(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】ミルク及びコーヒーベースの飲料を調製するための方法
(51)【国際特許分類】
A47J 31/44 20060101AFI20240827BHJP
A47J 31/40 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
A47J31/44 410
A47J31/40 101
(21)【出願番号】P 2022504666
(86)(22)【出願日】2020-07-21
(86)【国際出願番号】 EP2020070532
(87)【国際公開番号】W WO2021018667
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-06-22
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ミーヴイル, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】セクリック, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ラシーヌ, ユーグ
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィラ-, ファビアン
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-111684(JP,U)
【文献】特表2018-527102(JP,A)
【文献】特表2018-535015(JP,A)
【文献】国際公開第2017/107142(WO,A1)
【文献】特表2008-511353(JP,A)
【文献】特開2017-148326(JP,A)
【文献】特開2006-260429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/40
A47J 31/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料調製装置内で少なくとも1つの可溶性飲料粉末を水で溶解することによって飲料を生成する方法であって、
前記飲料調製装置は、
1回量の可溶性乳粉末を受け入れて水と混合することでミルクを調製し、飲料容器受容領域(10)にミルクを注出するように構成された1つのミルクチャンバ(1a)と、
1回量の可溶性コーヒー粉末を受け入れて水と混合することでコーヒーを調製し、前記飲料容器受容領域(10)にコーヒーを注出するための1つのコーヒーチャンバ(1b)と、
前記飲料容器受容領域(10)に水のジェットを送出するためのノズル(4)と、
を備え、
前記方法は、
a1)前記ミルクチャンバ内で泡立てミルクを調製し、前記飲料容器受容領域(10)にて飲料容器(6)内に前記泡立てミルクを注出する工程と、次いで
a2)前記コーヒーチャンバ内でコーヒーを調製し、前記飲料容器受容領域にて泡立てミルクを含む前記飲料容器(6)内に前記コーヒーを注出する工程であって、工程a2)の結果として得られる前記飲料が前記飲料容器内に目に見える層を形成する工程と、
b)工程a2)の後に、前記飲料容器受容領域にて前記飲料容器(6)内に水を噴射する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記飲料容器受容領域(10)に水のジェットを送出する前記ノズル(4)は、直径が0.2~1.0mm、好ましくは0.3~0.9mm、更により好ましくは約0.7mmの円形面の表面と同等の表面積を有する注出口断面を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程b)の間、水は、少なくとも300mL/分の流量で前記ノズル(4)に導入される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程b)の間、5mL未満の水が前記ノズル(4)を通して噴射される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記チャンバ(1a、1b)の各々は、
1回量の粉末を受け入れるための開口頂部と、
注水口を備える側壁と、
飲料注出口導管を備える底壁と、
を備え、
前記導管は、飲料容器受容領域に飲料を注出するように設計されており、前記注水口及び前記チャンバの内部形状が、前記注水口を通して導入された水が前記チャンバ内で渦を形成することができるように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
2つのチャンバを備える飲料調製装置(100)であって、
前記チャンバのうちの1つは、1回量の可溶性乳粉末を受け入れて水と混合することでミルクを調製し、飲料容器受容領域(7)にミルクを注出するように構成されたミルクチャンバ(1a)であり、
前記チャンバのうちの1つは、1回量の可溶性コーヒー粉末を受け入れて水と混合することでコーヒーを調製し、前記飲料容器受容領域(7)にコーヒーを注出するように構成されたコーヒーチャンバ(1b)であり、
前記飲料容器受容領域(7)に水のジェットを送出するノズル(4)と、
前記
2つのチャンバ及び前記ノズルに水を供給する給水システム(5)と、
請求項1~5のいずれか一項の方法を実施するために、前記給水システム(5)を制御するように構成された制御処理部(9)と
がある、飲料調
製装置(100)。
【請求項7】
前記給水システム(5)が、ポンプ(52)と、前記
2つのチャンバ(1a、1b)又は前記ノズル(4)のいずれかに水を供給するように構成された弁手段(55)と、を備え、
前記制御処理部(9)は、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法を実施するために、前記ポンプ(52)及び前記弁手段(55)を制御するように構成されている、請求項6に記載の飲料調
製装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミルク及びコーヒーベースの飲料を、可溶性の乳粉末及びコーヒー粉末から調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2008/071613号には、1回量の飲料可溶性粉末が水と混合される泡立て飲料を調製するための混合チャンバを備える飲料調製マシンが記述されている。この混合チャンバは、インペラ又はホイッパのようなモータによって駆動される任意の撹拌デバイスも、クランプ装置のような飲料注出口を閉じるための任意の電動デバイスも含まないという大きな利点を有する。撹拌、溶解、及び泡立ては、チャンバ内に導入された水のジェットの力のみによって得られる。液体が旋回する駆動力に起因して、調製中は飲料が飲料の内部に残る。その結果、機械の製造コストは低くなる。
【0003】
かかる混合チャンバは、可溶性インスタントコーヒーからコーヒーを、又は可溶性乳粉末から泡立てミルクを調製するために特に適合されている。調製方法は、チャンバ内に1回量の可溶性粉末を導入し、次いで水を導入して粉末を溶解することから構成される。混合チャンバは、コーヒー又はミルクを溶解し泡立てるために、水との十分な撹拌をもたらす。
【0004】
コーヒー成分及びミルク成分から作られた飲料、特にカプチーノを調製することができるためには、一方がコーヒーの調製専用であり、他方のチャンバがミルクの調製専用である、2つの混合チャンバを備える飲料マシンを使用することが有利であろう。更に、かかる飲料マシンでカプチーノが調製され、透明な飲料容器に注出されると、異なる段階的な茶色のいくつかの区別される水平層が存在することが観察される。これらの層は、ミルクとコーヒーとの不十分な混合として知覚され得るため、消費者から必ずしも望まれているものではない。一部の標的消費者にとっては、この層をなす影響は避ける必要がある。
【0005】
本発明の目的は、この問題に対処することである。
【発明の概要】
【0006】
飲料調製装置内で少なくとも1つの可溶性飲料粉末を水で溶解することによって飲料を生成する方法が提供され、
飲料調製装置は、
1回量の可溶性乳粉末を受け入れて水と混合することでミルクを調製し、飲料容器受容領域にミルクを注出するように構成された1つのミルクチャンバと、
1回量の可溶性コーヒー粉末を受け入れて水と混合することでコーヒーを調製し、飲料容器受容領域にコーヒーを注出するための1つのコーヒーチャンバと、
飲料容器受容領域に水のジェットを送出するためのノズルと、を備え、
方法は、
a1)ミルクチャンバ内で泡立てミルクを調製し、飲料容器受容領域にて飲料容器内に泡立てミルクを注出する工程と、次いで、
a2)コーヒーチャンバ内でコーヒーを調製し、飲料容器受容領域にて泡立てミルクを含む飲料容器内にコーヒーを注出する工程であって、工程a2)の結果として得られる飲料が飲料容器内に目に見える層を形成する工程と、
b)工程a2)の後に、飲料容器受容領域にて飲料容器内に水を噴射する工程と、を含む。
【0007】
本方法は、少なくとも1つの可溶性飲料粉末を受け入れて水と混合するように構成された少なくとも1つのチャンバを備える飲料調製装置において実施される。混合は、可溶性粉末の水中での溶解、及び最終的に得られる飲料の泡立てを可能にする。チャンバは、飲料容器内に飲料を注出するための注出口を備える。
【0008】
概して、飲料調製装置は、少なくとも1つの可溶性飲料粉末リザーバを備える。したがって、粉末の1回量が、リザーバからチャンバに分注され得る。このリザーバは、使い捨てであっても、そうでなくてもよい。
【0009】
通常、装置は、チャンバ内に分注される可溶性飲料粉末の用量を計量するために、リザーバに関連付けられた投入デバイスを備える。
【0010】
概して、リザーバ及び投入デバイスは、可溶性飲料粉末を重力落下によって供給するために、チャンバの上に配置される。一般的に、投入デバイスは、粉末リザーバと関連付けられ得る。
【0011】
特定の実施形態では、チャンバは、例えばスプーン又は1回使い切り包装(例えば、スティック)で、可溶性飲料粉末を手動で供給することができる。
【0012】
概して、装置は、チャンバの少なくとも1つの注水口に接続可能な給水システムを備える。
【0013】
水は、高温又は低温のいずれかで供給することができる。概して、装置の給水システムは、少なくとも、水タンク又は水供給部と、水ポンプと、水加熱器及び/又は水冷却器と、送水を作動させるための弁と、を備える。また、システムは、高温又は低温のいずれかで水を送出するための選択弁を備えることができる。
【0014】
装置は、カップ、マグ、又はグラスのような飲料容器を受け入れるための領域を備える。混合チャンバの飲料注出口は、この領域に飲料を注出するように構成されている。この領域は、消費者が、混合チャンバ内で調製された飲料によって容器が充填されるように、装置内に容器を正しく配置することを可能にする。
【0015】
本方法では、飲料は、少なくとも1つのチャンバを用いて調製され、受容領域にて飲料容器内に注出され、その飲料は飲料容器の中で、容器が透明であるとき、例えばガラス製の容器であるときに観察できる層を形成する。
【0016】
層の形成は、一般的に観察される現象である。それは通常、調製された飲料の密度、温度、及び体積に関連する。例えば、層の形成は、82℃の温度及び(泡立てられている事実に起因して)0.11g/mLの密度で調製された体積100mLの泡立てミルクについて、一般的な現象である。
【0017】
ミルクのこの種の層は、乳粉末からミルクを調製するために使用されるチャンバのほとんどで観察することができる。
【0018】
他の飲料では、積層の効果は、調製チャンバの設計、特に注出口の設計、及び/又は飲料容器内での注出中に同じ飲料の可変密度をもたらし得る、チャンバ内で飲料可溶性粉末を水と混合する順番に起因するものであり得る。
【0019】
本装置は、この飲料容器受容領域、特に、調製された飲料を受け入れるためにこの領域に配置された任意の容器に直接、水のジェットを送出するためのノズルを備える。ノズルは通常、チャンバと同じ給水システムに接続され、水のジェットを送出するように構成されている。
【0020】
ジェットとは、ノズルから容器内に迅速かつ強力に出てくる水の流れであると理解される。したがって、ノズルは、高速度で容器内に水を導入するように構成される。層を呈する飲料内へのこの水のジェットの効果は、これらの層の撹拌であり、飲料の均質化及び層の消失である。
【0021】
水ノズル注出口の大きさ、容器までの距離、及び水の流量は概して、ジェットの高速度及び容器内に保持された飲料内の撹拌効果を得るために適宜適合される。
【0022】
概して、ノズルは、直径が0.2~1.0mm、好ましくは0.3~0.9mm、更により好ましくは約0.7mmの円形面の表面と同等の表面積を有する注出口断面を有する。
【0023】
好ましくは、水は、少なくとも300mL/分の流量で、かかるノズルに導入される。
【0024】
好ましくは、容器は、ノズルの注出口から1~10cmに含まれる距離に配置される。
【0025】
概して、工程b)の間、5mL未満の水がノズルを通して噴射される。高速度で注出されるこの少ない量は、飲料を均質化するのに十分である。
【0026】
本方法は、
1回量の可溶性乳粉末を受け入れて水と混合することでミルクを調製し、飲料容器受容領域にミルクを注出するように構成された1つのミルクチャンバと、
1回量の可溶性コーヒー粉末を受け入れて水と混合することでコーヒーを調製し、飲料容器受容領域にコーヒーを注出するための1つのコーヒーチャンバと、を備える飲料調整装置にて実施され、
本方法は、
a1)ミルクチャンバ内で泡立てミルクを調製し、飲料容器受容領域にて飲料容器内に泡立てミルクを注出する工程と、次いで、
a2)コーヒーチャンバ内でコーヒーを調製し、飲料容器受容領域にて泡立てミルクを含む飲料容器内にコーヒーを注出する工程と、
b)工程a2)の後に、飲料容器受容領域にて飲料容器内に水を噴射する工程と、を含む。
【0027】
2つの最初の工程a1)及びa2)は、泡立てミルクで満たされた容器内にコーヒーを導入するカプチーノ飲料の通常の調製に対応する。更に、これらの2つの工程を実施して、コーヒーチャンバでコーヒーを、ミルクチャンバで泡立てミルクを生成し注出したときにカプチーノ内に層ができるため、追加の工程が実施される。それが、工程a2)でコーヒーを調製して容器内に注出した後の、少量の水を容器内に噴射する工程b)である。
【0028】
この好ましい実施形態では、好ましくは、2つのチャンバの各々は、
1回量の粉末を受け入れるための開口頂部と、
注水口を備える側壁と、
飲料注出口導管を備える底壁と、を備え、
導管は、飲料容器受容領域に飲料を注出するように設計されており、
注水口及びチャンバの内部形状が、注水口を通して導入された水がチャンバ内で渦を形成することができるように構成され、
好ましくは、各チャンバは、1つの飲料成分の調製専用であり、一方は泡立てミルクの調製専用であり、他方はコーヒーの調製専用である。
【0029】
2つのチャンバは、いくつかの共通の特徴を有する。これらの特徴は、電動撹拌デバイスを使用することなく、かつチャンバの注出口を閉じるためのデバイスを使用せずに、可溶性飲料粉末及び水から飲料を調製することを可能にするように構成されている。
【0030】
各チャンバは、側壁を備える。好ましくは、チャンバは、それらの側壁が実質的に垂直になるように、装置内に配置される。
【0031】
通常、各チャンバについて、上部は少なくとも部分的に開口している。可溶性飲料粉末は、重力落下によって、開口頂部を通ってチャンバ内に導入され得る。
【0032】
各チャンバの側壁は、注水口を備える。
【0033】
注水口及びチャンバの内部形状は、注水口を通して導入された水が、チャンバ内で、渦、好ましくは上昇渦を形成することができるように構成されている。
【0034】
好ましくは、この注水口は、略円筒形であるチャンバの下部に配置される。したがって、チャンバは底部から水を充填される。
【0035】
通常、注水口は、水が真っ直ぐな水のジェットの形態でチャンバ内に導入されるように構成される。繰り返すが、ジェットとは、注水口からチャンバ内に迅速かつ強力に出てくる水の流れであると理解される。そのため、注水口は、水を高速度でチャンバ内に導入するように構成されている。通常、この真っ直ぐなジェットは、チャンバの側壁の注水口に配置されたノズルによって生成され、そこから出現する。したがって、注水口は、好ましくはノズルを備える。
【0036】
次に好ましい実施形態によれば、このノズルは、円筒形側壁内に設計することができる。その結果、チャンバ及びノズルは、1つの単一材料部品から作製することができる。
【0037】
水ノズル注出口の大きさ、チャンバの直径、及び水の流量は概して、ジェットの高速度及び水の旋回効果を得るために適宜適合される。
【0038】
概して、ノズルは、直径が0.2~0.8mm、好ましくは0.3~0.6mm、更により好ましくは約0.5mmの円形面の表面と同等の表面積を有する注出口断面を有する。
【0039】
任意選択的に、第2の注水口をチャンバの頂部付近に配置することができる。これは、チャンバが泡を有さない飲料を生成するために使用される場合に、追加の水を導入することを目的とする。これにより、チャンバの最終的なすすぎも可能になる。
【0040】
好ましくは、注水口はまた、真っ直ぐな水のジェットが、線Lに沿ってチャンバの内容積部を横切って通るように向けられ、この線Lは、チャンバの長手方向中心軸線に対してオフセットされている。
【0041】
より具体的には、線Lは、比d/r0が0.2~0.4、好ましくは約0.3となる方向に向けられ、r0は、チャンバの円筒形側壁の半径であり、dは、線Lからチャンバの長手方向中心軸線に向けて直交方向に測定される距離である。この構成は、粉末の溶解を向上させる。
【0042】
各チャンバについて、底壁は、側壁の下に配置され、それにより、注水口は、底壁の上に配置される。
【0043】
概して、各チャンバについて、飲料注出口は、好ましくは垂直に配向された導管である。飲料注出口導管は、通常、円形断面を有しているが、楕円形状などの他の形状でも実施され得る。導管は、好ましくは少なくとも部分的に真っ直ぐである。注出口導管は開口している。注出口導管には閉鎖手段がない。
【0044】
注水口と、チャンバの内部形状とは、注水口を通して導入された水がチャンバ内で上昇渦を形成することができるように構成されている。この上昇渦の効果は、水と粉末との効果的な混合、可溶性粉末の溶解、及び得られる飲料の泡立ちが得られることである。水が注水口を通して導入される限り、渦は上昇し、水と粉末との間の接触を維持する。加えて、渦は、注水口を通して依然として導入されている水によって影響を受け、混合及び泡立てを増長させる効果がある。これらの特徴及び関連する効果は、国際公開第2008/071613号に記載されている。
【0045】
概して、コーヒーチャンバは、国際公開第2008/071613号に記載されている混合チャンバの特徴を有することができる。
【0046】
特定の実施形態では、コーヒーチャンバは、国際公開第2018/091358号に記載されているものなどの特定の特徴を有することができる。これらの特徴は、コーヒーのより良好な溶解及び泡立てを得ることを目的としている。それらは特に、
コーヒーチャンバの底壁から立ち上がっている第1の内部隆起部であって、
コーヒーチャンバの底部分の第1の領域であって、導入された真っ直ぐなジェットが、線Lに沿って、コーヒーチャンバの内容積部を水平及び横方向に通る、第1の領域と、
飲料注出口を含む、コーヒーチャンバの底部分の第2の領域と、を分離する、第1の隆起部と、
底部から立ち上がっており、コーヒーチャンバの側壁から延びている第2の隆起部であって、
コーヒーチャンバの内容積部を水平及び横方向に通る、導入された液体の真っ直ぐなジェットを、コーヒーチャンバの側壁に沿って上方に上昇する渦に変換し、
液体注入口の前方で線Lに沿って流れるように渦を案内するよう設計された形状を有している、第2の隆起部と、の存在に関する。
【0047】
好ましくは、ミルクチャンバは、泡立てミルクを生成するのに必要な大量の乳粉末及び水のより良好な溶解及び泡立ちを得るために、特定の特徴を有する。
【0048】
好ましくは、ミルクチャンバの底壁は、飲料注出口導管の方向に傾斜した漏斗の形状を有する。その結果、底壁は、飲料の完全な注出を促進するために、飲料注出口の方向に水平に対して傾斜している。通常、底壁は、水平に対して少なくとも30°、好ましくは30~60°の角度で傾斜する。
【0049】
好ましくは、側壁の下部は本質的に円筒形である。側壁の残りの部分も円筒形とすることができる、又はチャンバの水平断面を増加させるために開口させることができる。通常、上部においては、断面が円形断面に近い湾曲形状を有する。
【0050】
ミルクチャンバの飲料注出口は、断面が減少するいくつかの連続する導管を備えることができる。
【0051】
導管の断面は、大量の泡立てミルクの急速な注出を可能にするのに十分に大きい。好ましくは、飲料注出口の導管の水力直径は少なくとも5mmである。水力直径とは、丸い断面を有する導管の直径が、異なる形状の断面を有する導管と同じ断面積を有することを意味する。
【0052】
好ましくは、導管の断面は、少なくとも2つ、更により好ましくは4つの真っ直ぐな等しい副導管に細分される。
【0053】
好ましい実施形態によれば、導管の断面は、主導管を通って長手方向に延びる取り外し可能な仕切りによって細分され得る。この取り外し可能な特性は、仕切り及び導管の徹底的な洗浄を可能にする。好ましくは、取り外し可能な仕切りにはロッドが取り付けられ、このロッドは、仕切りが導管内に配置されたときにチャンバの頂部まで延びる。このロッドは、操作者による導管からの仕切りの取り外しを容易にする。
【0054】
好ましくは、仕切りは、導管の断面を4つの等しい流路に分割する十字型の形状を有する。
【0055】
この仕切りの具体的な効果は、飲料導管内で旋回するミルクが回転することを防止することである。飲料が旋回することは、以下のような欠点を有するため、導管内では望ましくない:
注出を減速させる、及び
飲料容器内にミルクの真っ直ぐな流れを注出するのではなく飛散させる。
【0056】
通常、ミルクチャンバの壁によって画定される内容積部は、大量の飲料を調製し、その飲料を急速に注出することを可能にするのに十分である。
【0057】
好ましい実施形態では、本方法は、少なくとも100mLの内容積部を有するミルクチャンバに適用され、飲料注出口の導管の水力直径D0は、少なくとも5mmである。
【0058】
ミルクチャンバは、国際公開第2019/121554号に記載されている特定の特徴を有することができる。特に、液体注入口の反対側、かつ線Lによって交差する円筒形側壁の領域では、ミルクチャンバは、チャンバ内の円筒形側壁から延びる隆起部を備えることができ、隆起部は、
チャンバの内容積部を横切って通過する導入された液体の真っ直ぐなジェットを、チャンバの側壁に沿って流れる渦に変換し、かつ
回転して隆起部に戻る渦の直径を減少させ、渦を液体注入口の方向に案内する、
ように設計された形状を有する。
【0059】
通常、各チャンバにおいて、飲料注出口の位置は、チャンバの円筒状側壁の長手方向中心軸線からオフセットされている。飲料調製装置が少なくとも2つのチャンバを備えるため、この構成は、すべてのチャンバの飲料注出口が同じ領域、すなわち同じ飲料容器内に出現することを保証する。
【0060】
システムは通常、1つの選択されたチャンバのみに水を送出するための選択弁を備える。
【0061】
概して、飲料調製装置は、チャンバを装置内に取り外し可能に配置し、チャンバの注水口を給水システムに接続するためのチャンバ受容領域を備える。したがって、洗浄及びメンテナンスのためにチャンバを取り外すことができる。
【0062】
本発明の上記の諸態様は、任意の好適な組み合わせで組み合わせることができる。更には、本明細書における様々な特徴を、上記の諸態様のうちの1つ以上と組み合わせることにより、具体的に図示及び説明されたもの以外の組み合わせを提供することができる。本発明の更なる目的及び有利な特徴は、「特許請求の範囲」、「発明を実施するための形態」、及び添付図面から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】本発明の方法で使用される飲料調製装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本発明の特徴及び利点は、以下の
図1に関連してより良好に理解される。
【0065】
装置は、可溶性飲料粉末及びチャンバに入る水から飲料を生成するための2つの混合チャンバ1a、1bを含む。各チャンバは、特定のタイプの飲料の調製専用である。チャンバ1aは、容器2aに収容された可溶性コーヒー粉末からのコーヒーの調製のために構成されており、チャンバ1bは、容器2bに収容された可溶性ミルク粉末からの泡立てミルクの調製のために構成されている。コーヒー及び泡立てミルクは、チャンバの飲料注出口の下に置かれた飲料容器6に注出される。
【0066】
好ましくは、両方のチャンバ1a、1bは、ホイッパ、ミキサー、又は他の機械的撹拌デバイスを欠いており、水の流れのみの作用を受けて飲料を溶解し泡立てるように構成されている。
【0067】
飲料粉末容器2a、2bは、常置ホッパー又は飲料粉末を含有する使い捨てパッケージであり得る。
【0068】
投入デバイス3a、3bによって、1回量の飲料粉末が計量され、分注される。投入デバイスは、対応する混合チャンバへの粉末の要求分注量に応じて計量する主要機能を有する。投入デバイスは、チャンバの上部開口部に、概して重力落下によって、飲料粉末の用量を分注する。
【0069】
投入デバイスは、投入スクリュー、往復式投入ドロワ、又は回転ディスクなどの任意の好適なシステムであり得る。投入方法はまた、当然ながら、可溶性粉末の性質にも依存する。可溶性粉末は、典型的には、乾燥飲料粉末、好ましくは乳粉末である。デバイスには、制御処理部9及びコマンド10によって促されたとおりに、要求に応じて粉末が供給される。
【0070】
この投入デバイスは、国際公開第2009/144239号に記載されているような回転デバイス、又は国際公開第2019/016149号に記載されているような投入孔を有する並進ドロワであり得る。
【0071】
マシンは、チャンバ1a、1bから飲料8を受け入れるように配置された飲料容器6内に直接水のジェットを送出するためのノズル4を含む。
【0072】
概して、ノズル4は、水のジェットを生成するために十分に小さい注出口端部を有する単純な導管である。注出口端を通って流れる間、水は十分な速度に達し、したがって、飲料に高せん断力を与えるのに十分な運動エネルギーが得られる。導管の注出口端は、直径が0.2~1.0mm、好ましくは0.3~0.9mm、更により好ましくは約0.7mmの円の断面に相当する断面を有することができる。
【0073】
給水システム5は、混合チャンバ1a、1b内、及びノズル4に、水、好ましくは熱水を供給することができるようにマシンに設けられる。
【0074】
給水システムは以下のものを備える:
新鮮な水を補給することができる、又は、最終的には水道水に接続することができるタンク51。
【0075】
タンク51から水を圧送するための送水ポンプ52。ポンプは、ピストンポンプ、ダイヤフラムポンプ又は蠕動ポンプなどの任意のタイプのポンプであってもよい。好ましくは、ポンプは、水を、水の使用(コーヒーの調製、ミルクの調製、洗浄、ノズルを通して注出)に応じて、異なる流量で供給するように構成される。
【0076】
圧送水を加熱するためのサーモブロック、ボイラー、又はカートリッジタイプのヒータなどの水ヒータ53。代替的に、又はそれに加えて、マシンは、ヒータをバイパスするライン内の水冷却器を備えることができる。
【0077】
逆止弁54。
【0078】
水はチューブ56によって混合チャンバに供給され、チューブ56は、例示された実施形態のように、いくつかのチャンバが存在する場合にはチャンバの異なる注水口に細分される。図示していない変形例では、水は、同じチャンバの2つの異なる注入口の2つのチューブによって供給され得る。
【0079】
水は、チューブ57によって、ノズル4に供給される。
【0080】
弁手段55は、ノズル4又はチャンバ1a、1bのいずれかへの水の供給を可能にする。別の弁手段58は、チャンバ1a又はチャンバ1bのいずれかへの水の供給を可能にする。通常、これらの弁手段55、58は、ソレノイド弁である。
【0081】
図1に示すように、混合チャンバ1a、1bは、好ましくは透明な、飲料を受けるための飲料容器6が載置されるサービストレイ10のような飲料容器受容領域7の真上に設けることができる。概して、混合チャンバは、洗浄するために、また、任意選択的に投入のために、マシンから取り外し可能である。通常、マシンは、チャンバを内部に取り外し可能に固定し、混合チャンバの注水口と給水チューブとの間の協働をもたらすための混合チャンバ受容領域を備える。
【0082】
制御処理部9は、投入デバイス3a、3bの、ポンプ52の、ヒータ53の、及びバルブ手段55、58の作動を制御する。処理制御部9は、ユーザが作動させる又は装置上でコマンド10を押圧するように促されると、チャンバ1a若しくはチャンバ1b、又はノズル6のいずれかに、投入デバイス3a、3bによる可溶性飲料粉末の投入、及びポンプ52による水の投入を調整することができる。
図1では、処理制御部9によるポンプ52及び弁手段55の制御を点線で示している。これらの2つのデバイスは、以下に説明するように、飲料8内に水を噴射する工程b)の間、制御される。
【0083】
図1に示す装置を用いてカプチーノが調製されるとき、以下の工程が実施される。
【0084】
最初に、乳粉末リザーバ2bに連結された投入デバイス3bが作動されて、1回量の乳粉末がミルク混合チャンバ1b内に分注される。
【0085】
続いて、ポンプ52が作動され、注水口を通して熱水が導入される。粉末は溶解し、水のジェットの運動エネルギーによってミルクが泡立てられる。100mLの水が導入される。
【0086】
全量の水が導入される前に、泡立てミルクが、開口している底部飲料注出口を通って飲料容器に流れ始める。注出は、水がチャンバ内に導入されるのが止まった後、かつチャンバが空になるまで続く。
【0087】
概して、泡立てミルクの上記の調製期間中に、コーヒー粉末リザーバ2aに連結された投入デバイス3aの作動を受けて、コーヒー粉末がコーヒー混合チャンバ1a内に投入される。
【0088】
次に、泡立てミルクの注出が止まると、ポンプ52が作動され、注水口を通して熱水が導入される。コーヒー粉末は溶解し、泡立てられる。75mLの水が導入される。コーヒーは、飲料注出口3aから、飲料容器6内に既に存在する泡立てミルク内に注出される。この方法のこの時点で、飲料の異なる層を観察することができる。
【0089】
次に、コーヒーの注出が完了すると、少量の水(3mL)が高い流速で圧送され、ノズル4内に導入されて、飲料容器9内に噴射される。この水のジェットは、泡立てミルクの最上層泡沫の下で液体を撹拌し、飲料を均質化することによって、下方の液体層を消失させる。ノズル4が0.4mmの直径を有する円形断面の注出口端を有する場合、少なくとも300mL/分の流量で、例えば流量335mL/分で導入された水は、0.55秒という非常に短い時間で必要な効果をもたらす。
【0090】
ノズルによる水ジェットのこの非常に速い注入は、飲料の上部にある泡沫にほとんど影響を及ぼさず、飲料の味に影響を及ぼさない(希釈は最小限である)。
【0091】
本発明は、上記で例示された実施形態を参照して説明されているが、特許請求される本発明は、決してこれらの例示された実施形態によって限定されるものではないことが理解されるであろう。
【0092】
「特許請求の範囲」で定義されるような本発明の範囲を逸脱することなく、変形及び修正が実施可能である。更に、既知の均等物が特定の特徴に対して存在する場合、かかる均等物は、本明細書で具体的に言及されているかのように組み込まれる。
【0093】
本明細書で使用するとき、用語「備える」、「備えている」、及び同様の語は、排他的又は網羅的な意味で解釈されるべきではない。換言すれば、これらは、「~を含むが、それらに限定されない」ことを意味するものとする。
【符号の説明】
【0094】
1a:コーヒーチャンバ
1b:ミルクチャンバ
2a,2b:容器
3a,3b:投入デバイス
4:ノズル
5:給水システム
51:タンク
52:ポンプ
53:ヒータ
54:逆止弁
55,58:選択部
56,57:パイプ
6:飲料容器
7:飲料容器受容領域
8:飲料
9:制御処理部
10:コマンド
100:飲料調製装置