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特許7544721高リスクプラークの性状評価のシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】高リスクプラークの性状評価のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20240827BHJP
   A61B 6/50 20240101ALI20240827BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240827BHJP
   G06T 7/62 20170101ALI20240827BHJP
   G16H 30/20 20180101ALI20240827BHJP
【FI】
A61B6/03 560J
A61B6/50 511G
A61B6/03 560D
G06T7/00 612
G06T7/62
G16H30/20
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2021543300
(86)(22)【出願日】2020-01-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-25
(86)【国際出願番号】 US2020015035
(87)【国際公開番号】W WO2020154649
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】62/797,024
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/750,278
(32)【優先日】2020-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521325466
【氏名又は名称】クリールリー、 インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】CLEERLY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミン、ジェームス ケイ.
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/132829(WO,A1)
【文献】特開2011-115481(JP,A)
【文献】特開2011-135938(JP,A)
【文献】特表2009-506854(JP,A)
【文献】特表2012-509122(JP,A)
【文献】国際公開第2018/078395(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0265832(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
G06T 1/00-19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管に沿ったコンピュータ断層撮影(CT)スキャンから集められた画像データを使用して冠動脈プラーク組織データ及び血管周囲組織データの性状を評価するための方法であって、前記画像データの画像情報は、冠動脈プラーク及び冠動脈プラークに隣接して位置する血管周囲組織のラジオデンシティ値を含んでおり、前記方法は、
前記画像データにおいて、前記冠動脈プラークの領域内のラジオデンシティを定量化するステップと、
前記画像データにおいて、前記冠動脈プラークに隣接する対応する血管周囲組織の少なくとも1つの領域内のラジオデンシティを定量化するステップと、
前記冠動脈プラーク内の前記定量化されたラジオデンシティ値及び前記対応する血管周囲組織内の前記定量化されたラジオデンシティ値の勾配を決定するステップと、
前記冠動脈プラーク及び前記対応する血管周囲組織内の前記定量化されたラジオデンシティ値の比率を決定するステップと、
前記冠動脈プラーク及び前記対応する血管周囲組織内の前記定量化されたラジオデンシティ値の前記勾配、又は
前記冠動脈プラークの前記ラジオデンシティ値及び前記対応する血管周囲組織の前記ラジオデンシティ値の前記比率
のうちの1つ以上を分析することによって、前記冠動脈プラークの性状を評価するステップと
を含んでおり、
前記方法は、非一時的コンピュータ記憶媒体上のコンピュータ実行可能命令を実行するように構成された1つ以上のコンピュータハードウェアプロセッサによって実行される、
方法。
【請求項2】
前記血管周囲組織は、冠動脈管腔、脂肪、冠動脈プラーク、又は心筋のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ネットワークを介してデータ記憶構成要素において前記画像データを受信するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記冠動脈プラークの前記性状評価に基づいて患者に関する診断、予後診断、又は推奨される処置のうちの少なくとも1つを含む患者レポートを生成するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
血管周囲組織の少なくとも1つの領域内のラジオデンシティを定量化するステップは、血管周囲組織の1つ以上の領域又は層の各々における冠動脈プラーク及び脂肪組織に関して前記画像データのラジオデンシティを定量化するステップを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記画像データのラジオデンシティは、冠動脈プラークの1つ以上の領域又は層の各々における低ラジオデンシティプラークに関して定量化される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記冠動脈プラークのラジオデンシティ値及び前記血管周囲組織のラジオデンシティ値は、平均ラジオデンシティである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記冠動脈プラークのラジオデンシティ値及び前記血管周囲組織のラジオデンシティ値は、最大ラジオデンシティである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記冠動脈プラークのラジオデンシティ値及び前記血管周囲組織のラジオデンシティ値は、最小ラジオデンシティである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記定量化されたラジオデンシティは、前記画像データの変換された数字によるラジオデンシティ値である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記定量化されたラジオデンシティは、ヨード造影剤、造影剤の種類、注入レート、大動脈造影剤不透明化、左心室血液プール不透明化、信号対ノイズ、造影剤対ノイズ、管電圧、ミリアンペア、心臓ゲーティングの方法、シングル及びマルチエネルギ画像取得、CTスキャナの種類、心拍数、心調律、又は血圧のうちの1つ以上を含む患者及びCTごとのパラメータを考慮する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記冠動脈プラーク及び前記血管周囲組織の前記定量化されたラジオデンシティを勾配としてレポートするステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記冠動脈プラーク及び前記血管周囲組織の前記定量化されたラジオデンシティは、前記冠動脈プラークに隣接する血管周囲組織に対する前記冠動脈プラークからの画像デンシティ値の前記勾配の傾きの比率としてレポートされ、
前記比率は、血管周囲組織及び血管周囲組織-プラーク領域の画像デンシティ値の勾配の傾きを分母に、血管周囲組織-プラーク領域のプラークの画像デンシティ値の勾配の傾きを分子にとった値である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記冠動脈プラーク及び前記血管周囲組織の前記定量化されたラジオデンシティは、前記血管周囲組織に対する前記冠動脈プラークからのラジオデンシティ値の差としてレポートされる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記画像データは、右冠動脈、左前下行動脈、左回旋動脈、又はそれらの枝、又は大動脈、又は頸動脈、又は大腿動脈、又は腎動脈のうちの少なくとも1つの長さに沿ったCTスキャンから集められる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記画像データは、非冠リファレンス血管の長さに沿ったCTスキャンからのデータである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記非冠リファレンス血管は、大動脈である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ラジオデンシティは、ハンスフィールド単位にて定量化される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
ラジオデンシティは、マルチエネルギCTが実行されるときに絶対材料デンシティにて定量化される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記画像データに含まれる前記血管周囲組織の1つ以上の領域又は層が、血管の外壁から或る端部距離まで延び、前記端部距離は、前記血管周囲組織である脂肪組織のラジオデンシティが(i)健康な血管においてスキャンされた解剖学的領域における前記脂肪組織のラジオデンシティの最小値に達し、あるいは(ii)少なくとも10%の相対割合だけ低下し、あるいは(iii)疾患のない同じ種類の血管におけるベースラインのラジオデンシティ値に対して或る相対割合だけ低下する、ように規定される距離である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記画像データに含まれる前記冠動脈プラークに隣接して位置する血管周囲組織である脂肪組織の1つ以上の領域又は層が、血管の外壁から或る端部距離まで延び、前記端部距離は、前記脂肪組織のラジオデンシティが(i)前記プラーク内の最大値に達し、あるいは(ii)少なくとも10%の相対割合だけ上昇し、あるいは(iii)前記プラーク内の最低のラジオデンシティ値に対して或る相対割合だけ変化する、ように規定される距離である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記ベースラインのラジオデンシティ値は、外側血管壁を取り囲む規定された層又は領域内に位置する血管周囲組織の層の、厚さ、面積、又は体積が測定され、かつ、定量化された平均ラジオデンシティである、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記ベースラインのラジオデンシティ値は、血管の外壁の近位にある血管周囲組織の層における脂肪組織が定量化されたラジオデンシティである、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記ベースラインのラジオデンシティ値は、血管の外壁の近位にある血管周囲組織の層における水が定量化されたラジオデンシティである、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記冠動脈プラーク及び前記血管周囲組織の前記定量化されたラジオデンシティを、ヨード造影剤、造影剤の種類、注入レート、大動脈造影剤不透明化、左心室血液プール不透明化、信号対ノイズ、造影剤対ノイズ、管電圧、ミリアンペア、心臓ゲーティングの方法、シングル及びマルチエネルギ画像取得、CTスキャナの種類、心拍数、心調律、又は血圧のうちの1つ以上を含むCTスキャンパラメータへと正規化するステップと、
冠動脈プラーク関連の血管周囲脂肪の前記定量化されたラジオデンシティを遠方の血管周囲脂肪へと正規化するステップと、
前記冠動脈プラークの前記定量化されたラジオデンシティを遠方の冠動脈プラークへと正規化するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
リモデリング、体積、斑状石灰化、などの他の高リスクプラーク特徴を定量化し、前記高リスクプラーク特徴のうちの1つ以上に基づいて高リスクプラークをさらに性状評価するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記冠動脈プラークの性状を評価するステップは、カルシウム及び非石灰化プラーク混合物を含むプラーク異種性に部分的に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記冠動脈プラークの性状を評価するステップは、前記冠動脈プラークが、事前に分類された患者画像データとの比較に基づいて、虚血を引き起こす可能性が高い場合に、前記冠動脈プラークを高リスクプラークとして識別するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記冠動脈プラークの性状を評価するステップは、前記冠動脈プラークが、事前に分類された患者画像データとの比較に基づいて、急激に進行する可能性が高い場合に、前記冠動脈プラークを高リスクプラークとして識別するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記冠動脈プラークの性状を評価するステップは、前記冠動脈プラークが、事前に分類された患者画像データとの比較に基づいて、石灰化しない可能性が高い場合に、前記冠動脈プラークを高リスクプラークとして識別するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記冠動脈プラークの性状を評価するステップは、前記冠動脈プラークが、事前に分類された患者画像データとの比較に基づいて、医療に対して反応せず、旧態に復帰せず、あるいは安定化しない可能性が高い場合に、前記冠動脈プラークを高リスクプラークとして識別するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年1月25日に出願された「SYSTEMS AND METHOD OF CHARACTERIZING HIGH RISK PLAQUES」という名称の米国特許仮出願第62/979,024号、及び2020年1月23日に出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR CHARACTERIZING HIGH RISK PLAQUES」という名称の米国特許出願第16/750,278号の利益を主張する。上述の出願の各々は、その全体が参照によって本明細書に引用される。
【0002】
本明細書に開示されるシステム及び方法は、冠動脈における高リスクプラークの識別に関し、より詳細には、冠動脈の医用画像の三次元(3D)モデルを使用して冠動脈プラーク及び周囲組織のデンシティ比率を計算することによる冠動脈プラークの性状評価に関する。
【背景技術】
【0003】
心臓は、どちらも左主幹部から分岐する左回旋枝(LCX)及び左前下行枝(LAD)、並びに右冠動脈を含むいくつかの動脈から血液を受け取る筋肉である。冠動脈疾患は、一般に、これらの動脈のうちの1つの狭窄又は閉塞に関連し、狭窄(血管が異常に狭くなる)又は虚血(動脈血の流入が妨げられることによって身体部分への血液の供給が不足する)など、心臓に血液を供給する血管に冠動脈病変を生じさせる可能性がある。結果として、心臓への血流が制限される可能性がある。冠動脈疾患を抱える患者は、胸痛に直面する可能性がある。冠動脈疾患のより重篤な症状は、心筋梗塞又は心臓発作につながる可能性がある。
【0004】
胸痛を抱え、さらには/あるいは冠動脈疾患の症状を呈する患者について、冠動脈病変に関する何らかの間接的な証拠をもたらすことができる1つ以上の検査を行うことができる。例えば、非侵襲的な検査として、心電図、血液検査、トレッドミル運動検査、心エコー検査、単一陽電子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)、及び陽電子放出断層撮影(PET)を挙げることができる。ヨード造影剤を静脈へと注入した後にコンピュータ断層撮影(CT)スキャンを使用して、心臓へと血液を供給する動脈を検査し、プラークの蓄積によって狭窄又は閉塞を来していないかどうかを判定する冠動脈コンピュータ断層撮影血管造影法(CCTA)を使用して、解剖学的データを非侵襲的に得ることができる。本明細書において使用されることがあるCCTA及びCTスキャンを、以下では、簡潔にするために、CTスキャンと呼ぶことがある。CTスキャンから生成された画像を、モニタ上での観察、フィルムへの印刷、又は電子媒体への転送が可能な三次元(3D)画像を生成するために再構成することができる。侵襲的な検査として、存在し得る所与の病変の血流予備量比(FFR)を測定して、その病変の機能的重大性を評価することが挙げられる。FFRは、充血時の病変の上流の血圧に対する病変の下流の血圧の比として定義され、測定に心臓カテーテルを必要とする。別の一般的な侵襲検査は、侵襲的冠動脈造影であり、血管造影図を使用して冠動脈の解剖学的構造を評価すること、及び一連の質問に答えることを含むSYNTAXスコアリングシステムによって、心疾患の重症度がスコア化される。スコアが、最も適切な治療方針を決定するために、病変の性状及び質問に対する応答に基づいて生成される。このプロセスは、時間がかかり、個々の心臓専門医による冠動脈血管造影図の主観的な性状評価に依存する。この制約ゆえに、SYNAXスコアは、平均スコアを得るために複数の心臓専門医によって実行されることがあり、これは、評価を実行するために必要な時間及びリソースを増加させる。さらに、侵襲性のあらゆる医療処置と同様に、FFR及びSYNTAXスコアリングは、副作用及び不必要な医療費の恐れがある。
【0005】
有害プラーク性状(APC)などのプラーク特徴が、侵襲的な技術及び非侵襲的な技術(血管内超音波、光コヒーレンス断層撮影、及び冠動脈コンピュータ断層撮影データなど)の両方を使用して、心臓の主要な有害事象の前兆となる値に関して調査されているが、非侵襲的な撮像技術(患者ごとの原子像データ)を使用して個々の冠動脈プラークの性状を評価することによって心臓の有害な事象を予測するための方法及びシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
冠動脈疾患(CAD)は、罹患及び死亡の主な原因である。CADを評価するための非侵襲的な方法として、冠動脈コンピュータ断層撮影血管造影(CCTA、単にCTと呼ばれることもある)が着目されるようになった。冠動脈アテローム性動脈硬化は、CADの一次的な疾患の実体であり、冠動脈狭窄及び虚血が、アテローム性動脈硬化のプロセスの二次的及び三次的結果として働く。冠動脈アテローム性動脈硬化に起因する心臓発作の主な機序は、プラークの破裂、プラークの侵食、又はプラークを穿刺する石灰化した結節性突起である。冠動脈アテローム性動脈硬化は、動脈の分岐部又は三分岐部/直線部分における限局性又はびまん性など、多数の異なる形態で存在し得る:例えば、プラークは、壊死性コア、線維脂肪、線維質、石灰化、及び高石灰化として等級付けされ、3D形状が異なる。すべての冠動脈プラークが心臓の有害事象に関与するわけではなく、非危険性プラークの過剰な治療は、患者に不必要な健康リスクをもたらす可能性があり、医療費の不必要な増加につながる可能性がある。本明細書において、患者の動脈をスキャン(例えば、CCTA)することによって生成された画像を使用して、将来の心臓発作又は急性冠動脈症候群を引き起こすリスクが高い冠動脈プラークを識別する方法及びシステムが説明される。これらのプラークが破裂、侵食、又は突出するかどうかを必ずしも判定することはできないが、これらのプラークが心臓発作又は急性冠動脈症候群(ACS)の将来の原因となる可能性が高いことに注目することができる。
【0007】
「高リスクプラーク」特徴を調べるこれまでに報告された科学的証拠は、プラークのみに注目しており、総プラーク量(APV)、低減衰プラーク(LAP)、ポジティブ動脈リモデリング(PR)、及びナプキンリングサイン(NRS)など、心臓発作又はACSの将来のリスクに関連する特定のアテローム性動脈硬化のプラーク特徴を識別している。しかしながら、そのような研究は、プラークと隣接する血管構造、とりわけ冠動脈管腔と血管周囲の冠動脈脂肪/組織との間の関係を、考慮していない。
【0008】
本明細書において使用されるとき、「ラジオデンシティ」は、電磁関係(例えば、X線)が相対的に材料を通過しにくいことを指す広義の用語である。画像に関して、ラジオデンシティ値は、画像データ(例えば、フィルム、印刷物、又は電子フォーマット)内のデンシティを表す値を指し、画像内のラジオデンシティ値は、画像に描写された材料のデンシティに対応する。本明細書において使用されるとき、「減衰」は、媒体を通過するにつれて強度(又は、光束)が徐々に失われることを指す広義の用語である。「低減衰」は、画像において、より暗く見える低デンシティの材料部分を示すために使用することができる用語である。「高減衰」は、画像において、画像内のより明るく見える高デンシティの材料部分を示すために使用することができる用語である。Antoniadesが、高リスクプラークを、そのようなプラークの付近又は周囲の脂肪組織(例えば、血管周囲の脂肪組織)のラジオデンシティ勾配の性状を評価することによって識別することができる脂肪減衰指数FAIを報告した(Antonopoulosらによる「Detecting human coronary inflammation by imaging perivascular fat,」Sci.Transl.Med.、第9巻、398号、2017年7月12日を参照)。水のデンシティ(例えば、ハンスフィールド単位(HU)デンシティ=0)に近い脂肪細胞の減衰デンシティは、より低いHUデンシティ(-100に近い)の脂肪細胞とは対照的であり、前者は、より炎症した脂肪細胞に関連し、それらの細胞からのコレステロール流出によるより高い減衰を達成する。これは、より炎症した冠動脈アテローム性動脈硬化症が存在する領域を特定すると考えられていた。
【0009】
しかしながら、これまでの研究は、冠動脈管腔、プラーク自体、及び血管周囲の冠動脈脂肪のデンシティの関係を考慮していない。以下にまとめられ、本明細書に記載されるように、将来のACS、心臓発作、又は死亡に関係する可能性が高い冠動脈プラークを識別するための方法及びシステムが説明される。いくつかの実施形態において、プラークが管腔又は血管周囲の冠動脈脂肪の間の中心支点として機能する比率法が説明される。
【0010】
1つの革新は、血管に沿ったコンピュータ断層撮影(CT)スキャンから集められた冠動脈プラーク及び血管周囲組織の画像からのデータを使用し、画像情報は、冠動脈プラーク及び冠動脈プラークに隣接して位置する血管周囲組織のラジオデンシティ値を含んでいる、冠動脈プラークの性状評価(例えば、体積性状評価)のための方法を含む。いくつかの実施形態において、血管周囲組織は、血管管腔及び/又は血管周囲脂肪を含み得る。いくつかの実施形態において、本方法は、ラジオデンシティ値を決定する前にCT画像から三次元(3D)モデルを作成するステップを含むことができる。いくつかの実施形態において、本方法は、画像データにおいて、冠動脈プラークの領域内のラジオデンシティを定量化するステップと、画像データにおいて、冠動脈プラークに隣接する対応する血管周囲組織の少なくとも1つの領域内のラジオデンシティを定量化するステップと、冠動脈プラーク内の定量化されたラジオデンシティ値及び対応する血管周囲組織内の定量化されたラジオデンシティ値の勾配を決定するステップと、冠動脈プラーク及び対応する血管周囲組織内の定量化されたラジオデンシティ値の比率を決定するステップと、少なくともラジオデンシティ値及び/又は比率に基づいて冠動脈プラークの性状を評価するステップと、を含むことができる。いくつかの例においては、プラークを、プラーク及び/又は血管周囲組織の最小のラジオデンシティ値並びにプラーク及び/又は血管周囲組織の最大のラジオデンシティ値の1つ以上を分析することによって性状評価することができる。いくつかの実施形態において、血管周囲組織は、冠動脈管腔、脂肪、又は冠動脈プラークのうちの少なくとも1つを含み得る。このような方法は、非一時的コンピュータ記憶媒体上のコンピュータ実行可能命令を実行するように構成された1つ以上のコンピュータハードウェアプロセッサによって実行される。このような方法は、1つ以上の他の態様を含んでもよく、あるいは本方法の態様は、さまざまな実施形態において、一部が以下で説明される多様なやり方を特徴とすることができる。
【0011】
いくつかの実施形態において、本方法は、ネットワークを介してデータ記憶構成要素において画像データを受信するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、ネットワークは、インターネット又はワイドエリアネットワーク(WAN)の一方である。いくつかの実施形態において、CTスキャンからの画像データは、少なくとも10個の画像、又は少なくとも30個の画像、あるいはさらに多くの画像を含む。いくつかの実施形態において、本方法は、冠動脈プラークの性状評価に基づいて患者に関する診断、予後診断、又は推奨される処置のうちの少なくとも1つを含む患者レポートを生成するステップをさらに含む。
【0012】
脂肪組織(又は、単に「脂肪」)は、脂質の形態でエネルギを貯蔵し、身体を緩衝及び断熱することによって身体の機能において重要な役割を果たす結合組織の一種である。これは、大部分が含脂肪細胞で構成される疎性結合組織であるが、前脂肪細胞(含脂肪細胞の前駆細胞)、線維芽細胞、及び血管内皮細胞を含む細胞の間質血管部分(SVF)、並びにさまざまな免疫細胞も含み得る。血管周囲組織の少なくとも1つの領域内のラジオデンシティを定量化するステップは、血管及び/又は血管周囲組織の1つ以上の領域又は層における冠動脈プラーク及び脂肪組織のラジオデンシティを定量化するステップを含むことができる。いくつかの実施形態において、スキャン情報のラジオデンシティは、冠動脈プラーク及び血管周囲組織の領域のうちの1つ以上の領域の各々における(例えば、制御又は基準点としての)水に関して定量化される。いくつかの実施形態において、スキャン情報のラジオデンシティは、冠動脈プラークの1つ以上の領域又は層の各々における壊死性コアプラークに関して定量化される。いくつかの実施形態において、冠動脈プラークのラジオデンシティ値及び血管周囲組織のラジオデンシティ値は、平均ラジオデンシティである。いくつかの実施形態において、冠動脈プラークのラジオデンシティ値及び血管周囲組織のラジオデンシティ値は、最大ラジオデンシティである。いくつかの実施形態において、冠動脈プラークのラジオデンシティ値及び血管周囲組織のラジオデンシティ値は、最小ラジオデンシティである。定量化された放射線感受性は、数値として性状評価されていてよい。いくつかの実施形態において、定量化されたラジオデンシティは、これらに限られるわけではないが、ヨード造影剤、造影剤の種類、注入レート、大動脈造影剤不透明化、左心室血液プール不透明化、信号対ノイズ、造影剤対ノイズ、管電圧、ミリアンペア、心臓ゲーティングの方法、CTスキャナの種類、心拍数、心調律、又は血圧のうちの1つ以上など、CTスキャン及び患者ごとのパラメータを考慮する。
【0013】
このような方法は、冠動脈プラーク及び血管周囲組織の定量化されたラジオデンシティをそのようなラジオデンシティの勾配としてレポートするステップをさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、冠動脈プラーク及び血管周囲組織の定量化されたラジオデンシティは、冠動脈プラーク及び冠動脈プラークに隣接する血管周囲組織のラジオデンシティの勾配の傾きの比率として決定及びレポートされる。いくつかの実施形態において、冠動脈プラーク及び血管周囲組織の定量化された(最大又は最小)ラジオデンシティは、冠動脈プラーク及び血管周囲組織のラジオデンシティ値の差として決定され、それぞれレポートされる。いくつかの実施形態において、画像データは、右冠動脈、左前下行動脈、左回旋動脈、大動脈、頸動脈、又は大腿動脈、あるいはこれらの枝のうちの少なくとも1つの長さに沿ったCTスキャンから集められる。いくつかの実施形態において、データは、例えば大動脈であってよい非冠リファレンス血管の長さに沿ったCTスキャンから集められる。画像データのラジオデンシティは、さまざま測定単位で表すことが可能である。一例において、ラジオデンシティは、ハンスフィールド単位で定量化される。別の例において、ラジオデンシティは、例えば、組織を区別及び分類して材料ごとの画像を得ることを可能にするスペクトルデータを使用するマルチエネルギCTが実行される場合に、絶対の材料のラジオデンシティで定量化される。
【0014】
冠動脈プラークの性状評価(例えば、体積性状評価)のための方法のいくつかの実施形態において、血管周囲組織の1つ以上の領域(又は、層)が、血管の外壁から或る端部距離まで延びる。本方法のいくつかの実施形態において、冠動脈プラーク組織の1つ以上の領域(又は、層)が、血管の外壁から或る端部距離まで延び、この端部距離は、脂肪組織のラジオデンシティが(i)プラーク内の最大値に達し、あるいは(ii)或る相対割合(例えば、≧10%)だけ上昇し、あるいは(iii)プラーク内の最低のラジオデンシティ値に対して或る相対割合だけ変化する固定の距離である。いくつかの実施形態においては、端部距離を、脂肪組織のラジオデンシティが(i)健康な血管においてスキャンされた解剖学的領域における最小値に達し、あるいは(ii)或る相対割合(例えば、≧10%)だけ低下し、あるいは(iii)疾患のない同じ種類の血管におけるベースラインのラジオデンシティ値に対して或る相対割合だけ低下する固定の距離であるとして定めることができる。いくつかの実施形態において、ベースラインのラジオデンシティ値は、厚さ、面積、又は体積によって測定された外側血管壁を取り囲む固定の層又は領域内に位置する脂肪組織の層において定量化されたラジオデンシティである。いくつかの実施形態において、ベースラインの血管周囲組織のラジオデンシティは、血管の外壁の近位にある脂肪組織の層に関して定量化されたラジオデンシティである。いくつかの実施形態において、ベースラインの脂肪組織のラジオデンシティは、血管の外壁の近位にある脂肪組織の層内の(基準又は制御点としての)水に関して定量化されたラジオデンシティである。ベースラインのラジオデンシティは、さまざまやり方で生成可能である。いくつかの実施形態において、ベースラインのラジオデンシティは、平均ラジオデンシティである。いくつかの実施形態において、ベースラインのラジオデンシティは、最大ラジオデンシティである。いくつかの実施形態において、ベースラインのラジオデンシティは、最小ラジオデンシティである。いくつかの実施形態において、ベースラインの冠動脈プラークラジオデンシティ値は、プラーク内の固定の層又は領域内の冠動脈プラーク組織の層において定量化された平均ラジオデンシティであり、厚さ、面積、又は体積によって測定される。いくつかの実施形態において、ベースラインの冠動脈プラークラジオデンシティは、測定された血管内のすべての冠動脈プラークについて定量化されたラジオデンシティである。
【0015】
いくつかの実施形態において、本方法は、血管の外壁から端部距離までの距離に対して、血管周囲組織の1つ以上の同心層の各々におけるベースラインのラジオデンシティに対する定量化されたラジオデンシティの変化のプロットを決定するステップと、血管の外壁から端部距離までの距離に対して、定量化されたラジオデンシティの変化のプロット及びベースラインのラジオデンシティのプロットによって境界付けられる領域の面積を決定するステップと、面積を、血管の外壁からの或る距離において測定された定量化されたラジオデンシティで除算するステップと、をさらに含むことができ、距離は、血管の半径よりも小さく、あるいはそれを超えると脂肪組織の定量化されたラジオデンシティが疾患のない同じ種類の血管における脂肪組織のベースラインのラジオデンシティと比べて5%よりも大きく低下する血管の外面からの距離である。本方法のいくつかの実施形態は、血管の外壁からプラークの内面までの距離に対して、冠動脈プラーク組織の1つ以上の同心層の各々におけるベースラインのラジオデンシティに対する定量化されたラジオデンシティの変化のプロットを決定するステップと、血管の外壁からプラークの内面までの距離に対して、定量化されたラジオデンシティの変化のプロット及びベースラインのラジオデンシティのプロットによって境界付けられる領域の面積を決定するステップと、面積を、血管の外壁からの或る距離において測定された定量化されたラジオデンシティで除算するステップと、をさらに含むことができ、距離は、血管の半径よりも小さく、あるいはそれを超えると脂肪組織の定量化されたラジオデンシティが疾患のない同じ種類の血管における脂肪組織のベースラインのラジオデンシティと比べて5%よりも大きく低下する血管の外面からの距離である。いくつかの実施形態において、定量化されたラジオデンシティは、血管周囲組織又は冠動脈プラークの1つ以上の領域又は層の各々における脂肪組織の定量化されたラジオデンシティである。いくつかの実施形態において、定量化されたラジオデンシティは、血管周囲組織の1つ以上の領域又は層の各々における水の定量化されたラジオデンシティである。いくつかの実施形態において、定量化されたラジオデンシティは、平均ラジオデンシティである。いくつかの実施形態において、定量化されたラジオデンシティは、最大ラジオデンシティである。いくつかの実施形態において、定量化されたラジオデンシティは、最小ラジオデンシティである。
【0016】
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態において、本方法は、これらに限られるわけではないがヨード造影剤、造影剤の種類、注入レート、大動脈造影剤不透明化、左心室血液プール不透明化、信号対ノイズ、造影剤対ノイズ、管電圧、ミリアンペア、心臓ゲーティングの方法、CTスキャナの種類、心拍数、心調律、又は血圧のうちの1つ以上を含むCTスキャンパラメータ(患者及びCTごとのパラメータ)に対して、冠動脈プラーク及び血管周囲組織の定量化されたラジオデンシティを正規化するステップをさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、本方法は、冠動脈プラーク関連血管周囲脂肪の定量化されたラジオデンシティを遠隔の血管周囲脂肪に対して正規化するステップ、及び/又は冠動脈プラークの定量化されたラジオデンシティを遠隔の冠動脈プラークに対して正規化するステップをさらに含むことができる。
【0017】
本方法の実施形態は、リモデリング、体積、斑状石灰化、などの他の高リスクプラーク特徴を定量化し、高リスクプラーク特徴のうちの1つ以上に基づいて高リスクプラークをさらに性状評価するステップをさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、冠動脈プラークの性状評価は、プラーク不均質性、とくにはカルシウム及び非石灰化プラーク混合物の存在を分析することを含む。いくつかの実施形態において、冠動脈プラークの性状を評価するステップは、冠動脈プラークが、同じ患者について行われたスキャンからの画像データ及び/又は他の患者から得られたスキャンからの画像データを含むことができる事前に分類された患者画像データとの比較に基づいて、将来の急性冠動脈事象に責任病変として関与する傾向がある場合に、冠動脈プラークを高リスクプラークとして識別するステップを含む。いくつかの実施形態において、冠動脈プラークの性状を評価するステップは、冠動脈プラークが、事前に分類された患者画像データとの比較に基づいて、虚血(例えば、組織への血液供給の制限)を引き起こす可能性が高い場合に、冠動脈プラークを高リスクプラークとして識別するステップを含む。いくつかの実施形態において、冠動脈プラークの性状を評価するステップは、冠動脈プラークが、事前に分類された患者画像データとの比較に基づいて、せん断応力における異常(例えば、低いせん断応力)を示す可能性が高い場合に、冠動脈プラークを高リスクプラークとして識別するステップを含む。
【0018】
血管けいれんが、血管収縮として知られる血管の持続的収縮によって引き起こされる動脈の狭窄である。この狭窄が、血流を減少させる可能性がある。血管けいれんは、脳(脳血管けいれん)及び冠動脈(冠動脈血管けいれん)を含む身体のあらゆる領域に影響を及ぼす可能性がある。本方法のいくつかの実施形態において、冠動脈プラークの性状を評価するステップは、冠動脈プラークが、事前に分類された患者画像データとの比較に基づいて、血管けいれんを引き起こす可能性が高い場合に、冠動脈プラークを高リスクプラークとして識別するステップを含む。いくつかの実施形態において、冠動脈プラークの性状を評価するステップは、冠動脈プラークが、事前に分類された患者画像データとの比較に基づいて、急激に進行する可能性が高い場合に、冠動脈プラークを高リスクプラークとして識別するステップを含む。場合によっては、冠動脈プラークが石灰化し、炭酸カルシウム又は他の不溶性カルシウム化合物の堆積、あるいは炭酸カルシウム又は他の不溶性カルシウム化合物への変化によって硬化することがある。いくつかの実施形態において、冠動脈プラークの性状を評価するステップは、冠動脈プラークが、事前に分類された患者画像データとの比較に基づいて、石灰化しない可能性が高い場合に、冠動脈プラークを高リスクプラークとして識別するステップを含む。いくつかの実施形態において、冠動脈プラークの性状を評価するステップは、冠動脈プラークが、事前に分類された患者画像データとの比較に基づいて、医療に対して反応せず、旧態に復帰せず、あるいは安定化しない可能性が高い場合に、冠動脈プラークを高リスクプラークとして識別するステップを含む。いくつかの実施形態において、冠動脈プラークの性状を評価するステップは、冠動脈プラークが体積サイズにおいて急激に進行する場合に、冠動脈プラークを高リスクプラークとして識別するステップを含む。いくつかの実施形態において、冠動脈プラークの性状を評価するステップは、冠動脈プラークが、事前に分類された患者画像データとの比較に基づいて、(ノーリフロー現象の発生などによる)血行再建の時点における合併症に関連する場合に、冠動脈プラークを高リスクプラークとして識別するステップを含む。
【0019】
別の革新は、血管に沿った1つ以上のコンピュータ断層撮影(CT)スキャンから集められた画像データを使用し、画像情報は、冠動脈プラーク及び冠動脈プラークに隣接して位置する血管周囲組織のラジオデンシティ値を含んでいる、冠動脈プラーク組織の性状評価(例えば、体積性状評価)のためのシステムを含む。本システムは、画像データを少なくとも記憶するように構成された第1の非一時的コンピュータ記憶媒体と、コンピュータ実行可能命令を少なくとも記憶するように構成された第2の非一時的コンピュータ記憶媒体と、第2の非一時的コンピュータ記憶媒体と通信する1つ以上のコンピュータハードウェアプロセッサとを含むことができる。1つ以上のコンピュータハードウェアプロセッサは、コンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、画像データにおいて、冠動脈プラークの領域内のラジオデンシティを定量化し、画像データにおいて、冠動脈プラークに隣接する対応する血管周囲組織の少なくとも1つの領域内のラジオデンシティを定量化し、冠動脈プラーク内の定量化されたラジオデンシティ値及び対応する血管周囲組織内の定量化されたラジオデンシティ値の勾配を決定し、冠動脈プラーク及び対応する血管周囲組織内の定量化されたラジオデンシティ値の比率を決定し、冠動脈プラーク及び対応する血管周囲組織内の定量化されたラジオデンシティ値の勾配、又は冠動脈プラークのラジオデンシティ値及び対応する血管周囲組織のラジオデンシティ値の比率のうちの1つ以上を分析することによって、冠動脈プラークの性状を評価する、ように構成される。
【0020】
別の革新は、実行時に、装置の1つ以上のハードウェアコンピュータプロセッサに、画像データにおいて冠動脈プラークの領域のラジオデンシティを定量化するステップを含む方法を実行させる命令を含んでいる非一時的コンピュータ可読媒体を含む。この方法は、画像データにおいて、冠動脈プラークに隣接する対応する血管周囲組織の少なくとも1つの領域内のラジオデンシティを定量化するステップと、冠動脈プラーク内の定量化されたラジオデンシティ値及び対応する血管周囲組織内の定量化されたラジオデンシティ値の勾配を決定するステップとをさらに含むことができる。この方法は、冠動脈プラーク及び対応する血管周囲組織内の定量化されたラジオデンシティ値の比率を決定するステップをさらに含むことができる。この方法は、冠動脈プラーク及び対応する血管周囲組織における定量化されたラジオデンシティ値の勾配、又は冠動脈プラークのラジオデンシティ値及び対応する血管周囲組織のラジオデンシティ値の比率のうちの1つ以上を分析することによって、冠動脈プラークの性状を評価するステップをさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
開示される態様を、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面と併せて以下で説明するが、添付の図面は、例示的な実施形態を説明して、さらなる理解をもたらすために提示されており、開示される態様を限定しようとするものではない。図面において、とくに明記しない限り、同様の符号は同様の要素を示す。
【0022】
図1】冠動脈プラークの性状を評価するように構成された処理システム120を含むシステム100の実施形態の一例の概略図を示している。
図2】心筋及びその冠動脈の一例を示す概略図である。
図3】冠動脈の一部分の選択された画像を含む冠動脈に沿ったスキャンから生成された一式の画像の例を示し、画像データがハンスフィールド尺度における値にどのように対応し得るかを示している。
図4A】さまざま実施形態を実装することができるコンピュータシステム400を示すブロック図である。
図4B】さまざま実施形態を実装することができるコンピュータシステム400のコンピュータモジュールを示すブロック図である。
図5A】冠動脈プラークを分析するためのプロセスのフローチャートの一例を示している。
図5B】冠動脈プラークの性状を判断するための図5Aのフローチャートの一部を拡大したフローチャートの一例を示している。
図6】冠動脈665(参照を容易にするために本明細書において「血管」と呼ばれることもある)の一部分の例を示す画像データの表現を示している。
図7図6に示したものと同じ血管665並びにプラーク及び脂肪の特徴を示し、患者の動脈の性状を判断するために分析することができる動脈の領域並びに動脈の付近のプラーク及び/又は血管周囲脂肪の追加の例をさらに示している。
図8】プラークの性状を評価するために評価することができる領域の例を示しており、これらの領域は、冠動脈及び冠動脈に隣接して位置する血管周囲組織の一部分を含む。
図9】冠動脈(血管)905の画像データの表現の概要の一例を示している。
図10図9に示した冠動脈(血管)905の画像データの表現の別の図を示しており、患者の動脈の健康特性を判断する冠動脈プラークの性状を評価するために評価することができるプラーク、血管周囲組織(例えば、脂肪)、及び管腔の特定の特徴の例を示している。
図11】本明細書に記載のようにメトリックを決定するために血管周囲脂肪及びプラークの領域のラジオデンシティ値を決定する別の例を示している。
図12】(図11に示したものと同様の)冠動脈905、プラーク915、及びプラークに隣接して位置する血管周囲脂肪920を示す画像データの表現を示している。
図13】一式の患者情報の例を示す表である。
図14】一式のスキャン情報の例を示す表1400である。
図15】一式の心臓情報の例を示す表1500である。
図16】冠動脈1600の断面の例である。冠動脈は、動脈の内側管腔及び外側血管壁を含み、管腔内及び血管の外側のプラーク及び血管周囲組織において勾配ラジオデンシティを示している。
図17】冠動脈1708の内側部分と外側部分との間のプラークの蓄積を示す冠動脈1708の長手方向の真っ直ぐなレンダリングの一例を示す画像である。この図は、管腔、プラーク、及び血管周囲組織の異なる区画を示している。
図18】冠動脈の長さに沿ったプラーク1801、管腔1802、及び脂肪1803の断面の区画面積を示すプロットのチャートである。これらの区画の異なる比率は、面積又は合計体積によって計算することができる。
図19】冠動脈の長さに沿ったプラーク1901、管腔1902、及び脂肪1903の断面の区画面積を示すプロットの別のチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
導入
コンピュータ断層撮影(CT)スキャンによる冠動脈プラーク及び血管周囲脂肪組織データの体積性状評価を使用して高リスクプラークを識別するための方法が開示される。冠動脈プラーク及び血管周囲脂肪組織の体積性状評価は、CTスキャンによるプラークの炎症状態の判断を可能にする。これは、冠動脈疾患の診断、予後診断、及び治療に有用である。特定の例示的な実施形態が、図面に例として示され、本明細書で詳細に説明されるが、これらの実施形態について、さまざまな修正及び代替形態が可能である。例示的な実施形態を開示された特定の形態に限定する意図はなく、むしろ反対に、例示的な実施形態が、例示的な実施形態の範囲内に含まれるすべての修正形態、等価形態、及び代替形態を包含することを、理解すべきである。
【0024】
本明細書において、第1、第2、などの用語が、種々の要素を説明するために使用されることがあるが、これらの要素が、これらの用語によって限定されるべきではないことを、理解できるであろう。これらの用語は、或る要素を別の要素と区別するために使用されているにすぎない。例えば、例示的な実施形態の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。本明細書において使用されるとき、用語「及び/又は」は、この用語に関連して列挙された項目のうちの1つ以上からなるあらゆる組み合わせを含む。
【0025】
或る要素が他の要素に「接続され」あるいは「結合し」ていると言及される場合、或る要素は他の要素に直接接続され、若しくは直接結合しても、あるいは介在の要素が存在してもよいことを、理解できるであろう。対照的に、或る要素が他の要素に「直接接続され」あるいは「直接結合し」ていると言及される場合、介在の要素は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の単語も、同様のやり方で解釈されるべきである(例えば、「・・・の間に」対「・・・の間に直接」、「・・・に隣接」対「・・・に直接隣接」、など)。
【0026】
「直下」、「下方」、「下」、「上方」、「上」、などの空間的に相対的な用語が、本明細書において、図面に示されるとおりの或る構成要素及び/又は特徴の別の1つ以上の構成要素及び/又は特徴に対する関係を説明するための説明を容易にするために使用されることがある。空間的に相対的な用語が、図に示された向きに加えて、使用中又は動作中のデバイスのさまざまな向きを包含するように意図されていることを、理解できるであろう。図面は、例示的な実施形態を示すことを意図しており、特許請求の範囲の意図される範囲を限定するように解釈されるべきではない。添付の図面は、とくに明記されない限り、縮尺どおりに描かれていると見なされるべきではない。
【0027】
本明細書において使用される用語は、あくまでも特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、例示的な実施形態を限定しようとするものではない。本明細書において使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈からそのようでないことが明らかでない限り、複数形も含むように意図される。さらに、「・・・を備える(comprises)」、「・・・を備えている(comprising)」、「・・・を含む(includes)」、及び/又は「・・・を含んでいる(including)」という用語が、本明細書において使用されるとき、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素が存在することを指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はこれらのグループの存在又は追加を排除するものではないことを、理解できるであろう。本明細書において、「及び/又は」という用語は、個々の項目の各々及びそれらのすべての組み合わせを選び出す。
【0028】
例示的な実施形態が、理想化された実施形態(及び、中間構造)の概略図である断面図を参照して、本明細書において説明される。したがって、例えば製造技術及び/又は公差の結果としての図示の形状からの変形が予想される。したがって、実施形態は、本明細書に示される領域の特定の形状に限定されると解釈されるべきではなく、例えば製造から生じる形状の偏差を含むべきである。例えば、長方形として示されるインプラント領域は、典型的には、インプラント領域から非インプラント領域への2値的な変化ではなく、そのエッジに丸みを帯びた特徴又は湾曲した特徴並びに/あるいはインプラント濃度の勾配を有する。同様に、インプラントによって形成された埋め込み領域は、埋め込み領域とインプラントが行われる表面との間の領域にいくらかのインプラントをもたらすことができる。したがって、図に示される領域は、本質的に概略的であり、それらの形状は、デバイスの領域の実際の形状を示すことを意図しておらず、例示的な実施形態の範囲を限定することを意図していない。
【0029】
とくに定義されない限り、本明細書において使用されるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、例示的な実施形態が属する技術分野の当業者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で定義されている用語などの用語が、関連技術の文脈におけるそれらの意味に一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書において明示的に定義されない限り、理想化された意味又は過度に形式的な意味で解釈されるべきではないことを、さらに理解できるであろう。
【0030】
さらに、いくつかの代替の実装形態において、記載された機能/動作が、図に記載された順序から外れて行われてもよいことに留意されたい。例えば、連続して示されている2つの図は、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、あるいは関連する機能/動作に応じて、時には逆の順序で実行されてもよい。
【0031】
関連する既知の機能又は構成に関する詳細な説明が、例示的な実施形態の目的を不必要に曖昧にする可能性があると判断される場合、その詳細な説明は、省略されることがある。また、本明細書で使用される用語は、例示的な実施形態を適切に説明するために定義されており、したがってユーザ、オペレータの意図、又は慣例に応じて変化し得る。したがって、用語は、本明細書における以下の全体的な説明に基づいて定義されなければならない。
【0032】
図面において、層及び領域の寸法は、説明を明確にするために誇張されている。また、或る層(又は、組織)が別の層又は組織の「上」にあると言及される場合、それは別の層又は基材の上に直接位置することができ、あるいは介在層がさらに存在してもよいことを、理解できるであろう。さらに、或る層が別の層の「下」にあると言及される場合、それは直下に位置することができ、1つ以上の介在層がさらに存在してもよいことを、理解できるであろう。加えて、或る層が2つの層の「間」にあると言及される場合、それは2つの層の間の唯一の層であってよく、あるいは1つ以上の介在層がさらに存在してもよいことを、理解できるであろう。同様の参照番号は、全体を通して同様の要素を指す。
【0033】
冠動脈プラークの性状評価のための例示的な処理システムの概要
本開示は、患者の動脈をスキャンすることによって収集された画像から生成されたデータを使用して、将来の心臓発作又は急性冠不全症候群を引き起こすリスクが高い冠動脈プラークを識別する方法及びシステムを含む。とくには、将来のACS、心臓発作、及び死亡に関係しやすい冠動脈プラークを識別するためのやり方を決定するために、血管周囲冠動脈脂肪、冠動脈プラーク、及び/又は冠動脈管腔の性状、並びに血管周囲冠動脈脂肪、冠動脈プラーク、及び/又は冠動脈管腔の性状の関係が、論じられる。画像データを生成するために使用される画像は、CT画像、CCTA画像、又は冠動脈プラーク、血管周囲脂肪、及び冠動脈管腔の相対的なデンシティを描写することができる任意の適用可能な技術を使用して生成された画像であってよい。例えば、CCTA画像を使用して、二次元(2D)又は体積(三次元(3D))画像データを生成することができ、この画像データを分析して、冠動脈プラーク、血管周囲脂肪、及び/又は冠動脈管腔のラジオデンシティに関連する特定の性状を判断することができる。いくつかの実施態様においては、ハンスフィールド尺度が、これらの特徴のラジオデンシティの尺度を提供するために使用される。知られているように、ハンスフィールド単位は、CTスキャンに使用されるX線減衰の任意単位を表す。画像データ内の特徴の各ピクセル(2D)又はボクセル(3D)に、ハンスフィールド尺度上のラジオデンシティ値を割り当てることができ、次いで、特徴を性状付けるこれらの値を分析することができる。
【0034】
さまざま実施形態において、画像情報の処理は、(1)スキャンパラメータ(例えば、mA(ミリアンペア)、kvP(ピークキロボルト))を決定すること、(2)スキャン画質(例えば、ノイズ、信号対ノイズ比、造影剤対ノイズ比)を決定すること、(3)(例えば、冠動脈壁に対して遠位の点から冠動脈に対して遠位の冠動脈壁に対して近位の点まで、及び冠動脈の中央位置から外側位置(例えば、冠動脈からの半径方向距離に関して外側)までの)スキャンごとの冠動脈管腔のデンシティを測定すること、(4)スキャンごとのプラークデンシティ(例えば、中央から外側へと、高から低又は低から高へのプラーク内の急激な変化)を、それらの3D形状の関数として測定すること、及び(5)スキャンごとの血管周囲冠動脈脂肪デンシティ(動脈の近くから動脈から遠いところまで)を、その3D形状の関数として測定すること、を含むことができる。
【0035】
虚血を引き起こすアテローム性動脈硬化症の一般的に知られた特徴のいずれにも知られていないこれらの測定から、以下を含むいくつかの性状(ただし、これらに限られるわけではない)を決定することができる。
1.管腔内のスキャンごとの減衰デンシティ勾配の体積モデルが、リスク値に関してより機能的に有意であるプラーク病変を横切る管腔デンシティの減少を調整するプラーク減衰に対する管腔減衰の比率。
2.高いラジオデンシティを有するプラークは、デンシティのグラデーション(例えば、130から4000HU)が存在する可能性があり、デンシティが増加するにつれてリスクが低下すると考えられる「石灰化した」と考えられるプラークのサブセット内であっても、より低いリスクを表すと考えられる脂肪減衰に対するプラーク減衰の比率。
3.管腔減衰/プラーク減衰/脂肪減衰の比率。
4.プラークの3Dテクスチャ分析を含むことができるアテローム性動脈硬化の3D形状の関数としての#1~3の比率。
5.管腔の3D体積形状及び経路並びに管腔の最初から最後までの減衰デンシティ。
6.リスクをさらに知らせるための任意の所与のプラークの前後のプラークの合計及びプラークの種類。
7.高リスクプラーク(低デンシティプラーク)のより良好な絶対尺度を得るための石灰化(高デンシティ)プラークを「差し引く」ことによる「より高いプラークリスク」の決定。換言すると、この特定の実施形態は、高リスクプラークを識別する目的で、石灰化したプラークを識別し、プラークのさらなる分析から除外することを含む。
【0036】
上記のメトリック及び他のメトリックを一緒に分析して、将来の心臓発作、ACS、虚血、又は死亡に関与するプラークのリスクを評価することができる。これを、伝統的なリスクスコアの開発及び/又は検証を通じ、あるいは機械学習方法を通じて行うことができる。心臓発作、ACS、虚血、又は死亡に関連する可能性が高いメトリックからの分析のための因子として、(1)[明るい管腔:暗いプラーク]の比率、(2)[暗いプラーク:明るい脂肪]の比率、(3)[明るい管腔:暗いプラーク:明るい脂肪]の比率、(4)[暗い管腔:或る血管領域における暗い心筋]/[管腔:別の血管領域の心筋]の低い比率を挙げることができる。開示される方法及びシステムにおけるいくつかの改善として、(1)アテローム性動脈硬化の特徴の定性的定義を使用する代わりに[管腔:プラーク]、[プラーク:脂肪]、及び[管腔:プラーク:脂肪]の比率からの数値を使用すること、(2)プラークの性状を評価するためにスキャンごとの[管腔:プラーク減衰]比率を使用すること、(3)プラークの性状を評価するためにスキャンごとの[プラーク:脂肪減衰]比率を使用すること、(4)プラークの性状を評価するために[管腔:プラーク:脂肪周囲]比率を使用すること、及び(5)任意の所与の個々のプラークのリスクへの寄与者としての前後のプラーク体積及び種類の統合が挙げられる。
【0037】
動脈硬化性プラークの特徴は、医療処置(コルヒチン及びスタチンの投薬)によって経時的に変化する可能性があり、これらの薬物の一部はプラークの進行を遅らせる可能性があるが、それらはプラークの変化の促進におけるきわめて重要な役割も有する。スタチン薬は、プラークの全体的な進行を減少させ得るが、実際には、石灰化したプラークの進行の増加及び石灰化していないプラークの減少ももたらし得る。この変化は、心臓発作又はACS又は死亡の減少に関連すると考えられ、本開示の方法を使用して、プラークのリスクに対する薬物療法の効果を経時的に監視することができる。また、この方法を使用して、動脈硬化性プラークの特徴又は[管腔:プラーク]/[プラーク:脂肪]/[管腔:プラーク:脂肪]の比率が、疾患の急速な進行又は悪性形質転換を被りやすいことを示している個人を識別することもできる。さらに、これらの方法を、単一のプラークに適用することができ、あるいは患者ごとに適用し、心臓全体のアテローム性動脈硬化の追跡を使用して、(将来の心臓発作の原因となる特定のプラークを識別しようとするのではなく)患者の心臓発作に直面するリスクを監視することができる。追跡を、或る期間にわたる患者に関する画像データの自動位置合わせプロセスによって行うことができる。
【0038】
図1が、冠動脈プラークの性状を評価するように構成された処理システム120を含むシステム100の実施形態の一例の概略図を示している。処理システム120は、各々が1つ以上のプロセッサで構成される1つ以上のサーバ(又は、コンピュータ)105を含む。処理システム120は、データを記憶するための非一時的コンピュータメモリ構成要素と、1つ以上のプロセッサデータ通信インターフェースによって実行される命令を記憶するための非一時的コンピュータメモリ構成要素とを含み、命令は、画像情報を分析する方法を実行するように1つ以上のプロセッサを構成する。サーバ/コンピュータ105のより詳細な例は、図4を参照して説明される。
【0039】
システム100は、ネットワークをさらに含む。処理システム120は、ネットワーク125と通信する。ネットワーク125は、ネットワーク125の少なくとも一部として、インターネット、ワイドエリアネットワーク(WAN)、無線ネットワーク、などを含むことができる。いくつかの実施形態において、処理システム120は、ネットワーク125と通信する任意の場所に位置することができる「クラウド」実装の一部である。いくつかの実施形態において、処理システム120は、患者画像データを撮像及び記憶する撮像施設と同じ地理的近さに配置される。他の実施形態において、処理システム120は、患者画像データが生成又は格納される場所から遠隔に配置される。
【0040】
図1は、システム100において、患者画像データの生成に関連し、ネットワーク125にやはり接続される(例えば、撮像施設の)種々のコンピュータシステム及びデバイス130をさらに示している。デバイス130のうちの1つ以上は、患者の動脈の画像を生成する撮像施設や、医療施設(例えば、病院、診療所、など)にあってよく、あるいは患者又は介護提供者のパーソナルコンピューティングデバイスであってよい。例えば、図1に示されるように、撮像施設サーバ(又は、コンピュータ)130Aを、ネットワーク125に接続することができる。また、この例において、撮像施設内のスキャナ130Bを、ネットワーク125に接続することができる。1つ以上の他のコンピュータデバイスを、ネットワーク125にさらに接続することができる。例えば、ラップトップ130C、パーソナルコンピュータ130D、及び/又は画像情報記憶システム130Eも、ネットワーク125に接続され、ネットワーク125を介して処理システム120と通信及び互いに通信することができる。
【0041】
デバイス130からネットワーク125を介して処理システム120に通信される情報は、画像情報135を含むことができる。種々の実施形態において、画像情報135は、患者の2D又は3D画像データ、画像データに関するスキャン情報、患者情報、及び患者に関する他の画像又は画像関連情報を含むことができる。例えば、画像情報は、例えば、年齢、性別、体格指数(BMI)、投薬、血圧、心拍数、身長、体重、人種、患者が喫煙者であるか、あるいは非喫煙者であるか、体形(例えば、広範囲の要因に基づくことができる「体格」又は「身体タイプ」)、病歴、糖尿病、高血圧、以前の冠動脈疾患(CAD)、食生活、薬歴、家族の病歴、他の以前に収集された画像情報に関する情報、運動習慣、飲酒習慣、生活習慣情報、検査結果、などの患者の(1つ以上の)性状を含む患者情報を含むことができる。一式の特許情報の一例が、図13の表1300に示されている。いくつかの実施形態において、画像情報は、例えば、患者の名前、患者の住所、運転免許証番号、社会保障番号、又は他の患者識別のしるし、などの患者の識別情報を含む。ひとたび処理システム120が画像情報135を分析すると、患者140に関する情報を、処理システム120からネットワーク125を介してデバイス130に通信することができる。患者情報140は、例えば患者レポートを含むことができる。また、患者情報140は、デバイス130のうちの1つによってアクセス可能な患者ポータルから入手することができるさまざまな患者情報を含むことができる。
【0042】
いくつかの実施形態において、患者の冠動脈の複数の画像を含む画像情報及び患者情報/性状を、デバイス130のうちの1つ以上からネットワーク125を介して処理システム120の1つ以上のサーバ105へともたらすことができる。処理システム120は、患者の冠動脈の複数の画像を使用して冠動脈情報を生成し、患者の冠動脈の二次元及び/又は三次元データ表現を生成するように構成される。次いで、処理システム120は、データ表現を分析して、患者の健康状態及び冠動脈プラークに関連するリスクを文書化する患者レポートを生成する。患者レポートは、冠動脈内又は冠動脈の付近の冠動脈プラークの種類における患者の動脈の画像及びグラフィック描写を含むことができる。機械学習技術又は他の人工知能技術を使用して、患者の冠動脈のデータ表現を(例えば、データベースに格納された)他の患者のデータ表現と比較して、患者の健康に関する追加情報を決定することができる。例えば、患者の冠動脈の特定のプラーク状態に基づいて、患者が心臓発作又は他の有害な冠動脈の結果を有する可能性を、判定することができる。さらに、例えば、患者のCADのリスクに関する追加情報も、決定することができる。
【0043】
図2が、心筋225及びその冠動脈の一例を示す概略図である。冠血管系は、大動脈から小動脈、毛細血管、小静脈、静脈、などに及ぶ血管の複雑なネットワークを含む。図1は、血液を心臓へと循環及び心臓内で循環させ、例えばさらに後述される左前下行(LAD)動脈215、左回旋(LCX)動脈220、及び右冠(RCA)動脈230などの複数の冠動脈へと血液を供給する大動脈240を含む冠動脈血管系の一部分のモデル220を示している。冠動脈は、心筋225に血液を供給する。体内の他のすべての組織と同様に、心筋225は、機能するために酸素に富む血液を必要とする。また、酸素を失った血液を運び去らなければならない。冠動脈は、心筋225の外側を包んでいる。小さな枝が心筋225に入り込み、血液をもたらす。本明細書において説明される方法及びシステムの例を使用して、冠動脈を通って冠動脈から延びる任意の血管に流れる血液に関する情報を決定することができる。とくには、説明される方法及びシステムの例を使用して、プラークが形成された冠動脈の1つ以上の部分に関するさまざまな情報を決定することができ、この情報が、例えばプラーク形成が患者にとって有害事象を引き起こすリスクであるかどうかなど、そのようなプラークに関連するリスクを判断するために使用される。
【0044】
心臓225の右側230が、(紙面に対して)図2の左側に示されており、心臓の左側235が、図2の右側に示されている。冠動脈は、大動脈240から心臓225の右側230に沿って下方に延びる右冠動脈(RCA)205と、大動脈240から心臓225の左側235を下方に延びる左主冠動脈(LMCA)210とを含む。RCA205は、右心室、右心房、並びに心調律を調節するSA(洞房)及びAV(房室)結節に血液を供給する。RCA205は、右後下行動脈及び鋭縁動脈を含むより小さな枝に分かれる。左前下行動脈215と共に、RCA205は、心臓の中央又は中隔への血液の供給を助ける。
【0045】
LMCA210は、2つの動脈、すなわち左前下行(LAD)動脈215としても知られる左冠動脈の前室間枝、及び左冠動脈220の回旋枝に分岐する。LAD動脈215は、心臓の左側前方に血液を供給する。LAD動脈215の閉塞は、未亡人を発生させる梗塞と呼ばれることも多い。左冠動脈220の回旋枝は、心筋を取り囲んでいる。左冠動脈220の回旋枝は、心臓の外側及び後側に血液を供給し、冠状溝の左側部分を辿り、最初に左方に、次いで右方に延び、ほぼ後室間溝まで達する。
【0046】
図3が、冠動脈の一部分の選択された画像を含む冠動脈に沿ったスキャンから生成された一式の画像の例を示し、画像データがハンスフィールド尺度における値にどのように対応し得るかを示している。図1を参照して説明したように、画像データの取得に加えて、画像データに関するメトリックを含むスキャン情報、及び患者の性状を含む患者情報も、収集することができる。
【0047】
心臓225、LMCA210、及びLAD動脈215の一部分が、図3の例に示されている。一式の画像305を、この例においてはLMCA210上の第1の地点301からLAD動脈215上の第2の地点302までのLMCA210及びLAD動脈215の一部分に沿って収集することができる。いくつかの例においては、画像データを、非侵襲的撮像方法を使用して取得することができる。例えば、CCTA画像データを、冠動脈及び冠動脈から延びる他の血管内の心臓の画像を作成するためにスキャナを使用して生成することができる。次いで、収集されたCCTA画像データを、CCTA画像データに含まれる特徴(例えば、右冠動脈205、左主冠動脈210、左前下行動脈215、左冠動脈220の回旋枝、大動脈240、及び画像データに現れる心臓に関連する他の血管)の三次元画像モデルを生成するために使用することができる。
【0048】
種々の実施形態においては、異なる撮像方法を使用して画像データを収集することができる。例えば、超音波イメージング又は磁気共鳴映像法(MRI)を使用することができる。いくつかの実施形態において、撮像方法は、造影剤を使用して冠動脈の構造の識別を助けることを含み、造影剤は撮像手順に先立って患者に注入される。さまざま撮像方法の各々は、分解能及び冠動脈の撮像に適するかどうかなど、それぞれの固有の使用の利点及び欠点を有し得る。冠動脈の画像データを収集するために使用することができる撮像方法は、ハードウェア(例えば、センサ及びエミッタ)及びソフトウェアの改善が行われるにつれて絶えず改善されている。開示されるシステム及び方法は、CCTA画像データ、並びに/あるいは冠動脈、プラーク、及び/又は血管周囲脂肪の減衰値又はラジオデンシティ値を得ることができるように、冠動脈、冠動脈内に含まれるプラーク、及びプラークを含む冠動脈に近接して位置する血管周囲脂肪の代表的な3D描写をもたらし、あるいはそのような3D描写へと変換可能である任意の他の種類の画像データの使用を企図している。
【0049】
さらに図3を参照すると、左前下行動脈215の一部分の画像を表す画像データ305の特定の画像310が示されている。画像310は、画像情報、本明細書において一般にピクセルと呼ばれるシステムによって操作される情報の最小点、例えば画像310のピクセル315を含む。画像データを取り込むために使用される撮像システムの分解能が、画像において認識できる最小の特徴のサイズに影響を及ぼす。さらに、その後の画像の操作が、ピクセルの寸法に影響を及ぼす可能性がある。一例として、デジタル形式の画像310は、各々の水平行の4000個のピクセル、及び各々の垂直列の3000個のピクセルを含むことができる。ピクセル315、並びに画像データ310及び画像データ305内の各々のピクセルに、画像内のピクセルのデンシティに対応するラジオデンシティ値を関連付けることができる。図3に、ハンスフィールド尺度320上の点へのピクセル315のマッピングが、例示的に示されている。ハンスフィールド尺度320は、ラジオデンシティを表すための定量的尺度である。元の線形減衰係数測定値のハンスフィールド単位スケール線形変換は、標準圧力及び標準温度における蒸留水のラジオデンシティが0ハンスフィールド単位(HU)として定義され、標準圧力及び標準温度における空気のラジオデンシティが-1000HUとして定義される。図3は、画像310のピクセル315をハンスフィールド尺度320上の点へとマッピングする例を示しているが、ピクセルのラジオデンシティ値へのこのような関連付けは、3Dデータで行うことも可能である。例えば、画像データ305が冠動脈の三次元表現を生成するために使用された後。
【0050】
ひとたびデータが取得され、三次元表現にレンダリングされると、データに対してさまざまプロセスを実行して、分析領域を識別することができる。例えば、冠動脈の三次元描写を、動脈の複数の部分を定めるようにセグメント化し、データにおいてそのように識別することができる。いくつかの実施形態においては、スキャン又は他のさまざまエラーの結果である異常を除去するために、さまざま方法によってデータをフィルタ処理(例えば、平滑化)することができる。3Dデータをセグメント化及び平滑化するためのさまざま既知の方法を使用することができ、したがって、本開示を簡潔にするために、それらを本明細書においてはこれ以上詳細に説明しない。
【0051】
図4Aが、さまざま実施形態を実装することができるコンピュータシステム400を示すブロック図である。コンピュータシステム400は、情報を通信するためのバス402又は他の通信機構と、情報を処理するためのバス402に結合したハードウェアプロセッサ又は複数のプロセッサ404とを含む。ハードウェアプロセッサ404は、例えば、1つ以上の汎用マイクロプロセッサであってよい。
【0052】
コンピュータシステム400は、情報及びプロセッサ404によって実行される命令を記憶するためのバス402に結合したランダムアクセスメモリ(RAM)、キャッシュ、及び/又は他の動的記憶デバイスなどのメインメモリ406をさらに含む。メインメモリ406を、プロセッサ404によって実行される命令の実行中に一時的な変数又は他の中間情報を記憶するために使用することもできる。そのような命令は、プロセッサ404にとってアクセス可能な記憶媒体に記憶されると、コンピュータシステム400を、命令において指定された動作を実行するようにカスタマイズされた専用マシンにする。メインメモリ406は、例えば、画像情報を分析して冠動脈の性状(例えば、プラーク、血管周囲脂肪、及び冠動脈)を決定し、冠動脈に関する患者の健康の態様の性状を表す情報を含む患者レポートを生成する命令を含むことができる。例えば、特徴の傾き/勾配、最大デンシティ、最小デンシティ、或る特徴の傾きと別の特徴の傾きとの比、或る特徴の最大デンシティと別の特徴の最大デンシティとの比、或る特徴の最小デンシティと同じ特徴の最小デンシティとの比、又は或る特徴の最小デンシティと別の特徴の最大デンシティとの比のうちの1つ以上を含む1つ以上のメトリックを決定することができる。
【0053】
コンピュータシステム400は、プロセッサ404のための静的情報及び命令を記憶するためのバス402に結合した読み出し専用メモリ(ROM)408又は他の静的記憶デバイスをさらに含む。磁気ディスク、光ディスク、又はUSBサムドライブ(フラッシュドライブ)などの記憶デバイス410が用意され、情報及び命令を記憶するためにバス402に結合する。
【0054】
コンピュータシステム400を、コンピュータユーザに情報を表示するために、バス402を介して陰極線管(CRT)又はLCDディスプレイ(又は、タッチスクリーン)などのディスプレイ412に結合させることができる。英数字及び他のキーを含む入力デバイス414が、情報及びコマンド選択をプロセッサ404に通信するためにバス402に結合する。別の種類のユーザ入力デバイスは、プロセッサ404に方向情報及びコマンド選択を通信し、ディスプレイ412上のカーソル移動を制御するためのマウス、トラックボール、又はカーソル方向キーなどのカーソル制御部416である。この入力デバイスは、典型的には、デバイスによって平面内の位置を指定することを可能にする2つの軸、すなわち第1の軸(例えば、x)及び第2の軸(例えば、y)の2つの自由度を有する。いくつかの実施形態においては、カーソル制御部と同じ方向情報及びコマンド選択を、カーソルを用いずにタッチスクリーン上のタッチを受信することによって実現することができる。
【0055】
コンピューティングシステム400は、コンピューティングデバイスによって実行されるコンピュータ実行可能プログラム命令として大容量記憶デバイスに記憶されてよいGUIを実装するためのユーザインターフェースモジュールを含むことができる。さらに、コンピュータシステム400は、後述されるように、カスタマイズされたハードワイヤードロジック、1つ以上のASIC又はFPGA、ファームウェア、及び/又はコンピュータシステムとの組み合わせにおいてコンピュータシステム400を専用マシンにし、若しくは専用マシンとなるようにプログラムするプログラムロジックを使用して、本明細書に記載の技術を実施することができる。一実施形態によれば、本明細書における技術は、メインメモリ406に含まれる1つ以上のコンピュータ可読プログラム命令の1つ以上のシーケンスのプロセッサ404による実行に応答して、コンピュータシステム400によって実行される。そのような命令を、記憶デバイス410などの別の記憶媒体からメインメモリ406に読み込むことができる。メインメモリ406に含まれる命令のシーケンスの実行は、プロセッサ404に本明細書に記載のプロセスステップを実行させる。代替的な実施形態においては、ハードワイヤード回路を、ソフトウェア命令の代わりに、又はソフトウェア命令と組み合わせて、使用することができる。
【0056】
さまざま形態のコンピュータ可読記憶媒体が、1つ以上のコンピュータ可読プログラム命令の1つ以上のシーケンスの実行のためのプロセッサ404への搬送に関与することができる。例えば、命令を、最初にリモートコンピュータの磁気ディスク又はソリッドステートドライブに保持させることができる。リモートコンピュータは、命令を自身の動的メモリにロードし、モデムを使用して電話回線を介して命令を送信することができる。コンピュータシステム400に位置するモデムが、電話回線上でデータを受信し、赤外線送信機を使用してデータを赤外線信号に変換することができる。赤外線検出器が、赤外線信号にて運ばれるデータを受信することができ、適切な回路が、データをバス402上に配置することができる。バス402は、データをメインメモリ406に運び、プロセッサ404がメインメモリ406から命令を取り出し、実行する。メインメモリ406によって受信された命令を、随意により、プロセッサ404による実行の前又は後のいずれかにおいて、記憶デバイス410に記憶してもよい。
【0057】
さらに、コンピュータシステム400は、バス402に結合した通信インターフェース418を含む。通信インターフェース418は、ローカルネットワーク422に接続されたネットワークリンク420に双方向データ通信結合を提供する。例えば、通信インターフェース418は、総合サービスデジタルネットワーク(ISDN)カード、ケーブルモデム、衛星モデム、又は対応する種類の電話回線にデータ通信接続を提供するためのモデムであってよい。別の例として、通信インターフェース418は、互換性のあるLAN(又は、WANと通信するWAN構成要素)にデータ通信接続を提供するためのローカルエリアネットワーク(LAN)カードであってよい。無線リンクを実装してもよい。任意のそのような実装形態において、通信インターフェース418は、さまざま種類の情報を表すデジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号、又は光信号を送信及び受信する。
【0058】
ネットワークリンク420は、典型的には、1つ以上のネットワークを介して他のデータデバイスにデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク420は、ホストコンピュータ424又はインターネットサービスプロバイダ(ISP)426が稼働させるデータ機器へのローカルネットワーク422を介する接続を提供することができる。次いで、ISP426は、今日において一般的に「インターネット」428と呼ばれているワールドワイドパケットデータ通信ネットワークを介するデータ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク422及びインターネット428は両方とも、デジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号、又は光信号を使用する。デジタルデータをコンピュータシステム400へと搬送及びコンピュータシステム400から搬送するさまざまネットワークを介した信号、並びにネットワークリンク420上及び通信インターフェース418経由の信号は、伝送媒体の例示的な形態である。
【0059】
コンピュータシステム400は、ネットワーク、ネットワークリンク420及び通信インターフェース418を介して、メッセージを送信し、プログラムコードを含むデータを受信することができる。インターネットの例において、サーバ430は、インターネット428、ISP426、ローカルネットワーク422、及び通信インターフェース418を介して、アプリケーションプログラムのための要求されたコードを送信することができる。
【0060】
受信されたコードは、受信時にプロセッサ404によって実行されてよく、さらには/あるいは後の実行のために記憶デバイス410又は他の不揮発性記憶装置に記憶されてもよい。
【0061】
したがって、一実施形態において、コンピュータシステム105は、少なくとも患者の画像情報を記憶するように構成された非一時的なコンピュータ記憶媒体記憶デバイス410を備える。さらに、コンピュータシステム105は、血管に沿ったコンピュータ断層撮影(CT)スキャンから集められた画像データを使用し、画像情報は、冠動脈プラーク及び冠動脈プラークに隣接して位置する血管周囲組織のラジオデンシティ値を含んでいる、冠動脈プラーク組織データ及び血管周囲組織データの性状を評価するためのプロセス(例えば、方法)を実行するための1つ以上のプロセッサ404のための命令を記憶する非一時的コンピュータ記憶媒体記憶装置も含むことができる。命令を実行して、1つ以上のプロセッサ404は、画像データにおいて、冠動脈プラークの領域のラジオデンシティを定量化し、画像データにおいて、冠動脈プラークに隣接する対応する血管周囲組織の少なくとも1つの領域のラジオデンシティを定量化し、冠動脈プラーク内の定量化されたラジオデンシティ値及び対応する血管周囲組織内の定量化されたラジオデンシティ値の勾配を決定し、冠動脈プラーク内及び対応する血管周囲組織内の定量化されたラジオデンシティ値の比を決定し、冠動脈プラーク及び対応する血管周囲組織内の定量化されたラジオデンシティ値の勾配、又は冠動脈プラークラジオデンシティ値と対応する血管周囲組織のラジオデンシティ値との比のうちの1つ以上を分析することによって、冠動脈プラークの性状を評価することができる。
【0062】
本開示のさまざま実施形態は、統合の任意の可能な技術詳細レベルにおけるシステム、方法、及び/又はコンピュータプログラム製品であってよい。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本開示の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有する(1つ以上の)コンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。例えば、本明細書に記載の機能は、ソフトウェア命令が1つ以上のハードウェアプロセッサ及び/又は任意の他の適切なコンピューティングデバイスによって実行されるときに実行されてよく、さらには/あるいは1つ以上のハードウェアプロセッサ及び/又は任意の他の適切なコンピューティングデバイスによるソフトウェア命令の実行に応答して実行されてよい。ソフトウェア命令及び/又は他の実行可能コードを、(1つ以上の)コンピュータ可読記憶媒体から読み取ることができる。
【0063】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによる使用のためのデータ及び/又は命令を保持及び格納することができる有形のデバイスであってよい。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子記憶デバイス(任意の揮発性及び/又は不揮発性電子記憶デバイスを含む)、磁気記憶デバイス、光記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、又は以上の任意の適切な組み合わせであってよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例として、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ポータブルコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピーディスク、パンチカード又は命令を記録した溝内の隆起構造などの機械的に符号化されたデバイス、及び以上の任意の適切な組み合わせが挙げられるが、これらですべてではない。コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書において使用されるとき、電波又は他の自由に伝搬する電磁波、導波路又は他の伝送媒体を通って伝搬する電磁波(例えば、光ファイバケーブルを通過する光パルス)、あるいはワイヤを通って伝送される電気信号などの一時的な信号自体であると解釈されるべきではない。
【0064】
本明細書に記載のコンピュータ可読プログラム命令を、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスにダウンロードすることができ、あるいは例えばインターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、及び/又は無線ネットワークなどのネットワークを介して外部コンピュータ又は外部記憶デバイスにダウンロードすることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、及び/又はエッジサーバを含むことができる。各々のコンピューティング/処理デバイス内のネットワークアダプタカード又はネットワークインターフェースが、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、コンピュータ可読プログラム命令をそれぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶するために転送する。
【0065】
本開示の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令(本明細書において例えば「コード」、「命令」、「モジュール」、「アプリケーション」、及び/又は「ソフトウェアアプリケーション」などとも呼ばれる)は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路の構成データ、あるいはSmalltalkやC++などのオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかであってよい。コンピュータ可読プログラム命令は、他の命令又はそれ自体から呼び出し可能であってよく、さらには/あるいはイベント又は割り込みの検出に応答して呼び出されてよい。コンピューティングデバイス上で実行されるように構成されたコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体上に用意されてよく、さらには/あるいは後にコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよいデジタルダウンロード(当初は圧縮形式又はインストール可能形式で格納され、実行前にインストール、解凍、又は復号が必要であってもよい)として提供されてよい。そのようなコンピュータ可読プログラム命令を、コンピューティングデバイスによる実行のために、実行するコンピューティングデバイスのメモリデバイス(例えば、コンピュータ可読記憶媒体)に部分的又は完全に格納することができる。コンピュータ可読プログラム命令を、完全にユーザのコンピュータ(例えば、実行するコンピューティングデバイス)上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上かつ部分的にリモートコンピュータ上で、あるいは完全にリモートコンピュータ若しくはサーバ上で実行することができる。後者のシナリオにおいて、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されてよく、あるいは接続を(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを介して)外部コンピュータへと行うことができる。いくつかの実施形態において、例えば、プログラマブル論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はプログラマブルロジックアレイ(PLA)を含む電子回路が、本開示の態様を実行するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路をパーソナライズすることにより、コンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0066】
本開示の態様が、本明細書において、本開示の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照して説明される。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック、並びにフローチャート図及び/又はブロック図のブロックの組み合わせを、コンピュータ可読プログラム命令によって実施できることを、理解できるであろう。
【0067】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、命令がコンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサによって実行されることで、フローチャート及び/又はブロック図の1つ以上のブロックに指定された機能/動作を実施するための手段が生じるように機械を生み出すために、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供されてよい。これらのコンピュータ可読プログラム命令を、命令を格納したコンピュータ可読記憶媒体がフローチャート及び/又はブロック図の1つ以上のブロックに指定された機能/動作の態様を実施する命令を含む製造物を含むように、コンピュータ、プログラマブルデータ処理装置、及び/又は他のデバイスに対して特定のやり方で機能するように指示することができるコンピュータ可読記憶媒体に格納してもよい。
【0068】
さらに、コンピュータ可読プログラム命令は、命令がコンピュータ、他のプログラム可能な装置、又は他のデバイス上で実行されることでフローチャート及び/又はブロック図の1つ以上のブロックに指定された機能/動作が実施されるように、コンピュータ、他のプログラム可能な装置、又は他のデバイス上で一連の動作ステップを実行させてコンピュータ実装プロセスを生成するために、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、又は他のデバイス上にロードされてもよい。例えば、命令を、最初にリモートコンピュータの磁気ディスク又はソリッドステートドライブに保持させることができる。リモートコンピュータは、命令及び/又はモジュールを自身の動的メモリにロードし、モデムを使用して電話、ケーブル、又は光回線を介して命令を送信することができる。サーバコンピューティングシステムに位置するモデムが、電話/ケーブル/光回線上でデータを受信し、適切な回路を含むコンバータデバイスを使用してデータをバス上に配置することができる。バスは、データをメモリへと運ぶことができ、プロセッサがメモリから命令を取り出して実行することができる。メモリによって受信された命令を、随意により、コンピュータプロセッサによる実行の前又は後のいずれかにおいて記憶デバイス(例えば、ソリッドステートドライブ)に格納してもよい。
【0069】
図中のフローチャート及びブロック図は、本開示のさまざま実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能、及び動作を示している。これに関して、フローチャート又はブロック図の各ブロックは、指定された論理機能を実装するための1つ以上の実行可能命令を含むモジュール、セグメント、又は命令の一部を表すことができる。いくつかの代替の実装形態において、ブロックに記載された機能は、図に示された順序とは異なる順序で行われてもよい。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、あるいはブロックは、関連する機能に応じて、時には逆の順序で実行されてもよい。さらに、いくつかの実装形態においては、特定のブロックを省略することができる。さらに、本明細書に記載の方法及びプロセスは、いかなる特定の順序にも限定されず、それに関連するブロック又は状態は、適切な他の順序で実行可能である。
【0070】
また、ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、並びにブロック図及び/又はフローチャート図のブロックの組み合わせを、指定された機能又は動作を実行し、あるいは専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせを実行する専用のハードウェアベースのシステムによって実装できることにも留意されたい。例えば、前述の箇所で説明したプロセス、方法、アルゴリズム、要素、ブロック、アプリケーション、又は他の機能(若しくは、機能の一部)のいずれかを、特定用途向けプロセッサ(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC))、プログラマブルプロセッサ(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))、及び/又は特定用途向け回路(これらのいずれも、技術を達成するために、カスタムハードワイヤードロジック、論理回路、ASIC、FPGA、などをソフトウェア命令のカスタムプログラミング/実行と組み合わせることができる)などの電子ハードウェアに具現化でき、さらには/あるいはこのような電子ハードウェアによって完全又は部分的に自動化することができる。
【0071】
上述のプロセッサのいずれか、及び/又は上述のプロセッサのいずれかを組み込んだデバイスは、本明細書において、例えば、「コンピュータ」、「コンピュータデバイス」、「コンピューティングデバイス」、「ハードウェアコンピューティングデバイス」、「ハードウェアプロセッサ」、及び/又は「処理ユニット」、などと呼ばれることがある。上記実施形態のコンピューティングデバイスを、一般に、Mac OS、iOS、Android、Chrome OS、Windows OS(例えば、Windows XP、Windows Vista、Windows 7、Windows 8、Windows 10、Windows Server、など)、Windows CE、Unix、Linux(登録商標)、SunOS、Solaris、Blackberry OS、VxWorks、又は他の適切なオペレーティングシステムなどのオペレーティングシステムソフトウェアによって制御し、さらには/あるいは協調させることができる(必ずしもそうである必要はない)。他の実施形態においては、コンピューティングデバイスを独自のオペレーティングシステムによって制御してもよい。従来からのオペレーティングシステムは、実行のためにコンピュータプロセスを制御及びスケジュールし、メモリ管理を実行し、ファイルシステム、ネットワーキング、及びI/Oサービスを提供し、とりわけグラフィカルユーザインターフェース(「GUI」)などのユーザインターフェース機能を提供する。
【0072】
図4Bが、本明細書に記載のさまざま実施形態を実施することができる代表的な処理システム(コンピュータシステム)120内の1つ以上のコンピュータモジュール内の1つ以上のコンピュータハードウェアプロセッサによって実行することができる代表的な命令の例を示すブロック図である。図1に示されるように、処理システム120を、1つのコンピュータ(例えば、サーバ)又は2つ以上のコンピュータ(2つ以上のサーバ)内に実装することができる。命令は、図4Bにおいては7つのモジュール450、455、460、465、470、475、480内にあるものとして表されているが、さまざま実装形態において、実行可能命令は、単一のモジュールなど、より少数のモジュール、又はより多数のモジュール内にあってもよい。
【0073】
処理システム120は、図1に示されるネットワーク125から到来し得る記憶デバイス410に記憶された画像情報を含む。画像情報は、画像データ、スキャン情報、及び/又は患者データを含むことができる。この例において、記憶デバイス410は、他の患者の記憶されたプラーク情報をさらに含む。例えば、他の患者の記憶されたプラーク情報は、記憶デバイス410上のデータベースに記憶されてよい。他の例において、他の患者の記憶されたプラーク情報は、処理システム120と通信する記憶デバイスに記憶される。他の患者の記憶されたプラーク情報は、1人、数十人、数百人、数千人、数万人、数十万人、又は数百万人以上の患者からの情報の集合であってよい。
【0074】
各患者の情報は、患者のプラークのデンシティ及びデンシティ勾配、並びにプラークの付近の血管周囲組織又はプラークに隣接する血管周囲組織に対するプラークの位置など、その患者のプラークの性状の評価を含むことができる。各患者の情報は、図13に示されるような患者情報を含むことができる。例えば、情報は、性別、年齢、BMI(体格指数)、投薬、血圧、心拍数、体重、身長、人種、体形、喫煙歴、糖尿病の病歴又は診断、高血圧の病歴又は診断、以前の冠動脈疾患、家族の冠動脈疾患及び/又は他の疾患の病歴、あるいは1つ以上の検査結果(例えば、血液検査結果)のうちの1つ以上を含むことができる。各患者の情報は、図14に示されるようなスキャン情報を含むことができる。例えば、情報は、造影剤対ノイズ比、信号対ノイズ比、管電流、管電圧、造影剤の種類、造影剤の量、流量、流れ持続時間、スライス厚さ、スライス間隔、ピッチ、血管拡張剤、ベータブロッカー、反復投影かフィルタ逆投影かのレコンオプション、標準的な解像度か高解像度かのレコンタイプ、表示視野、回転速度、パースペクティブトリガリングかレトロスペクティブゲーティングかのゲーティング、ステント、心拍数、又は血圧のうちの1つ以上を含むことができる。さらに、各患者の情報は、図15に示されるような心臓情報を含むことができる。例えば、情報は、デンシティ、体積、幾何学的形状(形状)、位置、リモデリング、ベースライン解剖学的構造(直径、長さについて)、区画(内側、外側、内部)、狭窄(直径、面積)、心筋量、プラーク体積、並びに/あるいはプラーク組成、テクスチャ、又は均一性のうちの1つ以上を含むプラークの性状の評価を含むことができる。
【0075】
処理システム120は、処理システムのメインメモリ又は読み出し専用メモリ(ROM)であってよいメモリ406、408をさらに含む。メモリ406、408は、冠動脈プラークの性状を評価するために1つ以上のコンピュータハードウェアプロセッサ404によって実行することができる命令(そのグループは、本明細書において「モジュール」と呼ばれる)を格納する。メモリ406、408は、この図を参照して、簡潔にするためにメモリ406と総称される。実行可能命令によって実行される機能の例を以下で説明する。
【0076】
メモリ406は、記憶デバイス410に記憶された画像データから、プラークを含む冠動脈、及びプラーク内の冠動脈に隣接又は近接して位置する血管周囲組織の2D又は3D表現を生成するモジュール450を含む。冠動脈の2D又は3D表現の生成を、図3を参照して上述した一連の画像305(例えば、CCTA画像)から行うことができる。ひとたび冠動脈の表現が生成されると、冠動脈のさまざまな部分又はセグメントを評価のために識別することができる。例えば、右冠動脈205、左前下行動脈215、又は左冠動脈220の回旋枝の関心対象部分を、ユーザからの入力に基づき、あるいは冠動脈(プラーク)の表現から決定された特徴に基づいて、分析領域(関心対象領域)として識別することができる。
【0077】
モジュール460において、1つ以上のコンピュータハードウェアプロセッサは、冠動脈プラークの領域におけるラジオデンシティを定量化する。例えば、冠動脈プラークの領域におけるラジオデンシティは、ハンスフィールド尺度上の値に設定される。モジュール465において、1つ以上のコンピュータハードウェアプロセッサは、冠動脈プラークに隣接する血管周囲組織のラジオデンシティを定量化し、関心対象の血管の管腔のラジオデンシティ値を定量化する。モジュール470において、1つ以上のコンピュータハードウェアプロセッサは、プラーク、血管周囲組織、及び/又は管腔のラジオデンシティ値の勾配を決定する。モジュール475において、1つ以上のコンピュータハードウェアプロセッサは、プラーク、血管周囲組織、及び/又は管腔におけるラジオデンシティ値の1つ以上の比率を決定する。次に、モジュール480において、1つ以上のコンピュータハードウェアプロセッサは、勾配及び/又は比率を他の患者のプラーク勾配及び比率の情報を含むデータベースと比較するなど、プラーク、血管周囲組織、及び/又は管腔の勾配を使用して冠動脈プラークの性状を評価し、さらには/あるいは血管周囲組織及び/又は管腔に対する冠動脈プラークのラジオデンシティ値の比率の性状を評価する。例えば、勾配及び/又は比率は、記憶デバイス410に記憶された患者データと比較される。プラーク、血管周囲組織、及び管腔の勾配及び比率の決定は、図6図12を参照してさらに詳しく説明される。
【0078】
図5Aが、冠動脈プラークを分析するためのプロセス500のフローチャートの一例を示している。ブロック505において、プロセス500は、冠動脈に関する画像データを含む画像情報を生成する。さまざま実施形態において、これをスキャナ130B(図1)によって行うことができる。ブロック510において、処理システムは、ネットワーク125(図1)を介して画像データを含む画像情報を受信することができる。ブロック515において、プロセス500は、処理システム上の血管周囲脂肪及びプラークを含む冠動脈の3D表現を生成する。ブロック505、510、及び515の機能を、例えば、画像データを生成するためのさまざまなスキャン技術(例えば、CCTA)、ネットワークを介してデータを転送するための通信技術、及び画像データから冠動脈の3D表現を生成するための処理技術を使用して実行することができる。
【0079】
ブロック520において、処理システムは、図5Bのプロセス550を参照してさらに詳細に説明される冠動脈プラークを分析するためのプロセス500の一部を実行する。とくには図6図12を参照する冠動脈プラークを分析するためのこのプロセスのさらなる詳細。
【0080】
図5Bが、冠動脈プラークの性状を判断するための図5Aのフローチャートの一部を拡大したフローチャートの一例を示している。ここで図5Bを参照すると、ブロック555において、プロセス550は、冠動脈プラークの領域のラジオデンシティを定量化するために、1つ以上のプロセッサ404を利用することができる。ブロック560において、プロセス550は、画像データにおいて、対応する血管周囲組織、すなわち冠動脈プラークに隣接する血管周囲組織の少なくとも1つの領域におけるラジオデンシティを定量化するために、1つ以上のプロセッサ404を利用することができる。ブロック565において、プロセス550は、冠動脈プラーク内の定量化されたラジオデンシティ値及び対応する血管周囲組織内の定量化されたラジオデンシティ値の勾配を決定する。1つ以上のプロセッサ404は、これらの勾配を決定する手段となり得る。ブロック570において、プロセス550は、冠動脈プラーク及び対応する血管周囲組織内の定量化されたラジオデンシティ値の比率を決定することができる。例えば、冠動脈プラークに隣接する血管周囲組織。1つ以上のプロセッサ404は、これらの比率を決定することができる。ブロック575において、プロセス550は、1つ以上のプロセッサ404を利用し、冠動脈プラーク及び対応する血管周囲組織における定量化されたラジオデンシティ値の勾配、又は冠動脈プラークのラジオデンシティ値及び対応する血管周囲組織のラジオデンシティ値の比率のうちの1つ以上を分析することによって、冠動脈プラークの性状を評価することができる。次いで、プロセス550は、円Aによって示されるようにプロセス500に戻ることができる。
【0081】
再び図5Aを参照すると、ブロック525において、プロセス500は、特定の患者の冠動脈プラークの決定された情報を、例えば記憶デバイス410に記憶された患者データなどの記憶された患者データと比較することができる。記憶された患者データと比較することができる特定の患者の冠動脈プラーク情報の例を図15に示す。特定の患者の冠動脈プラーク情報をよりよく理解し、さらには/あるいは特定の患者の冠動脈プラーク情報の決定を助けるために、図14に示されるスキャン情報のうちの1つ以上を使用することができる。また、特定の患者の冠動脈プラーク情報を以前に記憶された冠動脈プラーク情報と比較する場合、例えば、図13に示される患者の特性のうちの1つ以上など、患者の1つ以上の特性を比較することができる。いくつかの例においては、検査中の特定の患者の冠動脈プラーク情報を、患者特性のうちの1つ以上が同一又は同様である患者を参照して比較又は分析することができる。例えば、検査中の患者を、性別、年齢、BMI、投薬、血圧、心拍数、体重、身長、人種、体型、喫煙、糖尿病、高血圧、以前の冠動脈疾患、家族の履歴、及び検査結果の特性が同一又は同様である患者と比較することができる。そのような比較を、例えば機械学習及び/又は人工知能技術などのさまざま手段によって行うことができる。いくつかの実施例においては、ニューラルネットワークを使用して、患者の冠動脈情報を多数(例えば、10,000+)の他の患者の冠動脈情報と比較することができる。同様の患者情報及び同様の心臓情報(例えば、図15に示される特性)を有するそのような患者に関して、検査中の患者のプラークのリスク評価を決定することができる。
【0082】
図6が、冠動脈665(参照を容易にするために本明細書において「血管」と呼ばれることもある)の一部分の例を示す画像データの表現を示している。図6は二次元(2D)図であるが、分析される画像データは、二次元又は三次元(例えば、体積)であってよい。図6は、血管665内に位置するプラーク及び血管665に隣接して位置する血管周囲脂肪の例も示している。図6は、血管665の少なくとも一部分、血管665内のプラーク、又は血管665に隣接する血管周囲脂肪を含むことができる領域(図6に長方形として示されている)の例をさらに示しており、これらの領域は、患者の冠動脈の1つ以上の性状を判断するために血管665、プラーク、又は血管周囲脂肪のデンシティ、デンシティ勾配、及び/又はデンシティ比率を決定するために分析することができる血管665、プラーク、又は血管周囲脂肪の1つ以上の部分を示す。図6に示されるように、血管665は、図6の血管665に対してプラーク及び脂肪がどこに位置するかのグラフィック基準を提供するための境界線として示されている血管壁661及び血管壁663を含む。血管壁661及び血管壁662は、本明細書において、第1の血管壁及び第2の血管壁と呼ばれることもあり、その逆もある。血管壁661、663を描く線は、血管壁661、663の外側境界を示す。図6に示される例において、脂肪625、640のすべてが血管壁661、663の外側に位置し、プラーク610、620、635、650のすべてが血管壁661、663内に位置する。
【0083】
プラークを、冠動脈の画像に現れる減衰によって性状評価することができる。例えば、プラークを、低減衰プラーク、中減衰プラーク、高減衰プラーク、又は超高減衰プラークとして性状評価することができる。場合によっては、これらの性状評価は、厳密には正確ではなく、冠動脈の画像を収集するために使用される方法及びプロセスによって影響を受ける可能性がある。いくつかの例において、低減衰プラークは、約0~約70のデンシティを有することができる。いくつかの例において、中減衰プラークは、約70~約350のデンシティを有することができる。いくつかの例において、高減衰プラークは、約350~約1000のデンシティを有することができる。いくつかの例において、超高減衰プラークは、1000を超えるデンシティを有することができる。
【0084】
図6は、いくつかの実施形態による血管665の血管壁661及び663内に含まれる可能性があるさまざまな種類のプラークの例を示している。一例において、プラークは、血管壁663の内側にあり、血管665の内部に向かって延びる中程度の減衰性状を有する線維性プラーク610であり得る。この例において、線維性プラーク610は、血管壁663内で繊維性プラーク610に隣接する他の種類のプラークと、線維性プラーク610に並び、あるいは隣接して血管665の外側に配置された脂肪とを有する。図6に示されるように、低減衰性状の壊死性コアプラーク615が線維性プラーク610に隣接して位置する。図6は、やはり線維性プラーク610に隣接して配置された(又は、位置する)中程度に高い減衰性状を有するプラーク620の例をさらに示している。この例において、プラーク620は、壊死性コアプラーク615にも隣接して配置され、したがってプラーク620は、プラーク線維610及び壊死性コアプラーク615と、血管壁663の外側境界との間に少なくとも部分的に存在する。さらに図6は、血管壁663内に位置するが、血管壁663がプラーク635の周りを外側に(すなわち、血管665の中心から遠ざかる方向に)延びるように血管665から突出しているきわめて高い減衰のプラーク635の例を示している。別の例において、図6は、血管壁661に隣接して血管壁661の内側に位置した中程度の減衰性状(すなわち、減衰性状が線維性プラーク610ほど高くない)を有する線維性プラーク650を示している。図6に示されるように、線維性プラーク650は、一般に、血管665の中心に向かって延びている。
【0085】
図6は、血管665に隣接する(又は、少なくとも近接する)血管の外側に位置する脂肪の例をさらに示している。さらに、図6に示される脂肪は、プラーク610、615、620、635のうちの1つ以上に近接及び/又は隣接している。一例において、脂肪625は、プラーク620に隣接し、プラーク610及び615に近接するように、血管壁623の一部分に沿い、血管壁663に隣接し、プラーク620と並んでいる。図6に示される別の例において、脂肪640が、血管壁662の外側でプラーク635に隣接して示されている。この例において、脂肪640は、脂肪640の一部分がプラーク635の2つ以上の側で血管壁663に隣接するように、血管665から延びるプラーク635の一部分を少なくとも部分的に囲んでいる。
【0086】
高リスクプラークの識別は、冠動脈管腔のコントラスト減衰、プラークの減衰パターン、及び脂肪減衰パターンの間の相互作用に依存し得る。上述したように、図6は、デンシティ勾配及びデンシティ比率の分析のための血管665、血管周囲脂肪、及び/又はプラークのすべて又は一部分を含む領域の例を示すボックスをさらに示している。図6に示されるボックス、並びに図7図10図11、及び図12に示される同様のボックスにおいて、ボックスは、冠動脈(血管665)、プラーク、及び脂肪の一部分を描写する画像データの表現の一部分をカバーする二次元の長方形として示されている。図11及び図12を参照して以下で説明されるように、解析される画像データの一部分は、いくつかの例において、長方形ボックス内にあるピクセルの一次元ベクトルを表すデータであってよい。換言すると、長方形ボックス内にあるラインに沿った画像データ。他の例において、解析される画像データの一部分は、長方形ボックス内にあるピクセルの二次元ベクトルであってよい。換言すると、長方形ボックス内にある2つ以上の隣接するラインに含まれる画像データである。ピクセルの二次元ベクトルに関するいくつかの場合において、2つ以上の隣接するラインの画像データを処理し、一次元ベクトルを形成することができる。例えば、画像データの2つ以上の隣接するライン内の画像データを平均化することができ、これはノイズの影響を低減するのに役立ち得る。場合によっては、ノイズの影響を低減するために画像データをフィルタ処理することができる。いくつかの例においては、画像データを勾配、比率、傾き、最小デンシティ、最大デンシティ、などについて分析する前にフィルタ処理が行われてもよい。
【0087】
図6は、冠動脈管腔の近位部分におけるコントラスト減衰パターンを分析することができるボックス605によって示される領域の一例を示しており、ボックス605は、血管665の中央領域から血管壁661に向かって延びている。図6は、血管665の冠動脈管腔の一部分におけるコントラスト減衰パターンを分析することができるボックス652によって示される領域の別の例を示しており、ボックス652は、血管665の中央領域から血管壁661に向かって血管665に対して長手方向に延びている。図6は、管腔の一部分並びに線維性プラーク610及びプラーク620の一部分のコントラスト減衰パターンを分析することができるボックス662によって示される領域の一例をさらに示しており、したがってボックス662は、血管665の一部分並びに線維性プラーク610及びプラーク620の一部分をカバーする。図6は、プラーク635の一部分及びプラーク635に隣接して位置する脂肪640の一部分のコントラスト減衰パターンを分析することができるボックス642によって示される領域の一例をさらに示しており、ボックス642は、プラーク635の一部分及び脂肪640の一部分にわたって延びている。冠動脈特徴(例えば、管腔、プラーク、及び/又は血管周囲脂肪)のデンシティのさまざま態様を分析することによって決定された情報を、患者の動脈の性状を判断するために、他の情報と組み合わせることができる。いくつかの例において、決定された情報は、管腔、プラーク、又は血管周囲脂肪のいずれかについて、特徴の傾き/勾配、最大デンシティ、最小デンシティ、或る特徴のデンシティの傾きと別の特徴のデンシティの傾きとの比率、或る特徴の最大デンシティと別の特徴の最大デンシティとの比率、或る特徴の最小デンシティと同じ特徴の最小デンシティとの比率、例えば或る向き又は方向を向く特徴と反対方向を向く特徴との間のデンシティ比率(例えば、心筋の方へと内側に向いている特徴と心膜の方へと外側に向いている特徴とのラジオデンシティ比率)などのデンシティ比率の方向性、又は或る特徴の最小デンシティと別の特徴の最大デンシティとの比率のうちの1つ以上を含み得る。そのような決定された情報は、患者におけるプラークのリスクの明確な差異を示し得る。いくつかの例において、決定された情報(例えば、上に列挙したような)を狭窄のパーセンテージ直径と共に使用して、患者の動脈の性状を判断することができる。プラークの冠動脈管腔減衰パターン及び脂肪の減衰パターンの分析の例に関する追加の情報は、図9図12を参照して説明される。
【0088】
さらに図6を参照すると、ラジオデンシティ比率の方向性の例において、血管665の一部分のデンシティに対する壊死性コアプラーク615の一部分のデンシティ(例えば、プラーク:血管の内向き比率)を決定することができ、これはプラークの特定のリスクを表し得る。ラジオデンシティ比率の方向性の別の例において、壊死性コアプラーク615のデンシティに対する血管665の一部分の一部分のデンシティ(例えば、血管:プラークの外向き)を決定することができ、これはプラークの特定のリスクを表し得る。別の例においては、血管665の一部分のデンシティに対する壊死性コアプラーク615のデンシティ比率(例えば、プラーク:血管の内向き比率)を、線維性プラーク620に対する壊死性コアプラーク615のデンシティ比率(例えば、プラーク:プラークの外向き)と比較することができ、これはプラークの特定のリスクを表し得る。他の例においては、隣接して位置する特徴を使用して、プラークに関連するリスクを表すために使用することができる内向き及び/又は外向きの方向性のラジオデンシティ値を決定することができる。このような比率は、プラークのリスクにおける明確な差をもたらし得る。プラークのリスクを表すために、方向性ラジオデンシティ値及び/又は方向性ラジオデンシティ比率のさまざまな実施形態を、本明細書に記載の他の情報のいずれかに含めることができる。
【0089】
区画のサイズを使用して、プラークに関連するリスクを表してもよい。例えば、プラークに関連するリスクの判断は、ラジオデンシティの比率がリスクの判断に影響を及ぼし、区画のサイズの関数もリスクの判断に影響を及ぼし得るように、区画のサイズに少なくとも部分的に基づくことができる。プラーク:脂肪の比率が高リスクプラークを表し得る患者におけるプラークの存在は、プラークが少量しか存在しない(例えば、プラークの区画が小さい)場合に、脂肪に対するプラークのラジオデンシティ同じである同じプラークのより大きな区画が存在する場合よりもリスクがあると考えられる。一実施態様において、区画のサイズ(例えば、体積)、特徴(例えば、管腔、プラーク、血管周囲組織(脂肪)、及び心筋の)を決定することができ、ラジオデンシティ比率も決定することができ、次いで区画のサイズに基づいて比率を重み付けすることができる。例えば、大きな区画は、比率がプラークに関連するリスクをより強く表すように、比率の重みを増加させることができる。同様に、小さな区画は、比率がプラークに関連するリスクをあまり表さなくなるように、比率の重みを減少させることができる。一実施態様においては、プラークの区画サイズのみが比率を重み付け(又は、調整)するために使用される。一実施態様においては、ラジオデンシティ比率で使用される両方の特徴の区画サイズを使用して比率を重み付けして、結果としてのリスクを決定することができる。一実施態様においては、プラーク、管腔、血管周囲組織、又は心筋のうちの1つの区画サイズが、ラジオデンシティ比率に関連するリスクを重み付け(又は、調整)するために使用される。一実施態様においては、プラーク、管腔、血管周囲組織、又は心筋のうちの2つ以上の区画サイズが、ラジオデンシティ比率に関連するリスクを重み付けするために使用される。区画サイズを使用してプラークリスクを決定するさまざま実施形態は、プラークリスクを示すために、本明細書に記載される他の情報のいずれかと共に含まれ得る。他の情報を重み付けし、あるいは他のやり方でラジオデンシティ比率に関連するリスクを調整するために、区画サイズを使用することを、図7図12及び図16図19を参照して説明したとおりの例において行うことができる。
【0090】
図7は、図6に示したものと同じ血管665並びにプラーク及び脂肪の特徴を示し、患者の動脈の性状を判断するために分析することができる動脈の領域並びに動脈の付近のプラーク及び/又は血管周囲脂肪の追加の例をさらに示している。そのような領域は、図6の図と同様に、長方形のボックスによって図7に示されている。長方形のボックスの特定の位置が図6及び図7に示されているが、これらは分析され得る領域のいくつかの例にすぎない。一例において、図7は、血管665の一部分、壊死性コアプラーク615の一部分、線維性プラーク610の一部分、プラーク620の一部分、及び脂肪625の一部分を含むボックス660を示している。別の例において、図7は、血管665の一部分、線維性プラーク610の一部分、プラーク620の一部分、壊死性コアプラーク615の一部分、及び脂肪625の一部分を含むボックス655を示している。ボックス655は、場合によっては、3つの異なる種類のプラーク610、615、620、及び隣接して配置された脂肪625の存在に起因して、分析のための一般的な領域を示すことができる。分析のための一般的な領域の特定の部分を分析して、隣接する特徴によって形成される性状をよりよく理解することができる。例えば、図7は、ボックス660(上述)、線維性プラーク610及びプラーク620の一部分を横切って延びるボックス673、並びにプラーク620及び血管周囲脂肪625の一部分を横切って延びるボックス674を含む一般領域665を示している。別の例として、図7は、血管655及び壊死性コアプラーク615の一部分を横切って延びる別のボックス672をさらに示している。さらなる例として、図7は、血管665及び血管665に並んだ脂肪640の一部分を横切って延びるボックス671を示している。さらなる例として、図7は、血管665及びプラーク635の一部分を横切って延びるボックス670を示している。これらの特徴に基づいて分析することができる患者の動脈の性状は、以下を含むことができる。
1.管腔内のスキャンごとの減衰デンシティ勾配の体積モデルが、リスク値に関してより機能的に有意であるプラーク病変を横切る管腔デンシティの減少を調整するプラーク減衰に対する管腔減衰の比率。
2.高いラジオデンシティを有するプラークは、デンシティのグラデーション(例えば、130から4000HU)が存在する可能性があり、デンシティが増加するにつれてリスクが低下すると考えられる「石灰化した」と考えられるプラークのサブセット内であっても、より低いリスクを表すと考えられる脂肪減衰に対するプラーク減衰の比率。
3.管腔減衰/プラーク減衰/脂肪減衰の比率。
4.プラークの3Dテクスチャ分析を含むことができるアテローム性動脈硬化の3D形状の関数としての#1~3の比率。
5.管腔の3D体積形状及び経路並びに管腔の最初から最後までの減衰デンシティ。
6.リスクをさらに知らせるための任意の所与のプラークの前後のプラークの合計及びプラークの種類。
7.高リスクプラーク(低デンシティプラーク)のより良好な絶対尺度を得るための石灰化(高デンシティ)プラークを「差し引く」ことによる「より高いプラークリスク」の決定。換言すると、この特定の実施形態は、高リスクプラークを識別する目的で、石灰化したプラークを識別し、プラークのさらなる分析から除外することを含む。
【0091】
図8が、心臓800及び冠動脈805の特定の領域の画像の例を示している。この例では、領域810において、血管の近位部分のコントラスト減衰が高い。領域820では、血管の遠位部分におけるコントラスト減衰は低い。領域830、すなわち心筋のうちの血管の遠位部分に近い領域では、心筋におけるコントラスト減衰は低い。これらの領域におけるラジオデンシティ値を決定し、比較することができる。いくつかの例においては、領域830及び820のラジオデンシティ値の比率(すなわち、ラジオデンシティ値830:ラジオデンシティ値820)並びに/あるいは領域830及び810のラジオデンシティ値の比率(すなわち、ラジオデンシティ値830:ラジオデンシティ値810)を使用して、虚血の有無を判定することができる。
【0092】
図9が、冠動脈(血管)905の画像データの表現の概要の一例を示している。この例において、血管905は、管腔壁910、911(管腔壁の外側境界を示す線)と、血管905内のプラーク915とを含み、すなわちプラーク915は、管腔壁910内にあり、血管905の中心から遠ざかるように外向きに延びるとともに、血管905の中心に向かって内向きに延びる。さらに、図9は、プラーク915に隣接して血管905の外側に配置された血管周囲脂肪920を示している。すなわち、管腔壁910は、血管周囲脂肪920とプラーク915との間にある。血管周囲脂肪ダイエタリ920内の両方のプラーク915は、冠動脈905の性状を判断するために分析され得るコントラスト減衰パターンを含む。さらに、図9は、プラーク915内に位置する斑点状の石灰化925を含む。この例において、G1は、図10においてより詳細に説明されるように、コントラスト減衰のデンシティの勾配を決定及び評価することができるプラーク915の内面930から血管周囲脂肪920の外面935までの血管周囲脂肪920及びプラーク915の部分を表す。
【0093】
図10が、図9に示した冠動脈(血管)905の画像データの表現の別の図を示しており、患者の動脈の健康特性を判断する冠動脈プラークの性状を評価するために評価することができるプラーク、血管周囲組織(例えば、脂肪)、及び管腔の特定の特徴の例を示している。図9に示したプラーク915及び血管周囲脂肪920が図10にも示されている。図10の画像データは、血管905の中心に最も近いプラーク915の縁部から血管周囲脂肪920の縁部935まで延びる画像データの線に沿って、より明るいデンシティ値からより暗いデンシティ値への遷移の勾配を示している。
【0094】
血管周囲脂肪920、プラーク915、及び/又は血管905の管腔を示す画像データの各部分のデンシティを評価して、冠動脈プラークの性状を評価し、患者の動脈の健康特性を判断することができる。上述のように、管腔、プラーク、及び/又は血管周囲脂肪のデンシティのさまざまな態様を分析することによって判断される情報は、これらに限られるわけではないが、特徴の傾き/勾配、最大デンシティ、最小デンシティ、或る特徴の傾きと別の特徴の傾きとの比率、或る特徴の最大デンシティと別の特徴の最大デンシティとの比率、或る特徴の最小デンシティと同じ特徴の最小デンシティとの比率、又は或る特徴の最小デンシティと別の特徴の最大デンシティとの比率のうちの1つ以上を含むことができる。この情報のいずれかを他の情報と組み合わせて、患者の動脈の性状を判断することができる。
【0095】
図10は、評価され得る画像データ内の特徴の領域のいくつかの例を示しており、他の例においては他の評価領域を選択することもできる。第1の例は、血管周囲脂肪920を表す長方形のボックスによって描かれた血管周囲脂肪920の領域931である。領域931は、血管周囲脂肪領域920の縁部からプラーク915まで延びており、評価される画像データは、一次元又は複数の次元(例えば、二次元)であり得る。別の例は、プラーク915を横切って延びる領域941である。領域941は、一方側で血管周囲脂肪領域931に隣接し、反対側で管腔領域939に隣接する。管腔領域939は、プラーク915から血管905の一部分を横切って延びる。この構成において、血管周囲脂肪領域931、プラーク領域941、及び管腔領域939は整列し、血管905の管腔、プラーク915、及び血管周囲脂肪領域920にまたがる。これらの領域の一部又は全部における画像データのデンシティを、本明細書において説明されるように、最大デンシティ、最小デンシティ、勾配、又はこれらの特性のうちの1つの比率に関して評価することができる。
【0096】
別の例においては、プラーク-管腔領域937が、管腔壁911から血管905及びプラーク915を横切って延びる長方形のボックスによって描かれる。プラーク-管腔領域937は、全部又は一部が評価され得る画像データの二次元セットデンシティを表す。
【0097】
別の例においては、図10に示されるように、血管周囲脂肪-プラーク領域933が、プラーク915の縁部930から血管周囲脂肪920の縁部935まで延びるリテーナボックスによって描かれる評価領域である。この例は、いくつかの場合に、1つ以上の特徴(例えば、脂肪、プラーク、管腔)を含み得る画像データ内の特徴にわたる画像データの2つ以上の隣接するベクトル(又は、「ライン」)が評価され得ることを示している。画像データの2つ以上の隣接するベクトルの評価は、画像データ内のノイズの影響を受けにくいより堅牢なメトリックをもたらすことができる。
【0098】
別の例においては、血管周囲脂肪-プラーク領域938が、血管905内に延びるプラーク915の縁部930から、プラーク915の遠位に位置する血管周囲脂肪920の縁部935まで延びる長方形のボックスによって描かれる。血管周囲脂肪-プラーク領域938は、全部又は一部が評価され得る画像データのデンシティの一次元セットを表す。図10に示される特徴のメトリックの一例(ラジオデンシティ値の単なる例を使用)として、血管周囲脂肪-プラーク領域938のプラーク915の画像デンシティ値の勾配の傾きは-3であり得、プラーク915の最大デンシティは98であり得、プラーク915の最小デンシティは-100であり得る。血管周囲脂肪920及び血管周囲脂肪-プラーク領域938の勾配の傾きは-5であり得、血管周囲脂肪-プラーク領域938の血管周囲脂肪920の最大デンシティは180であり得、血管周囲脂肪-プラーク領域938の血管周囲脂肪920の最小デンシティは102であり得る。血管周囲脂肪-プラーク領域938の他のメトリックとして、血管周囲脂肪920に対するプラーク915の傾きの比率{-3/-5}、血管周囲脂肪920の最大デンシティに対するプラーク915の最大デンシティの比率{98/180}、血管周囲脂肪920の最小デンシティに対するプラーク915の最小デンシティの比率{-100/102}、血管周囲脂肪920の最大デンシティに対するプラーク915の最小デンシティの比率{-100/180}、プラーク915の最大デンシティと血管周囲脂肪920の最小デンシティとの比率{98/102}、及び血管周囲脂肪-プラーク領域938の全体にわたる勾配(例えば、-4)を挙げることができる。
【0099】
図11が、本明細書に記載のようにメトリックを決定するために血管周囲脂肪及びプラークの領域のラジオデンシティ値を決定する別の例を示している。図11は、図10に示したものと同様に、冠動脈905、冠動脈905の管腔壁910に位置する冠動脈プラーク915、及び管腔壁910の外側に位置し、冠動脈プラーク915に隣接する血管周囲脂肪920を示している。
【0100】
図11は、プラークの性状を評価するためにラジオデンシティデータを評価することができる2つの領域の例をさらに示している。2つの領域は、血管周囲脂肪920内の第1の領域(又は、血管周囲脂肪領域1131)と、第1の領域1131に隣接する冠動脈プラーク915内の第2の領域(又は、プラーク領域)1141とを含む。この例において、冠動脈905及び管腔壁910は、紙面上でほぼ垂直に整列しているように示されている。プラーク915及び脂肪920は、動脈905から横方向に(例えば、図の向きに対して左に)延びるものとして示されている。プラーク915は、動脈905の管腔壁910内にあり、管腔壁910の横方向の範囲は、プラーク915の最も左側の境界950に一致するものとして示されている。破線1125は、この位置における冠動脈905の整列を示しており、この例では、この位置において動脈905に整列した動脈905の中心線を示している。
【0101】
図11に示されるように、脂肪領域1131及びプラーク領域1141は、プラーク915の性状を評価するために評価される1つ以上の画像から生成された画像データのラジオデンシティ情報(例えば、3D又は2D)の領域を表す。上述のように、いくつかの例においては、1つ以上の画像を使用して、冠動脈、動脈内のプラーク、並びに動脈及び/又はプラークに近接又は隣接して位置する血管周囲組織を表す3Dデータセットを生成することができる。ひとたびデータセットが生成されると、それを使用して、プラーク、血管周囲組織、及び管腔組織のうちの1つ以上の間の関係の特性を明らかにすることができる。プラークを評価するいくつかの実施形態において、データセットは3Dデータセット(3Dモデルとも呼ばれることもある)として使用される。プラークを評価するいくつかの実施形態において、データセットは、データセット内の情報がXY(2D)領域において調べられる2Dデータセットとして使用される。図12に示される例において、画像データは2D又は3Dデータを提示することができる。
【0102】
プラークを評価するいくつかの実施形態において、評価されるデータが動脈の2D表現であるか、あるいは3D表現であるかにかかわらず、画像データ内の線に沿ったラジオデンシティ値の領域を使用することができる。線に沿った領域ラジオデンシティ値を、「線形領域」と呼ぶことができる。線形領域は、例えばプラーク、血管周囲組織、及び/又は冠動脈の管腔組織などの1種類以上の組織の一部又は全部を含み、あるいは一部又は全部を横切るデータを示すことができる。すなわち、領域は、データセット内のいくつかの情報が特定の領域に含まれることを示す1種類以上の組織(例えば、プラーク、血管周囲組織、及び/又は冠動脈の管腔組織)の一部分を示すと呼ばれる場合がある。線形領域内のラジオデンシティデータは、次元1×nを有するベクトルであり、nは、ベクトルに沿ったラジオデンシティデータの離散点の数を表す。線形領域であり得る領域のいくつかの例が、図10に示され説明されている。例えば、血管905の組織の一部を含む管腔領域939(図10)、冠動脈プラーク915の一部分を含む冠動脈プラーク領域941、血管周囲脂肪920の一部分を含む血管周囲脂肪領域931、血管周囲脂肪920及びプラーク915の一部分を含む血管周囲脂肪-プラーク領域935、並びにプラーク915及び血管905の管腔の一部分を含むプラーク-管腔領域937。
【0103】
図11に示される例において、プラーク領域1141は、プラーク915の一部分を描き、血管905の中心線1125によって示されるとおりの冠動脈の整列に対して横方向(又は、実質的に横方向)に延びる。プラーク領域1141は、動脈905の中心に最も近い近位端1115から、動脈905の中心線1125から遠ざかるように横方向に延びる遠位端1120まで延びる。血管周囲脂肪領域931は、動脈905に近い近位端1105から、動脈905から最も遠い遠位端1110まで延びる。やはり図11に示されるように、血管周囲脂肪領域1131は、プラーク領域1141に整列(又は、実質的に整列)している。血管周囲脂肪領域1131の近位端1105は、プラーク領域1141の遠位端1120に近接又は隣接する。
【0104】
血管周囲脂肪領域931のラジオデンシティデータは、ラジオデンシティ値951によって表される。プラーク領域941のラジオデンシティデータは、ラジオデンシティ値961によって表される。これらのラジオデンシティ値951、961は、上述のハンスフィールド単位であってよい。ひとたび領域1131、1141が決定され、領域内のラジオデンシティ値が決定されると、血管周囲脂肪920の一部分のデンシティを表すラジオデンシティ値951及びプラーク915の一部分のラジオデンシティ値を表すラジオデンシティ値961を分析して、プラークの性状を判断し、そのリスクの評価に役立てることができる。
【0105】
各々の線形領域のラジオデンシティ値の分析を実行して、領域内のラジオデンシティ値、又は別の領域と比較した或る領域内の心臓デンシティ値の関係を示すメトリックを決定することができる。プラークの性状を、一領域、又は例えば隣接する領域などのいくつかの領域の最大デンシティ、最小デンシティ、及び/又は勾配の傾き(参照を容易にするために単に「傾き」と呼ばれることもある)の1つ以上によって決定されるメトリックを分析することによって評価することができる。いくつかの例において、メトリックを決定することは、ラジオデンシティ値の最大デンシティ、ラジオデンシティ値の最小デンシティ、及び/又はラジオデンシティ値の勾配の傾きのうちの1つ以上、特徴の傾き/勾配、最大デンシティ、最小デンシティ、或る特徴の傾きと別の特徴の傾きとの比率、或る特徴の最大デンシティと別の特徴の最大デンシティとの比率、或る特徴の最小デンシティと同じ特徴の最小デンシティとの比率、又は或る特徴の最小デンシティと別の特徴の最大デンシティとの比率のうちの1つ以上を決定することを含むことができる。
【0106】
或る特定の例において、図11を参照すると、プラーク915の性状を、血管周囲脂肪領域1131及び隣接するプラーク領域1141の最大デンシティ、最小デンシティ、及びラジオデンシティ値の勾配のうちの1つ以上を分析することによって評価することができる。例えば、領域1131、1141のラジオデンシティ値の図示の例において、血管周囲脂肪920の最大及び最小デンシティはそれぞれ120及び34であり、プラーク915の最大及び最小デンシティはそれぞれ30及び-79である。プラーク領域1141のラジオデンシティ値の勾配は-2である。血管周囲脂肪領域1131の心臓デンシティ値の勾配は-3である。決定されるメトリックは、例えば、
(a)血管周囲脂肪領域1131の勾配とプラーク領域1141の勾配との比率:{-2:-3}、
(b)血管周囲脂肪領域1131の最大デンシティとプラーク領域1141の最大デンシティとの比率:{120:30}、
(c)血管周囲脂肪領域1131の最小デンシティとプラーク領域1141の最小デンシティとの比率:{34:-79}、
(d)血管周囲脂肪領域1131の最小デンシティとプラーク領域1141の最大デンシティとの比率:{34:30}、
(e)血管周囲脂肪領域1131の最大デンシティとプラーク領域1141の最小デンシティとの比率:{120:-79}、及び
(f)プラーク領域1141の近位端1115(例えば、プラーク915の内面)から血管周囲脂肪領域1131の遠位端1110(例えば、血管周囲脂肪920の外面)までの勾配:-2
を含むことができる。
【0107】
さまざま実施形態によれば、領域内のラジオデンシティ値の最大又は最小デンシティを、いくつかのやり方で決定することができる。一例においては、単に最大/最小ラジオデンシティ値を最大又は最小値として選択することができる。しかしながら、いくつかのデータセットは、誤ったデータを表す外れ値を含む可能性がある。外れ値のラジオデンシティ値が実際に誤っていると(例えば、統計的方法を使用して)判定できる場合、外れ値を分析から削除することができ、あるいは可能であれば訂正することができる。外れ値は、ランダムな変動に起因する可能性があり、あるいは科学的に興味深い何かを示している可能性がある。いずれにせよ、外れ観測値を単純に削除することは、典型的には望まれない。しかしながら、データが有意な外れ値を含む場合、ロバストな統計技術又は代替的に撮像技術を使用して、メトリックの精度を向上させるために画像データをフィルタ処理することができる。
【0108】
図12が、(図11に示したものと同様の)冠動脈905、プラーク915、及びプラークに隣接して位置する血管周囲脂肪920を示す画像データの表現を示している。さらに、図12は、血管周囲脂肪領域1231及び血管周囲脂肪920、並びにプラーク915内のプラーク領域1241を示している。血管周囲脂肪領域1231及びプラーク領域1241は、これらの領域のラジオデンシティ値が二次元ベクトルの形態であるという点で、図11に示した脂肪領域1131及びプラーク領域1141とは異なる。すなわち、領域1231、1241の各々が、領域1231、1241内の画像データを表す心臓の行(例えば、紙面を基準にして横方向)及び列(例えば、紙面を基準にして縦方向)を含む場合、領域1231、1241内のデンシティ値は、ラジオデンシティ値の2つ以上の隣接する行を含む。一例においては、ラジオデンシティ値の2つ以上の隣接する行を使用して、例えば、2つ以上の行のいずれかから最大及び最小デンシティ値を取得することによって、最小及び最大デンシティ値を生成することができる。別の例では、ラジオデンシティ値の2つ以上の隣接する行を使用して、例えば各行の最大ラジオデンシティ値を平均して領域の最大ラジオデンシティ値を決定し、各行の最小ラジオデンシティ値を平均して領域の最小心臓デンシティ値を決定することにより、2つ以上の行の情報を平均することによって最小及び最大デンシティ値を生成することができる。同様に、2つ以上の行のラジオデンシティ値に基づいて、各領域のラジオデンシティ値の勾配を計算することができる。例えば、領域の各行におけるラジオデンシティ値の勾配を計算することができ、勾配を計算された勾配値の各々を平均することによって決定することができる。領域内の複数のラジオデンシティ値を平均して領域の性状及びメトリックを決定するために、他の統計的技法を使用することも想定される。そのような技術は、領域内のノイズ(不正確なデータ)の影響を最小限に抑えるためにとくに有用であり得る。
【0109】
図13が、一式の患者情報の例を示す表1300である。この例において、表1300は、2つの列、すなわち「項目」と標記された第1の列1305、及び「重要度又は値」と標記された第2の列1310を含む。
【0110】
この例において、第1の列1305の患者情報の項目は、患者の性別、年齢、BMI、投薬、血圧、心拍数、体重、身長、人種、体型、喫煙、糖尿病、高血圧、以前のCAD、家族歴、及び検査の情報を含む。他の例において、含まれる項目はより多くても、より少なくてもよく、さらには/あるいは異なる項目が含まれてもよい。
【0111】
第2の列1310は、第1の列1305の各項目の重要性又は値の数値評価を含むことができる。数値評価を、リスクスコアによって提供することができ、より重要であると考えられる1つ以上の項目に基づいて分析をバイアスさせるために使用することができる。いくつかの例においては、各項目に同じ値が割り当てられる。他の例においては、項目のうちの1つ以上に異なる値を割り当てることができる。いくつかの例においては、値を、合計が1.0、又は100%、あるいは別の値になるように正規化することができる。
【0112】
図14が、一式のスキャン情報の例を示す表1400である。表1400は、スキャン関連項目を列挙する「項目」と標記された第1の列1405と、「重要度又は値」と標記された第2の列1410とを含む。この例において、第1の列1405のスキャン情報の項目は、造影剤対ノイズ比、信号対ノイズ比、管電流、管電圧、造影剤の種類、造影剤の量、流量、流れ持続時間、スライス厚さ、スライス間隔、ピッチ、血管拡張剤、ベータブロッカー、反復投影かフィルタ逆投影かのレコンオプション、標準的な解像度か高解像度かのレコンタイプ、表示視野、回転速度、パースペクティブトリガリングかレトロスペクティブゲーティングかのゲーティング、ステント、心拍数、又は血圧を含む。他の例において、含まれる項目はより多くても、より少なくてもよく、さらには/あるいは異なる項目が含まれてもよい。
【0113】
第2の列1410は、第1の列1405の各項目の重要性又は値の数値評価を含むことができる。数値評価を、リスクスコアによって提供することができ、より重要であると考えられる1つ以上の項目に基づいて分析をバイアスさせるために使用することができる。いくつかの例においては、各項目に同じ値が割り当てられる。他の例においては、項目のうちの1つ以上に異なる値を割り当てることができる。いくつかの例においては、値を、合計が1.0、又は100%、あるいは別の値になるように正規化することができる。
【0114】
図15が、一式の心臓情報の例を示す表1500である。表1500は、スキャン関連項目を列挙する「項目」と標記された第1の列1505と、「重要度又は値」と標記された第2の列1510とを含む。この例において、第1の列1504の心臓情報の項目は、デンシティへのコントラスト、体積、幾何学的形状、位置、リモデリング、ベースライン解剖学的構造(直径、長さについて)、区画(内側、外側、内部)、狭窄(直径、面積)、心筋量、プラーク体積、プラーク組成、テクスチャ、又は均一性を含む。他の例において、含まれる項目はより多くても、より少なくてもよく、さらには/あるいは異なる項目が含まれてもよい。
【0115】
第2の列1510は、第1の列1505の各項目の重要性又は値の数値評価を含むことができる。数値評価を、リスクスコアによって提供することができ、より重要であると考えられる1つ以上の項目に基づいて分析をバイアスさせるために使用することができる。いくつかの例においては、各項目に同じ値が割り当てられる。他の例においては、項目のうちの1つ以上に異なる値を割り当てることができる。いくつかの例においては、値を、合計が1.0、又は100%、あるいは別の値になるように正規化することができる。
【0116】
図16が、冠動脈1600の断面の例である。図16に、内部部分1602を有する動脈1600の内側管腔壁1606、及び外側血管壁1608が、管腔壁1606と血管の外側の血管周囲組織1620との間のプラーク1604内の管腔に示された勾配ラジオデンシティと共に示されている。線1612が、動脈1600の直径を通る線を示している。
【0117】
図17は、冠動脈1708の内側部分と外側部分との間のプラークの蓄積を示す冠動脈1708の長手方向の真っ直ぐなレンダリングの一例を示す画像である。図17に示されるように、冠動脈1708は、内腔1710を含み、血液を輸送するための内腔1710内の空洞1702を有する。さらに、冠動脈1708は、冠動脈1708の(図17の向きに対する)左側から延びる外側血管1706を含む。プラーク1704の蓄積が、外側血管1706と内腔1710との間に存在する。この図は、管腔のさまざまな区画、内腔1710の外側のプラーク及び血管周囲組織、並びにプラーク1702を示している。
【0118】
図18は、冠動脈の長さに沿ったプラーク1801、管腔1802、及び脂肪1803の断面の区画面積を示すプロットのチャートである。そのようなプロット1801、1802、1803を、左及び/又は右冠動脈について生成することができる。冠動脈のプラークの複数の断面積を、冠動脈の長さに沿って決定することができる。各々のプラーク、管腔、及び脂肪断面のオスティアムからの距離も、決定することができる。1つ以上の冠動脈の1つ以上の部分におけるプラーク、管腔、及び脂肪の断面積の比率は、プラークに関連する患者のリスクを表すことができる。図18は、プラーク断面1801、管腔断面1802、及び脂肪断面1803のプロットの例を示しており、プラーク、管腔、及び脂肪断面1801、1802、1803のオスティアムからの距離が、x軸にプロットされ、それぞれのプラーク、管腔、及び脂肪断面1801、1802、1803の面積が、y軸にプロットされている。いくつかの実施形態において、x軸に沿った距離尺度の単位はミリメートルであってよいが、他の実施形態においては、他の尺度を使用することができる。いくつかの実施形態において、断面の面積の単位はmmであってよいが、他の実施形態においては、別の面積測定単位を使用することができる。冠動脈の各部分に沿ったこれらの区画の比率を、オスティアムからの1つ以上の対応する距離におけるプラーク断面1801、管腔断面1802、及び脂肪断面1803のうちの1つ以上に基づいて計算することができ、計算された比率を、生成される表示又はレポートに取り入れることができる。
【0119】
図18に示される例において、オスティアムからの全距離にわたって、管腔1802の断面は、一般に、プラーク1801の断面及び脂肪1803の断面よりも小さく、プラーク1801の断面は、管腔1802の断面よりも小さい。オスティアムからのいくつかの距離(例えば、x軸に沿って約7~9の距離)において、プラーク、管腔、及び/又は脂肪の断面積のうちの1つ以上は、実質的に同様又はほぼ同じであるが、これらの領域でさえ、管腔1802の断面は、プラーク1801の断面よりも小さく、プラーク1801の断面は、脂肪1803の断面よりも小さい。しかしながら、オスティアムからの他の距離において、断面は大きく異なり、この違いを、プラーク断面プロット1801、管腔断面プロット1802、及び脂肪断面プロット1803から明瞭に見て取ることができる。例えば、x軸に沿って約16の距離(線「A」で示される)から約25の距離(線「B」で示される)までの冠動脈部分において、脂肪1803の断面積がプラーク1801の断面積よりも大きいことを見て取ることができ、プラーク1801の断面積が管腔1802の断面積よりも大きいことを見て取ることができる。一般的な例として、線「C」によって示される1つの特定の距離「20」において、管腔1802の断面積は約9単位であり、プラーク1801の断面積は約18単位であり、脂肪の断面積は約24単位である。具体的な例としては、線Cで示される特定の距離20mmにおいて、管腔1802の断面積は約9mmであり、プラーク1801の断面積は約18mmであり、脂肪の断面積は約24mmである。したがって、距離「20」において、脂肪:プラークの比率=1.33であり、脂肪:管腔の比率=2.67であり、プラーク:脂肪の比率=2.00である。いくつかの実施形態においては、脂肪:プラーク、脂肪:管腔、及び/又はプラーク:脂肪のうちの1つ以上の比率を、このデータ内の複数の距離として計算し、比率の数字又はプロットとして表示装置又はレポートに提供することができる。一例においては、特定のしきい値を超える比率に、比率が特定のしきい値を超える場所に対応する部分又は冠動脈のさらなる調査のために、フラグを立てることができる。別の例においては、特定の距離(冠動脈の一部分)に対して特定のしきい値を超える比率に、冠動脈の対応する部分のさらなる調査のためのフラグを立てることができる。そのような区画比率を、プラークに関連するリスクの明確な違いを示すために使用することができる。
【0120】
冠動脈に沿ったプラーク、管腔、及び脂肪の区画の比率を、合計体積(例えば、特定の距離にわたるプラーク、管腔、及び脂肪の断面積に基づく)に基づいて計算することもでき、合計体積を、生成される表示又はレポートに取り入れることができる。合計体積に基づいて計算された冠動脈に沿ったプラーク、管腔、及び脂肪の区画の比率は、プラークに関連する患者のリスクを表すことができる。一例においては、冠動脈の複数の部分を使用して、複数の合計体積を計算することができる。一例において、断面積の比率(例えば、脂肪:プラーク、脂肪:管腔、及び/又はプラーク:脂肪)が特定のしきい値を超える(又は、特定の距離についての特定のしきい値を上回る)点について、これは冠動脈の合計体積を計算するための開始点をマークすることができる。一例において、断面積の比率(例えば、脂肪:プラーク、脂肪:管腔、及び/又はプラーク:脂肪)が再び特定のしきい値を下回る(又は、特定の距離についての特定のしきい値を下回る)点について、これは冠動脈の合計体積の計算の終点をマークすることができる。図18のプロットを使用する例では、おおむね線Aにおいて、断面積の比率(例えば、脂肪:プラーク、脂肪:管腔、及び/又はプラーク:脂肪)のうちの1つ以上が、特定のしきい値を超えることができ、したがって線aは、冠動脈のこの作られた体積を計算するための開始点をマークすることができ、次いでおおむね線Bにおいて、断面積の比率(例えば、脂肪:プラーク、脂肪:管腔、及び/又はプラーク:脂肪)のうちの1つ以上が、特定のしきい値を下回ることができ、したがって線Bは、冠動脈のこの作られた体積を計算するための終点をマークすることができる。プロットのうちの距離16~25に対応する部分は、一般に、最大の比を示すが、いくつかの例では、より小さい比率も合計体積計算の開始/終了を示すことができる。例えば、距離34から始まって、プラーク断面1801、管腔断面1802、及び脂肪断面1803のプロットは、距離46まで一貫して(大きくはないが)変化し、次いで再び距離56まで一貫して(大きくはないが)変化し続ける。いくつかの例においては、断面積の比率(例えば、脂肪:プラーク、脂肪:管腔、及び/又はプラーク:脂肪)のうちの1つ以上が特定の距離についての特定のしきい値を超えるような冠動脈の一部分について合計容積が計算されるように決定することができ、結果に、表示装置又は生成されるレポートのいずれかにおいて冠動脈の対応する部分のさらなる調査のためのフラグを立てることができる。そのような区画比率を、プラークに関連するリスクの明確な違いを示すために使用することができる。
【0121】
いくつかの実装態様において、他の区画比率(例えば、脂肪:プラーク、脂肪:管腔、及び/又はプラーク:脂肪)を計算して表示装置又はレポートに提示して、患者の冠動脈に関するさらなる情報を提供することができる。そのような情報は、動脈のうちのさらなる調査のための部分を示すことができ、あるいは患者の状態を示すことができる。1つ以上の区画比率を、第1の時点(例えば、開始日)において決定し、次いで後続の(第2の)時点(例えば、2ヶ月後、6ヶ月後、1年後、2年後、など)において再び決定することで、テーマ期間にわたって患者に発生する任意の変化を追跡することができる。期間は、例えば、1週間又は2週間から、数ヶ月又は数年までであってよい。一例においては、1つ以上の区画比率を第1の時点において(例えば、患者が50歳であるときに)決定し、次いで第2の時点において(例えば、患者が60歳であるときに)再び決定して、特定の期間にわたって患者に発生する任意の変化を追跡することができる。一例においては、冠動脈の問題の家族歴を有する患者について、このような試験を、患者が40歳のときに実行し、次いで5年又は10年ごとに実行して、冠動脈の問題/疾患の発症を示し得る冠動脈の変化を示し得る患者の冠動脈に関する情報を収集することができる。
【0122】
いくつかの実施態様においては、冠動脈のいくつかの部分について区画比率を決定することができる。例えば、右冠動脈近位部分、右冠動脈中間部分、右冠動脈遠位部分、右冠動脈の後心室内ブランチ、左冠動脈(主幹)、左冠動脈の内部心室内ブランチ、左冠動脈中間部分の内部心室内ブランチ、左冠動脈遠位部分の内部心室内ブランチ、第1の斜めブランチ、第2の斜めブランチ、左冠動脈近位部分の回旋枝、第1の縁枝、左冠動脈中間部分の回旋枝、第2の縁枝、左冠動脈遠位部分の回旋枝、右冠動脈の後左心室内ブランチ、及び/又は右冠動脈の中間心房枝のうちの1つ以上の区画比率。いくつかの実施態様においては、任意の冠状血管について区画比率を決定することができる。患者について決定された区画比率に関する情報を、1つ以上の紙又は電子レポート、プロット、グラフ、などに提示することができる。いくつかの実施態様において、特定の患者の2つ以上の区画比率が決定され、区画比率の患者和として提示される。例えば、患者の右冠動脈の2つ以上の部分の区画比率を提示し、表示装置上で報告して、右冠動脈のこれらの部分の区画比率を示すことができる。いくつかの例においては、右冠動脈のすべての部分の区画比率が決定され、評価のために提示される。いくつかの例においては、左冠動脈のすべての部分の区画比率が決定され、評価のために提示される。いくつかの例においては、左冠動脈及び右冠動脈の対応する部分の区画比率が決定され、評価のために提示される。プラークリスクを示すために、区画比率のさまざま実施形態を本明細書に記載の他の情報のいずれかと共に取り入れることができる。
【0123】
図19は、冠動脈の長さに沿ったプラーク1901、管腔1902、及び脂肪1903の断面の区画面積を示すプロットの別のチャートである。図18と同様に、冠動脈のオスティアムからのプラーク、管腔、及び脂肪の測定された断面の距離がx軸にプロットされ、プラークのそれぞれの断面の面積がy軸にプロットされている。図19の冠動脈は、図18の動脈とは異なる区画比率の例を示している。
【0124】
特定の実施形態の例
【0125】
以下が、冠動脈プラークの性状を評価するシステム及び方法の特定の実施形態の非限定的な例である。他の実施形態は、本明細書で説明される1つ以上の他の特徴又は異なる特徴を含むことができる。
【0126】
実施形態1:血管に沿ったコンピュータ断層撮影(CT)スキャンから集められた画像データを使用し、画像情報は、冠動脈プラーク及び冠動脈プラークに隣接して位置する血管周囲組織のラジオデンシティ値を含んでいる、冠動脈プラーク組織データ及び血管周囲組織データの性状評価のための方法であって、前記画像データにおいて、冠動脈プラークの領域内のラジオデンシティを定量化するステップと、前記画像データにおいて、前記冠動脈プラークに隣接する対応する血管周囲組織の少なくとも1つの領域内のラジオデンシティを定量化するステップと、前記冠動脈プラーク内の前記定量化されたラジオデンシティ値及び前記対応する血管周囲組織内の前記定量化されたラジオデンシティ値の勾配を決定するステップと、前記冠動脈プラーク及び前記対応する血管周囲組織内の前記定量化されたラジオデンシティ値の比率を決定するステップと、前記冠動脈プラーク及び前記対応する血管周囲組織内の前記定量化されたラジオデンシティ値の前記勾配、又は前記冠動脈プラークの前記ラジオデンシティ値及び前記対応する血管周囲組織の前記ラジオデンシティ値の前記比率のうちの1つ以上を分析することによって、前記冠動脈プラークの性状を評価するステップと、を含んでおり、非一時的コンピュータ記憶媒体上のコンピュータ実行可能命令を実行するように構成された1つ以上のコンピュータハードウェアプロセッサによって実行される、方法。
【0127】
実施形態2:前記血管周囲組織は、冠動脈管腔、脂肪、冠動脈プラーク、又は心筋のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1に記載の方法。
【0128】
実施形態3:ネットワークを介してデータ記憶構成要素において前記画像データを受信するステップをさらに含む、実施形態1及び2のいずれか1つに記載の方法。
【0129】
実施形態4:前記ネットワークは、インターネット又はワイドエリアネットワーク(WAN)の一方である、実施形態3に記載の方法。
【0130】
実施形態5:前記CTスキャンからの前記画像データは、少なくとも10個の画像を含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0131】
実施形態6:前記CTスキャンからの前記画像データは、少なくとも30個の画像を含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0132】
実施形態7:前記冠動脈プラークの前記性状評価に基づいて患者に関する診断、予後診断、又は推奨される処置のうちの少なくとも1つを含む患者レポートを生成するステップをさらに含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0133】
実施形態8:血管周囲組織の少なくとも1つの領域内のラジオデンシティを定量化するステップは、血管周囲組織の1つ以上の領域又は層の各々における冠動脈プラーク及び脂肪組織に関して前記スキャン情報のラジオデンシティを定量化するステップを含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0134】
実施形態9:前記スキャン情報の前記ラジオデンシティは、冠動脈プラーク及び血管周囲組織の前記領域のうちの1つ以上の領域の各々における水に関して定量化される、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0135】
実施形態10:前記スキャン情報のラジオデンシティは、冠動脈プラークの1つ以上の領域又は層の各々における低ラジオデンシティプラークに関して定量化される、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
実施形態11:前記冠動脈プラークのラジオデンシティ値及び前記血管周囲組織のラジオデンシティ値は、平均ラジオデンシティである、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0137】
実施形態12:前記冠動脈プラークのラジオデンシティ値及び前記血管周囲組織のラジオデンシティ値は、最大ラジオデンシティである、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0138】
実施形態13:前記冠動脈プラークのラジオデンシティ値及び前記血管周囲組織のラジオデンシティ値は、最小ラジオデンシティである、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
実施形態14:前記定量化されたラジオデンシティは、前記画像データの変換された数字によるラジオデンシティ値である、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
実施形態15:前記定量化されたラジオデンシティは、ヨード造影剤、造影剤の種類、注入レート、大動脈造影剤不透明化、左心室血液プール不透明化、信号対ノイズ、造影剤対ノイズ、管電圧、ミリアンペア、心臓ゲーティングの方法、シングル及びマルチエネルギ画像取得、CTスキャナの種類、心拍数、心調律、又は血圧のうちの1つ以上を含む患者及びCTごとのパラメータを考慮する、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0141】
実施形態16:前記冠動脈プラーク及び前記血管周囲組織の前記定量化されたラジオデンシティを勾配としてレポートするステップをさらに含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0142】
実施形態17:前記冠動脈プラーク及び前記血管周囲組織の前記定量化されたラジオデンシティは、前記冠動脈プラークに隣接する血管周囲組織に対する前記冠動脈プラークからの前記勾配の傾きの比率としてレポートされる、実施形態1及び16のいずれか1つに記載の方法。
【0143】
実施形態18:前記冠動脈プラーク及び前記血管周囲組織の前記定量化されたラジオデンシティは、前記血管周囲組織に対する前記冠動脈プラークからのラジオデンシティ値の差としてレポートされる、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
【0144】
実施形態19:前記画像データは、右冠動脈、左前下行動脈、左回旋動脈、又はそれらの枝、又は大動脈、又は頸動脈、又は大腿動脈、又は腎動脈のうちの少なくとも1つの長さに沿ったCTスキャンから集められる、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
【0145】
実施形態20:前記データは、非冠リファレンス血管の長さに沿ったCTスキャンから集められる、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
【0146】
実施形態21:前記非冠リファレンス血管は、大動脈である、実施形態20に記載の方法。
【0147】
実施形態22:前記ラジオデンシティは、ハンスフィールド単位にて定量化される、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0148】
実施形態23:ラジオデンシティは、マルチエネルギCTが実行されるときに絶対材料デンシティにて定量化される、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0149】
実施形態24:血管周囲組織の1つ以上の領域又は層が、血管の外壁から或る端部距離まで延び、前記端部距離は、脂肪組織のラジオデンシティが(i)健康な血管においてスキャンされた解剖学的領域における最小値に達し、あるいは(ii)或る相対割合(例えば、≧10%)だけ低下し、あるいは(iii)疾患のない同じ種類の血管におけるベースラインのラジオデンシティ値に対して或る相対割合だけ低下する固定の距離である、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0150】
実施形態25:前記冠動脈プラークの1つ以上の領域又は層が、血管の外壁から或る端部距離まで延び、前記端部距離は、脂肪組織のラジオデンシティが(i)前記プラーク内の最大値に達し、あるいは(ii)或る相対割合(例えば、≧10%)だけ上昇し、あるいは(iii)前記プラーク内の最低のラジオデンシティ値に対して或る相対割合だけ変化する固定の距離である、実施形態1~25のいずれか1つに記載の方法。
【0151】
実施形態26:前記ベースラインのラジオデンシティ値は、厚さ、面積、又は体積によって測定された外側血管壁を取り囲む固定の層又は領域内に位置する血管周囲組織の層において定量化された平均ラジオデンシティである、実施形態24に記載の方法。
【0152】
実施形態27:前記ベースラインの血管周囲組織のラジオデンシティは、血管の外壁の近位にある血管周囲組織の層における脂肪組織に関して定量化されたラジオデンシティである、実施形態24に記載の方法。
【0153】
実施形態28:前記ベースラインの血管周囲組織のラジオデンシティは、血管の外壁の近位にある血管周囲組織の層における水に関して定量化されたラジオデンシティである、実施形態24に記載の方法。
【0154】
実施形態29:前記ベースラインのラジオデンシティは、平均ラジオデンシティである、実施形態24に記載の方法。
【0155】
実施形態30:前記ベースラインのラジオデンシティは、最大ラジオデンシティである、実施形態24に記載の方法。
【0156】
実施形態31:前記ベースラインのラジオデンシティは、最小ラジオデンシティである、実施形態24に記載の方法。
【0157】
実施形態32:前記ベースラインのラジオデンシティ値は、前記プラーク内の固定の層又は領域内の冠動脈プラーク組織の層において定量化された平均ラジオデンシティであり、厚さ、面積、又は体積によって測定される、実施形態24に記載の方法。
【0158】
実施形態33:前記ベースラインの冠動脈プラークラジオデンシティは、測定された血管内のすべての冠動脈プラークについて定量化されたラジオデンシティである、実施形態24に記載の方法。
【0159】
実施形態34:血管の外壁から端部距離までの距離に対して、血管周囲組織の1つ以上の同心層の各々におけるベースラインのラジオデンシティに対する定量化されたラジオデンシティの変化のプロットを決定するステップと、血管の外壁から端部距離までの距離に対して、定量化されたラジオデンシティの変化のプロット及びベースラインのラジオデンシティのプロットによって境界付けられる領域の面積を決定するステップと、前記面積を、血管の外壁からの或る距離において測定された前記定量化されたラジオデンシティで除算するステップと、をさらに含み、前記距離は、血管の半径よりも小さく、あるいはそれを超えると脂肪組織の前記定量化されたラジオデンシティが疾患のない同じ種類の血管における脂肪組織のベースラインのラジオデンシティと比べて5%よりも大きく低下する血管の外面からの距離である、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
【0160】
実施形態35:血管の外壁からプラークの内面までの距離に対して、冠動脈プラーク組織の1つ以上の同心層の各々におけるベースラインのラジオデンシティに対する定量化されたラジオデンシティの変化のプロットを決定するステップと、血管の外壁からプラークの内面までの距離に対して、定量化されたラジオデンシティの変化のプロット及びベースラインのラジオデンシティのプロットによって境界付けられる領域の面積を決定するステップと、前記面積を、血管の外壁からの或る距離において測定された前記定量化されたラジオデンシティで除算するステップと、をさらに含み、前記距離は、血管の半径よりも小さく、あるいはそれを超えると脂肪組織の前記定量化されたラジオデンシティが疾患のない同じ種類の血管における脂肪組織のベースラインのラジオデンシティと比べて5%よりも大きく低下する血管の外面からの距離である、実施形態1~34のいずれか1つに記載の方法。
【0161】
実施形態36:前記定量化されたラジオデンシティは、血管周囲組織又は冠動脈プラークの1つ以上の領域又は層の各々における脂肪組織の定量化されたラジオデンシティである、実施形態25に記載の方法。
【0162】
実施形態37:前記定量化されたラジオデンシティは、血管周囲組織の1つ以上の領域又は層の各々における水の定量化されたラジオデンシティである、実施形態25に記載の方法。
【0163】
実施形態38:前記定量化されたラジオデンシティは、平均ラジオデンシティである、実施形態25に記載の方法。
【0164】
実施形態39:前記定量化されたラジオデンシティは、最大ラジオデンシティである、実施形態25に記載の方法。
【0165】
実施形態40:前記血管周囲組織は、血管の外壁から或る端部距離まで延び、前記端部距離は、脂肪組織のラジオデンシティが(i)健康な血管においてスキャンされた解剖学的領域における最小値に達し、あるいは(ii)或る相対割合(例えば、≧10%)だけ低下し、あるいは(iii)疾患のない同じ種類の血管におけるベースラインのラジオデンシティ値に対して或る相対割合だけ低下する固定の距離である、実施形態25に記載の方法。
【0166】
実施形態41:冠動脈プラーク組織の1つ以上の領域又は層が、血管の外壁から或る端部距離まで延び、前記端部距離は、脂肪組織のラジオデンシティが(i)前記プラーク内の最大値に達し、あるいは(ii)或る相対割合(例えば、≧10%)だけ上昇し、あるいは(iii)前記プラーク内の最低のラジオデンシティ値に対して或る相対割合だけ変化する固定の距離である、実施形態1~40のいずれか1つに記載の方法。
【0167】
実施形態42:前記冠動脈プラーク及び前記血管周囲組織の前記定量化されたラジオデンシティを、ヨード造影剤、造影剤の種類、注入レート、大動脈造影剤不透明化、左心室血液プール不透明化、信号対ノイズ、造影剤対ノイズ、管電圧、ミリアンペア、心臓ゲーティングの方法、シングル及びマルチエネルギ画像取得、CTスキャナの種類、心拍数、心調律、又は血圧のうちの1つ以上を含むCTスキャンパラメータ(患者及びCTごとのパラメータ)へと正規化するステップと、冠動脈プラーク関連の血管周囲脂肪の前記定量化されたラジオデンシティを遠方の血管周囲脂肪へと正規化するステップと、前記冠動脈プラークの前記定量化されたラジオデンシティを遠方の冠動脈プラークへと正規化するステップとをさらに含む、実施形態1~41のいずれか1つに記載の方法。
【0168】
実施形態43:リモデリング、体積、斑状石灰化、などの他の高リスクプラーク特徴を定量化し、前記高リスクプラーク特徴のうちの1つ以上に基づいて前記高リスクプラークをさらに性状評価するステップをさらに含む、実施形態1~42のいずれか1つに記載の方法。
【0169】
実施形態44:前記冠動脈プラークの性状を評価するステップは、カルシウム及び非石灰化プラーク混合物を含むプラーク異種性に部分的に基づく、実施形態1~43のいずれか1つに記載の方法。
【0170】
実施形態45:前記冠動脈プラークの性状を評価するステップは、前記冠動脈プラークが、事前に分類された患者画像データとの比較に基づいて、将来の急性冠動脈事象に責任病変として関与する傾向がある場合に、前記冠動脈プラークを高リスクプラークとして識別するステップを含む、実施形態1~44のいずれか1つに記載の方法。
【0171】
実施形態46:前記冠動脈プラークの性状を評価するステップは、前記冠動脈プラークが、事前に分類された患者画像データとの比較に基づいて、虚血を引き起こす可能性が高い場合に、前記冠動脈プラークを高リスクプラークとして識別するステップを含む、実施形態1~45のいずれか1つに記載の方法。
【0172】
実施形態47:前記冠動脈プラークの性状を評価するステップは、前記冠動脈プラークが、事前に分類された患者画像データとの比較に基づいて、血管けいれんを引き起こす可能性が高い場合に、前記冠動脈プラークを高リスクプラークとして識別するステップを含む、実施形態1~46のいずれか1つに記載の方法。
【0173】
実施形態48:前記冠動脈プラークの性状を評価するステップは、前記冠動脈プラークが、事前に分類された患者画像データとの比較に基づいて、急激に進行する可能性が高い場合に、前記冠動脈プラークを高リスクプラークとして識別するステップを含む、実施形態1~47のいずれか1つに記載の方法。
【0174】
実施形態49:前記冠動脈プラークの性状を評価するステップは、前記冠動脈プラークが、事前に分類された患者画像データとの比較に基づいて、石灰化しない可能性が高い場合に、前記冠動脈プラークを高リスクプラークとして識別するステップを含む、実施形態1~48のいずれか1つに記載の方法。
【0175】
実施形態50:前記冠動脈プラークの性状を評価するステップは、前記冠動脈プラークが、事前に分類された患者画像データとの比較に基づいて、医療に対して反応せず、旧態に復帰せず、あるいは安定化しない可能性が高い場合に、前記冠動脈プラークを高リスクプラークとして識別するステップを含む、実施形態1~49のいずれか1つに記載の方法。
【0176】
実施形態51:前記冠動脈プラークの性状を評価するステップは、前記冠動脈プラークが、事前に分類された患者画像データとの比較に基づいて、(ノーリフロー現象の発生などによる)血行再建の時点における合併症に関連する場合に、前記冠動脈プラークを高リスクプラークとして識別するステップを含む、実施形態1~50のいずれか1つに記載の方法。
【0177】
実施形態52:血管に沿った1つ以上のコンピュータ断層撮影(CT)スキャンから集められた画像データを使用し、画像情報は、冠動脈プラーク及び冠動脈プラークに隣接して位置する血管周囲組織のラジオデンシティ値を含んでいる、冠動脈プラーク組織データ及び血管周囲組織データの体積性状評価のためのシステムであって、前記画像データを少なくとも記憶するように構成された第1の非一時的コンピュータ記憶媒体と、コンピュータ実行可能命令を少なくとも記憶するように構成された第2の非一時的コンピュータ記憶媒体と、前記第2の非一時的コンピュータ記憶媒体と通信する1つ以上のコンピュータハードウェアプロセッサと、を備え、前記1つ以上のコンピュータハードウェアプロセッサは、前記コンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、前記画像データにおいて、冠動脈プラークの領域内のラジオデンシティを定量化し、前記画像データにおいて、前記冠動脈プラークに隣接する対応する血管周囲組織の少なくとも1つの領域内のラジオデンシティを定量化し、前記冠動脈プラーク内の前記定量化されたラジオデンシティ値及び前記対応する血管周囲組織内の前記定量化されたラジオデンシティ値の勾配を決定し、前記冠動脈プラーク及び前記対応する血管周囲組織内の前記定量化されたラジオデンシティ値の比率を決定し、前記冠動脈プラーク及び前記対応する血管周囲組織内の前記定量化されたラジオデンシティ値の前記勾配、又は前記冠動脈プラークの前記ラジオデンシティ値及び前記対応する血管周囲組織の前記ラジオデンシティ値の前記比率のうちの1つ以上を分析することによって、前記冠動脈プラークの性状を評価する、ように構成されている、システム。
【0178】
実施形態53:実行時に、画像データにおいて、冠動脈プラークの領域内のラジオデンシティを定量化するステップと、前記画像データにおいて、前記冠動脈プラークに隣接する対応する血管周囲組織の少なくとも1つの領域内のラジオデンシティを定量化するステップと、前記冠動脈プラーク内の前記定量化されたラジオデンシティ値及び前記対応する血管周囲組織内の前記定量化されたラジオデンシティ値の勾配を決定するステップと、前記冠動脈プラーク及び前記対応する血管周囲組織内の前記定量化されたラジオデンシティ値の比率を決定するステップと、前記冠動脈プラーク及び前記対応する血管周囲組織内の前記定量化されたラジオデンシティ値の前記勾配、又は前記冠動脈プラークの前記ラジオデンシティ値及び前記対応する血管周囲組織の前記ラジオデンシティ値の前記比率のうちの1つ以上を分析することによって、前記冠動脈プラークの性状を評価するステップと、を含む方法を装置に実行させる命令を含んでいる非一時的コンピュータ可読媒体。
【0179】
実施形態54:プロセッサと、プロセッサ実行可能命令を含む非一時的記憶媒体とを備えており、画像データにおいて、冠動脈プラークの領域内のラジオデンシティを定量化し、前記画像データにおいて、前記冠動脈プラークに隣接する対応する血管周囲組織の少なくとも1つの領域内のラジオデンシティを定量化し、前記冠動脈プラーク及び前記対応する血管周囲組織内の前記定量化されたラジオデンシティ値の比率、又は前記冠動脈プラーク及び前記対応する血管周囲組織内の前記定量化されたラジオデンシティ値の少なくとも1つの勾配のうちの少なくとも1つを使用し、冠動脈プラークの前記定量化された放射線不透過性及び前記冠動脈プラークに隣接する対応する血管周囲組織の少なくとも1つの領域内のラジオデンシティに基づいて、1つ以上の医学的状態の性状を評価する、ように構成された冠動脈プラークの性状評価のための処理システムを実現するシステム。
【0180】
実施形態55:実行時に、画像データにおいて、冠動脈プラークの領域内のラジオデンシティを定量化するステップと、前記画像データにおいて、前記冠動脈プラークに隣接する対応する血管周囲組織の少なくとも1つの領域内のラジオデンシティを定量化するステップと、前記冠動脈プラーク及び前記対応する血管周囲組織内の前記定量化されたラジオデンシティ値の比率、又は前記冠動脈プラーク及び前記対応する血管周囲組織内の前記定量化されたラジオデンシティ値の少なくとも1つの勾配のうちの少なくとも1つを使用し、冠動脈プラークの前記定量化された放射線不透過性及び前記冠動脈プラークに隣接する対応する血管周囲組織の少なくとも1つの領域内のラジオデンシティに基づいて、1つ以上の医学的状態の性状を評価するステップと、を含む方法を装置に実行させる命令を含んでいる非一時的コンピュータ可読媒体。
【0181】
システムの実装及び用語
本明細書で開示される実装は、マスクレス位相検出オートフォーカスのためのシステム、方法、及び装置を提供する。当業者であれば、これらの実施形態をハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの任意の組み合わせで実施できることを、理解できるであろう。
【0182】
いくつかの実施形態において、上述した回路、プロセス、及びシステムを、例えばモバイル無線デバイスなどの無線通信デバイスにおいて利用することができる。無線通信デバイスは、他の電子デバイスとの無線通信に使用される一種の電子デバイスであってよい。無線通信デバイスの例として、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、eリーダ、ゲームシステム、音楽プレーヤ、ネットブック、無線モデム、ラップトップコンピュータ、タブレットデバイス、などが挙げられ、例えばモバイル無線デバイス130C(図1)が挙げられる。
【0183】
無線通信デバイスは、1つ以上の画像センサ、1つ以上の画像信号プロセッサ、及び上述のプロセスを実行するための命令又はモジュールを含むメモリを含むことができる。さらに、デバイスは、データ、メモリから命令及び/又はデータをロードするプロセッサ、1つ以上の通信インターフェース、1つ以上の入力デバイス、表示装置などの1つ以上の出力デバイス、及び電源/インターフェースを有することができる。無線通信デバイスは、送信機及び受信機をさらに含むことができる。送信機及び受信機を、まとめてトランシーバと称することができる。トランシーバを、無線信号を送信及び/又は受信するための1つ以上のアンテナに結合させることができる。
【0184】
無線通信デバイスは、情報を通信するために別の電子デバイス(例えば、基地局)に無線で接続することができる。例えば、処理システム120(図1)から受信した情報を別のデバイス130(図1)と通信する。あるいは、無線通信デバイスは、モバイルデバイス、移動局、加入者ステーション、ユーザ機器(UE)、リモート局、アクセス端末、モバイル端末、端末、ユーザ端末、加入者ユニット、などと呼ばれることもある。無線通信デバイスの例として、ラップトップ又はデスクトップコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、タブレットデバイス、などが挙げられる。無線通信デバイスは、1つ以上の業界標準に従って動作することができる。したがって、一般的な用語「無線通信デバイス」又は「モバイルデバイス」は、業界標準によるさまざま命名法で記載された無線通信デバイス(例えば、アクセス端末、ユーザ機器(UE)、リモート端末、など)を含むことができる。
【0185】
本明細書で説明される機能は、プロセッサ可読媒体又はコンピュータ可読媒体上に1つ以上の命令として格納されてよい。例えば、処理システム120又はデバイス130のいずれかの。用語「コンピュータ可読媒体」は、コンピュータ又はプロセッサによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体を指す。例として、これらに限られるわけではないが、そのような媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、CD-ROM又は他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置又は他の磁気記憶デバイス、あるいは命令又はデータ構造の形態で所望のプログラムコードを格納するために使用することができ、コンピュータによってアクセスすることができる任意の他の媒体を含むことができる。ディスク(disk)及びディスク(disc)は、本明細書において使用されるとき、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピーディスク、及びBlu-ray(登録商標)ディスクを含み、ディスク(disk)が通常はデータを磁気的に再生する一方で、ディスク(disc)はレーザを用いて光学的にデータを再生する。コンピュータ可読媒体は、有形かつ非一時的であってよいことに留意されたい。用語「コンピュータプログラム製品」は、コンピューティングデバイス又はプロセッサと、コンピューティングデバイス又はプロセッサによって実行、処理、又は計算され得るコード又は命令(例えば、「プログラム」)との組み合わせを指す。本明細書において使用されるとき、用語「コード」は、コンピューティングデバイス又はプロセッサによって実行することができるソフトウェア、命令、コード、又はデータを指すことができる。
【0186】
本明細書に開示される方法は、記載された方法を達成するための1つ以上のステップ又は動作を含む。方法のステップ及び/又は動作を、特許請求の範囲の技術的範囲から逸脱することなく互いに交換することができる。換言すると、ステップ又は動作の特定の順序が、記載されている方法の適切な動作のために必要とされない限り、特定のステップ及び/又は動作の順序及び/又は使用を、特許請求の範囲の技術的範囲から逸脱することなく変更することが可能である。
【0187】
本明細書において使用されるとき、用語「結合する(couple)」、「結合させる(coupling)」、「結合した(coupled)」、又は用語「結合」の他の変種が、間接的な接続又は直接的な接続のいずれかを表すことができることに、留意されたい。例えば、第1の構成要素が第2の構成要素に「結合」している場合、第1の構成要素は、第2の構成要素に間接的に接続されていても、第2の構成要素に直接接続されていてもよい。本明細書において使用されるとき、用語「複数」は、2つ以上を意味する。例えば、複数の構成要素は、2つ以上の構成要素を表す。
【0188】
用語「決定する」は、幅広くさまざまな動作を包含し、したがって「決定する」は、計算すること、演算すること、処理すること、導出すること、調査すること、参照すること(例えば、表、データベース、又は別のデータ構造における検索)、確認すること、などを含むことができる。さらに、「決定する」は、受信すること(例えば、情報を受信すること)、アクセスすること(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)、なども含むことができる。また、「決定する」は、解決すること、選択すること、選定すること、確立させること、などを含むことができる。
【0189】
「・・・に基づく」という表現は、とくに明記されない限り、「・・・のみに基づく」という意味ではない。換言すると、「・・・に基づく」という表現は、「・・・のみに基づく」及び「少なくとも・・・に基づく」の両方を表す。
【0190】
以上の説明においては、具体的な詳細が、実施例の完全な理解をもたらすために示されている。しかしながら、これらの具体的な詳細を伴わずに実施例を実施できることを、当業者であれば理解できるであろう。例えば、不必要な詳細で実施例をわかりにくくしてしまうことがないように、電気部品/デバイスをブロック図で示すことがある。他の場合には、実施例をさらに説明するために、そのような構成要素、他の構造、及び技術を詳細に示すことがある。したがって、本発明は、本明細書に示される実施態様に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理及び新規な特徴に矛盾しない最も広い範囲が与えられるべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19