(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】抵抗装置、抵抗装置を備えた測定回路ならびに抵抗装置用の帯状材料複合体の作製方法
(51)【国際特許分類】
H01C 13/02 20060101AFI20240827BHJP
G01R 15/00 20060101ALI20240827BHJP
H01C 3/00 20060101ALI20240827BHJP
H01C 13/00 20060101ALI20240827BHJP
H01C 17/07 20060101ALI20240827BHJP
H01C 17/232 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H01C13/02 B
G01R15/00 500
H01C3/00 Z
H01C13/00 J
H01C17/07
H01C17/232
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021005096
(22)【出願日】2021-01-15
【審査請求日】2023-10-30
(31)【優先権主張番号】10 2020 101 070.2
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】523005678
【氏名又は名称】ヴィーラント ウント ミューニック エレクトリフィケイション ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Wieland & Munich Electrification GmbH
【住所又は居所原語表記】Landaubogen 1, 81373 Munchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ヴォルフ
(72)【発明者】
【氏名】ゲアハート トゥム
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー フォゲザー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ゲーデ
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンティン ライヒマイアー
【審査官】多田 幸司
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-201529(JP,A)
【文献】国際公開第2016/047010(WO,A1)
【文献】特開2008-016590(JP,A)
【文献】特表2017-535950(JP,A)
【文献】特表2018-536166(JP,A)
【文献】特開2018-074137(JP,A)
【文献】特開2017-112353(JP,A)
【文献】特開昭63-062302(JP,A)
【文献】特開昭54-065361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 13/02
G01R 15/00
H01C 3/00
H01C 13/00
H01C 17/07
H01C 17/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の第1接続素子(10)および導電性の第2接続素子(11)と、
前記第1接続素子(10)に導電的に接続されている第1抵抗素子(12)と、
前記第2接続素子(11)に導電的に接続されている第2抵抗素子(13)と、
前記第1抵抗素子(12)と前記第2抵抗素子(13)との間に配置されかつ前記第1抵抗素子(12)および前記第2抵抗素子(13)に導電的に接続されている導電性の中間素子(14)と、
を含む抵抗装置(8)であって、
前記第1接続素子(10)と前記第2接続素子(11)と前記第1抵抗素子(12)と前記第2抵抗素子(13)と前記中間素子(14)とは並んで直列に配置され、
前記第1接続素子(10)、前記第2接続素子(11)および前記中間素子(14)と、前記第1抵抗素子(12)および前記第2抵抗素子(13)とは、異なる材料から構成されている、抵抗装置(8)において、
前記第1抵抗素子(12)の材料が、前記第2抵抗素子(13)の材料と異な
り、
前記第1抵抗素子(12)の両端で降下する電圧を測定するための第1測定端子対(9)と、前記第2抵抗素子(13)の両端で降下する電圧を測定するための第2測定端子対(16)とが設けられ、前記第1測定端子対(9)から1つの第1測定端子(17)が、かつ前記第2測定端子対(16)から1つの第2測定端子(18)が、前記中間素子(14)に対応付けられている、ことを特徴とする、抵抗装置(8)。
【請求項2】
前記第1接続素子(10)および前記第2接続素子(11)が、プレート状に、前記中間素子(14)がストリップ状に形成され、前記中間素子(14)は、2つの
前記第1接続素子(10)および前記第2接続素子(11)のそれぞれよりも幅が小さい、請求項1記載の抵抗装置(8)。
【請求項3】
前記第1接続素子(10)および前記第2接続素子(11)だけが、回路に結合するための接続手段(15)を有する、請求項1または2記載の抵抗装置(8)。
【請求項4】
前記第1抵抗素子(12)および前記第2抵抗素子(13)の厚さはそれぞれ、
前記第1接続素子(10)および前記第2接続素子(11)の厚さよりも小さく、前記中間素子(14)の厚さよりも小さい、請求項1から3までのいずれか1項記載の抵抗装置(8)。
【請求項5】
前記第1抵抗素子(12)が、前記第2抵抗素子(13)の厚さとは異なる厚さを有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の抵抗装置(8)。
【請求項6】
導電性の第1接続素子(10)および導電性の第2接続素子(11)と、
前記第1接続素子(10)に導電的に接続されている第1抵抗素子(12)と、
前記第2接続素子(11)に導電的に接続されている第2抵抗素子(13)と、
前記第1抵抗素子(12)と前記第2抵抗素子(13)との間に配置されかつ前記第1抵抗素子(12)および前記第2抵抗素子(13)に導電的に接続されている導電性の中間素子(14)と、
を含む抵抗装置(8)であって、
前記第1接続素子(10)と、前記第2接続素子(11)と、前記第1抵抗素子(12)と、前記第2抵抗素子(13)と、前記中間素子(14)とは並んで直列に配置され、
前記第1接続素子(10)、前記第2接続素子(12)および前記中間素子(14)と、前記第1抵抗素子(12)および前記第2抵抗素子(13)とは、異なる材料から構成されており、
前記第1抵抗素子(12)の材料が、前記第2抵抗素子(13)の材料と異なる、
抵抗装置(8)において、
前記第1抵抗素子(12)の両端で降下する電圧を測定するための第1測定端子対(9)と、前記第1抵抗素子(12)および前記第2抵抗素子(13)を介して累積的に降下する電圧を測定するための別の測定端子対(19)とが設けられている
、抵抗装置(8)。
【請求項7】
前記第1抵抗素子(12)および前記第2抵抗素子(13)のうちの一方の抵抗値は、
前記第1抵抗素子(12)および前記第2抵抗素子(13)のもう一方の抵抗値よりも小さい、請求項
6記載の抵抗装置(8)。
【請求項8】
請求項1から
7までのいずれか1項の抵抗装置(8)と、
前記第1抵抗素子(12)の両端で降下する第1電圧を測定するための第1電圧タップと、
少なくとも、前記第2抵抗素子(13)の両端で降下する電圧を含む第2電圧を測定するための第2電圧タップと、
前記第1電圧および前記第2電圧を特定する少なくとも1つの電子構成部材と、
を含む測定回路。
【請求項9】
測定された前記第1電圧と、測定された前記第2電圧とを比較するコンパレータが設けられている、請求項
8記載の測定回路。
【請求項10】
前記電子構成部材は、前記第1電圧の前記測定および前記第2電圧の前記測定を互いに依存せずに行えるように構成されている、請求項
8または
9記載の測定回路。
【請求項11】
a)高い導電率を有する材料から成る少なくとも1つの第1帯(1)、第2帯(2)および第3帯(3)を準備するステップと、
b)それぞれ1つの抵抗材料から成る少なくとも1つの第4帯(4)および第5帯(5)を準備するステップと、
c)
前記第1帯(1)、前記第2帯(2)、前記第3帯(3)、前記第4帯(4)、前記第5帯(5)を縦シーム溶接して、
前記第1帯(1)、前記第2帯(2)、前記第3帯(3)、前記第4帯(4)、前記第5帯(5)の複合体を形成するステップと、
を含み、
前記第4帯(4)の材料と前記第5帯(5)の材料とは異なり、
前記複合体では、抵抗材料から成る2つの
前記第4帯(4)および前記第5帯(5)はそれぞれ、
前記第4帯(4)および前記第5帯(5)の両長手方向縁部において、高い導電率を有する材料から成る
前記第1帯(1)、前記第2帯(2)および前記第3帯(3)のうちの1つと隣り合っている、
帯状材料複合体を作製する方法。
【請求項12】
前記ステップc)においてまず、前記第1帯(1)および前記第4帯(4)から構成される第1部分複合体(6)と、前記第2帯(2)および前記第3帯(3)ならびに
前記第2帯(2)と前記第3帯(3)との間に配置される前記第5帯(5)から構成される第2部分複合体(7)とをそれぞれ縦シーム溶接によって形成し、その後、前記第1部分複合体(6)と前記第2部分複合体(7)とを縦シーム溶接によって接合する、請求項
11記載の方法。
【請求項13】
前
記ステップb)と前
記ステップc)との間で、前記第4帯(4)および前記第5帯(5)がそれぞれ、高い導電率を有する材料から成る2つの帯の間に位置し、かつ高い導電率を有する材料から成る
前記第1帯(1)、前記第2帯(2)および前記第3帯(3)のうちの1つが、抵抗材料から成る
前記第4帯(4)および前記第5帯(5)の間に位置するように
前記第1帯(1)、前記第2帯(2)および前記第3帯(3)を配置する、請求項
11記載の方法。
【請求項14】
請求項1から
7までのいずれか1項記載の抵抗装置(8)を作製するために、帯長手方向に対して横方向に前記帯状材料複合体の切り離しを行うステップを含む、請求項
11から
13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記抵抗装置(8)では、前記第1接続素子(10)および前記第2接続素子(11)だけが、回路に結合するための接続手段(15)を有し、前記接続手段(15)を
前記第1接続素子(10)および前記第2接続素子(11)に取り付ける、請求項
14記載の方法。
【請求項16】
前記第1抵抗素子(12)および前記第2抵抗素子(13)のうちの少なくとも1つのトリミングを行う、請求項
14または
15記載の方法。
【請求項17】
導電性の第1接続素子(10)および導電性の第2接続素子(11)と、
前記第1接続素子(10)に導電的に接続されている第1抵抗素子(12)と、
前記第2接続素子(11)に導電的に接続されている第2抵抗素子(13)と、
前記第1抵抗素子(12)と前記第2抵抗素子(13)との間に配置されかつ前記第1抵抗素子(12)および前記第2抵抗素子(13)に導電的にシーム溶接されている導電性の中間素子(14)と、
を含み、
前記第1接続素子(10)と、前記第2接続素子(11)と、前記第1抵抗素子(12)および前記第2抵抗素子(13)と、前記中間素子(14)とは並んで直列に配置され、
前記第1接続素子(10)、前記第2接続素子(12)および前記中間素子(14)と、前記第1抵抗素子(12)および前記第2抵抗素子(13)とは、異なる材料から構成されている、抵抗装置(8)において、
前記第1抵抗素子(12)の材料が、前記第2抵抗素子(13)の材料と異なる、
抵抗装置(8)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗装置に関し、この抵抗装置には、導電性の第1接続素子および導電性の第2性接続素子と、第1接続素子に導電的に接続されている(elektrisch leitend)第1抵抗素子と、第2接続素子に導電的に接続されている第2抵抗素子と、第1抵抗素子と第2抵抗素子との間に配置されておりかつこれらの抵抗素子に導電的に接続されている導電性の中間素子とが含まれており、接続素子と、抵抗素子と、中間素子とは並んで直列に配置されている。接続素子および中間素子と、抵抗素子とは、異なる材料から構成されており、第1抵抗素子の材料が、第2抵抗素子の材料とは異なる。本発明はさらに、上記の抵抗装置を備えた測定回路ならびにこの抵抗装置用の帯状材料複合体を作製する方法に関する。
【0002】
電子回路における電流測定には、監視対象の構成部材に直列接続されている測定抵抗が使用され、電流は、シャント抵抗または略してシャントと称される測定抵抗の両端で降下する電圧から特定可能である。正確かつ信頼性の高い電流測定は、特に、例えば、ハイブリッド車両または電気自動車のバッテリ管理システムにおいて、または燃料電池装置の監視のために重要である。約10~50μオームを有する、シャントとしてのこのような低抵抗の測定抵抗は、縦シーム溶接される複合材料帯から作製可能である。これは、例えば、欧州特許出願公開第0605800号明細書から公知である。この複合材料は、個々の金属帯が、電子ビーム溶接法またはレーザ溶接法によってそれぞれ縦シームを介して互いに接合されることにより、3つの材料帯から作製される。
【0003】
部分的に極めて大きな連続電流が流れる今日のハイブリッド車両および電気自動車において正確かつ高い信頼性で電流を測定するという要求は、ますます高まっている。このような電流において安全関連の構成部材を監視することは極めて重要である。エネルギ密度の高いLiイオンバッテリは、この関連において、これがつねに安全な動作状態にあることを保証するために極めて正確に監視されなければならない。したがってバッテリにおける電流測定は、充電状態(SOC/State of Charge)または動作状態(SOH/State of health)または申し分のない動作(SOF/State of functions)のような特定の動作パラメータを監視するためにぜひとも必要である。ASIL CおよびD(ISO26262)までのこの使用分野における安全レベルでは、冗長な機能を介して、関連する測定機器を安全保証し、これによって安全レベル全体が実現できるようにする必要がある。
【0004】
安全レベルASIL Cを達成するために必要な電流測定の冗長性は、種々異なるセンサを組み合わせることによって、すなわちまったく異なる2つの測定信号を同時に検出することによって、例えば、既知の量の1つのシャント抵抗において電圧を測定することによって、かつ磁場において、電流が流れる導体のホール電圧を測定することによって達成可能である。この構造には、集積度が低くかつ相応に大きな構成スペースを要する多くの構成部材が必要になることによっても、比較的高いコストを伴う。
【0005】
測定値検出における冗長性は、ホール電圧測定の代わりに第2シャント抵抗を第1シャント抵抗と直列接続し、このように形成されるダブルシャントの2つのシャント抵抗において、それぞれ独立した電圧測定を行って電流強度を特定することによっても達成可能である。この場合、2つの測定値を比較することにより、測定に妥当性があるかまたは誤りがあるか否かを特定可能である。したがってダブルシャントにより、「シングルポイント障害(Single Point Faults)」の、すなわち個々の測定タップのドリフト、抵抗変化、非接触の診断が可能になる。さらにこのダブルシャントにより、1つの構成部材に組み込まれた2つのシャント素子による測定の妥当性検査によって、シャント電子装置を診断するより良好な可能性が提供される。ダブルシャントを用いた電流測定は、シングルシャントおよびホール効果を用いた電流測定よりもその構造がより簡単でありかつコスト的により有利である。マルチシャントの作製の可能性は、米国特許第9343208号明細書から公知である。
【0006】
しかしながらこのようなダブルシャントでは、2つの測定値が、例えば2つの抵抗の並行的なドリフトにより、同じ誤りを被っている可能性がある。
【0007】
したがって本発明の根底にある課題は、周知の欠点を少なくすることである。
【0008】
この課題は、請求項1の特徴的構成を有する抵抗装置により、請求項9の特徴的構成を有する測定回路により、また請求項12の特徴的構成を有する方法によって解決される。本発明の好適な発展形態を有する有利な実施形態は、従属請求項に示されている。
【0009】
冒頭に述べた形式の抵抗測定装置は、2つの抵抗素子が、異なる材料から、特に、殊に異なる化学組成を有し得る異なる材料から、所期のように作製されるという特徴を有し、特に、抵抗合金の例として、CuMn10Ni4およびCuMn12Ni2およびCuMn14Ni2およびCuZn15Mn15Alを挙げることができる。この場合に抵抗測定装置には、これらの合金から成る材料対、すなわち、例えば、第1抵抗素子についてはCuMn10Ni4が、第2抵抗素子についてはCuMn14Ni2が含まれる。
【0010】
これにより、特に保証されるのは、2つの抵抗素子が異なる製造ロットから由来することである。これにより、例えばドリフトに結び付き得ていたような、1つのロットにおいて識別されない誤りは、2つの抵抗素子において同時にかつ同様に発生し得ないことになる。これには、測定の冗長性が改善されるという利点が伴っている。
【0011】
さらに、2つの接続素子がプレート状(plattenfoermig)に、中間素子がストリップ状(streifenfoermig)に形成されており、中間素子は、2つの接続素子のそれぞれよりも幅が小さく構成されている。これにより、材料およびスペースを節約可能である。というのは、中間素子は、電圧測定のための端子を収容する機能だけを有するが、回路に接続するための装置を有しないからである。抵抗素子も同様にストリップ状に形成可能である。
【0012】
したがって第1接続素子および第2接続素子だけが、回路に結合するための接続手段を有するのに対し、中間素子は回路に接続できない。
【0013】
抵抗素子の厚さはそれぞれ、接続素子の厚さよりも小さく、中間素子の厚さよりも小さく、このことにより、例えばPCB(printed circuit board)における取り付けの際に複数の利点が得られ、はんだ付けも可能になる。
【0014】
ここでは、第1抵抗素子が、第2抵抗素子の厚さとは異なる厚さを有する構成が選択される。これにより、2つの抵抗素子の抵抗値をより良好に適合させることができる。
【0015】
好ましいのはさらに、第1抵抗素子の両端で降下する電圧を測定するための第1測定端子対と、第2抵抗素子の両端で降下する電圧を測定するための第2測定端子対とが設けられる場合であり、第1測定端子対から1つの第1測定端子が、かつ第2測定端子対から1つの第2測定端子が中間素子に対応付けられている場合である。
【0016】
択一的または補足的には、第1抵抗素子の両端で降下する電圧を測定するための測定端子対と、第1抵抗素子および第2抵抗素子を介して累積的に降下する電圧を測定するための第3測定端子対とを設けることも可能である。
【0017】
第1抵抗素子の抵抗値が、第2抵抗素子の抵抗値よりも小さい場合、特に、2つの電圧を異なる測定領域で測定しなければならないほど、大きく異なる場合、これらの測定値の独立性が改善される。
【0018】
上記の抵抗装置は、特に測定回路に組み込み可能である。この場合にこの測定回路には、上述した抵抗装置と、第1抵抗素子の両端で降下する第1電圧を測定するための第1電圧タップと、少なくとも、第2抵抗素子の両端で降下する電圧を含む第2電圧を測定するための第2電圧タップと、第1電圧および第2電圧を特定する少なくとも1つの電子構成部材とが含まれる。
【0019】
測定された第1電圧と、測定された第2電圧とを比較するコンパレータを用いれば、測定値の信頼性を判定可能である。
【0020】
好適には、電子構成部材は、第1電圧の測定および第2電圧の測定を互いに依存せずに行えるように構成されており、これにより、2つの測定値を比較することによって2つの測定チェーンのうちの1つの故障を識別可能である。
【0021】
帯状材料複合体を作製する方法であって、この方法には以下のステップ、すなわち、
a)高い導電率を有する材料から成る少なくとも1つの第1帯、第2帯および第3帯を準備するステップと、
b)それぞれ1つの抵抗材料から成る少なくとも1つの第4帯および第5帯を準備するステップとが含まれており、第4帯の材料と第5帯の材料とは異なっており、上記の方法にはさらに、
c)上記の帯を縦シーム溶接して、帯の複合体を形成するステップが含まれており、この複合体では、抵抗材料から成る2つの帯はそれぞれ、それらの両長手方向縁部において、高い導電率を有する材料から成る帯のうちの1つと隣り合っている。
【0022】
ここでは、ステップc)においてまず、第1帯および第4帯から構成される第1部分複合体と、第2帯および第3帯ならびにこれらの2つの帯の間に配置される第5帯から構成される第2部分複合体とをそれぞれ縦シーム溶接によって形成し、その後、第1部分複合体と第2部分複合体とを縦シーム溶接によって接合することができる。
【0023】
さらに、方法ステップb)と方法ステップc)との間で、第4帯および第5帯がそれぞれ、高い導電率を有する材料から成る2つの帯の間に位置し、かつ高い導電率を有する材料から成る複数の帯のうちの1つが、抵抗材料から成る2つの帯の間に位置するように複数の帯を配置する、ように構成される。ステップc)および方法ステップb)とc)との間の帯の配置の実現についての上述したこの方法およびその変形形態により、帯状複合体材料が準備され、この帯状複合体材料では、帯長手方向(Bandlaengsrichtung)に対して横方向に帯状材料複合体を切り離すステップにより、上で説明した抵抗装置を作製して供給可能である。
【0024】
抵抗装置を回路に接続するための接続手段を2つの接続素子に取り付けることも可能である。
【0025】
さらに、抵抗素子のうちの少なくとも1つのトリミングを行うことも可能であり、このトリミングによって所望の抵抗値が設定される。このトリミングは、一方の抵抗素子を短くすることによって行われ、これにより、その線路断面積が減少される。
【0026】
この明細書において上で挙げた特徴および特徴の組み合わせ、ならびに図面の説明において以下で挙げられる、かつ/または図面だけにおいて示される特徴および特徴の組み合わせは、それぞれ示した組み合わせだけではなく、本発明の枠を逸脱することなく、別の組み合わせでも、または単独でも使用可能である。したがって、図面において明示的に示されていないかまたは説明されていないが、別々の特徴の組み合わせにより、説明した実施形態から明らかになりかつ形成可能である実施形態も、本発明によって含まれるかまたは開示されているとみなされるべきである。
【0027】
本発明の別の利点、特徴および詳細は、特許請求の範囲、好ましい実施例の以下の説明から、また図面によって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】第1測定端子対と第2測定端子対とが接続されている、
図1に対応する図である。
【
図3】第1測定端子対と第3測定端子対とが接続されている、
図1に対応する図である。
【0029】
図1には、有利には帯状材料複合体を作製する方法によってすでに準備された抵抗装置が示されており、この方法には以下のステップが含まれている。すなわち、
a)高い導電率を有する材料から成る少なくとも1つの第1帯1、第2帯2および第3帯3を準備する(Bereitstellen)ステップと、
b)それぞれ1つの抵抗材料から成る少なくとも1つの第4帯4および第5帯5を準備するステップとが含まれており、第4帯4の材料と第5帯5の材料とは異なっており、上記の方法にはさらに、
c)帯1、2、3、4、5を縦シーム溶接して、帯1、2、3、4、5の複合体を形成するステップが含まれており、この複合体では、抵抗材料から成る2つの帯はそれぞれ、それらの両長手方向縁部において、高い導電率を有する材料から成る帯1、2、3のうちの1つと隣り合っている。
【0030】
ここでは、ステップc)においてまず、第1帯1および第4帯4から構成される第1部分複合体6と、第2帯2および第3帯3ならびにこれらの2つの帯2、3の間に配置される第5帯5から構成される第2部分複合体7とをそれぞれ縦シーム溶接によって形成し、その後、第1部分複合体6と第2部分複合体7とを縦シーム溶接によって接合することができる。
【0031】
択一的には、この方法を変更して、方法ステップb)と方法ステップc)との間で、第4帯4および第5帯5がそれぞれ、高い導電率を有する材料から成る2つの帯の間に位置し、かつ高い導電率を有する材料から成る複数の帯2のうちの1つが、抵抗材料から成る2つの帯4、5の間に位置するように複数の帯を配置することも可能である。
【0032】
次に帯長手方向に対して横方向に帯状材料複合体を切り離すと、以下の構造、すなわち、導電性の第1接続素子10および導電性の第2接続素子11と、第1接続素子10に導電的に接続されている第1抵抗素子12と、第2接続素子11に導電的に接続されている第2抵抗素子13と、第1抵抗素子12と第2抵抗素子13との間に配置されておりかつこれらの抵抗素子12、13に導電的に接続されている導電性の中間素子14と、によって特徴づけられる抵抗装置8が作製され、ここで接続素子10、11と、抵抗素子12、13と、中間素子14とは並んで直列に配置されており、接続素子10、11および中間素子14と、抵抗素子12、13とは、異なる材料から構成されている。ここで重要であるのは、第1抵抗素子12の材料と、第2抵抗素子13の材料とが異なっており、これにより、2つの抵抗素子12、13が、同じ材料から成る場合よりも、またはさらには同じ材料ロットから成る場合よりも、2つの抵抗素子12、13の「パラレルドリフト」または類似の作用をより確実に排除できることである。
【0033】
中間素子14は、ストリップ状(streifenfoermig)に形成されており、プレート状の2つの接続素子10、11のそれぞれよりも幅が小さい。
【0034】
図1において識別できるのは、第1接続素子10および第2接続素子11だけが、回路に結合するための接続手段15を有し、すなわち中間素子14は、回路に接続できないことである。
【0035】
抵抗素子12、13の厚さはそれぞれ、接続素子10、11の厚さよりも小さく、中間素子14の厚さよりも小さい。これにより、特に、抵抗装置8がプリント基板に固定される場合、抵抗素子12、13は、このプリント基板に対して特定の間隔を有することが可能になる。また抵抗装置8を作製する際に、抵抗素子12、13のうちの少なくとも1つのトリミングもより容易に可能になる。
【0036】
さらに、第1抵抗素子12は、第2抵抗素子13の厚さとは異なる厚さを有し、これにより、2つの抵抗素子12、13の抵抗値をより良好に適合させることができ、特に、第1抵抗素子12の抵抗値を第2抵抗素子13の抵抗値よりも小さく、特に格段に小さくして、これによって異なる測定範囲が強制されかつ測定値の独立性が改善されることを考慮して適合させることができる。
【0037】
図2には、第1抵抗素子12の両端で降下する電圧を測定するための第1測定端子対9と、第2抵抗素子13の両端で降下する電圧を測定するための第2測定端子対16とが設けられていることが示されており、第1測定端子対9から1つの第1測定端子が、かつ第2測定端子対から1つの第2測定端子が、中間素子14に対応付けられている。
【0038】
しかしながら、
図3に示されているように、第1抵抗素子12の両端で降下する電圧を測定するための第1測定端子対9と、第1抵抗素子12および第2抵抗素子13を介して累積的に降下する電圧を測定するための別の測定端子対19を設けることもできる。
【0039】
この測定装置は、測定回路に組み込むことができ、この測定回路には、抵抗装置8の他に、第1抵抗素子12の両端で降下する第1電圧を測定するための第1電圧タップと、少なくとも、第2抵抗素子13の両端で降下する電圧を含む第2電圧を測定するための第2電圧タップと、第1電圧および第2電圧を特定する少なくとも1つの電子構成部材とが含まれ、測定された第1電圧と、測定された第2電圧と比較するコンパレータが設けられており、このコンパレータにより、測定値の信頼性を判定することができる。
【0040】
ここでこの電子構成部材は、第1電圧の測定および第2電圧の測定を互いに依存せずに行えるように構成されている。
【符号の説明】
【0041】
1 第1帯
2 第2帯
3 第3帯
4 第4帯
5 第5帯
6 第1部分複合体
7 第2部分複合体
8 抵抗装置
9 第1測定端子対
10 第1接続素子
11 第2接続素子
12 第1抵抗素子
13 第2抵抗素子
14 中間素子
15 接続手段
16 第2測定端子対
17 第1測定端子
18 第2測定端子
19 別の測定端子対