(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】医療用撮像装置を医療用撮像コントローラに接続するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240827BHJP
A61B 1/04 20060101ALI20240827BHJP
A61B 1/06 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
A61B1/00 680
A61B1/00 640
A61B1/04 520
A61B1/06 520
(21)【出願番号】P 2021540458
(86)(22)【出願日】2020-01-13
(86)【国際出願番号】 US2020013380
(87)【国際公開番号】W WO2020146894
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2023-01-12
(32)【優先日】2019-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595148888
【氏名又は名称】ストライカー コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Stryker Corporation
【住所又は居所原語表記】2825 Airview Boulevard Kalamazoo MI 49002 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トラン, リーヴィー
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンス, ロバート サード
(72)【発明者】
【氏名】サブラマニアン, ロヒット
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-061823(JP,A)
【文献】特表2010-503134(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0327751(US,A1)
【文献】特開2018-063530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用撮像装置を医療用撮像コントローラに接続するケーブルであって、
医療用撮像装置に前記ケーブルを接続するための、前記ケーブルの遠位端に配置された第1のコネクタと、
医療用撮像コントローラに前記ケーブルを接続するための、前記ケーブルの近位端に配置された第2のコネクタと、
少なくとも1つのメモリを有する回路基板であって、前記少なくとも1つのメモリが少なくとも前記ケーブルに関連する認証情報
と前記ケーブルに関連する医療用撮像装置を識別するための識別情報とを格納し、前記第2のコネクタに接続された医療用撮像コントローラによる前記認証情報へのアクセスを可能にするために、当該回路基板上の通信バスを介して前記第2のコネクタに通信可能に接続される回路基板と、
前記第1のコネクタに接続された医療用撮像装置から前記第2のコネクタに接続された医療用撮像コントローラに撮像データを通信するための、前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとの間に延びる1以上の導電性の撮像通信線であって、前記回路基板上の前記通信バスをバイパスする1以上の導電性の撮像通信線と、
を有することを特徴とするケーブル。
【請求項2】
前記少なくとも1つのメモリは、複数のメモリを有することを特徴とする請求項
1に記載のケーブル。
【請求項3】
前記認証情報は、前記回路基板上の認証チップのメモリに格納され、
前記識別情報は、前記回路基板の別のメモリに格納される
ことを特徴とする請求項
1に記載のケーブル。
【請求項4】
前記回路基板は、前記医療用撮像コントローラと前記少なくとも1つのメモリの少なくとも一部との間の通信を容易にするための1以上のプロセッサを有することを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載のケーブル。
【請求項5】
前記1以上のプロセッサは、前記少なくとも1つのメモリの前記少なくとも一部に格納された1以上の医療用撮像装置のキャリブレーションパラメータの、前記医療用撮像コントローラへの通信を容易にするように構成されることを特徴とする請求項
4に記載のケーブル。
【請求項6】
少なくとも非撮像データを、前記医療用撮像装置から前記回路基板に、または前記医療用撮像装置から前記回路基板を介して通信するための、前記第1のコネクタと前記回路基板との間に延びる少なくとも1つの補助通信線をさらに有することを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか1項に記載のケーブル。
【請求項7】
前記通信バスは、前記第2のコネクタと通信可能に連結され、
前記少なくとも1つの補助通信線は、前記通信バスに接続される
ことを特徴とする請求項
6に記載のケーブル。
【請求項8】
前記少なくとも1つのメモリの少なくとも一部は、前記通信バスに直接接続されることを特徴とする請求項
7に記載のケーブル。
【請求項9】
前記回路基板は、前記ケーブルの前記近位端に配置されることを特徴とする請求項1乃至
8のいずれか1項に記載のケーブル。
【請求項10】
前記回路基板は、前記ケーブルの一部として一体的に形成されることを特徴とする請求項1乃至
9のいずれか1項に記載のケーブル。
【請求項11】
前記回路基板は、前記ケーブルの減菌中に前記回路基板を保護するためにオーバーモールドされていることを特徴とする請求項
10に記載のケーブル。
【請求項12】
前記第1のコネクタに近接して配置された第2の回路基板をさらに有することを特徴とする請求項1乃至
11のいずれか1項に記載のケーブル。
【請求項13】
前記少なくとも1つのメモリは、医療用撮像装置の実行時間、医療用撮像装置のタイプ、医療用撮像装置の使用カウント、医療用撮像装置のボタン操作カウント、ケーブルの識別情報、ケーブルのタイプ、医療用撮像装置の識別情報、医療用撮像装置のキャリブレーション情報、及び医療用撮像装置の画素補償情報の少なくともいずれかを格納することを特徴とする請求項1乃至
12のいずれか1項に記載のケーブル。
【請求項14】
前記第2のコネクタに接続された医療用撮像コントローラから前記第1のコネクタに接続された医療用撮像装置に撮像制御信号を通信するための、前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとの間に延びる1以上の撮像制御線をさらに有し、
前記1以上の撮像制御線は、前記回路基板の前記通信バスをバイパスする
ことを特徴とする請求項
13に記載のケーブル。
【請求項15】
前記第1のコネクタは、内視鏡カメラヘッド、医療用顕微鏡カメラヘッド、及びオープンフィールド医療用カメラヘッドの少なくともいずれかに接続されるよう構成されることを特徴とする請求項1乃至
14のいずれか1項に記載のケーブル。
【請求項16】
前記1以上の導電性の撮像通信線は、ピクセルデータ及びボクセルデータの少なくともいずれかを通信するように構成されることを特徴とする請求項1乃至
15のいずれか1項に記載のケーブル。
【請求項17】
請求項1乃至
16のいずれか1項に記載のケーブルに接続された医療用撮像装置を有する装置。
【請求項18】
前記医療用撮像装置は、内視鏡カメラヘッド、医療用顕微鏡カメラヘッド、またはオープンフィールド医療用カメラヘッドであることを特徴とする請求項
17に記載の装置。
【請求項19】
請求項1乃至
16のいずれか1項に記載のケーブルと、当該ケーブルにより接続された医療用撮像装置及び医療用撮像コントローラとを有する医療用撮像システムであって、
前記医療用撮像コントローラは、1以上のプロセッサと、メモリと、前記1以上のプロセッサによる実行のために前記メモリに格納された1以上のプログラムを有し、
前記1以上のプログラムは、
前記ケーブルの前記回路基板の前記少なくとも1つのメモリに格納された前記認証情報にアクセスし、
前記少なくとも1つのメモリに格納された前記認証情報に基づいて、前記ケーブルを認証する
命令を含むことを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項1乃至
16のいずれか1項に記載のケーブルで医療用撮像装置に接続された医療用撮像コントローラにより当該ケーブルを認証する方法であって、
前記医療用撮像コントローラは、1以上のプロセッサと、メモリと、前記1以上のプロセッサによる実行のために前記メモリに格納された1以上のプログラムを有し、
前記方法は、
前記ケーブルの前記回路基板の前記少なくとも1つのメモリに格納された前記認証情報にアクセスし、
前記少なくとも1つのメモリに格納された前記認証情報に基づいて、前記ケーブルを認証する
ことを含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
コンピュータに、請求項
20に記載の方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ可読媒体。
【請求項22】
コンピュータに、請求項
20に記載の方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、医療用撮像に関し、特に医療用撮像装置の医療用撮像コントローラへの接続に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願へのクロスリファレンス)
本出願は2019年1月13日に出願された米国仮出願第62/791828号の利点を主張し、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
医療用システム、器具またはツールは、様々な目的のために、外科手術前、外科手術中、または手術後に利用される。これらの医療用ツールのいくつかは、一般に内視鏡処置またはオープンフィールド処置と呼ばれるものに使用され得る。例えば、医療分野における内視鏡検査は、従来の完全侵襲外科手術を使用することなく、患者の身体の内部特徴を見ることができる。内視鏡撮像システムは、外科医が手術部位を見ることができるように内視鏡を組み込んでおり、内視鏡ツールは当該部位における低侵襲外科手術を可能にする。このようなツールは、例えば骨及び硬組織を機械的に切断するシェーバ型デバイスや、アブレーションによって組織を除去したり、手術部位における出血を最小限にせしめるべく組織を凝固させたりするために使用される高周波(RF)プローブであり得る。
【0004】
内視鏡手術では、体内の外科的処置を行う必要がある位置に、内視鏡が配置される。上述の内視鏡ツールのような他の手術器具も、体内の手術部位に配置される。外科医は、内視鏡を通して手術部位を観察し、ツールを操作して所望の外科的処置を実行する。いくつかの内視鏡は、内視鏡により受信した画像を処理する目的で、カメラヘッドと共に使用可能である。内視鏡カメラシステムは、典型的には、ケーブルでカメラ制御ユニット(CCU)に接続されたカメラヘッドを含む。CCUは、ケーブルを介してカメラの撮像センサから受信した入力画像データを処理した後、表示用の画像データを出力する。内視鏡カメラシステムの解像度及びフレームレートは増大し続けており、システムの各コンポーネントはそれに応じて設計されなければならない。
【0005】
ケーブルでCCUに接続されたカメラヘッドを含み得る別のタイプの医療用撮像素子は、オープンフィールド撮像素子である。オープンフィールド撮像素子は、形成処置、顕微処置、再建処置、及び胃腸処置中の、血管内の血流及び関連する組織潅流を可視化する等、開放された術野を撮像するために使用され得る。
【0006】
内視鏡撮像システム、オープンフィールド撮像システム、及び他のタイプの医療用撮像システムのカメラヘッドは、様々な医療専門分野及び/または処置のために異なる形態及び機能を有する、専門化されていてもよい。CCUは、カメラヘッドの種類に応じて、撮像データの処理を異ならせ得る。従って、CCUがカメラヘッドを識別し、カメラヘッドに関する情報を有することが可能であることが望ましい。この情報は、ユーザにとって最良の精度と所望の表示とを実現するために、様々な異なる目的のために使用することができる。
【発明の概要】
【0007】
いくつかの実施形態によれば、カメラヘッドをCCUに接続するためのケーブルは、接続されたCCUがケーブルを認証できるようにするために、ケーブルに一体化されたプリント回路基板を含む。プリント回路基板は、暗号鍵等の認証情報の安全な記憶を可能にし、適切なケーブルが使用されていることを安全に確認可能にせしめる、CCUとの暗号化通信に必要な動作を実行する認証コンポーネントを含んでもよく、これにより撮像システムの最適な性能の保証に役立つことができる。いくつかの実施形態では、回路基板は、カメラヘッド及びケーブル自体についての情報を記憶する1以上のコンポーネントを含む。ケーブルにおける認証能力は、このカメラヘッド及びケーブル情報が信頼できることを保証する。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、医療用撮像装置を医療用撮像コントローラに接続するケーブルは、医療用撮像装置に前記ケーブルを接続するための、前記ケーブルの遠位端に配置された第1のコネクタと、医療用撮像コントローラに前記ケーブルを接続するための、前記ケーブルの近位端に配置された第2のコネクタとを含む。前記ケーブルは、少なくとも1つのメモリを有する回路基板を含み、前記少なくとも1つのメモリは、少なくとも前記ケーブルに関連する認証情報を格納し、前記回路基板は、前記第2のコネクタに接続された医療用撮像コントローラによる前記認証情報へのアクセスを可能にするために、当該回路基板上の通信バスを介して前記第2のコネクタに通信可能に接続される。前記ケーブルは、前記第1のコネクタに接続された医療用撮像装置から前記第2のコネクタに接続された医療用撮像コントローラに撮像データを通信するための、前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとの間に延びる1以上の撮像通信線を含み、前記1以上の撮像通信線は、前記回路基板上の前記通信バスをバイパスする。
【0009】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記少なくとも1つのメモリは、前記ケーブルに関連する医療用撮像装置を識別するための識別情報をさらに格納し得る。
【0010】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記少なくとも1つのメモリは、複数のメモリを含み得る。
【0011】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記認証情報は、認証チップのメモリのような前記回路基板上のメモリに格納され得、前記識別情報は、前記回路基板の別のメモリに格納され得る。
【0012】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記回路基板は、前記医療用撮像コントローラと前記少なくとも1つのメモリの少なくとも一部との間の通信を容易にするための1以上のプロセッサを含み得る。
【0013】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記1以上のプロセッサは、前記少なくとも1つのメモリの前記少なくとも一部に格納された1以上の医療用撮像装置のキャリブレーションパラメータの、前記医療用撮像コントローラへの通信を容易にするように構成され得る。
【0014】
これらの実施形態のいずれかにおいて、少なくとも非撮像データを、前記医療用撮像装置から前記回路基板に、または前記医療用撮像装置から前記回路基板を介して通信するための、前記第1のコネクタと前記回路基板との間に延びる少なくとも1つの補助通信線をさらに含み得る。
【0015】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記通信バスは、前記第2のコネクタと通信可能に連結され得、前記少なくとも1つの補助通信線は、前記通信バスに接続され得る。
【0016】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記少なくとも1つのメモリの少なくとも一部は、前記通信バスに直接接続され得る。
【0017】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記回路基板は、前記ケーブルの前記近位端に配置され得る。
【0018】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記回路基板は、前記ケーブルの一部として一体的に形成され得る。
【0019】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記回路基板は、前記ケーブルの減菌中に前記回路基板を保護するためにオーバーモールドされ得る。
【0020】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記ケーブルは、前記第1のコネクタに近接して配置された第2の回路基板をさらに含み得る。
【0021】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記少なくとも1つのメモリは、医療用撮像装置の実行時間、医療用撮像装置のタイプ、医療用撮像装置の使用カウント、医療用撮像装置のボタン操作カウント、ケーブルの識別情報、ケーブルのタイプ、医療用撮像装置の識別情報、医療用撮像装置のキャリブレーション情報、及び医療用撮像装置の画素補償情報の少なくともいずれかを格納し得る。
【0022】
これらの実施形態のいずれかにおいて、1以上の撮像制御線が、前記第2のコネクタに接続された医療用撮像コントローラから前記第1のコネクタに接続された医療用撮像装置に撮像制御信号を通信するために、前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとの間に延び得、前記1以上の撮像制御線が、前記回路基板の前記通信バスをバイパスする。
【0023】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記第1のコネクタは、内視鏡カメラヘッド、医療用顕微鏡カメラヘッド、及びオープンフィールド医療用カメラヘッドの少なくともいずれかに接続され得る。
【0024】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記1以上の撮像通信線は、ピクセルデータ及びボクセルデータの少なくともいずれかを通信するように構成され得る。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、装置は、ケーブルに接続された医療用撮像装置を含み、前記ケーブルは、医療用撮像装置に前記ケーブルを接続するための、前記ケーブルの遠位端に配置された第1のコネクタと、医療用撮像コントローラに前記ケーブルを接続するための、前記ケーブルの近位端に配置された第2のコネクタと、少なくとも1つのメモリを有する回路基板であって、前記少なくとも1つのメモリが少なくとも前記ケーブルに関連する認証情報を格納し、前記第2のコネクタに接続された医療用撮像コントローラによる前記認証情報へのアクセスを可能にするために、当該回路基板上の通信バスを介して前記第2のコネクタに通信可能に接続される回路基板と、前記第1のコネクタに接続された医療用撮像装置から前記第2のコネクタに接続された医療用撮像コントローラに撮像データを通信するための、前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとの間に延びる1以上の撮像通信線であって、前記1以上の撮像通信線が、前記回路基板上の前記通信バスをバイパスする、1以上の撮像通信線と、を含む。
【0026】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記少なくとも1つのメモリは、前記医療用撮像装置のための識別情報をさらに格納し得る。
【0027】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記少なくとも1つのメモリは、複数のメモリを含み得る。
【0028】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記認証情報は、前記回路基板上の認証チップのメモリに格納され得、前記識別情報は、前記回路基板の別のメモリに格納され得る。
【0029】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記回路基板は、前記医療用撮像コントローラと前記少なくとも1つのメモリの少なくとも一部との間の通信を容易にするための1以上のプロセッサを含み得る。
【0030】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記1以上のプロセッサは、前記少なくとも1つのメモリの前記少なくとも一部に格納された1以上の医療用撮像装置のキャリブレーションパラメータの通信を容易にするように構成され得る。
【0031】
これらの実施形態のいずれかにおいて、少なくとも非撮像データを前記医療用撮像装置から前記回路基板に通信するための、前記第1のコネクタと前記回路基板との間に延びる少なくとも1つの補助通信線をさらに含み得る。
【0032】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記通信バスは、前記第2のコネクタと通信可能に連結され得、前記少なくとも1つの補助通信線は、前記通信バスに接続され得る。
【0033】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記少なくとも1つのメモリの少なくとも一部は、前記通信バスに直接接続され得る。
【0034】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記回路基板は、前記ケーブルの前記近位端に配置され得る。
【0035】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記回路基板は、前記ケーブルの一部として一体的に形成され得る。
【0036】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記回路基板は、前記ケーブルの減菌中に前記回路基板を保護するためにオーバーモールドされ得る。
【0037】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記ケーブルは、前記第1のコネクタに近接して配置された第2の回路基板を含み得る。
【0038】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記少なくとも1つのメモリは、医療用撮像装置の実行時間、医療用撮像装置のタイプ、医療用撮像装置の使用カウント、医療用撮像装置のボタン操作カウント、ケーブルの識別情報、ケーブルのタイプ、医療用撮像装置の識別情報、医療用撮像装置のキャリブレーション情報、及び医療用撮像装置の画素補償情報の少なくともいずれかを格納し得る。
【0039】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記ケーブルは、前記第2のコネクタに接続された医療用撮像コントローラから前記第1のコネクタに接続された医療用撮像装置に撮像制御信号を通信するための、前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとの間に延びる1以上の撮像制御線をさらに含み得、前記1以上の撮像制御線は、前記回路基板の前記通信バスをバイパスする。
【0040】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記医療用撮像装置は、内視鏡カメラヘッド、医療用顕微鏡カメラヘッド、またはオープンフィールド医療用カメラヘッドであり得る。
【0041】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記1以上の撮像通信線は、ピクセルデータ及びボクセルデータの少なくともいずれかを通信するように構成され得る。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、医療用撮像システムは、医療用撮像装置、医療用撮像コントローラ、及び前記医療用撮像装置を前記医療用撮像コントローラに接続するケーブルを含み、前記医療用撮像コントローラは、1以上のプロセッサと、メモリと、前記1以上のプロセッサによる実行のために前記メモリに格納された1以上のプログラムを有し、前記1以上のプログラムは、前記ケーブルの回路基板の少なくとも1つのメモリに格納されたケーブル認証情報にアクセスし、前記少なくとも1つのメモリに格納された前記ケーブル認証情報に基づいて、前記ケーブルを認証する命令を含む。
【0043】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記ケーブルは、前記ケーブルの遠位端に配置され、前記医療用撮像装置に前記ケーブルを接続する第1のコネクタと、前記ケーブルの近位端に配置され、前記医療用撮像コントローラに前記ケーブルを接続する第2のコネクタと、前記医療用撮像装置から前記医療用撮像コントローラに撮像データを通信するための、前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとの間に延びる1以上の撮像通信線と、を含み得、前記回路基板は、前記第2のコネクタに接続された前記医療用撮像コントローラによる前記認証情報へのアクセスを可能にすべく、当該回路基板上の通信バスを介して前記第2のコネクタに通信可能に接続され、前記1以上の撮像通信線は、前記回路基板上の前記通信バスをバイパスする。
【0044】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記回路基板は、前記ケーブルの一部として一体的に形成され得る。
【0045】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記1以上のプログラムは、前記ケーブルの認証に失敗したことに応じて未認証ケーブルの警告を提供する命令を含み得る。
【0046】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記1以上のプログラムは、前記少なくとも1つのメモリに格納された医療用撮像装置の識別情報にアクセスし、前記医療用撮像装置の識別情報に基づいて前記医療用撮像装置を制御する命令を含み得る。
【0047】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記1以上のプログラムは、前記少なくとも1つのメモリに格納された1以上の医療用撮像装置のキャリブレーションパラメータを取得するために、前記回路基板の1以上のプロセッサと通信する命令を含み得る。
【0048】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記1以上のプログラムは、前記回路基板上の通信バスを介して前記医療用撮像装置の1以上の非撮像コンポーネントと通信する命令を含み得る。
【0049】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記1以上のプログラムは、前記ケーブルの1以上の撮像通信線を介して前記医療用撮像装置から撮像データを受信する命令を含み得、前記撮像通信線は、前記回路基板をバイパスする。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、ケーブルで医療用撮像装置に接続された医療用撮像コントローラにより当該ケーブルを認証する方法であって、前記医療用撮像コントローラが、1以上のプロセッサと、メモリと、前記1以上のプロセッサによる実行のために前記メモリに格納された1以上のプログラムを有する方法は、前記ケーブルの回路基板の少なくとも1つのメモリに格納されたケーブル認証情報にアクセスし、前記少なくとも1つのメモリに格納された前記ケーブル認証情報に基づいて、前記ケーブルを認証することを含む。
【0051】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記ケーブルは、前記ケーブルの遠位端に配置され、前記医療用撮像装置に前記ケーブルを接続する第1のコネクタと、前記ケーブルの近位端に配置され、前記医療用撮像コントローラに前記ケーブルを接続する第2のコネクタと、前記医療用撮像装置から前記医療用撮像コントローラに撮像データを通信するための、前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとの間に延びる1以上の撮像通信線と、を含み得、前記回路基板は、前記第2のコネクタに接続された前記医療用撮像コントローラによる前記認証情報へのアクセスを可能にすべく、当該回路基板上の通信バスを介して前記第2のコネクタに通信可能に接続され、前記1以上の撮像通信線は、前記回路基板上の前記通信バスをバイパスする。
【0052】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記回路基板は、前記ケーブルの一部として一体的に形成され得る。
【0053】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記方法は、前記ケーブルの認証に失敗したことに応じて未認証ケーブルの警告を提供することを含み得る。
【0054】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記1以上のプログラムは、前記少なくとも1つのメモリに格納された医療用撮像装置の識別情報にアクセスし、前記医療用撮像装置の識別情報に基づいて前記医療用撮像装置を制御する命令を含む。
【0055】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記方法は、前記少なくとも1つのメモリに格納された1以上の医療用撮像装置のキャリブレーションパラメータを取得するために、前記回路基板の1以上のプロセッサと通信することをさらに含み得る。
【0056】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記方法は前記回路基板上の通信バスを介して前記医療用撮像装置の1以上の非撮像コンポーネントと通信することをさらに含み得る。
【0057】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記方法は、前記ケーブルの1以上の撮像通信線を介して前記医療用撮像装置から撮像データを受信することをさらに含み得、前記撮像通信線は、前記回路基板をバイパスする。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、非一時的な有形のコンピュータ可読媒体は、上記のいずれかの方法を実行するために埋め込まれた、コンピュータ実行可能プログラムコードを有する。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、コンピュータプログラム製品は、プログラム可能なコンピュータにより実装された場合に、上述の方法のいずれかを前記コンピュータに実行させるコンピュータ実装可能な命令を含む。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、被験者の組織を撮像する方法は、ケーブルで医療用撮像装置に接続された医療用撮像コントローラにより当該ケーブルを認証する工程であって、前記医療用撮像コントローラが、1以上のプロセッサと、メモリと、前記1以上のプロセッサによる実行のために前記メモリに格納された1以上のプログラムを有し、前記1以上のプログラムが、前記ケーブルの一部として一体的に形成された回路基板の少なくとも1つのメモリに格納されたケーブル認証情報にアクセスし、前記少なくとも1つのメモリに格納された前記ケーブル認証情報に基づいて、前記ケーブルを認証する命令を含む工程と、前記医療用撮像装置及び前記認証されたケーブルを用いて、被験者の組織の時系列画像を生成する工程と、を含む。
【0061】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記被験者の組織の前記時系列画像を生成する工程は、前記被験者の前記組織の時系列の蛍光画像を生成することを含み得る。
【0062】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記方法は、前記被験者の前記組織の前記時系列の蛍光画像を生成する前に、前記被験者に蛍光造影剤を投与する工程をさらに含み得る。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、被験者の組織の時系列画像を処理するためのキットは、上述のケーブルのいずれか、上述の装置のいずれか、上述のシステムのいずれか、または上述の非一時的な有形のコンピュータ可読媒体と、を含む。
【0064】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記造影剤は、蛍光造影剤であり得る。前記蛍光造影剤は、トリカルボシアニン色素、ICG、メチレンブルー、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリスリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒド、フルオレスカミン、ローズベンガル、トリパンブルー、フルオロゴールド、またはこれらの組合せであり得る、またはこれらを含み得る。いくつかの実施形態では、蛍光造影剤の類似体または誘導体が使用されてもよい。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、蛍光造影剤は、上述のシステムのいずれか、上述の方法のいずれか、または上述のキットのいずれかにおいて、組織の撮像に使用するためのものである。
【0066】
これらの実施形態のいずれかにおいて、組織の撮像は、血流撮像、組織灌流撮像、リンパ撮像、またはそれらの組合せにおける前記組織の撮像を含み得る。
【0067】
これらの実施形態のいずれかにおいて、血流撮像、組織灌流撮像、及び/またはリンパ撮像は、侵襲医療処置、低侵襲医療処置、または非侵襲医療処置における血流撮像、組織灌流撮像、及び/またはリンパ撮像を含み得る。
【0068】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記侵襲医療処置は、心臓関連の医療処置または再建医療処置を含み得る。
【0069】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記心臓関連の医療処置は、心臓冠状動脈バイパス移植(CABG)処置を含み得る。
【0070】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記CABG処置は、オンポンプまたはオフポンプであり得る。
【0071】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記非侵襲医療処置は、創傷ケア処置を含み得る。
【0072】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記リンパ撮像は、リンパ節、リンパ節ドレナージ、リンパマッピング、またはそれらの組合せの識別を含み得る。
【0073】
これらの実施形態のいずれかにおいて、前記リンパ撮像は、女性生殖系に関し得る。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、上述のケーブルのいずれか、上述の装置のいずれか、上述のシステムのいずれか、上述の方法のいずれか、または上述のキットのいずれか、または上述の蛍光造影剤のいずれかは、リンパ撮像のために使用される。
【0075】
いくつかの実施形態によれば、上述のケーブルのいずれか、上述の装置のいずれか、上述のシステムのいずれか、上述の方法のいずれか、上述のキットのいずれか、または上述の蛍光造影剤のいずれかは、血流撮像、組織灌流撮像、またはそれらの組合せのために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
以下、添付の図面を参照しながら、例示として本発明を説明する。
【
図1A】
図1Aは、一実施形態に係る、内視鏡カメラシステムを示す。
【
図1B】
図1Bは、一実施形態に係る、オープンフィールドカメラシステムを示す。
【
図2B】
図2A及び2Bは、一実施形態に係る、ケーブルで撮像コントローラに接続された撮像装置を含む撮像システムを示す図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る、撮像装置から撮像コントローラの接続ケーブルのためのプリント回路基板のブロック図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る、システム全体にわたる光及び信号の経路を示す撮像システムのブロック図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る、撮像装置を撮像コントローラに接続するケーブルを認証する方法のブロック図である。
【
図6】
図6は、いくつかの実施形態に係る、例示的な蛍光撮像システムの例示的な描写である。
【
図7】
図7は、いくつかの実施形態に係る、蛍光撮像システムの例示的な照明モジュールの例示的な描写である。
【
図8】
図8は、いくつかの実施形態に係る蛍光撮像システムの例示的なカメラモジュールである。
【発明を実施するための形態】
【0077】
ここで、本明細書に記載されるシステム及び方法の様々な態様及び変形例の実装及び実施形態について、詳細に説明する。本明細書では、システム及び方法のいくつかの例示的なバリエーションが説明されるが、システム及び方法の他のバリエーションは、説明された全てまたはいくつかの態様の組み合わせを有する、任意の適切な方式で組み合わせられた、本明細書に記載のシステム及び方法の態様を含み得る。本明細書では、ケーブル及び/または撮像装置についての情報を記憶することができる認証ケーブルを用いて、撮像装置を撮像コントローラに接続するための装置、システム、及び方法を説明する。従来の撮像装置は、典型的には撮像用の電子機器とユーザインタフェースコンポーネントとを含むため、撮像装置についての情報を記憶するための既知のアプローチは、既存の電子機器にメモリを組み込み、これらのメモリ要素にアクセス可能なように撮像コントローラへの通信チャネルを提供することである。しかしながら、このアプローチは、システム性能におけるケーブルの重要性を無視している。様々な例示的な実施形態に係り本明細書に記載されるケーブルは、潜在的に低品質の代替品の使用から保護するために、ケーブルを認証する能力を提供する。さらに、様々な実施形態によれば、撮像装置についての情報は、撮像装置内ではなくケーブル上に格納することができ、これにより、ケーブル自体についての情報を格納することが可能になり、撮像装置の複雑さが低減される。
【0078】
いくつかの実施形態によれば、撮像装置を撮像コントローラに接続するためのケーブルは、ケーブルに一体化されたプリント回路基板アセンブリを含む。プリント回路基板は、撮像素子についての情報をカメラヘッド、カメラヘッドアセンブリ、及びケーブル自体に記憶するためのメモリを含んでよい。回路基板は、適切なケーブルが使用されていることの安全に確認可能にすべく、暗号鍵の安全な記憶を可能にし、カメラ制御ユニットとの暗号化通信に必要な動作を実行する認証コンポーネントを含む。回路基板はまた、回路基板上の1以上の他の構成要素と通信して制御することができるマイクロコントローラを含むことができる。
【0079】
いくつかの実施形態によれば、ケーブル内のワイヤの数を最小限に抑えるべく、少なくとも認証コンポーネントと、マイクロコントローラと、メモリ要素の1つとが、同一の通信バスに接続される。この同一の通信バスは、撮像装置内の1以上のコンポーネントで使用するために、撮像装置に続けることができる。マイクロコントローラは、回路基板の新しいまたは異なる機能が必要である場合に、自身のファームウェアを更新可能なように、通信経路をルーティングすることができる。
【0080】
回路基板上の電子部品には、いくつかのタイプの情報を記憶することができる。撮像センサのキャリブレーション情報、カメラヘッド及びケーブルの寿命使用情報、様々なタイプのイベントのログ、カメラヘッド識別情報、ケーブル識別情報、及びケーブル認証情報が、回路基板に格納可能な情報のいくつかの例である。以前は、この情報は、典型的には全く記憶されない、またはカメラヘッドの内部に記憶されていた。カメラヘッドに必要な記憶容量が増加するほど、カメラヘッドの設計が複雑になる。また、ケーブルはしばしば経年で損傷し、現場で第三者によって交換され得るものであるため、カメラヘッドにおける記憶は、ケーブル情報ではなく、カメラヘッド情報自体にのみ実際に有用である。カメラヘッド及びカメラコントロールユニットは、そのような交換が発生したか否かを知る方法がないため、多くの場合、誤った情報を追跡し得る。ストレージをケーブルに移動し、認証を追加することで、準拠した交換ケーブルの使用と有資格者によるサービスが実施されることになり、これは、交換ユニットに、情報が適切に転送されて変換されることを意味する。
【0081】
上記のすべての情報を収集し、その正確性を保証することは、複数の利点を有する。カメラシステムは、実際の使用データに基づいて、定期的なメンテナンスが必要な時期を示すことができる。また、多くのシステムは、プラットフォームの寿命期間における使用データを集約し、その全体を分析することで、将来製品のユースケース、試験要件、及び品質に関する懸念事項をより好適に理解することができる。さらに、ユニットごとに収集される情報が多いほど、開発期間や試験期間、さらには現場における、不具合のトラブルシューティングが容易になる。認証機能はさらに、カメラシステムに合わせて設計、検証、認証されたケーブルのみが使用される尤度を高めることにより、エンドユーザの高品質な体験を保証する。
【0082】
様々な実施形態の以下の説明では、例示として、実施可能な特定の実施形態が示される、添付の図面が参照される。他の実施形態及び例が実施可能であり、本開示の範囲から逸脱することなく変更が可能であることは理解されるべきである。
【0083】
さらに、以下の説明で使用される単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに別の意味を持つ場合を除き、複数形も含むことが意図されていることも理解されるべきである。また、本明細書で使用される「及び/または」との文言は、関連する列挙された項目の1以上及び全ての組み合わせを意味し、包含していることも理解されるべきである。さらに、「含む(includes)」、「含むこと(including)」、「有する(comprises)」、及び/または「有すること(comprising)」との文言は、本明細書で使用される場合、言及される特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/またはユニットの存在を特定するが、1以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、ユニット、及び/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことも理解されるべきである。
【0084】
本開示の特定の態様は、本明細書に記載される処理工程及び命令をアルゴリズムの形で含む。本開示の処理工程及び命令は、ソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアで実施することができ、ソフトウェアで実施される場合、様々なオペレーティングシステムにより使用される異なるプラットフォーム上に存在し、当該異なるプラットフォームから動作されるようにダウンロードすることができることに留意されるべきである。以下の説明から明らかなように、特に明記しない限り、本明細書の全体を通して、「処理(processing)」、「演算(computing)」、「計算(calculating)」、「判断(determining)」、「表示(displaying)」、「生成(generating)」等の文言を使用する説明は、コンピュータシステムメモリまたはレジスタ、あるいは、他のそのような情報記録装置、送信装置または表示装置内の、物理的(電子的)量として表されるデータを操作及び変換する、コンピュータシステムまたは同様の電子演算装置の動作および処理を指すことが理解される。
【0085】
いくつかの実施形態における本開示は、本明細書で述べる動作を実行するための装置にも関する。当該装置は、必要な目的のために特別に構成されたものであってもよいし、コンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的に起動または再構成される汎用コンピュータを含むものであってもよい。このようなコンピュータプログラムは、フロッピー(登録商標)ディスク、USBフラッシュドライブ、外付けハードドライブ、光ディスク、CD-ROM、光磁気ディスク、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気または光カード、特定用途向け集積回路(ASIC)を含む任意のタイプのディスク、または電子命令の格納に適した任意のタイプの媒体等(これらに限定されない)の、非一時的なコンピュータ可読記録媒体に格納され、それぞれがコンピュータシステムバスに接続されていてもよい。さらに、本明細書で言及されるコンピュータは、単一のプロセッサを含むものであってもよいし、演算能力を向上させるべく、複数のプロセッサを採用したアーキテクチャであってもよい。
【0086】
本明細書に記載される方法、装置及びシステムは、特定のコンピュータまたは他の装置に本質的に関連するものではない。また、種々の汎用システムが、本明細書の教示に従ったプログラムに使用されるものであってもよいし、必要な方法工程を実行するために、より特殊な装置を構築することが便利であることが証明され得る。これらの様々なシステムに必要な構造は、以下の説明から明らかになる。さらに、本発明は、任意の特定のプログラミング言語を参照して説明されるものではない。本明細書に記載される本発明の教示を実施するために、種々のプログラミング言語が使用され得ることは理解されよう。
【0087】
図1Aは、本明細書において説明される原理に係る、医療用撮像装置を医療用撮像コントローラに接続するために認証可能なデータケーブルを利用することが可能な、例示的な医療用撮像システム10を示している。本明細書で使用されるように、医療用撮像は、術前、術中、術後、及び、診断撮像セッション及び手順を含むが、これらに限定されるものではない。システム10は、内視鏡処置において利用され得るスコープアセンブリ11を含む。スコープアセンブリ11は、カメラヘッド13の遠位端に配置されたカプラ14によって内視鏡カメラヘッド13に結合される、内視鏡またはスコープ12を組み込んでいる。光は、光ファイバケーブル等の導光15を介して、光源14Aによってスコープに供給される。カメラヘッド13は、電気ケーブル18によってカメラ制御ユニット(CCU)17に接続されている。カメラ13の動作は、CCU17によって部分的に制御される。ケーブル18は、カメラヘッド13からCCU17に静止画像及び/またはビデオ画像データを伝送し、カメラヘッド13とCCU17との間で様々な制御信号を双方向に伝送する。一実施形態では、カメラヘッド13により出力される画像データはデジタルである。ケーブル18は、後述するように、ケーブル18を認証するための認証データを記憶するためのメモリ装置を含んでいてもよい。
【0088】
制御またはスイッチ配列20がカメラヘッド13に設けられていてもよく、ユーザがシステム10の様々な機能を手動で制御可能にする。これらの機能及びその他の機能は、CCU17に接続された音声制御ユニット23を使用して、音声コマンドによって制御されてもよい。オプションとして、音声コマンドは、外科医により装着されるヘッドセットに取り付けられ、音声制御ユニット23に連結されたマイクロフォン24に入力される。タッチスクリーン・ユーザインタフェースを有するタブレットまたはPDA等のハンドヘルド制御装置26が、さらなる制御インタフェースとして音声制御ユニット23に接続されてもよい。図示の実施形態では、レコーダ27及びプリンタ28もCCU17に接続されている。画像キャプチャ及びアーカイブ装置等の追加装置が、システム10に含まれ、CCU17に接続されてもよい。カメラヘッド13により取得され、CCU17により処理されたビデオ画像データは、モニタ29に表示され、レコーダ27により記録され、及び/または静止画像を生成するために使用され得る画像に変換され、そのハードコピーがプリンタ28により生成できる。
【0089】
図1Bは、本明細書において説明されるように、認証可能なケーブルを介して撮像コントローラに接続することが可能なタイプの撮像装置の別の例である、オープンフィールド撮像装置60を示す。オープンフィールド撮像装置60は、形成処置、超微細処置、再建処置、及び胃腸処置中の血管内の血流及び関連する組織灌流の視覚化を含む、様々な目的のために、
図1Bのシステム10のような撮像システムの一部として使用することができる。
図1Bに見られるように、オープンフィールド撮像装置60は、制御面62、窓枠64、及びノーズピース66を含む。オープンフィールド撮像装置60は、窓枠64のポートを介して撮像フィールドに光を供給する導光ケーブル15を介して、光源14Aに接続可能である。オープンフィールド撮像装置60は、本明細書に記載の原理に従って、電力、画像データ、及び任意の他のタイプのデータを送信することができる、認証可能なデータケーブル18を介してCCU17に接続可能である。
【0090】
制御面62は、リンケージ40を制御するフォーカスボタン63a(作動距離を減少させる)及び63b(作動距離を増加させる)を含む。制御面62上の他のボタンは、プログラム可能であってもよく、様々な他の機能、例えば、励起レーザパワーオン/オフ、表示モード選択、白色光撮像ホワイトバランス、スクリーンショットの保存等に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、制御面の機能は、以下でさらに説明するように、ケーブル18内の非撮像データ通信線を介してCCU17に通信することができる。
【0091】
図2A及び2Bは、
図1Aの内視鏡カメラヘッド13または
図1Bのオープンフィールド撮像装置60等の撮像装置201と、ケーブル202と、
図1AのCCU17等の撮像コントローラ203とを備える撮像システム200を示す。ケーブル202は、撮像コントローラ203が処理及び/または表示のために撮像装置201から撮像データを受信し、撮像装置201の1以上の撮像及び/または非撮像機能を制御することを可能にするために、撮像装置201を撮像コントローラ203に通信可能に接続するように構成される。撮像装置は、医療用撮像装置または非医療用撮像装置であってもよい。撮像装置は、外科的撮像装置であってもよい。撮像装置は、内視鏡カメラヘッド、外科的顕微鏡カメラヘッド、またはオープンフィールド医療用カメラヘッドのいずれか1つであってもよい。
【0092】
ケーブル202は、ケーブル202を撮像装置201に接続するための遠位端コネクタ205を含む遠位端204を含む。ケーブル200の近位端206は、ケーブル202を撮像コントローラ203に接続するための近位端コネクタ208を含む。ケーブル本体207は、両端204、206の間に延び、複数の通信線を収容する。本明細書で用いられるように、通信線は、単線またはより線の導電性ワイヤで形成され得る単一の信号線である。
【0093】
遠位端コネクタ205及び近位端コネクタ208は、それぞれ任意の適切なコネクタとすることができ、通信ワイヤを接続するための任意の適切な数の接点(例えば、ピン及びレセプタクル)を含んでもよい。適切なコネクタは、エンドユーザがコネクタを切断することを防止または阻止するための1以上のロック機構を含んでもよい。適切なロック機構の例は、ロックレバー、ロックスクリュー、ロックトグル、ロックナット、またはロックバヨネットである。いくつかの実施形態では、ロック機構は、ロック解除のためのツールを必要とするように構成される。また適切なコネクタは、エンドユーザが現場でコネクタを切断することを可能ならしめる切断可能なコネクタであってもよい。
【0094】
いくつかの実施形態では、ケーブルを撮像装置201に接続するように構成される遠位端コネクタ205は、エンドユーザが遠位端コネクタ205を撮像装置201から取り外すことを防止する(または阻止する)ために、撮像装置201に永久的または少なくとも半永久的に取り付けられるように構成されてもよい。遠位端コネクタ205は、撮像装置からの遠位端コネクタ205のツールなしでの取り外しを防止する、1以上のロック機構を含んでもよい。いくつかの実施形態では、撮像装置201及び遠位端コネクタ205は、製造施設において永久的または半永久的に接続され、組み立てられたセットとしてエンドユーザに出荷されてもよい。いくつかの実施形態では、遠位端コネクタ205は、撮像装置201への接続をシールするためのOリングまたはグロメットのようなシール機構を含む。これにより、滅菌中に撮像装置201及び/またはケーブル202内の電子機器を保護することができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、近位端コネクタ208は、撮像コントローラ203に切断可能に取り付けるように構成される。このように、ユーザは、手等で近位端コネクタ208を繰り返し切断することができてもよい。切断されると、撮像装置201及び取り付けられたケーブル202は、撮像コントローラ203とは別に、洗浄、滅菌、保管、異なる撮像コントローラでの使用、修理、または処分することができる。
【0096】
ケーブル202は、撮像装置201から撮像コントローラ203に画像データ(例えば、ピクセル及び/またはボクセルデータ)を通信するための1以上の撮像通信線214を含む。撮像通信線214は、撮像装置内の撮像センサから撮像コントローラ内の撮像データプロセッサに、映像データ等の撮像データを高速伝送するように構成されてもよい。ケーブル202は、撮像装置201と撮像コントローラ203との間で制御通信をやり取りすることを可能ならしめる、1以上の撮像制御通信線216を含んでもよい。撮像通信線214及び撮像制御線216を含む通信線は、任意の適切な数の、任意の適切なデータ通信線であってもよい。
【0097】
ケーブル202は、少なくとも1つのメモリ212を含むプリント回路基板(PCB)210を含み、このメモリは、PCB210上の通信バス211を介して撮像装置コントローラが検索するための情報を格納する。少なくとも1つのメモリ212は、撮像コントローラ203へのケーブルの接続時に、撮像コントローラ203が少なくとも1つのメモリ212上の情報にアクセスし、当該ケーブルが正規のケーブルであることを検証可能なように、接続された撮像コントローラ203がケーブルを認証可能にする認証データを格納してもよい。この機能は、撮像装置の撮像コントローラへの接続用の機能及び品質を有したケーブルの使用を保証するために役立ち得る。ケーブルを認証する機能を提供することにより、システムは、エンドユーザまたはサードパーティのサービス業者が、劣等なまたは未認可のサードパーティのケーブルを代用することを阻止し、撮像システムの性能を向上させることができる。
【0098】
少なくとも1つのメモリ212は、撮像コントローラ203によるアクセスのために、認証情報に加えて他の情報を格納してもよい。格納されるデータは、ケーブルの種類、ケーブルのアイデンティティ、及びケーブルの使用回数等のケーブル関連情報を含むことができ、及び/または、撮像装置の種類、撮像装置のアイデンティティ、撮像装置の使用回数、撮像装置の設定、撮像素子のキャリブレーションパラメータ、撮像素子の画素補償情報、撮像装置の実行時間、撮像装置のボタン操作回数、または任意の他の有用な情報を含む装置情報を含むことができる。ケーブルを認証する機能は、撮像システムに、PCBに格納された他の情報を信頼させることができる。
【0099】
図示された実施形態では、PCB210は、ケーブル200の近位端206に配置されている。他の実施形態では、PCB210は、遠位端202内または近位端と遠位端との間等、ケーブル200の別の部分に配置される。図示された実施形態では、PCB210は、近位端コネクタ208のピンまたはレセプタクル215に接続されている、1以上のワイヤ213を通して等、近位端コネクタ208に通信可能に接続される。PCB210は、単一のPCBであってもよいし、複数のPCBであってもよい。
【0100】
PCB210は、ケーブルの端部のうちの1つ以上に、一体的に形成されてもよい。例えば、PCBは、近位端コネクタ208及び任意の非通信配線に接続され、次いで、オーバーモールドされてもよい。このようにPCB210を一体化することで、PCBがケーブル内に気密封止されることを保証することができ、これは滅菌を必要とするケーブルにとって重要であり、エンドユーザまたはサードパーティが、ケーブルによって提供されるセキュリティ機能をバイパスしようとしてPCB210を取り外し、サードパーティのケーブルをPCB210に取り付けることを防止するのに役立つことができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、ケーブル202は、撮像コントローラ203と撮像装置201との間で少なくとも非撮像データを通信するための、1以上の補助通信線218を含む。撮像装置201は、システム10のスイッチ配列20のような1以上の非撮像コンポーネントを含んでもよく、補助通信線218は、非撮像コンポーネントを撮像コントローラ203に通信可能に接続してもよい。非撮像コンポーネントの例は、メモリ、ボタン及びスイッチのようなユーザインタフェースコンポーネント、加速度計及びジャイロスコープのようなセンサ、ディスプレイ、及び非撮像コンポーネントを制御するためのコントローラを含む。いくつかの実施形態では、撮像及び/または撮像制御データが、補助通信線218のうちの1以上を介して送信される。
【0102】
いくつかの実施形態では、1以上の補助通信線218は、補助通信線218上の通信がPCB210を通過するように、PCB210に接続される。他の実施形態では、1以上の補助通信線218は、PCB210をバイパスして近位端コネクタ208に直接延びる。いくつかの実施形態では、補助通信線の一部はPCB210に接続し、補助通信線の一部はPCB210をバイパスする。いくつかの実施形態では、撮像通信線214のうちの少なくとも1つ、及び/または補助通信線218のうちの少なくとも1つは、PCB210を介して接続する。いくつかの実施形態では、撮像通信線214のうちの少なくとも1つは、PCB210を介して接続するが、PCB210の通信バス211をバイパスする。
【0103】
いくつかの実施形態では、撮像通信線214のうちの少なくとも1つは、PCB210をバイパスする。いくつかの実施形態では、撮像制御通信線216のうちの少なくとも1つは、PCB210をバイパスする。
図2A及び2Bに図示される実施形態では、撮像及び撮像制御通信線214、216の全てが、PCB210をバイパスする。いくつかの実施形態では、撮像通信線214のうちの少なくとも1つ、及び/または撮像制御通信線216のうちの少なくとも1つは、PCB210を介して接続するが、PCB210の通信バス211をバイパスする。
【0104】
いくつかの実施形態によれば、PCB210は、近位端コネクタ208に接続された撮像コントローラによる認証情報へのアクセスを可能にするために、近位端コネクタ208に通信可能に接続され、1以上の撮像通信線214は、遠位端コネクタ205に接続された撮像装置から近位端コネクタ208に接続された撮像コントローラに撮像データを通信するために、遠位端コネクタ205から近位端コネクタ208に延び、1以上の撮像通信線214は、PCB210をバイパスする。これらの実施形態のいくつかでは、撮像制御通信線216もPCB210をバイパスする。
【0105】
PCB210は、メモリ212に加えて1以上のコンポーネント220を含んでもよい。追加コンポーネントの例は、追加メモリ、1以上のプロセッサ、1以上のマイクロコントローラ、及び1以上の集積回路を含む。いくつかの実施形態では、メモリ212は、ケーブルの認証のために撮像コントローラ203と通信するように構成された認証チップのコンポーネントである。認証チップは、撮像コントローラによるケーブルの認証を容易にするために、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを含んでもよい。メモリ212は、PCB210上の別個のメモリコンポーネント及び/またはPCB210上の別個のコンポーネントに組み込まれた別個のメモリユニットを含み得る、複数のタイプのメモリを含む、複数の個別のメモリを含んでもよい。例えば、メモリ212は、フラッシュメモリ、ROM、PROM、EEPROM、及びRAMの、任意の適切な数及び/または組合せを含んでもよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、PCB210は、接続された撮像装置の1以上のコンポーネントと相互作用するために、遠位端204のようなケーブルの端部に配置され得る追加のPCB250を含んでもよい。例えば、PCB250は、撮像装置の1以上の制御基板のコネクタを装着し、撮像装置の信号グランドとケーブルのシールドグランドを結びつけるための大きなグランドパッドを提供するように構成されてもよい。
【0107】
図3は、上述したようなケーブルに組み込むための、一実施形態に係るPCB300のブロック図である。PCB300は、認証チップ302、EEPROM304、マイクロコントローラ306、及びフラッシュメモリ308を含む。PCB300は、1以上のコネクション312を介して、
図2A及び2Bの近位端コネクタ208のような近位端コネクタの1以上のピン(またはレセプタクル)に接続可能な通信バス310を含む。いくつかの実施形態では、通信バス310は、クロック線および信号線を含む。PCB300上の1以上のコンポーネントは、通信バス310に接続されてもよい。図示された実施形態では、認証チップ302、EEPROM304、及びマイクロコントローラ306は、通信バス310に直接接続されており、フラッシュメモリは、マイクロコントローラ306にのみ接続される。
【0108】
いくつかの実施形態では、通信バス310は、1以上のコネクション314を介して、
図2A及び2Bの補助通信線218等の1以上の補助通信線に接続可能である。撮像コントローラは、PCB300上のコンポーネントと通信するために使用するのと同じ通信線を使用して、撮像装置の非撮像コンポーネントと通信することができる。これは、配線及び接続(例えば、ピン及び/またはレセプタクル)の量を減少させることができ、これは故障箇所の減少、コストの削減、及び/または滅菌の複雑さの減少に有益であり得る。
【0109】
認証チップ302は、認証情報を格納し、撮像コントローラが認証チップ302を認証し、及びそれによってケーブルを認証するために、撮像コントローラと通信するように構成される。認証チップ302は、適切なケーブルが私用されていることを確実に確認可能にするために、暗号化キーの安全な格納を可能にし、撮像コントローラとの暗号化通信に必要な動作を実行する。
【0110】
EEPROM304は、ケーブルに関する情報及び/または撮像装置に関する情報を格納するために使用することができる。例示的な情報は、ケーブル及び撮像装置のシリアル番号、ケーブル及び撮像装置のタイプ、ケーブル及び撮像装置の使用統計(例えば、使用回数、使用時間)、撮像装置のコンポーネントの使用状況(例えば、ボタンの押下回数)を含む。いくつかの実施形態では、ケーブル及び撮像装置は、製造業者においてアセンブリされ、マッチしたセットとしてエンドユーザに提供される。上記の情報のいずれかのような撮像装置データは、エンドユーザに提供する前に、EEPROM304に予めロードすることができる。故に、これらのタイプの情報は、カメラヘッド内ではなく(またはそれに加えて)ケーブル内に格納することができる。いくつかの実施形態では、EEPROM304に格納された情報は、接続された撮像コントローラによって更新されてもよい。例えば、ケーブル及び撮像装置の使用カウントは、撮像装置が使用されるたびに撮像コントローラによってインクリメントすることができる。さらに、ボタンの押下を示すデータ等の非撮像コンポーネントの使用状況は、PCB300を介して、またはPCB300をバイパスする通信線を介して等で撮像コントローラに送信されてもよく、撮像コントローラは、それに応じてEEPROM304のデータを更新してもよい。いくつかの実施形態では、撮像装置は、撮像コントローラの関与なしに、EEPROM304(またはPCB300上の他のメモリ)に直接書き込むことができる。
【0111】
いくつかの実施形態によれば、マイクロコントローラ306は、PCB300上のコンポーネントのうちの1以上を制御することができる。マイクロコントローラ306は、通信バス310を介して1以上のコンポーネントへの読取/書込アクセスを制御してもよい。例えば、PCB300上の1以上のコンポーネントを撮像コントローラと通信可能にせしめるために、マイクロコントローラのために撮像コントローラからコマンドを受信し、マイクロコントローラはそれに応じて応答してもよい。また、マイクロコントローラは、PCB300の新しいまたは異なる機能性が必要である場合に、自身のファームウェアを更新可能なように、通信経路をルーティングすることが可能であってもよい。
【0112】
いくつかの実施形態では、マイクロコントローラ306は、フラッシュメモリ308のような、通信バス310に直接接続されていない1以上のコンポーネントの通信のトランスレータとして機能する。これは、例えば、1以上のコンポーネントが通信バス310により提供されるよりも多くの通信線を必要とする場合等、共有された通信バス310が1以上のコンポーネントと互換性がない場合に有益であり得る。マイクロコントローラは、通信バス310上で受信した通信を、1以上の通信線上で1以上のコンポーネントに送信されるコマンドに変換できる。これは、撮像コントローラに接続する必要がある通信線の数を減らすことができ、複雑さ及びコストを削減できる。例えば、通信バス310は2線式バスであり、フラッシュメモリは4線式通信用に構成されてもよい。マイクロコントローラは、2線コマンドから4線コマンドに変換して、4線の全てを近位端コネクタに提供する必要がないようにできる。
【0113】
いくつかの実施形態によれば、フラッシュメモリ308は、撮像素子のキャリブレーションパラメータ及び撮像素子の画素補償情報等、撮像装置のための撮像関連情報を格納するために使用することができる。
【0114】
図4は、いくつかの実施形態に係る、
図1Aのカメラシステム10全体にわたる光及び信号の経路を示している。動作時には、光源14Aから導光15を通ってスコープ12に光が投射される。光は、可視光源118からのものであってもよいし、不可視スペクトルの光源120からのものであってもよい。また光源14Aは、非撮像制御信号線134を介してCCU17との通信を可能にするシリアル通信ポート122を含む。CCU17は、光源14Aと通信して、必要に応じて光源及び出射光124を調整する。
【0115】
光源14Aからの出射光124は、導光15を通ってスコープ12に至り、これを通過してターゲット部位に向かう。次に、入射画像または光126は、スコープ12を通り、カプラ14内のリレーレンズアセンブリ68に入り、これを通過してメラセンサユニット70に入る。リレーレンズ68は、カメラヘッド13からリレーレンズ68に制御信号128を送るレンズドライバ88(該当する場合)によって制御することができる。
【0116】
カメラの使用は、レンズドライバ88及び加速度計/ジャイロスコープ120と通信しているボタンボード94と連携した制御/スイッチ配列20によって制御することができる。センサユニット70は、1以上の撮像制御通信線130を介してCCU17と通信する。高速デジタル映像は、1以上の撮像通信線132を介して、センサユニット70からCCU17に通信される。撮像及び撮像制御通信線130、132は、ケーブル18を通ってCCU17まで延びる。
【0117】
カメラヘッド13の様々なコンポーネントは、ケーブル18内のプリント回路基板108と通信し、回路基板108を介してCCU17と通信できる。上述したように、回路基板は、マイクロコントローラ110、フラッシュメモリ112、認証チップ113、及びEEPROM116を含むが、これらに限定されない複数のコンポーネントを含んでもよい。レンズドライバ88及びボタンボード94等の、カメラヘッドコンポーネントからの、またはカメラヘッドコンポーネントへの通信は、1以上の補助通信線134によってケーブル18内で伝送される。
【0118】
高速デジタル映像132がCCU17に到達すると、CCU17は、必要に応じて映像を処理し、処理された映像を高速デジタル映像信号132を介してディスプレイに転送できる。
【0119】
カメラケーブル18内にメモリを含むプリント回路基板を有するこのようなシステムは、CCUが必要に応じて様々な機能を実行して様々なアルゴリズムを実行できるように、とりわけ、ケーブルを認証し、取り付けられたカメラヘッドのタイプを識別できる、はるかに有用で安全なシステムを提供する。
【0120】
図5は、いくつかの実施形態に係る、
図2A及び2Bのケーブル202等のケーブルを認証する方法500を示している。方法500は、撮像デバイス201等の撮像装置にケーブルで接続された、撮像コントローラ203等の撮像コントローラにより実行されてもよい。撮像コントローラは、1以上のプロセッサ、メモリ、及び、1以上のプロセッサによる実行のためにメモリに格納され、以下に詳述するステップを実行するための命令を含む1以上のプログラムを含んでもよい。いくつかの実施形態では、撮像装置は、外科的内視鏡カメラ、外科的顕微鏡カメラ、またはオープンフィールドハンドヘルド撮像素子等の医療用撮像装置である。
【0121】
ステップ502で、撮像コントローラは、ケーブルの回路基板の少なくとも1つのメモリに格納されたケーブル認証情報にアクセスする。ケーブルが撮像コントローラに接続されると、撮像コントローラは、回路基板に電力を供給し、周知の方法に従って、認証情報(例えば、1以上の暗号鍵)を交換するために、例えば、認証チップ(
図3の認証チップ302等)との通信を開始してもよい。
【0122】
ステップ504で、ケーブルの少なくとも1つのメモリに格納されたケーブル認証情報に基づいて、ケーブルが認証される。撮像コントローラは、メモリ内の認証情報を検証する。
【0123】
いくつかの実施形態では、ステップ506で、撮像コントローラは、ケーブルの認証が失敗したことに応じて、認証されていないケーブルの警告を提供してもよい。この警告は、撮像コントローラのディスプレイ及び/または該撮像コントローラのディスプレイに接続されたディスプレイにおける表示として提供されてもよい。警告は、追加的または代替的に、ブザーまたはサイレン、または自動音声メッセージ等の音声警告として提供されてもよい。いくつかの実施形態では、撮像コントローラは、例えば未認証のケーブルの使用を妨げるために、1以上の通常の動作機能を無効にしてもよい。いくつかの実施形態では、撮像コントローラは、動作を完全に無効にしてもよい。
【0124】
いくつかの実施形態では、撮像コントローラは、少なくとも1つのメモリに格納された撮像装置に関連する情報にアクセスし、撮像装置を制御し、及び/または撮像装置からの撮像データを撮像装置の識別情報に基づいて処理してもよい。例えば、撮像コントローラは、撮像装置情報に従って、撮像装置のフレームレート、シャッタパラメータ、ゲイン、レンズ位置、または任意の他の適切なパラメータを制御してもよい。撮像コントローラは、撮像データをクロップ及び/またはズームしてもよいし、あるいは、例えば撮像装置のタイプや撮像装置のパラメータ(キャリブレーションパラメータ、画素補償パラメータ等)に基づいて、撮像装置から受信した撮像データを処理してもよい。
【0125】
いくつかの実施形態では、撮像コントローラは、回路基板の1以上のプロセッサと通信し、少なくとも1つのメモリに格納された1以上の撮像装置キャリブレーションパラメータを取得してもよい。例えば、撮像コントローラは、マイクロコントローラ306及びフラッシュメモリ308に関して上述したように、メモリに格納された画素補償データを取得するためにマイクロコントローラと通信してもよい。撮像コントローラは、周知の方法に従って、キャリブレーション及び/または画素補償データに従って、撮像装置から受信した撮像データを処理してもよい。
【0126】
いくつかの実施形態では、撮像コントローラは、回路基板の1以上のメモリに情報を書き込んでもよい。例えば、撮像コントローラは、メモリ内のケーブル使用カウンタを更新してもよいし、メモリ内の撮像装置使用カウンタを更新してもよいし、メモリ内の撮像装置実行時間カウンタを更新してもよいし、撮像装置ボタン操作カウントを更新してもよい。いくつかの実施形態では、撮像装置に関連するケーブルが交換され、回路基板に格納された撮像装置に関連する情報が交換ケーブルに転送されてもよい。これは、撮像装置とその関連ケーブルの情報を、撮像装置及びケーブルそれぞれの寿命にわたって追跡することを可能にし、これは、撮像システムに対するケーブルの重要性を完全に無視する既知のシステムに対する改善である。
【0127】
いくつかの実施形態では、撮像コントローラは、回路基板上の通信バスを介して、撮像装置内の1以上の非撮像コンポーネントと通信してもよい。例えば、撮像コントローラは、フォーカス及び/またはズームを制御するために撮像装置内のレンズアセンブリコントローラにコマンドを送信してもよいし、回路基板の通信バスを介して、撮像デバイス内のボタン制御ボードからボタン押下指示及び/または撮像装置からのセンサ信号を受信してもよい。いくつかの実施形態では、撮像コントローラは、撮像装置の1以上のコンポーネントから受信した情報に基づいて、回路基板上の1以上のコンポーネントに情報を書き込んでもよい。例えば、撮像コントローラは、撮像装置上の関連するボタンが作動されるたびに、回路基板上のメモリ内のボタン押下カウンタをインクリメントしてもよい。
【0128】
いくつかの実施形態では、撮像コントローラは、少なくとも回路基板の通信バスをバイパスする(または回路基板を一括してバイパスする)ケーブル内の1以上の撮像通信線を介して、撮像装置から撮像データを受信してもよい。撮像データはデータ集約的であり得るため、回路基板のバイパスは、撮像データのレイテンシ及び信号対雑音比を低減し、そうでなければ、撮像データ伝送性能を向上させることができる。
【0129】
撮像データの生成に使用する造影剤の例
図1Aのシステム10のような医療用撮像データを収集、強化、及び表示するためのシステムは、組織の時系列の画像(例えば、時系列の蛍光画像、時系列の白色光画像等)を取得するための1以上の撮像システムを含み得る。いくつかの実施形態では、撮像システムは蛍光撮像システムである。
図6は、一実施形態に係る蛍光撮像システム610の概略例である。蛍光撮像システム610は、被験者の組織内(例えば、血液中、尿中、リンパ液中、髄液中、または他の体液もしくは組織中)に蛍光造影剤614からの蛍光発光を誘導するために被験者の組織を照射する光源612、蛍光発光から時系列及び/または被験者時系列の蛍光画像を生成するように構成された画像取得アセンブリ616、及び生成された時系列/被験者時系列の蛍光画像を処理するように構成されたプロセッサアセンブリ618を備える。プロセッサアセンブリ618は、その上に命令を有するメモリ668と、メモリ668上の命令を実行して時系列及び/または被験者時系列の蛍光画像を処理するように構成されたプロセッサモジュール662と、未処理及び/または処理済みの、時系列及び/または被験者時系列の蛍光画像を格納するためのデータ格納モジュール664とを含んでもよい。いくつかの変形例では、メモリ668及びデータ格納モジュール664は、同一の記録媒体に具現化されてもよく、一方、他の変形例では、メモリ668及びデータ格納モジュール664は、異なる記録媒体に具現化されてもよい。システム610は、撮像データ処理ハブに、時系列/被験者時系列の蛍光画像または他の入力データの一部または全部、空間マップ、被写体空間マップ、及び/または組織数値(quantifier)等の、画像及び他のデータを送信するための通信モジュール666をさらに含んでもよい。
【0130】
いくつかの変形例では、光源612は例えば照明モジュール620を含む。照明モジュール620は、蛍光造影剤614を励起するための適切な強度及び適切な波長を有する励起光を生成するように構成された蛍光励起源を含んでもよい。
図7に示されるように、照明モジュール620は、被験者の組織内の蛍光造影剤(不図示)を励起するための励起光を提供するように構成されたレーザダイオード622(例えば、1以上のファイバ結合ダイオードレーザを含み得る)を含んでもよい。様々な実施形態で使用され得る励起光の他の光源の例としては、組織内の蛍光造影剤を励起するのに十分な強度及び適切な波長を有する、1以上のLED、アークランプ、または他の証明技術が挙げられる。例えば、血液中の蛍光造影剤の励起(ここで、蛍光造影剤は、近赤外励起及び発光特性を有する蛍光色素である)は、ドイツのDILAS Diode Laser Co.の1以上の793nm、伝導冷却、単一バー、ファイバ結合レーザーダイオードモジュールを使用して実行され得る。
【0131】
いくつかの変形例では、光源612から出力された光は、関心のある組織領域を照射するために使用される出力を形成及び誘導すべく、1以上の光学素子を介して投影されてもよい。光学素子は、画像取得アセンブリ616の実質的に全視野にわたってフラットフィールドを確保するように、1以上のレンズ、光ガイド及び/または回折素子を含んでもよい。蛍光励起源は、蛍光造影剤614(例えば、インドシアニングリーン(ICG)等)の吸収極大に近い波長で発光するように選択されてもよい。例えば、
図7に示されるように、レーザダイオード622からの出力624は、1以上の集束レンズ626を通過し、次いで、例えば、米国Newport Corporationから一般的に入手可能なライトパイプ等の均質化ライトパイプ628を通過してもよい。最後に、光は、例えば米国Newport Corporationから入手可能なグラウンドガラス回折素子等の光学回折素子632(即ち、1以上の光拡散器)を通過してもよい。レーザダイオード622への電力は、例えば米国Lumina Power Inc.から入手可能なもの等、大電流レーザドライバによって供給されてもよい。レーザは、任意に、画像取得プロセス中にパルスモードで動作されてもよい。ソリッドステートフォトダイオード630のような光学センサは、照明モジュール620に組み込まれてもよく、様々な光学素子からの散乱反射または拡散反射を介して照明モジュール620によって生成された照明強度をサンプリングしてもよい。いくつかの変形例では、追加の照明源を使用して、関心領域の上でモジュールを整列及び位置決めする際のガイダンスを提供してもよい。
【0132】
再び
図6を参照すると、いくつかの変形例では、画像取得アセンブリ616は、蛍光造影剤614からの蛍光発光から時系列及び/または被験者時系列の蛍光画像を取得するように構成された蛍光撮像システム610の構成要素であってもよい。画像取得アセンブリ616は、
図1Aの内視鏡カメラ13、
図1Bのオープンフィールド撮像装置、及び、ケーブル202等のメモリを有する認証可能なケーブルを介して撮像コントローラ203等の撮像コントローラに接続された
図2A及び2Bの撮像装置201等を含んでいてもよい、カメラモジュール640を含むものであってもよい。
図8に示されるように、カメラモジュール640は、撮像光学系(例えば、646a、646b、648及び650)のシステムを用いて、蛍光発光を収集してイメージセンサアセンブリ644上に集束させることにより、組織中の蛍光造影剤からの蛍光発光642の画像を取得してもよい。撮像センサアセンブリ644は、少なくとも1つの2Dソリッドステートイメージセンサを含んでもよい。ソリッドステートイメージセンサは、電荷結合素子(CCD)、CMOSセンサ、CIDまたは同様の2Dセンサ技術であってもよい。撮像センサアセンブリ644によって変換された光信号から生じる電荷は、カメラモジュール640内の適切な読み出し及び増幅電子機器によって、デジタル及びアナログ映像信号の両方を含む電気映像信号に変換される。
【0133】
蛍光撮像システムの例示的な変形例によれば、光源は、約800nm+/-10nmの励起波長を提供してもよく、画像取得アセンブリは、例えばICG蛍光撮像のために、NIR互換光学系を用いて820nm超の発光波長を使用する。例示的な実施形態では、NIR互換光学系は、GigE規格インタフェースを有するCCDモノクロ撮像センサと、光学フォーマット及びマウントフォーマット(例えば、C/CSマウント)に関してセンサと互換性のあるレンズと、を含んでもよい。
【0134】
いくつかの変形例では、プロセッサモジュール662は、例えばタブレット、ラップトップ、デスクトップ、ネットワークコンピュータ、または専用のスタンドアロンマイクロプロセッサ等の任意のコンピュータまたは演算手段を含む。例えば、プロセッサモジュール662は、1以上の中央処理装置(CPU)を含んでもよい。例示的な実施形態では、プロセッサモジュール662は、4つのCPUを有するクワッドコアの2.5GHzプロセッサであり、各CPUは、64ビットマイクロプロセッサ(例えば、INTEL Core i3、i5、またはi7として、またはAMD Core FXシリーズで市販されている)等のマイクロプロセッサである。しかしながら、他の実施形態では、プロセッサモジュール662は、任意の適切な数のCPU及び/または他の適切なクロック速度を有する任意の適切なプロセッサであってもよい。
【0135】
プロセッサモジュール662のための入力は、例えば、
図8に示すカメラモジュール640の撮像センサ644から、
図7の照明モジュール620のソリッドステートフォトダイオード630から、及び/またはフットスイッチやリモートコントロール等の任意の外部制御ハードウェアから取得されてもよい。出力は、レーザダイオードドライバ及び光学式アライメントエイドに提供される。
図6に示されるように、いくつかの変形例では、プロセッサアセンブリ618は、取得したデータの記録及び処理を可能にすべく、例えば内部メモリ(例えばハードディスクまたはフラッシュメモリ)等の有形の非一時的なコンピュータ可読媒体に、時系列/被験者時系列の画像、またはそれらを示すデータ、または他の入力データを保存する機能を有するデータ保存モジュール664を有していてもよい。いくつかの変形例では、プロセッサモジュール662は、様々な要素の制御を可能にし、照明及びセンサシャッタの正確なタイミングを保証するために、内部クロックを有していてもよい。いくつかの変形例において、プロセッサモジュール662は、ユーザ入力及びグラフィック表示も提供してもよい。蛍光撮像システムは、任意に、時系列の蛍光画像を取得しているとき、または記録後に再生するときに送信するための、有線または無線ネットワーク接続や映像出力接続等の通信ユニット666を備えて構成されてもよい。通信ユニット666は、追加的または代替的に、空間マップ、被写体空間マップ、及び/または組織数値等の処理済みデータを送信してもよい。
【0136】
図6~8に記載の例示的なシステムの動作において、被験者は、関心領域(例えば、標的組織領域)が光源612及び取得アセンブリ616の下方に位置するように、光源612の照明もジュール620が関心領域の実質的な全体にわたって実質的に均一な照明のフィールドを生成するように、蛍光撮像システム610に対して相対的に配置される。いくつかの変形例では、蛍光造影剤614を被験者に投与する前に、背景控除(background deduction)の目的で関心領域の画像が取得されてもよい。蛍光画像/被験者蛍光画像を取得するために、蛍光撮像システム610のオペレータは、遠隔スイッチまたはフットコントロールを押すことによって、またはプロセッサアセンブリ618に接続されたキーボード(不図示)を介して、時系列/被験者時系列の蛍光画像の取得を開始してもよい。その結果、光源612がオンになり、プロセッサアセンブリ618は、画像取得アセンブリ616によって提供された蛍光画像データ/被験者蛍光画像データの記録を開始する。本実施形態のパルスモードで動作する場合、カメラモジュール640内の撮像センサ644は、照明モジュール620内のダイオードレーザ622によって生成されたレーザパルスに続く蛍光発光を収集するように同期される。このようにして、最大の蛍光発光強度が記録され、信号対ノイズ比が最適化される。この実施形態では、蛍光造影剤614は被験者に投与され、動脈流を介して関心領域に送出される。時系列/非検体時系列の蛍光画像の取得は、例えば、蛍光造影剤614の投与直後に開始され、蛍光造影剤614の浸入中、実質的に関心領域全体からの時系列の蛍光画像が取得される。関心領域からの蛍光発光は、カメラモジュール640の収集光学系によって収集される。残留する周辺光及び反射された励起光は、カメラモジュール640の後続の光学素子(例えば、フィルタであってもよい
図8の光学素子650)によって減衰され、その結果、他の光源からの光による干渉を最小限にして、撮像センサアセンブリ644によって蛍光発光が取得され得る。
【0137】
いくつかの変形例では、時系列/被験者時系列の蛍光画像の取得または生成に続いて、プロセッサアセンブリ618(例えば、プロセッサモジュール662または他のプロセッサ)は、次いで、メモリ668に格納された命令を実行し、撮像データ処理システムへの送信前に撮像データを処理するように開始されてもよい。システム610は、接続666を介して、空間マップ/被写体空間マップ及び/またはそれらから導出される任意の臨床的相関または診断、あるいはその両方を、例えばグレースケールまたは着色画像として合成表示フィードでユーザに表示するため、及び/またはその後の使用のために格納すべく、送信してもよい。
【0138】
コンピュータ実行可能(読み取り可能)プログラムコードが埋め込まれた有形の非一時的なコンピュータ可読媒体は、命令を実行する際に、本明細書に記載の1以上の方法を実行させるための命令を、1以上のプロセッサに提供することができる。プログラムコードは、任意の適切なプログラミング言語で書かれ、例えば、書き込み不可能な記憶媒体(例えば、ROM、CD-ROMディスク等の読み取り専用メモリデバイス)に永続的に格納された情報、書き込み可能な記憶媒体(例えばハードドライブ等)に変更可能に格納された情報、ローカルエリアネットワーク、インターネットのような公衆ネットワーク等の通信媒体を介してプロセッサに伝達された情報、または電子命令の格納に適した任意のタイプの媒体を含むが、これに限られるものではない多くの形態でプロセッサに配信されることができる。本明細書に記載された方法の様々な実施形態を実装するコンピュータ可読命令を運ぶ場合、そのようなコンピュータ可読媒体は、様々な実施形態の例を表す。様々な実施形態において、有形の非一時的なコンピュータ可読媒体は、すべてのコンピュータ可読媒体を含み、本発明の範囲は、媒体が有形及び非一時的の両方であるコンピュータ可読媒体に限定される。
【0139】
キットは、本明細書に記載されたシステムの任意の部分と、例えばICGのような蛍光色素または任意の適切な蛍光造影剤等の蛍光造影剤を含んでもよい。更なる態様では、キットは、コンピュータ実行可能(読み取り可能)プログラムコードが埋め込まれた有形の非一時的なコンピュータ可読媒体であって、命令を実行する際に、本明細書に記載された、組織の特性評価及び/または臨床データの予測のための1以上の方法を実行させるための命令を、1以上のプロセッサに提供することができるコンピュータ可読媒体を含んでもよい。キットは、その構成要素の少なくともいくつかの使用するための命令(例えば、蛍光造影剤を使用するためのもの、命令が埋め込まれたコンピュータ実行可能(可読)なプログラムコードをインストールするためのもの等)を含んでもよい。さらに別の態様では、本明細書に記載された方法及びシステムで使用するための蛍光色素等の蛍光造影剤が提供される。さらなる変形例では、キットは、本明細書に記載されたシステムの任意の部分または全体、及び、例えばICG等の蛍光色素、または任意の他の適切な蛍光剤、または蛍光剤の組合せのような蛍光剤を含んでもよい。
【0140】
撮像データの生成に使用する造影剤の例
いくつかの実施形態によれば、蛍光医療用撮像アプリケーションでは、造影剤は、例えばICG色素等の蛍光造影剤である。ICG等の蛍光造影剤は、蛍光造影剤から生じる信号強度の測定を行う前に、被験者に事前投与されてもよい。ICGは、被験者に投与されると、血液タンパク質と結合し、血液と共に組織内を循環する。蛍光造影剤(例えば、ICG)は、ボーラス注射(例えば、静脈または動脈への注射)として、ボーラスが血管系を循環し、微小血管系を通過するように、撮像に適した濃度で被験者に投与されてもよい。複数の蛍光造影剤が使用される他の実施形態では、このような薬剤は、例えば単一のボーラスで同時に投与されてもよいし、または別々のボーラスで順次投与されてもよい。蛍光造影剤は、蛍光造影剤から生じる信号強度の測定を行う前に、被験者に事前投与されてもよい。いくつかの実施形態では、蛍光造影剤は、カテーテルによって投与されてもよい。特定の実施形態では、蛍光造影剤は、蛍光造影剤から生じる信号強度の測定を行う1時間未満前に投与されてもよい。例えば、蛍光造影剤は、測定の30分未満前に被験者に投与されてもよい。さらに他の実施形態では、蛍光造影剤は、測定の実施の少なくとも30秒前に投与されてもよい。さらに他の実施形態では、蛍光造影剤は、測定の実施と同時に投与されてもよい。
【0141】
いくつかの実施形態によれば、蛍光造影剤は、血液中の所望の循環濃度を達成するために、種々の濃度で投与されてもよい。例えば、蛍光造影剤がICGである実施形態では、血液中で約5μM~約10μMの循環濃度を達成するために、約2.5mg/mLの濃度で投与してもよい。様々な実施形態において、蛍光造影剤の投与のための上限濃度は、蛍光造影剤が循環血液中で臨床的に毒性を持つようになる濃度であり、下限濃度は、蛍光造影剤を検出するために、血液と共に循環する蛍光造影剤から生じる信号強度データを取得するための機器限界である。様々な他の実施形態では、蛍光造影剤の投与の上限濃度は、蛍光造影剤が自己消光する濃度である。例えば、ICGの循環濃度は、約2μM~約10mMの範囲であってもよい。故に、一態様において本方法は、様々な実施形態による信号強度データを処理する前に、造影剤(例えば、蛍光造影剤)を被験者に投与するステップと、信号強度データ(例えば、映像)を取得するステップとを含む。別の態様では、本方法は、造影剤を被験者に投与する任意のステップを除外する。
【0142】
いくつかの実施形態によれば、蛍光画像データを生成するための蛍光撮像アプリケーションでの使用に適した蛍光造影剤は、血液と共に循環し(例えば、血液中のリポタンパク質または血清血漿等の血液成分と共に循環可能な蛍光色素)、組織の血管系(即ち、大血管及び微小血管系)を通過することができる造影剤であり、当該造影剤が適切な光エネルギ(例えば、励起光エネルギまたは吸収光エネルギ)に曝されたときに信号強度が生じる造影剤である。様々な実施形態において、蛍光造影剤は、蛍光色素、その類似体、その誘導体、またはこれらの組合せを含む。蛍光色素は、任意の非毒性の蛍光色素を含む。特定の実施形態では、蛍光色素は、近赤外スペクトルの蛍光を最適に放出する。特定の実施形態では、蛍光色素は、トリカルボシアニン色素であるか、またはこれを含む。特定の実施形態では、蛍光色素は、ICG、メチレンブルー、またはそれらの組み合わせであるか、またはそれらを含む。他の実施形態では、蛍光色素は、各色素に適切な励起光の波長を使用して励起可能な、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリスリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒド、フルオレスカミン、ローズベンガル、トリパンブルー、フルオロゴールド、またはこれらの組合せであるか、またはこれらを含む。いくつかの実施形態では、蛍光色素の類似体または誘導体を使用してもよい。例えば、蛍光色素類似体または誘導体は、化学的に修飾されているが、適切な波長の光エネルギに曝された場合に蛍光を発する能力を保持している蛍光色素を含む。
【0143】
様々な実施形態では、蛍光造影剤は、凍結乾燥された粉末、固体、または液体として提供されてもよい。特定の実施形態では、蛍光造影剤は、バイアル(例えば、無菌バイアル)で提供されてもよく、これは無菌シリンジで無菌流体を投与することにより、適切な濃度に再構成することができる。再構成は、任意の適切なキャリアまたは希釈剤を使用して行うことができる。例えば、蛍光造影剤は、投与の直前に水性希釈剤で再構成されてもよい。様々な実施形態では、蛍光造影剤を溶液中に維持する任意の希釈剤またはキャリアを使用することができる。一例として、ICGは、水で再構成されてもよい。いくつかの実施形態では、蛍光造影剤が再構成されると、それは追加の希釈剤及びキャリアと混合されてもよい。ある実施形態において、蛍光造影剤は、例えば溶解性、安定性、撮像特性、またはそれらの組合せを高めるために、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、合成ポリマー、または糖等の別の分子に結合されてもよい。Tris、HCl、NaOH、リン酸緩衝液、及び/またはHEPESを含む追加の緩衝剤を任意に添加してもよい。
【0144】
蛍光造影剤の詳細を上述したが、当業者であれば、光学撮像モダリティに応じて、本明細書で説明するシステム、方法、及び技術に関連して他の造影剤を使用してもよいことを理解するだろう。このような蛍光剤は、体液(例えば、リンパ液、脊髄液)または体組織に投与されてもよい。
【0145】
いくつかの変形例において、本明細書中に記載された方法、システム及びキットと組み合わせて使用される蛍光造影剤は、侵襲外科的処置、低侵襲外科的処置、非侵襲外科的処置、またはそれらの組み合わせの前、その間、またはその後に実行され得る、血流撮像、組織灌流撮像、リンパ撮像、またはそれらの組み合わせに使用されてもよい。血流撮像、組織灌流撮像、リンパ撮像、またはそれらの組み合わせの方法は、それ自体、侵襲外科的ステップを除外してもよい。血流及び組織灌流を伴う侵襲外科的処置の例は、心臓関連の外科的処置(例えば、オンポンプやオフポンプのCABG)や再建外科的処置を含む。非侵襲または低侵襲処置の例は、創傷(例えば、褥瘡などの慢性創傷)の治療及び/または管理を含む。この点に関して、例えば、創傷の寸法(例えば、直径、面積)の変化、または創傷及び/または創傷周囲の組織灌流の変化等の創傷の経時的な変化が、方法及びシステムの適用によって経時的に追跡され得る。リンパ撮像の例は、1以上のリンパ節の識別、リンパ節ドレナージ、リンパ系マッピング(lymphatic mapping)、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの変形例では、このようなリンパ系撮像は、女性生殖系(例えば、子宮、子宮頸部、外陰部)に関連し得る。
【0146】
心臓への適用に関する変形例では、造影剤(例えば、ICG単独または他の造影剤との組み合わせ)は、例えば、中心静脈回路、バイパスポンプ及び/または心筋保護回路を通して静脈内に注入して、冠状血管系、微小血管系及び/または移植片を流動及び/または灌流させてもよい。ICGは、冠動脈中のICGの最終濃度が、約2.5mg(即ち、2.5mg/mlの1ml)を中心回路またはバイパスポンプに注入した場合と略同一かそれ以下になるように、希釈されたICG/血液/生理食塩水として移植された血管の下方に投与され得る。ICGは、例えば、25mgの固体を、製造業者によってICGと共に提供され得る無菌水性溶媒10mlに溶解することによって調製されてもよい。1mlのICG溶液を500mlの無菌生理食塩水と混合(例えば、1mlのICGを500mlの生理食塩水バッグに注入する)してもよい。希釈されたICG/生理食塩水の30ミリリットルが、中心動脈回路またはバイパスポンプから無菌的に得られた被験者の血液10mlに添加されてもよい。血中のICGは、血漿蛋白質と結合し、血管外への漏出を防ぐ働きをする。ICGと血液の混合は、標準的な無菌技術を用いて、無菌の術野内で行うことができる。各移植片に対して、ICG/生理食塩水/血液の混合液を10ml投与することができる。ICGは、ニードルを使用して移植片の壁面を通して注入することによって投与するのではなく、移植片の(開放した)近位端に取り付けられたシリンジを使って投与することができる。移植片が採取される際、生理食塩水で満たされたシリンジを取り付け、移植片の遠位端を封鎖し、移植片の下方に生理食塩水を注入することで、移植片を加圧し、第1の吻合を実施する前に(漏出、側枝等に関して)導管の完全性を評価することができるように、外科医は日常的に移植片の近位端にアダプタを取り付ける。他の変形例では、心臓撮像に関連して本明細書に記載された方法、投与量、またはそれらの組合せは、任意の血管及び/または組織灌流撮像アプリケーションにおいて使用され得る。
【0147】
リンパ系マッピングは、リンパ系を介して拡がる癌(例えば、乳癌、胃癌、婦人科癌)に対する効果的な外科的病期分類の重要な部分である。特定の節流域から複数の節を切除すると、急性または慢性のリンパ浮腫、知覚障害、及び/または血清腫形成を含深刻な合併症を来し得るが、実際には、センチネルリンパ節の転移が陰性であれば、周囲のリンパ節も陰性である可能性が最も高い。例えば乳癌手術では、腫瘍排出リンパ節(LN)の識別が、リンパ系を介して広がる癌の病期分類の重要なステップとなっている。LNマッピングは、生検または切除のいずれかに係るLNの識別のための色素及び/または放射性トレーサの使用、及びその後の転移の病理学的評価を含む。外科的病期分類時のリンパ節切除の目標は、癌が局所的に拡がるリスクが高いLNを識別して切除することである。センチネルリンパ節(SLN)マッピングは、乳癌の治療における有効な外科的戦略として浮上している。一般に、転移(腋窩LNへの癌の拡がり)が認められる場合、SLNに位置すべきであるという概念に基づいており、SLNは当技術分野では最初のLNまたは原発腫瘍から癌細胞が最も拡がる可能性が高い節群と定義されている。SLNが転移に対し陰性であれば、周囲の二次及び三次LNも陰性であるはずである。SLNマッピングの主な利点は、従来の部分的または完全なリンパ節切除を受ける被験者の数を減少させ、その結果、リンパ浮腫やリンパ嚢胞等の付随する病的状態に苦しむ被験者の数を減少させることである。
【0148】
SLNマッピングの現在の標準的な治療は、原発腫瘍からのリンパ排液経路を識別するトレーサの注入を含む。使用されるトレーサは、ガンマプローブを用いた術中局在化のための放射性同位元素(例えば、テクネチウム-99またはTc-99m)であってもよい。放射性トレーサ技術(シンチグラフィとして知られる)は、放射性同位元素を利用できる病院に限られており、核医学の医師の関与が必要であり、リアルタイムの視覚的ガイダンスは得られない。有色色素であるイソスルファンブルーも使用されているが、この色素は皮膚及び脂肪組織を通して見ることができない。また、青色染色の結果、乳房の刺青が数カ月続き、皮下注射で皮膚壊死が生じ得、まれにアナフィラキシーを伴うアレルギ反応も報告されている。重篤なアナフィラキシー反応は、イソスルファンブルーの注射後に生じている(患者の約2%)。その症状は、呼吸困難、ショック、血管浮腫、蕁麻疹及びそう痒を含む。反応は、気管支喘息の既往歴がある被験者や、トリフェニルメタン色素に対するアレルギまたは薬物反応がある被験者に起こりやすい。イソスルファンブルーは、パルスオキシメトリによる酸素飽和度の測定や、ガス分析器によるメトヘモグロビンの測定を妨害することが知られている。イソスルファンブルーを使用すると、一過性または長期間の(刺青のような)青色の着色が生じる可能性がある。
【0149】
対照的に、SLNの視覚化、マッピングに使用するための様々な実施形態に係る蛍光撮像は、術中にLN及び/または求心性リンパ管の直接的なリアルタイムの視覚的識別を容易にし、皮膚及び脂肪組織、血流の組織化、組織灌流またはそれらの組み合わせを通じた、リアルタイムで高解像度の光学的誘導を容易にする。
【0150】
いくつかの変形例において、蛍光撮像中のリンパ節の可視化、分類、またはその両方は、1以上の造影剤の撮像に基づいてもよく、これはさらに、ガンマプローブ(例えば、テクネチウムTc-99mは無色透明の水溶液であり、標準的なケアとして典型的に乳輪周囲領域に注入される)、別の従来使用されている着色造影剤(イソスルファンブルー)、及び/または例えば組織学等の他の評価を用いて、視覚化及び/または分類に基づいてもよい。被験者の乳房には、例えば、(比較のために)約1%イソスルファンブルーを2回注入し、約2.5mg/mlの濃度を有するICG溶液を2回注入してもよい。イソスルファンブルーの注入は、ICGの注入に先行して行われてもよいし、またはその逆でもよい。例えば、TBシリンジ及び30G針を用いて、麻酔下の被験者に、乳房の乳輪周囲領域に0.4ml(各部位に0.2ml)のイソスルファンブルーを注入することができる。被験者は、右乳房については12時及び9時の位置、左乳房については12時及び3時の位置に注射され得る。各乳房へのイソスルファンブルーの皮内注入の総用量は、約4.0mg(0.4mlの1%溶液:10mg/ml)でよい。別の例示的な変形例では、被験者は、最初にICG注入を受け、続いてイソスルファンブルーを受けてもよい(比較のため)。ICGの25mgバイアル1本は、ICG投与の直前に2.5mg/mlの溶液を得るために、10mlの注入用無菌水で再構成され得る。TBシリンジと30G針を用いて、例えば被験者は、乳房の乳輪周囲領域にICGを約0.1ml(各部位0.05ml)が注入され得る(右乳房については12時及び9時の位置、左乳房については12時及び3時の位置に注入が実施され得る)。各乳房へのイソスルファンブルーの皮内注入の総用量は、乳房あたり約0.25mg(2.5mg/ml溶液0.1ml)でよい。ICGは、例えば、注入あたり5~10秒の速度で注入され得る。ICGを皮内に注入すると、ICGのタンパク質結合特性により、ICGがリンパに速やかに取り込まれ、導管を通ってLNに移動する。いくつかの変形例では、ICGは、5%以下のヨウ化ナトリウムと25mgのICGを含む、無菌の凍結乾燥粉末の形で提供されてもよい。ICGは、ICGを再構成するために使用される、注射用無菌水からなる水性溶媒と共にパッケージされてもよい。いくつかの変形例では、乳癌センチネルリンパマッピングにおけるICG投与量(mg)は、投与経路に応じて、約0.5mgから約10mgの範囲であってもよい。いくつかの変形例では、ICG投与量は、約0.6mgから約0.75mg、約0.75mgから約5mg、約5mgから約10mgであってもよい。投与経路は、例えば、皮下、皮内(例えば、乳輪周囲へ)、乳輪下、腫瘍に重なる皮膚、腫瘍に最も近い乳輪内への皮内、乳輪内への皮下、腫瘍の上の皮内、乳房全体の乳輪周囲、またはそれらの組み合わせであってもよい。注入は、視覚化及び/または分類の前に行われてもよい。NIR蛍光陽性LN(例えば、ICGを使用)は、例えば、白黒NIR蛍光画像、及び/またはフルもしくは部分的なカラー(白色光)画像、フルまたは部分的に非飽和の白色光画像、強化されたカラー画像、オーバーレイ(例えば、任意の他の画像と蛍光)、様々な色、様々な非飽和レベル、または関心のある特定の特徴を強調/視覚化するための様々な範囲の色を有してもよい合成画像(例えば、他の画像に蛍光が組み込まれる)、として表されてもよい。更なる視覚化及び/または他の分析(例えば、定量化)のために、画像の処理がさらに実行されてもよい。乳癌患者におけるSLN生検のための米国乳腺外科学会(ASBrS:American Society of Breast Surgeons)の診療ガイドラインに従って、ICG及びSLNを単独で、またはガンマプローブ(Tc-99m)と組み合わせて、様々な実施形態に係る蛍光撮像システム及び方法を使用して、リンパ節及びリンパ管が(例えば、手術中に、リアルタイムで)視覚化されてもよい。LNの蛍光撮像は、腋窩のLNに至るリンパ管をたどって注入部位から始めることができる。LNの視覚画像が識別されると、皮膚を切開してLNマッピング及びLNの特定が行われ、ICGで視覚化されたノードが特定されるまでLNマッピングが実施されてもよい。LNマッピングの方法は、それ自体、あらゆる外科的ステップを除外してもよい。比較のために、イソスルファンブルーを用いたマッピングは、「青色」の節が識別されるまで実行されてもよい。ICG単独または別の撮像技術(例えば、イソスルファンブルー、及び/またはTc-99m)と組み合わせて識別されたLNは、切除されるようにラベリングされてもよい。被験者は、様々なステージの乳癌(例えば、IA、IB、IIA)を有し得る。
【0151】
いくつかの変形例では、例えば、婦人科癌(例えば、子宮、子宮内膜、外陰及び子宮頸部の悪性腫瘍)において、ICGは、リンパ節、リンパ管、またはそれらの組合せの視覚化のために、細胞間に投与されてもよい。細胞間に注入すると、ICGの蛋白質結合特性により、リンパ液に速やかに取り込まれ、導管を通ってSLNに移動する。ICGは、25mgのICG(例えば、25mg/バイアル)と5.0%以下のヨウ化ナトリウムを含む無菌の凍結乾燥粉末の形で注入のために提供され得る。次いで、ICGは、使用前に市販の注入用水(無菌)で再構成されてもよい。一実施形態によれば、25mgのICGを含むバイアルを20mlの注入用水で再構成してもよく、1.25mg/mlの溶液を得てもよい。この1.25mg/ml溶液がトータルで4ml被験者に注入され(4×1ml注入)、被験者あたりのICGの総投与量を5mgとする。また、1%イソスルファンブルー10mg/mlの1ml溶液(比較目的のため)を子宮頸部に4回注入し、総投与量を40mgとすることもできる。当該注入は、手術室において被験者が麻酔状態にある間に行われてもよい。いくつかの変形例では、婦人科癌のセンチネルリンパ節の検出及び/またはマッピングにおけるICGの投与量(mg)は、投与経路に応じて約0.1mgから約5mgの範囲であり得る。いくつかのバリエーションにおいて、ICGは、約0.1mgから約0.75mg、約0.75mgから約1.5mg、約1.5mgから約2.5mg、約2.5mgから約5mgであり得る。投与経路は、例えば、子宮頸部注入、外陰部周囲注入、子宮鏡検査下子宮内膜注入、またはそれらの組み合わせであってもよい。LNを切除する際にマッピング手順を妨害するイソスルファンブルーまたはICGの流出を最小限に抑えるために、マッピングは半骨盤上で行われてもよく、イソスルファンブルー及びICGの両方を用いたマッピングは、任意のLNの切除の前に行われてもよい。臨床ステージIの子宮内膜癌に対するLNマッピングは、子宮腫瘍に関するNCCNガイドライン、子宮内膜癌の外科的病期分類のためのSLNアルゴリズムに従って行われてもよく、臨床ステージIの子宮頸癌のSLNマッピングは、子宮頸部腫瘍に関するNCCNガイドライン、早期子宮頸癌の外科的/SLNマッピングアルゴリズムに従って行われてもよい。従って、LNの識別は、ICG蛍光撮像単独、または比色色素(イソスルファンブルー)及び/または放射性追跡子との組合せまたは同時投与に基づいてもよい。
【0152】
リンパ節の視覚化は、定性的及び/または定量的であってもよい。このような視覚化は、例えば、リンパ節の検出、検出率、リンパ節の解剖学的分布を含み得る。様々な実施形態によるリンパ節の視覚化は、単独で、または他の変数(例えば、バイタルサイン、身長、体重、人口統計、外科的予測因子、関連する病歴及び基礎状態、組織学的視覚化及び/または評価、Tc-99m視覚化及び/または評価、併用薬)と組み合わせて使用されてもよい。フォローアップ訪問は、退院日及びその以降の日(例えば、1ヶ月)に行われ得る。
【0153】
リンパ液は高レベルの蛋白質を含むため、ICGは、リンパ系に入ると、内因性蛋白質に結合し得る。本明細書に記載された方法及びシステムに従って使用される場合、リンパマッピングのための蛍光撮像(例えば、ICG撮像)は、以下の例示的な利点を提供する:NIRが有意な自家蛍光を生成しないため、高い信号対背景比(または腫瘍対背景比)、リンパマッピングのためのリアルタイム視覚化特徴、組織定義(即ち、構造的な視覚化)、血管系に入った後の迅速な排泄及び除去、ならびに非イオン化放射線の回避。さらに、NIR撮像は、可視光(1~3mmの組織)よりも優れた、組織への浸透性(約5~10mmの組織)を有する。また、例えばICGの使用は、傍大動脈節を覆う腹膜を通しての視覚化を容易にする。組織蛍光は、NIR光では長期間観察できるが、可視光では観察することができず、結果的に病理学的評価やLNの処理に影響を及ぼさない。また、蛍光は、リンパ節の青色染色(イソスルファンブルー)よりも術中に検出しやすい。他の変形例では、リンパ管撮像に関連して本明細書に記載された方法、投与量、またはそれらの組合せは、任意の血管及び/または組織灌流撮像アプリケーションにおいて使用され得る。
【0154】
組織灌流は、酸素及び栄養素が供給され、灌流される組織の毛細血管床から老廃物が除去される、単位組織体積あたりの血液の微小循環流に関連する。組織灌流は血管内の血流に関係するが、それとは異なるものである。定量化された血管を通る血流は、流れを定義する文言(即ち、体積/時間)、または速度を定義する文言(即ち、距離/時間)で表され得る。組織血液灌流は、組織体積内の細動脈、毛細血管、または細静脈等の、微小血管系を通る血液の動きを定義する。定量化された組織血液灌流は、組織体積を通る血流、即ち、血液体積/時間/組織体積(または組織質量)の血流で表され得る。灌流は、より大きな直径の非栄養血管ではなく、血液と組織の間の代謝物の交換に関連する血管を含む栄養血管(例えば、毛細血管として知られる微小血管)に関連する。いくつかの実施形態では、対象組織の定量化は、速度、サイズ、体積、時間、距離/時間、及び/または体積/時間、及び/または前述のパラメータまたは量のうちの任意の1以上に関連する変化量等の、対象組織に関連するパラメータまたは量を計算または決定することを含み得る。しかしながら、より太い直径の血管を通る血液の動きと比較して、個々の毛細血管を通る血液の動きは、主に血管運動に起因する非常に不規則なものであり、血管緊張の自発的振動は、赤血球の動きの脈動として現れる。いくつかの実施形態では、システム及び方法に関連して本明細書で説明された血流及び組織灌流撮像は、腫瘍組織を撮像し、そのような組織を他の組織から区別するために使用され得る。
【0155】
前述の開示は、説明の目的で、特定の実施形態を参照して開示された。しかしながら、上記の例示的な議論は、網羅的であることや、本発明を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。上記の教示に鑑みて、多くの修正及び変形が可能である。実施形態は、技術の原理とそれらの実用的な応用を最もよく説明するために選択され、開示されたものである。これにより、当業者であれば、考えられる特定の用途に適した様々な変更を加えて、本技術及び種々の実施形態を最良に利用することができる。本明細書では、明確かつ簡潔に説明するために、特徴を同一または別々の実施形態の一部として説明したが、本発明の範囲が、説明した特徴の全てまたは一部の組み合わせを有する実施形態を含んでもよいことは理解されるだろう。
【0156】
本開示及び例示は、添付の図面を参照して十分に説明されたが、種々の変更及び修正が当業者には明らかになることに留意されたい。そのような変更及び修正は、特許請求の範囲によって定義される開示及び例示の範囲内に含まれるものとして理解されるべきである。最後に、本出願において参照された特許及び刊行物の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。