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  • 特許-ガスタービンスワール検出 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】ガスタービンスワール検出
(51)【国際特許分類】
   F02C 9/00 20060101AFI20240827BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20240827BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20240827BHJP
   F23R 3/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
F02C9/00 B
F01D25/00 V
F01D25/00 W
F01D25/00 X
F02C7/00 A
F02C7/00 D
F23R3/00 E
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021570161
(86)(22)【出願日】2020-05-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-06
(86)【国際出願番号】 US2020033320
(87)【国際公開番号】W WO2020263453
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】16/451,941
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】307026857
【氏名又は名称】エレクトリック パワー リサーチ インスチテュート インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【弁理士】
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】アンジェロ レオナルド
(72)【発明者】
【氏名】エマーソン ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】リューウェン ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】ノーブル デイヴィッド
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-232643(JP,A)
【文献】特開2006-144796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 9/00
F01D 25/00
F02C 7/00
F23R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
命令が格納された非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記命令は、
ガスタービンのベーススワール及び相対スワールを計算するステップのために1又は2以上のプロセッサによって実行可能であ
前記相対スワールを計算するステップは、前記ベーススワールと基準スワールとの間の差を計算するステップを含み、
基準データベースは、ガスタービン負荷の関数としてのベーススワールデータでリアルタイムに更新される、
非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項2】
前記ベーススワールを計算するステップは、(a)前記ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅、及び/又は(b)前記ガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度を計算するステップを含む、請求項1に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項3】
前記ベーススワールを計算するステップは、(a)前記ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅、及び(b)前記ガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度を計算するステップを含む、請求項1に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項4】
前記ベーススワールを計算するステップは、前記ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅と前記ガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度との間の平均角度オフセットを判定するステップを含み、前記平均角度オフセットは、ガスタービン負荷の関数である、請求項1に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項5】
前記ベーススワールを計算するステップは、前記ガスタービン内の圧力振幅を測定するステップと、前記圧力振幅を式:A*e^(i*Θd)に適合させるステップとを含み、Aは定数係数、iは-1の平方根、eはオイラー数、Θdは測定圧力振幅の角位相である、請求項1に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項6】
前記ベーススワールを計算するステップは、前記ガスタービン内の平均-減算ガス経路温度を測定し、前記平均-減算ガス経路温度を式:B*e^(i*Θt)に適合させるステップを含み、Bは定数係数、iは-1の平方根、eはオイラー数、Θtは測定平均-減算ガス経路温度の角位相である、請求項1に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項7】
前記ベーススワールを計算するステップは、前記ガスタービン内の圧力振幅を測定するステップと、前記圧力振幅を式:A*e^(i*Θd)に適合させるステップとを含み、Aは定数係数、iは-1の平方根、eはオイラー数、Θdは測定圧力振幅の角位相であり、前記ベーススワールを計算するステップは、第2のスワールを計算するステップを含み、前記第2のスワールは、2*π*(Θt-Θd)である、請求項6に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項8】
前記ベーススワールを計算するステップは、前記ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅と前記ガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度との間の平均角度オフセットを判定するステップを含み、前記平均角度オフセットは、前記第2のスワールと相互相関する、請求項7に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項9】
前記基準スワールは基準データベースから取得され、前記基準スワールは、タービン負荷に基づいて選択され、前記基準スワールは、複数のサンプルに関する平均-減算排気温度パターンを含む、請求項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項10】
前記相対スワールは、相互相関シフトに等しく、前記相互相関シフトは、前記ベーススワールと前記基準スワールとの間に最も高い相関係数を与える位相シフトである、請求項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項11】
メモリに接続された少なくとも1つのプロセッサと、請求項1に記載のコンピュータ可読媒体とを含むコンピュータシステムと、
少なくとも1つのガスタービンと、を備えるガスタービンシステムであって。
前記コンピュータシステムは、少なくとも1つの熱電対からリアルタイムのデータ入力を受け取るように構成され、前記コンピュータシステムは、少なくとも1つの圧力センサからリアルタイムのデータ入力を受け取るように構成される、ガスタービンシステム。
【請求項12】
ガスタービンのメンテナンス方法であって、
ガスタービン内の修理又は交換が必要な燃焼器を特定するステップと、
前記燃焼器を修理又は交換するステップと、
を含み、
前記特定するステップは、熱電対から修理又は交換が必要な燃焼器までのガス経路を関連付けるために、前記ガスタービンのベーススワールを計算するステップと、前記ガスタービンの相対スワールを計算するステップとを含
前記相対スワールを計算するステップは、前記ベーススワールと基準スワールとの間の差を計算するステップを含み、
基準データベースは、ガスタービン負荷の関数としてのベーススワールデータでリアルタイムに更新される、
ガスタービンのメンテナンス方法。
【請求項13】
前記ベーススワールを計算するステップは、(a)前記ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅、及び/又は(b)前記ガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度を計算するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ベーススワールを計算するステップは、(a)前記ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅、及び(b)前記ガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度を計算するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記ベーススワールを計算するステップは、前記ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅と前記ガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度との間の平均角度オフセットを判定するステップを含み、前記平均角度オフセットは、ガスタービン負荷の関数である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記ベーススワールを計算するステップは、前記ガスタービン内の圧力振幅を測定するステップと、前記圧力振幅を式:A*e^(i*Θd)に適合させるステップとを含み、Aは定数係数、iは-1の平方根、eはオイラー数、Θdは測定圧力振幅の角位相である、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記ベーススワールを計算するステップは、前記ガスタービン内の平均-減算ガス経路温度を測定するステップと、前記平均-減算ガス経路温度を式:B*e^(i*Θt)に適合させるステップとを含み、Bは定数係数、iは-1の平方根、eはオイラー数、Θtは測定平均-減算ガス経路温度の角位相である、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記ベーススワールを計算するステップは、前記ガスタービン内の圧力振幅を測定するステップと、前記圧力振幅を式:A*e^(i*Θd)に適合させるステップとを含み、ここで、Aは定数係数、iは-1の平方根、eはオイラー数、Θdは測定圧力振幅の角位相であり、前記ベーススワールを計算するステップは、第2のスワールを計算するステップを含み、前記第2のスワールは、2*π*(Θt-Θd)である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ベーススワールを計算するステップは、前記ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅と前記ガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度との間の平均角度オフセットを判定するステップを含み、前記平均角度オフセットは、前記第2のスワールと相互相関する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
記基準スワールは基準データベースから取得され、前記基準スワールは、タービン負荷に基づいて選択され、前記基準スワールは、複数のサンプルに関する平均-減算排気温度パターンを含み、前記相対スワールは、相互相関シフトに等しく、前記相互相関シフトは、前記ベーススワールと前記基準スワールとの間の最も高い相関係数を与える位相シフトである、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンスワール検出に関する。
【背景技術】
【0002】
発電用ガスタービンシステムは、タービンの上流側に周方向に配置された複数の燃焼器を含む場合がある。これらの燃焼器は、ガスタービンシステムの健全性を示すことができる排気温度パターンを形成することができる。また、この温度パターンは、タービン内の修理又は交換が必要であろう個別の燃焼器を特定することができ、タービン内の排気ガスのスワールの知識は修理に役立つ。
【0003】
スワールは、他の燃焼器の下流の所定の燃焼器で発生する排気パターンの変位の結果である。一部の燃焼器は、異常な動作時に比較的高温又は低温のガスストリークを放出する場合がある。異常に高温又は低温のガスストリークは、問題がある燃焼器を示す場合がある。燃焼器の修理又は交換を効率的に行うには、問題がある燃焼器を特定する必要がある。このことは、ガスタービン内のスワールパターンを特定することで支援することができる。
【0004】
ガスタービンからの排気温度は、タービンの下流に配置された周方向配列の熱電対で測定することができる。これらの値は、タービン全体の性能に関する情報だけでなく、1つのセンサから次のセンサへの偏差が、高温又は低温セクションの「健全性の問題」に関する情報を提供する。1つの燃焼器が不正確に動作するか又は損傷を受けている場合、その排気は平均より高温又は低温になる可能性があり、排気の無視できない温度偏差につながる。しかしながら、燃焼器から出てタービンを通過する際に流れが回転するため、スワールが発生する。スワール量を特定する装置及び/又はプロセスは、測定された温度の方位角位置を特定するのを助けることができ、スワール量は、その温度が生じた燃焼器に関連付けることができる。従来、スワール情報は、ガスタービンの製造業者のみから入手可能であり、エンジン間で及びエンジンの動作条件によって様々である。スワール情報は、どの燃焼器が高温又は低温の排気経路の原因になうかを特定するために使用され、従って、故障機械の迅速な診断及び修理及び/又は健全性の監視に有効である。このアルゴリズムは、ガスタービン動作データからオンラインでスワールを特定することを可能にし、スワール情報が得られない場合に重要である。
【0005】
スワール情報を利用することは、測定された温度データを関心のある特定の構成要素に関連付けるのに役立てることができる。さらに、スワール量は、ガスタービンの経年変化によって変化する場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本主題は、命令が格納された非一時的なコンピュータ可読媒体に関し、命令は、ガスタービンのベーススワールを計算し、ガスタービンの相対スワールを計算するために、1又は2以上のプロセッサによって実行可能である。
【0007】
また、本主題は、ガスタービンのメンテナンス方法に関し、本方法は、ガスタービン内の修理又は交換が必要な燃焼器を特定するステップと、燃焼器を修理又は交換するステップとを含み、特定するステップは、熱電対から修理又は交換が必要な燃焼器までのガス経路を関連付けるために、ガスタービンのベーススワールを計算するステップと、ガスタービンの相対スワールを計算するステップとを含む。
【0008】
本主題は、動作条件の関数として最新のスワール数を判定することによってスワール情報を提供し、これにより、ガスタービンシステムから入手可能な標準データからスワールを判定することができ、ユーザがデータから健全性評価を行うことができるようにする。
【0009】
本主題の実施形態は、添付の図面を参照して開示されており、例示のみを目的としている。本主題の用途は、図示された構成要素の構造の詳細又は配置に限定されるものではない。本明細書では、「少なくとも1つ」は、1又は2以上を意味し、「及び/又は」は、記載された要素が排他的に又は組み合わせて含まれる可能性があることを意味する。また、特段の指示がない限り、同様の構成要素を示すために同様の参照数字が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本主題の特定の実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の主題の以下の実施形態が想定される。
【0012】
1.命令が格納された非一時的なコンピュータ可読媒体であって、命令は、
ガスタービンのベーススワールを計算するステップと、
ガスタービンの相対スワールを計算するステップと、
のために1又は2以上のプロセッサによって実行可能である、
非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0013】
2.ベーススワールを計算するステップは、(a)ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅、及び/又は(b)ガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度を計算するステップを含む、実施形態1の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0014】
3.ベーススワールを計算するステップは、(a)ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅、及び(b)ガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度を計算するステップを含む、実施形態1又は2の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0015】
4.ベーススワールを計算するステップは、ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅とガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度との間の平均角度オフセットを判定するステップを含む、実施形態1から3のいずれか1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0016】
5.平均角度オフセットは、ガスタービン負荷の関数である、実施形態4の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0017】
6.ベーススワールを計算するステップは、ガスタービン内の圧力振幅を測定するステップと、圧力振幅を式:A*e^(i*Θd)に適合させるステップとを含み、Aは定数係数、iは-1の平方根、eはオイラー数、Θdは測定圧力振幅の角位相である、実施形態1から5のいずれか1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0018】
7.ベーススワールを計算するステップは、ガスタービン内の平均-減算ガス経路温度を測定するステップと、平均-減算ガス経路温度を式:B*e^(i*Θt)に適合させるステップとを含み、Bは定数係数、iは-1の平方根、eはオイラー数、Θtは測定平均-減算ガス経路温度の角位相である、1から6のいずれかの実施形態の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0019】
8.ベーススワールを計算するステップは、ガスタービン内の圧力振幅を測定するステップと、圧力振幅を式:A*e^(i*Θd)に適合させるステップとを含み、Aは定数係数、iは-1の平方根、eはオイラー数、Θdは測定圧力振幅の角位相である、実施形態7の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0020】
9.ベーススワールを計算するステップは、第2のスワールを計算するステップを含み、第2のスワールは、2*π*(Θt-Θd)である、実施形態8の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0021】
10.ベーススワールを計算するステップは、ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅とガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度との間の平均角度オフセットを判定するステップを含み、平均角度オフセットは、第2のスワールと相互相関する、実施形態9の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0022】
11.基準データベースは、ガスタービン負荷の関数としてのベーススワールデータでリアルタイムに更新される、実施形態1から10のいずれか1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0023】
12.相対スワールを計算するステップは、ベーススワールと基準スワールとの間の差を計算するステップを含む、実施形態1から11のいずれか1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0024】
13.基準スワールは基準データベースから取得され、基準スワールは、タービン負荷に基づいて選択される、実施形態12の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0025】
14.基準スワールは、複数のサンプルに関する平均-減算排気温度パターンを含む、実施形態12又は13の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0026】
15.相対スワールは、相互相関シフトに等しく、相互相関シフトは、ベーススワールと基準スワールとの間に最も高い相関係数を与える位相シフトである、実施形態12から14のいずれか1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0027】
16.メモリに接続された少なくとも1つのプロセッサと、実施形態1から15のいずれか1つの非一時的なコンピュータ可読媒体とを備えるコンピュータシステム。
【0028】
17.少なくとも1つのガスタービンと、実施形態16のコンピュータシステムとを備えるガスタービンシステム。
【0029】
18.少なくとも1つの熱電対からリアルタイムのデータ入力を受け取るように構成される、実施形態17のガスタービンシステム。
【0030】
19.少なくとも1つの圧力センサからリアルタイムのデータ入力を受け取るように構成される、実施形態17又は18のガスタービンシステム。
【0031】
20.ガスタービンのメンテナンス方法であって、
ガスタービン内の修理又は交換が必要な燃焼器を特定するステップと、
燃焼器を修理又は交換するステップと、
を含み、
特定するステップは、熱電対から修理又は交換が必要な燃焼器までのガス経路を関連付けるために、ガスタービンのベーススワールを計算するステップと、ガスタービンの相対スワールを計算するステップとを含む、
ガスタービンのメンテナンス方法。
【0032】
21.ベーススワールを計算するステップは、(a)ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅、及び/又は(b)ガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度を計算するステップを含む、実施形態20の方法。
【0033】
22.ベーススワールを計算するステップは、(a)ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅、及び(b)ガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度を計算するステップを含む、実施形態20又は21の方法。
【0034】
23.ベーススワールを計算するステップは、ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅とガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度との間の平均角度オフセットを判定するステップを含む、実施形態20から22のいずれか1つの方法。
【0035】
24.平均角度オフセットは、ガスタービン負荷の関数である、実施形態23の方法。
【0036】
25.ベーススワールを計算するステップは、ガスタービン内の圧力振幅を測定するステップと、圧力振幅を式:A*e^(i*Θd)に適合させるステップとを含み、Aは定数係数、iは-1の平方根、eはオイラー数、Θdは測定圧力振幅の角位相である、実施形態20から24のいずれか1つの方法。
【0037】
26.ベーススワールを計算するステップは、ガスタービン内の平均-減算ガス経路温度を測定するステップと、平均-減算ガス経路温度を式:B*e^(i*Θt)に適合させるステップとを含み、Bは定数係数、iは-1の平方根、eはオイラー数、Θtは測定平均-減算ガス経路温度の角位相である、実施形態20から25のいずれか1つの方法。
【0038】
27.ベーススワールを計算するステップは、ガスタービン内の圧力振幅を測定するステップと、圧力振幅を式:A*e^(i*Θd)に適合させるステップとを含み、Aは定数係数、iは-1の平方根、eはオイラー数、Θdは測定圧力振幅の角位相である、実施形態26の方法。
【0039】
28.ベーススワールを計算するステップは、第2のスワールを計算するステップを含み、第2のスワールは、2*π*(Θt-Θd)である、実施形態27の方法。
【0040】
29.ベーススワールを計算するステップは、ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅とガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度との間の平均角度オフセットを判定するステップを含み、平均角度オフセットは、第2のスワールと相互相関する、実施形態28の方法。
【0041】
30.基準データベースは、ガスタービン負荷の関数としてのベーススワールデータでリアルタイムに更新される、実施形態20から29のいずれか1つの方法。
【0042】
31.相対スワールを計算するステップは、ベーススワールと基準スワールの間の差を計算するステップを含む、実施形態20から30のいずれか1つの方法。
【0043】
32.基準スワールは基準データベースから取得され、基準スワールは、タービン負荷に基づいて選択される、実施形態31の方法。
【0044】
33.基準スワールは、複数のサンプルに関する平均-減算排気温度パターンを含む、実施形態31又は32の方法。
【0045】
34.相対スワールは、相互相関シフトに等しく、相互相関シフトは、ベーススワールと基準スワールとの間の最も高い相関係数を与える位相シフトである、実施形態31から33のいずれか1つの方法。
【0046】
命令が格納された非一時的なコンピュータ可読媒体であって、命令は、ガスタービンのベーススワールを計算するステップと;ガスタービンの相対スワールを計算するステップと;のために1又は2以上のプロセッサによって実行可能な非一時的なコンピュータ可読媒体が提供される。
【0047】
特定の実施形態によれば、ベーススワールを計算することは、(a)ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅、及び/又は(b)ガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度を計算することを含む。
【0048】
ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅の計算、及び/又はガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度の計算は、方位角分解によって行うことができる。方位角分解は、音響及び/又は排気温度アプローチであり、正弦波が角度位置にわたって温度パターン及び/又は角度位置にわたって音響パターンに「適合」される。最良適合正弦波の間の何れのシフトも、方位角分解によって特定されるスワールである。方位角分解は、半径方向の位置に対応する燃焼器内の所定の缶番号の関数としての燃焼器非定常圧力振幅と、ガス経路半径方向の位置の関数としての平均-減算排気温度との間の相互相関を計算する。このデータを用いて、相関係数が最大になる缶番号及びガス経路番号の半径方向のオフセットを判定する。これは、所定のパワーバンドにおいて可能な限り複数のデータポイントに関して繰り返すことができる。次に、各パワーバンドに関して、相互相関係数が最大になる半径方向のオフセットの平均を計算する。その結果、負荷の関数として、缶番号(角度位置に対応する)とガス経路番号(角度位置に対応する)との間の平均半径方向オフセットが得られ、これはスワールとして定義される。方位角分解は、ベーススワールの計算に含めることができる。ベーススワールの判定は、方位角分解で構成することができる。
【0049】
ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅の計算、及び/又はガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度の計算は、相互相関によって行うことができる。相互相関は、燃焼器圧力振幅パターンを以下の式に投影(project)する。すなわち、A*e^(i*Θd)であり、ここで、Aは定数係数、iは-1の平方根、eはオイラー数(約2.7183)、Θdは圧力振幅パターンの角位相である。同様に、平均-減算ガス経路温度パターンは、以下の関数に投影される。すなわち、B*e^(i*Θt)であり、ここで、Bは定数係数、i及びeは上述した定数であり、Θtは温度パターンの角位相である。次に、この方法は、スワールを圧力振幅パターンとガス経路温度パターンとの間の位相差で定義する。度単位では、これは2*π*(Θt-Θd)に等しい。観察された温度及び圧力パターンに対して最も高い相関を有するシフトは、スワールを表す。特定の実施形態によれば、観測された温度パターン及び圧力パターンに対するこの最も高い相関は、単一の係数として表すことができる。相互相関は、ベーススワールの計算に含めることができる。ベーススワールの判定は、相互相関で構成することができる。
【0050】
ベーススワールの判定は、方位角分解及び相互相関で構成することができる。方位角分解及び相互相関は、両方ともベーススワールの計算に含めることができ、相互照合として提供することができる。特定の実施形態では、方位角分解及び相互相関の両方は、ベーススワールの判定に含まれ、それぞれにおけるスワールの判定が互いに比較され、信頼性の高いベーススワールを保証するようになっている。ベーススワールの判定は、方位角分解、相互相関、及び方位角分解スワールと相互相関スワールの比較で構成することができる。
【0051】
ガスタービン内の相対スワールの計算は、自己相関を含むことができる。相対スワールは、何らかの所定の動作状態でのスワールと、基準状態での既知のスワール(基準スワール)との間の差である。基準スワールは、ガスタービンの使用経験から知ることができる。基準スワールは、圧力動特性データとガス経路温度データとを手動で比較することによって判定することができる。最初に、自己相関は、基準状態での多数のサンプルの平均-減算排気温度パターンを平均化し、それによって基準パターンを定義することができる。自己相関は、関心のある動作状態での多数のサンプルに関して平均-減算ガス経路温度パターンを平均化し、それによって試験サンプルを定義することができる。従って、自己相関は基準パターンとテストパターンを相関させる。最後に、自己相関は、相対スワールが、最も高い相関係数を与える相関シフトに等しいことを判定する。観察された温度及び圧力パターンに対して最も高い相関を有するシフトは、スワールを表す。特定の実施形態によれば、観察された温度及び圧力パターンに対するこの最も高い相関は、単一の係数として表わすことができる。自己相関は、相対スワールの判定に含めることができる。相対スワールの判定は、自己相関で構成することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、温度相互相関は、式1に従って評価することができる。
温度:
(式1)
は、各熱電対からの温度のベクトル、Nは熱電対の数、cは所定の熱電対のインデックス、Δcは相関が関数であるインデックスシフトとすることができる。cで表される熱電対のインデックスは1からNの範囲であり、周期的とすることができる。
【0053】
特定の実施形態では、圧力相互相関は、式2に従って評価することができる。
圧力:
(式2)
は、各圧力プローブからの圧力のベクトル、Nは燃焼器の数、cは所定の圧力プローブのインデックス、Δcは相関が関数であるインデックスシフトとすることができる。cで表される圧力のインデックスは1からNの範囲であり、周期的とすることができる。
【0054】
特定の実施形態では、ベーススワールを計算することは、(a)ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅、及び(b)ガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度を計算することを含む。いくつかの実施形態によれば、ベーススワールを計算することは、(a)ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅、及び(b)ガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度を計算することからなる。
【0055】
ベーススワールを計算することは、ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅とガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度との間の平均角度オフセットを判定することを含むことができる。いくつかの実施形態では、平均角度オフセットは、ガスタービン負荷の関数である。
【0056】
特定の実施形態によれば、ベーススワールを計算することは、ガスタービン内の圧力振幅を測定し、圧力振幅を式:A*e^(i*Θd)に適合させることを含み、ここで、Aは定数係数、iは-1の平方根、eはオイラー数、Θdは測定圧力振幅の角位相である。いくつかの実施形態では、適合させることは、ガスタービン内の燃焼器の数に等しくてもよいNで与えられる複数の圧力測定値を取ることによって行うことができる。pn(θ)は、角度位置θの関数としてN番目の圧力振幅を表すことができる。これらの測定値から、A及び
は、以下の式で特定することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、ベーススワールを計算することは、ガスタービン内の平均-減算ガス経路温度を測定し、平均-減算ガス経路温度を式:B*e^(i*Θt)に適合させることを含み、ここで、Bは定数係数、iは-1の平方根、eはオイラー数、Θtは測定平均-減算ガス経路温度の角位相である。いくつかの実施形態では、適合させることは、ガスタービン内の燃焼器の数に等しくてもよいMで与えられる複数の温度測定値を取ることによって行うことができる。TM(θ)は、角度位置θの関数としてM番目の排気温度測定値を表すことができる。これらの測定値から、B及び
は、以下の式で特定することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、ベーススワールを計算することは、ガスタービン内の圧力振幅を測定し、圧力振幅を式:A*e^(i*Θd)に適合させることを含み、ここで、Aは定数係数、iは-1の平方根、eはオイラー数、Θdは測定圧力振幅の角位相であり;さらに、ガスタービン内の平均-減算ガス経路温度を測定し、平均-減算ガス経路温度を式:B*e^(i*Θt)に適合させることを含み、ここで、Bは定数係数、iは-1の平方根、eはオイラー数、Θtは測定平均-減算ガス経路温度の角位相である。いくつかの実施形態では、ベーススワールを計算することは、ガスタービン内の圧力振幅を測定し、圧力振幅を式:A*e^(i*Θd)に適合させることからなり、ここで、Aは定数係数、iは-1の平方根、eはオイラー数、Θdは測定圧力振幅の角位相であり;さらに、ガスタービン内の平均-減算ガス経路温度を測定し、平均-減算ガス経路温度を式:B*e^(i*Θt)に適合させることからなり、ここで、Bは定数係数、iは-1の平方根、eはオイラー数、Θtは測定平均-減算ガス経路温度の角位相である。
【0059】
特定の実施形態によれば、ベーススワールを計算することは、第2のスワールを計算することを含み、第2のスワールは、2*π*(Θt-Θd)である。
【0060】
ベーススワールを計算することは、ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅とガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度との間の平均角度オフセットを判定することを含むことができ、平均角度オフセットは、第2のスワールと比較される。この比較のために非一時的なコンピュータ可読媒体に含むことができるMATLAB(登録商標)コードの一例は、単に例示的でありかつ非限定的な実施例1に見ることができる。最初に、温度及び圧力振幅パターンが、ガスタービンの最大負荷において判定される。変数を、メガワット単位で最大負荷に割り当てることができるとともに、より低い負荷における全てのデータ点に配列を割り当てることができ、負荷は最大負荷からの差分として測定される。次に、配列内の負荷における複数の温度及び圧力測定装置に関するデータ点を収集し、所定の負荷における温度及び圧力測定値の算術平均をとることによって所定の負荷に対応させる。角度差の点から見た温度測定値と圧力測定値との差を、スワールとすることができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、非一時的なコンピュータ可読媒体は、ガスタービン負荷の関数としてベーススワールデータで基準データベースを更新するための命令を含むことができる。特定の実施形態によれば、基準データベースは、リアルタイムで更新することができる。基準データベースは、同じ非一時的なコンピュータ可読媒体に含めること又は、別の非一時的なコンピュータ可読媒体に含めることができる。いくつかの実施形態では、ベーススワールは、基準データベースから一度だけ較正することができる。特定の実施形態によれば、基準データベースは、ユーザによる指示の通りに新しいデータで更新されるように構成される。
【0062】
相対スワールを計算することは、ベーススワールと基準スワールとの間の差を計算することを含むことができる。いくつかの実施形態では、この基準スワールは、所定のガスタービン負荷に対応する既知のスワールのデータベースから取得することができる。いくつかの実施形態では、基準スワールは、基準データベースから取得され、基準スワールは、タービン負荷に基づいて選択される。特定の実施形態によれば、基準スワールは、複数のサンプルに関する平均-減算排気温度パターンを含む。
【0063】
特定の実施形態において、相対スワールは、相互相関シフトに等しく、相互相関シフトは、ベーススワールと基準スワールとの間で最も高い相関係数を与える位相シフトである。実施例2は、この比較のために非一時的なコンピュータ可読媒体に含めることができるMATLABを、例示的かつ非限定的に提示している。最初に、較正を行うことができ、ガスタービンの最大負荷における温度パターンが計算される。次に、別々の時間間隔で、配列は、配列内の負荷における複数の温度及び圧力測定装置に関するデータ点を読み込み、所定の負荷における温度及び圧力測定値の算術平均を取ることによって所定の負荷に対応させることができる。次に、このデータは、類似のガスタービン負荷からのデータと比較することができる。その後、所定時間にわたる温度測定値の集合を平均化し、もはや時間の関数ではなく、方位角又は角度のみの関数であるパターンを生成することができる。次に、このパターンは、平均値から減算し、2倍にしてガスタービンの周りの2つの経路をシミュレートすることができる。次に、平均値減算温度パターンは、最大負荷時のガスタービンの温度パターンと相互相関させることができ、その結果、相互相関パラメータは、角度位置に対応するシフトとなる。これは、角度シフトの関数としての相関係数を生成し、結果として、最大負荷における平均-減算温度フィールドに必要とされる角度シフトの大きさを示すことができる。相関係数が最大となる角度シフトは、最大負荷時のスワールに対する現在の負荷時のスワール量を示す、相対スワールとすることができる。
【0064】
特定の実施形態によれば、非一時的なコンピュータ可読媒体は、メモリに接続された少なくとも1つのプロセッサを備えるコンピュータシステムに含まれることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのガスタービンを含むガスタービンシステムは、非一時的なコンピュータ可読媒体を含むコンピュータシステムにデータを提供することができる。コンピュータシステムは、ガスタービン内の少なくとも1つの熱電対からデータ入力を受け取るように構成することができ、データ入力はリアルタイムで実行することができる。コンピュータシステムは、少なくとも1つの圧力センサからデータ入力を受け取るように構成することができ、データ入力は、リアルタイムで実行することができる。
【0065】
また、ガスタービンのためのメンテナンス方法が提供され、この方法は、ガスタービン内の修理又は交換が必要な燃焼器を特定するステップと、燃焼器を修理又は交換するステップとを含み、特定するステップは、熱電対から修理又は交換が必要な燃焼器までのガス経路を関連付けるために、ガスタービンのベーススワールを計算し、ガスタービンの相対スワールを計算するステップを含む。
【0066】
特定の実施形態によれば、ベーススワールを計算するステップは、(a)ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅、及び/又は(b)ガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度を計算するステップを含む。
【0067】
ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅の計算、及び/又はガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度の計算は、方位角分解によって行うことができる。方位角分解は、音響及び/又は排気温度のアプローチであり、正弦波が角度位置にわたって温度パターン及び/又は角度位置にわたって音響パターンに「適合」される。最適適合正弦波の間の何れのシフトも、方位角分解によって決定されるスワールである。方位角分解は、半径方向の位置に対応する燃焼器内の所定の缶番号の関数としての燃焼器非定常圧力振幅と、ガス経路半径方向の位置の関数としての平均-減算排気温度との間の相互相関を計算する。このデータを用いて、相関係数が最大となる缶番号及びガス経路番号の半径方向のオフセットを判定する。これは、所定のパワーバンドにおいて可能な限り複数のデータポイントに関して繰り返すことができる。次に、各パワーバンドに関して、相互相関係数が最大となる半径方向のオフセットの平均を計算する。その結果、負荷の関数として、缶番号(角度位置に対応する)とガス経路番号(角度位置に対応する)との間の平均半径方向オフセットが得られ、これはスワールとして定義される。方位角分解は、ベーススワールの計算に含めることができる。ベーススワールの判定は、方位角分解で構成することができる。
【0068】
ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅の計算、及び/又はガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度の計算は、相互相関によって行うことができる。相互相関は、燃焼器圧力振幅パターンを以下の式に投影する。すなわち、すなわち、A*e^(i*Θd)であり、ここで、Aは定数係数、iは-1の平方根、eはオイラー数、Θdは圧力振幅パターンの角位相である。同様に、平均-減算ガス経路温度パターンは、以下の関数に投影される。すなわち、B*e^(i*Θt)であり、ここで、Bは定数係数、e及びiは上記で定義したとおりであり、Θtは温度パターンの角位相である。次に、この方法は、スワールを圧力振幅パターンとガス経路温度パターンとの間の位相差で定義する。度単位では、これは2*π*(Θt-Θd)に等しい。観察された温度及び圧力パターンに対して最も高い相関を有するシフトは、スワールを表す。特定の実施形態によれば、観測された温度パターン及び圧力パターンに対するこの最も高い相関は、単一の係数として表すことができる。相互相関は、ベーススワールの計算に含めることができる。ベーススワールの判定は、相互相関で構成することができる。
【0069】
ベーススワールの判定は、方位角分解及び相互相関で構成することができる。方位角分解及び相互相関は、両方ともベーススワールの計算に含めることができ、相互検査として提供することができる。特定の実施形態では、方位角分解及び相互相関の両方は、ベーススワールの判定に含まれ、それぞれにおけるスワールの判定が互いに比較され、信頼性の高いベーススワールを保証するようになっている。ベーススワールの判定は、方位角分解、相互相関、及び方位角分解スワールと相互相関スワールの比較で構成することができる。
【0070】
ガスタービン内の相対スワールの計算は、自己相関を含むことができる。相対スワールは、何らかの所定の動作状態でのスワールと、基準状態での既知のスワール(基準スワール)との間の差である。基準スワールは、ガスタービンの経験から知ることができる。基準スワールは、圧力動特性データとガス経路温度データとを手動で比較することによって判定することができる。最初に、自己相関は、基準状態での多数のサンプルの平均-減算排気温度パターンを平均化し、それによって基準パターンを定義することができる。に、自己相関は、関心のある動作状態での多数のサンプルに関して平均-減算ガス経路温度パターンを平均化し、それによって試験サンプルを定義することができる。従って、自己相関は基準パターンとテストパターンを相関させる。最後に、自己相関は、相対スワールが、最も高い相関係数を与える相関シフトに等しいことを判定する。自己相関は、相対スワールの判定に含めることができる。相対スワールの判定は、自己相関で構成することができる。
【0071】
開示された方法は、ベーススワールを計算する方法が、(a)ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅、及び/又は(b)ガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度を計算するステップを含むことを提供することができる。いくつかの実施形態において、本方法は、ベーススワールを計算するステップが、(a)ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅、及び(b)ガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算された排気温度を計算するステップを含むことを提供することができる。特定の実施形態によれば、ベーススワールを計算するステップは、ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅とガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算された排気温度との間の平均角度オフセットを判定するステップを含む。平均角度オフセットは、ガスタービン負荷の関数とすること、又はガスタービン負荷のみの関数とすることができる。いくつかの実施形態では、平均角度オフセットは、時間から独立している。
【0072】
開示された実施形態の方法は、ベーススワールを計算するステップが、ガスタービン内の圧力振幅を測定するステップと、圧力振幅を式:A*e^(i*Θd)に適合させるステップとを含むことを提供することができ、ここで、Aは定数係数、iは-1の平方根、eはオイラー数、Θdは測定圧力振幅の角位相である。いくつかの実施形態では、適合させるステップは、ガスタービン内の燃焼器の数に等しくてもよいNで与えられる複数の圧力測定値を取ることによって行うことができる。pn(θ)は、角度位置θの関数としてN番目の圧力振幅を表すことができる。これらの測定値から、A及び
は、以下の式によって特定することができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、ベーススワールを計算するステップは、ガスタービン内の平均-減算ガス経路温度を測定するステップと、平均-減算ガス経路温度を式:B*e^(i*Θt)に適合させるステップを含み、ここで、Bは定数係数、iは-1の平方根、eはオイラー数、Θtは測定平均-減算ガス経路温度の角位相である。いくつかの実施形態では、適合させるステップは、ガスタービン内の燃焼器の数に等しくてもよいMで与えられる複数の温度測定値を取るステップによって行うことができる。TM(θ)は、角度位置θの関数としてM番目の排気温度測定値を表すことができる。これらの測定値から、B及び
は、以下の式で特定することができる。
【0074】
いくつかの実施形態において、本方法は、ベーススワールを計算するステップが、ガスタービン内の圧力振幅を測定し、圧力振幅を式:A*e^(i*Θd)に適合させるステップを含むことを提供し、ここで、Aは定数係数、iは-1の平方根、eはオイラー数、Θdは測定圧力振幅の角位相である。特定の実施形態では、ベーススワールを計算するステップは、第2のスワールを計算するステップを含み、第2のスワールは、2*π*(Θt-Θd)である。
【0075】
ベーススワールを計算するステップは、ガスタービン内の角度位置の関数としての非定常圧力振幅とガスタービン内の角度位置の関数としての平均-減算排気温度との間の平均角度オフセットを判定することを含むことができ、平均角度オフセットは、第2のスワールと比較される。この比較のために非一時的なコンピュータ可読媒体に含むことができるMATLABコードの一例は、単に例示的でありかつ非限定的な実施例1に見ることができる。最初に、温度及び圧力振幅パターンが、ガスタービンの最大負荷において判定される。変数を、メガワット単位で最大負荷に割り当てることができるとともに、より低い負荷における全てのデータ点に配列を割り当てることができ、負荷は最大負荷からの差分として測定される。次に、配列内の負荷における複数の温度及び圧力測定装置に関するデータ点を収集し、所定の負荷における温度及び圧力測定値の算術平均をとることによって所定の負荷に対応させる。角度差の点から見た温度測定値と圧力測定値との差を、スワールとするこがことができる。
【0076】
本方法は、基準データベースが、ガスタービン負荷の関数としてベーススワールデータで更新されることをさらに提供することができる。いくつかの実施形態では、非一時的なコンピュータ可読媒体は、ガスタービン負荷の関数としてベーススワールデータで基準データベースを更新するための命令を含むことができる。特定の実施形態によれば、基準データベースは、リアルタイムで更新することができる。基準データベースは、同じ非一時的なコンピュータ可読媒体に含めること又は、別の非一時的なコンピュータ可読媒体に含めることができる。いくつかの実施形態では、ベーススワールは、基準データベースから一度だけ較正することができる。特定の実施形態によれば、基準データベースは、ユーザによる指示の通りに新しいデータで更新されるように構成される。
【0077】
特定の実施形態において、相対スワールを計算するステップは、ベーススワールと基準スワールとの間の差を計算するステップを含むことができる。本方法は、基準スワールが基準データベースから取得されること、及び基準スワールがタービン負荷に基づいて選択されることをさらに提供することができる。いくつかの実施形態において、本方法は、基準スワールが、複数のサンプルの平均-減算排気温度パターンを含むことを提供することができる。
【0078】
特定の実施形態において、相対スワールは、相互相関シフトに等しく、相互相関シフトは、ベーススワールと基準スワールとの間で最も高い相関係数を与える位相シフトである。最初に、較正を行うことができ、ガスタービンの最大負荷における温度パターンが計算される。次に、別々の時間間隔で、配列は、配列内の負荷における複数の温度及び圧力測定装置に関するデータ点を読み込み、所定の負荷における温度及び圧力測定値の算術平均を取ることによって所定の負荷に対応させることができる。次に、このデータは、類似のガスタービン負荷からのデータと比較することができる。その後、所定時間にわたる温度測定値の集合を平均化し、もはや時間の関数ではなく、方位角又は角度のみの関数であるパターンを生成することができる。次に、このパターンは、平均値から減算し、2倍にしてガスタービンの周りの2つの経路をシミュレートすることができる。次に、平均値減算温度パターンは、最大負荷時のガスタービンの温度パターンと相互相関させることができ、その結果、相互相関パラメータは、角度位置に対応するシフトとなる。これは、角度シフトの関数としての相関係数を生成し、結果として、最大負荷における平均-減算温度フィールドに必要とされる角度シフトの大きさを示すことができる。相関係数が最大となる角度シフトは、最大負荷時のスワールに対する現在の負荷時のスワール量を示す、相対スワールとすることができる。
【0079】
図1は、本主題の特定の実施形態を示すブロック図である。命令10は、ベーススワール12を計算すること及び相対スワール26を計算することを含む。ベーススワール12の計算は、方位角分解14、相互相関16、又は方位角分解14及び相互相関16の両方を含む。方位角分解14はスワール18を出力し、相互相関は第2のスワール20を独立して出力する。スワール18と第2のスワール20は、ベーススワール12の判定における実質的な一致を保証するために、比較22することができる。ベーススワール12は、ベース負荷でのスワール24の出力を提供し、これは相対スワール26の判定に送られる。ベーススワール12の計算によって判定されたベース負荷でのスワール24を利用して、相対スワール26の判定は、自己相関28を利用して相対スワール26を判定する。相対スワール26の出力は、スワール度30である。
【0080】
以下の実施例は、単に主題のガスタービンスワール検出をさらに説明するために記載される。例示的な実施例は、いかなる方法においても主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0081】
[実施例1]
最初に、温度及び圧力振幅パターンが、ガスタービンの最大負荷において判定される。変数を、メガワット単位で最大負荷に割り当てることができるとともに、より低い負荷における全てのデータ点に配列を割り当てることができ、負荷は最大負荷からの差分として測定される。次に、配列内の負荷における複数の温度及び圧力測定装置に関するデータ点を収集し、所定の負荷における温度及び圧力測定値の算術平均をとることによって所定の負荷に対応させる。角度差の点から見た温度測定値と圧力測定値の差をスワールとするこがことができ、この特定の実施例では、最大負荷における基準スワールである。平均値は、算術平均の計算に基づいて配列から減算して、平均-減算配列を得ることができる。平均-減算配列は、最大負荷時の基準スワールを得るために相互相関させることができる。
【0082】
%%% コメントは%記号で示される %%%
%%%%% ステップ1-最大負荷時の温度及び振幅のパターンを求める %%%%%%%%
%% 最大負荷時の温度及び振幅パターンを生成する
loadTol=10;%MW単位での負荷公差
maxLoadInds=find(abs(loads-maxLoad)<=loadTol);
sampleT=TC_blocks_all(maxLoadInds,:);
prime_ref_T=mean(sampleT,1)-mean(mean(sampleT));
sampleAmp=Amp_blocks_all(maxLoadInds,:);
prime_ref_Amp=mean(sampleAmp,1)-mean(mean(sampleAmp));
%%%%% ステップ2-相互相関 %%%%%%%%%
% ステップ2は、実施例2で示すような類似の相互相関方式を利用することができる%%%
【0083】
[実施例2]
最初に、較正を行うことができ、ガスタービンの最大負荷における温度パターンが計算される。次に、別々の時間間隔で、配列は、配列内の負荷における複数の温度及び圧力測定装置に関するデータ点を読み込み、所定の負荷における温度及び圧力測定値の算術平均を取ることによって、所定の負荷に対応させることができる。次に、このデータは、類似のガスタービン負荷からのデータと比較することができる。その後、所定時間にわたる温度測定値の集合を平均化し、もはや時間の関数ではなく、方位角/角度のみの関数であるパターンを生成することができる。次に、このパターンは、平均値から減算し、2倍にしてガスタービンの周りの2つの経路をシミュレートすることができる。次に、平均値減算温度パターンは、最大負荷時のガスタービンの温度パターンと相互相関させることができ、その結果、相互相関パラメータは、角度位置に対応するシフトとなる。これは、角度シフトの関数としての相関係数を生成し、結果として、最大負荷における平均-減算温度フィールドに必要とされる角度シフトの大きさを示すことができる。相関係数が最大となる角度シフトは、最大負荷時のスワールに対する現在の負荷時のスワール量を示す、相対スワールとすることができる。
【0084】
%%% コメントは%記号で示される %%%
%%%%%%%%%%%%%%%%ステップ1-(較正は1度だけ行うことができる) %%%%%%%%%%%%%%%%
%% 最大負荷時の温度パターンを生成する
loadTol=10;%MW単位での負荷公差
maxLoadInds=find(abs(loads-maxLoad)<=loadTol);
sample=TC_blocks_all(maxLoadInds,:);
prime_ref=mean(sample,1)-mean(mean(sample));
%%%%%%%%%%%%%%%% ステップ2-各時間ステップで行う %%%%%%%%%%%%%%%%
%% 各時間ステップで以下を実行する
% 現在の負荷と類似の負荷の過去の時刻を見つける
loadInds=find(abs(loads-loads(t))<=loadTol);
% 類似の負荷の過去の全ての時間(新しく追加された時間ステップを含む)から、温度測定値を収集する
sample=TC_blocks_all(loadInds,:);
% 平均-減算:温度測定値の集合を時間にわたって平均化し、方位角/角度のみの関数となるパターンを生成する。このパターンからその平均値を減算する。
prime_test=mean(sample,1)-mean(mean(sample));
% 平均-減算温度パターンのベクトルを取り、長さが2倍になるように1回繰り返す(読み手があたかもエンジンの周りを角度方向に2回進むように)
prime_long=[prime_test,prime_test];
% 平均-減算温度パターンを最大負荷に属する温度パターンに対して相互相関させる。相互相関のパラメータ(シフトパラメータ)は角度位置(方位角)である。これは、角度シフトの関数として相関係数を生成する(換言すると、現在の平均-減算温度フィールドが最大負荷時の平均-減算温度フィールドのように見えるために、どの程度の角度シフトが必要であるかを示すことになる)。
shiftInds=[1:size(TC_blocks_all,2),1:size(TC_blocks_all,2)];
rho=zeros(1,size(TC_blocks_all,2));
for shiftIndex=1:size(TC_blocks_all,2)
testSignal=prime_long(shiftIndex:shiftIndex+size(TC_blocks_all,2)-1);
rhoMat=corrcoef(prime_ref,testSignal);
rho(shiftIndex) = rhoMat(1,2);
end
% 相関係数が最大となる角度シフトを求める。これは、相対スワール(最大負荷時のスワールに対する現在の負荷時のスワール量)である。
【0085】
本明細書に記載されている実施形態は単なる例示であり、当業者は本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、変形及び修正を行うことができることを理解されたい。このようなすべての変形及び修正は、本明細書に記載されクレームされている本発明の範囲内に含まれることが意図されている。さらに、本発明の様々な実施形態は組み合わせて所望の結果を提供することができるので、開示されているすべての実施形態は、必ずしも代替手段ではない。
図1