IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社小糸製作所の特許一覧 ▶ トヨタ車体株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車輌用灯具 図1
  • 特許-車輌用灯具 図2
  • 特許-車輌用灯具 図3
  • 特許-車輌用灯具 図4
  • 特許-車輌用灯具 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】車輌用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/20 20180101AFI20240827BHJP
   F21S 43/237 20180101ALI20240827BHJP
   F21S 43/245 20180101ALI20240827BHJP
   F21S 43/249 20180101ALI20240827BHJP
   F21S 43/27 20180101ALI20240827BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240827BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20240827BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
F21S43/20
F21S43/237
F21S43/245
F21S43/249
F21S43/27
F21S2/00 431
F21V5/00 320
F21V5/00 350
F21V5/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021008226
(22)【出願日】2021-01-21
(65)【公開番号】P2022112391
(43)【公開日】2022-08-02
【審査請求日】2023-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】新井 創
(72)【発明者】
【氏名】天野 倫太郎
(72)【発明者】
【氏名】末永 二郎
(72)【発明者】
【氏名】森 靖之
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-181644(JP,A)
【文献】特開2004-071351(JP,A)
【文献】特開2018-097921(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0268741(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/20
F21S 43/237
F21S 43/245
F21S 43/249
F21S 43/27
F21S 2/00
F21V 5/00
F21V 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングに取り付けられ前記開口を覆うカバーとによって構成された灯具外筐と、
光を発する光源と、
前記光源から発せられた光を左右方向へ導くと共に導いた光を前記カバー側に出射する導光体と、
外周部を除く部分に左右方向において帯状に延びる内側配置部が設けられると共に前記導光体から出射された光を拡散する拡散機能を有するインナーレンズと、
前記内側配置部より外周側に位置されたエクステンションとを備え、
前記内側配置部の少なくとも上下両端部に前記カバー側に開口され左右方向に延びる第1の溝部が形成され
前記第1の溝部が複数の溝形成面によって形成され、
前記溝形成面の一つが前記導光体から前記第1の溝部へ向かう光と平行にされた
車輌用灯具。
【請求項2】
開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングに取り付けられ前記開口を覆うカバーとによって構成された灯具外筐と、
光を発する光源と、
前記光源から発せられた光を左右方向へ導くと共に導いた光を前記カバー側に出射する導光体と、
外周部を除く部分に左右方向において帯状に延びる内側配置部が設けられると共に前記導光体から出射された光を拡散する拡散機能を有するインナーレンズと、
前記内側配置部より外周側に位置されたエクステンションとを備え、
前記内側配置部の少なくとも上下両端部に前記カバー側に開口され左右方向に延びる第1の溝部が形成され、
前記インナーレンズには前記内側配置部の外周部から前記導光体側に突出された周面部が設けられ、
前記導光体から出射された光の一部が前記内側配置部に入射され前記内側配置部によって拡散された状態で前記周面部の突出方向と反対の方向へ向かう第1の光として照射され、
前記導光体から出射された光の別の一部が前記周面部に入射され前記内側配置部の外周面から前記第1の光より外方へ向かう第2の光として照射される
車輌用灯具。
【請求項3】
前記第1の溝部が複数の溝形成面によって形成され、
前記溝形成面の一つが前記導光体から前記第1の溝部へ向かう光と平行にされた
請求項2に記載の車輌用灯具。
【請求項4】
前記第1の溝部が垂直断面形状においてV字状に形成され
前記インナーレンズが乳白色の樹脂材料によって形成された
請求項1、請求項2又は請求項3に記載の車輌用灯具。
【請求項5】
前記エクステンションにおける前記カバー側の端部と前記インナーレンズにおける前記カバー側の端部とが前後方向において同じ位置に存在する
請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の車輌用灯具。
【請求項6】
前記内側配置部の左右両端部に前記カバー側に開口され前記第1の溝部に連続された第2の溝部が形成された
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5に記載の車輌用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を導く導光体と導光体から出射される光を拡散するインナーレンズとを有する車輌用灯具についての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌用灯具には、カバーとランプハウジングによって構成された灯具外筐の内部に光を発する光源と拡散機能を有するインナーレンズとが配置され、光源から発せられた光をインナーレンズによって拡散した状態で照射するタイプがある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に記載された車輌用灯具において、インナーレンズは外周部以外の部分が他の部分に対して突出され、この突出部分(エクステンションの内側に位置される「内側配置部」)の外周側に車輌用灯具の内部構造を遮蔽するためのエクステンションが配置されている。尚、特許文献1には内側配置部が「第1部分」として記載されている。
【0004】
このようなインナーレンズの外周側にエクステンションが配置される構成においては、エクステンションとインナーレンズの製造誤差や組付誤差等によって内側配置部がエクステンションの内側に配置されなくなることを防止するために、エクステンションの内周が内側配置部の外形状より稍大きく形成されている。従って、エクステンションと内側配置部の間には隙間が形成されている。
【0005】
一方、特許文献2には、インナーレンズ(特許文献2においては「透光部材」)の左右両端部に凸状の複数のレンズ素子が設けられた構成が示されている。レンズ素子はエクステンションの近傍に位置され、レンズ素子に入射された光は内部で全反射され拡散された状態で照射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-181644号公報
【文献】特開2019-36402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、インナーレンズには内側配置部の外周部、例えば、上端部や下端部からカバー側と反対側に突出された突状部(特許文献1においては「第2部分」)が設けられており、この突状部の存在により内側配置部の外周部から照射される光が少なくなってしまう。また、エクステンションと内側配置部の間に形成された隙間からも光が照射されるが、照射される光は内側配置部の外周部から照射される光と同様に少ない。
【0008】
従って、点灯状態で正面から車輌用灯具が視認されたときに発光範囲の外周部分、例えば、上端部や下端部がぼやけたように視認され、被視認性が低下すると言う不具合を生じるおそれがある。
【0009】
一方、車輌用灯具には、特許文献2に記載されたように、インナーレンズの左右両端部に設けられた凸状のレンズ素子によって光を拡散して照射する構成が存在するが、レンズ素子は拡散角度を大きくするために設けられており、発光範囲の外周部、特に、上下両端部における被視認性を高める機能を有する部分としては設けられていない。
【0010】
そこで、本発明車輌用灯具は、被視認性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1に、本発明に係る車輌用灯具は、開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングに取り付けられ前記開口を覆うカバーとによって構成された灯具外筐と、光を発する光源と、前記光源から発せられた光を左右方向へ導くと共に導いた光を前記カバー側に出射する導光体と、外周部を除く部分に左右方向において帯状に延びる内側配置部が設けられると共に前記導光体から出射された光を拡散する拡散機能を有するインナーレンズと、前記内側配置部より外周側に位置されたエクステンションとを備え、前記内側配置部の少なくとも上下両端部に前記カバー側に開口され左右方向に延びる第1の溝部が形成されたものである。
【0012】
これにより、第1の溝部が形成された部分から光が正面方向へ照射され難くなり、光の照射部分と非照射部分が明瞭になる。
【0013】
第2に、上記した本発明に係る車輌用灯具においては、前記第1の溝部が複数の溝形成面によって形成され、前記溝形成面の一つが前記導光体から前記第1の溝部へ向かう光と平行にされることが望ましい。
【0014】
これにより、導光体から出射されてインナーレンズに入射された光が溝形成面から出射され難くなる。
【0015】
第3に、上記した本発明に係る車輌用灯具においては、前記第1の溝部が垂直断面形状においてV字状に形成されることが望ましい。
【0016】
これにより、第1の溝部を形成する溝形成面から出射される光が内側配置部における第1の溝部が形成されている部分から出射される光と異なる方向へ向かい易くなる。
【0017】
第4に、上記した本発明に係る車輌用灯具においては、前記エクステンションにおける前記カバー側の端部と前記インナーレンズにおける前記カバー側の端部とが前後方向において同じ位置に存在することが望ましい。
【0018】
これにより、エクステンションがインナーレンズに対して前後方向において突出しない構成にされるため、エクステンションの一部がインナーレンズに対して段差として形成されない。
【0019】
第5に、上記した本発明に係る車輌用灯具においては、前記内側配置部の左右両端部に前記カバー側に開口され前記第1の溝部に連続された第2の溝部が形成されることが望ましい。
【0020】
これにより、内側配置部の外周部に環状の溝部が形成されるため、インナーレンズの全周において光の照射部分と非照射部分が明瞭になる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、第1の溝部が形成された部分から光が正面方向へ照射され難くなり、光の照射部分と非照射部分が明瞭になるため、点灯状態で正面から視認されたときに発光範囲の外周部分がぼやけたように視認されることがなく、被視認性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図2乃至図5と共に本発明車輌用灯具の実施の形態を示すものであり、本図は、車輌用灯具の正面図である。
図2】車輌用灯具の断面図である。
図3】導光体から出射された光の経路を示す図である。
図4】外側溝形成面が導光体から第1の溝部へ向かう光と平行にされている例を示す図である。
図5】内側配置部に第1の溝部と第2の溝部が形成された例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明車輌用灯具を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
【0024】
車輌用灯具1は、例えば、車体の左右両端部に取り付けられ、車輌用標識灯として機能する。車輌用灯具1は、例えば、クリアランスランプである。但し、車輌用灯具1はクリアランスランプに限られることはなく、テールランプやストップランプやターンシグナルランプ等の他の車輌用灯具であってもよい。尚、以下には、車輌用灯具1からの光の出射方向を前方として前後上下左右の方向を説明する。但し、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0025】
車輌用灯具1は前端に開口を有するランプハウジング2とランプハウジング2の開口を閉塞するカバー3とを備えている(図1及び図2参照)。ランプハウジング2とカバー3によって灯具外筐4が構成され、灯具外筐4の内部空間が灯室5として形成されている。灯室5にはランプユニット6が配置されている。ランプユニット6はホルダー7と導光体8と光源9、9とインナーレンズ10とエクステンション11を有している。
【0026】
ホルダー7は、例えば、白色の樹脂材料によって形成され、左右に延びる形状に形成されている。ホルダー7は前方に開口された保持部7aと保持部7aの外周部から外側に張り出されたフランジ部7bとを有している。保持部7aは前方へ行くに従って内側の空間が大きくなる形状に形成されている。
【0027】
導光体8は左右に延び、例えば、略円柱状に形成されている。導光体8は入射された光を左右方向へ導くと共に導いた光を前方へ向けて出射する機能を有している。導光体8はホルダー7の保持部7aに保持されている。
【0028】
光源9、9は、例えば、導光体8の長手方向における両側の端面8a、8aにそれぞれ対向した位置に配置されている。光源9、9からそれぞれ発せられた光は、導光体8に入射されて左右方向へ導かれ、前方へ向けて出射される。尚、光源9は二つ配置されていなくてもよく、少なくとも一つが配置されていればよい。
【0029】
インナーレンズ10は、例えば、光透過性を有する乳白色の樹脂材料によって形成され、入射された光を拡散して出射する機能を有している。インナーレンズ10は前後方向を向く内側配置部12と内側配置部12の外周部から後方に突出された周面部13と周面部13の後端部における少なくとも一部から外方に張り出された張出部14とが一体に形成されて成る。
【0030】
内側配置部12の上下両端部には前方に開口された第1の溝部15、15が形成されている。第1の溝部15は複数の溝形成面、例えば、外側溝形成面15aと内側溝形成面15bによって形成されている(図3参照)。外側溝形成面15aは上下方向において内側溝形成面15bの外側に位置され、上側の第1の溝部15においては内側溝形成面15bの上側に位置され、下側の第1の溝部15においては内側溝形成面15bの下側に位置されている。
【0031】
外側溝形成面15aと内側溝形成面15bは前方へ行くに従って互いに離隔する傾斜面として形成されている。従って、第1の溝部15は垂直断面形状において横倒しのV字状に形成されている。但し、第1の溝部15はカバー3側に開口された形状であればよく、例えば、垂直断面形状においてU字状や半円状等の任意の形状に形成することが可能である。
【0032】
エクステンション11は遮光性を有する不透明な樹脂材料によって形成されている。エクステンション11は前後に貫通された配置孔11aを有している(図2参照)。エクステンション11は内周部が他の部分に対して後方に屈曲された折曲部16として設けられ、折曲部16がインナーレンズ10における周面部13の外周側に位置されている。従って、インナーレンズ10は内側配置部12と周面部13が配置孔11aに配置され、周面部13の少なくとも一部が折曲部16に対向して位置されている。
【0033】
エクステンション11が内側配置部12の外周より外側に配置されることにより、インナーレンズ10の張出部14とホルダー7のフランジ部7bとがエクステンション11によって前方側から遮蔽される。従って、カバー3を通してランプユニット6が前方から視認されたときに、エクステンション11によって視覚的に不必要な部分が遮蔽され、車輌用灯具1の意匠性の向上が図られる。
【0034】
ランプユニット6においては、エクステンション11の前端部11bとインナーレンズ10の前端部とされる内側配置部12とが前後方向において同じ位置に存在するように配置され、エクステンション11がインナーレンズ10より前方に突出されない構成にされている。また、エクステンション11とインナーレンズ10の製造誤差や組付誤差等によってインナーレンズ10の内側配置部12がエクステンション11の内側に配置されなくなることを防止するために、エクステンション11の配置孔11aが内側配置部12の外形状より稍大きく形成されている。従って、エクステンション11と内側配置部12の間には隙間50が形成されている(図2及び図3参照)。
【0035】
上記のように構成された車輌用灯具1において、光源9、9から光が発せられると、発せられた光は導光体8に端面8a、8aから入射されて左右方向へ導かれ、導光体8から前方へ向けて出射される(図3参照)。
【0036】
導光体8から前方へ向けて出射された光はインナーレンズ10の主に内側配置部12に入射され、内側配置部12によって拡散された状態で略前方へ向けて光aとして照射される(図3参照)。光aは前方を照らすための光であり、図3の照射範囲Aの範囲が明るく照らされる。
【0037】
このとき導光体8から出射された光の一部が内側配置部12の上下両端部にも入射され、上下両端部に入射された光は第1の溝部15を形成する外側溝形成面15aと内側溝形成面15bからそれぞれ光b1と光b2として照射される。外側溝形成面15aと内側溝形成面15bから照射される光b1、b2はそれぞれ外側溝形成面15aと内側溝形成面15bの傾斜角度に応じて屈折され、上向き又は下向きに照射される。また、導光体8から出射された光の一部はインナーレンズ10の周面部13にも入射され、周面部13から外側溝形成面15aに達して外側溝形成面15aから上向き又は下向きに光b3として照射される。従って、外側溝形成面15aと内側溝形成面15bからは光が略前方へ照射されないため、正面方向(前方)からの視認状態において図3の照射範囲Bが暗くなる。
【0038】
一方、導光体8から出射され周面部13に入射された光の一部は、内側配置部12の外周面12aや周面部13の外周面13aからも光cとして出射される。光cは正面方向からも視認可能な光であるが、インナーレンズ10の内部を通るときの経路が長く、減衰され易い光である。また、光cは稍上向き又は下向きの光として照射され易い。従って、正面方向(前方)からの視認状態において図3の照射範囲Cは照射範囲Aよりは暗くなるが照射範囲Bよりは明るく照らされる。
【0039】
このように車輌用灯具1においては、正面方向(前方)からの視認状態において、明るく照らされる照射範囲Aと暗くなる照射範囲Bとが連続して存在し、暗くなる照射範囲Bの外周側に照射範囲Bよりは明るく照らされる照射範囲Cが存在する状態にされる。
【0040】
尚、内側配置部に第1の溝部15が形成されていない場合には、照射範囲Aにおいて照射される光と同様に内側配置部の上下両端部からも光が略前方へ向けて照射されるため、正面方向(前方)からの視認状態において、明るく照らされる照射範囲(照射範囲A+照射範囲B)とこれよりは暗いが明るく照らされる照射範囲Cが存在する状態にされる。
【0041】
以上に記載した通り、車輌用灯具1にあっては、光源9、9から発せられた光を左右方向へ導くと共に導いた光を出射する導光体8と、左右方向において帯状に延びる内側配置部12が設けられると共に導光体8から出射された光を拡散する拡散機能を有するインナーレンズ10と、内側配置部12より外周側に位置されたエクステンション11とを備え、内側配置部12の上下両端部にカバー3側に開口され左右方向に延びる第1の溝部15、15が形成されている。
【0042】
従って、第1の溝部15、15が形成された部分から光が正面方向へ照射され難くなり、光の照射部分と非照射部分が明瞭になるため、正面から車輌用灯具1が視認されたときに発光範囲の外周部分がぼやけたように視認されることがなく、発光範囲が明確になり鮮明な発光範囲を認識することが可能になり被視認性の向上を図ることができる。
【0043】
また、第1の溝部15が垂直断面形状においてV字状に形成されているため、第1の溝部15を形成する外側溝形成面15aと内側溝形成面15bから出射される光が内側配置部12における第1の溝部15が形成されている部分から出射される光と異なる方向へ向かい易くなり、光の照射部分と非照射部分が明瞭になり、被視認性のより一層の向上を図ることができる。
【0044】
さらに、エクステンション11におけるカバー3側の端部(前端部11b)とインナーレンズ10におけるカバー3側の端部(内側配置部12)とが前後方向において同じ位置に存在する。従って、エクステンション11がインナーレンズ10に対して前後方向において突出しない構成にされるため、エクステンション11の一部がインナーレンズ10に対して段差として形成されず、意匠性の向上を図った上で被視認性の向上を図ることができる。
【0045】
尚、車輌用灯具1においては、外側溝形成面15aが導光体8から第1の溝部15へ向かう光と平行にされることが望ましい(図4参照)。即ち、外側溝形成面15aの面方向Pが導光体8から第1の溝部15へ向かう光Qと平行にされることが望ましい。
【0046】
このような構成にされることにより、導光体8から出射されてインナーレンズ10に入射された光が外側溝形成面15aから出射され難くなるため、第1の溝部15において輝度が低くなり易く、被視認性の一層の向上を図ることができる。
【0047】
また、上記には、インナーレンズ10における内側配置部12の上下両端部に第1の溝部15、15が形成された例を示したが、内側配置部12には第1の溝部15、15に加えて第2の溝部17、17が形成されてもよい(図5参照)。第2の溝部17、17は内側配置部12の左右両端部に形成され、上下両端部がそれぞれ第1の溝部15、15の左右両端部に連続されている。
【0048】
このように内側配置部12の左右両端部にカバー3側に開口され第1の溝部15、15に連続された第2の溝部17、17が形成されることにより、内側配置部12の外周部に環状の溝部が形成されるため、インナーレンズ10の全周において光の照射部分と非照射部分が明瞭になり、被視認性のより一層の向上を図ることができる。
【0049】
尚、第2の溝部17も第1の溝部15と同様に、外側溝形成面と内側溝形成面によって形成され、水平断面形状においてV字状に形成されることが望ましい。
【符号の説明】
【0050】
1…車輌用灯具、2…ランプハウジング、3…カバー、8…導光体、9…光源、10…インナーレンズ、11…エクステンション、12…内側配置部、15…第1の溝部、15a…外側溝形成面、15b…内側溝形成面、17…第2の溝部
図1
図2
図3
図4
図5