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特許7544727パッケージング材料および経口パウチスナッフ製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】パッケージング材料および経口パウチスナッフ製品
(51)【国際特許分類】
   A24B 13/00 20060101AFI20240827BHJP
   D04H 1/4382 20120101ALI20240827BHJP
   D04H 1/541 20120101ALI20240827BHJP
【FI】
A24B13/00
D04H1/4382
D04H1/541
【請求項の数】 61
(21)【出願番号】P 2021548603
(86)(22)【出願日】2020-02-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2020054053
(87)【国際公開番号】W WO2020169514
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-10-26
(31)【優先権主張番号】1950207-9
(32)【優先日】2019-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】510171922
【氏名又は名称】スウィーディッシュ・マッチ・ノース・ヨーロップ・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ボディン
(72)【発明者】
【氏名】リネア・ザイラー
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0031416(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0303511(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0073689(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 13/00-13/02
D04H 1/4382
D04H 1/541
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無煙たばこ組成物または非たばこ組成物を封入するための経口パウチスナッフ製品用パッケージング材料であって、前記パッケージング材料は、カード繊維を備える唾液透過性不織布であり、
前記カード繊維の0%~95%は第1のタイプであり、前記カード繊維の5%~100%は第2のタイプであり、前記第1のタイプの繊維はセルロース系ステープル繊維であり、
前記第2のタイプの繊維は、第1のコンポーネントおよび第2のコンポーネントを備える熱可塑性繊維であり、前記第2のコンポーネントは、前記第1のコンポーネントよりも低い溶融温度を有し、
前記パッケージング材料は、前記第2のタイプの繊維の前記第2のコンポーネントの少なくとも部分的な溶融および/または軟化によって結合され、
前記パッケージング材料は、滑らかなカレンダー加工された表面を有し、前記カレンダー加工は結合のために利用されないことを特徴とするパッケージング材料。
【請求項2】
前記カード繊維の5%~50%は前記第1のタイプであり、前記カード繊維の50%~95%は前記第2のタイプである、請求項1に記載のパッケージング材料。
【請求項3】
前記パッケージング材料は、0%~95%の前記第1のタイプの繊維および5%~100%の前記第2のタイプの繊維で構成される、請求項1または2に記載のパッケージング材料。
【請求項4】
前記パッケージング材料は、0%~95%の前記第1のタイプの繊維、5%~100%の前記第2のタイプの繊維、および1つまたは複数のさらなる熱可塑性繊維で構成される、請求項1または2に記載のパッケージング材料。
【請求項5】
前記第2のタイプの繊維の前記第2のコンポーネントの前記少なくとも部分的な溶融および/または軟化は、エアスルーボンディングによって得られる、請求項1~のいずれか一項に記載のパッケージング材料。
【請求項6】
前記第1のタイプの繊維は、天然セルロース繊維または人工セルロース系繊維、例えば、レーヨン、リヨセル、またはビスコースなどの再生セルロース繊維である、請求項1~のいずれか一項に記載のパッケージング材料。
【請求項7】
前記第1のタイプの繊維は、長さが30mm~80mmの範囲内である、請求項1~のいずれか一項に記載のパッケージング材料。
【請求項8】
前記第1のタイプの繊維は、長さが38mm~60mmの範囲内である、請求項に記載のパッケージング材料。
【請求項9】
前記第2のタイプの繊維は、長さが30mm~80mmの範囲内である、請求項1~のいずれか一項に記載のパッケージング材料。
【請求項10】
前記第2のタイプの繊維は、長さが38mm~60mmの範囲内である、請求項に記載のパッケージング材料。
【請求項11】
前記第1のタイプの繊維は、線密度が≦3.3dtexである、請求項1~10のいずれか一項に記載のパッケージング材料。
【請求項12】
前記第1のタイプの繊維は、線密度が≦1.7dtexである、請求項11に記載のパッケージング材料。
【請求項13】
前記第1のタイプの繊維は、線密度が≦1.3dtexである、請求項11に記載のパッケージング材料。
【請求項14】
前記第1のタイプの繊維は、線密度が≦0.9dtexである、請求項11に記載のパッケージング材料。
【請求項15】
前記第2のタイプの繊維は、線密度が≦4.4dtexである、請求項1~14のいずれか一項に記載のパッケージング材料。
【請求項16】
前記第2のタイプの繊維は、線密度が≦2.2dtexである、請求項15に記載のパッケージング材料。
【請求項17】
前記第2のタイプの繊維は、線密度が≦1.7dtexである、請求項15に記載のパッケージング材料。
【請求項18】
前記第2のタイプの繊維は、線密度が≦1.3dtexである、請求項15に記載のパッケージング材料。
【請求項19】
前記第2のタイプの繊維の前記第1のコンポーネントの融点は、140~180℃の範囲内である、請求項1~18のいずれか一項に記載のパッケージング材料。
【請求項20】
前記第2のタイプの繊維の前記第1のコンポーネントの融点は、150~170℃の範囲内である、請求項19に記載のパッケージング材料。
【請求項21】
前記第2のタイプの繊維の前記第1のコンポーネントの融点は、155~165℃の範囲内である、請求項19に記載のパッケージング材料。
【請求項22】
前記第2のタイプの繊維の前記第2のコンポーネントの融点は、110~150℃の範囲内である、請求項1~21のいずれか一項に記載のパッケージング材料。
【請求項23】
前記第2のタイプの繊維の前記第2のコンポーネントの融点は、120~140℃の範囲内である、請求項22に記載のパッケージング材料。
【請求項24】
前記第2のタイプの繊維の前記第2のコンポーネントの融点は、125~135℃の範囲内である、請求項22に記載のパッケージング材料。
【請求項25】
前記第2のタイプの繊維は、PLA/coPLA繊維であり、前記coPLAは、重量パーセントで10%~90%の範囲内を占める、請求項1~24のいずれか一項に記載のパッケージング材料。
【請求項26】
前記第2のタイプの繊維は、PLA/coPLA繊維であり、前記coPLAは、重量パーセントで30%~70%の範囲内を占める、請求項25に記載のパッケージング材料。
【請求項27】
前記第2のタイプの繊維は、PLA/coPLA繊維であり、前記coPLAは、重量パーセントで40%~60%の範囲内を占める、請求項25に記載のパッケージング材料。
【請求項28】
前記第2のタイプの繊維は、PLA/coPLA繊維であり、前記coPLAは、重量パーセントで45%~55%の範囲内を占める、請求項25に記載のパッケージング材料。
【請求項29】
前記第2のタイプの繊維は、PP/PE繊維であり、前記PEは、総重量の重量パーセントで10%~90%の範囲内を占める、請求項1~28のいずれか一項に記載のパッケージング材料。
【請求項30】
前記第2のタイプの繊維は、PP/PE繊維であり、前記PEは、総重量の重量パーセントで30%~70%の範囲内を占める、請求項29に記載のパッケージング材料。
【請求項31】
前記第2のタイプの繊維は、PP/PE繊維であり、前記PEは、総重量の重量パーセントで40%~60%の範囲内を占める、請求項29に記載のパッケージング材料。
【請求項32】
前記第2のタイプの繊維は、PP/PE繊維であり、前記PEは、総重量の重量パーセントで45%~55%の範囲内を占める、請求項29に記載のパッケージング材料。
【請求項33】
前記パッケージング材料は、21°C、50%RHで少なくとも4時間調整されたサンプルを使用してEDANA標準メソッドWSP 090.5R4(12)で測定されたときの機械方向の曲げ剛性が0.5~1.7mNcmの範囲内である、請求項1~32のいずれか一項に記載のパッケージング材料。
【請求項34】
前記パッケージング材料は、21°C、50%RHで少なくとも4時間調整されたサンプルを使用してEDANA標準メソッドWSP 090.5R4(12)で測定されたときの機械方向の曲げ剛性が0.6~1.4mNcmの範囲内である、請求項33に記載のパッケージング材料。
【請求項35】
前記パッケージング材料は、21°C、50%RHで少なくとも4時間調整されたサンプルを使用してEDANA標準メソッドWSP 090.5R4(12)で測定されたときの機械方向の曲げ剛性が0.7~1.1mNcmの範囲内である、請求項33に記載のパッケージング材料。
【請求項36】
前記パッケージング材料は、EDANAによって指定された試験方法WSP 070.1.R3(12)に従って測定されたときの通気性が≦7500l/m/sである、請求項1~35のいずれか一項に記載のパッケージング材料。
【請求項37】
前記パッケージング材料は、EDANAによって指定された試験方法WSP 070.1.R3(12)に従って測定されたときの通気性が≦4300l/m/sである、請求項36に記載のパッケージング材料。
【請求項38】
前記パッケージング材料は、EDANAによって指定された試験方法WSP 070.1.R3(12)に従って測定されたときの通気性が≦2900l/m/sである、請求項36に記載のパッケージング材料。
【請求項39】
前記パッケージング材料は、EDANAによって指定された試験方法WSP 070.1.R3(12)に従って測定されたときの通気性が≦2000l/m/sである、請求項36に記載のパッケージング材料。
【請求項40】
前記パッケージング材料は、EDANA標準メソッドWSP 110.4(05)で測定されたときの前記パッケージング材料の機械方向における湿潤引張強度と前記パッケージング材料の機械方向における乾燥引張強度との比が、0.7超である、請求項1~39のいずれか一項に記載のパッケージング材料。
【請求項41】
前記パッケージング材料は、EDANA標準メソッドWSP 110.4(05)で測定されたときの前記パッケージング材料の機械方向における湿潤引張強度と前記パッケージング材料の機械方向における乾燥引張強度との比が0.8超である、請求項40に記載のパッケージング材料。
【請求項42】
前記パッケージング材料は、EDANA標準メソッドWSP 110.4(05)で測定されたときの前記パッケージング材料の機械方向における湿潤引張強度と前記パッケージング材料の機械方向における乾燥引張強度との比が0.9超である、請求項40に記載のパッケージング材料。
【請求項43】
前記パッケージング材料は、EDANA標準メソッドWSP 110.4(05)で測定されたときの前記パッケージング材料の機械方向における湿潤引張強度と前記パッケージング材料の機械方向における乾燥引張強度との比が1.0超である、請求項40に記載のパッケージング材料。
【請求項44】
前記パッケージング材料の乾燥シール強度は、シール強度のCORESTA法に従って、シールが超音波溶接で作成された場合に、少なくとも0.2N/mmである、請求項1~43のいずれか一項に記載のパッケージング材料。
【請求項45】
前記パッケージング材料の乾燥シール強度は、シール強度のCORESTA法に従って、シールが超音波溶接で作成された場合に、少なくとも0.25N/mmである、請求項44に記載のパッケージング材料。
【請求項46】
前記パッケージング材料の乾燥シール強度は、シール強度のCORESTA法に従って、シールが超音波溶接で作成された場合に、少なくとも0.3N/mmである、請求項44に記載のパッケージング材料。
【請求項47】
前記パッケージング材料の乾燥シール強度は、シール強度のCORESTA法に従って、シールが超音波溶接で作成された場合に、少なくとも0.4N/mmである、請求項44に記載のパッケージング材料。
【請求項48】
前記パッケージング材料の湿潤シール強度は、シール強度のCORESTA法に従って、シールが超音波溶接で作成された場合に、少なくとも0.2N/mmである、請求項1~47のいずれか一項に記載のパッケージング材料。
【請求項49】
前記パッケージング材料の湿潤シール強度は、シール強度のCORESTA法に従って、シールが超音波溶接で作成された場合に、少なくとも0.25N/mmである、請求項48に記載のパッケージング材料。
【請求項50】
前記パッケージング材料の湿潤シール強度は、シール強度のCORESTA法に従って、シールが超音波溶接で作成された場合に、少なくとも0.3N/mmである、請求項48に記載のパッケージング材料。
【請求項51】
前記パッケージング材料の湿潤シール強度は、シール強度のCORESTA法に従って、シールが超音波溶接で作成された場合に、少なくとも0.4N/mmである、請求項48に記載のパッケージング材料。
【請求項52】
シール強度のCORESTA法に従う、湿潤シール強度と乾燥シール強度との比は、0.7超である、請求項1~51のいずれか一項に記載のパッケージング材料。
【請求項53】
シール強度のCORESTA法に従う、湿潤シール強度と乾燥シール強度との比は、0.8超である、請求項52に記載のパッケージング材料。
【請求項54】
シール強度のCORESTA法に従う、湿潤シール強度と乾燥シール強度との比は、0.9超である、請求項52に記載のパッケージング材料。
【請求項55】
シール強度のCORESTA法に従う、湿潤シール強度と乾燥シール強度との比は、1.0超である、請求項52に記載のパッケージング材料。
【請求項56】
前記パッケージング材料は、サリチル酸メチルに曝された場合の乾燥シール強度が、4℃で1週間+室温で3週間後で少なくとも0.05N/mmである、請求項1~55のいずれか一項に記載のパッケージング材料。
【請求項57】
前記パッケージング材料は、サリチル酸メチルに曝された場合の乾燥シール強度が、4℃で1週間+室温で3週間後で少なくとも0.1N/mmである、請求項56に記載のパッケージング材料。
【請求項58】
無煙たばこ組成物または非たばこ組成物の一部と、唾液透過性パウチとを備える経口パウチスナッフ製品であって、前記パウチは前記一部を封入し、前記パウチは請求項1~57のいずれか一項に記載のパッケージング材料を含むか、または請求項1~57のいずれか一項に記載のパッケージング材料からなり
前記パッケージング材料は、前記一部を封入するために少なくとも1つのシールで密封され、前記シールは、前記シール内で少なくとも部分的に溶融および/または軟化される前記第2のタイプの繊維の少なくとも前記第2のコンポーネントによって形成される、経口パウチスナッフ製品。
【請求項59】
無煙たばこ組成物または非たばこ組成物の一部と、唾液透過性パウチとを備える経口パウチスナッフ製品であって、前記パウチは前記一部を封入し、前記パウチは請求項1~57のいずれか一項に記載のパッケージング材料を含むか、または請求項1~57のいずれか一項に記載のパッケージング材料からなり
前記パッケージング材料は、前記一部を封入するために少なくとも1つのシールで密封され、前記シールは、前記シール内で少なくとも部分的に溶融および/または軟化される前記第2のタイプの繊維の前記第1のコンポーネントおよび前記第2のコンポーネントの両方によって形成される、経口パウチスナッフ製品。
【請求項60】
長さ28mm、幅14mm、および重量0.40グラムを有する経口パウチスナッフ製品について、光学的に測定した場合、無負荷高さが少なくとも5.5mmである、請求項58または59に記載の経口パウチスナッフ製品。
【請求項61】
長さ28mm、幅14mm、および重量0.40グラムを有する経口パウチスナッフ製品について、光学的に測定した場合、無負荷高さが少なくとも6mmである、請求項60に記載の経口パウチスナッフ製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口パウチスナッフ製品用のパッケージング材料および経口パウチスナッフ製品に関する。
【背景技術】
【0002】
経口用無煙たばこ製品は、たばこ葉の葉身およびステムなどのたばこ葉から作成される。根および茎からの材料は、通常、経口用無煙たばこ組成物の製造には利用されない。
【0003】
経口用無煙たばこには、噛みたばこ、乾燥スナッフ、および湿式(湿潤)スナッフが含まれる。一般に、乾燥スナッフは、水分含有量が10wt%未満であり、湿式スナッフは、水分含有量が40wt%超である。水分含有量が10%から40wt%の間の半乾燥製品も利用することができる。
【0004】
湿式スナッフには、アメリカンタイプとスカンジナビアタイプの2種類がある。湿式スナッフのスカンジナビアタイプは、スヌースとも呼ばれる。アメリカンタイプの湿式スナッフは、通常、保湿された粉砕またはカットたばこの発酵プロセスによって製造される。スカンジナビアタイプの湿式スナッフ(スヌース)は、通常、発酵の代わりに熱処理プロセス(低温殺菌)を使用して製造される。どちらのプロセスも、未処理のたばこの苦味を軽減し、また、未処理のたばこが湿式スナッフの製造に使用されない主な理由であるたばこの質感を和らげる。たばこ調製物中の微生物の少なくとも一部を分解、破壊または変性させるために、熱処理も実施される。
【0005】
アメリカンタイプおよびスカンジナビアタイプの両方の経口用湿式スナッフは、ルーズな形態か、またはパウチを形成する唾液透過性の多孔性ラッパー材料に部分的に詰められて入手可能である。スヌースを含むパウチ湿式スナッフは、典型的には、消費者がパウチを上歯茎または下歯茎と唇との間に置き、限られた時間そこに保持することによって使用される。パウチ材料は、唾液がたばこに浸透し、フレーバーおよびニコチンがたばこ材料から消費者の口に拡散することを可能にしながら、たばこを所定の位置に保持する。
【0006】
経口パウチスナッフ製品に使用されるパウチ材料は、パッケージング材料とも呼ばれ、唾液透過性不織布である。不織布とは、織られておらず、編まれていない布のことである。
【0007】
カードウェブは、ドライレイド不織布の一例である。梳いた場合、製造プロセスにより、繊維が実質的に梳く方向に配向され得る。ドライレイド不織布は、平行レイドウェブ、クロスレイドウェブ、またはランダムレイドウェブを備えることができる。通常、平行レイドウェブおよびクロスレイドウェブは、通常、梳いた2つ以上の重ねられたウェブ層を含み、一方、ランダムレイドウェブは、通常、エアレイドされ得る単一のウェブ層を含む。
【0008】
既知の技術によれば、いくつかの異なる方法を使用して、ウェブ内の繊維をともに結合することができ、これはウェブ圧密(web consolidation)とも呼ばれる。異なるタイプの結合方法は、例えばニードルパンチング、ステッチボンディング、ハイドロエンタングルメントなどの機械的結合として、例えば飽和ボンディング、スプレーボンディング、フォームボンディング、パウダーボンディング、プリントボンディングなどの化学的結合として、および例えばホットカレンダーでのポイントボンディングなどのサーマルボンディングとして分類することができる。複数の結合方法を使用して不織布を固めることができる。化学的結合では、結合剤または接着剤とも呼ばれるバインダーが繊維と組み合わされる。このタイプの不織布は、一般に化学的結合または接着剤結合不織布と呼ばれる。
【0009】
経口用パウチ無煙たばこ製品は、パウチ形成後に後保湿(post-moisturized)されても、パウチ形成後に後保湿されなくてもよい。後保湿されていない経口用パウチ無煙たばこ製品は、本明細書では非後保湿(non-post-moisturized)という。後保湿されたパウチ製品は、パウチ製品を缶に包装する前に、パウチ無煙たばこ製品に水を噴霧することによって製造することができる。湿式または半乾燥スナッフを備える最終的な経口パウチ無煙たばこ製品の水分含有量は、通常、パウチ製品の重量(すなわち、湿式スナッフおよびパウチ材料の総重量)に対して25から55%w/wの範囲内である。
【0010】
たばこ材料を全く含有しない経口用無煙非たばこ製品もある。代わりに、経口無煙非たばこ製品は、非たばこ植物材料および/または充填材料を備える。
【0011】
経口無煙非たばこ製品に少量のたばこを加えることで、経口無煙低たばこスナッフ製品が提供される。したがって、少量のたばこに加えて、経口無煙スナッフ製品は、本明細書に記載の非たばこ植物材料および/または本明細書に記載の充填材料を備える。
【0012】
ニコチンを含まない経口用湿式非たばこスナッフ製品の例およびその製造は、国際公開第2007/126361号および国際公開第2008/133563号で実現されている。このタイプの経口用非たばこスナッフ製品は、ルーズな形態、またはパウチを形成する唾液透過性の多孔性ラッパー材料に部分的に詰められて提供することができる。
【0013】
ニコチン含有経口無煙非たばこ製品、または当該製品中のたばこによって提供されるニコチンに加えてニコチンを含有する経口無煙低たばこスナッフ製品の場合、ニコチンは、合成ニコチンおよび/またはたばこ植物からのニコチン抽出物であり得る。さらに、ニコチンは、ニコチン塩基および/またはニコチン塩の形態で存在することができる。
【0014】
経口無煙非たばこ製品または経口無煙低たばこスナッフ製品は、乾燥、半乾燥または湿式のものであり得る。一般に、乾燥経口無煙非たばこ製品または乾燥経口無煙低たばこスナッフ製品は、水分含有量が10wt%未満であり、湿式経口無煙非たばこ製品または湿式経口無煙低たばこスナッフ製品は、水分含有量が40wt%超である。半乾燥経口無煙非たばこ製品または半乾燥経口無煙低たばこスナッフ製品は、水分含有量が10wt%から40wt%の間である。
【0015】
経口無煙非たばこ製品または経口無煙低たばこスナッフ製品は、製造中に経口無煙非たばこ製品コンポーネントまたは経口無煙スナッフ製品コンポーネントとフレーバーを混合することによって風味付けすることができる。
追加的または代替的には、フレーバーは、経口無煙非たばこ製品または経口無煙スナッフ製品が製造された後に経口無煙非たばこ製品または経口無煙スナッフ製品に添加することができる。
【0016】
パウチ無煙たばこ製品は、無煙たばこ組成物の一部を測定し、その一部を不織布管に挿入することによって製造することができる。
【0017】
米国特許第4703765号は、スナッフ部分が充填管を介して注入される管状パッケージング材料に、スナッフたばこなどの細かく分割されたたばこ製品を正確な量で包装するための装置を開示している。管の下流には、溶接手段が、パッケージング材料の横方向の密封のために位置づけられ、また、横方向シールの領域でパッケージング材料を切断して、それから個別のまたは個々の部分のパッケージを形成するための切断手段も位置づけられる。
【0018】
パウチ無煙たばこ製品は、代替的には、米国特許第6135120号に開示されている装置による、パウチパッカー機を使用して不織布ウェブ上に湿式スナッフの部分を置くことによって製造することができる。
【0019】
個々の部分は密封され、切り離され、それによって長方形の「枕形」(または他の所望の形態)のパウチ製品を形成する。一般に、各最終パウチ製品は、両端に平行な横方向シールと、横方向シールに直交する縦方向のシールと、を含む。シールは、消費者の体験を妨げずに、使用中にパウチ製品の完全性を維持するのに十分な強度でなければならない。
【0020】
経口パウチ無煙たばこ製品は、通常、上下の歯茎と唇との間のユーザーの口に快適かつ目立たないようにフィットするようにサイズ設定および構成されている。
【0021】
経口パウチスナッフ製品用パッケージング材料の場合、典型的には、ユーザーの頬腔に置かれたときの強度と快適さはトレードオフである。パッケージング材料は、パウチ製品の外側を形成するので、典型的には、歯と歯茎との間の頬腔と接触している。パッケージング材料の強度は、望ましくは、パッケージング材料自体の製造中、パウチ製品の製造中、および頬腔で使用されるパウチ製品のために、パッケージング材料を取り扱うのに十分に高くなければならない。そのため、パウチ製品のシールが十分に強いことが重要である。それでも、パッケージング材料は、望ましくは、経口パウチスナッフ製品がユーザーの頬腔に置かれたときに快適であるのに十分に柔軟でなければならない。一般的に使用されるパッケージング材料は、特にパウチ製品内にパッケージング材料によって封入された無煙たばこ組成物または非たばこ組成物に備えられる侵襲性のフレーバーに曝される場合、パウチ製品のシール強度が望ましくないという問題を抱えることが多い。
【0022】
さらに、経口パウチスナッフ製品は、口の中で柔らかく感じられることが望ましいことがある。さらに、パッケージング材料は、経口パウチスナッフ製品に一般的に使用されるパッケージング材料と比較して、口の中で滑りにくく感じられることが望ましいことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【文献】国際公開第2007/126361号
【文献】国際公開第2008/133563号
【文献】米国特許第4703765号明細書
【文献】米国特許第6135120号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明の目的は、従来技術に関連する問題の一部を解決するか、または少なくとも軽減することである。
【0025】
定義
「たばこ」とは、例えば葉、ステム、および茎などのニコチアナ属の任意の部材のあらゆる部分を意味する。たばこは、丸ごと使用され、細断され、脱穀され、切断され、粉砕され、硬化され、熟成され、発酵され、または例えば造粒またはカプセル化などの他の方法で処理されることができる。
【0026】
「たばこスナッフ組成物」という用語は、本明細書では、粉砕されたたばこ材料または切断されたたばこなどの細かく分割されたたばこ材料について使用される。たばこ材料に加えて、たばこスナッフ組成物は、水、塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムおよびそれらの任意の組み合わせ)、pH調整剤、香味剤、冷却剤、加熱剤、甘味剤、着色剤、保湿剤(例えば、プロピレングリコールまたはグリセロール)、抗酸化剤、防腐剤(例えば、ソルビン酸カリウム)、バインダー、崩壊助剤(disintegration aid)のうちの少なくとも1つをさらに備えることができる。一例では、無煙スナッフ組成物は、細かく分割されたたばこ材料、塩化ナトリウムなどの塩、およびpH調整剤を備えるか、または構成される。たばこスナッフ組成物は、乾燥していても湿っていてもよい。たばこスナッフ組成物は、歯と歯茎との間で使用されてもよい。
【0027】
「非たばこ組成物」は、たばこ材料を全く含有しない組成物であり、たばこスナッフ組成物と同様の方法または同一の方法で使用することができる。たばこの代わりに、非たばこ組成物は、非たばこ植物繊維および/または充填材料を含有することができる。微結晶性セルロース繊維などの加工繊維も使用することができる。充填材料は、粒子の形態で存在することができる。例えば、充填材料は、微結晶性セルロースの粒子などの粒子状充填材料であり得る。非たばこ組成物は、ニコチンを含有することができる。すなわち、非たばこ組成物は、ニコチン含有非たばこ組成物であり得る。代替的には、非たばこ組成物は、ニコチンを含有しないか、または実質的にニコチンを含有しないものであり得る。すなわち、非たばこ組成物は、ニコチンフリー非たばこ組成物であり得る。本明細書で使用される場合、「実質的にニコチンを含有しない」という表現は、組成物の総乾燥重量に対してニコチンが1重量パーセント以下の量であることを意図する。
【0028】
「経口」および「経口使用」は、すべての文脈において、頬側配置などの口腔内での使用の説明として本明細書で使用される。次に、製品は、製品全体が口腔内に含まれるように、歯茎と上唇または下唇との間などの口腔内に配置されることを意図している。製品は飲み込まれることを意図したものではない。
【0029】
本明細書で使用される場合、「パウチ製品」または「経口パウチ製品」は、口腔内の頬側配置などによる経口使用を意図した唾液透過性パウチ材料に詰められた無煙たばこ組成物または非たばこ組成物の一部をいう。経口パウチ製品は、代替的には、経口用部分充填(パウチ)製品ということもある。
【0030】
本明細書で使用される場合、「水分含有量」という用語は、言及される組成物または製品中の水および、例えばプロピレングリコールおよびエタノールなどの他のオーブン揮発性物質などの揮発性成分の総量をいう。本明細書では、水分含有量は、重量パーセント(wt%)、すなわち、言及される全組成物、調製物、または製品の重量に対する言及されるコンポーネントの重量パーセントとして与えられる。
【0031】
「フレーバー」または「香味剤」は、エッセンシャルオイル、単一フレーバー化合物、配合フレーバー、および抽出物を含むがこれらに限定されない、無煙たばこ製品の芳香および/または味に影響を与えるために使用される物質について本明細書で使用される。
【0032】
まとめ
少なくとも本開示の目的は、従来技術の不利な点のうちの少なくとも1つを解決または改善すること、または有用な代替手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0033】
上記の目的は、請求項1および/または請求項21の主題によって達成することができる。実施形態は、添付の従属請求項および説明に記載されている。
【0034】
本発明は、無煙たばこ組成物または非たばこ組成物を封入するための経口パウチスナッフ製品用パッケージング材料に関する。パッケージング材料は、カード繊維を備える唾液透過性不織布であり、そのカード繊維の0%~95%は第1のタイプであり、カード繊維の5%~100%は第2のタイプである。%数は21°Cおよび50%RHでの総繊維重量の%として決定される。第1のタイプの繊維はセルロース系ステープル繊維である。第2のタイプの繊維は、第1のコンポーネントおよび第2のコンポーネントを備える熱可塑性繊維であり、第2のコンポーネントは、第1のコンポーネントよりも低い溶融温度を有する。パッケージング材料は、第2のタイプの繊維の第2のコンポーネントの少なくとも部分的な溶融および/または軟化によって結合される。
【0035】
第2のタイプの繊維は、同一の繊維中に少なくとも2つのコンポーネントを備えるが、第2のタイプの繊維は、3つ以上の異なるコンポーネントを有することも可能であろう。さらに、第2のタイプの繊維のコンポーネントのうちの少なくとも1つは、異なるポリマーの混合物であり得る。第2のタイプの繊維は、バイコーポネント繊維、すなわち、上述の第1のコンポーネントおよび第2のコンポーネントで構成され得る。その場合、バイコーポネント繊維は、好ましくはシースコア繊維であるが、「サイド・バイ・サイド」または「海島の島状(islands-in-the-sea)」配置などの他の配置も可能であろう。
【0036】
本明細書でさらに説明するように、第2のタイプの繊維の第2のコンポーネントの少なくとも部分的な溶融および/または軟化を得るために、パッケージング材料の製造中にエアスルーボンディングが利用され得る。
【0037】
第2のタイプの繊維の少なくとも部分的に溶融および/または軟化された第2のコンポーネントは、パッケージング材料の繊維をともに結合して、凝集性ウェブを形成する。パッケージング材料の結合されたウェブでは、繊維は依然としてその形状および構造を維持する。したがって、パッケージング材料にフィルムは形成されず、これは、第2のタイプの繊維が多かれ少なかれ完全に溶融した場合に予想される結果であった。所望の溶融の程度は、溶融の程度とともに増加する引張強度と、頬腔内の経口パウチスナッフ製品の外観および機能との間のバランスであり、過度に溶融したパッケージング材料は、例えばフィルムの密度が高すぎる、および/または唾液透過性が十分でないなどの理由で、経口パウチスナッフ製品に対してあまりうまく機能しないことがある。
【0038】
第2のコンポーネントの少なくとも部分的な溶融および/または軟化を伴う第2のタイプの繊維を利用することにより、経口パウチスナッフ製品に一般的に使用されるパッケージング材料のように、パッケージング材料に追加のバインダーを有する必要がない。本発明によるパッケージング材料は、従来技術で一般的であるように、水流交絡または点結合によって結合されていない。いかなる理論にも拘束されないが、本発明によるパッケージング材料が引っ張り力を受けると、繊維は、少なくとも部分的な溶融または軟化のために互いに引っ掛かり、それによって少なくとも部分的に互いに固くなり、その結果、力が1つの繊維から隣接する繊維または交差する繊維に伝達され得ると考えられる。したがって、パッケージング材料は、追加のバインダーなしで十分に強い。
【0039】
第1のタイプの繊維は、パッケージング材料自体の製造中および/または経口パウチスナッフ製品の製造中にパッケージング材料が取り扱いやすく、しかも経口パウチスナッフ製品がユーザーの頬腔に置かれるとき快適であるように、パッケージング材料に所望の機械的特性を与えるように選択することができ、その後パッケージング材料は製品の外側を形成する。したがって、第1のタイプの繊維は、柔らかく、比較的非弾性であり、および/または吸湿性であるように選択することができる。比較的非弾性であることにより、パッケージング材料自体の製造中および/または経口パウチスナッフ製品の製造中にパッケージング材料は取り扱いやすくなり、柔らかさおよび吸湿性は使用者の頬腔に快適さをもたらす。さらに、第1のタイプの繊維は、親水性であるように選択することができ、これは、経口パウチスナッフ製品に使用される場合に有利である。
【0040】
第2のタイプの繊維は、第2のタイプの繊維が少なくとも表面で溶融および/または軟化することができるように、第2のコンポーネントを有するように選択することができる。第2のタイプの繊維は、事前に選択可能なレベルの強度、事前に選択可能な線密度、および/または例えば三葉などの事前に選択可能な形状を有するように選択することができる。さらに、第2のタイプの繊維は、オプションとして圧着することができる。したがって、第2のタイプの繊維は、パッケージング材料に所望のレベルの引張強度および/またはシール強度を与えるように選択することができる。特に、第2のタイプの繊維は、湿潤状態においても高いシール強度を得ることが可能である。
【0041】
本明細書に記載のパッキング材料を利用することにより、材料およびシールの両方に対して適切な強度を有し、しかも経口パウチスナッフ製品がユーザーの頬腔に置かれたときに快適であるのに十分な柔軟性を有する経口パウチスナッフ製品を製造することが可能である。
【0042】
本明細書に記載のパッケージング材料を備える経口パウチスナッフ製品は、従来技術のパッケージング材料を備える経口パウチスナッフ製品と比較して、口の中でより柔らかく感じられ得る。いかなる理論にも拘束されないが、これは、経口パウチスナッフ製品用の従来技術のパッケージング材料で一般的に使用されるバインダーがない結果であると考えられる。
【0043】
一般的に使用されるパッケージング材料は、パウチ製品のシール強度が望ましくないという問題を抱えることが多い。パウチ製品内にパッケージング材料によって封入された無煙たばこ組成物または非たばこ組成物材料に備えられたいくつかのフレーバーは、従来のパウチスナッフ製品の場合、特に時間の経過とともに、シール強度に潜在的に悪影響を与える可能性があることが知られており、これは製品の保管時にシールの破裂につながることがある。特に、シール強度の低下は、湿式経口パウチ製品にとって問題である。本明細書に記載のパッケージング材料の強度およびシールの強度は、経口パウチスナッフ製品に一般的に使用されるパッケージング材料よりも良好にこのようなフレーバーに抵抗するように適合させることができる。
【0044】
さらに、本発明によるパッケージング材料は、経口パウチスナッフ製品に一般的に使用されるパッケージング材料と比較して、口の中で滑りにくく感じられ得る。いかなる理論にも拘束されないが、これも、経口パウチスナッフ製品用の従来技術のパッケージング材料で一般的に使用されるバインダーがない結果であると考えられる。
【0045】
経口パウチスナッフ製品が後保湿される場合、本明細書に記載のパッケージング材料を備える経口パウチスナッフ製品は、経口パウチスナッフ製品に一般的に使用されるパッケージング材料と比較して、より均一な色を有することができる。これも、疎水性であるバインダーがない結果であると考えられる。特に、この効果は、第2のタイプの繊維が、例えば、本明細書の他の場所でさらに詳細に開示されるように、コアにPLAを、シースにcoPLAを備えるPLA/coPLA繊維である場合に達成され得る。
【0046】
上述のように、パッケージング材料の繊維は梳かれている。カーディングユニットは、パッケージング材料の異方性を少なくするために利用される1つまたは複数のスクランブラーローラーを備えることができる。
【0047】
パッケージング材料のすべての繊維のうち、第1のタイプの繊維は、典型的には、総重量の5%~50%、好ましくは総重量の10%~40%、または総重量の15%~30%を占めることができる。重量は21°Cおよび50%RHで定義される。第1のタイプの繊維の0%を使用すること、すなわち第1のタイプの繊維を完全に省くことも可能である。
【0048】
パッケージング材料のすべての繊維のうち、第2のタイプの繊維は、典型的には、総重量の50%~95%、好ましくは総重量の60%~90%、または総重量の70%~85%を占めることができる。重量は21°Cおよび50%RHで定義される。第2のタイプの繊維の最大100%を使用すること、例えば第2のタイプの繊維のみを使用し、第1のタイプを使用しないことも可能である。
【0049】
上述のように、本発明によるパッケージング材料は、いかなるバインダーまたは他の種類の接着剤も備えないことが好ましい。パッケージング材料は、0%~95%の第1のタイプの繊維、5%~100%の第2のタイプの繊維、および任意選択的に、例えば熱可塑性バイコンポーネント繊維などの1つまたは複数のさらなる熱可塑性繊維で構成することができる。したがって、一実施形態では、パッケージング材料は、第1のタイプの繊維および第2のタイプの繊維で構成することができ、すなわち、パッケージング材料の製造中に添加される他の成分はない。第1のタイプの繊維を省く場合、本発明によるパッケージング材料は、第2のタイプの繊維、および任意選択的に、例えば熱可塑性バイコンポーネント繊維などの1つまたは複数のさらなる熱可塑性繊維で構成することができる。
【0050】
パッケージング材料は、滑らかなカレンダー加工された表面を有する。これを達成するための適切な方法は、例えば、パッケージング材料を一緒にプレスすることによる、表面処理に利用される滑らかなカレンダリングであり、すなわち、カレンダリングは結合に利用されない。したがって、カレンダーロールはパターン化されない。すなわち、カレンダリングによるパターン化効果は適用されない。特に、パッケージング材料は、経口パウチスナッフ製品に一般的に使用されるパッケージング材料から知られているように、点結合されていない。カレンダリングなしで、本発明によるパッケージング材料は非常に風通しが良く、ふわふわである。カレンダリングすると、カレンダリング前のパッケージング材料と比較して、パッケージング材料が薄く平らになる。
【0051】
省いてもよい第1のタイプの繊維は、天然セルロース繊維、または例えば、レーヨン、リヨセル、またはビスコースなどの再生セルロース繊維などの人工セルロース系繊維であリ得る。Tencelはリヨセルのブランド名である。
【0052】
これらの繊維は、柔らかく、比較的非弾性であり、および/または吸湿性であることが知られている。それによって、パッケージング材料自体の製造中および/または経口パウチスナッフ製品の製造中にパッケージング材料が取り扱いやすく、しかも経口パウチスナッフ製品がユーザーの頬腔に置かれるとき快適であるように、パッケージング材料は所望の機械的特性を与えられ得る。さらに、これらの繊維は親水性であり、これは、経口パウチスナッフ製品に使用される場合に有利である。
【0053】
人工繊維は、化学組成、構造、および特性が製造プロセス中に大幅に変更される繊維である。人工繊維は、ポリマーで作成される。人工繊維は天然繊維とは区別されるべきである。天然繊維もポリマーで構成されるが、製造プロセスから比較的変化のない状態で出てくる。
【0054】
いくつかの人工繊維は、例えばセルロース繊維に由来するレーヨン、リヨセル、またはビスコースなどの天然に存在するポリマーに由来する。しかしながら、セルロースは、例えば、木材などの原材料源と比較して根本的に変化した状態で取得され、人工セルロース系繊維に再生するためにさらに変更される。例えばレーヨン、リヨセル、またはビスコースなどのこのような繊維は、再生セルロース繊維として知られている。
【0055】
人工繊維のはるかに大きい別のグループは、合成繊維である。合成繊維は、自然には存在しないポリマーで作成されるが、その代わりに、もっぱら例えば化学プラントまたは実験室で製造される。
【0056】
第1のタイプの繊維は、長さが30mm~80mmの範囲内、好ましくは、38mm~60mmの範囲内であり得る。第1のタイプの繊維は、標準化された長さを有するステープル繊維として製造することができる。一般的に使用される長さは、38、40、60、80mmである。
【0057】
第1のタイプの繊維は、線密度が≦3.3dtex、好ましくは≦1.7dtex、より好ましくは≦1.3dtex、最も好ましくは≦0.9dtexであり得る。
【0058】
第2のタイプの繊維は、長さが30mm~80mmの範囲内、好ましくは、38mm~60mmの範囲内であり得る。第2のタイプの繊維は、標準化された長さを有するステープル繊維として製造することができる。一般的に使用される長さは、38、40、60、80mmである。第2のタイプの繊維は、第1のタイプと比較して同一または異なる長さを有することができる。第2のタイプの2つ以上の繊維が使用される場合、それらは同一または異なる長さを有することができる。
【0059】
第2のタイプの繊維は、線密度が≦4.4dtex、好ましくは≦2.2dtex、より好ましくは≦1.7dtex、最も好ましくは≦1.3dtexであり得る。
【0060】
第2のタイプの繊維の第1のコンポーネントの融点は、140~180℃の範囲内、好ましくは150~170℃の範囲内、より好ましくは155~165℃の範囲内であり得る。パッケージング材料の製造にエアスルーボンディングを使用する場合、第1のコンポーネントがエアスルーボンディングの溶融および/または軟化の影響を受けないように融点を選択することができる。
【0061】
第2のタイプの繊維の第2のコンポーネントの融点は、110~150℃の範囲内、好ましくは120~140℃の範囲内、より好ましくは125~135℃の範囲内であり得る。したがって、第2のタイプの繊維が、例えば、エアスルーボンディング中などのパッケージング材料の製造中に少なくとも部分的に溶融および/または軟化するように、融点をエアスルーボンディング中に一般的に使用される温度よりも低くなるように選択することができる。
【0062】
さらに、第2のタイプの繊維の第1のコンポーネントおよび第2のコンポーネントの両方の融点は、少なくとも第2のコンポーネント、好ましくは両方のコンポーネントが、経口パウチスナッフ製品の密封中の溶融によって影響を受けるように選択することができる。これは、高い、または少なくとも十分なシール強度を提供するのに役立つようになる。
【0063】
第2のタイプの繊維は、PLA/coPLA繊維であり得、coPLAは、第2のタイプの繊維の重量パーセントで10%~90%の範囲内、好ましくは30%~70%の範囲内、より好ましくは40%~60%の範囲内、最も好ましくは45%~55%の範囲内を占める。PLAはポリ乳酸の略である。coPLAは低融点PLAである。PLA/coPLA繊維を利用することにより、パッケージング材料は堆肥化可能になる。構成可能性は、生分解性(ISO 14855を参照)および定量的崩壊(ISO 16929を参照)に関するセクションで構成される標準EN 13432に記載されている。例えば、第2のタイプの繊維は、コアにPLAを、シースにcoPLAを有するシース/コアバイコーポネント繊維であり得る。重量は21°Cおよび50%RHで定義される。
【0064】
代替または補足として、第2のタイプの繊維は、PP/PE繊維であり得、PEは、第2のタイプの繊維の総重量の重量パーセントで10%~90%の範囲内、好ましくは30%~70%の範囲内、より好ましくは40%~60%の範囲内、最も好ましくは45%~55%の範囲内を占める。PEはポリエチレンの略であり、PPはポリプロピレンの略である。PP/PEを使用すると、柔らかいパッケージング材料が与えられる。例えば、第2のタイプの繊維は、コアにPPを、シースにPEを有するシース/コアバイコーポネント繊維であり得る。重量は21°Cおよび50%RHで定義される。
【0065】
上述のように、パウチ製品内にパッケージング材料によって封入された無煙たばこ組成物または非たばこ組成物材料に備えられたいくつかのフレーバーは、従来のパウチスナッフ製品の場合、特に時間の経過とともに、シール強度に潜在的に悪影響を与える可能性があることが知られており、これは製品の保管時にシールの破裂につながることがある。特に、シール強度の低下は、湿式経口パウチ製品にとって問題である。第2のタイプの繊維としてPP/PEバイコーポネント繊維を使用する場合、パッケージング材料の強度およびシールの強度は、このようなフレーバーによく抵抗する、すなわち、経口パウチスナッフ製品に一般的に使用されるパッケージング材料よりも良好であることが見出された。
【0066】
パッケージング材料は、機械方向の曲げ剛性が0.5~1.7mNcmの範囲内、好ましくは0.6~1.4mNcmの範囲内、より好ましくは0.7~1.1mNcmの範囲内であり得る。曲げ剛性は、EDANA標準メソッドWSP 090.5R4(12)Aで測定される。単位mNcmは、ミリニュートンセンチメートルの略である。サンプルを21°C、相対湿度50%RHで少なくとも4時間調整した。
【0067】
パッケージング材料の通気性は、EDANA、すなわち欧州使い捨て不織布協会によって指定された試験方法WSP 070.1.R3(12)、に従って測定された場合、≦7500l/m/s、好ましくは≦4300l/m/s、より好ましくは≦2900l/m/s、最も好ましくは≦2000l/m/sであり得る。
【0068】
パッケージング材料は、パッケージング材料の機械方向における湿潤引張強度とパッケージング材料の機械方向における乾燥引張強度との比が、0.7超、好ましくは0.8超、より好ましくは0.9超、最も好ましくは1.0超であり得る。
【0069】
パッケージング材料の乾燥シール強度は、シールが超音波溶接によって作成されたと仮定すると、少なくとも0.2N/mm、好ましくは少なくとも0.25N/mm、より好ましくは少なくとも0.3N/mm、最も好ましくは少なくとも0.4N/mmであり得る。乾燥シール強度の値は、本明細書の他の場所でさらに詳細に開示されているように、シール強度についてCORESTA法を使用して決定することができる。さらに、乾燥シール強度は長期間維持される。
【0070】
パッケージング材料の湿潤シール強度は、シールが超音波溶接によって作成されたと仮定すると、少なくとも0.2N/mm、好ましくは少なくとも0.25N/mm、より好ましくは少なくとも0.3N/mm、最も好ましくは少なくとも0.4N/mmであり得る。湿潤シール強度の値は、本明細書の他の場所でさらに詳細に開示されているように、シール強度についてCORESTA法を使用して決定することができる。さらに、湿潤シール強度は長期間維持される。
【0071】
パッケージング材料は、湿潤シール強度と乾燥シール強度との比が、0.7超、好ましくは0.8超、より好ましくは0.9超、最も好ましくは1.0超であり得る。湿潤シール強度および乾燥シール強度の値は、本明細書の他の場所でさらに詳細に開示されているように、シール強度についてCORESTA法を使用して決定することができる。これは、超音波溶接で作成されたシールおよびヒートシールで作成されたシールの両方に適用可能である。
【0072】
パッケージング材料は、サリチル酸メチルに曝された場合の乾燥シール強度が、4℃で1週間+室温で3週間後で少なくとも0.05N/mm、好ましくは少なくとも0.1N/mmであり得る。シール強度は、欧州特許出願公開第3192380号の段落[0137]に記載されている設定で試験することができる。
【0073】
本発明はまた、無煙たばこ組成物または非たばこ組成物材料の一部と唾液透過性パウチとを備える経口パウチスナッフ製品に関する。パウチは、無煙たばこ組成物または非たばこ組成物材料の一部を封入し、パウチは、本明細書に記載のパッケージング材料を備えるか、または構成される。パッケージング材料は、無煙たばこ組成物または非たばこ組成物を封入するために、少なくとも1つのシールで密封される。シールは、シール内で少なくとも部分的に溶融および/または軟化される第2のタイプの繊維の少なくとも第2のコンポーネントによって形成され、好ましくは、シール内で少なくとも部分的に溶融および/または軟化される第2のタイプの繊維の第1のコンポーネントおよび第2のコンポーネントの両方によって形成される。
【0074】
それによって、シールは、頬腔内で使用される製品に対して適切なシール強度を有することが確認されている。パッケージング材料に関する上記の利点は、経口パウチスナッフ製品にも適用可能である。
【0075】
パッケージング材料を密封する主な方法は2つあり、ヒートシールおよび超音波溶接であるが、本明細書に記載のパッケージング材料は両方にとって有利である。超音波溶接のための適切な方法および装置は、無煙たばこ組成物または非たばこ組成物の一部を封入して部分充填経口パウチスナッフ製品を提供するためのパッケージング材料を密封するための密封装置に関する国際公開第2017/093486号に開示されている。この文献はさらに、部分充填経口パウチスナッフ製品を製造するための配置に関するものであり、その配置は、このような密封装置を備える。この文献はまた、経口パウチスナッフ製品の部分充填の方法に関する。
【0076】
本発明による経口パウチスナッフ製品は、長さ28mm、幅14mm、および重量0.40グラムを有する製品について、光学的に測定した場合、高さが少なくとも5.5mm、好ましくは少なくとも6mmであり得る。
【0077】
方法
[曲げ剛性]
曲げ剛性は、EDANA標準メソッドWSP 090.5R4(12)Aで測定される。単位mNcmは、ミリニュートンセンチメートルの略である。サンプルを21°C、相対湿度50%RHで少なくとも4時間調整した。
【0078】
[引張強度]
引張強度は、EDANA標準メソッドWSP 110.4(05)で測定される。
【0079】
[シール強度-一般]
シール強度は、サンプルの乾燥状態または湿潤状態のいずれかで試験することができる。サンプルは、経口パウチスナッフ製品を作成する製造機から採取することができる。このような製品は通常、管状構造を形成する1つの縦方向シールと、製品の両端に横方向シールとを有する。代替的には、シールは実験室規模で調製することができる。その場合、材料のストリップは、欧州特許出願公開第3192380号の段落[0136]に記載されている方法で、折りたたまれ、それ自体に溶接される。
【0080】
次に、シール強度を欧州特許出願公開第3192380号の段落[0137]に記載されている方法、または本明細書に記載されているシール強度についてのCORESTA法を使用して測定した。両方の方法について、パウチ製品用に作成された第1の横方向シール、すなわち、最初に無煙たばこ組成物または非たばこ組成物を受けたシールを測定した。
【0081】
[シール強度-CORESTA法]
CORESTAは、たばこに関する科学研究協力センターの略語である。シール強度のCORESTA法は以下を備える。
1.パウチからすべての材料を取り除き、縦方向シールサンプルの場合は10mm±1mmに、横方向シールサンプルの場合はできるだけ端に近づけてサンプルをカットする。パウチフォーマットとして調製された各横方向シールサンプルについてフォームに幅を記録することは異なってもよい。調製されたサンプル幅は一貫していなければならない。パウチ用に作成された第1の横方向シール、すなわち、最初に無煙たばこ組成物または非たばこ組成物の対象となるシールが測定されるべきものである。
2.試験よりも前に、22°C±1°Cおよび60%±3%RHで24時間サンプルを調整する(湿式測定には必要ない)。
3.ジョー間隔(Jaw separation)は15mm±0.1mmに設定される。フォームに間隔を記録する。
4.引張速度は20mm/minに設定され、フォームに速度を記録する。
5.可能な限り、0.1Nの推奨プリロードを使用する。
6.可能であれば、横方向シール値(最大荷重を記録しない場合)の平均荷重と縦方向シールの最大荷重を測定する。フォームに値を記録する。
7.湿式測定の場合:横方向または縦方向シールを試験するよりも前に、サンプルを脱塩水に60分間浸す。フォームに値を記録する。
【0082】
[シール強度-フレーバー付き]
試験されたフレーバーはサリチル酸メチルであった。従来のヒートシールを備えたメルツ技術を使用して、従来のパウチ製品と対応する方法でサンプルを作成した。一般に、無煙たばこ組成物または非たばこ組成物は、水分含有量が28~30%であり、その後、パウチは、48~51%の最終濃度まで細い水ビームを使用して後保湿される。縦方向シールおよび横方向シールを作成するときに使用される温度は、各タイプのパッケージング材料を参照して、例えば、その融解温度を考慮して設定される。可能な限り最高のシール強度を与えるために機械の速度も調整される。
【0083】
以下に言及される試験では、縦方向シールおよび横方向シールを作成するときに使用される温度を、リファレンス材料のリファレンス1の場合は260/280°C、PLA/coPLA材料の場合は130/120°C、PP/PE材料の場合は160/160°Cに設定した。使用された速度は毎分200ポーチ(pouches)であった。低温殺菌されたスヌースにサリチル酸メチルフレーバーを添加し、Varimixer(Bear RN20)を使用して98rpmで5分間ブレンドすることによりサンプル組成物を調製した。サリチル酸メチルを濃度5%、水分含有量30%に設定した。パウチ製品の乾燥重量は0.7gであり、保湿後の最終重量は1gであった。最終水分含有量を51%に調整して、最終サリチル酸メチル濃度はパウチの3%であった。シール強度を、欧州特許出願公開第3192380号の段落[0137]に記載されている設定で試験した。
【0084】
[パウチ製品の寸法]
パウチ製品のパウチ長さ、幅、高さの測定には、2つのLEDバックライトおよびダブルアレイバーライトでサポートされたCognexIn-Sightシステムが使用される。高さについては、3つの均等に分散されたポイントが平均高さをもたらす。したがって、寸法は外部荷重を加えることなく光学的に決定される。
【0085】
以下、本発明は、添付の図面を参照して、非限定的な例によってさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0086】
図1】本発明によるパッケージング材料を示す。
図2】横方向シールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0087】
以下において、本発明は、実施形態によって例示される。しかしながら、実施形態は、本発明の原理を説明するために含まれ、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するために含まれるものではないことを理解されたい。2つ以上の実施形態からの詳細は、互いに組み合わせることができる。
【0088】
図1は、本発明によるパッケージング材料の写真である。パッケージング材料は、20%の繊維が第1のタイプで構成され、このサンプルでは、第1のタイプの繊維は、再生セルロース繊維、つまりリヨセルである。以下の表では、リヨセル繊維はブランド名Tencelで示されている。この%数、およびここに示されている他の%数は、重量パーセントとして示されている。残りの80%の繊維は第2のタイプであり、このサンプルでは、第2のタイプの繊維は、PLA/coPLA繊維であり、PLAの溶融温度は164°Cであり、coPLAの溶融温度は130°Cである。写真に見られるように、繊維はまだその形状と構造を維持している。フィルムは形成されていない。個々の繊維は容易に見られる。
【0089】
図2は、本発明によるパッケージング材料を備える経口パウチ製品の横方向シールの写真である。超音波溶接でシールを作成した。シールでは、供給されたエネルギーは、シースのcoPLAおよびコアのPLAの両方を溶融するのに十分な大きさであった。したがって、第2のタイプの繊維は、シール内で非常に溶融し、一種のフィルムを形成する。
【0090】
本発明によるパッケージング材料を特徴づけるために、本発明によるパッケージング材料を、以下のリファレンス1、リファレンス2およびリファレンス3に示される、経口パウチスナッフ製品に一般的に使用されるパッケージング材料と比較して多くの測定を行った。さらに、本発明による経口パウチスナッフ製品を市販の経口パウチスナッフ製品と比較して測定を行った。パウチ製品は、無煙たばこ組成物または非たばこ組成物の一部と、その一部を封入し、本明細書に記載のパッケージング材料を備えるか、または構成される唾液透過性パウチとを備える。
【0091】
リファレンス材料は、それらがリファレンス材料の繊維をともに結合するための化学バインダーを備えるという共通点を有する。本発明によるパッケージング材料では、このような化学バインダーはない。
【0092】
[曲げ剛性]
本発明による異なるパッケージング材料について曲げ剛性を測定し、経口パウチスナッフ製品に一般的に使用される3つのパッケージング材料(以下の表1の下3行を参照)と比較した。方法の説明については、上記を参照されたい。
【0093】
【表1】
【0094】
表1に見られるように、本発明によるパッケージング材料は、機械方向の曲げ剛性が0.5~1.7mNcmの範囲内であり、また0.6~1.4mNcmの範囲内でもある。この値は、経口パウチスナッフ製品に一般的に使用されるパッケージング材料の機械方向の曲げ剛性よりも明らかに低い。これは、パウチ製品がユーザーの頬腔に置かれたときにパウチ製品を快適にするのに役立つ。
【0095】
表2は、一般的な寸法に再計算された表1の値を示す。この場合、29g/mは、リファレンス1の坪量であり、これにより一般的な寸法で曲げ剛性の値を相互に比較することができる。表1の値間の線形近似によって再計算を行った。本発明によるパッケージング材料は、29g/mに再計算された場合、上述の範囲内で機械方向の曲げ剛性を有する。
【0096】
【表2】
【0097】
[引張強度]
本発明による4つの様々なパッケージング材料の機械方向MDの湿潤およ乾燥サンプルについて引張強度を測定し(以下の表3を参照)、表1と同一の3つのリファレンスと比較した。方法の説明については、上記を参照されたい。
【0098】
【表3】
【0099】
本発明によるパッケージング材料の湿潤引張強度と乾燥引張強度との比(右端の列を参照)は、0.7超、好ましくは0.8超、より好ましくは0.9超、最も好ましくは1.0超である。パッケージング材料が湿っている場合、Tencel繊維が水を吸収することがあり、その結果、比が1を超えることがある。これらの比の値は、0.3から0.6の範囲の比を有するリファレンスとはかなり異なる。すなわち、リファレンスの場合、湿潤引張強度は乾燥引張強度よりもかなり低い。
【0100】
[シール強度-ラボシール]
本発明による3つの異なるパッケージング材料についてシール強度を測定し(以下の表4の上3行を参照)、経口パウチスナッフ製品に一般的に使用されるパッケージング材料(下1行を参照)と比較した。サンプルを、欧州特許出願公開第3192380号の段落[0136]に記載されている方法で調製した。シール強度を、上述のCORESTA法に従って測定した。超音波溶接で作成されたシールおよびヒートシールで作成されたシールの両方について測定を行った。さらに、乾燥状態および湿潤状態の両方で測定を行った。
【0101】
【表4】
【0102】
本発明によるパッケージング材料の乾燥シール強度は、シールが超音波溶接で作成されたと仮定すると、少なくとも0.2N/mm、好ましくは少なくとも0.25N/mm、より好ましくは少なくとも0.3N/mm、最も好ましくは少なくとも0.4N/mmであり、これはリファレンスサンプルよりもはるかに高い。
【0103】
さらには、湿潤サンプルのシール強度は、リファレンスサンプルの場合よりも本発明によるパッケージング材料の場合の方がはるかに高い。乾燥シール強度と同様に、本発明によるパッケージング材料の湿潤シール強度は、シールが超音波溶接で作成されたと仮定すると、少なくとも0.2N/mm、好ましくは少なくとも0.25N/mm、より好ましくは少なくとも0.3N/mm、最も好ましくは少なくとも0.4N/mmである。
【0104】
さらに、湿潤シール強度は、本発明によるパッケージング材料の乾燥シール強度と同様のレベルであり、これは、超音波溶接で作成されたシールおよびヒートシールで作成されたシールの両方に有効であると結論付けることができる。したがって、乾燥シール強度に対する湿潤シール強度の比は、0.7超、好ましくは0.8超、より好ましくは0.9超、最も好ましくは1.0超である。リファレンスサンプルの場合、湿潤シール強度は乾燥シール強度よりも大幅に低い。
【0105】
[時間の経過に伴うシール強度]
本発明による3つの異なるパッケージング材料で作成された経口パウチスナッフ製品の横方向シールについて時間の経過に伴うシール強度を測定し(以下の表5の上3行を参照)、一般的に使用されるパッケージング材料で作成された経口パウチスナッフ製品(以下の下1行を参照)と比較した。シール強度を、欧州特許出願公開第3192380号の段落[0137]に記載されている設定で試験した。超音波溶接でシールを作成した。超音波溶接を、国際公開第2017/093486号に開示されている方法で行った。サンプルは乾燥していた。「冷蔵庫(refridge)」という用語は、4°Cの温度を表す。RTは室温、すなわち21°Cをいう。以下の表の略語wは、週を意味する。
【0106】
【表5】
【0107】
本発明によるパッケージング材料のシール強度は、すべてリファレンスよりも高い。これは、冷蔵庫で1週間、さらに室温でもう3週間経った後も当てはまる。すなわち、より高いシール強度が長期間維持される。
【0108】
[シール強度-サリチル酸メチル]
本発明による3つの異なるパッケージング材料で作成された経口パウチスナッフ製品の横方向シールについてサリチル酸メチルに曝された場合のシール強度を測定し(以下の表6の上3行を参照)、一般的に使用されるパッケージング材料で作成された経口パウチスナッフ製品(以下の下1行を参照)と比較した。Merz装置でサンプルを作成した。ヒートシールでシールを作成した。シール強度を、欧州特許出願公開第3192380号の段落[0137]に記載されている設定で試験した。サンプルは乾燥していた。
【0109】
【表6】
【0110】
サリチル酸メチルに曝された場合のシール強度は、サリチル酸メチルに曝されていないシールと比較して、すべてのサンプルで低い(上記の表5を参照)。本発明によるパッケージング材料のサリチル酸メチルに曝された場合のシール強度は、すべてリファレンスよりも高い。特にPP/PEを使用したサンプルは、リファレンスよりもはるかに優れたシール強度を有する。この違いは長期間維持される。
【0111】
[ポーチの寸法]
無煙非たばこ組成物は、国際公開第2012/134380号に記載されている通りであり、すなわち、遊離ニコチン塩、pH調整剤、および微結晶性セルロースである充填剤を備える。パウチ製品の重量、すなわち、パッケージング材料およびその中に封入された無煙非たばこ組成物を含む重量を、試験された製品の場合0.40グラムであるように選択した。パウチ製品の長さを28mmに選択した。パウチ製品の幅を14mmに選択した。
【0112】
リファレンスサンプルは、本発明によるパウチよりも長く、幅が狭い。これを考慮すると、本発明によるパウチは、さらに相対的に高い高さである。本発明によるパウチの幅および長さのパラメータは、リファレンス製品に使用される製品仕様の範囲内である。
【0113】
【表7】
図1
図2