(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】フィルムパッケージ構造及び表示パネル
(51)【国際特許分類】
H10K 50/844 20230101AFI20240827BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240827BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240827BHJP
H10K 77/10 20230101ALI20240827BHJP
【FI】
H10K50/844 445
G09F9/30 308Z
G09F9/30 309
G09F9/30 365
H10K59/10
H10K77/10
(21)【出願番号】P 2020572419
(86)(22)【出願日】2020-08-29
(86)【国際出願番号】 CN2020112299
(87)【国際公開番号】W WO2021037254
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-08-29
(31)【優先権主張番号】201910812392.4
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】511121702
【氏名又は名称】成都京東方光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHENGDU BOE OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1188,Hezuo Rd.,(West Zone),Hi-tech Development Zone,Chengdu,Sichuan,611731,P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】▲蒋▼ 志▲亮▼
(72)【発明者】
【氏名】王 世▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】文 平
【審査官】内村 駿介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0040847(US,A1)
【文献】特開2019-139884(JP,A)
【文献】特開2019-083194(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0076417(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0093828(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0002052(KR,A)
【文献】特開2017-224416(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0045329(KR,A)
【文献】国際公開第2019/117050(WO,A1)
【文献】特開2019-148690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00ー102/20
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムパッケージ構造であり、
パッケージ待ちデバイスを被覆するための第1無機パッケージ層、
前記第1無機パッケージ層の一方側に形成される有機パッケージ層、
前記有機パッケージ層の前記第1無機パッケージ層から離れた側に形成される第2無機パッケージ層、
前記第1無機パッケージ層の前記パッケージ待ちデバイスから離れた側に形成される少なくとも一つの第1無機調整層、を含み、
前記少なくとも一つの第1無機調整層の酸素含有量は、前記第1無機パッケージ層及び/または前記第2無機パッケージ層の酸素含有量よりも高
く、
前記少なくとも1つの第1無機調整層は、2つの第1無機調整層を含み、
前記2つの第1無機調整層のうちの一方が、前記有機パッケージ層と前記第2無機パッケージ層との間に形成され、それぞれ前記有機パッケージ層及び前記第2無機パッケージ層に直接接触し、
前記2つの第1無機調整層のうちの他方が、前記第2無機パッケージ層の前記有機パッケージ層から離れた側に形成され、前記第2無機パッケージ層に直接接触し、前記フィルムパッケージ構造の最外層であることを特徴とする、フィルムパッケージ構造。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1無機調整
層が、前記第1無機パッケージ層と前記有機パッケージ層との間に形成される
第1無機調整層をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のフィルムパッケージ構造。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1無機調整
層が、前記第1無機パッケージ層の前記パッケージ待ちデバイスに向かう側に形成される
第1無機調整層をさらに含むことを特徴とする、請求項
1または2に記載のフィルムパッケージ構造。
【請求項4】
前記第1無機パッケージ層の前記パッケージ待ちデバイスに向かう側に形成される第2無機調整層をさらに含み、
前記第2無機調整層の屈折率は、前記第1無機パッケージ層の屈折率よりも低いことを特徴とする、請求項1から
3のいずれか一項に記載のフィルムパッケージ構造。
【請求項5】
前記第2無機調整層の材料はフッ化リチウムを含むことを特徴とする、請求項
4に記載のフィルムパッケージ構造。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第1無機調整層の材料は酸化ケイ素を含むことを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載のフィルムパッケージ構造。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第1無機調整層の厚さは10nmから100nmであることを特徴とする、請求項1から
6のいずれか一項に記載のフィルムパッケージ構造。
【請求項8】
前記第1無機パッケージ層と前記有機パッケージ層との間に位置する
前記第1無機調整層の酸素含有量は、
前記第1無機パッケージ層の酸素含有量よりも高く、前記第2無機パッケージ層と前記有機パッケージ層との間に位置する
前記第1無機調整層
の一方の酸素含有量は、
前記第2無機パッケージ層の酸素含有量よりも高いことを特徴とする、請求項
2に記載のフィルムパッケージ構造。
【請求項9】
前記第1無機パッケージ層と前記有機パッケージ層との間に位置する
前記第1無機調整層の厚さが、前記第2無機パッケージ層と前記有機パッケージ層
との間に位置する
前記2つの第1無機調整層の
うちの一方の厚さよりも大きいことを特徴とする、請求項
2に記載のフィルムパッケージ構造。
【請求項10】
前記第1無機パッケージ層と前記有機パッケージ層との間に位置する
前記第1無機調整層の材料は、前記第1無機パッケージ層の材料と同じであることを特徴とする、請求項
2に記載のフィルムパッケージ構造。
【請求項11】
前記第2無機パッケージ層と前記有機パッケージ層との間に位置する前記
2つの第1無機調整層の
うちの一方の材料は、前記第2無機パッケージ層の材料と異なることを特徴とする、請求項
2に記載のフィルムパッケージ構造。
【請求項12】
前記第1無機パッケージ層の材料は酸窒化ケイ素を含むことを特徴とする、請求項
2に記載のフィルムパッケージ構造。
【請求項13】
前記第2無機パッケージ層の材料は窒化ケイ素を含むことを特徴とする、請求項
2に記載のフィルムパッケージ構造。
【請求項14】
前記第2無機パッケージ層と前記有機パッケージ層との間に位置する前記
2つの第1無機調整層の
うちの一方の材料は酸化ケイ素を含むことを特徴とする、請求項
2に記載のフィルムパッケージ構造。
【請求項15】
前記第1無機パッケージ層と前記有機パッケージ層との間に位置する前記第1無機調整層の材料は酸窒化ケイ素を含むことを特徴とする、請求項
2に記載のフィルムパッケージ構造。
【請求項16】
前記少なくとも1つの第1無機調整層の弾性係数は、前記第1無機パッケージ層及び前記第2無機パッケージ層の弾性係数よりも高い
ことを特徴とする、請求項
1に記載のフィルムパッケージ構造。
【請求項17】
表示パネルであり、
請求項1から
16のいずれか一項に記載のフィルムパッケージ構造、及び
前記パッケージ待ちデバイス、を含むことを特徴とする、表示パネル。
【請求項18】
前記パッケージ待ちデバイスは有機発光ダイオードデバイスを含むことを特徴とする、請求項
17に記載の表示パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年8月30日に提出された第201910812392.4号の中国特許出願の優先権を主張し、上記中国特許出願のすべて内容は、本願の一部として参照により本明細書に組み込まれる。
本開示の実施例は、フィルムパッケージ構造及び表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルOLED(Organic Light-Emitting Diode、有機発光ダイオード)表示パネルの応用分野の継続的な拡大に伴い、過酷な環境でのフレキシブルOLEDデバイスの信頼性に対する要求も高まっている。
【0003】
現在、水や酸素がOLEDデバイスに侵入するのを防ぐために、常にフィルムパッケージ(Thin Film Encapsulation)技術によってパッケージする。従来のフィルムパッケージ構造は、順番に積み重ねた無機層と有機層を含み、フィルムパッケージ構造の無機層は曲げる時に受けた応力が比較的大きいため、無機層が断裂またはフィルムパッケージ構造間に膜層が分離しやすいことを生じ、表示パネルの可撓性が低下してしまう。
【0004】
なお、上記背景技術に開示された情報は、本願の背景に対する理解を強化するためにのみ使用される。そのため、本分野の普通技術者が既知した関連技術を構成しない情報を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の目的は、良好な曲げ性能を有する、フィルムパッケージ構造及び表示パネルを提供することである。
【0006】
本開示の一つの実施例は、フィルムパッケージ構造を提供するものであり、
パッケージ待ちデバイスを被覆するための第1無機パッケージ層、
前記第1無機パッケージ層の一方側に形成される有機パッケージ層、
前記有機パッケージ層の前記第1無機パッケージ層から離れた側に形成される第2無機パッケージ層、
前記第1無機パッケージ層の前記パッケージ待ちデバイスから離れた側に形成される少なくとも1つの第1無機調整層、を含み、
ここで、前記少なくとも1つの第1無機調整層の酸素含有量は、前記第1無機パッケージ層及び/または第2無機パッケージ層の酸素含有量よりも高い。
【0007】
例えば、本開示の一つの例示的な実施例において、前記少なくとも1つの第1無機調整層のうちの1つが、前記第1無機パッケージ層と前記有機パッケージ層との間に形成される。
【0008】
例えば、本開示の一つの例示的な実施例において、前記少なくとも1つの第1無機調整層のうちの1つが、前記有機パッケージ層と前記第2無機パッケージ層との間に形成される。
【0009】
例えば、本開示の一つの例示的な実施例において、前記少なくとも1つの第1無機調整層のうちの1つが、前記第2無機パッケージ層の前記有機パッケージ層から離れた側に形成される。
【0010】
例えば、本開示の一つの例示的な実施例において、前記少なくとも1つの第1無機調整層のうちの1つが、前記第1無機パッケージ層の前記パッケージ待ちデバイスに向かう側に形成される。
【0011】
例えば、本開示の一つの例示的な実施例において、フィルムパッケージ構造は、
前記第1無機パッケージ層の前記パッケージ待ちデバイスに向かう側に形成される第2無機調整層をさらに含み、
前記第2無機調整層の屈折率は、前記第1無機パッケージ層の屈折率よりも低い。
【0012】
例えば、本開示の一つの例示的な実施例において、前記第2無機調整層の材料は、フッ化リチウムを含む。
【0013】
例えば、本開示の一つの例示的な実施例において、前記少なくとも1つの第1無機調整層の材料は、酸化ケイ素を含む。
【0014】
例えば、本開示の一つの例示的な実施例において、前記少なくとも1つの第1無機調整層の厚さは、10nmから100nmである。
【0015】
例えば、本開示の一つの例示的な実施例において、前記少なくとも1つの第1無機調整層は、2つの第1無機調整層を含み、前記2つの第1無機調整層のうちの1つは、前記第1無機パッケージ層と前記有機パッケージ層の間に位置し、前記2つの第1無機調整層のうちのもう一つは、前記第2無機パッケージ層と前記有機パッケージ層の間に位置する。
【0016】
例えば、本開示の一つの例示的な実施例おいて、前記第1無機パッケージ層と前記有機パッケージ層との間に位置する第1無機調整層の酸素含有量は、第1無機パッケージ層の酸素含有量よりも高い、前記第2無機パッケージ層と前記有機パッケージ層との間に位置する第1無機調整層の酸素含有量は、第2無機パッケージ層の酸素含有量よりも高い。
【0017】
例えば、本開示の一つの例示的な実施例において、前記第1無機パッケージ層と前記有機パッケージ層との間に位置する第1無機調整層の厚さは、前記第2無機パッケージ層と前記有機パッケージ層との間に位置する第1無機調整層の厚さよりも大きい。
【0018】
例えば、本開示の一つの例示的な実施例において、前記第1無機パッケージ層と前記有機パッケージ層との間に位置する第1無機調整層の材料は、前記第1無機パッケージ層の材料と同じである。
【0019】
例えば、本開示の一つの例示的な実施例において、第2無機パッケージ層と前記有機パッケージ層との間に位置する前記第1無機調整層の材料は、前記第2無機パッケージ層の材料とは異なる。
【0020】
例えば、本開示の一つの例示的な実施例において、前記第1無機パッケージ層の材料は、酸窒化ケイ素を含む。
【0021】
例えば、本開示の一つの例示的な実施例において、前記第2無機パッケージ層の材料は、窒化ケイ素を含む。
【0022】
例えば、本開示の一つの例示的な実施例において、前記第2無機パッケージ層と前記有機パッケージ層との間に位置する前記第1無機調整層の材料は、酸化ケイ素を含む。
【0023】
例えば、本開示の一つの例示的な実施例において、第1無機パッケージ層と前記有機パッケージ層との間に位置する前記第1無機調整層の材料は、酸窒化ケイ素を含む。
【0024】
本開示の一つの実施例は、表示パネルをさらに提供するものであり、
パッケージ待ちデバイス、及び
上記のいずれかのフィルムパッケージ構造を含む。
【0025】
例えば、本開示の一つの例示的な実施例において、前記パッケージ待ちデバイスは、有機発光ダイオードデバイスを含む。
【0026】
以上の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、例示的かつ説明的なものにすぎず、本開示を限定するものではないことを理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
ここでの図面は、明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、開示に準拠する実施例を示し、明細書と共に本開示の実施例の原則を説明するために使用される。以下の説明における図面は、この開示のある実施例であり、本分野の当業者にとって、創造的な作業なしに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることが明らかである。
【0028】
【
図1】本開示の一実施例に記載のフィルムパッケージ構造を示す模式図である。
【
図2】開示の一実施例に記載のフィルムパッケージ構造を示す模式図である。
【
図3】は本開示の一実施例に記載のフィルムパッケージ構造を示す模式図である。
【
図4】本開示の一実施例に記載のフィルムパッケージ構造を示す模式図である。
【
図5】本開示の一実施例に記載のフィルムパッケージ構造を示す模式図である。
【
図6】本開示の一実施例に記載のフィルムパッケージ構造を示す模式図である。
【
図7】本開示の一実施例に記載のフィルムパッケージ構造を示す模式図である。
【
図8】本開示の一実施例に記載のフィルムパッケージ構造を示す模式図である。
【
図9】本開示の一実施例に記載のフィルムパッケージ構造を示す模式図である。
【
図10】本開示の一実施例に記載のフィルムパッケージ構造を示す模式図である。
【
図11】本開示の一実施例に記載のフィルムパッケージ構造を示す模式図である。
【
図12】本開示の一実施例に記載のフィルムパッケージ構造を示す模式図である。
【
図13】本開示の一実施例に記載のフィルムパッケージ構造を示す模式図である。
【
図14】本開示の一実施例に記載のフィルムパッケージ構造を示す模式図である。
【
図15】本開示の一実施例に記載のフィルムパッケージ構造を示す模式図である。
【
図16】本開示の一実施例に記載のフィルムパッケージ構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、例示的な実施形態を、添付の図面を参照してより全面的に説明する。しかしながら、例示的な実施形態は、様々な形態で実施することができ、ここに記載された実施形態に限定されると解釈されるべきではない。逆に、これらの実施形態により、本開示の実施例が全面的かつ完全的になり、例示的な実施形態の思想を当業者に全面的に伝える。図面中の同じ参照符号は、同じまたは類似の構造を表すため、それらの詳細な説明は省略される。
【0030】
本明細書では、相対的な用語、例えば「上」や「下」などを使用して、図示の1つ部材に対する別の部材の相対的な関係を説明したが、これらの用語は、たとえば図面に記載された例の方向により、便宜上、本明細書にのみ使用される。図示の装置を反転して上、下が逆にすると、「上」と記載されている部材が「下」の部材になることを理解できる。ある構造が別の構造の上にある場合、ある構造が別の構造上に一体的に形成されていること、ある構造が別の構造上に「直接」配置されていること、またはある構造が他の構造を介して別の構造上に「間接」配置されていることを意味する場合がある。
【0031】
本開示の実施例は、可撓性を有するフィルムパッケージ構造を提供する。具体的には、
図1から
図16に示すように、該当フィルムパッケージ構造は、第1無機パッケージ層10、有機パッケージ層11、第2無機パッケージ層12、及び少なくとも1つの第1無機調整層13を含む。
【0032】
第1無機パッケージ層10は、パッケージ待ちデバイスを被覆するために使用され、このパッケージ待ちデバイスは、OLEDデバイスであってもよい、つまり、該当フィルムパッケージ構造は、OLEDデバイスをパッケージするために使用される。第1無機パッケージ層10がOLEDデバイスをパッケージすることによって、水と酸素がOLEDデバイスに侵入することを防止でき、これにより、OLEDデバイスの耐用期間を確保するができる。
【0033】
例えば、この第1無機パッケージ層10は、酸窒化ケイ素であってもよい、パッケージ待ちデバイスをパッケージすることが実現できるように、該当酸窒化ケイ素は、CVD(Chemical Vapor Deposition、化学蒸着)法によってパッケージ待ちデバイスの表面に堆積される。
【0034】
例えば、いくつかの実施例では、有機パッケージ層11は、前記第1無機パッケージ層10の一方側に形成される。有機パッケージ層11を設置することにより、一方で、フィルムパッケージ構造の平坦性を改善することができ、もう一方でフィルムパッケージ構造全体の曲げ能力を向上させることができる。例えば、この有機パッケージ層11は、有機液体をインクジェット印刷することによって形成されたインクジェット印刷層であってもよい。第2無機パッケージ層12は、有機パッケージ層11の第1無機パッケージ層10から離れた側に形成され、第2無機パッケージ層12を設置することによってフィルムパッケージ構造のパッケージ効果をさらに改善することができる。例えば、この第2無機パッケージ層12は、窒化ケイ素であってもよい、該当窒化ケイ素は、化学蒸着によって有機パッケージ層11上に堆積される。
【0035】
例えば、いくつかの実施例では、第1無機調整層13は、第1無機パッケージ層10のパッケージ待ちデバイスから離れた側に形成され、該当第1無機調整層13の弾性係数は、第1無機パッケージ層10及び第2無機パッケージ層12の弾性係数よりも高い。本実施例では、第1無機パッケージ層10のパッケージ待ちデバイスから離れた側に弾性係数が相対的に高い第1無機調整層13を設置することにより、フィルムパッケージ構造の曲げプロセスでの安定性を向上させることができ、フィルムパッケージ構造が断裂または膜層間に分離を生ずることを回避し、フィルムパッケージ構造のパッケージ安定性を確保するができ、これにより、表示パネルの曲げ性能及び耐用期間を向上させることができる。
【0036】
例えば、いくつかの実施例では、第1無機調整層13の厚さは、10nmから100nmであってもよい、例えば10nm、30nm、50nm、70nm、90nm、100nmなどであってもよい。つまり、第1無機調整層13の厚さは、10nmから100nmの間に取得することができる。本実施例では、第1無機調整層13の厚さを10nmから100nmの間に設計することにより、一方で、第1無機調整層13が薄すぎて応力中性層の位置を調整できないことを防ぐことができ、もう一方では、第1無機調整層13が厚すぎてフィルムパッケージ構造の光取り出し効率が低くなるという状況を回避することができる。
【0037】
例えば、本開示の実施例では、応力中性層は、膜層が曲げて変形したときに内部接線応力がゼロであるすべての位置により形成された構造(例えば、表面)を含む。
【0038】
例えば、いくつかの実施例では、この第1無機調整層13を酸化ケイ素として選択してもよい。該当酸化ケイ素は、化学蒸着によって第1無機パッケージ層10の一方側に堆積することができる。該当酸化ケイ素は、高い弾性係数、高い透過率などの特性を持ち、このように、フィルムパッケージ構造の安定性を向上させるとともに、フィルムパッケージ構造の透過率を高めることもできる。さらに、該当酸化ケイ素の厚さは制御が容易であるため、第1無機調整層13として酸化ケイ素を使用することにより、第1無機調整層13の厚さは、フィルムパッケージ構造の曲げプロセスに存在する実際の問題に応じて調整することができ、曲げ箇所の応力中性層が断裂または分離しやすい無機パッケージ層により近づけるようにする。
【0039】
なお、本実施例では、曲げ箇所の応力中性層が断裂または分離しやすい無機パッケージ層により近づけるように、フィルムパッケージ構造の曲げプロセスに存在する実際の問題に応じて第1無機調整層13の厚さを調整できるだけでなく、さらに、曲げ箇所の応力中性層は断裂または分離しやすい無機パッケージ層により近づけるように、フィルムパッケージ構造の曲げプロセスに存在する実際の問題に応じて第1無機調整層13と、第1無機パッケージ層10及び第2無機パッケージ層12との間の位置関係を調整することができる。
【0040】
以下、フィルムパッケージ構造の構造は、図面と併せて詳細に説明される。
【0041】
例えば、いくつかの実施例では、フィルムパッケージ構造の第1無機パッケージ層10が、表示パネルの実際曲げプロセス中に断裂または別の膜層から分離される可能性が高い場合、
図1に示すように、第1無機調整層13は、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層との間に形成され、このように曲げ箇所の応力中性層を第1無機パッケージ層10へオフセットさせ、すなわち、第1無機パッケージ層10と応力中性層の間の距離が減少する。このように、第1無機パッケージ層10が有機パッケージ層11に直接組み合わされた従来の方法と比較して、同じ曲げ半径を得た上で、第1無機パッケージ層10の変形量を減らすことができ、これにより第1無機パッケージ層10が曲げプロセス中に断裂または別の膜層から分離されることを緩和でき、そしてフィルムパッケージ構造の安定性を確保するができ、フィルムパッケージ構造のパッケージ効果を改善する。
【0042】
なお、第1無機調整層13が酸化ケイ素であり、第1無機パッケージ層10が酸窒化ケイ素である場合、第1無機調整層13の酸素含有量が第1無機パッケージ層10の酸素含有量よりも大きいため、第1無機調整層13と有機パッケージ層11との接触角は、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との接触角よりも小さい。したがって、硬化後、第1無機調整層13と有機パッケージ層11との間の結合強度は、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間の結合強度よりも大きい。
【0043】
これに基づき、本実施例では、第1無機調整層13は第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間に形成されることにより、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11とを直接結合する場合と比較して、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間の結合安定性を向上させることができ、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間に分離を生ずることを回避し、これにより、フィルムパッケージ構造の安定性を確保し、フィルムパッケージ構造のパッケージ効果を改善することができる。
【0044】
例えば、いくつかの実施例では、第1無機調整層13が酸化ケイ素であり、第2無機パッケージ層12が窒化ケイ素である場合、第1無機調整層13の酸素含有量は、第2無機パッケージ層12の酸素含有量よりも大きいため、第1無機調整層13と有機パッケージ層11との間の接触角は、第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間の接触角よりも小さい。硬化後、第1無機調整層13と有機パッケージ層との間の結合強度は、第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間の結合強度よりも大きくなる。
【0045】
例えば、いくつかの実施例では、
図2に示すように、本実施例は、
図1に示される実施例と比較すると、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間に第1無機調整層13が形成されるだけではなく、第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間に第1無機調整層13を形成してもよい。第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11とを直接結合させる場合と比較して、第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間の結合安定性を向上させ、第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間に分離を生ずることを回避するができる。これにより、フィルムパッケージ構造の安定性を確保することができ、フィルムパッケージ構造のパッケージ効果を改善させる。
【0046】
なお、実際の曲げプロセスにおいて、応力中性層が第1無機パッケージ層10及び第2無機パッケージ層12の一方側に位置すると、本実施例における配置は、応力中性層を第1無機パッケージ層10及び第2無機パッケージ層12へさらにオフセットさせて、第1無機パッケージ層10及び第2無機パッケージ層12と応力中性層との間の距離を減少する。これにより、第1無機パッケージ層10及び第2無機パッケージ層12の変形量を減少することができ、第1無機パッケージ層10及び第2無機パッケージ層12が曲げプロセス中に断裂または別の膜層から分離されることを緩和し、そしてフィルムパッケージ構造の安定性を確保するができ、フィルムパッケージ構造のパッケージ効果を改善させることができる。
【0047】
なお、第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間に位置する第1無機調整層13の厚さは、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間の第1無機調整層13の厚さよりも薄くてもよいが、これに限定されない、具体的な状況に応じて、それ以上また同等にしてもよい。
【0048】
例えば、いくつかの実施例では、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間に形成される第1無機調整層13の材料は、酸窒化ケイ素を含み、第1無機パッケージ層10の材料は、酸窒化ケイ素を含む。第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間に形成される第1無機調整層13の材料は、酸化ケイ素を含み、第2無機パッケージ層12の材料は、酸化ケイ素を含む。これにより、フィルムパッケージ構造の構造安定性を向上させるとともに、フィルムパッケージ構造の透過性を向上させることができる。
【0049】
例えば、いくつかの実施例では、表示パネルの実際の曲げプロセス中にフィルムパッケージ構造の第2無機パッケージ層12が断裂または他の膜層から分離される可能性が高い場合、
図3に示すように、第1無機調整層13は第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間に形成されることができる。または
図4に示すように、第1無機調整層13は、第2無機パッケージ層12の有機パッケージ層11から離れた側に形成される。または
図5に示すように、一つの第1無機調整層13は第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間に形成され、もう一つの第1無機調整層13は第2無機パッケージ層12の有機パッケージ層11から離れた側に形成される。これらの方法により、曲げ箇所の応力中性層を第2無機パッケージ層12へオフセットさせ、すなわち、第2無機パッケージ層12と応力中性層との間の距離を減少することができる。このように従来の第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11を直接結合した方法と比較されると、同じ曲げ半径を得た上で、第2無機パッケージ層12の変形量を低減することができ、これにより、第2無機パッケージ層12が曲げプロセス中に断裂または他の膜層からの分離を生ずることを緩和できる。そして、フィルムパッケージ構造の安定性を確保でき、フィルムパッケージング構造のパッケージ効果を改善させることができる。
【0050】
なお、第1無機調整層13が酸化ケイ素であり、第2無機パッケージ層12が窒化ケイ素である場合、第1無機調整層13の酸素含有量が第2無機パッケージ層12の酸素含有量よりも大きいため、第1無機調整層13と有機パッケージ層11との間の接触角は、第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間の接触角よりも小さくなる。したがって、硬化後、第1無機調整層13と有機パッケージ層11との間の結合強度は、第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間の結合強度よりも大きい。
【0051】
これに基づいて、本実施例は、第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間に第1無機調整層13を有する方法を採用し、第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11が直接結合する場合と比較して、第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間の結合安定性を向上させ、第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間に膜層が分離することを回避できる。これにより、フィルムパッケージ構造の安定性を確保でき、フィルムパッケージ構造のパッケージ効果を改善させることができる。
【0052】
例えば、いくつかの実施例では、第1無機調整層13が酸化ケイ素であり、第1無機パッケージ層10が酸窒化ケイ素である場合、第1無機調整層13の酸素含有量は、第1無機パッケージ層10の酸素含有量よりも大きいため、第1無機調整層13と有機パッケージ層11との間の接触角は、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間の接触角よりも小さい。硬化後、第1無機調整層13と有機パッケージ層11との間の結合強度は、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間の結合強度よりも大きい。
【0053】
例えば、いくつかの実施例では、
図6から8に示されるように、
図3から5に示される実施例と比較されると、第1無機調整層13が第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間に形成されること、及び/または第1無機調整層13が第2無機パッケージ層12の有機パッケージ層11から離れた側に形成されること以外に、第1無機調整層13は第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間に形成される。第1無機パッケージ層10が有機パッケージ層11に直接結合する場合と比較すると、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間の結合安定性を向上させ、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11が層間に分離現象を生じることを回避できる。これにより、フィルムパッケージ構造の安定性を確保でき、フィルムパッケージ構造のパッケージ効果を改善させることができる。
【0054】
なお、実際の曲げプロセスにおいて、応力中性層が第1無機パッケージ層10及び第2無機パッケージ層12の一方側に位置すると、本実施例における配置は、応力中性層を第1無機パッケージ層10及び第2無機パッケージ層12へさらにオフセットさせ、第1無機パッケージ層10及び第2無機パッケージ層12と応力中性層との間の距離を減少することができる。これにより、第1無機パッケージ層10及び第2無機パッケージ層12の変形量を低下し、第1無機パッケージ層10及び第2無機パッケージ層12が曲げプロセスに断裂または他の膜層からの分離を生じることを緩和できる。そして、フィルムパッケージ構造の安定性を確保でき、フィルムパッケージ構造のパッケージ効果を改善させることができる。
【0055】
なお、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間に位置する第1無機調整層13の厚さは、第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間の第1無機調整層13の厚さよりも薄くてもよいが、これに限定されない、具体的な状況に応じて、それ以上または同等にしてもよい。
【0056】
例えば、いくつかの実施例では、
図9から16に示されるように、
図1から8に示される実施例と比較して、主な違いの1つは、第1無機パッケージ層10のパッケージ待ちデバイスに向かう側に第1無機調整層13も設けられていることである。第1無機調整層13を設けることにより、応力中性層を第1無機パッケージ層10へオフセットさせるか、応力中性層を第1無機パッケージ層10及び第2無機パッケージ層12へオフセットさせることができ、具体には応力中性層の初期位置に依存する。これにより、第1無機パッケージ層10及び第2無機パッケージ層12が曲げプロセスに断裂または他の膜層からの分離を生ずることを緩和でき、そしてフィルムパッケージ構造の安定性を確保でき、フィルムパッケージ構造のパッケージ効果を改善させることができる。
【0057】
例えば、本開示のいくつかの実施例の第1無機調整層13は、水を吸収せず、良好な水及び酸素遮断能力を有する酸化ケイ素である。よって、水及び酸素がパッケージ待ちデバイスの内部に侵入することをさらに防止し、製品の信頼性を改善する。しかも、この酸化ケイ素は屈折率が比較的低いため、光の取り出し効率に影響を与えない。
【0058】
例えば、いくつかの実施例では、
図9から16に示されるように、
図1から8に示される実施例と比較して、主な違いは、第1無機パッケージ層10のパッケージ待ちデバイスに向かう側に第2無機調整層14が設けられることである。ここで、第2無機調整層14の屈折率は、第1無機パッケージ層10の屈折率よりも低い。例えば、該当第2無機調整層14は、フッ化リチウムであってもよい。
【0059】
本実施例のフィルムパッケージ構造が表示デバイスのパッケージに適用される場合、表示パネルの光取り出し効率を高めることができる。
【0060】
なお、前記した実施例のいずれかにおける第1無機調整層13は、酸化ケイ素に限定されず、酸窒化ケイ素であってもよいが、該当第1無機調整層13の酸素含有量を、第1無機パッケージ層10の酸素含有量よりも大きくすべきである。これにより、弾性係数が高い、結合強度が高いという特性を実現することができる。
【0061】
例えば、いくつかの実施例では、
図1から16に示されるように、少なくとも1つの第1無機調整層13の酸素含有量は、第1無機パッケージ層10及び/または第2無機パッケージ層12の酸素含有量よりも高い。例えば、
図1に示すように、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間に位置する第1無機調整層13の酸素含有量は、第1無機パッケージ層10及び第2無機パッケージ層12の酸素含有量よりも高く、第1無機調整層13と有機パッケージ層11との間の接触角は、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間の接触角よりも小さくなり、これにより、第1無機調整層13と第1無機パッケージ層10との結合強度が増大し、フィルムパッケージ構造の曲げプロセスでの安定性を向上させ、フィルムパッケージ構造が断裂または膜層間に分離を生じることが回避し、フィルムパッケージ構造のパッケージ安定性を確保し、これにより表示パネルの曲げ性能と耐用期間を向上させることができる。
【0062】
例えば、いくつかの実施例では、第1無機パッケージ層と有機パッケージ層との間に位置する第1無機調整層の酸素含有量は、第1無機パッケージ層の酸素含有量よりも高い。第2無機パッケージ層と前記有機パッケージ層の間に位置する第1無機調整層の酸素含有量は、第2無機パッケージ層の酸素含有量よりも高い。
図2に示すように、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間に位置する第1無機調整層13の酸素含有量は、第1無機パッケージ層10の酸素含有量よりも高い。これによって、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間に位置する第1無機調整層13と、有機パッケージ層11との間の接触角は、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間の接触角よりも小さい。したがって、硬化後、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間に位置する第1無機調整層13と、有機パッケージ層11との間の結合強度は、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間の結合強度よりも大きい。第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間に位置する第1無機調整層13の酸素含有量は、第2無機パッケージ層12の酸素含有量よりも高い。これにより、第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間に位置する第1無機調整層13と、有機パッケージ層11との間の接触角は、第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間の接触角よりも小さい。硬化後、第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間に位置する第1無機調整層13と、有機パッケージ層11との間の結合強度は、第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間の結合強度よりも大きくなり得る。
【0063】
例えば、いくつかの実施例では、
図1から16に示されるように、第1無機パッケージ層10の材料は、酸窒化ケイ素を含む。該当酸窒化ケイ素は、CVD(Chemical Vapor Deposition、化学蒸着)法によってパッケージ待ちデバイスの表面に堆積させることができて、パッケージ待ちデバイスをパッケージすることが実現できる。
【0064】
例えば、いくつかの実施例では、
図1から16に示されるように、第2無機パッケージ層12の材料は、窒化ケイ素を含む。該当窒化ケイ素は、化学蒸着によって有機パッケージ層11上に堆積させることができる。
【0065】
例えば、いくつかの実施例では、
図2~3、5~6、8、10~11、及び13~16に示されるように、第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間に位置する第1無機調整層13の材料は、酸化ケイ素または酸窒化ケイ素を含む。例えば、第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間に位置する第1無機調整層13の材料は、酸化ケイ素を含む。酸化ケイ素は、弾性係数が高い、透過率が高いなどの特性を有し、このようにフィルムパッケージ構造の構造安定性を向上させるとともに、フィルムパッケージ構造の透過率を向上させることができる。第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間に位置する第1無機調整層13に選択された材料(例えば、酸化ケイ素)の酸素含有量は、第2無機パッケージ層12に選択された材料(例えば、窒化ケイ素)の酸素含有量よりも大きい。第1無機調整層13と第2無機パッケージ層12との結合強度が増加する。
【0066】
例えば、いくつかの実施例では、
図1~2、6~10、及び14~16に示されるように、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間に位置する第1無機調整層13の材料は、酸窒化ケイ素または酸化ケイ素を含む。例えば、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間に位置する第1無機調整層13の材料は、酸窒化ケイ素を含む。第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間に位置する第1無機調整層13に選択された材料(例えば、酸窒化ケイ素)の酸素含有量は、第1無機パッケージ層10に選択された材料(例えば、酸窒化ケイ素)の酸素含有量よりも大きい。これにより、第1無機調整層13と第1無機パッケージ層10との結合強度が増加する。
【0067】
例えば、いくつかの実施例では、
図2に示すように、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間に位置する第1無機調整層13の厚さは、第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11に位置する第1無機調整層13の厚さよりも大きい。よって、曲げ箇所の応力中性層が、断裂または分離を発生しやすい無機パッケージ層、例えば第1無機パッケージ層10により近づける。例えば、いくつかの実施例では、
図1~2、6~10、及び14~16に示されるように、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間に位置する第1無機調整層13の材料は、第1無機パッケージ層10の材料と同じである。例えば、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間に位置する第1無機調整層13の材料、及び第1無機パッケージ層10の材料は両方とも酸窒化ケイ素を含む。例えば、第1無機パッケージ層10と有機パッケージ層11との間に位置する第1無機調整層13の酸窒化ケイ素の酸素含有量は、第1無機パッケージ層10の酸窒化ケイ素の酸素含有量よりも大きい。これにより、第1無機調整層13と第1無機パッケージ層10との結合強度が増加する。
【0068】
例えば、いくつかの実施例では、
図2~3、5~6、8、10~11、及び13~16に示されるように、第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間に位置する第1無機調整層13の材料は、第2無機パッケージ層12の材料と異なる。例えば、第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11との間に位置する第1無機調整層13の材料は酸化ケイ素を含み、第2無機パッケージ層12の材料は窒化ケイ素を含み、これにより、第2無機パッケージ層12と有機パッケージ層11の間に位置する第1無機調整層13の酸素含有量は、第2無機パッケージ層12の酸素含有量よりも大きい。そのため、フィルムパッケージ構造の光透過性を確保するとともに、曲げプロセスでのフィルムパッケージ構造の安定性を向上させ、フィルムパッケージ構造が断裂または膜層間に分離を生じることを回避し、フィルムパッケージ構造のパッケージ安定性を確保することができる。これにより、表示パネルの曲げ性能と耐用期間を向上させる。
【0069】
本開示の少なくとも1つの実施例は、携帯電話及びコンピュータなどの表示装置に適用する表示パネルをさらに提供する。該当表示パネルは、パッケージ待ちデバイス(図面には示されていない)、及びパッケージ待ちデバイスのパッケージ用のフィルムパッケージ構造を含める。このパッケージ待ちデバイスは、OLED表示デバイスを含み、フィルムパッケージ構造は、上記の実施例のいずれかに記載されるフィルムパッケージ構造であってもよいが、ここでは詳細に説明されない。本実施例の表示パネルは、フレキシブル表示パネルであってもよい。
【0070】
本開示の実施例によって提供される技術の方法は、以下の有益な効果を達成することができる。
【0071】
本開示の実施例によって提供されるフィルムパッケージ構造及び表示パネルは、第1無機パッケージ層のパッケージ待ちデバイスから離れた側に弾性係数が相対的に高い第1無機調整層を設けることによって、曲げプロセスでのフィルムパッケージ構造の安定性を向上させ、フィルムパッケージ構造が断裂または膜層間に分離を生じることを回避し、フィルムパッケージ構造のパッケージ安定性を確保して、表示パネルの曲げ性能及び耐用期間を向上させることができる。
【0072】
「一つ」、「一」、「該当」、及び「前記」という用語は、一つまたは複数の要素/構成部分などの存在を示すために使用される。「含む」及び「有する」という用語は、開放的に含むことを示すために使用され、かつ記載された要素/構成部分などの他に別の要素/構成部分などの存在が可能であることを意味する。「第1」、「第2」などの用語は、その対象の数に対する制限ではなく、符号としての使用にすぎない。
【0073】
当業者は、本明細書に開示された内容を検討し、かつ実施した後、本願の他の実施形態を容易に想到できると考えられる。本願は、本願の任意な変更、用途または適応的な変化を含むことを趣旨とする。これら変更、用途、または適応的な変化は、本願の一般的な原則に従い、かつ本願に開示されていない本分野の公知知識または慣用の技術手段を含む。明細書及び実施例は例示としてのみ見なされ、本願の本当の範囲及び精神は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
【符号の説明】
【0074】
10 第1無機パッケージ層
11 有機パッケージ層
12 第2無機パッケージ層
13 第1無機調整層
14 第2無機調整層