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特許7544715アンテナ用のカバーおよびこのようなカバーを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】アンテナ用のカバーおよびこのようなカバーを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/42 20060101AFI20240827BHJP
   G01S 7/03 20060101ALI20240827BHJP
   G01S 13/931 20200101ALN20240827BHJP
【FI】
H01Q1/42
G01S7/03 246
G01S13/931
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021540298
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 EP2020051022
(87)【国際公開番号】W WO2020148385
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】102019101033.0
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】2019903885
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】519331224
【氏名又は名称】マザーソン・イノベーションズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】フィメリ,ギャリー・ゴードン・レスリー
(72)【発明者】
【氏名】カルソ,ディーン
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-215242(JP,A)
【文献】特開2018-066706(JP,A)
【文献】特開2003-152418(JP,A)
【文献】特表2018-517227(JP,A)
【文献】特開昭57-065006(JP,A)
【文献】特開昭57-136391(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102018005592(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/42
G01S 7/03
G01S 13/931
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1の周波数帯域において電磁放射線を放出するおよび/または検知する少なくとも1つのアンテナのためのカバー(1)であって、前記カバー(1)が、前記アンテナに面する少なくとも1つの第1の表面(3)、および前記アンテナから背けられた少なくとも1つの第2の表面(5)を含み、前記カバー(1)が、少なくとも1つの発熱体(17)が埋め込まれる少なくとも1つの第1のキャリア層(7)をさらに備え、前記発熱体(17)が、前記第1の表面(3)から少なくとも一部が延びる、および/または前記第1の表面(3)上に少なくとも一部が設置される、端子(15)に接続され、
前記発熱体が、少なくとも1つの配線(17)を備え、
前記配線(17)は、前記第2の表面(5)に面する前記第1のキャリア層(7)の第1の側(19)で前記第1のキャリア層(7)内に少なくとも一部が埋め込まれ、前記第1の側(19)から前記端子(17)まで前記第1のキャリア層(7)の第2の側(21)に沿って前記第1の表面(3)の方向へと延び、
前記配線(17)は、前記第1のキャリア層(7)の外方に面している第2のキャリア層(13)の第1の側で、および/または前記第2のキャリア層(13)の前記第1の側を前記第1のキャリア層(7)の前記第2の側(21)と接続する前記第2のキャリア層(13)の第2の側(23)で、さらに少なくとも1つの前記第2のキャリア層(13)内に少なくとも一部が埋め込まれ、前記第2のキャリアは、前記第1の表面(3)に面する前記第1のキャリア層(7)の第3の側に設置される、カバー。
【請求項2】
前記第1のキャリア層(7)が、自立型であり、特に前記カバー(1)の支持構造を少なくとも部分的に形成し、前記第1のキャリア層(7)が、前記第1の周波数帯域および/もしくは少なくとも1つの第2の周波数帯域内の電磁放射線に対して透明であり、または前記第1の周波数帯域内の電磁放射線に対して透明であり、前記第2の周波数帯域内の電磁放射線に対して少なくとも一部が不透明である
ことを特徴とする、請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
前記第1のキャリア層(7)上に、特に、前記第1のキャリア層(7)の前記第3の側に、少なくとも部分的に第1のコーティング(11)が設置され、好ましくは、前記第1のコーティング(11)が、前記第2の周波数帯域内の電磁放射線に対して高い反射性を有し、および/または前記第1の周波数帯域内の電磁放射線に対して透明であり、特に、前記第1のコーティング(11)は、少なくとも一部が少なくとも1つの周波数選択表面バンドパスフィルタを形成する
ことを特徴とする、請求項に記載のカバー。
【請求項4】
前記第1のコーティング(11)が、少なくとも1つのロゴ、商標、文字、数字、装飾的パターンおよび/もしくは装飾的意匠の形態を有し、および/もしくは示し、ならびに/または前記第1のコーティング(11)の領域(9)内の第1のキャリア層(7)の前記表面が、少なくとも部分的に構造を作られる
ことを特徴とする、請求項3に記載のカバー。
【請求項5】
前記第2のキャリア層(13)は、自立型であり、特に、前記第2のキャリア層(13)が、前記カバー(1)の支持構造を少なくとも部分的に形成する
ことを特徴とする、請求項1から4の一項に記載のカバー。
【請求項6】
前記第2のキャリア層(13)は、自立型であり、特に、前記第2のキャリア層(13)が、前記カバー(1)の支持構造を少なくとも部分的に形成し、前記第2のキャリア層(13)が、前記第2の周波数帯域内の電磁放射線に対して少なくとも一部が不透明であり、ならびに/または前記第1の周波数帯域および/もしくは前記第2の周波数帯域内の電磁放射線に対して少なくとも一部が透明であり、前記端子(15)は、前記第2のキャリア層(13)の内部に少なくとも一部が設置され、および/または前記第1のコーティング(11)は、前記第1のキャリア層(7)と前記第2のキャリア層(13)との間に少なくとも一部が設置される
ことを特徴とする、請求項3または4に記載のカバー。
【請求項7】
前記第2のキャリア層(13)の前記第1の側は、前記第1のコーティング(11)の外方に面している
ことを特徴とする、請求項3,4,及び6の一項に記載のカバー。
【請求項8】
前記第1のキャリア層(7)の前記第1の側(19)、前記第1のキャリア層(7)の前記第2の側(21)、前記第2のキャリア層(13)の前記第2の側(23)および/もしくは前記第2のキャリア層(13)の前記第1の側ならびに/または前記配線(17)を少なくとも部分的に覆う、少なくとも1つの保護コーティング(27)
により特徴付けられる、請求項2から4,6,及び7の一項に記載のカバー。
【請求項9】
前記保護コーティング(27)が、前記第2の周波数帯域および/または前記第1の周波数帯域内の電磁放射線に対して少なくとも部分的に透明である
ことを特徴とする、請求項に記載のカバー。
【請求項10】
前記アンテナが、レーダアンテナであること、ならびに/または、前記第1の周波数帯域が、レーダ周波数、特に10GHzから130GHz、好ましくは20GHzから100GHz、より好ましくは20GHzから30GHz、70GHzから80GHzおよび/もしくは90GHzから100GHz、最も好ましくは24GHz、77GHzもしくは93GHzである
ことを特徴とする、請求項2から4,及び6から9の一項に記載のカバー。
【請求項11】
前記第2の周波数帯域が、384THzから789THzおよび/または可視光を含むことを特徴とする、請求項2から4、及び6から10の一項に記載のカバー。
【請求項12】
前記配線(17)が、あるパターンで前記第1のキャリア層(7)、特に前記第1のキャリア層(7)の前記第1の側(19)に埋め込まれ、前記配線(17)は、少なくとも一部が少なくとも1つの周波数選択表面バンドパスフィルタを形成し、および/または前記配線(17)が、少なくとも部分的に60ミクロンよりも小さい、好ましくは40ミクロンよりも小さい、より好ましくは30ミクロンよりも小さい直径を有する
ことを特徴とする、請求項1から11の一項に記載のカバー。
【請求項13】
前記パターンが、前記第1の周波数帯域内の電磁放射線、特に、所定の偏光を有する電磁放射線に対して透明である
ことを特徴とする、請求項12に記載のカバー。
【請求項14】
前記配線に接続される少なくとも1つの第2の端子
により特徴付けられる、請求項1から13の一項に記載のカバー。
【請求項15】
少なくとも1つの第1の周波数帯域において電磁放射線を放出するおよび/または検知する少なくとも1つのアンテナのためのカバー(1)、特に、請求項1から13の一項に記載のカバー(1)を製造する方法であって、前記カバー(1)が、前記アンテナに面する少なくとも1つの第1の表面(3)、および前記アンテナから背けられた少なくとも1つの第2の表面(5)を含み、
第1のキャリア層(7)を用意するステップと、
前記第1のキャリア層(7)内に少なくとも1つの発熱体(17)を少なくとも部分的に埋め込むステップと
を含む、方法において、
前記発熱体を前記埋め込むステップが、前記第2の表面(5)に面する前記第1のキャリア層(7)の第1の側(19)の前記第1のキャリア層(7)内に前記発熱体の少なくとも1つの配線(17)を少なくとも部分的に埋め込むステップと、前記第1のキャリア層(7)の第2の側(21)に前記配線(17)を少なくとも部分的に埋め込むステップであって、前記第2の側(21)が、前記第1のキャリア層(7)の前記第1の側(19)から前記第1の表面(3)の方向へと延びる、埋め込むステップとを含み、
前記方法が、特に、スポット溶接、はんだ付けおよび/またはろう付けを使用して、前記第1の表面(3)から少なくとも一部が延びる、および/または前記第1の表面(3)上に少なくとも一部が設置される、少なくとも1つの端子(15)に前記配線(17)を接続するステップを含む
ことを特徴とする、方法。
【請求項16】
前記第1のキャリア層(7)を用意するステップが、特に、熱可塑性材料、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアクリレートおよび/またはこれらの混合物を含む、少なくとも1つの第1の材料を成型するステップ、特に射出成型するステップを含む
ことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記配線(17)を前記埋め込むステップが、特に加圧を使用して、好ましくは、超音波的に、熱的に、熱音波的におよび/または機械的に、前記第1のキャリア層(7)を少なくとも部分的に溶融するステップを含む
ことを特徴とする、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
特に、第2の周波数帯域内の電磁放射線に対して、高い反射性を有する、少なくとも1つの第1のコーティング(11)が、前記第1のキャリア層(7)の少なくとも1つの、好ましくは構造を作られた領域(9)上に、特に、前記第1の表面(3)または前記第2の表面に面する前記第1のキャリア層(7)の少なくとも1つの第3の側に設けられる
ことを特徴とする、請求項15から17の一項に記載の方法。
【請求項19】
前記方法が、特に、前記第1のキャリア層(7)内に前記配線(17)を埋め込むステップの前におよび/または前記第1のコーティング(11)を設けるステップの後に、前記第1のキャリア層(7)の前記第3の側に少なくとも1つの第2のキャリア層(13)を設けるステップをさらに含み、好ましくは、前記端子(15)は、前記第2のキャリア層(13)内に少なくとも一部が設置される
ことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2のキャリア層(13)を設けるステップが、熱可塑性材料、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アクリルニトリルエチレンスチロール(AES)および/もしくはポリカーボネートアクリロニトリルブタジエンスチレン(PCABS)ならびに/またはポリアクリレート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリカーボネート、エポキシ、フェノール類、アクリロニトリルブタジエンスチレン、アセチル材料類、ポリ(2,2’-ジヒドロキシフェニルプロパン)カーボネート、ポリジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンポリカーボネート、および/もしくはこれらの混成物を含む、第2の材料を成型するステップ、特に射出成型するステップであって、特に、前記端子(15)が、前記成型するステップ中に、好ましくは固化したプラスチックによって、決まった場所に保持される、成型するステップを含む
ことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記方法が、好ましくは、前記配線(17)を前記埋め込むステップの後に、前記第1のキャリア層(7)、前記配線(17)、前記第2のキャリア層(13)および/または前記端子(15)を特に少なくとも部分的に覆う少なくとも1つの保護コーティング(27)を設けるステップをさらに含む
ことを特徴とする、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記埋め込むステップが、据え付け配線埋め込みシステムを使用して実行され、特に、前記第1のキャリア層(7)、前記第2のキャリア層(13)および/または前記端子(15)が、前記配線埋め込みシステムの少なくとも1つの配線埋め込みヘッドに対して動かされる
ことを特徴とする、請求項19から21の一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの第1の周波数帯域において電磁放射線を放出するおよび/または検知する少なくとも1つのアンテナのためのカバーであって、カバーが、アンテナに面する少なくとも1つの第1の表面、およびアンテナから背けられた少なくとも1つの第2の表面を含む、カバーに向けられる。
【背景技術】
【0002】
アンテナがレーダ波を放出または受信するために使用されるケースではレドームと呼ばれる、このようなカバーは、先行技術から一般に知られている。このようなレドームは、自動車産業においてますます使用されている。特に、自動車産業は、将来的に自動車レーダ市場に動的に強い影響を与えるこのようなレーダシステムの技術的準備の増加を経験している。安全性の向上および車両自律性の要件により駆り立てられる、車両内の電磁波放出および/または受信デバイスにおける著しい発達がある。
【0003】
特に関心のあるものは、24GHzおよび77GHzの周波数を使用するレーダシステムであり、レーダシステムは車両の前部に設置され、自律走行制御などのさまざまなシステムの制御のために使用される。多くの場合に、このようなシステムは、レドームとして作用する自動車エンブレムなどの車両の構成部品の背後に設置される。悪い気象条件において安全性に重要なレーダシステムの機能を確実にするために、ヒータが付加されることがある。ヒータは、レーダ機能を確実にするために雪および霜のないデバイスの表面を保つだろう。
【0004】
例えば、DE102011107216A1は、車両のレーダ波の送信および受信ユニットのためのレドームを開示する。この文書に開示されたレドームは、キャリア構造と覆われた層との間に設置される加熱ユニットを備える。
【0005】
このような加熱デバイスを使用するときには、減衰および信号損失が回避されることを確実にすることが重要である。また、デバイスの外観への悪影響も回避されるべきである。
【0006】
一般に、アンテナの前に位置するメタリック品目が、減衰のこのような問題を大きくする。先行技術では、可能な限り薄い発熱体、例えば、フィルム内の導電性プリントの薄いトラックを使用することが提案された。
【0007】
しかしながら、このような方法およびデバイスは、製造すること、特に送信および受信能力への悪影響を避けるために、アンテナに対するフィルムの正確な場所を保証することが複雑である。
【0008】
さらに、発熱体は、減衰または信号損失を避けるために可能な限り薄く作られなければならない。しかしながら、加熱デバイスが製造プロセスを「生き残る」ための十分な剛性および耐性を与えるために他方では十分に厚くなければならないので、厚さの削減が制限される。このように、減衰および信号損失は、完全には除去できない。加えて、加熱されたレドーム構築が伝導性素子を有する独立したヒータパッドの提供およびヒータパッドの構築中または構築後のヒータパッドキャリア層のオーバーモールディングを含む製造方法は、高価であり、エネルギー源とヒータ素子を接続するための問題も引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、特に、車両において使用されるレドームの形態の、加熱されたカバー素子を提供すること、先行技術から知られている欠点を克服すること、特に、複雑さが少なく、したがってより安価なカバーの製造を可能にすると同時に、放出された放射線および受信された放射線に関して、より少ない減衰および損失を与えるカバー、およびこのようなカバーを製造するための方法を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
目的は、少なくとも1つの第1の周波数帯域内において電磁放射線を放出するおよび/または検知する少なくとも1つのアンテナのためのカバーによるカバーであって、カバーが、アンテナに面する少なくとも1つの第1の表面、およびアンテナから背けられた少なくとも1つの第2の表面を含み、カバーは、少なくとも1つの発熱体が埋め込まれる少なくとも1つの第1のキャリア層をさらに備え、発熱体が、カバーから少なくとも一部が延びる、および/またはカバー内に少なくとも一部が設置される、端子に接続され、発熱体が、少なくとも1つの配線を備え、さらに、配線は、第2の表面に面する第1のキャリア層の第1の側で第1のキャリア層内に少なくとも一部が埋め込まれ、第1の側から端子まで第1のキャリア層の第2の側に沿って第1の表面の方向へと延び、配線は、第1のキャリア層の外方に面している第2のキャリア層の第1の側で、および/または第2のキャリア層の第1の側を第1のキャリア層の第2の側と接続する第2のキャリア層の第2の側で、さらに少なくとも1つの第2のキャリア層内に少なくとも一部が埋め込まれ、第2のキャリアは、前記第1の表面に面する第1のキャリア層の第3の側に設置される、カバーに関して達成される。
【0011】
第1のキャリア層が、自立型であり、特に、カバーの支持構造を少なくとも部分的に形成し、第1のキャリア層が、第1の周波数帯域および/もしくは少なくとも1つの第2の周波数帯域内の電磁放射線に対して透明であり、または第1の周波数帯域内の電磁放射線に対して透明であり、第2の周波数帯域内の電磁放射線に対して少なくとも一部が不透明であり、ならびに/または端子が、第1の表面から少なくとも一部が延びるおよび/もしくは第1の表面上に少なくとも一部が設置されることが好ましい。
【0012】
前述した実施形態では、第1のキャリア層上に、特に第1のキャリア層の第3の側に、少なくとも部分的に第1のコーティングが設置され、好ましくは、第1のコーティングが、第2の周波数帯域内の電磁放射線に対して高い反射性を有し、および/または第1の周波数帯域内の電磁放射線に対して透明であり、特に、第1のコーティングは、少なくとも一部が少なくとも1つの周波数選択表面バンドパスフィルタを形成することが好ましい。
【0013】
前述した実施形態は、第1のコーティングが、少なくとも1つのロゴ、商標、文字、数字、装飾的パターンおよび/もしくは装飾的意匠の形態を有し、および/もしくは示す、ならびに/または第1のコーティングの領域内の第1のキャリア層の表面が、少なくとも部分的に構造を作られることで特徴付けられ得る。
【0014】
第2のキャリア層は、自立型であり、特に、第2のキャリア層が、カバーの支持構造を少なくとも部分的に形成し、第2のキャリア層は、第2の周波数帯域内の電磁放射線に対して好ましくは少なくとも一部が不透明であり、ならびに/または第1の周波数帯域および/もしくは第2の周波数帯域内の電磁放射線に対して少なくとも一部が透明であり、端子は、第2のキャリア層の内部に少なくとも一部が設置され、および/または第1のコーティングは、第1のキャリア層と第2のキャリア層との間に少なくとも一部が設置されることも提案される。
【0015】
前述した実施形態は、第2のキャリア層の第1の側が第1のコーティングの外方に面することで特徴付けられ得る。
【0016】
本発明のカバーは、第1のキャリア層の第1の側、第1のキャリア層の第2の側、第2のキャリア層の第2の側および/もしくは第2のキャリア層の第1の側ならびに/または配線を少なくとも部分的に覆う、少なくとも1つの保護コーティングにより特徴付けられ得る。
【0017】
この実施形態に関して、保護コーティングが、第2の周波数帯域および/または第1の周波数帯域内の電磁放射線に対して少なくとも部分的に透明であることが特に好ましい。
本発明はまた、アンテナが、レーダアンテナであること、ならびに/または、第1の周波数帯域が、レーダ周波数、特に10GHzから130GHz、好ましくは20GHzから100GHz、より好ましくは20GHzから30GHz、70GHzから80GHzおよび/もしくは90GHzから100GHz、最も好ましくは24GHz、77GHzもしくは93GHzであることも提案する。
【0018】
第2の周波数帯域が、384THzから789THzおよび/または可視光を含むことが好ましい。
カバーに関して、配線が、あるパターンで、第1のキャリア層、特に第1のキャリア層の第1の側に埋め込まれ、配線は、少なくとも一部が少なくとも1つの周波数選択表面バンドパスフィルタを形成し、および/または配線が、少なくとも部分的に60ミクロンよりも小さい、好ましくは40ミクロンよりも小さい、より好ましくは30ミクロンよりも小さい直径を有することもまた提案される。
【0019】
前述した実施形態に関して、パターンが、第1の周波数帯域内の電磁放射線、特に所定の偏光を有する電磁放射線に対して透明であることが好ましい。
最後に、本発明のカバーは、配線に接続される少なくとも1つの第2の端子により特徴付けられ得る。
【0020】
方法に関する目的は、少なくとも1つの第1の周波数帯域において電磁放射線を放出するおよび/または検知する少なくとも1つのアンテナのためのカバー、特に、先行する請求項の一項に記載のカバーを製造する方法であって、カバーが、アンテナに面する少なくとも1つの第1の表面、およびアンテナから背けられた少なくとも1つの第2の表面を有し、第1のキャリア層を用意するステップと、第1のキャリア層内に少なくとも1つの発熱体を少なくとも部分的に埋め込むステップとを含む、方法において、発熱体を埋め込むステップが、第2の表面に面する第1のキャリア層の第1の側の第1のキャリア層内に発熱体の少なくとも1つの配線を少なくとも部分的に埋め込むステップと、第1のキャリア層の第2の側に少なくとも部分的に配線を埋め込むステップであって、第2の側が、第1のキャリア層の第1の側から第1の表面の方向へと延びる、埋め込むステップとを含む、方法によって解決される。
【0021】
第1のキャリア層を用意するステップが、特に、熱可塑性材料、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアクリレートおよび/またはこれらの混合物を含む、少なくとも1つの第1の材料を成型するステップ、特に射出成型するステップを含むことが特に好ましい。
【0022】
方法は、配線を埋め込むステップが、特に加圧を使用して、好ましくは、超音波的に、熱的に、熱音波的におよび/または機械的に、第1のキャリア層を少なくとも部分的に溶融するステップを含むことでさらに特徴付けられ得る。
【0023】
方法が、特に、スポット溶接、はんだ付けおよび/またはろう付けを使用して、第1の表面から少なくとも一部が延びるおよび/または第1の表面上に少なくとも一部が設置される少なくとも1つの端子に前記配線を接続するステップを含むことも好ましい。
【0024】
本発明は、特に、第2の周波数帯域内の電磁放射線に対して、高い反射性を有する、少なくとも1つの第1のコーティングが、第1のキャリア層の少なくとも1つの、好ましくは構造を作られた領域上に、特に第1の表面または第2の表面に面する第1のキャリア層の少なくとも1つの第3の側に設けられる方法をさらに提案した。
【0025】
さらに、方法が、特に、第1のキャリア層内に配線を埋め込むステップの前におよび/または第1のコーティングを設けるステップの後に、第1のキャリア層の第3の側に少なくとも1つの第2のキャリア層を設けるステップをさらに含み、好ましくは、端子は、第2のキャリア層内に少なくとも一部が設置されることが提案される。
【0026】
前述した方法は、第2のキャリア層を設けるステップが、特に、第1の材料、熱可塑性材料、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アクリルニトリルエチレンスチロール(AES)および/もしくはポリカーボネートアクリロニトリルブタジエンスチレン(PCABS)ならびに/またはポリアクリレート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリカーボネート、エポキシ、フェノール類、アクリロニトリルブタジエンスチレン、アセチル材料類、ポリ(2,2’-ジヒドロキシフェニルプロパン)カーボネート、ポリジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンポリカーボネート、および/もしくはこれらの混成物を含む、第2の材料を成型するステップ、特に射出成型するステップであって、特に、端子が、成型するステップ中に、好ましくは、固化したプラスチックによって、決まった場所に保持される、成型するステップを含むことで特徴付けられ得る。
【0027】
さらに有利な実施形態は、方法が、好ましくは、配線を埋め込むステップの後に、第1のキャリア層、配線、第2のキャリア層および/または端子を特に少なくとも部分的に覆う、少なくとも1つの保護コーティングを設けるステップをさらに含むことで特徴付けられ得る。
【0028】
最後に、埋め込むステップが、据え付け配線埋め込みシステムを使用して実行され、特に、第1のキャリア層、第2のキャリア層および/または端子が、配線埋め込みシステムの少なくとも1つの配線埋め込みヘッドに対して動かされることが提案される。
【0029】
したがって、本発明は、特に自立型のキャリア層、特に第1および/または第2のキャリア層内に直接加熱配線を埋め込むことによってカバーへと発熱体を含ませることにより、それぞれのキャリア層が製造された後に、より安価であり欠陥の生じにくい複雑でない手順でカバーを製造することが可能になるという驚くべき発見に基づく。同時に、アンテナに対してより正確に発熱体を設置することが可能であり、そのため何らかの減衰または損失が回避され、少なくとも著しく減少される。カバーに剛性を与えない先行技術において知られている加熱パッドと比較して、発明のカバーのキャリア層は、特にカバーの自立型の特質のために、カバーの支持構造を好ましくは形成する。さらに、キャリア層、特に第1および/または第2のキャリア層の周りに配線を引き回すことが可能になり、そのため、エネルギー源と発熱体を接続するための端子が、アンテナの反対である側からは見えないカバーの側に設置されることがある。特に、端子がアンテナに面する側に設置されることがあり、そのため端子は、放射線を放出することおよび受信することに影響しないアンテナの放射領域の外である。加えて、端子は、周波数選択表面バンドパスフィルタとしてならびに/または放射線の伝送および発熱体に悪影響しないような小さな直径を有する配線を有する発熱体を形成することを可能にする。
【0030】
端子もまた、カバーに、特に第1および/または第2のキャリア層に埋め込まれることが特に好ましい。第1または第2のキャリア層が成型プロセスによって製造されるときに、端子が金型内部に設置されることが特に好ましい。
【0031】
2つのキャリア層の使用は、カバーがアンテナの前のエンブレムとして使用され得ることを可能にする。この狙いに達するために、第1のキャリア層が可視範囲内の電磁放射線ならびにアンテナにより放出される電磁放射線に対して透明であることが好ましい。可視範囲内の電磁放射線に対して高い反射性を有する第1のコーティングを第1のキャリア層からキャリア層の上へと少なくとも部分的に堆積することが可能である。カバーの外観を高めるために、第1および/または第2のキャリア層が、3Dロゴを形成するように第1のコーティングの領域内に構造を作られることは価値があることがある。
【0032】
したがって、カバーを見渡している人物は、第1のコーティングの領域を見るだけだろう。この点に関して、コーティングがアンテナにより送信されたおよび受信された放射線の伝送を可能にする周波数選択表面バンドパスフィルタを形成することが好ましい。
【0033】
外観を高めるために、第2のキャリア層がアンテナの放射線に対して透明であるが、可視光に対して不透明であるケースではさらに有利なはずである。このようにして、第1のキャリア層の側から見ているユーザは、アンテナを見ないが、第1のコーティングによって示されるロゴを見るだけである。配線が、アンテナの外方に面する側の第1のコーティング内に埋め込まれ、次いで第1のキャリアの第2の側に配線を埋め込むことによって第1のキャリア層の周りを引き回され、次いで第2のキャリアの第2の側に配線を埋め込み、最後にアンテナに向けられるキャリア層上に設置された端子まで配線を引き回すことが好ましい。
【0034】
カバーの使用中に配線の何らかの損傷を避けるために、配線が設置されるまたは埋め込まれるキャリア層の少なくとも領域に保護コーティングを設置することが好ましいことがある。
【0035】
保護コーティングは、可視範囲内の電磁放射線に対してならびにアンテナの電磁放射線に対して好ましくは透明である。
本発明を用いると、キャリア層に配線を埋め込むことが可能になり、そのため配線がパターンおよび/または周波数選択表面バンドパスフィルタを形成する。特にパターンおよび/またはフィルタは、アンテナにより送信されたおよび受信された電磁放射線が少なくとも放射線の所定の偏光に対して減衰しないように形成される。
【0036】
好ましくは、キャリア層は、外部の影響に対して高い耐性を与え、望まれる透明性および視認特性をさらに与える熱可塑性材料を使用する射出成型プロセスで製造される。
配線は、超音波溶融によってキャリア層へと少なくとも一部が埋め込まれることが提案される。この技術は特に、所定の場所で所望の位置に配線を設置するように配線ヘッドに対してキャリア層を設置するために3D方向にキャリア層が動かされる据え付け埋め込み配線システムによって、埋め込むステップが実行されることを可能にする。この方法は、配線埋め込みヘッドが三次元に動かされることを必要とせずにキャリア層の前面、側面および背面に配線を設置することを可能にするので好ましい。
【0037】
ヒータ配線素子は、事前に組み立てられ、溶接、はんだ付けまたはろう付けなどの接合プロセスを介した容易な接続を可能にする端子の上方に配線を据えることによってキャリア層が製造されるときに、キャリア層内に既に設置された端子に好ましくは接続される。再び、アンテナに向けられるカバーの側の端子の場所は、このような溶接がアンテナの送信特性および受信特性に悪影響しないという利点につながる。
【0038】
発明のさらなる利点は、同封の図の助けを借りて説明される発明の好ましい実施形態の下記の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】発明によるカバーの模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
カバー1は、図1には示されないアンテナに面する第1の表面3を含む。第2の表面5は、アンテナから背けられた側に位置する。カバー1は、少なくとも領域9内に構造を作られる第1のキャリア層7をさらに備える。
【0041】
キャリア層7は、アンテナにより放出され、受信される放射線、ならびに可視範囲内の放射線に対して透明である材料から作られる。構造を作られる領域9には、しかしながら第1のコーティングが設置される。コーティング11は、少なくとも可視範囲内の電磁放射線に対して高い反射性を有し、そのためコーティングは、カバー1の第2の表面5を見ているユーザにより見られることがある。このことがカバー1の内部にロゴを製造することを可能にする。
【0042】
第2のキャリア層13が、第1の表面3に面する第1のキャリア層7の側に設置される。第1のキャリア層とは対照的に、第2のキャリア層は、可視範囲内の電磁放射線に対して不透明である。このようにして、表面5の側からカバー1を見ているユーザは、コーティング11を見ることができるが、キャリア層13の背後に設置されたアンテナを見ることができない。
【0043】
第2のキャリア層13に少なくとも一部が埋め込まれたものは、端子15である。端子15は、発熱体カバー1をエネルギー源と接続することを可能にする。当然ながら、第2の端子は、発熱体用の閉電気回路を形成するために設けられる。さらなる端子は、図に示されない。加熱デバイスは、配線17を備える。配線17は、表面5の方向へと面している第1の側19の第1のキャリア層に埋め込まれる。
【0044】
さらに、配線17は、それぞれ、第2のキャリア層13および端子15の方向へと側面21(第1のキャリア層の第2の側)上を引き回される。この目的のために、配線17は、端子15が設置される第2のキャリア層13の側24へと第2のキャリア層の側面23に沿って引き回される。配線17は、溶接またははんだ付けによって領域25内で端子15に接続される。外の環境の影響からカバー1を保護するために、第2のコーティング27が、特に配線17が埋め込まれる領域内の第1のキャリア7層および第2のキャリア層13を少なくとも部分的に覆う。
【0045】
カバー1の構築は、カバー1の容易でより安価な製造を可能にし、特に、アンテナに対する発熱体の正確な場所を可能にし、アンテナの送信特性および/または受信特性に悪影響しない非常に細い配線を使用することを可能にする。
【0046】
下記では、発明の方法によるカバー1の製造が説明される。
第1のステップでは、第1のキャリア層7が形成される。これは、第1の材料、特にポリカーボネートのような熱可塑性材料の射出成型プロセスにより特に実行される。金型は、構造を作られる領域9を製造するために特別に形成される。
【0047】
次のステップでは、領域9および/または第1のキャリア層7の他の部分が、エンブレムの外形の印象を与えるためにコーティング11を用いて少なくとも部分的に覆われる。次のステップでは、キャリア層7およびコーティング11によって形成された部分が、第2の材料、例えば、不透明AES/ABS材料によってオーバーモールドされる。この成型ステップ中に、端子15が所定の場所に置かれ、例えば、固化したプラスチック材料によって決まった場所に保持される。あるいは、端子15は、コネクタを介して成型されることがある。両方の方法において、端子15の一部分が、露出したまま残され、これは、配線17のための接続領域を設けるためにオーバーモールドされないことを意味する。
【0048】
発明によれば、カバー1の主構造、特に第1のキャリア層および/または第2のキャリア層13の製造の後に、発熱体が形成される。これは、配線トラック、特に銅配線トラックを形成する配線17を、第1のキャリア層7および第2のキャリア層13のそれぞれの表面へと埋め込むことによって達せられる。特に超音波溶接により行われる埋め込みプロセスは、例えば、40μmの直径を有する非常に細い配線の使用を可能にする。このような配線直径は、アンテナの放射線の減衰を著しく減少させる。さらに、周波数選択表面バンドパスフィルタを形成するためのパターンの形態で配線を埋め込むことが可能になる。この技術は、さらにに、据え付け埋め込み配線システムを使用することを可能にし、配線システムでは、特に第1および第2のキャリア層を含む事前形成したカバーが、リールを介して配線を供給する配線埋め込みヘッドに対して動かされる。配線は、カバー1のそれぞれの部分に特に埋め込まれ、そのため配線が、端子15の領域25の全体にわたって走る。これが、スポット溶接、はんだ付けまたはろう付けによって配線と端子15との間に接合を形成することを可能にする。
【0049】
カバー、特に発熱体の耐久性を向上させるために、配線が埋め込まれた後に、第2の保護コーティングが、少なくとも配線トラックの領域内に透明熱可塑性材料、特にポリカーボネートを設置する、好ましくは射出成型によって製造されることが好ましい。このことが、配線に対する保護を与え、保護コーティングが、埋め込みプロセスからのすべての突起/欠陥を隠す。
【0050】
代わりの実施形態では、カバーの構造、特にそれぞれの層の順番、コーティングならびに配線および端子の位置は、特に、前の段落で説明した方法と比較して製造の代わりの方法を使用することも含め、変更されることがある。特に、第1のキャリア層が、アンテナに面するカバーの側に設置されることがあり、第2のキャリア層が、アンテナから背けられたカバーの側に設置されることがある。このケースにおけるカバーの製造に関して、第1のキャリア層が設けられる、加熱配線は、第1のコーティングが第1のキャリア層のアンテナの外方に面する側に付けられる前に、アンテナの外方に面する第1のキャリア層の側の第1のキャリア層内に埋め込まれる。次のステップでは、第2のキャリア層が、アンテナの外方に面する第1のキャリア層の側に設置される。またこの実施形態では、保護コーティングが付けられることがある。
【0051】
ユーザにとってのアンテナの視認性を避けるために、第1のキャリア層は、可視光に対して少なくとも部分的に不透明であり得、ところが第2のキャリア層は、(反射性の)第1のコーティングの視認性を可能にするために可視光に対して透明であり得る。
【0052】
この実施形態では、配線は、アンテナに面する第1のキャリア層の側に設置される端子まで第1のキャリア層の周りに延びるはずである。
したがって、要約すると、アンテナの側から見たときに、この実施形態では、カバーは、端子、第1のキャリア層、埋め込まれた加熱配線、第1のコーティング、第2のキャリア層および保護コーティングを備えることがある。
【0053】
明細書、特許請求の範囲および図に開示した特徴は、単独でまたは他の特徴との組み合わせで捕らえられときに、両方ともそれぞれの実施形態において特許請求した主題にとって本質的であり得る。
(項目1)
少なくとも1つの第1の周波数帯域において電磁放射線を放出するおよび/または検知する少なくとも1つのアンテナのためのカバー(1)であって、前記カバー(1)が、前記アンテナに面する少なくとも1つの第1の表面(3)、および前記アンテナから背けられた少なくとも1つの第2の表面(5)を含み、前記カバー(1)が、少なくとも1つの発熱体(17)が埋め込まれる少なくとも1つの第1のキャリア層(7)をさらに備え、前記発熱体(17)が、前記カバー(1)から少なくとも一部が延びる、および/または前記カバー(1)内に少なくとも一部が設置される、端子(15)に接続され、前記発熱体が、少なくとも1つの配線(17)を備え、さらに、前記配線(17)は、前記第2の表面(5)に面する前記第1のキャリア層(7)の第1の側(19)で前記第1のキャリア層(7)内に少なくとも一部が埋め込まれ、前記第1の側(19)から前記端子(17)まで前記第1のキャリア層(7)の第2の側(21)に沿って前記第1の表面(3)の方向へと延びる、カバー。
(項目2)
前記第1のキャリア層(7)が、自立型であり、特に前記カバー(1)の支持構造を少なくとも部分的に形成し、前記第1のキャリア層(7)が、前記第1の周波数帯域および/もしくは少なくとも1つの第2の周波数帯域内の電磁放射線に対して透明であり、または前記第1の周波数帯域内の電磁放射線に対して透明であり、前記第2の周波数帯域内の電磁放射線に対して少なくとも一部が不透明であり、ならびに/または前記端子(15)が、前記第1の表面(3)から少なくとも一部が延びる、および/もしくは前記第1の表面(3)上に少なくとも一部が設置される
ことを特徴とする、項目1に記載のカバー。
(項目3)
前記第1のキャリア層(7)上に、特に、前記第1の表面(3)または前記第2の表面に面する前記第1のキャリア層(7)の少なくとも1つの第3の側に、少なくとも部分的に第1のコーティング(11)が設置され、好ましくは、前記第1のコーティング(11)が、前記第2の周波数帯域内の電磁放射線に対して高い反射性を有し、および/または前記第1の周波数帯域内の電磁放射線に対して透明であり、特に、前記第1のコーティング(11)は、少なくとも一部が少なくとも1つの周波数選択表面バンドパスフィルタを形成する
ことを特徴とする、項目1または2に記載のカバー。
(項目4)
前記第1のコーティング(11)が、少なくとも1つのロゴ、商標、文字、数字、装飾的パターンおよび/もしくは装飾的意匠の形態を有し、および/もしくは示し、ならびに/または前記第1のコーティング(11)の領域(9)内の第1のキャリア層(7)の前記表面が、少なくとも部分的に構造を作られる
ことを特徴とする、項目3に記載のカバー。
(項目5)
前記第1のキャリア層(7)の前記第3の側に、少なくとも1つの、好ましくは自立型の、第2のキャリア層(13)が設置され、特に、前記第2のキャリア層(13)が、前記カバー(1)の支持構造を少なくとも部分的に形成し、前記第2のキャリア層(13)が、前記第2の周波数帯域内の電磁放射線に対して好ましくは少なくとも一部が不透明であり、ならびに/または前記第1の周波数帯域および/もしくは前記第2の周波数帯域内の電磁放射線に対して少なくとも一部が透明であり、前記端子(15)は、前記第2のキャリア層(13)の内部に少なくとも一部が設置され、および/または前記第1のコーティング(11)は、前記第1のキャリア層(7)と前記第2のキャリア層(13)との間に少なくとも一部が設置される
ことを特徴とする、項目1から4の一項に記載のカバー。
(項目6)
前記配線(17)は、特に、前記第1のキャリア層(7)および前記第1のコーティング(11)の外方に面する前記第2のキャリア層(13)の第1の側ならびに/または前記第2のキャリア層(13)の前記第1の側を前記第1のキャリア層(7)の前記第2の側(21)と接続する前記第2のキャリア層(13)の第2の側(23)で、前記第2のキャリア層(13)内に少なくとも一部が埋め込まれる
ことを特徴とする、項目5に記載のカバー。
(項目7)
前記第1のキャリア層(7)の前記第1の側(19)、前記第1のキャリア層(7)の前記第2の側(21)、前記第2のキャリア層(13)の前記第2の側(23)および/もしくは前記第2のキャリア層(13)の前記第1の側ならびに/または前記配線(17)を少なくとも部分的に覆う、少なくとも1つの保護コーティング(27)
により特徴付けられる、項目1から6の一項に記載のカバー。
(項目8)
前記保護コーティング(27)が、前記第2の周波数帯域および/または前記第1の周波数帯域内の電磁放射線に対して少なくとも部分的に透明である
ことを特徴とする、項目7に記載のカバー。
(項目9)
前記アンテナが、レーダアンテナであること、ならびに/または、前記第1の周波数帯域が、レーダ周波数、特に10GHzから130GHz、好ましくは20GHzから100GHz、より好ましくは20GHzから30GHz、70GHzから80GHzおよび/もしくは90GHzから100GHz、最も好ましくは24GHz、77GHzもしくは93GHzである
ことを特徴とする、項目1から8の一項に記載のカバー。
(項目10)
前記第2の周波数帯域が、384THzから789THzおよび/または可視光を含むことを特徴とする、項目1から9の一項に記載のカバー。
(項目11)
前記配線(17)が、あるパターンで前記第1のキャリア層(7)、特に前記第1のキャリア層(7)の前記第1の側(19)に埋め込まれ、前記配線(17)は、少なくとも一部が少なくとも1つの周波数選択表面バンドパスフィルタを形成し、および/または前記配線(17)が、少なくとも部分的に60ミクロンよりも小さい、好ましくは40ミクロンよりも小さい、より好ましくは30ミクロンよりも小さい直径を有する
ことを特徴とする、項目1から10の一項に記載のカバー。
(項目12)
前記パターンが、前記第1の周波数帯域内の電磁放射線、特に、所定の偏光を有する電磁放射線に対して透明である
ことを特徴とする、項目11に記載のカバー。
(項目13)
前記配線に接続される少なくとも1つの第2の端子
により特徴付けられる、項目1から12の一項に記載のカバー。
(項目14)
少なくとも1つの第1の周波数帯域において電磁放射線を放出するおよび/または検知する少なくとも1つのアンテナのためのカバー(1)、特に、項目1から13の一項に記載のカバー(1)を製造する方法であって、前記カバー(1)が、前記アンテナに面する少なくとも1つの第1の表面(3)、および前記アンテナから背けられた少なくとも1つの第2の表面(5)を含み、
第1のキャリア層(7)を用意するステップと、
前記第1のキャリア層(7)内に少なくとも1つの発熱体(17)を少なくとも部分的に埋め込むステップと
を含む、方法において、
前記発熱体を前記埋め込むステップが、前記第2の表面(5)に面する前記第1のキャリア層(7)の第1の側(19)の前記第1のキャリア層(7)内に前記発熱体の少なくとも1つの配線(17)を少なくとも部分的に埋め込むステップと、前記第1のキャリア層(7)の第2の側(21)に前記配線(17)を少なくとも部分的に埋め込むステップであって、前記第2の側(21)が、前記第1のキャリア層(7)の前記第1の側(19)から前記第1の表面(3)の方向へと延びる、埋め込むステップとを含む
ことを特徴とする、方法。
(項目15)
前記第1のキャリア層(7)を用意するステップが、特に、熱可塑性材料、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアクリレートおよび/またはこれらの混合物を含む、少なくとも1つの第1の材料を成型するステップ、特に射出成型するステップを含む
ことを特徴とする、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記配線(17)を前記埋め込むステップが、特に加圧を使用して、好ましくは、超音波的に、熱的に、熱音波的におよび/または機械的に、前記第1のキャリア層(7)を少なくとも部分的に溶融するステップを含む
ことを特徴とする、項目14または15に記載の方法。
(項目17)
前記方法が、特に、スポット溶接、はんだ付けおよび/またはろう付けを使用して、前記第1の表面(3)から少なくとも一部が延びる、および/または前記第1の表面(3)上に少なくとも一部が設置される、少なくとも1つの端子(15)に前記配線(17)を接続するステップを含む
ことを特徴とする、項目14から16の一項に記載の方法。
(項目18)
特に、第2の周波数帯域内の電磁放射線に対して、高い反射性を有する、少なくとも1つの第1のコーティング(11)が、前記第1のキャリア層(7)の少なくとも1つの、好ましくは構造を作られた領域(9)上に、特に、前記第1の表面(3)または前記第2の表面に面する前記第1のキャリア層(7)の少なくとも1つの第3の側に設けられる
ことを特徴とする、項目14から17の一項に記載の方法。
(項目19)
前記方法が、特に、前記第1のキャリア層(7)内に前記配線(17)を埋め込むステップの前におよび/または前記第1のコーティング(11)を設けるステップの後に、前記第1のキャリア層(7)の前記第3の側に少なくとも1つの第2のキャリア層(13)を設けるステップをさらに含み、好ましくは、前記端子(15)は、前記第2のキャリア層(13)内に少なくとも一部が設置される
ことを特徴とする、項目14から18の一項に記載の方法。
(項目20)
前記第2のキャリア層(13)を設けるステップが、特に、前記第1の材料、熱可塑性材料、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アクリルニトリルエチレンスチロール(AES)および/もしくはポリカーボネートアクリロニトリルブタジエンスチレン(PCABS)ならびに/またはポリアクリレート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリカーボネート、エポキシ、フェノール類、アクリロニトリルブタジエンスチレン、アセチル材料類、ポリ(2,2’-ジヒドロキシフェニルプロパン)カーボネート、ポリジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンポリカーボネート、および/もしくはこれらの混成物を含む、第2の材料を成型するステップ、特に射出成型するステップであって、特に、前記端子(15)が、前記成型するステップ中に、好ましくは固化したプラスチックによって、決まった場所に保持される、成型
するステップを含む
ことを特徴とする、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記方法が、好ましくは、前記配線(17)を前記埋め込むステップの後に、前記第1のキャリア層(7)、前記配線(17)、前記第2のキャリア層(13)および/または前記端子(15)を特に少なくとも部分的に覆う少なくとも1つの保護コーティング(27)を設けるステップをさらに含む
ことを特徴とする、項目14から20の一項に記載の方法。
(項目22)
前記埋め込むステップが、据え付け配線埋め込みシステムを使用して実行され、特に、前記第1のキャリア層(7)、前記第2のキャリア層(13)および/または前記端子(15)が、前記配線埋め込みシステムの少なくとも1つの配線埋め込みヘッドに対して動かされる
ことを特徴とする、項目14から21の一項に記載の方法。
【符号の説明】
【0054】
1 カバー
3 表面
5 表面
7 キャリア層
9 構造を作られた領域
11 コーティング
13 キャリア層
15 端子
17 配線
19 側
21 側
23 側
24 側
25 領域
27 コーティング
図1