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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】撮像素子および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240827BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20240827BHJP
   H04N 25/62 20230101ALI20240827BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H04N25/70
H04N25/62
G02B3/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020562898
(86)(22)【出願日】2019-11-12
(86)【国際出願番号】 JP2019044250
(87)【国際公開番号】W WO2020137203
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2018242282
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】尾辻 弘成
(72)【発明者】
【氏名】河野 広行
【審査官】田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-201061(JP,A)
【文献】特開2014-075445(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0731094(KR,B1)
【文献】国際公開第2018/173872(WO,A1)
【文献】特開2010-283082(JP,A)
【文献】国際公開第2018/211813(WO,A1)
【文献】特開2007-242857(JP,A)
【文献】特開2018-046145(JP,A)
【文献】国際公開第2014/156704(WO,A1)
【文献】特開2015-170620(JP,A)
【文献】特開2010-239003(JP,A)
【文献】特開2012-204354(JP,A)
【文献】特開2017-041474(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0122178(US,A1)
【文献】特開2007-158109(JP,A)
【文献】特開2013-004635(JP,A)
【文献】特開2001-094086(JP,A)
【文献】特開2015-167219(JP,A)
【文献】国際公開第2016/114154(WO,A1)
【文献】特開2005-011969(JP,A)
【文献】特開2011-146608(JP,A)
【文献】特開2004-356269(JP,A)
【文献】特開2016-201397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 25/70
H04N 25/62
G02B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの入射光を集光するオンチップレンズと、
半導体基板に形成され、前記集光された入射光の光電変換を行う光電変換部と、
前記半導体基板の入射光の入射側と反対側の面に形成され、前記半導体基板に形成された半導体素子を電気的に接合する配線を構成する配線層を有する配線領域と、
前記オンチップレンズおよび前記光電変換部の間に配置されて前記オンチップレンズを透過した入射光をさらに集光する複数の層内レンズと、を備える複数の画素を具備し、
前記複数の層内レンズは、自身の層内レンズの何れか1つを透過した前記入射光を前記光電変換部に入射させるものであって、自身の層内レンズのうちの1つを前記オンチップレンズの光軸上に配置したものであり、
前記複数の層内レンズとして、平面視において円形状の層内レンズ、および平面視において楕円形状の層内レンズを有する
撮像素子。
【請求項2】
被写体からの入射光を集光するオンチップレンズと、
半導体基板に形成され、前記集光された入射光の光電変換を行う光電変換部と、
前記半導体基板の入射光の入射側と反対側の面に形成され、前記半導体基板に形成された半導体素子を電気的に接合する配線を構成する配線層を有する配線領域と、
前記オンチップレンズおよび前記光電変換部の間に配置されて前記オンチップレンズを透過した入射光をさらに集光する複数の層内レンズと、を備える複数の画素を具備し、
前記複数の層内レンズは、自身の層内レンズの何れか1つを透過した前記入射光を前記光電変換部に入射させるものであって、自身の層内レンズのうちの1つを前記オンチップレンズの光軸上に配置したものであり、
各前記層内レンズは、平面視において矩形形状の層内レンズである
撮像素子。
【請求項3】
被写体からの入射光を集光するオンチップレンズと、
半導体基板に形成され、前記集光された入射光の光電変換を行う光電変換部と、
前記半導体基板の入射光の入射側と反対側の面に形成され、前記半導体基板に形成された半導体素子を電気的に接合する配線を構成する配線層を有する配線領域と、
前記オンチップレンズおよび前記光電変換部の間に配置されて前記オンチップレンズを透過した入射光をさらに集光する複数の層内レンズと、を備える複数の画素を具備し、
前記複数の層内レンズは、自身の層内レンズの何れか1つを透過した前記入射光を前記光電変換部に入射させるものであって、自身の層内レンズのうちの1つを前記オンチップレンズの光軸上に配置したものであり、
前記複数の層内レンズとして、平面視において中央部に開口部を有する円環状の層内レンズと、前記開口部に配置された平面視において円形状の層内レンズと、を有する
撮像素子。
【請求項4】
被写体からの入射光を集光するオンチップレンズと、
半導体基板に形成され、前記集光された入射光の光電変換を行う光電変換部と、
前記半導体基板の入射光の入射側と反対側の面に形成され、前記半導体基板に形成された半導体素子を電気的に接合する配線を構成する配線層を有する配線領域と、
前記オンチップレンズおよび前記光電変換部の間に配置されて前記オンチップレンズを透過した入射光をさらに集光する複数の層内レンズと、を備える複数の画素を具備し、
前記複数の層内レンズは、自身の層内レンズの何れか1つを透過した前記入射光を前記光電変換部に入射させるものであり、
前記複数の画素は、2次元格子状に配置されて画素アレイ部を構成するものであり、
前記複数の画素のうち、前記画素アレイ部の行方向の一側の端部に配置された画素は、前記行方向の一側に前記行方向の寸法が比較的小さな層内レンズを配置するとともに、前記行方向の一側と反対側である他側に前記行方向の寸法が比較的大きな層内レンズを配置し、
前記複数の画素のうち、前記行方向の前記他側の端部に配置された画素は、前記行方向の前記他側に前記行方向の寸法が比較的小さな層内レンズを配置するとともに、前記行方向の一側に前記行方向の寸法が比較的大きな層内レンズを配置している
撮像素子。
【請求項5】
被写体からの入射光を集光するオンチップレンズと、
半導体基板に形成され、前記集光された入射光の光電変換を行う光電変換部と、
前記半導体基板の入射光の入射側と反対側の面に形成され、前記半導体基板に形成された半導体素子を電気的に接合する配線を構成する配線層を有する配線領域と、
前記オンチップレンズを透過した入射光のうち所定の波長の光を透過するカラーフィルタと、を備える複数の画素を具備し、
前記カラーフィルタの配列として、赤色光、緑色光および青色光の各光を透過させるカラーフィルタからなる配列、または赤色光、緑色光、青色光および赤外光の各光を透過させるカラーフィルタからなる配列を有し、
前記複数の画素のうち、前記カラーフィルタとして、赤色光を透過させるカラーフィルタを有する画素のみに、または、赤色光を透過させるカラーフィルタを有する画素と赤外光を透過するカラーフィルタを有する画素の2種類の画素のみに、前記オンチップレンズおよび前記光電変換部の間に配置されて前記オンチップレンズを透過した入射光をさらに集光する複数の層内レンズを配置し、
前記複数の層内レンズは、自身の層内レンズの何れか1つを透過した前記入射光を前記光電変換部に入射させる
撮像素子。
【請求項6】
被写体からの入射光を集光するオンチップレンズと、
半導体基板に形成され、前記集光された入射光の光電変換を行う光電変換部と、
前記半導体基板の入射光の入射側と反対側の面に形成され、前記半導体基板に形成された半導体素子を電気的に接合する配線を構成する配線層を有する配線領域と、を備える複数の画素を具備し、
前記複数の画素は、前記被写体からの入射光を瞳分割して位相差を検出するための位相差画素を含み、
前記複数の画素のうち、前記位相差画素以外の画素のみに、前記オンチップレンズおよび前記光電変換部の間に配置されて前記オンチップレンズを透過した入射光をさらに集光する複数の層内レンズを配置し、
前記複数の層内レンズは、自身の層内レンズの何れか1つを透過した前記入射光を前記光電変換部に入射させる
撮像素子。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の撮像素子と、
前記光電変換部における光電変換に基づく画像信号を処理する処理回路と、を具備する
撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像素子および撮像装置に関する。詳しくは、オンチップレンズおよび層内レンズを備える撮像素子および当該撮像素子を備える撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入射光を画像信号に変換する画素が2次元格子状に配置された撮像素子において、裏面照射型の撮像素子が使用されている。この裏面照射型の撮像素子は、半導体基板の配線領域が形成された面(表面)とは異なる面である裏面側から半導体基板に入射光が照射される撮像素子である。表面側から入射光が照射される撮像素子と比較して、感度を向上させることができる。このような裏面照射型の撮像素子において、入射光が半導体基板において吸収されずに透過し、配線領域の配線層により反射される場合がある。特に、赤色光等の長波長の光は、半導体基板を透過しやすいため、配線層により反射される光量が増加する。この反射光が撮像素子の外部で反射されて他の画素に再度入射すると混色等を生じ画質が低下する。
【0003】
また、この反射光の光量が入射光の入射角度により変化すると画質がさらに低下する。他の画素に入射する反射光の光量が入射角度により変化し、画素の感度が変動するためである。この画質の低下を軽減するため、配線層の配線を画素の中心に対して対称な形状に構成する撮像素子が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この撮像素子においては、対称に構成された配線により、画素からの反射光の光量を入射角度に依らず一定にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-201397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術では、配線層からの入射光の反射を軽減することができず、画質の低下を防止することができないという問題がある。
【0006】
本開示は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、画質の低下を防止することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、上述の問題点を解消するためになされたものであり、その第1の態様は、被写体からの入射光を集光するオンチップレンズと、上記集光された入射光の光電変換を行う光電変換部と、上記オンチップレンズおよび上記光電変換部の間に配置されて上記オンチップレンズを透過した入射光をさらに集光する複数の層内レンズとを具備し、上記複数の層内レンズは、自身の層内レンズの何れか1つを透過した上記入射光を上記光電変換部に入射させる撮像素子である。
【0008】
また、この第1の態様において、上記複数の層内レンズは略同層に配置されてもよい。
【0009】
また、この第1の態様において、上記複数の層内レンズは、同時に形成されてもよい。
【0010】
また、この第1の態様において、上記オンチップレンズを透過した入射光のうち所定の波長の光を透過するカラーフィルタをさらに具備してもよい。
【0011】
また、この第1の態様において、上記カラーフィルタは、赤色光を透過してもよい。
【0012】
また、この第1の態様において、上記カラーフィルタは、赤外光を透過してもよい。
【0013】
また、この第1の態様において、上記複数の層内レンズは、自身の層内レンズのうちの1つが上記オンチップレンズの光軸上に配置されてもよい。
【0014】
また、この第1の態様において、上記複数の層内レンズは、それぞれ異なる形状に構成されてもよい。
【0015】
また、この第1の態様において、上記オンチップレンズ、上記光電変換部および上記複数の層内レンズを備える複数の画素を具備してもよい。
【0016】
また、この第1の態様において、上記複数の層内レンズは、上記画素の中心に対して非対称に配置されてもよい。
【0017】
また、この第1の態様において、上記オンチップレンズおよび上記光電変換部を備えて上記被写体からの入射光を瞳分割して位相差を検出するための位相差画素をさらに具備してもよい。
【0018】
また、本開示の第2の態様は、被写体からの入射光を集光するオンチップレンズと、上記集光された入射光の光電変換を行う光電変換部と、上記オンチップレンズおよび上記光電変換部の間に配置されて上記オンチップレンズを透過した入射光をさらに集光する複数の層内レンズと、上記光電変換部における光電変換に基づく画像信号を処理する処理回路とを具備し、上記複数の層内レンズは、自身の層内レンズの何れか1つを透過した上記入射光を上記光電変換部に入射させる撮像装置である。
【0019】
このような態様を採ることにより、オンチップレンズを透過した入射光が、複数の層内レンズにより個別に集光されるという作用をもたらす。入射光の光電変換部におけるそれぞれ異なる位置への集光が想定される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の実施の形態に係る撮像素子の構成例を示す図である。
図2】本開示の実施の形態に係る画素の構成例を示す図である。
図3】本開示の第1の実施の形態に係る画素の構成例を示す平面図である。
図4】本開示の実施の形態に係る画素の構成例を示す断面図である。
図5】従来の画素における入射光の光路を示す図である。
図6】本開示の第1の実施の形態に係る画素における入射光の光路の一例を示す図である。
図7】本開示の実施の形態に係る撮像素子の製造方法の一例を示す図である。
図8】本開示の実施の形態に係る撮像素子の製造方法の一例を示す図である。
図9】本開示の第2の実施の形態に係る画素の構成例を示す平面図である。
図10】本開示の第3の実施の形態に係る画素の第1の構成例を示す平面図である。
図11】本開示の第3の実施の形態に係る画素の第2の構成例を示す平面図である。
図12】本開示の第3の実施の形態に係る画素の第3の構成例を示す平面図である。
図13】本開示の第3の実施の形態に係る画素の第4の構成例を示す平面図である。
図14】本開示の第4の実施の形態に係る画素の構成例を示す平面図である。
図15】本開示の第4の実施の形態に係る画素における入射光の光路の一例を示す図である。
図16】本開示の第5の実施の形態に係る画素の構成例を示す平面図である。
図17】本開示の第5の実施の形態に係る画素の他の構成例を示す平面図である。
図18】本開示の第6の実施の形態に係る画素アレイ部の構成例を示す平面図である。
図19】本技術が適用され得る撮像装置の一例であるカメラの概略的な構成例を示すブロック図である。
図20】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図21】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
図22】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図23】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、図面を参照して、本開示を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)を説明する。以下の図面において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。また、以下の順序で実施の形態の説明を行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.第3の実施の形態
4.第4の実施の形態
5.第5の実施の形態
6.第6の実施の形態
7.カメラへの応用例
8.内視鏡手術システムへの応用例
9.移動体への応用例
【0022】
<1.第1の実施の形態>
[撮像素子の構成]
図1は、本開示の実施の形態に係る撮像素子の構成例を示す図である。同図の撮像素子1は、画素アレイ部10と、垂直駆動部20と、カラム信号処理部30と、制御部40とを備える。
【0023】
画素アレイ部10は、画素100が2次元格子状に配置されて構成されたものである。ここで、画素100は、照射された光に応じた画像信号を生成するものである。この画素100は、照射された光に応じた電荷を生成する光電変換部を有する。また画素100は、画素回路をさらに有する。この画素回路は、光電変換部により生成された電荷に基づく画像信号を生成する。画像信号の生成は、後述する垂直駆動部20により生成された制御信号により制御される。画素アレイ部10には、信号線11および12がXYマトリクス状に配置される。信号線11は、画素100における画素回路の制御信号を伝達する信号線であり、画素アレイ部10の行毎に配置され、各行に配置される画素100に対して共通に配線される。信号線12は、画素100の画素回路により生成された画像信号を伝達する信号線であり、画素アレイ部10の列毎に配置され、各列に配置される画素100に対して共通に配線される。これら光電変換部および画素回路は、半導体基板に形成される。
【0024】
垂直駆動部20は、画素100の画素回路の制御信号を生成するものである。この垂直駆動部20は、生成した制御信号を同図の信号線11を介して画素100に伝達する。カラム信号処理部30は、画素100により生成された画像信号を処理するものである。このカラム信号処理部30は、同図の信号線12を介して画素100から伝達された画像信号の処理を行う。カラム信号処理部30における処理には、例えば、画素100において生成されたアナログの画像信号をデジタルの画像信号に変換するアナログデジタル変換が該当する。カラム信号処理部30により処理された画像信号は、撮像素子1の画像信号として出力される。制御部40は、撮像素子1の全体を制御するものである。この制御部40は、垂直駆動部20およびカラム信号処理部30を制御する制御信号を生成して出力することにより、撮像素子1の制御を行う。制御部40により生成された制御信号は、信号線41および42により垂直駆動部20およびカラム信号処理部30に対してそれぞれ伝達される。なお、カラム信号処理部30は、請求の範囲に記載の処理回路の一例である。
【0025】
[画素の回路構成]
図2は、本開示の実施の形態に係る画素の構成例を示す図である。同図は、画素100の構成例を表す回路図である。同図の画素100は、光電変換部101と、電荷保持部102と、MOSトランジスタ103乃至106とを備える。
【0026】
光電変換部101のアノードは接地され、カソードはMOSトランジスタ103のソースに接続される。MOSトランジスタ103のドレインは、MOSトランジスタ104のソース、MOSトランジスタ105のゲートおよび電荷保持部102の一端に接続される。電荷保持部102の他の一端は、接地される。MOSトランジスタ104および105のドレインは電源線Vddに共通に接続され、MOSトランジスタ105のソースはMOSトランジスタ106のドレインに接続される。MOSトランジスタ106のソースは、信号線12に接続される。MOSトランジスタ103、104および106のゲートは、それぞれ転送信号線TR、リセット信号線RSTおよび選択信号線SELに接続される。なお、転送信号線TR、リセット信号線RSTおよび選択信号線SELは、信号線11を構成する。
【0027】
光電変換部101は、前述のように照射された光に応じた電荷を生成するものである。この光電変換部101には、フォトダイオードを使用することができる。また、電荷保持部102およびMOSトランジスタ103乃至106は、画素回路を構成する。
【0028】
MOSトランジスタ103は、光電変換部101の光電変換により生成された電荷を電荷保持部102に転送するトランジスタである。MOSトランジスタ103における電荷の転送は、転送信号線TRにより伝達される信号により制御される。電荷保持部102は、MOSトランジスタ103により転送された電荷を保持するキャパシタである。MOSトランジスタ105は、電荷保持部102に保持された電荷に基づく信号を生成するトランジスタである。MOSトランジスタ106は、MOSトランジスタ105により生成された信号を画像信号として信号線12に出力するトランジスタである。このMOSトランジスタ106は、選択信号線SELにより伝達される信号により制御される。
【0029】
MOSトランジスタ104は、電荷保持部102に保持された電荷を電源線Vddに排出することにより電荷保持部102をリセットするトランジスタである。このMOSトランジスタ104によるリセットは、リセット信号線RSTにより伝達される信号により制御され、MOSトランジスタ103による電荷の転送の前に実行される。なお、このリセットの際、MOSトランジスタ103を導通させることにより、光電変換部101のリセットも行うことができる。このように、画素回路は、光電変換部101により生成された電荷を画像信号に変換する。
【0030】
[画素の構成]
図3は、本開示の第1の実施の形態に係る画素の構成例を示す平面図である。同図は、画素アレイ部10に配置された画素100の構成例を表す図である。同図において実線の矩形は画素100を表し、点線の矩形は光電変換部101を構成するn型半導体領域111を表し、2点鎖線の円はオンチップレンズ180を表し、実線の円は層内レンズ160を表す。
【0031】
オンチップレンズ180は、画素100の最外層に配置され、被写体からの入射光を光電変換部101に集光するレンズである。
【0032】
層内レンズ160は、オンチップレンズ180および光電変換部101の間に配置され、オンチップレンズ180により集光された入射光をさらに集光するレンズである。この層内レンズ160は、画素100毎に複数配置される。同図の画素100は、9個の層内レンズ160が格子状に配置される例を表したものである。なお、配置された複数の層内レンズ160には、隙間169が形成される。この隙間169を通過する入射光は、層内レンズ160を透過することなく光電変換部101に照射される。画素100の構成の詳細については後述する。
【0033】
なお、画素100には、カラーフィルタ172(不図示)が配置される。このカラーフィルタ172は、入射光のうち所定の波長の光を透過する光学的なフィルタである。カラーフィルタ172として、例えば、赤色光、緑色光および青色光を透過するカラーフィルタを各画素100に配置することができる。同図の文字は、画素100に配置されるカラーフィルタ172の種類を表す。具体的には、「R」、「G」および「B」はそれぞれ赤色光、緑色光および青色光に対応するカラーフィルタ172が配置されることを表す。これらのカラーフィルタ172は、例えば、ベイヤー配列に配置することができる。ここで、ベイヤー配列とは、緑色光に対応するカラーフィルタ172を市松形状に配置し、赤色光および青色光に対応するカラーフィルタ172を緑色光に対応するカラーフィルタ172の間に配置する配列方法である。同図に表した2行2列の4つの画素100が縦横に連続して配置されて、画素アレイ部10が構成される。
【0034】
[画素の断面の構成]
図4は、本開示の実施の形態に係る画素の構成例を示す断面図である。同図は、画素アレイ部10に配置された画素100の構成例を表す断面図である。また、同図は、図3におけるA-A’線に沿った撮像素子1(画素アレイ部10)の断面図である。同図の画素100は、半導体基板110と、配線領域130と、支持基板140と、絶縁膜120と、遮光膜150と、層内レンズ160と、平坦化膜171と、カラーフィルタ172と、オンチップレンズ180とを備える。
【0035】
半導体基板110は、図2において説明した画素回路を構成する素子の半導体領域が形成される半導体の基板である。同図においては、これらの素子のうち光電変換部101およびMOSトランジスタ103を記載した。同図の半導体基板110は、ウェル領域を構成するp型半導体領域112およびp型半導体領域112の内部に形成されるn型半導体領域111を備える。このn型半導体領域111により、光電変換部101が構成される。具体的には、n型半導体領域111とn型半導体領域111の周囲のp型半導体領域112とによるpn接合部がフォトダイオードとして動作する。このpn接合部に入射光が照射されると、光電変換により電荷が生成され、n型半導体領域111に蓄積される。
【0036】
前述のように、n型半導体領域111に蓄積された電荷は、MOSトランジスタ103により転送される。同図のMOSトランジスタ103は、n型半導体領域111をソース領域とし、p型半導体領域112をチャネル領域とするMOSトランジスタである。このMOSトランジスタ103は、ゲート電極133を備える。半導体基板110は、例えば、シリコン(Si)により構成することができる。また、半導体基板110には、図1において説明した垂直駆動部20等を配置することもできる。
【0037】
配線領域130は、半導体基板110の表面に形成されて半導体基板110に形成された半導体素子を電気的に接合する配線が形成される領域である。配線領域130には、配線層132および絶縁層131が配置される。配線層132は上述の配線を構成するものである。この配線層132は、例えば、銅(Cu)やタングステン(W)により形成することができる。絶縁層131は、配線層132を絶縁するものである。この絶縁層131は、例えば、酸化シリコン(SiO)や窒化シリコン(SiN)により構成することができる。また、配線領域130には、上述のゲート電極133がさらに配置される。
【0038】
支持基板140は、撮像素子1を支持する基板である。この支持基板140は、半導体ウェハ等により構成され、主に撮像素子1の製造の際に撮像素子1の強度を向上させる基板である。
【0039】
絶縁膜120は、半導体基板110の裏面側を絶縁し、保護する膜である。この絶縁膜120は、例えばSiO等の酸化物により構成することができる。
【0040】
遮光膜150は、画素100同士の境界近傍に配置され、隣接する画素100から斜めに入射する入射光を遮光する膜である。図3において説明したように隣接する画素100には、異なる光に対応するカラーフィルタ172が配置される。この隣接する画素100の異なる種類のカラーフィルタ172を透過した入射光が光電変換部101に照射されると混色を生じ、画質が低下する。遮光膜150を配置して隣接する画素100からの入射光を遮光することにより、この混色を防ぐことができる。遮光膜150には、画素100の中央部に開口部151が配置される。この開口部151を介して入射光が光電変換部101に照射される。遮光膜150には、例えば、Wにより構成された膜を使用することができる。
【0041】
層内レンズ160は、画素100の内層に形成されて入射光を集光するレンズである。同図の半球形状の凸部が1つの層内レンズ160に相当する。前述のように、層内レンズ160は、画素100に複数配置される。これらの層内レンズ160は、画素100における入射光の光路に対して並列に配置される。具体的には、複数の層内レンズ160は、それらのうちの1つの層内レンズ160を透過した入射光が光電変換部101に到達する構成に配置される。入射光が複数の層内レンズ160を透過することなく光電変換部101に到達する。同図においては、複数の層内レンズ160は略同層に配置される。このように層内レンズ160を同層に配置する場合には、これらの層内レンズ160を同時に形成することもできる。なお、複数の層内レンズ160のうちの1つの層内レンズ160を透過した入射光が光電変換部101に到達する構成であれば、複数の層内レンズ160を異なる層に形成することもできる。
【0042】
層内レンズ160は、高屈折率の無機物や樹脂により構成することができる。例えば、SiNや酸窒化シリコン(SiON)により層内レンズ160を構成することができる。また、それぞれの層内レンズ160は、例えば、直径が0.8μm乃至1.0μmの大きさに構成することができる。同図の層内レンズ160は、下層部が共通の膜により形成される例を表したものである。層内レンズ160の下層部は、遮光膜150が形成された撮像素子1の裏面の平坦化を行う。
【0043】
平坦化膜171は、層内レンズ160が形成された撮像素子1の裏面を平坦化するものである。この平坦化膜171は、例えば、樹脂により構成することができる。平坦化膜171の上層にカラーフィルタ172およびオンチップレンズ180が積層される。
【0044】
同図の撮像素子1は、半導体基板110の裏面側から入射光が照射される裏面照射型の撮像素子に該当する。同図の実線の矢印は、裏面から照射される入射光を表したものである。このようにオンチップレンズ180および層内レンズ160を透過した入射光が半導体基板110のn型半導体領域111に到達し、光電変換が行われる。しかし、半導体基板110に入射した光の一部は光電変換に寄与せずに半導体基板110を透過し、配線領域130に到達する。同図の破線の矢印は、入射光が半導体基板110を透過する様子を表したものである。この透過光が配線層132により反射されて画素100の外部に放出されると、迷光となる。この迷光が撮像素子1の外部の筐体等により反射されて他の画素100に再度入射して光電変換されると画像信号にノイズを生じることとなり、画質が低下する。そこで、同図の画素100においては、複数の層内レンズ160を配置することにより、配線層132からの反射光を低減する。
【0045】
[入射光の光路]
図5は、従来の技術に係る画素における入射光の光路を示す図である。同図は、比較例として、1つの層内レンズ160が配置された画素における入射光の光路を表した図であり、オンチップレンズ180、層内レンズ160、n型半導体領域111および配線層132の概略を表した図である。同図の実線の矢印は、赤色光等の比較的波長が長い入射光を表し、点線の矢印は青色光等の比較的波長が短い入射光を表す。これらの入射光は、オンチップレンズ180および層内レンズ160により集光されて光電変換部101(n型半導体領域111)に到達する。2つのレンズにより集光されるため焦点距離が短縮され、撮像素子1を低背化することができる。しかし、入射光がn型半導体領域111において吸収されない場合、すなわち光電変換されない場合には、n型半導体領域111を透過して配線領域130の配線層132に到達して反射される。
【0046】
比較的波長が短い入射光は、n型半導体領域111の浅い位置に焦点が形成される。n型半導体領域111において吸収されない場合には、拡散して配線領域130の配線層132に到達する。これに対し、比較的波長が長い入射光は、n型半導体領域111の深い位置に焦点が形成される。このため、比較的波長が長い入射光がn型半導体領域111において吸収されない場合には、破線の矢印により表したように比較的狭い範囲に集中したまま配線層132に到達して反射される。このため、波長が長い入射光ほど強い反射を生じることとなる。
【0047】
図6は、本開示の第1の実施の形態に係る画素における入射光の光路の一例を示す図である。同図のオンチップレンズ180を透過した入射光は、複数(同図においては3つ)の層内レンズ160a、160bおよび160cによりそれぞれ集光されてn型半導体領域111に照射される。また、2つの層内レンズ160が接する領域に照射された入射光は、これら2つの層内レンズ160の間において反射を繰り返した後にn型半導体領域111に照射される。このように、入射光は、層内レンズ160により分散されてn型半導体領域111に照射される。入射光がn型半導体領域111において吸収されない場合には、広く分散した状態において配線層132に到達することとなり、反射光を減少させることができる。また、入射光が分散するため、配線層132のレイアウトの自由度を向上させることができる。例えば、光電変換部101の中央部の直下に配線層132を配置することもできる。
【0048】
また、同図の層内レンズ160bのように、複数の層内レンズ160のうちの1つが画素100の中央部に配置される構成にすると好適である。具体的には、オンチップレンズ180の光軸上に複数の層内レンズ160のうちの1つを配置する。オンチップレンズ180を透過した入射光は画素100の中央部に集められるため、オンチップレンズ180を透過した多くの入射光を層内レンズ160に透過させることができる。オンチップレンズ180の光軸上に隙間169が配置される場合と比較して、入射光をより分散させることができる。
【0049】
[撮像素子の製造方法]
図7および8は、本開示の実施の形態に係る撮像素子の製造方法の一例を示す図である。同図は、撮像素子1の製造工程の一例を表した図である。同図においては、画素100の構成を簡略化して記載した。
【0050】
まず、p型半導体領域112およびn型半導体領域111を形成した半導体基板110に配線領域130を形成する。次に、支持基板140を接着し、半導体基板110の天地を反転させて半導体基板110の裏面を研削して薄肉化する。次に、半導体基板110の裏面に絶縁膜120および遮光膜150を配置する(図7におけるA)。
【0051】
次に、半導体基板110の裏面に層内レンズ160の材料であるレンズ材401を配置する。これは、例えば、SiN等のレンズ材をCVD(Chemical Vapor Deposition)等を用いて成膜することにより形成することができる(図7におけるB)。
【0052】
次に、レンズ材401の上にレジスト402を積層する。例えば、このレジスト402には、フォトレジストを採用し、レンズ材401の上に塗布することにより形成することができる(図7におけるC)。
【0053】
次に、層内レンズ160と同様の形状のレジスト403を形成する。これは、例えば、リソグラフィ技術により円筒または立方体形状にレジスト402をパターニングする。その後、リフロー炉等を使用してパターニングしたレジスト402を溶解させることにより形成することができる(図8におけるD)。
【0054】
次に、レジスト403をマスクとしてドライエッチングを行う。これにより、レジスト403の形状がレンズ材401に転写され、半球形状の層内レンズ160が形成される(図8におけるE)。なお、図7および8は、複数の層内レンズ160を同時に形成する場合の例を表したものである。
【0055】
以上説明したように、本開示の第1の実施の形態の撮像素子1は、複数の層内レンズ160を配置することにより、オンチップレンズ180を透過した入射光を分散させて光電変換部101に照射させる。これにより、配線層132からの反射光を低減し、画質の低下を防止することができる。
【0056】
<2.第2の実施の形態>
上述の第1の実施の形態の撮像素子1は、9個の層内レンズ160が配置されていた。これに対し、本開示の第2の実施の形態の撮像素子1は、異なる個数の層内レンズ160が配置される点で、上述の第1の実施の形態と異なる。
【0057】
[画素の構成]
図9は、本開示の第2の実施の形態に係る画素の構成例を示す平面図である。同図は、図3と同様に、画素100の構成例を表す図である。以下、図3と同一の構成要素については、符号の記載を省略する。
【0058】
同図におけるAは、4つの層内レンズ160が配置される例を表したものである。また、同図におけるBは、16個の層内レンズ160が配置される例を表したものである。このように、2つ以上の任意の個数の層内レンズ160を画素100に配置することができる。より多くの層内レンズ160を配置することにより、層内レンズ160の間の隙間169を小さくすることができ、より多くの入射光を分散させることができる。撮像素子1の製造プロセスにおける層内レンズ160の加工精度に応じた個数の層内レンズ160を配置することができる。
【0059】
また、同図におけるCは、比較的小径の9個の層内レンズ160を画素100の中央部近傍に配置した場合の例を表したものである。この場合においても、隙間169を小さくすることができる。
【0060】
これ以外の撮像素子1の構成は本開示の第1の実施の形態において説明した撮像素子1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0061】
以上説明したように、本開示の第2の実施の形態の撮像素子1は、2以上の任意の層内レンズ160を加工精度に応じて配置することができる。
【0062】
<3.第3の実施の形態>
上述の第1の実施の形態の撮像素子1は、平面視において円形状の層内レンズ160を配置していた。これに対し、本開示の第3の実施の形態の撮像素子1は、異なる形状の層内レンズを配置する点で、上述の第1の実施の形態と異なる。
【0063】
[画素の構成1]
図10は、本開示の第3の実施の形態に係る画素の第1の構成例を示す平面図である。同図は、図3と同様に画素100の構成例を表す図である。円形状の以外の形状の層内レンズが配置される点で、図3において説明した画素100と異なる。同図におけるAは、層内レンズ160のほかに平面視において楕円形状の層内レンズ161が配置される例を表したものである。また、同図におけるBは、層内レンズ160および161の他の配置例を表したものである。このようにそれぞれ異なる形状の層内レンズ160および161を画素100に配置することができる。
【0064】
[画素の構成2]
図11は、本開示の第3の実施の形態に係る画素の第2の構成例を示す平面図である。同図は、層内レンズ161または、層内レンズ160および161を配置するとともに大きさを最適化して隙間169が小さくなるように配置した例を表したものである。同図におけるAは、2つの層内レンズ161が配置される例を表したものである。また、同図におけるBおよびCは、層内レンズ160および161が配置される例を表したものである。同図の何れの配置においても、図10の層内レンズ160および161の配置より隙間169を狭くすることができる。
【0065】
[画素の構成3]
図12は、本開示の第3の実施の形態に係る画素の第3の構成例を示す平面図である。同図は、平面視において矩形形状の層内レンズ162を配置する例を表したものである。また、同図におけるBは、平面視において正方形および長方形の形状の層内レンズ162を組み合わせて配置した場合の例を表したものである。このように、矩形形状の層内レンズ162を配置することにより、円形状の層内レンズ160を配置する場合と比較して、隙間169を狭くすることができる。
【0066】
[画素の構成4]
図13は、本開示の第3の実施の形態に係る画素の第4の構成例を示す平面図である。同図におけるAは層内レンズ163および層内レンズ160が配置される例を表したものであり、同図におけるBは層内レンズの断面の形状を表す図である。層内レンズ163は、平面視において中央部に開口部を有する層内レンズであり、円環体を厚さ方向に2分した形状の層内レンズである。同図の層内レンズ160は、層内レンズ163の開口部に配置される。このように、層内レンズ160および163を組み合わせて配置することにより、隙間169をより小さくすることができる。
【0067】
これ以外の撮像素子1の構成は本開示の第1の実施の形態において説明した撮像素子1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0068】
以上説明したように、本開示の第3の実施の形態の撮像素子1は、異なる形状の層内レンズ160乃至163を配置することにより、隙間169を小さくすることができ、より多くの入射光を分散させることができる。
【0069】
<4.第4の実施の形態>
上述の第1の実施の形態の撮像素子1は、画素100の中心に対して対称に配置された層内レンズ160を使用していた。これに対し、本開示の第4の実施の形態の撮像素子1は、画素100の中心に対して非対称な配置の層内レンズを使用する点で、上述の第1の実施の形態と異なる。
【0070】
[画素の構成]
図14は、本開示の第4の実施の形態に係る画素の構成例を示す平面図である。同図は、図3と同様に画素100の構成例を表す図である。同図の画素は、層内レンズの配置が画素の中心に対して非対称に配置される点で、図3において説明した画素100と異なる。同図の画素(画素201および202)は、大きさが異なる層内レンズ161を4つ配置した例を表したものである。具体的には、同図の画素は、比較的大きな層内レンズ161aと比較的小さな層内レンズ161bとを2つずつ配置する。これにより、層内レンズ161が画素100の中心に対して非対称の形状に配置され、入射光の分散を非対称にすることができる。同図におけるAの画素201および同図におけるBの画素202は層内レンズ161aおよび161bの配置を互いに180度変更して構成したものである。これらの画素201および202を図1において説明した画素アレイ部10の端部に配置する。具体的には、同図におけるAの画素201を画素アレイ部10の右端に配置し、同図におけるBの画素202を画素アレイ部10の左端に配置する。画素アレイ部10の端部の画素には、被写体の像高に応じて入射光が斜に照射される。そこで、層内レンズ161を非対称に配置することにより像高の影響を軽減することができる。
【0071】
[入射光の光路]
図15は、本開示の第4の実施の形態に係る画素における入射光の光路の一例を示す図である。同図は、画素201における入射光の光路を表した図である。前述のように画素201は、画素アレイ部10の右端に配置される。このため、画素201への入射光は、図面左上から斜めに入射する。そこで、複数の層内レンズ161を画素201における同図の右側に遷移して配置するとともに左側の層内レンズ161を横長に構成する。これにより、斜の入射光を画素201の中央部に集光するとともに分散させることができる。
【0072】
これ以外の撮像素子1の構成は本開示の第1の実施の形態において説明した撮像素子1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0073】
以上説明したように、本開示の第4の実施の形態の撮像素子1は、画素の中心に対して非対称な配置の層内レンズを備えることにより、斜めに入射する入射光を画素の中央部に集光するとともに画素内において分散させることができる。
【0074】
<5.第5の実施の形態>
上述の第1の実施の形態の撮像素子1は、画素アレイ部10の全ての画素100に層内レンズ160を配置していた。これに対し、本開示の第5の実施の形態の撮像素子1は、長波長の入射光に対応するカラーフィルタ172が配置される画素100に層内レンズ160を配置する点で、上述の第1の実施の形態と異なる。
【0075】
[画素の構成]
図16は、本開示の第5の実施の形態に係る画素の構成例を示す平面図である。同図の画素100は、赤色光に対応するカラーフィルタ172が配置される画素100に層内レンズ160が配置される点で、図3において説明した画素100と異なる。前述のように赤色光は波長が長いため、半導体基板110の深部に到達する。このため、配線層132による反射光が増加する。一方、波長が短い緑色光や青色光は、半導体基板110の比較的浅い領域に集光される。このため、配線層132による反射光は比較的少なくなる。そこで、赤色光に対応するカラーフィルタ172が配置される画素100に層内レンズ160を配置し、緑色光および青色光に対応するカラーフィルタ172が配置される画素100の層内レンズ160を省略する。これにより、撮像素子1の構成を簡略化することができる。
【0076】
[画素の他の構成]
図17は、本開示の第5の実施の形態に係る画素の他の構成例を示す平面図である。同図は、赤外光に対応するカラーフィルタ172が配置される画素100をさらに備える点で、図3において説明した画素100と異なる。この赤外光に対応するカラーフィルタ172とは、赤外光を透過するカラーフィルタ172である。同図においては、「IR」が付された画素100が赤外光に対応するカラーフィルタ172を表す。赤外光に対応するカラーフィルタ172が配置される画素100は、ベイヤー配列における2つの緑色光に対応するカラーフィルタ172が配置される画素100のうちの1つに割り当てることができる。波長が長い赤外光に対応するカラーフィルタ172が配置される画素100においても層内レンズ160を配置し、入射光を分散させることができる。
【0077】
これ以外の撮像素子1の構成は本開示の第1の実施の形態において説明した撮像素子1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0078】
以上説明したように、本開示の第5の実施の形態の撮像素子1は、入射光の波長に応じて画素に層内レンズ160を配置することにより、撮像素子1の構成を簡略化することができる。
【0079】
<6.第6の実施の形態>
上述の第1の実施の形態の撮像素子1は、画素100のみが画素アレイ部10に配置されていた。これに対し、本開示の第6の実施の形態の撮像素子1は、被写体の像面位相差を検出するための位相差画素がさらに配置される点で、上述の第1の実施の形態と異なる。
【0080】
[画素アレイ部の構成]
図18は、本開示の第6の実施の形態に係る画素アレイ部の構成例を示す平面図である。同図の画素アレイ部10は、画素100のほかに位相差画素300が配置される点で、図3において説明した画素アレイ部10と異なる。ここで位相差画素300とは、被写体の像面位相差を検出するための画素である。撮像素子1は、外部に配置された撮影レンズとともに使用され、この撮影レンズにより被写体が撮像素子1の画素アレイ部10に結像される。この際の結像された被写体の位相差を検出することにより、被写体の焦点位置を検出することができ、撮影レンズの位置を調整するオートフォーカスを行うことが可能となる。
【0081】
同図には、遮光膜150の配置を記載した。同図に表したように、位相差画素300には、開口部151の代わりに開口部152を有する遮光膜150が配置される。これにより、位相差画素300は、遮光膜150が光電変換部101の左半分または右半分を覆うように配置される。同図においては、位相差画素300aおよび300bにおいて、遮光膜150により光電変換部101の左半分および右半分がそれぞれ遮光される。これにより、これらの位相差画素300aおよび300bにおいてそれぞれ撮影レンズの左側および右側を透過した入射光が光電変換部101に到達し、それぞれの画像信号が生成される。このような処理は、瞳分割と称される。このような位相差画素300aおよび300bが画素アレイ部10に複数配置される。これら複数の位相差画素300aおよび300bにより生成されたそれぞれの画像信号に基づいて2つの画像を生成する。次に、これら2つの画像の位相差を検出することにより、撮影レンズの焦点位置を検出することができる。
【0082】
これらの位相差画素300においては、層内レンズ160を省略することにより、瞳分割の精度を向上させることができる。層内レンズ160により瞳分割に係る入射光が分散されないためである。位相差の検出の誤差を軽減することができる。
【0083】
これ以外の撮像素子1の構成は本開示の第1の実施の形態において説明した撮像素子1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0084】
以上説明したように、本開示の第6の実施の形態の撮像素子1は、像面位相差を検出する場合において、画素100における入射光分散させるとともに位相差画素300による位相差検出の誤差を軽減することができる。
【0085】
<7.カメラへの応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品に応用することができる。例えば、本技術は、カメラ等の撮像装置に搭載される撮像素子として実現されてもよい。
【0086】
図19は、本技術が適用され得る撮像装置の一例であるカメラの概略的な構成例を示すブロック図である。同図のカメラ1000は、レンズ1001と、撮像素子1002と、撮像制御部1003と、レンズ駆動部1004と、画像処理部1005と、操作入力部1006と、フレームメモリ1007と、表示部1008と、記録部1009とを備える。
【0087】
レンズ1001は、カメラ1000の撮影レンズである。このレンズ1001は、被写体からの光を集光し、後述する撮像素子1002に入射させて被写体を結像させる。
【0088】
撮像素子1002は、レンズ1001により集光された被写体からの光を撮像する半導体素子である。この撮像素子1002は、照射された光に応じたアナログの画像信号を生成し、デジタルの画像信号に変換して出力する。
【0089】
撮像制御部1003は、撮像素子1002における撮像を制御するものである。この撮像制御部1003は、制御信号を生成して撮像素子1002に対して出力することにより、撮像素子1002の制御を行う。また、撮像制御部1003は、撮像素子1002から出力された画像信号に基づいてカメラ1000におけるオートフォーカスを行うことができる。ここでオートフォーカスとは、レンズ1001の焦点位置を検出して、自動的に調整するシステムである。このオートフォーカスとして、撮像素子1002に配置された位相差画素により像面位相差を検出して焦点位置を検出する方式(像面位相差オートフォーカス)を使用することができる。また、画像のコントラストが最も高くなる位置を焦点位置として検出する方式(コントラストオートフォーカス)を適用することもできる。撮像制御部1003は、検出した焦点位置に基づいてレンズ駆動部1004を介してレンズ1001の位置を調整し、オートフォーカスを行う。なお、撮像制御部1003は、例えば、ファームウェアを搭載したDSP(Digital Signal Processor)により構成することができる。
【0090】
レンズ駆動部1004は、撮像制御部1003の制御に基づいて、レンズ1001を駆動するものである。このレンズ駆動部1004は、内蔵するモータを使用してレンズ1001の位置を変更することによりレンズ1001を駆動することができる。
【0091】
画像処理部1005は、撮像素子1002により生成された画像信号を処理するものである。この処理には、例えば、画素毎の赤色、緑色および青色に対応する画像信号のうち不足する色の画像信号を生成するデモザイク、画像信号のノイズを除去するノイズリダクションおよび画像信号の符号化等が該当する。画像処理部1005は、例えば、ファームウェアを搭載したマイコンにより構成することができる。
【0092】
操作入力部1006は、カメラ1000の使用者からの操作入力を受け付けるものである。この操作入力部1006には、例えば、押しボタンやタッチパネルを使用することができる。操作入力部1006により受け付けられた操作入力は、撮像制御部1003や画像処理部1005に伝達される。その後、操作入力に応じた処理、例えば、被写体の撮像等の処理が起動される。
【0093】
フレームメモリ1007は、1画面分の画像信号であるフレームを記憶するメモリである。このフレームメモリ1007は、画像処理部1005により制御され、画像処理の過程におけるフレームの保持を行う。
【0094】
表示部1008は、画像処理部1005により処理された画像を表示するものである。この表示部1008には、例えば、液晶パネルを使用することができる。
【0095】
記録部1009は、画像処理部1005により処理された画像を記録するものである。この記録部1009には、例えば、メモリカードやハードディスクを使用することができる。
【0096】
以上、本開示が適用され得るカメラについて説明した。本技術は以上において説明した構成のうち、撮像素子1002に適用され得る。具体的には、図1において説明した撮像素子1は、撮像素子1002に適用することができる。撮像素子1002に撮像素子1を適用することにより混色の発生が軽減され、カメラ1000により生成される画像の画質の低下を防止することができる。なお、画像処理部1005は、請求の範囲に記載の処理回路の一例である。カメラ1000は、請求の範囲に記載の撮像装置の一例である。
【0097】
なお、ここでは、一例としてカメラについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば監視装置等に適用されてもよい。
【0098】
<8.内視鏡手術システムへの応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0099】
図20は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0100】
図20では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0101】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0102】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0103】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0104】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0105】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0106】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0107】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0108】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0109】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0110】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0111】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0112】
図21は、図20に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0113】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0114】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0115】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0116】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0117】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0118】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0119】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0120】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0121】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0122】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0123】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0124】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0125】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0126】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0127】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0128】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0129】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部11402に適用され得る。具体的には、図1の撮像素子1は、撮像部10402に適用することができる。撮像部10402に本開示に係る技術を適用することにより、高画質の術部画像を得ることができるため、術者が術部を確実に確認することが可能になる。
【0130】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0131】
<9.移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0132】
図22は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0133】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図22に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0134】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0135】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0136】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0137】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0138】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0139】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0140】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0141】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0142】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図22の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0143】
図23は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0144】
図23では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0145】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0146】
なお、図23には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0147】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0148】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0149】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0150】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0151】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031等に適用され得る。具体的には、図1の撮像素子1は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、高画質の撮影画像を得ることができるため、ドライバの疲労を軽減することが可能になる。
【0152】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本開示の一例であり、本開示は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【0153】
また、上述の実施の形態における図面は、模式的なものであり、各部の寸法の比率等は現実のものとは必ずしも一致しない。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれることは勿論である。
【0154】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)被写体からの入射光を集光するオンチップレンズと、
前記集光された入射光の光電変換を行う光電変換部と、
前記オンチップレンズおよび前記光電変換部の間に配置されて前記オンチップレンズを透過した入射光をさらに集光する複数の層内レンズと
を具備し、
前記複数の層内レンズは、自身の層内レンズの何れか1つを透過した前記入射光を前記光電変換部に入射させる
撮像素子。
(2)前記複数の層内レンズは略同層に配置される前記(1)に記載の撮像素子。
(3)前記複数の層内レンズは、同時に形成される前記(2)に記載の撮像素子。
(4)前記オンチップレンズを透過した入射光のうち所定の波長の光を透過するカラーフィルタをさらに具備する前記(1)から(3)の何れかに記載の撮像素子。
(5)前記カラーフィルタは、赤色光を透過する前記(4)に記載の撮像素子。
(6)前記カラーフィルタは、赤外光を透過する前記(4)に記載の撮像素子。
(7)前記複数の層内レンズは、自身の層内レンズのうちの1つが前記オンチップレンズの光軸上に配置される前記(1)から(6)の何れかに記載の撮像素子。
(8)前記複数の層内レンズは、それぞれ異なる形状に構成される前記(1)から(7)の何れかに記載の撮像素子。
(9)前記オンチップレンズ、前記光電変換部および前記複数の層内レンズを備える複数の画素を具備する前記(1)から(8)の何れかに記載の撮像素子。
(10)前記複数の層内レンズは、前記画素の中心に対して非対称に配置される前記(9)に記載の撮像素子。
(11)前記オンチップレンズおよび前記光電変換部を備えて前記被写体からの入射光を瞳分割して位相差を検出するための位相差画素をさらに具備する前記(9)に記載の撮像素子。
(12)被写体からの入射光を集光するオンチップレンズと、
前記集光された入射光の光電変換を行う光電変換部と、
前記オンチップレンズおよび前記光電変換部の間に配置されて前記オンチップレンズを透過した入射光をさらに集光する複数の層内レンズと、
前記光電変換部における光電変換に基づく画像信号を処理する処理回路と
を具備し、
前記複数の層内レンズは、自身の層内レンズの何れか1つを透過した前記入射光を前記光電変換部に入射させる
撮像装置。
【符号の説明】
【0155】
1 撮像素子
10 画素アレイ部
30 カラム信号処理部
100、201、202 画素
101 光電変換部
111 n型半導体領域
132 配線層
150 遮光膜
160、160a、160b、161、161a、161b、162、163 層内レンズ
172 カラーフィルタ
180 オンチップレンズ
300、300a、300b 位相差画素
1000 カメラ
1002 撮像素子
10402、12031、12101~12105 撮像部
図1
図2
図3
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