(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】発泡剤として官能化微粒子重炭酸塩を含む発泡性架橋性ポリマー組成物及びそれから架橋発泡ポリマーを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
C08J 9/08 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
C08J9/08 CES
(21)【出願番号】P 2021520186
(86)(22)【出願日】2019-10-15
(86)【国際出願番号】 EP2019077904
(87)【国際公開番号】W WO2020078963
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-09-15
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591001248
【氏名又は名称】ソルヴェイ(ソシエテ アノニム)
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ゴファン, アンヌ-リーズ
(72)【発明者】
【氏名】ガラスコ, アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ブーランジェ, ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】ロペス ゴンザレス, エドゥアルド
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス ペレス, ミゲル アンヘル
(72)【発明者】
【氏名】サイス アロヨ, クリスティナ
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/015506(WO,A1)
【文献】特表2017-510695(JP,A)
【文献】国際公開第2014/141759(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡性ポリマー組成物であって:
- ポリオレフィン(PO)、ポリオレフィンエラストマー(POE)、ポリオレフィンブロックコポリマー(OBC)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、EVA/POコポリマー、EVA/OBCコポリマー、及びこれらの組み合わせから、例えば好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレン/α-オレフィンブロックコポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される架橋性ポリマー、
- 過酸化物架橋剤、
- 官能化微粒子重炭酸塩を含む化学発泡剤であって、前記官能化微粒子重炭酸塩がアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、及び/又はネオアビエチン酸、
当該酸の任意のエステル、
当該酸の任意の塩、又はそれらの任意の組み合わせを含むロジン酸又はその誘導体を含む添加剤を含有する化学発泡剤、
を含有する、発泡性ポリマー組成物。
【請求項2】
前記官能化微粒子重炭酸塩中の前記添加剤が、アビエチン酸及び/又はジヒドロアビエチン酸、
当該酸の任意のエステル、
当該酸の任意
の塩、又は
それらの任
意の組み合わせを含む、請求項1に記載の発泡性ポリマー組成物。
【請求項3】
前記官能化微粒子重炭酸塩からステアリン酸又はステアリン酸塩が除外される、請求項1又は2に記載の発泡性ポリマー組成物。
【請求項4】
前記官能化微粒子重炭酸塩が、加熱時にCO
2を遊離させる第2の添加剤をさらに含み、CO
2を遊離させる前記第2の添加剤が、好ましくは、
- フマル酸、
- 酒石酸、
- クエン酸、クエン酸塩(クエン酸水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウムなど)、若しくはクエン酸のエステル;又はそれらの組み合わせ
の少なくとも1つである、請求項1~3のいずれか一項に記載の発泡性ポリマー組成物。
【請求項5】
前記化学発泡剤が発熱性発泡剤を含まないか、前記化学発泡剤が加熱中に窒素又はアンモニアガスを遊離する化合物を含まない、請求項1~4のいずれか一項に記載の発泡性ポリマー組成物。
【請求項6】
前記化学発泡剤が、ADCA(アゾジカルボンアミド)、OBSH(4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド))、DNPT(ジニトロソペンタメチレンテトラミン)、PTSS(p-トルエンセミカルバジド)、BSH(ベンゼン-4-スルホノヒドラジド)、及びTSH(トルエン-4-スルホノヒドラジド)、5-PT(5-フェニルテトラゾール)からなる群から好ましくは選択される発熱性発泡剤をさらに含み、より好ましくはADCAを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の発泡性ポリマー組成物。
【請求項7】
前記官能化微粒子重炭酸塩が、少なくとも65重量%且つ100重量%未満の当該重炭酸塩成分と、35重量%以下から0.02重量%までの前記添加剤の少なくとも1種とを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の発泡性ポリマー組成物。
【請求項8】
前記官能化微粒子重炭酸塩が、重炭酸塩粒子を前記添加剤と共に粉砕、押出、及び/又はスプレーコーティングすることによって、好ましくは重炭酸塩粒子を前記添加剤と共に粉砕及び/又は押出を行うことによって、並びに任意選択的にはその後このようにして得られた官能化微粒子重炭酸塩を粉砕してその平均粒子サイズを小さくすることによって得られる、請求項1~7のいずれか一項に記載の発泡性ポリマー組成物。
【請求項9】
亜鉛を含むADCA分解開始剤などの発泡剤活性化剤が除外され、好ましくはZnOが除外される、請求項1~8のいずれか一項に記載の発泡性ポリマー組成物。
【請求項10】
前記官能化微粒子重炭酸塩がシリカをさらに含み、好ましくはアモルファスシリカを含み、より好ましくはアモルファス沈降シリカを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の発泡性ポリマー組成物。
【請求項11】
前記過酸化物架橋剤が有機過酸化物である、請求項1~10のいずれか一項に記載の発泡性ポリマー組成物。
【請求項12】
1.5重量%~6重量%の前記官能化微粒子重炭酸塩を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の発泡性ポリマー組成物。
【請求項13】
前記官能化微粒子重炭酸塩又は前記官能化微粒子重炭酸塩を含む前記化学発泡剤から、クエン酸、そのエステル、又はその塩(クエン酸塩など)が除外される、請求項1~3及び5~12のいずれか一項に記載の発泡性ポリマー組成物。
【請求項14】
好ましくは発泡架橋ポリマーが、EVA、架橋ポリオレフィン(XLPO)、架橋ポリオレフィンブロックコポリマー(OBC)、EVA/POコポリマー、及びEVA/OBCコポリマーからなる群から選択され、より好ましくは、EVA、架橋ポリオレフィン(XLPO)、及び架橋EVA/POコポリマーからなる群から選択される、発泡架橋ポリマーの製造方法であって、
- 官能化微粒子重炭酸塩を含有する請求項1~13のいずれか一項に記載の発泡性ポリマー組成物を、CO
2ガスを遊離させるのに適した温度でモールド内で加熱し、前記架橋性ポリマーを、前記過酸化物架橋剤を用いて4分~10分、好ましくは4~7分の所定の時間溶融及び架橋して、架橋ポリマーを形成することであって、
好ましくは前記温度が、前記架橋性ポリマーのガラス転移温度Tg以上及び/又は溶融温度Tm以上であること;
- 前記モールドを開けて前記架橋ポリマーを膨張させて発泡架橋ポリマーを形成することであって、
好ましくは、前記官能化微粒子重炭酸塩を含有する前記発泡性ポリマー組成物を用いる前記所定の時間が、同じポリマー、同じ架橋化合物を含むが発泡ポリマーを得るためのZnOなどのADCA分解開始剤を含むADCAを含有する発泡性ポリマー組成物を用いた時間よりも短いこと;
を含む方法。
【請求項15】
- 加熱前の前記発泡性ポリマー組成物を低温粉砕又はカレンダー加工することであって、
前記発泡性ポリマー組成物の前記加熱が、約180℃~190℃の温度で、4分~10分の所定の時間、前記発泡ポリマー性組成物を射出成形用のモールドに注入する前に射出成形機の炉内で又は圧縮成形用のモールド内で行われ、
前記モールドを開けると前記架橋ポリマーが膨張すること、
をさらに含み、
- 前記発泡架橋ポリマーを、好ましくは冷却装置又は冷却方法を利用せずに室温まで冷却すること、
をさらに含む、請求項14に記載の発泡架橋ポリマーの製造方法。
【請求項16】
EVA、架橋ポリオレフィン(XLPO)、架橋ポリオレフィンブロックコポリマー(OBC)、EVA/POコポリマー、及びEVA/OBCコポリマーからなる群から選択され、好ましくは、EVA、架橋ポリオレフィン(XLPO)、及び架橋EVA/POコポリマーからなる群から選択される、請求項14又は15に記載の方法によって得られる発泡架橋ポリマー。
【請求項17】
靴や靴底などの履物用途、又は自動車用途のための、請求項16に記載の発泡架橋ポリマーの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月15日出願の欧州特許出願公開第18200470.5号に基づく優先権を主張するものであり、この出願の全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦支援研究又は開発に関する陳述
該当なし。
【0003】
本発明は、エチレン/酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリオレフィン、オレフィンブロックコポリマー、又はこれらの組み合わせなどの架橋性ポリマーと、官能化微粒子重炭酸塩とを含有する発泡性ポリマー組成物、並びにそのような発泡性ポリマー組成物を使用する架橋発泡ポリマーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0004】
ポリマーフォームは、我々の近代世界において実質的にどこでも見いだされ、ファストフードの使い捨てパッケージング、家具のクッション材及び絶縁材料などの多種多様の用途に使用されている。
【0005】
ポリマーフォームは、フォームを形成するために一緒に混合された固相と気相とで構成されている。2つの相を速やかに組み合わせることによって、発泡と、クローズドセル構造かオープンセル構造かのいずれかとして知られる、気泡かガストンネルかのいずれかがその中に組み込まれたポリマーマトリックスの形成とをもたらす。クローズドセルフォームは一般により硬質であり、一方、オープンセルフォームは通常柔軟性がある。
【0006】
フォームで使用されるガスは、発泡剤と称され、化学発泡剤か物理発泡剤かのいずれかであってもよい。化学発泡剤は、プロセスにおいて反応に関与するか又は分解し、ガスを放つ化学物質である。物理発泡剤は、発泡プロセスにおいて化学的に反応せず、それ故マトリックスを形成するポリマーに不活性であるガスである。
【0007】
ポリ塩化ビニル(PVC)又はポリオレフィン(PO、PE、PP)、スチレン系樹脂(PS、ABS、ASA、SAN)並びに天然ゴム及びニトリルブタジエンゴム(NBR)又はクロロプレンゴム(CR)などの合成ゴムなどの、熱可塑性材料の加工のために、化学発泡剤が数十年間使用されている。化学発泡剤は、発泡熱可塑性ポリマーの製造における添加剤である。化学発泡剤は、室温で安定であるが、ポリマーの加工中の高温でガスを発生しながら分解する。このガスは、フォーム構造を熱可塑性ポリマーに生み出す。化学発泡剤は、発泡壁紙、人造皮革、床及び壁被覆材、カーペット裏地、断熱材、絶縁シーラント、履物、自動車構成部品、ケーブル絶縁材、及び包装材料の製造などの多種多様の用途に使用されている。
【0008】
確立された発泡剤は、アゾジカルボン酸ジアミド(アゾジカルボンアミド、ADC、ADCA、CAS No.123-77-3)、スルホンヒドラジド 4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH、CAS No.80-51-3)及びp-トルエンスルホニルヒドラジド(TSH、CAS No.1576-35-8)などの発熱性発泡剤と、重炭酸ナトリウム(SBC、NaHCO3、CAS No.144-55-8)のような、炭酸塩並びにクエン酸及びそのエステルなどの吸熱性発泡剤とである。
【0009】
数年来、アゾジカルボンアミド(ADCA)は、セル状熱可塑性樹脂及びゴム用途に使用するための最も効果的な、且つ、広く使用される化学発泡剤の1つである(例えば独国特許AS1037700号明細書を参照されたい)。アゾジカルボンアミドは、加熱時に分解して、窒素及び一酸化炭素から主としてなる、大容積のガスを与える。これらの分解生成物は、収縮の少ない微細な及び一様なセル構造化フォームを生み出すために好適であり、その特性は、ソフトフォーム又はゴムフォームの製造において基本的である。アゾジカルボンアミドの分解温度は、好適な活性化剤(分解開始剤)の添加によって200~220℃から125℃ほどに低くまで下げることができるが、有用な分解速度は、通常、140℃以上で達成されるにすぎない。活性化剤つまり分解開始剤は、発泡剤の分解温度及びガス放出の速度に影響を及ぼすために使用される、当該技術分野で公知の添加剤である。
【0010】
プラスチックにおける発泡剤としてのアゾジカルボンアミドは、食品と直接接触することを意図されるプラスチック物品の製造に対して、欧州連合では2005年8月以降禁止されている(発泡剤としてのアゾジカルボンアミドの使用の一時停止に関する指令2002/72/ECを改正する2004年1月6日の委員会指令(COMMISSION DIRECTIVE 2004/1/EC of 6 January 2004 amending Directive 2002/72/EC as regards the suspension of the use of azodicarbonamide as blowing agent”.Official Journal of the European Union.2004-01-13))。
【0011】
特にエチレン/酢酸ビニルコポリマー(EVA)や架橋ポリオレフィン(XLPO)などの発泡熱可塑性架橋ポリマーにおける利用では、同じ有益な性能を有するADCAの代替品が必要とされている。
【0012】
最も頻繁に使用される発泡剤、ADCAが、例えばポリマー調合物におけるそのような添加剤の安全な及び持続可能な使用に関する高い懸念のために課題にますます直面しつつある場合に、ADCAの好適な代替品を見いだすことへの要求は増加すると予期されるであろう。いずれにせよ、規制がそれほど厳しくない地域について、コスト効率の高い、環境に優しい発泡剤代替品でのADCAの部分又は完全置換は、最終使用者の持続可能性戦略のための手段を提供するであろうし、懸念の高いものと見なされるそのような物質を段階的に廃止する全体的な流れと合致する。
【0013】
可能な代替解決策は、スルホニルヒドラジド及び炭酸塩のクラスによって提供されるが、これらの物質は、発泡剤として使用される場合に、とりわけ可塑化、軟質PVCでの用途向けに使用される場合に幾つかの不利点を示す。
【0014】
p-トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)は、硬質の及び可塑化されたPVCの加工にとって低すぎると考えられる、約105℃の温度で分解し始める。4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)もまた、分解時に窒素を放出するが、ガス発生特性は、アゾジカルボンアミドのそれと異なる。OBSHの分解点よりも上の温度で、窒素放出は速いが、アゾジカルボンアミドと比べて異なる温度で起こる。約155℃の絶対製品分解温度よりも下では、分解、したがってガス放出は遅い。さらにOBSHは、分解生成物及び生成する発泡最終物品が、180℃よりも高い典型的な加工温度で意図しない茶色っぽい変色を有するという欠点を有する。
【0015】
重炭酸ナトリウムなどの炭酸塩は、分解時に窒素を遊離させないが、二酸化炭素及び場合により水を遊離させる。ポリマーへのその高い溶解性は二酸化炭素に典型的であるが、これは窒素よりも迅速にポリマーマトリックスから抜け出し、そのためこれは発泡剤としてあまり効率的ではない。炭酸塩は、一般に、収縮の少ない微細な及び一様なセル構造のソフトフォームの製造にとって有用ではない。重炭酸ナトリウム、化学発泡剤として使用される炭酸塩の最も一般的な代表物は、ADCA及びOBSHの両方と比較して、より幅広い温度範囲にわたって起こる、遅い分解及びガスの放出を有することで知られている。重炭酸ナトリウムの分解温度は、クエン酸によって影響を受け得る。
【0016】
重炭酸ナトリウム粒子及び重炭酸カリウム粒子などのアルカリ金属重炭酸塩粒子は、当技術分野で公知である。これらの製品は、それらを興味深いものとする数多くの特性を有し、医薬産業、飼料及び食品産業などの、幾つかの技術分野において、洗剤において、並びに非鉄金属の処理において広く使用されている。
【0017】
重炭酸塩粒子を製造するための最も一般的な方法は、対応するアルカリ金属(例えば炭酸ナトリウム若しくは炭酸カリウム)の溶液又は対応するアルカリ金属の水酸化物の溶液の二酸化炭素での炭素化による結晶化である。重炭酸塩溶液の制御された冷却によって、又はそのような溶液の溶媒を蒸発させることによって、重炭酸塩を結晶化させることもまた一般的である。
【0018】
非アゾジカルボンアミド発泡剤は、発泡架橋ポリマー用の優れた発泡剤の期待される要件プロファイルを満たしていないため、この点に関して改善が必要とされる。
【発明の概要】
【0019】
本発明の一態様は、架橋性ポリマーと、架橋剤と、官能化微粒子重炭酸塩を含む化学発泡剤とを含有する発泡性ポリマー組成物であって、特に発泡EVAや架橋ポリオレフィンなどの発泡架橋ポリマー材料の調製のために非アゾジカルボンアミド発泡剤として有利に使用することができる発泡性ポリマー組成物を提供する。
【0020】
発泡性ポリマー組成物は、好ましくは熱膨張性である。
【0021】
発泡性ポリマー組成物中の架橋剤は、好ましくは架橋作用を有する過酸化物系化合物を含む。架橋作用を有する過酸化物系化合物は、好ましくは有機過酸化物である。架橋作用を有する過酸化物系化合物は、ジクミルペルオキシド又はビス(tert-ブチルジオキシイソプロピル)ベンゼンから選択することができる。
【0022】
具体的には、発泡性ポリマー組成物は:
- ポリオレフィン(PO)、ポリオレフィンエラストマー(POE)、ポリオレフィンブロックコポリマー(OBC)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、EVA/POコポリマー、EVA/OBCコポリマー、及びこれらの組み合わせから、例えば好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレン/α-オレフィンブロックコポリマー、及びこれらの組み合わせなどからなる群から選択される架橋性ポリマー、
- 過酸化物系架橋剤、
- 官能化微粒子重炭酸塩を含む化学発泡剤であって、前記官能化微粒子重炭酸塩が少なくとも1種の脂肪酸、ロジン酸、これらの任意の誘導体、これらの任意の塩、又はこれらの組み合わせを含む添加剤を含有する化学発泡剤、
を含有する。
【0023】
官能化微粒子重炭酸塩中の添加剤は、ロジン酸又はその誘導体を含んでいてもよく、或いはこれから構成されていてもよく、前記ロジン酸又はその誘導体は、アビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、及び/又はネオアビエチン酸、脂肪酸(リノール酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノレン酸、及び/又はステアリン酸など)、任意のこれらの誘導体(任意のエステル、それらの任意の塩、又はそれらの任意の組み合わせなど)を含み、好ましくは、アビエチン酸及び/又はジヒドロアビエチン酸、リノール酸、任意のそれらの誘導体、任意のそれらの塩、又は任意のそれらの組み合わせを含むロジン酸又はその誘導体を含む。
【0024】
官能化微粒子重炭酸塩中の添加剤は、脂肪酸、ロジン酸、それらの任意の誘導体、それらの塩、又はそれらの任意の組み合わせを含むか又はそれらから構成されていてもよい。
【0025】
官能化微粒子重炭酸塩中の添加剤は、
- アビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、及び/又はネオアビエチン酸、任意のエステル、それらの任意の塩、又はそれらの任意の組み合わせを含み、好ましくは、アビエチン酸及び/又はジヒドロアビエチン酸、任意のエステル、それらの任意の塩、又はそれらの任意の組み合わせを含むロジン酸又は任意のその誘導体を含んでいてもよく、或いはこれらから構成されていてもよい。
【0026】
官能化微粒子重炭酸塩中のロジン酸添加剤は、好ましくは、アビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ロジン酸エステル、又はそれらの混合物を含み、より好ましくは、アビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、又はそれらの混合物を含む。
【0027】
官能化微粒子重炭酸塩中の添加剤が脂肪酸を含むか又はこれからなる場合、脂肪酸は、リノール酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノレン酸、アラキドン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択することができ;好ましくは、リノール酸、オレイン酸、ラウリン酸、任意のエステルなどのそれらの任意の誘導体、それらの任意の塩、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される脂肪酸から選択することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩中の添加剤からはステアリン酸又はステアリン酸塩が除外され得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩中の添加剤は、ステアリン酸以外の脂肪酸を含み得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩中の添加剤は、ステアリン酸塩以外の脂肪酸塩を含み得る。
【0031】
官能化微粒子重炭酸塩中の添加剤は、不飽和脂肪酸を含んでいてもよく、或いは不飽和脂肪酸から構成されていてもよい。
【0032】
好ましい実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩中の添加剤は、好ましくは以下のものを含むか、本質的にこれからなる:
- アビエチン酸及び/又はジヒドロアビエチン酸を含むロジン酸又は任意のその誘導体、
- リノール酸、その任意の誘導体、その任意の塩、又は
- それらの任意の組み合わせ。
【0033】
官能化微粒子重炭酸塩は、加熱時にCO2を遊離する第2の添加剤をさらに含んでいてもよく、前記第2のCO2-遊離化合物は、好ましくは、以下のうちの少なくとも1つである:
- フマル酸、
- 酒石酸、
- クエン酸、クエン酸塩(クエン酸水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウムなど)、若しくはクエン酸のエステル;又はそれらの組み合わせ。
【0034】
いくつかの実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩中の添加剤からは、クエン酸又はクエン酸塩が除外され得る。
【0035】
好ましい実施形態では、化学発泡剤は、発熱性発泡剤を含まないか、化学発泡剤は、加熱中に窒素又はアンモニアガスを遊離する化合物を含まない。
【0036】
代わりの実施形態において、化学発泡剤は、好ましくは、ADCA(アゾジカルボンアミド)、OBSH(4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド))、DNPT(ジニトロソペンタメチレンテトラミン)、PTSS(p-トルエンセミカルバジド)、BSH(ベンゼン-4-スルホノヒドラジド)、及びTSH(トルエン-4-スルホノヒドラジド)、5-PT(5-フェニルテトラゾール)からなる群から選択される発熱性発泡剤をさらに含み、より好ましくはADCAを含む。
【0037】
官能化微粒子重炭酸塩は、少なくとも50重量%及び100重量%未満の重炭酸塩成分と、50重量%~0.02重量%の前記添加剤の少なくとも1種とを含んでもよい。
【0038】
官能化微粒子重炭酸塩は、少なくとも65重量%及び100重量%未満の重炭酸塩成分と、35重量%~0.02重量%の前記添加剤の少なくとも1種とを含んでもよい。
【0039】
官能化微粒子重炭酸塩は、少なくとも75重量%及び100重量%未満の重炭酸塩成分と、25重量%~0.02重量%の前記添加剤の少なくとも1種とを含んでもよい。好ましい実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩は、少なくとも90重量%及び100重量%未満の重炭酸塩成分と、10重量%~0.02重量%の前記添加剤の少なくとも1種とを含んでいてもよい。
【0040】
好ましい実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩は、重炭酸塩粒子を添加剤と共に粉砕、押出、及び/又はスプレーコーティングすることによって、好ましくは重炭酸塩粒子を添加剤と共に粉砕及び/又は押出を行うことによって、並びに任意選択的にはその後このようにして得られた官能化微粒子重炭酸塩を粉砕してその平均粒子サイズを小さくすることによって得られる。
【0041】
好ましい実施形態では、発泡性ポリマーからは、亜鉛を含むADCA分解開始剤などの発熱性発泡剤活性化剤が除外され、好ましくはZnOが除外される。好ましい実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩はシリカをさらに含み、好ましくはアモルファスシリカを含み、より好ましくはアモルファス沈降シリカを含む。
【0042】
好ましい実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩は、少なくとも145℃、好ましくは少なくとも150℃のTGA(熱重量分析)最大減少温度又はDSC(示差走査熱量測定)最大ピーク温度によって特徴付けられる。
【0043】
好ましい実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩は、非官能化微粒子重炭酸塩よりも少なくとも5℃高い、好ましくは少なくとも10℃高いTGA最大減少温度又はDSC最大ピーク温度によって特徴付けられる。
【0044】
好ましい実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩は、非官能化微粒子重炭酸ナトリウムとクエン酸又はクエン酸塩との混合物よりも少なくとも5℃高い、好ましくは少なくとも10℃高いTGA最大減少温度又はDSC最大ピーク温度によって特徴付けられる。
【0045】
好ましい実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩は、熱重量分析(TGA)又は示差走査熱量測定(DSC)分析における単一の分解ピークによって特徴付けることができる。
【0046】
本明細書で使用されるTGA最大重量減少温度とは、試料重量が分解される温度である。DSCの最大ピーク温度は、相転移の最大速度を表す。
【0047】
好ましい実施形態では、官能化重炭酸ナトリウムは、アゾジカルボンアミド(ADCA)よりも低い活性化温度を有する。官能化重炭酸ナトリウムの活性化温度は、好ましくはTGA又はDSC分析によって決定される。これにより、特定の条件下で、加熱温度の低下又はサイクル時間の改善(例えば減少)を可能にすることができる。
【0048】
別の実施形態では、官能化重炭酸ナトリウムは、非官能化重炭酸ナトリウムとクエン酸又はクエン酸塩との混合物よりも高い活性化温度を有する。
【0049】
発泡性ポリマー組成物中の過酸化物系架橋剤は、有機過酸化物、好ましくはジクミルペルオキシド、又はビス(tert-ブチルジオキシイソプロピル)ベンゼンである。
【0050】
好ましい実施形態では、発泡性ポリマー組成物は、1.5重量%~6重量%の官能化微粒子重炭酸塩を含有する。
【0051】
本発明の別の態様は、架橋性ポリマーを発泡させるための化学発泡剤としての、官能化微粒子重炭酸塩を含有する発泡性ポリマー組成物の使用に関する。
【0052】
本発明の1つの利点は、EVA又はXLPOなどの架橋性ポリマーの発泡のための、ADCA又は他の既存の発泡剤に代わる、実施が容易でコスト競争力のある代替品を提供することである。
【0053】
本発明のさらに別の利点は、CO2を放出する官能化微粒子重炭酸塩によってアンモニアを放出するADCA発泡剤が置き換えられることによる、危険な化学物質への曝露に関する労働者の安全条件の改善である。
【0054】
本発明のさらに別の利点は、発泡剤としてのADCAの使用の削減又は段階的廃止を提供する、今後の規制に先んじた環境に優しい解決策を提供することである。
【0055】
別の態様は、好ましくは発泡架橋ポリマーが、EVA、POE、架橋ポリオレフィン(XLPO)、架橋ポリオレフィンブロックコポリマー(OBC)、EVA/POコポリマー、及びEVA/OBCコポリマーからなる群から選択される、より好ましくは、EVA、架橋ポリオレフィン(XLPO)、及び架橋EVA/POコポリマーからなる群から選択される、発泡架橋ポリマーの製造方法であって、
この方法は、
- 官能化微粒子重炭酸塩を含有する請求項1~12のいずれか一項に記載の発泡性ポリマー組成物を、CO2ガスを遊離させるのに適した温度でモールド内で加熱し、架橋性ポリマーを、前記過酸化物系架橋剤を用いて4分~10分、好ましくは4~7分の所定の時間溶融及び架橋して、架橋ポリマーを形成することであって、
好ましくは前記温度が、架橋性ポリマーのガラス転移温度Tg以上及び/又は溶融温度Tm以上であること;
- モールドを開けて架橋ポリマーを膨張させて発泡架橋ポリマーを形成することであって、
官能化重炭酸塩を含有する前記発泡性ポリマー組成物を用いる前記所定の時間が、同じポリマー、同じ架橋化合物を含むが発泡ポリマーを得るためのZnOなどのADCA分解開始剤を含むADCAを含有する発泡性ポリマー組成物を用いた時間よりも短いこと;
を含む方法に関する。
【0056】
方法は、
- 加熱前の発泡性ポリマー組成物を低温粉砕又はカレンダー加工すること、
をさらに含むことができ、
発泡性ポリマー組成物の前記加熱は、約180℃~190℃の温度で、4分~10分、好ましくは4~7分の所定の時間、前記発泡性組成物を射出成形用のモールドに注入する前に射出成形機の炉内で又は圧縮成形用のモールド内で行われ、
前記加熱の後、モールドを開けると架橋ポリマーが膨張する。
【0057】
方法は、
- 発泡架橋ポリマーを、好ましくは冷却装置又は冷却方法を利用せずに室温まで冷却すること、
をさらに含み得る。
【0058】
一実施形態は、そのような方法によって得られる発泡架橋ポリマーに関し、発泡架橋ポリマーは、EVA、架橋ポリオレフィン(XLPO)、架橋ポリオレフィンブロックコポリマー(OBC)、EVA/POコポリマー、及びEVA/OBCコポリマーからなる群から選択され、好ましくはEVA、架橋ポリオレフィン(XLPO)、及び架橋EVA/POコポリマーからなる群から選択される。
【0059】
本発明の具体的な実施形態は以下の通りである。
【0060】
発泡性ポリマー組成物中の官能化微粒子重炭酸塩は、好ましくは、少なくとも1種の添加剤で官能化された微粒子重炭酸ナトリウムである。この官能化微粒子重炭酸ナトリウムは、同等サイズの非官能化微粒子重炭酸ナトリウムと比べると膨張の改善された特性を示す。「非官能化微粒子重炭酸ナトリウム」は、官能化微粒子重炭酸ナトリウムの製造において使用される添加剤なしで製造された微粒子重炭酸ナトリウムと定義される。発泡性ポリマー組成物中の官能化微粒子重炭酸ナトリウムは、ポリマーのガラス転移温度Tgよりも上の及び/又は溶融温度Tmよりも上の温度での発泡時間を低減し得る。
【0061】
ポリマーの発泡中に、非官能化重炭酸ナトリウムの粒子が発泡剤として使用される場合、重炭酸塩の速い分解のために、ガス放出が予期されるよりも早く起こることが観察された。特有の添加剤でのコーティングによる、造粒による、及び/又はカプセル化による重炭酸塩粒子の官能化は、小さい(いくつかはナノサイズであってもよい)及び大きい(いくつかはナノサイズであってもよい)、様々な重炭酸塩粒径を有する場合に、熱分解を遅らせる、不活性バリアでの重炭酸塩粒子の保護を高めることが分かった。
【0062】
官能化微粒子重炭酸塩は、架橋性ポリマーを発泡させて架橋発泡ポリマー、例えばEVA及び架橋ポリオレフィンを形成するのに適した発泡性ポリマー組成物中の化学発泡剤として機能する。
【0063】
好ましい実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩を含む化学発泡剤は吸熱性である。
【0064】
好ましい実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩を含む化学発泡剤は、発熱性の発泡剤を含まない。
【0065】
好ましい実施形態において、官能化微粒子重炭酸塩を含む化学発泡剤は、発泡ポリマーがそのような化学発泡剤を使用して製造される場合に加熱中に窒素ガス及び/又はアンモニアを遊離させることになる発泡剤を含有しない。
【0066】
好ましい実施形態では、化学発泡剤は、官能化微粒子重炭酸ナトリウムから本質的になる。
【0067】
いくつかの実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩中の添加剤からは、クエン酸又はクエン酸塩が除外され得る。
【0068】
いくつかの実施形態において、化学発泡剤は、加熱時にCO2を遊離させる第2の化合物であって、カルボン酸若しくはポリカルボン酸、それらの誘導体(エステルなど)、又はそれらの塩からなる群から選択される第2の化合物をさらに含み得る。
【0069】
第2の化合物は、
- フマル酸、
- 酒石酸、
- クエン酸、クエン酸塩(クエン酸水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウムなど)、若しくはクエン酸のエステル;又は
- それらの組み合わせ
の少なくとも1つを含んでも又はそれであってもよい。
【0070】
第2の化合物は、官能化微粒子重炭酸塩中に使用されるものと異なる又は同じものである少なくとも1種の添加剤で官能化され得る。
【0071】
いくつかの実施形態において、発泡性ポリマー組成物は、第1吸熱性発泡剤としての官能化微粒子重炭酸塩と、第2吸熱性発泡剤としてのカルボン酸若しくはポリカルボン酸、それらのエステル、又はそれらの塩とを含む。カルボン酸若しくはポリカルボン酸、それらのエステル、又はそれらの塩もまた官能化され得る。官能化微粒子重炭酸塩及び官能化カルボン酸若しくはポリカルボン酸、それらのエステル、又はそれらの塩は、一緒に又は別々に官能化され得る。
【0072】
特定の実施形態において、発泡性ポリマー組成物は、発泡ポリマーがそのような発泡性組成物から製造される場合に、加熱中に窒素ガス及び/又はアンモニアを遊離させるだろう発泡剤を含有しない。
【0073】
いくつかの実施形態において、発泡性ポリマー組成物は、発熱性発泡剤を含有しない。
【0074】
代替の実施形態では、発泡性ポリマー組成物は、官能化重炭酸塩に加えて、発熱性発泡剤を含有する。発熱性発泡剤は、好ましくは、ADCA(アゾジカルボンアミド)、OBSH(4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド))、DNPT(ジニトロソペンタメチレンテトラミン)、PTSS(p-トルエンセミカルバジド)、BSH(ベンゼン-4-スルホノヒドラジド)、及びTSH(トルエン-4-スルホノヒドラジド)、5-PT(5-フェニルテトラゾール)からなる群から選択され、より好ましくはADCAである。
【0075】
官能化重炭酸ナトリウム粒子は、重炭酸ナトリウムを含有する溶液から又は固体重炭酸ナトリウム粒子から直接に少なくとも1種の添加剤の存在下で製造される。官能化重炭酸塩中の適切な添加剤は、本明細書の記載において提示される。
【0076】
いくつかの実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩は、前記添加剤の存在下で噴霧乾燥された重炭酸塩粒子であっても、又は前記添加剤の存在下での共粉砕された(co-milled)重炭酸塩粒子であっても、又は流動床において添加剤でコートされても、又は流動床において添加剤とともに造粒されても、又は押出装置において添加剤でコートされてもよい。
【0077】
好ましい実施形態において、官能化微粒子重炭酸塩は以下のプロセス:
- エマルジョン若しくは粉末形態での添加剤との粉砕若しくは共粉砕(ミリング若しくは共ミリングとしても知られる)によって、
- 流動床内でのスプレーコーティング及び噴霧造粒によって、
並びに/又は
- 同時混合/押出などの押出によって、
のうちの少なくとも1つによって得ることができる。
【0078】
より好ましい実施形態において、官能化微粒子重炭酸塩は:
- エマルジョン若しくは粉末形態での前記添加剤との粉砕若しくは共粉砕(ミリング若しくは共粉砕としても知られる)によって、
並びに/又は
- 同時混合/押出などの、押出によって、
のうちの少なくとも1つによって得ることができる。
【0079】
少なくとも1つの前記プロセスによって得られる官能化微粒子重炭酸塩は、さらに、その平均粒径を低減するためにミリングにかけられてもよい。
【0080】
任意の追加の添加剤による微粒子重炭酸塩の官能化方法は、脂肪酸、ロジン酸、それらの任意の誘導体、それらの塩、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される添加剤で同じ微粒子重炭酸塩を官能化するために用いられる方法と同じものであっても異なるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【
図1-2】発泡剤として様々な官能化重炭酸塩サンプル、ADCA、及び市販の重炭酸ナトリウム製品を使用した射出成形におけるEVAフォームのフォーム密度及び体積発泡倍率を示す。
【
図3】2つの発泡剤を用いて射出成形で約180℃の成形温度で7分間製造されたEVAフォームの光学顕微鏡により得られた写真である:ADCA(左側、
図3a及び3b)と機能性重炭酸塩(右側、
図3c及び3d)。
【
図4-5】180℃でADCAを用いて得られたものと比較した、圧力条件1(1barで1分間)で様々な官能化重炭酸塩サンプル及び市販の重炭酸ナトリウム製品を使用した射出成形で180℃及び190℃(モールド温度)で製造されたEVAフォームのフォーム密度及び体積発泡倍率の比較である。
【
図6-8】ZnOを含む又は含まない様々な官能化重炭酸塩サンプル及びZnOを含むADCAを用いて射出成形で製造されたEVAフォームのフォーム密度、体積発泡倍率及び硬度をそれぞれ示す。
【
図9】得られたEVAフォームの密度に対する、発泡性EVA組成物中の官能化重炭酸塩含有量の影響を示す。
【
図10】圧縮成形によって製造されたEVAフォームの密度が、ADCA及び官能化重炭酸塩サンプルを含むEVA発泡性配合物についての2~10分の発泡時間の関数として測定される速度論的調査を示す。
【
図11-12】ADCA及び単一の官能化重炭酸塩サンプルと比較した、官能化重炭酸塩サンプルのブレンドで得られたフォーム密度及び発泡倍率を示す。
【
図13-15】様々な発泡剤を用いて得られたXLPOフォームのフォーム密度、体積発泡倍率及び硬度をそれぞれ示す。
【
図16】ADCA(上、
図16a及び16b)、及び官能化重炭酸塩(下、
図16c及び16d)の2種の発泡剤を用いた射出成形によって製造されたXLPOフォームの光学顕微鏡で得られた写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0082】
定義
ある要素若しくは組成物が、列挙された要素若しくは構成要素のリストに含まれる及び/又はリストから選択されると記されている本記述では、本明細書で明示的に企図される関連実施形態において、その要素若しくは構成要素は、個別の列挙された要素若しくは構成要素の任意の1つでもあることができるか、又は明示的にリストアップされた要素若しくは構成要素の任意の2つ以上からなる群から選択することもできることが理解されるべきである。
【0083】
さらに、本明細書に記載される装置、プロセス又は方法の要素及び/又は特徴は、本明細書において明示的であるか暗示的であるかに関わらず、本教示の範囲及び開示から逸脱することなく様々なやり方で組み合わせることができることが理解されるべきである。
【0084】
用語「熱可塑性材料」は、特定の温度よりも上で柔軟に又は成形可能になり、そのため熱分解温度よりも下の高温で流動することができ、冷却すると固体状態に戻るポリマーを意味するものとする。ポリマーは、ホモポリマー及びコポリマーを含む、同じ又は異なるタイプのモノマーを反応させること(すなわち重合させること、縮合)によって調製される高分子化合物である。熱可塑性材料は、連鎖重合、重付加及び/又は重縮合によって製造される。
【0085】
用語「官能化微粒子重炭酸塩」は、好ましくは同じ粒子内に、重炭酸塩と添加剤とを含む粒子を定義することとして理解されるべきである。例えば、添加剤が重炭酸塩上に層若しくはコーティングを形成してもよいし、又は重炭酸塩が添加剤上に層若しくはコーティングを形成してもよい。或いは又はさらに、添加剤が重炭酸塩のマトリックス内に埋め込まれてもよいし、又は逆もまた同様である。重炭酸塩と添加剤とを含む粒子は、より小さい粒子の集塊であってもよいし、又は構成要素の1つの小さい粒子が、他の構成要素のより大きい粒子(若しくはより大きい複数粒子)へと塊になってもよい。好ましくは、用語「官能化微粒子重炭酸塩」には、それが液体形態にあるか粒子の形態にあるかに関わらず、重炭酸塩粒子と少なくとも1種の添加剤との単なる混合物は含まれない。
【0086】
用語「機能付与添加剤」は、本明細書で用いるところでは、この添加剤が重炭酸ナトリウムと調合された場合に、重炭酸ナトリウム単独(添加剤なし)と比べて、重炭酸ナトリウムの少なくとも1つのCO2放出特性を改善することができる化合物を言う。例えば、機能付与添加剤は、本出願の実施例54に従って測定される、官能化微粒子重炭酸塩のCO2放出開始温度及び/又はCO2放出最大温度を上げることができる。
【0087】
用語「含む」は、「から本質的になる」及び「からなる」を包含する。
【0088】
本明細書において、用語「EVA」はエチレン/酢酸ビニルコポリマーを意味し;「PO」はポリオレフィンを意味し;「XLPO」は架橋ポリオレフィンを意味し;「POE」はポリオレフィンエラストマーを意味し;「OBC」は、架橋ポリオレフィンブロックコポリマーを意味する。EVA/POコポリマーはエチレン/酢酸ビニルとポリオレフィンとのコポリマーを表し、「EVA/OBCコポリマー」はエチレン/酢酸ビニルと架橋ポリオレフィンとのブロックコポリマーを表す。
【0089】
用語「熱可塑性材料」、「ポリマー」「EVA」、「XLPO」、「OBC」、又はコポリマーに関連した用語「発泡した」は、加工中の化学発泡剤の熱分解及び/又は化学反応からのガス発生によって形成されるセル状構造を有するそのような材料、ポリマー、EVA、XLPO、OBC、又はコポリマーを意味するものとする。
【0090】
用語「ppm」は、重量で表される、百万当たりの部(例えば、1ppm=1mg/kg)を意味する。
【0091】
記号「%」又は「重量%」は、特に明記しない限り、「重量パーセント」を意味する。
【0092】
用語「粉末」は、ミルにかけられた(粉砕された)、押し出された、又は噴霧乾燥された固体粒子からなる化合物を意味するものとする。
【0093】
用語「発熱性発泡剤」は、その分解中に熱を発生する化学物質を定義する。発熱性発泡剤は、典型的には、狭い温度範囲で速い分解を受ける。一般的に言えば、発熱性化学発泡剤は、主な発泡ガスとしてN2を与える(発生ガスの50体積%超がN2である)それらの化学物質と関連している。しかし、他の少量のガスが発熱性化学発泡剤の分解から生成し得る。これらの他の少量のガスには、一酸化炭素、同様に少量(5体積%未満)のアンモニア、及び/又はCO2が含まれ得る。
【0094】
用語「吸熱性発泡剤」は、その分解中に熱を吸収する化学物質を定義する。吸熱性発泡剤は、典型的には、温度及び時間の両方の観点からより幅広い分解範囲を有する。ほとんどの吸熱性化学発泡剤は、主な発泡ガスとしてCO2を発生させる(発生ガスの50体積%超がCO2である)。
【0095】
官能化微粒子重炭酸塩のCO2放出特性は、温度に依存するサンプルの重量減少を測定する、官能化微粒子重炭酸塩サンプルの熱重量分析(TGA)を行うことによって決定することができる。CO2放出特性は、温度に依存する重量減少についての微分値によって特徴付けられる。CO2放出開始温度は、重量減少についての微分値が上がり始める温度である。CO2放出最大温度は、重量減少についての微分値が最大である温度である。典型的には、加熱は、10℃/分の速度で30℃~250℃で行われる。熱重量分析は、例えば、STD Q600 V20.9 Build 20熱重量分析機器(TA Instrumentsにより提供される)において行うことができる。
【0096】
複数の要素には、2つ以上の要素が含まれる。
【0097】
語句「A及び/又はB」は、以下の選択を指す:要素A:又は要素B;又は要素AとBの組み合わせ(A+B)。語句「A及び/又はB」は、A及びBの少なくとも1つと同等である。語句「A及び/又はB」は、A及びBの少なくとも1つと同じである。
【0098】
n≧3の「A1、A2、…及び/又はAn」という語句には、次の選択が含まれる:任意の単一の要素Ai(i=1、2、…n);又は、A1、A2、…、Anから選択される2から(n-1)までの要素の任意の部分的な組み合わせ;又は全ての要素Ai(i=1、2、…n)の組み合わせ。例えば、語句「A1、A2、及び/又はA3」は、次の選択:A1;A2;A3;A1+A2;A1+A3;A2+A3;又はA1+A2+A3を指す。
【0099】
本明細書では、下限、又は上限、又は下限と上限によって定義される変数の値の範囲の記述には、変数がそれぞれ下限を除いた、又は上限を除いた、又は下限と上限を除いた値の範囲内で選択される実施形態も含まれる。
【0100】
本明細書において、同じ変数についての値の幾つかの連続する範囲の記述はまた、その変数が、その連続する範囲中に含まれる任意の他の中間範囲において選択される実施形態の記述を含む。したがって、例示目的のために、「要素Xは一般に少なくとも10、有利には少なくとも15である」と述べられている場合、本記述は、例えば「要素Xが少なくとも11である」、或いは「要素Xが少なくとも13.74である」などの新たな最小値が10~15の間で選択され得る別の実施形態も含み;11又は13.74は、10~15の間に含まれる値である。同様に例示目的のために、「要素Xは一般に最大でも15、有利には最大でも10である」と示されている場合、本記述はまた、新たな最大値を10~15の間で選択することができる別の実施形態を含む。
【0101】
ある要素若しくは組成物が、列挙された要素若しくは構成要素のリストに含まれる及び/又はリストから選択されると記されている本記述では、本明細書で明示的に企図される関連実施形態において、その要素若しくは構成要素は、個別の列挙された要素若しくは構成要素の任意の1つでもあることができるか、又は明示的にリストアップされた要素若しくは構成要素の任意の2つ以上からなる群から選択することもできることが理解されるべきである。
【0102】
例えば、ある実施形態において、要素の群からのある要素の選択が記述されている場合、以下の実施形態:
- その群からの2つ以上の要素の選択、
- 1つ以上の要素が除かれている要素の群からなる要素の部分群からの1つの要素の選択、
も明示的に記述する。
【0103】
本明細書での単数形「1つ(a)」又は「1つ(one)」の使用は、特に明記しない限り複数形を含む。
【0104】
さらに、用語「約(about)」又は「約(ca.)」が定量値の前に用いられる場合、本教示はまた、特に明記しない限り、具体的な定量値自体を含む。本明細書で用いるところでは、用語「約(about)」又は「約(ca.)」は、特に明記しない限り、その名目値からの±10%の変動を意味する。
【0105】
本発明の一態様は、架橋性ポリマーと、架橋剤と、官能化微粒子重炭酸塩を含む化学発泡剤とを含有する発泡性ポリマー組成物を提供し、これは、特に発泡EVAや架橋ポリオレフィンなどの発泡架橋ポリマー材料の調製のために、非アゾジカルボンアミド発泡剤として有利に使用することができる。
【0106】
発泡性ポリマー組成物は、好ましくは熱膨張性である。
【0107】
発泡性ポリマー組成物中の架橋剤は、好ましくは架橋作用を有する過酸化物系化合物を含有する。架橋作用を有する過酸化物系化合物は、好ましくは有機過酸化物である。架橋作用を有する過酸化物系化合物は、ジクミルペルオキシド又はビス(tert-ブチルジオキシイソプロピル)ベンゼンから選択することができる。
【0108】
架橋性ポリマーは、ポリオレフィン(PO)、ポリオレフィンエラストマー(POE)、ポリオレフィンブロックコポリマー(OBC)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、又はEVA/POコポリマーなどのそれらの組み合わせ、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレン/α-オレフィンブロックコポリマー、又はこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0109】
特定の実施形態は、
a)架橋性ポリマー;
b)架橋作用を有する過酸化物系化合物;及び
c)官能化微粒子重炭酸塩を含有する化学発泡剤;
を含有する発泡性ポリマー組成物に関する。
【0110】
発泡性ポリマー組成物中の架橋性ポリマーの量は、典型的には、発泡性ポリマー組成物の総重量を基準として約20重量%~約90重量%の範囲である。
【0111】
架橋作用を有する過酸化物系化合物の量は、発泡性ポリマー組成物の望まれる最終的な特性に応じて、発泡性ポリマー組成物の総重量を基準として通常0%を超えて最大6重量%まで、又は好ましくは約0.5重量%~約4重量%で選択することができる。
【0112】
発泡性ポリマー組成物中の官能化微粒子重炭酸塩の量は、典型的には、発泡性ポリマー組成物の1.5重量%~6重量%、好ましくは3重量%~6重量%、より好ましくは3.5重量%~5.5重量%の範囲である。
【0113】
本発明の発泡性ポリマー組成物は、さらなる成分、例えば、泡安定剤;排気剤;カーボンブラックなどの、充填材又は増量剤(例えば、充填材としてのCaCO3);他のポリマー及び油;硫黄化合物や、硬化系の一部として働く様々な化学物質(酸化亜鉛等)などの硬化剤;帯電防止剤;殺生物剤;着色剤;カップリング剤;繊維強化材;難燃剤;殺真菌剤;熱安定剤;滑剤;離型剤;可塑剤(例えば、DINP=ジ-イソノニルフタレート);防腐剤;加工助剤;スリップ剤;紫外線安定剤;粘度降下剤;染料;並びに結果として生じる発泡ポリマーの望ましい成分であり得る任意の他の成分を含有し得る。
【0114】
いくつかの実施形態において、発泡性組成物は、官能化微粒子重炭酸塩以外の別の発泡剤を含有しない。
【0115】
他の実施形態において、発泡性組成物は、発熱性であるいかなる発泡剤も含有しない。
【0116】
特定の実施形態において、発泡性組成物は、窒素ガス及び/又はアンモニアを遊離させる発泡剤を含有しない。窒素ガスを遊離させる発泡剤の例は、アゾジカルボン酸ジアミド(アゾジカルボンアミド、ADC、ADCA、CAS No.123-77-3)、スルホンヒドラジド:4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH、CAS No.80-51-3)及びp-トルエンスルホニルヒドラジド(TSH、CAS No.1576-35-8)などの発熱性発泡剤である。
【0117】
好ましい実施形態において、発泡性ポリマー組成物は、アゾジカルボンアミドを含有しない。
【0118】
代わりの又は追加の好ましい実施形態において、発泡性ポリマー組成物は、ベンゼンスルホニルヒドラジドを含有しない。
【0119】
代わりの又は追加の実施形態において、発泡性ポリマー組成物は、p-トルエンスルホニルヒドラジドを含有しない。
【0120】
その上代わりの実施形態において、発泡性ポリマー組成物は、ADCA(アゾジカルボンアミド)、OBSH(4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド))、DNPT(ジニトロソペンタメチレンテトラミン)、PTSS(p-トルエンセミカルバジド)、BSH(ベンゼン-4-スルホノヒドラジド)、及びTSH(トルエン-4-スルホノヒドラジド)、5-PT(5-フェニルテトラゾール)からなる群から好ましくは選択される、発熱性化学発泡剤をさらに含んでよく、より好ましくは、ADCA(アゾジカルボンアミド)をさらに含んでもよい。そのような実施形態において、発泡性ポリマー組成物は、5:95~95:5、好ましくは90:10~10:90、より好ましくは85:15~15:85、その上より好ましくは80:20~20:80の官能化重炭酸塩対発熱性化学発泡剤の重量比からなってもよい。
【0121】
官能化微粒子重炭酸塩は、発泡性ポリマー組成物の成分として含まれる。官能化微粒子重炭酸塩は、発泡性ポリマー組成物中の唯一の化学発泡剤として、又は発泡性ポリマー組成物中で使用される化学発泡剤の成分として使用される。
【0122】
官能化微粒子重炭酸塩は、好ましくは発泡架橋ポリマーを製造するための架橋剤として同時に発泡剤として使用され、好ましくは吸熱性発泡剤として使用される。
【0123】
発泡した架橋ポリマーの非限定的な例は、架橋したポリオレフィン(PO)、ポリオレフィンエラストマー(POE)、ポリオレフィンブロックコポリマー(OBC)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、又はEVA/POコポリマーなどのそれらの組み合わせ、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレン/α-オレフィンブロックコポリマー、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0124】
発泡性ポリマー組成物は、(本明細書で記載されるような)発泡させるための補完的化学発泡剤として使用される官能化微粒子の第2の化合物を任意選択的に含んでもよい。
【0125】
発泡性ポリマー組成物は、任意選択的には泡安定剤を含有していてもよい。
【0126】
発泡性ポリマー組成物中のポリマーの量は、典型的には、発泡性ポリマー組成物の総重量を基準として約70重量%(又は20重量%)~約99重量%の範囲である。ポリマーの量は、発泡性ポリマー組成物の所望の最終特性に従って選択することができる。
【0127】
例えば、EVA発泡性組成物は、70~95重量%のEVAコポリマー、0.5重量%~4重量%の架橋作用を有する過酸化物系化合物、1.5重量%~6重量%の官能化微粒子重炭酸塩、及び任意選択的な最大6重量%のその他の成分を含有し得る。
【0128】
例えば、架橋性ポリオレフィン発泡性組成物は、85~96重量%、好ましくは90重量%~95重量%の架橋性ポリオレフィン、最大6重量%の架橋作用を有する過酸化物系化合物、1.5重量%~6重量%の官能化微粒子重炭酸塩、及び任意選択的な最大6重量%のその他の成分を含有し得る。
【0129】
その他の成分は、泡安定剤;排気剤;カーボンブラックなどの、充填材又は増量剤(例えば、充填材としてのCaCO3);他のポリマー及び油;硫黄化合物や、硬化系の一部として働く様々な化学物質(酸化亜鉛等)などの硬化剤;帯電防止剤;殺生物剤;着色剤;カップリング剤;繊維強化材;難燃剤;殺真菌剤;熱安定剤;滑剤;離型剤;可塑剤(例えば、DINP=ジ-イソノニルフタレート);防腐剤;加工助剤;スリップ剤;紫外線安定剤;粘度降下剤;染料;又は結果として生じる発泡ポリマーの望ましい成分であり得る任意の他の成分から選択することができる。
【0130】
官能化微粒子重炭酸塩は、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、及び重炭酸アンモニウムなどの、好ましくはアルカリ又はアンモニウム塩である重炭酸塩成分を含む。重炭酸ナトリウム及び重炭酸カリウム、特に重炭酸ナトリウムが好ましい。
【0131】
いくつかの実施形態において、官能化微粒子重炭酸塩は、好ましくは、少なくとも50重量%、又は少なくとも55重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも65重量%さえの、しかし100重量%未満の重炭酸塩成分(例えば、重炭酸アンモニウム、ナトリウム又はカリウム)を含む。
【0132】
いくつかの実施形態において、官能化微粒子重炭酸塩は、少なくとも90重量%、又は少なくとも93重量%、又は少なくとも94重量%、又は少なくとも95重量%さえの、しかし100重量%未満の重炭酸塩成分(例えば、重炭酸アンモニウム、ナトリウム又はカリウム)を含んでもよい。
【0133】
いくつかの特定の実施形態において、官能化微粒子重炭酸塩は、好ましくは、少なくとも90重量%、しかし100重量%未満のアルカリ金属重炭酸塩を含む。官能化微粒子重炭酸塩は、好ましくは、少なくとも92重量%のアルカリ金属重炭酸塩、少なくとも93重量%、より好ましくは少なくとも94重量%、特には少なくとも95重量%のアルカリ金属重炭酸塩、特に重炭酸ナトリウムを含む。
【0134】
いくつかの実施形態において、官能化微粒子重炭酸塩は、50重量%以下、又は45重量%以下、又は40重量%以下、又は35重量%以下さえの、少なくとも1種の添加剤を有し得る。
【0135】
いくつかの特定の実施形態において、官能化微粒子重炭酸塩は、10重量%以下、又は7重量%以下、又は5重量%以下、又は3重量%以下の、添加剤を含有する。
【0136】
添加剤は、少なくとも0.02重量%、好ましくは少なくとも0.05重量%、特には少なくとも0.1重量%の量で官能化微粒子重炭酸塩中に存在すべきである。官能化微粒子重炭酸塩中の添加剤の重量%が高ければ高いほど、それは、コスト理由でより不利であろう。好ましくは、重炭酸塩成分と比べてより高価な添加剤のコストを削減するために、最大でも10重量%、より好ましくは最大でも8重量%、特には最大でも5重量%の添加剤を官能化微粒子重炭酸塩に使用することが望ましい。
【0137】
しかしながら、添加剤が比較的高価でない実施形態においては(例えばそのコストが重炭酸塩成分のそれの2倍以下である場合には)、少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも7重量%、特には少なくとも10重量%及び/又は最大でも50重量%、より好ましくは最大でも40重量%、その上より好ましくは最大でも35重量%の添加剤を官能化微粒子重炭酸塩に使用することが望ましいかもしれない。
【0138】
いくつかの特定の実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩は、少なくとも0.02重量%の少なくとも1種の添加剤、及び最大50重量%、又は最大45重量%、又は最大40重量%、又は最大35重量%の少なくとも1種の添加剤を含み得る。
【0139】
いくつかの特定の実施形態において、官能化微粒子重炭酸塩は、10%超及び50重量%以下の少なくとも1種の添加剤を含んでもよい。
【0140】
いくつかの実施形態において、費用対効果のために、官能化微粒子重炭酸塩は、0.02重量%~10重量%の添加剤を含んでもよい。
【0141】
特定の実施形態において、官能化微粒子重炭酸塩は、少なくとも65重量%及び100重量%未満の重炭酸塩成分と、35重量%~0.02重量%の少なくとも1種の添加剤とを含んでもよいし;又は少なくとも75重量%及び100重量%未満の重炭酸塩成分と、25重量%~0.02重量%の少なくとも1種の添加剤とを含んでもよい。
【0142】
官能化微粒子重炭酸塩は、CO2を遊離させることができ、且つ微粒子重炭酸塩を官能化するためにも使用される添加剤をさらに含有し得る。このCO2-遊離添加剤は、官能化微粒子重炭酸塩中の第2の発泡剤とみなすことができる。このCO2-遊離添加剤は、官能化微粒子重炭酸塩を吸熱性発泡剤として使用した場合にCO2の発生を増加させるだけでなく、その表面(又はその一部)を保護することにより、重炭酸塩コアからの早すぎるCO2放出も防止する。このCO2-遊離添加剤は、カルボン酸又はポリカルボン酸、それらの誘導体(エステルなど)、又はこれらの塩とすることができる。
【0143】
好適なカルボン酸には、式:HOOC--R--COOH(ここで、Rは、1個以上のヒドロキシ基又はケト基でまた置換されていてもよく、不飽和をまた含有していてもよい、1~約8個の炭素原子のアルキレン基である)のものが含まれる。エステル、塩及びハーフ塩もまた含まれる。
【0144】
好ましいCO2-遊離添加剤には、
- フマル酸、
- 酒石酸、又は
- クエン酸、クエン酸塩(クエン酸水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウムなど)、若しくはクエン酸のエステル
の少なくとも1つが含まれ得る。
【0145】
クエン酸のエステルには、トリブチルシトレート、トリエチルシトレート、トリ-C12~13アルキルシトレート、トリ-C14~15アルキルシトレート、トリカプリリルシトレート、トリエチルヘキシルシトレート、トリイソセチルシトレート、トリオクチルドデシルシトレート及びトリイソステアリルシトレート、イソデシルシトレート及びステアリルシトレート、ジラウリルシトレート、及び/又はエチルシトレート(トリ-、ジ-及びモノエステルの混合物)、好ましくはトリブチルシトレート、トリエチルシトレート、イソデシルシトレート、又はトリエチルヘキシルシトレートが含まれ得る。
【0146】
より好ましいCO2-遊離添加剤は、クエン酸、そのエステル、又はその塩(クエン酸塩など)を含むか、これらからなる。
【0147】
いくつかの実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩は、第2の機能付与添加剤として、クエン酸、そのエステル、又はその塩(クエン酸塩など)を含む。
【0148】
好ましい実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩は、第2の機能付与添加剤として、クエン酸、そのエステル、又はその塩(クエン酸塩など)を含まない。
【0149】
いくつかの実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩を含む化学発泡剤は、発熱性発泡剤を含まない。
【0150】
いくつかの実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩を含む化学発泡剤は、クエン酸、そのエステル、又はその塩(クエン酸塩など)をさらに含む。
【0151】
好ましい実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩を含む化学発泡剤からは、クエン酸、そのエステル、又はその塩(クエン酸塩など)は除外される。
【0152】
いくつかの特定の実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩を含む化学発泡剤は、アンモニアを遊離する発泡剤として使用される化合物を含有しない。
【0153】
いくつかの特定の実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩を含む化学発泡剤は、窒素ガスを遊離させる発泡剤として使用される化合物を含有しない。窒素ガスを遊離させる発泡剤の例は、アゾジカルボン酸ジアミド(アゾジカルボンアミド、ADC、ADCA、CAS No.123-77-3)、スルホンヒドラジド 4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH、CAS No.80-51-3)及びp-トルエンスルホニルヒドラジド(TSH、CAS No.1576-35-8)などの発熱性発泡剤である。
【0154】
好ましい実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩を含む化学発泡剤はアゾジカルボンアミドを含まない。
【0155】
代替又は追加の好ましい実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩を含む化学発泡剤はベンゼンスルホニルヒドラジドを含まない。
【0156】
代替又は追加の実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩を含む化学発泡剤はp-トルエンスルホニルヒドラジドを含まない。
【0157】
本発明の好ましい実施形態において、官能化微粒子重炭酸塩を含む化学発泡剤は、重炭酸塩成分と、少なくとも1種の添加剤とを粉末形態で含む。
【0158】
ある種の用途向けには、化学発泡剤中の官能化微粒子重炭酸塩は、少なくとも1種の添加剤のコーティングでコートされている粒子としての重炭酸ナトリウムを含有することが好ましい。そのようなコーティングは、官能化微粒子重炭酸塩のいくつかの特性を改善することができる。そのような場合における添加剤は、「コーティング剤」と称され得る。コーティング剤としての添加剤は、この添加剤が、重炭酸塩の粒子の表面を、部分的に又は完全に、覆うことができることを意味するものとする。「コーティング剤」は、粒子のコアがそれでできている重炭酸塩成分と異なる化合物である。
【0159】
ある種の用途向けには、官能化微粒子重炭酸塩は、1種の添加剤と共粉砕された重炭酸ナトリウムを含有すると想定される。添加剤とのそのような共粉砕は、官能化微粒子重炭酸塩のいくつかの特性を改善することができる。
【0160】
ある種の用途向けには、官能化微粒子重炭酸塩は、2種以上の添加剤で官能化されている粒子としての重炭酸ナトリウムを含有する。重炭酸ナトリウム粒子の機能付与は、1つの機能付与方法を用いて添加剤で同時に実施されてもよいし、又は1つの機能付与方法で1種の添加剤を使用して、次に、同じ又は異なる機能付与方法で別の添加剤を使用して順次実施されてもよい。例えば、重炭酸ナトリウム粒子が、先ず、第1添加剤で官能化され、次に、これらの第1官能化粒子が、再び、第2添加剤(第1添加剤と同じ組成又は異なる組成を有する、好ましくは異なる組成を有する第2添加剤)で官能化され得る。後続の機能付与のために用いられる方法は、同じものであってもよいが、好ましくは異なる。(第1及び第2)機能付与方法は、好ましくは、押出、共粉砕、及びスプレーコーティングからなる群から選択される。例えば、第1機能付与方法は、共粉砕又は押出を含んでも又はそれらからなってもよいし、第2機能付与方法は、押出、共粉砕、又はスプレーコーティングを含んでも又はそれらからなってもよい。好ましくは、第1機能付与方法は、共粉砕を含んでも又は共粉砕からなってもよいし、第2機能付与方法は、押出を含んでも又は押出からなってもよい。(第1及び第2)機能付与添加剤の少なくとも1種は、ロジン酸、それらの任意の誘導体、それらの塩、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0161】
ある種の用途向けには、官能化微粒子重炭酸塩は、1種の添加剤で官能化されている粒子としての重炭酸ナトリウムを含有するが、添加剤は全て同時に添加されるわけではなく、数回に分けて順次添加される。例えば、重炭酸塩粒子は、先ず、添加剤の第1部分で官能化され、次に、これらの第1官能化重炭酸塩粒子が再び、同じ添加剤の第2部分で官能化され得る。機能付与のために用いられる方法は、同じものであってもよいし、又は異なってもよい。例えば、(第1及び第2)機能付与方法は、好ましくは、押出、共粉砕、及びスプレーコーティングからなる群から選択される。好ましくは、第1機能付与方法は、共粉砕を含んでも又は共粉砕からなってもよいし、第2機能付与方法は、押出を含んでも又は押出からなってもよい。
【0162】
ある種の用途向けには、官能化微粒子重炭酸塩は、第1の添加剤のコーティングでコートされている粒子としての重炭酸ナトリウムを含有し、次に、これらのコーティングされた粒子が第2の添加剤(第1の添加剤と同じ組成又は異なる組成を有する第2の添加剤)と共粉砕されることが好ましい場合がある。
【0163】
ある種の用途向けには、一定の少量のガスを1つの場所で生成しているような、微細なセル状フォームの生成が望ましいかもしれない。セル状フォーム構造を改善するために、官能化微粒子重炭酸塩は特有の粒径及び粒度分布を有することが好適であり得る。D50という用語は、50重量%の粒子がD50(重量平均径)以下の直径を有する、その直径を意味する。D10という用語は、10重量%の粒子がD10以下の直径を有する、その直径を意味する。D90という用語は、90重量%の粒子がD90以下の直径を有する、その直径を意味する。
【0164】
官能化微粒子重炭酸塩は、好ましくは小さいスパンとともに小さい粒径などの、有利な特性を有し得る。粒度分布のスパンは、当技術分野で公知のように、比率(D90-D10)/D50と定義される。スパンは、約1~約3などの、約1~約6の範囲であってもよい。一実施形態において、スパンは、6よりも小さく、好ましくは4よりも小さく、より好ましくは3よりも小さくてもよい。一実施形態において、スパンは、1よりも大きく、好ましくは2よりも大きくてもよい。別の実施形態において、スパンは、1.8よりも小さく、より好ましくは最大でも1.7、特には最大でも1.6、例えば最大でも1.5であってもよい。
【0165】
好ましくは、官能化微粒子重炭酸塩の粒子は、最大でも250μm、好ましくは最大でも100μm、より好ましくは最大でも60μm、その上より好ましくは最大でも40μm、又は最大でも30μm、又は最大でも25μmのD50の粒度分布を有する。
【0166】
いくつかの実施形態において、官能化微粒子重炭酸塩の粒子は、1μm超、好ましくは2μm超、より好ましくは5μm超、その上より好ましくは少なくとも8μmのD50の粒度分布を有する。この官能化微粒子重炭酸塩は、「官能化ミクロンサイズの重炭酸塩」と称される。
【0167】
いくつかの実施形態において、官能化微粒子重炭酸塩の粒子は、1μm~160μmの範囲の、好ましくは1μm~10μmの範囲の、より好ましくは2μm~10μmの範囲の、その上より好ましくは4μm~8μmの範囲の、特には5μm~6μmのD10を有する。
【0168】
いくつかの実施形態において、官能化微粒子重炭酸塩の粒子は、20μm~450μm、好ましくは30μm~200μm、より好ましくは30μm~165μm、特には30μm~100μmの範囲のD90を有する。
【0169】
重量平均径D50、並びにD10及びD90値は、重炭酸塩で飽和したエタノール溶液を使用する、632.8nmの波長、18mmの直径を有するHe-Neレーザー源と、後方散乱300mmレンズ(300RF)を備えた測定セルと、MS 17液体調製ユニットと、自動溶媒濾過キット(「エタノールキット」)とを使用するMalvern Mastersizer S粒径分析器でレーザー回折及び散乱によって測定することができる(湿式法)。
【0170】
いくつかの実施形態において、官能化微粒子重炭酸塩の粒子は、最大でも1μm、好ましくは1μm未満のD50の粒度分布を有する。この官能化微粒子重炭酸塩は、「官能化ナノサイズの重炭酸塩」と称される。
【0171】
官能化微粒子重炭酸塩がナノサイズの重炭酸塩粒子をベースとする場合に、重炭酸塩ナノサイズの粒子は機能付与の前に形成されることが好ましい。溶媒を使った湿式粉砕、ミクロン化及び乾式ナノ粉砕などの技術が有効であろう。タンブラーボールミル、遊星ボールミル(例えばRetchから入手可能)又はジェットミル(例えばAlpineから入手可能)などのミルの使用が、ナノサイズの重炭酸塩粒子を製造するのに好適である。ボールミリングは、機械力を用いてナノスケールレジームへの嵩高い固体材料の分解を伴う。高エネルギーボールミリングによる粒径の低減は、機械的ミリングと称される。ナノサイズレベルへの重炭酸塩粉末の粉末のミリングは、極めて多くの熱を発生させるので、ミリングの間ずっと冷却することが推奨される。さらに、ナノサイズレベルへのミリングを容易にするために、滑剤を使用することが推奨され得る。
【0172】
さらに、粒子がミリング中に又はミルを出た後に再び塊になるのを防ぐために、界面活性剤を使用することが推奨され得る。これらのナノサイズの粒子は、大きい比表面積を有するせいで塊になる強い傾向を有する。界面活性剤は、立体バリアを提供する及び表面張力を下げることによってナノサイズの粒子のこの密接な接触を防ぐための重量な役割を果たし得る。界面活性剤分子は、新たに形成される表面の周りに薄い有機層を形成して、それらがミリングプロセス中に別の表面と接触するときに又はそれらがミルを出るときに露出表面を冷間圧接から守る。好適な界面活性剤には、ポリ(アクリル酸、ナトリウム塩)などのポリマー、又はオレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸若しくはオレイルアミン、パルミチン酸、ミリスチン酸、ウンデカン酸、オクタン酸、及び/又は吉草酸などの、脂肪酸若しくはそれらのエステルが含まれ得る。
【0173】
機能付与は、別の化合物(添加剤)をナノサイズの重炭酸塩コア粒子に添加するので、当初の重炭酸塩コア粒子のサイズを有意に増やさないであろう添加剤堆積/組み入れのための技術(以下により詳細に記載される技術)を選択することが推奨される。例えば、機能付与前に1μm以下のD50を当初有する微粒子重炭酸塩が機能付与後に、依然として最大でも1μm以下のD50のナノサイズ範囲の官能化微粒子重炭酸塩を生成することが好ましいであろう。だがいくつかの場合には、ナノサイズの重炭酸塩コア粒子から出発した官能化微粒子重炭酸塩が機能付与後に2μm以下のD50に達し得ることは許容される。
【0174】
官能化微粒子重炭酸塩は、優れたCO2放出特性を示す。TGA分析によって測定されるように、官能化微粒子重炭酸塩の最大減少温度は、好ましくは、添加剤を使わない非官能化重炭酸塩よりも高い。官能化微粒子重炭酸塩のCO2放出は、典型的には少なくとも130℃の温度、好ましくは少なくとも135℃の温度、より好ましくは少なくとも140℃の温度、さらに好ましくは少なくとも145℃の温度、特に好ましくは少なくとも155℃の温度で最大である。官能化微粒子重炭酸塩のTGA最大減少温度は、150℃から最大200℃、好ましくは155℃から最大190℃の範囲とすることができる。
【0175】
示差走査熱量測定法(DSC)熱分析によって測定されるように、官能化微粒子重炭酸塩は、好ましくは、添加剤を使わない非官能化重炭酸塩よりも高い最大ピーク温度を有する。官能化微粒子重炭酸塩のDSC最大ピーク温度は、少なくとも140℃、好ましくは少なくとも145℃、より好ましくは少なくとも150℃、さらに好ましくは少なくとも155℃の温度、特に好ましくは少なくとも160℃の温度とすることができる。官能化微粒子重炭酸塩のDSC最大ピーク温度は、160℃から最大200℃、好ましくは160℃から最大190℃の範囲とすることができる。
【0176】
官能化微粒子重炭酸塩は、少なくとも1種の添加剤を含有する。
【0177】
官能化微粒子重炭酸塩中の添加剤は、脂肪酸、ロジン酸、それらの任意の誘導体、それらの塩、又はそれらの任意の組み合わせを含むか又はそれらからなる。
【0178】
官能化微粒子重炭酸塩中の添加剤は、
アビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、及び/又はネオアビエチン酸、任意のエステル、それらの任意の塩、又はそれらの任意の組み合わせ、好ましくは、アビエチン酸及び/又はジヒドロアビエチン酸、任意のエステル、それらの任意の塩、又はそれらの任意の組み合わせを含むロジン酸又はその任意の誘導体を含んでいてもよく、或いはこれらから構成されていてもよい。
【0179】
「アビエチン酸」は(アビエタ-7,13-ジエン-18-オン酸)とも呼ばれる。
【0180】
ロジン酸の好適な誘導体は、例えば、ロジンのC1~25アルキルエステル、グリセロールロジンエステル、ペンタエリスリトールロジンエステル、又はそれらの組み合わせなどの、1種以上のロジン酸エステルからなっても又はロジン酸エステルを含んでもよい。ロジン酸の他の好適な誘導体は、水素化ロジン酸、ロジン酸の二量体、又は重合ロジンさえも含んでよい。ロジン酸の好ましい誘導体は、ジヒドロアビエチン酸、好ましくは少なくとも50重量%のジヒドロアビエチン酸を含んでもよい。
【0181】
官能化微粒子重炭酸塩中のロジン酸添加剤は、好ましくは、アビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ロジン酸エステル、又はそれらの混合物を含み、より好ましくは、アビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、又はそれらの混合物を含む。
【0182】
ロジン酸の好ましい誘導体は、ジヒドロアビエチン酸(CAS No.1740-19-8)、好ましくは少なくとも50重量%のジヒドロアビエチン酸を含んでもよい。Resigral(登録商標)52は、少なくとも52重量%のジヒドロアビエチン酸を含有する市販製品であり;Dax,FranceのLES DERIVES RESINIQUES ET TERPENIQUES(DRT)によって供給されるResigral(登録商標52は、その異なる異性体の割合を変更することによってその熱安定性を改善するために化学試薬によって変性された不均化ロジンである。
【0183】
DRTによって製造される他の市販のロジン酸ベースの製品、例えば、
水系ロジン分散系(DERMULSENE RE 1513=その固形分が約56重量%である、安定化ロジンエステルをベースとする水性の、溶媒を含まない分散系、DERMULSENE A 7510=安定化及び重合ロジン分散系)、
グリセロールロジンエステル(DERTOLINE G2L);
ペンタエリスリトールロジンエステル(DERTOLINE P2L=ペンタエリスリトールでエステル化されたトール油樹脂;HYDROGRAL P=水素化ロジンのペンタエリスリトールエステル);
二量体ロジン酸(POLYGRAL 95、POLYGRAL 115、POLYGRAL 140);
重合ロジン酸(POLYGRAL);及び/又は
水素化ロジン(HYDROGRAL)
などを、ロジン酸誘導体のための1種以上の源として使用することができる。
【0184】
DRT製の液体ロジンエステルは、GRANOLITE TEG=トリエチレングリコールロジンエステル;GRANOLITE M=ロジンのメチルエステル;及び/又はHYDROGRAL M=水素化ロジンのメチルエステルから選択され得る。
【0185】
ロジン誘導体は、変性ロジン、つまり、無水マレイン酸、フマル酸、アセチレンジカルボン酸及びクエン酸の脱水生成物などの変性剤として--COC==C--基を含有し、アビエチン酸及び関連化合物の少なくともいくらかをトリカルボン酸化学種に変換する、少量の、しかし有効量の酸性化合物の反応した内容物を有するロジンを含んでも又はそれらからなってもよい。
【0186】
ロジン酸の好適な塩は、例えば、アルカリ金属及びアルカリ土類金属塩であるが、他の塩も同じく好適である。好ましい塩は、ナトリウム塩である。
【0187】
ロジン酸はまた、トール油などの、ロジン酸を含む混合物の形態で添加剤として使用され得る。
【0188】
官能化微粒子重炭酸塩中の好ましい量のロジン酸添加剤などの、全ての好ましい実施形態は、任意選択の追加の添加剤に関して以下に記載されるようなものである。
【0189】
官能化微粒子重炭酸塩中の添加剤が脂肪酸を含むかそれからなる場合、脂肪酸は、リノール酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノレン酸、アラキドン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、及びこれらの任意の2種以上の組み合わせからなる群から選択することができる。
【0190】
官能化微粒子重炭酸塩中の添加剤は、
- リノール酸、オレイン酸、ラウリン酸、及び/又はステアリン酸などの脂肪酸、それらの任意のエステル、それらの任意の塩、又はそれらの任意の組み合わせなどのそれらの任意の誘導体、好ましくはリノール酸、オレイン酸、ラウリン酸などの脂肪酸、それらの任意のエステル、それらの任意の塩、又はそれらの任意の組み合わせなどのそれらの任意の誘導体を含んでいても、これらから構成されていてもよい。
【0191】
いくつかの実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩中の添加剤からはステアリン酸が除外され得る。
【0192】
いくつかの実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩中の添加剤からはステアリン酸塩が除外され得る。
【0193】
いくつかの実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩中の添加剤は、ステアリン酸以外の脂肪酸を含み得る。
【0194】
いくつかの実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩中の添加剤は、ステアリン酸塩以外の脂肪酸塩を含み得る。
【0195】
官能化微粒子重炭酸塩中の添加剤は、不飽和脂肪酸を含んでいてもよく、或いは不飽和脂肪酸から構成されていてもよい。
【0196】
好ましい実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩中の添加剤は、好ましくは以下のものを含むか、本質的にこれからなる:
- アビエチン酸及び/又はジヒドロアビエチン酸を含むロジン酸又は任意のその誘導体、
- リノール酸、その任意の誘導体、その任意の塩、又は
- それらの任意の組み合わせ。
【0197】
いくつかの実施形態において、官能化微粒子重炭酸塩は、
- 1種以上のポリマー;
- 1種以上のアミノ酸、それらの任意の誘導体、及びそれらの塩;
- 1種以上の無機塩;
- 1種以上の油;
- 1種以上の脂肪;
- 1種以上の樹脂酸、それらの任意の誘導体、及びそれらの塩;
- 1種以上の脂肪酸、それらの任意の誘導体、及びそれらの塩;
- カルボン酸又はポリカルボン酸、それらの誘導体(エステルなど)、又はそれらの塩(脂肪酸、ロジン酸、それらの任意の誘導体、それらの塩、又はそれらの組み合わせを除く);
- 1種以上の石鹸;
- 1種以上のワックス;又は
- それらの任意の組み合わせ;
から選択され;
好ましくは、ポリエチレングリコールなどのポリオキシアルキレン及びそれらの誘導体、ポリ(メタ)アクリレート及びそれらの誘導体、ポリビニルアルコール、多糖類並びにそれらの組み合わせからなる群からより好ましくは選択される少なくとも1種のポリマーから選択され;さらにより好ましくは、ポリビニルアルコール並びにポリエチレングリコールなどのポリオキシアルキレン及びそれらの誘導体からなる群から選択される、少なくとも1種の追加の機能付与添加剤(脂肪酸、ロジン酸、それらの任意の誘導体、それらの塩、又はそれらの組み合わせを除く)をさらに含む。
【0198】
いくつかの実施形態において、追加の機能付与添加剤は、ポリビニルアルコール、ポリグリコール、多糖、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(アクリル酸 コ-マレイン酸、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、N-2(-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、ポリエチレングリコールなどのポリオキシアルキレン及びそれらの誘導体、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含んでも又はポリマーからなってもよい。
【0199】
いくつかの実施形態において、追加の機能付与添加剤は、加水分解デンプン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸及びその塩、アラビアゴム、カラギーナン;グアーガム、イナゴマメガム、キサンタン(xantham)ゴム並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される多糖を含んでも又は多糖からなってもよい。
【0200】
いくつかの実施形態において、追加の機能付与添加剤は、カゼイン、ゼラチン、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルタミン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、リジン、ペクチン、セリン、ロイシン、バリン、フェニルアラニン、トレオニン、イソロイシン、ヒドロキシリジン、メチオニン、ヒスチジン、チロシン及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸、それらの誘導体又はそれらの塩を含んでも又はそれらからなってもよい。
【0201】
いくつかの実施形態において、追加の機能付与添加剤は、ケイ酸塩(例えば、ケイ酸ナトリウム)、NaCl、KCl、MgCl2、リン酸ナトリウム、ホウ酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩及びそれらの組み合わせからなる群から選択される無機塩を含んでも又は無機塩からなってもよい。
【0202】
いくつかの実施形態において、追加の機能付与添加剤は、
- アミノ酸、それらの誘導体、若しくはそれらの塩、
- 多糖(加水分解デンプン、ガム、カルボキシメチルセルロースなど)、
- 樹脂酸、それらの誘導体、若しくはそれらの塩、
- 脂肪酸、それらの誘導体(エステルなど)、若しくはそれらの塩、
- カルボン酸若しくはポリカルボン酸、それらの誘導体(エステルなど)、若しくはそれらの塩;又は
- それらの任意の組み合わせ
を含んでも又はそれらからなってもよい。
【0203】
いくつかの実施形態では、追加の機能付与添加剤(脂肪酸、ロジン酸、それらの任意の誘導体、それらの塩、又はそれらの組み合わせから選択される主要な機能付与添加剤とは異なる)は、以下を含むか、それらから構成されていてもよい:
- ポリマー(ポリエチレングリコールなどのポリオキシアルキレン及びそれらの誘導体、ポリ(メタ)アクリレート及びそれらの誘導体、ポリビニルアルコール並びに、変性された、特に加水分解されたデンプン、マルトデキストリン及びアラビアゴムなどの、多糖類など)、
- アミノ酸、その誘導体、若しくはその塩(ロイシンなど)、
- 油(エポキシ化大豆油など)、
- 樹脂酸、その誘導体、又はその塩(ロジン酸が主要な添加剤として使用される場合にはロジン酸以外)、
- 異なる脂肪酸、その誘導体、若しくはその塩(ステアリン酸、ラウリン酸、リノール酸及びグリセロールモノステアレートなど)、
- ワックス(蜜ろう及びカルナバワックスなど)、又は
- それらの任意の組み合わせ。
【0204】
いくつかの実施形態では、追加の機能付与添加剤は、CO2を遊離させることができ、且つ微粒子重炭酸塩を官能化するためにも使用される化合物を含んでも又はそれらからなってもよい。この添加剤は、官能化微粒子重炭酸塩中の第2の発泡剤と見なされ得る。この添加剤は、官能化微粒子重炭酸塩が吸熱性発泡剤として使用される場合にCO2生成の増加を提供し得るのみならず、この添加剤は、重炭酸塩コアを、その表面(又はその一部)を保護することによって時期尚早のCO2放出から防護するであろう。このCO2-遊離添加剤は、カルボン酸若しくはポリカルボン酸、それらの誘導体(エステルなど)、又はそれらの塩であってもよい。
【0205】
好適なカルボン酸には、式:HOOC--R--COOH(ここで、Rは、1個以上のヒドロキシ基又はケト基でまた置換されていてもよく、不飽和をまた含有していてもよい、1~約8個の炭素原子のアルキレン基である)のものが含まれる。エステル、塩及びハーフ塩もまた含まれる。
【0206】
好ましいCO2-遊離添加剤には、
- フマル酸、
- 酒石酸、又は
- クエン酸、クエン酸塩(クエン酸水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウムなど)、若しくはクエン酸のエステル
の少なくとも1つが含まれ得る。
【0207】
クエン酸のエステルには、トリブチルシトレート、トリエチルシトレート、トリ-C12~13アルキルシトレート、トリ-C14~15アルキルシトレート、トリカプリリルシトレート、トリエチルヘキシルシトレート、トリイソセチルシトレート、トリオクチルドデシルシトレート及びトリイソステアリルシトレート、イソデシルシトレート及びステアリルシトレート、ジラウリルシトレート、並びに/又はエチルシトレート(トリ-、ジ-及びモノエステルの混合物)、好ましくはトリブチルシトレート、トリエチルシトレート、イソデシルシトレート、又はトリエチルヘキシルシトレートが含まれ得る。
【0208】
より好ましいCO2-遊離機能付与添加剤は、クエン酸、それらの任意のエステル、又はそれらの任意の塩を含むか又はそれらからなる。
【0209】
いくつかの実施形態では、追加の機能付与添加剤からは、クエン酸、そのエステル、又はその塩(クエン酸塩など)が除外される。
【0210】
いくつかの実施形態において、追加の機能付与添加剤は、アミノ酸、その誘導体、又はその塩を含んでもよいし又はそれらからなってもよい。
【0211】
一般に、アミノ酸は、アミノ基官能基とカルボン酸官能基とからなる、当該技術分野で公知の化合物である。アミノ基は、IUPAC命名法に従って、ヒドロカルビル基で1個、2個、又は3個の水素原子を置き替えることによってアンモニア(NH3)から形式的には誘導され、一般構造RNH2(第一級アミン)、R2NH(第二級アミン)又はR3N(第三級アミン)を有する化合物である。IUPAC命名法に従って、窒素に結合している水素の全4個がヒドロカルビル基で置き替えられているアンモニウム化合物(NH4+)Y-の誘導体は、アミンではない第四級アンモニウム化合物と見なされる。つまり、本発明に従って使用されるようなアミノ酸において、アミン基、好ましくはα-アミン基は、RNH2、R2NH又はR3N残基であり、NR4+残基ではない。好ましくは、カルボン酸基を含む第四級アンモニウム化合物は、本発明に従ったアミノ酸添加剤として使用されない。
【0212】
いくつかの実施形態では、追加の機能付与添加剤として使用されるアミノ酸はβ-アミノ酸又はα-アミノ酸であり、最も好ましくはα-アミノ酸である。好ましい実施形態において、α-アミノ酸は、アルギニン、ヒスチジン、及びリシンなどの、正電荷を有するアミノ酸、アスパラギン酸又はグルタミン酸などの負電荷を有するアミノ酸、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、又はシステイン、セレノシステイン、グリシン及びプロリンなどの極性の電荷のないアミノ酸からなる群から選択される。アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンなどの、疎水性側鎖を持ったアミノ酸が、特に好ましい。添加剤として使用される最も好ましいアミノ酸は、バリン、イソロイシン及びロイシンであり、ロイシンが最も好ましい。
【0213】
α-アミノ酸は、キラル化合物である。一般に、両エナンチオマーの両ラセミ混合物、並びに1つのエナンチオマー、例えばD-又はL-エナンチオマーに富む組成物を使用することができる。好ましくは、アミノ酸のラセミ混合物が、本発明の一実施形態に従って使用され得る。
【0214】
アミノ酸の好適な誘導体は、例えば、ヒドロキシアルキル残基、特にヒドロキシC1~20アルキル残基を含むエステルなどの、エステルである。或いは又はさらに、アミノ酸誘導体は、アミドであってもよい。好適な塩は、例えば、アルカリ金属及びアルカリ土類金属塩、又は無機酸若しくはカルボン酸などの、酸と、アミノ酸のアミノ基との間で形成される塩である。
【0215】
アミノ酸は、少なくとも0.02重量%、好ましくは少なくとも0.05重量%、特には少なくとも0.1重量%の量で官能化微粒子重炭酸塩中に存在してもよい。官能化微粒子重炭酸塩中の10重量%超のアミノ酸は、コストの理由で不利である。好ましくは、最大8重量%、より好ましくは最大6重量%、特には最大5重量%のアミノ酸が官能化微粒子重炭酸塩中に存在する。
【0216】
官能化微粒子重炭酸塩中の追加の機能付与添加剤として使用される好ましいアミノ酸は、ロイシンである。ロイシンは、例えば、0.02重量%~5重量%の量で、好ましくは0.05重量%~2重量%の量で、より好ましくは0.05重量%~0.5重量%の量で官能化微粒子重炭酸塩中に存在してもよい。
【0217】
一実施形態において、アミノ酸、特にロイシンでさらに官能化されている微粒子重炭酸塩は、噴霧乾燥によって調製される。
【0218】
追加の又は代わりの実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩中の追加の添加剤は、樹脂酸、その誘導体、又はその塩を含んでも又はそれらからなってもよい。この樹脂酸は、主要な機能付与添加剤として官能化微粒子重炭酸塩中ですでに使用されている場合には、ロジン酸とは異なる必要がある。
【0219】
一般に、官能化微粒子重炭酸塩中の追加の官能化添加剤として使用される樹脂酸は、当技術分野で公知の樹脂酸の1つである。樹脂酸は、木樹脂に見いだされる、関連カルボン酸、好ましくはアビエチン酸の混合物を言う。典型的には、樹脂酸は、経験式C19H29COOHを持った3つの縮合環の基本骨格を有する。好ましい樹脂酸は、三環式ジテルペンカルボン酸であり、アビエタンジテルペン群に属するものが、より好ましい。好ましい樹脂酸は、例えば、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、及びパルストリン酸からなる群から選択される、アビエチン酸型酸である。ピマール酸(ピマラ-8(14),15-ジエン-18-酸)、レボピマール酸、又はイソピマール酸からなる群から選択される、ピマール酸型酸もまた好適である。そのような酸は、天然源から、又は例えば米国特許出願公開第2014/0148572 A1号明細書から公知のような化学合成によって入手可能である。
【0220】
使用され得る樹脂酸を含む誘導体はトール油である。トール油(液体ロジンとも呼ばれる)は、木材パルプ製造のクラフト法の副産物として得られる。粗トール油は、ロジン、樹脂酸(主としてアビエチン酸及びその異性体)、脂肪酸(主としてパルミチン酸、及びオレイン酸)、脂肪アルコール、ステロール並びにアルキル炭化水素誘導体を含有する。最も好ましいピマール酸及びその塩、特にナトリウム塩は、各々、本発明に従って追加の添加剤として使用される。
【0221】
樹脂酸、その誘導体、又はその塩は、少なくとも0.02重量%、好ましくは少なくとも0.05重量%、特には少なくとも0.1重量%の量で本発明による官能化微粒子重炭酸塩中に存在してもよい。ロジン酸などの、樹脂酸、その誘導体、又はその塩は、例えば、0.02重量%~25重量%、好ましくは0.02重量%~20重量%又は、0.5重量%~10重量%などの、0.1重量%~11重量%の量で存在してもよい。
【0222】
官能化微粒子重炭酸塩中の追加の官能化添加剤として使用される好ましい樹脂酸は、ロジン酸、その誘導体、又はその塩である。
【0223】
さらに追加の又は代わりの実施形態において、官能化微粒子重炭酸塩中の追加の官能化添加剤は、脂肪酸、その誘導体(エステルなど)、又はそれらの塩を含んでも又はそれらからなってもよい。この追加の機能付与脂肪酸は、主要な機能付与添加剤として官能化微粒子重炭酸塩中ですでに使用されている場合には、脂肪酸とは異なる必要がある。
【0224】
追加の機能付与添加剤として使用されるようなそれらの脂肪酸は、当技術分野で公知の脂肪酸、すなわち、飽和か不飽和のいずれかである脂肪族残基を有するカルボン酸である。好ましくは、脂肪酸は、式(I)
R-COOH (I)
(式中、Rは、飽和の又は不飽和のC6~C18アルキル基、好ましくは、C12~C16アルキル基などの、C12~C18基である)
に従った化合物である。脂肪酸は、それらの塩、特にナトリウム塩又はカリウム塩、最も好ましくはナトリウム塩の形態で使用され得る。さらにより好ましい残基Rは、C16~C18アルキル基であり、最も好ましい、脂肪酸は、パルミチン酸、リノール酸、ラウリン酸又はステアリン酸であり、後者が最も好ましい。
【0225】
脂肪酸誘導体の例は、グリセリドである。グリセリドは、グリセロールと脂肪酸とから形成されるエステル、特にグリセロールモノ、ジ及びトリ脂肪エステルである。
【0226】
官能化微粒子重炭酸塩中の追加の機能付与添加剤として使用される好ましい脂肪酸は、ステアリン酸、そのエステル、又はそれらの塩である。官能化微粒子重炭酸塩中の追加の機能付与添加剤として使用されるより好ましい脂肪酸は、ステアリン酸、ステアリン酸塩、又はステアリン酸のエステル(トリステアリンなどのグリセロールとのそのエステル、又は3つの単位のステアリン酸に由来するトリグリセリドであるグリセリルトリステアレートなど)である。別の好ましい追加の機能付与添加剤は、グリセロールモノステアレートである。
【0227】
追加の機能付与添加剤としての脂肪酸、その誘導体、又はその塩は、官能化微粒子重炭酸塩中に、少なくとも0.02重量%、好ましくは少なくとも0.05重量%、特には少なくとも0.1重量%の量で存在し得る。ある種の実施形態において、脂肪酸、その誘導体、又はその塩は、0.02重量%~30重量%、好ましくは0.1重量%~10重量%、より好ましくは0.5重量%~7重量%の量で官能化微粒子重炭酸塩中に存在してもよい。
【0228】
いくつかの実施形態では、追加の機能付与添加剤は、ステアリン酸、そのエステル、又はそれらの塩を排除し得る。
【0229】
またさらに追加の又は代わりの実施形態において、追加の機能付与添加剤は、ポリビニルアルコール、ポリグリコール、多糖、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(アクリル酸 コ-マレイン酸、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、N-2(-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、ポリエチレングリコールなどのポリオキシアルキレン及びそれらの誘導体、並びにそれらの組み合わせなどからなる群から選択されるポリマーなどの、ポリマーを含んでも又はポリマーからなってもよい。
【0230】
ポリマーは、天然ポリマーであっても又は合成ポリマーであってもよい。天然ポリマーは、デンプン及びアラビアゴムなどの、天然源からであるポリマーである。天然ポリマーはまた、加水分解デンプンなど、変性されていてもよい。
【0231】
合成ポリマーは、例えばポリ(メタ)アクリレート及びそれらの誘導体、ポリエチレングリコールなどのポリオキシアルキレン及びそれらの誘導体、並びにポリビニルアルコールである。好ましいポリオキシアルキレン誘導体は、例えばBYK-Chemie GmbHによって商品名BYK 3155で提供されるポリマーである。メタ-/アクリルポリマーは、例えば官能基としてメタクリル酸を有するアニオン性ポリマー、官能基としてメチルアミノエチルメタクリレートを有するカチオン性ポリマー、官能基としてトリメチル-アミノエチル-メタクリレートを有するメタ-/アクリレートコポリマー及び商標Eudragit(登録商標)でEvonikから入手可能であるメタ-/アクリレートの中性ポリマーであってもよい。好適なEudragit(登録商標)銘柄は、例えば銘柄L、S、FS、E、RL、RS、NE及びNMである。銘柄RLのEudragits(登録商標)、特にEudragit(登録商標)RL 30Dが好ましい。
【0232】
ポリエチレングリコールは、広範囲の異なる分子量で入手可能である。本発明の一実施形態において、1000g/モル未満の分子量を有する低分子量ポリエチレングリコール、好ましくは、300~500g/モルの範囲などの、200~600g/モルの範囲の分子量を有するポリエチレングリコール、好ましくはPEG400を使用することができる。本発明の別の実施形態において、1000g/モル以上の分子量を有する高分子量ポリエチレングリコールが用いられ得る。好ましくは、高分子量ポリエチレングリコールは、1000~10000g/モル、より好ましくは、PEG4000などの、2000~8000g/モルの分子量を有する。
【0233】
いくつかの実施形態において、多糖が官能化微粒子重炭酸塩中の追加の機能付与添加剤として使用される場合、多糖の追加の機能付与添加剤は、加水分解デンプン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸及びその塩、アラビアゴム、カラギーナン、グアーガム、イナゴマメガム、キサンタン(xantham)ゴム、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の多糖であってもよい。
【0234】
官能化微粒子重炭酸塩中の追加の機能付与添加剤は、
- グアーガム及びそれらの誘導体、特にヒドロキシプロピルグアー(Jaguar HP-105など);
- ナトリウム、カルシウム又は銅塩(例えば、Kaltostat、Calginat、Landalgine、Kalrostat、Kelacid、Vocoloid、Xantalgin)などの、アルギン酸及びその塩;並びに
- カルボキシメチルセルロース(例えば、Aquaplast、Carmethose、CELLOFAS、Cellpro、Cellugel、Collowel、Ethoxose、Orabase、Lovosa)
からなる群から選択される多糖を含んでも又は多糖からなってもよい。
【0235】
別の実施形態において、官能化微粒子重炭酸塩の追加の機能付与添加剤は、変性された、特に加水分解されたデンプン又はそのようなデンプンを含む化合物を含んでも又はそれらからなってもよい。このクラスの特に好ましい添加剤は、加水分解デンプン、アラビアゴム及びマルトデキストリンであり、マルトデキストリンが特に好ましい。ポリマーは、少なくとも0.02重量%、好ましくは少なくとも0.05重量%、より好ましくは少なくとも0.1重量%の量で官能化微粒子重炭酸塩中に存在してもよい。特に、加水分解デンプン、アラビアゴム、マルトデキストリン、ポリエチレングリコールなどのポリオキシアルキレン誘導体、ポリ(メタ)アクリレート、及びポリビニルアルコールは、例えば、0.02重量%~40重量%、より好ましくは0.1重量%~35重量%、さらにより好ましくは、2重量%~10重量%などの、1重量%~20重量%の量で存在してもよい。
【0236】
一実施形態において、官能化微粒子重炭酸塩は、ロジン酸、その任意の誘導体又はそれらの塩と一緒に追加の機能付与添加剤として少なくとも1種のポリマーを含む。この組み合わせにおいて、ポリマーは、好ましくは、ポリエチレングリコールなどのポリオキシアルキレン及びそれらの誘導体、ポリ(メタ)アクリレート及びそれらの誘導体、ポリビニルアルコール並びに変性された、特に加水分解されたデンプン、マルトデキストリン及びアラビアゴムなどの、多糖類からなる群から選択される。高分子量又は低分子量のポリエチレングリコール(上に定義されたような)、特に低分子量ポリエチレングリコールが好ましい。
【0237】
官能化微粒子重炭酸塩の添加剤としてのロジン酸又はその任意の誘導体若しくは塩と、ポリエチレングリコール(好ましくは低分子量ポリエチレングリコール)との組み合わせの特定の実施形態において、ロジン酸は、官能化微粒子重炭酸塩の総量の5重量%~20重量%の、好ましくは7重量%~11重量%の量で存在し、ポリエチレングリコールは、官能化微粒子重炭酸塩の総量の各々、1重量%~30重量%の、好ましくは、例えば約10重量%又は約20重量%などの、5重量%~25重量%の量で存在する。
【0238】
さらに好ましい実施形態において、第1添加剤としてロジン酸又はその任意の誘導体若しくは塩と、特に第2添加剤としてのポリエチレングリコールとを含む官能化微粒子重炭酸塩は、先ず、ロジン酸又はその任意の誘導体若しくは塩の存在下で重炭酸塩粒子を共粉砕することによって調製され、このようにして得られた官能化粒子は、次に、ポリマーと混合され、ロジン酸及びポリマー、特にポリエチレングリコールで官能化されている微粒子重炭酸塩を得るために押し出される。
【0239】
本発明において追加の機能付与添加剤として使用される油は、動物、植物、又は石油化学起源のものであり得る有機油又は鉱油であってもよい。好適な油は、例えば、オリーブ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油及び大豆油である。
【0240】
油は、エポキシ化など、化学的に変性されてもよい。好ましい油は、エポキシ化大豆油である。油は、少なくとも0.02重量%、好ましくは少なくとも0.05重量%、特には少なくとも0.1重量%の量で官能化微粒子重炭酸塩中に存在してもよい。好ましい実施形態において、油は、0.1重量%~10重量%、より好ましくは1重量%~7重量%の量で官能化微粒子重炭酸塩中に存在することができる。
【0241】
さらなる実施形態において、官能化微粒子重炭酸塩中の追加の機能付与添加剤は、蜜ろう又はカルナバワックスなどのワックスである。
【0242】
ワックスは、少なくとも0.02重量%、好ましくは少なくとも0.05重量%、特には少なくとも0.1重量%の量で本発明による官能化微粒子重炭酸塩中に存在してもよい。ワックスは、例えば、1重量%~30重量%、好ましくは5重量%~25重量%の量で存在することができる。
【0243】
官能化微粒子重炭酸塩の特定の特性に関する追加の情報は、添加剤が添加剤として樹脂酸又は脂肪酸を含むかこれらからなる場合には、SOLVAY SAによる欧州特許出願公開第3037388A1号明細書の中で見ることができ、添加剤がポリマー;無機塩;油;脂肪;樹脂酸、その誘導体、及びその塩;アミノ酸;脂肪酸;カルボン酸又はポリカルボン酸、石鹸;ワックス;その誘導体(エステルなど);その塩;又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができ、且つ微粒子重炭酸塩が噴霧乾燥、コーティング、押し出し、又は少なくとも1種の添加剤との共粉砕によって官能化することができる場合には、SOLVAY SAによる国際公開第2018/015506号パンフレットの中で見ることができる。
【0244】
いくつかの実施形態において、官能化重炭酸塩は、加工助剤、アンチケーキング剤及び/又は流動助剤をさらに含んでもよい。
【0245】
この加工助剤、アンチケーキング剤及び/又は流動助剤は、先ず、機能付与添加剤と混合され、その後、それらの混合物が微粒子重炭酸塩を官能化するために使用される。或いは、この加工助剤、アンチケーキング剤及び/又は流動助剤は、官能化重炭酸塩と混合されてもよい。例えば、官能化重炭酸塩粉末は、徐々に加工助剤、アンチケーキング剤及び/又は流動助剤を導入することによってLoedige型「プラウシェア」ミキサーで混合されてもよい。
【0246】
いくつかの好ましい実施形態において、官能化重炭酸塩は、シリカをさらに含んでもよい。シリカは、官能化重炭酸塩用の加工助剤、アンチケーキング剤及び/又は流動助剤として使用され得る。シリカは非晶質(及び非結晶性)形態にあることが推奨される。好ましくは、官能化重炭酸塩中のシリカは、非晶質沈降シリカである。官能化重炭酸塩は、官能化重炭酸塩の全組成物を基準として少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.2重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%のシリカを含んでもよい。官能化重炭酸塩は5重量%以下、好ましくは4重量%以下のシリカ、より好ましくは3重量%以下のシリカを含むことが推奨される。シリカの存在は、官能化重炭酸塩の流動性を改善することができ、それ故、発泡性ポリマー組成物中の化学発泡剤としてのその均質な適用を促進する。
【0247】
好ましい実施形態では、官能化重炭酸塩は、0.1重量%~5重量%又は0.2重量%~4重量%又は0.5重量%~3重量%のシリカ、0.5重量%~1.5重量%のシリカ、好ましくは非晶質シリカ、より好ましくは非晶質沈降シリカをさらに含んでもよい。
【0248】
シリカは、ISO 5794-1標準、附則Dに従って測定される、例えば180m2/gよりも大きい、好ましくは少なくとも200m2/g、より好ましくは少なくとも400m2/gの、高い比表面積を有する、非常に微細な粒子の形態にあることが好ましい。
【0249】
有利な実施形態によれば、官能化重炭酸塩中のシリカは、20μm未満の平均径を有する、好ましくは最大でも15μm、又は最大でも10μm、より好ましくは最大でも8μmの平均径を有する粒子の形態にある。平均径は、ASTM C-690-1992標準に従って測定される。
【0250】
適切な市販のシリカは、Degussa社によって製造される、非晶質シリカSipernat(登録商標)50S;Sipernat50Sについての450m2/gの代わりに190m2/gのより低い比表面積を有する、Degussaによって製造される非晶質シリカSipernat 22 S;(Sipernat 50S及び22Sについての7μmの代わりに)15μmのより大きい平均径を有する(Solvayによって所有される)Rhodiaによって製造されるシリカTixosil(登録商標)38ABである。それらの制御された粒径を有するRhodia製のTixosil(登録商標)アンチケーキング剤は、水分つまり湿度、圧力、又は静電荷によって悪影響を受ける粉末用の有効な流動性調整剤である。
【0251】
いくつかの実施形態では、官能化重炭酸塩は、12:1~990:1、好ましくは14:1~99:1、より好ましくは16:1~97:1の重炭酸ナトリウム対シリカの重量比を含み得る。
【0252】
官能化微粒子重炭酸塩は、重炭酸塩成分を含有する溶液から、又は既に形成された微粒子重炭酸塩から直接に調製され得る。
【0253】
重炭酸塩成分又は微粒子重炭酸塩は、重炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、又はそれらの混合物を含んでも又はそれらから本質的になってもよく、特に重炭酸塩成分又は微粒子重炭酸塩は、重炭酸ナトリウムを含む又は重炭酸ナトリウムから本質的になる。重炭酸塩成分又は微粒子重炭酸塩は、好ましくは、少なくとも80重量%の重炭酸ナトリウムを含む。
【0254】
官能化微粒子重炭酸塩は、カプセル化プロセス又はコーティングプロセスによって得ることができる。
【0255】
特に、官能化微粒子重炭酸塩、好ましくは上記の官能化微粒子アルカリ金属重炭酸塩を調製するためのプロセスは、以下の技術のうちの少なくとも1つによって行うことができる:
前記添加剤が重炭酸塩含有溶液に溶解している状態での噴霧乾燥(アトマイゼーションとしても知られる)によって、
エマルジョン若しくは粉末形態での前記添加剤との粉砕若しくは共粉砕(ミリング若しくは共ミリングとしても知られる)によって;
流動床内でのスプレーコーティング及び噴霧造粒によって、
流動床内での噴霧集塊によって、
噴霧チリング(例えば、噴霧冷却、噴霧凍結)によって
ローラー圧縮によって、並びに/又は
同時混合/押出などの押出によって。
【0256】
このリストからの1つ以上の方法が除外され得ることは理解されるべきである。
【0257】
噴霧乾燥又はアトマイゼーションによる乾燥は、乾燥技術である。この方法は、数秒又はわずかな秒の間に、粉末を得るために、高温ガス流中に溶液(又は懸濁液)の形態にある、乾燥すべき生成物を噴霧することを含む。微細な液滴への溶液の分割は、大きな物質移動表面を生み出し、それは、使用された溶液の溶媒の迅速な蒸発をもたらす。
【0258】
噴霧乾燥に適した装置は当該技術分野で公知であり、一般に複数のモジュール、すなわち、溶液をアトマイズする又は噴霧するための装置を含む、溶液を貯蔵及びアトマイズするための回路を含むモジュールと、高温ガスの準備及びこれを噴霧された溶液と接触させる場所である乾燥チャンバー(ここで噴霧溶液が蒸発し、粒子が生成する)に移送するためのモジュールと、一般的にはサイクロン及び/又は適切なフィルターを含む粒子を集めるためのモジュールを含む。
【0259】
一般に、溶液をアトマイズする又は噴霧するための装置は、圧縮ガス噴霧器又は分散タービンである。超音波ノズルもまた、溶液を噴霧するために使用することができる。
【0260】
噴霧乾燥プロセスでは、一般に、重炭酸塩の水溶液が使用される。添加剤がそれに溶解できる、他の極性溶媒又は極性溶媒の混合物、例えば水とエタノールとの混合物が使用されてもよいが、水が好ましい溶媒である。
【0261】
噴霧乾燥法において、噴霧乾燥される水溶液は、1~10重量%の重炭酸塩成分を含む。溶液中の重炭酸塩成分は、好ましくは、アルカリ金属重炭酸塩である。噴霧乾燥される溶液は、1~10,000ppmの添加剤又はその塩をさらに含む。使用される添加剤は、好ましくは微粒子官能化重炭酸塩について上で記載されたもののうちの1つである。好ましい実施形態において、噴霧乾燥される溶液中の添加剤の含有量は、噴霧乾燥される溶液の1kg当たり1~5,000ppm、より好ましくは1~3,000ppm、特には10~2,000ppm、例えば50~1,000ppmの添加剤である。一般に、水溶液は、水溶液の1kg当たり、少なくとも1mg、好ましくは少なくとも5mg、より好ましくは少なくとも10mg、さらにより好ましくは少なくとも100mgの添加剤を含む。一般に、水溶液は、水溶液の1kg当たり、最大でも2,000mg、好ましくは最大でも1,500mg、より好ましくは最大でも1,200mgの添加剤を含む。塩の場合、重量百分率は、遊離の塩基/酸を基準として示される。
【0262】
一般に、官能化微粒子重炭酸塩の製造方法における噴霧乾燥プロセスにおいて、水溶液は、1重量%以上、好ましくは2重量%以上、より好ましくは3重量%以上、さらにより好ましくは4重量%以上、特には5重量%以上の重炭酸塩成分を含む。好ましくは、重炭酸塩成分は、重炭酸ナトリウム及び/又は重炭酸カリウムを含むか又はそれらから本質的になり、特に重炭酸ナトリウムを含む又は重炭酸ナトリウムから本質的になる。水溶液中の高濃度の重炭酸塩成分は、噴霧装置又はアトマイジング装置の高速閉塞につながるので有害である。それ故、水溶液は10重量%以下、好ましくは最大又は8%以下、より好ましくは最大又は6%以下の重炭酸塩成分、特に重炭酸ナトリウムを含むことが一般に推奨される。好ましくは、重炭酸塩含有溶液は、1重量%~10重量%、有利には3重量%~8重量%、より有利には4重量%~6重量%などの、4重量%~8重量%の重炭酸塩成分、特に重炭酸ナトリウムを含む水溶液である。
【0263】
高温ガスでの乾燥は、アルカリ金属重炭酸塩の一部を、炭酸ナトリウムと、CO2と水との形態へ分解させる。1つの有利な実施形態において、噴霧乾燥は、乾燥ガス基準で少なくとも5体積%、有利には少なくとも10体積%、より有利には少なくとも20体積%、さらにより有利には少なくとも30体積%のCO2を含むガス中で実施される。これは、炭酸塩固体とCO2ガスと水蒸気とへの重炭酸塩分解を制限することを可能にする。一般に、噴霧乾燥は、40℃~220℃に予熱されたガスを使って実施される。有利には、噴霧乾燥は、噴霧乾燥チャンバー中で実施され、ここで、ガスは予熱された後に、少なくとも40℃、好ましくは少なくとも50℃、より好ましくは少なくとも60℃、さらにより好ましくは少なくとも70℃で噴霧乾燥チャンバーへ導入される。また有利には、ガスは、予熱された後に、最大でも220℃、好ましくは最大でも200℃、より好ましくは最大でも180℃、さらにより好ましくは最大でも130℃で噴霧乾燥チャンバーへ導入される。
【0264】
噴霧乾燥操作後のガスの温度が最大でも80℃、有利には最大でも70℃、より有利には最大でも60℃であることが好ましい。
【0265】
官能化微粒子重炭酸塩の製造方法での一実施形態において、水溶液は、噴霧乾燥操作中に噴霧される前に、少なくとも20℃及び好ましくは最大でも80℃の温度に予熱される。特定の一実施形態において、水溶液は、噴霧乾燥操作中に噴霧される前に、少なくとも20℃及び最大でも25℃の温度に予熱される。
【0266】
官能化微粒子重炭酸塩の製造方法は、共粉砕を受ける物質の100重量部当たり0.02~10重量部の添加剤の存在下でなどの、添加剤の存在下での重炭酸塩成分の共粉砕を含んでもよい。重炭酸塩成分及び添加剤は、好ましくは、上に定義されたとおりである。
【0267】
共粉砕による官能化微粒子重炭酸塩の調製方法において、当技術分野で公知のような全ての好適な粉砕手順を用いることができる。
【0268】
典型的な装置には、可動機械部品の衝撃を受けるときに材料が粉砕され、及び材料の粒子を砕く効果を有するミルである、衝撃式ミルが含まれる。衝撃式ミルは、微細ミリング技術分野で周知である。そのようなミルには、ハンマーミル、スピンドルミル、アトライターミル、ジェットミル、遊星ボールミルなどの、ボールミル、及びケージミルが含まれる。そのようなミルは、例えば、Grinding Technologies and System SRLによって又はHosokawa Alpine AGによって製造され、又はこれらから入手可能である。最も好ましくは、Alpine LGM 3が用いられる。アルカリ金属重炭酸塩粒子の調製方法において、アルカリ金属重炭酸塩は、添加剤、すなわち上で定義されたようなアミノ酸の存在下で粉砕される。重炭酸塩及び添加剤の総量が一度にミルへ添加され、これにミリングが続くか、好ましくは重炭酸塩及び添加剤が一定の速度でミリング装置へ供給されるかのいずれかである。重炭酸塩についての好適な速度は、50kg/h~500kg/h、好ましくは100kg/h~400kg/h、例えば約150kg/hである。添加剤の量は、使用される重炭酸塩成分と添加剤との重量比に対応する。例えば、重炭酸塩成分が、共粉砕を受ける物質の100重量部当たり、1重量部の添加剤の存在下で共粉砕される場合、添加剤の供給速度は、重炭酸塩成分の供給速度の1%にすぎない。
【0269】
共粉砕による官能化微粒子重炭酸塩の調製方法における、添加剤(例えば脂肪酸、ロジン酸、それらの誘導体、若しくはそれらの塩、又はそれらの組み合わせ)の量は、共粉砕を受ける物質の100重量部当たり0.02~10重量部である。0.02重量部未満では、添加剤の効能は少ししかない。10重量部より多い量の添加剤を使用すると、コストの理由で不利である。好ましい量は、共粉砕を受ける物質(典型的には重炭酸塩成分及び少なくとも1種の添加剤)の100重量部当たり各々、0.2~8重量部の添加剤、より好ましくは0.5~5重量部の添加剤、さらにより好ましくは0.8~2重量部の添加剤、特には約1重量部の添加剤である。
【0270】
いくつかの実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩の製造方法は、例えば流動床内での、スプレーコーティングを含んでもよい。流動床内でのスプレーコーティングは、粉末(重炭酸塩成分の固体粒子)が流動化チャンバーへ供給される技術である。ガスが、グリッドを通ってチャンバー底部から粉末を流動化させる。溶解形態での、溶融した形態での、及び/又は分散した固体形態での(例えば溶液、エマルジョン、懸濁液、メルト、メルトエマルジョン又はメルト懸濁液での)添加剤を含む液体が、粒子上へ層又はコーティングを適用するために流動化粉末へ噴霧される。
【0271】
いくつかの実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩の製造方法は、例えば流動床内での噴霧造粒を含んでもよい。流動床噴霧造粒は、液体から自由流動性顆粒を製造する方法である。水溶液、エマルジョン、懸濁液、メルト、メルトエマルジョン又はメルト懸濁液などの、固体を含有する液体は、流動床系へ噴霧される。固体は、好ましくは重炭酸塩粒子である。高い熱交換のために、液体中の水性溶媒又は有機溶媒は直ちに蒸発し、固体がスタータコアとしての小さい粒子を形成する。これらは、添加剤を含有する別の液体(溶液/懸濁液)とともに噴霧される。ガスは、チャンバーへ噴霧された添加剤溶液/懸濁液を流動化させる。流動床における蒸発及び乾燥後に、乾燥添加剤は、スタータコアの周りにハードコーティングを形成する。この工程は、顆粒が成長してタマネギ様又はブラックベリー様の構造を形成するように、流動床において連続的に繰り返される。タマネギ様構造は、層ごとのコーティングから得られる。或いは、好適なスタータコアの明確な容積を提供することができる。この選択肢では、液体は、適用されつつある固体用のビヒクルとして役立つにすぎない。
【0272】
いくつかの実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩の製造方法は、例えば流動床内での、噴霧集塊を含んでもよい。流動床内での噴霧集塊は、粉末又は微細顆粒が流動化チャンバーへ供給される技術である。ガスが、グリッドを通ってチャンバー底部から粒子を流動化させる。バインダーとして働く、液体(溶液、エマルジョン、懸濁液、メルト、メルトエマルジョン又はメルト懸濁液のいずれか)が、流動化粒子上に噴霧される。粒子から塊を形成する液体ブリッジが生み出される。噴霧は、塊の所望のサイズに達するまで続く。
【0273】
いくつかの実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩の製造方法は、噴霧チリング(又は噴霧冷却、噴霧凍結)を含んでもよい。噴霧チリングは、メルト、メルトエマルジョン又はメルト懸濁液が流動化チャンバーへ噴霧される技術である。冷却ガスが流動化チャンバーに注入される。固体粒子の固化は、流動床中で冷却空気に熱を失うメルト小滴によって達成される。
【0274】
いくつかの実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩の製造方法は、ローラー圧縮を含み得る。ローラー圧縮は、かなりのサイズ拡大を引き起こす、力を粉末上へ加えることによって粉末粒子が互いに付着させられる技術である。粉末は、力を加えるために2つの反対方向に回転するロール間で圧縮される。得られたブリケット、フレーク又はリボンは、所望の粒径に達するためにロールから砕かれる。
【0275】
いくつかの実施形態では、官能化微粒子重炭酸塩の製造方法は、押出(又は混合押出)を含み得る。押出(又は混合押出)は、粉末又は別の材料が、固定横断面のダイに押し通される技術である。1つのスクリュー、2つのスクリュー又は一連のパドルが、混合、脱ガス及び均質化段階に材料を押し通すのを助け得る。距離に沿った温度制御は、相変化、溶融、結晶化、化学反応、材料のコーティング又は造粒を可能にする。
【0276】
いくつかの実施形態において、官能化重炭酸塩が、シリカ、好ましくは非晶質シリカ、より好ましくは非晶質沈降シリカをさらに含む場合、シリカは、先ず、機能付与添加剤と混合されてもよく、その後、それらの混合物が微粒子重炭酸塩を官能化するために使用される。或いは、シリカは、官能化重炭酸塩と、それが調製された後に混合されてもよい。例えば、官能化重炭酸塩粉末は、シリカを官能化微粒子重炭酸塩中へ徐々に導入することによってLoedige型「プラウシェア」ミキサーで混合されてもよい。シリカは、官能化重炭酸塩中に加工助剤、アンチケーキング剤(水捕捉のための乾燥剤として働くなど)、及び/又は流動助剤として使用され得る。例えば、官能化重炭酸塩粉末は、自由流動性粉末を形成するために非晶質沈降シリカと混合されてもよい。
【0277】
ポリマーを発泡させるための化学発泡剤は、本明細書の様々な実施形態において記載されている少なくとも1種の添加剤を含有する本明細書の様々な実施形態において記載されている官能化微粒子重炭酸塩を含有する。任意選択的に、官能化微粒子重炭酸塩は、加工助剤、アンチケーキング剤(水捕捉用の乾燥剤として働くなど)、及び/又は流動助剤をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、官能化微粒子重炭酸塩は、本明細書での様々な実施形態において記載されるような、シリカ、好ましくは非晶質シリカ、より好ましくは非晶質沈降シリカをさらに含んでもよい。
【0278】
いくつかの実施形態において、架橋性ポリマーを発泡させるための化学発泡剤は、1000nm以下の粒径D50を有する官能化微粒子重炭酸塩を含む。
【0279】
代わりの実施形態において、架橋性ポリマーを発泡させるための化学発泡剤は、1ミクロン超及び最大で250μm、好ましくは最大で100μm、より好ましくは最大で60μm、その上より好ましくは最大で40μm、又は最大で30μm、又は最大で25μmの粒径D50を有する官能化微粒子重炭酸塩を含む。
【0280】
本明細書で記載される官能化微粒子重炭酸塩及びその機能付与のために使用される添加剤についての任意の特定の実施形態がここで適用できる。
【0281】
いくつかの実施形態において、化学発泡剤は、加熱中に窒素ガスを遊離させる化合物を含有しない。
【0282】
いくつかの実施形態において、化学発泡剤は、加熱中にアンモニアを遊離させる化合物を含有しない。
【0283】
好ましい実施形態において、化学発泡剤は、本明細書での様々な実施形態において記載されるような官能化微粒子重炭酸塩を含む吸熱性化学発泡剤である。
【0284】
好ましい実施形態において、化学発泡剤は、発熱性発泡剤を含有しない。
【0285】
いくつかの実施形態において、化学発泡剤は、官能化微粒子重炭酸塩を含み、別の発泡剤としての第2の化合物をさらに含む。
【0286】
第2の化合物は、好ましくは、吸熱性発泡剤である。
【0287】
第2の化合物は、好ましくは、加熱時にCO2を遊離させることができる。この第2の化合物は、好ましくは、加熱時に官能化微粒子重炭酸塩の分解によって既に形成されるCO2発生を増加させる。
【0288】
発泡剤として働くこの2遊離性の第2の化合物は、カルボン酸若しくはポリカルボン酸、それらの誘導体(エステルなど)、又はそれらの塩であってもよい。
【0289】
好適なカルボン酸には、式:HOOC--R--COOH(ここで、Rは、1個以上のヒドロキシ基又はケト基でまた置換されていてもよく、不飽和をまた含有していてもよい、1~約8個の炭素原子のアルキレン基である)のものが含まれる。エステル、塩及びハーフ塩もまた含まれる。
【0290】
発泡剤として働く好ましいCO2遊離性の第2の化合物には、
- フマル酸、
- 酒石酸、又は
- クエン酸、クエン酸塩(クエン酸水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウムなど)、若しくはクエン酸のエステル
の少なくとも1つが含まれ得る。
【0291】
クエン酸のエステルには、トリブチルシトレート、トリエチルシトレート、トリ-C12~13アルキルシトレート、トリ-C14~15アルキルシトレート、トリカプリリルシトレート、トリエチルヘキシルシトレート、トリイソセチルシトレート、トリオクチルドデシルシトレート及びトリイソステアリルシトレート、イソデシルシトレート及びステアリルシトレート、ジラウリルシトレート、及び/又はエチルシトレート(トリ-、ジ-及びモノエステルの混合物)、好ましくはトリブチルシトレート、トリエチルシトレート、イソデシルシトレート、又はトリエチルヘキシルシトレートが含まれ得る。
【0292】
吸熱性発泡剤として働くより好ましいCO2遊離性の第2の化合物は、クエン酸、そのエステル、又はそれらの塩を含むか又はそれらからなる。
【0293】
その上代わりの実施形態において、化学発泡剤は、好ましくは、ADCA(アゾジカルボンアミド)、OBSH(4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド))、DNPT(ジニトロソペンタメチレンテトラミン)、PTSS(p-トルエンセミカルバジド)、BSH(ベンゼン-4-スルホノヒドラジド)、及びTSH(トルエン-4-スルホノヒドラジド)、5-PT(5-フェニルテトラゾール)からなる群から選択される、発熱性化学発泡剤をさらに含んでもよく、より好ましくは、ADCA(アゾジカルボンアミド)をさらに含んでもよい。そのような実施形態において、化学発泡剤は、5:95~95:5、好ましくは90:10~10:90、より好ましくは85:15~15:85、その上より好ましくは80:20~20:80の官能化重炭酸塩対発熱性化学発泡剤の重量比からなってもよい。
【0294】
任意選択的に、官能化微粒子重炭酸塩を含む化学発泡剤は、加工助剤、アンチケーキング剤(水捕捉のための乾燥剤として働くなど)、及び/又は流動助剤をさらに含んでもよい。
【0295】
好ましい実施形態では、化学発泡剤は、微粒子状の官能化微粒子重炭酸塩と、シリカ、好ましくは非晶質シリカ、より好ましくは非晶質沈降シリカとの混合物を含む。
【0296】
CO2生成を補う発泡剤組成物中の第2のCO2-遊離化合物も官能化微粒子形態であってよいことが想定される。この官能化微粒子の第2の化合物は、官能化微粒子重炭酸塩に関して本明細書で記載されたような添加剤を含むであろう。微粒子の第2の化合物のこの機能付与はまた、官能化微粒子重炭酸塩の製造に関して上に記載されたような1つ以上の技術を用いてもよい。
【0297】
いくつかの実施形態において、吸熱性発泡剤は、
- 様々な実施形態において本明細書で記載されるような、官能化微粒子重炭酸塩;及び
- 官能化微粒子カルボン酸若しくはポリカルボン酸、それらの誘導体(エステルなど)、又はそれらの塩
を含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなる。
【0298】
特定の実施形態において、吸熱性発泡剤は、
- 様々な実施形態において本明細書で記載されるような、官能化微粒子重炭酸塩;及び
- フマル酸、酒石酸、クエン酸、それらの塩(クエン酸水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウムなど)、それらのエステル、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される官能化微粒子のカルボン酸又はポリカルボン酸、それらの誘導体、又はそれらの塩;
を含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなる。
【0299】
いくつかの実施形態において、架橋性ポリマーを発泡させるための化学発泡剤は、両方とも1000nm以下の粒径D50を有する、官能化微粒子重炭酸塩と、官能化微粒子の第2の化合物(例えば官能化カルボン酸若しくはポリカルボン酸、それらの誘導体、又はそれらの塩)とを含む。
【0300】
代わりの実施形態において、架橋性ポリマーを発泡させるための化学発泡剤は、両方とも1ミクロン超及び250ミクロン以下、好ましくは30ミクロン以下の粒径D50を有する、官能化微粒子重炭酸塩と、官能化微粒子の第2の化合物(例えば、官能化カルボン酸若しくはポリカルボン酸、それらの誘導体、又はそれらの塩)とを含む。
【0301】
その上代わりの実施形態において、架橋性ポリマーを発泡させるための化学発泡剤は、1000nm以下の粒径D50を有する官能化微粒子重炭酸塩と、1ミクロン超及び250ミクロン以下、好ましくは30ミクロン以下の粒径D50を有する官能化微粒子の第2の化合物(例えば、官能化カルボン酸若しくはポリカルボン酸、それらの誘導体、又はそれらの塩)とを含む。
【0302】
吸熱性発泡剤が官能化微粒子重炭酸塩と、官能化微粒子の第2の化合物(例えば、官能化カルボン酸若しくはポリカルボン酸、それらの誘導体、又は塩)とを含む実施形態において、そのような発泡剤の製造方法は、以下の工程;
- A/第1添加剤(ここで、第1添加剤は、本明細書で定義されるものから選択される)を使用して官能化微粒子重炭酸塩を製造する工程;別々に、第2添加剤(ここで、第2添加剤は、本明細書で定義されるものから選択される)を使用して官能化微粒子の第2の化合物を製造する工程;官能化微粒子重炭酸塩と官能化微粒子の第2の化合物とを混合して吸熱性発泡剤を製造する工程;又は
- B/機能付与前に、微粒子重炭酸塩と微粒子の第2の化合物とを混合して非官能化微粒子混合物を製造する工程;及び少なくとも1種の添加剤(本明細書で定義されるような)を使用して非官能化微粒子混合物を官能化して吸熱性発泡剤を製造する工程
を含有し得る。
【0303】
方法A/において、第1及び第2添加剤は、同じものであってもよいし、又は異なってもよい。官能化微粒子重炭酸塩及び官能化微粒子の第2の化合物を製造するための技術は、同じものであってもよいし、又は異なってもよい。
【0304】
方法B/において、添加剤並びに微粒子重炭酸塩及び微粒子の第2の化合物の機能付与のための技術は、一般に同じものであり、したがって、吸熱性発泡剤の製造においてより少ない柔軟性をもたらす。しかしながら、この方法は、よりコスト効率が高いであろう。
【0305】
発泡性ポリマー組成物の調製方法は、
- 発泡性ポリマー組成物の成分が官能化微粒子重炭酸塩である、本明細書で提供されるような発泡性ポリマー組成物の成分を混合する工程
を含み得る。
【0306】
方法における混合工程は、連続混合又はバッチ混合で行うことができる。混合は、1~30分、好ましくは5~20分、例えばニーダー中で行って成分をブレンドし、次いで低温粉砕(液体窒素を使用)又はカレンダー加工(40℃など)することができる。混合条件の選択は、装置の具体的な特性に依存する。発泡性ポリマー組成物の調製方法の混合工程は、従来のフォーム製造の場合のように、任意の適切な温度で行うことができる。
【0307】
発泡性ポリマー組成物は、
- 本明細書に記載の粉末形態での官能化微粒子重炭酸塩と、
- 任意選択的な、ADCA(アゾジカルボンアミド)、OBSH(4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド))、DNPT(ジニトロソペンタメチレンテトラミン)、PTSS(p-トルエンセミカルバジド)、BSH(ベンゼン-4-スルホノヒドラジド)、及びTSH(トルエン-4-スルホノヒドラジド)、5-PT(5-フェニルテトラゾール)などの、発熱性発泡剤、並びに任意選択的にZnOなどの発熱性発泡剤用の分解開始剤と、
- 少なくとも1種の発泡性架橋性ポリマーと、
- 架橋作用を有する過酸化物系化合物と、
- 任意選択的な、無機充填剤及び/又は染料などの1種以上の添加剤と、
を混合することによって調製することができる。
【0308】
発泡性組成物は、(本明細書で記載されるような)発泡させるための補完的吸熱性化学発泡剤として使用される官能化微粒子の第2の化合物を任意選択的に含んでもよい。官能化微粒子の第2の化合物は、官能化微粒子カルボン酸若しくはポリカルボン酸、それらの誘導体、又は塩であってもよい。官能化微粒子の第2の化合物は、フマル酸、酒石酸、クエン酸、それらの塩(クエン酸水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウムなど)、それらのエステル、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができる。
【0309】
本発明のさらなる態様は、上記の発泡性ポリマー組成物が加熱される、発泡ポリマーの調製方法に関する。
【0310】
本発泡剤及び上で議論された発泡性ポリマー組成物を使用して製造される発泡ポリマーは、押出、カレンダー加工、射出成形、圧縮成形、コーティング、膨張キャスティング(expansion casting)又は回転成形を含む方法によって製造することができる。
【0311】
好ましい実施形態では、発泡ポリマーの調製方法は、以下の工程:
- 本明細書で提供されるような発泡性ポリマー組成物の成分を混合する工程;及び
- 混合から得られた発泡性ポリマー組成物を加熱する工程;
を含むことができる。
【0312】
好ましくは、加熱工程は、混合工程の完了後直ちに実施される。
【0313】
発泡ポリマーの調製方法は、成形などの造形工程を含み得る。
【0314】
いくつかの実施形態では、発泡ポリマーの調製方法は、以下のことを含み得る:
- 混合した発泡性ポリマー組成物を炉内で予熱して、成形前にポリマーを軟化させること(例えば80~120℃、好ましくは約100℃で約5分間);
- 予熱された発泡性組成物をモールド内に注入し、所定の時間(通常4~10分、好ましくは4~7分)及び所定の圧力(1~3barなど)で、モールド内で所定の温度(EVA及びXPLOについては通常約180~190℃)で加熱して、化学発泡剤からガスを発生させポリマーを架橋させること;
- 所定の時間の後、モールドを開け、圧力降下によるガスの放出によってポリマーを膨張させ、発泡ポリマーを形成すること;及び
- 好ましくは冷却装置又は冷却方法を利用せずに発泡ポリマーを室温まで冷却すること。
【0315】
いくつかの実施形態では、発泡ポリマーの調製方法は、以下のことを含み得る:
- 混合した発泡性ポリマー組成物を炉内で予熱して、成形前にポリマーを軟化させること(80~120℃、好ましくは約100℃で約5分間など);
- 予熱された発泡性組成物をモールド内に圧縮成形し、所定の時間(通常4~10分、好ましくは4~7分)及び所定の圧力(1~3barなど)で、モールド内で所定の温度(EVA及びXPLOについては通常約180~190℃)で加熱して、化学発泡剤からガスを発生させポリマーを架橋させること;
- 所定の時間の後、モールドを開け、圧力降下によるガスの放出によってポリマーを膨張させ、発泡ポリマーを形成すること;及び
- 好ましくは冷却装置又は冷却方法を利用せずに発泡ポリマーを室温まで冷却すること。
【0316】
モールド内での加熱は、樹脂及びポリマーの組成に応じて、約120℃から最大約220℃、又は約120℃から最大約210℃、又は約120℃から最大約200℃、又は約170℃から最大約195℃、又は約175℃から最大約190℃の温度で行うことができる。
【0317】
加熱工程における加熱時間は、ポリマーの処方、材料の形状、温度等に依存する。
【0318】
上述の発泡性ポリマー組成物からの発泡ポリマーの調製方法において、発泡剤としての官能化微粒子重炭酸塩の存在下での加熱期間中の時間は、発泡剤としてのアゾジカルボンアミドの存在下でよりも短い(他の全ての成分は同じもののままである)。
【0319】
発泡性ポリマー組成物が官能化微粒子重炭酸塩を含有する場合、ポリマーのガラス転移温度Tgを超える温度及び/又は溶融温度Tmを超える温度での加熱時間は、好ましくは少なくとも4分且つ最大10分、又は8分以下、特には7分以下である。
【0320】
一般に、ポリマーが加熱温度に保持される時間は、使用される発泡剤に依存する。発泡剤としてのいくつかの官能化微粒子重炭酸塩について、官能化微粒子重炭酸塩がアビエチン酸及び/又はジヒドロアビエチン酸を含むものなどのロジン酸又は誘導体を含む場合などは、EVA又は架橋XLPOのためにはより短い加熱時間が有利な場合がある。そのような場合、発泡したEVA又は架橋したXLPOポリマーフォームは、化学発泡剤がADCAとその分解開始剤ZnOとからなる場合に得られるものと比較して、かなり短い加熱時間で優れた発泡倍率が得られる。アビエチン酸及び/又はジヒドロアビエチン酸を含むものなどのロジン酸又は誘導体で官能化されている重炭酸塩粒子については、加熱温度が200℃未満、特に175~190℃の範囲などのかなり低い場合にも、短時間で優れた結果が特に得られる。
【0321】
発泡EVA及び/又はXLPOポリマーを製造するためのプロセスのいくつかの実施形態については、発泡性ポリマー組成物が加熱される際には、官能化微粒子重炭酸ナトリウムからCO2ガスを遊離し、EVA又はPOポリマーを溶融及び架橋するのに適した温度は、発泡したEVA又は架橋したPOポリマーを得るための温度で4~7分の所定の時間、175~195℃、好ましくは178~190℃とすることができる。
【0322】
本発明のさらなる態様は、上に記載されたような発泡性組成物から得られる発泡ポリマーに関する。
【0323】
得られた発泡ポリマーは、靴や靴底などの履物用途、又は自動車用途に有利に使用することができる。
【0324】
架橋した発泡ポリマーは、ポリオレフィン(PO)、ポリオレフィンエラストマー(POE)、ポリオレフィンブロックコポリマー(OBC)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、又はEVA/POコポリマーなどのそれらの組み合わせ、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレン/α-オレフィンブロックコポリマー、又はこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0325】
本発明の好ましい実施形態では、発泡ポリマーは、発泡EVA及び/又はXLPOである。
【0326】
発泡EVA及び/又はXLPOは、靴又は靴底などの履物用途、又は自動車用途に有利に使用することができる。
【0327】
発泡した架橋ポリマーフォームは、セルサイズが250μm以下であることによって特徴付けることができる。セルサイズの分布は、少数の大きなセル(200~250μm)と多数の小さなセル(50~100μm)の二峰性であってもよい。
【0328】
EVA及び/又はXLPOの発泡ポリマーは、少なくとも2.70、好ましくは少なくとも2.80、より好ましくは少なくとも2.9の発泡倍率を有することができ、及び/又は0.4g/cm3未満、好ましくは0.38g/cm3未満、より好ましくは最大0.35g/cm3、さらに好ましくは最大0.33g/cm3、最も好ましくは0.31g/cm3の密度を有する。発泡倍率は、セクション2.4のフォームの特性評価で提供される式に基づいて計算される。
【0329】
EVA及び/又はXLPOフォームが、少なくとも1種の添加剤を含む官能化微粒子重炭酸塩を含む発泡性EVA及び/又はPO組成物から製造されるいくつかの実施形態では、EVA及び/又はXLPOフォームは、0.20~0.35g/cm3の密度、好ましくは0.22~0.32g/cm3の密度、より好ましくは0.24~0.3g/cm3の密度を有する。
【0330】
官能化微粒子重炭酸塩中の添加剤は、好ましくは1重量%~15重量%又は2重量%~10重量%の量であり、リノール酸、ロジン酸、それらの任意の誘導体、及びそれらの二種以上の任意の組み合わせからなる群から選択され、好ましくはアビエチン酸及び/又はデヒドロアビエチン酸を含むロジン酸又は誘導体からなる群から選択される。官能化微粒子重炭酸塩は、好ましくはシリカを好ましくは0.5重量%~2重量%の量でさらに含む。
【0331】
発泡性EVA及び/又はPO組成物は、1.5~6重量%、好ましくは3~6重量%、より好ましくは3.5~5.5重量%の官能化微粒子重炭酸塩を含み得る。
【0332】
発泡性ポリマー組成物の異なる変形形態、発泡性ポリマー組成物の前記変形形態から発泡架橋ポリマーを製造するための方法は、以下でより詳しく記載される。
【0333】
項目1.発泡性ポリマー組成物(FC)であって:
- ポリオレフィン(PO)、ポリオレフィンエラストマー(POE)、ポリオレフィンブロックコポリマー(OBC)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、EVA/POコポリマー、EVA/OBCコポリマー、及びこれらの組み合わせから、例えば好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレン/α-オレフィンブロックコポリマー、及びこれらの組み合わせなどからなる群から選択される架橋性ポリマー、
- 過酸化物系架橋剤、
- 官能化微粒子重炭酸塩を含む化学発泡剤であって、前記官能化微粒子重炭酸塩が少なくとも1種の脂肪酸、ロジン酸、これらの任意の誘導体、これらの任意の塩、又はこれらの組み合わせを含む添加剤を含有する化学発泡剤、
を含有する、発泡性ポリマー組成物。
【0334】
項目2.前記官能化微粒子重炭酸塩中の前記添加剤が、ロジン酸又はその誘導体を含むかそれらからなり、前記ロジン酸又はその誘導体が、アビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、及び/又はネオアビエチン酸、脂肪酸(リノール酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノレン酸、及び/又はステアリン酸など)、任意のこれらの誘導体(任意のエステル、それらの任意の塩、又はそれらの任意の組み合わせなど)を含み、好ましくは、アビエチン酸及び/又はジヒドロアビエチン酸、リノール酸、任意のそれらの誘導体、任意のそれらの塩、又は任意のそれらの組み合わせを含むロジン酸又はその誘導体を含む、項目1に記載の発泡性ポリマー組成物。
【0335】
項目3.前記官能化微粒子重炭酸塩からステアリン酸又はステアリン酸塩が除外される、項目1又は2に記載の発泡性ポリマー組成物。
【0336】
項目4.前記官能化微粒子重炭酸塩が、
- 1種以上のポリマー;
- 1種以上のアミノ酸、それらの任意の誘導体、及びそれらの塩;
- 1種以上の無機塩;
- 1種以上の油;
- 1種以上の脂肪;
- 1種以上の樹脂酸、それらの任意の誘導体、及びそれらの塩;
- 1種以上の脂肪酸、それらの任意の誘導体、及びそれらの塩;
- カルボン酸若しくはポリカルボン酸、それらの誘導体(エステルなど)、若しくはそれらの塩;
- 1種以上の石鹸;
- 1種以上のワックス;又は
- それらの任意の組み合わせ
から選択され;
好ましくは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレン及びそれらの誘導体、ポリ(メタ)アクリレート及びそれらの誘導体、ポリビニルアルコール、多糖類並びにそれらの組み合わせからなる群からより好ましくは選択される少なくとも1種のポリマーから;さらにより好ましくは、ポリビニルアルコール並びにポリエチレングリコールなどのポリオキシアルキレン及びそれらの誘導体からなる群から選択される、少なくとも1種の追加の添加剤をさらに含有する、項目1~3のいずれか1つに記載の発泡性ポリマー組成物:
【0337】
項目5.前記官能化微粒子重炭酸塩が、加熱時にCO2を遊離させる第2の添加剤をさらに含み、前記第2のCO2-遊離化合物が、好ましくは
- フマル酸、
- 酒石酸、
- クエン酸、クエン酸塩(クエン酸水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウムなど)、若しくはクエン酸のエステル;又はそれらの組み合わせ
の少なくとも1つである、項目1~4のいずれか1つに記載の発泡性ポリマー組成物。
【0338】
項目6.前記化学発泡剤が発熱性発泡剤を含まないか、前記化学発泡剤が加熱中に窒素又はアンモニアガスを遊離する化合物を含まない、項目1~5のいずれか1つに記載の発泡性ポリマー組成物。
【0339】
項目7.前記化学発泡剤が、ADCA(アゾジカルボンアミド)、OBSH(4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド))、DNPT(ジニトロソペンタメチレンテトラミン)、PTSS(p-トルエンセミカルバジド)、BSH(ベンゼン-4-スルホノヒドラジド)、及びTSH(トルエン-4-スルホノヒドラジド)、5-PT(5-フェニルテトラゾール)からなる群から好ましくは選択される発熱性発泡剤をさらに含み、より好ましくはADCAを含む、項目1~5のいずれか1つに記載の発泡性ポリマー組成物。
【0340】
項目8.前記官能化微粒子重炭酸塩が、少なくとも65重量%且つ100重量%未満の前記重炭酸塩成分と、35重量%以下から0.02重量%までの前記添加剤のうちの少なくとも1種とを含む、項目1~7のいずれか1つに記載の発泡性ポリマー組成物。
【0341】
項目9.前記官能化微粒子重炭酸塩の粒子が、1μm超、好ましくは少なくとも5μm、且つ最大250μm、好ましくは最大100μm、より好ましくは最大60μm、その上より好ましくは最大40μm、その上最も好ましくは最大25μmのD50の粒度分布を有する、項目1~8のいずれか1つに記載の発泡性ポリマー組成物。
【0342】
項目10.前記官能化微粒子重炭酸塩が以下のプロセス:
- 前記添加剤が重炭酸塩含有溶液に溶解している状態での噴霧乾燥(アトマイゼーションとしても知られる)によって、
- エマルジョン若しくは粉末形態での前記添加剤との重炭酸塩粒子の粉砕若しくは共粉砕(ミリング若しくは共ミリングとしても知られる)によって;
- 流動床内での重炭酸塩粒子のスプレーコーティング及び噴霧造粒によって、
- 流動床内での重炭酸塩粒子の噴霧集塊によって、
- 重炭酸塩粒子の噴霧チリング(例えば、噴霧冷却、噴霧凍結)によって、
- 重炭酸塩粒子のローラー圧縮によって、並びに/又は
- 重炭酸塩粒子の同時混合/押出などの押出によって、
のうちの少なくとも1つによって得られ、任意選択的にはその後このようにして得られた官能化微粒子重炭酸塩を粉砕してその平均粒子サイズを小さくすることによって得られ、
好ましくは、重炭酸塩粒子を前記添加剤と共に粉砕、押出、及び/又はスプレーコーティングすることによって得られ、
より好ましくは重炭酸塩粒子を前記添加剤と共に粉砕及び/又は押出することによって得られる、項目1~9のいずれか1つに記載の発泡性ポリマー組成物。
【0343】
項目11.前記官能化微粒子重炭酸塩が、重炭酸塩粒子を前記添加剤と共に粉砕、押出、及び/又はスプレーコーティングすることによって、好ましくは重炭酸塩粒子を前記添加剤と共に粉砕及び/又は押出を行うことによって、並びに任意選択的にはその後このようにして得られた官能化微粒子重炭酸塩を粉砕してその平均粒子サイズを小さくすることによって得られる、項目1~10のいずれか1つに記載の発泡性ポリマー組成物。
【0344】
項目12.前記化学発泡剤が、加熱時にCO2を遊離させる第2の化合物であって、カルボン酸若しくはポリカルボン酸、それらの誘導体(エステルなど)、又はそれらの塩からなる群から選択される第2のCO2-遊離化合物をさらに含み、前記第2のCO2-遊離化合物が、任意選択的に前記官能化微粒子重炭酸塩中のものとは異なる又は同じ少なくとも1種の添加剤、好ましくは同じ添加剤で官能化されており、前記第2のCO2-遊離化合物が、好ましくは、以下のうちの少なくとも1つである、項目1~11のいずれか1つに記載の発泡性ポリマー組成物:
- フマル酸、
- 酒石酸、
- クエン酸、クエン酸塩(クエン酸水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウムなど)、若しくはクエン酸のエステル;又はそれらの組み合わせ。
【0345】
項目13.前記官能化微粒子重炭酸塩又は前記官能化微粒子重炭酸塩を含む前記化学発泡剤から、クエン酸、そのエステル、又はその塩(クエン酸塩など)が除外される、項目1~11のいずれか1つに記載の発泡性ポリマー組成物。
【0346】
項目14.安定性制御剤、造核剤、充填剤、顔料、酸化防止剤、酸捕捉剤、UV安定剤、難燃剤、潤滑剤、加工助剤、押出助剤、発泡剤活性化剤、染料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の成分をさらに含有する、項目1~13のいずれか1つに記載の発泡性ポリマー組成物。
【0347】
項目15.亜鉛を含むADCA分解開始剤などの発泡剤活性化剤が除外され、好ましくは、ZnOが除外される、項目1~14のいずれか1つに記載の発泡性ポリマー組成物。
【0348】
項目16.前記官能化微粒子重炭酸塩がシリカをさらに含み、好ましくはアモルファスシリカを含み、より好ましくはアモルファス沈降シリカを含む、項目1~15のいずれか1つに記載の発泡性ポリマー組成物。
【0349】
項目17.前記過酸化物系架橋剤が、有機過酸化物、好ましくはジクミルペルオキシド又はビス(tert-ブチルジオキシイソプロピル)ベンゼンである、項目1~16のいずれか1つに記載の発泡性ポリマー組成物。
【0350】
項目18.前記架橋性ポリマーが、ポリオレフィン(PO)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、及びEVA/POコポリマーからなる群から選択され、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、EVA/ポリエチレン、EVA/ポリプロピレン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、項目1~17のいずれか1つに記載の発泡性ポリマー組成物。
【0351】
項目19.1.5重量%~6重量%の前記官能化微粒子重炭酸塩を含む、項目1~18のいずれか1つに記載の発泡性ポリマー組成物。
【0352】
項目20.前記官能化微粒子重炭酸塩が、少なくとも145℃、好ましくは少なくとも150℃のTGA最大減少温度又はDSC最大ピーク温度によって特徴付けられる、項目1~19のいずれか1つに記載の発泡性ポリマー組成物。
【0353】
項目21.前記官能化微粒子重炭酸塩が、非官能化微粒子重炭酸塩よりも少なくとも5℃高い、好ましくは少なくとも10℃高いTGA最大減少温度又はDSC最大ピーク温度によって特徴付けられる、項目1~20のいずれか1つに記載の発泡性ポリマー組成物。
【0354】
項目22.前記官能化重炭酸塩が、非官能化重炭酸ナトリウムとクエン酸又はクエン酸塩との混合物よりも少なくとも5℃高い、好ましくは少なくとも10℃高いTGA最大減少温度又はDSC最大ピーク温度によって特徴付けられる、項目1~21のいずれか1つに記載の発泡性ポリマー組成物。
【0355】
項目23.前記官能化微粒子重炭酸塩が、TGA又はDSC分析における単一の分解ピークによって特徴付けられる、項目1~22のいずれか1つに記載の発泡性ポリマー組成物。
【0356】
項目24.前記官能化重炭酸ナトリウムが、ADCAよりも低い、及び/又は非官能化微粒子重炭酸ナトリウムとクエン酸又はクエン酸塩との混合物よりも高い活性化温度を有する、項目1~23のいずれか1つに記載の発泡性ポリマー組成物。
【0357】
項目25.好ましくは前記発泡架橋ポリマーが、好ましくは、EVA、架橋ポリオレフィン(XLPO)、架橋ポリオレフィンブロックコポリマー(OBC)、EVA/POコポリマー、及びEVA/OBCコポリマーからなる群から選択され、より好ましくは、EVA、架橋ポリオレフィン(XLPO)、及び架橋EVA/POコポリマーからなる群から選択される、発泡架橋ポリマーの製造方法であって、
- 前記官能化微粒子重炭酸塩を含有する項目1~24のいずれか1つに記載の発泡性ポリマー組成物を、CO2ガスを遊離させるのに適した温度でモールド内で加熱し、前記架橋性ポリマーを、前記過酸化物系架橋剤を用いて4分~10分、好ましくは4~7分の所定の時間溶融及び架橋して、架橋ポリマーを形成すること;
- 前記モールドを開けて前記架橋ポリマーを膨張させて発泡架橋ポリマーを形成すること;
を含む方法。
【0358】
項目26.前記温度が、前記架橋性ポリマーのガラス転移温度Tg以上及び/又は溶融温度Tm以上である、項目25に記載の発泡架橋ポリマーの製造方法。
【0359】
項目27.前記官能化重炭酸塩を含有する前記発泡性ポリマー組成物を用いる前記所定の時間が、同じポリマー、同じ架橋化合物を含むが発泡ポリマーを得るためのZnOなどのADCA分解開始剤を含むADCAを含有する発泡性ポリマー組成物を用いた時間よりも短い、項目25又は26に記載の発泡架橋ポリマーの製造方法。
【0360】
項目28.- 加熱前の前記発泡性ポリマー組成物を低温粉砕又はカレンダー加工することであって、
前記発泡性ポリマー組成物の前記加熱が、約180℃~190℃の温度で、4分~10分の所定の時間、前記発泡性組成物を射出成形用のモールドに注入する前に射出成形機の炉内で又は圧縮成形用のモールド内で行われ、
そのような加熱の後、前記モールドを開けると架橋ポリマーが膨張すること、
をさらに含む、項目25~27のいずれか1つに記載の発泡架橋ポリマーの製造方法。
【0361】
項目29.- 前記発泡架橋ポリマーを、好ましくは冷却装置又は冷却方法を利用せずに室温まで冷却すること、
をさらに含む、項目28に記載の発泡架橋ポリマーの製造方法。
【0362】
項目30.前記発泡架橋ポリマーが、EVA、POE、架橋ポリオレフィン(XLPO)、架橋ポリオレフィンブロックコポリマー(OBC)、架橋EVA/POコポリマー、及び架橋EVA/OBCコポリマーからなる群から選択され、好ましくは、EVA、架橋ポリオレフィン(XLPO)、及び架橋EVA/POコポリマーからなる群から選択される、項目25~29のいずれか1つに記載の方法によって得られる発泡架橋ポリマー。
【0363】
項目31.セルサイズが250μm以下であることによって特徴付けられ、前記セルサイズの分布が、少数の大きなセル(200~250μm)と多数の小さなセル(50~100μm)の二峰性である、項目30に記載の発泡架橋ポリマーの製造方法。
【0364】
項目32.靴や靴底などの履物用途、又は自動車用途で使用される、項目30又は31に記載の発泡架橋ポリマー。
【実施例】
【0365】
以下の実施例は、本発明、及び当業者に容易に理解できるその変形の非限定的な例示の目的で示される。
【0366】
以下の化学薬品を実施例において使用した:
- Sigma-Aldrichからのリノール酸
- Les Derives Resiniques et Terpeniques(DRT)からのResigral(登録商標)5(少なくとも52重量%のジヒドロアビチエン酸を含有)
- Rhodia(Solvayグループ)からのTixosil(登録商標) 38AB沈降シリカ
【0367】
実施例1
官能化重炭酸ナトリウム発泡剤(「FB-BA」)
1.1 FB-BAの組成及び特性評価
表1には、EVA及び架橋オレフィンの製造に使用された官能化重炭酸塩発泡剤「FB-BA」の化学組成がまとめられており、D10、D50、D90、スパンなどの粒度分布が示されている。
【0368】
D50という用語は、50重量%の粒子がD50(重量平均径)以下の直径を有する、その直径を意味する。D10という用語は、10重量%の粒子がD10以下の直径を有する、その直径を意味する。D90という用語は、90重量%の粒子がD90以下の直径を有する、その直径を意味する。粒度分布のスパンは、当技術分野で公知のように、比率(D90-D10)/D50と定義される。
【0369】
重量平均径D50、並びにD10及びD90値は、重炭酸塩で飽和したエタノールを使用する、632.8nmの波長、18mmの直径を有するHe-Neレーザー源と、後方散乱300mmレンズ(300RF)を備えた測定セルと、MS 17液体調製ユニットと、自動溶媒濾過キット(「エタノールキット」)とを使用するMalvern Mastersizer S粒径分析器でレーザー回折及び散乱によって測定した(湿式法)。スパンは、測定値:D10、D50、及びD90から計算した。
【0370】
表2に、化学発泡剤:FB-BAサンプルのTGA最大減少温度及びDSC最大ピーク温度、1つの比較(官能化されていない)の工業グレードのSolvayによる重炭酸ナトリウム製品Bicar(登録商標)0/4AD、Clariantによる基準の吸熱性の重炭酸ナトリウム系発泡剤Hydrocerol(登録商標)、並びにADCAの熱分析がまとめられている。
【0371】
熱重量分析(TGA)は、窒素流下、サンプルを一定の速度で加熱し、この場合は10℃/分の速度で35℃から250℃まで加熱しながら、サンプルの重量を経時的に測定する熱分析の方法である。この測定により、化学発泡剤の分解温度及びそのような分解によって発生するガスの放出に関する情報が得られる。TGAの最大重量減少温度は、サンプルの重量が分解される温度である。
【0372】
示差走査熱量測定(DSC)は、高分子材料を調べて熱遷移を決定するために広く使用されている熱分析技術である。DSCグラフは、相転移の最大速度を表す最大ピーク温度など、サンプルの多数の特徴的な特性を測定するために使用される。この分析では、DSCは、35℃から250℃まで10℃/分で、窒素を流しながら行った。
【0373】
【0374】
【0375】
注目すべきことに、全てのTGAグラフは、官能化重炭酸ナトリウム(FB-BA)サンプルと非官能化重炭酸ナトリウムである参照のBicar(登録商標)0/4ADの分解のピークを1つしか有していなかった。
【0376】
実施例で使用したEVAポリマーのTGA最大減少温度は193℃であった。
【0377】
官能化重炭酸ナトリウム(FB-BA)の活性化温度はADCAよりも低かった。このため、これは、特定の条件下で処理温度を下げること又はサイクル時間を改善することができる可能性がある。
【0378】
1.2 官能化重炭酸ナトリウム(FB-BA)サンプルの調製方法
官能化重炭酸ナトリウムのサンプルは、それぞれ異なる添加剤:実施例(FB-BA)1については5重量%のリノール酸;実施例(FB-BA)2については9%のResigral(登録商標)52(≧52重量%のデヒドロアビエチン酸)+1%のTixosil(登録商標)38AB(シリカ);実施例(FB-BA)3については2%のResigral(登録商標)52;及び実施例(FB-BA)4については10重量%のリノール酸;を用いて重炭酸ナトリウム粒子を共粉砕(共ミリング)することによって調製した。
【0379】
1.2.1 (FB-BA)1の調製
Alpine UPZ 700 Ultraplex Fineインパクトミルの中で、200gの重炭酸ナトリウム粒子Bicar(登録商標)TEC0/3(SOLVAY製)をリノール酸と共に粉砕することにより、サンプル(FB-BA)1中のリノール酸が5重量%になるように粉砕を継続的に行った。
【0380】
1.2.2 (FB-BA)2の調製
MG40ミリングユニットで76.5kgの重炭酸ナトリウム粒子Bicar(登録商標)TEC0/13(SOLVAY製)をResigral(登録商標)52及びTixosil(登録商標)38ABと共に粉砕することにより、サンプル(FB-BA)2中で9重量%のResigral(登録商標)52及び1重量%のシリカになるように粉砕を継続的に行った。
【0381】
1.2.3 (FB-BA)3の調製
ミリングは、分級器を備えた、Jaeckering製のUltraRotor III GS機器で連続的に行った。6.8kgの重炭酸ナトリウム粒子(SOLVAY製のBicar(登録商標)TEC0/3)の塊を、室温で空気を注入しながら10~300kg/hでミルの底部に入れた。サンプル(FB-BA)3中で2%のResigral(登録商標)52に到達させるために、機能付与添加剤Resigral(登録商標)52をミルの中間レベルで添加した。ミル回転速度及び分級器回転速度は、所望の粒度分布に達するように選択した。
【0382】
1.2.4 (FB-BA)4の調製
サンプル(FB-BA)4は、10%のリノール酸に到達させるために、UltraRotor III CS機器中でのサンプル(FB-BA)3と同様の方法で、100kgの重炭酸ナトリウム粒子Bicar(登録商標)TEC0/13(SOLVAY製)をリノール酸と共に粉砕することにより調製した。
【0383】
実施例2
官能化重炭酸塩を使用したEVAフォームの製造及びEVAフォームの特性評価
2.1 射出成形によるEVAフォームの製造
EVAを含む発泡性組成物の成分を、バッチミキサーをニーダーとして使用して(Brabender(著作権))、70℃、60rpmで15分間ブレンドした。発泡性組成物は、低温粉砕(液体窒素を使用)又はカレンダー加工(T=40℃)した。発泡性組成物を実験室規模のマイクロインジェクション成形機(Xplore)の炉内に100℃で5分間入れ、成形前に材料を軟化させた。
【0384】
発泡性組成物を、約180℃又は190℃で、2つの圧力条件(圧力条件1=1barで1分間又は圧力条件2=3barで2分間)の下で、所定の時間(FB-BA1については10分間を使用し;FB-BA2、4、3、一部の重炭酸ナトリウム参照製品及びADCAなどのその他の発泡剤については7分間を使用した)モールドの中に注入した。モールドの形状は80×10×4mm(長さ×幅×厚さ)であった。所定の時間後、モールドを開き、圧力降下によりEVAを膨張させた。冷却装置や冷却方法を利用せずにサンプルを室温まで冷却した。
【0385】
2.2 圧縮成形による、発泡の速度論的調査のためのEVAフォームの製造
EVAを含む発泡性組成物の成分を、100℃のロールミルで一緒にブレンドした。発泡性組成物(質量3.5~3.6g)を円筒状のモールド(直径21mm、厚さ11.6mm)の中に入れた。モールドは、一定間隔ごとの試験のために、178oCで7分間予熱した2枚のホットプレートプレスの中に配置した。速度論的調査のために、モールド内の発泡性組成物を、異なる発泡時間(2~3分から9分)を使用して発泡させた。目標時間の後、圧力を解放し、発泡した物品をモールドから取り出した。冷却装置や冷却方法を利用せずにサンプルを室温まで冷却した。結果は、セクション2.5.6 フォーム密度に対する発泡時間の影響に示されている。
【0386】
2.3 発泡性EVA組成物
発泡性EVA組成物を製造するために、EVA前駆体混合物を通常使用した。このEVA前駆体混合物に、化学発泡剤を添加した。
【0387】
発泡剤を含まない1つのEVA前駆体混合物「A」には、EVAポリマー、過酸化物、及び分解開始剤(ZnO)が含まれていた。発泡剤を含まない別のEVA前駆体混合物「B」は、EVAポリマー、過酸化物を含んでいたが、分解開始剤(ZnO)を含んでいなかった。表3及び表4には、EVA前駆体混合物「A」及び「B」についてそれぞれまとめられている。
【0388】
【0389】
【0390】
EVAフォームを製造するために、セクション2.1で説明したようにBrabender中での混練混錬中に1種以上の化学発泡剤(ADCA又は少なくとも1種の官能化重炭酸ナトリウムなど)をEVA前駆体混合物に添加した。発泡剤の含有量はその性質に依存し、ADCAについては1.5又は2重量%、FB-BAについては3.5~5.5重量%であった。発泡性組成物中のFB-BAの好ましい含有量は4.5重量%であった。市販の重炭酸ナトリウム参照製品を参照のために使用した場合、発泡性組成物中のこれらの製品の好ましい含有量は4.5重量%であった。
表5は、本発明によらない比較例のためにEVA前駆体混合物「A」中にADCAを混合することによって製造したEVA発泡性組成物を示している。
【0391】
【0392】
表6及び7は、本発明に従ってEVA前駆体混合物「A」及び「B」にそれぞれ官能化重炭酸塩発泡剤を混合することによって製造したEVA発泡性組成物を示している。
【0393】
【0394】
【0395】
表8は、本発明に従ってEVA前駆体混合物「B」中に2種の官能化重炭酸塩発泡剤を混合することによって製造したEVA発泡性組成物を示している。
【0396】
【0397】
2.4 フォームの特性評価
- フォームの形状は、フォーム密度「ρ foam」(g/cm
3)と体積発泡倍率「ER」の計算を可能にするデジタルノギス(各寸法の3つの値の平均)を使用して測定した。
式中、「m foam」はフォームサンプルの質量を意味し、「V foam」はフォームの体積を意味し、「ρ foam」はフォーム密度を意味し、「ρ solid」はそれぞれの基剤である非発泡性固体材料の密度を意味する。
- ポリマー硬度は、柔らかい材料にはタイプA、硬い材料にはタイプDの2種類のデュロメータを使用する、プラスチック及びエボナイトの押し込み硬度の測定方法である、ショアA規格(ISO868:2003:「Plastics and ebonite - Determination of indentation hardness by means of a durometer(Shore hardness)」)に従って測定した。この方法により、初期のくぼみ若しくは指定された期間後のくぼみ、又はその両方の測定が可能である。測定にはタイプAのデュロメータを使用した。
- 光学顕微鏡検査は、カッターを使用してサンプルを切断した後、Axio ZoomV16(横方向反射照明、150Wハロゲン光源)を備えたZeiss顕微鏡を使用して行った。
【0398】
2.5 単一の官能化重炭酸塩を使用して製造したEVAフォームの結果
2.5.1 単一の官能化重炭酸塩を使用した結果(射出成形を使用、圧力条件1)
セクション2.1で説明した通りにEVAフォームを製造した。FB-BAの様々なサンプルを用いて製造したフォームの形態的及び機械的特性を、ADCAを用いて製造したEVAフォームと比較した。
【0399】
さらに、2つの市販の重炭酸ナトリウムに基づく製品:SOLVAY製のBicar(登録商標)0/4AD及びHydrocerol(登録商標)BIH(Clariant Corporationから入手可能な発泡剤)を、FB-BAサンプルと比較する基準についてセクション2.1で説明したものと同じ方法で使用した。これらは、EVA発泡性組成物2に基づいていた(表6を参照)。
【0400】
全体として、発泡剤を含む各発泡性組成物の2つのEVAフォーム試験片を作製し、結果において優れた再現性が得られた。
【0401】
表9は、
・発泡性組成物1中に2重量%のADCAを含むサンプル(ZnOを含む)、及び
・4.5重量%のFB-BAサンプル又は市販の重炭酸ナトリウムに基づく製品を発泡性組成物2中に含むサンプル(ZnOを含む)
を使用した場合の圧力条件1(1bar;1分)及び成形温度180℃又は190℃を使用して得られたEVAフォームのフォーム密度、発泡倍率、及び硬度(ショアA)を示している。
【0402】
【0403】
図1及び
図2は、圧力条件1(1barで1分間)で様々なFB-BAサンプル、ADCAサンプル、及び市販の重炭酸ナトリウム製品を使用して射出成形で180℃(モールド温度)で製造したEVAフォームのフォーム密度及び体積発泡倍率をそれぞれ示している。
【0404】
2重量%のADCAを用いて製造した比較のEVAフォームは、0.26g/cm3の密度及び3.82(平均)の発泡倍率を示した。2種類のFB-BAサンプルを用いて製造されたフォームの密度は、比較のEVAフォーム未満の0.32~0.38g/cm3の範囲であり、FB-BA2(9%のResigral52+1%のシリカ)でより低い密度が得られた。同様のフォーム密度(0.35g/cm3)が、基準の市販のナトリウム系重炭酸塩製品で得られた。
【0405】
さらに、EVAフォームの硬度は、ADCAを使用した場合と比較して、FB-BAサンプル及び市販の重炭酸ナトリウム系製品を使用した場合の方が高かった。
【0406】
図3は、2重量%ADCA(左側、
図3a及び3b)と4.5重量%のFB-BA2(右側、
図3c及び3d)の2種の発泡剤を使用して、モールド内で7分間約180℃の成形温度で製造したEVAフォームの光学顕微鏡で得られた写真を示している。この機械的特性は表9に示されている。倍率は、
図3a及び
図3c(上の写真)では1000μm、
図3c及び
図3d(下の写真)では200μmであった。これらの写真は、射出流を横切る方向に撮影した。
【0407】
図3の光学顕微鏡で得られた写真で観察されるように、FB-BA2発泡剤を用いて製造したフォームのセル構造は、ADCAを用いて製造したものとは異なっていた:
- 両者共に独立気泡フォームであった。
- ADCAにより発泡したフォームのセルサイズの分布はかなり均一であり、ほとんどのセルは200μmの直径を有しており、小さいセルの数(約50μm)は限られていた。
- FB-BA2を用いて製造したフォームは200μm以下のセルサイズによって特徴付けられ、セルサイズの分布は二峰性であり、大きいセルは少ししかなく、多数の小さいセル(約50μm)を有していた。
【0408】
以上のことから、FB-BA2を用いて製造したフォームのセルサイズ分布は二峰性であり、セルサイズの大部分はADCAを用いて得られたものよりも小さかった。
【0409】
2.5.2 FB-BAの性能に対するモールド温度の影響(射出成形、圧力条件1)
FB-BAを用いて得られた発泡体の特性に対する発泡温度の影響を評価するために、圧力条件1で射出温度を(180℃ではなく)190℃に上げた。表9に示されているように、使用するFB-BA発泡剤によっては、温度を下げるとフォーム密度が低下した(約10%)。
図4及び
図5は、180℃でADCAを用いて得られたものと比較した、圧力条件1(1barで1分間)で様々なFB-BAサンプル及び市販の重炭酸ナトリウム製品を使用して射出成形で180℃及び190℃(モールド温度)で製造したEVAフォームのフォーム密度及び体積発泡倍率をそれぞれ比較している。
【0410】
2.5.3 圧力条件2で単一の官能化重炭酸塩を使用した結果(射出成形)
発泡性組成物1中のADCAの量は、最適な性能のためには通常1.5重量%のADCAであった(前のセクション2.5.1のように2重量%のADCAではない)。そのため、より高い圧力条件2(3barで2分間)を使用するこのセクション2.5.3における試験では、1.5重量%の低いADCA含有量を使用した。
【0411】
表10は、
・発泡性組成物1中に1.5重量%のADCA含むサンプル(ZnOを含む);
・発泡性組成物2中に4.5重量%のFB-BA2及び3を含むサンプル(ZnOを含む);
・発泡性組成物3中に4.5重量%のFB-Bas2及び4を含むサンプル(ZnOを含まない);
を使用した場合の圧力条件2(3bar;2分)及び180℃の成形温度を使用して得られたEVAフォームについてのフォーム密度、発泡倍率、及び硬度(ショアA)を示している。
【0412】
【0413】
図6は、表10に記載されている様々な発泡剤を用いて得られたフォーム密度を示している。FB-BA2を用いたフォームの最終密度は、4.5重量%のFB-BAを用いて得られた最も低い密度である0.30~0.31g/cm3に達した。FB-BA3は、0.32~0.33g/cm3のわずかに高い密度で同様の結果を与えた。FB-BA2とFB-BA3は、共にADCA(1.5重量%)を用いて得られたもの以下のフォーム密度を与えた。FB-BA4を用いて製造されたEVAフォームサンプルで得られたフォーム密度は、FB-BA2及び3を用いて製造されたEVAフォームサンプルで得られた結果よりも大きかった。FB-BA2と3の両方の中に存在するResigral(登録商標)52(ジヒドロアビチエン酸)の使用は、EVA発泡用の重炭酸ナトリウムの機能付与添加剤としてリノール酸を使用するよりも有効であるようである。
【0414】
フォーム密度について説明したものと同じ傾向が、EVAフォームの発泡倍率(ER)で観察された。
図7は、表10に記載されている様々な発泡剤を用いて得られた発泡倍率を示している。ZnOを含まないFB-BA2を含むフォームの最終発泡倍率は、平均3.22に達し、これは4.5重量%のFB-BAを用いて得られた最も大きいERであった。FB-BA3サンプルは、平均3.05というわずかに低いERを示した。FB-BA2とFB-BA3は、いずれも、ADCAで得られたものよりも高いフォームのERを与えた(平均ER=2.99)。FB-BA4を用いて製造したEVAフォームサンプルで得られたフォームのER(平均=2.78)は、FB-BA2及び3を用いて製造したEVAフォームサンプルで得られたERよりも低かった。
【0415】
同じ処理条件下で、FB-BAは、密度の減少と発泡倍率の点で、少なくとも商業化基準(ADCA)と同じくらい有効であった。
【0416】
図8は、表10に列挙されている様々な発泡剤を用いて得られた硬度を示している。使用した条件に関わらず、FB-BAを用いて製造したフォームはADCAを用いて製造したフォームよりも硬かった。180℃において、ADCAを用いて得られたものに最も近い硬度(32)を示すフォームを、FB-BA2(35)とFB-BA3(36.5)を使用して製造した。両者共に機能付与添加剤としてResigral(登録商標)52(ジヒドロアビエチン酸)を使用した。
【0417】
2.5.4 FB-BAの性能に対するZnO分解開始剤の添加の影響
2つのEVAフォームを、ZnOを含む又は含まないFB-BA2を用いて製造した(典型的にはADCAを使用するEVA発泡性組成物中で約0.5~1重量%で使用)。
【0418】
表10に示されているように、ZnOを含まないFB-BA2は、ZnOを含むFB-BA2で得られる密度(0.32~0.33g/cm3)よりもわずかに低いフォーム密度0.30~0.31g/cm3の同様の結果をもたらした。これは
図6にも示されている。FB-BA2の分解温度はADCAの分解温度よりも低いため(表2を参照)、ZnO分解開始剤を使用しても官能化重炭酸塩に追加の発泡性能は付与されなかった。この結果は、ADCAが存在しない場合に、FB-BAを含むEVA発泡性組成物からZnOを除去できることを明らかにしている。ADCAがEVA発泡性組成物中にある場合には、発泡性組成物のそのような修正は実行可能ではなかった。分解開始剤なしでは、ADCAはEVAの処理温度と比較して高すぎる温度(約220℃)で分解した。
【0419】
同様の処理条件下で、ADCAがない状態でFB-BAはZnOを含まないフォームを生成することが確認された。
【0420】
FB-BAを使用する場合、発泡性配合物中にZnOのような分解開始剤を添加する必要はない。
【0421】
特定の場合においては、分解開始剤を使用せずに密度を下げるという改善された結果を得ることができる。
【0422】
2.5.5 フォーム密度に対するFB-BA濃度の影響
前述したEVAフォームの例では、使用したFB-BA濃度は4.5重量%であった。この実施例では、FB-BA2サンプルの濃度を3.5重量%から5.5重量%まで変化させた。
図9に示されているように、EVA発泡性組成物においてFB-BA2濃度が増加するのに伴い、EVAフォーム密度が減少することが観察された。5及び5.5重量%のFB-BA2では、それぞれ0.26及び0.23g/cm3のフォーム密度が達成された。このような密度は、2重量%のADCA(0.26g/cm3、表9を参照)を用いて製造したフォーム密度に匹敵した。
【0423】
同じ処理条件下で、FB-BAは、EVAフォームの密度の減少の点で、商業化基準(ADCA)と同じくらい有効であった。EVAフォームの密度は、発泡性EVA組成物中により多くのFB-BAを添加することにより減少させることができるであろう。
【0424】
2.5.6 フォーム密度に対する発泡時間の影響
この速度論的調査では、1.5重量%のADCAと4.5重量%のFB-BA2を含むEVA発泡性配合物について、上のセクション2.2で説明した条件下(圧縮成形による)で2~10分の発泡時間の関数として、EVAの密度を測定した。これらの結果を
図10に示す。
【0425】
ADCA含有EVA発泡性配合物とFB-BA含有EVA発泡性配合物との間には、密度の変化と時間との間に有意な差が存在した。FB-BA2のフォームは4分後に完全に膨張し(2分から4分で0.33g/cm3から0.26g/cm3に減少)、典型的には7分の時点で得られるADCAで得られる密度と同じ密度を達成した。他方で、ADCAを用いたフォーム密度は2分から6分で0.7g/cm3から0.29g/cm3へと減少した。したがって、EVAフォームの発泡時間は、EVA発泡性配合物中のFB-BAで7分(典型的なADCAについて)から4分まで短縮することができ、これが生産性及び製造コストに利点を付与することが示された。
【0426】
2.5.7. 処理装置の影響(射出成形対圧縮成形)
この調査では、2つの異なる処理方法及び装置で製造したEVAフォームの密度を比較した。試験した両方の配合物は、上のセクション2.3で説明した条件下で1.5重量%のADCA及び4.5重量%のFB-BA2を含むEVA発泡性配合物である。比較を表11に示す。
【0427】
これらの実験は、同じ発泡剤を使用するこれら2つの異なる処理装置で同様のフォーム密度が達成されたことを示している。圧縮成形によって製造したフォームで得られた密度は、使用する発泡剤に関わらず、射出成形によって製造したフォームで得られた密度よりもわずかに低い。これは、密度が発泡剤自体よりも処理条件に関連している可能性が高いことを意味する。
【0428】
【0429】
これらの2つの異なる成形プロセスによって製造されたフォームのセル構造は、使用する発泡剤に関わらず、非常に類似していた。射出成形又は圧縮成形を使用して製造されたフォームのセルの形態は、以下の点で非常に近かった:
- ADCAにより発泡されたフォームのセルサイズ分布はかなり均一であった。ほとんどのセルは、圧縮成形では150μm、射出成形では200μmの直径を有していた;そして
- FB-BA2を用いて発泡したフォームでは、フォームは200μm以下のセルサイズによって特徴付けられ、セルサイズの分布は二峰性であり、大きいセルは少ししかなく、多数の小さいセル(約50μm)を有していた。圧縮成形のこれらの結果は、セクション2.5.1で既に説明した射出成形と同じであった(
図3)。
【0430】
2.6 2種の官能化重炭酸塩を使用して得られたEVAフォームの結果
表8に示されているように、EVA前駆体混合物「B」と混合した2種のFB-BAを使用して、様々なサンプルを用いてセクション2.1で説明したようにEVAフォームを製造した(圧力条件1)。2つのFB-BAのブレンドの組成を表12に示し、FB-BA2の組成を再度この表に示す。
【0431】
【0432】
これらのEVAフォームの機械的特性をADCAを用いて製造したEVAフォームと比較し、表13に示した。
図11及び12は、様々な発泡剤を用いて得たフォーム密度及び発泡倍率を示している。
【0433】
【0434】
2.7 ADCAと官能化重炭酸塩とのブレンドを使用して得られたEVAフォームの結果
EVAフォームを、ADCA(2%)とFB-BA2(1%)とのブレンドを用いて、セクション2.2で説明した通りに製造した。これらの2つの発泡剤は、ZnOを含む97重量%の発泡性組成物「A」に混合した。
【0435】
このEVAフォームの密度を、表14でADCA(1.5重量%)とFB-BA2(3及び4.5重量%)を用いて別々に製造したEVAフォームの密度と比較した。
【0436】
【0437】
実施例3
官能化重炭酸塩を使用した架橋ポリオレフィン(XLPO)フォームの製造
及びXLPOフォームの特性評価
3.1 XLPOフォームの製造
ポリオレフィンを含む発泡性組成物の成分を、バッチミキサーをニーダーとして使用して(Brabender(著作権))、90℃、60rpmで15分間一緒にブレンドした。発泡性組成物をカレンダー加工した(T=40℃)。発泡性組成物を実験室規模のマイクロインジェクション成形機(Xplore)の炉内に100℃で5分間入れ、成形前に材料を軟化させた。
【0438】
発泡性組成物を、2つの圧力条件(圧力条件1=1barで1分間)下で7分間約180℃又は190℃でモールドに注入することを、発泡剤FB-BA2及びADCAについて使用した。モールドの形状は80×10×4mm(長さ×幅×厚さ)であった。所定の時間後、モールドを開き、圧力降下によりXLPOを膨張させた。冷却装置や冷却方法を利用せずにサンプルを室温まで冷却した。
【0439】
3.2 発泡性XLPO組成物
発泡性XLPO組成物を製造するために、XLPO前駆体「C]混合物を通常使用した。発泡剤を含まないこのXLPO前駆体混合物には、ポリオレフィンポリマーと過酸化物が含まれていた。このXLPO前駆体混合物「C」に、化学発泡剤を添加した。ADCAを発泡剤として使用する場合には、分解開始剤(ZnO)をXLPO前駆体混合物「C」に最大5重量%添加した。表15に、XLPO前駆体混合物「C」の成分がまとめられている。
【0440】
【0441】
XLPOフォームを製造するために、セクション3.1で説明したようにBrabender中での混練混錬中に、1種以上の化学発泡剤(ADCA又は少なくとも1種の官能化重炭酸ナトリウムなど)をXLPO前駆体混合物「C」に添加した。発泡剤の含有量はその性質に依存し、ADCAについては2重量%、FB-BAについては合計3重量%から最大4.5重量%であった。
【0442】
表16は、本発明によらない比較例のためにXLPO前駆体混合物「C」中にADCAを混合することによって製造したXLPO発泡性組成物を示している。
【0443】
【0444】
表17は、本発明に従って分解開始剤(ZnO)を添加してXLPO前駆体混合物「C」中に官能化重炭酸塩発泡剤FB-BA2を混合することによって製造したXLPO発泡性組成物を示している。
【0445】
【0446】
表18及び19は、本発明に従ってZnO分解開始剤なしでXLPO前駆体混合物「C」中に2つの官能化重炭酸塩発泡剤(FB-BA2と、FB-BA3又はFB-BA4のいずれか)を混合することによって製造したXLPO発泡性組成物を示している。
【0447】
【0448】
【0449】
3.3 単一の官能化重炭酸塩を使用して得られたXLPOフォームの結果
3.3.1 単一の官能化重炭酸塩を使用した結果(圧力条件1)
セクション3.1で説明した通りにXLPOフォームを製造した。FB-BAの様々なサンプルを用いて製造したフォームの形態的及び機械的特性を、ADCAを用いて製造したXLPOフォームと比較した。
【0450】
全体として、発泡剤を含む各発泡性組成物の2つのXLPOフォーム試験片を作製し、結果において優れた再現性が得られた。
【0451】
表20は、
・XLPO発泡性組成物C中に2重量%のADCA(1重量%のZnOを含有);
・XLPO発泡性組成物C中に3重量%及び4.5重量%のFB-BA2(ZnOを含まない);並びに
・XLPO発泡性組成物C中に4.5重量%のFB-BA4(ZnOを含まない);
の発泡剤を用いて圧力条件1(1bar;1分)及び7分間180℃の成形温度を使用して得られたXLPOフォームのフォーム密度、発泡倍率、及び硬度(ショアA)を示している。
【0452】
図13~15に、様々な発泡剤を用いて得られたXLPOフォームのフォーム密度、発泡倍率、及び硬度が示されている。
【0453】
【0454】
図16は、2重量%のADCA(上、
図16a及び16b)と4.5重量%のFB-BA(下、
図16c及び16d)の2つの発泡剤を使用して、モールド内で7分間約180℃の成形温度で製造したXLPOフォームの光学顕微鏡で得られた写真を示している。この機械的特性は表20に示されている。倍率は、
図16a及び
図16c(左側の写真)では1000μm、
図16c及び
図16d(右側の写真)では200μmであった。これらの写真は、射出流を横切る方向に撮影した。
【0455】
図3の光学顕微鏡で得られた写真で観察されるように、FB-BA2発泡剤を用いて製造したフォームのセル構造は、ADCAを用いて製造したものとは異なっていた:
- 両者共に独立気泡フォームであった。
- ADCAにより発泡したフォームのセルサイズの分布はかなり均一であり、ほとんどのセルは200μmの直径を有しており、小さいセル(約50μm)の数は限られていた。
- FB-BA2を用いて製造したフォームは250μm以下のセルサイズによって特徴付けられ、セルサイズの分布は二峰性であり、大きいセル(200~250μm)は少ししかなく、多数の小さいセル(約100μm)を有していた。
【0456】
以上のことから、FB-BA2を用いて製造したフォームのセルサイズ分布は二峰性であり、セルサイズの大部分はADCAを用いて得られたものよりも小さかった。
【0457】
3.4 2種の官能化重炭酸塩を使用して得られたXLPOフォームの結果
XLPOフォームは、表18及び19に示されている2つのFB-BAのブレンドをXLPO前駆体混合物「C」と混合してセクション3.1(圧力条件1下)で説明した通りに製造した。2つのFB-BAのこれらのブレンドの組成は上の表11に示した。
【0458】
これらのXLPOフォームの機械的特性は表21に示されており、様々な発泡剤を用いて得たXLPOフォームのフォーム密度、発泡倍率、及び硬度が示されている
図13~15においてADCAを用いて製造したXLPOフォームと比較した。
【0459】
【0460】
本明細書に引用される全ての特許出願及び刊行物の開示は、これらが本明細書の記載を補完する例示的、手順的、又はその他の詳細を提供する範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。
【0461】
参照によって本明細書に組み込まれる特許、特許出願及び刊行物のいずれかの開示が、用語が不明確になり得る程度まで本明細書と矛盾する場合は、本明細書が優先するものとする。
【0462】
出願において、ある要素若しくは構成要素が、列挙された要素若しくは構成要素のリスト中に含まれる及び/又はリストから選択されると記されている場合、本明細書で明示的に企画される関連実施形態の中で、その要素若しくは構成要素は同様に、個別の列挙された要素若しくは構成要素のいずれか1つであることができるか、又は明示的にリストアップされた要素若しくは構成要素のいずれか2つ以上からなる群からも選択できることが理解されるべきである。要素若しくは構成要素のリストに列挙されたいかなる要素若しくは構成要素も、そのようなリストから省かれ得る。さらに、本明細書中に記載されるプロセス又は方法の要素、実施形態、及び/又は特徴は、本明細書において明示的であるか暗示的であるかに関わらず、本教示の範囲及び開示から逸脱することなく様々なやり方で組み合わせることができることが理解されるべきである。
【0463】
したがって、保護の範囲は、上で説明した記載に限定されず、以下の特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲は、特許請求の範囲の主題の均等物を全て含む。各々及び全ての特許請求の範囲は、本発明の実施形態として本明細書に組み込まれている。したがって、特許請求の範囲は、更なる説明であり、また、本発明の好ましい実施形態への追加である。
【0464】
本発明の好ましい実施形態が示され且つ説明されてきたが、当業者によるその変更は、本発明の趣旨又は教示から逸脱することなく行われ得る。本明細書に記載される実施形態は、単なる例示であり、限定ではない。システム及び方法の多くの変形及び変更が可能であり、それらは本発明の範囲内である。