103は、各反応情報を、対応する項目に関連付けて、記憶部102に記憶させる。
サーバ装置10の特定部104は、分類部103に分類された反応情報から否定情報を特定する(ステップ4)。
サーバ装置10の作成部105は、特定部104に特定された否定情報を用いて、説明情報を作成する(ステップ5)。
【0048】
サーバ装置10の出力部106は、作成部105に作成された説明情報を、会話ロボット20に送信する(ステップ6)。会話ロボット20の送受信部201に受信された説明情報は、会話ロボット20の記憶部203に記憶される。
会話ロボット20の出力部207は、顧客に対して再び商品等を説明する場合に、サーバ装置10の作成部105に作成された説明情報を出力することで、顧客に対して商品等を説明する(ステップ7)。
【0049】
<更新された説明情報の例>
次に、否定情報に基づいてサーバ装置10に更新された説明情報の例について説明する。
図8(a)および
図8(b)は、会話ロボット20の動作例を示した図である。以下では、会話ロボット20が、顧客である「Y」に対して、商品である「A住宅」の「浴室」について再び説明する場合について説明する。
【0050】
図8(a)に示すように、会話ロボット20は、A住宅の浴室について説明する。このとき、会話ロボット20は、顧客Xに対する前回の説明の内容(
図5(b)参照)とは異なる説明情報として、否定情報に基づく説明情報を出力する。図示の例では、会話ロボット20は、A住宅の浴室の広さについて、「浴室全体は狭めですが、浴槽は広いです」の説明情報を音声により出力する。
会話ロボット20に出力された説明情報のうちの「浴室全体は狭め」は、否定情報において否定的と特定された顧客の反応に関する語句が含まれた説明情報である。より具体的には、「浴室全体は狭め」は、「A住宅」における「浴室」の「全体」に対する顧客Xの否定的な感想として特定部104に特定された「狭い」に関する語句が含まれた説明情報である。
【0051】
また、会話ロボット20に出力された説明情報のうちの「浴槽は広いです」は、否定情報において否定的と特定された反応に関する語句の対義語が含まれた説明情報である。より具体的には、「浴槽は広いです」は、顧客Xの否定的な感想として特定部104に特定された「狭い」の対義語が含まれた説明情報である。また、この「浴槽は広いです」は、顧客Xによる否定的な感想の対象である「浴室」に関連する項目である「浴槽」を説明する語句に関する情報である。
否定情報から特定された語句の対義語が含まれる説明情報の作成部105による作成の手法の一例を説明する。本実施形態では、語句ごとに、語句とこの語句の対義語とが関連付けられて示された語句テーブル(不図示)がサーバ装置10の記憶部102に記憶されている。作成部105は、語句テーブルに示された対義語のうちの、否定情報に含まれる語句に関連付けられた対義語を抽出する。そして、抽出した対義語を含む説明情報を作成する。
【0052】
また、会話ロボット20は、
図8(b)に示すように、説明の対象である商品等についての説明と、説明の対象ではない商品等についての説明とが含まれる説明情報を出力する。図示の例では、会話ロボット20は、「A住宅の浴室全体の広さは2坪、B住宅の浴室全体の広さは1.75坪です」の説明情報を音声により出力する。
会話ロボット20に出力された説明情報のうちの「A住宅の浴室全体の広さは2坪」は、会話ロボット20による説明の対象の商品である「A住宅」についての説明情報である。また、「A住宅の浴室全体の広さは2坪」は、否定情報において否定的と特定された顧客Xの感想の対象である「浴室」の「全体」の「広さ」についての説明情報である。また、会話ロボット20に出力された説明情報のうちの「B住宅の浴室全体の広さは1.75坪です」は、会話ロボット20による説明の対象の商品とは異なる商品である「B住宅」についての説明情報である。また、「B住宅の浴室全体の広さは1.75坪です」は、否定情報において否定的と特定された顧客Xの感想の対象である「浴室」の「全体」の「広さ」についての説明情報である。言い換えると、「A住宅の浴室全体の広さは2坪、B住宅の浴室全体の広さは1.75坪です」は、説明の対象である「A住宅」と、説明の対象である「A住宅」と同じ「住宅」として「A住宅」に関連付けられた「B住宅」との比較による説明である。
【0053】
否定情報から特定される反応の対象である商品等に関連付けられた商品に関する説明情報を作成する手法の一例を説明する。本実施形態では、商品等の説明が商品等について区分けされた項目ごとに示された説明テーブル(不図示)が、サーバ装置10の記憶部102に記憶されている。説明テーブルは、商品ごと、およびサービスごとに設けられている。また、説明テーブルは、関連する商品またはサービスごとに、それぞれ関連付けられている。作成部105は、否定情報から特定される反応の対象である商品等の説明テーブルに関連付けられた説明テーブルに示された説明を含む説明情報を作成する。より具体的には、作成部105は、否定情報における反応の対象である商品等の説明テーブルに関連付けられた説明テーブルに示された説明であって、否定情報における反応の対象と同じ商品等の項目に示された説明を含む説明情報を作成する。
【0054】
以上の通り、本実施形態では、会話ロボット20の出力部207は、否定情報に基づいて作成された商品等の説明に関する説明情報を出力する。
この場合、商品またはサービスに関して肯定的ではないと特定されたユーザの反応に関する情報を、商品またはサービスの説明に活用することができる。
【0055】
特に、本実施形態のように、顧客の会話の相手が会話ロボット20である場合、顧客は、会話の相手が人間である場合に比べて、商品等に関しての否定的な反応をしやすくなることがある。この場合に、会話ロボット20は、顧客の反応を録音情報として取得することで、この録音情報に含まれる否定情報を活用することができる。
【0056】
また、本実施形態では、否定情報は、商品等に関して否定的であると特定される語句に関する情報である。そして、説明情報には、否定的であると特定される語句の対義語に関する対義語情報が含まれる。
この場合、否定的であると特定される語句が与える商品またはサービスの印象とは異なる印象を、顧客に与えることができる。
【0057】
特に、本実施形態では、否定的であると特定される語句は、商品等における特定の対象に対して否定的であると特定される語句である。そして、対義語情報は、商品等において特定の対象に関連する対象を説明する対義語に関する情報である。
この場合、特定の対象に関連付けられた対象の印象を、否定的であると特定される語句が与える印象とは異なる印象により、顧客に与えることができる。
【0058】
なお、対義語情報における対義語の説明の対象と、否定情報における語句の対象との関連は、何れの関連であってもよい。対義語情報における対義語の説明の対象と、否定情報における語句の対象との関連は、サーバ装置10に関連付けられたものであってもよい。
【0059】
また、対義語情報は、商品またはサービスにおいて特定の対象に関連付けられていない対象を説明する対義語に関する情報であってもよい。一例を挙げると、否定情報が、サービスである「D宿泊施設」における「浴室」の「天井の高さ」に対して否定的であると特定される顧客の「低い」という感想が含まれる情報であるものとする。この場合に、対義語情報は、サービスである「D宿泊施設」において「浴室」に関連しない「ベッドルーム」の「天井の高さ」を説明する「高い」の語句が含まれる情報であってもよい。
【0060】
また、本実施形態では、否定情報は、商品等における特定の対象に対して否定的であると特定される反応に関する情報である。そして、説明情報には、説明情報における説明の対象である商品等に関連付けられた商品等における特定の対象に対する説明に関する情報が含まれる。
この場合、否定的であると特定された対象の印象を、説明の対象である商品またはサービスに関連付けられた商品またはサービスとの比較により顧客に与えることができる。
【0061】
なお、説明情報における説明の対象である商品等と、この商品等に関連付けられた商品等であって説明情報に含まれる説明の対象である商品等とは、サーバ装置10に関連付けられたものであれば、何れの関係であってもよい。
【0062】
また、本実施形態では、会話ロボット20の出力部207は、商品等に関する否定的な反応を顧客に促す促進情報を出力する。
この場合、顧客の反応を促さない構成に比べて、商品またはサービスの説明の活用に用いられる情報が会話ロボット20に取得されやすくなる。
【0063】
特に、本実施形態では、促進情報は、録音部202に取得された反応情報に基づく態様により出力される。
この場合、顧客の反応を促さない構成に比べて、顧客の反応を踏まえた態様による情報が会話ロボット20に取得されやすくなる。
【0064】
なお、促進情報の態様としては、例えば、促進情報が出力されるタイミングが挙げられる。また、促進情報の態様としては、例えば、促進情報において否定的な反応を促す商品またはサービスの対象が挙げられる。
【0065】
(変形例)
次に、サーバ装置10の作成部105に作成される説明情報の変形例について説明する。作成部105に作成される説明情報は、上記の態様に限られない。
図9は、変形例における反応管理テーブルを示した図である。この反応管理テーブルは、サーバ装置10の記憶部102に記憶されている。また、
図9に示した反応管理テーブルには、会話ロボット20が「顧客Z」に対して「C洋服」を説明した際の顧客Zの反応に係る反応情報が管理されている。
【0066】
図9に示す反応管理テーブルでは、「箇所」に、「C洋服」における特定の箇所が示されている。より具体的には、「箇所」として、「全体」、「襟」、「袖」、「前側」、「後側」が示されている。
また、反応管理テーブルでは、「性質」に、「C洋服」における性質が示されている。より具体的には、「性質」として、「大きさ」、「色」、「形」、「デザイン」、「価格」、「その他」が示されている。
反応管理テーブルに示された各「箇所」および各「性質」は、商品である「C洋服」について区分けされた項目の一例である。また、各「箇所」および各「性質」は、会話ロボット20による説明の対象の一例である。
【0067】
反応管理テーブルに示された反応情報について具体的に説明する。反応管理テーブルの「前側」の「デザイン」に示された「かわいい」は、「C洋服」の「前側」に対する「顧客Z」の「デザイン」の感想が示された反応情報である。
また、反応管理テーブルの「全体」の「大きさ」に示された「大き過ぎる」は、「C洋服」の「全体」に対する「顧客Z」の「大きさ」の感想が示された反応情報である。また、反応管理テーブルの「全体」の「色」に示された「地味」は、「C洋服」の「全体」に対する「顧客Z」の「色」の感想が示された反応情報である。
【0068】
なお、説明を省略するが、
図9に示した反応管理テーブルとは異なる反応管理テーブルには、会話ロボット20が「顧客V」に対して「C洋服」を説明した際の顧客Vの反応に係る反応情報が管理されているものとする。また、この反応管理テーブルにおける「全体」の「色」には、「素敵」という「顧客V」の感想が示された反応情報が管理されているものとする。また、この「素敵」は、特定部104に肯定的な顧客の反応と特定された反応情報であるものとする。
【0069】
サーバ装置10の特定部104は、反応管理テーブルに示された各反応情報が否定情報であるか否かを特定する。
図9に示す例では、特定部104は、反応管理テーブルの「全体」の「大きさ」に示された「大き過ぎる」を、否定情報であると特定する。また、特定部104は、反応管理テーブルにおける「全体」の「色」に示された「地味」を、否定情報であると特定する。作成部105は、特定部104に特定された否定情報を用いて説明情報を作成し、作成した説明情報を、出力部106を介して、会話ロボット20に送信する。
【0070】
次に、否定情報に基づいてサーバ装置10に更新された説明情報の例について説明する。
図10(a)及び
図10(b)は、変形例における会話ロボット20の動作例を示した図である。以下では、会話ロボット20が、顧客である「W」に対して、商品である「C洋服」の「全体」について再び説明する場合について説明する。
【0071】
会話ロボット20の対象決定部204に説明の対象が「C洋服」であると決定されると、
図10(a)に示すように、会話ロボット20は、「C洋服」の「全体」について説明する。図示の例では、会話ロボット20は、「C洋服」の「全体」の「色」について、「控えめな色にしています。この控えめな色は、他のお客様にも好評です」の説明情報を音声により出力する。
会話ロボット20に出力された説明情報のうちの「控えめな色」は、否定情報において否定的と特定された語句が言い換えられた語句が含まれた説明情報である。より具体的には、「控えめな色」は、否定情報において「顧客Z」の否定的な感想として特定部104に特定された「地味」が換言された語句が含まれた説明情報である。また、「控えめな色」は、「顧客Z」による否定的な感想の対象である「全体」の「色」を説明する語句が含まれた説明情報である。
【0072】
否定情報から特定された語句が換言された語句が含まれる説明情報を作成する手法の一例を説明する。本実施形態では、語句ごとに、語句とこの語句の換言語とが関連付けられて示された換言語テーブル(不図示)がサーバ装置10の記憶部102に記憶されている。作成部105は、換言語テーブルに示された換言語のうちの、否定情報に含まれる語句に関連付けられた換言語を抽出する。そして、抽出した換言語を含む説明情報を作成する。
【0073】
また、会話ロボット20に出力された説明情報のうちの「この控えめな色は、他のお客様にも好評です」は、否定情報から特定される反応をした顧客とは異なる顧客の反応に関する情報が含まれる説明情報である。より具体的には、「この控えめな色は、他のお客様にも好評です」は、否定情報から特定される反応をした「顧客Z」とは異なる「顧客V」による肯定的な感想である「素敵」に関する情報が含まれる説明情報である。さらに、「顧客V」の感想である「素敵」は、否定情報における「顧客Z」の感想と同じ「洋服C」の「全体」の「色」についての感想である。
作成部105は、否定情報から特定される反応をした顧客とは異なる顧客に係る反応管理テーブル(
図9参照)を参照する。そして、参照した反応管理テーブルに示された反応情報のうちの、特定部104により肯定的な顧客の反応と特定された反応情報を抽出し、抽出した反応情報に関する説明情報を作成する。この場合に、特定部104に抽出される反応情報が関連付けられた項目は、否定情報から特定される反応の対象と同じ商品等の項目である。
【0074】
また、会話ロボット20は、
図10(b)に示すように、「C洋服」の「全体」の「大きさ」について説明する。図示の例では、会話ロボット20は、「C洋服」の「全体」の「大きさ」について、「ゆったりしたサイズなので、室内着としてもおすすめです」の説明情報を音声により出力する。
会話ロボット20に出力された説明情報のうちの「ゆったりしたサイズ」は、「C洋服」における「全体」の「大きさ」に対する「顧客Z」の否定的な感想として特定部104に特定された「大き過ぎる」が換言された語句が含まれた説明情報である。また、説明情報のうちの「室内着」は、「C洋服」が用いられる対象の場所に関する情報である。すなわち、「室内着」は、商品等が用いられる対象に関する語句であって、換言された語句である「ゆったりしたサイズ」に関連付けられた語句に関する情報である。
【0075】
商品等が用いられる対象に関する説明情報を作成する手法の一例を説明する。本実施形態では、商品等について区分けされた項目ごとに、商品等が用いられる対象に関する語句が項目に関連付けられた対象管理テーブル(不図示)が記憶部102に記憶されている。作成部105は、対象管理テーブルを参照し、商品等が用いられる対象に関する語句のうちの、説明情報における説明の対象である項目に関連付けられた語句を抽出し、抽出した語句を含む説明情報を作成する。
【0076】
以上の通り、本実施形態では、否定情報は、商品等における特定の対象に対して否定的であると特定される語句に関する情報である。そして、説明情報には、否定的であると特定される語句が換言された語句であって特定の対象を説明する語句に関する情報が含まれる。
この場合、否定的であると特定される語句が与える商品またはサービスの印象とは異なる印象を、顧客に与えることができる。
【0077】
また、本実施形態では、説明情報には、商品等が用いられる対象に関する語句であって換言された語句に関連付けられた語句に関する情報が含まれる。
この場合、否定的であると特定される語句が与える商品またはサービスの印象とは異なる印象を、商品またはサービスが用いられる対象の印象とともに、顧客に与えることができる。
【0078】
なお、説明情報において語句が説明する商品またはサービスが用いられる対象は、何れの対象であってもよい。商品またはサービスが用いられる対象としては、例えば、商品またはサービスが用いられる状況、時期、人数、世代、場面等が挙げられる。
【0079】
また、本実施形態では、否定情報は、商品等における特定の対象に対して否定的であると特定される第1顧客の反応に関する情報である。第1顧客は、例えば、「顧客Z」である。また、説明情報には、特定の対象に対して肯定的であると特定される第2顧客の反応に関する情報が含まれる。第2顧客は、例えば、「顧客V」である。
この場合、商品またはサービスにおいて否定的であると特定された反応の対象について、肯定的であると特定された反応に基づく印象を顧客に与えることができる。
【0080】
なお、第2顧客の反応の対象である商品またはサービスは、第1顧客の反応の対象である商品またはサービスと同一でなくてもよい。また、第2顧客の反応の対象である商品またはサービスは、第1顧客の反応の対象である商品またはサービスと関連するものであってもよい。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に記載の範囲には限定されない。上記の実施形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0082】
本実施形態では、説明情報に、「C洋服」に対して肯定的であると特定された「顧客V」の反応に関する情報が含まれることを説明した。また、この「顧客V」の反応の対象は、否定的であると特定された「顧客Z」の反応と同じ対象である「C洋服」であるが、これに限定されない。
例えば、肯定的であると特定された顧客の反応の対象は、否定的であると特定された顧客の反応と同じ対象でなくてもよい。また、例えば、肯定的であると特定された顧客の反応の対象は、否定的であると特定された顧客の反応の対象に関連付けられた対象であってもよい。この場合に、肯定的であると特定された顧客の反応の対象と、否定的であると特定された顧客の反応の対象とは、サーバ装置10に関連付けられたものであれば、何れの関係であってもよい。
【0083】
また、本実施形態では、サーバ装置10は、顧客の反応に基づいて説明情報を作成することを説明したが、これに限定されない。
例えば、サーバ装置10は、提案支援システム1のユーザの反応に関する反応情報から否定情報を特定し、特定した否定情報に基づいて説明情報を作成してもよい。ユーザとは、提案支援システム1を用いる者である。ユーザとしては、例えば、提案支援システム1を用いて商品等を販売する販売者が挙げられる。また、顧客は、上述の通り、会話ロボット20とコミュニケーションを図りながら会話ロボット20から商品等の説明を受ける。すなわち、提案支援システム1は、顧客にも用いられる。そのため、広義には、顧客も、ユーザの一例である。
【0084】
また、本実施形態では、会話ロボット20は、反応情報を音声により取得することを説明したが、これに限定されない。
例えば、ユーザは、反応情報を文字等により会話ロボット20に入力してもよい。また、会話ロボット20は、入力された反応情報を、サーバ装置10に送信してもよい。そして、サーバ装置10は、取得した反応情報から否定情報を特定し、特定した否定情報に基づいて説明情報を作成してもよい。
【0085】
また、本実施形態では、会話ロボット20の出力部207は、説明情報を音声により出力しているが、これに限定されない。
会話ロボット20の出力部207は、説明情報をディスプレイ22に表示させてもよい。
【0086】
また、本実施形態では、サーバ装置10は、録音情報から反応情報を特定しているが、これに限定されない。
例えば、サーバ装置10は、録音情報に基づいてユーザの反応を示す情報として加工されたデータから、反応情報を特定してもよい。また、サーバ装置10は、反応情報に基づいてユーザの反応を示す情報として加工されたデータから、否定情報を特定してもよい。
【0087】
また、本実施形態では、会話ロボット20の出力部207は、サーバ装置10の作成部105に作成された情報を出力しているが、これに限定されない。
会話ロボット20の出力部207は、作成部105に作成された情報に基づいて商品等を説明する説明情報に加工し、加工した説明情報を出力してもよい。また、出力部207は、作成部105に作成された説明情報に基づいて商品等を説明する情報として加工されたデータを出力してもよい。
【0088】
また、本実施形態では、会話ロボット20は、作成部105に作成された説明情報を取得すると、対象の商品等の説明に用いる説明情報を更新することを説明したが、これに限定されない。会話ロボット20は、作成された説明情報を、初期の説明情報として用いてもよい。
【0089】
また、本実施形態では、反応情報が会話ロボット20に取得されることを説明したが、これに限定されない。
例えば、商品等に関してのユーザの反応に関する情報が、サーバ装置10に入力されてもよい。そして、サーバ装置10は、取得した情報から否定情報を特定し、特定した否定情報に基づいて説明情報を作成してもよい。そして、会話ロボット20は、説明情報を取得すると、取得した説明情報に基づいて、商品等の説明に関する情報を出力してもよい。
この場合であっても、商品またはサービスに関して肯定的ではないと特定されたユーザの反応に関する情報を、商品またはサービスの説明に活用することができる。
【0090】
また、本実施形態では、サーバ装置10が、反応情報から否定情報を特定し、特定した否定情報に基づいて説明情報を作成しているが、これに限定されない。
例えば、会話ロボット20がサーバ装置10の機能を有してもいい。言い換えると、会話ロボット20が、サーバ装置10の取得部101、記憶部102、分類部103、特定部104、作成部105、出力部106等の機能を備えることとしてもよい。そして、会話ロボット20が、反応情報から否定情報を特定し、特定した否定情報に基づいて説明情報を作成してもよい。
【0091】
また、本発明の実施形態を実現するプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で提供し得る。また、インターネットなどの通信手段を用いて提供することも可能である。
【符号の説明】
【0092】
1…提案支援システム、10…サーバ装置、20…会話ロボット、101…取得部、105…作成部、202…録音部、207…出力部