(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】乳分析装置の制御ユニットおよび乳分析装置に挿入可能な液体容器
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20240827BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20240827BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G01N35/00 E
G01N35/02 A
G01N33/48 N
(21)【出願番号】P 2021573801
(86)(22)【出願日】2020-06-09
(86)【国際出願番号】 SE2020050585
(87)【国際公開番号】W WO2020251459
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2023-05-29
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】521499848
【氏名又は名称】デラバル ホールディング アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダレラップ ラスムッセン、クラウス
(72)【発明者】
【氏名】スラービー、ジョン
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/236272(WO,A1)
【文献】特開2017-041261(JP,A)
【文献】国際公開第2018/051672(WO,A1)
【文献】特開2019-066426(JP,A)
【文献】特開平01-105165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-35/10
G01N 33/48
A01J 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体容器(135)のメモリデバイス(230)と通信するための、第1の無線通信デバイス(210)を備える乳分析装置(120)の制御ユニット(240)であって、液体容器(135)が、前記液体容器(135)に含まれる第2の無線通信デバイス(220)を介して、前記乳分析装置(120)に挿入可能であり、前記制御ユニット(240)は、
液体抽出セッション中に、前記液体容器(135)の消費された液体量に関連する信号を取得することと、
前記液体容器(135)の前記メモリデバイス(230)に記憶するために、前記第1の無線通信デバイス(210)を介して、前記消費された液体量に関連する情報を送信することと、を行うように構成されている、制御ユニット(240)。
【請求項2】
前記消費された液体量に関連する取得された信号に基づいて、前記液体容器(135)内の液体残量を推定することであって、前記送信された情報が、前記液体容器(135)内の前記推定された液体残量に関する、推定することを行うように構成されている、請求項1に記載の制御ユニット(240)。
【請求項3】
前記液体容器(135)内の前記液体残量の推定が、
前記液体抽出セッションを実施する前に、前記液体容器(135)の前記メモリデバイス(230)から、前記液体容器(135)内の液体量に関する情報を取得することと、 前記液体容器(135)内の前記取得された液体量から、前記液体抽出セッション中に前記液体容器(135)から抽出された液体量を差し引くことと、を含む、請求項2に記載の制御ユニット(240)。
【請求項4】
前記第1の無線通信デバイス(210)を介して、前記液体容器(135)の前記メモリデバイス(230)から、前記液体容器(135)内に貯蔵された液体残量を取得することと、
前記液体残量を所定のトリガーレベルと比較することと、
前記液体残量が前記所定のトリガーレベル以下であるときに、農業管理者に前記液体容器(135)を取り替えるように促す警告を出力することと、を行うように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の制御ユニット(240)。
【請求項5】
前記液体容器(135)から最初の液体抽出を検出することと、
前記液体容器(135)の前記最初の液体抽出が検出された時点を決定することと、
前記液体容器(135)の前記メモリデバイス(230)に記憶するために、前記第1の無線通信デバイス(210)を介して、前記決定された時点を前記液体容器(135)の前記メモリデバイス(230)に送信することと、を行うように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の制御ユニット(240)。
【請求項6】
前記液体容器(135)の液体抽出の直前に、
現在の時点を決定することと、
前記第1の無線通信デバイス(210)を介して、前記液体容器(135)の前記メモリデバイス(230)に記憶された最初の液体抽出の前記時点を引き出すことと、
前記現在の時点と前記最初の液体抽出の時点との間の時間差が所定の期限を超えているかどうかを確認することと、
前記所定の期限を超えたときに、前記液体容器(135)からの液体抽出を禁止することと、を行うように構成されている、請求項5に記載の制御ユニット(240)。
【請求項7】
前記所定の期限をその期間だけ超えたときに、出力デバイス(310)を介して農業管理者に液体容器(135)を変えるように促す警告を出力するように構成されている、請求項6に記載の制御ユニット(240)。
【請求項8】
前記液体容器(135)の液体抽出セッションを開始するときに、前記第1の無線通信デバイス(210)を起動すること、および/または
前記消費された液体量に関連する前記情報が送信されたときに、前記第1の無線通信デバイス(210)の動作を停止すること、を行うように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の制御ユニット(240)。
【請求項9】
前記乳分析装置(120)が、液体体積決定デバイスを備え、前記消費された液体量に関連する信号は、前記液体体積決定デバイスから取得される、請求項1~8のいずれか一項に記載の制御ユニット(240)。
【請求項10】
乳分析装置(120)に挿入可能な液体容器(135)であって、前記液体容器(135)が前記乳分析装置(120)に挿入されたときに、第1の無線通信デバイス(210)を備える前記乳分析装置(120)の制御ユニット(240)と情報交換するように構成された、メモリデバイス(230)および第2の無線通信デバイス(220)を含み、前記メモリデバイス(230)が、
前記第2の無線通信デバイス(220)を介して、前記乳分析装置(120)の前記制御ユニット(240)から、前記液体容器(135)内の液体残量に関する情報を受信することと、
前記受信した情報を記憶することと、を行うように構成されている、液体容器(135)。
【請求項11】
前記メモリデバイス(230)が、
前記第2の無線通信デバイス(220)を介して、前記液体容器(135)内の液体量に関する情報を前記制御ユニット(240)に提供するように構成されている、請求項10に記載の液体容器(135)。
【請求項12】
前記メモリデバイス(230)が、
前記第2の無線通信デバイス(220)を介して、前記乳分析装置(120)の前記制御ユニット(240)から、前記液体容器(135)の最初の液体抽出の時点に関する情報を受信することと、
前記受信した情報を記憶することと、を行うように構成されている、請求項10または11に記載の液体容器(135)。
【請求項13】
前記メモリデバイス(230)が、
前記第2の無線通信デバイス(220)を介して、前記液体容器(135)の前記最初の液体抽出の前記時点に関する記憶された情報を前記制御ユニット(240)に提供するように構成されている、請求項
12に記載の液体容器(135)。
【請求項14】
前記メモリデバイス(230)が、
前記第2の無線通信デバイス(220)を介して、前記制御ユニット(240)から、前記液体容器(135)のさらなる使用を禁止するブロッキングサインを受信することと、
前記受信したブロッキングサインを記憶して、それにより、前記液体容器(135)のさらなる使用を禁止することと、を行うように構成されている、請求項10~13のいずれか一項に記載の液体容器(135)。
【請求項15】
システム(10)であって、
請求項1~9のいずれか一項に記載の制御ユニット(240)と、
請求項10~14のいずれか一項に記載の液体容器(135)と、
前記液体容器(135)のメモリデバイス(230)と通信するための、第1の無線通信デバイス(210)を備える乳分析装置(120)と、
前記乳分析装置(120)と連動して動作する乳抽出構成装置(110)と、を備える、システム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この文書は、乳分析装置に挿入可能な液体容器と、乳分析装置の制御ユニットと、を開示する。より詳細には、本明細書では、液体容器のメモリデバイスと通信するための、第1の無線通信デバイスを備える乳分析装置の制御ユニットが提示され、液体容器は、液体容器に含まれる第2の無線通信デバイスを介して、乳分析装置に挿入可能である。
【背景技術】
【0002】
動物農場では、乳/肉の生産を増強するため、ならびに/または例えば動物が発情および/もしくは妊娠するときを監視するために、動物を健康に保つことが重要である。動物を首尾よく受精させるためには、最適な時期に動物に受精することが重要である。動物が首尾よく受精されない場合、乳生産が影響を受ける。
【0003】
例えばプロゲステロン、LDH(乳酸デヒドロゲナーゼ)、BHB(ベータ-ヒドロキシ酪酸)、および尿素のレベルを測定するなど、いくつかのバイオマーカー測定を動物に行い得る。それにより、例えば個々の動物の発情検出および/または妊娠に関する重要な情報が、(測定されたプロゲステロンレベルに基づいて)作られ得、(LDHに基づく)乳房炎および(BHBに基づく)ケトーシスも同様である。また、(尿素に基づいて)動物のエネルギーバランスも推定し得る。
【0004】
それにより、農家/操作者に、各個々の動物の状態に関する重要な情報が提供される。しかしながら、例えば準備されたドライスティック上に乳サンプルを適用することによって、農場で個々の動物すべてのバイオマーカー測定を実施および分析して、これらのサンプルを分析することは、他の様々な重要な問題に対処しなければならないであろう農家にとって、時間がかかる。また、様々な動物からのバイオマーカーの測定値を区別すること、個々の動物ごとにバイオマーカー測定を繰り返すべきとき、およびバイオマーカー測定ユニットを変えるべきときについて記録することの農家の管理スキル、バイオマーカー試験装置のメンテナンスに高度の要求が課され、最初の動物のバイオマーカー測定を別の動物の生物学的物質によって汚染させないための清浄度にも高度の要求が課される。
【0005】
例えば搾乳セッション時にまたはその前後に、動物の乳サンプルを定期的に分析するために、乳分析装置が、乳抽出構成装置と協働するように構成され得る。乳分析装置は、乳サンプルを抽出し、それを、ドライスティック/横方向流動スティック/横方向流動試験ストリップ、または類似物などの乳分析ユニットに提供し得る。乳は、典型的には、希釈剤で希釈され、希釈剤は、試験セッションの合間にチューブ類を濯ぐためにも使用され得る。希釈剤は、液体容器内に提供され得る。
【0006】
しかしながら、様々な乳分析装置の液体容器の管理に関しては、異なる量のサンプルが異なる乳分析装置で採取され得、農家の管理上の煩わしさを引き起こすため、農場で異なる乳分析装置の液体容器を異なる時点で交換する必要があるという、特定の問題が現われ得る。液体容器は、例えば第1の乳分析装置が壊れている間、第1の乳分析装置で使用され得る。次に、農家は、農場の第2の乳分析装置で第1の乳分析装置の液体容器を使用したいと思うかもしれない。
【0007】
しかしながら、液体容器は、含まれる希釈剤をほこりや環境からのその他の汚染から保護するために密閉されているため、液体容器を物理的に検査して残りの希釈剤の量を確認することは困難である。
【0008】
農家が、異なる液体容器内で消費された希釈剤の量を記録するのを支援するための解決策を見出し、また、乳分析装置が希釈剤を使い果たすのを回避し、同時に液体容器を早く変えすぎて希釈剤が無駄にならないように、農家が液体容器を適時に変えるのを支援することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、上記の問題のうちの少なくともいくつかを解決し、農家が動物の乳サンプルのバイオマーカー値を測定することを容易にし、また、液体容器を適切な時点で変えることである。
【0010】
バイオマーカー、または生物学的マーカーは、一般に、動物の何らかの生物学的状態または様態の測定可能なインジケータを指す。バイオマーカー値の測定は、動物の妊娠/生殖、動物の健康、および/または動物の乳の品質に関連付けられ得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様によれば、本目的は、農業環境において、乳分析装置の制御ユニットによって達成される。乳分析装置は、液体容器のメモリデバイスと通信するための第1の無線通信デバイスを備える。液体容器は、乳分析装置に挿入可能であるか、または取り付け可能である。さらに、液体容器は、乳分析装置の第1の無線通信デバイスと通信するための第2の無線通信デバイスを備える。制御ユニットは、液体抽出セッション中に、液体容器の消費された液体量に関連する信号を取得するように構成されている。また、制御ユニットは、液体容器のメモリデバイスに記憶するために、第1の無線通信デバイスを介して、消費された液体量に関連する情報を送信するようにさらに構成されている。
【0012】
第1の態様による制御ユニットの第1の可能な実装形態では、制御ユニットは、消費された液体量に関連する取得された信号に基づいて、液体容器内の液体残量を推定するように構成され得、送信された情報は、液体容器内の推定された液体残量に関するものである。
【0013】
第1の態様による、またはその第1の可能な実装形態による制御ユニットの第2の可能な実装形態では、制御ユニットは、液体抽出セッションを実施する前に、液体容器のメモリデバイスから、液体容器内の液体量に関する情報を取得することによって、液体容器内の液体残量を推定するように構成され得る。さらに、制御ユニットはまた、液体容器内で取得された液体量から、液体抽出セッション中に液体容器から抽出された液体量を差し引くように構成され得る。
【0014】
第1の態様による、または以前に開示されたその任意の可能な実装形態による制御ユニットの第3の可能な実装形態では、制御ユニットは、第1の無線通信デバイスを介して、液体容器のメモリデバイスから、液体容器内に貯蔵された液体残量を取得するように構成され得る。さらに、制御ユニットは、液体残量を所定のトリガーレベルと比較するように構成され得る。制御ユニットはまた、液体残量が所定のトリガーレベル以下であるときに、農業管理者に液体容器を取り替えるように促す警告を出力するように構成され得る。
【0015】
第1の態様による、または以前に開示されたその任意の可能な実装形態による制御ユニットの第4の可能な実装形態では、制御ユニットは、液体容器からの最初の液体抽出を検出するように構成され得る。また、制御ユニットは、液体容器の最初の液体抽出が検出された時点を決定するように構成され得る。制御ユニットはさらに、液体容器のメモリデバイスに記憶するために、第1の無線通信デバイスを介して、決定された時点を液体容器のメモリデバイスに送信するように構成され得る。
【0016】
第1の態様による、または以前に開示されたその任意の可能な実装形態による制御ユニットの第5の可能な実装形態では、制御ユニットは、液体容器の液体抽出の直前に、現在の時点を決定するように構成され得る。制御ユニットはまた、第1の無線通信デバイスを介して、液体容器のメモリデバイスに記憶された最初の液体抽出の時点を引き出すように構成され得る。加えて、制御ユニットは、現在の時点と最初の液体抽出の時点との間の時間差が所定の期限を超えているかどうかを確認するようにさらに構成され得る。加えて、制御ユニットは、所定の期限を超えたときに液体容器からの液体抽出を禁止するようにさらに構成され得る。
【0017】
第1の態様による、または以前に開示されたその任意の可能な実装形態による制御ユニットの第6の可能な実装形態では、制御ユニットは、所定の期限をその期間だけ超えたときに、出力デバイスを介して農業管理者に液体容器を変えるように促す警告を出力するように構成され得る。
【0018】
第1の態様による、または以前に開示されたその任意の可能な実装形態による制御ユニットの第7の可能な実装形態では、制御ユニットは、液体容器の液体抽出セッションを開始するときに第1の無線通信デバイスを起動するように、かつ/または消費された液体量に関連する情報が送信されたときに、第1の無線通信デバイスの動作を停止するように構成され得る。
【0019】
第1の態様による、または以前に開示されたその任意の可能な実装形態による制御ユニットの第8の可能な実装形態では、乳分析装置は、液体体積決定デバイスを備え、消費された液体量に関連する信号は、液体体積決定デバイスから取得される。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、本目的は、乳分析装置に挿入可能な液体容器によって達成される。液体容器は、乳分析装置の制御ユニットと情報交換するように構成された、メモリデバイスおよび第2の無線通信デバイスを備える。制御ユニットは、本発明の第1の態様、または以前に開示されたその任意の可能な実装形態により構成され得る。乳分析装置は、液体容器の第2の無線通信デバイスと通信するための第1の無線通信デバイスを備える。情報交換は、液体容器が乳分析装置に挿入されたときに実施され得る。液体容器のメモリデバイスは、第2の無線通信デバイスを介して、乳分析装置の制御ユニットから、液体容器内の液体残量に関する情報を受信するように構成されている。加えて、メモリデバイスは、受信した情報を記憶するようにも構成されている。
【0021】
第2の態様による液体容器の第1の可能な実装形態では、メモリデバイスは、第2の無線通信デバイスを介して、液体容器内の液体量に関する情報を制御ユニットに提供するように構成され得る。
【0022】
第2の態様による液体容器の第2の可能な実装形態、またはその第1の可能な実装形態では、メモリデバイスは、第2の無線通信デバイスを介して、乳分析装置の制御ユニットから、液体容器の最初の液体抽出の時点に関する情報を受信するように構成され得る。また、液体容器のメモリデバイスは、受信した情報を記憶するように構成され得る。
【0023】
第2の態様による液体容器の第3の可能な実装形態、またはその任意の可能な実装形態では、メモリデバイスは、第2の無線通信デバイスを介して、液体容器の最初の液体抽出の時点に関する記憶された情報を制御ユニットに提供するように構成され得る。
【0024】
第2の態様による液体容器の第4の可能な実装形態、またはその任意の可能な実装形態では、メモリデバイスは、第2の無線通信デバイスを介して制御ユニットから、液体容器のさらなる使用を禁止するブロッキングサインを受信するように構成され得る。また、メモリデバイスは、受信したブロッキングサインを記憶するように構成され得、それにより、液体容器のさらなる使用を禁止する。
【0025】
本発明の第3の態様によれば、本目的は、農業環境におけるシステムによって達成される。システムは、第1の態様による制御ユニット、またはその可能な実装形態のうちのいずれかを備える。さらに、システムはまた、第2の態様による液体容器、またはその任意の可能な実装形態も備える。加えて、システムは、液体容器のメモリデバイスと通信するための、第1の無線通信デバイスを備える乳分析装置を備える。さらに、システムは、乳分析装置と連動して動作する乳抽出構成装置を備える。
【0026】
それにより、液体抽出セッション中に液体容器の消費された液体量を記録し、この情報を液体容器のメモリデバイスに繰り返し記憶することにより、液体容器内の希釈剤の残量は、次の液体抽出セッションを実施する前、また、液体容器が別の乳分析装置に挿入されたときに、制御ユニットによって継続的に決定され得る。
【0027】
これにより、液体抽出セッションが、液体容器が空であるか、または完全な液体抽出セッションの実施を可能にするのに不十分な量の希釈剤を含む状態で開始されることが回避される。さらに、新しい液体容器が時間内に注文され、また、液体容器が適切なタイミングで取り替えられることを確認するための措置を講じて、乳分析装置の計画された乳サンプル試験を妨げずに、希釈剤の不必要な浪費を回避することができる。
【0028】
これにより、乳分析装置の管理に関連する農家のコスト、メンテナンス、および作業強度が、最小限に抑えられるか、または少なくとも低減される。
【0029】
他の利点および追加の新規機能が、後続の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
ここで、本発明の実施形態を、添付の図を参照してさらに詳細に説明する。
【
図1】動物の乳サンプルのバイオマーカー値を測定するための構成装置の一例を示す。
【
図2A】一実施形態による、乳分析装置に挿入されたカセットを示す。
【
図2B】一実施形態による、ドライスティックを含むテープのセクションを示す。
【
図3】一実施形態による、カセットおよび液体容器を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書に記載の発明の実施形態は、制御ユニットおよび液体容器として定義され、これらは、以下に記載される実施形態において実施され得る。しかしながら、これらの実施形態は、多くの異なる形態で例示および実現され得、本明細書に記載の実施例に限定され得ず、むしろ、これらの例示的な実施形態の例は、本開示が徹底的かつ完全になるように提供される。
【0032】
さらに他の目的および特徴が、添付の図面と併せて検討される以下の詳細な説明から明らかとなり得る。しかしながら、図面は、例示のみを目的として策定されており、本明細書に開示される実施形態の限度の定義としては策定されておらず、それについては、添付の特許請求の範囲が参照されることを理解されたい。さらに、図面は必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、別様に示されない限り、それらは単に、本明細書に記載の構造および手順を概念的に示すことを意図されている。
【0033】
図1は、酪農場における乳畜の群れに含まれ得る動物100の乳を分析するためのシステム10を用いたシナリオを示す。
【0034】
「動物」は、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ラクダ、霊長類、酪農用バッファロー、ロバ、ヤク、その他などの任意の種類の家畜化された雌の乳生産および/または肉生産哺乳動物であり得る。
【0035】
動物100の乳は、例えば搾乳ロボットまたは他の搾乳構成装置などの乳抽出構成装置、または搾乳器具110によって抽出され、乳分析装置120に提供され得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、乳分析装置120は、乳抽出構成装置110に関連付けられ、場合によっては、乳抽出構成装置110に解放可能に挿入可能でさえあり得る。したがって、乳、および場合によっては電気を、乳抽出構成装置110を介して乳分析装置120に提供するために、インターフェースが乳抽出構成装置110と乳分析装置120との間に存在し得る。
【0037】
乳分析装置120は、カメラ、1つまたはいくつかのポンプ、乳抽出構成装置110へのインターフェースに取り付けるためのチューブ要素、モータ、通信ユニット、その他などの様々な電子機器および器具を備える。ポンプおよびチューブ類は、
【0038】
カセット130が、乳分析装置120に取り外し可能に挿入され得る。カセット130は、ドライスティック/横方向流動スティック/横方向流動試験ストリップまたは類似物など、乳分析ユニットを有するテープまたは類似の対応する構成装置を含み得る。乳分析ユニットは、動物100の乳サンプルのバイオマーカー値を示すように、例えば横方向流動試験によって乳サンプル中のプロゲステロンを示すように構成されている。
【0039】
カセット130は、いくつかの実施形態では、乳分析装置120に取り外し可能に挿入され、スナップロック、磁石、ねじ、その他などの締結手段によって所定の位置に保持され得、乳分析装置120のドアが、カセット130を乳分析装置120内に封入するために閉じられ得、それにより、カセット130はその位置にさらに固定される。
【0040】
また、液体容器135は、乳分析装置120に取り外し可能に挿入可能であるか、または乳分析装置120に関連付けられ(すなわち、物理的に接続され)得る。液体容器135は、抽出された乳を希釈するために、また、または代替的に、乳分析装置120のチューブ類、ニードル、ポンプ、その他を濯ぐために使用され得る希釈剤を含み得る。
【0041】
それにより、動物100の乳サンプルは、搾乳器具によって動物100から抽出され、乳分析装置120を介して、カセット130のテープ上の乳分析ユニットのうちの1つに提供され得る。乳分析ユニットは、例えば色または色の強度を変えることによって、1つまたはいくつかのバイオマーカーの存在および/または量に反応し得る。乳分析装置120内のカメラは、カセット130の開口部を通して画像を獲得し得る。次いで、獲得された乳分析ユニットの画像は、制御ユニットによって分析され得、かつ色の強度に基づいて、乳サンプル中のバイオマーカーの存在および/または量が、それによって決定され得る。
【0042】
異なる実施形態において、測定されたバイオマーカーは、例えばプロゲステロン、糖タンパク質、エストロゲンおよび/もしくはゴナダトロピン放出ホルモン、または動物100の生殖または健康に関連付けられる他の任意の同様のバイオマーカーであり得る。
【0043】
プロゲステロンは、動物100のいくつかの生理的機能を調節するホルモンである。プロゲステロンは、妊娠のために子宮を準備し、受精が起こった場合に妊娠を維持し、妊娠中に動物100が発情存続の兆候を示したり、排卵したりするのを阻害し得る。プロゲステロンレベルは、例えば、妊娠の初めに上昇し、動物100の妊娠中ずっと高レベルに保たれ得る。乳サンプル中のプロゲステロンレベルを使用して、妊娠、発情周期(発情検出)、および/または産後の卵巣活動を監視し得る。これらの理由で、農場における動物100のプロゲステロンレベルは、農家が検出して記録するのに興味深い。
【0044】
しかしながら、測定されるバイオマーカーは、いくつかの実施形態では、LDH(乳酸デヒドロゲナーゼ)、BHB(ベータ-ヒドロキシ酪酸)、尿素、および/もしくは体細胞数、または動物100の状態に関連する他のバイオマーカーを含み得る。いくつかの実施形態では、上記に列挙された複数のバイオマーカーが測定され得る。代替的に、いくつかの実施形態では、農家は、農家によって選択されたような、バイオマーカーもしくはバイオマーカーのセットを測定するように構成された特定の乳分析ユニットを含むカセット130、および/または例えば一年の異なる時期に異なるバイオマーカーもしくはバイオマーカーのセットを測定するように構成されたテープ上に、乳分析ユニットを含む異なるカセット130を定期購入し得る。
【0045】
したがって、乳分析装置120は、カセット130、注入モジュール、および/または液体容器135などのいくつかのモジュールを含み、これらは、異なるモジュールに対して、また、乳分析装置120が異なる強度で使用され得るため、農場における異なる乳分析装置120に対しても、異なる時点で発生し得る特定の時間間隔で、それぞれの新しいモジュールに変えられるか、または代替的に、互いに同期される。
【0046】
乳分析ユニットを有するカセット130は、乳分析ユニットが消費されたときに交換される。しかしながら、使用される乳分析ユニットの数は、どのくらいの頻度でサンプリングが行われるか、各動物100に対していくつの乳分析ユニットが使用されるか、かつ/またはカセット130内にいくつの不良乳分析ユニットが存在するかに依存するであろう。例えば、農家が主に動物100の受精のタイミングに関心がある場合、特定の動物100が発情していると予測される時点の前後または直前にのみ、その動物100のサンプルが採取され得る。経産雌ウシおよび/または未産雌ウシなどの動物は、典型的には17~24日(平均21日)ごとに発情する、つまり発情期に入り、そのため、最後の発情の時点に基づいて次の発情を大まかに予測することができる。
【0047】
別の農家は、例えば特定の動物100の健康状態を調査するために、搾乳イベントごとに乳サンプルを採取したいかもしれない。また、異なるカセット130は、場合によっては、異なる数の乳分析ユニットを含み得る。それにより、異なる乳分析装置120に対して、カセット130の交換の合間の期間は、異なり得る。
【0048】
注入モジュールは、ホースポンプなどの1つまたはいくつかのポンプと、乳抽出構成装置110に取り付けるためのチューブ要素と、を備える。1つまたはいくつかのポンプは、乳抽出構成装置110からチューブ要素を通ってニードルまで乳サンプルを進めるためにチューブ要素に作用するように構成され得る。次いで、乳サンプルは、液体容器135からの希釈剤を用いて、ニードルの混合チャンバ内で希釈され得(または場合によっては、別個の混合チャンバ内で希釈され、次いでニードルに提供され得)、その後、希釈された乳サンプルは、ニードルから乳分析ユニットに適用され得る。
【0049】
注入モジュール137のポンプおよびチューブ類は、典型的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、シリコーンなどのプラスチック、ゴム、ラテックスまたは同様の材料で作製されており、注入モジュール137が使用されない場合にも、時間の経過とともに老化して壊れやすくなる。また、乳がチューブ類を詰まらせ、チューブ類を通る流れに影響を与える可能性がある。乳はまた、チューブ類の老化を誘発する可能性があり、その結果、チューブ類は硬くなり壊れやすくなる。これらの理由により、注入モジュール137は、注入モジュール137の第1の使用後の一定期間後、注入モジュール137の生産後の一定期間後、および/またはポンプがチューブ類を通して一定量の乳を送り込んだときのいずれかで、新しいものと交換され得る。
【0050】
液体容器135には、前述したように使用される希釈剤を含む。液体容器135は、希釈剤が消費されたときか、または化学的老化プロセスにより希釈剤が劣化してから時間限界値を超えて一定期間後のいずれかで交換される必要がある。
【0051】
様々なモジュール、すなわち注入モジュール、液体容器135および/またはカセット130は、それぞれのモジュールを乳分析装置120に取り付けるように構成された、例えばスナップフィット構成、磁気、ねじ継手、その他の形態の締結手段を含み得る。
【0052】
提供される解決策のモジュール構造は、いくつかの利点を有する。構成装置を、農場の搾乳器具に取り付け得る注入モジュール、液体容器135、およびカセット130の形態のモジュールに保つことにより、農家のコスト、メンテナンス、および作業強度が、最小限に抑えられるか、または少なくとも低減され得る。また、カセット130の乳分析ユニット/測定スティックなどの消耗材を、注入モジュールのポンプのような摩耗にさらされる要素と、乳分析装置の電子機器および器具とから分離することによって、液体容器135は、例えば宅配サービスまたは郵便局の定期購入を介して注文された、別の取り替え用液体容器135と絶えず取り替えられ得る。
【0053】
乳分析装置120は、他方で、故障時に、乳抽出構成装置110および注入モジュール/液体容器135/カセット130から取り外され、トラブル対応、修理、メンテナンス、その他のために作業工場に送られ得る。
【0054】
その間、古い注入モジュール/液体容器135/カセット130を適用することができる、同一の取り替え用乳分析装置120が農場に提供され得、乳分析装置120の器具が故障しているときにも、農場での継続的なバイオマーカー測定を可能にする。
【0055】
さらに、構成装置は、特別に訓練された技術者が農場に来訪する必要なしに、農家によって操作され得る。代わりに、農家は、故障したモジュールを作業工場に送ってもよいし、または単にそれを交換してもよい。
【0056】
希釈剤、乳分析ユニット、およびチューブ類をそれぞれ別個のモジュールに維持することにより、それらは、考えられるいかなる農場の環境の影響からも保護される。
【0057】
しかしながら、農家がどのモジュールをどの時点で変えるかという経過を追うことが問題になり得るという問題が出てくる。それぞれのモジュール、またはモジュールのうちの少なくとも1つの特定のモジュールを変えるときを農家に思い出させるためのツールを見出し、かつ/または空の液体容器135、その他を有する乳分析装置120を動作させることを不可能にすることが望ましい。
【0058】
図1および
図2Aは、読者が大まかな概要を理解するために、提供される解決策による乳分析装置120、カセット130、および液体容器135が動作するよう意図されている環境の全体的概要を、過度に詳細に立ち入らずに示す。優れたテープの詳細の例が、
図2Bで検討され得る。
図3は、提供された解決策の特定の態様および液体容器135に関する特定の解決策を示している。
【0059】
図2Aおよび
図2Bは、一実施形態による、互いにかつ乳抽出構成装置110と相互作用する乳分析装置120、カセット130、および液体容器135を示すシナリオを示す。
【0060】
乳分析装置120は、動物100から受け取った乳サンプルの生体測定値を決定するために使用される、例えばカメラ、乳抽出構成装置110に取り付けるためのチューブ要素、モータ、通信ユニット230、その他などの電子機器および器具を含み得る。いくつかの実施形態では、1つまたはいくつかのポンプおよびチューブ類が、注入モジュール内に含まれる。ポンプ(複数可)は、乳サンプルを乳抽出構成装置110からチューブ要素を通って進ませてニードルまたはニードルの混合チャンバに到達させるために、チューブ要素に作用するように構成されている。代替的に、混合チャンバは、ニードルの外部にあってもよい。チューブ要素は、動物100の乳サンプルを乳抽出構成装置110を介して受け取り、乳サンプルをニードル、すなわち注入モジュールに含まれるニードルまたはニードルの混合チャンバに提供するように構成されている。代替的に、混合チャンバは、ニードルの外部にあってもよい。
【0061】
図示の実施形態では、注入モジュールは、カセット130の開口部を通して、カセット130内のテープ250上の乳分析ユニット260a、260b、260cに乳サンプルを適用するためのニードルを含み得る。次いで、一実施形態では、カメラが、ニードルを、カセット130のテープ250上の乳分析ユニット260a、260b、260cと位置合わせさせ得る。乳分析ユニット260a、260b、260cは、必ずしもテープ250上に保たれていなくてもよく、乳分析ユニット260a、260b、260cが別の同様の基板上に維持され得る他の同様の解決策が適用され得る。
【0062】
乳分析装置120はまた、第1の無線通信デバイス210を備え、また、制御ユニット240を備え得、一方、液体容器135は、第2の無線通信デバイス220およびメモリデバイス230を含む。制御ユニット240は、任意選択的に、乳分析装置120の外に配置され得るが、それでも第1の無線通信デバイス210と通信連絡している。
【0063】
乳分析装置120の第1の無線通信デバイス210は、例えば近距離無線通信(NFC)などの無線通信インターフェースを介して、液体容器135の第2の無線通信デバイス220と通信することができる。それにより、乳分析装置120の制御ユニット240は、液体容器135から情報を取得し、これを液体容器135のメモリデバイス230に記憶し、かつ/またはメモリデバイス230に情報を提供して、そこに記憶することができる。
【0064】
図示の実施形態では、注入モジュールは、カセット130の開口部を通して、カセット130内のテープ250上の乳分析ユニット260a、260b、260cに乳サンプルを適用するためのニードルを含み得る。次いで、一実施形態では、カメラが、ニードルを、カセット130のテープ250上の乳分析ユニット260a、260b、260cと位置合わせさせ得る。乳分析ユニット260a、260b、260cは、必ずしもテープ250上に保たれていなくてもよく、乳分析ユニット260a、260b、260cが別の同様の基板上に維持され得る他の同様の解決策が適用され得る。
【0065】
注入モジュールはまた、ニードルによって出された液体を収集し得る液体吸引器または排液器を含み得る。液体は、乳だけを含むとき、いくつかの実施形態では、乳ラインに戻してもよい。他の実施形態では、乳が希釈剤と混合されているとき、カセット130上のテープ250の他の未使用の乳分析ユニット260a、260b、260cを濡らすか、または汚染しないように、液体を、カセット130から離れるように運び得る。
【0066】
カメラは、開口部を通して担体テープ250の乳分析ユニット260a、260b、260cの画像を獲得し得、これらの画像に基づいて、カセット外部モータが、新しい試験が行われる新しい乳分析ユニット260a、260b、260cをニードルに関して配置するために、テープ250を調整し得る。
【0067】
乳分析装置120はまた、農家の出力ユニット、データベース、通信デバイス、その他と、有線または無線の通信インターフェースを介して通信し得る通信デバイスを備え得る。
【0068】
このような無線通信インターフェースは、いくつかの実施形態における無線通信のいくつかの可能な例を挙げれば、Wi-Fi、3GPP LTE、ブルートゥース(BT)などの無線通信技術を含むか、または少なくとも無線通信技術によって触発され得る。
【0069】
制御ユニット240は、カメラによって獲得された画像の分析に基づいて、動物100の乳サンプルのバイオマーカー値を決定するように構成され得る。制御ユニット240は、いくつかの実施形態では乳分析装置120に含まれてもよいし、または乳分析装置120の外部にあってもよい。
【0070】
データベースが、動物100の識別参照および/または測定のタイムスタンプに関連付けられた、動物100の測定された生体測定値を記憶し得る。例えば乳流量計によって測定される乳量、活動、品種、経産回数、反芻、泌乳、休息、飼料摂取量、エネルギーバランス、搾乳日数、乳生産、年齢、および場合によっては、他の同様の動物の状態に関するパラメーターなど、動物100に関連する他の測定値および/またはデータもまた、データベースに記憶され得る。
【0071】
バイオマーカー測定の結果と、対応する基準値との間に第1の限界閾値を超える偏差が検出されると、農家または他の責任者に警告が出力され得る。警告は、例えば視覚情報、音声メッセージ、触覚信号、またはそれらの組み合わせを含み得、農家が結果において検出された偏差の理由をさらに調査することを奨励する。複数の人々が群れと働いている場合、いくつかの実施形態では、複数の農家およびそれらのそれぞれの関連出力ユニットに、放送が行われ得る。
【0072】
図3は、乳分析装置120、カセット130、液体容器135、および/または注入モジュールの間の相互作用を示している。
【0073】
乳分析装置120は、第1の無線通信デバイス210を備える。第1の無線通信デバイス210は、液体容器135に含まれる第2の無線通信デバイス220と無線通信するように構成されている。デバイス210、220間の無線通信は、例えばNFC通信、Bluetooth、無線認識(RFID)または他の同様の短距離無線通信によって行われ得る。
【0074】
液体容器135を生産または再充填するとき、液体容器135内の液体量の表示は、場合によっては時間コードおよび/または液体識別コードに関連付けられて、液体容器135のメモリデバイス230に記憶され得る。
【0075】
異なる液体容器135は、異なる量の希釈剤で満たされ、かつ/またはいくつかの実施形態では、異なるタイプ/品質の希釈剤で満たされ得る。他の実施形態では、新しく/再充填されたときの液体容器135内の希釈剤の量は、常に同じであり、それにより暗に示され得る。
【0076】
乳分析装置120の制御ユニット240は、第1の無線通信デバイス210と通信接続している。それにより、制御ユニット240は、液体容器135のメモリデバイス230に記憶された情報を取得し、かつ/または情報を無線通信デバイス210、220を介してメモリデバイス230に提供し、その中に記憶し得る。
【0077】
制御ユニット240はまた、乳分析装置120に含まれるか、またはそれに関連する他の実体から情報を取得し得る。制御ユニット240は、例えば液体抽出セッション中に、液体容器135の消費された液体量に関連する信号を、例えば注入モジュール内のポンプなどの液体体積決定デバイス、またはチューブ類を通過した液体量を推定するように構成された流量センサから取得してもよい。
【0078】
次に、制御ユニット240は、抽出された液体量をメモリデバイス230に転送して、そこに記憶してもよく、または代替的に、液体抽出セッションを開始する前に、液体容器135内の液体量から抽出された液体量を差し引き、液体容器135の液体推定残量をメモリデバイス230に転送して、そこに記憶してもよい。いくつかの実施形態では、制御ユニット240は、消費された液体量に関連して取得された情報に基づいて、液体容器135内の液体推定残量を推定するように構成され得る。次に、この情報は、メモリデバイス230に転送され、メモリデバイス230に記憶され得る。
【0079】
これにより、液体容器135内の消費された液体量、または代替的に液体残量を継続的に記録することが可能になる。農家は、例えば第1の乳分析装置120で部分的に使用された液体容器135を取り、それを第2の乳分析装置120に入れることができ、それでも、第2の乳分析装置120が、液体容器135内の液体量/希釈剤に関する知識を有することが保証され得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、制御ユニット240は、液体残量、または代替的に完全に消費された液体量を、所定のトリガーレベルと比較してもよい。所定のトリガーレベルを超えたとき、液体残量が所定のトリガーレベル以下であるときに、農業管理者に液体容器135を取り替えるように促す警告が出力され得る。
【0081】
出力ユニット310は、例えば携帯電話、固定式または携帯型コンピューティングデバイス、コンピュータタブレット、ディスプレイ、一対のインテリジェント眼鏡、スマートコンタクトレンズ、拡張現実デバイス、スマートウォッチ、またはユーザインターフェースおよび無線通信能力を有する同様のデバイスであり得る。
【0082】
出力ユニット310を介して、農業管理者または他の農家は、液体容器135を注文および/または取り替えるための警告に参加することができる。代替的に、取り替え用液体容器135は、第1の所定のトリガーレベルに達したときに自動的に注文され得、液体容器135を交換するための奨励が、出力ユニット310を介して農業管理者に提供され得る。
【0083】
これにより、乳分析装置120は、液体容器135を介して希釈剤が継続的に供給され、また、液体容器135が時間内に、すなわち、遅すぎる(乳サンプルを信頼できない、または実施することさえ不可能にする)、または早すぎる(希釈剤の不必要な浪費を引き起こす)ことなく変えられることが保証され得る。
【0084】
さらにいくつかの実施形態では、制御ユニット240は、液体容器135から最初の液体抽出を検出するように、すなわち、液体容器135の密閉が破られたときを検出するように構成され得る。さらに、制御ユニット240は、液体容器135の最初の液体抽出が検出された時点を決定するように構成され得る。次に、制御ユニット240は、第1の無線通信デバイス210を介して、決定された時点を液体容器135のメモリデバイス230に送信して、液体容器135のメモリデバイス230に記憶することができる。
【0085】
液体容器135が初めて使用された時点を決定および記憶することにより、液体容器135が初めて使用されたとき、また別の乳分析装置120に挿入されたときも、後で決定することが可能になる。
【0086】
いくつかの実施形態では、制御ユニット240は、液体容器135の液体抽出を実施する直前に、この問題に対する確認を実施してもよい。したがって、制御ユニット240は、時計または時間決定サービスに基づいて、現在の時点を決定することができる。さらに、制御ユニット240は、第1の無線通信デバイス210を介して、液体容器135のメモリデバイス230に記憶された最初の液体抽出の時点を引き出すことができる。また、制御ユニット240は、現在の時点と最初の液体抽出の時点との間の時間差が所定の期限を超えているかどうかを確認することができる。加えて、制御ユニット240は、所定の期限を超えたときに、液体容器135からの液体抽出を禁止することができる。
【0087】
液体容器135からの液体抽出の禁止は、液体容器135のさらなる使用を禁止するブロッキングサインを生成することによって実現され、それを、メモリデバイス230に記憶するために、第1の無線通信デバイス210を介して液体容器135のメモリデバイス230に提供することができる。それにより、別の乳分析装置120に挿入されたときにも、液体容器135の液体抽出が禁止され得る。乳分析装置120の制御ユニット240は、液体容器135を含む任意の液体抽出セッションを開始する前に、液体容器135のメモリ230を確認するように構成され得る。
【0088】
それにより、長すぎる時間、すなわち時間限界値を超えて開口されていた液体容器135は、乳分析装置120で使用されることを回避することができる。長すぎる間開口されていた液体容器135の希釈剤は、化学的老化プロセスのために劣化する可能性があり、それにより、バイオマーカー測定の信頼性に影響を与える可能性がある。
【0089】
制御ユニット240はまた、いくつかの実施形態では、所定の期限をその期間だけ超えたときに、出力デバイス310を介して農業管理者に液体容器135を変えるように促す警告を出力することができる。
【0090】
これにより、農業管理者は、状況について警告され、液体容器135を新しいものと交換することができ、試験イベントを見逃さないようになる。
【0091】
制御ユニット240はさらに、液体容器135の液体抽出セッションを開始するとき、もしくはその頃に、第1の無線通信デバイス210を起動するように、かつ/または消費された液体量に関連する情報が送信されたときに、第1の無線通信デバイス210の動作を停止するように構成され得る。
【0092】
それにより、無線通信デバイス210、220を可能な限り短時間、活発に保つことが可能になる。それにより、近くにある他の無線通信デバイスへの伝送妨害が回避されるか、または少なくとも低減される。
【0093】
図1、
図2A、
図2B、および/または
図3に示された実施形態またはそれらの一部は、さらなる利益を達成するために、有利に、互いに組み合わせることができる。
【0094】
添付の図面に示された実施形態の説明で使用された用語は、説明された制御ユニット240、液体容器135、乳分析装置120、および/またはシステム10を限定することを意図するものではない。様々な変更、置換、および/または変更を、添付の特許請求の範囲によって定義されるような発明の実施形態から逸脱することなく、行い得る。
【0095】
本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連付けて列挙されたアイテムのうちの1つ以上の任意かつすべての組み合わせを含む。本明細書で使用される「または」という用語は、特に明記されていない限り、数学的排他的OR(XOR)としてではなく、数学的OR、すなわち、包含的論理和として解釈されるべきである。加えて、単数形「a」、「an」、および「the」は、「少なくとも1つ」として解釈されるべきであり、したがって場合によっては、特に明記しない限り、同じ種類の複数の実体を含む。「含む(includes)」、「備える(comprises)」、「含む(including)」および/または「備える(comprising)」という用語は、述べられた特徴、動作、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、動作、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことがさらに理解される。例えばプロセッサなどの単一ユニットが、特許請求の範囲に記載されたいくつかのアイテムの機能を果たし得る。特定の手段または特徴が、相互に異なる従属請求項に記載されている、異なる図に示されている、または異なる実施形態と併せて議論されているという単なる事実は、これらの手段または特徴の組み合わせを有利に使用できないことを示すものではない。コンピュータプログラムが、他のハードウェアと一緒に、または他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体または固体媒体などの好適な媒体に記憶/配布され得るが、インターネットまたは他の有線もしくは無線の通信システムなどの他の形態で配布されてもよい。