IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京瓦斯株式会社の特許一覧

特許7544637現場業務支援装置、現場業務支援システム、及び現場業務支援プログラム
<>
  • 特許-現場業務支援装置、現場業務支援システム、及び現場業務支援プログラム 図1
  • 特許-現場業務支援装置、現場業務支援システム、及び現場業務支援プログラム 図2
  • 特許-現場業務支援装置、現場業務支援システム、及び現場業務支援プログラム 図3
  • 特許-現場業務支援装置、現場業務支援システム、及び現場業務支援プログラム 図4
  • 特許-現場業務支援装置、現場業務支援システム、及び現場業務支援プログラム 図5
  • 特許-現場業務支援装置、現場業務支援システム、及び現場業務支援プログラム 図6
  • 特許-現場業務支援装置、現場業務支援システム、及び現場業務支援プログラム 図7
  • 特許-現場業務支援装置、現場業務支援システム、及び現場業務支援プログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】現場業務支援装置、現場業務支援システム、及び現場業務支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20240827BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20240827BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06Q50/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021048746
(22)【出願日】2021-03-23
(65)【公開番号】P2022147489
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安中 俊貴
(72)【発明者】
【氏名】岡田 卓巳
(72)【発明者】
【氏名】浜田 重誠
(72)【発明者】
【氏名】早野 功己
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智也
(72)【発明者】
【氏名】和田 清
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-049910(JP,A)
【文献】特開2020-160700(JP,A)
【文献】特開2019-212014(JP,A)
【文献】特開2020-095009(JP,A)
【文献】特開2017-155563(JP,A)
【文献】特開2003-058588(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工により地中に設置された埋設物を撮影した複数の画像、及び前記埋設物が設置された位置の情報である位置情報を取得する取得部と、
前記撮影した画像を入力して、前記設置された埋設物に係る空間モデルを生成するモデル生成部と、
取得した前記画像から生成した前記空間モデルと、前記位置情報に対応する過去に生成した前記空間モデルと、の差異を検出する検出部と、
前記空間モデルに係る差異を提示する提示部と、
前記画像を入力して、前記埋設物の所属を含む属性を識別する識別部と、
管理者用の端末から埋設物の設置を予定する空間上の設置予定ルートを受け付ける受付部と、
を備え、
前記検出部は、前記受付部が受け付けた前記設置予定ルートと、当該設置予定ルートに対応する前記空間モデルとを照合し、当該設置予定ルートに異なる所属の埋設物が含まれるか否かを判定すると共に、当該設置予定ルートに前記異なる所属の埋設物が含まれる場合に、当該設置予定ルートと前記異なる所属の埋設物とが重複するか否かを判定し、
前記提示部は、前記設置予定ルートと、前記異なる所属の埋設物と、が重複する場合、前記異なる所属の埋設物と重複しないための、前記異なる所属の埋設物を回避した提案ルートを計算し、提示する、
現場業務支援装置。
【請求項2】
前記提示部は、前記位置情報を取得した場合、前記位置情報に対応する前記埋設物に係る前記空間モデルを提示する
請求項1に記載の現場業務支援装置。
【請求項3】
前記空間モデルは、学習済み生成モデルを用いて生成し、
前記学習済み生成モデルは、学習用の画像から検出される埋設物を表す三次元点群を生成して生成モデルに入力し、機械学習させることにより、二次元又は三次元の前記空間モデルを出力するように学習されている請求項1又は請求項2に記載の現場業務支援装置。
【請求項4】
前記属性は、学習済み属性識別モデルを用いて識別し、
前記学習済み属性識別モデルは、埋設物及び当該埋設物の所属を含む属性を学習用にラベル付けした複数の画像を属性識別モデルに入力し、機械学習させることにより、埋設物の属性を識別して出力するように学習されている請求項に記載の現場業務支援装置。
【請求項5】
前記提示部は、前記空間モデルに異なる所属の埋設物が存在する場合、前記異なる所属に係る埋設物が存在する旨の通知を行う
請求項に記載の現場業務支援装置。
【請求項6】
前記提示部は、前記検出部によって前記差異が検出された場合、差異がある旨を通知する
請求項1から請求項の何れか1項に記載の現場業務支援装置。
【請求項7】
前記画像を撮影するための撮影部を備えた撮影装置と、
請求項1から請求項の何れか1項に記載の現場業務支援装置と、
前記現場業務支援装置によって提示された前記空間モデルを表示する表示部を備えた表示装置と、
によって構成される現場業務支援システム。
【請求項8】
前記撮影装置は、前記撮影部を搭載した携帯端末、又は移動体である請求項に記載の現場業務支援システム。
【請求項9】
コンピュータに
施工により地中に設置された埋設物を撮影した複数の画像、及び前記埋設物が設置された位置の情報である位置情報を取得し、
前記撮影した画像を入力して、前記設置された埋設物に係る空間モデルを生成し、
取得した前記画像から生成した前記空間モデルと、前記位置情報に対応する過去に生成した空間モデルと、の差異を検出し、
前記空間モデルに係る差異を提示し、
前記画像を入力して、前記埋設物の所属を含む属性を識別し、
管理者用の端末から埋設物の設置を予定する空間上の設置予定ルートを受け付け、
前記検出する処理において、受け付けた前記設置予定ルートと、当該設置予定ルートに対応する前記空間モデルとを照合し、当該設置予定ルートに異なる所属の埋設物が含まれるか否かを判定すると共に、当該設置予定ルートに前記異なる所属の埋設物が含まれる場合に、当該設置予定ルートと前記異なる所属の埋設物とが重複するか否かを判定し、
前記提示する処理において、前記設置予定ルートと、前記異なる所属の埋設物と、が重複する場合、前記異なる所属の埋設物と重複しないための、前記異なる所属の埋設物を回避した提案ルートを計算し、提示する、
ことを実行させるための現場業務支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス導管工事の現場業務支援装置、現場業務支援システム、及び現場業務支援プログラムに関する。詳しくは、3D画像測量技術を活用して、自社の埋設物と共に他社の埋設物に係る3D画像を記録し、指定された位置に埋設されている自社及び他社の埋設物に係る3D画像を提示して、ガス導管工事における業務の支援を行う現場業務支援装置、及び現場業務支援プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガス導管工事において、工事を行う前に埋設されている導管を可視化して、ガス導管業務の支援を行う技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の従来技術では、位置情報に関連付けられている埋設物の3Dモデルを表示する技術について提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-102127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、現状のガス導管工事において、施工会社は他埋設物輻輳による調査試掘や設計変更協議に必要な計測、及び作図等の間接業務に長時間を要している。中でも、施工環境が厳しいエリア(都心部、及び幹線道路の交差点など)では、とりわけその傾向は顕著であり、状況によっては施工の中断を余儀なくされることがある。換言すると、施工を行う度に3D画像を更新するための計測、及び作図等を行い、位置情報に基づいて3D画像を更新する必要があるが、当該3D画像の更新には多くの時間を要することがある。
【0006】
そのため、特許文献1に記載の従来技術では、工事の完了を確認する作業の時間を軽減できるとは限らなかった。
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みて成されたものであり、空間画像を作成するための計測、及び作図等を行う業務の負担を軽減することができる現場業務支援装置、現場業務支援システム、及び現場業務支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の現場業務支援装置は、施工により地中に設置された埋設物を撮影した複数の画像、及び前記埋設物が設置された位置の情報である位置情報を取得する取得部と、前記撮影した画像を入力して、前記設置された埋設物に係る空間モデルを生成するモデル生成部と、取得した前記画像から生成した前記空間モデルと、前記位置情報に対応する過去に生成した前記空間モデルと、の差異を検出する検出部と、前記空間モデルに係る差異を提示する提示部とを含んで構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の現場業務支援装置、現場業務支援システム、及び現場業務支援プログラムによれば、空間画像を作成するための計測、及び作図等を行う業務の負担を軽減することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態の現場業務支援システムの構成を示す図である。
図2】現場業務支援装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】現場業務支援装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図4】埋設物の画像と、3Dモデルとを表すイメージを示す図である。
図5】生成された3Dモデルにおいて、自社の埋設物と、他企業の埋設物との2つの埋設物が検出された場合の一例を示す図である。
図6】設置予定ルートに他企業の埋設物が存在する場合の提案ルートの一例を示す図である。
図7】モデル生成検出処理の流れを示すフローチャートである。
図8】ルート判定処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0012】
本発明の実施形態の手法は、上記の従来技術に対し、取得した画像から3D画像を生成できる点が新しく、画像と共に取得した位置情報に基づいて取得した過去に生成された3D画像と、取得した画像から生成した3D画像と、の差異を提示できる点で大きく進歩している。
【0013】
以下、本発明の実施形態の手法を実現する現場業務支援システムについて、構成及び作用を説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態の現場業務支援システム1の構成を示す図である。図1に示されるように、本実施形態に係る現場業務支援システム1は、ユーザが操作を行う端末2Aと、ユーザが操作を行う携帯端末2Bと、現場業務支援装置10とによって構成される。以下では、現場業務支援装置10は、端末2A、又は携帯端末2Bから画像、及び位置情報を取得し、3Dモデルの生成、及び検収資料に必要な検収情報の抽出を行うサーバとして実現する場合の態様について説明する。
【0015】
端末2Aは、施工管理者が施工管理を行うためのPC等の端末である。施工管理者は、端末2Aを操作することにより、工事竣工図、及び管理システム等を利用する。また、端末2Aは、現場業務支援装置10から受け付けた3Dモデルの差異の提示、及び3Dモデルに関する各種通知等を表示する表示部(図示省略)を備える。なお、携帯端末2Bで撮影した動画、及び位置情報の送信を端末2Aが行ってもよい。
【0016】
携帯端末2Bは、現場担当者が保有し、施工により地中に設置された埋設物を撮影する端末である。携帯端末2Bは撮影部(図示省略)を搭載しており、撮影部により動画(複数の画像)を撮影することが可能である。本実施形態では、現場業務支援装置10は、埋設物を撮影した複数の画像と、埋設物が設置された位置の情報である位置情報とを携帯端末2Bから取得する。なお、画像、及び位置情報を取得する手段は携帯端末2Bに限られない。携帯端末2B以外の手段については後述する。
【0017】
現場業務支援装置10で実現される機能の該当について説明する。現場業務支援装置10は、取得した画像を用いて、3Dモデルを生成し、取得した位置情報と共に記憶する。また、現場業務支援装置10は、取得した位置情報から過去に生成した3Dモデルを取得し、画像から生成した3Dモデルと、過去に生成した3Dモデルと、を比較して差異を検出し、端末2A(又は携帯端末2B)に3Dモデルの差異を提示する。3Dモデルは、本発明の空間モデルの一例であり、2Dモデルとすることもできる。
【0018】
また、現場業務支援装置10は、画像から埋設物の所属を識別して、取得した位置情報、及び生成した3Dモデルと共に記憶する。現場業務支援装置10は、生成した3Dモデルについて、自企業の埋設物と、他企業の埋設物とを区別して、端末2A(又は携帯端末2B)に提示する。
【0019】
また、現場業務支援装置10は、位置情報と共に、埋設物を設置する予定の位置である設置情報を受け付けた場合、設置情報に係る埋設物の位置と、他企業の埋設物と、の位置が重複するか否かを判定する。現場業務支援装置10は、設置予定ルートに係る埋設物と、他企業の埋設物と、が重複する場合、重複しないように、埋設物の新たな提案ルートを提案する。
【0020】
次に、現場業務支援装置10のハードウェア構成について説明する。図2は、現場業務支援装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示すように、現場業務支援装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ストレージ14、入力部15、モニタ16及び通信インタフェース(I/F)17を有する。各構成は、バス18を介して相互に通信可能に接続されている。
【0021】
CPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12又はストレージ14からプログラムを読み出し、RAM13を作業領域としてプログラムを実行する。CPU11は、ROM12又はストレージ14に記憶されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM12又はストレージ14には、現場業務支援処理プログラムが格納されている。
【0022】
ROM12は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ14は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0023】
入力部15は、マウス等のポインティングデバイス、及びキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0024】
モニタ16は、例えば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。モニタ16は、タッチパネル方式を採用して、入力部15として機能してもよい。
【0025】
通信インタフェース17は、端末等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0026】
以上が、現場業務支援装置10のハードウェア構成である。
【0027】
次に、現場業務支援装置10の機能を実現するための機能的な構成について説明する。図3は、現場業務支援装置10の機能的な構成を示すブロック図である。図3に示すように、現場業務支援装置10は、学習部102と、取得部110と、モデル生成部112と、識別部114と、埋設物情報記憶部116と、検出部118と、提示部120と、受付部122とを含んで構成される。
【0028】
学習部102は、予め機械学習による生成モデルの学習、及び属性識別モデルの学習を行う。生成モデルは、埋設物を含む複数の画像を入力として3Dモデルを出力するように学習を行えばよい。生成モデルの学習は、所定の解析ソフトを用いて、学習用の画像から検出される埋設物を表す三次元点群を生成して生成モデルに入力し、機械学習させることにより、3Dモデルを出力するように学習させる。学習部102は、このようにして学習済み生成モデルを得る。また、属性識別モデルは、埋設物及び当該埋設物の所属を含む属性を学習用にラベル付けした複数の画像を属性識別モデルに入力し、機械学習させることにより、埋設物の属性を識別して出力するように学習を行えばよい。学習部102は、このようにして学習済み属性識別モデルを得る。
【0029】
属性識別モデルの学習に用いる属性としては、例えば、管の種別、使用材料、採掘幅、及び口径等が挙げられる。管の種別であれば、例えば、管に判別シールを貼付し、画像に写った判別シールにより識別することができる。判別シールは、例えば、水道であれば青、ガス管であれば緑等とする。また、判別シールによる管の種別は所属を表しており、自企業の管であるか他企業の管であるかを判別することができる。
【0030】
このほか、学習部102は、その時点で埋設物情報記憶部116に格納されているデータを用いて所定のタイミングで、学習済み生成モデル、及び学習済み属性識別モデルの再学習を行ってもよい。
【0031】
取得部110は、携帯端末2Bから、埋設物を撮影した複数の画像、及び埋設物が設置された位置の情報である位置情報(緯度、経度、及び高さ情報)を取得する。なお、携帯端末2Bにより、埋設物を撮影する際には、ものさし、又は基準点(官民境界等)を現場の埋設物付近に設置し、画像から長さ情報を読み取れるようにしてもよい。これにより、画像に長さの情報を持たせることができ、把握しやすい3Dモデルを生成することができる。
【0032】
モデル生成部112は、複数の画像の各々について、学習済み生成モデルに入力し、学習済み生成モデルからの出力により、埋設物に係る3Dモデルを生成する。画像の入力は、所定の解析ソフトを用いて、画像の各々について三次元点群を生成し、学習済み生成モデルに入力することにより行う。図4に埋設物の画像と、3Dモデルとを表すイメージを示す。埋設物の状況を3Dモデルで表すことにより、立体的な情報を取得し、360°で掘削溝内部を確認、距離の算出が可能となる。3Dモデルとしては、三次元空間上に一つ以上の埋設物が描画される。なお、図4に示した3Dモデルには、画像に含まれる埋設物の長さ情報が反映されている。
【0033】
識別部114は、学習済み属性識別モデルに複数の画像を入力して、埋設物の所属を含む属性を識別する。
【0034】
埋設物情報記憶部116には、これまでに生成された3Dモデルが格納される。3Dモデルには、複数の画像、各種の属性、長さ情報、位置情報、及び属性等のメタデータが対応付けられている。
【0035】
検出部118は、取得した画像から生成した3Dモデルと、当該3Dモデルの位置情報に対応する過去に生成したモデルと、の差異を検出する。差異は、3Dモデルの差分を比較して判定すればよい。差異がある場合には施工現場において工事が進行していると想定される。また、設計図とズレが生じている可能性も想定される。
【0036】
提示部120の処理は、モデル生成検出処理に対する3Dモデルの差異の提示と、受付部122で設置予定ルートを受け付けた場合のルート判定処理による提案ルートの提示とに分けられるため、それぞれ説明する。
【0037】
(モデル生成検出処理の提示)
提示部120は、3Dモデルに係る差異を、端末2Aに提示する。差異は、例えば、3Dモデル上に前後の状態をマッピングして、端末2Aに表示させる。これにより、端末2Aを操作する施工管理者は事前事後の杭測量を行い、設計図とのズレがないかを即座に確認することができる。また、設計図とのズレがある場合には、設計図を修正することができ、修正した設計図をもとに施工作業を指示することができる。
【0038】
本実施形態では、現場業務支援装置10は、条件を満たす3Dモデルについて、生成した3Dモデルに、当該3Dモデルの元となった複数の画像と、位置情報と、撮影日時と、属性とをメタデータとして対応付けて埋設物情報記憶部116に格納する。
【0039】
(ルート判定処理の提示)
受付部122は、端末2Aから、埋設物の設置を予定する位置に関する情報である設置予定ルートを受け付ける。設置予定ルートは、例えば、ユーザ(施工管理者等)によって入力された、設置する予定の埋設物の座標、及び管の情報(口径、管の種別、及び長さ)等によって導出された埋設物の設置位置を示す情報である。また、ユーザによって別途作成された、設置する予定の埋設物の2Dモデル、又は3Dモデル、及び設置する予定の埋設物の設計図から取得した埋設物の座標、及び管の情報であってもよい。
【0040】
検出部118は、受付部122が受け付けた設置予定ルートと、当該設置予定ルートに対応する3Dモデルとを照合する。照合により、設置予定ルートに対応する3Dモデルに他企業の埋設物が含まれるか否かを判定する。また、設置予定ルートと、他企業の埋設物と、が重複するか否かを判定する。
【0041】
提示部120は、3Dモデルに異なる所属、すなわち他企業の埋設物が存在する場合、他企業に係る埋設物が3Dモデルに存在する旨の通知を端末2Aに行う。図5は、生成された3Dモデルにおいて、自社の埋設物と、他企業の埋設物との2つの埋設物が検出された場合の一例を示す図である。このように提示部120は、他企業の埋設物が検出された場合には、隣接箇所について、通知することにより、自動的に“近接注意”などのアラートを、端末2Aに表示される工事竣工図、及び管理システム等に表示させることができる。
【0042】
提示部120は、設置予定ルートが他企業の埋設物と重複する場合に、他企業の埋設物と重複しないための、他企業の埋設物を回避した提案ルートを計算し、提案ルートを提示する。図6は、設置予定ルートに他企業の埋設物が存在する場合の提案ルートの一例を示す図である。図6に示すように、設置予定ルートと他企業の埋設物とが重複している場合に提案ルートを提示することで、施工管理者が、設置予定ルートが問題ないかを即座に確認することができる。
【0043】
次に、本発明の実施形態に係る現場業務支援装置10における作用について説明する。現場業務支援装置10の作用は、モデル生成検出処理と、ルート判定処理とがあるため、それぞれ説明する。以下に説明するフローチャートによる各処理は、CPU11が現場業務支援装置10の各部として処理を実行することにより実現される。
【0044】
図7は、モデル生成検出処理の流れを示すフローチャートである。CPU11がROM12又はストレージ14から現場業務支援処理プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより、モデル生成検出処理が行なわれる。なお、予め学習部102により学習済み生成モデル、及び学習済み属性識別モデルが得られているとする。
【0045】
ステップS100では、CPU11が、携帯端末2Bから、埋設物を撮影した複数の画像、及び埋設物が設置された位置の情報である位置情報を取得する。
【0046】
ステップS102では、CPU11が、複数の画像の各々について、三次元点群を生成する。
【0047】
ステップS104では、CPU11が、生成した三次元点群を学習済み生成モデルに入力し、学習済み生成モデルからの出力により、埋設物に係る3Dモデルを生成する。
【0048】
ステップS106では、CPU11が、学習済み属性識別モデルに複数の画像を入力して、埋設物の所属を含む属性を識別する。本ステップの識別により、3Dモデル内の埋没物の所属が自社であるか他企業であるかが識別される。
【0049】
ステップS108では、CPU11が、埋設物情報記憶部116から過去に生成した3Dモデルを取得する。
【0050】
ステップS110では、CPU11が、取得した複数の画像から生成した3Dモデルと、過去の3Dモデルとに差異があるか否かを判定する。差異があると判定した場合にはステップS112へ移行し、差異がないと判定した場合にはステップS116へ移行する。
【0051】
ステップS112では、CPU11が、3Dモデルに係る差異を、端末2Aに提示する。このとき、3Dモデルに異なる所属、すなわち他企業の埋設物が存在する場合、他企業に係る埋設物が存在する旨の通知を端末2Aに行う。
【0052】
ステップS114では、CPU11が、差異がある場合に、取得した複数の画像による3Dモデルを更新するか否かを判定する。更新する場合にはステップS116へ移行し、更新しない場合にはモデル生成検出処理を終了する。更新の判定は、閾値、又は端末2Aの操作を受け付けて行えばよい。
【0053】
ステップS116では、CPU11が、生成した3Dモデルに、当該3Dモデルの元となった複数の画像と、位置情報と、撮影日時と、属性とをメタデータとして対応付けて埋設物情報記憶部116に格納する。以上がモデル生成検出処理の説明である。
【0054】
図8は、ルート判定処理の流れを示すフローチャートである。CPU11がROM12又はストレージ14から現場業務支援処理プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより、ルート判定処理が行なわれる。
【0055】
ステップS200では、CPU11が、端末2Aから、埋設物の設置を予定する位置に関する情報である設置予定ルートを受け付ける。
【0056】
ステップS202では、CPU11が、受け付けた設置予定ルートの位置に対応する最新の3Dモデルを埋設物情報記憶部116から取得する。
【0057】
ステップS204では、CPU11が、取得した3Dモデルに他企業の埋設物が含まれるか否かを判定する。他企業の埋設物が含まれると判定した場合にはステップS206へ移行し、他企業の埋設物が含まれないと判定した場合には処理を終了する。
【0058】
ステップS206では、CPU11が、他企業に係る埋設物が存在する旨を端末2Aに通知する。
【0059】
ステップS208では、CPU11が、設置予定ルートと、他企業の埋設物と、が重複するか否かを判定する。重複すると判定した場合にはステップS210へ移行し、重複しないと判定した場合には処理を終了する。
【0060】
ステップS210では、CPU11が、他企業の埋設物と重複しないための、他企業の埋設物を回避した提案ルートを計算し、提案ルートを提示する。以上がルート判定処理の説明である。
【0061】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る現場業務支援システム1によれば、空間画像を作成するための計測、及び作図等を行う業務の負担を軽減することができる。
【0062】
また、施工前後の3Dモデルを生成するため、差異を確認することができる。また、差異が通知されるため、施工前後での差異を認識することができる。また、他企業の埋設物が存在する場合、他企業の埋設物が存在する旨が通知されるため、設置工事の際の注意を促すことができる。更に、ガス導管の設置位置と、他企業の埋設物の位置と、が重複する場合、新たな設置位置が提案されるため、設置位置の検討の負担を軽減できる。
【0063】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0064】
例えば、複数の画像は、携帯端末2B以外から取得してもよい。例えば、ドローン(図示省略)等の管の周囲を旋回可能な移動体によって、掘削溝内を撮影して複数の画像を取得してもよい。この場合に管周りのドローンの周回方法は、例えば、上面→側面→底部の順に管軸方向に飛行させることが想定される。また、ウェアラブルデバイス(スマートグラス等)のカメラで撮影した複数の画像を取得してもよい。また、竣工時に取得した作図データを3Dモデル化し、ウェアラブルデバイス上で現実空間に重畳させて、MR(Mixed Reality)により描画するようにしてもよい。また、工事監督にスマートグラスを装着させ、通知が必要なアラートが生じた場合には、即座に現場に反映させるようにすることもできる。
【0065】
例えば、日次ごとに、生成された3Dモデルをマッピング、出来高等を記録して管理してもよい。
【0066】
また、提案ルートを提示する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、他企業の埋設物についての移設要否を判定するようにしてもよい。
【0067】
また、例えば、提示された3Dモデルの差異を参照して、差異によって把握できる他埋設物の位置を設計図面に反映して、修正するようにしてもよい。また、生成された3Dモデルを用いて、他埋設物輻輳の現場などでの新設ルートの設定を行ってもよいし、口径を他埋設物の状況を判別し、現場監督では難しいルート選定を行ってもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 現場業務支援システム
2A 端末
2B 携帯端末
10 現場業務支援装置
102 学習部
110 取得部
112 モデル生成部
114 識別部
116 埋設物情報記憶部
118 検出部
120 提示部
122 受付部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8