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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】マーキングスキャナー
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20240827BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G01B11/24 A
H01L21/66 J
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021539668
(86)(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-02
(86)【国際出願番号】 EP2020050278
(87)【国際公開番号】W WO2020144212
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】19150810.0
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518281959
【氏名又は名称】トプシル、グローバルウェハース、アクティーゼルスカブ
【氏名又は名称原語表記】TOPSIL GLOBALWAFERS A/S
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】モーテン、ハンニバル、マッドセン
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-191035(JP,A)
【文献】特開平06-258064(JP,A)
【文献】特開平11-238707(JP,A)
【文献】特開2014-167429(JP,A)
【文献】特開平04-303702(JP,A)
【文献】特開昭58-064043(JP,A)
【文献】特開2003-037138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/24
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶インゴット(10)の縦方向方位マーキング(11)の表面特性パラメーターを取得する方法であって、
- 縦方向中心軸(12)及び前記縦方向中心軸(12)からの半径(13)を持つ円筒形を有する単結晶インゴット(10)を提供する工程であって、前記半径(13)は、前記単結晶インゴット(10)の表面(14)を定め、前記単結晶インゴット(10)は、前記単結晶インゴット(10)の前記表面(14)に刻まれる縦方向方位マーキング(11)を有し、前記縦方向方位マーキング(11)は幅(31、41)を有する、工程と、
- 前記単結晶インゴット(10)を回転軸(23)の周りで回転させる工程であって、前記回転軸(23)は、前記縦方向中心軸(12)と実質的に平行であり且つ前記縦方向中心軸(12)からのオフセット値内に位置する、工程と、
- 前記単結晶インゴット(10)の角度位置を記録する工程と、
- 前記角度位置で前記回転軸(23)から前記単結晶インゴット(10)の前記表面(14)までの測定距離にある測定ポイント(21)からの距離を記録する工程と、
- 前記角度位置及び対応の前記角度位置での前記距離を含むデータ配列を提供する工程と、
- 前記データ配列から単結晶インゴット(10)に関する背景形状を算出する工程と、
- 前記オフセット値を決める工程と、
- 前記距離を前記背景形状と比較して、前記背景形状から逸脱する距離を特定する工程と、
- 前記背景形状から逸脱する距離の前記角度位置と、対応する前記距離とを登録する工程と、
- 対応する前記距離及び前記背景形状から逸脱する距離を有する連続する角度位置から、前記幅(31、41)及び前記表面特性パラメーターを同時に定める工程と、
を含む、表面特性パラメーターを取得する方法。
【請求項2】
前記単結晶インゴット(10)は、半径方向寸法において実質的に円形の断面を有する、請求項1に記載の表面特性パラメーターを取得する方法。
【請求項3】
方位マークされた単結晶インゴット(10)を製造する方法であって、
- 縦方向中心軸(12)及び前記縦方向中心軸(12)からの半径(13)を持つ円筒形を有する単結晶インゴット(10)を提供する工程であって、前記半径(13)は前記単結晶インゴット(10)の表面(14)を定める、工程と、
- 前記単結晶インゴット(10)の結晶方位を決める工程と、
- 前記単結晶インゴット(10)の前記表面(14)に対し、前記結晶方位に基づく縦方向方位マーキング(11)を刻んで、方位マークされた単結晶を提供する工程であって、前記縦方向方位マーキング(11)は幅(31、41)を有する、工程と、
- 次の複数ステップで、前記方位マークされた単結晶インゴット(10)の表面特性パラメーターを取得する工程であって、前記複数ステップは、
- 前記方位マークされた単結晶インゴット(10)を回転軸(23)の周りで回転させるステップであって、前記回転軸(23)は、前記縦方向中心軸(12)と実質的に平行であり且つ前記縦方向中心軸(12)からのオフセット値内に位置する、ステップと、
- 前記方位マークされた単結晶インゴット(10)の角度位置を記録するステップと、
- 前記回転軸(23)から測定距離にある測定ポイント(21)から、前記角度位置で前記方位マークされた単結晶インゴットの前記表面(14)までの距離を記録するステップと、
- 前記角度位置と、対応する前記角度位置での前記距離と、を含むデータ配列を提供するステップと、
- 前記データ配列から、前記方位マークされた単結晶インゴット(10)に関する背景形状を算出するステップと、
- 前記オフセット値を決めるステップと、
- 前記距離を前記背景形状と比較して、前記背景形状から逸脱する距離を特定するステップと、
- 前記背景形状から逸脱する距離の前記角度位置と、対応する前記距離と、を登録するステップと、
- 対応する前記距離及び前記背景形状から逸脱する距離を有する連続する角度位置から、前記幅(31、41)及び前記表面特性パラメーターを同時に定めるステップと、
を含む、工程と、
- 前記表面特性パラメーターによって、前記方位マークされた単結晶インゴット(10)のラベル付けを行う工程と、
を含む、方位マークされた単結晶インゴット(10)を製造する方法。
【請求項4】
前記単結晶インゴット(10)の前記表面(14)を磨いて、前記単結晶インゴット(10)に対して半径方向寸法において実質的に円形の断面を与える工程を更に含む、請求項3に記載の方位マークされた単結晶インゴット(10)を製造する方法。
【請求項5】
前記単結晶インゴット(10)に対して縦方向に前記測定ポイント(21)を移動させるステップを更に含む、請求項1又は2に記載の表面特性パラメーターを取得する方法、又は、請求項3又は4に記載の方位マークされた単結晶インゴット(10)を製造する方法。
【請求項6】
前記オフセット値が5mm以下である、請求項1、2又は5に記載の表面特性パラメーターを取得する方法、又は、請求項3~5のいずれか一項に記載の方位マークされた単結晶インゴット(10)を製造する方法。
【請求項7】
前記オフセット値を最小化するように前記単結晶インゴット(10)を再配置する工程を更に含む、請求項1、2及び6のいずれか一項に記載の表面特性パラメーターを取得する方法、又は、請求項3~のいずれか一項に記載の方位マークされた単結晶インゴット(10)を製造する方法。
【請求項8】
前記縦方向方位マーキングはノッチ(30)である、請求項1、2及び5~のいずれか一項に記載の表面特性パラメーターを取得する方法、又は、請求項3~のいずれか一項に記載の方位マークされた単結晶インゴット(10)を製造する方法。
【請求項9】
前記単結晶インゴット(10)は、2つ以上の方位マーキング(11)を備える、請求項1、2及び5~のいずれか一項に記載の表面特性パラメーターを取得する方法、又は、請求項3~のいずれか一項に記載の方位マークされた単結晶インゴット(10)を製造する方法。
【請求項10】
光が前記回転軸(23)に向かって発せられ、前記距離が前記単結晶インゴット(10)の前記表面(14)から反射及び/又は散乱された光から測定される、請求項1、2及び5~のいずれか一項に記載の表面特性パラメーターを取得する方法、又は、請求項3~のいずれか一項に記載の方位マークされた単結晶インゴット(10)を製造する方法。
【請求項11】
前記背景形状は、前記単結晶インゴット(10)の360°回転にわたって0.06°~36°の範囲の角度で間隔が置かれた複数の角度位置に関して記録された距離から算出される、請求項1、2及び5~10のいずれか一項に記載の表面特性パラメーターを取得する方法、又は、請求項3~10のいずれか一項に記載の方位マークされた単結晶インゴット(10)を製造する方法。
【請求項12】
前記連続する角度位置を特定した後、より高い解像度で前記表面特性パラメーターの前記連続する角度位置を再解析する工程を更に含む、請求項1、2及び5~11のいずれか一項に記載の表面特性パラメーターを取得する方法、又は、請求項3~11のいずれか一項に記載の方位マークされた単結晶インゴット(10)を製造する方法。
【請求項13】
単結晶インゴット(10)はシリコン単結晶インゴット(10)である、請求項1、2及び5~12のいずれか一項に記載の表面特性パラメーターを取得する方法、又は、請求項3~12のいずれか一項に記載の方位マークされた単結晶インゴット(10)を製造する方法。
【請求項14】
前記単結晶インゴット(10)からウエハをスライスする工程を更に含む、請求項3~13のいずれか一項に記載の方位マークされた単結晶インゴット(10)を製造する方法。
【請求項15】
インゴットスキャナーシステム(20)であって、
- 単結晶インゴット(10)を回転させるための回転装置(22)であって、回転軸(23)を有する回転装置(22)と、
- 前記回転軸(23)に向けて光を発するための光源(24)であって、前記回転軸(23)から測定距離に配置される光源(24)と、
- 前記回転装置上の単結晶インゴット(10)の表面(14)から反射及び/又は散乱された光を登録するための光検出器(25)と、
- 前記単結晶インゴット(10)の角度位置と、前記光検出器(25)によって前記角度位置で登録される光と、を含むデータ配列を記憶するためのデータストレージユニット(26)と、
- 前記測定ポイント(21)から前記単結晶インゴット(10)の前記表面(14)までの距離を前記データ配列から算出するように構成されるデータ処理ユニット(27)であって、さらに、算出される距離から前記単結晶インゴット(10)に関する背景形状を算出して前記背景形状から逸脱する距離を特定するように構成されるデータ処理ユニット(27)と、
を備え、
前記インゴットスキャナーシステム(20)は、請求項1、2及び5~14のいずれか一項に記載の方法によって、前記表面特性パラメーターを得るように構成される、インゴットスキャナーシステム(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単結晶インゴットの縦方向マーキングから表面特性パラメーターを取得する方法と、方位マークされた単結晶インゴットを製造する方法と、に関する。その方法は、改善された公差を有する単結晶インゴットを提供する。発明はまた、その方法を実行するためのインゴットスキャナーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
単結晶材料は多くの用途を有し、一般に、材料が単結晶材料であるため、単結晶材料も結晶方位を有し、さらに、結晶方位は、単結晶材料の使用に重要でありうる。例えば、シリコン単結晶インゴットからスライスされたシリコンウエハは、マイクロエレクトロニクス装置を製造するのに使用され、シリコン単結晶インゴットは、典型的には、{100}又は{111}方位で提供されるが、他の方位も関連しうる。方位マーカーが半導体の分野でどのように関連するかの例として、EP0610563は、半導体インゴットの結晶方位の決定と、インゴットを方位平坦部又はノッチでマーキングすることとの組み合わせに関する装置及び手順を開示する。
【0003】
単結晶、例えばSi、GaAs、InAs、InP、又はサファイアの単結晶、は、様々な方法、例えばチョクラルスキー(CZ)法又はフロートゾーン(FZ)法、を使用して製造されることができ、それはどちらも単結晶インゴットの形態で単結晶を提供する。多くの単結晶材料が薄いシートなどに使用される。例えば、シリコン単結晶インゴットは、典型的には、例えば最大で約1mmの厚さで、ウエハにスライスされる。
【0004】
その後の処理のために、ウエハを正しく方位するために、すなわち結晶方位に関し、シリコン単結晶インゴットは、典型的には、シリコン単結晶インゴットの実際の方位の知見に基づく位置に方位マーキングが設けられる。それにより、シリコン単結晶インゴットからスライスされたすべてのウエハは、方位マーカーを有することができ、正しく方位されることができる。
【0005】
シリコン単結晶インゴット、及び他の単結晶インゴットは、通常、CZ又はFZプロセスで、一般に円形の断面を有する円筒形で準備され、その後、シリコン単結晶インゴットは、円形シリコン単結晶インゴットの滑らかな表面を提供するよう研磨される。そして、方位マーカーは、典型的にはシリコン単結晶インゴットの全長に沿って、滑らかな表面に刻まれる。
【0006】
シリコン単結晶インゴットの方位マーカーは、伝統的に「平坦部」、「ノッチ」、又は平坦部及びノッチの組み合わせである。平坦部は円形断面における割線の形状を有しており、ノッチは単一インゴットの表面において「V」又は「U」の文字のような形をしうる。「U」ノッチは、円形ノッチと呼ばれることもあり、円形の形状を有する。例えば直径150mm以上である、大きな単結晶インゴットに関し、平坦部は単結晶インゴットから過剰な材料を除去しうるため、ノッチが典型的には好まれる。
【0007】
方位マーカーの実際の形状は、通常、単結晶インゴットに関するいかなる具体的な情報も含まない。ただし、単結晶インゴットは複数の方位マーカーを有しうるものであり、単結晶に関する追加情報を複数の方位マーカーによって示すことができる。典型的には、メジャー平坦部が、ウエハの結晶方位を識別するために使用される。二次平坦部とも呼ばれるマイナー平坦部は、典型的には、メジャー平坦部からの所定の角度にそれを配置することにより、ドーパントタイプの識別に使用される。SEMIスタンダードによれば、メジャー平坦部から45度の位置にあるマイナー平坦部は、{111}n型結晶を示す。しかしながら、これは単なるガイドラインであり、SEMIスタンダードとは異なって定められる平坦部が可能である。二次平坦部は、ウエハの表面及び裏面を識別するためにも使用できる。
【0008】
最終顧客にとって、結晶方位は処理ステップにおいて重要である。
【0009】
ウエハの結晶方位を直接的に測定することは可能だが、これは面倒であり、追加のステップ及び機器が必要である。単一のウエハにおいてよりも、例えばX線ゴニオメーターを使って、インゴットにおける結晶方位を測定する方が簡単である。したがって、最終顧客にとって、結晶方位を識別するマークを有することは有利である。メジャー平坦部は、ウエハ用に設計されたホルダーに平坦部を配置することによって又はアライメント平坦部を使用することによって、処理ステップにおいてウエハ方位を揃えるために使用可能である。
【0010】
ノッチは、平坦部と同じ方法で、結晶方位をマークするために使用可能である。つまり、平坦部の代わりに、ノッチを作りうる。ノッチを使用することが有益であり、それはそれらが平坦部よりも切り取られる材料が少ないからである。その有益さはより大きな結晶に関してより大きくなり、それは平坦部を製造するときに切り取られる材料が増えるからであり、その一方でそれはノッチに関しては同じままである。ただし、ノッチに基づくよりも、平坦部に基づいてウエハを位置合わせする方が簡単である。典型的には、平坦部は6インチまでのインゴットに使用されるが、さらに大きな結晶においてそれらを作ることも選択肢の一つである。ノッチは典型的には6インチ以上の結晶に使用される。平坦部及びノッチの両方を同じインゴットに配置することが可能である。
【0011】
従来技術において、ノッチの深さの測定は、一般に、触覚装置を使用して実行される。触覚測定装置は、ノッチの底でテスト面に接触するボールヘッドスタイラス、穴の上部に配置されるビーム、及び測定値を読み取るための目盛りスケールを備える。推定される測定の不確かさは、そのような装置に関しては0.01mmのオーダーである。しかしながら、触覚測定装置は複数の欠陥に悩まされている。例えば、ボールヘッドプローブのサイズが原因で、ノッチの底部を探査しないことによる、誤った測定の可能性がある。ノッチの曲率半径がボールヘッドプローブに関する曲率半径よりも小さい場合、ノッチの底を測定することはできない。さらに、接触プローブ測定は表面に傷を付けうるものであり、製品の劣化につながりうる。また、いくつかのノッチを測定するには、いくつかの測定が必要である。したがって、特に複数の特性を持つインゴットに関し、測定の実行には時間がかかる。
【0012】
従来技術によれば、ノッチの幅は、一般に、拡大鏡と組み合わされた定規などの目盛りスケールを使用して記録される。目盛りスケールはノッチの表面に配置され、ノッチの始点と終点で読み取りが行われる。2つの読み取り値の違いは、ノッチの幅である。推定される測定の不確かさは、そのような装置に関して0.1mmのオーダーである。
【0013】
従来技術の方法において、単結晶インゴットにおける平坦部の幅を測定するために、スライドキャリパー又は定規などの目盛りスケールが使用可能である。平坦部の表面に目盛りスケールを配置し、平坦部の始点と終点で読み取りが行われる。2つの読み取り値の違いは、平坦部の幅である。この方法は、円柱の曲率と平坦部との間のエッジが目で推定されるため、測定を実行するオペレーターに非常に敏感である。推定される測定の不確かさは、そのような装置では0.1mmのオーダーである。
【0014】
従来技術の方法で方位マーカー間の角度を記録するために、デジタル分度器を使用することができる。ただし、その分度器の配置は、表面マークの中心を見つけるために非常に注意すべきオペレーターのスキルに依存する。
【0015】
平坦部のないウエハの位置合わせに関し、ノッチはウエハの機械的位置合わせにも使用可能である。一例として、互いから180度に配置された2つのノッチを有するウエハは、各ノッチに1つのピンを配置することによって位置合わせされる。位置合わせの精度は、位置の精密さ及び正確さと、ノッチの幾何学的形状とに依存する。ピンの形状は、ノッチの形状とマッチしている必要がある。したがって、ノッチの改善された測定方法は、ウエハの改善された位置合わせを達成するために最終顧客にとって有益である。
【0016】
例として、インゴットスキャナーのキャリブレーションは、認定されたゲージブロックを測定することによって取得可能である。角度測定及び深さ測定の両方に関する。機器のキャリブレーションにより、トレーサビリティを確立でき、それは、与えられる仕様が説明どおりであることを保証するために最終顧客にとって重要である。
【0017】
US2017/052024は、関心のあるオブジェクトをプロファイリングするための光学プロファイラーと、関心のあるオブジェクトのプロファイル画像を製造するための方法とを開示する。プロファイラーと対応する方法は、カムシャフト、スライディングカム、及びそれらのらせんカム溝などの複雑なテストオブジェクト、又は、航空機プロペラなどのさらに複雑な形状、の測定を提供する。US2017/052024は、プロファイリングを、オブジェクトの特定の目に見えない詳細に関連付けることには関係していない。
【0018】
CN106323193は、サファイア結晶インゴットプロファイル測定装置及び対応する方法を開示する。その装置において、レーザーエミッターがレーザービームを放出し、当該レーザービームはレーザーセンサーによって検出される。サファイア結晶がレーザーエミッターとレーザーセンサーの間に配置される場合、レーザービームはサファイア結晶によって遮断され、レーザービームの幅はサファイア結晶の輪郭を算出するのに使用可能である。CN106323193の装置は、連続曲線で記述された周囲を持つ凸状結晶のプロファイルを記録することに限定される。
【0019】
単結晶材料を使用する際に単結晶材料の方位を知ることの重要性に照らして、単結晶材料における方位マーカーを単結晶材料の実際の方位と関連付けるための改善された方法が必要である。本発明は、この必要性に対処することを目的としている。
【発明の概要】
【0020】
本発明は、単結晶インゴットの縦方向方位マーキングの表面特性パラメーターを取得する方法に関し、当該方法は:縦方向中心軸を持つ円筒形状と、縦方向中心軸からの半径とを有する単結晶インゴットを提供するステップであって、当該半径は単結晶インゴットの表面を定め、単結晶インゴットは、単結晶インゴットの当該表面において縦方向方位マーキングを有し、縦方向方位マーキングは幅を有するステップと;単結晶インゴットを回転軸の周りで回転させるステップであって、当該回転軸は、縦方向中心軸と実質的に平行であり且つ縦方向中心軸からのオフセット値内に位置するステップと;単結晶インゴットの角度位置を記録するステップと;回転軸からの測定距離に位置する測定ポイントから前記角度位置での単結晶インゴットの表面までの距離を記録するステップと;対応する角度位置での前記角度位置及び前記距離を含むデータ配列を提供するステップと;データ配列から単結晶インゴットに関する背景形状を算出するステップと;前記距離を前記背景形状と比較して背景形状から逸脱する距離を特定するステップと;背景形状から逸脱する距離の角度位置と、対応する距離とを登録するステップと;背景形状から逸脱する距離及び対応する距離を有する連続する角度位置からの前記表面特性パラメーター及び前記幅を定めるステップと、を含む。
【0021】
別の態様において、発明は、方位マークされた単結晶インゴットを製造する方法に関し、当該方法は:
縦方向中心軸及び縦方向中心軸からの半径を有する円筒形状を持つ単結晶インゴットを提供するステップであって、前記半径は単結晶インゴットの表面を定めるステップと;単結晶インゴットの結晶方位を決定するステップと;結晶方位に基づく縦方向方位マーキングを単結晶インゴットの表面に適用して、方位マークされた単結晶を提供するステップであって、縦方向マーキングは幅を有するステップと;方位マークされた単結晶インゴットの表面特性パラメーターを以下の段階で取得するステップであって:方位マークされた単結晶インゴットを回転軸の周りで回転させる段階であって、前記回転軸は縦方向中心軸と実質的に平行であり、縦方向中心軸からのオフセット値内に位置する段階と;方位マークされた単結晶インゴットの角度位置を記録する段階と;回転軸から測定距離に位置する測定ポイントから、角度位置で方位マークされた単結晶インゴットの表面までの距離を記録する段階と;対応する角度位置での角度位置及び距離を含むデータ配列を提供する段階と;データ配列から、方位マークされた単結晶インゴットに関する背景形状を算出する段階と;前記距離を前記背景形状と比較して、前記背景形状から逸脱する距離を特定する段階と;背景形状から逸脱する距離の角度位置と対応する距離とを登録する段階と;背景形状から逸脱する距離及び対応する距離を有する連続する角度位置からの幅及び表面特性パラメーターを定める段階と、で方位マークされた単結晶インゴットの表面特性パラメーターを取得するステップと;方位マークされた単結晶インゴットに表面特性パラメーターでラベルを付与するステップと、を含む。その方法は、任意で、単結晶インゴットの表面を研いで、単結晶インゴットに半径方向寸法において実質的に円形の断面を提供するステップを含みうる。
【0022】
更なる態様において、発明はインゴットスキャナーシステムに関し、当該インゴットスキャナーシステムは、単結晶インゴットを回転させるための回転装置であって、回転軸を有する回転装置と;回転軸に向かって光を放射するための光源であって、回転軸から測定距離にある測定ポイントに配置される光源と;回転装置での単結晶インゴットの表面から反射及び/又は散乱された光を記録するための光検出器と;単結晶インゴットの角度位置と、当該角度位置で光検出器によって記録された光とを含むデータ配列を記憶するためのデータ記憶ユニットと;測定ポイントから単結晶インゴットの表面までの距離をデータ配列から算出するように構成されたデータ処理ユニットであって、算出された距離から単結晶インゴットに関する背景形状を算出するように且つ背景形状から逸脱する距離を特定するように更に構成されるデータ処理ユニットと、を備える。
【0023】
具体的な実施形態において、インゴットスキャナーシステムは、以下のステップで縦方向のマーキングを有する単結晶インゴットの表面における縦方向マーキングの表面特性パラメーターを取得するように構成され、前記ステップは、
単結晶インゴットを回転軸を中心に回転させるステップであって、前記回転軸は、単結晶インゴットの縦方向中心軸と実質的に平行であり且つ単結晶インゴットの縦方向中心軸からのオフセット値内に位置するステップと;単結晶インゴットの角度位置を記録するステップと;前記角度位置で、回転軸から測定距離に位置する測定ポイントから、単結晶インゴットの表面までの距離を記録するステップと;対応する角度位置での前記角度位置及び前記距離を含むデータ配列を提供するステップと;データ配列から単結晶インゴットに関する背景形状を算出するステップと;前記距離を前記背景形状と比較して、背景形状から逸脱する距離を特定するステップと;背景形状から逸脱する距離の角度位置と対応する距離を登録するステップと;背景形状から逸脱する距離及び対応する距離を有する連続する角度位置から表面特性パラメーターを定めるステップと、である。
【0024】
一般に、第1の態様の方法のすべての実施形態は、第2の態様の方法で使用されることができ、第2の態様の方法にも利用可能な特徴に関する第1の方法で得られる任意の利点は、第2の態様においても等しく関連する。同様に、発明のインゴットスキャナーシステムは、方法態様の任意の実施形態で使用されうる。前記方法におけるステップは、様々なデバイス、装置などを採用してもよく、あらゆるそのようなデバイス又は装置は、発明のインゴットスキャナーシステムに関連し、デバイス又は装置に関連して説明されるあらゆる利点は、発明のインゴットスキャナーシステムにも関連する。
【0025】
第1の態様において、発明の方法は、単結晶インゴットの縦方向方位マーキングの表面特性パラメーターを取得する。単結晶インゴットに関する情報を示すために縦方向マーキングが使用されてもよく、したがって単結晶インゴットの結晶方位に基づいて、関連性のある縦方向マーキングが単結晶インゴットの表面に適用される。「表面特性パラメーター」は、任意の縦方向マーキングに関連する任意のパラメーターでありうる。縦方向方位マーキングは少なくとも幅を有し、当該幅は、表面特性パラメーターとともにその方法で得られる。その幅はまた、本発明との関連において表面特性パラメーターと見なされうる。発明との関連において、「幅」は、縦方向中心軸に垂直な平面において定められる。ある縦方向マーキングは、また、縦方向マーキングの形状に関連するパラメーター及び深さを有する。例えば、縦方向マーキングはノッチであってもよく、ノッチに関し、表面特性パラメーターは、幅、深さ、及び曲率半径であってもよく、及び/又は、例えばU形状ノッチ(「Uノッチ」)に関し、真円度であってもよく、又は、例えばV形状ノッチ(「Vノッチ」)に関し、表面特性パラメーターは、幅、深さ、及び側壁角度であってもよい。また縦方向マーキングは平坦部であってもよい。平坦部は、縦方向中心軸に垂直な平面における割線の形状を有し、例えばシリコン単結晶インゴットの円形断面を有し、それによって平坦部が縦方向中心軸に垂直な平面において定められる幅を持つ。平坦部の表面特性パラメーターは、それが平坦部であることであってもよく、例えばそれが深さを持たないこと及び/又はそれがノッチでないことであってもよい。例えば、表面特性パラメーターは、ノッチを平坦部から区別することができる。単結晶インゴットは、複数の縦方向マーキングを有することができ、この場合、表面特性パラメーターはまた、2つの縦方向マーキング間の角度又は縦方向マーキング間の距離、例えばあるノッチの底部と他のノッチの底部との間の距離、を含んでもよい。
【0026】
一般に、単結晶インゴットは、単結晶インゴットの結晶方位を示す縦方向マーキングを有する。単結晶インゴットの結晶方位を示す縦方向マーキングは、第1縦方向マーキング又は「縦方向方位マーキング」と呼ばれうる。縦方向マーキングに関する表面特性パラメーターは、縦方向マーキングが縦方向マーキングであるかどうかに依存せず、本出願が「縦方向マーキング」に言及する場合、その用語は「縦方向マーキング」に置き換えられうるものであり、逆もまた同様である。
【0027】
発明の方法は、有利には、複数の表面特性パラメーター、例えば幅及び更なる表面特性パラメーター、が同時に測定されることができることを可能にする。特に、縦方向マーキングは方位マーキングであるため、その実際の方位に関して方位マーキングに関するより良い情報、例えば発明に従って製造される単結晶インゴットに関する情報、が、従来技術の方法に比べて、得られる。それにより、その方法は改善された公差を提供し、結晶方位が重要である場合に、単結晶インゴットのより低い拒絶率がエンドユーザに関して得られる。例として、発明によって、ノッチの深さ及び幅の両方が同時に測定される。従来技術の機器では、これには2つの測定が必要であり、1つは深さを測定するためのものであり、もう1つは幅を測定するためのものである。同様に、平坦部の幅が解析されることができ、同時に、平坦部がメジャー平坦部であるかマイナー平坦部であるかを決めることができ、関連性のその他の詳細が同時解析で明らかになる。
【0028】
単結晶であるため、単結晶インゴットは方位、すなわち結晶方位、を有し、それは単結晶材料のその後の使用にとって重要である。方位を有するあらゆる単結晶が発明に関連する。例えば、単結晶インゴットは、シリコン単結晶でありうる。単結晶インゴットの長さは自由に選択されてもよく、例えばシリコン単結晶に関し、その長さは典型的には最大200cmである。シリコン結晶インゴットは、発明の方法で解析する前に、より短い長さに切断されてもよく、4インチ結晶インゴットは、典型的には、最大40cmの長さを有し、8インチ結晶インゴットは、典型的には、最大30cmの長さを有する。発明との関連において、単結晶インゴット、特にシリコン単結晶インゴット、のサイズは、インチ(”)又はmmで示されてもよく;一般に、4インチは100mmに対応し、6インチは150mmに対応し、8インチは200mmに対応するなど、2つの値は同じ意味で使用可能である。シリコン単結晶は、例えば1mm以下の厚さを有するウエハにスライスされ、結晶方位の知見はすべてのウエハに関連するため、シリコン単結晶インゴットは通常、その全長に沿って方位マーキングを有する。
【0029】
単結晶インゴット、特にシリコン単結晶インゴット、は、複数の縦方向マーキングを有してもよい。単結晶インゴットが2つ以上の縦方向マーキングを有する場合、得られた情報、例えば2つ以上の縦方向マーキングの表面特性パラメーター、が結びつけられるので、発明による表面特性パラメーターを取得する方法は特に有利である。例えば、第1縦方向マーキングの表面特性パラメーターは、第2縦方向マーキングの表面特性パラメーターに結びつけられ、両方の表面特性パラメーターは、背景形状に結びつけられる。それにより、他の技術を使用して縦方向マーキングを解析する場合よりも、2つ以上の縦方向マーキングを備えた単結晶インゴットのより良い説明が利用可能である。
【0030】
単結晶インゴットは、単結晶インゴットの表面において縦方向マーキングを有する。発明との関連において、「表面における」という用語は、縦方向マーキングが表面に刻まれていてもよいこと、又は、縦方向マーキングが単結晶インゴットの表面に適用されてもよいことを意味する。
【0031】
測定ポイントから単結晶インゴットの表面までの距離は、発明の方法で記録される。発明との関連において、「距離」は単一の点として表されてもよく、あるいはその距離は、いくつかの点のマトリクスとして表されてもよい。例えば、例えば単一の値として示される角度である、角度位置に関する距離は、二次元マトリクスとして、一次元マトリクス、すなわち「線」として、又は単一の点として示されうる。線又はマトリクスのデータは典型的には、単一の角度位置に対応するが、線又はマトリクスでのデータは、例えば数mm又はcmの表面のセクションを表し、それによって線又はマトリクスを使用する場合、単結晶インゴットの表面における同じ点を、単一の点を使用する場合よりもより良好に説明しうる。例えば、その方法又はシステムは、放出ポイントからある角度で光を放出するレーザースキャナー、を採用してもよく、当該レーザースキャナーは線又はマトリクスで光を検出する。その距離が線として示される場合、線は典型的には、単結晶インゴットの側面にある。測定ポイントから角度位置での単結晶インゴットの表面までの距離は、発明の方法で記録される。測定ポイントと単結晶インゴットの表面との間の距離は、必要に応じて任意の方法を使用して取得されてもよい。複数の測定ポイントを採用することも可能であり、単結晶インゴットの表面までの距離は各測定ポイントに関して記録されてもよい。同様に、得られたデータは、必要に応じて任意の方法及び適切な装置を使用して記録されてもよい。発明との関連において、角度位置に関する距離を取得及び記録することは、「スキャン」と呼ばれることもあり、そのためその方法において、単結晶インゴットの表面が「スキャン」される。それに応じて、距離を取得するための装置は、「スキャナー」と呼ばれることがある。データは、典型的には、デジタルである。一般に、スキャナーはデータを格納してもよく、又はそのデータはコンピュータなどに転送されてもよい。データ転送は、任意のプロトコルを介していてもよく、例えばケーブル又はワイヤレス接続を介していてもよい。
【0032】
好ましい実施形態において、インゴットスキャナーシステムはまた、単結晶インゴットの粗さを特徴付けるために使用され、同様に、その方法は、単結晶インゴットの粗さを特徴付けてもよい。粗さは、表面が非の打ちどころのない表面からどれだけずれているかを表す表面パラメーターである。粗さは、横方向の粗さに関するラインスキャンを使用するか、軸方向の粗さに関する垂直ステージを使用してスキャナーを移動させることによって、測定されることができる。
【0033】
好ましい実施形態において、光が回転軸に向かって適用され、単結晶インゴット、例えば回転する単結晶インゴット、の表面からの反射された及び/又は散乱された光が記録され、距離の算出に使用される。光源は放出ポイントにおいて配置されてもよく、当該放出ポイントは、測定ポイントと同じであってもよいし、測定ポイントとは異なっていてもよい。放出ポイントが測定ポイントと異なる場合、放出ポイントから回転軸までの距離を放出距離と呼んでもよい。放出距離は、測定距離と同じでもよいし、測定距離とは異なっていてもよい。測定ポイント及び/又は放出ポイントから単結晶インゴットの表面までの距離は、典型的には、10mmから100mmの範囲である。測定ポイント及び/又は放出ポイントから単結晶インゴットの表面までの距離は、採用されるスキャナー技術に依存しうる。光を使用して距離を測定する場合、スキャナーは「光学スキャナー」と呼ばれることがある。任意の光源を使用することができるが、光が波長の狭い分布を有すること、例えば光が単色であること、が好ましい。光源は、光エミッターと呼ばれることもある。具体的な実施形態において、光はレーザー光であり、例えばレーザーダイオードである。それに応じて、反射光及び/又は散乱光は、必要に応じて任意の方法及び装置を使用して記録されうる。例えば、その反射及び/又は散乱は、任意の検出器を使用して記録されてもよい。レーザー光源と、レーザー光、すなわち反射されたレーザー光、のための検出器、は、まとめて「レーザースキャナー」と呼ばれることがある。その方法が距離を記録するために光を使用する場合、任意の追加の光学要素が使用されてもよい。適切な光学要素は、レンズ、回折格子、及びミラーを含む。別の実施形態において、測定ポイントから単結晶インゴットの表面までの距離は、距離の触覚測定を要する。距離を測定する方法に関係なく、データ配列に含まれる距離は、測定ポイントから回転軸に向かう方向の距離とすべきである。
【0034】
単結晶インゴットは円筒形状を有し、当該円筒形状は、縦方向中心軸と、縦方向中心軸からの半径とを有する。単結晶インゴットは円形の断面を有することに限定されず、それは円形の断面から逸脱した断面を有していてもよいことが理解される。その方法で採用される計算は、断面の実際の形状、すなわち方位マーキングのない単結晶インゴットの断面形状、が背景形状として決定され、その計算は、周囲を連続曲線により表すことができる任意の断面に関して、有効であることを提供する。発明との関連において、「連続的」という用語は、曲線が単一の数学関数で記述されうることを意味する。連続した周囲は、「滑らかな」と表現されてもよく、2つの用語は同じ意味で使用されてもよい。単結晶インゴットの断面形状は、典型的には、凸状である。発明との関連において、「凸状」という用語は、背景形状内の任意の2点間の直線が背景形状の表面を横断しないことを意味する。縦方向方位マーキング、例えばノッチ、は、背景形状の凸形状から逸脱した形状を表してもよいが、縦方向方位マーキングは、凸状背景形状の周囲の連続曲線から逸脱する。したがって、背景形状からの逸脱は、連続曲線として記述可能な任意の周囲に関して特定されることができる。例えば、単結晶インゴットは、卵形(oval)の断面、又は楕円として記述されることができる断面を有していてもよく、卵形又は楕円形の断面を有する単結晶インゴットはまた、表面特性パラメーターを取得するために、発明の方法において処理されてもよい。
【0035】
背景形状、特に円形単結晶インゴットの直径、は、発明の方法で決定される。従来技術方法では、円形単結晶インゴットの直径は、通常、マイクロメートルのスクリューゲージを使用して記録される。しかしながら、測定値は、機器を操作するオペレーターのスキルに対して非常に敏感である。その周囲の最も広い点に配置されていない場合、小さすぎる直径が測定される。測定値は、ネジを締めるのに使用される力に敏感である。対照的に、発明の方法に関して、測定の不確かさは0.01mmまで低く、誤った測定のリスクがない。したがって、単結晶インゴットが半径方向寸法において実質的に円形の断面を有する場合、単結晶インゴットの直径の決定の不確実性は、従来技術方法を使用して直径を記録することと比較して低減される。さらに、発明の方法はまた、円形断面からの逸脱に関する情報を提供する。
【0036】
縦方向中心軸は、縦方向中心軸に垂直な平面の重心に位置する。円形断面を有する単結晶インゴットに関し、重心は、縦方向中心軸に垂直な平面における単結晶インゴットの表面から等距離にあるポイントである。
【0037】
単結晶インゴットは回転軸の周りを回転され、当該回転軸は、縦方向中心軸と実質的に平行であり、縦方向中心軸からのオフセット値内に位置する。回転軸が縦方向中心軸に近いほど、背景形状を決定するための計算が簡単になり、さらに、測定ポイントから単結晶インゴットの表面までの距離の決定の不確実性が低くなる。特に、オフセット値が低いほど、背景形状から逸脱すると判断される距離の不確実性が低くなる。したがって、オフセット値が低いほど、単結晶インゴットとその方位マーキング、及び対応する表面特性パラメーターの説明が良好になる。オフセット値は5mm以下、例えば2mm以下、例えば0.5mm以下、であることが好ましい。
【0038】
表面特性パラメーターを取得する方法は、単結晶インゴットの角度位置を記録し、回転軸から測定距離にある測定ポイントから、前記角度位置での単結晶インゴットの表面までの距離を記録することを含む。測定ポイントは回転する単結晶インゴットと比較して一定の位置にあるため、記録された距離は回転する単結晶インゴットの表面を表す。それにより、単結晶インゴットに関し、角度位置及び対応する角度位置での距離を含むデータ配列が得られる。したがって、単結晶インゴットが360°回転すると、単結晶インゴットの平面の全面がデータ配列に含まれる。データ配列におけるデータは、単結晶インゴットに関する背景形状を算出するために使用される。したがって、データ配列は、単結晶インゴットの断面に関する知見を提供する。背景形状は、データ配列に含まれうる。例えば、データ配列は、例えば円形、楕円形などの断面形状、及び、例えば直径、短軸及び長軸などの対応する断面形状を定めるパラメーターに関する情報を含んでもよい。
【0039】
単結晶インゴットの360°回転から得られるデータ配列は、背景形状が決定されること及びその結果、背景形状から逸脱するデータポイントを特定することも可能にする情報を含む。背景形状は、方位マーキングのない単結晶インゴットの断面形状に対応し、したがって、断面形状は、特定の背景形状に対応する距離の連続するグループ、すなわち連続する角度位置の距離、から決められる。同様に、特定の背景形状から逸脱する距離の連続するグループは、方位マーキングを表す。背景形状から逸脱する距離は、それらが一連の連続する角度位置において他の逸脱する距離でグループ化できない場合、一般には、外れ値として破棄可能である。データポイントが「背景」又は「マーキング」として分類されると、対応する角度位置のデータ配列におけるデータポイントは、それに応じてラベルが付与される。
【0040】
背景形状が決まったら、例えば発明の方法で単結晶インゴットが360°回転させられた場合、オフセット値が決められてもよい。したがって、また背景形状の計算がオフセット値を決定する。オフセット値を決定することにより、発明の方法は、方法で得られた表面特性パラメーターの不確実性に関する情報を提供する。オフセット値は典型的には、単結晶インゴットに関するデータ配列に含まれる。
【0041】
背景形状及びそれに伴うオフセット値の計算は、オフセット値を最小化するために単結晶インゴットを再配置する方法に関する情報をオペレーターに提供する。特定の実施形態において、その方法は、オフセット値を最小化するように単結晶インゴットを再配置するステップを含む。オフセット値が最小化されたら、その方法は、より小さいオフセット値を有する位置に配置される単結晶インゴットによって、繰り返される必要がある。したがって、単結晶インゴットを再配置した後、その方法は最初からやり直されて、より低いオフセット値で改善されたデータ配列と、表面特性パラメーターに関する対応のより低い不確実性と、を提供することができる。オフセット値を最小化するように単結晶インゴットを再配置してその方法を繰り返す又は継続することによって、表面特性パラメーターの不確実さが改善されて、単結晶インゴットの値及びそれによる例えばシリコン単結晶インゴットからのウエハなどのセクションの値も、単結晶インゴットのそのセクションのエンドユーザに対して改善される。
【0042】
背景形状は、単結晶インゴットの一般的な形状の知見に基づいて決められてもよい。例えば、オペレーターは、その方法を実行する前に、解析のための単結晶インゴットが円形又は楕円形などの断面を有することを認識し、この情報は、背景形状の決定を支援するために使用されてもよい。単結晶インゴットの一般的な形状を事前に示すことで、この情報がない場合よりも迅速に、背景形状を決定できる。特に、一般的な背景形状の事前知見によってデータ配列が得られる場合、実際の背景形状は、例えば単結晶インゴットの180°などの単結晶インゴットのより小さなセクションを解析することによって決定されることができる。
【0043】
その方法は、任意の数の角度位置関し、特に360°回転内に分布する任意の数の角度位置に関し、距離を記録してもよい。一実施形態において、単結晶インゴットは360°回転され、距離は、0.06°から36°の範囲の角度で離間された角度位置に関して記録される。角度位置間の角度は、360°の回転で同じであっても、異なっていてもよい。発明との関連において、0.06°から36°の範囲の角度で間隔をあけられた角度位置は、「低解像度スキャン」と呼ばれる。例えば、低解像度スキャンに関するデータ配列は、最大6000の角度位置に関するデータを含みうる。例えば360°回転にわたる低解像度スキャンは背景形状を決定するのに十分である。特定の実施形態において、背景形状は最初の低解像度スキャンで決定され、その後、より高い解像度でのスキャンが続いてもよい。
【0044】
単結晶インゴットは、必要に応じて任意の方法を使用して回転させられてもよい。発明との関連において、単結晶インゴット及び例えばスキャナーなどの距離を記録するための装置は回転軸を中心に互いに対して移動されることが理解される。したがって、単結晶インゴットが回転させられてもよいし、スキャナーが回転させられてもよいが、どちらの場合も回転は回転軸を中心とする。単結晶インゴットの回転の速度は自由に選択されうる。例えば、単結晶インゴットは、0.06°/s~72°/sの範囲の速度で、例えば1°/s、2°/s、4°/s、10°/s又は20°/s、50°/sで、例えば150mm直径のシリコン単結晶インゴットに関して約6°/sで、回転させられてもよい。一般に、150mm又は200mmの直径の単結晶インゴットなどのより大きな単結晶インゴットについては、より遅い回転速度が好ましく、100mm以下の直径の単結晶インゴットなどのより小さなインゴットについては、より速い回転速度が好ましい。回転方向は時計回り又は反時計回りであってもよい。その方法は、時計回り又は反時計回りの回転の組み合わせを使用することも可能である。例えば、単結晶インゴットはある角度にわたって時計回りに回転させられてもよく、回転方向は、その後、逆にされて反時計回りであってもよい。データポイントは、どちらかの一方の回転方向又は両方の回転方向で記録されてもよい。例えば回転ステージなどの任意の回転装置が、その方法で使用されてもよい。回転装置は、必要に応じて任意の方法を使用して回転させられてもよい。好ましい実施形態において、回転装置は、ステッピングモーターを有する回転ステージである。ステッピングモーターは、他の駆動部と比べて角度位置の不確実性を低減し、それによって、それに応じて、その方法において解析された単結晶インゴットに関する表面特性パラメーターの決定を改善する。好ましい実施形態において、回転ステージには、エンコーダなしのモーターと比較して角度値のより高い精度のためにエンコーダが装備される。
【0045】
一実施形態において、その方法は、単結晶インゴットに対して縦方向に測定ポイントを移動させるステップを更に含む。したがって、スキャナー及び/又は単結晶インゴットは移動させられてもよい。例えば、インゴットスキャナーシステムは、単結晶インゴットを持ち上げるための装置を含んでもよく、又は昇降装置が、スキャナーを持ち上げ及び/又は下降させてもよい。単結晶インゴットに対して測定ポイントを移動させることにより、表面特性パラメーターを拡張して、単結晶インゴットの縦方向の情報も含めることが可能である。したがって、例えば、表面特性パラメーターは、単結晶インゴットの長さに沿ったいくつかの位置での縦方向マーキングに関する情報を含んでもよく、それは同じデータ配列に含まれうるものであり、それにより、エンドユーザに更なる知見を提供し、単一箇所での縦方向マーキングを解析することに比べて改善された公差を提供する。例えば、スキャナー及び/又は単結晶インゴットを互いに対して縦方向に移動させることにより、縦方向マーキングが単結晶インゴットの縦方向中心軸からずれているかどうかを又は縦方向マーキングが縦方向マーキングの長さにわたってずれているかどうかを決めることが可能である。
【0046】
特定の実施形態において、持ち上げ装置はまた、単結晶インゴットに対して横方向平面においてスキャナーを動かしてもよい。それにより、測定距離を変えることができるため、同じ表面特性パラメーターをスキャナーの異なる設定で解析して、データをさらに改善することができる。単結晶インゴットを持ち上げるための装置はまた、例えばオフセット値を下げるために単結晶インゴットをリフォーカスするように、単結晶インゴットを側面において動かしてもよい。
【0047】
一般に、記録された距離は、データ配列が記録される際にデータ配列に追加されるので、その方法は、背景形状を決定するのに十分なデータがいつ得られたかを示してもよい。例えば、一般的な背景形状の事前の知見とともにその方法を実施する場合、単結晶インゴットを180°回転させた後に背景形状が得られてもよい。データを取得しながら360°を超えてその回転を続けることにより、同じ角度位置に関して複数のデータポイントを記録することで、背景形状の決定を改善することができる。
【0048】
背景形状が決定されると、特定の背景形状から逸脱する距離の連続したグループが、縦方向マーキングの角度位置を示す。概して、発明の方法は、最初のスキャンで、例えば単結晶インゴットの360°又は一部分にわたる低解像度スキャンを使用して、背景形状を決定する。縦方向マーキングの角度位置は、最初のスキャンで見つけられる。いつでも、回転方向が逆にされ、単結晶インゴットが回転して、スキャナーが、縦方向マーキングとして識別される角度位置で、単結晶インゴットの表面を(再)解析できるようにしてもよい。したがって、発明の方法は、連続する角度位置を識別した後に、より高い解像度で表面特性パラメーターの連続する角度位置を再解析するステップをさらに含みうる。再解析は、最初の解析におけるのと同じスキャナーを使用して又は別のスキャナーを使用して、行われてもよい。表面特性パラメーターの連続する角度位置が特定されると、再解析は、典型的には、特定される縦方向マーキングの、少なくとも5つの角度位置、例えば少なくとも10箇所の角度位置、少なくとも50箇所の角度位置、又は少なくとも100箇所の角度位置、に関する距離を記録する。最初に単結晶インゴットの背景形状を算出して最初のスキャンから縦方向マーキングの位置を見いだし、その後に縦方向マーキングを再解析して表面特性パラメーターを取得することにより、フル高解像度スキャンを実行するよりもはるかに高速なプロセスが提供される。さらに、最初のスキャンは、例えば1以上の縦方向マーキングの相対位置に関し、縦方向マーキングの位置のみの解析によっては、例えば手動でスキャナーを位置付けて縦方向マーキングを解析することによっては、提供されない追加情報を提供する。したがって、特に最初のスキャンは単結晶インゴットの360°にわたるものになる。
【0049】
一実施形態において、単結晶インゴットの表面は、低解像度での最初のスキャンで解析され、その後、縦方向マーキングに対応する角度位置が、例えばより高い解像度で、再スキャンされる。特に、縦方向マーキングは、低解像度スキャンで識別されうるものであり、スキャナーは、縦方向マーキングに対応する識別された角度位置に再配置されうる。そして、縦方向マーキングはより高い解像度でスキャンされてもよい。例えば、単結晶インゴットの回転は、背景形状から逸脱する距離を有する角度位置で停止されてもよく、測定ポイントから単結晶インゴットの表面までの距離は、単結晶インゴットを回転させることなくその角度位置で記録される。低解像度及び高解像度でのスキャンは同じスキャナーを使用して実行されてもよく、低解像度スキャンに関するものとは異なるスキャナーが高解像度スキャンに関して使用されてもよい。その方法が高解像度スキャンを含む場合、好ましくは、単結晶インゴットを回転させずに高解像度スキャンが得られる。回転を停止して高解像度スキャンを記録することにより、例えば高解像度スキャンの解像度などのデータ品質が、単結晶インゴットが回転しつつ行われるスキャンと比べ、概して改善される。特に、単結晶インゴットが回転していない場合、角度位置の不確実性は低くなる。好ましい実施形態において、取得時間はインゴットの回転に比べて速く、そのため、移動するサンプルからの攪乱は無視できる。したがって、実際に動作を停止させることなく、高解像度のスキャンを取得することが可能である。
【0050】
特に高解像度スキャンを実行するための、好ましいスキャナーは、レーザー源及び適切な検出器を有するレーザースキャナーである。レーザースキャナーは、典型的には、単結晶インゴットの表面に向かって5°から30°の範囲の開口角で放射される400nmから700nmの範囲の波長のレーザー光、例えば405nmのレーザー(青色レーザー)又は658nmのレーザー(赤色レーザー)、を提供する。レーザー光のエミッター、すなわち放出ポイント、から単結晶インゴットの表面までの距離は、例えばレーザー光の波長及び開口各によって定められるような、個別のレーザースキャナーに依存しうるが、一般的には、それは20mmから100mmの範囲である。同様に、単結晶インゴットの表面から測定ポイントまでの距離も、個別のレーザースキャナーに依存しうる。レーザースキャナーは、例えば測定ポイントにおいて、単結晶インゴットの表面から反射及び/又は散乱されたレーザー光を検出するための検出器を有する検出器は、複数のポイントを、例えば同時に、記録してもよい。複数のポイントは、例えば、500から5000、例えば1000から2000、の範囲であってもよいが、これらの範囲外の他の数値も可能である。それにより、レーザースキャナーは、1μmから10μmの範囲の公称横方向解像度を有しうる。一般に、波長が短いほど、検出器の解像度が向上し、それによってレーザースキャナーの解像度が向上する。例示的なレーザースキャナーは、Micro-Epsilon Messtechnik GmbH&Coによって販売されている。KG、Ortenburg、ドイツ、例えばシリーズ名ModelsLLT 2900(https://www.micro-epsilon.co.uk/2D_3D/laser-scanner/model-overview/?select=A_LLT_2600-25)で販売されているレーザースキャナー。レーザースキャナーは当業者によく知られている。高解像度レーザースキャナーは、ラインアレイなどのポイントのマトリクスを同時に記録することができ、又は、高解像度レーザースキャナーは、一度に単一ポイントを記録することができる。単一のポイントは、例えば2~100の値、例えば10の値、という複数の値の平均をとって、或いは、例えば2~100の値、例えば10の値、という複数の値の中央値をとって、単一値を格納することによって得られうる。単一ポイントの記録は、背景形状をすばやく識別するために低解像度スキャンで使用可能であり、そして同じレーザースキャナーが高解像度スキャナーとして使用されて、縦方向マーキングを表すように示された位置でマトリクスを記録することができる。
【0051】
高解像度スキャン、特に単結晶インゴットが回転していない場合に得られる高解像度スキャン、は、ノッチの解析に特に役立つ。ノッチは一般に平坦部よりも複雑であるため、平坦部と比較してノッチにはより多くの情報が含まれる。例えば、平坦部は主に単結晶インゴットにおけるその位置とその幅で表される。発明のその方法において、平坦部は、回転に対する「開始ポイント」から検出されて、それにより角度位置は開始ポイントに対応し、同様に、平坦部は、また単結晶インゴットの回転時に検出される「終了ポイント」を有し、終了ポイントは対応の角度位置を有する。メジャー平坦部の幅は、典型的には、150mmの単結晶インゴットに関して最大70mmであるが、より小さな単結晶インゴットに関しては、メジャー平坦部の幅は、通常より小さくなり、例えば50mmから60mm以下の範囲であり、例えば4インチの単結晶インゴットに関しては約25mmから35mmである。発明のその方法は、従来技術の方法と比較して表面特性パラメーターの改善された描写により、より小さな平坦部が使用されることを可能にし、それにより、発明のその方法は、単結晶インゴットから除去する必要のある材料がより少なくなることを提供する。
【0052】
対照的に、ノッチは、開始ポイント、終了ポイント及び対応する幅に加えて、形状及び深さも有する。平坦部と比較したノッチのより小さな寸法のために、従来技術の方法を使用したノッチの正確な決定は、平坦部の位置の決定よりも難しく、更に、ノッチのとりわけ形状だけではなく深さも、従来術の方法によっては、本方法において利用可能なものと同じ精度では決定できない。
【0053】
発明の一実施形態において、表面特性パラメーターは、縦方向マーキングに関する詳細を含む。平坦部に関し、これらの詳細は、通常、開始ポイント及び終了ポイントを含み、それによって単結晶インゴットの結晶方位に対する平坦部の位置及び平坦部の幅も含む。ノッチに関し、その詳細は、通常、開始ポイント及び終了ポイントを含み、それによって単結晶インゴットの結晶方位に対するノッチの位置及びノッチの幅も含み、ノッチに関して、表面特性パラメーターは、形状を更に含みうるものであり、例えばノッチがV形状又はU形状を有する場合にはその深さ及び幅を含みうる。具体的には、U字形のノッチに関しては、その半径及び真円度が決定されうるものであり、V字形のノッチに関しては、側壁角度が決定されうる。ノッチ及び平坦部は、シリコン単結晶インゴットに特に関係がある。ノッチの幅は、典型的には、1mmから8mmの範囲、例えば2mmから4mmの範囲、である。ノッチの深さは、典型的には、0.5mmから3mmの範囲である。例えば150mm、200mm又は300mmの直径を有する、典型的なシリコン単結晶インゴットに関しては、シリコン単結晶インゴットの外周と比較したノッチの幅も、角度として表すことができる。ノッチの「角度」は、ノッチの表面特性パラメーターを取得するための最適な解像度を示す。特定の実施形態において、縦方向マーキングがノッチであり、単結晶インゴットの背景形状は、ノッチの位置が決定される低解像度スキャンで決定される。背景形状から逸脱する距離、したがってノッチを表す距離、に対応する角度位置を特定した後、ノッチの「角度」における少なくとも5つの角度位置の距離を記録することによって、ノッチの角度位置が再解析される。同じアプローチは、ノッチ以外の縦方向マーキング、特に単結晶インゴットの表面における小さな「角度」のみを占める縦方向マーキング、に関しても使用されうるものであり、同様に、このアプローチはシリコン単結晶インゴットには限定されない。
【0054】
発明のその方法が、単結晶インゴットの表面からの反射/散乱を測定する例えばレーザースキャナーなどのスキャナーを使用する場合、ノッチの深さを測定することに関する測定の不確かさは、従来技術のボールヘッドスタイラス測定の0.01mmのオーダーでの測定の不確かさと比較して、0.005mmまで下がりうる。同様に、発明のその方法は、ノッチの幅を取得するためのはるかに改善された不確実性を提供し、それにより、従来技術において行われるような拡大鏡と組み合わされる目盛りスケールを使用した場合の0.1mmの不確かさに比べ、例えばレーザースキャナーを使用して幅が取得される場合に、測定の不確かさは0.01mmに下がる。さらに、従来技術は、記録が実際に直径であると決定するために目による判断を必要とするが、発明の方法では、これは必要ではない。発明の方法に従って作られた単結晶インゴットに、縦方向マーキングの一例として、ノッチを適用する場合、ノッチの幅は、典型的には、所定の値、例えば2.80mm、を有し、それは発明による方法によって、±0.20mmの許容誤差で準備されることができる。その幅の所定の値は、単結晶インゴットに関するラベルにおける表面特性パラメーターとして示されうるものであり、発明の方法で得られるものとしてノッチの実際の幅もラベルに含まれる。
【0055】
さらに、光の反射/散乱を測定する場合、サンプルを損傷するリスクがなく、それにより誤った測定値を記録するリスクがない。発明の方法に従って製造された単結晶インゴットに、縦方向マーキングの一例として、ノッチが適用される場合、ノッチの深さは、典型的には、所定の値、例えば1.25mm、を有し、それは±0.15mmの公差で発明によって準備されることができる。その深さの所定の値は、単結晶インゴットに関するラベルにおける表面特性パラメーターとして示されうるものであり、発明の方法で得られたものとして、ノッチの実際の深さもまた、ラベルに含まれる。
【0056】
発明の方法はまた、Vノッチの側壁角度及びUノッチの曲率半径を取得しうる。従来技術の方法では、これらの表面特性パラメーターは、典型的には、ノッチが、それによってその断面が、露出している単結晶インゴットの端部でのみ記録されることができる。対照的に、発明の方法は、これらの表面特性パラメーターが単結晶インゴットに沿ったいくつかの場所で得られることを可能にする。側壁間の角度は、通常、1°のオーダーの不確実性で従来技術の方法において記録される。曲率半径は、通常、0.1mmのオーダーの不確実性で、従来技術の方法において記録される。発明の方法におけるレーザースキャナーによって、側壁間の角度は、0.1°まで低下した不確実性で測定されうる。同様に、発明の方法におけるレーザースキャナーを使用する場合、曲率半径の測定の不確かさは、0.005mmまで下がる。側壁間の角度と曲率半径の両方について、インゴットのすべての位置で測定を実行できる。発明に従って製造された単結晶インゴットがVノッチでマークされる場合、側壁間の角度は、典型的には、所定の値を有するであろう。例えば、側壁角度の所定の値は90°としうるものであり、それは、本発明に従って、+5°~-1°の許容誤差で準備されることができる。発明に従って製造された単結晶インゴットがUノッチでマークされる場合、曲率半径は所定の値を有するであろう。例えば、曲率半径の所定の値は1.50mmとしうるものであり、それは、0.05mmの許容誤差で提供されることができる。
【0057】
発明の方法はまた、単結晶インゴット上の縦方向マーキングとして平坦部の改善された測定を提供する。その方法、例えばレーザースキャナー、で光の反射/散乱を使用する場合、測定の不確かさは、従来技術で使用されるスライドキャリパー又は定規に関する0.1 mmと比較して、典型的には0.01mmまで低くなる。さらに、従来技術の方法で要求されるような、目による平坦部の幅の正しい測定位置の決定によって引き起こされる不確実性は、目による決定が必要ないので、本発明の方法では回避される。平坦部は、発明の方法で準備される単結晶インゴットに関して所定の値を有するであろう。例えば、メジャー平坦部は、2.5mmの公差で、52.5mmの幅を有しうる。
【0058】
典型的には、従来技術の方法に従って縦方向マーキング間の角度を記録するためにデジタル分度器を使用することは、0.5°未満の測定の不確かさを提供することができない。発明の方法でデータ配列から縦方向マーキング間の角度を算出することにより、不確実性を0.05°まで下げることができる。発明の方法で2つ以上の縦方向マーキングを有する単結晶インゴットを製造する場合、縦方向マーキング間の角度は所定の値となる。その角度の典型的な値は45°及び90°であるが、実際の角度に関係なく、発明の方法は、±2.5°の許容範囲内で縦方向マーキングの配置を可能にする。
【0059】
したがって、単結晶インゴットの縦方向マーキングの表面特性パラメーターを取得する方法は、従来技術の方法を使用して表面特性パラメーターを取得するのと比較して、不確実性を10倍改善して得られる表面特性パラメーターを提供することができる。
【0060】
発明の方法で準備される単結晶インゴットに関して含まれるラベルは、縦方向マーキングの所定の値、及び、得られた表面特性パラメーター、例えばノッチの幅、深さ及びその他の表面特性パラメーター、平坦部の幅、及び取得された値と対応する公差、を含みうる。
【0061】
シリコン単結晶インゴットは、チョクラルスキープロセス(Czochralski process)やフロートゾーン法(float-zone method)などの様々な方法を使用して製造できる。単結晶インゴットは、結晶直径と製造方法に応じて、通常、50cmから200cmの長さを有し、数kgから数百kg(100kg、200kg、300kgなど)の範囲の重量を有する。典型的な結晶直径は、2インチ、3インチ、4インチ、5インチ、6インチ(150m)、8インチ(200mm)、12インチ(300mm)、又は18インチ(450mm)である。成長した結晶は、その結晶が後の処理ステップで粉砕されるため、典型的には、ターゲットの直径より)数mm大きい。シリコン以外の材料(GaAs、InAs、InPなど)からの単結晶インゴットは、同様の処理方法を使用して製造できる。発明のシリコン単結晶インゴットを準備する方法はまた、シリコン単結晶インゴットからウエハをスライスするステップを含みうる。発明に従って準備されたシリコン単結晶インゴットからスライスされたウエハが範囲内にある。
【0062】
大きな単結晶インゴットは、1cmから80cmの範囲、例えば10cmから60cmの範囲、における典型的な長さを有するより小さな単結晶インゴットに切断される。
【0063】
単結晶インゴットは、滑らかで均一な表面を持つように研磨される。研磨後、縦方向方位マーキングを単結晶インゴットに刻んで結晶方位をマークすることができる。マーキングの方位は、更なる処理ステップに関して重要である。マークは典型的には、平坦部又はノッチである。1つ又は複数のマークを結晶に刻むことができる。2つの平坦部がある場合、典型的には、一方が他方よりも大きく、それらは「メジャー平坦部」及び「マイナー平坦部」と呼ばれる。マークは、平坦部及びノッチの両方で構成することもできる。マークは、後続の処理ステップでのアラインメントを改善するためにも使用可能である。
【0064】
平坦部幅は結晶直径に依存する。6インチの単結晶インゴットに関して、平坦部の典型的な幅は10mmから70mmの範囲である。インゴットに複数の平坦部が定められる場合、1つは典型的には50mmから60mmなどの上限範囲にあり、他方は20mmから30mmなどの他の下限範囲にある。より大きな及びより小さなインゴットの直径に関し、対応するように方位平坦部のサイズが変わる。
【0065】
2つ以上の縦方向マーキングによって、後続の縦方向マーキングは、典型的には、第1縦方向マーキングに対して配置される。一例として、マイナー平坦部は、メジャー平坦部に対して45°、90°、又は180°などに配置することができる。一例として、2つのノッチは、互いに対して45°、90°、又は180°に配置することができる。一例として、1つ又は複数のノッチは、平坦部に対して45°、90°、又は180°に配置することができる。
【0066】
マークの付いたインゴットは、典型的には300μmから1000μmの範囲の厚さを有する、複数のウエハ、薄い単結晶ディスク、に切断可能である。インゴットに刻まれた縦方向マーキングは、個々のウエハにも存在する。したがって、インゴットにおけるマークの幾何学的形状は、ウエハにおけるマークの幾何学的形状にとって重要である。ただし、ウエハが、それらが単結晶インゴットから切り出された後に、研削及び研磨されるため、縦方向マーキングは必ずしも同一ではない。
【0067】
単結晶インゴットの結晶方位に対する縦方向マーキングの位置は、一般に角度として表される。特定の実施形態において、単結晶インゴット、特にシリコン単結晶インゴット、は、2つの縦方向マーキングを有し、当該縦方向マーキングにおいて第1の方位マーキングは単結晶インゴットの結晶方位を示し、第2縦方向マーキングは単結晶インゴットの個別のタイプ、例えばシリコン単結晶インゴットのドーピングタイプ、を示す。したがって、単結晶インゴットが2つの縦方向マーキングを含む場合、両方が平坦部であってもよいし、両方がノッチであってもよいし、又は縦方向マーキングが平坦部及びノッチの両方であってもよい。第1の方位マーキングは、例えば{100}、{110}、又は{111}などの結晶方位を示し、結晶方位に対して配置され、第2の縦方向マーキングは第1の方位マーキングに対して配置される。
【0068】
表面特性パラメーターを取得する方法は、単結晶インゴットの結晶方位を決定するステップを含んでもよく、方位マークされた単結晶インゴットを製造する方法は、単結晶インゴットの結晶方位を決めるステップを含む。結晶方位を決めるために任意の方法を採用しうる。結晶方位は、好ましくは、例えばX線ゴニオメーターによって、X線結晶学を使用して決定される。X線結晶学は当業者によく知られている。
【0069】
結晶方位の決定は、シリコン単結晶インゴットに関して特に関係がある。単結晶インゴットの表面において縦方向マーキングを有する単結晶インゴットに関して表面特性パラメーターが得られる場合、その決定から与えられる情報がデータ配列に含まれる。それにより、データ配列は、縦方向方位マーキングに関する情報に加えて、決定された結晶方位に関する情報を含み、そのため、その単結晶が、それに応じて解析された単結晶インゴットに比べて、改善された許容範囲を有するので、より高い値の表面特性パラメーターを単結晶インゴットのエンドユーザに与える。縦方向方位マーキングを有する単結晶インゴットの表面における他の縦方向マーキングについても同じ所見が当てはまる。改善された公差のために、エンドユーザの最終製品、つまり単結晶インゴットから製造された最終製品、は、より低い不良率を有する。シリコン単結晶インゴットの価格は直径が大きくなるにつれて上昇するため、より低い不良率は、直径の大きいシリコン単結晶インゴットに関して特に関係がある。例えば、発明の方法において、直径が150mm以上又は200mm以上のFZシリコン単結晶インゴット及び直径300mm以上のCZシリコン単結晶インゴットを用いてX線結晶学を使用することは、特に価値がある。発明の一実施形態において、単結晶インゴットは、150mm以上、例えば200mm、の直径を有するFZシリコン単結晶インゴットである。発明の別の実施形態において、単結晶インゴットは、300mm以上の直径を有するCZシリコン単結晶インゴットである。
【0070】
結晶方位の決定は、発明の方位マークされた単結晶インゴットを製造する方法で使用される。結晶方位は、結晶方位に基づく縦方向方位マーキングの適用の前に決定されるが、結晶方位のその後の解析もその方法に含まれうる。結晶方位を決定すること、方位マークを適用すること、及び表面特性パラメーターを得ることの組み合わせは、単結晶インゴットのエンドユーザにとって最適な単結晶インゴットを提供し、それは、例えばノッチに関しては例えば深さ及び幅など、Uノッチに関しては更に半径及び真円度、Vノッチに関しては側壁間の角度、また2つ以上の縦方向マーキングが望まれる場合には更にノッチ対ノッチ角度、並列性ノッチ対メジャー平坦部、メジャー平坦部対ノッチ角度、平坦部対平坦部角度、等の具体的な詳細について、エンドユーザの固有のニーズに応じた方位マークが単結晶インゴットに付いているからである。例えば縦方向マーキングが従来技術の方法を使用することで表される場合に、結晶方位を決定すること、及び、発明による表面特性パラメーターの取得を行うことなく縦方向マーキングを適用することによっては、単結晶インゴットの同じ品質は達成しえない。発明の方法は、有利には、同じ単結晶インゴットに関する複数の縦方向マーキングの測定を可能にする。したがって、2つ以上の縦方向マーキングを同時に測定することができるので、縦方向マーキングに関する情報は、同じデータ配列にあり、2つ以上の縦方向マーキングの相対的位置に関する改善されたデータ、例えばそれらの間の角度、が取得される。
【0071】
150mm以上、例えば200mm以上、の直径のFZシリコン単結晶インゴット及び300mm以上の直径のCZシリコン単結晶インゴットは、特に、より小さな直径のシリコン単結晶インゴットと比べてそのような単結晶インゴットのより高い値に起因して、及び、その方法によって製造されていないシリコン単結晶インゴットに比べて許容範囲がより一層改善されているという事実に起因して、発明の製造方法に関連する。したがって、一実施形態において、その方法は、150mm以上、例えば200mm、の直径を有するFZシリコン単結晶インゴットを製造する。別の実施形態において、その方法は、300mm以上の直径を有するCZシリコン単結晶インゴットを製造する。
【0072】
本発明に従って製造される方位マークされた単結晶インゴットは、表面特性パラメーターで分類される。発明に従って解析されたが製造されなかった単結晶インゴットはまた、発明の方法で得られる表面特性パラメーターで分類されうる。そのラベリングは、個別の単結晶インゴットの結晶方位に関する情報が方位マーキングに関連付けられて認証が向上することを保証する。ラベリングは、必要に応じて行われてもよく、例えば単結晶それ自体において、単結晶インゴットを含むパッケージにおいて、物理的なラベル、単結晶それ自体に又は単結晶インゴットを含むパッケージに付けられるステッカー、の形をとってもよい。シリコン単結晶インゴットからスライスされた各ウエハが、同様にラベリングされてもよく、或いは、同じ単結晶インゴットから切断されたウエハのグループがラベリングされてもよい。ラベルは、表面特性パラメーターの実際の情報を含んでもよく、或いは、表面特性パラメーターの情報は、ラベルにデジタル的又は電子的に格納されてもよい。したがって、例えば、単結晶インゴットは、一意の識別番号を有するラベルを持っていてもよい。一意の識別番号は、さらに、情報が保存されているデータベースに関連付け、例えばハイパーリンク、されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
以下において、発明は、例を活用し且つ概略図を参照して、より詳細に説明される。
図1図1は、縦方向マーキングを有する単結晶インゴットの概略図を示す。
図2図2は、縦方向マーキングの形状の例を示す。
図3図3は、単結晶インゴットにおけるノッチ及び平坦部の位置の例を示す。
図4図4は、発明のインゴットスキャナーシステムを示す。
図5図5は、発明のインゴットスキャナーシステムに取り付けられた単結晶インゴットを示す。
図6図6は、異なるオフセット値でのスキャン間の違いを示す。
図7図7は、発明の方法で得られた丸いノッチの実験データを示す。
図8図8は、極座標系でプロットされた、2つのノッチ及び2つの平坦部を有するインゴットから発明の方法で得られた実験データを示す。
図9図9は、デカルト座標系でプロットされた、2つのノッチ及び2つの平坦部を有するインゴットから発明の方法で得られた実験データを示す。
【0074】
様々な実施形態及び態様における特徴の組み合わせも熟慮され、様々な特徴、詳細及び実施形態が組み合わされて他の実施形態にされうることが理解されるはずである。特に、上記の方法及びインゴットスキャナーシステムに関するすべての定義、特徴、詳細、及び実施形態が、互いに対して等しく適用されることが企図されている。
【0075】
図への参照は、発明を説明するのに役立ち、図に示されている特定の実施形態に特徴を限定するものとしては解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0076】
本発明は、単結晶インゴット10の縦方向マーキング11の表面特性パラメーターを取得する方法、方位マークされた単結晶インゴット10を製造する方法、及びその方法を実行するためのインゴットスキャナーシステム20に関する。その方法は、回転軸23の周りで単結晶インゴット10を回転させることと、角度位置で、測定ポイント24から単結晶インゴット10の表面14までの距離を記録することと、その距離を背景形状と比較して背景形状から逸脱する距離を特定することと、背景形状から逸脱する距離の角度位置及び対応する距離を登録すること、とを含む。表面特性パラメーターは、背景形状から逸脱する距離と対応する距離とを持つ連続する角度位置から定められる。その方法は、より低い不確実性での表面特性パラメーターの決定を可能にする。
【0077】
第1の態様の方法において、縦方向マーキング11の表面特性パラメーターを得るために、縦方向マーキング11を有する単結晶インゴット10が解析される。単結晶インゴット10は、図1に概略的に示されている。単結晶インゴット10は、好ましくはシリコン単結晶インゴット10であり、それはフロートゾーン(FZ)法又はチョクラルスキー(CZ)プロセスで製造されうる。例えば、円形FZシリコン単結晶インゴット10は、150mm又は200mmの直径を有することができ、円形CZシリコン単結晶インゴット10は、300mmの直径を有することができる。FZ法とCZ法はどちらも、シリコン単結晶インゴット10を容易に入手できる当業者によく知られている。円形シリコン単結晶インゴット10は、縦方向中心軸12及び縦方向中心軸12からの半径13を有する円筒形を有する。半径13は、単結晶インゴット10の表面14を定める。
【0078】
縦方向マーキング11は、単結晶インゴット10の表面14にあり、例えば縦方向マーキング11は、単結晶インゴット10の全長に生じる。縦方向マーキング11は、典型的には、単結晶インゴット10の表面14に刻まれている。縦方向マーキング11は、ノッチ3又は平坦部4でありうる。典型的なノッチ3と平坦部4が図2及び図3に示される。したがって、図2はパネルAにおいてUノッチを示し、パネルBにおいてVノッチを示し、パネルCは平坦部を示す。ノッチは、幅31及び深さ32を有し、平坦部4は幅41を有する。図2は、X軸とZ軸を示す。したがって、この場合のX軸は、ノッチ3の幅31及び平坦部4の幅41に対応し、Z軸は、ノッチ3の深さ32に対応する。Y軸(図示せず)は、単結晶インゴット10の縦軸である。図3は、パネルAにおいて単一のノッチ3を有する単結晶インゴット10を示し、パネルBにおいて2つのノッチ3を有する単結晶インゴット10を示し、パネルCにおいて単一の平坦部4を有する単結晶インゴット10を示し、パネルDにおいて2つを平坦部4を有する単結晶インゴット10を示し、パネルEにおいて2つのノッチ3及び2つの平坦部4を有する単結晶インゴット10を示す。単結晶インゴット10が2つ以上の縦方向マーキング11を有する場合、縦方向マーキング11間の角度は、単結晶インゴット10のエンドユーザによって決められるが、典型的にはスタンダード、例えばシリコン単結晶インゴット10に関するSEMIスタンダード、に従う。
【0079】
単結晶インゴット10は、発明のインゴットスキャナーシステム2で解析される。インゴットスキャナーシステム2は図4に示され、図5は、インゴットスキャナーシステム2の回転装置22、例えば回転ステージ、に取り付けられた単結晶インゴット10を示す。図4及び図5において、回転ステージ22の回転は、回転ステージ22の下に矢印で示されている。インゴットスキャナーシステム2は、昇降装置28を有するものとして図4及び図5に示されている。昇降装置28は、光学ラインスキャナー24、25を上昇及び/又は降下させ及び/又は光学ラインスキャナー24、25を横方向に移動させうるものであり;可能な動きは矢印で示される。
【0080】
インゴットスキャナーシステム2は、回転軸23を有する回転装置22を有し、単結晶インゴット10は、回転軸23の周りにある。単結晶インゴット10の縦方向中心軸12と回転軸23との間の横方向距離は、オフセット値に対応する。オフセット値は可能な限り小さくするべきであり、最適にはオフセット値は0であり、すなわち単結晶インゴット10の解析中に単結晶インゴット10の縦方向中心軸12は回転軸23とアラインされる。
【0081】
表面特性パラメーターは、縦方向マーキング11を解析することによって得られる。具体的には、回転軸23から測定距離に位置する測定ポイント21から単結晶インゴット10の表面14までの測定距離が記録される。インゴットスキャナーシステム2は、発光ポイント241において光源24を有し、当該発光ポイントは、回転軸23に向けて光を発することができる。インゴットスキャナーシステム20は、回転軸23から測定距離に配置された測定ポイント21において光検出器25を有する。光検出器25は、回転装置上の単結晶インゴット10の表面14から反射及び/又は散乱された光を記録する。光源24及び光検出器25は、「スキャナー」と呼ばれる1つのユニットにおいて組み合わせられてもよい。スキャナーは、特に、例えば405nm又は658nmの波長を使用するレーザースキャナーであってもよい。光源24及び光検出器25は、まとめて「光学ラインプロファイラー」24、25と呼ばれうる。
【0082】
光検出器25によって記録された光は、表面14が解析された単結晶インゴット10の角度位置と対応する角度位置で光検出器25によって記録された光とを含むデータ配列として、データストレージユニット26に記憶されうる。インゴットスキャナーシステム2はまた、データ配列におけるデータを処理するためのデータ処理ユニット27を有する。図4図5において、インゴットスキャナーシステム2の可能なデータストリームが点線で示される。したがって、データ処理ユニット27は、光源24及び光検出器25のいずれか又は両方を制御することができ、光源24及び/又は光検出器25は、データ処理ユニット27及びデータストレージユニットのいずれか又は両方にデータを送信することができる。データ処理ユニット27及びデータストレージユニット26はまた、互いにデータを送信し、互いからデータを受信することができる。データストレージユニット26及びデータ処理ユニット27は、まとめて「測定算出装置」26、27と呼ばれうる。
【0083】
インゴットスキャナーシステム20は、好ましくは、発明の第1の態様の方法を実行するように構成され、同様に、それは発明の第2の態様の方法で使用されることもできる。
【0084】
したがって、発明は、単結晶インゴット10におけるノッチ3及び/又は平坦部4に関する情報を取得するためのインゴットスキャナーシステム20、例えば光検出システム、を提供する。一実施形態において、インゴットスキャナーシステム20は、光学ラインプロファイラー24、25、回転ステージ22、及び測定算出装置26、27を備える。光学ラインプロファイラー24、25は、光エミッター24、集束レンズ、及び光検出器25を備え、1つ又は複数のポイント、例えば1280のデータポイント、を同時に測定することができる。
【0085】
データを取得する方法において、単結晶インゴット10は、光学ラインプロファイラー24、25の測定範囲内で回転ステージ22上に配置される。光学ラインプロファイラー24、25がプロファイルを記録しつつ、単結晶インゴット10は回転される。単結晶インゴット10の回転はまた、特定のセクション、例えば縦方向マーキング11の位置に対応する角度、の高解像度解析のために停止されてもよい。データストレージユニット26は、その点で得られた角度位置及び対応する距離を記憶し;その距離は、マトリクス、線、又は単一の点であってもよい。マトリクス、線又は単一の点は、発明との関連において集合的に「プロファイル」と呼ばれうる。単結晶インゴット10は、フルスキャンのための角度、例えば360°、にわたって回転される。各角度に関し、値は、光学ラインプロファイラー24、25を使用して得られたプロファイルから格納される。その値は、光学ラインプロファイラー24、25の測定ポイント21から単結晶インゴット10までの絶対距離でありうる。これらの値は、回転装置22から引っ込められた角度の関数として、例えばデカルト座標系又は極座標系を使用してグラフィックによって視覚化されることができる。ここで測定算出装置26、72が使用されて、背景形状を適合させ、単結晶インゴット10の縦方向中心軸12、例えば幾何学的中心、と比較した回転中心23のオフセット値を見つける。オフセット値が所定の閾値未満、例えば5mm以下、例えば1mm未満又は0.5mm未満、の場合、解析は続行される。オペレーターは、単結晶インゴット10のセンタリングを改善してオフセット値を下げ、測定を繰り返すように指示されうる。さらに解析のために、背景が生データから差し引かれて、-0.1mmから0.1mmの範囲内のような、ゼロ付近のほとんどの値を持つデータセットを提供する。この基準を満たしていない個々のポイントは、外れ値と見なされて、データセットから削除されるか、無視されることが可能である。ゼロ未満のポイントのグループは、それらのサイズに応じてノッチ3及び/又は平坦部4として解釈される。ノッチ3の中心及び/又は平坦部4の中心の角度位置は、背景が除去されたデータから見出される。
【0086】
次のステップにおいて、単結晶インゴット10の表面14におけるノッチ3及び/又は平坦部4がより高い解像度で解析される。ノッチ3を解析するための好ましい方法は、前のステップで見られるように、単結晶インゴット10をノッチ3の位置に回転させることである。ここでラインスキャンは、10mmのラインセグメントにまたがる1280個のデータポイントで構成されるプロファイルなどの、高解像度プロファイル用の光学ラインプロファイラー24、25を使用して取得される。これらのデータは測定算出装置26、27を使用して解析され、深さ32、幅31、曲率半径、及び真円度などのノッチ3形状の特性を取得する。発明の方法を使用して、1つ、2つ、又はそれ以上のノッチ3を順番に解析することができる。方位平坦部4の幅は、例えばデータを閾値処理し、2次多項式のフィッティング処理を行い、そしてz=0での交点を求めることによって、背景を差し引いた角度スキャンから求められることができる。
【0087】
インゴットスキャナーシステムは、光エミッター24及び光検出器25を含む光学ラインプロファイラー24、25と、回転ステージ22とを含む。光学ラインプロファイラー24、25は、1つ又は複数の並進ステージ(図示せず)に配置されることができる。ステージの移動方向は、単結晶インゴット10の縦方向中心軸12に平行な方向とすることができ、又は単結晶インゴット10の表面に垂直な方向とすることができる。好ましい実施形態において、1つ又は複数のステージは、光学ラインプロファイラー24、25の自動移動のためにモーター駆動される。測定算出装置26、27は、データを同時に取得するために、光学ラインプロファイラー24、25及び回転ステージ22の両方につながれている。
【0088】
単結晶インゴット10のノッチ3と平坦部4の特性は、品質管理の重要な部分である。単結晶インゴット10は、通常、幾何学的回転不変であるが、結晶構造は特定の方位を有し、当該特定の方位は、それから作られた装置の製造及び性能に影響を与えうる。特定の結晶方位を特定するために、X線ゴニオメーターを使用可能である。人の手で操作することなく、結晶方位を測定し、見いだした位置に平坦部4及び/又はノッチ3を作ることができる装置が市販されている。
【0089】
単結晶インゴット10は、回転ステージ22上に配置される。円筒形単結晶インゴット10の縦方向中心軸12は、回転ステージ22の回転軸23に重なる必要がある。これらの2つの軸間の距離は、「オフセット値」と呼ばれる。理想的には、オフセット値は正確にゼロとすべきである。ただし、実際の条件では、2mm未満、1mm未満、0.5mm未満、0.3mm未満、0.2mm未満、0.1mm未満などの小さなオフセットが許容されうる。例として、オフセット値は、最小二乗回帰アルゴリズムを使用してデータに正弦波フィットをフィッティングすることによって、推定できる。正弦波の形に関し、
【数1】
【0090】
である。
【0091】
フィッティングパラメーターA、正弦の振幅、は、2つの軸間のオフセットに等しい。測定算出装置26、27は、最大許容オフセット値として定められる所定の閾値よりもAが小さいかどうかを自動的にチェックすることができる。Aが閾値よりも大きい場合、測定算出装置26、27は、プログラムの実行を停止し、単結晶インゴット10のセンタリングを改善するようにオペレーターに告げることができる。好ましい実施形態において、センタリングは、モーター駆動されるステージ(図示せず)を使用して自動的に実行される。
【0092】
背景フィットに加えて、いくつかのデータ処理ステップが含まれうる。これらのステップは、外れ値除去、ノイズ除去、平滑化、フィルタリング、閾値処理、及びキャリブレーション調整を含むが、これらに限定されない。
【0093】
光学ラインスキャナー24、25は、光源24、光学素子、及び検出器25を備える。単色光源に関し、これらはレーザースキャナーとも呼ばれる。光源24は、405nm又は658nmの波長を有するレーザーなどの、単色光源とすることができる。記録されるデータは、単一のポイント、ポイントの平均、又はラインスキャンから構成できる。ラインスキャンは、1μm、5μm、10μm、20μm、50μm、100μm、200μm、500μm、又は1000μmなどの距離を有して互いに近接して取得される複数の個別のポイントである。複数の個別のポイントは、少なくとも3個のポイント、少なくとも5個のポイント、少なくとも10個のポイント、少なくとも50個のポイントを指す。好ましい実施形態において、1280個のデータポイントがラインスキャンで得られる。光学要素には、レンズ、格子、及びミラーを含めることができる。検出器装置25は、高感度のセンサーマトリクスでありうる。例として、レーザーライン三角測量に基づく光学ラインスキャナー24、25が使用され、それは、シリコン単結晶インゴット10の表面を含む多くの異なる表面での二次元プロファイル検出に適している。MicroEpsilonのScanControlシリーズなど、レーザー三角測量の原理に基づく光学ラインスキャナーが市販されている。例えば単結晶インゴット10などのサンプル及び光学ラインスキャナー24、25が互いに対して相対的に動かされる場合、例えば単結晶インゴット10が回転させられると、3D測定値を得ることが可能である。
【0094】
光学ラインスキャナー24、25からのデータは、ケーブル又はワイヤレスインターフェースを使用して、測定算出装置26、27に伝えられる。ケーブルインターフェイスは、イーサネット又はRS422プロトコルを含めることができる。ワイヤレスインターフェースはWi-Fiプロトコルを利用できる。
【0095】
単結晶インゴット10は、回転装置22上に配置されている。エンコーダ(図示せず)は、回転装置22の実際の位置を、それにより単結晶インゴットを、記録するために使用される。単結晶インゴット10は、所定角度にわたって漸進的に回転される。例として、その所定角度は360°である。回転ステージ22の位置は、エンコーダを使用して測定される。好ましい実施形態において、回転ステージ22は、縦方向マーキングの位置の演繹的知見に基づく角度に回転される。好ましい実施形態において、所定数の表面マークに達した際に回転が停止される。好ましい実施形態において、回転ステージ22は、光学ラインスキャナー24、25がデータを取得する間、連続回転に設定される。これは、光学ラインスキャナー24、25からのデータ取得が角回転に対して高速であることを必要とする。例として、6インチ結晶に関して10Hzを超えるプロファイル取得周波数及び6°/sの回転速度が許容される。6インチ結晶に関して、1°/s、2°/s、4°/s、10°/s又は20°/s、50°/sなどの他の回転速度が許容できることが分かる。より大きな単結晶インゴット10に関し、より遅い回転速度が好ましく、より小さな単結晶インゴット10に関し、より速い回転速度が好ましい。20Hz、50Hz、100Hz、300Hz、1kHz、2kHz又は5kHzなどのより高いプロファイル取得周波数が好ましい。回転ステージ22の位置の制御及び読み取りは、測定算出装置26、27で制御される。好ましい実施形態において、1秒角(arcsec)未満、2秒角未満、5秒角未満、10秒角未満、20秒角未満、50秒角未満の解像度を有する高解像度ステージが使用される。しかしながら、回転装置22は、最大20kg、最大30kg、最大40kg、又は最大50kgの典型的な重量を有する単結晶インゴット10の負荷を処理することができるべきである。Thorlabs,Inc.のステッピングモーターアクチュエータモデルNR360Sを有する360°連続回転ステージなどの、高負荷容量の高分解能回転ステージが市販されている。
【0096】
所与の角度で、光学ラインスキャナー24、25は、1つ又は複数のデータポイントを取得するために使用される。データは、測定算出装置26、27を使用して保存される。回転ステージ22の角度位置も保存される。視覚化のために、デカルト座標系又は極座標系における角度位置の関数として、光学ラインスキャナー24、25で得られたデータを表示することができる。
【0097】
測定手順は、単結晶インゴット10を回転ステージ22上の中心に置くための第1のステップを含む。単結晶インゴット10の中心を回転ステージ22の中心上に配置する際にオペレーターを支援するための機械装置が使用される。好ましい実施形態において、単結晶インゴット10の位置決めは、単結晶インゴット10の直径にマッチする穴を備えたプレートを使用することによって支援される。一例として、150mmの直径を有する単結晶インゴット10に関し、150.5mmの穴を有するプレートを使用することができる。好ましい実施形態において、スプリングセンターなどの機械的センタリング装置(図示せず)が使用されて、回転ステージ22上の単結晶インゴット10の位置合わせを支援する。
【0098】
光学ラインスキャナー24、25は、単結晶インゴット10に対して関心のある点に配置される。一例として、単結晶インゴット10の中央で単結晶インゴット10を測定することができる。一例として、単結晶インゴット10を、両端部の近く、例えば各端部か5mm、20mm、で、測定することができる。一例として、単結晶インゴット10を、その長さに沿って分布する5箇所の位置又は10箇所のの位置で、測定することができる。光学ラインスキャナー24、25の垂直配置は、昇降装置28、例えばモーター駆動されるステージ、を使用して自動的に又はオペレーターにより実行可能である。好ましい実施形態において、エンコーダが垂直ステージ(図示せず)に取り付けられている。その位置決めは、位置決めアーム、ロボットアーム、固定セットアップ、手動並進ステージを使用して行うことができる。位置決め装置の位置は、エンコーダを使用して測定できる。好ましい実施形態において、エンコーダが装着される垂直電動線形並進ステージが使用される。昇降装置28の位置の制御及び読み取りは、測定算出装置26、27によって制御される。
【0099】
ここで光学ラインスキャナー24、25は、単結晶インゴット10のその測定範囲内に配置される。水平線形並進ステージは、単結晶インゴット10の表面に垂直な方向に光学ラインスキャナー24、25を配置するために使用される。光学ラインスキャナー24、25は、典型的には、光検出器25から単結晶インゴット10まで、すなわち単結晶インゴット10まで、50mm~300mmの範囲などに、例えば50mm~60mmの範囲、又は70mm~120mmの範囲、又は190mm~290mmの範囲に、限定された測定範囲を有する。一例として、光学ラインスキャナー24、25は、48mm~58mmの測定範囲を有し、その測定範囲の中央における距離、このケースでは53mm、を配置のターゲットとすべきである。ただし、場合によっては、その範囲の端部のうちの1つに近いターゲットを狙って、1つの特定の方向により動的な深度を可能にすることが有益である。光学ラインスキャナー24、25の水平配置は、昇降装置28を使用して自動的に又はオペレーターにより実行することができる。昇降装置28の水平線形並進ステージを使用して、光学ラインスキャナー24、25を単結晶インゴット10からの距離に配置し、当該距離はその測定範囲内にある。その位置決めは、所定インジケータに基づいて、オペレーターが手動で実行できる。好ましい実施形態において、水平線形並進ステージはモーター駆動される。好ましい実施形態において、並進ステージの位置は、エンコーダを使用して記録される。ステージの制御と実際の位置の読み取りは、測定算出装置で制御される。
【0100】
光学ラインスキャナー24、25の測定線の中心は、回転の中心23に配置されるべきである。単結晶インゴット10での測定に関し、単結晶インゴット10が回転装置において完全に中心にある場合、光学ラインスキャナー24、25による測定は、ラインスキャンを取得する際に対称曲線を示す。光学ラインスキャナー24、25が中心から外れている場合、非対称の曲線が見られる。例示的な非対称曲線が図6のパネルA6に示され、同じ単結晶インゴット10の対称曲線が図6のパネルBに示される。非対称性は、測定値の取得を妨げるものではないが、光学ラインスキャナー24、25がオフセットされている場合、測定の不確かさはより高くなる。したがって、光学ラインスキャナー24、25のオフセットを可能な限り小さくすることは有益である。同様に、非対称性は、縦方向マーキング11の識別を妨げない。この配置は、単結晶インゴット10のサイズとは無関係であり、したがって、測定間で調整する必要はない。理想的には、最初に取り付けてセットアップするときに、それ以上の調整は必要ない。好ましい実施形態において、並進ステージは、回転ステージ22及び/又は光学ラインスキャナー24、25の下に設けられて、位置合わせを容易にする。
【0101】
好ましい実施形態において、2つ以上の検出器25がインゴットスキャナーシステム20で使用されて、測定速度及び/又は測定能力を改善する。検出器25は、同じ並進ステージ又は複数の独立したステージに配置することができる。
【0102】
説明されているフィッティングアルゴリズムはすべて、通常のデスクトップコンピューター、Raspberry Pi、又は同様の装置で実行できる。アルゴリズムを実行するための典型的な算出時間は1秒未満である。スレッド処理などのマルチプロセッシングにより、データの取得と解析を同時に実行できる。測定算出装置26、27は、例として、パーソナルデスクトップコンピュータ、ラズベリーパイ財団のラズベリーパイ3モデルB +などのミニコンピュータ、FPGA、又は同様の装置とすることができる。好ましい実施形態において、データの取得及び/又は解析のために、2つ以上の測定算出装置26、27が使用される。
【0103】
好ましい実施形態において、光学ラインスキャナー24、25の垂直配置を使用して、上部及び下部の両方で単結晶インゴット10のエッジを見つけることによって、単結晶インゴット10の長さを測定する。単結晶インゴット10の長さは、上端と下端の読み取りの差として取得することができる。
【0104】
次のステップにおいて、ラインスキャンのデータセット、又は単一のデータポイント又はデータポイントの平均、及び対応する角度位置が、デジタルプロセッサ27を使用して解析される。好ましい実施形態において、単結晶インゴット10の直径は、単結晶インゴット10から光学ラインスキャナー24、25までの平均距離を取得することによって、データセットから測定される。このステップは、回転ステージ22の回転の中心までの光学ラインスキャナー24、25の距離が知られていることを必要とする。
【0105】
ここで背景フィットが実験データから差し引かれる。好ましい実施形態において、フィッティングパラメーターを改善するために、背景フィット及び除去アルゴリズムが複数回実行される。好ましい実施形態において、データは、単結晶インゴット10の中心から外れることによる幾何学的歪みについて補正される。
【0106】
この新しいデータセットは、単結晶インゴット10における表面マークの位置を見つけるために使用される。例として、ピーク検出アルゴリズムがその位置の検出に使用される。マークの検出位置を改善するために、複数の算出を適用できる。表面特性の位置が保存される。
【0107】
ここで単結晶インゴット10の平坦部4及び/又はノッチ3が識別される。例として、前のステップで取得されたピークの深さが、その識別に使用される。最大の縦方向マーキングは、メジャー平坦部4としてラベリングされる。演繹的知見から、他の縦方向マーキングは、メジャー平坦部4に関して識別できる。好ましい実施形態において、縦方向マーキングは、幅などの他の特性を使用して、メジャー平坦部、マイナー平坦部、及びノッチを区別することによって、その位置の演繹的知見なしに、識別される。
【0108】
方位平坦部4の幅は、データセットから算出される。例として、平坦部4はデータを閾値処理することによって選定され、2次の多項式が選択されたデータにフィットされる。背景が差し引かれると、平坦部4の幅は、z=0の多項式の交点として求められる。幅の測定は、追加の処理ステップを適用することによって、さらに改善されうる。これらのステップは、平坦部の端部の近くの線形回帰フィット及び/又は曲線の形状解析を含むことができる。複数の平坦部では、手順は平坦部毎に個別に実行される。
【0109】
次のステップにおいて、前のステップで取得された位置に基づいて、結晶が特定の位置に回転される。例として、ノッチ3の角度位置がθnotchまで測定される場合、回転ステージ22は角度θnotchに動かされる。ここで、特定のマークを詳細に解析するために、この位置でラインスキャンが取得される。メジャー平坦部4のような大きなマークに関し、複数のポイントを取得できる。これは、例として、平坦部4の2つの端部とすることができる。
【0110】
好ましい実施形態において、第1の回転から得られたラインスキャンが第2の解析に使用される。単結晶インゴット10を所与の位置に回転させる代わりに、データ処理ユニット27を使用して、特定の位置に最も近い位置について以前に取得されたデータを撤回する。これは、データ取得に関する全体的な時間を短縮するのに役立つ。ただし、事前に取得したデータを使用する代わりに、特定の位置に移動して取得されるデータの精度は、より良く又は同等になる。
【0111】
好ましい実施形態において、表面14における縦方向マーキング11は、垂直ステージを動かすことによって複数のポイントで測定される。複数のポイントによって単結晶インゴット10の長さの変動を検出することができる。例として、単結晶インゴット10は、両端近くで測定される。
【0112】
好ましい実施形態において、インゴットスキャナーシステム20を使用して、表面における引っかき傷、破壊、又は他の欠陥について単結晶インゴット10を特徴付ける。垂直ラインスキャナーを10μm、20μm、30μm、50μm、100μm、200μm、500μm、1000μmなどの短い距離移動し、ラインスキャンが取得される。このシーケンスは、単結晶インゴット10のセクションにわたって繰り返され、単結晶インゴット10の長さまで延びる。好ましい実施形態において、垂直ステージは、光学ラインスキャナー24、25がデータを取得している間、移動している。例として、ノッチ3は、単結晶インゴット10長さ方向に、単結晶インゴット10の底部からスタートして単結晶インゴット10の上端部まで、1mm/sの速度で走査される。ラインスキャンは、垂直ステージの50μm移動毎に、取得される。ここで各ラインスキャンは、参照プロファイルに関して欠陥について解析される。平坦部4又は平坦部エッジなどの平坦部4の一部は、同様のアプローチを使用して、特徴付けられ及び解析されることができる。
【0113】
ノッチ3の解析は、単結晶インゴット10の外周を、ノッチの一部とは見なされないデータポイント、すなわち背景形状、と比較することによって、実行される。例として、ノッチ3を含むデータポイントは、閾値化及び/又は演繹的知見を使用してフィルタリングされ、円、すなわち円形単結晶インゴット10が、最小平均二乗アルゴリズムを使用して残りのデータにフィットされる。ここでノッチ3を表すデータポイントが、ノッチ形状の幾何学的解析ために選択される。例として、ノッチデータポイントは、上記のように単結晶インゴット10の外周を差し引いてデータを閾値化することによって、取得される。
【0114】
ノッチ3の幾何学的形状は、選択されたデータポイントの解析によって取得される。例として、円形のノッチ3は、最小平均二乗アルゴリズムを使用して円フィットによってフィットされる。そして、その曲率半径は、フィットされた円の半径に等しい。ノッチ3の幅は、外周フィットとの交点を見つけることによって取得され、その高さは、ノッチ3の底部から結晶のエッジまでの距離として求められる。V形状ノッチ3などの他のノッチ3タイプは、2次以上の多項式などの別のフィットタイプを使用してフィットされることができる。好ましい実施形態において、2つ以上のフィットがパラメーターを抽出するために使用される。例として、一次多項式を使用して外周フィットとの交点を取得し、二次多項式を使用してノッチ3の底部を取得する。
【0115】
「真円度」パラメーターは、ノッチ3の均一性を表すために定められる。真円度は、ノッチ3の右側と左側との間の差として定められる。右側と左側との間に差がない対称ノッチ3に関して、真円度はゼロである。
【0116】
ノッチ3の幾何学的形状を表す他のパラメーターが定義され、そのデータから測定されうる。これは、Vノッチ3の側壁角度、研削ノッチホイールの摩耗の検出、及び粗さを含むが、これらに限定されない。
【0117】
好ましい実施形態において、単結晶インゴット10の外周、すなわち背景形状、及びノッチ3の形状は、フィッティングアルゴリズムによって同時に取得される。
【0118】
好ましい実施形態において、インゴットスキャナーシステム20は、個々のラインスキャンから単結晶インゴット10の直径を測定する。例として、円は、表面マークの存在なしにデータセットにフィットされ、フィットの曲率半径は、単結晶インゴット10の半径に対応する。単結晶インゴット10上の複数の点でそのような測定を繰り返すことにより、精度を高めることができる。この方法は、光学ラインスキャナー24、25の基準ポイントが必要ないので、光学ラインスキャナー24、25までの絶対距離を使用する直径測定と比較して、有益である。
【0119】
単結晶インゴット10の幾何学的形状について取得されるパラメーター及び表面特性パラメーターは、データ配列、例えばデータベース、テキストファイル又は同様のもの、に保存される。また、実験データと処理されたデータは、後で参照できるように保存される。データは、ローカルストレージ装置、ネットワークストレージ装置、又はクラウドストレージに保存できる。データの整理を容易にするために、それらはデータベース構造に保存される。データベースは、同じ単結晶インゴット10で実行された他の測定値を参照する。処理済みデータ、解析結果、及び実験データのグラフィック表現も保存される。
【0120】
好ましい実施形態において、オペレーターは、単結晶インゴット10を配置し、測定シーケンスを開始するだけでよい。その後、データ取得及び解析は、測定算出装置によって自動的に処理される。
【0121】

例1
発明の方法において、ノッチ3を有するシリコン単結晶インゴット10を解析した。デカルトプロットとしてノッチを備えた表面14のセクションの高解像度スキャンを示す取得されたデータは、図7に示されている。そのデータは、光学測定装置のラインスキャン機能を使用して取得されるため、1280個のデータポイントで構成される。個々の外れ値はデータセットから削除された。図7におけるプロットは、シリコン単結晶インゴット10の曲面を示し、ノッチ3が示されている。ノッチ3について得られたノッチ3の幅31及び深さ32は、幅31:3.24mm、深さ32:1.44mm、半径:1.63mm、及び真円度:60μmであった。
【0122】
例2
2つのノッチ3及び2つの平坦部4を有する150mm直径シリコン単結晶インゴット10が準備され、750のデータポイントを用いた低解像度スキャンを使用して発明の方法で解析された。解析されたシリコン単結晶インゴット10の断面が図8に示され、図8においてそれは極プロットに重ねられている。そのプロットは、解析から算出された方位マーキング11間の角度を示す。解析の一部として、表面マークはメジャー平坦部、マイナー平坦部、ノッチ1及びノッチ2として識別される。
【0123】
解析は、図9においてデカルトプロットとして示される。パネルAは、シリコン単結晶インゴット10の背景を除去する前に得られたプロットを示す。パネルAにおけるデータは、オフセット値が1.1mmであったことを示す。シリコン単結晶インゴット10の背景を除去した後、パネルBは、シリコン単結晶インゴット10の再配置後にオフセット値が重要ではなかったことを示す(曲線は「平坦」である)。平坦部4とノッチ3の角度位置はデータから求められる。マイナー平坦部とメジャー平坦部の間の角度4は、角度位置から算出することができる。解析は、メジャー平坦部4が56.12mmの幅を持ち、マイナー平坦部4が27.89mmの幅を持っていたことを示した。このスキャンの解像度は、ノッチ3の表面記述パラメーターを決めるのに十分な高さではなく、より高い解像度スキャン、例えば単結晶インゴット10の360°にわたって750個を超えるポイントでのスキャン、をこれに関して使用されることが可能である。具体的には、ノッチ3は約150°及び330°で示されているので、縦方向マーキング間の角度は決して少なく算出することができず、その位置を使用して単結晶インゴット10を回転させてスキャナーがより高い解像度でノッチ3を再解析することができる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9