IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 極東開発工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-バンパー装置及び荷役車両 図1
  • 特許-バンパー装置及び荷役車両 図2
  • 特許-バンパー装置及び荷役車両 図3
  • 特許-バンパー装置及び荷役車両 図4
  • 特許-バンパー装置及び荷役車両 図5
  • 特許-バンパー装置及び荷役車両 図6
  • 特許-バンパー装置及び荷役車両 図7
  • 特許-バンパー装置及び荷役車両 図8
  • 特許-バンパー装置及び荷役車両 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】バンパー装置及び荷役車両
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/38 20060101AFI20240827BHJP
   B60P 1/32 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B60R19/38 D
B60P1/32
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021013974
(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公開番号】P2022117344
(43)【公開日】2022-08-10
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】中島 真
(72)【発明者】
【氏名】加藤 祐太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊博
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-142278(JP,A)
【文献】特開2014-205449(JP,A)
【文献】特開2012-180835(JP,A)
【文献】米国特許第10343634(US,B1)
【文献】中国実用新案第204845825(CN,U)
【文献】独国特許出願公開第04429755(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/00-19/56
B60P 1/00- 1/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられるバンパー装置であって、バンパー本体と、当該バンパー本体を移動させるバンパー移動機構とを備えたバンパー装置において、
前記バンパー移動機構は、
前記車両を基準とする回動支点を中心として揺動する、
2本のフロントアーム、及び2本のリアアームと、
該回動支点に対応する力点を含む、
連結リンクと、
シリンダーとを有し、
前記2本のフロントアームは、いずれも
前記車両を基準として前側の部分が前記車両に属する部材に、前記車両を基準として、その前側から後側の方向と直交する、前記車両の幅方向の、一方側の回動中心A、及び他方側の回動中心aにて回動可能に係合され、かつ、
前記車両を基準として後側の部分が前記リアアームの一端側に、前記車両の幅方向の、一方側の回動中心B、及び他方側の回動中心bにて回動可能に係合され、
前記2本のリアアームは、いずれも、該一端側に対する他端側が前記バンパー本体に属する部材に、前記車両の幅方向の、一方側の回動中心D、及び他方側の回動中心dにて回動可能に係合され、
前記連結リンクは、その長さ方向の一端及び他端が、前記2本のフロントアームの各々に該力点でもある、前記車両の幅方向の、一方側の回動中心C、及び他方側の回動中心cにて、又は前記2本のリアアームの各々に該力点でもある、前記車両の幅方向の、一方側の回動中心E、及び他方側の回動中心eにて、回動可能に係合され、
前記シリンダーのエンド部が、前記車両に属する部材に回動可能に支持され、
前記回動中心C、cの位置は前記回動中心A、aから外れた位置であり、又は、前記回動中心E、eの位置は前記回動中心D、dから外れた位置であり、
前記シリンダーによって前記連結リンクが、直接、直線的に移動することで
前記2本のフロントアーム同士又は前記2本のリアアーム同士の相対角度が変化して
前記バンパー本体が前記車両の前後方向に移動することを特徴とするバンパー装置。
【請求項2】
前記2本のフロントアームは、前記連結リンクが直線的に移動することによって、当該2本のフロントアーム間の中心軸に対して互いに異なる方向に揺動し、
前記2本のリアアームは、前記中心軸に対して互いに異なる方向に揺動することを特徴とする請求項1に記載のバンパー装置。
【請求項3】
前記シリンダーによる前記連結リンクの直線的移動の方向が前記車両の幅方向に沿う方向であることを特徴とする請求項1又は2に記載のバンパー装置。
【請求項4】
記回動中心Cは、前記回動中心Aよりも外側又は内側に外れており、
記回動中心cは、前記回動中心aに対して前記回動中心Cとは反対方向に外れていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のバンパー装置。
【請求項5】
記回動中心Eは、前記回動中心Dよりも外側又は内側に外れており、
記回動中心eは、回動中心dに対して前記回動中心Eとは反対方向に外れていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のバンパー装置。
【請求項6】
前記連結リンクとして、
前記2本のフロントアームと回動可能に係合し、前記2本のフロントアーム同士連結するフロント側連結リンクと、
前記2本のリアアームと回動可能に係合し、前記2本のリアアーム同士を連結するリア側連結リンクと、
の2本を有し、
前記フロント側連結リンクが前記シリンダーによる前記連結リンクの直線的移動をすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のバンパー装置。
【請求項7】
記連結リンクの、
前記一端の前記力点の、対応する前記回動支点に対する、相対位置関係と、
前記他端の前記力点の、対応する前記回動支点に対する、相対位置関係とについて、
前記車両を基準として、一の相対位置関係が前側であり、かつ、他の相対位置関係が後側であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のバンパー装置。
【請求項8】
車体に対して移動可能な荷台部を備えた荷役車両であって、請求項1乃至7のいずれかに記載のバンパー装置を備えたことを特徴とする荷役車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に装備されるバンパー装置に関するものである。本発明は、特に、車両運搬車やコンテナ運搬車、ダンプカー等の様に荷台部分の一部が移動したり、荷台部分の一部を地上に下ろしたりする機能を備えた荷役車両に装着されるバンパー装置に関するものである。
また本発明は、荷役車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
荷台の姿勢を変化させたり、荷台を地上に下ろしたりする機能を持つ荷役車両が知られている。例えば特許文献1には、ボディ積み降ろし車両が開示されている。特許文献1に開示されたボディ積み降ろし車両は、車両運搬車であり、乗用車や土木機械等の車両を運搬する際に使用されるものである。特許文献1に記載の車両運搬車は、リフトフレームとスライド可能なボディが搭載されている。そして特許文献1に開示された車両では、リフトフレームを傾斜させ、ボディ(荷台)をスライドさせてボディを地上に降下させることができる。
【0003】
また貨物車両には、後部バンパーの装着が義務づけられている。歩行者や他の車両が衝突した際の安全を確保するため、後部バンパーは、車両本体からある程度後方に突出していなければならない。
ところで前記した車両運搬車等は、機能上、荷台部分の姿勢を後方に傾斜させたり、荷台部分を後方から地上に降下させたりするものであり、後部バンパーは車両の後方に突き出した状態で取り付けられているから、荷台を傾斜させる等の際に後部バンパーが邪魔になる。
そこで積み下ろし等の作業を行う際に、後部バンパーを退避させる構造が提案されている(特許文献2)。
【0004】
特許文献2に開示されたバンパー装置200は、図9の様に、リンク機構201の先端にバンパー本体202が設けられたものである。そしてリンク機構201の全長を伸縮する油圧シリンダー203が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-108768号公報
【文献】特許第4633917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示されたバンパー装置200では、油圧シリンダー203がバンパー本体202の伸縮方向に沿って配置されている。即ち、油圧シリンダー203は、車両の前後方向に沿って配置される。
そのため、特許文献2に開示されたバンパー装置200は、全長が長く、取り付け可能な車両に制約がある。例えば車体の後輪から車体後端までの長さが短い場合、車両のディファレンシャルが邪魔になって、バンパー装置200を取り付けることができない場合がある。
【0007】
本発明は、従来技術の上記した課題を解決するものであり、収縮時における全長が短いバンパー装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するための態様は、車両に取り付けられるバンパー装置であって、バンパー本体と、当該バンパー本体を移動させるバンパー移動機構とを備えたバンパー装置において、前記バンパー移動機構は、2本のフロントアームと、2本のリアアームと、連結リンクと、シリンダーとを有し、前記2本のフロントアームは、いずれも車両を基準として前側の部分が車両に属する部材に回動可能に係合され、前記2本のリアアームは、一端が前記フロントアームに回動可能に係合され、他端側が前記バンパー本体に属する部材に回動可能に係合され、前記連結リンクは、前記2本のフロントアーム又は前記2本のリアアームと回動可能に係合され、前記連結リンクと前記2本のフロントアーム又は前記2本のリアアームとの係合位置は、前記車両に属する部材又は前記バンパー本体に属する部材の係合位置から外れた位置であり、前記シリンダーによって前記連結リンクが直線的に移動し、前記2本のフロントアーム同士又は前記2本のリアアーム同士の相対角度が変化して前記バンパー本体が前記車両の前後方向に移動することを特徴とするバンパー装置である。
【0009】
本態様のバンパー装置によると、シリンダーを車両の幅方向に向けて設置することができる。
そのため本態様のバンパー装置は、収縮時における全長が短い。
【0010】
上記した態様において、前記2本のフロントアームは、前記連結リンクが直線的に移動することによって、当該2本のフロントアーム間の中心軸に対して互いに異なる方向に揺動し、前記2本のリアアームは、前記中心軸に対して互いに異なる方向に揺動することが望ましい。
【0011】
上記した各態様において、前記シリンダーは、車両の幅方向に沿って設置されることが望ましい。
【0012】
上記した各態様において、一方のフロントアームの車両に属する部材に対する回動中心をAとし、前記一方のフロントアームのリアアームに対する回動中心をBとし、前記一方のフロントアームのフロント側連結リンクに対する回動中心をCとし、前記回動中心Cは、前記回動中心Aよりも外側又は内側に外れており、他方のフロントアームの車両に属する部材に対する回動中心をaとし、前記他方のフロントアームのリアアームに対する回動中心をbとし、前記他方のフロントアームの連結リンクに対する回動中心cとし、前記回動中心cは、前記回動中心aに対して前記回動中心Cとは反対方向に外れていることが望ましい。
【0013】
上記した各態様において、一方のリアアームのバンパー本体に属する部材に対する回動中心をDとし、前記一方のリアアームのフロントアームに対する回動中心をBとし、前記一方のリアアームの連結リンクに対する回動中心をEとし、前記回動中心Eは、前記回動中心Dよりも外側又は内側に外れており、他方のリアアームのバンパー本体に属する部材に対する回動中心をdとし、前記他方のリアアームのフロントアームに対する回動中心をbとし、前記他方のリアアームの連結リンクに対する回動中心をeとし、前記回動中心eは、回動中心dに対して前記回動中心Eとは反対方向に外れていることが望ましい。
【0014】
上記した各態様において、前記2本のフロントアームと回動可能に係合し、前記2本のフロントアーム同士連結するフロント側連結リンクと、前記2本のリアアームと回動可能に係合し、前記2本のリアアーム同士を連結するリア側連結リンクを有し、前記フロント側連結リンクが前記シリンダーによって直線的に移動することが望ましい。
【0015】
上記した各態様において、一方の前記フロントアーム又は一方の前記リアアームは、回動支点を中心として揺動し、前記連結リンクは、少なくとも特定の姿勢の際、一方の前記フロントアーム又は一方の前記リアアームと、前記回動支点よりも車両を基準として前側の位置で係合し、他方の前記フロントアーム又は他方の前記リアアームと、前記回動支点よりも車両を基準として後側の位置で係合していることが望ましい。
【0016】
荷役車両に関する態様は、車体に対して移動可能な荷台部を備えた荷役車両であって、上記したいずれかに記載のバンパー装置を備えたことを特徴とする荷役車両である。
【発明の効果】
【0017】
本発明のバンパー装置は、収縮時における全長が短く、取り付けの制約が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態のバンパー装置の平面図であり、全体が伸長し、バンパー本体が走行時位置にある状態を示す。
図2図1のバンパー装置の部材をモデル化し、部材ごとに分割した平面図である。
図3】本発明の実施形態のバンパー装置の平面図であり、全体が収縮し、バンパー本体が格納位置にある状態を示す。
図4図1のバンパー装置の機構図であり、全体が伸長し、バンパー本体が走行時位置にある状態を示す。
図5図1のバンパー装置の機構図であり、全体が収縮し、バンパー本体が格納位置にある状態を示す。
図6】本発明の実施形態の荷役車両の側面図及びその一部拡大図である。
図7図6に示す荷役車両であり、(a)(b)(c)は、降ろし動作における各部の動作を示す側面図である。
図8図6に示す荷役車両であり、(d)(e)(f)は、降ろし動作における図7に続く各部の動作を示す側面図である。
図9】従来技術のバンパー装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下さらに、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態のバンパー装置50は、例えば図6に示す様な荷役車両1のバンパーとして採用されるものである。
以下の説明において、前後の関係は、荷役車両1の前後を基準とする。即ち前側とは、運転席100側を意味し、後側はその反対側を意味する。
【0020】
バンパー装置50は、バンパー本体10と、当該バンパー本体10を移動させるバンパー移動機構51によって構成されている。バンパー装置50は、バンパー移動機構51によって、バンパー本体10を走行時に適した走行時位置と、車両部5側に退避した格納位置に位置変更することが可能である。
バンパー本体10は、車両の全幅に相当する長さを有するバー状や板状の部材であり、接続部52を有している。
【0021】
バンパー移動機構51は、リンク機構部40と、油圧シリンダー41によって構成されている。
リンク機構部40は、2本のフロントアーム60、61と、2本のリアアーム65、66と、フロント側連結リンク67及び、リア側連結リンク68を有している。
【0022】
フロントアーム60、61、リアアーム65、66及び連結リンク67、68は、いずれも断面形状が立体形状であり、相当の剛性を有している。
フロントアーム60、61及びリアアーム65、66の全長は略同じである。
フロント側連結リンク67とリア側連結リンク68の全長は、略同じである。
【0023】
フロントアーム60は、図2の様に、車両部5に回動可能に支持される車両側係合孔70と、リアアーム65と回動可能に係合するリアアーム側係合孔71と、フロント側連結リンク67と回動可能に係合する連結リンク側係合孔72を有している。
連結リンク側係合孔72は、車両側係合孔70と、リアアーム側係合孔71とを結ぶ直線101から外れた位置にある。また連結リンク側係合孔72は、車両側係合孔70よりも外側の位置にある。リンク機構部40として組み立てられた状態においては、連結リンク側係合孔72は各リンクで囲まれた枠の外側に向いて突出した位置にある。
【0024】
フロントアーム61は、車両部5に回動可能に支持される車両側係合孔80と、リアアーム66と回動可能に係合するリアアーム側係合孔81と、フロント側連結リンク67と回動可能に係合する連結リンク側係合孔82を有している。
連結リンク側係合孔82は、車両側係合孔80と、リアアーム側係合孔81とを結ぶ直線102から外れた位置にある。また連結リンク側係合孔82は、車両側係合孔80よりも内側の位置にある。即ちリンク機構部40として組み立てられた状態においては、連結リンク側係合孔82は各リンクで囲まれた枠の内側に向いて突出した位置にある。リンク機構部40として組み立てられた状態においては、フロントアーム60の連結リンク側係合孔72と、フロントアーム61の連結リンク側係合孔82は、同じ方向(図面上側)に突出した位置にある。
リンク機構部40として組み立てられた状態においては、図1図2の様に、フロントアーム60の連結リンク側係合孔72は、車両係合孔70と車両係合孔80とを結ぶ線よりも前側の位置にある。一方、フロントアーム61の連結リンク側係合孔82は、車両係合孔70と車両係合孔80とを結ぶ線よりも後側(連結リンク側係合孔72の前後反対側)の位置にある。
【0025】
フロントアーム60、61の機構上の長さは、略等しい。即ちフロントアーム60の車両側係合孔70とリアアーム側係合孔71との間の距離と、フロントアーム61の車両側係合孔80とリアアーム側係合孔81との間の距離は、略等しい。
またフロントアーム60の車両側係合孔70と連結リンク側係合孔72との間の距離と、フロントアーム61の車両側係合孔80と連結リンク側係合孔82との間の距離は、略等しい。さらにフロントアーム60の直線101と、車両側係合孔70と連結リンク側係合孔72がなす角度の鋭角側(以下 突出角度)と、フロントアーム61の連結リンク側係合孔82の突出角度は、略等しい。
【0026】
リアアーム65は、フロントアーム60と回動可能に係合するフロントアーム側係合孔73と、バンパー本体側に回動可能に支持されるバンパー側係合孔75と、リア側連結リンク68と回動可能に係合する連結リンク側係合孔76を有している。
連結リンク側係合孔76は、バンパー側係合孔75と、フロントアーム側係合孔73とを結ぶ直線103から外れた位置にある。また連結リンク側係合孔76は、バンパー側係合孔75よりも内側の位置にある。リンク機構部40として組み立てられた状態においては、連結リンク側係合孔76は各リンクで囲まれた枠の内側に向いて突出した位置にある。
【0027】
リアアーム66は、フロントアーム61と回動可能に係合するフロントアーム側係合孔83と、バンパー本体側に回動可能に支持されるバンパー側係合孔85と、リア側連結リンク68と回動可能に係合する連結リンク側係合孔86を有している。
連結リンク側係合孔86は、バンパー側係合孔85と、フロントアーム側係合孔83とを結ぶ直線105から外れた位置にある。また連結リンク側係合孔86は、バンパー側係合孔85よりも外側の位置にある。即ちリンク機構部40として組み立てられた状態においては、連結リンク側係合孔86は、各リンクで囲まれた枠の外側に向いて突出した位置にある。リンク機構部40として組み立てられた状態においては、リアアーム65の連結リンク側係合孔76と、リアアーム65の連結リンク側係合孔86は、同じ方向(図面下側)に突出した位置にある。
【0028】
リアアーム65、66の機構上の長さは、略等しい。即ちリアアーム65のバンパー側係合孔75とフロントアーム側係合孔73との間の距離と、リアアーム66のバンパー側係合孔85とフロントアーム側係合孔83との間の距離は、略等しい。
またリアアーム65のバンパー側係合孔75と連結リンク側係合孔76との間の距離と、リアアーム66のバンパー側係合孔85と連結リンク側係合孔86との間の距離は、略等しい。
リアアーム65の連結リンク側係合孔76の突出角度と、リアアーム66の連結リンク側係合孔86の突出角度についても略等しい。
【0029】
さらに本実施形態では、リアアーム65、66の機構上の長さと、フロントアーム60、61の機構上の長さは、略等しい。また突出角度についても略等しい。
【0030】
フロント側連結リンク67は、一方のフロントアーム60と回動可能に係合する一方側の係合孔88と、他方のフロントアーム61と回動可能に係合する他方側の係合孔90を有している。
またフロント側連結リンク67の直線部分には外側に突出するシリンダ取り付け部93が設けられている。シリンダ取り付け部93にはシリンダ取り付け孔95が設けられている。
【0031】
リア側連結リンク68は、一方のリアアーム65と回動可能に係合する一方側係合孔91と、他方のリアアーム66と回動可能に係合する他方側係合孔92を有している。
リア側連結リンク68とフロント側連結リンク67の機構上の長さは、略等しい。即ちフロント側連結リンク67の一方側の係合孔88と他方側の係合孔90との間の距離と、リア側連結リンク68の一方側の係合孔91と係合孔92との間の距離は、略等しい。
【0032】
リンク機構部40は、前記した2本のフロントアーム60、61と、2本のリアアーム65、66と、フロント側連結リンク67及びリア側連結リンク68がピンを介して環状に接続されたものである。
即ち、フロントアーム60、リアアーム65、リア側連結リンク68、リアアーム66、フロントアーム61、フロント側連結リンク67、フロントアーム60が、この順に、ピン110、111、112、113、115、116で回動可能に連結されている。
【0033】
具体的には、フロントアーム60の一端に設けられたリアアーム側係合孔71と、リアアーム65の一端に設けられたフロントアーム側係合孔73が重ねられてピン110が挿通され、フロントアーム60とリアアーム65とが回動中心Bを中心として回動可能に係合している。
【0034】
リアアーム65に設けられた連結リンク側係合孔76と、リア側連結リンク68に設けられた係合孔91が重ねられてピン111が挿通され、リアアーム65とリア側連結リンク68とが回動中心Eを中心として回動可能に係合している。
【0035】
リア側連結リンク68に設けられた係合孔92と、リアアーム66に設けられた連結リンク側係合孔86が重ねられてピン112が挿通され、リア側連結リンク68とリアアーム66とが回動中心eを中心として回動可能に係合している。
【0036】
リアアーム66に設けられたフロントアーム側係合孔83と、フロントアーム61に設けられたリアアーム側係合孔81が重ねられてピン113が挿通され、リアアーム66とリアアーム66とが回動中心bを中心として回動可能に係合している。
【0037】
フロントアーム61に設けられた連結リンク側係合孔82と、フロント側連結リンク67に設けられた係合孔90が重ねられてピン115が挿通され、フロントアーム61とフロント側連結リンク67とが回動中心cを中心として回動可能に係合している。
【0038】
フロント側連結リンク67に設けられた係合孔88と、フロントアーム60に設けられた連結リンク側係合孔72が重ねられてピン116が挿通され、フロント側連結リンク67とフロントアーム60とが回動中心Cを中心として回動可能に係合している。
【0039】
またフロントアーム60の車両側係合孔70にピン117が挿通され、車両部5の一部に回動可能に支持されている。フロントアーム60は、回動中心Aを中心として車両部5の一部に回動可能に固定されている。同様に、フロントアーム61の車両側係合孔80にピン118が挿通され、車両部5の一部に回動可能に支持されている。フロントアーム61は、回動中心aを中心として車両部5の一部に回動可能に固定されている。
【0040】
フロント側連結リンク67に設けられたシリンダ取り付け部93のシリンダ取り付け孔95に油圧シリンダー41のロッドが、回動可能に接続されている。
油圧シリンダー41のエンド部が、車両部5に属する部材に回動可能に支持されている。
【0041】
まとめると、一方のフロントアーム60は、車両部5に属する部材に固定されていて回動中心Aを中心として回動し、前記フロントアーム60とリアアーム65は、回動中心Bを中心として回動可能に係合し、前記フロントアーム60は、フロント側連結リンク67と回動中心Cを中心として回動可能に係合している。またフロントアーム60とフロント側連結リンク67との回動中心Cは、回動中心Aよりも外側に外れている。
【0042】
他方のフロントアーム61は、車両部5に属する部材に固定されていて回動中心aを中心として回動し、前記フロントアーム61とリアアーム66は、回動中心bを中心として回動可能に係合し、前記フロントアーム61は、フロント側連結リンク67と回動中心cを中心として回動可能に係合している。またフロントアーム61とフロント側連結リンク67との回動中心cは、回動中心aよりも内側に外れている。
即ち、回動中心cは、回動中心Cとは反対方向に外れている。
【0043】
一方のリアアーム65は、バンパー本体10に属する部材に固定されていて回動中心Dを中心として回動可能に係合し、リアアーム65はフロントアーム60と回動中心Bを中心として回動可能に係合し、リアアーム65のリア側連結リンク68に対する回動中心Eは、回動中心Dよりも内側に外れている。
他方のリアアーム66は、バンパー本体10に属する部材に固定されていて回動中心dを中心として回動可能に係合し、リアアーム66はフロントアーム61と回動中心bを中心として回動可能に係合し、リアアーム66のリア側連結リンク68に対する回動中心eは、回動中心dよりも外側に外れている。
即ち、回動中心eは、回動中心Dとは反対方向に外れている。
【0044】
次に、バンパー装置50と、車両部5との関係について説明する。
バンパー装置50は、車両の後端側であって、荷台フレーム2の下部に取り付けられている。
バンパー装置50は、前記した様に、二つのフロントアーム60、61の前方側に設けられた車両側係合孔70、80を介して車両部5の一部に回動可能に直接的に固定されている。
従って、バンパー装置50のフロントアーム60、61は、前方側に設けられた車両側係合孔70、80を介して回動可能であるが、車両部5に対して相対移動することはない。
これに対して他の部材は、車両部5に対して間接的に支持されており、自由度を持ち、姿勢変更や、移動が可能である。
油圧シリンダー41は、エンド部が、車両部5に属する部材に回動可能に支持されている。
従って、油圧シリンダー41は、姿勢変更可能であるが、位置が変わることはない。
油圧シリンダー41の姿勢は、バンパー本体10に対して略平行であり、車両部5の幅方向に配置されている。そのため、油圧シリンダー41の長短が、バンパー装置50の前後方向の長さに影響を与えない。
そのため本実施形態のバンパー装置50は、バンパー装置50の前後方向の長さが比較的短い。
【0045】
また、図3に示すように、油圧シリンダー41は、伸長したときにも車両部5(特に、車両係合孔70と車両係合孔80)の間に収まる様に配置されている。そのため、油圧シリンダー41の長短がバンパー装置50の左右(車幅方向)の長さに影響を与えない。
【0046】
バンパー装置50が伸長状態にある際の様子は、図1の通りであり、フロントアーム60、リアアーム65、リア側連結リンク68、リアアーム66、フロントアーム61、フロント側連結リンク67、フロントアーム60で構成さる環状構造部分が、略正方形状となっている。
即ち、一方のフロントアーム60と、リアアーム65が略直線状態となり、他方のフロントアーム61と、リアアーム66も略直線状態となり、両直線状の部分が、間隔をあけて平行状態となる。
またリア側連結リンク68とフロント側連結リンク67が、間隔をあけて平行状態となる。
そのため、バンパー移動機構51は、全長が長い状態となる。ここで、フロントアーム60、61の車両側係合孔70、80は、車両部5に固定されていて移動不能であるから、バンパー本体10は、後方に移動している。
【0047】
バンパー装置50が伸長状態にあるとき、一方のフロントアーム60は、回動支点たる回動中心Aを中心として揺動し、フロント側連結リンク67は、フロントアーム60と、回動中心Aよりも前側の位置で係合し、他方のフロントアーム61は回動支点たる回動中心aを中心として揺動し、フロント側連結リンク67は、フロントアーム61と回動中心aよりも後側の位置で係合している。
【0048】
またバンパー装置50が伸長状態にあるとき、一方のリアアーム65は、回動支点たる回動中心Dを中心として揺動し、リア側連結リンク68は、リアアーム65と、回動中心Dより前側の位置で係合し、他方のリアアーム66は、回動支点たる回動中心dを中心として揺動し、リア側連結リンク68は、リアアーム66と、回動中心dよりも後側の位置で係合している。
【0049】
バンパー装置50が収縮状態にある際の様子は、図3の通りであり、フロントアーム60、リアアーム65、リア側連結リンク68、リアアーム66、フロントアーム61、フロント側連結リンク67、フロントアーム60で構成される環状構造部分が、折りたたまれた状態となる。
即ち、一方のフロントアーム60と、リアアーム65が回動中心Bを起点として折れ曲がり、フロントアーム60とリアアーム65が略平行姿勢となる。他方のフロントアーム61とリアアーム66も略平行状態となる。
またリア側連結リンク68とフロント側連結リンク67が、間隔をあけて平行状態となる。
そのため、バンパー移動機構51は、全長が短い状態となる。ここで、フロントアーム60、61の車両側係合孔70、80は、車両部5に固定されていて移動不能であるから、バンパー本体10は、前方に移動する。
【0050】
次に、バンパー装置50の動きについて、図4図5を参照して説明する。
図4の様に、バンパー移動機構51が伸長状態にあるとき、油圧シリンダー41は、収縮した状態となっている。
この状態から、油圧シリンダー41のロッドを伸ばすと、ロッドと係合するフロント側連結リンク67が、図面の矢印方向に直線的に移動する。即ち、軸線方向の移動成分を有して移動する。
【0051】
フロント側連結リンク67は、一方のフロントアーム60と回動中心Cで結合されている。一方、フロントアーム60自身は、回動中心Aを中心として回動する。ここで、力点たる回動中心Cは、回動支点たる回動中心Aに対して外側(前側)に外れている。
そのため、フロント側連結リンク67が、図面の矢印方向に直線的に移動すると、フロントアーム60は、回動支点たる回動中心Aに対して、図面の矢印の様に反時計回りに回動する。
【0052】
一方、フロント側連結リンク67は、他方のフロントアーム61と回動中心cで結合されている。一方、フロントアーム61自身は、回動中心aを中心として回動する。ここで、力点たる回動中心cは、回動支点たる回動中心aに対して内側(後側)に外れている。
そのため、フロント側連結リンク67が、図面の矢印方向に直線的に移動すると、フロントアーム61は、回動支点たる回動中心aに対して、図面の矢印の様に時計回りに回動する。
即ちフロントアーム60と、フロントアーム61は、異なる方向に揺動し、両者の間の角度が開く。
【0053】
リアアーム65、66とフロントアーム60、61との結合点たる回動中心B、bは、フロントアーム60、61が互いに開く方向に揺動することにより、間隔が広がる。しかしながら、バンパー本体10側との結合点たる回動中心E、eの間隔は一定であるから、フロントアーム60、61同士が開き側に揺動することに追従し、リアアーム65、66同士の角度も開き、リアアーム65、66とフロントアーム60、61が折り重なる方向に姿勢変更する。
その結果、バンパー本体10が、前方に移動する。またフロントアーム60、61、リアアーム65、66の機構上の長さや、突出角度が略等しいから、バンパー本体10は、平行移動する。
【0054】
バンパー装置50は、例えば図6の様な荷役車両1に取り付けられる。
【0055】
バンパー装置50は、バンパー移動機構51によって、バンパー本体10を走行時に適した走行時位置と、車両部5側に退避した格納位置に位置変更することが可能である。
本実施形態では、油圧シリンダ41を縮めてバンパー本体10を後方に張り出した位置が走行時位置であり、油圧シリンダ41を伸ばしてバンパー本体10を前方に配置した位置が格納位置である。
本実施形態の荷役車両1では、バンパー装置50に格納検知手段55と、張出検知手段56が設けられている。格納検知手段55は、バンパー本体10が格納位置にあるか否かを先知するセンサーである。張出検知手段56は、バンパー本体10が、走行時位置にあるか否かを検知するセンサーである。
格納検知手段55及び張出検知手段56は、公知の近接センサーや光電センサー等である。格納検知手段55は、リミットスイッチ等の機械的なスイッチでもよい。
【0056】
本実施形態の荷役車両1は、車両運搬車であり、スライドボディ(荷台部)を車両上と地上に降ろして自動車等を載せ、この状態でスライドボディ(荷台部)を車両上に引き上げて搬送するものである。
荷役車両1は、図6の様に、車両部5と積載装置18を有している。積載装置18は、大きく分けてリフトフレーム30と、チルト機構31及びスライドボディ(荷台部)32によって構成されている。
また積載装置18には、制御装置6と、油圧装置7及びバンパー装置50が含まれている。また積載装置18にはリモートコントロール装置(以下 リモコンと称する)が含まれる。
車両部5は、公知のトラックの車体であり、エンジンを有し、車輪を回転させて道路上を走行するものである。
リフトフレーム30は、車両部5のサブフレーム33に設置されており、車両部5の後端側に設けられたピン(図示せず)を中心として揺動する。即ち図6図8の様に傾斜姿勢をとることができる。
またリフトフレーム30自体が車両部5に対して前後方向に移動する。
【0057】
チルト機構31は、シリンダー35及びリンク機構36によって構成され、前記したリフトフレーム30を傾斜姿勢にするためのものである。
【0058】
スライドボディ32は、前記したリフトフレーム30に対してスライド可能に取り付けられており、図示しないチェーン等が懸架されていてリフトフレーム30に沿って直線移動する。またスライドボディ32の後端には踏み板37が設けられている。
踏み板37はスライドボディ32の後端にあって起立姿勢と平置姿勢とに姿勢変更可能である。
【0059】
荷役車両1は、走行時においては、図7(a)の様にリフトフレーム30を水平姿勢にし、スライドボディ32は、リフトフレーム30上に引き上げられている。
車両を積み下ろしする場合には、図7(b)の様にバンパー本体10を格納位置に移動させる。
そして、図7(c)の様にリフトフレーム30を後方に移動させる。
続いて、シリンダー35を起動し、チルト機構31を動作させて、図8(d)の様にリフトフレーム30を傾斜させる。
続いてスライドボディ32を車両後方側に移動させ、図8(e)の様にスライドボディ32の後端を地面に着地させてスライドボディ32をずり下ろす。
そして、図8(f)の様にリフトフレーム30を最高角度まで上昇させ、引き続きスライドボディ32を車両後方側に移動させ、スライドボディ32を地上に降ろす。そして踏み板37を水平姿勢にし、車両を搬入又は搬出する。
【0060】
以上説明した実施形態では、フロント側連結リンク67を油圧シリンダー41で直線移動させたが、油圧シリンダー41をリア側連結リンク68側に設けてもよい。このとき、油圧シリンダー41を、バンパー本体10と略平行に設けることで、油圧シリンダー41をリンク機構部40の前後長さ内に納めることができ、バンパー装置50の全長が短くなる。
またフロント側連結リンク67とリア側連結リンク68側のいずれか一方を省略してもよい。
以上説明した実施形態では、フロントアーム60とフロントアーム61との角度が広がる様に揺動して、バンパー本体10を前方に移動させたが、フロントアーム60とフロントアーム61との角度が狭まる様に揺動しても、バンパー本体10は前方に移動する。
以上説明した実施形態では、荷役車両の一例として車両運搬車を示したが、本発明のバンパー装置が適用可能な荷役車両は、車両運搬車に限定されるものではなく、コンテナ運搬車やダンプトラック等の荷台部分が移動したり姿勢変更したりする車両に広く採用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 荷役車両
5 車両部
10 バンパー本体
18 積載装置
30 リフトフレーム
31 チルト機構
32 スライドボディ
41 油圧シリンダー
50 バンパー装置
51 バンパー移動機構
60、61 フロントアーム
65、55 リアアーム
67 フロント側連結リンク
68 リア側連結リンク
A、B、C、D、E 回動中心
a、b、c、d、e 回動中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9