(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】ターポリン上部構造
(51)【国際特許分類】
B60J 7/12 20060101AFI20240827BHJP
B62D 35/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B60J7/12 K
B62D35/00 Z
(21)【出願番号】P 2021556760
(86)(22)【出願日】2020-03-17
(86)【国際出願番号】 DE2020100211
(87)【国際公開番号】W WO2020192839
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-01-17
(31)【優先権主張番号】202019101781.3
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】202019101728.7
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521070854
【氏名又は名称】ユーロピーアン トレーラー システムズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リューカース、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ルートヴィッヒ、マシアス
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-062931(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02529966(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第103863420(CN,A)
【文献】仏国特許出願公開第03016330(FR,A1)
【文献】欧州特許第02595861(EP,B1)
【文献】独国特許出願公開第102010027716(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102016011026(DE,A1)
【文献】特開平07-108876(JP,A)
【文献】特開2008-168843(JP,A)
【文献】国際公開第2018/177841(WO,A1)
【文献】特開2002-046474(JP,A)
【文献】特公昭49-004065(JP,B1)
【文献】特開平11-300335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/00 - 9/04
B60J 11/00 - 11/10
B60P 3/00 - 9/00
B62D 31/00 - 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラック、トレーラ、セミトレーラ、鉄道車両、ダンプ・トラック又はコンテナなどの移動可能な下部構造(20)のためのターポリン上部構造であって、
耐候性材料で作られたターポリン(50)が取り付けられ得る幌枠(30)を備え、
前記幌枠(30)は、少なくとも1つのガイド(22)に沿って移動可能な複数のストラット(32)を備え、
前記幌枠(30)の端部は、上部構造を開くために上昇させることができ、上部構造を閉じるために下降させることができる端部ランナ(40)を備え
るターポリン上部構造
であって、
空気偏向部(60)が前記端部ランナ(40)の端部(46)に配置され、この空気偏向部によって、空気流が前記端部ランナ(40)の閉鎖方向の力に変換されることを特徴とす
るターポリン上部構造。
【請求項2】
前記空気偏向部(60)が、前記ターポリン(50)の外側に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のターポリン上部構造。
【請求項3】
前記空気偏向部(60)が前記端部ランナ(40)に連結され、連結手段(66)が前記ターポリン(50)を貫通することを特徴とする、請求項1又は2に記載のターポリン上部構造。
【請求項4】
前記空気偏向部(60)が、連結部(62)と空気誘導部(64)とを備え、前記空気誘導部(64)は、前記ターポリン(50)よりも上方に突出していることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載のターポリン上部構造。
【請求項5】
前記空気誘導部(64)が、前記連結部(62)に対して折り畳み式になっていることを特徴とする、請求項4に記載のターポリン上部構造。
【請求項6】
前記空気誘導部(64)が、少なくとも1つの開口部(64a)及
び少なくとも1つの凹部
のうちの少なくとも一方を備えることを特徴とする、請求項4又は5に記載のターポリン上部構造。
【請求項7】
前記少なくとも1つの開口部(64a)がロゴ
として構成されていることを特徴とする、請求項6に記載のターポリン上部構造。
【請求項8】
前記空気誘導部(64)が、前記端部ランナ(40)の幅の一部のみを構成していることを特徴とする、請求項4から7までのいずれか一項に記載のターポリン上部構造。
【請求項9】
前記空気偏向部(60)が、前記端部ランナ(40)の幅の一部のみを構成していることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載のターポリン上部構造。
【請求項10】
前記空気偏向部(60)が
、前記上部構造上
に50mm以下だけ垂直方向に突出していることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一項に記載のターポリン上部構造。
【請求項11】
前記空気偏向部(60)が、時速50kmの走行速度において、閉鎖方向の端部ランナ(40)上で、30Nから300Nの間
の接触力を発生させることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一項に記載のターポリン上部構造。
【請求項12】
前記端部ランナ(40)が前記幌枠(30)上に関節接合(42)されていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一項に記載のターポリン上部構造。
【請求項13】
前記空気偏向部(60)が、関節接合部(42)から離れる方に面する、前記端部ランナ(40)の遠位端に配置されていることを特徴とする、請求項12に記載のターポリン上部構造。
【請求項14】
前記端部ランナ(40)がロック無しで設計されていることを特徴とする、請求項1から
13までのいずれか一項に記載のターポリン上部構造。
【請求項15】
前記幌枠(30)がモータ駆動であることを特徴とする、請求項1から
14までのいずれか一項に記載のターポリン上部構造。
【請求項16】
複数の空気偏向部(60)が、前記端部ランナ(40)上に設けられていることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか一項に記載のターポリン上部構造。
【請求項17】
前記空気偏向部(60)の垂直構成要素が空気流を妨害することで、前記端部ランナ(40)上の下向きの接触圧又は接触力を実現することを特徴とする、請求項1から16までのいずれか一項に記載のターポリン上部構造。
【請求項18】
前記空気偏向部(60)が、鋼鉄部品又はプラスチック部品として設計されることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか一項に記載のターポリン上部構造。
【請求項19】
前記ストラット(32)がU字型であることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか一項に記載のターポリン上部構造。
【請求項20】
隣接するストラット(32)同士が、それらが前記ガイド(22)に連結する領域で、ターポリン折り畳み補助具によって相互連結されることを特徴とする、請求項1から19までのいずれか一項に記載のターポリン上部構造。
【請求項21】
前記ターポリン折り畳み補助具が、U字型の弓状のもの又はプラスチック製の折り畳み要素として設計されていることを特徴とする、請求項20に記載のターポリン上部構造。
【請求項22】
前記ストラット(32)が、キャリッジを介して前記ガイド(22)に連結されていることを特徴とする、請求項20又は21に記載のターポリン上部構造。
【請求項23】
前記ターポリン上部構造(10)が、スライディング・ルーフを形成することを特徴とする、請求項1から22までのいずれか一項に記載のターポリン上部構造。
【請求項24】
前記移動可能な下部構造(20)は、トラック、トレーラ、セミトレーラ、鉄道車両、ダンプ・トラック又はコンテナ
からなる群から選択される、請求項1から23までのいずれか一項に記載のターポリン上部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラック、トレーラ、セミトレーラ、鉄道車両、ダンプ・トラック又はコンテナなどの移動可能な下部構造のためのターポリン上部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
実際には、ターポリンが幌枠(top frame)に連結されたターポリン上部構造が知られており、幌枠は、ガイドに沿って移動可能な複数のストラットを有し、ガイドは、下部構造上に配置され、通常は下部構造の両側にレールを備えている。ガイドは、ストラットの端部に設けられたキャリッジが移動可能なレールであってもよいが、ガイドは、駆動部、例えばストラットに連結された循環駆動されるワイヤを有することも可能である。幌枠の端部は、端部ランナを有しており、その端部ランナは、上部構造を開くために上昇させることができ、上部構造を閉じるために下降させることができる。既知のターポリン上部構造の欠点は、下部構造が輸送される際に、進行方向後方にある端部ランナの領域で、空気流によって時速約60km以上の速度から乱流が発生し、吸引効果によって、端部ランナが持ち上がる傾向があることである。つまり、端部ランナは手動でロックする必要があるが、これは忘れられることが多く、一般に、スライディング・ルーフでは簡単には行えない。さらに、例えば、積荷をドサッと落とすダンプ・トラックの場合など、端部ランナを安全に持ち上げることが有益又は望ましい構成がある。そうしなければ、落とされる積荷が幌枠を損傷してしまうからである。また、ダンプ・トラックのテールゲートを枢動させるには、端部ランナを持ち上げる必要がある。そうしなければ、この2つの部分が互いに干渉してしまうからである。
【0003】
実際には、超高速走行時に車両の後車軸への接触圧を高めるために、乗用車の後部に取り付けられた空気偏向部が知られている。
【0004】
DE102012023716A1には、カバーが、すなわち、耐候性材料で作られたターポリンが幌枠に連結されている、移動式トラック用のターポリン上部構造が記載されている。幌枠は、垂直なガイドに沿って高さを調節することができる複数のストラットを有し、それによって空気抵抗を低減することができる。このストラットは、空気の流れを誘導する形状を有することができる。既知のターポリン上部構造の欠点は、開放可能な幌が設けられておらず、むしろストラットが垂直な支持体に固定されているということである。その結果、開けることを目的としたスライディング・ルーフを有することができず、そのことが積載を困難にしている。
【0005】
DE19602602A1には、商用車の上部構造が記載されており、この構造では、風の抵抗をより有利にするために後部が下方に傾斜している。
【0006】
DE102010027716A1には、トラック用の上部構造が記載されており、この上部構造は高さ調節が可能で、任意選択で、空気力学的に有利な水滴形状にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】DE102012023716A1
【文献】DE19602602A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、端部ランナが空気流によって持ち上がらないターポリン上部構造を提供することである。
【0009】
この目的は、本発明によると、独立請求項1の特徴を有するターポリン上部構造によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
トラック、トレーラ、セミトレーラ、鉄道車両、ダンプ・トラック又はコンテナなどの移動可能な下部構造のための本発明によるターポリン上部構造は、耐候性材料で作られたターポリンが取り付けられた幌枠を有し、幌枠は、少なくとも1つのガイドに沿って移動可能な複数のストラットを備える。この場合、幌枠の端部は、端部ランナを備えており、その端部ランナは、上部構造を開くために上昇させることができ、上部構造を閉じるために下降させることができる。ターポリン上部構造は、空気偏向部が端部ランナの端部に配置され、この空気偏向部によって、空気流が端部ランナの下降方向又は閉鎖方向の力に変換されることを特徴とする。これにより、上部構造全体の空気抵抗が微増しても、一定の速度を超えると、端部ランナが閉鎖方向に確実に押し出される。有利には、端部ランナを手動でロックすることはもはや必要なくなり、端部ランナは、数メートルの高さに配置することもできる。したがって、ラッチの詰まり又はラッチ部材の位置ずれなど、ロック及びロック解除に関する問題は、効果的に解消される。また、これにより、端部ランナは、ダンプ・トラックとして設計された下部構造が傾いたときに、上部構造が完全に又は部分的に別個に開かれる必要なく、重力のみによって常に下部構造から離れるように枢動することが確実になる。
【0011】
空気偏向部は、好都合には、端部ランナの遠位端に配置され、その遠位端では、その関節のためのレバー・アームが大きいため、小さな浮遊物だけで大きな閉鎖モーメントを生み出すことができる。或いは、空気偏向部を端部ランナの側部領域に配置することが可能である。特に、端部ランナ上に複数の空気偏向部を提供することが可能であり、空気偏向部は、好都合には、垂直方向下向きの力を得るためにターポリン上部構造のターポリン上に垂直に突出していることが特徴となっている。
【0012】
上部構造の偏向部の浮遊物は、好都合には、垂直平面上に投影して測定した場合、50mm以下である。これにより、怪我のリスクが軽減され、上部構造は、貨物輸送に容易に使用できる。
【0013】
空気偏向部自体は、垂直方向に向けられる必要はない。垂直構成要素が空気流を妨害することで、端部ランナ上の下向きの接触圧又は接触力を実現すれば十分である。
【0014】
空気偏向部は、好都合には、ターポリンの外側に配置されているので、空気流は、空気偏向部上に直接作用し、したがって、端部ランナを下方に押圧する。或いは、空気偏向部は、ターポリンの下に配置されてもよく、ターポリンは、空気偏向部の上にかかっている。
【0015】
空気偏向部は、好ましくは、端部ランナに連結されており、ターポリンを貫通する端部ランナに空気偏向部を連結するために設けられた連結手段を備えている。したがって、空気偏向部が、端部ランナのクロス・メンバなどの遠位のストラットにリベットで留められている場合、リベットは、ターポリンを貫通することによって、ターポリンを端部ランナに、例えばクロス・メンバに確実に固定する。
【0016】
空気偏向部が連結部と空気誘導部とを備えているとき、好ましい設計が得られ、空気誘導部は、ターポリンよりも上方に突出している。これにより、有利には、空気誘導部が空気流中にあり、連結部を介して閉鎖方向の力を端部ランナ内に確実に導入できる。
【0017】
空気誘導部は、好都合には、連結部に対して折り畳み式になっており、折り畳みの角度は、好都合には、90°より大きく180°より小さくなるように設定されている。このように、例えば、約30°から70°の、好ましくは45°から60°の間の、特に50°の、水平方向に対する空気誘導部の迎角を実現することができる。
【0018】
好都合な展開では、空気誘導部は、開口部及び/又は切り欠き部を備える。開口部は、空気抵抗が不必要に大きくならない程度に接触圧を低減するために、例えば、孔パターンとして設計することができる。有利な実施例では、開口部は、上部構造の製造者のロゴを含むこともできる。或いは及び/又は累積的に、切り欠き部は、燃料消費量を削減するために空気誘導部に設けることもできる。空気誘導部は、端部ランナの全幅にわたって前記ランナに連結されている必要はない。むしろ、空気誘導部は、端部ランナの幅の一部のみを構成していてもよい。
【0019】
空気偏向部は、好都合には、高速走行時でさえも変形しない鋼鉄部品として設計される。或いは、空気偏向部をプラスチック部品として設計することで、事故又は衝突の場合に怪我のリスクを低減することが可能である。
【0020】
空気誘導部は、ライセンス規制による全体の積載高の減少を避けるために、ターポリンの上部構造が閉じたときに、好都合には、ターポリン上部構造の最大高さを越えて突出しないようにする。
【0021】
便宜的な一実施例では、空気偏向部は、時速50kmの走行速度において、閉鎖方向の端部ランナ上で、30Nから300Nの間の、好ましくは50Nから150Nの間の、好都合には100N以下の接触力を発生させる。これらの比較的低い接触力の結果、端部ランナは、下部構造及び/又はターポリン上部構造にロックされていなくても、乱流によって持ち上がらないことは既に保証されている。
【0022】
端部ランナは、好都合には、上下に容易に枢動され得るように、幌枠上に関節接合されている。
【0023】
端部ランナは、ロック無しで設計されているため、端部ランナを下部構造又は幌枠にロックする可能性がないのは好都合である。これにより、有利には、上部構造は、ロックを解除せずとも、いつでも確実に開けることができ、これは、テールゲートを介して積荷をドサッと落とすダンプ・トラックの場合には特に有効である。というのは、テールゲートの枢動経路は、端部ランナが重力によって持ち上がらない場合、端部ランナによって覆われた領域と衝突してしまうからである。
【0024】
好ましい展開によると、幌枠は、ターポリン上部構造を開閉するためにモータ駆動になっている。この場合、モータ駆動は、車両の運転室又は地上から行われ、したがってターポリン上部構造の平面からかなりの距離で行われるため、モータ駆動では、手動でのロック又はロック解除が問題となる。
【0025】
ターポリン上部構造は、好都合には、トラック、トレーラ、セミトレーラ、鉄道車両、ダンプ・トラック又はコンテナなどのスライディング・ルーフとして設計されており、ターポリン上部構造は、例えば、ストラットがU字型である場合、下部構造の上に組み立てることもできる。隣接するストラット同士を、それらがガイドに連結する領域、特にそれらのキャリッジの領域で、ターポリン折り畳み補助具を用いて相互連結することが可能であり、ターポリン折り畳み補助具は、ガイドの領域に配置されたU字型の弓状のもの又はプラスチック製の折り畳み要素として設計されている。
【0026】
本発明には、輸送車両の車軸に力を伝達する必要のない空気偏向部が、ロックされていないテールゲートが空気流の影響下で浮き上がったり、がたついたりするのを実際に防ぐという驚くべき発見が含まれている。
【0027】
本発明の一態様は、空気流中で意図しないがたつきや浮き上がりを防ぐように固定するために、ターポリン上部構造の端部ランナに連結された空気偏向部の使用法に関する。
【0028】
本発明のさらなる利点、特徴、特性及び発展は、好ましい実施例の以下の説明及び従属請求項から明らかになる。
【0029】
本発明は、好ましい実施例に基づいて添付図面を参照しながら、以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明によるターポリン上部構造を上部から見た斜視図である。
【
図2】
図1のターポリン上部構造を後部から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1及び
図2に示すターポリン上部構造10は、本件ではダンプ・トラックのコンテナとして設計された下部構造20上に組み立てられ、一方の側からの作動によって開くことができるスライディング・ルーフ12を形成する。
【0032】
下部構造20の詳細は、さらに図示されてはいないが、下部構造は、
図1では、積荷を傾斜させることができる枢動ドアを右側に有する。
【0033】
幌枠30は、下部構造20のガイド22上で移動させることができ、逆U字型に設計された複数のストラット32を備え、ガイド22に沿って移動できるキャリッジ(詳細に図示せず)を端部に有する。
【0034】
端部ランナ40は、ジョイント42において、進行方向の最後尾のキャリッジの対に連結されており、その対は、ストラット32を介して連結され、端部ランナ40は、下部構造20の両側にリンク44を有し、後部のクロス・メンバ46とともに、関節42の周りを枢動可能なU字型の端部ランナ40を形成する。
【0035】
幌枠30を覆い、幌枠30とともに移動可能なターポリン50は、ストラット32及びクロス・メンバ46に連結される。リンク44は、クロス・メンバ46から遠く離れたその端部に、下部構造20上に設けられた突出部と協働するレバー・アーム44aを有しており、下部構造20の上部開口部を露出するために幌12が開かれるときに、関節42を軸として端部ランナを枢動させる。
【0036】
ターポリン50は、端部ランナ40上に配置され、特にクロス・メンバ46を覆ってもいる。ターポリン50の外側には、空気偏向部60が設けられており、この空気偏向部60は、クロス・メンバ46の高さにほぼ相当する連結部62と、そこから斜めに突出している空気誘導部64とを備えており、本件ではステンレス鋼でできている。しかし、代わりに、プラスチック材又はアルミニウムから空気偏向部を形成することが可能である。
【0037】
連結部62は、リベット66を介して端部ランナ40のクロス・メンバ46に連結され、ターポリン50がこれら2つの部品62、46の間に保持されるようになっている。これにより、ターポリン50は、幌枠30に、特に端部ランナ40に、ここではクロス・メンバ46に確実に連結される。
【0038】
空気誘導部64は、幌枠30を開いている状態で折り畳む際に、ターポリン50に刺さらないように丸みを帯びた縁部を有するほぼ台形の外形を有する。空気誘導部64は、ターポリン50の上方で垂直方向にわずかに突出しており、その結果、空気流の動圧により、関節42の周りの端部ランナ40上に垂直方向下向きの分力が発生する。1つ又は複数の空気開口部64aは、空気誘導部64に設けられており、同時に製造者のロゴを形成することもできる。これにより、空気誘導部の空気抵抗を有利に低減することができる。
【0039】
空気誘導部64は、連結部62がほぼ垂直に向いているため、連結部62の同一平面上の延長部として設計することが可能である。しかしながら、審美的な理由と、異なる速度でのより良い動的挙動のために、空気誘導部は、連結部に対して約135°の角度で傾斜している。
【0040】
空気偏向部60上に互いに離間した複数の空気誘導部を設けることで、結果として、空気誘導部64に凹部を設けることが可能である。
【0041】
ターポリン上部構造10を備えた下部構造20が車両によって移動する場合、端部ランナ40は進行方向後方を向いている。ターポリン上部構造10の上をクロス・メンバ46の方向に少しずつ降下する空気流は、端部ランナ40を上方に吸い上げる傾向がある。空気偏向部60及び特にその空気誘導部64は、速度に応じて、速度(km/h)の0.6~4倍の分力を力(N)として下方に向ける動圧を生み出し、これにより、端部ランナ40が持ち上げられるのを防ぐ。例えば、係数1.2及び時速50kmの場合、閉じる力は60Nになる。これにより、有利には、端部ランナ40を下部構造20又は幌枠30にロックするのを省略できる。このことは、個別に手動でロックする場合に、手間がかかって故障しやすい幌枠30がモータ駆動部を備えている場合には、特に有利である。
【0042】
以上、本発明を、空気偏向部60が端部ランナ40のクロス・メンバ46の全幅にわたって実質的に延在する一実施例に基づいて説明してきた。空気偏向部がクロス・メンバ46の一部のみを、例えば、中央領域を構成することもできること、又は、空気誘導部64がクロス・メンバ46の幅の一部のみに設けられることが理解されるべきである。
【0043】
以上、本発明を、下部構造20がダンプ・トラックである一実施例に基づいて説明してきたが、この実施例では、下部構造20が最大90°まで上向きに枢動したときに、端部ランナ40が下部構造20から持ち上げられることが特に有利である。空気偏向部60が、トラック、セミトレーラ、トレーラ又はコンテナのスライディング・ルーフのような、枢動自在ではない下部構造上に組み立てられた端部ランナに連結することもできるということが理解されるべきである。
【0044】
以上、本発明を、特に内燃機関及び/又は車両駆動装置を提供する移動可能な下部構造を参照して記載してきた。移動可能な下部構造は、電動モータを有することもでき、及び/又はドライバレス又は自律車両として設計することができるということが理解されるべきである。