(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20240827BHJP
H02G 3/30 20060101ALI20240827BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20240827BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H02G3/04
H02G3/30
H02G3/04 087
H01B7/00 301
B60R16/02 623T
(21)【出願番号】P 2021013444
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾河 涼太
(72)【発明者】
【氏名】飯島 彬友
【審査官】小林 秀和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/180994(WO,A1)
【文献】特開2014-155320(JP,A)
【文献】国際公開第2013/035352(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H02G 3/30
H01B 7/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線と、互いに独立した複数の部品から構成されるプロテクタ複合体と、を備えたワイヤハーネスであって、
前記プロテクタ複合体は、
該ワイヤハーネスを固定対象に固定する固定部材と、
前記電線の所定箇所の周囲を覆う保護部材と、
前記電線が配索される経路を形成するフレームと、を有し、
前記固定部材、前記保護部材、及び、前記フレームが互いに独立しており、前記固定部材及び前記保護部材を前記フレームに組み付けることで構成さ
れ、
前記フレームは、
前記固定部材、及び、前記保護部材と組み付けられるときに、前記固定部材、及び、前記保護部材の位置決めをするための箇所を有する、
ワイヤハーネス。
【請求項2】
請求項
1に記載のワイヤハーネスにおいて、
前記フレームは、金属材料から構成される、
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線と、電線を保持するプロテクタ複合体と、を備えたワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電線束を含んで構成され、自動車等の車両に配索されるワイヤハーネスが提案されている。従来のワイヤハーネスの多くは、車両の所定箇所に組み付けて固定されるとともに電線の配索経路の規制、及び、電線の保護等をするプロテクタを備えている。別の言い方をすると、従来のプロテクタは、単一のプロテクタにおいて、車両の所定箇所へ固定する固定機能、電線の配索経路の規制をする規制機能、及び、電線の保護をする保護機能等を有している(例えば、特許文献1を参照。)。なお、説明の便宜上、以下の文章では、固定機能、規制機能、及び、保護機能を単一のプロテクタで実現することを「複数の機能を一体に有する」と表現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般に、車両の車種やグレード等によって求められるワイヤハーネスの機能や形状等の仕様が異なる。このため、従来のワイヤハーネスは、車両毎に異なる専用の仕様を有するように設計されることが多く、これに合わせてプロテクタも車両毎に異なる専用の仕様に設計される。
【0005】
また、一般に、ワイヤハーネスには、プロテクタが電線を保護しなければならない箇所と、プロテクタが電線を必ずしも保護しなくてもよい箇所がある。しかし、従来のワイヤハーネスでは、上述したようにプロテクタが複数の機能を一体に有するため、電線を保護しなくてもよい箇所にもプロテクタが設けられている。加えて、ワイヤハーネスの設計が変更される(又は、異なる)場合には、ワイヤハーネスを構成するプロテクタについても上記機能等の設計を変更しなければならなかった。
【0006】
本発明は、上述した状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、仕様が異なっても部品の共通・共用化を図れるワイヤハーネス、の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネスは、下記[1]~[2]を特徴としている。
[1]
電線と、互いに独立した複数の部品から構成されるプロテクタ複合体と、を備えたワイヤハーネスであって、
前記プロテクタ複合体は、
該ワイヤハーネスを固定対象に固定する固定部材と、
前記電線の所定箇所の周囲を覆う保護部材と、
前記電線が配索される経路を形成するフレームと、を有し、
前記固定部材、前記保護部材、及び、前記フレームが互いに独立しており、前記固定部材及び前記保護部材を前記フレームに組み付けることで構成され、
前記フレームは、
前記固定部材、及び、前記保護部材と組み付けられるときに、前記固定部材、及び、前記保護部材の位置決めをするための箇所を有する、
ワイヤハーネスであること。
[2]
上記[1]に記載のワイヤハーネスにおいて、
前記フレームは、金属材料から構成される、
ワイヤハーネスであること。
【0008】
上記[1]の構成のワイヤハーネスによれば、電線と、互いに独立した複数の部品から構成されるプロテクタ複合体と、を備えている。プロテクタ複合体は、ワイヤハーネスを固定対象に固定する固定部材と、電線の所定箇所の周囲を覆う保護部材と、電線が配索される経路を形成するフレームと、を有しており、固定部材及び保護部材をフレームに組み付けることで構成される。このように、機能毎に複数の部品(即ち、固定部材、保護部材、及び、フレーム)に分割されることで、プロテクタ複合体は、仕様によらず変更しない共通部品と、仕様によって変更し得る固有部品と、から構成できる。
【0009】
例えば、ワイヤハーネスの配索経路のみの設計が変更される(又は、異なる)場合、固定部材及び保護部材が共通部品にあたり、フレームが固有部品にあたる。これにより、プロテクタ複合体は、仕様によらず共通部品を有することで、仕様の設計の変更が生じた場合にも、従来のワイヤハーネスのようにプロテクタを変更しなくてもよい。
【0010】
このように、本構成のワイヤハーネスでは、機能毎に複数の部品に分割されたプロテクタ複合体が共通部品を有することで部品の共通・共用化を図れる。例えば、ワイヤハーネスが車両に配索される場合、固定対象としては車両のシャシ等が該当し、車両毎に異なる専用の仕様に合わせて固有部品が選択される。また、ワイヤハーネスの設計が変更される場合には、固有部品のみを変更すればよい。即ち、本構成のワイヤハーネスは、仕様が異なっても部品の共通・共用化を図れる。
【0011】
更に、本構成のワイヤハーネスでは、プロテクタ複合体の電線への取り付け作業方法の選択肢を増やすことができる。具体的には、プロテクタ複合体の独立した部品を一体化してから電線に取り付ける場合、従来のプロテクタと同様の方法を用いることができる。一方、特に固定部材が樹脂クランプのような構造(以下、「樹脂クランプ構造」という。)を有している場合、先に固定部材及び保護部材を電線に取り付けてから、樹脂クランプ構造を利用して固定部材及び保護部材にフレームを取り付けできる。このように、本構成のワイヤハーネスは、ワイヤハーネスの設計自由度が増して作業性に優れる。
【0012】
従来のプロテクタの電線への取付方法(即ち、上記「従来のプロテクタと同様の方法」)について説明する。一般に、従来のプロテクタは、上側が開口するとともに電線が載置されるケースと、ケースの上側の開口を覆うカバーと、を備えている。つまり、従来のプロテクタの電線への取付方法は、ケースの開口部から電線をケースに入れて載置する工程と、電線が載置されたケースにカバーを組み付ける工程と、から構成される。
【0013】
樹脂クランプ構造について説明する。樹脂クランプ構造とは、例えば、ヒンジを介して連結された二つの部材が、ヒンジを介して回動して対象部材を挟み込むように構成される構造である。一般に、このとき、一方の部材の端面と他方の部材の端面とが突き合われて、一方の部材に設けられた係合部と他方の部材に設けられた被係合部とが係合されて、二つの部材は対象部材を挟み込んだ状態に維持される。
【0014】
上記[1]の構成のワイヤハーネスによれば、フレームが、固定部材、及び、保護部材と組み付けられるときに、固定部及び保護部材の位置決めをするための箇所を有する。これにより、固定部材及び保護部材とフレームとの組み付け作業等を円滑に行える。この結果、本構成のワイヤハーネスは、作業性に優れる。
【0015】
上記[2]の構成のワイヤハーネスによれば、フレームが金属材料から構成されることで、例えば湾曲する経路を形成する場合でも、ベンダー等によってフレームを容易に曲げることができる。この結果、本構成のワイヤハーネスは、作業性に優れる。
【発明の効果】
【0016】
このように、本発明によれば、仕様が異なっても部品の共通・共用化を図れるワイヤハーネス、を提供できる。
【0017】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るワイヤハーネスの斜視図である。
【
図3】
図3(a)は、
図2に示すワイヤハーネスのA-A断面図であり、
図3(b)は、
図3(a)のB部拡大図である。
【
図4】
図4(a)は、本実施懈怠に係る保護部材の正面図であり、
図4(b)は、本実施形態に係るフレームの斜視図である。
【
図5】
図5は、他の実施形態に係るワイヤハーネスのプロテクタ複合体を示す
図2に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るワイヤハーネス1について説明する。
図1に示す例では、固定部材20、保護部材30、及び、フレーム40(即ち、プロテクタ複合体10)が電線50に装着された状態のワイヤハーネス1である。なお、電線50は、単一の電線であっても、複数の電線から構成される電線束であってもよい。
【0020】
以下、説明の便宜上、
図1に示すように、「前後方向」、「上下方向」、「幅方向」、「前」、「後」、「上」及び「下」を定義する。「前後方向」、「上下方向」及び「幅方向」は、互いに直交している。前後方向は、電線50の延在方向と一致している。上下方向は、ワイヤハーネス1が、例えば車両に配索される場合の車両の上下方向と一致する。
【0021】
図1及び
図2に示すように、ワイヤハーネス1は、電線50と、電線50を覆うプロテクタ複合体10とを含んで構成される。電線50及びプロテクタ複合体10の各々は、ワイヤハーネス1である。ワイヤハーネス1は、例えば、所望の配索経路で車体に沿って固定され、車両の各車両機器間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる電線50から構成される。
【0022】
図1~
図4に示すように、プロテクタ複合体10は、固定部材20、保護部材30、及び、フレーム40を含んで構成される。固定部材20、保護部材30、及び、フレーム40の各々は、プロテクタ複合体10であり、互いに独立して(即ち、別体に)構成されている。
【0023】
まず、固定部材20について説明する。
図1に示すように、固定部材20は、前後方向に貫通し且つ上側に開口する本体部21と、本体部21の上側の開口を塞ぐように本体部21を覆う蓋部22と、を含んで構成される。
【0024】
本体部21は、固定する電線50が載置される底壁211と、底壁211の幅方向の端縁の各々から立設する側壁212と、各側壁212の下端部から、底壁211から離れるように幅方向に向かって突出する固定部213と、を有する。固定部213は、固定対象(例えば、車両等)の所定位置に対する固定面213aと、ボルト(不図示)が挿通されるボルト挿通孔213bと、を有している。
【0025】
図1に示す本体部21は、前後方向の後側に、一対のフレーム40が挿通されるとともにフレーム40を固定する一対のフレーム固定部(不図示)が設けられている。一対のフレーム固定部は、フレーム40に対応する位置に設けられている。フレーム固定部には、後述するフレーム40の貫通孔41に挿通される突出部(不図示)が設けられている。
【0026】
上述した固定部材20とフレーム40との組み付け方法とは別に、本体部21(即ち、フレーム固定部)にフレーム40を圧入する方法が用いられてもよい。例えば、フレーム固定部とは圧入孔であり、この圧入孔にフレーム40が圧入されてもよい。更に、固定力を増すために、圧入孔の孔内面から突出するリブが設けられてもよい。反対に、フレーム40の外周面から突出するリブが設けられてもよい。
【0027】
更に、上述した機械的な固定部材20とフレーム40との組み付け方法とは別に、接着剤等を用いて(即ち、化学的な方法)、固定部材20とフレーム40とを結合してもよい。
【0028】
更に、上述した固定部材20とフレーム40との組み付け方法とは別に、固定部材20及びフレーム40を一括してテープ巻きが施されていてもよい。これにより、固定部材20及びフレーム40間の位置決めがされる。また、上述した何れかの方法によって固定部材20とフレーム40との組み付けられた後に、固定部材20及びフレーム40を一括してテープ巻きが施されてもよい。固定部材20及びフレーム40を跨ぐようにテープ巻きが施される場合には、ボルト挿通孔213bを避けるようにテープ巻きが施されることが好ましい。なお、固定部材20とフレーム40との組み付け方法はこれらに限るものではない。以上が固定部材20についての説明である。
【0029】
次いで、保護部材30について説明する。
図3及び
図4に示すように、保護部材30は、電線50を収納する電線収納部31と、フレーム40が挿通されるとともにフレーム40を固定するフレーム固定部32と、を含んで構成される。
【0030】
電線収納部31は、
図1及び
図3~
図4に示すように、前後方向に貫通し且つ上側に開口する本体部311と、本体部311の上側の開口を塞ぐように本体部311を覆う蓋部312と、を含んで構成される。
【0031】
フレーム固定部32は、
図3~
図4(a)に示すように、電線収納部31と一体に形成されて、外周形状は、略四角柱状の形状を有する。フレーム固定部32は、本体部311の幅方向の壁部の各々とそれぞれ連続する上蓋321と、ヒンジ33を介して上蓋321の各々とそれぞれ連結している322と、を含んで構成される。
【0032】
フレーム固定部32は、上蓋321と下蓋322との係合が解除されている係合解除段階(
図4参照)にて、ヒンジ33を中心に下蓋322を回動させると、上蓋321と下蓋322とが係合される係合完了段階(
図3参照)に至る。なお、以下に詳述する上蓋321及び下蓋322については、説明の便宜上、
図4(a)を参照して説明する。
【0033】
上蓋321は、下側壁部が上側に向かって略半円柱状に窪む凹部321aを有している。凹部321aには、下側に向かって短く突出し且つ後述するフレーム40の貫通孔41に対応する位置に突出部321bが設けられている。また、上蓋321は、本体部311との連続する壁部に下端から上側に向かって切り欠かれた係合凹部321cが設けられている。
【0034】
下蓋322は、上側壁部が下側(
図3では上側壁部が下側)に向かって略半円柱状に窪む凹部322aを有している。また、下蓋322は、幅方向のヒンジが設けられた壁部とは異なる壁部の上端が上側に向かって突出する係合凸部322bが設けられている。
【0035】
係合凸部322bは、ヒンジ33を中心に下蓋322を回動させることで、上蓋321の下端と下蓋322の下端とが近付き、更に回動を続けることで、上蓋321の係合凹部321cに挿入される。つまり、フレーム固定部32は、係合凸部322bが係合凹部321cに挿入されることで係合完了段階に至る。
【0036】
係合完了段階では、略半円柱状の形状を有する凹部321a及び略半円柱状の形状を有する凹部322aによって、前後方向に貫通する略円柱状の形状を有する空間が画成される。別の言い方をすると、上述した空間は、上蓋321及び下蓋322に跨って画成される。そして、この空間には、フレーム40が挿通される。
【0037】
また、係合完了段階では、係合凸部322bと係合凹部321cとが係合されることにより、上蓋321の下端面と下蓋322の下端面とが突き合わされた状態で維持される。このように、保護部材30は、上述したような構造(いわゆる、樹脂クランプ構造)を有している。
【0038】
なお、保護部材30とフレーム40との組み付け方法においては、保護部材30及びフレーム40間の位置決めをするために、保護部材30及びフレーム40を一括してテープ巻きが施されていてもよい。また、保護部材30とフレーム40とが組み付けられた後に、保護部材30及びフレーム40を一括してテープ巻きが施されていてもよい。以上が保護部材30についての説明である。
【0039】
次いで、フレーム40について説明する。フレーム40は、金属材料から構成されて、
図4(b)に示すように、略円筒状の形状を有する。フレーム40には、側面にはフレーム40の径方向に貫通する貫通孔41が設けられている。貫通孔41には、特に
図3(b)に示すように、突出部321bが挿通される。
【0040】
なお、フレーム40は樹脂材料から構成されてもよい。この場合、フレーム40を製造する際にワイヤハーネス1の配索経路に合う形状を有するためにフレーム40を成形するための金型を用意することになる。一方、フレーム40が金属材料から構成される場合、ベンダー等によってフレーム40を容易に曲げることができ、フレーム40成形するための金型を用意しなくてよい。このため、フレーム40は樹脂材料から構成されていてもよいが、樹脂材料よりも金属材料から構成される方が作業性に優れている。以上がフレーム40についての説明である。
【0041】
例えば、固定部材20、及び、保護部材30をフレーム40に組み付けることでプロテクタ複合体10が構成される。ワイヤハーネス1は、上述したようにプロテクタ複合体10の独立した部品を一体化してから電線50に取り付ける場合、従来のプロテクタと同様の方法が用いられる。
【0042】
一方、先に固定部材20及び保護部材30を電線50に取り付けてから、固定部材20の樹脂クランプ構造を利用して固定部材20及び保護部材30にフレームを取り付けることもできる。
【0043】
<作用・効果>
本実施形態に係るワイヤハーネス1によれば、電線50と、互いに独立した複数の部品から構成されるプロテクタ複合体10と、を備えている。プロテクタ複合体10は、ワイヤハーネス1を固定対象に固定する固定部材20と、電線50の所定箇所の周囲を覆う保護部材30と、電線50が配索される経路を形成するフレーム40と、を有しており、固定部材20及び保護部材30をフレーム40に組み付けることで構成される。このように、機能毎に複数の部品(即ち、固定部材20、保護部材30、及び、フレーム40)に分割されることで、プロテクタ複合体10は、仕様によらず変更しない共通部品と、仕様によって変更し得る固有部品と、から構成できる。
【0044】
例えば、ワイヤハーネス1の配索経路のみの設計が変更される(又は、異なる)場合、固定部材20及び保護部材30が共通部品にあたり、フレーム40が固有部品にあたる。これにより、プロテクタ複合体10は、仕様によらず共通部品を有することで、仕様の設計の変更が生じた場合にも、従来のワイヤハーネスのようにプロテクタを変更しなくてもよい。即ち、本実施形態に係るワイヤハーネス1は、仕様が異なっても部品の共通・共用化を図れる。
【0045】
更に、本実施形態に係るワイヤハーネス1は、電線50へのプロテクタ複合体10の取り付け作業方法の選択肢を増やすことができる。具体的には、プロテクタ複合体10の独立した部品を一体化してから電線50に取り付ける場合、従来のプロテクタと同様の方法を用いることができる。一方、固定部材20及び保護部材30の各々が樹脂クランプのような構造を有している場合、先に固定部材20及び保護部材30を電線50に取り付けてから、各樹脂クランプ構造を利用して固定部材20及び保護部材30にフレーム40を取り付けできる。このように、本実施形態に係るワイヤハーネス1は、ワイヤハーネス1の設計自由度が増して作業性に優れる。
【0046】
更に、本実施形態に係るワイヤハーネス1は、フレーム40が、固定部材20、及び、保護部材30と組み付けられるときに位置決めするための箇所(貫通孔41)を有する。これにより、固定部材20及び保護部材30とフレーム40との組み付け作業等を円滑に行える。
【0047】
更に、フレーム40が金属材料から構成されることで、例えば湾曲する経路を形成する場合でも、ベンダー等によってフレーム40を容易に曲げることができる。一方、フレームが樹脂材料から構成される場合、フレーム40を製造する際にワイヤハーネス1の配索経路に合う形状を有するためにフレーム40を成形するための金型を用意することになる。このため、フレーム40は樹脂材料から構成されていてもよいが、樹脂材料よりも金属材料から構成される方が作業性に優れている。この結果、本実施形態に係るワイヤハーネス1は、フレーム40が金属材料から構成されることによって作業性に優れる。
【0048】
<他の形態>
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0049】
例えば、本実施形態では、ワイヤハーネス1に保護部材30が2つ設けられているが(
図2参照)、ワイヤハーネス1に設けられる保護部材30は単一であってもよいし複数であってもよい。
【0050】
例えば、プロテクタ複合体10と電線50とを一括してテープ巻きが施されていてもよい。具体的には、従来のワイヤハーネスでは、プロテクタの端部と電線とを一括してテープ巻きが施されており、これにより、プロテクタと電線とが固定される場合がある。このように、本実施形態においても、固定部材20及び電線50を一括してテープ巻きが施されていてもよいし、保護部材30及び電線50を一括してテープ巻きが施されていてもよい。更に、固定部材20及び保護部材30の間、並びに、隣り合うように設けられた保護部材30間において、フレーム40と電線50とが一括してテープ巻きが施されていてもよい。
【0051】
なお、固定部材20の端部及び電線50を跨ぐようにテープ巻きが施される場合には、ボルト挿通孔213bを避けるようにテープ巻きが施されることが好ましい。
【0052】
例えば、固定部材20は、保護部材30のように樹脂クランプ構造を有していてもよい。固定部材20が樹脂クランプ構造を有することで、例えば、先に固定部材20及び保護部材30を電線50に取り付けてから、固定部材20及び保護部材30の各樹脂クランプ構造を利用して固定部材20及び保護部材30にフレーム40を取り付けできる。
【0053】
これにより、ワイヤハーネス1は、従来のプロテクタと同様の方法の他にも電線50へのプロテクタ複合体10の取り付け作業方法の選択肢を増やすことができ、ワイヤハーネス1の設計自由度が増して作業性に優れる。
【0054】
上述したように固定部材20が構成されることで、ワイヤハーネス1は、フレーム40を取り付ける前(先に固定部材20及び保護部材30を先に電線50に取り付ける場合)においては、電線50を自在に湾曲できる。このため、例えばワイヤハーネスを輸送する際に、出荷先では固定部材20と保護部材30のみを取り付けて、受入先にてフレーム40を取り付けることができ、ワイヤハーネス1の梱包が容易となる。
【0055】
また、ワイヤハーネス1では、プロテクタ複合体10の仕様の変更は車両のシャシのみに影響されるとは限らない。例えば、電線50の径が異なる場合にもプロテクタ複合体10の仕様は変更される。電線50の径が変更される(又は、異なる)場合には、フレーム40が共通部品にあたり、固定部材20及び保護部材30が固有部品にあたる。このとき、固定部材20及び保護部材30は、電線50の径の大きさに合わせて選択(又は、変更)される。
【0056】
ここで、上述した本発明に係るワイヤハーネスの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
電線(50)と、互いに独立した複数の部品から構成されるプロテクタ複合体(10)と、を備えたワイヤハーネス(1)であって、
前記プロテクタ複合体(10)は、
該ワイヤハーネスを固定対象に固定する固定部材(20)と、
前記電線の所定箇所の周囲を覆う保護部材(30)と、
前記電線が配索される経路を形成するフレーム(40)と、を有し、
前記固定部材(20)、前記保護部材(30)、及び、前記フレーム(40)が互いに独立しており、前記固定部材(20)及び前記保護部材(30)を前記フレーム(40)に組み付けることで構成される、
ワイヤハーネス(1)。
[2]
上記[1]に記載のワイヤハーネス(1)において、
前記フレーム(40)は、
前記固定部材(20)、及び、前記保護部材(30)と組み付けられるときに、前記固定部材(20)、及び、前記保護部材(30)の位置決めをするための箇所(貫通孔41)を有する、
ワイヤハーネス(1)。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載のワイヤハーネスに(1)おいて、
前記フレーム(40)は、金属材料から構成される、
ワイヤハーネス(1)。
【符号の説明】
【0057】
1 ワイヤハーネス
10 プロテクタ複合体
20 固定部材
21 本体部
22 蓋部
30 保護部材
31 電線収納部
32 フレーム固定部
33 ヒンジ
40 フレーム
41 貫通孔
50 電線
211 底壁
212 側壁
213 固定部
213a 固定面
213b ボルト挿通孔
311 本体部
312 蓋部
321 上蓋
321a 凹部
321b 突出部
321c 係合凹部
322 下蓋
322a 凹部
322b 係合凸部