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特許7544564座板キャップ及び座板キャップの装着方法並びにシャッター装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】座板キャップ及び座板キャップの装着方法並びにシャッター装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20240827BHJP
   E06B 9/58 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
E06B9/17 U
E06B9/58 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020182852
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022073080
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】井部 弘美
(72)【発明者】
【氏名】神田 淑佳
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-278008(JP,A)
【文献】特開2015-031021(JP,A)
【文献】特開2001-342778(JP,A)
【文献】特開平09-088452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/17
E06B 9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向端部側に貫通状の座板キャップ係止部を有する座板部材に装着されて、前記座板部材の幅方向端部を覆うシャッター装置用の座板キャップであって、
前記座板部材の幅方向端部を覆うように形成された第一被覆部と、前記座板キャップ係止部に係脱するように形成された係合片部とを一体に具備し、前記係合片部が切離可能に設けられていることを特徴とする座板キャップ。
【請求項2】
前記第一被覆部とは異なる位置で前記座板部材の幅方向の端部側に対し凹状に嵌り合うように形成された第二被覆部を一体に具備し、
前記係片部は、前記第二被覆部の凹状部分の内側に設けられていることを特徴とする請求項1記載の座板キャップ。
【請求項3】
前記第二被覆部は、弾性的な撓み変形により開閉体厚さ方向に拡縮して、前記係合片部を前記座板キャップ係止部に対し係脱するように形成されていることを特徴とする請求項2記載の座板キャップ。
【請求項4】
前記係合片部の付け根側に、前記係合片部を切断するための凹溝が設けられていることを特徴とする請求項1~3何れか1項記載の座板キャップ。
【請求項5】
前記座板キャップを前記座板部材に嵌め合わせる前に、前記係合片部を切り離す工程を有することを特徴とする請求項1~4何れか1項記載の座板キャップの装着方法。
【請求項6】
前記座板キャップを前記座板部材に嵌め合わせた後に、止着具を用いて前記座板キャップを前記座板部材に止着する工程を含むことを特徴とする請求項5記載の座板キャップの装着方法。
【請求項7】
前記座板部材を具備するシャッター装置には、前記座板キャップの少なくとも一部を開口部内に挿入して開閉方向へ導くガイドレールが設けられ、
前記座板キャップを前記座板部材に嵌め合わせる前に、前記座板部材を、前記ガイドレールから引き離すように開閉体幅方向内側へ移動する工程を含むことを特徴とする請求項5又は6記載の座板キャップの装着方法。
【請求項8】
前記シャッター装置の開閉体を略全開した状態で、前記座板部材に前記座板キャップを装着するようにしたことを特徴とする請求項7記載の座板キャップの装着方法。
【請求項9】
前記ガイドレールにおける前記開口部は、前記開閉体を略全開した状態で前記座板キャップに対応する位置に、開閉体閉鎖方向側よりも開口幅を大きくした幅広部を有することを特徴とする請求項8記載の座板キャップの装着方法。
【請求項10】
前記座板キャップの少なくとも一部を前記ガイドレールの開口部に挿入して、前記座板キャップを回転させながら前記座板部材に嵌め合わせるようにしたことを特徴とする請求項7~9何れか1項記載の座板キャップの装着方法。
【請求項11】
請求項1~4何れか1項記載の座板キャップを具備したシャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター装置における開閉体の閉鎖方向端部側の座板部材に装着される座板キャップ、及びこの座板キャップの装着方法、並びにこの座板キャップを備えたシャッター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、特許文献1に記載されるように、閉鎖方向端部側に横幅方向へわたる座板部材(水切りと呼称される場合もある)を接続した開閉体と、この開閉体の横幅方向の端部側を凹状に囲んで開閉方向へ案内するガイドレールとを備え、前記開閉体を閉鎖動作させた際に前記座板部材をその閉鎖方向側の当接対象部位に当接するようにした開閉装置がある。
このような開閉装置では、開閉体の開閉動作中に、座板部材の横幅方向の端部が、物体等に接触して該物体等を損傷させることのないように、座板部材の横幅方向の端部側に、合成樹脂製の座板キャップが設けられる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-173450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記構成によれば、開閉体が繰り返し全閉する際の衝撃等に起因して、座板キャップが破損したり外れたりするおそれがある。
このような場合には、破損等により座板キャップが外れた座板部材に対し、元のものと同形状の新しい座板キャップを装着する作業が必要になる。
しかしながら、座板キャップは、通常、座板部材に対し幅方向の端部側から嵌め合わせるように設計されているため、既に現場等に設置されたシャッター装置の座板部材に対し、後付けするのは容易でない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
幅方向端部側に貫通状の座板キャップ係止部を有する座板部材に装着されて、前記座板部材の幅方向端部を覆うシャッター装置用の座板キャップであって、前記座板部材の幅方向端部を覆うように形成された第一被覆部と、前記座板キャップ係止部に係脱するように形成された係合片部とを一体に具備し、前記係合片部が切離可能に設けられていることを特徴とする座板キャップ。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、既設のシャッター装置の座板部材に対し、座板キャップを容易に後付けすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る座板キャップの一例を具備したシャッター装置を示す正面図である。
図2】(a)は座板部材の端部側に、係合片部を切離した座板キャップを装着した状態を示す要部拡大正面図、(b)は(a)に対する右側面図である。
図3】(a)は座板部材の端部側を示す要部拡大正面図、(b)は(a)に対する右側面図である。
図4】(a)はガイドレールの一例を開閉体幅方向内側から視た図であり、一部を切欠し内部構造を示している。(b)は(a)に対する下面図である。
図5】本発明に係る座板キャップの一例を示す斜視画像である。
図6】(a)は同座板キャップの平面図であり、内部構造を示すように一部を切欠している。(b)は(a)に対する正面図、(c)は(b)に対する右側面図、(d)は開閉体厚さ方向の中央で切断した場合の断面図である。
図7】同座板キャップから係合片部を切り離した状態を示し、(a)は平面図、(b)は(a)に対する正面図である。
図8】座板部材に対し座板キャップを装着する手順を示す要部正面図であり、(a)は座板キャップが装着される前の状態であり、(b)は開閉体幅方向内側へ移動した座板部材の端部に座板キャップを被せている途中の状態である。
図9】座板部材に対し座板キャップを装着する手順を示す要部正面図であり、(c)は座板部材の端部に座板キャップを被せている途中の状態であり、(d)は座板部材の端部に座板キャップを装着した状態、(e)は座板部材を開閉体幅方向外側へ移動して元に戻した状態を示す。
図10】本発明に係る座板キャップの他例を示し、(a)は平面図であり、内部構造を示すように一部を切欠している。(b)は(a)に対する正面図、(c)は(b)に対する右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第一の特徴は、幅方向端部側に貫通状の座板キャップ係止部を有する座板部材に装着されて、前記座板部材の幅方向端部を覆うシャッター装置用の座板キャップであって、前記座板部材の幅方向端部を覆うように形成された第一被覆部と、前記座板キャップ係止部に係脱するように形成された係合片部とを一体に具備し、前記係合片部が切離可能に設けられている(図1図10参照)。
【0009】
第二の特徴は、前記第一被覆部とは異なる位置で前記座板部材の幅方向の端部側に対し凹状に嵌り合うように形成された第二被覆部を一体に具備し、前記係片部は、前記第二被覆部の凹状部分の内側に設けられている(図5図7及び図10参照)。
【0010】
第三の特徴として、前記第二被覆部は、弾性的な撓み変形により開閉体厚さ方向に拡縮して、前記係合片部を前記座板キャップ係止部に対し係脱するように形成されている(図5図6及び図10参照)。
【0011】
第四の特講は、前記係合片部の付け根側に、前記係合片部を切断するための凹溝が設けられている(図10参照)。
【0012】
第五の特徴は、前記座板キャップの装着方法であって、前記座板キャップを前記座板部材に嵌め合わせる前に、前記係合片部を切り離す工程を有する(図7参照)。
【0013】
第六の特徴は、前記座板キャップを前記座板部材に嵌め合わせた後に、止着具を用いて前記座板キャップを前記座板部材に止着する工程を含む(図9(d)参照)。
【0014】
第七の特徴は、前記座板部材を具備するシャッター装置には、前記座板キャップの少なくとも一部を開口部内に挿入して開閉方向へ導くガイドレールが設けられ、前記座板キャップを前記座板部材に嵌め合わせる前に、前記座板部材を、前記ガイドレールから引き離すように開閉体幅方向内側へ移動する工程を含む(図9(d)(e)参照)。
【0015】
第八の特徴は、前記シャッター装置の開閉体を略全開した状態で、前記座板部材に前記座板キャップを装着するようにした(図1図8及び図9参照)。
【0016】
第九の特徴として、前記ガイドレールにおける前記開口部は、前記開閉体を略全開した状態で前記座板キャップに対応する位置に、開閉体閉鎖方向側よりも開口幅を大きくした幅広部を有する(図4参照)。
【0017】
第十の特徴は、前記座板キャップの少なくとも一部を前記ガイドレールの開口部に挿入して、前記座板キャップを回転させながら前記座板部材に嵌め合わせるようにした(図8及び図9参照)。
【0018】
第十一の特徴は、前記座板キャップを具備してシャッター装置を構成した(図1参照)。
【0019】
<具体的実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
以下の説明において、「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の開閉体の厚さ方向を意味する。また、「開閉体幅方向」とは、開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。
また、「開閉体開閉方向」とは、開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
【0021】
また、「開閉体幅方向外側」とは、開閉体幅方向に沿って開閉体の外側へ向かう方向側を意味する。例えば、向かって右側のガイドレールを基準にすると、開閉体幅方向外側は、右方向側になる。
また、「開閉体幅方向内側」とは、開閉体幅方向に沿って開閉体の内側へ向かう方向側を意味する。例えば、向かって右側のガイドレールを基準にすると、開閉体幅方向内側は、左方向側になる。
【0022】
また、「開閉体厚さ方向外側」とは、開閉体の厚みの中央部から開閉体厚さ方向に沿って離れる方向側を意味する。
また、「開閉体厚さ方向内側」とは、開閉体厚さ方向に沿って開閉体の厚みの中央部へ向かう方向側を意味する。
【0023】
シャッター装置1は、図1に示すように、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体10と、開閉体10における幅方向の端部側を凹状に囲んで開閉方向へ案内するガイドレール20と、開閉体10をその開放方向側で収納したり繰り出したりする収納部40とを備え、例えば、ガレージや工場、建築物、車両、船舶等の構造物の開口部分に装着される。
【0024】
開閉体10は、横長略矩形状の金属板を曲げ加工してなるスラット11aを、上下に隣接するスラット11a,11a間で回動するように複数連接することで開閉体本体11を構成し、この開閉体本体11の閉鎖方向端部側に、全閉時の当接対象部位Gに当接させるための座板部材12(水切りと呼称される場合もある)を横幅方向へわたって接続し、座板部材12の幅方向の両端部にそれぞれ座板キャップ13,13を装着している。
【0025】
座板部材12は、最下端側のスラット11aに沿って開閉体幅方向へわたって接続される部材であり、図示例によれば、開閉体幅方向へ長尺な略帯状の金属板を曲げ加工等することで縦断面逆T字状に構成される(図2及び図3参照)。
図示例の座板部材12は、開閉体閉鎖方向側にて開閉体厚さ方向へ突出するとともに開閉体幅方向へ連続する鍔部12aと、この鍔部12aから開閉体開放方向へ立ち上がった立上り片部12bとを有する(図3参照)。
【0026】
なお、各スラット11aは、他のスラット11aに対し開閉体幅方向へスライド可能に接続される。また、座板部材12は、その上側のスラット11aに対し開閉体幅方向へスライド可能に接続される。
【0027】
鍔部12aは、立上り片部12bの下端部から開閉体厚さ方向の両側へ突出する略平板状に形成され、開閉体幅方向へ長尺状に連続している。
この鍔部12aの開閉体幅方向の一端部と他端部は、それぞれ、エッジ状に形成され、ガイドレール20に近接する。前記エッジ状の部分12a1(図3参照)は、後述する座板キャップ13により覆われる。
【0028】
立上り片部12bは、鍔部12aに対して略直立する平板状に形成され、開閉体幅方向へ長尺状に連続している。この立上り片部12bの上端側には、最下端側のスラット11aに対し回動自在に接続される接続部12cが形成される。
この立上り片部12bの開閉体幅方向の一端側と他端側には、貫通状の座板キャップ係止部12b1と、座板キャップ係止部12b1よりも下側に位置する厚肉部12b2とが設けられる。
【0029】
座板キャップ係止部12b1は、交換前の座板キャップ13を係止するための貫通孔であり、図示例によれば、開閉体幅方向へ長尺な矩形状に形成されている。この座板キャップ係止部12b1は、円形孔や、長孔、切欠等とすることも可能である。
【0030】
厚肉部12b2は、立上り片部12bの開閉体幅方向の端部側において、下半部側を、その上半部側よりも厚肉に加工してなり、鍔部12aよりも開閉体幅方向外側に位置する。
この厚肉部12b2は、図3に示す一例によれば、座板部材12を構成する帯板状金属板の下端側を曲げ加工することで厚肉状に形成される。
この厚肉部12b2は、後述する座板キャップ13に挿入され、座板キャップ13内面に嵌り合って、座板キャップ13をガタつかないように保持する。
なお、本明細書中では、立上り片部12bにおいて厚肉部12b2よりも上側の部分を薄肉部12b3と呼称する。
【0031】
座板キャップ13は、座板部材12における鍔部12aの幅方向端部を覆うように形成された第一被覆部13aと、第一被覆部13aとは異なる位置で、座板部材12における立上り片部12bの幅方向の端部側に対し凹状に嵌り合うように形成された第二被覆部13bと、第二被覆部13bの凹状部分の内面側から突出して座板キャップ係止部12b1に嵌り合うように形成された係合片部13cとを一体に具備する(図5及び図6参照)。
この座板キャップ13は、弾性的な撓み変形により第二被覆部13bの凹状部分を拡縮させて、係合片部13cを座板キャップ係止部12b1に対し係脱する。
【0032】
第一被覆部13aは、鍔部12aの端部側のエッジ状部分12a1を覆うようにして、鍔部12a端部側に嵌り合う横向き凹状に形成される。
詳細に説明すれば、この第一被覆部13aは、鍔部12a端部側の上側に位置する上片部13a1と、鍔部12a端部側の下側に位置する下片部13a2とを有する凹状に形成され、上片部13a1が開閉体幅方向内側へ突出する寸法よりも、下片部13a2が開閉体幅方向内側へ突出する寸法を小さくしている(図5参照)。
【0033】
第二被覆部13bは、第一被覆部13aの開閉体幅方向外側に接続されるとともに、開閉体開放方向側に延設されている。
この第二被覆部13bは、立上り片部12bの厚肉部12b2を一方の面側から覆う第一片部13b1と、同厚肉部12b2を他方の面側から覆う第二片部13b2と、これら第一片部13b1と第二片部13b2を下端側で接続する底片部13b3とを有する(図5及び図6参照)。
【0034】
第一片部13b1と第二片部13b2は、それぞれ、開閉体厚さ方向へ弾性的に撓むように形成される。すなわち、座板キャップ13は、第一片部13b1と第二片部13b2を撓ませることで、これらの間の凹状部分の幅を拡大したり縮小したりする。
【0035】
第一片部13b1及び第二片部13b2における開閉体幅方向内側の端部には、座板部材12の薄肉部12b3を挿通可能であって、厚肉部12b2を挿通不能な開口を有する壁部13b4が設けられる(図5参照)。
また、第一片部13b1及び第二片部13b2における開閉体幅方向内側の端部は、立上り片部12bを開閉体幅方向外側へ挿通可能なように開口している(図2及び図6参照)。
【0036】
また、第一片部13b1及び第二片部13b2における開閉体開放方向側の端部は、座板部材12の薄肉部12b3を挿通可能に開口するとともに、座板キャップ係止部12b1に挿通される係合片部13cを有する(図5及び図6参照)。
【0037】
第一片部13b1は、厚肉部12b2の裏面に沿って上方へ延設され、その上端側が厚肉部12b2の上端に被さるようにして開閉体厚さ方向内側へ曲がっている。
【0038】
係合片部13cは、第一片部13b1の上端側において、第二片部13b2側へ突出しており、その突出部分の付け根側に、突端側よりも開閉体幅方向に幅が狭い幅狭部13c1を有し、この幅狭部13c1において切離可能である。
【0039】
係合片部13cにおける開閉体幅方向外側の端部は、幅狭部13c1により凹状に形成される(図5参照)。この凹状部分は、係合片部13cが座板キャップ係止部12b1に挿入された際に、座板キャップ係止部12b1の内縁に嵌り合う。
また、この幅狭部13c1によれば、係合片部13cを切離する作業を容易にすることができる。
なお、図2は、係合片部13cが取り除かれた座板キャップ13を、座板部材12に装着した状態を示している。
【0040】
第二片部13b2は、厚肉部12b2の表面に沿って上方へ延設され、その上端側が厚肉部12b2の上端に被さるようにして開閉体厚さ方向内側へ曲がっている。この第二片部13b2の上端側には、係合片部13cに対し遊嵌するように切欠部13b21が設けられる(図5参照)。
【0041】
また、ガイドレール20は、開閉体10が開閉動作する際に、座板キャップ13の一部を内在するようにして、開閉体10の幅方向端部を開口部21内に挿入して開閉方向へ導く。
【0042】
詳細に説明すれば、このガイドレール20は、開閉体幅方向内側に開口部21を有する横断面略コ字状の部材である。
開口部21は、開閉体開閉方向へわたって長尺状に連続している。この開口部21の両縁は、開閉体開閉方向の略全長にわたって、弾性材料からなる緩衝材22によって覆われている(図4(b)参照)。なお、緩衝材22は省くことも可能である。
【0043】
ガイドレール20の開口部21は、開閉体10を略全開した状態で座板キャップ13の第二被覆部13bに対応する位置に、開閉体閉鎖方向側よりも開口幅を大きくした幅広部21aを有する。
この幅広部21aは、図4(a)に示す一例によれば、開閉体開放方向へ向かって、開口幅を徐々に広くしている。
【0044】
また、収納部40は、図1に示すように、開閉体10を出没させるための開口部を下部に形成した収納ケース41内に、開閉体10を巻き取ったり繰出したりする巻取軸42と、該巻取軸42をチェーン及びスプロケット等の動力伝達機構を介して駆動回転したり制動したりする開閉機43と、図示しない制御回路とを備える。
なお、本願発明は、電動等の自動式のシャッター装置、及び手動式のシャッター装置に適用することが可能である。
【0045】
<座板キャップの装着方法>
次に、損傷等により座板キャップが外れたシャッター装置1に対し、新たな座板キャップ13を装着する手順について説明する。
【0046】
先ず、交換用の新たな座板キャップ13について、第二被覆部13b(詳細には第一片部13b1)から係合片部13cを切り離す。
この作業は、例えばニッパー等の工具を用いて、係合片部13cにおける幅狭部13c1の付根側(開閉体厚さ方向外寄り)を切断すれば、容易に行うことができる。
【0047】
次に、図1に二点鎖線で示すように、開閉体10を略全開して、座板部材12の下方側に作業スペースを確保する。
そして、この全開状態において、座板部材12を含む開閉体10の下端側を、開閉体幅方向内側(図8によれば左側)へ移動してガイドレール20から引き離す。
言い換えれば、座板キャップ13を嵌め合わせる側の座板部材12の幅方向端部をガイドレール20から引き離すように移動する。このことによって、座板キャップ13を嵌め合わせる作業を行い易くしている。
【0048】
前記移動は、開閉体10全体を開閉体幅方向へ移動するようにしてもよいし、座板部材12を、その上側のスラット11aに対し開閉端幅方向へスライドするようにしてもよい。
前記工程によれば、図8(b)に示すように、鍔部12aの幅方向端部(エッジ状部分12a1)がガイドレール20から比較的大きく引き離され、立上り片部12bの厚肉部12b2が、ガイドレール20の外側に比較的大きく露出する。
このため、座板部材12の幅方向端部側に、座板キャップ13を装着するための作業が容易になる。
【0049】
この状態において、係合片部13cを取り除いた座板キャップ13を、図8(b)に示すように傾ける。
そして、この傾いた座板キャップ13を正規位置側へ回転させながら、第一被覆部13aを座板部材12における鍔部12aの幅方向端部(エッジ状部分12a1)に被せ、第二被覆部13bの凹状部分を開閉体厚さ方向へ弾性的に拡げて座板部材12の厚肉部12b2に嵌め合わせる。前記回転の際、座板キャップ13の第二被覆部13bの一部分は、ガイドレール20の開口部21内に挿入される。
【0050】
次に、図9(c)(d)に示すように、座板キャップ13の傾きを戻すようにして、座板キャップ13を回転させながら、座板キャップ13の第一被覆部13aをより深く鍔部12aの幅方向端部に嵌め合わせ、同座板キャップ13の第二被覆部13bもより深く厚肉部12b2に嵌め合わせて、座板キャップ13を、座板部材12に対し開閉体幅方向の外側に直線的に配置する。
前記したように、座板キャップ13を座板部材12に嵌め合わせる作業では、座板キャップ13を開閉方向に沿うように回転させると、座板部材12に対し座板キャップ13を容易に嵌め合わせることができる。
これらの作業は、第二被覆部13bがガイドレール20の幅広部21aに位置するため、例えば、開閉体10の閉鎖途中位置で作業する場合と比較して容易である。
【0051】
次に、止着具14を用いて、座板キャップ13を座板部材12に止着する(図9(d)参照)。
止着具14は、頭部と軸部からなるリベットであり、前記軸部が、第一片部13b1、座板部材12の立上り片部12b、第二片部13b2等に挿通され、その先端側がかしめられる。
このように、新たな座板キャップ13を座板部材12に止着するために、座板部材12の座板キャップ係止部12b1は用いなくてもよい。
【0052】
なお、止着具14の他例としては、ネジ及びナット等の螺合部材を用いることも可能である。
さらに他例としては、止着具14を用いずに、座板キャップ13を、接着や、嵌合等によって座板部材12に対し止着固定することも可能である。
特に好ましい他例としては、座板キャップ13の第一被覆部13aを、座板部材12の鍔部12aに対し、係合及び/又は嵌合により固定する。
【0053】
次に、図9(e)に示すように、座板部材12を含む開閉体10の下端側を、開閉体幅方向外側(図示の右側)へ移動して元の通常位置に戻す。
【0054】
よって、上記した座板キャップ13及び座板キャップ13の装着方法によれば、既設の開閉体10の座板部材12に対し、座板キャップ13を容易に嵌め合わせて、止着固定することができる。
すなわち、座板キャップ13の交換作業を容易に行うことができる。
【0055】
<変形例>
上記構成において、座板キャップ13は、図10に示す座板キャップ13’に置換することが可能である。
座板キャップ13’は、上記座板キャップ13について、係合片部13cの付け根側に、係合片部13cの切断を容易にするための凹溝13c2を設けたものである。
凹溝13c2は、縦断面V字状の溝であり(図10(c)参照)、係合片部13cの幅狭部13c1における開閉体幅方向の幅の全長にわたって形成される。
【0056】
上記構成の座板キャップ13’によれば、係合片部13cを凹溝13c2に沿って折り曲げるようにして容易に切離することができる上、その際に形成される切断面の体裁が良好である。
【0057】
なお、上記実施態様の座板キャップは、縦断面逆T字状の座板部材12における幅方向の端部を覆うように形成したが、座板キャップの他例としては、縦断面矩形状等、図示例以外の縦断面形状の座板部材についてその端部を覆うように形成してもよい。
【0058】
また、上記実施態様では、上から下へ開閉体を閉鎖動作するシャッター装置に上記座板キャップを適用したが、他例としては、上記座板キャップの適用対象を、幅方向の上下方向とした開閉体を横方向へ閉鎖動作するシャッター装置や、幅方向を水平方向とした開閉体を横方向へ閉鎖動作するシャッター装置等とすることも可能である。
【0059】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0060】
1:シャッター装置
10:開閉体
12:座板部材
12a:鍔部
12b:立上り片部
12b1:座板キャップ係止部
13,13’:座板キャップ
13a:第一被覆部
13b:第二被覆部
13b1:第一片部
13b2:第二片部
13c:係合片部
20:ガイドレール
21:開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10