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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】車両用情報表示システム
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/00 20060101AFI20240827BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20240827BHJP
   F21V 14/04 20060101ALI20240827BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20240827BHJP
   B60W 50/10 20120101ALI20240827BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240827BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B60Q1/00 G
F21V7/00 590
F21V14/04
F21V23/00 115
B60W50/10
B60W60/00
G08G1/09 V
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021527689
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(86)【国際出願番号】 JP2020024794
(87)【国際公開番号】W WO2020262453
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-03-20
(31)【優先権主張番号】P 2019121131
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019121132
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019121133
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】綿野 裕一
(72)【発明者】
【氏名】多々良 直久
【審査官】五閑 統一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-024291(JP,A)
【文献】国際公開第2018/078713(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/00 ー 1/56
G08G 1/00 ー 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに向けて所定の情報を表示する車両用情報表示システムであって、
前記情報を表示する複数の表示手段と、前記表示手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記情報の内容に応じて前記表示手段を選択する表示先選択手段を含み、
前記表示手段は、前記情報を出力するディスプレイおよび描画灯と、前記描画灯が前記情報を投影する被投影体と、を含み、
前記制御手段は、前記表示先選択手段が前記被投影体を選択した場合に、前記ディスプレイに前記被投影体に関する指示を表示することを特徴とする車両用情報表示システム。
【請求項2】
前記表示手段が情報を表示する環境を計測するセンサを備え、
前記表示先選択手段は、前記センサによる計測結果に応じて前記表示手段を選択する請求項1に記載の車両用情報表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転車両を利用するユーザに向けて情報を表示する車両用情報表示システム、車両用情報表示装置、車両制御システムに関する。
【0002】
本発明は、自動運転車両を利用するユーザに向けて情報を表示する車両用情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、車両周囲の歩行者や他の車両のドライバーに向けて、当該車両に関する情報を表示する車両用表示システムの技術が知られている。例えば、特許文献1には、車両外部から視認可能に設けられたディスプレイと、当該車両から車両周囲の物体までの距離を計測する距離センサを備え、距離に応じて表示内容を変更する技術が記載されている。
【0004】
また、近年、無人の自動運転車両を外部から操作し、駐車場や配車位置など所望の位置まで移動させる技術の開発が進められている。例えば、特許文献2(特に、明細書段落0114~0115、図面の図8)には、モバイル機器から自動駐車指示信号を受信して、該自動駐車指示信号の駐車場所情報に基づいて自動駐車を実行する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-140929号公報
【文献】国際公開第2017/073632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の技術によれば、例えば、シェアカーの利用情報をユーザに確認したい場合には、ディスプレイにユーザの個人情報やシェアカーの利用情報などが表示され、これらのプライバシーやセキュリティに関する情報を、周辺の他者に見られてしまうおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、車外にいるユーザに向けて情報を提示する際に、ユーザのプライバシーやセキュリティに配慮しつつ表示できる車両用情報表示システムを提供することにある。
【0008】
また、特許文献2の技術によれば、人の目から見て車寄せするスペースがあっても、自動運転システムによって車両間隔が大きく設定され、駐車空間を節約できないという問題があった。その他、モバイル機器の設定方法や操作方法を参照したり、習得したりする手間がかかるという問題もあった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、車両の外部から、容易に、かつ所望の位置に車寄せできる自動運転車両の車両制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の車両用情報表示システムは、ユーザに向けて所定の情報を表示する車両用情報表示システムであって、情報を表示する複数の表示手段と、表示手段を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、情報の内容に応じて表示手段を選択する表示先選択手段を含むことを特徴とする。
【0011】
また、表示手段が情報を表示する環境を計測するセンサを備え、表示先選択手段は、センサによる計測結果に応じて表示先を選択できる。
【0012】
表示手段は、情報を出力するディスプレイおよび描画灯と、描画灯が情報を投影する被投影体とを含む。このとき、制御手段は、情報がセキュリティまたはプライバシーに関する情報を含む場合に、ディスプレイに被投影体に関する指示を表示する。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の車両用情報表示装置は、ユーザに向けて所定の情報を表示する車両用情報表示装置であって、情報を車両外部に向けて投影する描画灯と、ユーザを検知するセンサと、を備え、描画灯は、センサが描画灯の投影範囲内にユーザの身体の少なくとも一部を検出した場合に投影を開始することを特徴とする。
【0014】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の車両制御システムは、自動運転車両に搭載されたセンサと、センサからの入力に基づいて車両を制御する制御手段と、制御手段から入力した制御信号に基づいて車両を駆動する車両駆動手段と、を備え、センサが、車両周辺の人物のジェスチャーを検出し、制御手段が、ジェスチャーを車両移動用の指示として認識する認識手段を含み、車両駆動手段は、指示に基づいて車両を移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の車両用情報表示システムによれば、表示する情報の内容に応じて表示手段を選択する表示先選択手段を設けたため、ユーザのプライバシーやセキュリティに関する情報を含む場合には他者から見えにくい表示手段を選択し、ユーザのプライバシーやセキュリティに配慮しつつ情報を提示できるという効果を有する。
【0016】
また、本発明の車両用情報表示装置によれば、センサが描画灯の投影範囲内にユーザの身体の少なくとも一部を検出した場合に描画灯が投影を開始するため、ユーザは他人の目を避けて、自身の身体に表示された情報を確認でき、セキュリティやプライバシーに関する情報を保護できるという効果を有する。
【0017】
さらに、本発明の車両制御システムによれば、センサで車両周辺の人物のジェスチャーを検出し、ジェスチャーに基づいて自動運転車両を移動させることとしたため、ユーザ各自の感覚に基づいて、所望の位置まで車寄せできるという効果を有する。また、従来のドライバーに対する指示と同じようなジェスチャーで車寄せできるため、改めて機器の設定操作を習得する必要がないという効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例1の車両用情報表示システムの概略図である。
図2】サイドモジュールを示す概略図である。
図3図1の車両用情報表示システムのブロック図である。
図4】手のひらに情報を投影する様子を示す説明図である。
図5】セキュリティモードのディスプレイに情報を投影する様子を示す説明図である。
図6】スクリーンに情報を投影する様子を示す説明図である。
図7】膝部に情報を投影する様子を示す説明図である。
図8図1の車両用情報表示システムの動作を示すフローチャートである。
図9】実施例2の車両用情報表示装置を搭載した車両を示す概略図である。
図10】実施例2の車両用情報表示装置の模式図である。
図11図9の車両用情報表示装置のブロック図である。
図12】手のひらに情報を投影する様子を示す説明図である。
図13】セキュリティモードのディスプレイに情報を投影する様子を示す説明図である。
図14】スクリーンに情報を投影する様子を示す説明図である。
図15】膝部に情報を投影する様子を示す説明図である。
図16図9の車両用情報表示装置による表示の際に実施される表示先選択動作を示すフローチャートである。
図17】本発明の一実施形態を示す車両制御システムの概略図である。
図18図17の車両制御システムのブロック図である。
図19】サイドモジュールの模式図である。
図20】ジェスチャーによって車両を移動させる様子を示す説明図である。
図21】音声によって車両を移動させる様子を示す説明図である。
図22】路面に描画された最小移動単位を確認しつつ車両を移動させる様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を、自動運転のシェアカーに搭載される車両用情報表示システム、車両用情報表示装置、車両制御システムにそれぞれ具体化した実施形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0020】
図1に示すように、車両用情報表示システム101は、シェアカー102を利用するユーザUを認識すると、路面に「ようこそ!」などのおもてなし情報や、行き先、利用時間などの利用情報を含む画像151を描画する。
【0021】
図2に示すように、車両用情報表示システム101は、主に、車体外部に向けて情報を表示するサイドモジュール103に搭載される。サイドモジュール103の周縁部には、自動運転状態を示すADマーカ(自動運転マーカ)4が設けられている。
【0022】
図3に示すように、車両用情報表示システム101は、ユーザUに向けて所定の情報を表示する表示部114と、シェアカー102を利用するユーザUを検知するためのカメラ120と、表示部114が情報を表示する環境を計測するセンサ121と、ユーザUに提示する情報を格納する記憶部125と、ユーザUに提示する情報をクラウド通信や有線通信などにより配信する外部サーバ124と、表示部114を制御する制御部111と、表示部114の位置や向きを調整するアクチュエータ122と、外部サーバ124から配信された情報を入力するインターフェース123を備える。なお、センサ121としては、LiDAR、ミリ波レーダー、音声センサなどを採用できる。
【0023】
表示部114は、ディスプレイ116と、画像生成部112で生成した画像を描画する描画灯117と、描画灯117が画像を投影する被投影体115を含み、被投影体115は、スクリーン118、路面119、手のひらや膝などのユーザUの身体を含む。スクリーン118は、通常はサイドモジュール103に格納されており、投影時にサイドモジュール103から繰り出される(図6参照)。描画灯117は、固定された画像を描画可能な単型や、DMD(Digital Micromirror Device)などを使用して自由な描画が可能な生成型を採用できる。
【0024】
制御部111は、記憶部125や外部サーバ124から入力した情報に基づいて表示部114で表示する画像151を生成する画像生成部112と、情報の内容に応じて該情報を表示する表示部114を選択する表示先選択部113を含む。
【0025】
表示先選択部113は、カメラ120が撮影した人物と、外部サーバ124から取得したシェアカー102の利用情報に基づいて、ユーザUの顔認証を実施する。そして、ユーザUが検知できた場合に、表示する情報の内容と、表示する環境に応じて表示先を選択する。
【0026】
表示先選択部113は、例えば、「ようこそ!」のように、表示する情報の内容にセキュリティやプライバシーに関る情報を含まない場合には、ディスプレイ116または路面119のいずれかを表示先として選択する。また、表示先選択部113は、センサ121から入力した計測結果に基づき、路面119が表示環境として適しているか否かを判断する。表示環境として路面119が適さない場合としては、例えば、路面119に段差があって描画が崩れるおそれがある場合や、路面119が雨に濡れたり、雪が積もったりして、描画した情報が読み取りにくくなる場合が想定できる。
【0027】
表示先選択部113は、路面119が被投影体115として適していると判断した場合には、描画灯117および路面119を表示先として選択する。このとき、画像生成部112では、ユーザUに向けて表示する情報に基づいて表示用の画像151を生成し、制御部111は、画像151を描画灯117に出力する。反対に路面119が被投影体115として適さないと判断した場合には、ディスプレイ116を表示先として選択する。この場合には、制御部111は、画像151を、ディスプレイ116に表示させる。
【0028】
表示先選択部113は、例えば、「〇〇様」、「行き先は〇〇です。」のように、表示する情報の内容にセキュリティやプライバシーに関る情報を含む場合には、まず、ディスプレイ116にガイダンス152を表示する。例えば、図4に示すように、「手をかざしてください。」と表示する。ここで、表示先選択部113は、センサ121から入力した計測結果に基づき、指定した被投影体115、つまり、ユーザUの手が投影可能な位置にかざされているか否かを検知する。
【0029】
そして、ユーザUの手を検知できた場合に、ユーザUの手を表示先として選択し、制御部111は、描画灯117に表示する画像151を出力する。この場合には、ユーザUは、自分の手のひらを見て画像151を確認できる。一方、ユーザUの手を検知できなかった場合には、表示先選択部113は、図5に示すように、セキュリティモードのディスプレイ116を表示先として選択する。セキュリティモードのディスプレイ116としては、例えば、ディスプレイ116正面からのみ画像151を見えるように構成したディスプレイを採用できる。
【0030】
図6に示すように、スクリーン118を表示先として選択し、ディスプレイ116に「スクリーンをご覧ください。」と表示したうえで、スクリーン118をサイドモジュール103から繰り出し、画像151を投影することも可能である。
【0031】
ところで、ユーザUによっては、手を差し出したり、スクリーン118を確認することが困難な場合もある。図7に示すように、例えば、外部サーバ124から取得した情報に基づいて、ユーザUが車椅子を利用していることが判明した場合には、ディスプレイ116に「手前に進んでください」、「膝部に投影します。」などのガイダンス152を表示する。そして、表示先選択部113は、ユーザUの膝部を検知した場合に、ユーザUの膝部を表示先として選択し、その後、制御部111が描画灯117に画像151を出力する。このように、ユーザUの状態に合わせてガイダンス152を表示し、ユーザUの身体の一部を適宜選択して、被投影体115として利用することも可能である。
【0032】
次に、車両用情報表示システム101の動作について、図8に従って説明する。まず、表示先選択部113は、カメラ120から入力した画像に基づいてユーザUを検知し(S101)、ユーザUに向けて表示する情報を取得する(S102)。取得した情報にセキュリティやプライバシーに関する情報が含まれていない場合には(S103:No)、センサ121から入力した計測結果に基づいて、路面119への描画が可能か否かを判断する。そして、可能であると判断した場合には(S104:Yes)、表示先選択部113は路面119を表示先として選択し、制御部111は、表示する情報に基づいて画像生成部112で生成した画像151を描画灯117に出力する(S105,S106)。反対に、描画不可能と判断した場合には、表示先選択部113はディスプレイ116を表示先として選択し、制御部111は、ディスプレイ116に画像151を表示する(S107)。
【0033】
一方、取得した情報にセキュリティやプライバシーに関する情報が含まれている場合には(S103:Yes)、処理はセキュリティモードに移行する。まず、表示先選択部113は、ディスプレイに「手をかざしてください。」などの被投影体115に関するガイダンス152を表示する(S108)。表示先選択部113は、センサ121の計測結果に基づき被投影体115を検知した場合には(S109:Yes)、指定した被投影体115を表示先として選択し、制御部111は、描画灯117に画像151を出力する(S110,S111)。被投影体115を検知できなかった場合には(S109:No)、セキュリティモードでディスプレイ116に画像151を表示する(S112)。
【0034】
以上の構成の車両用情報表示システム101によれば、ユーザUに表示する情報の内容と、表示する環境との複数の条件に基づいて表示先を選択することとしたため、ユーザUのプライバシーやセキュリティに配慮しつつ、より好適な環境の表示先に表示できるという効果を有する。
【実施例2】
【0035】
図9,10に示すように、車両用情報表示装置201は、シェアカー2を利用するユーザUを認識した場合に、ディスプレイ216に「ようこそ!」などのおもてなし情報を表示し、描画灯217から行き先や利用スケジュールなどの利用情報を含む画像251を出力する。また、車両用情報表示装置3の周縁部には、自動運転状態を示すADマーカ(自動運転マーカ)4が設けられている。なお、車両用情報表示装置201は、ユーザUを載せて走行している間は、外部サーバ224から広告やニュースなどを受信して、ディスプレイ216に次々と表示することが可能である。
【0036】
図9~11に示すように、車両用情報表示装置201は、ユーザUに向けて所定の情報を表示するディスプレイ216、描画灯217、スクリーン218と、シェアカー2を利用するユーザUを検知するためのカメラ220と、表示部214が情報を表示する環境を計測するセンサ221と、ユーザUに提示する情報を格納する記憶部225と、ユーザUに提示する情報をクラウド通信や有線通信などにより配信する外部サーバ224と、車両用情報表示装置201を制御する制御部211と、描画灯217の画像描画位置や出力方向を調整するアクチュエータ222と、外部サーバ224から配信された情報を入力するインターフェース223を備える。このとき、センサ221は、ユーザUを検知するセンサとしても機能する。なお、センサ221としては、LiDAR、ミリ波レーダー、音声センサ等を採用できる。
【0037】
表示部214は、ディスプレイ216と、画像生成部212で生成した画像を描画する描画灯217と、描画灯217が画像を投影する被投影体215を含み、被投影体215は、スクリーン218と、路面219と、手のひらや膝部などのユーザUの身体の少なくとも一部を含む。スクリーン218は、通常は車両用情報表示装置201に格納されており、投影時に車両用情報表示装置201から繰り出される(図14参照)。描画灯217は、固定された画像を描画可能な単型や、DMD(Digital Micromirror Device)等を使用して自由な描画が可能な生成型を採用できる。
【0038】
制御部211は、記憶部225や外部サーバ224から入力した情報に基づいてディスプレイ216や描画灯217から出力するための画像251を生成する画像生成部212と、情報の内容に応じて該情報を表示する表示部214を選択する表示先選択部213を含む。
【0039】
表示先選択部213は、カメラ220が撮影したユーザUの画像と、外部サーバ224から取得したシェアカー2の利用情報に基づいて、ユーザUの顔認証を実施する。そして、ユーザUが検知できた場合に、表示する情報の内容と、表示する環境に応じて表示先を選択する。
【0040】
表示先選択部213は、例えば、おもてなし画像「ようこそ!」のように、表示する情報の内容にセキュリティやプライバシーに関る情報を含まない場合には、ディスプレイ216または路面219のいずれかを表示先として選択する。また、表示先選択部213は、センサ221から入力した計測結果に基づき、路面219が表示環境として適しているか否かを判断する。表示環境として路面219が適さない場合としては、例えば、路面219に段差があって描画が崩れるおそれがある場合や、路面219が雨に濡れたり、雪が積もったりして、描画した情報が読み取りにくくなる場合が想定できる。
【0041】
表示先選択部213は、路面219が被投影体215として適していると判断した場合には、描画灯217および路面219を表示先として選択する。このとき、画像生成部212では、ユーザUに向けて表示する情報に基づいて表示用の画像251を生成し、制御部211は、画像251を描画灯217に出力する。反対に路面219が被投影体215として適さないと判断した場合には、ディスプレイ216を表示先として選択する。この場合には、制御部211は、画像251を、ディスプレイ216に表示させる。
【0042】
表示先選択部213は、例えば、「〇〇様」、「行き先は〇〇です。」、あるいは、クレジットカード情報、取引先金融機関情報、ユーザの住所や勤め先、家族情報のように、表示する情報の内容にセキュリティやプライバシーに関る情報を含む場合には、表示先選択部213は、まず、ディスプレイ216にガイダンス252を表示する。例えば、図12に示すように、「手をかざしてください。」と表示する。ここで、表示先選択部213は、センサ221から入力した計測結果に基づき、指定した被投影体215、つまり、ユーザUの手が投影可能な位置にかざされているか否かを検知する。
【0043】
そして、センサ221が、描画灯217の投影範囲AにユーザUの身体の少なくとも一部であるユーザUの手を検出した場合に、ユーザUの手を表示先として選択し、制御部211は、描画灯217に表示する画像251を出力する。その後、描画灯217は、ユーザUの手に対して投影を開始する。この場合には、ユーザUは、自分の手のひらを見て画像251を確認できる。一方、ユーザUの手を検知できなかった場合には、表示先選択部213は、図13に示すように、セキュリティモードのディスプレイ216を表示先として選択する。セキュリティモードのディスプレイ216としては、例えば、ディスプレイ216正面からのみ画像251を見えるように構成したディスプレイ216を採用できる。
【0044】
図14に示すように、スクリーン218を表示先として選択し、ディスプレイ216に「スクリーンをご覧ください。」と表示したうえで、スクリーン218を車両用情報表示装置201から繰り出し、画像251を投影することも可能である。
【0045】
ところで、ユーザUによっては、手を差し出したり、スクリーン218を確認することが困難な場合もある。図15に示すように、例えば、外部サーバ224から取得した情報に基づいて、ユーザUが車椅子を利用していることが判明した場合には、ディスプレイ216に「手前に進んでください」、「膝部に投影します。」などのガイダンス252を表示する。そして、表示先選択部213は、描画灯217の投影範囲AにユーザUの身体の少なくとも一部であるユーザUの膝部を検出した場合に、ユーザUの膝部を表示先として選択し、その後、制御部211が描画灯217に画像251を出力する。その後、描画灯217は、投影を開始する。このように、ユーザUの状態に合わせてガイダンス252を表示し、ユーザUの身体の一部を適宜選択して、被投影体215として利用することも可能である。
【0046】
次に、車両用情報表示装置201が情報を表示する動作について、図16に従って説明する。まず、表示先選択部213は、カメラ220から入力した画像に基づいてユーザUを検知し(S201)、ユーザUに向けて表示する情報を取得する(S202)。取得した情報にセキュリティやプライバシーに関する情報が含まれていない場合には(S203:No)、センサ221から入力した計測結果に基づいて、路面219への描画が可能か否かを判断する。そして、可能であると判断した場合には(S204:Yes)、表示先選択部213は路面219を表示先として選択し、制御部211は、表示する情報に基づいて画像生成部212で生成した画像251を描画灯217に出力する(S205,S206)。反対に、描画不可能と判断した場合には、表示先選択部213はディスプレイ216を表示先として選択し、制御部211は、ディスプレイ216に画像251を表示する(S207)。
【0047】
一方、取得した情報にセキュリティやプライバシーに関する情報が含まれている場合には(S203:Yes)、処理はセキュリティモードに移行する。まず、表示先選択部213は、ディスプレイに「手をかざしてください。」などの被投影体215に関するガイダンス252を表示する(S208)。表示先選択部213は、センサ221の計測結果に基づき被投影体215を検知した場合には(S209:Yes)、指定した被投影体215を表示先として選択し、制御部211は、描画灯217に画像251を出力する(S210,S211)。被投影体215を検知できなかった場合には(S209:No)、セキュリティモードでディスプレイ216に画像251を表示する(S212)。
【0048】
以上の構成の車両用情報表示装置201によれば、センサ221が描画灯217の投影範囲Aに被投影体215としてのユーザの身体の少なくとも一部を検出した場合に、描画灯217が投影を開始するように構成したため、ユーザUは自身の身体で他人の目から隠しつつ情報を確認できる。このため、ユーザUのプライバシーやセキュリティに関する情報を他人が見難いように表示できるという効果を有する。
【実施例3】
【0049】
図17~19に示すように、車両制御システム301は、自動運転車両302に搭載されたセンサ321を含むサイドモジュール303と、センサ321からの入力に基づいて車両302を制御する制御部311と、制御部311から入力した制御信号に基づいて車両302を駆動する車両駆動機構331と、路面に最小移動単位を表す画像352を投影する第二描画灯32(図22参照)から構成される。車両駆動機構331は、駆動輪などの車両302を移動させる仕組みを含む。ここで、最小移動単位とは、制御部311が1パルスの制御信号を生成した場合に、車両駆動機構331が当該1パルスの制御信号に従って微小に作動し、当該作動により車両302が移動する微小な移動距離d(図22参照)を示す。
【0050】
サイドモジュール303は、ユーザUに向けて所定の情報を表示するディスプレイ316、第1描画灯317、スクリーン318などの表示部と、車両周辺のユーザUを検出して顔認証を実施するためのカメラ320と、ユーザUのジェスチャーや音声を検出するセンサ321と、ディスプレイ316および/または第1,2描画灯17,32に出力する情報を格納する記憶部325と、車両駆動機構331および第2描画灯332に制御部311からの制御信号を送信するインターフェース323を備える。インターフェース323は、外部サーバ(図示無し)から配信された情報を入力する機能も備えている。
【0051】
図19に示すように、サイドモジュール303の周縁部には、自動運転状態を示すADマーカ(自動運転マーカ)4が設けられている。なお、センサ321としては、LiDAR、ミリ波レーダー、音声センサなどを採用でき、センサ321を利用して路面状態、車両周辺の明るさ、他車両との車間距離などの運転環境を計測することも可能である。他方、カメラ320を用いてユーザUの顔認証を実施し、認証が成功した場合にあらためてセンサ321からユーザUのジェスチャーを入力することとしても良い。
【0052】
制御部311は、記憶部325や外部サーバから入力した情報に基づいてディスプレイ316や第1,2描画灯17,32から出力するための画像351,52を生成する画像生成部312と、センサ321が検出したユーザUのジェスチャーを車両移動用の指示として認識する認識部313を含む。このとき、制御部311では、認識した指示に基づき車両駆動機構331に制御信号を送信する処理も実施する。
【0053】
画像生成部312は、ディスプレイ316や第1,2描画灯17,32に出力する画像351,52を生成する。描画灯17に出力された画像351は、スクリーン318、車両周辺の路面、ユーザUの手のひらや膝部などのユーザUの身体の一部に投影することが可能である。スクリーン318は、通常はサイドモジュール303に格納されており、投影時にサイドモジュール303から繰り出される。描画灯17としては、固定された画像を描画可能な単型、DMD(Digital Micromirror Device)などによる自由な描画が可能な生成型を採用できる。図19に示すように、ディスプレイ316に自動運転モードを表示し、第1描画灯317を用いて路面にガイダンスを表示することも可能である。
【0054】
認識部313は、センサ321から入力した画像、映像、距離などの情報に基づいて、ユーザUの動作、音声認識、口唇の動きに基づく読唇処理などを実施し、車両移動用の指示を認識する。認識方法としては、所定の画像・映像情報、音情報に基づくパターンマッチングや、車両移動用のジェスチャーや音声を深層学習させたAIなどを選択できる。ジェスチャーの例としては、車両302を移動させたい方向に手や腕を振る、指で指し示す、などが挙げられる。また、ジェスチャーとしてユーザUの表情を用いても良い。音声の例としては、「ススメ」、「バック」などが上げられる。口唇の動きの例としては、「ススメ」、「バック」などの音声指示を発する口の形にすることが挙げられる。
【0055】
また、認識部313は、認識した車両移動用の指示に基づいて、車両302の移動方向、移動回数を判断する。例えば、ジェスチャーの動作の向きを移動方向とし、動作の繰り返し回数を移動回数として判断することとしても良い。あるいは、音声認識結果、読唇結果、ユーザUおよび車両302の位置関係などに基づいて移動方向を判断し、音声や口唇の動きが繰り返された回数を移動回数として判断することとしても良い。このときには、例えば、「ススメ、ススメ」と音声認識した場合に移動回数2回とすることができる。その他、ジェスチャー、音声認識結果、読唇結果に基づく指示を複合的に用いて移動方向や移動回数を判断する方法も採用できる。
【0056】
制御部311は、認識部313が判断した移動方向および移動回数の情報を含む制御信号を生成する。このとき、特に、移動回数は、制御信号のパルス数により伝達される。例えば、ユーザUが1回のみ指示を与えた場合には、制御信号は1パルス送信される。そして、車両駆動機構331では1パルスに相当する作動が実施され、車両302は最小移動単位である距離dだけ移動する(図22参照)。
【0057】
第2描画灯は、車両302の周辺の路面に最小移動単位である距離dを示す画像352を描画し、ユーザUの車寄せを支援する。描画する画像352は、距離dが判別できればよく、間隔d毎に平行に描画された線であっても良い。また、第2描画灯は、ユーザUの指示が認識された後から、車両302の移動方向の路面上に所定の時間描画することが可能である。
【0058】
次に、車両制御システム301の動きについて図20~22に基づいて説明する。図20に示すように、ユーザUが腕を振るジェスチャーをすると、センサ321がジェスチャーを検出し、制御部311の認識部313は、センサ321から入力した情報に基づいて車両移動用の指示を認識する。また、図21に示すように、ユーザUが「ススメ」、「バック」などの音声を出すと、センサ321が音声やユーザUの口唇の変形を検出し、制御部311の認識部313は、センサ321から入力した情報に基づいて車両移動用の指示を認識する。このとき、ユーザUに近づく向きを前方、ユーザUから遠ざかる方向を後方と認識するように構成しても良い。車両移動用の指示は、車両の移動方向と移動回数を含み、制御部311は、これらの指示に基づいて制御信号を生成し、車両駆動機構331に送信する。車両駆動機構331は1パルス毎に作動し、車両302を最小移動単位毎に移動させる。
【0059】
制御部311は、制御信号を第2描画灯332に対しても送信する。図22に示すように、第2描画灯332は、車両302の移動方向に沿って路面に最小移動単位である距離dを示す画像352を投影する。このとき、車両302の進行方向に壁などの障害物Wがある場合は、画像352の一部が障害物Wに投影される。ユーザUは、路面および障害物Wに投影される画像352を確認することにより、車寄せできる回数と、車寄せの移動限界位置Bを把握することができる。
【0060】
以上の構成の車両制御システム301によれば、センサ321から車両外部のユーザUのジェスチャーを入力し、認識部313で車両用移動用の指示を認識することとしたため、ユーザUは特別な装置を操作する必要が無く、容易に車両302を移動できるという効果を有する。また、人の目で車両302の位置を確認でき、各人が所望の位置に車寄せできるという効果も有する。さらに、ジェスチャーによる指示回数と制御パルス数を対応させたため、じわじわと少しずつ車寄せできるという効果も有する。
【0061】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部の形状や構成を適宜に変更して実施することも可能である。たとえば、センサ321を車両302の前方および/または後方に設置し、前方または後方のユーザUのジェスチャーや音声、口唇の動きを検出できるように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0062】
101 車両用情報表示システム
102 シェアカー
103 サイドモジュール
104 ADマーカ
111 制御部
112 画像生成部
113 表示先選択部
114 表示部
115 被投影体
116 ディスプレイ
117 描画灯
118 スクリーン
119 路面
120 カメラ
121 センサ
122 アクチュエータ
123 インターフェース
124 外部サーバ
125 記憶部
151 画像
152 ガイダンス
201 車両用情報表示装置
204 ADマーカ
211 制御部
212 画像生成部
213 表示先選択部
214 表示部
215 被投影体
216 ディスプレイ
217 描画灯
218 スクリーン
219 路面
220 カメラ
221 センサ
222 アクチュエータ
223 インターフェース
224 外部サーバ
225 記憶部
251 画像
252 ガイダンス
301 車両制御システム
302 車両
303 サイドモジュール
304 ADマーカ
311 制御部
312 画像生成部
313 認識部
316 ディスプレイ
317 第1描画灯
318 スクリーン
320 カメラ
321 センサ
323 インターフェース
325 記憶部
331 車両駆動機構
332 第2描画灯
351,352 画像
A 投影範囲
B 移動限界位置
W 障害物
U ユーザ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22