IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ KBセーレン株式会社の特許一覧

特許7544650複軸押出混練装置および複軸押出混練方法
<>
  • 特許-複軸押出混練装置および複軸押出混練方法 図1
  • 特許-複軸押出混練装置および複軸押出混練方法 図2
  • 特許-複軸押出混練装置および複軸押出混練方法 図3
  • 特許-複軸押出混練装置および複軸押出混練方法 図4
  • 特許-複軸押出混練装置および複軸押出混練方法 図5
  • 特許-複軸押出混練装置および複軸押出混練方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】複軸押出混練装置および複軸押出混練方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 7/82 20060101AFI20240827BHJP
   B29B 7/48 20060101ALI20240827BHJP
   B29C 48/82 20190101ALI20240827BHJP
   B29C 48/40 20190101ALI20240827BHJP
【FI】
B29B7/82
B29B7/48
B29C48/82
B29C48/40
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021059511
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022156021
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】305037123
【氏名又は名称】KBセーレン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】弁理士法人クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 雅春
(72)【発明者】
【氏名】角谷 啓太
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-238920(JP,A)
【文献】特開平04-139202(JP,A)
【文献】特開2004-106402(JP,A)
【文献】登録実用新案第3066161(JP,U)
【文献】特開平11-322971(JP,A)
【文献】特公昭58-029735(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 7/82
B29B 7/48
B29C 48/82
B29C 48/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被混練物を混練する複軸押出混練部と、
前記複軸押出混練部のバレル温度をバレル冷却水循環装置および/または加熱装置により調整するバレル温度制御部と、を含み、
前記複軸押出混練部は、複数のバレルブロック部により前記被混練物の上流側から下流側への経路が形成され、
前記バレル温度制御部は、前記複数のバレルブロック部のうち1または複数に対して加熱および冷却を制御し、
前記バレル冷却水循環装置は、前記複数のバレルブロック毎に形成された配管から、熱交換器、リザーブタンク、循環ポンプ、ストレーナ、フィルタ、および電磁弁を介して前記配管に至る第1経路と、前記循環ポンプから前記ストレーナ、水流調節弁前記リザーブタンクを介して前記循環ポンプに至る第2経路と、を含み、
前記フィルタは、50μm以下の濾過精度である、複軸押出混練装置。
【請求項2】
前記複軸押出混練部のスクリューは、1または複数のニーディング部を有するセグメント構成からなる、請求項1記載の複軸押出混練装置。
【請求項3】
前記ニーディング部におけるバレルブロックが、前記複数のバレルブロック部のうち一部に相当し、前記ニーディング部以外のバレルブロックが、前記複数のバレルブロックの他の部分に相当する、請求項2記載の複軸押出混練装置。
【請求項4】
前記バレル冷却水循環装置において、初期または交換の場合に供給される冷却水は、5μS/cm以下の脱イオン水が用いられる、請求項1からのいずれか1項に記載の複軸押出混練装置。
【請求項5】
前記第1経路には、圧力計が設けられ、
前記圧力計は、少なくとも第1圧力計および第2圧力計を含み、
前記第1圧力計は、前記フィルタの上流に設けられ、
前記第2圧力計は、前記フィルタの下流側に設けられた、請求項1からのいずれか1項に記載の複軸押出混練装置。
【請求項6】
複数のバレルブロック部により被混練物の上流側から下流側への経路を形成して、前記被混練物を混練する複軸押出混練工程と、
前記複軸押出混練工程におけるバレル温度をバレル冷却水循環工程または加熱工程により調整するバレル温度制御工程と、を含み、
前記バレル温度制御工程は、前記複数のバレルブロック部のうち1または複数に対して加熱および冷却を制御し、
前記バレル冷却水循環工程は、前記複数のバレルブロック部毎に形成された配管内に循環ポンプ、ストレーナ、フィルタ、および電磁弁を介して供給し、熱交換器、リザーブタンクへと循環させる第1循環工程と、
前記循環ポンプからの冷却水を、前記ストレーナおよび水流調節弁を介して前記リザーブタンクへ循環させる第2循環工程と、を含み、
前記フィルタは、50μm以下の濾過精度である、複軸押出混練方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複軸押出混練装置および複軸押出混練方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチックのシートまたはフィルム等に対して、フィラーまたは顔料等を練り込む装置として少なくとも2本のスクリューを備えた複軸押出混練機が多く用いられている。
【0003】
複軸押出混練機は、少なくとも螺旋状の溝を持つ複数のスクリューと、バレルと言われるスクリューが収まるシリンダ部とスクリューとを回転させる機構を有する。そして、複軸押出混練機は、バレル部を加熱しプラスチックを可塑化して押出しを行ったり、樹脂にフィラーまたは顔料の複合化を行ったりする工程で広く用いられている。
【0004】
複軸押出混練機は、壁内部に冷却ジャケット(冷却水通路)を有するバレルと、このバレルのスクリュー収納部内に同方向もしくは異方向に回転可能な様に構成され、配設されたスクリューとを備え、スクリューを回転させることで樹脂などの材料を搬送しながら混合および/または混練し、押し出すようにしたものである。この複軸押出混練機の運転の際には、冷却水供給装置により、バレルの冷却ジャケットに冷却水を流すことにより、混練物温度を下げたり、バレル温度を下げたりするようにしている。
【0005】
複軸押出混練機の冷却水供給装置は、所定の一定量の冷却水を貯える冷却水タンク(リザーブタンクと称することもある)、冷却水タンクから冷却水を送給するための循環ポンプ、冷却水の温度を所定温度に下げるための熱交換器(クーラ)などを備え、冷却水タンクからの冷却水を、循環ポンプ、クーラなどを経てバレルの冷却ジャケットに供給し、該冷却ジャケットを経て冷却水タンクに戻すように循環させたりしている。
【0006】
特許文献1(特開平3-81129号公報)には、一対のブロックヒータのどちらか一方の昇温が早くなり、一対のブロックヒータの間温度差あっても安定した、冷却水の供給を可能とした冷却器付きヒータ装置について開示されている。
【0007】
特許文献1記載の冷却器付きヒータ装置は、押出機のバレルを所定の温度に制御する冷却器付きヒータ装置において、バレルを挟んでバレルを包囲するように固定された半円形の一対のヒータブロックと、ヒータブロック内に複数の逆U字形のパイプを並設した冷却器と、同じくヒータブロック内にあってU字形のシーズ線を並設したヒータと、冷却水供給装置からの配管を分岐し一対のヒータブロックの冷却器の両給水側との間に接続した固定絞り弁とによって構成したものである。
【0008】
特許文献2(特開2010-036557号公報)には、混練押出機のバレルの冷却ジャケットに供給される冷却水の溶存酸素量を低減させて、冷却ジャケット内周面の腐食を防止する混練押出機の冷却水供給方法について開示されている。
【0009】
特許文献2記載の混練押出機の冷却水供給方法は、冷却水タンクからの冷却水を混練押
出機のバレルの冷却ジャケットに供給し、かつ、該冷却ジャケットを経て当該冷却水タン
クに戻すように循環させ、その際、溶存酸素量が低減された冷却水を当該冷却ジャケット
に供給する混練押出機の冷却水供給方法であって、内部を大気と遮断する閉鎖容器として構成されている冷却水タンクに不活性ガスを供給すること、前記冷却水タンク内の冷却水に前記不活性ガスを接触させ、該冷却水中の溶存酸素を該不活性ガスに移行させることにより、前記冷却水タンク内の冷却水中の溶存酸素量を低減すること、前記冷却水タンクに設けられ、絞り部が設けられたガス放出管路で、前記冷却水中から分離された酸素を含む不活性ガスを前記冷却水タンク内の水面上の空間からタンク外部に放出し、かつ、前記絞り部によってタンク外部から大気が侵入することを防ぐこと、を含むものである。
【0010】
特許文献3(特開平10-337768号公報)には、プラスチック溶融シリンダにおいて、ジャケット等のクラックの発生をともなわず、設備コスト又は運用コストを低廉にする冷却系の実現を目指すプラスチック溶融シリンダの冷却方法について開示されている。
【0011】
特許文献3記載のプラスチック溶融シリンダの冷却方法は、プラスチック溶融シリンダの冷却媒体として霧状化した水又は油と空気との混合物をプラスチック溶融シリンダの媒体経路に流通し、該プラスチック溶融シリンダを冷却するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開平3-81129号公報
【文献】特開2010-036557号公報
【文献】特開平10-337768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1記載の技術においては、Y型ストレーナが記載されている。一般的なY型ストレーナは、ステンレスメッシュを用いて、0.1mm以上数mm以下のような大きな異物を取り除くものである。そのため、流路が閉塞した場合には、部材を交換する必要があった。
また、例え0.1mm程度の錆び粒子であっても電磁弁に挟まった場合、完全に弁を閉止することが出来ず、循環冷却水がバレルへ流れ込み、水の大きな潜熱による冷却効果によりバレルの温度が低下する問題がある。
この場合、バレル温度の低下を補う様にバレル温度制御が働き、バレルに付属しているヒータ装置が100%の出力で加熱したとしても温度低下を抑えることは出来ないか、または非常に大きな温度変動を伴い、いずれにしても、実質的に樹脂加工が不安定な状態になる。
【0014】
また、特許文献2記載の技術は、通常の工業用水に不活性ガスをバブリングすることで溶存酸素を少なくした冷却水を用いるものである。バレルブロック中で気化しても酸化による錆びの発生を抑制できると記載しているが、通常の工業用水には鉄分を含む色々な金属塩等が溶け込んでおり、錆び発生に対しても効果としては不十分なものであり、結果として、実質的に樹脂加工が不安定な状態になる。
【0015】
さらに、特許文献3記載の技術は、冷却媒体として霧状にした水または油を使用すること、さらに水であれば純水またはイオン交換水が好ましいと主張している。しかしながら、水を霧状にした場合、容積当たりの潜熱は非常に小さいものとなり冷却効果が小さいという問題がある。さらに油を霧状にして用いた場合には潜熱が無い、もしくは潜熱が小さいものにしか期待できず、かつ場合によってはバレルの熱により油分が劣化し、タール状となり管路の閉塞を生じる問題が残る。
【0016】
本発明の目的は、上記のような問題点を解決し、フィルタを交換するのみで、安定して5年、10年レベルでの長期機械運転および安定した被混練物を形成することができる複軸押出混練装置および複軸押出混練方法を提供することである。
本発明の他の目的は、錆びの発生を防止し、電磁弁の不動または固着を防止し、配管内における閉塞を抑止し、フィルタを交換するのみで、安定して5年、10年レベルでの長期機械運転および安定した被混練物を形成することができる複軸押出混練装置および複軸押出混練方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(1)
一局面に従う複軸押出混練装置は、被混練物を混練する複軸押出混練部と、複軸押出混練部のバレル温度をバレル冷却水循環装置および/または加熱装置により調整するバレル温度制御部と、を含み、複軸押出混練部は、複数のバレルブロック部により被混練物の上流側から下流側への経路が形成され、バレル温度制御部は、複数のバレルブロック部のうち1または複数に対して加熱および冷却を制御し、バレル冷却水循環装置は、複数のバレルブロック毎に形成された配管から、熱交換器、リザーブタンク、循環ポンプ、フィルタおよび電磁弁の第1経路と、循環ポンプ、水流調節弁およびリザーブタンクの第2経路と、を含むものである。
【0018】
この場合、複軸押出混練部におけるバレルブロックが、複数のバレルブロック部で形成されているため、被混練物の上流側から下流側まで、適切なバレル温度に調整することができる。また、電磁弁の弁体に付着する可能性のある異物をフィルタにより除去することができる。さらに、循環ポンプから吐出された循環水の一部を第2経路である水流調節弁を経由してリザーブタンクへバイパスさせることにより循環ポンプの負荷を下げることが可能となる。
また、循環ポンプの下流側にフィルタを配置することで、フィルタによる圧力損失の影響を低減することができる。その結果、複軸押出混練装置は、フィルタを交換するのみで、安定して5年、10年レベルでの長期機械運転および安定した被混練物を形成することができる。
【0019】
(2)
第2の発明にかかる複軸押出混練装置は、一局面に従う複軸押出混練装置において複軸押出混練部のスクリューは、1または複数のニーディング部を有するセグメント構成からなってもよい。
【0020】
この場合、複軸押出混練装置は、1または複数のニーディング部を有するので、1または複数のニーディング部近傍において、被混練物に強い剪断力が加わることにより発熱が生じやすい。しかしながら、本発明における複軸押出混練装置は、複数のバレルブロック部を有するので、個々に温度調整を行うことができるため、当該発熱する1または複数の―ディング部に対応するバレルブロック部を冷却することができる。
【0021】
(3)
第3の発明にかかる複軸押出混練装置は、一局面および第2の発明にかかる複軸押出混練装置において、ニーディング部におけるバレルブロックが、複数のバレルブロック部のうち一部に相当し、ニーディング部以外のバレルブロックが、複数のバレルブロックの他の部分に相当してもよい。
【0022】
この場合、ニーディング部近傍において、被混練物に強い剪断力が加わることにより発熱が生じやすい部分の複数のバレルブロック部の一部のみの温度調整を行ない、複数のバレルブロック部の他の部分について制御を行わないことができるので、温度制御を最低限に抑制することができる。
【0023】
(4)
第4の発明にかかる複軸押出混練装置は、一局面から第3の発明にかかる複軸押出混練装置において、バレル冷却水循環装置のフィルタは、50μm以下の濾過精度であってもよい。
【0024】
この場合、電磁弁の弁体に付着する異物をフィルタにより除去することができるため、複軸押出混練装置の連続運転を安定して行うことができる。
【0025】
(5)
第5の発明にかかる複軸押出混練装置は、一局面から第4の発明にかかる複軸押出混練装置において、バレル冷却水循環装置において、初期または交換の場合に供給される冷却水は、5μS/cm以下の脱イオン水が用いられてもよい。
【0026】
この場合、初期または交換の場合に供給される冷却水は、5μS/cm以下の脱イオン水が用いられるので、配管における析出を抑制することができる。また、特に、バレル冷却水循環装置において当初に投入される冷却水が、5μS/cm以下の脱イオン水であれば、連続運転において5μS/cm以上に徐々に変化したとしても、配管における析出を5年、10年単位で抑制することができる。
【0027】
(6)
第6の発明にかかる複軸押出混練装置は、一局面から第5の発明にかかる複軸押出混練装置において、第1経路には、圧力計が設けられ、圧力計は、少なくとも第1圧力計および第2圧力計を含み、第1圧力計は、フィルタの上流に設けられ、第2圧力計は、フィルタの下流側に設けられてもよい。
【0028】
この場合、第1圧力計および第2圧力計の圧力差によりフィルタの目詰まりを判定することができ、フィルタの交換時期を容易に認識することができる。
【0029】
(7)
さらに他の局面に係る複軸押出混練方法は、複数のバレルブロック部により被混練物の上流側から下流側への経路を形成して、被混練物を混練する複軸押出混練工程と、複軸押出混練工程におけるバレル温度をバレル冷却水循環工程または加熱工程により調整するバレル温度制御工程と、を含み、バレル温度制御工程は、複数のバレルブロック部のうち1または複数に対して加熱および冷却を制御し、バレル冷却水循環工程は、複数のバレルブロック部毎に形成された配管内に循環ポンプおよびフィルタ、電磁弁を介して供給し、熱交換器、リザーブタンクへと循環させる第1循環工程と、循環ポンプからの冷却水を、水流調節弁を介してリザーブタンクへ循環させる第2循環工程と、を含む。
【0030】
この場合、複軸押出混練部におけるバレルブロックが、複数のバレルブロック部で形成されているため、被混練物の上流側から下流側まで、適切なバレル温度に調整することができる。また、電磁弁の弁体に付着する可能性のある異物をフィルタにより除去することができる。さらに、水流調節弁を用いて、第1循環工程の流量に対し、第2循環工程でのバイパス量とのバランス調整を行うことで、循環ポンプの負荷を抑制することができる。
すなわち、水流調節弁を用いて、循環ポンプからの吐出水をリザーブタンクへバイパスさせることで、バレル冷却水循環工程での電磁弁が全閉の時間が長く続いた場合でも、循環ポンプの高負荷運転を防止することができる。また、循環ポンプの下流側にフィルタを配置することで、フィルタによる圧力損失の影響を低減することができる。その結果、複軸押出混練装置は、フィルタを交換するのみで、安定して5年、10年レベルでの長期機械運転および安定した被混練物を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本実施の形態にかかる複軸押出混練装置の一例を示す模式図である。
図2】複軸押出混練機の一例を示す模式図である。
図3】本実施の形態にかかる複数のバレルブロック部と複軸押出混練装置におけるバレル温度制御機との関係の一例を示す模式図である。
図4】温度制御部の制御フローの一例を示す図である。
図5】本実施の形態にかかる複数のバレルブロック部と複軸押出混練装置におけるバレル温度制御機との関係の他の例を示す模式図である。
図6】本実施の形態にかかる複軸押出混練装置の他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付す。また、同符号の場合には、それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さないものとする。
【0033】
(実施形態)
図1は、本実施の形態にかかる複軸押出混練装置100の一例を示す模式図であり、図2は、複軸押出混練機200の一例を示す一部拡大模式図である。また、図3は、本実施の形態にかかる複数のバレルブロック部230a,~,230iと複軸押出混練装置100におけるバレル温度制御機300との関係の一例を示す模式図である。
また、図4は、温度制御部500の制御フローの一例を示す図であり、図5は、本実施の形態にかかる複数のバレルブロック部と複軸押出混練装置100におけるバレル温度制御機300との関係の他の例を示す模式図であり、更に図6は、本実施の形態にかかる複軸押出混練装置100の他の例を示す模式図である。
【0034】
(複軸押出混練装置100)
図1に示すように、複軸押出混練装置100は、主に複軸押出混練機200、バレル温度制御機300を含む。
【0035】
(複軸押出混練機200)
図1および図2に示すように、本実施の形態に係る複軸押出混練機200は、駆動装置210、2本のスクリュー220、複数のバレルブロック部230a,~,230i、当該複数のバレルブロック部毎に接続された配管P230a,~,P230i、当該複数のバレルブロック部毎に接続されたバレル加熱装置H230a,~,H230i、配管P230a,~,P230i、電磁弁240a,~,240i、ニードルバルブ250a,~,250i、集水マニホールド260、および給水マニホールド270を含む。
【0036】
なお、複軸押出混練機200においては、2本のスクリュー220を具備した二軸押出混練機を図示した。なお、本発明に係る複軸押出混練機200は、スクリュー220が2本であることに限定されず、3本、4本、6本、等任意の本数を並列配置または円周上に配置された多軸の押出混練機である。
【0037】
(スクリュー220)
図2に示すように、複軸押出混練機200のスクリュー220には、ニーディング部221が設けられている。ニーディング部221は、被混練物の可塑化または複合化のための分散効率または分配効率を高めるために、スクリューの螺旋溝の一部に摺り合せ部分を設けたり、部分的に逆ねじ方向のらせん溝部分を設けたりするものである。
これらのニーディング部221またはニーディング部221近傍では、被混練物に強い剪断力が加わることにより発熱が生じて、被混練物の温度が上昇する。
また、スクリュー220は、並列に駆動装置210に接続されて、スクリュー220の軸周りに回転可能に設けられている。
なお、本実施の形態においては、2個のニーディング部221を設ける場合について説明を行ったが、これに限定されず、1個またはn個(nは整数)設けても良い。更に切欠け付き逆ねじ螺旋溝を有するセグメント(ミキシングセグメント)をニーディング部の下流側に配することで分配効率を更に高めても良く、切欠け部を樹脂が通過する際の剪断流ないしは伸長流の発生により、ニーディング部に引き続き発熱が生じる。
【0038】
(複数のバレルブロック部230a,~,230i)
次に、複数のバレルブロック部230a,~,230iは、複数のスクリュー220により混練される被混練物の上流側から下流側への経路を形成している。
また、図3に示すように、複数のバレルブロック部230a,~,230iのそれぞれの内部に、配管P230a,~,P230iが複数のバレルブロック部230a,~,230iの当該経路の周囲をそれぞれ周回するように設けられている。なお、図3においては、1周回するよう図示しているが、これに限定されず、2周回、3周回、他の任意の回数を周回させてもよい。また、スクリュー経路部を避けた位置でバレル内を直線的に貫通する形で、かつ複数の貫通経路を交差する状態に作製し、必要に応じてバレル外側から交差部までの部分をプラグ封止することで経路を作製しても良い。
【0039】
本実施の形態にかかる複数のバレルブロック部230a,~,230iは、一般的に100℃から350℃程度の範囲内における温度設定を行っている。例えば6ナイロン樹脂の場合には一般的に250℃前後の設定を行い、PET樹脂では一般的に280℃前後の設定を行っている。そのため、プラスチック等の混練物の剪断発熱により、複数のバレルブロック部230a,~,230iの温度が設定温度以上になった場合、上記の配管P230a,~,P230iに通水されて制御される。当該制御については、後述する。
【0040】
通水された冷却水は、上述の様な複数のバレルブロック部230a,~,230iの熱により直ちに気化し、その大きな潜熱で複数のバレルブロック部230a,~,230iの温度を下げる働きをする。この場合、通水される冷却水に各種金属等がイオンとして溶け込んでいると、配管P230a,~,P230iの壁面に塩として析出が生じ、配管P230a,~,P230iの内壁面に堆積が生じる現象が生じたり、または冷却水に何らかの溶解物が含まれていると同様に析出してスケールとなり、配管P230a,~,P230iの閉塞が生じたりする。
【0041】
また、本実施の形態における複数のバレルブロック部230a,~,230iにおいて、スクリュー220が挿入される部分は、耐摩耗性および/または耐腐食性の高い特殊鋼材をスリーブとして挿入する、または表面を硬化処理されている。
しかし、複数のバレルブロック部230a,~,230iにおいて、スクリュー220が挿入されない部分は、一般的な鋼材が用いられていることが多く、配管P230a,~,P230i部分の表面には冷却水または、それらが気化した蒸気により腐食が生じる。
そして、腐食することによる錆びが、徐々に生じる。錆びが発生し、冷却水中に錆びの粒子が混入し錆びの粒子が、電磁弁240a,~,240iの閉止面に挟まれた場合、微量の冷却水が複数のバレルブロック部230a,~,230i側に流れ込み続けることにより、温度制御が効かなくなる現象が発生する。本実施の形態においては、当該現象を防止するために、後述するフィルタ340を設ける。
【0042】
(バレル加熱装置H230a,~,H230i)
また、図3に示すように、複数のバレルブロック部230a,~,230iの周壁には、それぞれバレル加熱装置H230a,~,H230iが設けられている。バレル加熱装置H230a,~,H230iは、バレル温度制御機300からの制御信号に従ってON(加熱)-OFF(非加熱)を行うものである。
【0043】
(給水マニホールド270)
続いて、図2に示すように、給水マニホールド270から複数のバレルブロック部230a,~,230iへの間の配管P230a,~,P230iには、ニードルバルブ250a,~,250iおよび電磁弁240a,~,240iがそれぞれ設けられる。
【0044】
(ニードルバルブ250a,~,250i)
なお、本実施の形態においては、図2に示すようにニードルバルブ250a,~,250iを用いることとしているが、これに限定されず、グローブバルブまたはバタフライバルブの様な中間開度で用いることの出来るバルブであれば、その他、任意のバルブまたは水流調節弁などを用いてもよい。本実施の形態においては、特にグローブバルブの中でも流量の微調整が行いやすいニードルバルブを用いた。なお、本実施の形態において、ニードルバルブ250aを設けることとしているが、原料投入口に該当する混練の最上流部には、ニードルバルブ250aを設けても、設けなくてもよい。
【0045】
(電磁弁240a,~,240i)
本実施の形態にかかる電磁弁240a,~,240iは、バレル温度制御機300からの制御信号に従って、ON(全開)-OFF(全閉)を行うものである。
なお、電磁弁240a,~,240iは、制御信号が無い状態で常時閉(ノーマルクローズ、通電開)タイプでも、常時開(ノーマルオープン、通電閉)タイプであってもよい。すなわち、制御信号でON(全開)もしくはOFF(全閉)を達成出来る構造であれば、どのような形式であっても何ら問題は無い。なお、本実施の形態において、電磁弁240aを設けることとしているが、混練の最上流部には、電磁弁240aを設けても、設けなくてもよい。すなわち、原料投入口となる混練の最上流部は、常に冷却水を循環させてもよい。
【0046】
(集水マニホールド260)
図1および図2に示すように、複数のバレルブロック部230a,~,230iの配管P230a,~,P230iの下流側には、集水マニホールド260が配置されている。
【0047】
(バレル温度制御機300)
次に、バレル温度制御機300について説明を行う。図1図2および図3に示すように、バレル温度制御機300は、リザーブタンク310,循環ポンプ320、ストレーナ330、フィルタ340、熱交換器350、流量調整バルブ360、温度計測部370a,~,370i、圧力計380、配管P300および1または複数のバレルブロック部230a,~,230iに対する温度制御部500を含む。
また、温度制御部500は、図3に示すように、温度計測部370a,~,370iからの温度情報を受けて、電磁弁240a,~,240i、ニードルバルブ250a,~,250i、バレル加熱装置H230a,~,H230iの制御を行うものである。
本実施の形態においては、リザーブタンク310、循環ポンプ320、ストレーナ330、フィルタ340、配管P230a,~,P230iおよび熱交換器350の経路を第1経路(第1循環工程)と呼び、リザーブタンク310、循環ポンプ320、流量調整バルブ360、熱交換器350の経路を第2経路(第2循環工程)と呼ぶ。
【0048】
なお、本実施の形態においては、ニードルバルブ250a,~,250i、バレル加熱装置H230a,~,H230iおよび配管P230a,~,P230iを複軸押出混練機200側に含まれるよう説明を行ったが、バレル温度制御機300側に含まれるように配設してもよい。
【0049】
なお、温度制御部500の詳細の制御方法については、後述する。また、本実施の形態において、温度計測部370a,~,370iは、熱電対または測温抵抗体であることが好ましい。
【0050】
(リザーブタンク310、配管P300および配管P230a,~,P230iの材料)
本実施の形態におけるリザーブタンク310、配管P300および配管P230a,~,P230iの材料(素材)としては、錆などの腐食を考慮して、真鍮材料または/およびステンレス材料で作製されていることが望ましい。なお、本実施の形態においては、リザーブタンク材や直線配管部分、エルボーなどの接手はステンレス材料を用い、電磁弁からバレルの給水側接続口およびバレルの排水側接続口から集水マニホールド間は、銅管を曲げ加工して用いた。
また、本実施の形態においてリザーブタンク310の容量は、20リットル以上50リットル以下でもよく、30リットル以上40リットル以下でもよい。また、リザーブタンク310内の冷却水は、80度以下であることが多く、40度以上60度以下の範囲内で維持されることが好ましい。
また、リザーブタンク310には、タンク内の圧力を逃がすための通気パイプを設置しても良く、さらに通気パイプには、別途フィルタを具備させ埃、またはごみ、さらには、小虫等の侵入を防いでも良い。
更にリザーブタンク310には、循環水の温度を表示する温度計が装置されていたり、液面計等をリザーブタンク310に設備したりすることで使い勝手が更に良くなる。
【0051】
(循環ポンプ320)
本実施の形態にかかる循環ポンプ320は、渦巻ポンプ(カスケードポンプ)を用いた。コストまたは/および長期信頼性等の観点から渦巻ポンプ(カスケードポンプ)を用いることが望ましい。
なお、循環ポンプ320は、水流を付与できるものであれば特に限定はされず用いることができ、具体的には、軸流ポンプ、ピストン(プランジャー)ポンプ、ギヤーポンプなどであってもよい。
【0052】
(フィルタ340)
フィルタ340としては、ステンレス製または/および樹脂製のハウジング部と実際にフィルトレーションを行うフィルタカートリッジからなる。
本実施の形態にかかるフィルタカートリッジとしては、糸巻き(ワインド)フィルタまたはプリーツフィルタ、不織布フィルタ、スポンジフィルタなどを用いることができる。
本実施の形態にかかるフィルタ340は、フィルタカートリッジとして糸巻き(ワインド)フィルタ用いた。
本実施の形態においては、特許文献1のY型ストレーナのようなものではない。一般的にY型ストレーナは、内部にあるミリメートル単位のパンチングメタル、または、目開きが数mm以上のステンレスメッシュが一般的である。すなわち、大きな異物を取り除くためのものである。
【0053】
一方、本実施の形態におけるフィルタカートリッジの濾過精度については、50μm以下であることが必要であり、20μm以下であることがより好ましい。これは、例え0.1mm程度の錆び粒の様な粒子であっても電磁弁240a,~,240iに挟まった場合、完全に止水弁または弁体を閉止することが出来ず、冷却水が複数のバレルブロック部230a,~,230iへ流れ込み、冷却水の大きな潜熱による冷却効果により複数のバレルブロック部230a,~,230iの温度が低下するという問題が生じる。
【0054】
複数のバレルブロック部230a,~,230i温度の低下を補うために、温度制御部500が動作し、その複数のバレルブロック部230a,~,230iに付属しているバレル加熱装置H230a,~,H230iが100%の出力で加熱したとしても温度低下を抑えることは困難であるか、非常に大きな温度変動を伴い、実質的に樹脂加工が不安定な状態になるという問題が生じ得る。
このように、濾過精度が50μmを超える場合には、微粒子を捕えることが不十分であり、フィルタ340を通過してしまった微粒子が、電磁弁240a,~,240iの止水面または弁体に挟まって不具合を起こすことがある。濾過精度の下限に関しては、特に限定はされないが、濾過精度が小さ過ぎる場合には、目詰まりが早く生じてメンテナンス回数が増えたり、供給圧力を高く設定する必要が生じ循環ポンプ320への負荷が大きくなったりする。
【0055】
また、バレル温度制御機300の経路内におけるフィルタ340の配置場所については特に限定されるものではないが、フィルタ340の素材の耐熱性および濾過圧力を保つことが可能な経路の位置として、循環ポンプ320の出口以降が好ましい。なお、循環ポンプ320の下流近くにフィルタ340を設けることで、フィルタ340による圧力損失を抑制することができる。
さらに、本実施の形態においては、濾過流量を大きくし効率的な濾過を行うことができる位置として、熱交換器350、リザーブタンク310、循環ポンプ320の出口からストレーナ330および圧力計380への第1経路の下流側であり、かつ第2経路における循環ポンプ320の負荷を無くすためにフィルタの圧力損失が加わらない部分が最適であるため、図1の位置に配置した。
【0056】
(熱交換器350)
本実施の形態にかかる熱交換器350は、外界からの汚染を考慮して、プレート式またはシェルアンドチューブ式等の密閉式を用いた。
また、熱交換器350自体の冷却媒体としては、空気等の気体でも、水などの液体でも、利用することができる。特に、熱容量が大きい水を冷却水として好ましく用いてもよい。さらに、この冷却媒体は、飲料水または工業用水をワンウェイで使ってもよく、クーリングタワー等と組み合わせた循環冷却水を用いてもよい。
【0057】
(流量調整バルブ360)
本実施の形態においては、流量調整バルブ360を用いて、第1経路と第2経路とを流れる冷却水の循環量を調整している。電磁弁240の多くが閉じてバレルへの通水量全体が減じている状態では、第2経路を通るバイパス量を小さくすると循環ポンプからの吐出水量が減ると同時に圧力が高くなり、循環ポンプを駆動している電動モーターのトルクが高くなる。そのため、流量調整バルブ360を開にして、リザーブタンク310、循環ポンプ320、ストレーナ330、流量調整バルブ360および熱交換器350の第2経路において、冷却水を循環させることが肝要である。更に長時間に渡り電動モーターを高トルク状態で運転すると、最悪モーターが焼き付く原因となる。
なお、流量調整バルブ360は、細かい流量調整を行う必要性が高くないことを考慮して、安価なゲートバルブを用いた。なお、ゲートバルブに限定されず、グローブバルブ、ボールバルブなどの任意のバルブを用いてもよい。なお、本実施の形態においては、最初のバレル温度昇温時(基本的に電磁弁が全閉の状態)に、圧力計380の圧力が0.4MPaを超えない様に流量調整バルブ360の調整を行った。
【0058】
(バレル温度制御機300における冷却水)
バレル温度制御機300に最初に供給する水またはメンテナンスの交換の場合に供給する水については、異物微小粒子または塩類の溶解が無い脱イオン水である事が肝要である。具体的には、塩類が溶解していない目安として電気伝導度が5μS/cm以下である事が必要であり、より好ましくは2μS/cm以下である。
また、長期使用によりバレル冷却水循環装置を循環する水量が低下した際にも、同様に電気伝導度が5μS/cm以下、より好ましくは2μS/cm以下の脱イオン水を追加供給することも可能である。微小粒子除去に対しては、イオン交換する前の原水を20μm以下のフィルタで濾過処理を行ったり、より好ましくはRO(逆浸透)膜処理を行った原水を脱イオン処理したりして用いる。電気伝導度が5μS/cmを超える水を用いるとバレル冷却時に塩の発生、さらには錆びの発生を誘発しやすくなるからである。
【0059】
(バレル温度制御機300)
次いで、複軸押出混練装置100におけるバレル温度制御機300の動作について説明を行う。
まず図4に示すように、初期動作として、温度制御部500は、循環ポンプ320をON(動作)させる(ステップS1)。その結果、リザーブタンク310に貯水された冷却水が、循環ポンプ320により、配管P300、ストレーナ330、流量調整バルブ360、熱交換器350からなる第2経路を経由して循環される。
【0060】
次に、温度制御部500は、複数のバレルブロック部230a,~,230i毎に設けられた温度計測部370a,~,370iで測定された温度を取得(ステップS2)し、各複数のバレルブロック部230a,~,230iの温度と設定された目標温度とを比較し、温度制御部500は、比較した偏差に応じて演算を行う(ステップS3)。
【0061】
温度制御部500は、演算結果に応じて、設定温度よりも低い場合(ステップS3のCOLD)には、該当する複数のバレルブロック部230a,~,230iに設けられたバレル加熱装置H230a,~,H230iのうち該当する部分をオン(ON:加熱)する(ステップS4)。
温度制御部500は、ステップS4の処理の後、ステップS2に戻り処理を繰り返す。
【0062】
また、温度制御部500は、演算結果に応じて、設定温度と同じ場合(ステップS3のNONE)には、温度制御部500は、ステップS2に戻り処理を繰り返す。
また、温度制御部500は、演算結果に応じて、設定温度よりも高い場合(ステップS3のHOT)には、温度制御部500は、該当する複数のバレルブロック部230a,~,230iに設けられた電磁弁240a,~,240iおよびニードルバルブ250a,~,250iのうち該当する部分をオン(ON:通過許可、開)する(ステップS5)。
その結果、第2経路を循環していた冷却水が第1経路側に流入される。
温度制御部500は、ステップS5の処理を実施した後、ステップS2に戻り処理を繰り返す。
【0063】
その結果、冷却水が、給水マニホールド270からニードルバルブ250a,~,250iおよび電磁弁240a,~,240iの該当する部分を通過し、複数のバレルブロック部230a,~,230iの配管P230a,~,P230iを流れて、複数のバレルブロック部230a,~,230iの温度制御を行うことができる。
【0064】
また、本実施の形態にかかる温度制御部500における制御としては、PID制御を用いた。なお、PID制御に限定されず、ON-OFF制御等を用いても良い。また、本実施の形態においては、1の温度制御部500が、複数のバレルブロック部230a,~,230iを制御することとしているが、これに限定されず、図5に示すように、複数の温度制御部500a,~,500を設けて、1の温度制御部500が複数のバレルブロック部230a,~,230iのうちいずれか1つと、1対1で設けられても良い。


【0065】
なお、電磁弁240a,~,240iが全て閉止された場合、循環させるべく冷却水の流量が極僅かとなり、循環ポンプ320に非常に大きな負荷がかかるという問題が生じるため、本実施の形態にかかる複軸押出混練装置100においては、冷却水を直接リザーブタンク310に還流させる第2経路を設けている。
また、図1と異なる方法で、当該第2経路を、流量調整バルブ360の下流側から、熱交換器350を介さずに、直接リザーブタンク310へ戻す構成を採用してもよい。
【0066】
(第1圧力計380aおよび第2圧力計380b)
図6に示すように、図1の圧力計380の代わりに、第1圧力計380aおよび第2圧力計380bを設けても良い。
この場合、第1圧力計380aおよび第2圧力計380bの圧力差が大きい場合には、フィルタ340の目詰まりが考えられるため、容易にメンテナンスを実施することができる。
【0067】
なお、本実施の形態にかかる複軸押出混練機200の被混練物の一部は、ガラス繊維、色顔料、無機粉末であり、複軸押出混練機200を用いて被混練物の他部である樹脂に練り込むものである。
【0068】
以上のように、本発明に係る複軸押出混練装置100においては、複軸押出混練機200が複数のバレルブロック部230a,~,230iで形成されているため、被混練物の上流側から下流側まで、適切なバレル温度に調整することができる。また、電磁弁240a,~,240iの弁体に付着する異物をフィルタ340により除去することができる。さらに、リザーブタンク310内の冷却水が少ない場合でも、流量調整バルブ360を用いて、第2経路に冷却水を循環させるので、通常稼働している循環ポンプ320の負荷を抑制することができる。その結果、複軸押出混練装置100は、フィルタ340を交換するのみで、安定して5年、10年レベルでの長期機械運転および安定した被混練物を形成することができる。
【0069】
本発明に係る複軸押出混練機200が「複軸押出混練部」に相当し、温度制御部500が「バレル温度制御部」に相当し、複数のバレルブロック部230a,~,230iが「複数のバレルブロック部」に相当し、循環ポンプ320が「循環ポンプ」に相当し、熱交換器350が「熱交換器」に相当し、リザーブタンク310が「リザーブタンク」に相当し、ストレーナ330が「ストレーナ」に相当し、流量調整バルブ360が「水流調節弁」に相当し、フィルタ340が「フィルタ」に相当し、圧力計380が「圧力計」に相当し、電磁弁240a,~,240iが「電磁弁」に相当し、配管P230a,~,P230iが「複数のバレルブロック毎に形成された配管」に相当し、複軸押出混練装置100が「複軸押出混練装置」に相当し、スクリュー220が「スクリュー」に相当し、ニーディング部221が「ニーディング部」に相当し、冷却水が「冷却水」に相当する。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することが可能なものである。
【符号の説明】
【0071】
100 複軸押出混練装置
200 複軸押出混練機
220 スクリュー
230a,~,230i 複数のバレルブロック部
221 ニーディング部
240a,~,240i 電磁弁
310 リザーブタンク
320 循環ポンプ
330 ストレーナ
340 フィルタ
350 熱交換器
360 流量調整バルブ
380 圧力計
380a 第1圧力計
380b 第2圧力計
500 温度制御部
P230a,~,P230i 配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6