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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】コースター移送システム
(51)【国際特許分類】
   A63G 31/02 20060101AFI20240827BHJP
   A63G 21/12 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
A63G31/02
A63G21/12
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021564273
(86)(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-30
(86)【国際出願番号】 US2020030187
(87)【国際公開番号】W WO2020223187
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-04-05
(31)【優先権主張番号】62/840,168
(32)【優先日】2019-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/414,605
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ダグリー ジェイムス フランシス
【審査官】三村 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0225084(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0070515(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0190726(US,A1)
【文献】特表2002-524164(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0269175(US,A1)
【文献】特表2017-522967(JP,A)
【文献】特開平10-052573(JP,A)
【文献】国際公開第2022/049187(WO,A1)
【文献】国際公開第2000/034100(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/086224(WO,A1)
【文献】特表2009-509686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63G 1/00-33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物システムであって、
第1のトラックによって定められた第1の乗物経路に沿って進むように構成された車両と、
第2のトラックによって定められた第2の乗物経路に沿って進むように構成されたコースターであって、前記第1のトラック及び前記第2のトラックが複数の重なり部分にて互いに交差する、コースターと、
を備え、
前記車両は、前記コースター及び前記車両が前記重なり部分にて位置決めされたときに前記第1の乗物経路の第1の部分から係合解除して前記コースターと係合するように構成され、前記コースターは、前記車両と係合した後に、前記車両を前記第2の乗物経路に沿って前記第1の乗物経路の第2の部分に移送するように構成される、乗物システム。
【請求項2】
前記第1の乗物経路は、前記第1の乗物経路の前記第1の部分から前記第1の乗物経路の前記第2の部分に延びる乗物経路セクションを含み、前記乗物経路セクションは、前記第2の乗物経路とは別個のものである、請求項1に記載の乗物システム。
【請求項3】
前記車両の車両固定機構部を備え、前記車両固定機構部は、前記第1の乗物経路への前記車両の動きを前記車両固定機構部の係合構成で制限するように構成される、請求項1に記載の乗物システム。
【請求項4】
前記車両固定機構部は、係合解除された構成において前記第1の乗物経路から前記車両を係合解除させることを可能にするように構成される、請求項3に記載の乗物システム。
【請求項5】
前記コースターは、前記コースター及び前記車両が前記乗物システムの前記重なり部分にて位置決めされたときを除いて、前記第1のトラックを含む表面の下に位置決めされる、請求項1に記載の乗物システム。
【請求項6】
前記コースターは、前記車両を前記コースターに選択的に固定するように構成されたコースター固定機構部を含む、請求項1に記載の乗物システム。
【請求項7】
前記コースターは、コースター固定機構部を含み、前記車両が車両固定機構部を含み、前記コースター固定機構部及び前記車両固定機構部は、係合構成の雄雌固定構成で互いに係合するように構成される、請求項1に記載の乗物システム。
【請求項8】
前記第1の乗物経路の前記第1の部分及び前記第1の乗物経路の前記第2の部分は、前記乗物システムの異なる垂直位置に位置決めされ、前記コースターは、前記車両を前記第2の乗物経路に沿って前記第1の部分から前記第2の部分に垂直方向に移送するように構成される、請求項1に記載の乗物システム。
【請求項9】
前記第2の乗物経路は、重力ベクトルに沿って配向されたセグメントを含む、請求項8に記載の乗物システム。
【請求項10】
前記第2の乗物経路は、前記重なり部分で前記第1の乗物経路の前記第1の部分の真下に延び、前記コースターの上部が前記重なり部分で前記車両のシャーシと直接結合するように構成されるようになる、請求項1に記載の乗物システム。
【請求項11】
前記第1のトラックは、前記車両の進行方向に沿って配向され且つ前記進行方向を定め、前記第1のトラックは、回転して前記車両を前記コースターに移送するように構成される、請求項1に記載の乗物システム。
【請求項12】
車両の多次元の動きを制御する方法であって、
コントローラを介して、第1のトラックによって定められる第1の乗物経路に沿って進む前記車両に、前記第1の乗物経路に沿った第1の位置にて前記車両を停止するように指示するステップと、
前記コントローラを介して、第2のトラックによって定められる第2の乗物経路に沿って進むコースターに、前記第2の乗物経路に沿って第2の位置にて停止するように指示するステップであって、前記第1の位置及び前記第2の位置が互いに重なり合う、ステップと、
前記コントローラを介して、前記車両を前記第1の位置で前記第1のトラックから解放して前記車両を前記コースターに固定するように1又は2以上の固定機構部の作動を制御するステップと、
前記コントローラを介して、前記コースターに、前記第2のトラックによって定められる前記第2の乗物経路に沿って前記第2の乗物経路に沿った第3の位置に進み、前記第3の位置にて停止するように指示するステップであって、前記第3の位置が前記第1の乗物経路と重なり合う、ステップと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記コントローラを介して、前記コースターが前記第3の位置にあるときに前記車両を前記コースターから解放して前記車両を前記第1のトラックと係合するように、前記1又は2以上の固定機構部の作動を制御するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記車両を前記第1の位置で前記第1のトラックから解放して前記車両を前記コースターに固定するように1又は2以上の固定機構部の作動を制御するステップは、
前記コントローラを介して、前記車両を前記コースターに固定するようにコースター固定機構部の作動を制御するステップと、
前記コントローラを介して、前記車両を前記第1の位置で前記第1のトラックから解放するように車両固定機構部の作動を制御するステップと、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第3の位置は、前記第1の乗物経路に沿って第4の位置と重なり合い、前記コントローラを介して、前記コースターに、前記第2のトラックによって定められる前記第2の乗物経路に沿って前記第2の乗物経路に沿った第3の位置に進むように指示するステップは、前記車両と共に、前記第1の位置と前記第4の位置との間に延びる前記第1のトラックによって定められる前記第1の乗物経路のセクションを迂回するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記コントローラを介して、前記第1の乗物経路に沿った前記車両の多次元の動きを追跡し、前記車両の位置、速度、加速度、又はこれらの何れかの組み合わせを示すフィードバックを収集するステップと、
前記コントローラを介して、前記第2のトラックによって定められる前記第2の乗物経路に沿って進む前記コースターに、前記フィードバックに基づいて前記第2の乗物経路に沿った前記第2の位置にて停止するように指示するステップと、
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
乗物システムであって、
第1のトラックによって定められた第1の乗物経路であって、前記第1の乗物経路に沿って乗物車両を案内するように構成された第1の乗物経路と、
第2のトラックによって定められた第2の乗物経路であって、前記第2の乗物経路に沿ってコースターを案内するように構成され、前記第1の乗物経路及び前記第2の乗物経路は、複数の重なり部分で互いに重なり合う、第2の乗物経路と、
プロセッサと、命令が記憶されたメモリデバイスとを含むコントローラと、
を備え、
前記命令は、前記プロセッサにより実行されるように構成され、
前記命令は、前記プロセッサに、
第1の信号を出力して、前記第1の乗物経路に沿って、前記複数の重なり部分の第1の重なり部分にある第1の位置にて前記乗物車両を停止させ、
第2の信号を出力して、前記第2の乗物経路に沿って、前記複数の重なり部分の前記第1の重なり部分にある第2の位置にて前記コースターを停止させ、
第3の信号を出力して、前記第1の重なり部分にて前記第1のトラックから車両を解放し、前記車両を前記コースターに固定するように1又は2以上の固定機構部を作動させ、
第4の信号を出力して、前記第2のトラックを介して前記第2の乗物経路に沿って前記複数の重なり部分の第2の重なり部分に進むように前記コースターを作動させる、
ように構成される、
乗物システム。
【請求項18】
前記命令は、前記プロセッサに、前記1又は2以上の固定機構部が前記乗物車両を前記コースターから解放し、前記複数の重なり部分の前記第2の重なり部分にて前記第1のトラックに前記乗物車両を固定するように指示させるように構成される、請求項17に記載の乗物システム。
【請求項19】
前記命令は、第5の信号を出力して、前記1又は2以上の固定機構部が前記乗物車両を前記コースターから解放して前記乗物車両を前記第2の重なり部分にて前記第1のトラックに固定したという確認に応答して、前記第1の乗物経路に沿って前記乗物車両を加速するように構成される、請求項17に記載の乗物システム。
【請求項20】
前記第1のトラックによって定められる前記第1の乗物経路は、前記複数の重なり部分の前記第1の重なり部分と前記複数の重なり部分の前記第2の重なり部分との間に延びる第1のセグメントを含み、前記第2のトラックによって定められる前記第2の乗物経路は、前記複数の重なり部分の前記第1の重なり部分と前記複数の重なり部分の前記第2の重なり部分との間に延びる第2のセグメントを含む、請求項17に記載の乗物システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年4月29日に提出された「コースター移送システム(Coaster Transportation System)」という名称の米国特許仮出願第62/840,168号に対する優先権及びその利益を主張し、当該開示内容は、あらゆる目的で引用により全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
一般に、遊園地スタイルの乗物は、例えば、トラックによって定められた乗物経路に沿って乗客を搬送する乗物車両を含む。乗物のコースにわたって、乗物経路は、トンネル、曲がり角、上り勾配、下り勾配、ループ及び同様のものを含めて、複数の特徴部を含むことができる。乗物車両は、トラックと常に接触状態にあることができるので、乗物車両の進行方向は、乗物経路のトラックによって定めることができる。このような遊園地スタイルの乗物に伴う乗物体験は、リピート乗客は、乗物経路及びその特徴部に精通している可能性があるので、リピート乗客には驚きに欠ける場合がある。例えば、乗物車両は、毎回の走行中に同じ単一ループに沿って進行する場合がある。このため、乗物車両の動きを導くために単一のトラックを使用する遊園地スタイルの乗物システムに関連した、興奮を向上させ、予測可能性を低減する必要性がある。
【0003】
加えて、単一トラック(例えば、閉ループトラック)を有するこれらの遊園地スタイルの乗物のトラックの一部上の特徴部を保守整備するには、保守のために遊園地スタイルの乗物全体をシャットダウンさせることが必要となり、その結果、収益及び生産性の損失、並びにこのような遊園地スタイルの乗物の乗車を楽しみにしている乗客に誤った期待を生じさせる可能性がある。従って、実際にはその実装は調整が難しい可能性がある遊園地スタイルの乗物に関連した興奮を改善しながら、単一トラックの遊園地スタイルの乗物の特徴部を改善して、トラックの一部の保守を実施することができる効率を向上させることが望ましいとすることができる。
【発明の概要】
【0004】
最初に請求項に記載された本発明の範囲内にある特定の実施形態について以下で要約する。これらの実施形態は、特許請求の範囲に記載された主題の範囲を限定することを意図するものではなく、むしろこれらの実施形態は、本主題の実施可能な形態の概要を提供することのみを意図している。実際に、本主題は、以下に記載される実施形態と類似した又は異なる可能性がある様々な形態を包含することができる。
【0005】
一実施形態において、乗物システムは、第1の乗物経路に沿って進むように構成された車両を含む。乗物システムはまた、乗物システムの重なり部分で第1の乗物経路と重なり合う第2の乗物経路に沿って進むコースターを含む。車両は、コースターが重なり部分にて位置決めされたときに、第1の乗物経路の第1の部分から係合解除してコースターと係合し、その結果、コースターは、車両と係合した後、車両を第2の乗物経路に沿って第1の乗物経路の第2の部分に移送するようになる。
【0006】
一実施形態において、車両の多次元運動を制御する方法は、コントローラを介して、第1のトラックによって定められた第1の乗物経路に沿って進む車両に対して、第1の乗物経路に沿った第1の位置にて停止するように命令するステップを含む。本方法はまた、コントローラを介して、第2のトラックによって定められた第2の乗物経路に沿って進むコースターに対して、第2の乗物経路に沿った第2の位置にて停止するように命令するステップを含み、第1の位置及び第2の位置が互いに重なり合うようになる。更に、本方法は、コントローラを介して、車両を第1の位置にて第1のトラックから解除し、また、車両をコースターに固定するように1又は2以上の固定機構部を作動させるステップを含む。本方法はまた、コントローラを介して、コースターに対して、第2のトラックによって定められた第2の乗物経路に沿って第2の乗物経路に沿った第3の位置に進み、第3の位置にて停止するように命令するステップを含み、第3の位置が第1の乗物経路と重なり合うようになる。
【0007】
一実施形態において、乗物システムは、第1の乗物経路に沿って乗物車両を案内する第1のトラックによって定められた第1の乗物経路を含み、また、第2の乗物経路に沿ってコースターを案内する第2の乗物経路によって定められた第2の乗物経路を含む。第1の乗物経路及び第2の乗物経路は、複数の重なり部分で互いに重なり合う。乗物システムはまた、プロセッサと、プロセッサによって実行されたときにプロセッサに動作を実行させる命令を格納させたメモリとを備えたコントローラを含む。動作は、乗物車両を第1の乗物経路に沿って第1の位置にて減速し停止させ、第1の位置が複数の重なり部分の第1の重なり部分にあるようにする第1の信号を出力することを含む。動作は更に、第2の乗物経路に沿った第2の位置にてコースターを減速して停止させ、第2の位置が複数の重なり部分の第1の重なり部分にあるようにする第2の信号を出力することを含む。動作は、1又は2以上の固定機構部を作動させて、乗物車両を第1の重なり部分にて第1のトラックから解除して、乗物車両をコースターに固定する第3の信号を出力することを含む。動作は、コースターに第2のトラックを介して第2の乗物経路に沿って複数の重なり部分の第2の重なり部分に進ませるようにコースターを作動させる第4の信号を出力することを含む。
【0008】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、図面全体を通じて同様の参照符号が同様の要素を示す添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むと更に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の態様による、乗物車両及びコースターが動作することができる遊園地の様々な構成要素の一実施形態のブロック図である。
図2】本開示の態様による、図1の乗物車両及び図1のコースターが動作することができる乗物システムの一実施形態の概略図である。
図3】本開示の態様による、図2の乗物システムにおいて動作する図1の乗物車両及び図1のコースターの一実施形態の概略図である。
図4】本開示の態様による、図1の乗物車両を車両乗物経路から受け入れる図1のコースターの一実施形態の概略図である。
図5】本開示の態様による、図1の乗物車両をコースター乗物経路に沿って図4の車両乗物経路の別の部分に移送する図1のコースターの一実施形態の概略図である。
図6】本開示の態様による、車両乗物経路間の垂直方向の移動を促進するために図2の乗物システムにおいて動作する図1の乗物車両及び図1のコースターの一実施形態の概略図である。
図7】本開示の態様による、図1の乗物車両を車両乗物経路から受け入れる図1のコースターの一実施形態の概略図である。
図8】本開示の態様による、図1の乗物車両をコースター乗物経路に沿って車両乗物経路の別の部分に垂直方向に移送する図1のコースターの一実施形態の概略図である。
図9】本開示の態様による、1又は2以上のコースター乗物経路及び1又は2以上の車両乗物経路を含む、図2の乗物システムの一実施形態のグラフィック表現である。
図10】本開示の態様による、図1の乗物車両を車両乗物経路の1つの部分から車両乗物経路の別の部分に移送する方法の一実施形態の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の1又は2以上の特定の実施形態について以下で説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を与えるために、本明細書では実際の実施構成の全ての特徴を説明するわけではない。このような何れかの実際の実施構成の開発において、あらゆるエンジニアリング又は設計プロジェクトの場合のように、システム関連及び業務関連の制約の遵守など、実施構成ごとに異なる可能性のある開発者の特定の目標を達成するために、多くの実施構成特有の決定を行う必要があることを理解されたい。更に、このような開発努力は、複雑で時間がかかることがあるが、それにも関わらず、本開示の利益を得る当業者にとっては、設計、製作、及び製造の日常的な仕事であることは理解されたい。
【0011】
本開示の種々の実施形態の要素を導入する際に、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、要素の1又は2以上が存在することを意味するものとする。「備える」、「含む」、及び「有する」という用語は、包括的であることを意図しており、リストされた要素以外の追加の要素が存在してもよいことを意味している。更に、本開示の「1つの実施形態」又は「実施形態」への言及は、リストされた特徴も組み込んだ追加の実施形態の存在を除外するものとして解釈されることを意図していない点を理解されたい。
【0012】
以下の議論では、全体的に遊園地スタイルの乗物という文脈で行われるが、本明細書で開示される実施形態は、このような娯楽コンテンツには限定されない点を理解されたい。実際に、本明細書で開示されるシステム、方法、及び概念は、多種多様な用途で実施することができる。本開示における実施例の提供は、現実世界の実施構成及び用途の実例を提供することによって、開示される技術の説明を容易にするためのものである。本明細書で開示される実施形態は、2,3例を挙げると、移送システム(例えば、列車システム)、コンベヤラインシステム、流通システム、ロジスティクスシステム、動的オートメーションシステム、及び/又は他の産業、商用、及び/又は娯楽システムなど、多くの用途において有用とすることができることを理解されたい。
【0013】
このことを念頭に置いて、乗物システム(例えば、遊園地スタイルの乗物)は、例えば、トラックによって定められた乗物経路に沿って乗客を搬送する乗物車両を使用することができる。乗物のコースにわたって、乗物経路は、トンネル、曲がり角、上り勾配、下り勾配、ループ及び同様のものを含めて、複数の特徴部を含むことができる。乗物車両は、乗物経路を定めるトラックと常に接触状態にあることができるので、乗物車両の進行方向は、乗物経路のトラックによって定めることができる。このような遊園地スタイルの乗物に関連した乗物体験は、リピートの乗客が乗物経路に精通している場合があるので、リピート乗客には驚きの要素を欠く可能性がある。例えば、進行方向は、毎回の走行時に同じままである可能性がある。これらの乗物システムは、乗物システムの毎回の走行で同じ曲がり角、同じ動きを強化するトリガー、及び同じ乗物軌道によって定められる一貫した乗物体験に晒すことを含む場合がある。リピート乗客は、このような一貫した乗物体験が乗物システムとの複数回の関与後に退屈又はありきたりだと気付く可能性がある。このため、乗物体験の興奮を向上させ、このような乗物システムに関連した予測できない乗物テーマの体験を組み込む必要性がある。
【0014】
加えて、乗物システムのトラック(例えば、閉ループトラック)の一部上の特徴部を整備するには、整備されるトラックの特徴部又は一部がどれほど小さいかに関係なく、乗物車両は、整備を必要とするトラックの部分に沿って動作することができなくなるので、乗物システム全体を保守のためにシャットダウンすることが必要となる場合がある。これらの特徴部を整備するために乗物システム全体を閉鎖すると、結果として、収益の損失、生産性の損失、及びこの乗物システムの乗車を楽しみにしている乗客の誤った期待を生じさせる可能性がある。従って、実際にはその実装は調整が難しい可能性がある遊園地スタイルの乗物に関連した興奮を改善しながら、単一トラックの遊園地スタイルの乗物の特徴部を改善して、トラックの一部の保守を実施することができる効率を向上させることが望ましいとすることができる。
【0015】
上記のことを念頭に入れて、本明細書で開示されるシステム及び方法は、乗物体験を高め、乗物システムに関連した保守作業を改善することができる。一実施形態において、システムは、第1のトラックに沿って定めることができる第1の乗物経路(以下「車両乗物経路」と呼ばれる)に沿って進むことができる1又は2以上の乗物車両を含む。システムはまた、第1のトラックとは異なる第2のトラックに沿って定めることができる第2の乗物経路(以下「コースター乗物経路」と呼ばれる)に沿って進むことができる1又は2以上のコースターを含む。コースター乗物経路は、車両乗物経路とは別個とすることができる。例えば、コースター乗物経路は、車両乗物車両が位置決めされる平面に対して別の平面(例えば、より低い平面、横方向の平面、又は上方の平面)上に位置決めすることができる。
【0016】
例示的な実施形態として、コースター乗物経路が車両乗物経路の下方に位置決めされたときには、コースターは、車両乗物経路上の乗物車両内の乗客から隠れたままとすることができる(例えば、コースターは、車両乗物経路下に位置決めし、及び/又は表面によって分離することができるので)。例えば、コースターは、車両乗物経路が位置決めされる表面の下方に位置決めすることができ、コースターが乗物車両から別個に移動中であるときに、コースター乗物経路に沿ったコースターの動きが表面によってマスクすることができるようになる。
【0017】
コースターの上部は、コースターより上方に位置決めされてコースター乗物経路と重なり合う車両乗物経路の一部と結合することができる。このようにして、乗物車両がコースターと重なり合う車両乗物経路の部分上に位置決めされたときには、乗物車両は、以下で詳細に説明するように、乗物経路から結合解除してコースターに結合することができる。
【0018】
コースター及び乗物車両が互いに結合された後、コースターは、コースター乗物経路に沿って、コースター乗物経路と重なり合う車両乗物経路上の別の部分に向けて乗物車両を移送することができる。コースターが車両乗物経路上の別の重なり部分に乗物車両を移送した後、乗物車両は、コースターから結合解除され、追加の重なり部分にて車両乗物経路に結合することができる。このようにして、車両乗物経路の一部(例えば、重なり部分間のセグメント)は、コースターを介して及びコースター乗物経路に沿って乗物車両を車両乗物経路の別の部分に移送することによって、(例えば、車両乗物経路の部分の定期保守のため、体験強化効果のために、又はテーマに関連した理由で)回避することができる。従って、本明細書で説明するコースターを使用することによって、乗物システムの動作及び体験を向上させることができる。
【0019】
本明細書で使用する場合、「重なり部分」は、車両乗物経路とコースター乗物経路との間の軌道において重なり合う乗物経路の一部を指すことができる。例えば、「車両乗物経路の重なり部分」は、コースター乗物経路の一部と重なり合う軌道を有する車両乗物経路の一部を指すことができる。例えば、「コースター乗物経路の重なり部分」は、車両乗物経路の一部と重なり合う軌道を有するコースター乗物経路の一部を指すことができる。
【0020】
例示を助けるために、図1は、本開示の態様による、コースターを含む遊園地の様々な構成要素の一実施形態のブロック図である。遊園地8は、乗物システム10を含むことができ、乗物システム10は、乗物車両20のタイヤ又はローラーと係合することによってなど乗物車両20を受け入れて案内する車両乗物経路12を含み、車両乗物経路12に沿った乗物車両20の移動を促進する。このようにして、車両乗物経路12は、曲がり角、傾斜、下り坂、上り勾配、下り勾配、急斜面、ループ及び同様のものを含むことができる軌道及び進行方向を定めることができる。一実施形態において、乗物車両20は、空気圧システム、モーターシステム、タイヤ駆動システム、カタパルトシステム、電磁駆動システムに結合されたフィン及び同様のものを介して、受動駆動又は能動駆動することができる。
【0021】
車両乗物経路12は、2以上の乗物車両20を受け入れることができる。乗物車両20は、互いに別個にすることができて、独立して制御されるようになり、或いは、乗物車両20は、何れかの適切なリンク機構を介して互いに結合することができ、乗物車両20の動きが結合又はリンク付けされるようになる。例えば、1つの乗物車両20の前端は、ピンシステムを介して別の乗物車両20の後端に結合することができる。これら及び他の構成の各乗物車両20は、1又は2以上の乗物乗客22を収容することができる。
【0022】
乗物車両20は、シャーシ31及び/又はターンテーブル、ヨー駆動システム及び同様のものなどのあらゆる数の体験強化特徴部を有するボギーシステム30を含むことができる。本明細書で開示される実施形態は、受動駆動ローラー又は駆動機構を含むとして検討されたが、能動駆動又は受動駆動のタイヤ、トラック、又は作動可能な構成要素など、他の運動可能特徴を使用できることを理解されたい。ボギーシステム30は、サスペンションシステムを含むことができ、サスペンションシステムは、例えば、乗物車両20が、曲がり角など特定の動きを特定の速度で実行する際の振動を吸収し遠心力を低減することによって、乗物車両20が動作中である間に動き又は振動を減衰させることができる。サスペンションシステムは、例えば、サスペンションシステムの構成要素を硬化、振動、又は回転によって乗物乗客22の乗物体験を強化させるように作動することができる。
【0023】
シャーシ31は、モーター、空気圧駆動システム、電気システム、乗物乗客22を収容するキャブ及び同様のものを支持することができる。シャーシ31は、乗物車両20の様々な構成要素及び乗物乗客22の荷重を支持することができる。更に、シャーシ31は、ターンテーブルを支持することができ、ターンテーブルは、シャーシ31と乗物乗客22を固定するキャビとの間に位置決めすることができる。一実施形態において、ターンテーブルは、キャブに剛性結合することができ、制御命令に応答したターンテーブルの回転によって、シャーシ31に対するキャブの同様の回転が発生し、乗物体験を更に向上させるようになる。
【0024】
シャーシ31は、ヨー駆動システムを支持することができ、ヨー駆動システムは、シャーシ31とキャブとの間に位置決めすることができる。一実施形態において、ヨー駆動システムは、ターンテーブルと一体とすることができる。ヨー駆動システムは、制御命令を受け取り、制御命令に従ってターンテーブルを作動させることができる。例えば、ヨー駆動システムにより、ターンテーブルが、シャーシ31に対してキャブを回転させることができる。更に、ヨー駆動システムは、キャブが何れかの適切な方向でシャーシ31に対して移動することを可能にすることができる。この目的のために、ヨー駆動システムは、キャブが、ヨー軸、ピッチ軸、又はロール軸周りに回転するか、又はこれらに沿って振動することを可能にすることができる。このようにして、ヨー駆動システムは、シャーシ31に対するキャブの6自由度運動を可能にすることができる。
【0025】
乗物車両20は、ローラー組立体32を含むことができ、ローラー組立体32は、車両乗物経路12を定めるトラックと係合する1又は2以上のローラーを含むことができる。例えば、ローラー組立体32は、車両乗物経路12に沿った乗物車両20の動きを駆動及び/又は案内する走行ローラー又は能動駆動ローラー、トラックの下面に結合するアップストップローラー、トラックの側面に結合する側面摩擦ローラー、又はこれらの何れかの組み合わせを含むことができる。
【0026】
更に、乗物車両20は、様々なセンサー組立体34を含むことができる。センサー組立体34は、以下で詳細に論じるように、制御システムに通信可能に結合することができる。例えば、センサー組立体34は、車両乗物経路12に沿った乗物車両20の位置、速度、及び加速度を決定する赤外線センサーを含むことができる。センサー組立体34は、乗物車両20の3つの直交軸に沿った直線運動、並びにロール、ピッチ、及びヨーなど、乗物車両20の何れかの部分(例えば、キャブ)の動きを決定する際に使用するフィードバックを提供するように構成された、ジャイロスコープ及び/又は加速度計などの方位センサーを含むことができる。加えて、センサー組立体34は、乗物車両20の固定構成を決定付ける車両固定機構部36の近傍に位置決めされた様々なセンサーを含むことができる。このようにして、制御システムは、乗物システム10の様々な動作パラメータを示す情報をセンサー組立体34を介して受け取ることができる。
【0027】
車両固定機構部36は、フック、ラチェットシステム、冗長ロック機構部、又は係合時に車両乗物経路12に沿った進行方向に対して所定の位置に固定された状態に乗物車両20を維持する何れかの適切なデバイスを含むことができる。加えて又は代替として、車両固定機構部36は、以下で詳細に説明するように、係合時に乗物車両20をコースターに固定することができる。車両固定機構部36は、係合時に、乗物車両20が車両乗物経路12に沿って横断しながら、ローラー組立体32が車両乗物経路12のトラックとの接触を維持することを可能にする何れかの適切なデバイスを含むことができる。例えば、車両固定機構部36は、コースター40の雄嵌合部材と嵌合することができる雌嵌合部材を含むことができ、雌及び雄接合部材が互いに対して選択的にロックし、これにより、乗物車両20をコースター40に固定することができるようになる。加えて、以下で詳細に説明するように、車両固定機構部36は、乗物車両20を車両乗物経路12から係合解除して、乗物車両20を車両乗物経路12から結合解除し、コースター乗物経路42上で動作するコースター40によって乗物車両20を移送することを可能にするように作動することができる。
【0028】
車両固定機構部36は、乗物車両20の下面に(例えば、シャーシ31上に)位置決めすることができ、及び/又はローラー組立体32に対して横方向内方に又は外方に位置決めして、車両乗物経路12のトラックに乗物車両20を選択的に固定することができる(例えば、車両固定機構部36が係合されるときに乗物車両20を車両乗物経路12のトラックに固定し、車両固定機構部36が係合解除されたときに乗物車両20を車両乗物経路12のトラックから係脱する)。しかしながら、車両固定機構部36を乗物車両20の下面に含むことに加えて又はその代替として、車両固定機構部36は、乗物車両20上のいずかに又は乗物車両20に近接して(例えば、乗物車両20の長手方向側、乗物車両20の横方向側、乗物車両20の上部側及び同様のもの)位置決めすることができることを理解されたい。
【0029】
乗物システム10は、それぞれのコースター乗物経路42上で動作する1又は2以上のコースター40を含むことができる。例えば、各コースター40は、それぞれのコースター乗物経路42上で動作することができる。コースター420は各々、ローラー組立体44を含むことができ、ローラー組立体44は、コースター乗物経路42を定めるトラックと係合する1又は2以上のローラーを含むことができる。例えば、ローラー組立体44は、コースター乗物経路42に沿ったコースター40の動きを駆動及び/又は案内する走行ローラー又は能動駆動ローラー、コースター乗物経路のトラックの下面に結合するアップストップローラー、トラックの側面に結合する側面摩擦ローラー、又はこれらの何れかの組み合わせを含むことができる。
【0030】
コースター40の動作パラメータを示す情報を検索するために、コースター40は、以下で詳細に論じるように、制御システムに通信可能に結合された様々なセンサー組立体46を含むことができる。例えば、センサー組立体46は、例えば、コースター乗物経路42に対するコースター40の位置、速度、及び加速度を決定する赤外線センサーを含むことができる。加えて、センサー組立体46は、コースター固定機構部48が起動され及び/又は乗物車両20のうちの1つに固定されているかどうかを決定するために、コースター固定機構部48の近傍に位置決めされた様々なセンサーを含むことができる。このようにして、制御システムは、センサー組立体46を介してコースター40の様々な動作パラメータを示す情報を受け取り、(固定機構部36及び/又は48を介した)コースター40への乗物車両20の固定、車両乗物経路12の1つの部分から車両乗物経路12の別の部分へのコースター乗物経路42に沿った乗物車両20の移送、及び/又は乗物車両20がコースター40を介して移送された後に車両乗物経路12に沿って進み続けることを可能にする固定機構部(例えば、固定機構部36及び/又は48)の係合解除を促進することができる。
【0031】
一実施形態において、コースター乗物経路42は、例証として、及び図9に関して以下で論じるように定めることができ、また、車両乗物経路12の第1の部分と車両乗物経路12の第2の部分との間に延びることができる。このようにして、コースター40は、乗物車両20が車両乗物経路12の第1の部分に位置決めされている間、乗物車両20をコースター固定機構部48(及び/又は車両固定機構部36)を介してコースター40に固定することができる。その後、コースター42は、車両乗物経路12の第1の部分から車両乗物経路12の第2の部分までその間で延びるコースター乗物経路42を介して固定された乗物車両20を移送することができる。
【0032】
図9に関して以下で論じるように、一実施形態において、コースター乗物経路42は、第1の端部及び第2の端部によって定めることができ、第1の端部は、第1の重なり部分にて車両乗物経路12と交差し、第2の端部は、第2の重なり部分にて車両乗物経路12と交差するようになる。このようにして、コースター40は、車両乗物経路12の第1及び第2の部分間を進み、車両乗物経路12に沿ってではなく、コースター乗物経路42に沿って車両乗物経路12の第1及び第2の部分間で乗物車両20を移送することができる。例えば、コースター40は、乗物車両20が車両乗物経路12の第1の部分に位置決めされたときに、車両乗物経路12の第1の部分から乗物車両20を受け入れることができる。コースター40は、車両固定機構部36又はコースター固定機構部48を介して乗物車両20を固定した後、コースター乗物経路42に沿って車両乗物経路12の第2の部分に乗物車両20を移送することができる。
【0033】
一実施形態において、及び図9に関して以下で論じるように、コースター乗物経路42は、第1の車両乗物経路と、及び第1の車両乗物経路とは別個の第2の車両乗物経路と重なり合うことができる。このようにして、コースター40は、乗物車両20が第1の車両乗物経路の重なり部分上に位置決めされたときに、第1の車両乗物経路の重なり部分から乗物車両20を受け入れることができる。コースター40は、車両固定機構部36又はコースター固定機構部48を介して乗物車両20を固定した後、コースター乗物経路42に沿って第1の車両乗物経路の重なり部分から第2の車両乗物経路の重なり部分に乗物車両20を移送することができる。従って、コースター40は、異なる車両乗物経路12間及び/又は同じ車両乗物経路の異なる部分間の乗物車両20の移送を促進することができる。
【0034】
遊園地8は、乗物車両20、コースター40、及び乗物システム10上の特徴部に(例えば、有線又は無線特徴部を介して)通信可能に結合される制御システム50を含むことができる。遊園地8は、2以上の制御システム50を含むことができる。例えば、遊園地8は、乗物車両20に関連した1つの制御システム50、コースター40に関連した別の制御システム50、ベースステーション制御システム50及び同様のものを含むことができ、制御システム50の各々が、他の制御システム50に(例えば、それぞれの送受信機又は有線接続を介して)通信可能に結合されるようになる。
【0035】
制御システム50は、何れかの適切な有線接続及び/又は無線接続を介して(例えば、トランシーバを介して)遊園地8の1又は2以上の乗物車両20に通信可能に結合することができる。制御システム50は、遊園地8の様々な態様を制御することができる。例えば、車両乗物経路12の一部の部分において、制御システム50は、乗物車両20の進行方向、速度、及び加速度を制御又は調整し、乗物車両20が車両乗物経路12の重なり部分上で停止することができる。その後、制御システム50は、車両固定機構部36を係合解除して、乗物車両20を車両乗物経路12から結合解除し、車両固定機構部36及び/又はコースター固定機構部48に係合して、乗物車両20をコースター40に結合することができる。次いで、制御システム50は、コースター40を作動させ、乗物車両20を車両乗物経路12の別の部分に又は別の車両乗物経路12に移送するようにすることができる。制御を容易にするために、制御システム50は、センサー組立体34、46からデータを受け取ることができる。一実施形態において、制御システム50は、例えば、送受信機を介してセンサー組立体34及び46それぞれからの乗物車両20及び/又はコースター40に関連したデータを処理するように構成された電気回路を有する電子コントローラとすることができる。更に、制御システム50は、遊園地8(例えば、遊園地アトラクション、遊園地コントローラ、及び無線ネットワーク)の様々な構成要素に通信可能に結合することができる。
【0036】
制御システム50は、メモリデバイス52と、マイクロプロセッサなどのプロセッサ54とを含むことができる。制御システム50はまた、1又は2以上のストレージデバイス56及び/又は他の適切な構成要素を含むことができる。プロセッサ54を使用して、乗物車両20及びコースター40を制御するソフトウェアなどのソフトウェアを実行することができる。更に、プロセッサ54は、複数のマイクロプロセッサ、1又は2以上の「汎用」マイクロプロセッサ、1又は2以上の専用マイクロプロセッサ及び/又は1又は2以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、又はこれらの幾つかの組み合わせを含むことができる。例えば、プロセッサ54は、1又は2以上の縮小命令セット(RISC)プロセッサを含むことができる。
【0037】
メモリデバイス52は、ランダムアクセスメモリー(RAM)などの揮発性メモリ、及び/又は読み取り専用メモリー(ROM)などの不揮発性メモリを含むことができる。メモリデバイス52は、様々な情報を記憶することができ、様々な目的に使用することができる。例えば、メモリデバイス52は、乗物車両20、コースター40及び同様のものの特徴部など、乗物システム10において構成要素を制御する命令など、プロセッサ54が実行するプロセッサ実行可能命令(例えば、ファームウェア又はソフトウェア)を記憶することができる。例えば、命令は、プロセッサ54に対して、乗客22が乗車強化の動きを受けるように乗物車両20及びコースター40の動きを制御させると同時に、乗物体験全体を向上させるために乗客22には見えないように車両乗物経路12の他の部分に乗物車両20を移送させることができる。
【0038】
ストレージデバイス56(例えば、不揮発性メモリ)は、ROM、フラッシュメモリ、ハードドライブ、又は他の何れかの適切な光、磁気、又は半導体記憶媒体、又はこれらの組み合わせを含むことができる。ストレージデバイス56は、データ(例えば、乗客22の情報、遊園地8に関連したデータ、車両乗物経路の軌道に関連したデータ)、命令(例えば、乗物車両20、車両固定機構部36、コースター40及び/又はコースター固定機構部48を制御するソフトウェア又はファームウェア)、及び他の何れかの適切な情報を記憶することができる。
【0039】
乗物システム10は、乗物環境60を含むことができ、乗物環境60は、環境の複数の異なる組み合わせを含むことができる。乗物環境60は、乗物のタイプ(例えば、ダークライド、ウォーターコースター、ジェットコースター、VR体験、又はこれらの何れかの組み合わせ)及び/又は乗物のタイプの関連特性(例えば、テーマ構成)を含む。例えば、乗物環境60は、乗物システム10に関連したテーマ及び/又は体験全体に付加される乗物システム12の態様を含むことができる。
【0040】
乗物システム10は、動きベース環境62を含むことができ、ここで乗客22は、乗物システム10によって移送又は移動される。例えば、動きベース環境62は、平坦乗物64(例えば、実質的に平坦な車両乗物経路12に沿って並進する乗物車両20、又は平坦なコースター乗物経路42に沿って乗物車両20を移送するコースター40によってなど、実質的に地面と概ね整合される平面内で乗客22を移動させる乗物)、重力乗物66(例えば、第1のレベル上の1つの車両乗物経路12と第1のレベルよりも高い第2のレベル上の別の車両乗物経路12の間で乗物車両20を移送するコースター40など、乗客22の動きが重力ベクトルに沿った移動成分を少なくとも有する乗物)、及び/又は垂直乗物68(例えば、固定点に対して垂直面で乗客22を変位させる乗物)を含むことができる。
【0041】
乗物システム10は、静止環境70を含むことができ、ここで乗客22は、乗物システム10によって実質的に移送又は変位されない。例えば、静止環境70は、仮想現実(V/R)特徴部72(例えば、乗客22は、VR環境又は体験を表示する仮想現実(V/R)ヘッドホンを着用しながら、振動又は静止したままである座席に着座することができる)、及び/又は異なる種類のシミュレーション74を含むことができる。一実施形態において、乗物車両20は、車両乗物経路12に沿って停止することができ、これにより、乗物体験は、乗物体験の一部の持続時間にわたって静止環境70の態様を含むことができるようになる。乗客22が、静止環境70において実質的に移動しない間、仮想現実及び/又はシミュレーション効果により、乗客22の方向感覚の喪失を引き起こすことができ、これにより、乗客22により体験される動きベース歪みによって強化及び対比させることができる。このため、乗物システム10は、動きベース環境62と静止環境70の両方を含むことができ、これにより、コースター40は、乗物体験を向上させるのに望ましいものとなることを理解されたい。
【0042】
図2は、本開示の態様による、乗物システム10の一実施形態の概略図である。乗物システム10は、対応する乗物車両20に乗車する乗客22を共通の乗物体験に参加させるために、リンク機構を介して共に結合された複数の乗物車両20を含むことができる。乗物車両20は、互いに結合されない場合があり、その代わりに、例えば、それぞれの及び/又は別個の車両乗物経路12に沿って互いから独立して移動することができる。一実施形態において、乗物車両20は、グループで又は乗物車両20のセットとして共に移動することができる。例えば、乗物車両20の第1のセット(例えば、3つの乗物車両)は、第1の車両乗物経路12に沿って移動することができ、乗物車両20の第2のセット(例えば、5つの乗物車両)は、第2の車両乗物経路12に沿って移動することができる。制御システム50は、乗物車両20に何れかの所望の方法で1又は2以上の車両乗物経路12に沿って進むように指示することができることを理解されたい。
【0043】
車両乗物経路12は、車両進行方向76(すなわち、乗物車両20の進行方向)を定める何れかの特徴部を含むことができる。例えば、車両乗物経路12は、トラック、レール、道路、シュート、又はこれらの何れかの組み合わせを含むことができる。例えば、車両乗物経路12は、線路上の電車と同様に、乗物車両20が車両乗物経路12に沿って進行するときに乗物車両20の移動(例えば、方向、速度、及び/又は方位)を定めることができる。
【0044】
乗物システム10はまた、対応するローラー組立体44を含むコースター40を含むことができる。ローラー組立体44は、コースター乗物経路42に関連するトラック、レール、道路、シュート、又はこれらの何れかの組み合わせと適合することができる。そのために、一実施形態において、コースター40は、コースター乗物経路42によって定められるコースター進行方向78(すなわち、コースター40の進行方向)に沿って進むことができる。例示の実施形態は、それぞれの経路(例えば、トラック)によって定められる車両乗物経路12及びコースター乗物経路42を含むが、乗物車両20、コースター40、又はその両方は、乗物システム10の一部の部分において少なくとも自由に制限のない経路に沿って進むことができることを理解されたい。
【0045】
車両乗物経路12及びコースター乗物経路42は、重なり部分80にて重なり合うことができる。例えば、車両乗物経路12は、コースター乗物経路42を定める平面又は輪郭部と異なる垂直位置に位置決めされた平面又は輪郭部に沿って定めることができる。重なり部分80は、コースター40(例えば、コースター40の上部79)が車両乗物経路12(例えば、車両乗物経路12の下面)に結合して乗物車両20を受け入れることができるように、コースター乗物経路42が車両乗物経路12と交差する部分を指すことができる。代替的に、コースター40(例えば、コースター40の上部79)は、乗物車両20のシャーシ31に結合することができる。コースター40が乗物車両20を受け入れて固定した後、制御システム50は、コースター乗物経路42に沿って、例えば、コースター進行方向78に沿って乗物車両20を移送する信号をコースター40に送信することができる。
【0046】
図3は、本開示の態様による、乗物システム10において動作する乗物車両20及びコースター40の実施形態の概略図であり、車両進行方向76に沿って進む乗物車両20を示す。議論を容易にするために、以下の説明では、長手方向軸82、横方向軸84、及び垂直軸86を含む座標系81に言及することができ、座標系81の軸は、互いに対して略直交する。例示の実施形態において、車両進行方向76は、長手方向軸82に実質的に平行に又はこれに沿って配向される。
【0047】
制御システム50は、乗物車両20に、車両進行方向76で車両乗物経路12に沿って進み、減速して重なり部分80にて停止するように指示することができる。乗物車両20が減速して停止すると、制御システム50は、コースター40を車両乗物経路12の下方のコースター乗物経路42上で及び重なり部分80にて位置決めするようにコースター40を作動させる信号をコースター40に送ることができる。このようにして、コースター40は、乗物車両20に結合する準備を完了することができる。乗物車両20は、乗物車両20が重なり部分80上で所望の位置にて停止することを可能にする停止装置を含むことができる。代替的に又は付加的に、停止装置は、車両固定機構部36及びコースター固定機構部48とは別個とすることができる。例えば、ローラー組立体32は、車両乗物経路12上で乗物車両20を減速するように構成されたブレーキシステムに関連づけることができる。
【0048】
上述のように、コースター40は、コースター進行方向78に沿って進むことができる。例示するように、コースター進行方向78は、横方向軸84に実質的に平行に又はそれに沿って配向される。図3図5に示す実施形態は、コースター乗物経路42を車両乗物経路12に実質的に垂直に配向されるように描いているが、コースター乗物経路42は、車両乗物経路12に対してあらゆる角度に配向させることができることを理解されたい。例えば、コースター40は、コースター進行方向78でコースター乗物経路42に沿って進み、重なり部分80上で減速して停止(例えば、ブレーキシステムによって)することができる。制御システム50は、乗物車両20、コースター40及びこれらの対応する特徴部など、乗物システム10の態様に通信可能に結合することができる。このようにして、制御システム50は、スリルがあり体験を強化した方法で車両乗物経路12に沿って重なり部分に乗物車両20を(コースター40を使用することによって)移送するように乗物車両20及びコースター40の動きを調整することができる。
【0049】
このため、図4は、本開示の態様による、乗物車両20を車両乗物経路12から受け入れるコースター40の一実施形態の概略図である。制御システム50は、信号を乗物車両20又は車両乗物経路12のブレーキシステムに送り、乗物車両20を減速させて(例えば、乗物車両20が、停止時に重なり部分80上に位置決めされるように)車両乗物経路12上で所望の位置にて停止することができる。制御システム50は、別の信号をコースター40に送り、コースター40がコースター乗物経路42に沿って進み、重なり部分80にて減速して停止させることができる。実際に、制御システム50は、コースター40及び乗物車両20の動作を調整し、コースター40及び乗物車両20が同時に重なり部分80に減速することができるようにする。代替的に、制御システム50は、乗物車両20が重なり部分80にて減速して停止する前にコースター40を重なり部分80にて位置決めするように指示することによって、コースター40及び乗物車両20の動作を調整することができる。このようにして、コースター40は、乗物車両20を受け入れて固定する準備を完了することができる。
【0050】
乗物車両20が重なり部分80にて減速して停止した後、制御システム50は、信号を乗物車両20の特徴部及び/又は重なり部分80上の車両乗物経路12のトラックに送り、乗物車両20を車両乗物経路12から結合解除することができる。制御システム50は、車両乗物経路12のトラックに長手方向軸82の周りで回転するように指示することができ、乗物車両20が車両乗物経路12から出てコースター40上に滑動するようになる。
【0051】
一実施形態において、車両固定機構部36は、係合時に、車両乗物経路12を定めるトラックの方向に沿った(例えば、車両進行方向76に沿った)移動に乗物車両20を制限する抑制システムを含むことができる。制御システム50は、乗物車両20が車両乗物経路12のトラックに対して自由に移動するように車両固定機構部36に係合解除するように指示することができる。このようにして、乗物車両20は、車両乗物経路12から結合解除することができ、コースター40が乗物車両20を受け入れて乗物車両20をコースター40に固定できるようにする。
【0052】
コースター40は、車両乗物経路12から乗物車両20を受け入れた後、コースター固定機構部48を介して乗物車両20をコースター40(例えば、コースター40の上部79)に固定する命令を示す信号を(例えば、制御システム50から)受信することができる。代替的に、コースター40(例えば、コースター40の上部79)は、乗物車両20のシャーシ31に結合することができる。上述のように、車両固定機構部36及びコースター固定機構部48は、雌雄固定構成83を含むことができ、車両固定機構部36及びコースター固定機構部48が係合されたときに、雄構成部が雌構成部に結合され、乗物車両20をコースター40に固定するようにする。このようにして、乗物車両20は、車両乗物経路12への結合からコースター40への固定に移行することができる。
【0053】
コースター40の動作及び機能の例示を続けるために、図5は、本開示の態様による、乗物車両20をコースター乗物経路42に沿って車両乗物経路12の別の部分に移送するコースター40の一実施形態の概略図である。例示するように、コースター40が乗物車両20を受け入れて固定した後、制御システム50は、コースター40にコースター乗物経路42(例えば、コースター進行方向78に沿って)に沿って進み、乗物車両20を車両乗物経路12の別の部分に移送するように指示することができる。例えば、制御システム50は、コースター40が乗物車両20を受け取った重なり部分80と異なる別の重なり部分に進むようにコースター40に指示することができる。このようにして、2つの重なり部分80間の車両乗物経路12一部は、(例えば、保守のために、体験を向上させるため、テーマ構成のため及び同様のもの)回避することができる。換言すると、本明細書で説明するようなコースター40及びコースター乗物経路42の利用は、乗物車両20が車両乗物経路12の特定のセグメントに沿って進むことなく、乗物車両経路12の異なる部分への乗物車両20の移送を可能にする。
【0054】
上述のように、コースター40は、乗物車両20内の乗客22から隠れたままとすることができ(例えば、コースター40は、車両乗物経路12の下方のフロア内に位置決めすることができるので)、乗客22は、乗物車両を車両乗物経路12から離れて車両乗物経路12に戻るように移送するのに使用される機構部に気付くことができないようになっている。例えば、表面41は、コースター40を乗客22からマスクするために車両乗物経路12と同じ高さとすることができる。
【0055】
コースター40が乗物車両20を他の重なり部分に移送したことに応答して、制御システム50は、別のコースター40を重なり部分80上に位置決めすることができる。他のコースター40は、別の乗物車両20に結合する準備が完了している重なり部分80上にあることができる。このようにして、複数のコースター40が互いに調整して、乗物システム10において動作する多くの乗物車両20を移送することができる。
【0056】
コースター40が乗物車両20を他の重なり部分に移送した後、制御システム50は、車両固定機構部36又はコースター固定機構部48を係合解除し、乗物車両20をコースター40から結合解除することができる。制御システム50はまた、車両固定機構部36に対して、乗物車両20を車両乗物経路12に結合し固定するように指示することができる。すなわち、制御システム50は、上述のように、ロック機構部と再係合する信号をロック機構部に送り、乗物車両20を車両乗物経路12に固定して、車両乗物経路12に沿った乗物車両20の動きを可能にする。図3図5は、長手方向軸82及び横方向軸84に沿った乗物車両20の動きを示しているが、本明細書で開示される技法を使用して、乗物車両20の垂直方向の移動を(例えば、車両乗物経路12を介して及び/又はコースター乗物経路42を介して)促進することができることを理解されたい。
【0057】
そのために、図6図8は、本開示の態様による、乗物車両20の垂直方向の移動を可能にするために乗物システム10の一実施形態において動作するコースター40及び乗物車両20の概略図を示す。詳細には、図6は、車両乗物経路12間での垂直進行方向90に沿った乗物車両20の動きを促進するために乗物システム10において動作する乗物車両20及びコースター40の一実施形態の概略図である。図7は、本開示の態様による、車両乗物経路12から乗物車両20を受け入れるコースター40の一実施形態の概略図である。図8は、本開示の態様による、乗物車両20をコースター乗物経路42に沿って車両乗物経路12の別の部分に垂直方向に移送するコースター40の一実施形態の概略図である。図6図8について以下で同時に論じる。
【0058】
乗物車両20は、何れかの数の車両固定機構部36を含むことができる。例えば、上述のように、乗物車両20は、乗物車両20の下側上に(例えば、シャーシ31上に)1つの車両固定機構部36を含むことができる。更に、乗物車両20は、乗物車両20の横方向側92上に別の車両固定機構部36を含むことができる。このようにして、乗物車両20の横方向側92は、コースター40に結合することができ、乗物車両20が、コースター40が乗物車両20を垂直進行方向90に沿って垂直方向に移送する間にコースター40に固定されたままであるようにする。
【0059】
コースター40は、乗物車両20が車両乗物経路12上の重なり部分80に接近するときに、重なり部分80上に位置決めすることができる。制御システム50が、乗物車両20に対して、重なり部分80上に減速して停止するように指示した後、制御システム50は、コースター固定機構部48に、横方向側92上で車両固定機構部36に結合するように指示することができる。制御システム50はまた、乗物車両20の下面上の車両固定機構部36に対して、車両乗物経路12から(例えば、車両乗物経路12のトラックから)結合解除するように指示することができる。
【0060】
乗物車両20がコースター40に結合されて固定された後、及び乗物車両20が車両乗物経路12から結合解除された後、制御システム50は、コースター40を作動させる信号をコースター40に送り、コースター乗物経路42に沿って(例えば、垂直進行方向90に沿って)進み、これによりコースター40が乗物車両20を受け取った車両乗物経路12の場所に対して別の垂直距離で位置決めされた車両乗物経路12の別の部分に乗物車両20を移送するようにすることができる。例えば、制御システム50は、コースター40に対して、コースター40が乗物車両20を受け取った重なり部分80と異なる別の重なり部分に進むように指示することができる。このようにして、車両乗物経路12の一部は、(例えば、保守のため、体験を向上させるため、テーマ構成のため及び同様のもの)回避することができる。
【0061】
上述のように、コースター40は、表面41によって乗物車両20内の乗客22(図1及び図2)から隠すことができ(例えば、コースター40は、車両乗物経路12が位置決めされる壁部の内側に位置決めすることができるので)、乗客22は、乗物車両20を車両乗物経路12から離れて車両乗物経路12の別の部分に、或いは別のフロア又は別の垂直方向位置に位置決めされた乗物経路に垂直方向に移送するのに使用された機構部に気付くことができないようになる。
【0062】
コースター40が乗物車両20を他の重なり部分に移送したことに応答して、制御システム50は、別のコースター40を重なり部分80上に位置決めすることができる。他のコースター40は、別の乗物車両20に結合する準備が完了した重なり部分80上にあることができる。このようにして、複数のコースター40は、互いに調整して、乗物システム10において動作する多くの乗物車両20を移送することができる。
【0063】
コースター40が乗物車両20を別の重なり部分に移送した後、制御システム50は、車両固定機構部36及び/又はコースター固定機構部48を係合解除し、乗物車両20をコースター40から結合解除することができる。制御システム50はまた、車両固定機構部36に乗物車両20を車両乗物経路12に係合し固定するように指示することができる。すなわち、制御システム50は、上述のように、信号を固定機構部に送り、車両固定機構部36の固定機構部と再係合し、これによって、乗物車両20を車両乗物経路12に固定して、車両乗物経路12に沿った乗物車両20の動きを可能にする。
【0064】
図9は、本開示の態様による、1又は2以上のコースター乗物経路42及び1又は2以上の車両乗物経路12を含む乗物システム10の実施形態のグラフィック表現100である。上述のように、車両乗物経路12及びコースター乗物経路42は、複数の重なり部分80にて互いに重なり合うことができる。例証を容易にするために、グラフィック表現100において、車両乗物経路12は実線で表され、コースター乗物経路42は点線で表され、制御システム50との通信は、一点鎖線で表され、重なり部分80は、実線の正方形として表される。更に、車両乗物経路20及び/又はコースター乗物経路42に沿った乗物車両20の進行方向は、車両乗物経路12及びコースター乗物経路42に沿って矢印で定められる。しかしながら、車両乗物経路12及び/又はコースター乗物経路42は、双方向性とすることができ、或いは、図示と反対の方向の乗物車両20の動きを可能にするように構成できることを理解されたい。
【0065】
乗物システム10は、乗物乗客22(図1図2)が乗物車両20(図1図8)に乗車する前に待ち行列で待機することができる乗物ステーション102を含むことができる。例えば、乗物車両20は、車両乗物経路12及びコースター乗物経路42に沿って進んだ後、車両乗物経路12のブレークラン104に沿って減速し、乗物ステーション102で停止することができる。乗物乗客22は、乗物車両20から退出して、(例えば、待ち行列で待機している)乗物乗客22の次のセットが乗物車両20に進入し、乗物システム10のスリルのある体験を経験することができる。
【0066】
上述のように、乗物車両20は、制御システム50から制御信号を受け取り、車両乗物経路12に沿った乗物車両20の動きを駆動し、乗物車両20の動きをコースター40の動きと調整して、コースター乗物経路42を経由した1つの重なり部分80から別の重なり部分80への乗物車両20の移送を可能にすることができる。このようにして、車両乗物経路12の一部又はコースター乗物経路42の一部は、乗物車両20によって(例えば、テーマを強化する理由で、保守の目的でなど)回避することができる。
【0067】
一例として、乗物車両20は、コースター乗物経路42の第1の部分106に沿ってコースター40によって移送することができる。コースター40は、第1の重なり部分110で停止することができ、乗物車両20は、コースター40から結合解除することができ、乗物車両20は、車両乗物経路12に結合して、車両乗物経路12の第1の部分112に沿って進むことができる。その後、乗物車両20は、第2の重なり部分114上で減速し停止することができ、乗物車両20は、車両乗物経路12から結合解除されて、コースター40に結合し、コースター乗物経路42の第2の部分116に沿ってコースター乗物経路42に沿って進み続けることができる。このようにして、コースター乗物経路42の(例えば、第1の部分106と第2の部分116との間に位置決めされて延びる)第3の部分118は、乗物車両20によって回避することができる。
【0068】
代替的に、制御システム50が乗物車両20を移送するようにコースター40を制御している間、コースター40は、第1の重なり部分110又は第2の重なり部分114上で停止せずに、代わりに、コースター乗物経路42に沿って進み続けることができる。このようにして、車両乗物経路12の第1の部分112を回避することができる。換言すると、乗物車両20は、車両乗物経路12の第1の部分112に沿って進まないようにすることができる。グラフィック表現100は、共通平面に沿った乗物車両20の動きを全体的に示しているが、本発明の技法を使用して、(例えば、車両乗物経路12の特定の部分を回避するか、又はスリルがある独自の体験を乗客22に提供するために)様々なフロアに沿ってこれらの間で乗物車両20を移送することができることを理解されたい。
【0069】
更に、乗物システム10は、保守施設130を含むことができる。例えば、乗物車両20又はコースター40が保守の期限であるときには、乗物車両20又はコースター40それぞれの進行路を方向転換して、乗物車両20又はコースター40を保守施設130に導くことができ、ここで乗物車両20又はコースター40を整備することができる。保守施設130は、(例えば、乗物車両20、コースター40、車両乗物経路12及び/又はコースター乗物経路42を整備するための)様々な保守設備、追加のコースター40、追加の乗物車両20などを保管することができる。
【0070】
図10は、本開示の態様による、乗物車両(図1図8)を車両乗物経路(図1図8)の1つの部分から車両乗物経路12の別の部分に移送する方法の一実施形態の流れ図である。流れ図200のプロセスは、上述した制御システム50(図1図9)のコントローラなど、プロセッサベースのデバイスによって実施することができる。
【0071】
上記のことを念頭に入れて、制御システム50は、コースター40に信号を送り、コースター乗物経路42(図1図9)(例えば、コースタートラック)上で動作するコースター40を作動させ(プロセスブロック202)、コースター40を移動して車両乗物経路12(図1図9)と目標位置(すなわち、コースター乗物経路42及び車両乗物経路12[図2図9]の重なり部分80)にて交差させることができる。コースター40は、乗物車両20を車両乗物経路12から受け入れるまで重なり部分80にて留まることができる。
【0072】
コースター40が重なり部分80にある間、制御システム50は、乗物車両20に信号を送り乗物車両20を減速して重なり部分80上に又はそこに停止させることによって、乗物車両20の動きを制御することができる。すなわち、制御システム50は、乗物車両20を重なり部分80上に及びコースター40上に(又はその近傍に)位置決めすることができる(プロセスブロック204)。乗物車両20及びコースター40の両方が重なり部分80にあるときに、コースター40は、乗物車両20の下方に(例えば、乗物車両20をコースター乗物経路42に沿って移送するために)位置決めすることができる。一実施形態において、乗物車両20及びコースター40の両方が重なり部分80にあるときに、コースター40は、乗物車両20の横方向側に(例えば、コースター乗物経路42に沿った垂直方向の移動を実行するために)位置決めすることができる。
【0073】
コースター40が重なり部分80にある間、制御システム50は、信号を車両固定機構部36に送り、車両固定機構部36(図1図3図8)を係合解除させて、乗物車両20を車両乗物経路12から結合解除することができる。制御システム50はまた、車両固定機構部36及び/又はコースター固定機構部48を係合する信号を送り、乗物車両20をコースター40に結合し固定することができる。すなわち、制御システム50は、上述のように、固定機構部が係合して乗物車両20をコースター40に固定することができる(プロセスブロック206)。
【0074】
制御システム50が乗物車両20をコースター40に固定した後、制御システム50は、信号をコースター40に送り、乗物車両20をコースター乗物経路42に沿って車両乗物経路12の別の部分に又は別の別個の車両乗物経路12に移送するようにコースター40を作動させる(プロセスブロック208)ことができる。例えば、制御システム50は、コースター40に対して、重なり部分80とは異なる、コースター40が乗物車両20を車両乗物経路12から受け取った別の重なり部分に(例えば、長手方向軸82[図3図8]、横方向軸84[図3図8]及び/又は垂直軸86[図3図8]に沿って)進むように指示することができる。このようにして、車両乗物経路12の一部は、(例えば、保守の目的で、体験を向上させる目的で、テーマ構成の目的で、その他)回避することができる。換言すると、乗客22を楽しませるための乗物車両20の使用及び動作は、車両乗物経路12の一部を利用することなく継続することができる。
【0075】
別の重なり部分に移送された後、制御システム50は、車両固定機構部36及び/又はコースター固定機構部48を係合解除して、乗物車両20をコースター40から解放することができる。制御システム50はまた、車両固定機構部36に信号を送り、車両固定機構部36が、乗物車両20を車両乗物経路12に結合して固定させることができる。すなわち、制御システム50は、上述のように、固定機構部が再係合させ、乗物車両20を車両乗物経路12に固定して、車両乗物経路12に沿った乗物車両20の動きを可能にすることができる(プロセスブロック212)。
【0076】
本開示のある特定の特徴のみを本明細書に図示して説明したが、当業者には多くの修正及び変更が想起されるであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、全てのこのような修正及び変更を本発明の開示の真の精神に該当するとして網羅するように意図していることを理解されたい。
【0077】
本開示の技術的な効果は、車両乗物経路に沿って進むように構成された乗物車両を含み且つコースター乗物経路に沿って進むように構成されたコースターを含む乗物システムを含む。コースター乗物経路は、第1の端部及び第2の端部によって定めることができ、第1の端部は、第1の重なり部分にて車両乗物経路と交差し、第2の端部は、第2の重なり部分にて車両乗物経路と交差する。このようにして、コースターは、車両乗物経路の第1及び第2の部分の間を進み、車両乗物経路に沿ってではなく、コースター乗物経路に沿って車両乗物経路の第1及び第2の部分の間で乗物車両を移送することができる。このようにして、コースターは、フロア間で、別個の乗物経路間で、及び/又は単一の乗物経路の部分間で乗物車両を移送することができる。その結果、車両乗物経路の第1及び第2の部分間の車両乗物経路のセクションは、例えば、車両乗物経路の第1及び第2の部分間の当該セクションの保守を促進するため、又は体験を向上させる目的で、乗物システムの特定の運行中に回避することができる。
【0078】
本明細書は、最良の形態を含む実施例を用いて本開示を説明し、また、あらゆる当業者が、あらゆるデバイス又はシステムを実施及び利用すること並びにあらゆる組み込み方法を実施することを含む本開示を実施することを可能にする。本開示の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を有する場合、又は請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。
【0079】
本明細書で提示され特許請求された技術は、本技術分野を明らかに改善する有形物及び実際的な性質の具体例に参照され適用され、このため、抽象的、無形又は純粋に理論上のものではない。更に、本明細書に添付されたあらゆる請求項は、「ある機能を実行する手段」又は「ある機能を実行するステップ」として指定された1又は2以上の要素を包含する場合には、このような要素は、米国特許法第112条第6項に基づいて解釈されることを意図している。しかしながら、他の何れかの様態で指定された要素を含む何れかの請求項については、このような要素は、米国特許法第112条(f)に基づいて解釈されないものとする。
【符号の説明】
【0080】
10 乗物システム
12 車両乗物経路
20 乗物車両
31 シャーシ
32 ローラー組立体
36 車両固定機構部
40 コースター
42 コースター乗物経路
48 コースター固定機構部
50 制御システム
76 車両進行方向
78 コースター進行方向
80 重なり部分
81 座標系
82 長手方向軸
84 横方向軸
86 垂直軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10