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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】マルチレベルインバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/487 20070101AFI20240827BHJP
【FI】
H02M7/487
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021004091
(22)【出願日】2021-01-14
(65)【公開番号】P2022108885
(43)【公開日】2022-07-27
【審査請求日】2023-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】高松 直義
(72)【発明者】
【氏名】利行 健
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0238062(US,A1)
【文献】特開2012-034451(JP,A)
【文献】特開2011-109801(JP,A)
【文献】特表2016-525327(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110995001(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42 - 7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチレベルインバータであって、
バッテリ(18)と、
前記バッテリの正極に接続された高電位入力配線(12)と、
前記バッテリの負極に接続された低電位入力配線(16)と、
中点配線(14)と、
前記中点配線と前記低電位入力配線の間に接続された第1コンデンサ(31)と、
前記高電位入力配線と前記中点配線の間に接続された第2コンデンサ(32)と、
第1出力配線(50u)と、
第2出力配線(50v)と、
第3出力配線(50w)と、
前記高電位入力配線、前記中点配線、前記低電位入力配線、及び、前記第1出力配線に接続された第1スイッチング回路(41)と、
前記高電位入力配線、前記中点配線、前記低電位入力配線、及び、前記第2出力配線に接続された第2スイッチング回路(42)と、
前記高電位入力配線、前記中点配線、前記低電位入力配線、及び、前記第3出力配線に接続された第3スイッチング回路(43)と、
充電回路(70)と、
制御回路(90)、
を有し、
前記第1スイッチング回路が、
前記高電位入力配線と前記第1出力配線の間に接続された第1上アームスイッチング素子(41US)と、
前記第1出力配線と前記低電位入力配線の間に接続された第1下アームスイッチング素子と(41LS)、
アノードが前記中点配線に接続されている第1中点側中間ダイオード(41MMD)と、
カソードが前記第1中点側中間ダイオードのカソードに接続されており、アノードが前記第1出力配線に接続されている第1出力側中間ダイオード(41OMD)と、
前記第1中点側中間ダイオードに対して並列に接続されている第1中点側中間スイッチング素子(41MMS)と、
前記第1出力側中間ダイオードに対して並列に接続されている第1出力側中間スイッチング素子(41OMS)、
を有し、
前記第2スイッチング回路が、
前記高電位入力配線と前記第2出力配線の間に接続された第2上アームスイッチング素子(42US)と、
前記第2出力配線と前記低電位入力配線の間に接続された第2下アームスイッチング素子(42LS)と、
カソードが前記中点配線に接続されている第2中点側中間ダイオード(42MMD)と、
アノードが前記第2中点側中間ダイオードのアノードに接続されており、カソードが前記第2出力配線に接続されている第2出力側中間ダイオード(42OMD)と、
前記第2中点側中間ダイオードに対して並列に接続されている第2中点側中間スイッチング素子(42MMS)と、
前記第2出力側中間ダイオードに対して並列に接続されている第2出力側中間スイッチング素子(42OMS)、
を有し、
前記充電回路が、
直流充電ポート(72)と、
前記直流充電ポートの正極と前記第1中点側中間ダイオードのカソードとを接続する充電正極配線(22)と、
前記直流充電ポートの負極と前記第2中点側中間ダイオードの前記アノードとを接続する充電負極配線(24)、
を有し、
前記制御回路が、前記直流充電ポートに充電器が接続されたときに、前記第1中点側中間スイッチング素子をオンして前記充電器の電力によって前記第1コンデンサを充電する第1動作と、前記第2中点側中間スイッチング素子をオンして前記充電器の電力によって前記第2コンデンサを充電する第2動作とを交互に繰り返す昇圧制御を実行する、
マルチレベルインバータ。
【請求項2】
前記充電正極配線と前記充電負極配線のいずれか一方を特定充電配線とし、他方を非特定充電配線としたときに、前記特定充電配線に介装されたインダクタ(77)をさらに有する、請求項1に記載のマルチレベルインバータ。
【請求項3】
アノードが前記充電正極配線に接続されており、カソードが前記高電位入力配線に接続された正極側ダイオード(82)と、
アノードが前記低電位入力配線に接続されており、カソードが前記充電負極配線に接続された負極側ダイオード(84)、
をさらに有し、
前記特定充電配線が前記充電正極配線であるとともに前記正極側ダイオードの前記アノードが前記インダクタよりも前記第1中点側中間ダイオードに近い側で前記充電正極配線に接続されている、または、前記特定充電配線が前記充電負極配線であるとともに前記負極側ダイオードのカソードが前記インダクタよりも前記第2中点側中間ダイオードに近い側で前記充電負極配線に接続されている、
請求項2に記載のマルチレベルインバータ。
【請求項4】
前記第1動作では、前記第1出力側中間スイッチング素子、前記第2中点側中間スイッチング素子、及び、前記第2出力側中間スイッチング素子をオフし、
前記第2動作では、前記第1中点側中間スイッチング素子、前記第1出力側中間スイッチング素子、及び、前記第2出力側中間スイッチング素子をオフする、
請求項3に記載のマルチレベルインバータ。
【請求項5】
前記第1動作では、前記第1上アームスイッチング素子、前記第1下アームスイッチング素子、前記第2上アームスイッチング素子、及び、前記第2下アームスイッチング素子をオフし、
前記第2動作では、前記第1上アームスイッチング素子、前記第1下アームスイッチング素子、前記第2上アームスイッチング素子、及び、前記第2下アームスイッチング素子をオフする、
請求項4に記載のマルチレベルインバータ。
【請求項6】
前記昇圧制御において、前記制御回路が、前記第1動作と、前記第2動作と、休止動作を繰り返し、
前記休止動作では、前記第1中点側中間スイッチング素子、前記第1出力側中間スイッチング素子、前記第2中点側中間スイッチング素子、及び、前記第2出力側中間スイッチング素子をオフする、
請求項3~5のいずれか一項に記載のマルチレベルインバータ。
【請求項7】
前記昇圧制御において、前記制御回路が、前記第1動作と、前記第2動作と、電流増加動作を繰り返し、
前記電流増加動作では、前記第1中点側中間スイッチング素子と前記第2中点側中間スイッチング素子をオンする、
請求項3~5のいずれか一項に記載のマルチレベルインバータ。
【請求項8】
前記第1動作では、前記第2出力側中間スイッチング素子をオンし、
前記第2動作では、前記第1出力側中間スイッチング素子をオンする、
請求項2に記載のマルチレベルインバータ。
【請求項9】
前記昇圧制御において、前記制御回路が、前記第1動作と、前記第2動作と、電流増加動作を繰り返し、
前記電流増加動作では、前記第1中点側中間スイッチング素子と前記第2中点側中間スイッチング素子をオンする、
請求項8に記載のマルチレベルインバータ。
【請求項10】
前記インダクタに対して直列に前記特定充電配線に接続されたスイッチ(78、79)をさらに有する請求項2~9のいずれか一項に記載のマルチレベルインバータ。
【請求項11】
前記スイッチが、
前記特定充電配線に介装された半導体スイッチング素子(78)と、
前記特定充電配線に流れる電流に対して順方向となるように前記半導体スイッチング素子に対して直列に前記特定充電配線に介装されたダイオード(79)、
を有する請求項10に記載のマルチレベルインバータ。
【請求項12】
前記非特定充電配線と前記インダクタ及び前記スイッチよりも前記直流充電ポートに近い側の前記特定充電配線とを接続する入力コンデンサ(76)をさらに有する請求項10または11に記載のマルチレベルインバータ。
【請求項13】
前記入力コンデンサよりも前記直流充電ポートに近い側で前記充電正極配線及び前記充電負極配線をオン-オフするリレー(74)をさらに有する請求項12に記載のマルチレベルインバータ。
【請求項14】
前記特定充電配線が前記充電正極配線であり、
アノードが前記インダクタと前記リレーの間で前記充電正極配線に接続されており、カソードが前記バッテリの正極に接続された充電ダイオード(82)をさらに有する請求項13に記載のマルチレベルインバータ。
【請求項15】
前記特定充電配線が前記充電負極配線であり、
カソードが前記インダクタと前記リレーの間で前記充電負極配線に接続されており、アノードが前記バッテリの負極に接続された充電ダイオード(84)をさらに有する請求項13に記載のマルチレベルインバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、マルチレベルインバータに関する。
【0002】
特許文献1に、マルチレベルインバータが開示されている。マルチレベルインバータは、バッテリから入力される直流電力を、交流電力に変換する。マルチレベルインバータは、各出力配線の電圧をマルチレベルに制御することができる。マルチレベルインバータによれば、出力電流をより正確に制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-109801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外部の充電器によってバッテリに電圧を印加して、バッテリを充電する場合がある。このとき、充電器の供給電圧がバッテリの出力電圧よりも低いと、充電器の供給電圧を昇圧し、昇圧した電圧をバッテリに印加する必要がある。このような場合、従来は、マルチレベルインバータ内に昇圧コンバータ回路を設け、昇圧コンバータ回路によって充電器の供給電圧を昇圧していた。この構成では、マルチレベルインバータ全体が大型化するという問題があった。本明細書では、充電器の供給電圧をマルチレベルインバータの内部のインバータ回路を利用して昇圧する技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示するマルチレベルインバータは、バッテリと、前記バッテリの正極に接続された高電位入力配線と、前記バッテリの負極に接続された低電位入力配線と、中点配線と、前記中点配線と前記低電位入力配線の間に接続された第1コンデンサと、前記高電位入力配線と前記中点配線の間に接続された第2コンデンサと、第1出力配線と、第2出力配線と、第3出力配線と、第1スイッチング回路と、第2スイッチング回路と、第3スイッチング回路と、充電回路と、制御回路を有する。前記第1スイッチング回路は、前記高電位入力配線、前記中点配線、前記低電位入力配線、及び、前記第1出力配線に接続されている。前記第2スイッチング回路は、前記高電位入力配線、前記中点配線、前記低電位入力配線、及び、前記第2出力配線に接続されている。前記第3スイッチング回路は、前記高電位入力配線、前記中点配線、前記低電位入力配線、及び、前記第3出力配線に接続されている。前記第1スイッチング回路が、前記高電位入力配線と前記第1出力配線の間に接続された第1上アームスイッチング素子と、前記第1出力配線と前記低電位入力配線の間に接続された第1下アームスイッチング素子と、アノードが前記中点配線に接続されている第1中点側中間ダイオードと、カソードが前記第1中点側中間ダイオードのカソードに接続されているとともにアノードが前記第1出力配線に接続されている第1出力側中間ダイオードと、前記第1中点側中間ダイオードに対して並列に接続されている第1中点側中間スイッチング素子と、前記第1出力側中間ダイオードに対して並列に接続されている第1出力側中間スイッチング素子、を有する。前記第2スイッチング回路が、前記高電位入力配線と前記第2出力配線の間に接続された第2上アームスイッチング素子と、前記第2出力配線と前記低電位入力配線の間に接続された第2下アームスイッチング素子と、カソードが前記中点配線に接続されている第2中点側中間ダイオードと、アノードが前記第2中点側中間ダイオードのアノードに接続されているとともにカソードが前記第2出力配線に接続されている第2出力側中間ダイオードと、前記第2中点側中間ダイオードに対して並列に接続されている第2中点側中間スイッチング素子と、前記第2出力側中間ダイオードに対して並列に接続されている第2出力側中間スイッチング素子、を有する。前記充電回路が、直流充電ポートと、前記直流充電ポートの正極と前記第1中点側中間ダイオードのカソードとを接続する充電正極配線と、前記直流充電ポートの負極と前記第2中点側中間ダイオードの前記アノードとを接続する充電負極配線、を有する。前記制御回路が、前記直流充電ポートに充電器が接続されたときに、前記第1中点側中間スイッチング素子をオンして前記充電器の電力によって前記第1コンデンサを充電する第1動作と、前記第2中点側中間スイッチング素子をオンして前記充電器の電力によって前記第2コンデンサを充電する第2動作とを交互に繰り返す昇圧制御を実行する。
【0006】
このマルチレベルインバータでは、第1スイッチング回路、第2スイッチング回路、第3スイッチング回路等によって直流電力を交流電力に変換するインバータ回路が構成されている。第1動作では、第1中点側中間スイッチング素子がオンすることで、直流充電ポートの正極が中点配線に接続される。したがって、第1動作において、直流充電ポートの負極を低電位入力配線に接続することで、第1コンデンサを充電することができる。第2動作では、第2中点側中間スイッチング素子がオンすることで、直流充電ポートの負極が中点配線に接続される。したがって、直流充電ポートの正極を高電位入力配線に接続することで、第2コンデンサを充電することができる。このように、第1動作では第1コンデンサが充電され、第2動作では第2コンデンサが充電される。制御回路は、昇圧制御において、第1動作と第2動作を交互に繰り返す。このため、第1コンデンサと第2コンデンサが充電される。第1コンデンサが充電されると、中点配線の低電位入力配線に対する電位が充電器の供給電圧に近い電位まで上昇する。第2コンデンサが充電されると、高電位入力配線の中点配線に対する電位が充電器の供給電圧に近い電位まで上昇する。したがって、高電位入力配線の低電位入力配線に対する電位は、充電器の供給電圧よりも高い電位まで上昇する。したがって、バッテリに、充電器の供給電圧よりも高い電圧が印加され、バッテリが充電される。このように、このマルチレベルインバータでは、インバータ回路を利用して、充電器の供給電圧をそれよりも高い電圧に昇圧し、昇圧した電圧をバッテリに印加することができる。したがって、専用の昇圧コンバータ回路を設けることなく、バッテリを充電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例1のマルチレベルインバータの回路図。
図2】実施例1の低電圧充電制御を示すグラフ。
図3】実施例1のマルチレベルインバータの回路図。
図4】実施例1のマルチレベルインバータの回路図。
図5】入力スイッチング素子が無いマルチレベルインバータの回路図。
図6】実施例1のマルチレベルインバータの回路図。
図7】実施例1の変形例のマルチレベルインバータの回路図。
図8】実施例2の低電圧充電制御を示すグラフ。
図9】実施例2のマルチレベルインバータの回路図。
図10】実施例3のマルチレベルインバータの回路図。
図11】実施例3の低電圧充電制御を示すグラフ。
図12】実施例3のマルチレベルインバータの回路図。
図13】実施例3のマルチレベルインバータの回路図。
図14】変形例1のマルチレベルインバータの回路図。
図15】変形例2のマルチレベルインバータの回路図。
図16】変形例3のマルチレベルインバータの回路図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書が開示する一例のマルチレベルインバータでは、前記充電正極配線と前記充電負極配線のいずれか一方を特定充電配線とし、他方を非特定充電配線としたときに、前記特定充電配線に介装されたインダクタをさらに有していてもよい。
【0009】
この構成によれば、充電ポートから第1スイッチング回路及び第2スイッチング回路にサージが入力されることを防止できる。
【0010】
本明細書が開示する一例のマルチレベルインバータでは、アノードが前記充電正極配線に接続されているとともにカソードが前記高電位入力配線に接続された正極側ダイオードと、アノードが前記低電位入力配線に接続されているとともにカソードが前記充電負極配線に接続された負極側ダイオード、をさらに有していてもよい。前記特定充電配線が前記充電正極配線であるとともに前記正極側ダイオードの前記アノードが前記インダクタよりも前記第1中点側中間ダイオードに近い側で前記充電正極配線に接続されていてもよい、または、前記特定充電配線が前記充電負極配線であるとともに前記負極側ダイオードのカソードが前記インダクタよりも前記第2中点側中間ダイオードに近い側で前記充電負極配線に接続されていてもよい。
【0011】
この構成では、第1動作において、充電ポートの負極が負極側ダイオードを介して低電位入力配線に接続されるので、第1コンデンサを適切に充電することができる。また、この構成では、第2動作において、充電ポートの正極が正極側ダイオードを介して高電位入力配線に接続されるので、第2コンデンサを適切に充電することができる。
【0012】
本明細書が開示する一例のマルチレベルインバータでは、前記第1動作では、前記第1出力側中間スイッチング素子、前記第2中点側中間スイッチング素子、及び、前記第2出力側中間スイッチング素子をオフしてもよい。また、前記第2動作では、前記第1中点側中間スイッチング素子、前記第1出力側中間スイッチング素子、及び、前記第2出力側中間スイッチング素子をオフしてもよい。
【0013】
この構成によれば、外部の充電器から充電ポートに印加される供給電圧が第1出力配線と第2出力配線に印加されることを防止できる。これによって、各出力配線に接続された機器の誤動作を防止できる。
【0014】
本明細書が開示する一例のマルチレベルインバータでは、前記第1動作では、前記第1上アームスイッチング素子、前記第1下アームスイッチング素子、前記第2上アームスイッチング素子、及び、前記第2下アームスイッチング素子をオフしてもよい。前記第2動作では、前記第1上アームスイッチング素子、前記第1下アームスイッチング素子、前記第2上アームスイッチング素子、及び、前記第2下アームスイッチング素子をオフしてもよい。
【0015】
この構成によれば、各出力配線に接続された機器の誤動作をより確実に防止できる。
【0016】
本明細書が開示する一例のマルチレベルインバータでは、前記昇圧制御において、前記制御回路が、前記第1動作と、前記第2動作と、休止動作を繰り返してもよい。前記休止動作では、前記第1中点側中間スイッチング素子、前記第1出力側中間スイッチング素子、前記第2中点側中間スイッチング素子、及び、前記第2出力側中間スイッチング素子をオフしてもよい。
【0017】
このように、休止動作を実行することで、休止動作中にインダクタに流れる電流(すなわち、第1コンデンサと第2コンデンサを充電する電流)を低下させることができる。したがって、第1コンデンサと第2コンデンサに、外部の充電器の供給電圧よりも低い電圧を印加できる。これによって、バッテリに印加する電圧を、外部の充電器の供給電圧の2倍よりも低い電圧に制御することができる。
【0018】
本明細書が開示する一例のマルチレベルインバータでは、前記昇圧制御において、前記制御回路が、前記第1動作と、前記第2動作と、電流増加動作を繰り返してもよい。前記電流増加動作では、前記第1中点側中間スイッチング素子と前記第2中点側中間スイッチング素子をオンしてもよい。
【0019】
電流増加動作では、充電ポートの正極から第1中点側中間スイッチング素子と第2中点側中間スイッチング素子を介して充電ポートの負極へ電流が流れる。この電流は、インダクタを通過する。このようにインダクタに電流が流れることで、インダクタに流れる電流が増加する。その後、第1動作と第2動作を行うと、インダクタで生じる誘導起電力によって、第1コンデンサと第2コンデンサに、外部の充電器の供給電圧よりも高い電圧を印加できる。これによって、バッテリに印加する電圧を、外部の充電器の供給電圧の2倍よりも高い電圧に制御できる。
【0020】
本明細書が開示する一例のマルチレベルインバータでは、前記第1動作では、前記第2出力側中間スイッチング素子をオンしてもよい。前記第2動作では、前記第1出力側中間スイッチング素子をオンしてもよい。
【0021】
この構成では、第1動作において、充電ポートの負極が第2出力側中間スイッチング素子を介して低電位入力配線に接続されるので、第1コンデンサを充電することができる。また、この構成では、第2動作において、充電ポートの正極が第1出力側中間スイッチング素子を介してバッテリの正極に接続されるので、第2コンデンサを充電することができる。
【0022】
本明細書が開示する一例のマルチレベルインバータでは、前記昇圧制御において、前記制御回路が、前記第1動作と、前記第2動作と、電流増加動作を繰り返してもよい。前記電流増加動作では、前記第1中点側中間スイッチング素子と前記第2中点側中間スイッチング素子をオンしてもよい。
【0023】
電流増加動作では、充電ポートの正極から第1中点側中間スイッチング素子と第2中点側中間スイッチング素子を介して充電ポートの負極へ電流が流れる。この電流は、インダクタを通過する。このようにインダクタに電流が流れることで、インダクタに流れる電流が増加する。その後、第1動作と第2動作を行うと、インダクタで生じる誘導起電力によって、第1コンデンサと第2コンデンサに、外部の充電器の供給電圧よりも高い電圧を印加できる。これによって、バッテリに印加する電圧を、外部の充電器の供給電圧の2倍よりも高い電圧に制御できる。
【0024】
本明細書が開示する一例のマルチレベルインバータでは、前記インダクタに対して直列に前記特定充電配線に接続されたスイッチをさらに有していてもよい。
【0025】
マルチレベルインバータや外部の充電器に、充電ポートの正極と負極を接続する入力コンデンサが設けられる場合がある。第1スイッチング回路及び第2スイッチング回路が入力コンデンサに接続されている状態でマルチレベルインバータがインバータ動作(すなわち、出力配線に交流電力を出力する動作)を実行すると、電流の一部が入力コンデンサに流れて交流電力の波形が崩れる。これに対し、上記のように特定充電配線にスイッチを設けると、インバータ動作中はスイッチをオフにしておくことで、交流電力の波形の崩れを防止できる。
【0026】
本明細書が開示する一例のマルチレベルインバータでは、前記スイッチが、前記特定充電配線に介装された半導体スイッチング素子と、前記特定充電配線に流れる電流に対して順方向となるように前記半導体スイッチング素子に対して直列に前記特定充電配線に介装されたダイオード、を有していてもよい。
【0027】
この構成によれば、スイッチを小型化できる。
【0028】
本明細書が開示する一例のマルチレベルインバータでは、前記非特定充電配線と前記インダクタ及び前記スイッチよりも前記直流充電ポートに近い側の前記特定充電配線とを接続する入力コンデンサをさらに有していてもよい。
【0029】
この構成によれば、インバータ動作中はスイッチをオフにしておくことで、交流電力の波形の崩れを防止できる。
【0030】
本明細書が開示する一例のマルチレベルインバータでは、充電負極配線をオン-オフするリレーをさらに有していてもよい。
【0031】
この構成によれば、充電ポートを使用していないときに、充電ポートを各スイッチング回路から電気的に分離することができる。
【0032】
本明細書が開示する一例のマルチレベルインバータでは、前記特定充電配線が前記充電正極配線であってもよい。この場合、マルチレベルインバータは、アノードが前記インダクタと前記リレーの間で前記充電正極配線に接続されているとともにカソードが前記バッテリの正極に接続された充電ダイオードをさらに有していてもよい。
【0033】
この構成によれば、供給電圧として2レベルの電圧を充電ポートで受けることができる。供給電圧として低電圧が供給された場合には、昇圧制御によってバッテリを充電できる。また、供給電圧として高電圧が供給された場合には、その高電圧を、充電ダイオードを介してバッテリの正極に印加することができる。これによって、バッテリを充電することができる。
【0034】
本明細書が開示する一例のマルチレベルインバータでは、前記特定充電配線が前記充電負極配線であってもよい。この場合、マルチレベルインバータは、カソードが前記インダクタと前記リレーの間で前記充電負極配線に接続されているとともにアノードが前記バッテリの負極に接続された充電ダイオードをさらに有していてもよい。
【0035】
この構成によれば、供給電圧として2レベルの電圧を充電ポートで受けることができる。供給電圧として低電圧が供給された場合には、昇圧制御によってバッテリを充電できる。また、供給電圧として高電圧が供給された場合には、その高電圧を、充電ダイオードを介してバッテリの負極に印加することができる。これによって、バッテリを充電することができる。
【実施例1】
【0036】
図1は、実施例1のマルチレベルインバータ10aの回路図を示している。マルチレベルインバータ10aは、車両に搭載されている。また、車両には、走行用モータ60が搭載されている。走行用モータ60は、三相モータである。マルチレベルインバータ10aは、バッテリ18を備えている。マルチレベルインバータ10aは、バッテリ18が出力する直流電力を三相交流電力に変換し、三相交流電力を走行用モータ60に供給する。これによって、走行用モータ60が駆動し、車両が走行する。
【0037】
マルチレベルインバータ10aは、インバータ回路30と充電回路70を有している。インバータ回路30は、バッテリ18が印加する直流電力を三相交流電力に変換する。充電回路70は、バッテリ18を充電する。
【0038】
インバータ回路30は、高電位入力配線12、中点配線14、低電位入力配線16、第1コンデンサ31、及び、第2コンデンサ32を有している。高電位入力配線12は、バッテリ18の正極に接続されている。低電位入力配線16は、バッテリ18の負極に接続されている。高電位入力配線12と低電位入力配線16の間に、バッテリ18の出力電圧Vb(すなわち、直流電圧)が印加される。高電位入力配線12の電位VHは、低電位入力配線16の電位VLよりも高い。第1コンデンサ31は、中点配線14と低電位入力配線16の間に接続されている。第2コンデンサ32は、高電位入力配線12と中点配線14の間に接続されている。このため、中点配線14の電位VMは、低電位入力配線16の電位VLよりも高く、高電位入力配線12の電位VHよりも低い。走行用モータ60に三相交流電力を供給するインバータ動作においては、高電位入力配線12と低電位入力配線16の間の電圧VHL(すなわち、電位VHと電位VLの差)は、バッテリ18の出力電圧Vbと等しい。また、インバータ動作においては、中点配線14の電位VMは電位VHの約1/2である。バッテリ18を充電する充電動作においては、電圧VHLとしてバッテリ18の出力電圧Vbよりも高い電圧が印加される。
【0039】
インバータ回路30は、3つの出力配線50u、50v、50wを有している。出力配線50u、50v、50wは、走行用モータ60に接続されている。また、インバータ回路30は、U相スイッチング回路41、V相スイッチング回路42、及び、W相スイッチング回路43を有している。U相スイッチング回路41は、高電位入力配線12、低電位入力配線16、中点配線14、及び、出力配線50uに接続されている。V相スイッチング回路42は、高電位入力配線12、低電位入力配線16、中点配線14、及び、出力配線50vに接続されている。W相スイッチング回路43は、高電位入力配線12、低電位入力配線16、中点配線14、及び、出力配線50wに接続されている。
【0040】
U相スイッチング回路41は、スイッチング素子41US、41MMS、41OMS、41LSを有している。スイッチング素子41US、41MMS、41OMS、41LSは、MOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)により構成されている。さらに、U相スイッチング回路41は、ダイオード41UD、41MMD、41OMD、41LDを有している。ダイオード41UDのカソードは、高電位入力配線12に接続されている。ダイオード41UDのアノードは、出力配線50uに接続されている。スイッチング素子41USは、ダイオード41UDに対して並列に接続されている。スイッチング素子41USのドレインは、高電位入力配線12に接続されている。スイッチング素子41USのソースは、出力配線50uに接続されている。ダイオード41LDのカソードは、出力配線50uに接続されている。ダイオード41LDのアノードは、低電位入力配線16に接続されている。スイッチング素子41LSは、ダイオード41LDに対して並列に接続されている。スイッチング素子41LSのドレインは、出力配線50uに接続されている。スイッチング素子41LSのソースは、低電位入力配線16に接続されている。ダイオード41MMDのアノードは、中点配線14に接続されている。ダイオード41MMDのカソードは、ダイオード41OMDのカソードに接続されている。ダイオード41OMDのアノードは、出力配線50uに接続されている。スイッチング素子41MMSは、ダイオード41MMDに対して並列に接続されている。スイッチング素子41MMSのソースは、ダイオード41MMDのアノードに接続されている。スイッチング素子41MMSのドレインは、ダイオード41MMDのカソードに接続されている。スイッチング素子41OMSは、ダイオード41OMDに対して並列に接続されている。スイッチング素子41OMSのドレインは、ダイオード41OMDのカソードに接続されている。スイッチング素子41OMSのソースは、ダイオード41OMDのアノードに接続されている。
【0041】
スイッチング素子41US、41MMS、41OMS、41LSのゲートは、制御回路90に接続されている。したがって、スイッチング素子41US、41MMS、41OMS、41LSは、制御回路90によって制御される。スイッチング素子41USがオンすると、高電位入力配線12が出力配線50uに電気的に接続され、出力配線50uに高電位入力配線12の電位VHが印加される。スイッチング素子41MMSとスイッチング素子41OMSがオンすると、中点配線14が出力配線50uに電気的に接続され、出力配線50uに中点配線14の電位VMが印加される。スイッチング素子41LSがオンすると、低電位入力配線16が出力配線50uに電気的に接続され、出力配線50uに低電位入力配線16の電位VLが印加される。このように、U相スイッチング回路41は、出力配線50uの電位を、電位VH、電位VM、及び、電位VLの間で変化させる。
【0042】
V相スイッチング回路42は、スイッチング素子42US、42MMS、42OMS、42LSを有している。スイッチング素子42US、42MMS、42OMS、42LSは、MOSFETにより構成されている。さらに、V相スイッチング回路42は、ダイオード42UD、42MMD、42OMD、42LDを有している。ダイオード42UDのカソードは、高電位入力配線12に接続されている。ダイオード42UDのアノードは、出力配線50vに接続されている。スイッチング素子42USは、ダイオード42UDに対して並列に接続されている。スイッチング素子42USのドレインは、高電位入力配線12に接続されている。スイッチング素子42USのソースは、出力配線50vに接続されている。ダイオード42LDのカソードは、出力配線50vに接続されている。ダイオード42LDのアノードは、低電位入力配線16に接続されている。スイッチング素子42LSは、ダイオード42LDに対して並列に接続されている。スイッチング素子42LSのドレインは、出力配線50vに接続されている。スイッチング素子42LSのソースは、低電位入力配線16に接続されている。ダイオード42MMDのカソードは、中点配線14に接続されている。ダイオード42MMDのアノードは、ダイオード42OMDのアノードに接続されている。ダイオード42OMDのカソードは、出力配線50vに接続されている。スイッチング素子42MMSは、ダイオード42MMDに対して並列に接続されている。スイッチング素子42MMSのソースは、ダイオード42MMDのアノードに接続されている。スイッチング素子42MMSのドレインは、ダイオード42MMDのカソードに接続されている。スイッチング素子42OMSは、ダイオード42OMDに対して並列に接続されている。スイッチング素子42OMSのドレインは、ダイオード42OMDのカソードに接続されている。スイッチング素子42OMSのソースは、ダイオード42OMDのアノードに接続されている。
【0043】
スイッチング素子42US、42MMS、42OMS、42LSのゲートは、制御回路90に接続されている。したがって、スイッチング素子42US、42MMS、42OMS、42LSは、制御回路90によって制御される。スイッチング素子42USがオンすると、高電位入力配線12が出力配線50vに電気的に接続され、出力配線50vに高電位入力配線12の電位VHが印加される。スイッチング素子42MMSとスイッチング素子42OMSがオンすると、中点配線14が出力配線50vに電気的に接続され、出力配線50vに中点配線14の電位VMが印加される。スイッチング素子42LSがオンすると、低電位入力配線16が出力配線50vに電気的に接続され、出力配線50vに低電位入力配線16の電位VLが印加される。このように、V相スイッチング回路42は、出力配線50vの電位を、電位VH、電位VM、及び、電位VLの間で変化させる。
【0044】
W相スイッチング回路43は、スイッチング素子43US、43MMS、43OMS、43LSを有している。スイッチング素子43US、43MMS、43OMS、43LSは、MOSFETにより構成されている。さらに、W相スイッチング回路43は、ダイオード43UD、43MMD、43OMD、43LDを有している。ダイオード43UDのカソードは、高電位入力配線12に接続されている。ダイオード43UDのアノードは、出力配線50wに接続されている。スイッチング素子43USは、ダイオード43UDに対して並列に接続されている。スイッチング素子43USのドレインは、高電位入力配線12に接続されている。スイッチング素子43USのソースは、出力配線50wに接続されている。ダイオード43LDのカソードは、出力配線50wに接続されている。ダイオード43LDのアノードは、低電位入力配線16に接続されている。スイッチング素子43LSは、ダイオード43LDに対して並列に接続されている。スイッチング素子43LSのドレインは、出力配線50wに接続されている。スイッチング素子43LSのソースは、低電位入力配線16に接続されている。ダイオード43MMDのカソードは、中点配線14に接続されている。ダイオード43MMDのアノードは、ダイオード43OMDのアノードに接続されている。ダイオード43OMDのカソードは、出力配線50wに接続されている。スイッチング素子43MMSは、ダイオード43MMDに対して並列に接続されている。スイッチング素子43MMSのソースは、ダイオード43MMDのアノードに接続されている。スイッチング素子43MMSのドレインは、ダイオード43MMDのカソードに接続されている。スイッチング素子43OMSは、ダイオード43OMDに対して並列に接続されている。スイッチング素子43OMSのドレインは、ダイオード43OMDのカソードに接続されている。スイッチング素子43OMSのソースは、ダイオード43OMDのアノードに接続されている。
【0045】
スイッチング素子43US、43MMS、43OMS、43LSのゲートは、制御回路90に接続されている。したがって、スイッチング素子43US、43MMS、43OMS、43LSは、制御回路90によって制御される。スイッチング素子43USがオンすると、高電位入力配線12が出力配線50wに電気的に接続され、出力配線50wに高電位入力配線12の電位VHが印加される。スイッチング素子43MMSとスイッチング素子43OMSがオンすると、中点配線14が出力配線50wに電気的に接続され、出力配線50wに中点配線14の電位VMが印加される。スイッチング素子43LSがオンすると、低電位入力配線16が出力配線50wに電気的に接続される。したがって、出力配線50wに低電位入力配線16の電位VLが印加される。このように、W相スイッチング回路43は、出力配線50wの電位を、電位VH、電位VM、及び、電位VLの間で変化させる。
【0046】
なお、ダイオード41UDは、41LD、41MMD、41OMD、42UD、42LD、42MMD、42OMD、43UD、43LD、43MMD、43OMDは、並列に接続されたMOSFETのボディダイオード(すなわち、MOSFETの内部に寄生的に形成されるダイオード)であってもよい。
【0047】
また、スイッチング素子41US、41MMS、41OMS、41LS、42US、42MMS、42OMS、42LS、43US、43MMS、43OMS、43LSは、MOSFET以外の素子(例えば、IGBT(insulated gate bipolar transistor))により構成されていてもよい。その場合、IGBTのエミッタを並列に接続されたダイオードのアノードに接続し、IGBTのコレクタを並列に接続されたダイオードのカソードに接続することができる。
【0048】
インバータ動作では、U相スイッチング回路41、V相スイッチング回路42、及び、W相スイッチング回路43が出力配線50u、50v、50wの電位を電位VL、電位VM、及び、電位VLの間で変化させる。これによって、出力配線50u、50v、50wの間に三相交流電力が生成され、走行用モータ60に三相交流電力が供給される。
【0049】
充電回路70は、充電正極配線22、充電負極配線24、充電ポート72、リレーモジュール74、入力コンデンサ76、インダクタ77、入力スイッチング素子78、及び、入力ダイオード79を有している。
【0050】
充電ポート72には、外部の充電器92が接続される。充電ポート72は、正極72aと負極72bを有している。充電器92が充電ポート72に接続されると、充電器92によって正極72aが負極72bよりも高電位となるように正極72aと負極72bの間に電圧Vs(以下、供給電圧Vsという)が印加される。充電ポート72には、低電圧充電器92aと高電圧充電器92bを接続することができる。低電圧充電器92aは、供給電圧Vsとして低電圧VsL(例えば、400V)を供給する。高電圧充電器92bは、供給電圧Vsとして高電圧VsH(例えば、800V)を供給する。低電圧VsLはバッテリ18の出力電圧Vbよりも低く、高電圧VsHはバッテリ18の出力電圧Vbよりも高い。
【0051】
充電正極配線22の一端は、充電ポート72の正極72aに接続されている。充電正極配線22の他端は、ダイオード41MMDのカソード、ダイオード41OMDのカソード、スイッチング素子41MMSのドレイン、及び、スイッチング素子41OMSのドレインに接続されている。充電負極配線24の一端は、充電ポート72の負極72bに接続されている。充電負極配線24の他端は、ダイオード42MMDのアノード、ダイオード42OMDのアノード、スイッチング素子42MMSのソース、及び、スイッチング素子42OMSのソースに接続されている。
【0052】
入力コンデンサ76は、充電正極配線22と充電負極配線24の間に接続されている。入力コンデンサ76は、充電正極配線22と充電負極配線24の間に印加される電圧を平滑化する。
【0053】
リレーモジュール74は、入力コンデンサ76と充電ポート72の間に配置されている。リレーモジュール74は、リレー74aとリレー74bを有している。リレー74aは、入力コンデンサ76よりも充電ポート72に近い側で充電正極配線22に介装されている。リレー74bは、入力コンデンサ76よりも充電ポート72に近い側で充電負極配線24に介装されている。リレー74a、74bがオフすると、充電ポート72が入力コンデンサ76、インバータ回路30等から電気的に遮断される。リレー74a、74bは、制御回路90によって制御される。
【0054】
インダクタ77は、入力コンデンサ76よりもインバータ回路30に近い側で充電正極配線22に介装されている。
【0055】
入力スイッチング素子78は、インダクタ77よりもインバータ回路30に近い側で充電正極配線22に介装されている。入力スイッチング素子78は、IGBTである。入力スイッチング素子78のコレクタはインダクタ77に接続されている。入力スイッチング素子78は、制御回路90によって制御される。入力ダイオード79は、入力スイッチング素子78よりもインバータ回路30に近い側で充電正極配線22に介装されている。入力ダイオード79のアノードは、入力スイッチング素子78のエミッタに接続されている。入力ダイオード79のカソードは、ダイオード41MMDのカソードに接続されている。
【0056】
マルチレベルインバータ10aは、正極側ダイオード82と負極側ダイオード84をさらに有している。正極側ダイオード82のアノードは、インダクタ77と入力スイッチング素子78の間で充電正極配線22に接続されている。正極側ダイオード82のカソードは、高電位入力配線12に接続されている。負極側ダイオード84のアノードは、低電位入力配線16に接続されている。負極側ダイオード84のカソードは、充電負極配線24に接続されている。
【0057】
マルチレベルインバータ10aは、充電制御を実施できる。充電制御は、インバータ動作を実施していないときに実施される。車両の停止状態では、リレー74a、74bがオフしており、入力スイッチング素子78がオフしている。車両の停止状態において充電ポート72に外部の充電器92が接続されると、制御回路90は、図示しない電圧計によって供給電圧Vsを検出する。制御回路90は、供給電圧Vsが低電圧VsLであるときは低電圧充電制御を実施し、供給電圧Vsが高電圧VsHであるときは高電圧充電制御を実行する。
【0058】
(低電圧充電制御)
制御回路90は、供給電圧Vsが低電圧VsLであることを検出すると、リレー74a、74bをオンに制御し、入力スイッチング素子78をオンに制御する。これによって、充電正極配線22と充電負極配線24の間に供給電圧Vs(すなわち、低電圧VsL)が印加される。
【0059】
低電圧充電制御では、制御回路90は、スイッチング素子41US、41OMS、41LS、42US、42OMS、42LS、43US、43MMS、43OMS、43LSをオフ状態に維持する。さらに、制御回路90は、図2のように、スイッチング素子41MMSとスイッチング素子42MMSを交互にオンさせる。より詳細には、制御回路90は、スイッチング素子41MMSがオンしているとともにスイッチング素子42MMSがオフしているオン期間Ton1、スイッチング素子41MMS及び42MMSが共にオフしているオフ期間Toff1、スイッチング素子42MMSがオンしているとともにスイッチング素子41MMSがオフしているオン期間Ton2、及び、スイッチング素子41MMS及び42MMSが共にオフしているオフ期間Toff2がこの順序で繰り返すようにスイッチング素子41MMS及び42MMSを制御する。
【0060】
オン期間Ton1では、スイッチング素子41MMSがオンすることで、図1の矢印100に示すように電流が流れる。すなわち、電流は、正極72aから、インダクタ77、入力スイッチング素子78、入力ダイオード79、スイッチング素子41MMS、第1コンデンサ31、及び、負極側ダイオード84を介して負極72bへ流れる。このように流れる電流によって、第1コンデンサ31が充電される。電流ILは、インダクタ77に流れる電流を示している。オン期間Ton1においては、インダクタ77の誘導起電力が、電流ILの流れる方向(すなわち、矢印100)と逆方向に生じる。誘導起電力は時間の経過とともに徐々に減少する。したがって、図2に示すように、オン期間Ton1の間に電流ILは徐々に増加する。
【0061】
オフ期間Toff1では、スイッチング素子41MMSとスイッチング素子42MMSが共にオフしているので、図3の矢印102に示すように電流が流れる。すなわち、オフ期間Toff1では、インダクタ77の誘導起電力が電流ILの流れる方向(すなわち、矢印102)と同じ方向に生じる。このため、正極側ダイオード82のアノードの電位が、正極側ダイオード82のカソードの電位(すなわち、高電位入力配線12の電位)よりも高くなる。このため、矢印102に示すように、電流が、正極72aから、インダクタ77、正極側ダイオード82、バッテリ18、及び、負極側ダイオード84を介して負極72bへ流れる。オフ期間Toff1において、インダクタ77の誘導起電力は時間の経過とともに減少する。したがって、図2に示すように、オフ期間Toff1の間に電流ILは減少する。
【0062】
オン期間Ton2では、スイッチング素子42MMSがオンすることで、図4の矢印104に示すように電流が流れる。すなわち、電流は、正極72aから、インダクタ77、正極側ダイオード82、第2コンデンサ32、及び、スイッチング素子42MMSを介して負極72bへ流れる。このように流れる電流によって、第2コンデンサ32が充電される。オン期間Ton2においては、インダクタ77の誘導起電力が、電流ILの流れる方向(すなわち、矢印104)と逆方向に生じる。誘導起電力は時間の経過とともに徐々に減少する。したがって、図2に示すように、オン期間Ton2の間に電流ILは徐々に増加する。
【0063】
オフ期間Toff2では、スイッチング素子41MMSとスイッチング素子42MMSが共にオフしているので、オフ期間Toff1と同様に図3の矢印102に示すように電流が流れる。したがって、図2に示すように、オフ期間Toff2の間に電流ILは減少する。
【0064】
このように、低電圧充電制御では、オン期間Ton1とオン期間Ton2が交互に繰り返されることで、第1コンデンサ31と第2コンデンサ32が交互に充電される。高電位入力配線12と低電位入力配線16の間の電圧VHLは、第1コンデンサ31の両端間の電圧VC1と第2コンデンサ32の両端間の電圧VC2を加算した電圧である。第1コンデンサ31の充電によって、第1コンデンサ31の両端間の電圧VC1は最大で低電圧VsLまで上昇する。第2コンデンサ32の充電によって、第2コンデンサ32の両端間の電圧VC2は最大で低電圧VsLまで上昇する。電圧VC1が低電圧VsLまで上昇し、電圧VC2が低電圧VsLまで上昇すれば、高電位入力配線12と低電位入力配線16の間の電圧VHLは低電圧VsLの2倍の値まで上昇する。このように、低電圧充電制御によれば、高電位入力配線12と低電位入力配線16の間の電圧VHLを充電器92が供給する低電圧VsLよりも高い電圧まで上昇させることができる。したがって、低電圧VsLがバッテリ18の出力電圧Vbよりも低くても、電圧VHLをバッテリ18の出力電圧Vbよりも高い電圧まで上昇させることができる。したがって、バッテリ18を充電することができる。このように、実施例1のマルチレベルインバータ10aによれば、インバータ回路30を利用して、低電圧VsLを昇圧し、昇圧した電圧によってバッテリ18を充電することができる。このように、専用の昇圧コンバータ回路を設けることなく低電圧VsLを利用してバッテリ18を充電することができる。したがって、マルチレベルインバータ10aを小型化することができる。
【0065】
また、図2に示すように、電流ILは、オン期間Ton1、Ton2において増加し、オフ期間Toff1、Toff2において減少する。オン期間Ton1、Ton2とオフ期間Toff1、Toff2の比率を制御することで、電流ILの大きさを制御することができる。これによって、第1コンデンサ31の電圧VC1及び第2コンデンサ32の電圧VC2を制御することができる。例えば、図2のようにオン期間Ton1、Ton2をオフ期間Toff1、Toff2よりも十分に長くすれば、第1コンデンサ31の電圧VC1を低電圧VsLまで上昇させることができ、第2コンデンサ32の電圧VC2を低電圧VsLまで上昇させることができる。また、図2よりもオフ期間Toff1、Toff2の比率を大きくすれば、電流ILがより小さくなり、電圧VC1、VC2をより小さい値に制御することができる。例えば、電圧VC1を低電圧VsLの0.8倍に制御し、電圧VC2を低電圧VsLの0.8倍とすることができる。この場合、電圧VHLは低電圧VsLの1.6倍となる。この場合でも、低電圧VsLよりも高い電圧を電圧VHLとして印加することができ、バッテリ18を充電することができる。
【0066】
なお、実施例1において、オフ期間Toff1、Toff2のいずれか、または、両方が存在しなくてもよい。この場合、電流ILが高くなり易い。
【0067】
また、実施例1のマルチレベルインバータ10aでは、低電圧充電制御のオン期間Ton1、Ton2において、制御回路90が、スイッチング素子41OMS、42MMS、42OMS、43MMS、43OMSをオフに維持する。したがって、充電正極配線22の電位及び充電負極配線24の電位が出力配線50u、50v、50wに印加されることを防止できる。また、低電圧充電制御のオン期間Ton1、Ton2において、制御回路90が、スイッチング素子41US、41LS、42US、42LS、43US、43LSをオフに維持する。したがって、高電位入力配線12の電位及び低電位入力配線16の電位が出力配線50u、50v、50wに印加されることを防止できる。したがって、低電圧充電制御中に走行用モータ60での振動等の発生を防止できる。
【0068】
また、上述したように、オン期間Ton1からオフ期間Toff1に切り替わるときに、スイッチング素子41MMSがオフする。同様に、オン期間Ton2からオフ期間Toff2に切り替わるときに、スイッチング素子42MMSがオフする。スイッチング素子41MMS、42MMSがオフするときにインダクタ77の誘導起電力によってスイッチング素子41MMS、42MMSに高いサージ電圧が印加されると、スイッチング素子41MMS、42MMSに高い負荷が加わる。しかしながら、実施例1のマルチレベルインバータ10aでは、正極側ダイオード82及び負極側ダイオード84によってスイッチング素子41MMS、42MMSをバイパスするパイパス経路が構成されている。このバイパス経路によって、スイッチング素子41MMS、42MMSに印加されるサージ電圧が抑制される。すなわち、スイッチング素子41MMS、42MMSがオフすると、上述したように、オフ期間Toff1、Toff2において正極側ダイオード82及び負極側ダイオード84がオンする。その結果、図3の矢印102に示すように、電流がスイッチング素子41MMS、42MMSを迂回して流れる。このため、スイッチング素子41MMS、42MMSに印加されるサージ電圧が抑制される。また、低電圧充電制御中に、何らかの異常によって、スイッチング素子41MMS、スイッチング素子42MMS、及び、入力スイッチング素子78の少なくとも1つが瞬断するおそれがある。このようにスイッチング素子の瞬断が生じた場合でも、図3の矢印102に示すように、電流がスイッチング素子41MMS、スイッチング素子42MMS、及び、入力スイッチング素子78を迂回して流れる。これによって、スイッチング素子41MMS、スイッチング素子42MMS、及び、入力スイッチング素子78に印加されるサージ電圧が抑制される。
【0069】
また、低電圧充電制御中に、充電器92内で発生したサージ電圧が正極72aと負極72bの間に印加される場合がある。このようなサージ電圧によって突入電流が何れかのスイッチング素子に流れると、そのスイッチング素子に高い負荷が加わる。しかしながら、実施例1のマルチレベルインバータ10aでは、正極72aと負極72bの間にサージ電圧が印加されると、インダクタ77が電流ILの上昇を抑制する。これによって、突入電流が抑制される。したがって、マルチレベルインバータ10a内のスイッチング素子に突入電流が流れることが抑制される。
【0070】
(高電圧充電制御)
制御回路90は、供給電圧Vsが高電圧VsHであることを検出すると、高電圧充電制御を実施する。高電圧充電制御では、制御回路90は、リレー74a、74bをオン、入力スイッチング素子78をオフに制御する。また、制御回路90は、スイッチング素子41US、41LS、41MMS、41OMS、42US、42LS、42MMS、42OMS、43US、43LS、43MMS、43OMSをオフに制御する。このように各部が制御されると、高電圧VsHがバッテリ18の出力電圧Vbよりも高いので、図3の矢印102に示すように電流が流れる。すなわち、正極72aから、インダクタ77、正極側ダイオード82、バッテリ18、負極側ダイオード84を介して負極72bへ電流が流れる。高電圧充電制御中は、常時、矢印102のよう電流が流れる。これによって、バッテリ18が充電される。
【0071】
このように、マルチレベルインバータ10aは、低電圧充電制御と高電圧充電制御を選択して実行することができる。この構成によれば、低電圧VsLの供給と高電圧VsHの供給を共通の充電ポート72によって受けることができる。低電圧VsLと高電圧VsHとで充電ポートを別個に設ける必要が無いので、マルチレベルインバータ10aを小型化することができる。また、リレーモジュール74をオフすれば、充電ポート72を高電圧充電用の回路と低電圧充電用の回路のいずれからも遮断することができる。高電圧充電用の回路と低電圧充電用の回路に個別にリレーモジュールを設ける必要がないので、マルチレベルインバータ10aを小型化することができる。
【0072】
次に、入力スイッチング素子78と入力ダイオード79の機能について説明する。上述したように、マルチレベルインバータ10aは、インバータ動作によって走行用モータ60に三相交流電力を供給する。入力スイッチング素子78と入力ダイオード79が存在しないと、図5の矢印106に示すようにインバータ動作において入力コンデンサ76を介してU相スイッチング回路41とV相スイッチング回路42の間で電流が流れる。このように電流が流れると、出力配線50u、50v、50wに流れる交流電流の波形が崩れ、走行用モータ60の駆動効率が低下する。これに対し、実施例1のマルチレベルインバータ10aでは、入力コンデンサ76とU相スイッチング回路41の間の充電正極配線22に入力スイッチング素子78と入力ダイオード79が介装されている。制御回路90は、インバータ動作中に、入力スイッチング素子78をオフに維持する。したがって、インバータ動作中に、図5の矢印106に示すような電流が流れない。したがって、マルチレベルインバータ10aでは、出力配線50u、50v、50wに流れる交流電流の波形の崩れを防止できる。
【0073】
なお、実施例1では、充電回路70が入力コンデンサ76を有しているが、図6に示すように充電回路70が入力コンデンサ76を有していなくてもよい。この場合でも、図6に示すように充電器92が正極72aと負極72bの間に接続される入力コンデンサ94を有している場合には、インバータ動作中に入力コンデンサ94を介して電流が流れ、交流電流の波形が崩れるおそれがある。このようなおそれがある場合には、インバータ動作中に入力スイッチング素子78をオフに維持することで、交流電流の波形の崩れを防止できる。
【0074】
また、上述した実施例1では、インダクタ77が充電正極配線22に介装されていたが、インダクタ77が充電負極配線24に介装されていてもよい。この構成でも、インダクタ77の誘導起電力を利用して上述した実施例1とほぼ同様に低電圧充電制御を実行することができる。例えば、図7に示すようにインダクタ77を充電負極配線24に介装することができる。図7では、インダクタ77が、入力コンデンサ76よりもインバータ回路30に近い側の充電負極配線24に介装されている。また、負極側ダイオード84のカソードが、インダクタ77よりもインバータ回路30に近い側の充電負極配線24に接続されている。
【0075】
また、上述した実施例1では、入力スイッチング素子78と入力ダイオード79が充電正極配線22に介装されていたが、これらが充電負極配線24に介装されていてもよい。この構成でも、インバータ動作中に入力スイッチング素子78をオフに維持することで、交流電流の波形の崩れを防止できる。この場合、入力スイッチング素子78と入力ダイオード79を充電負極配線24の電流が流れる向きに沿って設置する。例えば、図7に示すように、インダクタ77が充電負極配線24に介装されている場合に、入力スイッチング素子78と入力ダイオード79も充電負極配線24に介装されていてもよい。図7では、入力スイッチング素子78と入力ダイオード79が、充電負極配線24と負極側ダイオード84との接続点よりもインバータ回路30に近い側の充電負極配線24に介装されている。
【実施例2】
【0076】
実施例2のマルチレベルインバータでは、低電圧充電制御におけるスイッチング素子41MMS、42MMSの制御方法が実施例1とは異なる。実施例2のマルチレベルインバータのその他の構成は、実施例1と等しい。
【0077】
実施例2のマルチレベルインバータでの低電圧充電制御では、制御回路90は、スイッチング素子41US、41OMS、41LS、42US、42OMS、42LS、43US、43MMS、43OMS、43LSをオフ状態に維持する。さらに、制御回路90は、図8のように、スイッチング素子41MMSとスイッチング素子42MMSを交互にオンさせる。より詳細には、制御回路90は、スイッチング素子41MMSがオンしているとともにスイッチング素子42MMSがオフしているオン期間Ton1、スイッチング素子41MMS、42MMSが共にオンしている電流増加期間Tac1、スイッチング素子42MMSがオンしているとともにスイッチング素子41MMSがオフしているオン期間Ton2、及び、スイッチング素子41MMS、42MMSが共にオンしている電流増加期間Tac2がこの順序で繰り返すようにスイッチング素子41MMS、42MMSを制御する。
【0078】
電流増加期間Tac2では、スイッチング素子41MMS及び42MMSが共にオンすることで、図9の矢印110に示すように電流が流れる。すなわち、正極72aから、インダクタ77、入力スイッチング素子78、入力ダイオード79、スイッチング素子41MMS、及び、スイッチング素子42MMSを介して負極72bへ流れる。このように、電流は、インダクタ77以外に負荷を通らない。したがって、電流増加期間Tac2では、インダクタ77の誘導起電力が電流ILの流れる方向と逆方向に生じる。また、電流増加期間Tac2では、インダクタ77の誘導起電力が時間の経過とともに減少する。したがって、図8に示すように、電流増加期間Tac2の間に電流ILが増加する。
【0079】
電流増加期間Tac2からオン期間Ton1に切り替わるときに、スイッチング素子42MMSがオフする。したがって、オン期間Ton1では、スイッチング素子41MMSがオンしており、スイッチング素子42MMSがオフしている。このため、図1の矢印100に示すように電流が流れ、第1コンデンサ31が充電される。オン期間Ton1では、インダクタ77において電流ILの流れる方向と同じに誘導起電力が生じる。したがって、第1コンデンサ31に、低電圧VsLにインダクタ77の誘導起電力を加算した電圧が印加される。したがって、オン期間Ton1において、第1コンデンサ31の電圧VC1が低電圧VsLよりも高い電圧となるように第1コンデンサ31を充電することができる。オン期間Ton1の間に、誘導起電力は時間の経過とともに徐々に減少する。したがって、図8に示すように、オン期間Ton1の間に電流ILは徐々に減少する。
【0080】
オン期間Ton1から電流増加期間Tac1に切り替わるときに、スイッチング素子42MMSがオンする。したがって、電流増加期間Tac1では、スイッチング素子41MMS、42MMSが共にオンしている。このため、電流増加期間Tac1では、電流増加期間Tac2と同様に、図9の矢印110に示すように電流が流れ、電流ILが増加する。
【0081】
電流増加期間Tac1からオン期間Ton2に切り替わるときに、スイッチング素子41MMSがオフする。したがって、オン期間Ton2では、スイッチング素子42MMSがオンしており、スイッチング素子41MMSがオフしている。このため、図4の矢印104に示すように電流が流れ、第2コンデンサ32が充電される。オン期間Ton2では、インダクタ77において電流ILの流れる方向と同じに誘導起電力が生じる。したがって、第2コンデンサ32に、低電圧VsLにインダクタ77の誘導起電力を加算した電圧が印加される。したがって、オン期間Ton2において、第2コンデンサ32の電圧VC2が低電圧VsLよりも高い電圧となるように第2コンデンサ32を充電することができる。オン期間Ton2の間に、誘導起電力は時間の経過とともに徐々に減少する。したがって、図8に示すように、オン期間Ton2の間に電流ILは徐々に減少する。
【0082】
このように、実施例2の低電圧充電制御では、オン期間Ton1において電圧VC1が低電圧VsLよりも高い電圧となるように第1コンデンサ31が充電され、オン期間Ton2において電圧VC2が低電圧VsLよりも高い電圧となるように第2コンデンサ32が充電される。このため、高電位入力配線12と低電位入力配線16の間の電圧VHLが低電圧VsLの2倍よりも高い電圧まで上昇する。したがって、バッテリ18を効率的に充電することができる。このように、実施例2のマルチレベルインバータでも、専用の昇圧コンバータ回路を設けることなく低電圧VsLを利用してバッテリ18を充電することができる。
【0083】
また、図8に示すように、電流ILは、オン期間Ton1、Ton2において減少し、電流増加期間Tac1、Tac2において増加する。このため、オン期間Ton1、Ton2と電流増加期間Tac1、Tac2の比率を制御することで、電流ILの大きさを制御することができる。このように電流ILの大きさを制御することで、第1コンデンサ31の電圧VC1及び第2コンデンサ32の電圧VC2を意図した電圧に制御することができる。
【実施例3】
【0084】
図10に示す実施例3のマルチレベルインバータ10bは、正極側ダイオード82と負極側ダイオード84を有さない。実施例3のマルチレベルインバータ10bのその他の構成は、実施例1と等しい。また、実施例3のマルチレベルインバータ10bは、低電圧充電制御を実行し、高電圧充電制御を実行しない。実施例3では、低電圧充電制御における各スイッチング素子の制御方法が実施例1とは異なる。
【0085】
実施例3の低電圧充電制御では、制御回路90は、入力スイッチング素子78をオンに維持する。また、制御回路90は、スイッチング素子43MMS及び43OMSをオフに維持する。また、制御回路90は、スイッチング素子41MMS、42OMS、42MMS、41OMSを図11のように制御する。より詳細には、制御回路90は、オン期間Ton1、電流増加期間Tac1、オン期間Ton2、電流増加期間Tac2がこの順序で繰り返すようにスイッチング素子41MMS、42OMS、42MMS、41OMSを制御する。オン期間Ton1では、スイッチング素子41MMS、42OMSがオンしているとともにスイッチング素子42MMS、41OMSがオフしている。電流増加期間Tac1では、スイッチング素子41MMS、42OMS、42MMS、41OMSの全てがオンしている。オン期間Ton2では、スイッチング素子42MMS、41OMSがオンしているとともにスイッチング素子41MMS、42OMSがオフしている。電流増加期間Tac2では、スイッチング素子41MMS、42OMS、42MMS、41OMSの全てがオンしている。
【0086】
電流増加期間Tac2では、スイッチング素子41MMS、42OMS、42MMS、41OMSの全てがオンすることで、図10の矢印120に示すように電流が流れる。すなわち、電流が、正極72aから、インダクタ77、入力スイッチング素子78、入力ダイオード79、スイッチング素子41MMS、及び、スイッチング素子42MMSを介して負極72bへ流れる。このように、電流は、インダクタ77以外に負荷を通らない。したがって、電流増加期間Tac2では、インダクタ77の誘導起電力が電流ILの流れる方向と逆方向に生じる。また、電流増加期間Tac2では、インダクタ77の誘導起電力が時間の経過とともに減少する。したがって、図11に示すように、電流増加期間Tac2の間に電流ILが増加する。
【0087】
電流増加期間Tac2からオン期間Ton1に切り替わるときに、スイッチング素子42MMS、41OMSがオフする。したがって、オン期間Ton1では、スイッチング素子41MMS、42OMSがオンしており、スイッチング素子42MMS、41OMSがオフしている。このため、図12の矢印122に示すように電流が流れる。すなわち、電流が、正極72aから、インダクタ77、入力スイッチング素子78、入力ダイオード79、スイッチング素子41MMS、第1コンデンサ31、ダイオード42LD、及び、スイッチング素子42OMSを介して負極72bへ流れる。このように電流が流れることで、第1コンデンサ31が充電される。オン期間Ton1では、インダクタ77において電流ILの流れる方向と同じに誘導起電力が生じる。したがって、第1コンデンサ31に、低電圧VsLにインダクタ77の誘導起電力を加算した電圧が印加される。したがって、オン期間Ton1において、第1コンデンサ31の電圧VC1が低電圧VsLよりも高い電圧となるように第1コンデンサ31を充電することができる。オン期間Ton1の間に、誘導起電力は時間の経過とともに徐々に減少する。したがって、図11に示すように、オン期間Ton1の間に電流ILは徐々に減少する。
【0088】
オン期間Ton1から電流増加期間Tac1に切り替わるときに、スイッチング素子42MMS、41OMSがオンする。したがって、電流増加期間Tac1では、スイッチング素子41MMS、42OMS、42MMS、及び、41OMSの全てがオンしている。このため、電流増加期間Tac1では、電流増加期間Tac2と同様に、図10の矢印120に示すように電流が流れ、電流ILが増加する。
【0089】
電流増加期間Tac1からオン期間Ton2に切り替わるときに、スイッチング素子41MMS、42OMSがオフする。したがって、オン期間Ton2では、スイッチング素子42MMS、41OMSがオンしており、スイッチング素子41MMS、42OMSがオフしている。このため、図13の矢印124に示すように電流が流れる。すなわち、電流が、正極72aから、インダクタ77、入力スイッチング素子78、入力ダイオード79、スイッチング素子41OMS、ダイオード41UD、第2コンデンサ32、及び、スイッチング素子42MMSを介して負極72bへ流れる。このように電流が流れることで、第2コンデンサ32が充電される。オン期間Ton2では、インダクタ77において電流ILの流れる方向と同じに誘導起電力が生じる。したがって、第2コンデンサ32に、低電圧VsLにインダクタ77の誘導起電力を加算した電圧が印加される。したがって、オン期間Ton2において、第2コンデンサ32の電圧VC2が低電圧VsLよりも高い電圧となるように第2コンデンサ32を充電することができる。オン期間Ton2の間に、誘導起電力は時間の経過とともに徐々に減少する。したがって、図11に示すように、オン期間Ton2の間に電流ILは徐々に減少する。
【0090】
このように、実施例3の低電圧充電制御では、オン期間Ton1において電圧VC1が低電圧VsLよりも高い電圧となるように第1コンデンサ31が充電され、オン期間Ton2において電圧VC2が低電圧VsLよりも高い電圧となるように第2コンデンサ32が充電される。このため、高電位入力配線12と低電位入力配線16の間の電圧VHLが低電圧VsLの2倍よりも高い電圧まで上昇する。したがって、バッテリ18を効率的に充電することができる。このように、実施例3のマルチレベルインバータ10bでも、専用の昇圧コンバータ回路を設けることなく低電圧VsLを利用してバッテリ18を充電することができる。
【0091】
また、図11に示すように、電流ILは、オン期間Ton1、Ton2において減少し、電流増加期間Tac1、Tac2において増加する。このため、オン期間Ton1、Ton2と電流増加期間Tac1、Tac2の比率を制御することで、電流ILの大きさを制御することができる。このように電流ILの大きさを制御することで、第1コンデンサ31の電圧VC1及び第2コンデンサ32の電圧VC2を意図した電圧に制御することができる。
【0092】
なお、図11に示すように、実施例3の低電圧充電制御では、オン期間Ton1の一部の期間において、スイッチング素子42LSがオンする。スイッチング素子42LSがオンすると、ダイオード42LDに流れる電流(図12参照)がダイオード42LDとスイッチング素子42LSに分岐して流れるようになる。これによって、ダイオード42LDで生じる損失が抑制される。図11に示すように、スイッチング素子42LSがオンする期間とスイッチング素子42MMSがオンする期間(すなわち、電流増加期間Tac1、Tac2)の間にはデッドタイムDT1(すなわち、スイッチング素子42LS、42MMSが共にオフとなる期間)が設けられている。デッドタイムDT1によって、スイッチング素子42LS、42MMSの両方がオンとなって中点配線14と低電位入力配線16が短絡することが防止される。なお、実施例3の低電圧充電制御では、スイッチング素子42LSと同様にスイッチング素子41LS、43LSを制御してもよいし、スイッチング素子41LS、43LSをオフに維持してもよい。スイッチング素子42LSと同様にスイッチング素子41LS、43LSをオンしても、スイッチング素子41LS、43LSには電流が流れないので、低電圧充電制御に影響はない。また、ダイオード42LDでそれほど高い損失が生じない場合には、実施例3の低電圧充電制御においてスイッチング素子42LSをオフに維持してもよい。
【0093】
また、図11に示すように、実施例3の低電圧充電制御では、オン期間Ton2の一部の期間において、スイッチング素子41USがオンする。スイッチング素子41USがオンすると、ダイオード41UDに流れる電流(図13参照)がダイオード41UDとスイッチング素子41USに分岐して流れるようになる。これによって、ダイオード41UDで生じる損失が抑制される。図11に示すように、スイッチング素子41USがオンする期間とスイッチング素子41MMSがオンする期間(すなわち、電流増加期間Tac1、Tac2)の間にはデッドタイムDT2(すなわち、スイッチング素子41US、41MMSが共にオフとなる期間)が設けられている。デッドタイムDT2によって、スイッチング素子41US、41MMSの両方がオンとなって中点配線14と高電位入力配線12が短絡することが防止される。なお、実施例3の低電圧充電制御では、スイッチング素子41USと同様にスイッチング素子42US、43USを制御してもよいし、スイッチング素子42US、43USをオフに維持してもよい。スイッチング素子41USと同様にスイッチング素子42US、43USをオンしても、スイッチング素子42US、43USには電流が流れないので、低電圧充電制御に影響はない。また、ダイオード41UDでそれほど高い損失が生じない場合には、実施例3の低電圧充電制御においてスイッチング素子41USをオフに維持してもよい。
【0094】
また、実施例3でも、インダクタ77によってマルチレベルインバータ10b内のスイッチング素子に突入電流が流れることが抑制される。また、実施例3でも、インバータ動作中に入力スイッチング素子78がオフに維持され、出力配線50u、50v、50wに流れる交流電流の波形の崩れが防止される。また、実施例3でも、図6のように、充電回路70が入力コンデンサ76を有さなくてもよい。また、実施例3でも、図7のように、インダクタ77が充電負極配線24に介装されていてもよい。また、実施例3でも、図7のように、充電負極配線24に入力スイッチング素子78と入力ダイオード79を介装されていてもよい。
【0095】
なお、実施例3の低電圧充電制御において、電流増加期間Tac1、Tac2の少なくとも一方が存在しなくてもよい。また、実施例3の低電圧充電制御において、電流増加期間Tac1、Tac2の代わりに、スイッチング素子41MMS、42OMS、42MMS、41OMSのすべてがオフするオフ期間Toff1、Toff2が設けられていてもよい。この場合、オフ期間Toff1、Toff2においてスイッチング素子41MMS、42OMS、42MMS、41OMSを迂回して正極72aから負極72bへ電流を流すバイパス経路を設けると、スイッチング素子41MMS、42OMS、42MMS、41OMSに印加されるサージ電圧を抑制することができる。
【0096】
次に、実施例3のマルチレベルインバータ10bを変形した変形例1~3のマルチレベルインバータについて説明する。変形例1~3のマルチレベルインバータは、高電圧充電制御が実施可能となるように実施例3のマルチレベルインバータ10bを変形したものである。
【0097】
図14に示す変形例1のマルチレベルインバータ10cは、充電ダイオード86を有している。変形例1のマルチレベルインバータ10cのその他の構成は、実施例3のマルチレベルインバータ10bと等しい。
【0098】
充電ダイオード86のアノードは、インダクタ77とリレー74aの間の位置で充電正極配線22に接続されている。充電ダイオード86のカソードは、高電位入力配線12に接続されている。
【0099】
制御回路90は、供給電圧Vsとして高電圧VsHが印加されたときには、リレー74a、74bをオン、入力スイッチング素子78をオフ、スイッチング素子42OMSをオンに制御する。また、制御回路90は、スイッチング素子41US、41LS、41MMS、41OMS、42US、42LS、42MMS、43US、43LS、43MMS、43OMSをオフに制御する。制御回路90は、高電圧充電制御中にこの制御状態を維持する。このように各部が制御されると、高電圧VsHがバッテリ18の出力電圧Vbよりも高いので、図14の矢印130に示すように電流が流れる。すなわち、正極72aから、充電ダイオード86、バッテリ18、ダイオード42LD、スイッチング素子42OMSを介して負極72bへ電流が流れる。このように電流が流れることで、バッテリ18が充電される。
【0100】
図15に示す変形例2のマルチレベルインバータ10dは、インダクタ77、入力スイッチング素子78、入力ダイオード79が図7と同様に充電負極配線24に介装されている。また、変形例2のマルチレベルインバータ10dは、充電ダイオード88を有している。充電ダイオード88のカソードは、インダクタ77とリレー74bの間の位置で充電負極配線24に接続されている。充電ダイオード88のアノードは、低電位入力配線16に接続されている。実施例5のマルチレベルインバータ10dのその他の構成は、実施例3のマルチレベルインバータ10bと等しい。
【0101】
制御回路90は、供給電圧Vsとして高電圧VsHが印加されたときには、リレー74a、74bをオン、入力スイッチング素子78をオフ、スイッチング素子41OMSをオンに制御する。また、制御回路90は、スイッチング素子41US、41LS、41MMS、42US、42LS、42MMS、42OMS、43US、43LS、43MMS、43OMSをオフに制御する。制御回路90は、高電圧充電制御中にこの制御状態を維持する。このように各部が制御されると、高電圧VsHがバッテリ18の出力電圧Vbよりも高いので、図15の矢印132に示すように電流が流れる。すなわち、正極72aから、スイッチング素子41OMS、ダイオード41UD、バッテリ18、充電ダイオード88を介して負極72bへ電流が流れる。このように電流が流れることで、バッテリ18が充電される。
【0102】
図16に示す変形例3のマルチレベルインバータ10eは、充電ダイオード86、88を有している。変形例3のマルチレベルインバータ10eのその他の構成は、実施例3のマルチレベルインバータ10bと等しい。充電ダイオード86のアノードは、インダクタ77とリレー74aの間の位置で充電正極配線22に接続されている。充電ダイオード86のカソードは、高電位入力配線12に接続されている。充電ダイオード88のカソードは、リレー74bとV相スイッチング回路42の間の位置で充電負極配線24に接続されている。充電ダイオード88のアノードは、低電位入力配線16に接続されている。
【0103】
制御回路90は、供給電圧Vsとして高電圧VsHが印加されたときには、リレー74a、74bをオン、入力スイッチング素子78をオフに制御する。また、制御回路90は、スイッチング素子41US、41LS、41MMS、41OMS、42US、42LS、42MMS、42OMS、43US、43LS、43MMS、43OMSをオフに制御する。制御回路90は、高電圧充電制御中にこの制御状態を維持する。このように各部が制御されると、高電圧VsHがバッテリ18の出力電圧Vbよりも高いので、図16の矢印134に示すように電流が流れる。すなわち、正極72aから、充電ダイオード86、バッテリ18、充電ダイオード88を介して負極72bへ電流が流れる。このように電流が流れることで、バッテリ18が充電される。
【0104】
制御回路90は、供給電圧Vsとして低電圧VsLが印加されたときには、実施例4と同様に充電制御を実施する。したがって、バッテリ18を充電することができる。
【0105】
制御回路90は、供給電圧Vsとして高電圧VsHが印加されたときには、リレー74a、74bをオン、入力スイッチング素子78をオフに制御する。また、制御回路90は、スイッチング素子41US、41LS、41MMS、41OMS、42US、42LS、42MMS、42OMS、43US、43LS、43MMS、43OMSをオフに制御する。このように各部が制御されると、高電圧VsHがバッテリ18の出力電圧Vbよりも高いので、図16の矢印134に示すように電流が流れる。すなわち、正極72aから、充電ダイオード86、バッテリ18、充電ダイオード88を介して負極72bへ電流が流れる。このように電流が流れることで、バッテリ18が充電される。
【0106】
以上に説明したように、変形例1~3のマルチレベルインバータ10c~10eによれば、高電圧充電制御を実行することができる。また、変形例1~3のマルチレベルインバータ10c~10eによれば、実施例3のマルチレベルインバータ10bと同様に、低電圧充電制御を実行することができる。変形例1~3の構成によれば、低電圧VsLと高電圧VsHの供給を共通の充電ポート72によって受けることができるので、マルチレベルインバータ10cを小型化することができる。また、変形例1~3の構成によれば、1つのリレーモジュール74によって充電ポート72を高電圧充電用の回路と低電圧充電用の回路のいずれからも遮断することができる。したがって、マルチレベルインバータ10aを小型化することができる。
【0107】
なお、変形例1~3で説明した充電ダイオード86、88の少なくとも一方を、実施例1または2のマルチレベルインバータに設けてもよい。この場合でも、充電ダイオード86、88の少なくとも一方を介して高電圧による充電を行うことができる。
【0108】
なお、上述した実施例において、入力スイッチング素子78及び入力ダイオード79の代わりに、リレー等の接点式スイッチを設けてもよい。この構成でも、インバータ動作時に接点式スイッチをオフすることで、交流電流の波形の崩れを防止できる。
【0109】
上述した実施例の各構成要素について説明する。出力配線50uは、第1出力配線の一例である。出力配線50vは、第2出力配線の一例である。出力配線50wは、第3出力配線の一例である。U相スイッチング回路41は、第1スイッチング回路の一例である。
V相スイッチング回路42は、第2スイッチング回路の一例である。W相スイッチング回路43は、第3スイッチング回路の一例である。スイッチング素子41USは、第1上アームスイッチング素子の一例である。スイッチング素子41LSは、第1下アームスイッチング素子の一例である。ダイオード41MMDは、第1中点側中間ダイオードの一例である。ダイオード41OMDは、第1出力側中間ダイオードの一例である。スイッチング素子41MMSは、第1中点側中間スイッチング素子の一例である。スイッチング素子41OMSは、第1出力側中間スイッチング素子の一例である。スイッチング素子42USは、第2上アームスイッチング素子の一例である。スイッチング素子42LSは、第2下アームスイッチング素子の一例である。ダイオード42MMDは、第2中点側中間ダイオードの一例である。ダイオード42OMDは、第2出力側中間ダイオードの一例である。スイッチング素子42MMSは、第2中点側中間スイッチング素子の一例である。スイッチング素子42OMSは、第2出力側中間スイッチング素子の一例である。低電圧充電制御は、昇圧制御の一例である。オン期間Ton1におけるマルチレベルインバータの動作は、第1動作の一例である。オン期間Ton2におけるマルチレベルインバータの動作は、第2動作の一例である。オフ期間Toff1、Toff2におけるマルチレベルインバータの動作は、休止動作の一例である。電流増加期間Tac1、Tac2におけるマルチレベルインバータの動作は、電流増加動作の一例である。
【0110】
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの1つの目的を達成すること自体で技術有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0111】
10a~10e:マルチレベルインバータ、12:高電位入力配線、14:中点配線、16:低電位入力配線、18:バッテリ、22:充電正極配線、24:充電負極配線、30:インバータ回路、31:第1コンデンサ、32:第2コンデンサ、50u~50w:出力配線、60:走行用モータ、70:充電回路、72:充電ポート、74:リレーモジュール、76:入力コンデンサ、77:インダクタ、78:入力スイッチング素子、79:入力ダイオード
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