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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】放射性ファントムの積層造形
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/314 20170101AFI20240827BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20240827BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20240827BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240827BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20240827BHJP
【FI】
B29C64/314
B29C64/112
B33Y80/00
B33Y10/00
B33Y70/00
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2021538300
(86)(22)【出願日】2019-12-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 IL2019051439
(87)【国際公開番号】W WO2020141519
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】62/786,793
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513131464
【氏名又は名称】ストラタシス リミテッド
【住所又は居所原語表記】1 Holtzman Street, Science Park, P.O. Box 2496, 7612401 Rehovot, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディコフスキー、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィッチ、ディアナ
(72)【発明者】
【氏名】レヴィ、アヴラハム
(72)【発明者】
【氏名】クライン、ベン
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-043793(JP,A)
【文献】米国特許第09364986(US,B1)
【文献】特表2016-536434(JP,A)
【文献】特開2005-111988(JP,A)
【文献】特表2014-531503(JP,A)
【文献】国際公開第2016/103973(WO,A1)
【文献】特表2016-536085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元オブジェクトの積層造形に使用できるモデリング材料用の製剤であって、前記製剤は
1又は複数の硬化性材料、及び
放射線不透過性要素又は放射線不透過性要素を含む放射線不透過性化合物である放射線不透過性材料であって、前記製剤の総重量の5~50重量%の範囲の量である放射線不透過性材料、
を含み、
前記製剤の粘度が75℃で8~50センチポアズであり、前記製剤が、硬化時、70kVで少なくとも150HUのCT数を示すことを特徴とする、製剤。
【請求項2】
前記製剤が、硬化時、少なくとも1000HUのCT数を示す、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記製剤が、硬化時、少なくとも2000HUのCT数を示す、請求項1又は請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
前記三次元オブジェクトが放射線ファントムである、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項5】
前記積層造形が3Dインクジェット印刷である、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項6】
前記放射線不透過性材料の量が、前記製剤の総重量の5~30重量%の範囲である、請求項1~請求項のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項7】
前記放射線不透過性要素が、ヨウ素、タングステン、タンタル、ガドリニウム、イットリウム、金、ビスマス、及びバリウムから選択される、請求項1~請求項のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
前記放射線不透過性材料が硫酸バリウムである、請求項1~請求項のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項9】
前記放射線不透過性材料が、ナノ粒子又はナノ粉末の形態であり、液体担体に任意選択で分散又は溶解されている、請求項1~請求項のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
前記放射線不透過性材料が、少なくとも2グラム/cmの密度を有する液体材料である、請求項1~請求項のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項11】
前記放射線不透過性材料が、1又は複数の硬化性基及び1又は複数の放射線不透過性要素又は放射線不透過性要素を含む1又は複数の基を含む硬化性材料である、請求項1~請求項のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項12】
前記放射線不透過性要素が、臭素及びヨウ素から選択される、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
前記硬化性材料がUV硬化性材料である、請求項1~請求項12のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項14】
光開始剤をさらに含む、請求項13に記載の製剤。
【請求項15】
前記光開始剤の量が、製剤の総重量の1~10重量%の範囲である、請求項14に記載の製剤。
【請求項16】
前記光開始剤の量が、製剤の総重量の2~6重量%の範囲である、請求項14に記載の製剤。
【請求項17】
界面活性剤及び/又は分散剤をさらに含む、請求項1~請求項16のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項18】
三次元オブジェクトを積層造形する方法であって、
少なくとも1つのモデリング材料製剤を供給し、順次、オブジェクトの形状に対応するよう構成されたパターンで複数の層を形成することを含み、少なくとも前記層の一部に対して、少なくとも1つの前記モデリング材料製剤は請求項1~請求項17のいずれか一項に記載の製剤である、
方法。
【請求項19】
前記供給が、1又は複数の3Dインクジェット印刷アレイを介する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記供給された層の少なくとも一部を硬化条件に曝して、それにより、前記CT数を有する硬化製剤を得ることをさらに含む、請求項18又は請求項19に記載の方法。
【請求項21】
放射線ファントムとして使用するための、請求項1~請求項17のいずれか一項に記載の製剤で形成された、70kVで少なくとも150HUのCT数を示すことを特徴とする硬化材料を三次元オブジェクトの少なくとも一部に含む、三次元オブジェクト。
【請求項22】
放射線画像システムの評価、調整、及び/又は較正に使用するための、請求項1~請求項17のいずれか一項に記載の製剤で形成された硬化材料を三次元オブジェクトの少なくとも一部に含み、身体器官又は組織の形状、及び/又はテクスチャーを特徴化する三次元オブジェクト。
【請求項23】
前記評価、調整、及び/又は較正が、三次元オブジェクトを前記放射線画像システムに配置し、様々な条件下又はシステムパラメータの下で三次元オブジェクトのCT数を測定することを含む、請求項22に記載の三次元オブジェクト。
【請求項24】
三次元オブジェクトの積層造形に使用できるモデリング材料用の製剤であって、前記製剤は
1又は複数の硬化性材料、及び
1又は複数の硬化性基及び1又は複数の放射線不透過性要素又は放射線不透過性要素を含む1又は複数の基を含む硬化性材料を含む放射線不透過性材料、
を含み、
前記製剤が、硬化時、70kVで少なくとも100HUのCT数を示すことを特徴とする、製剤。
【請求項25】
前記放射線不透過性要素が、臭素及びヨウ素から選択される、請求項24に記載の製剤。
【請求項26】
前記製剤の粘度が75℃で8~50センチポアズである、請求項24又は請求項25に記載の製剤。
【請求項27】
前記製剤が、硬化時、少なくとも1000HUのCT数を示す、請求項24~請求項26のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項28】
前記放射線不透過性材料の量が、前記製剤の総重量の5~50重量%の範囲である、請求項24~請求項27のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項29】
前記硬化性材料がUV硬化性材料である、請求項24~請求項28のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項30】
光開始剤をさらに含む、請求項29に記載の製剤。
【請求項31】
前記光開始剤の量が、製剤の総重量の1~10重量%の範囲である、請求項30に記載の製剤。
【請求項32】
前記光開始剤の量が、製剤の総重量の2~6重量%の範囲である、請求項30に記載の製剤。
【請求項33】
三次元オブジェクトを積層造形する方法であって、
少なくとも1つのモデリング材料製剤を供給し、順次、オブジェクトの形状に対応するよう構成されたパターンで複数の層を形成することを含み、少なくとも前記層の一部に対して、少なくとも1つの前記モデリング材料製剤は請求項24~請求項32のいずれか一項に記載の製剤である、
方法。
【請求項34】
前記供給が、1又は複数の3Dインクジェット印刷アレイを介する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
放射線ファントムとして使用するための、請求項24~請求項32のいずれか一項に記載の製剤で形成された、70kVで少なくとも100HUのCT数を示すことを特徴とする硬化材料を三次元オブジェクトの少なくとも一部に含む、三次元オブジェクト。
【請求項36】
放射線画像システムの評価、調整、及び/又は較正に使用するための、請求項24~請求項32のいずれか一項に記載の製剤で形成された硬化材料を三次元オブジェクトの少なくとも一部に含み、身体器官又は組織の形状、及び/又はテクスチャーを特徴化する三次元オブジェクト。
【請求項37】
前記評価、調整、及び/又は較正が、三次元オブジェクトを前記放射線画像システムに配置し、様々な条件下又はシステムパラメータの下で三次元オブジェクトのCT数を測定することを含む、請求項36に記載の三次元オブジェクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性ファントムの積層造形に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、その一部の実施形態において積層造形に関連し、より具体的には、限定されないが、放射線ファントムの積層造形に使用可能な新規の製剤に関する。
[関連出願の相互参照]
この出願は、2018年12月31日に出願された米国仮特許出願62/786,793号の35USCセクション119(e)に基づく優先権の利益を主張し、その内容のすべてを本出願明細書中に参照により援用する。
【0003】
積層造形(AM)では、一般に、オブジェクトのコンピューターモデルを利用して三次元(3D)オブジェクトを製造する。このようなプロセスは、視覚化、デモンストレーション、機械的試作、及び高速試作(RM)を目的とした設計関連分野など、さまざまな分野で使用できる。
【0004】
AMシステムの基本的な操作は、三次元コンピューターモデルを薄い断面にスライスし、その結果を二次元位置データに変換し、そのデータを層状の三次元構造体を製造する制御装置に提供すること、で構成される。
【0005】
さまざまなAM技術が存在するが、その中には、ステレオリソグラフィー、デジタル光処理(DLP)、及びその他の三次元(3D)印刷技術、特に3Dインクジェット印刷がある。そのような技術の実行は、一般に、1又は複数のビルディング材料、典型的には光重合性(光硬化性)材料を層ごとに堆積及び固化することによりなされる。
【0006】
三次元印刷プロセスでは、例えば、ビルディング材料は、支持構造上に層を堆積するために、一組のノズル又はノズルアレイを有する印刷ヘッドから供給される。次に、ビルディング材料に応じて、層は、任意選択で適切な装置を使用して、固化又は硬化し得る。
【0007】
様々な三次元印刷技術が存在するが、例えば、米国特許第6259962号、第6569373号、第6658314号、第6850334号、第7183335号、第7209797号、第7225045号、第7300619号、第7479510号、第7500846号、第7962237号及び第9031680号(すべて同一の譲受人による)にその技術が開示されている。これらは参照により本明細書に援用される。
【0008】
ビルディング材料としては、オブジェクトを形成するモデリング材料及び支持材料を含むことができるが、それぞれによりオブジェクトと、それが構築されたままの状態になるよう支持する一時的な支持構造が形成される。モデリング材料(1又は複数の材料を含み得る)は、所望のオブジェクトを生成するために堆積され、そして支持材料(1又は複数の材料を含み得る)はモデリング材料要素の有無にかかわらず使用されて、構築中にオブジェクトの特定の領域に支持体が提供され、そして後続のオブジェクト層の適切な垂直配置が確保される。たとえば、オブジェクトに、湾曲したジオメトリ、負の角度、ボイドなどの張り出しといった形状などが含まれている場合などがこれにあたる。
【0009】
モデリング材料と支持材料の両方は、好ましくは、それらが供給される作業温度で液体であり、その後、硬化条件、通常は硬化エネルギー(例えば、UV硬化)下にさらされると硬化又は固化して、必要とされる層形状が形成される。印刷が完了したら、支持体を取り外し、製造された3Dオブジェクトの最終的な形状が得られる。
【0010】
いくつかの積層造形プロセスでは、「マルチマテリアル」AMプロセスとも呼ばれる、複数のモデリング材料を使用したオブジェクトの積層造形が可能となる。例えば、本譲受人による公開番号2010/0191360の米国特許出願には、複数の印刷ヘッドを有する固体自由形状製造装置、複数のビルディング材料を供給するように構成されたビルディング材料供給装置、製造及び供給装置を制御するために構成された制御ユニットからなるシステムが開示されている。当システムにはいくつかの動作モードがあり、あるモードでは、すべての印刷ヘッドは、製造装置の単一の構築スキャンサイクル中に動作する。別のモードでは、1又は複数の印刷ヘッドは、単一の構築スキャンサイクル中又はその一部の間は動作しない。
【0011】
Polyjet(商標)(Stratasys Ltd.、Israel)などの3Dインクジェット印刷プロセスでは、ビルディング材料は1又は複数の印刷ヘッド又は1又は複数のノズルアレイから選択的に噴射され、ソフトウェアにより事前に決定された構成手順に従って連続層として製造トレイに堆積される。
【0012】
本譲受人による米国特許第9,227,365号には、複数の層と、コア領域を構成する層状コアと、エンベロープ領域を構成する層状シェルとから構成される殻付きオブジェクトの固体自由形状製造のための方法及びシステムが開示されている。これらの方法論は、デジタルABS又はD-ABSとも呼ばれる。
【0013】
現在のPolyJet(商標)テクノロジーは、さまざまな使用可能な硬化性(たとえば重合性)材料を提供する。硬い材料(Vero(商標)ファミリーとして販売されている硬化性製剤)から柔らかくて柔軟な材料(例:Tango(商標)及びAgilus(商標)ファミリーとして販売されている硬化性製剤)など、さまざまな特性を備えた高分子材料を提供する。また2つの出発材料(例:RGD515及びRGD535/531)で作られた殻付きマルチマテリアルを含むデジタルABSを使用して作られたオブジェクトも含まれる(エンジニアリングプラスチックの特性をシミュレートもする)。現在実施されているPolyJet材料のほとんどは、放射線、主にUV放射線及び/又は熱にさらされると硬化又は固化する硬化性材料である。
【0014】
3Dインクジェット印刷システムで使用される市販の印刷ヘッドのほとんどと互換性を持たせるために、未硬化のビルディング材料は次の特性を備えている必要がある:比較的低い粘度(たとえば、最大50cpsのブルックフィールド粘度、又は最大作業(例えば、噴射)温度で35cps、好ましくは8~25cps);約25~約55ダイン/cm、好ましくは約25~約40ダイン/cmの表面張力である。ニュートン液体の挙動及び選択された硬化条件に対する高い反応性により、硬化条件にさらされたときに、1分以内、好ましくは20秒以内に噴射された層の迅速な凝固を可能にする。追加の要件として、低沸点溶媒(溶媒を使用する場合)であることが含まれる。たとえば、沸点が200℃未満又は190℃未満であり、動作(たとえば噴射)温度での蒸発速度が遅いことが要件となる。もしビルディング材料に固体粒子が含まれている場合、これらの平均サイズは2ミクロン以下である必要がある。
【0015】
本明細書で単に「ファントム」とも呼ばれる撮影ファントムは、撮影デバイスの性能を評価、分析、較正、及び調整するための、生物医学的撮影で使用される特別に設計されたオブジェクトである。
【0016】
「ファントム」構造は、撮影技術により評価されるオブジェクトの全身又は一部をシミュレートすることを意図しており、好ましくは、身体及びその組織の物理的特性を模倣するように作製される。
【0017】
撮影デバイスの評価に使用されるファントムは、その特定の撮影モードにおいて、人間の組織や臓器が機能するのと同様に応答する必要がある。たとえば、放射線撮影技術の場合、放射線ファントムは、撮影装置のコントラストを調整したり、患者の被ばく量を調整したりするために、正常組織と同様のX線吸収特性及び/又は特性プロファイルを備えている必要がある。
【0018】
造影剤は、コンピュータ断層撮影(CT)などのX線ベースの画像技術で内部構造の可視性を高めるために使用される物質である。造影剤は、通常、放射線不透過性又は放射線密度を示す。これは、電磁放射の電波及びX線部分に対する不透明度性(通過の阻害)を意味する。放射線不透過性は、X線写真で骨などが白い外観を示すことで説明される。造影剤は、通常、高原子番号の元素及び/又は高密度の液体材料を含む材料である。このような材料は、本明細書及び当技術分野では「放射線不透過性薬剤」とも呼ばれる。
【0019】
造影剤の性能は、無次元ハウンズフィールド単位(HU)を使用してハウンズフィールドスケールで測定される。ハウンズフィールドスケールでは、蒸留水は0HUを示し、空気は-1000HUを示し、骨は3000HUを示す。
【0020】
一般に使用される造影剤には、通常、ヨウ素、バリウム、又はガドリニウムが含まれる。いくつかの代替案が当技術分野において記載がある。現在、KIやイオジキサノール(C354415)などのヨウ素含有化合物は、血管内用途で使用される唯一の高密度放射線造影剤であり、ヨウ素の代替品の候補として考えられるものとして、たとえばBa(NO、GdCl、タンタルベースの化合物やBi(NOがあり、これらは、たとえば、FitzGerald et al、CT Image Contrast of High-Z elements:Phantom Imaging Studies and Clinical Implications、Radiology 2016;278(3)、723-733に記載されている。カテーテルなどの医療機器で現在使用されている造影剤には、硫酸バリウム粒子、BiCO、BiOCl、などのビスマスベースの化合物やタングステン(W)粒子が含まれる。
【0021】
ラジオグラフィー(例えば、メモグラフィー)、XRD、CT、MRI、PET及び/又はSPECTなどの二次元及び三次元の放射線画像モードで使用される放射線ファントムの積層造形は、以下の文献に記載される:例えば、Badalら、 J.Med.Imag.5(3)、033501(2018);Gear et al.EJNMMI Physics(2016)3:17;Mitsouras et al.RadioGraphics 2015;35:1965-1988;Mitsouras et al.Magnetic Resonance in Medicine 00:00-00(2016);及び米国出願特許(公開番号US2018/0104946)。これらの文献は重合性材料を使用した積層造形に関して教示してくれる。
【0022】
追加の背景技術に関しては、公開番号2003/0207959の米国特許出願、公開番号WO2016/142947、WO2017/029657;及びWO2017/122211のPCT国際特許出願;及びPCT国際特許出願番号PCT/IL2018/050839;PCT/IL2018/050840;PCT/IL2018/050841;PCT/IL2018/050842;及びPCT/IL2018/050843が開示されている。
【発明の概要】
【0023】
本発明の数々の実施形態の一態様によれば、三次元オブジェクトの積層造形に使用できるモデリング材料製剤が提供され、前記製剤は1又は複数の硬化性材料、そして放射線不透過性材料を含み、前記製剤は硬化すると、70kVで少なくとも100HUのCT数を示すことを特徴とする製剤である。
【0024】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部によれば、前記製剤は、硬化されると、70kVで少なくとも500HU、又は少なくとも1000HU、又は少なくとも2000HUのCT数を示す。
【0025】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部によれば、前記三次元オブジェクトは放射線ファントムである。
【0026】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部によれば、前記積層造形は3Dインクジェット印刷である。
【0027】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部によれば、前記製剤が75℃で8~約50、又は8~約30、又は8~約25センチポアズの粘度を有する。
【0028】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部によれば、前記放射線不透過性材料の量は、前記製剤の総重量の5~50重量%、又は5~30重量%、又は5~25重量%の範囲である。
【0029】
本明細書に記載の実施形態のいずれかの実施形態の一部によれば、前記放射線不透過性材料は、放射線不透過性要素又は放射線不透過性要素を含む放射線不透過性化合物を含む。
【0030】
本明細書に記載の実施形態のいずれかの実施形態の一部によれば、前記放射線不透過性要素は、ヨウ素、タングステン、タンタル、ガドリニウム、イットリウム、金、ビスマス、及びバリウムから選択される。
【0031】
本明細書に記載の実施形態のいずれかの実施形態の一部によれば、前記放射線不透過性材料は硫酸バリウムである。
【0032】
本明細書に記載の実施形態のいずれかの実施形態の一部によれば、前記放射線不透過性材料は、ナノ粒子又はナノ粉末の形態であり、任意に選択された液体担体に分散又は溶解されている。
【0033】
本明細書に記載の実施形態のいずれかの実施形態の一部によれば、前記放射線不透過性材料は、少なくとも2グラム/cmの密度を有する液体である。
【0034】
本明細書に記載の実施形態のいずれかの実施形態の一部によれば、前記放射線不透過性材料は、1又は複数の硬化性基及び1又は複数の放射線不透過性要素又は放射線不透過性要素を含む1又は複数の基を含む硬化性材料である。
【0035】
本明細書に記載の実施形態のいずれかの実施形態の一部によれば、前記放射線不透過性要素は、臭素及びヨウ素から選択される。
【0036】
本明細書に記載の実施形態のいずれかの実施形態の一部によれば、前記放射線不透過性材料は、硬化性製剤に分散された不透明な固体材料を含む。
【0037】
本明細書に記載の実施形態のいずれかの実施形態の一部によれば、固体の不透明な材料は、アルミナ、チタニアなどの酸化物である。
【0038】
本明細書に記載の実施形態のいずれかの実施形態の一部によれば、前記1又は複数の硬化性材料は、硬化時に50℃より高いTgを持つことを特徴とする1又は複数の単官能性硬化性材料を含む。
【0039】
本明細書に記載の実施形態のいずれかの実施形態の一部によれば、硬化したときに50℃より高いTgを有することを特徴とする前記単官能硬化性材料の総量は、前記製剤の総重量に対して少なくとも20%、又は20%~40%、又は30~40重量%である。
【0040】
本明細書に記載の実施形態のいずれかの実施形態の一部によれば、前記1又は複数の硬化性材料は、硬化時に20℃未満のTgを持つことを特徴とする1又は複数の単官能性硬化性材料を含む。
【0041】
本明細書に記載の実施形態のいずれかの実施形態の一部によれば、硬化したときに20℃未満のTgを特徴とする前記単官能硬化性材料の総量は、前記製剤総重量に対して1~から20、又は5~15重量%の範囲である。
【0042】
本明細書に記載の実施形態のいずれかの実施形態の一部によれば、1又は複数の前記硬化性材料は、硬化時に50℃より高いTgを持つことを特徴とする1又は複数の多官能硬化性材料を含む。
【0043】
本明細書に記載の実施形態のいずれかの実施形態の一部によれば、前記硬化時に50℃を超えるTgを特徴とする多官能硬化性材料の総量は、製剤の総重量に対して5%~15%、又は5~10%の範囲である。
【0044】
本明細書に記載の実施形態のいずれかの実施形態の一部によれば、前記1又は複数の硬化性材料は、硬化時に20℃未満のTgを持つことを特徴とする1又は複数の多官能硬化性材料を含む。
【0045】
本明細書に記載の実施形態のいずれかの実施形態の一部によれば、前記硬化したときに20℃未満のTgを特徴とする多官能硬化性材料の総量は、前記製剤の総重量に対して10~30、又は15~25重量%の範囲である。
【0046】
本明細書に記載の実施形態のいずれかの実施形態の一部によれば、前記硬化性材料は、UV硬化性材料である。
【0047】
本明細書に記載の実施形態のいずれかの実施形態の一部によれば、前記製剤は、光開始剤をさらに含む。
【0048】
本明細書に記載の実施形態のいずれかの実施形態の一部によれば、前記光開始剤の量は、製剤の総重量に対して1~10重量%、又は2~10重量%、又は2~6重量%の範囲である。
【0049】
本明細書に記載の実施形態のいずれかの実施形態の一部によれば、前記製剤は、界面活性剤及び/又は分散剤をさらに含む。
【0050】
本発明の一部の実施形態の一態様によれば、三次元オブジェクトを積層造形する方法が提供され、この方法には、オブジェクトの形状に対応するように構成されたパターンで複数の層を順次形成するための、少なくとも1つのモデリング材料製剤を供給することが包含され、前記層の少なくとも一部に対して、その少なくとも1つのモデリング材料製剤は、それぞれの実施形態のいずれか及びそれらの任意の組み合わせにおいて本明細書に記載される製剤である。
【0051】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部によれば、ディスペンシングには、1又は複数の3Dインクジェット印刷アレイがその範疇に含まれる。
【0052】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部によれば、この方法は、供給された層の少なくとも一部を硬化条件に曝して、それによって特徴的なCT数を有する硬化製剤を得ることをさらに含む。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、その少なくとも一部において、70kVで少なくとも100HUのCT数を持つことを特徴とする硬化材料を含む三次元オブジェクトが提供されるが、この硬化材料は本明細書に記載される各実施形態のいずれか及びそれらの任意の組み合わせにおける方法により得られるものである。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、その少なくとも一部において、70kVで少なくとも100HUのCT数を持つことを特徴とする硬化材料を含む三次元オブジェクトが提供されるが、この硬化材料は、本明細書に記載されるように、各実施形態のいずれか及びそれらを任意に組み合わせた実施形態における製剤を、硬化製剤が提供される硬化条件に曝すことにより得られる。
【0055】
本明細書に記載の実施形態のいずれかの実施形態の一部によれば、オブジェクトは、放射線ファントムとして使用するためのものである。
【0056】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び/又は科学用語は、本発明が関係する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似又は同等の方法及び材料を本発明の実施形態の実施又は試験に使用することができ、例示的な方法及び/又は材料を以下に説明する。矛盾する場合は、定義を含む特許明細書の内容を優先する。さらに、材料、方法、及び例は例示にすぎず、必ずしも限定することを意図するものではない。
【0057】
本発明の実施形態の方法及び/又はシステムの実施は、選択されたタスクを手動で、自動で、又はそれらの組み合わせで実行又は完了してよい。さらに、本発明の方法及び/又はシステムの実施形態の、実際の機器及び機器によれば、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はオペレーティングシステムを使用したそれらの組み合わせによって、いくつかの選択されたタスクを実施することができる。
【0058】
例えば、本発明の実施形態において選択されたタスクを実行するためのハードウェアには、チップ又は回路が実装できる。ソフトウェアとして、本発明の実施形態において選択されたタスクを、任意の適切なオペレーティングシステムを使用してコンピュータによって実行処理できるよう複数のソフトウェアを命令することができる。本発明の例示的な実施形態では、本明細書に記載の方法及び/又はシステムの例示的な実施形態における1又は複数のタスクは、複数の命令を実行するためのコンピューティングプラットフォームなどのデータプロセッサによって実行される。データプロセッサは、任意選択で、命令及び/又はデータを格納するための揮発性メモリ、及び/又は命令及び/又はデータを格納するための不揮発性ストレージ、例えば、磁気ハードディスク及び/又はリムーバブルメディアを含む。任意で、ネットワーク接続も提供される。ディスプレイ及び/又はキーボード又はマウスなどのユーザ入力デバイスも任意選択で提供される。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみ本明細書に記載されている。ここで図面を具体的かつ詳細に参照する上で強調することは、例をもってという事と本発明の実施形態を例示により説明するためにという事である。この点、図面とともになされた説明により、当業者には本発明の実施形態がどのように実施され得るかが明白となる。
図面では:
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1A図1A~1Dは、本発明のいくつかの実施形態による積層造形システムの概略図である。
図1B図1A~1Dは、本発明のいくつかの実施形態による積層造形システムの概略図である。
図1C図1A~1Dは、本発明のいくつかの実施形態による積層造形システムの概略図である。
図1D図1A~1Dは、本発明のいくつかの実施形態による積層造形システムの概略図である。
図2A図2A~2Cは、本発明のいくつかの実施形態による印刷ヘッドの概略図である。
図2B図2A~2Cは、本発明のいくつかの実施形態による印刷ヘッドの概略図である。
図2C図2A~2Cは、本発明のいくつかの実施形態による印刷ヘッドの概略図である。
図3A図3A及び3Bは、本発明のいくつかの実施形態による座標変換を示す概略図である。
図3B図3A及び3Bは、本発明のいくつかの実施形態による座標変換を示す概略図である。
図4図4は、本発明の様々な例示的な実施形態による三次元オブジェクトのAMに適した方法のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本発明は、その一部の実施形態において、積層造形に関連し、より具体的には、限定的ではないが、放射線ファントムの積層造形に使用可能な新規の製剤に関する。
【0062】
費用対効果が高く再現性のある方法によって放射性ファントムを製造する方法の必要性が当技術分野で認識されており、研究者は放射線撮影のファントム(放射性ファントム)として使用できるモデルを製造するための積層造形方法論を研究するようになった。しかしながら、現在開示されている方法のすべてにおいて、放射線造影剤として機能する放射線不透過性(放射線造影剤)剤を欠くモデルが提供されており、このモデルでは例えば70kVで最大300HUの限られた範囲内の低い放射線不透過性が示される。
【0063】
本発明者らは、例えば、放射線撮影装置のより正確な評価及びその結果としての較正を可能にすることによって、増強された放射線不透過性を示すことが可能な、すなわち放射線ファントムとして改善された性能を示す3Dオブジェクトを提供できる、モデリング材料製剤及びそれを利用する積層造形法を考案した。本発明者らは、硬化性製剤に分散された放射線不透過性を付与する固体粒子を含むいくつかの製剤、及び硬化性製剤と混合された放射線不透過性を付与する硬化性材料を含むいくつかの製剤を設計及び試験し、そのような製剤が、現行のAM製造のファントムと比較して改善された放射線不透過性を示す放射性ファントムのAM製造で首尾よく使用できることを示した。
【0064】
より具体的には、以下の実施例のセクションに提示されるデータにより、硬化性及び非硬化性の放射線不透過性材料の両方を含む硬化性製剤が首尾よく調製され、所望の放射線不透過性を提供できることが示された。ほとんどの製剤は噴射可能であり、したがって3Dインクジェット印刷システムを使用して3Dオブジェクトを形成するのに適しており、そのような製剤は放射線ファントムを製造する上で有利である。
【0065】
この製剤は、一般に、放射線不透過性材料を硬化性製剤と混合することによって調製され、この製剤に追加の界面活性剤/分散剤及び/又は追加量の光開始剤を任意に選択して添加する。テストされたすべての製剤は、UV放射線にさらされると硬化する。
【0066】
硬化性放射線不透過性材料及び硫酸バリウムナノ粒子を含む製剤によって、実質的に高い放射線不透過性/放射線密度及び良好な噴射性が観察された。
【0067】
硬化性製剤は、その製剤が放射線不透過性材料の良好な分散又は溶解、及び得られた分散液又は溶液の良好な安定性を可能にする限り、任意の市販の若しくは調整された硬化性製剤であってよい。
【0068】
本発明の実施形態は、放射線不透過性を示す三次元オブジェクトの3Dインクジェット印刷における積層造形において、放射線ファントムとして使用できる新規製剤、これらの製剤を含むキット、これらの製剤を利用した積層造形法、及びそれによって得られた3Dオブジェクト、に関する。
【0069】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下に記載される構成要素の構造及び配置の詳細及び/又は図面及び/又は実施例に示されている方法に必ずしも限定されないことを理解されたい。また本発明によれば、他の実施形態を様々な方法で具現化又は実施することができる。
【0070】
本発明の実施形態は、三次元オブジェクトの積層造形に適用可能な新規の製剤に関し、その少なくとも一部において放射線不透過性を特徴とする。放射性不透明性は当技術分野で知られている標準的な手順に従ってハウンズフィールド単位(HU)によって決定される。
【0071】
本発明の一部の実施形態は、三次元オブジェクトを製造するために使用できる製剤に関し、その少なくとも一部において少なくとも100HUの放射線不透過性を特徴とする。
【0072】
本発明の一部の実施形態は、三次元オブジェクトを製造するために使用可能な製剤に関し、その少なくとも一部において、少なくとも500HUの放射線不透過性を特徴とする。
【0073】
本発明の一部の実施形態は、三次元オブジェクトを製造するために使用可能な製剤に関し、その少なくとも一部において、少なくとも1000HUの放射線不透過性を特徴とする。
【0074】
それによって形成されたオブジェクトの放射線不透過性に加えて、本明細書に記載の製剤は、硬化時に、例えば、硬い材料(例えば、Vero(商標)ファミリー材料として販売されている硬化性製剤から得られたものと同様のもの)から、柔らかくて柔軟な材料(たとえば、Tango(商標)及びAgilus(商標)ファミリーとして販売されている硬化性製剤から得られるエラストマー材料と同様)に及ぶ様々な特性を特徴とするモデリング材料を提供するように設計され得る。また、本製剤は、本明細書に記載のデジタル材料(DM方法論)などのマルチマテリアル(例:PolyJet(商標)方法論)で作られたオブジェクト、及び2つの出発材料(例えば、RGD515(商標)及びRGD535/531(商標)として販売されている製剤システムと同様)で作られた殻付きのマルチマテリアルを含む、デジタルABS方法論を使用して作られた殻付きオブジェクトも提供する。さらに本製剤は、たとえば、WO2011/135496、WO2018/055522、及びWO2018/055521に記載されているようなエンジニアリングプラスチックの特性をシミュレートするよう設計される。
【0075】
本発明の実施形態はさらに、本明細書に開示される新規の製剤がパッケージされているキットに関する。
【0076】
本発明の実施形態はさらに、本明細書に記載の製剤又は製剤システムを使用して三次元オブジェクトを積層造形する方法に関する。
【0077】
本実施形態の方法は、本明細書に記載されるように、オブジェクトの形状に対応するよう構成されたパターンで複数の層を形成することによって、層状に三次元オブジェクトを製造する。
【0078】
この方法は、一般に、オブジェクトの形状に対応するよう構成されたパターンで複数の層を順次形成することによって行われるが、その際の前記層のうちの2~3層、又は前記層の各層に形成においては、本明細書に記載の1又は複数のモデリング材料製剤を含むビルディング材料(未硬化)が供給され、そして以下でさらに詳細に説明するように、供給されたモデリング材料を硬化条件下(例えば、硬化エネルギー)に曝露して、そして硬化モデリング材料が形成される。
【0079】
本発明の一部の例示的な実施形態では、オブジェクトは、2つ以上の異なるモデリング材料製剤を含むビルディング材料(未硬化)を供給することによって製造され、各モデリング材料製剤は、インクジェット印刷の異なるディスペンスヘッド及び/又は異なるノズルアレイから供給される。モデリング材料製剤は、任意であるが印刷ヘッドの同じ経路を通過する間に層状に堆積されるのが好ましい。モデリング材料製剤及び/又は層内の製剤の組み合わせは、オブジェクトの所望の特性に従って、そして以下でさらに詳細に説明されるように選択される。
【0080】
最終的な三次元オブジェクトは、モデリング材料又はモデリング材料の組み合わせ、あるいはモデリング材料と支持材料の組み合わせ、又はそれらの変更(例えば、硬化後)により形成される。これらの操作はすべて、固体自由形状物を製造する当業者にはよく知られている。
【0081】
本明細書全体を通して、「オブジェクト」という用語は、積層造形における最終製品を表す。この用語は、支持材料がビルディング材料の一部として使用されている場合、支持材料を除去した後、本明細書に記載の方法によって印刷物を後硬化することにより得られる製品を指す。したがって、「オブジェクト」は、本質的に(少なくとも95重量パーセント)硬化した(例えば、硬化した)モデリング材料からなる。
【0082】
本明細書全体で使用される「オブジェクト」という用語は、オブジェクト全体又はその一部を指す。
【0083】
「印刷されたオブジェクト」という用語は、積層造形プロセス中に形成された複数の供給層を指す。印刷されたオブジェクトは、支持材料が使用されておらず、後処理が行われていない場合、オブジェクトと同じであってよい。
【0084】
したがって、本明細書全体を通して、「ビルディング材料製剤」、「未硬化ビルディング材料」、「未硬化ビルディング材料製剤」、「ビルディング材料」及びその他の変形物、といった語句は、本明細書に記載されるように、集合層を順次形成するために供給される材料のことを意味する。これらの語句には、オブジェクトを形成するために供給された未硬化材料、すなわち、1又は複数の未硬化モデリング材料製剤、及び支持体を形成するために供給された未硬化材料、すなわち未硬化支持材料製剤も包含される。
【0085】
ビルディング材料製剤は、通常適当な硬化条件にさらされると硬化でき、任意選択で、硬化を促進するための1又は複数の薬剤(開始剤とも呼ばれる)と組み合わせた1又は複数の硬化性材料を含む硬化性製剤である。硬化性製剤は、任意選択で、硬化条件に曝されたときに化学変化を受けない非硬化性材料をさらに含むことができる。
【0086】
一部の実施形態によれば、モデリング材料製剤及び任意の支持材料製剤も硬化性製剤であり、供給されると硬化する。すなわち、供給後の硬化性製剤の粘度は、通常、本明細書に記載される、照射などの硬化条件下の曝露時に変化する。
【0087】
ビルディング材料を形成する製剤(モデリング材料製剤及び支持材料製剤)は硬化性製剤、又は硬化性システムを含む製剤であり、そして硬化条件(例えば、硬化エネルギー下)に曝されたときに硬化材料を形成する、1又は複数の硬化性材料を含む製剤である。通常、硬化性システム又は製剤は、製剤の硬化を促進するための1又は複数の薬剤、例えば、重合性材料の重合を促進するための1又は複数の薬剤をさらに含む。
【0088】
本実施形態に係る硬化性製剤又はシステムにおいては、通常適切な条件(例えば、照射又は熱)への曝露時に、製剤は1分未満、好ましくは30秒未満、より好ましくは20秒未満で硬化するようなものである。たとえば、数ミリ秒から30秒の範囲である(中間値とその間の部分範囲も含まれる)。
【0089】
三次元インクジェット印刷などの積層造形で使用可能な硬化性製剤又はシステムは、製剤が薄層状に硬化したようなものである(例えば、50ミクロン未満、例えば、5~40ミクロンで、照射に曝されたとき、1秒未満(例えば、100ミリ秒~1秒以内)に、少なくとも80%の硬化度まで硬化する。)。
【0090】
「硬化度」とは、本明細書では、硬化がもたらされる程度、すなわち、本明細書に記載の硬化性材料又はシステムが、例えば、重合及び/又は架橋を受ける程度を意味する。硬化性材料が重合性材料である場合、この語句は硬化条件に曝したときの、製剤中の硬化性材料が重合及び/又は架橋したモル%を意味し、及び/又は重合及び/又は架橋の有効化程度、例えば、鎖の伸長度合い及び/又は架橋の程度を意味する。重合度は、当業者に知られている方法によって決定することができる。
【0091】
本明細書全体を通して、「硬化したモデリング材料」又は「硬化したモデリング材料」という語句は、本明細書に記載されているように、ディスペンス後のビルディング材料を硬化に曝すことにより得られるオブジェクトを形成するビルディング材料の一部のことを意味し、そしてまたこの語句は任意選択で、本明細書に記載されているように、仮に支持材料が供給された場合には、支持材料が除去された後のオブジェクトを形成するビルディング材料の一部のことを意味する。硬化後のモデリング材料とは、本明細書に記載されるように、当方法で使用されるモデリング材料製剤に応じた、単一の硬化材料又は2つ以上の硬化後の材料の混合物であってよい。
【0092】
「硬化したモデリング材料」又は「硬化したモデリング材料製剤」という語句は、ビルディング材料がモデリング材料製剤のみからなる(支持材料製剤ではない)硬化後のビルディング材料と見なすことができる。つまり、この語句は、最終的なオブジェクトを提供するために使用されるビルディング材料の一部分を指す。
【0093】
本明細書全体を通して、本明細書において「モデリング材料製剤」、これは互換的に「モデリング製剤」、「モデル製剤」、「モデル材料製剤」又は単に「製剤」とも呼ばれる、は、オブジェクトを形成するように供給されるビルディング材料の一部又は全部を意味する。本明細書に記載されるように、モデリング材料製剤は、(特に明記しない限り)未硬化なモデリング製剤であり、硬化条件に曝さすと、オブジェクト又はその一部を形成する。
【0094】
本発明のいくつかの実施形態では、モデリング材料製剤は、三次元インクジェット印刷で使用するために処方され、それ自体で、すなわち、他の物質と混合又は組み合わせる必要なしに三次元オブジェクトを形成することができる。
【0095】
本発明の一部の実施形態では、モデリング材料製剤は、三次元インクジェット印刷で使用するために処方され、3Dインクジェット印刷システム及びプロセスの要件、すなわち、粘度、表面張力、噴射性及び反応性(硬化時間)を満たすそのようなシステムとプロセスに適している。
【0096】
未硬化のビルディング材料は、1又は複数のモデリング材料製剤を含むことができ、この未硬化のビルディング材料の供給の仕方は、硬化すると異なる部分のオブジェクトが、異なる硬化後のモデリング製剤又はそれらの異なる組み合わせにより作られ、よって異なる硬化後のモデリング材料又は硬化後のモデリング材料の様々な混合物からなる、といったようにして供給がなされる。
【0097】
本明細書及び当技術分野で使用される「DM」と略される「デジタル材料」という語句は、特定の材料の印刷ゾーンが数ボクセルレベル又は一ボクセルブロックレベルであるような、顕微鏡スケール又はボクセルレベルにある、2つ以上の材料の組み合わせを意味する。そのようなデジタル材料は、材料のタイプ及び/又は2つ以上の材料の比率及び相対的空間分布の選択により影響を受ける新しい特性を示すことができる。
【0098】
例示的なデジタル材料においては、硬化により得られる各ボクセル又はボクセルブロックのモデリング材料は、硬化により得られる隣接するボクセル又はボクセルブロックのモデリング材料から独立しており、その結果、各ボクセル又はボクセルブロックごとにモデル材料が異なる可能性があり、全体としての新たな特性は、ボクセルレベルで異なるモデル材料の空間的な組み合わせの結果として発現されることになる。
【0099】
本明細書において、層の「ボクセル」とは、層を意味するビットマップの単一ピクセルに対応する層内の物理的な三次元の基本ボリュームを指す。ボクセルのサイズは、ビルディング材料により形成される領域のサイズであり、一旦ビルディング材料が各ピクセルに対応する場所に供給されると、真っ直ぐになり、固化する。
【0100】
本明細書全体を通して、「ボクセルレベルで」という表現が、異なる材料及び/又は特性上で使用されるときはいつでも、それは、ボクセルブロック間の違い、並びにボクセル又は少数のボクセルのグループ間の違いを含むことを意味する。好ましい実施形態では、全体の特性は、ボクセルブロックレベルでのいくつかの異なるモデル材料の空間的組み合わせにより発現される。
【0101】
本明細書において、「モデリング材料製剤システム」は、三次元オブジェクトを形成するために使用される1又は複数のモデリング材料製剤を意味する。製剤システム内の1又は複数の製剤に関して、単一噴射モードでは、通常、単一のモデリング材料製剤が使用でき、PolyJetなどのマルチ噴射モードや、DMモードを含むマルチマテリアルモードでは、2つ以上のモデリング材料製剤が組み合わされて使用され、また前述のような特定の特性を持つことを特徴とする2つ以上の製剤が、コアシェル構造(これについては後述される)を形成するために使用され、殻付きオブジェクトが提供される。
【0102】
ビルディング材料を形成する製剤(モデリング材料製剤及び支持材料製剤)は、1又は複数の硬化可能な硬化性材料を含み、これは、硬化条件に曝されると、硬化材料を形成する。
【0103】
本明細書全体を通して、「硬化性材料」は、本明細書に記載の硬化条件に曝されると、固化又は硬化して硬化材料を形成する化合物(通常モノマー又はオリゴマー化合物、そのほか任意でポリマー材料の選択可)である。硬化性材料は、通常は重合性材料であり、適切な硬化条件(例えば、適切なエネルギー源)にさらされると、重合及び/又は架橋する。
【0104】
本実施形態による硬化性材料はまた、硬化エネルギーに曝されることなく硬化又は固化(硬化)する材料も含むが、むしろ硬化条件(例えば、化学試薬への曝露時)下で、又は単にその環境下で硬化又は固化(硬化)する材料を包含する。
【0105】
本明細書で使用される「硬化性」及び「固化性」という用語は互換である。
【0106】
重合は、例えば、フリーラジカル重合、カチオン重合又はアニオン重合であってよく、そしてそれぞれは、本明細書に記載されるように、例えば、放射線、熱などの硬化エネルギーに曝されたときに誘発される。
【0107】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、硬化性材料は、本明細書に記載のように、放射線への曝露時に重合及び/又は架橋する光重合性材料であり、一部の実施形態において、硬化性材料は、UV-硬化性材料である。これは、本明細書に記載されているように、UV放射への曝露時に重合及び/又は架橋する。
【0108】
一部の実施形態では、本明細書に記載の硬化性材料は、光誘起フリーラジカル重合を介して重合する光重合性材料である。あるいは、硬化性材料は、光誘起カチオン重合を介して重合する光重合性材料である。
【0109】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、硬化性材料は、モノマー、オリゴマー、又は(例えば、短鎖)ポリマーであってよく、それぞれは、本明細書に記載されるように重合可能及び/又は架橋可能である。
【0110】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、硬化性材料が硬化条件(例えば、放射線)に曝されると、鎖伸長及び架橋のいずれか1つ又はそれらの組み合わせにより硬化する(硬化反応を受ける)。
【0111】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、硬化性材料は、重合反応が起こる硬化条件(例えば、硬化エネルギー)に曝されたときに、重合してポリマー材料を形成することができるモノマー又はモノマーの混合物である。このような硬化性材料は、本明細書ではモノマー硬化性材料とも呼ばれる。
【0112】
本明細書及び当技術分野において、「モノマー」又は「モノマーの」という用語は、互いに連結された繰り返し骨格単位を欠く材料を意味する。
【0113】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、硬化性材料は、重合反応が起こる硬化条件(例えば、硬化エネルギー)に曝されたときに、重合反応によりポリマー材料を形成することができるオリゴマー又はオリゴマーの混合物である。このような硬化性材料は、本明細書では、オリゴマー硬化性材料とも呼ばれる。
【0114】
本明細書及び当技術分野において、「オリゴマー」又は「オリゴマーの」という用語は、互いに連結された繰り返し骨格単位を含む材料を表し、そのような繰り返し単位の数は2から10である。
【0115】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、硬化性材料は、硬化条件(例えば、硬化エネルギー)に曝されたときに、重合反応時にさらに高分子の及び/又は架橋されたポリマー材料を形成することができるポリマー又はポリマーの混合物である。このような硬化性材料は、本明細書ではポリマー硬化性材料とも呼ばれる。
【0116】
本明細書及び当技術分野において、「ポリマー」又は「ポリマーの」という用語は、互いに連結された繰り返し骨格単位を含み、そのような繰り返し単位の数が10を超える材料を表す。「ポリマー」又は「ポリマー材料」は、少数のバックボーンユニットが材料から除去されても、その特性が大幅に変化しないようなものと定義することもできる。
【0117】
本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、硬化性材料は、モノマーであれ、オリゴマーであれ、ポリマーであれ、単官能硬化性材料又は多官能硬化性材料であってよい。
【0118】
本明細書において、単官能硬化性材料は、硬化条件(例えば、放射線などの硬化エネルギー)に曝されたときに重合を受けることができる1つの官能基を含む。
【0119】
多官能硬化性材料は、硬化条件(例えば、硬化エネルギー)に曝されたときに重合を受けることができる2つ以上、例えば、2、3、4又はそれ以上の官能基を含む。多官能硬化性材料は、例えば、二官能性、三官能性、又は四官能硬化性材料であってよく、これらは、それぞれ、重合を受けることができる2、3又は4つの基を含む。多官能硬化性材料中の2つ以上の官能基は、通常は本明細書で定義されるように、連結部分によって互いに連結されている。連結部分がオリゴマー又はポリマー部分である場合、多官能基が、オリゴマー又はポリマーである多官能硬化性材料である。多官能硬化性材料は、硬化条件(例えば、硬化エネルギー)にさらされると重合を受けることができ、及び/又は架橋剤として作用することができる。
【0120】
システムと方法:
本実施形態の方法及びシステムによって、オブジェクトの形状に対応するように構成されたパターンで複数の層を形成するようにして、コンピュータオブジェクトデータに基づいて層ごとに三次元オブジェクトが製造される。コンピュータオブジェクトデータとしては特に限定されないが、既知のフォーマット、たとえば、標準テッセレーション言語(STL)又はStereo Lithography Contour(SLC)フォーマット、OBJファイルフォーマット(OBJ)、3D製造フォーマット(3MF)、仮想空間モデリング言語(VRML)、積層造形ファイル(AMF)フォーマット、図面交換フォーマット(DXF)、ポリゴンファイルフォーマット(PLY)、又はコンピュータ支援設計(CAD)に適したその他のフォーマット、などのフォーマット上で使用されるものが挙げられる。
【0121】
各層は、二次元表面をスキャンしてパターン化する積層造形装置によって形成される。装置は走査中、二次元層又は表面上の複数の標的位置に到達し、各標的位置又は標的位置のグループに対して、標的位置又は標的位置のグループがビルディング材料製剤により占有されるかどうかを決め、そしてどのタイプのビルディング材料製剤をそこに送り込むかを決める。その決定は、材料表面のコンピュータ画像に従って行われる。
【0122】
本発明の好ましい実施形態では、AMは、三次元印刷、より好ましくは三次元インクジェット印刷を含む。これらの実施形態では、ビルディング材料製剤が1又は複数のノズルアレイを有する印刷ヘッドから供給され、支持体上に層状にビルディング材料製剤を堆積させる。したがって、AM装置は、占有される標的位置にビルディング材料製剤を供給し、他の標的位置を空のままにする。この装置は通常複数のノズルアレイを含み、各々が異なるビルディング材料製剤を供給できるように構成することができる。したがって、異なるターゲット位置に異なるビルディング材料製剤を占有されることができる。ビルディング材料製剤のタイプは、モデリング材料製剤と支持材料製剤の2つの主要なカテゴリに分類できる。支持材料製剤は、製造プロセス中及び/又は他の目的、例えば、中空又は多孔質のオブジェクトが提供される際に、オブジェクト又はオブジェクト部品を支持するための支持マトリックス又は構造体として機能する。支持構造体は、例えば、さらなる支持強度を確保するためのモデリング材料製剤の要素をさらに含んでよい。
【0123】
モデリング材料製剤は、一般に、積層造形で使用するために供給され、それ自体で、すなわち、他の物質と混合又は組み合わせる必要なしに、三次元オブジェクトを形成することができる組成物である。
【0124】
最終的な三次元オブジェクトは、モデリング材料製剤、又はモデリング材料製剤同士又はモデリング材料製剤と支持材料製剤の組み合わせ、又はそれらの改良品の組み合わせ(例えば、硬化後のもの)からなる。これらの操作はすべて、固体自由形状製造業者にとってはよく知られたことである。
【0125】
本発明における例示的な実施形態の一部では、オブジェクトは、2つ以上の異なるモデリング材料製剤を供給することによって製造され、各材料製剤は、AM装置の異なるノズルアレイ(同じ又は異なる印刷ヘッドに属する)から供給される。一部の実施形態では、異なるモデリング材料製剤を供給する2つ以上のノズルアレイは、両方とも、AM装置の同じ印刷ヘッドに配置されている。一部の実施形態では、異なるモデリング材料製剤を供給するノズルアレイは、別個の印刷ヘッドに配置され、例えば、第1のモデリング材料製剤を供給するノズルの第1アレイは、第1の印刷ヘッドに配置され、第2のモデリング材料製剤を供給するノズルの第2アレイは、第2の印刷ヘッドに配置される。
【0126】
一部の実施形態では、モデリング材料製剤を供給するノズルアレイと支持材料製剤を供給するノズルアレイの両方とも同じ印刷ヘッドに配置されている。一部の実施形態では、モデリング材料製剤を供給するノズルアレイと支持材料製剤を供給ノズルアレイは、両方とも離れて同じ印刷ヘッドに配置される。
【0127】
本発明の一部の実施形態における、オブジェクト112向けのAMに適したシステム110の代表的かつ非限定的な例が、図1Aに示されている。システム110は、複数の印刷ヘッドを含む供給ユニット16を有する積層造形装置114を備える。各ヘッドは、好ましくは、図2A~Cに示されるように、通常オリフィスプレート121に取り付けられたノズル122の1又は複数のアレイを含む。このノズルから液状のビルディング材料製剤124が供給される。
【0128】
好ましくは、しかし制限されるものではないが、装置114は三次元印刷装置であり、この場合、印刷ヘッドは印刷ヘッドであり、ビルディング材料製剤はインクジェット法を介して供給される(一部の用途では、積層造形装置が三次元印刷技術を採用する必要がない場合があるため、これは必ずしも当てはまらない)。本発明の様々な例示的な実施形態を元にして考えられる積層造形装置の代表的な例には、溶融堆積モデリング装置及び溶融物材料製剤堆積装置が含まれるが、これらに限定されない。
【0129】
本明細書で使用される「印刷ヘッド」という用語は、3Dインクジェット印刷などの3D印刷で使用可能な供給ヘッドを表す。
【0130】
「ディスペンスヘッド」という用語は、3Dインクジェット印刷に関連する実施形態の内容に沿った「ディスペンスヘッド」という用語を包含する。
【0131】
各ディスペンスヘッドは、任意ではあるが、好ましくは、1又は複数のビルディング材料製剤リザーバーを介して供給される。(該リザーバーは、任意ながら温度制御ユニット(例えば、温度センサー及び/又は加熱装置)、及び材料製剤のレベルセンサーを含んでもよい)。ビルディング材料製剤を供給するために、電圧信号がディスペンスヘッドに印加されて、例えば圧電インクジェット印刷法の場合のように、ディスペンスヘッドノズルを介して、選択された製剤又は2つ以上の製剤を組み合わせた液滴を選択的に堆積する。別の例では、サーマルインクジェット印刷ヘッドが含まれる。これらのタイプのヘッドで電圧信号によってヒーター要素が作動すると、ビルディング材料製剤が加熱されその中で気泡が発生するが、これはビルディング材料製剤と熱的に接触するヒーター要素によるものである。気泡によりビルディング材料製剤に圧力がかかり、ビルディング材料は液滴となってノズルから噴出する。圧電及び熱印刷ヘッドについては、固体自由形状製造業者にとってはよく知られたものである。どのタイプのインクジェット供給ヘッドでも、ヘッドのディスペンスレートは、ノズルの数、ノズルのタイプ、及び印加電圧信号レート(周波数)によって異なる。ディスペンスノズル又はノズルアレイの総数は、制約されなるものではないが、好ましくはディスペンスノズルの半分が支持材料製剤を供給するようにし、もう半分のディスペンスノズルがモデリング材料製剤を供給できるように選択される。すなわち、モデリング材料製剤を噴射するノズルの数は支持材料製剤を噴射するノズルの数と同じとなる。図1Aの代表的な例では、4つの印刷ヘッド16a、16b、16c及び16dが示されている。ヘッド16a、16b、16c及び16dのそれぞれは、ノズルアレイを有する。この実施例では、ヘッド16a及び16bは、モデリング材料製剤用に指定することができ、ヘッド16c及び16dは、支持材料製剤用に指定することができる。したがって、ヘッド16aは1つのモデリング材料製剤を供給することができ、ヘッド16bは別のモデリング材料製剤をデ供給することができ、ヘッド16c及び16dは両方とも支持材料製剤を供給することができる。これに代わる実施形態においては、例えば、ヘッド16c及び16dは、支持材料製剤を堆積するための2つのノズルアレイを有する単一のヘッドとして組み合わせることができる。さらにこれに代わる実施形態では、任意の1又は複数の印刷ヘッドは、複数の材料製剤を堆積するための複数のノズルアレイを有し得る。たとえば、2つのノズルアレイは2つの異なるモデリング材料製剤又はモデリング材料製剤と支持材料製剤が堆積され、それぞれの製剤が異なるアレイ又はノズル数を介して堆積される。
【0132】
しかし、本発明の範囲を限定することを意図するものではないが、モデリング材料製剤用の印刷ヘッド(モデリングヘッド)の数と支持材料製剤用の印刷ヘッド(支持体ヘッド)の数が異なる場合があることを理解されたい。一般に、モデリング材料製剤を供給するノズルアレイの数、支持材料製剤を供給するノズルアレイの数、及びそれぞれのアレイ内のノズル数は、所定の比率a、すなわち、支持材料製剤の最大供給速度とモデリング材料製剤の最大供給速度との比になるように選択される。所定の比率aの値は、好ましくは、形成された各層において、モデリング材料製剤の高さが支持材料製剤の高さと等しくなるように選択される。尚、aの一般的な値は約0.6~約1.5である。
【0133】
例えば、a=1の場合、支持材料製剤の全体的な供給速度は、すべてのノズルアレイが作動するときのモデリング材料製剤の全体の供給速度と一般に同じである。
【0134】
装置114においては、例えば、それぞれがp個のノズル持つm個のアレイを有するM個のモデリングヘッドと、M×m×p=S×s×qとなるようなq個のノズルを持つs個のアレイをそれぞれ有するS個の支持ヘッドとを含むことができる。M×mのモデリング材料用アレイとS×sの支持体用アレイはそれぞれ、アレイのグループから組み立てたり分解したりできる個別の物理ユニットとして製造できる。本実施形態では、そのような各アレイは任意に選択できるが、それ自体の温度制御ユニット及び材料製剤のレベルセンサーを含み、その動作のために個別に制御された電圧を受け取るようになっていることが好ましい。
【0135】
装置114は、堆積された材料製剤を硬化させることができる光、熱などを放出するように構成された任意のデバイスを含むことができる固化装置324をさらに含むことができる。例えば、固化装置324は、1又は複数の放射線源を含むことができ、これは、使用されるモデリング材料製剤の供給に応じて、例えば、紫外線又は可視又は赤外線ランプ、又は他の電磁放射源、又は電子ビーム源となりえる。本発明のいくつかの実施形態では、固化装置324は、モデリング材料製剤を硬化又は固化するのに役立つ。
【0136】
固化装置324に加えて、装置114は任意に選択できるが、好ましくは、溶媒蒸発のための追加の放射線源328を含む。放射線源328は、任意に選択できるが、好ましくは、赤外線放射を生成する。本発明の様々な例示的な実施形態では、固化装置324は、紫外線放射を発生する放射線源を含み、放射線源328は、赤外線放射を発生する。
【0137】
本発明のいくつかの実施形態では、装置114は、1又は複数のファンなどのような冷却システム134を含む。
印刷ヘッド及び放射線源は作業面として機能するトレイ360上を相互に移動するように動作できるフレーム又はブロック128に取り付けられるのが好ましい。本発明の一部の実施形態においては、放射線源は、印刷ヘッドが起動した後に、印刷ヘッドによってちょうど供給された材料製剤を少なくとも部分的に硬化又は固化するように、ブロックに取り付けられる。トレイ360は水平に配置される。一般的な慣習に従って、X-Y-Zデカルト座標系は、X-Y平面がトレイ360に平行になるように選択される。トレイ360は、好ましくは、垂直に(Z方向に沿って)、通常は下向きに移動するように構成される。本発明の様々な例示的な実施形態では、装置114は、例えば、ローラー326のような1又は複数のレベリング装置132をさらに含む。レベリング装置326は、その上に連続層を形成する前に、新たに形成された層の厚さを真っ直ぐ水平にし、及び/又は固定するのに役立つ。レベリング装置326は、好ましくは、レベリング中に生成された過剰な材料製剤を回収するための廃棄物回収装置136を備える。廃棄物回収装置136は、材料製剤を廃棄物タンク又は廃棄物カートリッジに輸送するための任意の機構を備えることができる。
【0138】
使用中、ユニット16の印刷ヘッドは、本明細書ではX方向と呼ばれる走査方向に移動し、トレイ360上を通過する過程で、所定の構成でビルディング材料製剤を選択的に供給する。ビルディング材料製剤には、1又は複数のタイプの支持材料製剤及び1又は複数のタイプのモデリング材料製剤が含まれる。ユニット16の印刷ヘッドを通過した後に、放射線源126によってモデリング材料製剤の硬化が行われる。堆積されたばかりの層に対し、ヘッドが逆戻りし開始点に戻る場合には、所定の手順に従って追加のビルディング材料製剤を供給することができる。印刷ヘッドの順方向及び/又は逆方向の通路においては、このように形成された層はリング装置326によって真っ直ぐにされる場合があるが、ヘッドを順方向及び/又は逆方向に動かして印刷ヘッドの経路をたどるようにすることが好ましい。印刷ヘッドはX方向に沿って開始点に戻ると、本明細書ではY方向と呼ばれるインデックス方向に沿って別の位置に移動し、X方向に沿った相互移動によって同じ層を構築し続けることができる。あるいは、印刷ヘッドは、順方向と逆方向の動きの間、又は複数回の前後方向の動きの後に、Y方向に動くことができる。単一層完成のために印刷ヘッドが実行する一連のスキャンは、本明細書では単一のスキャンサイクルと呼ぶ。
【0139】
層の形成が完成すると、トレイ360は、その後で印刷される層の所望の厚さに応じて、Z方向に所定のZレベルまで下げられる。この手順を繰り返して、層状に三次元オブジェクト112を形成する。
【0140】
別の実施形態では、トレイ360は、層内のユニット16の印刷ヘッドの順方向通路と逆方向通路との間でZ方向に変位され得る。このようなZ変位は、レベリング装置を一方向で表面に接触させ、他の方向での接触を防ぐために行われる。
【0141】
システム110には、好ましくはビルディング材料製剤用の容器又はカートリッジを含み、複数のビルディング材料製剤を製造装置114に供給するビルディング材料製剤供給システム330が含まれるが、その選択は任意である。
【0142】
制御ユニット152は、製造装置114を制御し、好ましくは供給システム330も制御するが、その選択は任意である。制御ユニット152は、通常制御操作を実行するように構成された電子回路を含む。制御ユニット152は、好ましくは、コンピュータオブジェクトデータに基づく製造命令に関連するデジタルデータ、例えば、標準テッセレーション言語(STL)フォーマットなどの形態でコンピュータ可読媒体上に表されるCAD構成を送信するデータプロセッサ154と通信する。通常、制御ユニット152は、各印刷ヘッド又は各ノズルアレイに印加される電圧、及びそれぞれの印刷ヘッド又はそれぞれのノズルアレイ内のビルディング材料製剤の温度を制御する。
【0143】
製造データが制御ユニット152にロードされると、ユーザの介入なしに動作できる。一部の実施形態では、制御ユニット152は、例えば、データプロセッサ154を使用して、又はユニット152と通信するユーザインターフェース116を使用して、オペレータから追加の入力を受け取る。ユーザインターフェース116は当業界で知られたものならどのようなタイプでもよく、特に限定されないが、キーボード、タッチスクリーンなどが挙げられる。例えば、制御ユニット152は、追加の入力として、1又は複数のビルディング材料製剤の種類及び/又は属性、例えば、色、特徴的な歪み及び/又は転移温度、粘度、電気的特性、磁気的特性などを受け取ることができる。さらに他の属性及び属性のグループの取り込みも図られる。
【0144】
本発明のいくつかの実施形態に係るAMに適した、オブジェクト用のシステム10の別の代表的かつ非限定的な例が、図1B~Dに示される。図1B~Dには、システム10の上面図(図1B)、側面図(図1C)、及び等角図(図1D)が示される。
【0145】
本実施形態では、システム10は、トレイ12及び複数のインクジェット印刷ヘッド16を含み、それぞれが、1又は複数の分離されたノズルを備えた、1又は複数のノズルアレイを有する。トレイ12は、ディスクの形状又は環状であってよい。垂直軸を中心に回転する場合は、非円形の形状でもよい。
【0146】
トレイ12及びヘッド16は、好ましくは、トレイ12とヘッド16との間の相対回転運動を可能にするように取り付けられるが、その選択は任意である。これは、(i)ヘッド16に対して垂直軸14の周りを回転するようにトレイ12を構成することによって達成することができる。又はヘッド16をトレイ12に対して垂直軸14の周りを回転するように構成するか、又は(iii)トレイ12とヘッド16の両方を垂直軸14の周りを回転しながら異なる回転速度(例えば、反対方向の回転)で回転するように構成することにより達成される。システム10に関する一部の実施形態では、構成(i)、すなわちトレイがヘッド16に対して垂直軸14の周りを回転するように構成された回転トレイ、に特に重点を置いて以下に説明されるが、本出願においては、システム10に対して構成(ii)及び(iii)も考慮することは理解されたい。本明細書に記載のシステム10の実施形態のいずれか1つは、提供される構成(ii)及び(iii)のいずれかに適用できるよう調整され、そして本明細書中に記載されている関連説明の詳細を知れば当業者であればその調整の仕方を知ることできよう。
【0147】
以下の説明では、トレイ12に平行で軸14から外向きの方向を半径方向γと呼び、トレイ12に平行で半径方向γに垂直な方向を、本明細書では方位角方向φと呼び、トレイ12に垂直な方向は、本明細書では垂直方向zと呼ぶ。
【0148】
本明細書で使用される「半径方向位置」という用語は、軸14から特定の距離にあるトレイ12上又はその上の位置を指す。この用語が印刷ヘッドに関連して使用される場合、この用語は、軸14から特定の距離にあるヘッドの位置のことを言い、この用語がトレイ12上の点に関連して使用される場合、この用語は、半径が軸14から特定の距離にあり、そして中心が軸14である円を形作る軌跡点に属する任意の点に対応する。
【0149】
本明細書で使用される「方位角位置」という用語は、所定の基準点に対して特定の方位角にあるトレイ12上の又はその上の位置を指す。したがって、半径方向の位置とは、基準点に対して特定の方位角を形成する直線上のある軌跡点に属する任意の点を指す。
【0150】
本明細書で使用される「垂直位置」という用語は、特定の点で垂直軸14と交差する平面上の位置を指す。
【0151】
トレイ12は、三次元印刷の構築プラットフォームとして機能する。1又は複数のオブジェクトが印刷される作業領域は、通常、トレイ12の総領域よりも小さいが必ずしもそうではない。本発明の一部の実施形態では、作業領域は環状である。作業領域は26に示されている。本発明の一部の実施形態では、トレイ12は、オブジェクトの形成を通して同じ方向に連続的に回転し、本発明の一部の実施形態では、トレイは、回転方向を少なくとも1回反転させる(例えば、オブジェクトの形成中の振動的な方法により)。トレイ12は、取り外し可能であることが好ましいが、その選択は任意である。トレイ12の取り外しは、システム10のメンテナンスのため、又は必要に応じて、新しいオブジェクトを印刷する前にトレイを交換する目的で行う。本発明の一部の実施形態では、システム10は、1又は複数の異なる交換トレイ(例えば、交換トレイのキット)を備えるが、ここで2つ又は複数のトレイが、異なるタイプのオブジェクト(例えば、異なる重量)、異なる動作モード(例えば、異なる回転速度)などのために準備される。トレイ12の交換は、必要に応じて、手動又は自動で行うことができる。自動交換が採用される場合、システム10は、トレイ12をヘッド16の下の位置から取り外し、交換トレイ(図示せず)と交換するように構成されたトレイ交換装置36を備える。図1Bに示されるトレイ交換装置36の代表的な図では、トレイ12を引っ張るように構成された可動アーム40を備えたドライブ38として示されているが、他のタイプのトレイ交換装置であってよい。
【0152】
印刷ヘッド16の例示的な実施形態が図2A~2Cに示される。これらの実施形態は上記のAMシステムのいずれかに使用することができて、システム110及びシステム10を含むがこれらに限定されない。
【0153】
図2A及びBには、1つ(図2A)及び2つ(図2B)のノズルアレイ22を備えた印刷ヘッド16が示される。アレイ内のノズルは、好ましくは、直線に沿って直線的に整列される。特定の印刷ヘッドが2つ以上の線形ノズルアレイを有する実施形態では、ノズルアレイは、互いに平行であることが好ましいが、その選択は任意である。印刷ヘッドが2つ以上のノズルアレイを有する場合(例えば、図2B)、ヘッドのすべてのアレイに同じビルディング材料製剤を供給するか、又は同じヘッド内の少なくとも2つのアレイに異なるビルディング材料製剤を供給することができる。
【0154】
システム110と同様のシステムが採用される場合、すべての印刷ヘッド16は、インデックス方向に沿って配向されることが好ましいが、任意選択であり、走査方向に沿ったそれらの位置は互いにオフセットされる。
【0155】
システム10と同様のシステムが採用される場合、すべての印刷ヘッド16は、それらの方位角位置が互いにオフセットされた状態で半径方向(半径方向に平行)に配向されることが好ましいが、その選択は任意である。したがって、これらの実施形態では、異なる印刷ヘッドのノズルアレイは、互いに平行ではなく、むしろ互いに角度を持っており、その角度は、それぞれのヘッド間の方位角オフセット角にほぼ等しい。たとえば、1つのヘッドを放射状に向けて方位角位置φ1に配置し、別のヘッドを放射状に向けて方位角位置φ2に配置することができる。この例では、2つのヘッド間の方位角オフセット角はφ1-φ2であり、2つのヘッドのリニヤノズルアレイ間の角度もφ1-φ2となる。
【0156】
一部の実施形態では、2つ以上の印刷ヘッドを印刷ヘッドのブロックに組み立てることができ、その場合、ブロックの印刷ヘッドは、通常、互いに平行である。いくつかのインクジェット印刷ヘッド16a、16b、16cを含むブロックが図2Cに示されている。
【0157】
一部の実施形態では、システム10は、トレイ12が安定化構造体30とヘッド16との間になるように、ヘッド16の下に配置された安定化構造体30を備える。安定化構造体30は、インクジェット印刷ヘッド16の動作中に発生する可能性があるトレイ12の振動を防止又は低減するのに役立つ。印刷ヘッド16が軸14を中心に回転する構成においては、安定化構造30は、好ましくは、安定化構造30が常にヘッド16の真下にあるように回転する(トレイ12がヘッド16とトレイ12の間にある)。
【0158】
トレイ12及び/又は印刷ヘッド16は、任意選択で、好ましくは、垂直方向zに沿って、垂直軸14に平行に移動して、トレイ12と印刷ヘッド16との間の垂直距離を変化させるように構成される。トレイ12を垂直方向に移動させることにより、安定化構造30は、好ましくは、トレイ12と一緒に垂直方向にも移動する。垂直距離を、トレイ12の垂直位置を固定しつつ、ヘッド16によって垂直方向に沿って変化させる構成において、安定化構造30も固定された垂直位置に維持される。
【0159】
垂直運動は、垂直ドライブ28によって可能になる。層が完成すると、トレイ12とヘッド16との間の垂直距離は、続いて印刷される層の所望の厚さに応じて、所定の垂直工程によって増加させることができる(例えば、トレイ12は、ヘッド16に対して下げられる)。この手順を繰り返して、層状に三次元オブジェクトを形成する。
【0160】
インクジェット印刷ヘッド16の動作、及び任意選択で、好ましくは、システム10の1又は複数の他の構成要素の動作、例えば、トレイ12の動きは、コントローラ20によって制御される。このコントローラは、電子回路及び回路により読みとり可能な不揮発性メモリを有することができる。ここで、メモリ媒体は回路によって読み取られると、回路には以下でさらに詳述されるような制御動作を実行させるプログラム命令が記憶される。
【0161】
コントローラ20はまた、例えば、標準テッセレーション言語(STL)又はステレオリソグラフィー輪郭(SLC)フォーマット、仮想現実モデリング言語(VRML)、積層造形ファイル(AMF)フォーマット、Drawing Exchange Format(DXF)、Polygon File フォーマット(PLY)、又はComputer-Aided Design(CAD)に適したその他のフォーマットで、コンピュータオブジェクトデータに基づく製造命令に関連するデジタルデータを送信するホストコンピュータ24と通信することができる。オブジェクトのデータフォーマットは、通常、デカルト座標系に従って構造化される。これらの場合、コンピュータ24はコンピュータオブジェクトデータ内の各スライスの座標を、デカルト座標系から極座標系に変換するための手順を実行することが好ましい。コンピュータ24は、任意選択で、好ましくは、変換された座標系に関して製造指示を送信する。あるいは、コンピュータ24は、コンピュータオブジェクトデータによって提供される元の座標系に関して製造命令を送信することができ、その場合、座標の変換は、コントローラ20の回路によって実行される。
【0162】
座標の変換により、回転トレイ上での三次元印刷が可能になる。印刷ヘッドの付いた固定トレイを備えた非回転システムでは、通常、直線に沿って固定トレイの上を相互に移動する。このようなシステムでは、ヘッドのディスペンスレートが均一であれば、印刷解像度はトレイ上のどのポイントでも同になる。システム10では、非回転システムとは異なり、ヘッドポイントのすべてのノズルが同時にトレイ12上で同じ距離をカバーするわけではない。座標の変換は、任意選択で、好ましくは、異なる半径方向位置で等量の過剰な材料製剤を確保するように実行される。本発明のいくつかの実施形態による座標変換の代表的な例が、図3A~Bに示され、オブジェクトの3つのスライスを示している(各スライスは、オブジェクトの異なる層の製造指示に対応する。)。図3Aは、デカルト座標系のスライスを示し、図3Bは、座標変換手順をそれぞれのスライスに適用した後の同じスライスを示している。
【0163】
通常、コントローラ20は、以下に説明するように、製造命令及び記憶されたプログラム命令に基づいて、システム10のそれぞれの構成要素に印加される電圧を制御する。
【0164】
一般に、コントローラ20は、トレイ12の回転中に、トレイ12上に三次元オブジェクトを印刷するために、ビルディング材料製剤の液滴を層状に供給するように印刷ヘッド16を制御する。
【0165】
システム10は、任意選択で、好ましくは、1又は複数の放射線源18を含み、これは、使用されるモデリング材料製剤の使用に応じて、例えば、紫外線又は可視又は赤外線ランプ、又は他の電磁放射源、又は電子ビーム源であってよい。放射線源は、発光ダイオード(LED)、デジタル光処理(DLP)システム、抵抗性ランプなどを含むがこれらに限定されない、任意のタイプの放射線放出デバイスを含むことができる。放射線源18は、モデリング材料製剤が硬化又は固化するのに役立つ。本発明の様々な例示的な実施形態では、放射線源18の動作は、放射線源18を活性化及び非活性化することができ、任意選択で放射線源18によって生成される放射線の量も制御可能なコントローラ20によって制御される。
【0166】
本発明の一部の実施形態では、システム10は、ローラー又はブレードとして製造することができる1又は複数のレベリング装置32をさらに含む。レベリング装置32は、その上に連続層を形成する前に、新たに形成された層を真っ直ぐにするのに役立つ。いくつかの実施形態では、レベリング装置32は、その対称軸34がトレイ12の表面に対して傾斜し、その表面がトレイの表面に平行になるように配置された円錐ローラーの形状を有する。この実施形態は、システム10(図1C)の側面図に示されている。
【0167】
コニカルローラーは、円錐又は円錐台の形状であってよい。
【0168】
コニカルローラーの開口角は、好ましくは、その軸34に沿った任意の位置でのコーンの半径とその位置と軸14との間の距離との間に一定の比率があるように選択される。この実施形態により、ローラー32により層を効率的に水平にできる。なぜなら、ローラーが回転している間、ローラーの表面上の任意の点pは、点pの垂直下の点におけるトレイの線速度に比例する(例えば、同じ)線速度を有するからである。いくつかの実施形態では、ローラーは、高さh、軸14からの最も近い距離での半径R、及び軸14からの最も遠い距離での半径Rを有する円錐形錐台の形状を有し、パラメータh、R及びRは、R/R=(R-h)/hの関係にある。ここで、Rは、軸14からのローラーの最も遠い距離である(例えば、Rは、トレイ12の半径であってよい。)。
【0169】
レベリング装置32の動作は、任意選択でレベリング装置32をアクティブ及び非アクティブにする場合のあるコントローラ20により制御されることが好ましいが、またコントローラ20により任意選択で、その位置を垂直方向(軸14に平行)及び/又は半径方向(トレイ12に平行)に沿って、さらに軸14に向かって、又は離れた点位置も含め制御することができる。
【0170】
本発明の一部の実施形態では、印刷ヘッド16は、半径方向rに沿ってトレイに対して相互に移動するように構成される。これらの実施形態は、ヘッド16のノズルアレイ22の長さが、トレイ12上の作業領域26の半径方向に沿った幅よりも短い場合に有用である。半径方向に沿ったヘッド16の動きは、任意選択で、好ましくはコントローラ20によって制御される。
【0171】
一部の実施形態においては、異なるノズルアレイ(同じ又は異なる印刷ヘッドに属する)から異なる材料製剤を供給することによってオブジェクトを製造することが図られる。これらの実施形態においては、とりわけ、所与の数の材料製剤から材料製剤を選択し、選択された材料製剤及びそれらの特性が所望されるような組み合わせになるようにすることができる。本実施形態によれば、層をなす各材料製剤を堆積するための空間位置を定義しておいて、異なる材料製剤が異なる三次元空間位置を占有できるようにする、又は層内にある2つ以上の異なる材料製剤を堆積後に空間的に組み合わさるようにして、それぞれの位置又は複数の位置で複合材料製剤を形成し、実質的に同一の三次元空間又は隣接する三次元空間を占有できるようにする。
【0172】
いかなる堆積後の組み合わせ、又はモデリング材料製剤の混合がなされてもよい。たとえば、一旦特定の材料製剤が供給されると、元の特性を保持する場合がある。しかしながら、それが同じ場所又は近くの場所にて供給される別のモデリング材料製剤又は他の供給された材料製剤と同時に供給されるとき、供給された材料製剤とは異なる特性を有する複合材料製剤が形成されることがある。
【0173】
したがって、本実施形態では、広範囲の材料製剤を組み合わせて堆積すること、及びオブジェクトの各部分を特徴付けるために望まれる特性に従って、オブジェクトの異なる部分において、複数の異なる材料製剤の組み合わせからなるオブジェクトの製造を可能とする。
【0174】
本実施形態に適したAMシステムの原理及び動作に関するさらなる詳細は、米国公開出願番号20100191360に記載されており、その内容は、参照により本明細書に援用される。
【0175】
図4は、本発明の様々な例示的な実施形態による三次元オブジェクトのAMに適した方法のフローチャート図である。別段の定義がない限り、以下に説明する操作は、同時に又は連続して、数々の組み合わせ又は実行順序で実行できることを理解されたい。具体的には、フローチャート図中の各フローの順序に制限はない。例えば、以下の説明又はフローチャート図に特定の順序で現れる2つ以上の操作は、異なる順序(例えば、逆の順序)で、又は実質的に同時に実行することができる。さらに、以下で説明するいくつかの操作はオプションであり、実行されない場合があってもよい。
【0176】
この方法は、AMシステム(例えば、システム110又はシステム10)、好ましくは、コントローラ(例えば、コントローラ152又は20)によって操作される3Dインクジェット印刷システムによって実行することができる。この方法は、200から始まり、任意選択で、好ましくは、201に進み、そこで、オブジェクトの三次元形状に集約的に関係するコンピュータオブジェクトデータが受信される。データは、AMシステムに動作上関連付けられたデータプロセッサ(例えば、プロセッサ154又は24)によって受信することができる。例えば、データプロセッサは、コンピュータ可読記憶媒体(図示せず)にアクセスし、媒体からデータを検索することができる。データプロセッサはまた、例えば、コンピュータ支援設計(CAD)又はコンピュータ支援製造(CAM)ソフトウェアによって、記憶媒体からデータを検索する代わりに、又はそれに加えて、データ又はその一部を生成することができる。コンピュータオブジェクトデータは、通常、それぞれが製造されるオブジェクトの層を定義する複数のスライスデータを含む。データプロセッサは、データ又はその一部をAMシステムのコントローラに転送できる。通常、コントローラはスライスごとにデータを受信するが、そうでない場合もある。
【0177】
データは、前述のコンピュータオブジェクトデータフォーマットのいずれかを含む、当技術分野で知られている任意のデータフォーマットであってよい。
【0178】
この方法では、次に202に進み、そこで、1又は複数のモデリング材料製剤の液滴が供給されて、オブジェクトのスライスの形状に対応するよう構成されたパターンにより層が形成される。モデリング材料製剤は、それぞれの実施形態のいずれか及びそれらの任意の組み合わせにおいて本明細書に記載されている通りである。
【0179】
一部の実施形態では、2つ以上の異なるモデリング材料製剤を含む製剤システムが使用される。これらの実施形態において、1又は複数の製剤は、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載されるような製剤である。これらの実施形態の一部では、すべての製剤が放射線不透過性材料を含み、一部の実施形態では、製剤の一部のみが放射線不透過性材料を含む。
【0180】
ディスペンシング202は、任意選択で、好ましくは、ディスペンスヘッド、製造チャンバー、及び供給された製剤を加熱しながら実行される。本発明の様々な例示的な実施形態では、ディスペンシング202は、約50~約90℃、又は約50~約80℃、又は約70~約80℃、又は約65~約75℃の範囲の温度で実行される。ディスペンスヘッドは、加熱装置を含むことができ、又は加熱装置を含むビルディングリザーバーを介して供給される。
【0181】
203で、好ましくは放射線源(例えば、デバイス324又は18)を使用して、新たに形成された層に硬化放射線照射が施される。
【0182】
この方法では、操作203から、任意選択で、好ましくは、201にループバックして、別のスライスのデータを受信する。次のスライスのデータがすでにコントローラ内に格納されている場合、当方法の場合、次の層を形成するために202にループバックできる。複数の層で形成されたオブジェクトが製造されると、当該方法は204で終了する。
【0183】
本発明のいずれかの実施形態の一部において、層が本明細書に記載されるように供給されると、本明細書に記載されるような硬化条件(例えば、硬化エネルギー)下に曝露が施される。一部の実施形態では、硬化性材料はUV硬化性材料であり、硬化条件は放射線源がUV放射を放出するような条件である。
【0184】
ビルディング材料が支持材料製剤も含む一部の実施形態では、この方法では、硬化した支持材料の除去に進む(例えば、それにより、隣接する硬化したモデリング材料を露出させる)。これは、当業者によって認識されるように、機械的及び/又は化学的手段によって実施することができる。支持材料の一部は、本明細書に記載されるように、例えば、硬化された混合層内で、除去時に任意選択で残すことができる。
【0185】
一部の実施形態では、硬化した支持材料を除去すると、支持材料とモデリング材料製剤の混合物を含む、硬化した混合層が現れる。オブジェクトの表面でそのような硬化した混合物は、任意選択で、本明細書では「マット」とも呼ばれる比較的非反射性の外観を有し得る。一方、そのような硬化した混合物を欠く表面(例えば、支持材料製剤がその上に適用されなかった場合)は、比較して「光沢のある」外観が得られる。
【0186】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、この方法では、支持材料がビルディング材料に含まれている場合、それを除去する前後のどちらかで、硬化したモデリング材料を後処理条件に曝す。後処理条件は、通常、硬化したモデリング材料をさらに硬化させることを目的とする。一部の実施形態では、後処理は、部分的に硬化した材料を硬化させるが、それによって完全に硬化した材料が得られる。
【0187】
システム及び方法についての上記の説明においては、ビルディング材料製剤(例えば、本明細書に記載の1又は複数のモデリング材料製剤及び任意選択で支持材料製剤)の選択的供給及び硬化によって層が形成されるといった実施形態に特に重点が置かれているが、このような技術へのより詳細な言及は、いかなる方法によっても本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。例えば、当分野の他の実践者は、ステレオリソグラフィー及びDLPなど(これらに限定されないが)のvat系技術によって上述した層を形成している(これに関しては、例えば、上記の米国特許第4,575,330号及び第9211678号を参照されたい)。
【0188】
したがって、当該システムがvat系システム又は装置、例えば、ステレオリソグラフィー又はDLPシステム又は装置を含むような実施形態であると考えることもできる。前述したように、vat系技術の中には材料として、スライス状のオブジェクト形状に対応するように構成されたパターンを使って、硬化放射線によって照射するような硬化条件下に曝すことによって、硬化性材料の薄膜を他層の上に次から次に形成するような材料が含まれている。
【0189】
積層造形がステレオリソグラフィーである場合、硬化放射線のプログラムされた可動スポットビームは、硬化性流体媒体(1又は複数のモデリング材料製剤及びオプションで支持材料製剤)の表面又は層に向けられて、固体層のオブジェクトを表面に形成する。通常、製剤はUV硬化性製剤であり、硬化放射線はUV放射線である。オブジェクトの固体層が形成されると、その層はプログラムされた方法で、1つの層の厚さだけ流体表面から離れて移動し、次の断面が形成され、オブジェクトを形づくる直前の層に接着される。このプロセスは、オブジェクト全体が形成されるまで続けられる。
【0190】
積層造形でDLPを利用する場合、デジタル光プロセッサは、スライスされたオブジェクトのデジタル画像の構成通りに硬化放射線を、好ましくは下から投射して、硬化性製剤が供給された層の表面に、オブジェクトの固体層を形成する。通常、硬化性製剤はUV硬化性製剤であり、硬化性放射線はUV放射である。オブジェクトの固体層が形成されると、その層はプログラミングに沿って、デジタル光プロセッサの画像面から1層分の厚さだけ離れて移動し、次の断面が形成され、すぐにオブジェクトを形作る先行層に接着する。このプロセスは、オブジェクト全体が形成されるまで続けられる。
【0191】
モデリング材料製剤:
本実施形態によるモデリング材料製剤は、1又は複数の硬化性材料及び1又は複数の放射線不透過性材料を含む硬化性製剤である。
【0192】
放射線不透過性材料は、放射線造影剤として使用可能であり、電波及びX線範囲、すなわち、可視光範囲以外の波長(例えば、UV範囲よりも低く、IR範囲より高い波長)での電磁波の通過を阻害する材料である。
【0193】
本実施形態によるモデリング材料製剤は、放射線不透過性製剤であり、硬化すると(例えば、硬化条件にさらされると)、放射線不透過性である、すなわち、可視光範囲外の波長の電磁波の通過を阻害する材料を提供する。
【0194】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部おいて、モデリング材料製剤は、硬化したときに、本明細書に記載のように、正のCT数、例えば、0HU(ハウンズフィールド単位)より高いCT数を示す材料を提供するものである。
【0195】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、モデリング材料製剤は、硬化したときに、本明細書に記載のように、100HU(ハウンズフィールド単位)より高いCT数を示す材料を提供するようなものである。
【0196】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、モデリング材料製剤は、硬化したときに、本明細書に記載のように、200HU(ハウンズフィールド単位)より高いCT数を示す材料を提供するようなものである。
【0197】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、モデリング材料製剤は、硬化したときに、本明細書に記載のように、300HU(ハウンズフィールド単位)より高いCT数を示す材料を提供するようなものである。
【0198】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、モデリング材料製剤は、硬化したときに、本明細書に記載のように、500HU(ハウンズフィールド単位)を超えるCT数を示す材料を提供するようなものである。
【0199】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、モデリング材料製剤は、硬化したときに、本明細書に記載のように、1000HU(ハウンズフィールド単位)より高い、又は1500HUより高い又は2000HUより高い、2000HUよりもさらに高いCT数を示す材料を提供するようなものである。
【0200】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、モデリング材料製剤は、硬化したときに、本明細書に記載のように、100~20000、又は100~10000、又は200~10000、又は300~10000、又は500~10000、又は1000~10000HUの範囲のCT数を示す材料を提供するものである。ただし、それらの間の中間値及び部分範囲を含む。
【0201】
本明細書で定義され、コンピュータ断層撮影又はコンピュータ支援断層撮影(CAT)及び身体切片レントゲン写真としても知られる「コンピュータ断層撮影」(略して「CT」)は、デジタル処理を使用して三次元画像を生成する医用画像法であり、ここでデジタル処理によって、単一の回転軸の周りで撮影された一連の大規模な二次元X線画像からオブジェクト(又は被写体)の内部の三次元画像を生成する。本明細書の議論はコンピュータ断層撮影に焦点を合わせているが、そのような議論は一般にすべてのタイプのX線撮影に適用されることは当業者によって容易に理解されるであろう。
【0202】
本明細書及び当技術分野において、「CT数」とは、ハウンズフィールドスケールに基づいて選択可能な走査係数を表す。CT画像(ピクセル)の各要素領域は、X線の減衰に対応するハウンズフィールド単位(HU)で表される。CT数は通常、表示モニターにグレースケールピクセルとして表示される。白は、CT数の大きいピクセルを表す。中間のCT数には、さまざまなグレーの色合いが割り当てられる。黒はCT数の小さい領域を表す。
【0203】
CT撮影では、放射線源からのX線は対象又はオブジェクトのボリュームゾーンを通過することにより検出器によって検出される。X線のエネルギーは、CT画像デバイスと一連の撮影パラメータ、たとえば撮影プロトコルに応じて、ピークエネルギーの分布をもって放出される。検出されたX線放射は、投影データの形式で、ボリューム画像データに再構成される。ボリューム画像データは、画像スライス又は他の分割ボリュームとして表示できる。ボリューム画像データは、ハウンズフィールド単位(HU)のボクセル値で再構成される。ハウンズフィールド単位の範囲は約-1000~3000で、例えば4096値又は12ビットの範囲であり、これは、0度の水で正規化された減衰測定値に基づく。
【0204】
参照設定は通常、撮影手順用に選択された撮影プロトコルの種類に基づいており、測定されたHUは、設定されたチューブ電位や放出されたピークエネルギー(kV)など、収集したパラメータと相関する。
【0205】
異なるエネルギーレベルで得たボリューム画像データは、通常、ウィンドウレベル(WL)が同じである参照設定を使用して表示される。たとえば、選択したHU値の平均/中央値、及びウィンドウ幅(WW)(例:選択したHU値の範囲)。
【0206】
CT数の決定は、当技術分野で知られている方法に従う。例示的な手順は、以下の実施例のセクションで説明する。
【0207】
本実施形態による放射線不透過性材料は、造影剤として、又は放射線造影剤として、又はX線又はコンピュータ断層撮影で使用可能な薬剤として知られている、又はその一部を形成する任意の材料を包含する。放射線不透過性材料は、入射X線放射を大幅に減衰させ、対象のボリュームを透過する放射を減少させることができる。
【0208】
製剤に含まれる放射線不透過性材料は、当技術分野で知られている材料であればいずれでも良く、及び/又は製剤用として本明細書に記載されるような、それ自体がCT数を示すような材料であってよい。
【0209】
上記のように、放射線不透過性材料は、通常、高原子番号及び/又は高密度液体材料を有する1又は複数の要素を含む。
【0210】
放射線不透過性材料は、単一の化学物質、例えば、化学元素又は化合物、又は2つ以上の化学元素及び/又は化合物の混合物、又は液体担体中の化学元素又は化合物の分散液又は溶液であってよい。
【0211】
一部の実施形態では、放射線不透過性材料は、高い原子番号、例えば、40を超える、又は50を超える原子番号を有する化学元素であるか、又はそれを含む。例示的なそのような放射線不透過剤として現在使用されているものにはヨウ素、バリウム、ガドリニウム、イッテルビウム、タンタル、タングステン、金、ビスマスが含まれるが、それらに限定されず、他の要素も考えられる。
【0212】
一部の実施形態において、放射線不透過性材料は、本明細書に記載されるように、高原子数を有する1又は複数の元素、例えば、ヨウ素含有化合物、バリウム含有化合物、ガドリニウム含有化合物、イッテルビウム含有化合物タンタル含有化合物、タングステン含有化合物、金含有化合物、及びビスマス含有化合物を含む化合物である。
【0213】
ヨウ素含有化合物の例として、例えば水溶性化合物(当技術分野ではイオン性化合物とも呼ばれる)及び水不溶性化合物(当技術分野では非イオン性化合物とも呼ばれる)が挙げられるが、これらに限定されない。水溶性ヨウ素含有化合物としては、例えばヨウ化カリウム、ジアトリゾエート、メトリゾエート、イオタラミン酸及びイオキサグレートが挙げられるが、これらに限定されない。水不溶性化合物としては、例えばイオパミドール、イオヘキソール、イオキシラン、イオプロミド、イオジキサノール、及びイオベルゾルが挙げられるが、これらに限定されず、他の放射線不透過性ヨウ素含有化合物も考えられる。
【0214】
ヨウ素含有化合物を含む放射線不透過性材料は、その化合物自体を含むことができ、又は水又は任意の他の適切な溶媒を使った溶液としても使用できる。
【0215】
バリウム含有化合物の例としては、主に無機バリウム塩が挙げられ、放射線造影剤として最も一般的に使用されているのは硫酸バリウム(BaSO)である。別の例としては硝酸バリウム(Ba(NO)が挙げられるが、他の有機及び無機バリウム塩も考えられる。
【0216】
ガドリニウム含有化合物としては、以下に限定されないが、例えば、GaClなどのガドリニウム無機塩、また以下に限定されないが、ガドテル酸塩、ガドジアミド、ガドベン酸塩、ガドペンテト酸塩、ガドテリドール、ガドベルセタミド、ガドブトロール、ガドペンテト酸ジメグルミン、ガドフォスベセット、ガドコレチン酸、ガドメリトール、ガドマー17、及びガドキセチン酸などのガドリニウム有機塩又は有機金属Ga(III)錯体が挙げられる。
【0217】
イッテルビウム含有化合物の例としては、YbCl及びYbFなどのハロゲン化イッテルビウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0218】
タンタル含有化合物の例としては、タンタル無機塩、タンタル酸化物、それらのコーティングされた形態、及びタンタル、タンタル塩、又はタンタル酸化物の有機金属錯体が挙げられるが、これらに限定されない。例として、化学式(Ta)(C14NOSi)2.8で表され、コーティングされた酸化タンタル粒子を含む化合物が挙げられる。タンタル含有化合物は、タンタル自体であってよい。
【0219】
タングステン含有化合物の例としては、タングステン自体、例えば、二硫化タングステン、酸化タングステン、それらのコーティングされた形態、及びタングステン、タングステン塩、又は酸化タングステンの有機金属錯体などのタングステン無機塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0220】
金含有化合物の例として、金自体、AuClなどのハロゲン化金、及び金又はハロゲン化物又はそれらの酸化物の有機金属錯体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0221】
ビスマス含有化合物の例としては、有機及び無機の塩又はビスマス錯体又は酸化ビスマス、例えば、オキシ塩化ビスマス、亜炭酸ビスマス(BiOCO)、三酸化ビスマス、酸化ビスマスタングステン、ビスマス(III)チタン酸塩、テルル化ビスマス、及びモリブデン酸ビスマスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0222】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、放射線不透過性材料は粒子の形態である。好ましくは、粒子の平均サイズ(例えば、直径)は、1ミクロン未満、より好ましくは500nm未満、より好ましくは100nm未満である。一部の実施形態では、粒子の平均サイズは、1~500nm、又は1~200nm、又は1~100nm、又は1~80nmの範囲であり、任意の中間値及びそれらの間の部分範囲を含む。したがって、前述の放射線不透過性材料のナノ粒子又はナノ粉末が、製剤に含まれるのが好ましい。
【0223】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、放射線不透過性材料は、本明細書に記載の、バリウム含有化合物、ガドリニウム含有化合物、イッテルビウム含有化合物、タンタル含有化合物、タングステン含有化合物、金含有化合物、又はビスマス含有化合物の、本明細書に記載の複数のナノ粒子であるか、又はそれらを含む。
【0224】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、放射線不透過性材料は、本明細書に記載の、バリウム含有化合物、タンタル含有化合物、又はタングステン含有化合物の、本明細書に記載の複数のナノ粒子であるか、又はそれを含む。
【0225】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、放射線不透過性材料は、バリウム含有化合物であるか、又はそれを含み、また一部の実施形態においては、バリウム含有化合物は硫酸バリウムである。
【0226】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、放射線不透過性材料は、硫酸バリウムの複数のナノ粒子であるか、又はそれを含む。
【0227】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、放射線不透過性材料がナノ粒子又はナノ粉末の形態である場合、これらは粒子(硬化性材料に分散)として、硬化性材料とともに製剤に含まれてよく、又は粒子が分散し、硬化性材料と混合される液体担体として製剤に含まれもよい。
【0228】
上記の放射線不透過性材料のいずれも、液体担体中において、本明細書に記載されるような放射線不透過性化合物の分散液又は溶液の形態であってよい。この担体は、硬化性担体又は非硬化性担体であってよい。担体は、好ましくは、製剤中の硬化性材料と化学的に適合性がある。担体は、例えば、水、アルコール溶媒、アルキレングリコール、ポリ(アルキレングリコール)、又はそれらを任意に組み合わせた、親水性又は両親媒性の担体であってよい。
【0229】
液体担体中のナノ粒子又はナノ粉末の濃度は、約1~約80%、又は約10~約80%、又は約20~約80%、又は約30~約80重量%の範囲であってよく、それらの中間値及びそれらの間の部分範囲も含まれる。
【0230】
放射線不透過性材料は、あるいは液体形態、例えば、液体要素又は化合物、すなわち、室温及び大気圧で液体である要素又は化合物であってよい。
【0231】
好ましくは、液体放射線不透過性材料は、室温(例えば、25℃)で2グラム/cm以上、例えば、2グラムより高い、3グラムより高い、又は4グラムより高い密度を有することを特徴とする高密度液体である。
【0232】
液体放射線不透過性材料は、例えば、ブロモ及びヨード含有有機及び無機液体化合物、有機タリウム塩、液体金属及び金属合金、水銀、及びポリタングステン酸ナトリウム溶液であってよい。
【0233】
液体放射線不透過性材料の例を以下の表1に示す。
【0234】
【表1】
【0235】
追加の例として、パーフルオロデカリンが挙げられる。
【0236】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、放射線不透過性材料は、好ましくは、本明細書に記載の1又は複数の硬化性(例えば、重合性又は架橋性)基と、放射線不透過性要素の1又は複数の原子、又はそのような原子を含む1又は複数の化学グループとを含む硬化性材料である。
【0237】
一部の実施形態では、硬化性放射線不透過性材料は、放射線不透過性要素の1又は複数の原子、又は重合性又は架橋性材料の置換基などの原子を含む1又は複数の基を含む。
【0238】
一部の実施形態では、硬化性放射線不透過性材料は、放射線不透過性要素の1又は複数の置換基を含むか、又は放射線不透過性要素を含む、本明細書の各実施形態のいずれかに記載される硬化性材料である。
【0239】
一部の実施形態では、放射線不透過性要素は臭素又はヨウ素であり、放射線不透過性硬化性材料は、1又は複数の臭素及び/又はヨウ素置換基を有する硬化性材料である。
【0240】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、硬化性材料はアクリル材料であり、これは、例えば、単官能性又は多官能性のアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、及びこれらの任意の組み合わせであってよい。
【0241】
以下では、一部の本実施形態において使用可能な臭素含有硬化性(アクリル)材料を例として列挙する。
2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)エチルメタクリレート(BIEM);
3-ブロモ-2,2-ビスブロモメチル)プロピルアクリレート(トリノール);
2,4,6-トリブロモフェニルアクリレート、(KOWA);
EO修飾トリブロモフェニルアクリレート、(KOWA、Cytec);
ペンタブロモフェニルメタクリレート(Cytec);
2,3-ジブロモプロピルアクリレート;そして
ペンタブロモベンジルアクリレート。
【0242】
以下では、一部の本実施形態において使用可能なヨウ素含有硬化性(アクリル)材料を例として列挙する。
シクロホスファゼン(HEMA-co-ヨードアニリン置換シクロトリホスファゼン)。これは、「歯科用コンポジットレジンの放射線不透過剤として使用するためのヨウ素含有シクロホスファゼンの合成」、Zhao et al.、Materials Science and Engineering:C、2014、43:432-438に記載される。;
2-「4-ヨードベンゾイル」-オキソ-エチルメタクリレート(4-IEMA);
2-「2’,3’,5’-トリヨードベンゾイル」エチルメタクリレート(TIBMA)、「アクリル骨セメントからの硫酸バリウムの除去。2種類のヨウ素含有モノマーの使用。」に記載される、Artola et al.、Biomaterials、2003、24(22):4071-4080;
3,5-ジオジンサリチルサンメタクリレート(DISMA)。「アクリル骨セメントからの硫酸バリウムの除去。2種類ヨウ素含有モノマーの使用」、Artola et al.、Biomaterials、2003、24(22):4071-4080に記載されている。;そして
4-ヨードベンゾイル-オキソ-エチルメタクリレート。
【0243】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、放射線不透過性材料は、不透明な材料及び硬化性担体を含む。
【0244】
一部の実施形態では、放射線不透過性材料は、硬化性担体に分散された固体の不透明な材料を含む。
【0245】
これらの実施形態において使用可能な不透明な材料には、アルミナ(Al)、チタニア(酸化チタン)、シリカ、及び同様の材料が含まれるが、これらに限定されない。
【0246】
固体の不透明な材料は、本明細書に記載されるように、粒子、例えば、ナノ粒子の形態であってよい。
【0247】
硬化性担体は、本明細書に記載の1又は複数の硬化性材料を含み、単官能性及び/又は二官能性硬化性材料(例えば、アクリル材料)であってよい。
【0248】
硬化性担体は、ポリマー及び/又は非ポリマーの非硬化性材料を含む、1又は複数の非硬化性材料をさらに含むことができる。
【0249】
本明細書全体を通して、「非硬化性」という用語は、任意の条件下で非重合性である材料、又は本明細書に記載の硬化性材料が硬化可能である条件下で、又は本実施形態に係るオブジェクトの製造に使用されるあらゆる条件下で、非硬化性である材料を包含する。そのような材料は、通常、硬化性又は重合性基又はUV光重合性の基を欠いている。一部の実施形態では、本材料は、本明細書に記載の硬化性材料に対して非反応性である、すなわち、硬化性材料と反応せず、硬化条件を含む製造条件下で、硬化性材料の硬化を阻害することができない。
【0250】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部によれば、製剤中の放射線不透過性材料の量は、製剤の総重量に対して、重量で5~50%、又は5~30%、又は5~25重量%の範囲にあり、その量は中間値とその間の部分範囲も含む。
【0251】
放射線不透過性材料の適切な量は、硬化製剤の所望の放射線不透過性(CT数)、製剤の安定性、及び製剤のAMシステム及び方法への適合性に応じて、当業者によって決定され得る(例えば、その粘度、表面張力、熱安定性などに関して)。
【0252】
放射線不透過性材料に加えて製剤に含まれる1又は複数の硬化性材料を選択することにより、硬化時に所望するような機械的、物理的及び熱的特性を特徴とする材料が提供される。
【0253】
一部の実施形態では、1種又は複数の硬化性材料は、硬化時に、引張強度、引張弾性率、曲げ強度、曲げ弾性率、破断点伸び、HDT、耐衝撃性、硬化材料に必要なショアA硬度(たとえば、その材料又はその一部に形成された3Dオブジェクトについて説明したとおり)の中の1又は複数を発現するように選択される。
【0254】
例示的な実施形態では、1種又は複数の硬化性材料は、本明細書に記載のモデリング材料製剤が、硬化したときに、以下の1又は複数の特性を提供するように選択される:40℃を超えるHDT;50MPaを超える引張強度、50Mpaを超える曲げ強度、及び1000MPaを超える曲げ弾性率。
【0255】
一部の実施形態において、1種又は複数の硬化性材料は、上記の特性を提供する硬化性製剤の一部を形成する。
【0256】
一部の実施形態では、硬化性製剤は、放射線不透過性材料と適合性がある、すなわち、選択された放射線不透過性材料と混合して安定な混合物、分散液又は溶液を形成することができる、市販の、又は他に記載の硬化性製剤又は製剤システムであり、AMシステム又はプロセスと互換性がある。
【0257】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、AMプロセスは3Dインクジェット印刷であり、放射線不透過性材料と混合される硬化性製剤は、3Dインクジェット印刷に適した硬化性製剤である。
【0258】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、モデリング材料製剤は、本明細書に記載の3Dインクジェット印刷の要件を満たす粘度、表面張力、噴射性及び反応性(例えば、硬化時間)などの特性を有することを特徴とする。
【0259】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、モデリング材料製剤は、75℃で、8~約50、又は8~約30、又は8~約25センチポアズの粘度を有することを特徴とする。
【0260】
放射線不透過性材料とともに本明細書に記載のモデリング材料製剤に含めることができる例示的硬化性製剤としては、頑丈で硬い材料を提供する製剤(例えば、本譲受人によりVero(商標)ファミリー材料として販売されている硬化性製剤)が含まれるが、これらに限定されない。)、柔らかくてフレキシブルな材料を提供する製剤(例えば、現在の譲受人がTango(商標)及びAgilus(商標)ファミリー材料として販売している硬化性製剤)、及びデジタルABSオブジェクトの形成に使用できる製剤システムで、これには2種の出発材料(現在の譲受人によって販売されているRGD515(商標)及びRGD535/531(商標)など)で作られた殻付きマルチマテリアルが含まれる。
【0261】
追加の例示的な硬化性製剤は、例えば、PCT国際特許出願公開番号WO2016/142947、WO2017/029657;及びWO2017/122211に記載される。
【0262】
硬化性製剤は、任意で、特定の組織又は器官、例えば、骨などの硬組織、肉などの軟組織、及び/又は血管系の特性を模倣するように選択される。そのような製剤は、例えば、PCT国際特許出願公開番号WO2019/021291、WO2019/021292、WO2019/021293、WO2019/021294、及びWO2019/021295に記載されており(本譲受人により)、そしてすべての内容を本明細書に完全に記載するごとくに参照により援用される。
【0263】
硬化性放射線不透過性材料に関して本明細書に記載されるいずれかの実施形態の一部において、1種又は複数の硬化性材料及び硬化性放射線不透過性材料は、同じ硬化条件に曝される場合に硬化可能である。
【0264】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、製剤中のすべての硬化性材料は、光硬化性材料、例えば、UV硬化性材料、例えば、本明細書に記載のアクリル材料である。
【0265】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、モデリング材料製剤は、製剤の硬化を促進するための薬剤をさらに含み、UV硬化性材料の場合、光開始剤又は2種以上の材料を含む光開始剤システムであり、以下に説明する。
【0266】
一部の実施形態では、放射線不透過性材料と混合される硬化性製剤は光開始剤を含み、これらの実施形態の一部では、最終製剤に適当な反応性(例えば、本明細書に記載の硬化時間)を付与するために、追加量の光開始剤が添加される。
【0267】
UV硬化性材料に関する本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部では、光開始剤(又は光開始剤システム)の総量は、製剤の総重量に対して重量で1~10%、又は2~10%、又は2~6重量%の範囲である。
【0268】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、モデリング材料製剤は、界面活性剤及び/又は分散剤をさらに含む。これらの一部の実施形態では、放射線不透過性材料は、本明細書に記載の放射線不透過性材料の粒子、例えば、ナノ粒子を含む。
【0269】
これらの一部の実施形態では、放射線不透過性材料と混合される硬化性製剤は、界面活性剤及び/又は分散剤を含み、これらの一部の実施形態では、最終製剤をさらに安定化されるために界面活性剤及び/又は分散剤が追加される。
【0270】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、界面活性剤及び/又は分散剤の総量は、製剤の総重量の0.01~5重量%の範囲であり、その任意の中間値及びそれらの間の部分範囲も含まれる。
【0271】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、本明細書に記載のモデリング材料製剤は、1種又は複数の硬化性材料及び放射線不透過性材料、及び任意選択で1種又は複数の光開始剤、界面活性剤及び/又は分散剤、さらに任意選択で本明細書に記載されているような他の添加剤を混合することによって調製される。この混合は室温で、又は、例えば、最大70、又は最大60、又は最大50、又は最大40℃の高温で行うことができる。
【0272】
一部の実施形態では、この混合物は入手可能な硬化性製剤及び放射線不透過性材料からなり、任意選択で、本明細書に記載の1種又は複数の光開始剤、界面活性剤及び/又は分散剤及び/又は他の添加剤が添加される。
【0273】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、製剤中の硬化性材料の量は、任意の中間値及びそれらの間の部分範囲を含めて、50%~95%の範囲である。
【0274】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部では、1種又は複数の硬化性材料には、1種又は複数の単官能性硬化性材料が含まれる。
【0275】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、1種又は複数の硬化性材料は、硬化時に、50℃より高いTg、50~150℃又は50~100℃の範囲(その中間値とその間の部分範囲も含まれる。)のTgを有することを特徴とする、1種又は複数の単官能性硬化性材料を含。
【0276】
最終オブジェクトが所望される硬度、剛性、弾性及び構造に応じて、この1種又は複数の硬化性材料はさらに、硬化時に50℃より高いTg(例えば、50℃~250℃)、又は80~250℃、又は80~200℃、又は100~250℃、又は100~200℃、又は150~250℃、又は150~200℃(中間値及びその間の部分範囲を含む)を特徴とする1又は複数の多官能硬化性材料及び/又は硬化時に低Tg、たとえば50℃未満、20℃未満、10℃未満、又は0℃未満(たとえば、-20~50℃、又は-20~20℃、又は0~20℃、中間値及び部分範囲を含む)の1種又は複数の単官能又は多官能硬化性材料を含むことができる。
【0277】
一部の実施形態では、例示的で非限定的な製剤は、硬化すると本明細書に記載のように50℃より高いTgを有することを特徴とする1種又は複数の単官能硬化性材料、及び本明細書に記載されているように硬化すると20℃未満のTgを有することを特徴とする1種又は複数の単官能硬化性材料、硬化すると本明細書に記載されるように、50℃より高いTgを有することを特徴とする多官能硬化性材料、及び本明細書に記載されているように、硬化したときに20℃未満のTgを有することを特徴とする多官能硬化性材料、を含む。
【0278】
一部の実施形態では、硬化時に50℃を超えるTgを有することを特徴とする1種又は複数の単官能硬化性材料の総量は、製剤の総重量の少なくとも20%、又は20~50%、又は少なくとも20%~40%又は30~40重量%の範囲内である。
【0279】
一部の実施形態では、硬化時に20℃未満のTgを有することを特徴とする1種又は複数の単官能硬化性材料の総量は、製剤の総重量の1~20重量%、又は5~15重量%の範囲内である。
【0280】
一部の実施形態では、硬化時に50℃を超えるTgを有すること特徴とする多官能硬化性材料の総量は、製剤の総重量全体の5重量%~15重量%、又は5重量%~10重量%の範囲内である。
【0281】
一部の実施形態では、硬化時に20℃未満のTgを有することを特徴とする多官能硬化性材料の総量は、製剤の総重量の10~30重量%、又は15~25重量%の範囲内である。
【0282】
本明細書全体を通して、「Tg」は、E’’曲線の極大値の位置として定義されるガラス転移温度を指し、ここで、E’’は、温度の関数としての材料の損失弾性率である。
【0283】
大まかに言えば、Tg温度を含む温度範囲内で温度が上昇すると、材料、特に高分子材料の状態は、ガラス状態からゴム状態に徐々に変化する。
【0284】
本明細書において、「Tg範囲」は、E’’値が上記で定義されたTg温度でその値の少なくとも半分となる(例えば、その値までであってよい。)温度範囲である。
【0285】
特定の理論に拘束されることを望まないが、ポリマー材料の状態は、上記で定義されたTg範囲内でガラス状態からゴム状態に徐々に変化すると想定される。本明細書において、「Tg」という用語は、本明細書で定義されるTg範囲内の任意の温度を指す。
【0286】
特に明記しない限り、硬化性材料を説明する上で使われるすべてのTg値は、対象となる材料自体から形成された硬化材料(例えば、ポリマー)を指す。
【0287】
本明細書に記載の50℃を超えるTgを有することを特徴とする単官能硬化性材料の例としては、ACMO、IBOA、及びExo-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イルアクリレートが含まれるが、これらに限定されない。実施形態の一部では、製剤にこれらの硬化性材料のすべてが含まれる例が示される。
【0288】
50℃を超えるTgを有することを特徴とする多官能硬化性材料の例としては、以下に限定されないが、SE368の名前で市販されているトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(THEICTA)が挙げられ;短鎖アルキレングリコール含有(エトキシル化)二官能性及び三官能性アクリレートモノマー、例えば、DPGDA(SR508の名前で市販されている)、エトキシル化3トリメチロールプロパントリアクリレート(TMP3EOTA)(これはSR454の名前で市販されている)、そして、例えば、SR833Sの名前で市販されているトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(TCDDMDA)、並びにSR595、SR355などの長鎖又は高炭素環多官能性アクリレートモノマーが挙げられる。一部の実施形態では、製剤にSR833Sが含まれる例が示される。
【0289】
20℃未満のTgを有することを特徴とする単官能硬化性材料の例としては、ジェノマーファミリーの下で販売されている単官能性ウレタンアクリレート、及び例えばCN131Bとして販売されている単官能性エラストマー材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0290】
20℃未満のTgを有することを特徴とする多官能硬化性材料の例として、以下に限定されないが、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、脂肪族ポリエーテルベース又はポリエステルベースのウレタンジアクリレート、ポリエチレングリコール-ポリエチレングリコールウレタンジアクリレート、アクリレート化オリゴウレタン、部分的にアクリレート化されたポリオールオリゴマー、及び他のエトキシル化多官能性材料、例えば、エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートが挙げられる。実施形態において、製剤に商品名CN991で販売されているような脂肪族ポリエステルベースのウレタンジアクリレートを含むような例が示される。
【0291】
例示的実施形態において、モデリング材料製剤は、任意選択で、追加量の光開始剤及び/又は追加量の界面活性剤及び/又は分散剤を添加しながら、本譲受人によってVeroClear(商標)として販売されている硬化性製剤を使用して調製される。
【0292】
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一部において、モデリング材料製剤には、さらに、独立して、1種又は複数の追加の材料が含まれるが、これらは、本明細書では非反応性材料(非硬化性材料)とも呼ばれる。
【0293】
そのような薬剤には、例えば、界面活性剤、分散剤、禁止剤、酸化防止剤、充填剤、顔料及び/又は染料(放射線不透過性材料以外)が含まれる。
【0294】
界面活性剤を使用すると、製剤の表面張力を噴射又は印刷プロセスで必要となる値(通常は約30ダイン/cm)まで低下させることができる。そのような薬剤には、シリコーン材料、例えば、PDMSなどの有機ポリシロキサン、及びBYK型の界面活性剤として市販されている誘導体が含まれる。
【0295】
好適な分散剤としては、シリコーン材料、例えば、PDMSやその誘導体など、及びBYKタイプの界面活性剤として市販されている、有機ポリシロキサンであってもよい。
【0296】
好適な安定剤(安定剤)には、例えば、高温で製剤を安定化する熱安定剤が含まれる。
【0297】
「フィラー」という用語は、ポリマー材料の特性を変更する、及び/又は最終製品の品質を調整する不活性材料を表す。フィラーは無機粒子、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、及び粘土であってよい。
【0298】
モデリング製剤の重合中又は冷却中の収縮を低減するために、例えば、熱膨張係数を低減し、強度を増大させ、熱安定性を増大させ、コストを低減し、及び/又はレオロジー特性を適用するために、フィラーをモデリング製剤に添加することができる。ナノ粒子フィラーは、通常、インクジェット用途などの低粘度を必要とする用途で重宝される。
【0299】
一部の実施形態において、安定剤及び/又はフィラーのそれぞれの濃度は、使用する場合、製剤の総重量の0.01~2重量%、又は0.01~1重量%の範囲である。
【0300】
一部の実施形態では、モデリング材料製剤は、禁止剤をさらに含む。禁止剤は、硬化エネルギー下に曝される前に硬化を防止又は低減するために含まれる。好適な禁止剤としては、例えば、ジェノラド型又はMEHQとして市販されているものが挙げられるとともに、他の適当な禁止剤も考えられる。
【0301】
顔料は、有機及び/又は無機及び/又は金属顔料であり得、一部の実施形態では、顔料はナノ粒子を含むナノスケール顔料である。
【0302】
無機顔料の例としては、酸化チタン、及び/又は酸化亜鉛及び/又はシリカのナノ粒子が挙げられる。有機顔料の例としては、ナノサイズのカーボンブラックが挙げられる。
【0303】
一部の実施形態では、顔料の濃度は、製剤の総重量の0.1~2重量%、又は0.1~1.5重量%の範囲である。
【0304】
染料は、幅広いクラスの溶媒可溶性染料のいずれかであってよい。非限定的な例としては、黄色、オレンジ、茶色、及び赤色のアゾ染料、緑と青のアントラキノンとトリアリールメタン染料及び黒のアジン染料である。
【0305】
好適な光開始剤の非限定的な例として、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、ミヒラーケトン及びキサントンなどのベンゾフェノン(芳香族ケトン);2,4,6-トリメチルベンゾリジフェニルホスフィンオキシド(TMPO)、2,4,6-トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド(TEPO)、ビスアシルホスフィンオキシド(BAPO)などのアシルホスフィンオキシドタイプの光開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン及びベンゾインアルキルエーテルなどが挙げられる。光開始剤の例は、アルファ-アミノケトン、ビスアシルホスフィンオキシド(BAPO)、及び商品名Irgacure(登録商標)で販売されているものである。
【0306】
光開始剤は、単独で、又は共開始剤と組み合わせて使用することができる。ベンゾフェノンは、フリーラジカルを生成するためにアミンなどの2番目の分子を必要とする光開始剤の例である。放射線を吸収した後、ベンゾフェノンは水素引き抜きによって三級アミンと反応し、アクリレートの重合を開始するアルファ-アミノラジカルを生成する。共開始剤クラスの非限定的な例は、トリエチルアミン、メチルジエタノールアミン及びトリエタノールアミンなどのアルカノールアミンである。
【0307】
一部の実施形態では、2つ以上の開始剤を含む光開始剤システムが適用可能である。実施形態の例として、ベンゾフェノンファミリーの1つ(又は複数)の光開始剤と、TMPO又はTEPOファミリーの1つ(又は複数)の光開始剤とを含む光開始剤システムが使用される。
【0308】
一部の実施形態では、光開始剤又は光開始剤システムの総濃度は、製剤の総重量に対して、約0.1~約8%、又は約1~約8%、又は約1~約6%、又は約2~約8重量%、又は約2~約6%、又は約3~約8%、又は約3~約6重量%である(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)。
【0309】
本明細書に記載のモデリング材料製剤は、各実施形態のいずれか及びそれらの任意の組み合わせにおいて、キット内で提供され得る。一部の実施形態では、製剤のすべての成分がキット内に一緒にパッケージされている。一部の実施形態では、硬化性材料及び放射線不透過性材料は、それぞれキット内に個別に包装され、キットには、使用前又はAMプロセス中にこれらの成分を混合するための手順がさらに含まれる(例えば、これらの成分をディスペンスヘッドに別々に供給し、製剤を供給する前にその中に成分を混合する)。一部の実施形態では、光開始剤は、キット内に個別にパッケージされ、AMプロセスで使用する前に硬化性材料に添加される。
【0310】
例示的な実施形態では、製剤は、キット内で適当な包装材料、好ましくは不浸透性材料(例えば、水及びガス不透過性材料)、さらに好ましくは不透明材料で包装される。一部の実施形態では、キットには積層造形プロセス、好ましくは本明細書に記載の3Dインクジェット印刷プロセスで製剤を使用する際の手順がさらに含まれる。キットには、本明細書に記載の方法に従って製剤をプロセス中で使用する際の手順がさらに含まれている場合もある。
【0311】
各実施形態のいずれかにおいて使用される、本明細書に記載のモデリング製剤は、本明細書では放射線不透過性モデリング材料製剤とも呼ばれる。
【0312】
本明細書に記載されるようなAMプロセスにおいて、マルチマテリアルモードで使用される場合、放射線不透過性材料と化学的に適合性である限り、本モデリング製剤は、市販の又は他の方法で調製されたモデリング材料製剤と組み合わせて使用することができる。
【0313】
オブジェクト
本発明の一部の実施形態の一態様によれば、本明細書に記載のモデリング材料製剤から形成された硬化材料をその少なくとも一部に含む三次元オブジェクトが提供される。
【0314】
一部の実施形態によれば、オブジェクトは、成形された製剤を硬化条件に曝すと得られる。
【0315】
一部の実施形態によれば、オブジェクトは、本明細書に記載のモデリング材料製剤を使用して、任意選択で他のモデリング材料製剤と組み合わせて、各実施形態において、本明細書に記載されるようなAMプロセス、例えば3Dインクジェット印刷によって得られる。
【0316】
一部の実施形態によれば、オブジェクトは、本明細書及び当技術分野で定義されているように、放射線ファントムとして使用可能である。
【0317】
一部の実施形態によれば、オブジェクトは、放射線画像システムを評価、調整、及び/又は較正するための、放射線ファントムとして使用するためのものである。放射線画像システムの例としては、以下に限定されないが、コンピュータ断層撮影(CT)画像システム、ヘリカルCTシステム、PET-CTシステム及びSPECTを含むポジトロン放出断層撮影(PET)システム、磁気共鳴画像(MRI)システム、2D又は3D透視画像システム、X線システム、2つ以上のCT、MRI、PET、超音波又はその他の画像技術を活用できるハイブリッド画像システム、及び造影剤を利用するその他の放射線システムが挙げられる。
【0318】
オブジェクトは、示された用途に適したサイズ、形状、及び他の幾何学的、及び/又はテクスチャー特性がその特徴となるように、本明細書に記載のモデリング材料製剤から製造することができる。
【0319】
例えば、オブジェクトは、身体の器官又は組織の形状、及び/又はテクスチャーが特徴となるように、AMによって製造することができる。
【0320】
そのような実施形態においては、AMプロセスを、医学におけるデジタル撮影及び通信に適したフォーマットのデータ(以下、DICOMデータ)に従って実行させることができる。
【0321】
DICOMデータは、MRIシステム、CT画像システム、ヘリカルCTシステム、ポジトロンン放出断層撮影(PET)システム、2D又は3D蛍光画像システム、2D、3D、又は4D超音波画像システム、内視鏡システム、ベッドサイドモニターシステム、X線システム、及びCT、MR、PET、超音波、又はその他の撮影技術が可能なハイブリッド画像システム、などの収集コンソーから受信することができるが、これらに限定されない。DICOMデータは、好ましくは、1又は複数の身体組織要素を含む1又は複数の身体構造を示す1又は複数のデジタル画像データを含む。
【0322】
本明細書に記載されているように、DICOMデータは、コンピュータオブジェクトデータに変換することができる。たとえば、コンピュータオブジェクトデータは、Standard Tessellation Language(STL)又はStereoLithography Contour(SLC)形式、Virtual Reality Modeling Language(VRML)、積層造形ファイル(AMF)フォーマット、Drawing Exchange Format(DXF)、Polygon File Format(PLY)、又はコンピュータ支援設計(CAD)に適したその他の形式、例えばWavefrontファイルフォーマット(OBJ)などを含むが、これらに限定されない任意の既知のフォーマットにすることができる。DICOMデータからコンピュータオブジェクトデータへの変換は、任意選択で、好ましくは、閾値化、領域成長、動的領域成長などからなる群から選択される1又は複数のセグメンテーション手順を含む。
【0323】
場合によっては、入力データはコンピュータ可読媒体からコンピュータオブジェクトデータとして受信される。その場合、DICOMデータを収集して変換する必要はない。
【0324】
いずれにせよ、これらの実施形態によれば、コンピュータオブジェクトデータは、好ましくは、必要に応じて、1又は複数の身体組織要素を含む1又は複数の身体構造の形状に関するデータを含む。
【0325】
本発明の一部の実施形態における一態様によれば、本明細書に記載の放射線画像システムを評価、調整、及び/又は較正する方法が提供され、この方法には、各実施形態のいずれかにおいて、本明細書に記載の三次元オブジェクトを製造することが含まれるが、好ましくは、本明細書に記載されるように、所望の身体器官又は組織の形状、及び/又はテクスチャーを特徴化し、オブジェクトを撮影システムに配置し、様々な条件下又はシステムパラメータの下でオブジェクトのCT数を測定し、それによって放射線画像システムを評価、調整、及び/又は校正する。条件及びシステムパラメータを操作することは、当技術分野で知られている方法によって行うことができる。
【0326】
この特許の出願からの存続期間中に、多くの関連する放射線不透過性材料が開発されることが期待されが、「放射線不透過性材料」という用語には、そのようなすべての新技術が先験的に包含される。
【0327】
この特許の出願からの存続期間中に、多くの関連する放射線画像システムが開発されることが期待され、「放射線画像システム」という用語には、そのようなすべての新技術が先験的に包含される。
【0328】
本明細書で使用される「約」という用語は、±10%又は±5%を指す。
【0329】
「含む」、「有する」という用語及びそれらを複合したものは、「含むがこれらに限定されない」ことを意味する。
【0330】
「からなる」という用語は、「含む、及び限定される」ことを意味する。
【0331】
「本質的にからなる」という用語は、組成物、方法又は構造が追加の成分、工程及び/又は部品を含み得るが、追加の成分、工程及び/又は部品が請求項に記載の組成物、方法又は構造の基本的及び新規の特性を実質的に変更しない場合に限る。
【0332】
本明細書で使用される単数形は、内容的に明らかに他のことが指示されない限り、対象となるものの複数形を含む。例えば、「化合物」又は「少なくとも1つの化合物」という用語は、それらの混合物を含む複数の化合物を含み得る。
【0333】
本出願を通して、本発明の様々な実施形態は、範囲形式で提示されてよい。範囲形式で説明するのは、単に便宜上及び簡潔にするためのものであり、本発明の範囲を柔軟性に欠いた制限された範囲として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明には、その範囲内の個々の数値だけでなく、すべての可能な部分範囲を具体的に開示していると見なされる。たとえば、1~6などの範囲の記述は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲を、よびその範囲内の個々の番号(1、2、3、4、5、6など)を具体的に開示していると見なされる。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0334】
本明細書で数値範囲が示されるときはいつでも、示された範囲内の任意の引用された数字(分数又は整数)を含むことを意味する。第1の表示番号と第2の表示番号との間の「範囲にわたる/範囲」という語句、及び第1の表示番号から第2の表示番号までの「範囲にわたる/範囲」という語句は、本明細書では互換的に使用され、第1及び第2の表示番号を含むことを意味し、そして、それらの間のすべての分数と整数はそれらの間に包含される。
【0335】
本明細書で使用される「方法」という用語は、所与のタスクを達成するための作法、手段、技術、及び手順を指すが、これらに限定されず、化学面、薬理学的、生物学的、生化学的及び医学的な技術を実施する者が既知の作法、手段、技術及び手順により知られ、又は速やかに開発できる作法、手段、技術、及び手順も、意味する。
【0336】
本明細書全体を通して、「(メタ)アクリル」という用語は、アクリル及びメタクリル化合物を包含する。
【0337】
本明細書全体を通して、「連結部分」又は「連結基」という句は、化合物中の2つ以上の部分又は基を接続する基を意味する。連結部分は、典型的には、二官能性又は三官能性化合物に由来し、それぞれ2つ又は3つの原子を介して2つ又は3つの他の部分に接続されている「2」ラジカル又は「3」ラジカル部分と見なすことができる。
【0338】
連結部分の例としては、本明細書で定義されるような、1種又は複数のヘテロ原子により任意的に割り込まれる炭化水素部分又は鎖、及び/又は連結基として定義される場合は以下に列挙される化学基のいずれかが含まれる。
【0339】
本明細書で化学基が「末端基」と呼ばれる場合、それは、他の基とその基の1原子を介して接続している置換基として解釈される。
【0340】
本明細書全体を通して、「炭化水素」という用語は、主に炭素原子及び水素原子から構成される化学基を集合的に説明する。炭化水素は、アルキル、アルケン、アルキン、アリール、及び/又はシクロアルキルから構成することができ、それぞれを置換又は非置換にすることができ、1又は複数のヘテロ原子による割り込みも可能となる。炭素原子の数は2~20の範囲であり得、好ましくはより少なく、例えば、1~10、又は1~6、又は1~4である。炭化水素は、連結基又は末端基であってよい。
【0341】
ビスフェノールAは、2つのアリール基と1つのアルキル基で構成される炭化水素の例である。
【0342】
本明細書で使用される場合、「アミン」という用語は、-NR’R’’基及び-NR’-基の両方を示し、ここでR’とR’’は、以下で定義されるように、それぞれ独立して水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基である。
【0343】
したがって、アミノ基は、R’及びR’’の両方が水素である一級アミン、R’が水素でありR’’がアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基である二級アミン、又はR’及びR’’のそれぞれは独立して、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基である三級アミンであってよい。
【0344】
あるいは、R’及びR’’は、それぞれ独立して、ヒドロキシアルキル基、トリハロアルキ基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、複素環基、アミン、ハロゲン化物、スルホネート基、スルホキシド基、ホスホネート基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオヒドロキシ基、チオアルコキシ基、チオアリールオキシ基、シアノ基、ニトロ基、アゾ基、スルホンアミド基、カルボニル基、C-カルボキシレート基、O-カルボキシレート基、N-チオカルバメート基、O-チオカルバメート基、尿素基、チオ尿素基、N-カルバメート基、O-カルバメート基、C-アミド基、N-アミド基、グアニル基、グアニジン基及びヒドラジン基であってよい。
【0345】
「アミン」という用語は、本明細書では、アミンが本明細書で定義されるように末端基である場合の-NR’R’’基を意味し、また本明細書ではアミンが連結基であるか又は連結部分の一部である場合の-NR’-基を意味する。
【0346】
「アルキル」という用語は、直鎖及び分岐鎖基を含む飽和脂肪族炭化水素を表す。好ましくは、アルキル基は、1~30、又は1~20個の炭素原子を有する。本明細書で数値範囲として、例えば、「1~20」と表される場合はアルキル基が、20個までの炭素原子を含む1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子などを含み得ることを意味する。アルキル基は、置換されていても置換されていなくてもよい。置換アルキルは、1又は複数の置換基を有し得、それにより、各置換基は、独立して、例えば、ヒドロキシアルキル基、トリハロアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、複素環基、アミン、ハロゲン化物、スルホン酸塩、スルホキシド基、ホスホネート基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオヒドロキシ基、チオアルコキシ基、チオアリールオキシ基、シアノ基、ニトロ基、アゾ基、スルホンアミド基、C-カルボキシレート基、O-カルボキシレート基、N-チオカルバメート基、O-チオカルバメート基、尿素基、チオ尿素基、N-カルバメート基、O-カルバメート基、C-アミド基、N-アミド基、グアニル基、グアニジン基とヒドラジン基である。
【0347】
アルキル基は、単一の隣接原子に結合している、上記で定義される末端基、又は、その鎖内で少なくとも2つの炭素を介して2つ以上の部分を接続する上記で定義される連結基であってよい。アルキルが連結基である場合、本明細書では「アルキレン」又は「アルキレン鎖」とも呼ばれる。
【0348】
本明細書では、本明細書で定義されるように、親水性基で置換されたC(1~4)アルキルは、本明細書では「親水性基」に含まれる。
【0349】
本明細書で使用されるアルケン及びアルキンは、本明細書で定義されるアルキルであり、それぞれ、1又は複数の二重結合又は三重結合を含む。
【0350】
「シクロアルキル」という用語は、1又は複数の環が完全に共役したパイ電子系を持たない全炭素単環式環又は縮合環(すなわち、隣接する炭素原子対を共有する環)基を表す。例としては、シクロヘキサン基、アダマンチン基、ノルボルニル基、イソボルニル基などが含まれるが、これらに限定されない。シクロアルキル基は、置換又は非置換であってよい。置換シクロアルキル基は、1又は複数の置換基を有し得るが、各置換基は、独立して、例えば、ヒドロキシアルキル基、トリハロアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、複素環基、アミン、ハロゲン化物、スルホン酸塩、スルホキシド基、ホスホネート基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオヒドロキシ基、チオアルコキシ基、チオアリールオキシ基、シアノ基、ニトロ基、アゾ基、スルホンアミド基、C-カルボキシレート基、O-カルボキシレート基、N-チオカルバメート基、O-チオカルバメート基、尿素基、チオ尿素基、N-カルバメート基、O-カルバメート基、C-アミド基、N-アミド基、グアニル基、グアニジン基及びヒドラジン基が含まれる。シクロアルキル基は、上記で定義されるように、単一の隣接原子に結合する末端基、又は上記で定義されるように、その2つ以上のサイトで2つ以上の部分を接続する連結基であってよい。
【0351】
本明細書で定義されるように、2つ以上の親水性基で置換された1~6個の炭素原子を有すシクロアルキル基は、本明細書では「親水性基」に含まれる。
【0352】
「複素環基」という用語は、環内に窒素、酸素及び硫黄などの1又は複数の原子を有する単環式又は縮合環基を示す。環はまた、1又は複数の二重結合を有し得る。ただし、環には完全に共役したパイ電子系は存在しない。代表的な例は、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、モルフォリノ、オキサリジンなどである。
【0353】
複素環基は、置換又は非置換であってよい。置換複素環基は、1又は複数の置換基を有し得るが、各置換基は、独立して、例えば、ヒドロキシアルキル基、トリハロアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、複素環基、アミン、ハロゲン化物、スルホン酸塩基、スルホキシド基、ホスホネート基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオヒドロキシ基、チオアルコキシ基、チオアリールオキシ基、シアノ基、ニトロ基、アゾ基、スルホンアミド基、C-カルボキシレート基、O-カルボキシレート基、N-チオカルバメート基、O-チオカルバメート基、尿素基、チオ尿素基、O-カルバメート基、N-カルバメート基、C-アミド基、N-アミド基、グアニル基、グアニジン基及びヒドラジン基である。複素環基は、単一の隣接原子に結合する上記で定義されるような末端基、又は上記で定義されるような連結基であってよく、その2つ以上のサイトで2つ以上の部分を接続する。
【0354】
本明細書の「親水性基」には、窒素や酸素などの電子供与性原子を1又は複数含み、炭素原子とヘテロ原子の数値比が5:1以下である複素環基が含まれる。
【0355】
「アリール」という用語は、完全に共役したパイ電子系を有する全炭素単環式又は縮合環多環式(すなわち、隣接する炭素原子の対を共有する環)基を表す。アリール基は、置換されていても置換されていなくてもよい。置換アリール基は、1又は複数の置換基を有し得るが、各置換基は、独立して、例えば、ヒドロキシアルキル基、トリハロアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、複素環基、アミン、ハロゲン化物、スルホン酸塩、スルホキシド基、ホスホネート基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオヒドロキシ基、チオアルコキシ基、チオアリールオキシ基、シアノ基、ニトロ基、アゾ基、スルホンアミド基、C-カルボキシレート基、O-カルボキシレート基、Nチオカルバメート基、O―カルバメート基、尿素基、チオ尿素基、N-カルバメート基、O-カルバメート基、C-アミド基、N-アミド基、グアニル基、グアニジン基とヒドラジン基である。アリール基は、上記で定義されるように、単一の隣接原子に結合する末端基、又は上記で定義されるように、その2つ以上のサイトで2つ以上の部分を接続する連結基であってよい。
【0356】
「ヘテロアリール」という用語は、環内に、例えば、窒素、酸素、硫黄などの1又は複数の原子を有する単環式又は共役環(すなわち、隣接する原子対を共有する環)基を表し、さらに、完全に共役したパイ電子系を有する。ヘテロアリール基の例には、ピロール基、フラン基、チオフェン基、イミダゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、ピラゾール基、ピリジン基、ピリミジン基、キノリン基、イソキノリン基及びプリン基が含まれるが、これらに限定されない。ヘテロアリール基は、置換又は非置換であってよい。置換ヘテロアリールは、1又は複数の置換基を有し得るが、各置換基は、独立して、例えば、ヒドロキシアルキル基、トリハロアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、複素環基、アミン、ハロゲン化物、スルホン酸塩、スルホキシド基、ホスホネート基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオヒドロキシ基、チオアルコキシ基、チオアリールオキシ基、シアノ基、ニトロ基、アゾ基、スルホンアミド基、C-カルボキシレート基、O-カルボキシレート基、Nチオカルバメート基、O-チオカルバメート基、尿素基、チオ尿素基、O-カルバメート基、N-カルバメート基、C-アミド基、N-アミド基、グアニル基、グアニジン基及びヒドラジン基である。ヘテロアリール基は、上記で定義されるような単一の隣接原子に結合する末端基、又は上記で定義されるような連結基であり得、その2つ以上のサイトで2つ以上の部分を接続する。代表的な例は、ピリジン基、ピロール基、オキサゾール基、インドール基、プリン基などである。
【0357】
「ハロゲン化物」及び「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を表す。
【0358】
「ハロアルキル」は、1又は複数のハロゲン化物でさらに置換された、上記で定義されたアルキル基を表す。
【0359】
「硫酸塩」は、上で定義されているように-O-S(=O)-OR’末端基、又は上記で定義されているように-O-S(=O)-O-連結基を表す。ここで、R’は上記で定義された通りである。
【0360】
「チオ硫酸塩」は、-O-S(=S)(=O)-OR’末端基又は-O-S(=S)(=O)-O-連結基を表し、上記で定義される。ここで、R’は上記で定義された通りである。
【0361】
「亜硫酸塩」は、-O-S-(=O)-O-R’末端基又は-O-S(=O)-O-基結合基を表し、上記で定義されており、R’は上記で定義されているとおりである。
【0362】
「チオサルファイト」という用語は、-O-S(=S)-O-R’末端基又は-O-S(=S)-O-基連結基を示す、上記で定義され、またR’は上記で定義されているとおりである。
【0363】
「スルフィン酸塩」は、-S(=O)-OR’末端基又は-S(=O)-O-基連結基を示し、上記で定義され、またR’は上記で定義されるとおりである。
【0364】
「スルホキシド」又は「スルフィニル」という用語は、-S(=O)R’末端基又は-S(=O)-連結基を示し、上記で定義されており、R’は上記で定義されているとおりである。
【0365】
「スルホン酸塩」は、上記で定義されるように-S(=O)-R’末端基又は-S(=O)-連結基を示し、R’は本明細書で定義される通りである。
【0366】
「S-スルホンアミド」は、-S(=O)-NR’R’’末端基又は-S(=O)-NR’-連結基を示し、これらはR’及びR’’は本明細書で定義される。
【0367】
「N-スルホンアミド」は、R’S(=O)-NR’’-末端基又は-S(=O)-NR’-連結基を示し、これらは上記で定義されており、またR’及びR’’も本明細書中で定義される。
【0368】
「ジスルフィド」は、-S-SR’(末端基又は-S-S-連結基を指し、これらは上記で定義されており、R’は本明細書で定義されている通りである。
【0369】
「ホスホネート」は、-P(=O)(OR’)(OR’’)末端基又は-P(=O)(OR’)(O)-連結基を示しし、これらの句は上記で定義され、R’及びR’’は本明細書で定義される。
【0370】
「チオホスホネート」は、-P(=S)(OR’)(OR’’)末端基又は-P(=S)(OR’)(O)-連結基を示し、これらの句は上記で定義され、R’及びR’’は本明細書で定義される。
【0371】
「ホスフィニル」は-PR’R’’末端基又は-PR’-連結基を示し、これらは上記で定義されており、R’及びR’’は本明細書に定義されている。
【0372】
「ホスフィンオキシド」は、-P(=O)(R’)(R’’)末端基又は-P(=O)(R’)-連結基を示し、これらは上記で定義され、またR’及びRは本明細書で定義される。
【0373】
「ホスフィンスルフィド」は、-P(=S)(R’)(R’’)末端基又は-P(=S)(R’)-連結基を示し、これらは上記で定義され、R’及びR’’は本明細書で定義される。
【0374】
「ホスファイト」は、-O-PR’(=O)(OR’’)末端基又は-O-PH(=O)(O)-連結基を示し、これらは、上記で定義され、R’及びR’’は本明細書で定義される。
【0375】
本明細書で使用される「カルボニル」又は「炭酸塩」は、-C(=O)-R’末端基又は-C(=O)-連結基を示し、これらは上記で定義され、R’は本明細書にて定義されている。
【0376】
本明細書で使用される「チオカルボニル」は、-C(=S)-R’末端基又は-C(=S)-連結基を示し、これらは上記で定義され、R’は本明細書で定義される。
【0377】
本明細書で使用される「オキソ」は、酸素原子が存在する位置で原子(例えば、炭素原子)による二重結合によって連結されている(=O)基を示す。
【0378】
本明細書で使用される「チオオキソ」は、硫黄原子が存在する位置で原子(例えば、炭素原子)による二重結合によって連結されている(=S)基を示す。
【0379】
「オキシム」は、=N-OH末端基又は=N-O-連結基を示し、これらは上記で定義されたとおりである。
【0380】
「ヒドロキシル」は-OH基を表す。
【0381】
「アルコキシ」は、本明細書で定義されるように、-O-アルキル基及び-O-シクロアルキル基の両方を示す。
【0382】
「アリールオキシ」は、本明細書で定義されるように、-O-アリール基及び-O-ヘテロアリール基の両方を表す。
【0383】
「チオヒドロキシ」は-SH基を表す。
【0384】
「チオアルコキシ」は、本明細書で定義されるように、-S-アルキル基及び-S-シクロアルキル基の両方を示す。
【0385】
「チオアリールオキシ」は、本明細書で定義されるように、-S-アリール基及び-S-ヘテロアリール基の両方を表す。
【0386】
「ヒドロキシアルキル」は、本明細書では「アルコール」とも呼ばれ、ヒドロキシ基で置換された、本明細書で定義されるアルキルを表す。
【0387】
「シアノ」は-C≡N基を表す。
【0388】
「イソシアネート」は、-N=C=O基を表す。
【0389】
「イソチオシアネート」は、-N=C=S基を表す。
【0390】
「ニトロ」は、-NO基を表す。
【0391】
「ハロゲン化アシル」は、上記で定義されているように、R’’’’がハロゲン化物である-(C=O)R’’’’基を表す。
【0392】
「アゾ」又は「ジアゾ」は、-N=NR’末端基又は-N=N-連結基を表し、これらは上記で定義され、R’も上記で定義される。
【0393】
「ペルオキソ」は、-O-OR’末端基又は-O-O-連結基を表し、これらは、上記で定義され、R’も上記で定義される。
【0394】
本明細書で使用される「カルボン酸塩」は、C-カルボン酸塩及びO-カルボン酸塩を包含する。
【0395】
「C-カルボキシレート」は、-C(=O)-OR’末端基又は-C(=O)-O-連結基を表す。これらは上記で定義されており、R’は本明細書で定義されているとおり。
【0396】
「O-カルボキシレート」は、-OC(=O)R’末端基又は-OC(=O)-連結基を示し、これらは上記で定義されており、R’は本明細書で定義されているとおり。
【0397】
カルボン酸塩は、線状又は環状であってよい。環状の場合、R’と炭素原子はC-カルボキシレート結合して環を形成する。このグループはラクトンとも呼ばれる。あるいは、R’とOは一緒に結合して、O-カルボキシレートで環を形成する。環状カルボン酸塩は、例えば、形成された環の原子が別の基に結合している場合、結合基として機能することができる。
【0398】
本明細書で使用される「チオカルボン酸塩」は、C-チオカルボン酸塩及びO-チオカルボン酸塩を包含する。
【0399】
「C-チオカルボキシレート」は、-C(=S)-OR’末端基又は-C(=S)-O-連結基を示し、これらは上記で定義されており、R’は本明細書で定義されているとおり。
【0400】
「O-チオカルボキシレート」は、-OC(=S)R’末端基又は-OC(=S)-連結基を表し、これらは上記で定義されており、R’は本明細書で定義される。
【0401】
チオカルボン酸塩は、線状又は環状であってよい。環状の場合、R’と炭素原子はC-チオカルボキシレート結合して環を形成する。この基はチオラクトンとも呼ばれる。あるいは、R’とOは一緒に結合して、O-チオカルボキシレートの環を形成する。環状チオカルボン酸塩は、例えば、形成された環の原子が別の基に結合している場合、結合基として機能することができる。
【0402】
本明細書で使用される「カルバメート」は、N-カルバメート及びO-カルバメートを包含する。
【0403】
「N-カルバメート」は、R’’「OC(=O)-NR’-末端基」又は-OC(=O)-NR’-連結基を示し、R’及びR’’は本明細書にて定義される。
【0404】
「O-カルバメート」は、-OC(=O)-NR’R’’末端基又は-OC(=O)-NR’-連結基を表し、これら上記で定義されており、R’及びR’’は本明細書にて定義される。
【0405】
カルバメートは線形又は周期的であってよい。環状の場合、R’と炭素原子はO-カルバメート結合して環を形成する。あるいは、R’とOは一緒に結合して、N-カルバメート環を形成する。環状カルバメートは、例えば、形成された環の原子が別の基に連結されている場合、連結基として機能することができる。
【0406】
本明細書で使用される「カルバメート」は、N-カルバメート及びO-カルバメートを包含する。
【0407】
本明細書で使用される「チオカルバメート」は、N-チオカルバメート及びO-チオカルバメートを包含する。
【0408】
「O-チオカルバメート」は、-OC(=S)-NR’R’’末端基又は-OC(=S)-NR’-連結基を表し、これらは上記で定義され、R’及びR’’は本明細書で定義される。
【0409】
「N-チオカルバメート」は、R’’OC(=S)NR’-末端基又は-OC(=S)NR’-連結基を表し、これらの語句は、上記にて定義され、R’及びR’’は本明細書にて定義される。
【0410】
チオカルバメートは、本明細書中でカルバメートについて記載されているように、線状又は環状であってよい。
【0411】
本明細書で使用される「ジチオカルバメート」は、S-ジチオカルバメート及びN-ジチオカルバメートを包含する。
【0412】
「S-ジチオカルバメート」は、-SC(=S)-NR’R’’末端基又は-SC(=S)NR’-連結基を示し、これらの語句は上記にて、R’及びR’’は本明細書で定義される。
【0413】
「N-ジチオカルバメート」は、R’’SC(=S)NR’-末端基又は-SC(=S)NR’-連結基を表し、これらの語句は上記で定義され、R’及びR’’は本明細書で定義される。
【0414】
本明細書で「ウレイド」とも呼ばれる「尿素」は、-NR’C(=O)-NR’’R’’’末端基又は-NR’C(=O)-NR’’-連結基を示し、これらは上記で定義されている。ここで、R’及びR’’は本明細書で定義されている通りであり、R’’’は本明細書でR’及びR’’に対して定義されている通りである。
【0415】
本明細書では「チオウレイド」とも呼ばれる「チオ尿素」は、-NR’-C(=S)-NR’’R’’’末端基又は-NR’-C(=S)-NR’’-連結基を示し、R’、R’’及びR’’’は本明細書で定義される。
【0416】
本明細書で使用される「アミド」は、C-アミド及びN-アミドを包含する。
【0417】
「C-アミド」は、-C(=O)-NR’R’’末端基又は-C(=O)-NR’-連結基を示し、これらは上記で定義されており、R’及びR’’は明細書に定義される。
【0418】
「N-アミド」は、R’C(=O)-NR’’―末端基又はR’C(=O)-N-連結基を示し、これらは上記で定義されており、R’及びR’’は本明細書で定義されている通りである。
【0419】
アミドは線状又は環状であってよい。環状の場合、R’と炭素原子はC-アミド結合して環を形成するが、この基はラクタムとも呼ばれる。環状アミドは、例えば、形成された環の原子が別の基に結合している場合、結合基として機能することができる。
【0420】
「グアニル」は、R’R’’NC(=N)-末端基又は-R’NC(=N)-連結基を示し、これらは、上記で定義され、R’及びR’’は、本明細書で定義される通りである。
【0421】
「グアニジン」は、-R’NC(=N)-NR’’R’’’末端基又は-R’NC(=N)-NR’’-連結基を表し、これらは、上記で定義され、R’、R’’及びR’’’は本明細書で定義されている通りである。
【0422】
「ヒドラジン」は、-NR’-NR’’R’’’末端基又は-NR’-NR’’-連結基を表し、これら上記で定義されており、R’、R’’、及びR’’’は本明細書で定義されとおりである。
【0423】
本明細書で使用される「ヒドラジド」は、-C(=O)-NR’-NR’’R’’’末端基又は-C(=O)-NR’-NR’’-連結基を表し、これらは上記で定義され、R’、R’’及びR’’’は本明細書で定義されている通りである。
【0424】
本明細書で使用される「チオヒドラジド」は、-C(=S)-NR’-NR’’R’’’末端基又は-C(=S)-NR’-NR’’-連結基を表し、これらは上記で定義され、R’、R’’及びR’’’は、本明細書で定義されている通りである。
【0425】
本明細書で使用される「アルキレングリコール」は、-O-[(CR’R’’)-O]-R’’’末端基又は-O-[(CR’R’’)-O]-連結基を表し、R’、R’’及びR’’’は本明細書で定義される通りであり、zは1~10の整数であり、好ましくは2~6であり、より好ましくは2又は3であり、yは1以上の整数である。好ましくは、R’及びR’’は両方とも水素である。zが2でyが1の場合、このグループはエチレングリコールであり、zが3、yが1の場合、このグループはプロピレングリコールである。yが2~4の場合、アルキレングリコールは本明細書ではオリゴ(アルキレングリコール)と呼ばれる。
【0426】
yが4より大きい場合、アルキレングリコールは、本明細書ではポリ(アルキレングリコール)と呼ばれる。本発明のいくつかの実施形態において、ポリ(アルキレングリコール)基又はその一部分は、10~200のアルキレングリコール繰り返し単位を有することができ、その結果、zは、10~200、好ましくは10~100、より好ましくは10~50である。
【0427】
「シラノール」は、-Si(OH)R’R’’基、又は-Si(OH)R’基又は-Si(OH)基を表し、R’及びR’’は本明細書に記載されるとおりである。
【0428】
「シリル」は、-SiR’R’’R’’’基を表し、ここでR’、R’’及びR’’’は本明細書に記載されているとおりである。
【0429】
本明細書で使用される「ウレタン」又は「ウレタン部分」又は「ウレタン基」は、Rx-O-C(=O)-NR’R’’末端基又は-Rx-O-C(=O)-NR’-連結基を表す。ここでR’及びR’’は本明細書で定義される通りであり、Rxはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキレングリコール基又はそれらの任意の組み合わせである。好ましくは、R’及びR’’は両方とも水素である。
【0430】
「ポリウレタン」又は「オリゴウレタン」は、主鎖の繰り返しユニットに本明細書に記載の少なくとも1つのウレタン基、又は繰り返しに少なくとも1つのウレタン結合-O-C(=O)-NR’-をその主鎖に含む一部分を表す。
【0431】
本明細書全体を通して、「重量パーセント」は、実施形態において製剤(例えば、モデリング製剤)という内容で使われるときはいつでも、それは、各未硬化製剤総重量の重量パーセントを意味する。
【0432】
本明細書全体で提供されるCT数は、特に明記しない限り、70kVである。
【0433】
個別の実施形態において明確化される本発明の特定の特徴は、単一の実施形態においても組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、単一の実施形態において、簡潔化のために記載される本発明の様々な特徴はまた、別個に、又は補助的な組み合わせにより、又は本発明の他の実施形態において適宜提供されてもよい。様々な実施形態中に記載される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは機能しない場合を除いて、それらの実施形態の本質的な特徴と見なされるべきではない。
【0434】
上記の描写及び、以下の特許請求の範囲に記載されている本発明の様々な実施形態及び態様は、以下の実施例において実験的に裏付けられる。
【実施例
【0435】
ここで、以下の実施例を参照する。これらの実施例は、上記の説明とともに、本発明のいくつかの実施形態を非限定的な方法で示している。
【0436】
材料及び方法
現在の譲受人によって販売されているVeroClear(商標)を、例示的な硬化性製剤の例として使用した。
【0437】
現在の譲受人によって販売されているVeroWhite(商標)は、例示的な参照製剤の例として使用した。
【0438】
3-ブロモ-2,2-ビスブロモメチル)プロピルアクリレート(トリノール)はICL-IP America Inc.から購入した。
【0439】
ヨウ化カリウムはSigma-Aldrich Israel Ltd.から購入した。
【0440】
タングステン(W)粉末は、US Research Nanomaterials、Inc.から購入した。
【0441】
タンタル(Ta)粉末は、US Research Nanomaterials、Inc.から入手した。
【0442】
硫酸バリウムナノ粒子はAmerican Elementsから入手した。エチレングリコール中の二硫化タングステンナノ粒子(30%)分散液は、US Research Nanomaterials、Inc.から入手した。
【0443】
すべての製剤は、硬化性製剤を放射線不透過性材料と混合し、任意選択でさらに界面活性剤及び/又は非反応性又は反応性希釈剤と混合しながら調製した。
【0444】
モールド調製物は、次の寸法を特徴とする成形バーを使用した:65×12.5×10mm。硬化はUVチャンバーで行われた。
【0445】
印刷されたオブジェクトはConnex3プリンターを使用して準備し、次の寸法のバーを印刷した:65×12.5×10mm。
【0446】
CT数(HU)は、特に明記されていない限り、空気中で準備されたファントムについて決定した。A1、A3、B、C1、C3、D1、E1、G1と呼ばれる製剤を25cmの水中でテストした。CT数は、32mGyのスキャナー入力(CTDIvol)を使用して、さまざまなkV値で測定した。再構築は、Qr40カーネルと1mmのスライス厚で行った。ここに記載されているCT数は、特に明記されていない限り、70kVで測定した。
【0447】
粘度は、ブルックフィールドDV-E粘度計、モデルLVDV230 DATAを使用して、75℃で測定した。
【0448】
破断強度は、ASTM D638に従って決定した。
【0449】
破断伸度は、ASTM D638に従って決定した。
【0450】
曲げ強度は、ASTM D790に従って決定した。
【0451】
曲げ弾性率は、ASTM D790に従って決定した。
【0452】
HDTは、ASTM D648に従って決定した。
【0453】
実施例-1
硬化性放射線不透過性材料を使用した製剤
以下の例示的な製剤は、本明細書ではセットA製剤とも呼ばれ、一般にトリノールアクリレート(3-ブロモ-2,2-ビス(ブロモメチル)プロピルアクリレート(本明細書では「トリノール」と略記)とVeroClear(商標)又は類似の製剤を以下に示すようなさまざまな重量比で混合し、硬化性製剤として準備した。
A1=5%トリノール+95%VeroClear(商標)。
A2=10%トリノール+90%Veroclear(商標)。
A3=25%トリノール+75%Veroclear(商標)。
A4=50%トリノール+50%Veroclear(商標)。
A5=15%トリノール+85%Veroclear(商標)。
A6=20%トリノール+80%Veroclear(商標)。
【0454】
これらの製剤の粘度は、PolyJet(登録商標)システムの要件を満たし、75℃で8~20センチポアズの範囲であった。
【0455】
25℃でのこれらの製剤の表面張力は25~30mN/mの範囲であった。
【0456】
すべての製剤は噴射可能であった。
【0457】
以下の表2には、いくつかのセットA製剤から調製されたモールド調製物について得られた、70kVでのCT数を示す。
【0458】
【表2】
【0459】
以下の表3には、複数のセットA製剤を使用して得られた印刷オブジェクトについて決定された70kVでのCT数を示す。
【0460】
【表3】
【0461】
本明細書でセットF製剤と呼ばれる追加の製剤は、一般に、ペンタブロモベンジルアクリレート及び硬化性製剤としてのVeroClear(商標)を様々な重量比で混合することによって調製した。
【0462】
10%のペンタブロモベンジルアクリレートを含む例示的なそのような製剤は首尾よく調製され、そこから得られたモールド調製物は1300~1400HUのCT数を示した。
【0463】
実施例―2
ヨウ素含有非硬化性材料を含む製剤
以下の例示的な製剤は、本明細書ではセットB製剤とも呼ばれ、一般にヨウ化カリウム(KI)と硬化性材料(例えば、1又は複数の単官能性アクリレートと1又は複数の多官能性(例えば、二官能性)アクリレート)をさまざまな重量比で混合して調製した。
【0464】
例示的な製剤Bは、約3~8%のKI+約75~85%の単官能性アクリレート+10~15%のポリエーテルウレタンアクリレート/ジアクリレート+3~4%の光開始剤+抑制剤及び/又は界面活性剤(最大0.2%)を含む。ここですべての%は重量%を表す。
【0465】
この製剤から調製されたモールド調製物のCT数は2000~2200HUであった。
【0466】
これらの製剤の粘度は、PolyJet(登録商標)システムの要件を満たし、75℃で8~20センチポアズの範囲内であった。
【0467】
25℃でのこれらの製剤の表面張力は25~30mN/mの範囲内であった。
【0468】
実施例―3
硬化性担体に不透明材料を分散させた製剤
以下の例示的な製剤は、本明細書ではセットC製剤とも呼ばれ、一般に49重量%のAlの分散液を本明細書に記載の硬化性担体中で、Veroclear(商標)又は硬化性製剤と同様の製剤とを以下のような様々な重量比で混合することによって首尾よく調製した。
C1=硬化性担体中の49%アルミナ分散液の5%+95%VeroClear(商標)。
C2=硬化性担体中の49%アルミナ分散液の10%+90%VeroClear(商標)。
C3=硬化性担体中の49%アルミナ分散液の25%+75%VeroClear(商標)。
【0469】
セットC製剤から得られたモールド調製物について測定したCT数を表4に示す。
【0470】
【表4】
【0471】
実施例―4
タングステン粒子の製剤
以下の例示的な製剤は、本明細書ではセットD製剤とも呼ばれ、一般に、タングステンナノ粉末とVeroClear(商標)又は硬化性製剤と同様の製剤を、以下のように様々な重量比で混合することによって首尾よく調製された。
D1=10%タングステンナノ粉末+90%VeroClear(商標)。
D2=20%タングステンナノ粉末+80%VeroClear(商標)。
【0472】
本明細書ではセットGとも呼ばれる別の例示的な製剤のセットを、一般に、エチレングリコール及びVeroClear(商標)又は硬化性製剤と同様の製剤中の二硫化タングステン粒子の分散液(30重量%)を以下に示す様々な重量比で混合することによって調製した。
G1=25%二硫化タングステン粒子分散液+75%VeroClear(商標)。
G2=50%二硫化タングステン粒子分散液+50%VeroClear(商標)。
【0473】
セットD及びセットFの製剤から得られたモールド調製物のCT数を表5に示す。
【0474】
【表5】
【0475】
実施例―5
タンタルナノ粉末の製剤
以下の例示的な製剤は、本明細書ではセットE製剤とも呼ばれ、一般にタンタルナノ粉末とVeroClear(商標)又は硬化性製剤と同様の製剤を様々な重量比で以下のように混合することによって首尾よく調製された。
E1=10%タンタルナノ粉末+90%VeroClear(商標)。
E2=20%タンタルナノ粉末+80%VeroClear(商標)。
【0476】
両方の製剤は、150~250HUのCT数を示した。
【0477】
実施例―6
硫酸バリウムの製剤
以下の例示的な製剤は本明細書ではセットH製剤とも呼ばれ、一般に硫酸バリウムナノ粒子とVeroClear(商標)又は硬化性製剤と同様の製剤を、硫酸バリウムナノ粒子の量が変動するように両者の重量比を変えて混合することにより首尾よく調製した。ここで硫酸バリウムナノ粒子の量は5~30重量%で硬化性製剤の量は95~70重量%であった。追加の界面活性剤又は分散剤とともに硫酸バリウムの配合量は以下のごとくであった。
H1=約5%硫酸バリウム+約95%VeroClear(商標)。
H2=約10%硫酸バリウム+約95%VeroClear(商標)。
H3=約20%硫酸バリウム+約80%VeroClear(商標)。
H4=約30%硫酸バリウム+約70%VeroClear(商標)。
【0478】
すべての製剤は光開始剤を例えば5重量%を超える、例えば5~7重量%を含んでいた。
【0479】
これらの製剤の粘度は、PolyJet(登録商標)システムの要件を満たし、75℃で8~20センチポアズの範囲内であった。
【0480】
25℃でのこれらの製剤の表面張力は25-30mN/mの範囲内であった。
【0481】
すべての製剤は噴射可能だった。
【0482】
これらの製剤は、印刷物の製造にうまく利用された。以下の表6には、印刷されたオブジェクトのCT数が示される。
【0483】
【表6】
【0484】
以下の表7に、印刷オブジェクトの機械的特性を示す。
【0485】
【表7】
【0486】
本発明について、特定の実施形態と併せて説明してきたが、それらを代替、修正、及び改良することは当業者にとっては明らかである。したがって、そのようなすべての代替、修正及び改良が、添付の特許請求の範囲の精神及び広い範囲内に包含されることが意図される。
【0487】
本明細書に記載されているすべての刊行物、特許及び特許出願は、個々の刊行物、特許又は特許出願が参照により本明細書に援用されることが具体的かつ個別に示された場合と同程度に、参照によりその全体が本明細書に引用され得る。さらに、本出願における参考文献を引用又は検証することで、そのような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であると解釈されるべきではない。セクション見出しが使用されている程度で、それが必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。
【0488】
さらに、本出願の優先権書類は、その全体が参照により本明細書に援用される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4