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特許7544776キャリアを分配するための分配システムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】キャリアを分配するための分配システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20240827BHJP
   G01N 35/04 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G01N35/02 G
G01N35/04 G
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022154149
(22)【出願日】2022-09-27
(65)【公開番号】P2023049040
(43)【公開日】2023-04-07
【審査請求日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】21199467.8
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン-ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エドウィン オースターブレーク
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ ソングーン シリトー
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-515892(JP,A)
【文献】特開2020-201167(JP,A)
【文献】特開2016-218060(JP,A)
【文献】特開2018-205310(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0168079(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 54/00 - 54/02
G01N 35/00 - 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分配システム(110)であって、
複数の論理位置(114)を含む移送面(112)と、
複数の物体(118)を移送するための複数のキャリア(116)と、
前記移送面(112)の上で前記キャリア(116)を論理位置(114)の間で移動させる駆動システム(120)と、
論理位置(114)を介して前記移送面(112)の上で出発位置(146)から最終目的位置(148)までの計画されたルート上を移動するように前記キャリア(116)を制御するように構成された制御システム(132)と
を備え、
前記制御システム(132)が、前記移送面(112)をノード(136)のグラフでモデル化することによって、前記移送面(112)の上の少なくとも2つのキャリア(116)についての複数のルートを計算するように構成されたルーティングシステム(134)を備え、
前記ルーティングシステム(134)が、前記移送面(112)の表面上を移動したキャリア(116)の数、および/または絶対的な時間または期間毎の論理位置での出発および停止の数に関する移送面(112)の領域の使用のバランスを考慮して、計画されたルートを計算するように構成され、
前記ルーティングシステム(134)が、前記計画されたルートを計算するために、
前記キャリア(116)の使用が一時的に不可能にされたブロックされた論理位置(114)を決定し、および/または
前記キャリア(116)が異なる論理位置で停止および/または出発するように、所定のルートに沿ったキャリアの移動毎に、移動する論理位置の数に対応する移動長(170)または予約される論理位置の数に対応する予約長を変化させる
ように構成される、分配システム(110)。
【請求項2】
前記ルートの計算が、前記出発位置(146)から前記最終目的位置(148)までの前記移送面(112)を横切る前記キャリア(116)についての最短経路を決定することを含む、請求項1に記載の分配システム(110)。
【請求項3】
前記ルーティングシステム(134)が、ブロックされた論理位置の少なくとも2つのパターン(140)を画定するように構成され、前記パターンのうちの1つ(140、142)は、前記ルーティングシステム(134)に前記キャリア(116)についての第1のルート(152)を計算させ、前記パターンのうちの別の1つ(140、144)が、前記ルーティングシステム(134)に前記キャリア(116)についての前記第1のルート(152)とは異なる第2のルート(154)を計算させる、請求項1に記載の分配システム(110)。
【請求項4】
前記ルーティングシステム(134)が、所定の時間後に、および/または前記移送面(112)の特定の領域上を移動したキャリア(116)の数に基づいて、1つのパターン(140)から別のパターン(140)に切り替えるように構成される、請求項3に記載の分配システム(110)。
【請求項5】
前記制御システム(132)が、最後の切り替え後に前記移送面(112)の前記特定の領域を使用していたキャリア(116)の数を測定するように構成され、前記ルーティングシステム(134)が、所定の閾値に到達した場合に別のパターン(140)に切り替えるように構成される、請求項4に記載の分配システム(110)。
【請求項6】
前記パターン(140)が、第1の数のブロックされた論理位置(114)を有する少なくとも1つの低トラフィックパターン(160)と、第2の数のブロックされた論理位置(114)を有する少なくとも1つの高トラフィックパターン(162)とを含み、前記第2の数は、前記第1の数と比較して小さい、請求項3に記載の分配システム(110)。
【請求項7】
前記ルーティングシステム(134)が、選択された移動、特定の数のキャリア(116)、特定の期間、前記移送面(112)の所定の領域、のうちの1つまたは2つ以上について、変化させた前記移動長(170)を使用するように構成される、請求項1に記載の分配システム(110)。
【請求項8】
前記ルーティングシステム(134)が、前記キャリア(116)の第1の移動(172)の長さのみを変更するように構成される、請求項に記載の分配システム(110)。
【請求項9】
前記制御システム(132)が、論理位置(114)を使用していたキャリア(116)の数を測定するように構成され、前記ルーティングシステム(134)が、隣接する論理位置(114)の測定された前記キャリア(116)の数を所定の閾値と比較し、前記比較に応じて前記移動長を適合させるように構成される、請求項に記載の分配システム(110)。
【請求項10】
前記制御システム(132)が、論理位置(114)を使用していたキャリア(116)の数を測定するように構成され、前記ルーティングシステム(134)が、前記移動長を最適化するための重み係数として測定された数を使用するように構成され、前記ルーティングシステム(134)が、低い重みを有する論理位置(114)を使用することを優先するように構成される、請求項に記載の分配システム(110)。
【請求項11】
前記ルーティングシステム(134)が、前記移送面(112)の所定の領域内の全ての移動または選択された移動について、変化させた前記予約長を使用するように構成され、前記ルーティングシステム(134)が、前記移送面(112)の所定の領域内の全ての移動または選択された移動について最大予約長を短縮させるように、および/または、前記移送面(112)の所定の領域内の全ての移動または選択された移動について最小予約長を増加させるように構成される、請求項1に記載の分配システム(110)。
【請求項12】
前記制御システム(132)が、前記キャリア(116)をそれぞれの出発位置(146)からそれぞれの最終目的位置(148)に移送するための計画されたルートを実行するように構成された少なくとも1つの実行ユニット(138)を備える、請求項1に記載の分配システム(110)。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の分配システム(110)を使用してキャリア(116)を分配するための方法であって、前記方法が、前記駆動システム(120)を使用することによって論理位置(114)の間で前記分配システム(110)の前記移送面(112)の上で前記キャリア(116)を移動させることを含み、前記方法が、前記制御システム(132)を使用することによって論理位置(114)を介して前記移送面(112)の上の前記出発位置(146)から前記最終目的位置(148)までの計画されたルート上を移動するように前記キャリア(116)を制御することを含み、前記方法が、前記ルーティングシステム(134)を使用することによって前記移送面(112)をノード(136)のグラフでモデル化することによって前記移送面(112)の上の少なくとも2つのキャリア(116)についての計画されたルートを計算することを含み、前記計算することが、前記移送面(112)の表面上を移動したキャリアの数、および/または絶対的な時間または期間毎の論理位置での出発および停止の数に関する移送面の領域の使用のバランスを考慮することを含み、前記計算することが、前記キャリア(116)の使用が一時的に不可能にされたブロックされた論理位置(114)を決定すること、および/または所定のルートに沿ったキャリアの移動毎に、移動する論理位置の数に対応する移動長(170)または予約される論理位置の数に対応する予約長を変化させることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分配システム、および分配システムを使用してキャリアを分配する方法に関する。例として、本発明のシステムおよび方法は、具体的には診断検査室の分野において、分析される生物学的流体または試薬によって満たされた試料容器、特に試料管、および/または試薬によって満たされたカセット、検体スライド、組織材料、廃棄物、ピペットチップまたは管キャップのような使い捨て物、および/またはアリコートのための空管を移送するキャリアの移動を制御するために使用されることができる。システムおよび方法はまた、商品、倉庫の品物、製造現場で製造される製品、または他の物体などのペイロードを移送するキャリアなど、移送面上のキャリアの移動を制御することを必要とする他の用途にも使用されることができる。
【背景技術】
【0002】
診断検査室の分野では、一般に、複数の試料、例えば液体試料が自動的に処理される必要がある。試料の自動処理は、1つまたは2つ以上の分配システムによって、診断検査室内のキャリアを介して、試料容器、具体的には処理される試料を含む試料容器を自動的に移送することを含むことができる。
【0003】
国際公開第2012/158520号パンフレットは、駆動電力を供給するためのエネルギー受信機および/またはエネルギー蓄積器と、制御信号を受信するための少なくとも1つの信号受信機と、少なくとも1つの信号受信機から得られる少なくとも1つの制御信号の関数として駆動信号を生成するための制御ユニットと、制御ユニットの駆動信号の関数としての移送経路上で検査室製品移送要素を独立して移動させるための移動装置とを備え、駆動装置が、駆動電力によって駆動され、少なくとも1つのホルダが、移送されている検査室製品を保持する、検査室移送システム用の検査室製品移送要素を開示している。この文献はまた、少なくとも1つの検査室製品移送要素および移送経路構成を有する検査室移送システムを記載している。この文献はまた、検査室移送システムの動作方法を記載している。
【0004】
欧州特許出願公開第3 251 986号明細書は、移送トラックとともに長尺ステータリニアモータを動作させるための方法であって、複数の駆動コイルが移送トラックに沿って配置され、少なくとも1つの個々の移送ユニットが移送トラックに沿って移動される、方法を記載している。本方法は、長尺ステータリニアモータの駆動コイルの制御変数を所定の周波数帯域を有する励磁信号と重畳することと、駆動コイル制御の実際の変数を決定することと、励磁信号に重畳された制御変数から、および決定された実際の変数から、周波数応答を決定することと、周波数応答からこの移送ユニットの制御パラメータを決定し、移送トラックに沿った移動のためにこれらの決定された制御パラメータを使用して移送ユニットを制御することと、を含む。
【0005】
既知の方法および装置によって達成される利点にもかかわらず、具体的にはキャリアが移送面に接触および/または摺動する分配システムについては、いくつかの技術的課題が残っている。具体的には、キャリアを自動的に移送することは、移送面上を移動するキャリアの数および/または移送面上の出発および停止の数に関する移送面の不均衡な使用に起因して、分配システムの移送面上の特定の領域の摩耗を増大させる可能性がある。
【0006】
一般に、例えば欧州特許出願公開第3 537 159号明細書に記載されているように、遅延および/または失敗した計画を決定することによって摩耗が拡張された領域を識別し、移送面上のこれらの領域を回避することが可能であり得る。この文献は、検査室試料分配システムを動作させる方法を記載しており、検査室試料分配システムは、複数の試料容器キャリアであって、試料容器キャリアを担持するように構成されている試料容器キャリアと、移送面であって、試料容器キャリアを支持するように構成されている移送面と、複数の駆動要素であって、試料容器キャリアを移送面上で移動させるように構成されている駆動要素と、を備える。本方法は、a)移送面上の出発位置から目的位置までの試料容器キャリアのうちの1つについての移動経路を計画するステップであって、移送面が、複数のノードによって論理的にモデル化され、ノードが少なくとも1つの時間ウインドウについて空いているか、または少なくとも1つの時間ウインドウについて予約されており、計画することが、1つの試料容器キャリアの計画された移動が1つのノードから次のノードを越えて少なくとも1つのさらに次のノードまで停止しないように、少なくとも1つの次のノードおよび少なくとも1つのさらに次のノードの時間ウインドウを解放するために、ノードのうちの1つの空き時間ウインドウからの到達可能性を分析することと、一連のノードの時間ウインドウを含む計画された移動経路を予約することと、を含む、計画するステップと、b)1つの試料容器キャリアが移送面上の予約された移動経路に沿って移動するように、駆動要素のうちの少なくとも1つを制御することによって実行するステップと、を含む。しかしながら、実際の摩耗が予測可能性に影響を及ぼし、キャリアの移動を遅くするなどのために、計画が失敗し始める可能性がある。ルータが、かなり新たな表面およびキャリアに対して良好に機能するモデルを依然として計画している場合、システムが磨耗すると計画は失敗し始める。システムは、摩耗が進んだ特定された領域を回避することができる。しかしながら、移送面の一部の領域は、特定の目標位置に到達することが回避されることができない。摩耗が進んだ領域は、一般に、摩耗が少ない領域よりも早く取り替える必要があり得る。その結果、移送システムのサービスのコストは、摩耗が進んだ領域の比較的短いサービス間隔によって強く決定される。
【0007】
さらに、直線移動を行う分配システム、具体的には直線経路上の停止を回避する分配システムは、摩耗を低減することができる。ルータ機構は、移送面上での移動中の停止を最小限に抑えながら、直線移動を可能にすることができる。しかしながら、この原理は、キャリアの高いトラフィック密度を有する分配システムには適していない可能性がある。
【0008】
さらに、局所的な摩耗溝は、移送面の絶対厚さが動作にとって重要ではなく、移送面が長い技術的および経済的寿命を有するのに十分な厚さであり得る場合、特に2つの使用間隔の間で、移送面を時々研削または研磨することによって除去され得る。代替的または追加的に、移送面は、より頻繁に取り替えられてもよい。例として、ダミーの移動を有するキャリアは、研削または研磨に使用され得る。しかしながら、労力、サービスおよび材料のコストは一般に高く、分配システムは、サービスに起因して長いダウンタイムを経験する可能性がある。
【発明の概要】
【0009】
したがって、上述した技術的課題に少なくとも部分的に対処する方法および装置を提供することが望ましい。具体的には、分配システムの移送面の摩耗を低減するか、またはより良好に分配する、キャリアを分配するための分配システムおよび方法が提案されるものとする。
【0010】
この課題は、独立請求項の特徴を有する分配システムおよび分配システムを使用してキャリアを分配する方法によって対処される。単独で、または任意の組み合わせで実現されることができる有利な実施形態は、従属請求項ならびに明細書全体に記載されている。
【0011】
以下において使用される場合、用語「有する」、「備える」もしくは「含む」またはそれらの任意の文法上の変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴に加えて、この文脈で説明されているエンティティにさらなる特徴が存在しない状況と、1つまたは2つ以上の追加の特徴が存在する状況との双方を指す場合がある。例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」および「AはBを含む」という表現は、双方とも、B以外に、他の要素がAに存在しない状況(すなわち、Aが単独で且つ排他的にBからなる状況)、および、B以外に、要素C、要素CおよびD、さらにはさらなる要素など、1つまたは2つ以上のさらなる要素がエンティティAに存在する状況を指す場合がある。
【0012】
さらに、特徴または要素が1回または複数回存在することができることを示す「少なくとも1つ」または「1つまたは2つ以上」という用語、あるいは同様の表現が、典型的には、それぞれの特徴または要素を導入するときに一度だけ使用されることに留意されたい。以下、ほとんどの場合、各特徴または要素を指すとき、表現「少なくとも1」または「1もしくは複数」は、各特徴または要素が1回または複数回存在し得るという事実にもかかわらず、繰り返されない。
【0013】
さらに、以下において使用される場合、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「より詳しくは」、「具体的には」、または「より具体的には」、あるいは同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意の特徴に関して使用される。したがって、これらの用語により導入される特徴は、任意の特徴であり、特許請求の範囲を、いかなる方法によっても制約することを意図されていない。本発明は、当業者が認識するように、代替の特徴を使用することによって実施されてもよい。同様に、「本発明の実施形態では」または同様の表現によって導入される特徴は、本発明の代替の実施形態に関するいかなる制限も伴わず、本発明の範囲に関するいかなる制限も伴わず、そのようなやり方で導入される特徴を本発明の他の任意または非任意の特徴と組み合わせる可能性に関するいかなる制限も伴わない任意の特徴であるように意図される。
【0014】
第1の態様では、分配システムが開示される。分配システムは、
- 複数の論理位置を含む移送面と、
- 複数の物体を移送するための複数のキャリアと、
- 移送面の上でキャリアを論理位置の間で移動させる駆動システムと、
- 論理位置を介して移送面の上で出発位置から最終目的位置までの計画されたルート上を移動するようにキャリアを制御するように構成された制御システムと
を備え、
制御システムは、移送面をノードのグラフでモデル化することによって移送面の上の少なくとも2つのキャリアについての複数のルートを計算するように構成されたルーティングシステムを備え、ルーティングシステムは、移送面の表面使用のバランスを考慮して計画されたルートを計算するように構成され、ルーティングシステムは、論理位置の一時的ブロックを考慮する、および/または可変移動長を考慮する、および/または可変予約長を考慮するように構成される。
【0015】
本明細書で使用される「システム」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、全体を形成する相互作用または相互依存する構成要素の任意のセットを指すことができる。具体的には、構成要素は、少なくとも1つの共通の機能を果たすために互いに相互作用することができる。少なくとも2つの構成要素は、独立して処理されてもよく、または結合もしくは接続可能であってもよい。
【0016】
本明細書で使用される「分配システム」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、初期位置から目標目的地までキャリアを分配するように構成されたシステムを指すことができる。分配システムは、検査室自動化システム内の目標目的地にキャリアを分配することを可能にする検査室自動化システムの要素とすることができる。分配システムは、多数の検査室ステーション、例えば分析前、分析および/または分析後ステーションを含む検査室自動化システムにおいて使用されることができる。分配システムは、例えば欧州特許第3 095 739号明細書または国際公開第2012/158541号パンフレットから当業者に一般的に知られている。
【0017】
本明細書で使用される「物体」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、任意のペイロードを指すことができる。物体は、例えば、分析される生物学的流体または試薬によって満たされた試料容器、特に試料管、および/または試薬によって満たされたカセット、検体スライド、組織材料、廃棄物、ピペットチップまたは管キャップのような使い捨て物、および/またはアリコートのための空管などの少なくとも1つの試料容器とすることができる。
【0018】
本明細書で使用される「キャリア」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、ペイロードを支持および移送するように構成された支持構造を指すことができる。キャリアには、ペイロードを必要な方法および向きで支持し、必要に応じてペイロードを固定するための適切な保持手段が設けられてもよい。キャリアは、自己推進とすることができ、または移送面によって推進され、移送面上で移動されることができる。
【0019】
本明細書で使用される「移送面」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、キャリアを移送するように構成された任意の種類の2次元平面、ベッド、層、プラットフォームまたはベースを指すことができる。移送面は、キャリアが移送面に沿って少なくとも2次元で移動可能であるように、キャリアが移送面上、特に移送面の表面上に位置決め可能であるように構成されることができる。例えば、移送面は、診断検査室または製造現場の床または製造ホール内に取り付けられた摺動面とすることができる。移送面は、傾斜面を含んで垂直または水平に設置されることができる。湾曲した移送面も可能である。
【0020】
移送面は、接触によってキャリアの移動を提供するように構成されてもよい。移送面は、摩擦を使用してキャリアの動きを駆動、停止、および制御することができるように、キャリアが移送面とも呼ばれる移送面の表面に接触することができるように構成されることができる。キャリアは、ノード間移送期間の一部の間、移送面と接触する。例えば、キャリアが次の移動を待つために停止するときである。3次元のために、移送面には、上向きおよび下向きの傾斜の対応する制限に対応して形成されることができるか、または制御を失うことなく到達可能な高さに対応する制限を有する磁気浮上またはエアクッション技術などの何らかの種類の浮上機構が設置されることができる。3次元の垂直移送のために、エレベータまたはパターノスター機構も設置されることができる。
【0021】
本明細書で使用される「駆動システム」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、移送面上でキャリアを移動させるように構成されたシステムを指すことができる。駆動システムは、例えば接続されたバッテリおよび電子機器の有無にかかわらず電気モータに接続されたホイールなど、キャリア自体に実装されることができる。別の可能性は、リニアモータである。受動キャリアも可能である。例えば、キャリアは、少なくとも1つの磁気要素を備えることができ、および/または少なくとも1つの磁気要素とすることができる。例えば、磁気装置がキャリア内に固定され、および/またはキャリアは、磁性材料、例えば常磁性材料から作製されてもよい。磁力は、発生された電磁場によってキャリアを強制的に移動させる電磁コイルなどの磁気的に活性且つ駆動可能な要素によって提供されることができる。コイルは、移送面の下方、上方、横方、または中に設置されることができる。例えば、移送面の下方の磁気コイルの配置は、例えば欧州特許第2 566 787号明細書または国際公開第2013/098202号パンフレットに記載されている。追加的または代替的に、コイルは、キャリアおよび移送面内の永久磁石の内側にあってもよい。
【0022】
「論理位置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、キャリアを支持するように構成されている移送面の任意の位置を指すことができる。移送面の提示は、論理位置または複数の論理位置およびそれらの間の許容される接続を有するグラフとすることができる。移送面は、論理位置のグラフまたは論理位置およびそれらの間の許容される接続のグラフに数学的にマッピングされてもよい。論理位置上のキャリアのルーティング、例えばルートの発見は、グラフを使用して実行されることができる。駆動システムは、移送面上のキャリアを論理位置間で移動させるように構成される。論理位置間の移動は、論理位置にしたがうことを含んでもよい。
【0023】
論理位置は、ハードウェア要件および/またはソフトウェアによって移送面上で定義されてもよい。論理位置は、ルーティングアルゴリズムにおける仮想位置および/または実移送システム上の位置であってもよい。例えば、論理位置は、キャリアが停止、出発、および/または方向を変更することができる位置として移送面上で定義されてもよい。欧州特許第2 566 787号明細書または国際公開第2013/098202号パンフレットに記載されているようなシステムでは、駆動システムは、そのハードウェア制限によってこれらの論理位置を定義してもよい。論理位置は、電磁コイルの上方に定義されてもよい。これらの位置では、キャリアを停止させ、次の移動でその方向を変更することが可能であり得る。論理位置は、交差点、合流点、出発位置および停止位置の有用なセットを形成するために望まれるまたは必要とされるように定義されてもよい。論理位置は、キャリアが停止することができる離散位置であってもよい。特に、論理位置は、電磁コイルまたはレールなどの可能な方法の交差など、駆動システムの少なくとも1つの物理的実体によって定義されてもよい。
【0024】
論理位置のそれぞれは、ただ1つのキャリアによって占有されるように構成されることができる。したがって、2つのキャリアが1つの論理位置を共有することはできない。分配システムは、それぞれの計算された部分ルートを介して移送面上の複数のキャリアを移動させるように構成されてもよく、それぞれのルートは、第1の論理位置から第2の論理位置、すなわちそれぞれの部分ルートの終了位置につながってもよい。
【0025】
論理位置は、キャリアによって到達可能な任意の位置、またはキャリアが方向を変えることができ、駐車されることができ、または識別もしくは登録システムによって識別されることができる任意の位置とすることができる。識別および登録システムは、そのサイズ、そのタイプ、バーコード、QRコード、そのペイロードなどのキャリアまたは物体上の任意の光学的シグネチャの1つまたは2つ以上を識別するカメラシステムまたは光学センサおよびスキャナとすることができる。バーコードおよび/またはQRコードは、キャリアを識別するために使用され得る。代替的または追加的に、移送面内のキャリアまたはセンサ上のキャリアまたは物体の固有のRFIDを読み取るRFIDリーダシステムが使用されて、論理位置を識別し、キャリアを位置特定することができる。さらなるオプションは、特にWi-Fi、Bluetooth、および/またはGSM信号で強化された高精度GPSとすることができる。任意の他の適切な代替物も原則として使用されることができる。
【0026】
本明細書で使用される「制御システム」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、好ましくは少なくとも1つのデータ処理装置を使用することによって、より好ましくは少なくとも1つのプロセッサおよび/または少なくとも1つの特定用途向け集積回路を使用することによって、指定された動作を実行するように構成された任意のシステムを指すことができる。したがって、例として、少なくとも1つの制御システムは、いくつかのコンピュータコマンドを含むソフトウェアコードが記憶された少なくとも1つのデータ処理装置を備えることができる。制御システムは、指定された動作のうちの1つまたは2つ以上を実行するための1つまたは2つ以上のハードウェア要素を提供することができ、および/または指定された動作のうちの1つまたは2つ以上を実行するために実行されるソフトウェアを1つまたは2つ以上のプロセッサに提供することができる。制御システムは、ステップb)およびc)を実行するように構成された1つまたは2つ以上のコンピュータ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの1つまたは2つ以上のプログラマブルデバイスを備えることができる。制御システムは、少なくとも1つのコンピュータを備えることができる。コンピュータは、例えばマイクロコントローラまたはFPGAなどのプログラマブルロジックデバイスなどの組み込みコンピュータとすることができる。しかしながら、追加的または代替的に、制御システムはまた、完全にまたは部分的にハードウェアによって具現化されてもよい。制御システムは、ルートを計算するためのルーティングシステムと、計画されたルートにしたがってキャリアの移動を実行するための少なくとも1つの実行ユニットとを備えることができる。
【0027】
本明細書で使用される「ルート」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、出発位置から最終目的位置までの部分ルートのセットを指すことができる。ルートは、中間目的地までの1つまたは2つ以上の部分ルートに分割されてもよい。出発位置は、アルゴリズムがルートの計算を開始するときにキャリアが移送面上に立つ論理位置であってもよい。最終目的位置は、キャリアが行く必要がある移送面上の論理位置とすることができる。最終目的位置は、特に特別な機能を有する移送面上の論理位置であり、例えば、試料管、試料の一部、または消耗品が、移送面から、または移送面に、例えば分析器または分析前もしくは分析後のシステムもしくは貯蔵システム、および/または第2の別々にルーティングされた領域に、またはそこから渡される。例えば、キャリアを一時的に保管するなどのための待ち行列のための領域は、ルーティングアルゴリズム(ルーティングサービス)とは別個のアルゴリズム(コンピュータ内のサービス)によって管理されてもよい。製造現場の場合、最終目的位置は、特に、半製品に対して何らかの製造プロセスを実行する機械ステーションに対応する論理位置とすることができる。1つのキャリアの出発位置は、特に別のキャリアの最終目的位置、または特に同じキャリアの複数の最終目的位置とすることもできる。
【0028】
実行ユニットは、計画されたルートを考慮したキャリアの移動を実行するように構成されてもよい。「移動」という用語は、「行動」を指すことができ、次の移動が行われるまでの待機時間を含まないことができる。移動は、1つの論理位置から出発し、第2の異なる論理位置で停止する、直線内のキャリアの1つの動きとして定義されてもよい。移動は、1つまたは2つ以上の論理位置のキャリアの変位を含むことができる。移動長は、各移動の論理位置の数であってもよい。具体的には、移動は、キャリアを途中で停止させずに直線的に変位させることであってもよい。第1の最終目的地から第2の最終目的地への移動は、中間目的地を伴う1つまたは2つ以上の移動で実行されてもよい。中間目的地は、論理的な位置であってもよい。各移動は、論理位置で出発および停止を有する。ルートの最終移動の停止は、中間目的地または最終目的地のいずれかである。ルーティングシステムは、機能的に実行ユニットとは別個のプロセスであってもよい。しかしながら、これらの2つのプロセスは、同じコンピュータ上で、同じもしくは複数の計算コアなどで、または異なるコンピュータおよび/またはマイクロコントローラなどで実行されることができる。
【0029】
本明細書で使用される「ルーティングシステム」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、移送面上でキャリアを移動させるためのルートを計算するように構成された任意のシステムを指すことができる。ルーティングシステムは、少なくとも1つのデータ処理装置を備えることができる。ルーティングシステムは、特にルーティングアルゴリズムとして示される少なくとも1つのアルゴリズムを使用するように構成されることができる。ルーティングアルゴリズムは、出発位置から最終目的位置に向かう中間目的位置までの移送面上の各キャリアについてのルートを計算するアルゴリズムとすることができる。ルーティングアルゴリズムは、論理位置上のキャリアの現在位置を出発位置として出発して中間目的位置までのルート毎にいくつかの直線移動を計算することができる。ルーティング計画とも呼ばれる計画されたルートは、第2の最終目的地に到達するまで実行するための全ての移動または次のいくつかの移動のみを含むことができる。
【0030】
ルーティングシステムは、移送面をノードのグラフでモデル化することによって移送面上のキャリアについてのルートを計算するように構成される。本明細書で使用される「ノード」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、論理的な位置の数学的表現を指すことができる。本明細書で使用される「グラフ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、ノードの構造およびそれらの間の可能な接続を指すことができる。
【0031】
ルートの計算は、出発位置から最終目的位置までの移送面を横切るキャリアについての最短経路を決定することを含むことができる。最短経路は、時間的に最も短い経路を指すことができる。しかしながら、最短経路は、いくつかの実施形態では、空間における最短にさらに関連してもよい。最短経路は、論理位置の最小数であってもよい。ルートの計算は、比較的短い経路を得るための効率的なルートを見つけることを含むことができるが、他のトラフィックも考慮に入れる。ルーティングアルゴリズムは、移送面を横切るキャリアについての最短経路を決定するために使用されることができる。アルゴリズムは、A*アルゴリズム、ウインドウ化階層的協調A*アルゴリズム(WHCA*)、D*アルゴリズム、ダイクストラのアルゴリズムからなる群から選択されてもよい。
【0032】
例えば、ルートを計算するためにWHCA*探索アルゴリズムが使用されてもよい。WHCA*アルゴリズムに関しては、例えば、Silver,D.,2005,「Cooperative pathfinding」,Young,R.M.,およびLaird,J.E.,eds.,AIIDE,117-122.AAA I Pressが参照される。WHCA*探索アルゴリズムは、A*またはD*探索アルゴリズムなどのインフォームド探索アルゴリズムとすることができる。最終目的地を有する各キャリアについて、探索アルゴリズムは、それぞれの最終目的位置に向かう時間長Tの協調探索ウインドウ内のノード上の出発位置から中間目的位置までのルートを計算する。ルートは論理位置の空き時間ウインドウを通過することしかできないため、探索は協調的である。必要とされる空き時間ウインドウを有する論理位置の場合、空き時間ウインドウの所要持続時間は、それぞれの論理位置の所要タイムスロットに対して「空き」から「予約済み」に変化する。したがって、空き時間ウインドウは、予約時間ウインドウと1つまたは2つのさらなる空き時間ウインドウとに分割される。したがって、探索は、論理位置の他のキャリアの予約時間ウインドウを考慮することによって、協調時間ウインドウTに対して協調的である。WHCA*アルゴリズムは、各キャリアについてのルートを個別に計画するように設計されてもよく、予約テーブルを使用して協調が得られてもよい。
【0033】
上述したように、ルーティングシステムは、移送面をノードのグラフでモデル化することによって、移送面上の全てのキャリアについてのルートを計算するように構成されることができる。そうするために、ルーティングシステムは、各ノードの予約時間ウインドウおよび空き時間ウインドウを決定するように構成されることができる。キャリアについてのルートを計算するために、ルーティングシステムは、協調時間ウインドウTを有するウインドウ化階層的協調インフォームド探索アルゴリズムを使用することができる。特に、協調インフォームド探索アルゴリズムは、ダイクストラ、ベルマン・フォード、またはそれ以上には、特にA*アルゴリズムである。Tは、典型的には、1から300秒、特に1から60秒、より具体的には10秒の範囲である。ルーティングシステムは、キャリアが個別に出発および停止するように、各キャリアの空き時間ウインドウを有する論理位置上の次の移動のためのノードの数として個別の予約長を割り当てるように構成されてもよい。実行ユニットは、キャリアをそれぞれの出発位置からそれぞれの最終位置に移送するための計画されたルートを実行するように構成されてもよい。
【0034】
ルートの計算は、ルートを計画することを含んでもよい。ルーティングシステムは、移送面を横切るキャリアについての最適ルートを決定するように構成され得る。最適ルートは、時間、リソース消費、コスト、摩耗バランス、良好な全体的な移送性能のうちの1つまたは2つ以上などの少なくとも1つの最適化目標に関して決定され得る。使用されるルーティングアルゴリズムは協調的であり得るため、ルーティングシステムは、必要に応じて個々のキャリアの最終目的地までの最短時間を犠牲にして、全てのキャリアが正味効率的な方法で通り抜けるように注意を払うことができる。それぞれのキャリアについての最適ルートは、最適化目標、例えば、その最終目的位置に到達するのに必要な時間を最小化する複数の可能なルートから選択されたルートとすることができる。
【0035】
ルーティングシステムは、移送面の表面使用のバランスを考慮して計画されたルートを計算するように構成される。具体的には、本発明は、その表面上を移動するキャリアの数および/またはその位置での出発および停止の数に関して移送面の領域の不均衡な使用に起因する移送面上の領域の摩耗を低減するための解決策を提案する。この摩耗は、優先ルートに沿って表面上を移送されるキャリアによって引き起こされる摩擦の結果であり得る。本明細書で使用される「表面使用」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、その表面上を移動したキャリアの数、および/または絶対的な時間または期間毎の論理位置での出発および停止の数に関する移送面の領域の使用を指すことができる。本明細書で使用される「バランスをとる」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、等化または補償のうちの1つまたは2つ以上を指すことができる。ルーティングシステムは、論理位置の一時的ブロックを考慮する、および/または可変移動長を考量する、および/または可変予約長を考慮するように構成される。本明細書で使用される「考慮する」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、論理位置の一時的ブロック、および/または、可変移動長、および/または、可変予約長を決定すること、含むこと、または考慮することのうちの1つまたは2つ以上を指すことができる。論理位置の一時的ブロックおよび/または可変移動長および/または可変予約長を考慮することは、キャリアのルートを計算するために、一時的ブロックされた論理位置および/または可変移動長および/または可変予約長の少なくとも1つの制約を含むことを含むことができる。
【0036】
例えば、通常は非常に集中的に使用される移送面上の領域の摩耗は、位置を一時的にブロックすることによって表面使用量を分配することによって低減され得る。ルーティングシステムは、ブロックされた論理位置の少なくとも2つのパターンを画定するように構成されてもよい。パターンのうちの1つは、ルーティングシステムにキャリアについての第1のルートを計算させることができ、パターンのうちの別の1つは、ルーティングシステムにキャリアについての第2のルートを計算させることができる。本明細書で使用される「力」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、潜在的なノードの境界を設定すること、および/または移動のためのノードの選択に影響を与えることを指すことができる。
【0037】
本明細書で使用される「パターン」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、ノードの定義された分布または選択を指すことができる。本明細書で使用される「ブロックする」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、ルーティングアルゴリズムによるさらなる考慮から使用されるべきではない少なくとも1つの論理位置、特にノードを除外することを指すことができる。パターンは、第1の数のブロックされた論理位置を有する少なくとも1つの低トラフィックパターンと、第2の数のブロックされた論理位置を有する少なくとも1つの高トラフィックパターンとを含むことができ、第2の数は、第1の数と比較して小さい。ブロックされた論理位置は、キャリアが移動するための異なるオプションの数をブロックするように配置されてもよい。ブロックされた論理位置は、キャリアが1つまたは2つ以上の一意の経路を辿るように強制するように配置されてもよい。例えば、使用されるべきではない全ての位置がブロックされる。これは、ルーティングシステムがルートを見つけることをより容易にすることができる。ブロックは、表面の幅をトラフィック量のニーズに適合させることを指すことができる。例えば、トラフィック状況が低い場合、それを1つの論理位置の広い表面上に移送すれば十分であり得る。3つの位置幅の面が提供される場合、最短ルートが選択され、おそらく全てのキャリアが同じ論理位置を移動する。高いトラフィック状況およびやはり広い3つの位置の場合、おそらくより多くの位置が使用され、したがってより良好な使用バランスがとられる。低トラフィックの状況の場合、利用可能であるが意図的に制限された表面を交互に連続的に切り替えることによって、使用のバランスをとる必要があり得る。したがって、より少ないが戦略的に選択されたブロックするための位置が使用され得、これは、キャリアが移動するのに十分な領域を残すことができるが、最短経路探索のために、ルートの計画にも影響を及ぼす。出発位置および目的位置に近い位置は、他の位置ほど容易に回避されることはできない。
【0038】
パターンは、ランタイム中に、または分配システムの設置および/または構成および/または初期化中に定義されてもよい。追加的または代替的に、パターンは、少なくとも1つの通信インターフェースを介してユーザ入力を受信することによって手動で定義されてもよく、および/またはアルゴリズムによって自動的に計算されてもよい。本明細書で使用される「通信インターフェース」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、情報を転送するように構成された境界を形成するアイテムまたは要素を指すことができる。特に、通信インターフェースは、例えば別の装置に情報を送信または出力するなどのために、例えばコンピュータなどの計算装置から情報を転送するように構成されることができる。追加的または代替的に、通信インターフェースは、情報を受信するなどのために、計算装置、例えばコンピュータに情報を転送するように構成されてもよい。通信インターフェースは、具体的には、情報を転送または交換するための手段を提供することができる。特に、通信インターフェースは、例えば、ケーブル、ブルートゥース、NFC、誘導結合などのデータ転送接続を提供することができる。例として、通信インターフェースは、ネットワークまたはインターネットポート、USBポート、およびディスクドライブのうちの1つまたは2つ以上を含む、少なくとも1つのポートとすることができるか、またはそれらを含むことができる。通信インターフェースは、少なくとも1つのウェブインターフェースとすることができる。
【0039】
本明細書で使用される「一時的ブロック」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、パターンの時間依存使用を指すことができる。ルーティングシステムは、所定の時間後に、および/または移送面の特定の領域上を移動したキャリアの数に基づいて、1つのパターンから別のパターンに切り替えるように構成されてもよい。特定の領域上を移動することは、特定の領域内のキャリアの移動、出発、および/または停止を含むことができる。特定の領域は、所定の、事前に決定された、または決定可能な領域のうちの1つまたは2つ以上であってもよい。切り替えは、パターンをアクティブ化および非アクティブ化することを含んでもよい。ある領域を移動したキャリアの数は、トラフィック量(traffic intensity)とすることができる。領域は、移送面の論理サブ領域またはフィールドとすることができる。本明細書で使用される「フィールド」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、少なくとも1つの論理位置を含む移送面のユニットを指すことができる。所定の時間は、分、時、日、または週の数から選択される期間であってもよい。
【0040】
制御システムは、最後の切り替え以降に移送面の特定の領域を使用していたキャリアの数を測定するように構成されることができる。特定の領域は、所定の、事前に決定された、または決定可能な領域のうちの1つまたは2つ以上であってもよい。分配システムは、移送面のフィールド、特に各フィールドの増分カウンタを備えることができる。増分カウンタは、それぞれのフィールド上を移動したキャリアの数、特にそれぞれの論理位置で出発および/または停止するキャリアの数をカウントするように構成され得る。ルーティングシステムは、所定の閾値、具体的には絶対閾値および/または相対閾値に到達した場合に別のパターンに切り替えるように構成されることができる。カウントされたキャリアの数は、閾値と比較され得る。追加的または代替的に、それぞれのフィールドの中央使用量、平均使用量、最小使用量、または最大使用量のうちの1つまたは2つ以上が、対応する閾値と比較されてもよい。閾値は、原則として、任意の数とすることができる。例えば、切り替えが1時間毎に意図されている場合、閾値は、1時間または1日に移送される予想されるキャリアの数に依存することができる。例えば、1時間当たりの予想されるキャリアの数は、1時間当たり1kキャリア、またはフィールド当たり6k、12k、または22k、またはそれ以上のキャリアのオーダーとすることができる。例えば、制御システムは、6k、12k、または22kの閾値を超える場合に、1つのパターンから別のパターンに切り替えることができる。追加的または代替的に、閾値は、絶対値ではなく、例えば、キャリアの絶対数の20%、50%、100%、中央値、平均、最小、または最大使用量のうちの1つまたは2つ以上の超過使用率に基づいてもよい。他の閾値および数も可能である。
【0041】
制限された残りの経路を介して過剰なトラフィックが送信される場合の容量の問題を回避するために、トラフィック量に基づいて、制限が少なくとも部分的にアクティブ化され、少なくとも部分的に非アクティブ化されることができる。高いトラフィック密度では、いずれにしても表面使用はより均等にバランスがとられ、より少ない位置がブロックされる必要があり得る。
【0042】
この提案された技術は、ルータのコードを変更する必要なく、他のルータに追加されることができる。ルータアルゴリズムの摩耗低減を継続的に考慮するオーバーヘッドはなく、潜在的な移動の数を減らすため、ルーティングシステムの計算時間を短縮することさえできる。
【0043】
トラフィック量がかなり低い領域を有するシステムでは、移動はしばしば最大予約長を有する。このため、出発位置または停止位置は、多くの移動で同じであることが多く、したがって、これらの位置の強い使用不均衡および摩耗につながる。ルーティングシステムは、可変移動長および/または可変最大予約長を考慮するように構成される。例えば、ルーティングシステムは、選択された移動、特定の数のキャリア、特定の期間、移送面の所定の領域のうちの1つまたは2つ以上に対して可変の移動長を使用するように構成されることができる。例えば、ルーティングシステムは、全てのキャリアおよび/または全ての移動について可変の移動長を使用するように構成されてもよい。
【0044】
例えば、各移動の移動長は変えることができる。トラフィック密度が低いために最大移動長が頻繁に実行されることができる場合、出発および停止は同じ位置で頻繁に行われる。ルーティングシステムは、ルートに沿ったキャリアの移動毎に移動長を変えるように構成されてもよい。移動毎に移動長を変えることにより、よりバランスよく位置が使用されることができる。
【0045】
ルーティングシステムは、キャリアの第1の移動の長さのみを変更するように、具体的には、キャリアが異なる論理位置で停止および/または出発するようにキャリアの第1の移動の長さを変更するように構成され得る。「第1の移動」という用語は、出発位置からの第1の移動、特に複数の移動を含む段階的な移動を指すことができる第1の移動の移動長のみを変化させることによって、より良いバランスを得ることができる。
【0046】
制御システムは、論理位置を使用していたキャリアの数を測定するように構成され得る。上記で概説したように、分配システムは、移送面の各フィールドに対して増分カウンタを備え、それぞれの論理位置上を移動、出発、または停止したキャリアの数をカウントすることができる。「使用する」という用語は、論理位置で停止および/または出発すること、または論理位置を移動することを指すことができる。ルーティングシステムは、隣接する論理位置のキャリアの測定された数を所定の閾値と比較し、比較に応じて移動長を適合させるように構成されることができる。閾値は、上記の切り替えに関して指定されたように定義および具現化してもよい。
【0047】
上述したように、制御システムは、論理位置を使用していたキャリアの数を測定するように構成され得る。ルーティングシステムは、測定された数を移動長を最適化するための重み係数として使用するように構成されてもよい。ルーティングシステムは、低い重みの論理位置を使用することを優先するように構成され得る。
【0048】
ルーティングシステムは、コスト関数を論理位置のそれぞれに割り当てるように構成されてもよい。コスト関数は、論理位置を使用したキャリアの測定された数に応じて増加され得る。ルーティングシステムは、低コスト関数で論理位置を優先するように構成されてもよい。
【0049】
ルーティングシステムは、移送面の所定の領域内の移動の全てまたは選択、例えば規定されたまたはランダムな選択に可変予約長を使用するように構成され得る。ルーティングシステムは、移送面の所定の領域内の全ての移動または選択された移動について最大予約長を短縮するように構成され得る。あるいは、ルーティングシステムは、移送面の所定の領域内の全ての移動または選択された移動について最小予約長を増加させるように構成されてもよい。最大予約長の短縮および/または最小予約長の増加は、各キャリアの1つまたは2つ以上に対して、またはランダムにキャリアに対して使用され得る。最大予約長の短縮および/または最小予約長の増加は、一定期間実行されてもよい。
【0050】
例えば、移送面の表面使用のバランスを考慮するために、移動の計画は、例えば所定の領域で補正されてもよい。補正は、一定時間行われてもよい。最大予約長で移動する代わりに、規定された領域内の全ての移動または僅かな移動について予約長は短縮され得る。この短縮は、各キャリアに対して、またはキャリアに対してランダムに行うことができる。予約長の短縮は、ランダムに行うことができる。例えば、第1のステップの最大移動長のみが変更される。これは、低トラフィックの状況でも以下の移動の出発-停止位置に影響を及ぼす可能性があるため、同様の効果を有する。高トラフィックの状況では、予約長は、キャリアの密度が高いため、通常、最大予約長より短くなり得る。第1の移動は、1移動だけで到達する第1の架空または架空の目標として実行され得る。第1の移動の終了位置は、ランダムに、または期間当たりの長さnを有する特定の出発位置からの第1のステップの数がn=1,・・・,nmaxと等しいように決定された方法で変えることができ、nmaxは、最大予約長である。
【0051】
本明細書で使用される「予約長」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。予約長は、移動を行うために予約される論理位置を含むことができる。本明細書で使用される「最大予約長」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。最大予約長は、一度に予約される論理位置が多すぎる状況を回避するために定義されてもよく、これは、他のキャリアのためにこれらの位置を長時間にわたってブロックすることにつながるであろう。ルーティングアルゴリズムは、所与の移動長に対して移動がかかる時間を推定するためのモデルを含むことができる。これは、論理位置を予約するための完全な時間計画を決定することを可能にすることができる。この時間計画は、移動時間ならびに次の移動が行われるまでの待機時間を含むことができる。
【0052】
さらなる態様では、本発明にかかる分配システムを使用してキャリアを分配するための方法が開示される。
【0053】
方法ステップは、所与の順序で実行されてもよく、または異なる順序で実行されてもよい。さらに、列挙されていない1つまたは2つ以上の追加の方法ステップが存在してもよい。さらにまた、1つ、複数、さらには全ての方法ステップを繰り返し実行されることができる。
【0054】
本方法は、駆動システムを使用することによって分配システムの移送面上のキャリアを論理位置の間で移動させることを含む。本方法は、制御システムを使用することによって、論理位置を介して移送面上の出発位置から最終目的位置までの計画されたルート上を移動するようにキャリアを制御することを含む。本方法は、ルーティングシステムを使用することによってノードのグラフで移送面をモデル化することによって、移送面上の少なくとも2つのキャリアについての計画されたルートを計算することを含む。計算することは、移送面の表面使用のバランスを考慮することを含む。計算することは、論理位置の一時的ブロックを考慮すること、および/または可変移動長を考慮すること、および/または可変予約長を考慮することを含む。
【0055】
詳細、オプションおよび定義については、上述したように分配システムを参照することができる。したがって、具体的には、上記で概説したように、本方法は、上記で与えられた、または以下にさらに詳細に与えられる実施形態の1つまたは2つ以上などにかかる、本発明にかかる分配システムを使用することを含むことができる。
【0056】
プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書に含まれる1つまたは2つ以上の実施形態において、本発明にかかる方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラムがさらに開示および提案される。具体的には、コンピュータプログラムは、コンピュータ可読データキャリアおよび/またはコンピュータ可読記憶媒体に記憶されることができる。
【0057】
本明細書で使用される場合、「コンピュータ可読データキャリア」および「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、具体的には、コンピュータ実行可能命令が記憶されたハードウェア記憶媒体などの非一時的データ記憶手段を指すことができる。コンピュータ可読データキャリアまたは記憶媒体は、具体的には、ランダムアクセスメモリ(RAM)および/または読み出し専用メモリ(ROM)などの記憶媒体とすることができるか、またはそれを含むことができる。
【0058】
したがって、具体的には、上述したような方法ステップの1つ、2つ以上、または全ては、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用して、好ましくはコンピュータプログラムを使用して実行されることができる。
【0059】
プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書に含まれる1つまたは2つ以上の実施形態において、本発明にかかる方法を実行するために、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品が本明細書にさらに開示および提案される。具体的には、プログラムコード手段は、コンピュータ可読データキャリアおよび/またはコンピュータ可読記憶媒体に記憶されることができる。
【0060】
本明細書にさらに開示および提案されるのは、コンピュータまたはコンピュータネットワークのワーキングメモリまたはメインメモリなどのコンピュータまたはコンピュータネットワークにロードした後、本明細書に開示される実施形態のうちの1つまたは2つ以上にかかる方法を実行することができるデータ構造が記憶されたデータキャリアである。
【0061】
本明細書にさらに開示および提案されるのは、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書に含まれる実施形態のうちの1つまたは2つ以上にかかる方法を実行するために、機械可読キャリアに記憶されたプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品である。本明細書で使用される場合、コンピュータプログラム製品は、取引可能な製品としてのプログラムを指す。製品は、一般に、紙のフォーマットなどの任意のフォーマットで、またはコンピュータ可読データキャリアおよび/またはコンピュータ可読記憶媒体上に存在する。具体的には、コンピュータプログラム製品は、データネットワーク上で分配されてもよい。
【0062】
最後に、本明細書に開示および提案されるのは、本明細書に開示される実施形態のうちの1つまたは2つ以上にかかる方法を実行するための、コンピュータシステムまたはコンピュータネットワークによって読み取り可能な命令を含む変調データ信号である。
【0063】
本発明のコンピュータ実装態様を参照すると、本明細書に開示される実施形態のうちの1つまたは2つ以上にかかる方法のうちの1つまたは2つ以上の方法ステップまたは全ての方法ステップは、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって実行されることができる。したがって、一般に、データの提供および/または操作を含む方法ステップのいずれかは、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって実行されることができる。一般に、これらの方法ステップは、試料の提供および/または実際の測定を実行する特定の態様などの手作業を必要とする方法ステップを通常除いて、任意の方法ステップを含むことができる。
【0064】
具体的には、本明細書では、さらに以下が開示される:
- プロセッサが、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するように適合された少なくとも1つのプロセッサを備えるコンピュータまたはコンピュータネットワーク、
- データ構造がコンピュータ上で実行されている間に、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するように適合されたコンピュータロード可能データ構造、
- プログラムがコンピュータ上で実行されている間に、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するように適合されたコンピュータプログラム、
- コンピュータプログラムがコンピュータ上またはコンピュータネットワーク上で実行されている間に、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するためのプログラム手段を備えるコンピュータプログラム、
- プログラム手段がコンピュータに読み取り可能な記憶媒体上に記憶された、先行する実施形態にかかるプログラム手段を備えるコンピュータプログラム、
- データ構造が記憶媒体に記憶され、データ構造がコンピュータまたはコンピュータネットワークの主記憶部および/または作業記憶部にロードされた後、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するように適合された、記憶媒体、
- コンピュータまたはコンピュータネットワーク上でプログラムコード手段が実行された場合に、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するために、プログラムコード手段が記憶媒体上に記憶されることができる、または記憶される、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品。
【0065】
要約すると、さらなる実施形態の可能性を排除することなく、以下の実施形態を想定することができる:
【0066】
実施形態1.分配システムであって、
- 複数の論理位置を含む複数の移送面と、
- 複数の物体を移送するための複数のキャリアと、
- 移送面の上でキャリアを論理位置の間で移動させる駆動システムと、
- 論理位置を介して移送面の上で出発位置から最終目的位置までの計画されたルート上を移動するためにキャリアを制御するように構成された制御システムと
を備え、
制御システムは、移送面をノードのグラフでモデル化することによって移送面の上の少なくとも2つのキャリアについての複数のルートを計算するように構成されたルーティングシステムを備え、ルーティングシステムは、移送面の表面使用のバランスを考慮して、計画されたルートを計算するように構成され、ルーティングシステムは、論理位置の一時的ブロックを考慮する、および/または可変移動長を考慮する、および/または可変予約長を考慮するように構成される、分配システム。
【0067】
実施形態2.ルートの計算が、出発位置から最終目的位置までの移送面を横切るキャリアについての最短経路を決定することを含む、実施形態1に記載の分配システム。
【0068】
実施形態3.少なくとも1つのアルゴリズムが、移送面を横切るキャリアについての最短経路を決定するために使用され、アルゴリズムは、A*アルゴリズム、ウインドウ化階層的協調A*アルゴリズム(WHCA*)、D*アルゴリズム、ダイクストラのアルゴリズムからなる群から選択される、実施形態2に記載の分配システム。
【0069】
実施形態4.ルーティングシステムは、ブロックされた論理位置の少なくとも2つのパターンを画定するように構成され、パターンのうちの1つは、ルーティングシステムにキャリアについての第1のルートを計算させ、パターンのうちの別の1つは、ルーティングシステムにキャリアについての第1のルートとは異なる第2のルートを計算させる、実施形態1から3のいずれか1つに記載の分配システム。
【0070】
実施形態5.パターンは、ランタイム中に、または分配システムの設置および/または構成および/または初期化中に画定される、実施形態4に記載の分配システム。
【0071】
実施形態6.パターンは、少なくとも1つの通信インターフェースを介してユーザ入力を受信することによって手動で画定され、および/またはアルゴリズムによって自動的に計算される、実施形態4または5に記載の分配システム。
【0072】
実施形態7.ルーティングシステムは、所定の時間後に、および/または移送面の特定の領域上を移動したキャリアの数に基づいて、1つのパターンから別のパターンに切り替えるように構成される、実施形態4から6のいずれか1つに記載の分配システム。
【0073】
実施形態8.所定の時間は、分、時、日、または週の数から選択された期間である、実施形態7に記載の分配システム。
【0074】
実施形態9.制御システムは、最後の切り替え後に移送面の特定の領域を使用していたキャリアの数を測定するように構成され、ルーティングシステムは、所定の閾値、具体的には絶対閾値および/または相対閾値に到達した場合に別のパターンに切り替えるように構成される、実施形態7または8に記載の分配システム。
【0075】
実施形態10.切り替えは、パターンをアクティブ化および非アクティブ化することを含む、実施形態4から9のいずれか1つに記載の分配システム。
【0076】
実施形態11.パターンは、第1の数のブロックされた論理位置を有する少なくとも1つの低トラフィックパターンと、第2の数のブロックされた論理位置を有する少なくとも1つの高トラフィックパターンとを含み、第2の数は、第1の数と比較して小さい、実施形態4から10のいずれか1つに記載の分配システム。
【0077】
実施形態12.ブロックされた論理位置は、キャリアが移動するための異なるオプションの数をブロックするように配置される、実施形態1から11のいずれか1つに記載の分配システム。
【0078】
実施形態13.ルーティングシステムは、選択された移動、特定の数のキャリア、特定の期間、移送面の所定の領域のうちの1つまたは2つ以上に対して可変移動長を使用するように構成される、実施形態1から12のいずれか1つに記載の分配システム。
【0079】
実施形態14.ルーティングシステムは、キャリアの第1の移動の長さのみを変更するように、具体的には、キャリアが異なる論理位置で停止および/または出発するようにキャリアの第1の移動の長さを変更するように構成される、実施形態13に記載の分配システム。
【0080】
実施形態15.ルーティングシステムは、ルートに沿ったキャリアの移動のそれぞれについて移動長を変更するように構成される、実施形態13または14に記載の分配システム。
【0081】
実施形態16.制御システムは、論理位置を使用していたキャリアの数を測定するように構成され、ルーティングシステムは、隣接する論理位置の測定されたキャリアの数を所定の閾値と比較し、比較に応じて移動長を適合させるように構成される、実施形態14または15に記載の分配システム。
【0082】
実施形態17.制御システムは、論理位置を使用していたキャリアの数を測定するように構成され、ルーティングシステムは、移動長を最適化するための重み係数として測定された数を使用するように構成され、ルーティングシステムは、低い重みの論理位置を使用することを優先するように構成される、実施形態14から16のいずれか1つに記載の分配システム。
【0083】
実施形態18.ルーティングシステムは、コスト関数を論理位置のそれぞれに割り当てるように構成され、コスト関数は、論理位置を使用したキャリアの測定された数に応じて増加し、ルーティングシステムは、低コスト関数で論理位置を優先するように構成される、実施形態17に記載の分配システム。
【0084】
実施形態19.ルーティングシステムは、移送面の所定の領域内の全ての移動についてまたは選択された移動について可変予約長を使用するように構成される、実施形態1から18のいずれか1つに記載の分配システム。
【0085】
実施形態20.ルーティングシステムは、移送面の所定の領域内の全ての移動についてまたは選択された移動について最大予約長を短縮するように構成される、実施形態19に記載の分配システム。
【0086】
実施形態21.ルーティングシステムは、移送面の所定の領域内の全ての移動についてまたは選択された移動について最小予約長を増加させるように構成される、実施形態19または20に記載の分配システム。
【0087】
実施形態22.最大予約長の短縮および/または最小予約長の増加は、各キャリアのうちの1つまたは2つ以上について、またはランダムにキャリアについて使用される、実施形態19から21のいずれか1つに記載の分配システム。
【0088】
実施形態23.制御システムは、キャリアをそれぞれの出発位置からそれぞれの最終位置に移送するための計画されたルートを実行するように構成された少なくとも1つの実行ユニットを備える、実施形態1から22のいずれか1つに記載の分配システム。
【0089】
実施形態24.実施形態1から23のいずれか1つに記載の分配システムを使用してキャリアを分配するための方法であって、方法は、駆動システムを使用することによって分配システムの移送面上のキャリアを論理位置の間で移動させることを含み、方法は、制御システムを使用することによって論理位置を介して移送面上の出発位置から最終目的位置までの計画されたルート上を移動するようにキャリアを制御することを含み、方法は、ルーティングシステムを使用することによって移送面をノードのグラフでモデル化することによって移送面上の少なくとも2つのキャリアについての計画されたルートを計算することを含み、計算することは、移送面の表面使用のバランスを考慮することを含み、計算することは、論理位置の一時的ブロックを考慮することおよび/または可変移動長を考慮することおよび/または可変予約長を考慮することを含む、方法。
【0090】
さらなる任意の特徴および実施形態は、好ましくは従属請求項と併せて、実施形態の後続の説明においてより詳細に開示される。ここで、それぞれの任意の特徴は、当業者が理解するように、独立した方法で、ならびに任意の実行可能な組み合わせで実現されてもよい。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって限定されない。実施形態は、図に概略的に示されている。ここで、これらの図の同一の参照符号は、同一または機能的に匹敵する要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0091】
図1】分配システムの実施形態を概略図で示している。
図2A】分配システムの移送面上のブロックされた論理位置の例示的なパターンを示している。
図2B】分配システムの移送面上のブロックされた論理位置の例示的なパターンを示している。
図2C】分配システムの移送面上のブロックされた論理位置の例示的なパターンを示している。
図2D】分配システムの移送面上のブロックされた論理位置の例示的なパターンを示している。
図3A】分配システムにおけるキャリアの可変移動長を概略的に示している。
図3B】分配システムにおけるキャリアの可変移動長を概略的に示している。
図3C】分配システムにおけるキャリアの可変移動長を概略的に示している。
図4A】分配システムを使用してキャリアを分配するための方法の実施形態のフローチャートを示している。
図4B】分配システムを使用してキャリアを分配するための方法の実施形態のフローチャートを示している。
図4C】分配システムを使用してキャリアを分配するための方法の実施形態のフローチャートを示している。
図4D】分配システムを使用してキャリアを分配するための方法の実施形態のフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0092】
図1は、分配システム110の例示的な実施形態を概略図で示している。分配システム110は、論理位置114を含む移送面112と、物体118を移送するためのキャリア116と、移送面112上のキャリア116を論理位置114の間で移動させるための駆動システム120とを備える。
【0093】
分配システム110は、検査室自動化システム122内の目標目的地にキャリア116を分配することを可能にする検査室自動化システム122の要素とすることができる。図1に見られるように、分配システム110は、例えば分析前、分析および/または分析後ステーションなどのいくつかの検査室ステーション124を含む検査室自動化システム122において使用されることができる。したがって、図1の例示的な実施形態では、物体118は、検査室診断容器または器などの少なくとも1つの試料容器126とすることができる。
【0094】
キャリア116は、具体的には、受動キャリアであってもよい。図1の例示的な実施形態では、磁気装置がキャリア116内に固定され、電磁コイルなどの磁気的に活性な駆動可能要素(図1には示されていない)によって提供される磁力が、発生した電磁場によってキャリア116を強制的に移動させる。例えば、電磁コイルは、例えば欧州特許第2 566 787号明細書または国際公開第2013/098202号パンフレットに例示的に記載されているように、移送面112の下方に設置されてもよい。しかしながら、移送面112に加えて、またはその中にコイルを配置することも可能である。したがって、この例では、駆動システム120は、そのハードウェアの制限によって論理位置114を定義することができる。論理位置114は、電磁コイルの上方に画定されてもよい。これらの位置では、キャリア116を停止させ、次の移動でその方向を変更することが可能であり得る。
【0095】
図1に見られるように、分配システム110は、少なくとも1つの識別および登録システム128をさらに備えることができる。識別および登録システム128は、カメラシステム130、またはキャリア116もしくは物体118上の任意の光学的シグネチャを識別する光学センサおよびスキャナとすることができ、そのサイズ、その種類、バーコード、QRコード、そのペイロードなどのキャリアまたは物体上の任意の光学的シグネチャのうちの1つまたは2つ以上とすることができる。バーコードおよび/またはQRコードは、キャリア116を識別するために使用されることができる。しかしながら、特にWi-Fi、Bluetoothおよび/またはGSM信号で強化された、RFIDリーダシステムまたは高精度GPSなどの他のオプションも実現可能である。任意の他の適切な代替物も原則として使用されることができる。
【0096】
分配システム110は、論理位置114を介して移送面112上の出発位置から最終目的位置までの計画されたルート上を移動するようにキャリア116を制御するように構成された制御システム132をさらに備える。出発位置および最終目的位置は、具体的には、移送面112上の論理位置114の少なくとも一方であってもよい。
【0097】
制御システム132は、移送面112をノード136のグラフでモデル化することによって移送面112上の少なくとも2つのキャリア116についてのルートを計算するように構成されたルーティングシステム134を備える。ルーティングシステム134は、移送面112の表面使用のバランスを考慮して計画されたルートを計算するように構成され、ルーティングシステム134は、論理位置114の一時的ブロックを考慮し、および/または可変移動長を考慮し、および/または可変予約長を考慮するように構成される。
【0098】
制御システム132は、少なくとも1つの実行ユニット138をさらに備えることができる。実行ユニット138は、キャリア116をそれぞれの出発位置からそれぞれの最終位置に移送するための計画されたルートを実行するように構成されることができる。具体的には、実行ユニット138は、計画されたルートにしたがってキャリア116の移動を実行するように構成されてもよい。図1の例示的な実施形態では、実行ユニット138は、駆動システム120に少なくとも部分的に組み込まれてもよく、例として、駆動システム120、具体的には駆動システム120の電磁コイルを制御することなどによって、計画されたルートを考慮してキャリア116の移動を実行するように構成されてもよい。
【0099】
ルートの計算は、出発位置から最終目的位置までの移送面112を横切るキャリア116についての最短経路を決定することを含むことができる。移送面112を横切るキャリア116についての最短経路を決定するために、ルーティングアルゴリズムが使用されることができる。アルゴリズムは、A*アルゴリズム、ウインドウ化階層的協調A*アルゴリズム(WHCA*)、D*アルゴリズム、ダイクストラのアルゴリズムからなる群から選択されてもよい。
【0100】
上述したように、ルーティングシステム134は、論理位置114の一時的ブロックを考慮するように構成される。図2Aから図2Dには、分配システム110の移送面112上のブロックされた論理位置140の例示的なパターンが示されている。具体的には、図2Aは、ブロックされた論理位置140のパターンを有しない移送面112を示し、図2Bは、ブロックされた論理位置142の第1のパターンを有する移送面112を示し、図2Cは、ブロックされた論理位置144の第2のパターンを有する移送面112を示している。
【0101】
図2Aに見られるように、キャリア116は、出発位置146から最終目的位置148までの移送面112上を自由に移動することができる。キャリア116は、示された制限されていない複数のルート150のうちの1つを高い確率で取ることができ、その結果、制限されていないルート150を介して移送面112上の領域の高い摩耗をもたらす。
【0102】
本発明は、その表面上を移動するキャリア116の数および/または絶対的な時間または期間毎の論理位置114上の出発および停止の数に関して移送面112の領域の不均衡な使用に起因する移送面112上の領域の摩耗を低減するための解決策を提案する。例えば、通常は非常に集中的に使用される移送面112上の領域の摩耗は、位置114を一時的にブロックすることによって表面使用量を分配することによって低減され得る。ルーティングシステム134は、ブロックされた論理位置140の少なくとも2つのパターンを決定するように構成されてもよい。パターン140、142のうちの1つは、図2Bに例示的に示されるように、ルーティングシステム134にキャリア116の第1のルート152を計算させることができ、パターン140、144のうちの別の1つは、図2Cに例示的に示されるように、ルーティングシステム134にキャリア116の第2のルート154を計算させることができる。図2Aから図2Cに見られるように、制限されていないルート150、第1のルート152、および第2のルート154は、互いに異なっていてもよく、したがって移送面112の摩耗を低減する。しかしながら、ブロックされた論理位置114は、キャリア116が移動するための異なる数のオプションをブロックするように配置されてもよい。図は、2つの経路を示し、1つは破線であり、1つは実線である。この状況は、出発点への、および出発点からの、2方向に移動するキャリア116に適している。1つの可能な経路しか存在しない場合、反対方向に移動するキャリア116は、過度に互いにブロックすることになる。したがって、ここでは、良好な解決策は、あまり干渉することなく双方向移送が可能であるようにブロックすることである。ブロックされた位置は、しばらくの間それらの位置を使用することを不可能にし、パターンをスマートに定義することによって、キャリア116は(ほとんど)残りの経路をたどる。具体的には、図2Bおよび図2Cに示すブロックされた論理位置140、142、144のパターンのそれぞれにおいて、キャリア116が出発位置146から最終目的位置148に移動することができる少なくとも2つのルート152、154が依然として許容されることができる。
【0103】
パターン140は、ランタイム中に、または分配システム110の設置および/または構成および/または初期化中に画定されてもよい。追加的または代替的に、パターン140は、少なくとも1つの通信インターフェースを介してユーザ入力を受信することによって手動で画定されてもよく、および/またはアルゴリズムによって自動的に計算されてもよい。
【0104】
ルーティングシステム134は、所定の時間の後に、および/または移送面112の特定の領域上を移動したキャリア116の数に基づいて、1つのパターン140から別のパターン140に、例えばブロック論理位置の第1のパターン142から第2のパターン144に切り替えるように構成されてもよい。切り替えは、パターン140をアクティブ化および非アクティブ化することを含んでもよい。特定の領域を移動したキャリア116の数は、トラフィック量であってもよい。領域は、図1の点線によって例示的に示されるように、論理サブ領域156、または移送面112のフィールド158であってもよい。所定の時間は、分、時、日、または週の数から選択される期間であってもよい。
【0105】
制御システム132は、最後の切り替え以降に移送面112の特定の領域を使用していたキャリア116の数を測定するように構成され得る。分配システム110は、移送面112のフィールド158、特に各フィールド158の増分カウンタ(図示せず)を備え得る。増分カウンタは、それぞれのフィールド158上を移動したキャリア116の数、特にそれぞれの論理位置114上で出発および/または停止するキャリア116の数をカウントするように構成され得る。ルーティングシステム134は、所定の閾値、具体的には絶対閾値および/または相対閾値に到達した場合に、別のパターン140に切り替えるように構成され得る。カウントされたキャリア116の数は、閾値と比較され得る。追加的または代替的に、それぞれのフィールド158の中央使用量(median usage)、平均使用量(average usage)、最小使用量(minimum usage)、または最大使用量(maximum usage)のうちの1つまたは2つ以上が、対応する閾値と比較されてもよい。閾値は、原則として、任意の数とすることができる。例えば、切り替えが1時間毎に意図されている場合、閾値は、1時間または1日に移送される予想されるキャリア116の数に依存することができる。例えば、1時間当たりの予想されるキャリア116の数は、1時間当たり1kキャリア、またはフィールド158当たり6k、12k、または22k、またはそれ以上のキャリア116のオーダーとすることができる。例えば、制御システム132は、6k、12k、または22kの閾値を超える場合に、1つのパターン140から別のパターンに切り替えることができる。追加的または代替的に、閾値は、絶対値ではなく、例えば、キャリア116の絶対数の20%、50%、100%、中央値、平均、最小、または最大使用量のうちの1つまたは2つ以上の超過使用率に基づいてもよい。他の閾値および数も可能である。
【0106】
図2Bおよび図2Cに見られるように、パターン140は、第1の数のブロックされた論理位置114を有する少なくとも1つの低トラフィックパターン160を含むことができる。図2Dでは、パターン140は、第2の数のブロックされた論理位置114を有する高トラフィックパターン162であってもよい。ブロックされた論理位置114の第2の数は、ブロックされた論理位置114の第1の数と比較して小さくてもよい。図2Bおよび図2Cは、双方とも同じトラフィック量のものである。図2Dの場合、各方向に移動するキャリア116に対して複数の経路163が利用可能である。しかしながら、ルーティングアルゴリズムに応じて、1方向の全てのキャリア116が破線または実線のみにしたがう必要はない。これは、複数の経路163が可能であることを示すために図2Dに示されている。また、キャリア116は、左から右へ、およびその逆に移動する間に経路を変更することができる。図2Dの異なるパターンは、キャリア116に移送面112の可能な限り多くの位置をバランスよく使用させるために、経時的に位置がブロックされ、ブロックされなくなることを示している。
【0107】
図3Aから図3Cは、分配システム110内のキャリア116の可変移動長を概略的に示している。トラフィック量がかなり低い領域を有するシステム110では、図3Aに見られるように、移動は頻繁に最大予約長164を有する。このため、出発位置166または停止位置168は、多くの移動で同じであることが多く、したがって、これらの位置の強い使用不均衡および摩耗につながる。上記でさらに概説したように、ルーティングシステム134は、可変移動長および/または可変予約長を考慮するように構成される。例えば、ルーティングシステム134は、移動の選択、特定の数のキャリア116、特定の期間、移送面112の所定の領域、のうちの1つまたは2つ以上について、可変移動長170を使用するように構成され得る。
【0108】
図3Bに示す例では、各ステップの移動長170は変更され得る。トラフィック量が低いために最大移動長が頻繁に実行され得る場合、出発166および停止168は同じ位置144で頻繁に行われる。ルーティングシステム134は、ルートに沿ったキャリアの移動毎に移動長170を変えるように構成されてもよい。ステップ毎に移動長170を変えることにより、よりバランスよく位置114が使用されることができる。
【0109】
図3Cに示す別の例では、ルーティングシステム134は、キャリア116の第1の移動172の長さ170のみを変更するように、具体的には、キャリア116が異なる論理位置114で停止および/または出発するようにキャリア116の第1の移動の長さ170を変更するように構成されてもよい。図3C図3Aとを比較すると分かるように、第1の移動172の移動長170のみを変化させることによって、より良好なバランスが得られることができる。
【0110】
上述したように、制御システム132は、例えば増分カウンタによって、論理位置114を使用していたキャリア116の数を測定するように構成され得る。ルーティングシステム134は、隣接する複数の論理位置114の測定されたキャリア116の数を所定の閾値と比較し、比較に応じて移動長170を適合させるように構成され得る。閾値は、上記の切り替えに関して指定されたように定義および具現化してもよい。代替的または追加的に、ルーティングシステム134は、測定された数を、移動長170を最適化するための重み係数として使用するように構成されてもよい。ルーティングシステム134は、低い重みの論理位置114を使用することを優先するように構成されてもよい。
【0111】
ルーティングシステム134は、コスト関数を論理位置114のそれぞれに割り当てるように構成されてもよい。コスト関数は、論理位置114を使用したキャリア116の測定された数に応じて増加され得る。ルーティングシステム134は、低コスト関数で論理位置114を優先するように構成されてもよい。
【0112】
図3Cに示すように、ルーティングシステム134は、移送面112の所定の領域内の移動の全て、または移動の選択、例えば定義されたまたはランダムな移動の選択について可変予約長を使用するように構成され得る。ルーティングシステム134は、移送面112の所定の領域内の全ての移動または選択された移動について最大予約長164を短縮するように構成され得る。あるいは、ルーティングシステムは、移送面112の所定の領域内の全ての移動または選択された移動について最小予約長を増加させるように構成されてもよい。最大予約長164の短縮および/または最小予約長の増加は、各キャリア116のうちの1つまたは2つ以上について、またはランダムにキャリア116について使用され得る。最大予約長164の短縮および/または最小予約長の増加は、特定の期間にわたって実行されてもよい。
【0113】
例えば、移送面112の表面使用のバランスを考慮するために、移動の計画は、例えば所定の領域で補正されてもよい。補正は、一定時間行われてもよい。最大予約長164で移動する代わりに、所定の領域内の全ての移動または僅かな移動に対する予約長は短縮され得る。この短縮は、キャリア116のそれぞれについて、または、複数のキャリア116についてランダムに行うことができる。予約長の短縮は、ランダムに行うことができる。例えば、第1のステップの最大移動長のみが変更される。これは、低トラフィックの状況でも以下の移動の出発位置-停止位置166、168に影響を及ぼす可能性があるため、同様の効果を有する。第1の移動172は、1の移動だけで到達する第1の目標として実行され得る。第1の移動172の終了位置168は、ランダムに、または期間当たりの長さnを有する特定の出発位置166からの第1のステップの数がn=1,・・・,nmaxと等しいように決定された方法で変えることができ、nmaxは、最大予約長164である。
【0114】
図4Aから図4Dは、分配システム110を使用してキャリア116を分配するための方法の例示的な実施形態のフローチャートを示している。分配システム110は、例として、図1に例示的に示されているように具現化されてもよい。しかしながら、分配システム110の他の実施形態も実現可能である。
【0115】
方法ステップは、所与の順序で実行されてもよく、または異なる順序で実行されてもよい。さらに、列挙されていない1つまたは2つ以上の追加の方法ステップが存在してもよい。さらに、1つ、複数、さらには全ての方法ステップが繰り返し実行され得る。さらに、方法ステップのうちの1つまたは2つ以上は、並行しておよび/または適時に重複して実行され得る。
【0116】
本方法は、駆動システム120を使用することによって分配システム110の移送面112上のキャリア116を論理位置114の間で移動させること(参照符号174によって示される)を含む。本方法は、制御システム132を使用することによって、論理位置114を介して移送面112上の出発位置146から最終目的位置148までの計画されたルート上を移動するようにキャリア116を制御すること(参照符号176によって示される)を含む。具体的には、キャリア116を移動させるステップ174およびキャリアを制御するステップ176は、計画されたルートを実行ユニット138に送信することを含み得る。本方法は、制御システム132からキャリア位置のステータス更新を受信すること(参照符号178によって示される)と、最終目的位置148に移動するためのキャリア116の新たな割り当てをチェックすること(参照符号180によって示される)と、をさらに含み得る。
【0117】
本方法は、ルーティングシステム134を使用することによってノード136のグラフで移送面112をモデル化することによって、移送面112上の少なくとも2つのキャリア116についての計画されたルートを計算すること(参照符号182によって示される)を含む。計算することは、移送面112の表面使用のバランスを考慮することを含む。計算することは、論理位置114の一時的ブロックを考慮すること、および/または可変移動長170を考慮すること、および/または可変予約長を考慮すること(参照符号184によって示される)を含む。
【0118】
図4Aから図4Dは、移動長を調整するための異なるフロー図を示している。図4Aおよび図4Bは、通常のルーティングアルゴリズムが使用されてもよく、移動長の調整が実行されてもよい(図4Aの参照符号186によって示される)か、または第1の移動の長さの調整のみが実行されてもよい(図4Bの参照符号188によって示される)実装のワークフローを示している。ルーティング後に移動長を調整することは、典型的には、ルーティングシステム134が、移動長の調整後にもはや有効ではない後続の移動も計画するため、ルーティングシステム134にとってあまり効率的でない場合がある。図4Cおよび図4Dでは、移動長の調整は、ルーティングシステム134によって考慮されてもよく、したがって、より効率的且つ効果的なルーティングをもたらすことができる。具体的には、本方法は、可変予約長を考慮すること(図4Cの参照符号190によって示される)、または、第1の移動のための可変予約長を考慮すること(図4Dの参照符号192によって示される)を含むことができる。さらに、ブロック領域方法の場合、ルーティングシステム134は、摩耗低減ブロックアルゴリズムから独立していてもよい。移動長を変化させるために、アルゴリズムの摩耗低減部分は、ルーティングシステム134に統合されることができる。
【符号の説明】
【0119】
110 分配システム
112 移送面
114 論理位置
116 キャリア
118 物体
120 駆動システム
122 検査室自動化システム
124 検査室ステーション
126 試料容器
128 識別および登録システム
130 カメラシステム
132 制御システム
134 ルーティングシステム
136 ノード
138 実行ユニット
140 ブロックされた論理位置のパターン
142 ブロックされた論理位置の第1のパターン
144 ブロックされた論理位置の第2のパターン
146 出発位置
148 最終目的位置
150 制限されていないルート
152 第1のルート
154 第2のルート
156 論理サブ領域
158 フィールド
160 低トラフィックパターン
162 高トラフィックパターン
163 経路
164 最大予約長
166 出発位置
168 停止位置
170 可変移動長
172 第1の移動
174 キャリアの移動
176 キャリアの制御
178 ステータス更新の受信
180 新たな割り当てのチェック
182 計画されたルートの計算
184 論理位置の一時的ブロックおよび/または可変移動長および/または可変予約長の考慮
186 移動長の調整
188 第1の移動の長さの調整
190 可変予約長の考慮
192 第1の移動についての可変予約長の考慮
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D