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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】パンタグラフ測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20240827BHJP
   B60L 5/22 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G01L5/00 Z
B60L5/22 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020184510
(22)【出願日】2020-11-04
(65)【公開番号】P2022074456
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雄史
(72)【発明者】
【氏名】下山 拓紀
(72)【発明者】
【氏名】中村 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】森田 晃
(72)【発明者】
【氏名】黄 勇
(72)【発明者】
【氏名】山田 尚生
【審査官】羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-150774(JP,A)
【文献】特開2007-274792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00-5/28
B60L 5/00-5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架線に接触する導電性の舟体と、前記舟体を支持する台枠とを備えるパンタグラフの状態を測定するパンタグラフ測定システムであって、
前記舟体の内部に配置されると共に、前記舟体の前記架線への追従動作に連動して変化する第1物理量を測定するように構成された少なくとも1つのセンサを備え、
前記少なくとも1つのセンサのグラウンド線は、前記舟体に電気的に接続される、パンタグラフ測定システム。
【請求項2】
請求項1に記載のパンタグラフ測定システムであって、
前記舟体又は前記台枠に配置されると共に、前記少なくとも1つのセンサの出力に基づいて第2物理量を演算するように構成された演算器と、
前記台枠に配置されると共に、前記演算器の出力を処理するように構成された処理回路と、
前記少なくとも1つのセンサの前記グラウンド線と前記処理回路のグラウンド線とを電気的に接続すると共に、インダクタ成分が配置された連結線と、
をさらに備える、パンタグラフ測定システム。
【請求項3】
請求項2に記載のパンタグラフ測定システムであって、
前記演算器は、前記舟体に配置される、パンタグラフ測定システム。
【請求項4】
請求項3に記載のパンタグラフ測定システムであって、
前記舟体に配置されると共に、前記演算器が演算した前記第2物理量を無線出力するように構成された通信回路をさらに備える、パンタグラフ測定システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のパンタグラフ測定システムであって、
前記少なくとも1つのセンサとしての第1センサ及び第2センサと、
前記第1センサと前記第2センサとに電気的に接続された連結グラウンド線と、
をさらに備え、
前記第1センサと前記第2センサとは、レールの幅方向における対称位置に配置され、
前記連結グラウンド線の中間点は、前記レールの幅方向における前記舟体の中間点に電気的に接続される、パンタグラフ測定システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のパンタグラフ測定システムであって、
前記少なくとも1つのセンサを囲うシールド部材をさらに備える、パンタグラフ測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パンタグラフ測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両は、架線に舟体を摺動させることで集電するパンタグラフを備える。パンタグラフにおいて舟体の架線への接触力が低下すると、鉄道車両の走行時に舟体が架線から離れやすくなる。そこで、舟体の内部にセンサを配置して、舟体の架線への接触力を測定する装置が考案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-328063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉄道車両の走行時には、舟体の離線に起因する火花の発生によって、舟体近傍には電磁的なノイズが発生する。そのため、舟体の内部に配置されたセンサは、ノイズの影響を大きく受ける。
【0005】
これに対し、集電用とは別に測定用パンタグラフを設け、この測定用パンタグラフにセンサを配置することでノイズの影響を避けられる。しかし、測定用パンタグラフを設けることによって、設備コストが大きくなる。
【0006】
本開示の一局面は、ノイズの影響を抑制しつつ、集電用パンタグラフの接触力を測定できるパンタグラフ測定システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、架線に接触する導電性の舟体と、舟体を支持する台枠とを備えるパンタグラフの状態を測定するパンタグラフ測定システムである。パンタグラフ測定システムは、舟体の内部に配置されると共に、舟体の架線への追従動作に連動して変化する第1物理量を測定するように構成された少なくとも1つのセンサを備える。少なくとも1つのセンサのグラウンド線は、舟体に電気的に接続される。
【0008】
このような構成によれば、舟体の内部に配置されたセンサのグラウンド線が舟体と同電位となるため、舟体がセンサのシールドとして機能する。また、センサのグラウンド線が短くなるため、グラウンド線におけるノイズの影響が抑制できる。その結果、集電用パンタグラフの舟体内部に接触力を測定するためのセンサを配置しつつ、舟体近傍で発生する電磁的なノイズの影響を抑制することができる。
【0009】
本開示の一態様は、舟体又は台枠に配置されると共に、少なくとも1つのセンサの出力に基づいて第2物理量を演算するように構成された演算器と、台枠に配置されると共に、演算器の出力を処理するように構成された処理回路と、少なくとも1つのセンサのグラウンド線と処理回路のグラウンド線とを電気的に接続すると共に、インダクタ成分が配置された連結線と、をさらに備えてもよい。このような構成によれば、センサから処理回路に向かって送られる信号におけるノイズを低減できる。
【0010】
本開示の一態様では、演算器は、舟体に配置されてもよい。このような構成によれば、舟体内部でセンサの出力がアナログからデジタルに変換されるため、ノイズの影響を低減しつつ台枠又は車両本体へ信号を伝送できる。
【0011】
本開示の一態様は、舟体に配置されると共に、演算器が演算した第2物理量を無線出力するように構成された通信回路をさらに備えてもよい。このような構成によれば、舟体から台枠又は車両本体への出力の伝送時における、ノイズの影響を最小限とすることができる。
【0012】
本開示の一態様は、少なくとも1つのセンサとしての第1センサ及び第2センサと、第1センサと第2センサとに電気的に接続された連結グラウンド線と、をさらに備えてもよい。第1センサと第2センサとは、レールの幅方向における対称位置に配置され、連結グラウンド線の中間点は、レールの幅方向における舟体の中間点に電気的に接続されてもよい。このような構成によれば、第1センサと第2センサとの間においてノイズの影響を均等にすることができる。
【0013】
本開示の一態様は、少なくとも1つのセンサを囲うシールド部材をさらに備えてもよい。このような構成によれば、集電電流によるセンサ出力へのノイズの重畳を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態におけるパンタグラフ測定システムの構成を概略的に示す模式図である。
図2図2は、図1のパンタグラフ測定システムにおけるグラウンド線の構成を概略的に示す模式図である。
図3図3は、図1とは異なる実施形態におけるパンタグラフ測定システムの構成を概略的に示す模式図である。
図4図4は、図1とは異なる実施形態におけるパンタグラフ測定システムの構成を概略的に示す模式図である。
図5図5は、シールド部材が配置された舟体の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示すパンタグラフ測定システム1は、鉄道車両に搭載されるパンタグラフ100の状態を測定する。
【0016】
<パンタグラフ>
パンタグラフ100は、鉄道車両の主電動機に供給される電力を架線200から集電する。パンタグラフ100は、舟体101と、舟支え102と、平衡リンク103と、台枠104と、風防105とを備える。
【0017】
舟体101は、導電性を有し、例えばアルミニウム等の金属で構成される。舟体101は、架線200に下方から接触する。舟支え102は、舟体101の下部に取り付けられている。
【0018】
平衡リンク103は、舟支え102と台枠104とを連結している。また、平衡リンク103は、舟支え102を回動可能に支持している。台枠104は、鉄道車両の屋根に取り付けられ、平衡リンク103及び舟支え102を介して舟体101を支持している。風防105は、台枠104を覆っている。
【0019】
舟体101は、台枠104に設けられたバネの弾性力によって、架線200に下方から押し当てられる。舟体101は、鉄道車両の走行時に、ガイシによって吊り下げられた架線200に追従するように上下方向に変位する。また、舟体101は台枠104と同電位とされている。
【0020】
<パンタグラフ測定システム>
パンタグラフ測定システム1は、第1加速度センサ2Aと、第2加速度センサ2Bと、第1歪みセンサ3Aと、第2歪みセンサ3Bと、演算器4と、処理回路7と、信号線11と、連結線12と、第1フェライトコア15Aと、第2フェライトコア15Bと、を備える。
【0021】
(センサ)
第1加速度センサ2A及び第2加速度センサ2Bは、それぞれ、舟体101の加速度を検出するように構成されている。
【0022】
舟体101の加速度は、舟体101の架線200への追従動作に連動して変化する第1物理量の1つである。第1加速度センサ2A及び第2加速度センサ2Bは、舟体101の内部において、レールの幅方向において左右対称の位置に配置されている。
【0023】
第1歪みセンサ3A及び第2歪みセンサ3Bは、それぞれ、舟体101の歪みを検出するように構成されている。
舟体101の歪みは、舟体101の架線200への追従動作に連動して変化する第1物理量の1つである。第1歪みセンサ3A及び第2歪みセンサ3Bは、舟体101の内部において、舟体101の天井部に配置されると共に、レールの幅方向において左右対称の位置に配置されている。
【0024】
第1加速度センサ2A、第2加速度センサ2B、第1歪みセンサ3A及び第2歪みセンサ3Bのアナログ出力は、平衡リンク103に敷設された信号線11によって演算器4に送られる。
【0025】
第1加速度センサ2A、第2加速度センサ2B、第1歪みセンサ3A及び第2歪みセンサ3Bそれぞれのグラウンド線は、舟体101に電気的に接続されている。つまり、第1加速度センサ2A、第2加速度センサ2B、第1歪みセンサ3A及び第2歪みセンサ3Bのシグナルグラウンドは、それぞれ、舟体101と同電位とされている。
【0026】
舟体101に流れる集電電流は数百Aの大きさであるため、僅かな抵抗値の差でも大きな電位差を生む。そのため、複数のセンサと舟体101との接続点は1か所であることが好ましい。
【0027】
本実施形態では、第1加速度センサ2Aと第2加速度センサ2Bとに電気的に接続された連結グラウンド線13のみが直接舟体101に電気的に接続されている。連結グラウンド線13の中間点は、レールの幅方向における舟体101の中間点に電気的に接続されている。
【0028】
連結グラウンド線13は、第1加速度センサ2Aのグラウンド線の一部と第2加速度センサ2Bのグラウンド線の一部とを構成している。第1歪みセンサ3A及び第2歪みセンサ3Bそれぞれのグラウンド線は、連結グラウンド線13に電気的に接続されることで、間接的に舟体101に接続されている。
【0029】
(演算器)
演算器4は、第1加速度センサ2A、第2加速度センサ2B、第1歪みセンサ3A及び第2歪みセンサ3Bの出力に基づいて、舟体101の架線200への接触力を演算するように構成された回路である。舟体101の架線200への接触力は、加速度センサ2A,2B及び/又は歪みセンサ3A,3Bの出力に基づいて演算される第2物理量の1つである。
【0030】
本実施形態では、演算器4は、処理回路7と共に、台枠104に配置されている。演算器4は、アンプ4Aと、計算回路4Bとを有する。
【0031】
アンプ4Aは、信号線11によって、第1加速度センサ2A、第2加速度センサ2B、第1歪みセンサ3A、及び第2歪みセンサ3Bと電気的に接続されている。アンプ4Aは、各センサのアナログ出力を増幅すると共に、デジタル信号に変換する。
【0032】
計算回路4Bは、アンプ4Aによって各センサの出力から変換された複数のデジタル信号から舟体101の架線200への接触力を算出し、処理回路7にデジタル信号として出力する。
【0033】
(処理回路)
処理回路7は、演算器4の出力を処理するように構成されている。具体的には、処理回路7は、演算器4の出力を、例えば位置センサ等の他の測定装置の出力と共に、無線又は有線によって鉄道車両内に配置された制御装置に送信する。
【0034】
(信号線)
信号線11は、第1加速度センサ2A、第2加速度センサ2B、第1歪みセンサ3A、及び第2歪みセンサ3Bのアナログ出力をそれぞれアンプ4Aに送信する複数の通信用ケーブルと、これらのセンサに電力を供給する電力ケーブルとを有する。また、信号線11は、クロック信号、計測開始のタイミング信号等のセンサ制御用の信号を各センサに伝送する。
【0035】
(連結線)
図2に示すように、連結線12は、第1加速度センサ2A、第2加速度センサ2B、第1歪みセンサ3A及び第2歪みセンサ3Bのグラウンド線(つまり連結グラウンド線13)と処理回路7のグラウンド線14とを電気的に接続している。連結線12は、信号線11と共に、平衡リンク103に敷設されている。
【0036】
連結線12には、インダクタ成分12Aが配置されている。また、処理回路7のグラウンド線14の連結線12との接続点よりも低圧側には、コンデンサ12Bが配置されている。インダクタ成分12Aとコンデンサ12Bとは、ローパスフィルタを構成している。
【0037】
インダクタ成分12Aとしては、連結線12に寄生するインダクタ成分、連結線12をコイル状に形成して得られるインダクタ成分、磁性体に連結線12を貫通させる又は磁性体に連結線12を巻き回すことによって得られるインダクタ成分等が挙げられる。
【0038】
インダクタ成分12Aによって、センサのグラウンド線における集電電流によるノイズが低減される。また、コンデンサ12Bは、主電動機への電力供給ラインのバイパスコンデンサとして機能する。
【0039】
(フェライトコア)
第1フェライトコア15Aは、舟体101内に配置されている。第2フェライトコア15Bは、舟支え102内に配置されている。
【0040】
連結線12は、信号線11と共に、第1フェライトコア15A及び第2フェライトコア15Bを貫通している。第1フェライトコア15A及び第2フェライトコア15Bにより、連結線12にインダクタ成分12Aが配置される。
【0041】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)舟体101の内部に配置されたセンサのグラウンド線が舟体101と同電位となるため、舟体101がセンサのシールドとして機能する。また、センサのグラウンド線が短くなるため、グラウンド線におけるノイズの影響が抑制できる。その結果、集電用パンタグラフの舟体101内部に接触力を測定するためのセンサを配置しつつ、舟体101近傍で発生する電磁的なノイズの影響を抑制することができる。
【0042】
(1b)インダクタ成分12Aが配置された連結線12によって、センサから処理回路7に向かって送られる信号におけるノイズを低減できる。
【0043】
(1c)第1加速度センサ2Aと第2加速度センサ2Bとを電気的に接続する連結グラウンド線13の中間点と、舟体101のレールの幅方向における中間点とが電気的に接続されることで、レールの幅方向において対称位置に配置した第1加速度センサ2Aと第2加速度センサ2Bとの間、及び第1歪みセンサ3Aと第2歪みセンサ3Bとの間においてノイズの影響を均等にすることができる。
【0044】
[2.第2実施形態]
[2-1.構成]
図3に示すパンタグラフ測定システム1Aは、第1加速度センサ2Aと、第2加速度センサ2Bと、第1歪みセンサ3Aと、第2歪みセンサ3Bと、演算器4と、処理回路7と、信号線11と、連結線12とを備える。
【0045】
本実施形態のパンタグラフ測定システム1Aは、演算器4の配置を除いて、第1実施形態のパンタグラフ測定システム1と同じ構成を有する。
【0046】
本実施形態では、演算器4は、舟体101に配置されている。つまり、演算器4は、舟体101の内部で各センサからのアナログ出力を受け取り、演算した第2物理量をデジタル信号として信号線11を介して処理回路7に出力する。
【0047】
[2-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)舟体101内部でセンサの出力がアナログからデジタルに変換されるため、ノイズの影響を低減しつつ台枠104へ信号を伝送できる。なお、通信用ケーブルを太くすることでもノイズの影響を低減できるが、平衡リンク103のスペースの制限から通信用ケーブルの太さには限界がある。
【0048】
(2b)台枠104に信号をシリアル伝送することができるため、信号線11における通信用ケーブルの本数を削減することができる。これにより、舟支え102に設けられる信号線11挿通用の孔の径を小さくできる。また、通信用ケーブルの本数の削減に合わせて通信用ケーブルの太さを大きくすることで、ノイズ低減を促進できる。
【0049】
[3.第3実施形態]
[3-1.構成]
図4に示すパンタグラフ測定システム1Bは、第1加速度センサ2Aと、第2加速度センサ2Bと、第1歪みセンサ3Aと、第2歪みセンサ3Bと、演算器4と、通信回路5と、バッテリ6と、処理回路7と、アンテナ回路8とを備える。
【0050】
本実施形態のパンタグラフ測定システム1Bは、第2実施形態のパンタグラフ測定システム1Aに対し、通信回路5、バッテリ6及びアンテナ回路8を追加した構成を有する。
【0051】
(通信回路)
通信回路5は、演算器4が演算した第2物理量を無線出力するように構成されている。通信回路5は、演算器4と共に舟体101に配置されている。演算器4から出力された信号は、通信回路5によってアンテナ回路8へ無線出力される。なお、通信回路5は、鉄道車両内に配置された制御装置に信号を無線出力してもよい。
【0052】
(バッテリ)
バッテリ6は、各センサ、演算器4及び通信回路5に電力を供給する。本実施形態では、バッテリ6による電力供給、及び通信回路5による無線伝送によって、平衡リンク103に敷設される信号線を省略できる。
【0053】
(アンテナ回路)
アンテナ回路8は、通信回路5が発信した信号を受信するように構成されている。アンテナ回路8は、受信した信号を処理回路7に送信する。
【0054】
[3-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(3a)演算器4が演算した第2物理量を信号線を介さずに無線出力することで、舟体101から台枠104又は車両本体への伝送時におけるノイズの影響を最小限とすることができる。
【0055】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0056】
(4a)上記実施形態のパンタグラフ測定システムは、図5に示すように、舟体101内に第1加速度センサ2A等の各種センサを囲うシールド部材9を備えてもよい。シールド部材9は、舟体101と同じ金属(例えばアルミニウム等)で構成される。シールド部材9により、集電電流によるセンサ出力へのノイズの重畳を低減できる。
【0057】
また、第2実施形態及び第3実施形態のように演算器4が舟体101に配置される場合は、シールド部材9によって少なくともアンプ4Aもセンサと共に囲うことでノイズの低減効果が高められる。
【0058】
(4b)上記実施形態のパンタグラフ測定システムは、必ずしも物理量を測定するセンサとして加速度センサ及び歪みセンサを備える必要はない。パンタグラフ測定システムは、加速度センサ及び歪みセンサ以外の物理量を測定するセンサを備えてもよい。
【0059】
(4c)上記実施形態のパンタグラフ測定システムにおいて、加速度センサ及び歪みセンサのグラウンド線は、舟体のレールの幅方向における中間点以外に電気的に接続されてもよい。また、各センサにおけるグラウンド線の構成は上述のものに限定されない。例えば、各センサのグラウンド線がそれぞれ舟体と直接接続されてもよい。
【0060】
(4d)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0061】
1,1A,1B…パンタグラフ測定システム、2A,2B…加速度センサ、
3A,3B…歪みセンサ、4…演算器、4A…アンプ、4B…計算回路、
5…通信回路、6…バッテリ、7…処理回路、8…アンテナ回路、9…シールド部材、
11…信号線、12…連結線、12A…インダクタ成分、12B…コンデンサ、
13…グラウンド線、14…グラウンド線、15A,15B…フェライトコア、
100…パンタグラフ、101…舟体、102…舟支え、103…平衡リンク、
104…台枠、105…風防、200…架線。
図1
図2
図3
図4
図5