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特許7544813液化ガス貯蔵用の断熱密閉タンクのための接続ビーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】液化ガス貯蔵用の断熱密閉タンクのための接続ビーム
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20240827BHJP
   F17C 3/04 20060101ALI20240827BHJP
   B65D 90/02 20190101ALI20240827BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
F17C13/00 302E
F17C3/04 A
B65D90/02 G
B63B25/16 P
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022522778
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2020079263
(87)【国際公開番号】W WO2021074413
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2023-07-26
(31)【優先権主張番号】1911617
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】デノワ ロマン
(72)【発明者】
【氏名】ユアール ダヴィド
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-512284(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0473167(KR,Y1)
【文献】特開2005-145353(JP,A)
【文献】特開2019-78406(JP,A)
【文献】特開2019-66042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/00
F17C 3/04
B65D 90/02
B63B 25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスを貯蔵するための断熱密閉タンク(71)のための接続ビーム(13)であって、
タンク縁部(3)に延在する第1の方向に整列した第1の区域(14)及び第2の区域(15)を有し、
前記区域(14,15)はそれぞれ中心コア(17)を有し、
前記中心コア(17)は、
第1の壁(20)と、
当該中心コア(17)の第1の縁部(24)に沿って当該第1の壁(20)に接続された第2の壁(21)と、
前記中心コア(17)に固定された接続翼部(28,29,30,31)であって、前記断熱密閉タンクの二次密閉メンブレン(7)と一次密閉メンブレン(9)とを固定する接続翼部(28,29,30,31)と、
を備えており、
前記第1の壁(20)及び前記第2の壁(21)は前記断熱密閉タンクの一次断熱スペースを通り、
前記第1の区域(14)の前記第1の壁(20)と前記第2の区域(15)の前記第1の壁(20)とは平行であり、前記第1の区域(14)と前記第2の区域(15)との連結部において第1の組付窓(16a)を画定し、
前記第1の区域(14)の前記第2の壁(21)と前記第2の区域(15)の前記第2の壁(21)とは平行であり、前記第1の区域(14)と前記第2の区域(15)との連結部において第2の組付窓(16b)を画定し、
前記接続ビーム(13)は、前記組付窓(16a,16b)に対して相補的な形状を有する接続アセンブリ(38)を備えており、
前記接続アセンブリ(38)は前記組付窓(16a,16b)の領域で前記第1の区域(14)と前記第2の区域(15)とに固定され、
前記接続アセンブリ(38)は、前記第1の区域(14)の前記第1の壁(20)と前記第2の区域(15)の前記第1の壁(20)とに平行であり前記第1の組付窓(16a)を塞ぐ第1の翼部(39)と、前記第1の翼部(39)に接続された第2の翼部(40)であって前記第1の区域(14)の前記第2の壁(21)と前記第2の区域(15)の前記第2の壁(21)とに平行であり前記第2の組付窓(16b)を塞ぐ第2の翼部(40)と、を備えており、
前記第2の翼部(40)は前記第1の区域(14)の前記第2の壁(21)と前記第2の区域(15)の前記第2の壁(21)とに重ね溶接されており、
前記第1の翼部(39)は、前記第1の組付窓(16a)に収容された主板部(44)と、前記主板部(44)に接続されると共に前記第1の区域(14)の前記第1の壁(20)に重ね溶接された第1の部分(46)と、前記主板部(44)に接続されると共に前記第2の区域(15)の前記第1の壁(20)に重ね溶接された第2の部分(47)と、を備えており、
前記第1の翼部(39)の前記第1の部分(46)は切欠部(48)によって、当該第1の翼部(39)の前記第2の部分(47)から前記第1の方向に離隔しており、
前記第1の翼部(39)の前記第1の部分(46)及び前記第2の部分(47)は、前記第1の方向に延在する第1の主ビード部(50)と第2の主ビード部(51)とを用いて前記第1の区域(14)及び前記第2の区域(15)にそれぞれ溶接されている
ことを特徴とする接続ビーム(13)。
【請求項2】
前記第1の翼部(39)の前記第1の部分(46)及び前記第2の部分(47)はさらに、第1の副ビード部(52)及び第2の副ビード部(53)を用いて前記第1の区域(14)及び前記第2の区域(15)にそれぞれ溶接されて、前記切欠部(48)の縁部に沿って溶接戻り部を形成する、
請求項1記載の接続ビーム。
【請求項3】
前記中心コア(17)は平行四辺形の中空の断面を有し、
前記中心コア(17)は、第2の縁部(25)の領域で前記第1の壁(20)に接続された第3の壁(22)と、第3の縁部(26)の領域で前記第2の壁(21)に接続されると共に第4の縁部(27)の領域で前記第3の壁(22)に接続された第4の壁(23)と、を有し、
前記第3の壁(22)と前記第4の壁(23)とにより、前記タンク縁部(3)に沿って二次密閉メンブレン(7)が形成される、
請求項1又は2記載の接続ビーム。
【請求項4】
前記接続翼部は前記中心コア(17)の外側に向かって突出し、
前記接続翼部は、
前記中心コア(17)の前記第2の縁部(25)に接続された第1の二次接続翼部(28)であって、前記断熱密閉タンクの前記二次密閉メンブレン(7)に密閉するように溶接される第1の二次接続翼部(28)と、
前記中心コア(17)の前記第3の縁部(26)に接続された第2の二次接続翼部(29)であって、前記断熱密閉タンクの前記二次密閉メンブレン(7)に密閉するように溶接される第2の二次接続翼部(29)と、
前記中心コア(17)の前記第1の縁部(24)に接続された第1の一次接続翼部(30)であって、前記断熱密閉タンクの前記一次密閉メンブレンに密閉するように溶接される第1の一次接続翼部(30)と、
前記中心コア(17)の前記第1の縁部(24)に接続されて前記第1の一次接続翼部(30)との間に角度を成す第2の一次接続翼部(31)であって、前記断熱密閉タンクの前記一次密閉メンブレン(9)に密閉するように溶接される第2の一次接続翼部(31)と、
を有する、
請求項3記載の接続ビーム。
【請求項5】
前記主板部(44)は、前記第1の区域(14)及び前記第2の区域(15)の前記中心コア(17)の前記第1の壁(20)と同一の平面内に配されており、
前記第1の部分(46)と前記第2の部分(47)とは、前記主板部(44)の反対側のコーナ部に位置し、
前記第1の翼部(39)は、前記主板部(44)の前記平面から離れた平面内に形成されるように前記主板部(44)の少なくとも1つの縁部に接続されたオフセット部分(45)を有し、
前記第1の部分(46)及び前記第2の部分(47)は前記オフセット部分(45)に配されており、
前記オフセット部分(45)は前記第1の区域(14)及び前記第2の区域(15)の前記各第1の壁(20)を部分的に覆う、
請求項1から4までのいずれか1項記載の接続ビーム。
【請求項6】
前記第1の翼部(39)は、前記第1の縁部(24)に平行な切欠部(54)を有し、
前記切欠部(54)は、前記第1の翼部(39)の縁部のうち前記第1の縁部(24)の方向に垂直な方向に形成された縁部に形成されており、
前記切欠部(54)は、前記第2の翼部(40)に近接し前記第2の翼部(40)とは不連続な前記第1の翼部(39)の前記主板部(44)及び前記オフセット部分(45)を離隔するように構成されている、
請求項5記載の接続ビーム。
【請求項7】
前記第2の翼部(40)は、前記第1の区域(14)及び前記第2の区域(15)の前記中心コア(17)の前記第2の壁(21)と同一の平面内に配された主板部(42)と、前記主板部(42)の平面から離れた平面内に形成されるように前記主板部(42)の少なくとも1つの縁部に接続されたオフセット部分(43)と、を有し、
前記オフセット部分(43)は、前記第1の区域(14)及び前記第2の区域(15)の前記第2の壁(21)を部分的に覆う、
請求項1から6までのいずれか1項記載の接続ビーム。
【請求項8】
前記第2の翼部(40)は、前記第1の縁部(24)に平行な切欠部(54)を有し、
前記切欠部(54)は、前記第2の翼部(40)の縁部のうち前記第1の縁部(24)の方向に垂直な方向に形成された縁部に形成されており、
前記切欠部(54)は、前記第1の翼部(39)に近接し前記第1の翼部(39)とは不連続な前記第2の翼部(40)の前記主板部(42)及び前記オフセット部分(43)を離隔するように構成されている、
請求項7記載の接続ビーム。
【請求項9】
前記切欠部(48)の2つの隣り合う縁部は、すみ肉部(49)によって互いに接続されている、
請求項1から8までのいずれか1項記載の接続ビーム。
【請求項10】
前記切欠部(48)は、前記第1の部分(46)の縁部と、前記第2の部分(47)の縁部と、前記主板部(44)の縁部と、によって形成されている、
請求項1から9までのいずれか1項記載の接続ビーム。
【請求項11】
前記第1の翼部(39)は、前記切欠部(48)に沿って前記第1の部分(46)と前記第2の部分(47)とを接続する第3の部分(55)を有し、
前記第3の部分(55)は前記オフセット部分(45)に配されており、
前記切欠部(48)は、前記第1の部分(46)の縁部と、前記第2の部分(47)の縁部と、前記第3の部分(55)の縁部と、によって形成されている、
請求項5又は6記載の接続ビーム。
【請求項12】
液化ガスを貯蔵するための断熱密閉タンク(71)であって、
少なくとも第1のタンク壁(1)と第2のタンク壁(2)とを備えており、
前記第1のタンク壁(1)及び前記第2のタンク壁(2)はそれぞれ支持壁(5)を有し、
前記第1のタンク壁(1)の前記支持壁(5)と前記第2のタンク壁(2)の前記支持壁(5)とがタンク縁部(3)の領域において角度を成してぶつかっており、
前記各タンク壁(1,2)は、前記支持壁(5)から前記断熱密閉タンクの内部スペースに向かって、前記支持壁(5)によって支持される二次断熱バリア(6)と、前記二次断熱バリア(6)によって支持される二次密閉メンブレン(7)と、前記二次密閉メンブレン(7)によって支持される一次断熱バリア(8)と、前記液化ガスと接触する支持された一次密閉メンブレン(9)と、を備えており、
前記断熱密閉タンクは、前記タンク縁部(3)の領域に配された請求項1から11までのいずれか1項記載の接続ビーム(13)を備えており、
前記接続ビーム(13)は、前記第1のタンク壁(1)の前記支持壁(5)と前記第2のタンク壁(2)の前記支持壁(5)とに固定されており、
前記接続ビーム(13)は、前記第1のタンク壁(1)の前記二次密閉メンブレン(7)と前記第2のタンク壁(2)の前記二次密閉メンブレン(7)とを密閉するように接続すると共に、前記第1のタンク壁(1)の前記一次密閉メンブレン(9)と前記第2のタンク壁(2)の前記一次密閉メンブレン(9)とを密閉するように接続する
ことを特徴とする断熱密閉タンク(71)。
【請求項13】
前記中心コア(17)は平行四辺形の断面を有し、
前記接続翼部は前記中心コア(17)の外側に向かって突出し、
前記接続翼部は、
前記中心コア(17)の第1の縁部(24)に接続された第1の二次接続翼部(28)であって、前記第1のタンク壁(1)の前記二次密閉メンブレン(7)に平行な平面内に配され、前記第1のタンク壁(1)の前記二次密閉メンブレン(7)に密閉するように溶接された第1の二次接続翼部(28)と、
前記中心コア(17)の第2の縁部(25)に接続された第2の二次接続翼部(29)であって、前記第2のタンク壁(2)の前記二次密閉メンブレン(7)に平行な平面内に配され、前記第2のタンク壁(2)の前記二次密閉メンブレン(7)に密閉するように溶接された第2の二次接続翼部(29)と、
前記中心コア(17)の第3の縁部(26)に接続された第1の一次接続翼部(30)であって、前記第1のタンク壁(1)の前記一次密閉メンブレン(9)に平行な平面内に配され、前記第1のタンク壁(1)の前記一次密閉メンブレン(9)に密閉するように溶接された第1の一次接続翼部(30)と、
前記中心コア(17)の前記第3の縁部(26)に接続された第2の一次接続翼部(31)であって、前記第2のタンク壁(2)の前記一次密閉メンブレン(9)に平行な平面内に配され、前記第2のタンク壁(2)の前記一次密閉メンブレン(9)に密閉するように溶接される第2の一次接続翼部(31)と、
を有する、
請求項12記載の断熱密閉タンク(71)。
【請求項14】
低温液体製品を輸送するためのタンカー(70)であって、
二重船殻(72)と、前記二重船殻に配された請求項12又は13記載の断熱密閉タンク(71)と、を備えていることを特徴とするタンカー(70)。
【請求項15】
低温液体製品のための移送システムであって、
請求項14記載のタンカー(70)と、
前記タンカーの前記二重船殻に設置された前記断熱密閉タンク(71)を浮体式又は陸上貯蔵設備(77)に接続するために配置された断熱パイプ(73,79,76,81)と、
前記断熱パイプを介して低温液体製品の流れを前記浮体式若しくは陸上貯蔵設備から前記タンカーの前記断熱密閉タンクへ又は前記断熱密閉タンクから前記浮体式若しくは陸上貯蔵設備へ送るためのポンプと、
を備えていることを特徴とする移送システム。
【請求項16】
断熱密閉タンクの接続ビーム(13)におけるタンク縁部(3)に沿って整列した第1の区域(14)と第2の区域(15)とを接続する接続アセンブリ(38)であって、
第1の翼部(39)、及び当該第1の翼部(39)との間に角度を成す第2の翼部(40)を備えており、
前記第1の翼部(39)と前記第2の翼部(40)とは交差縁部(61)の領域で互いに接続されており、
前記交差縁部は第1の方向に延在し、
前記第1の翼部(39)は、前記第1の方向に垂直な第2の方向において前記交差縁部(61)の両側に延在する主板部(44)と、前記主板部(44)に接続された第1の部分(46)と、前記主板部(44)に接続された第2の部分(47)と、を備えており、
前記第1の翼部(39)の前記第1の部分(46)は切欠部(48)によって、当該第1の翼部(39)の前記第2の部分(47)から前記第1の方向に離隔している
ことを特徴とする接続アセンブリ(38)。
【請求項17】
断熱密閉タンクの接続ビーム(13)を製造するための方法であって、
タンク縁部(3)の方向に整列した前記接続ビーム(13)の第1の区域(14)及び第2の区域(15)を前記タンク縁部(3)に沿って配置するステップと、ただし、前記区域(14,15)はそれぞれ中空の中心コア(17)を有し、前記中心コア(17)は、第1の壁(20)と、当該中心コア(17)の第1の縁部(24)に沿って当該第1の壁(20)に接続された第2の壁(21)と、前記中心コア(17)に固定された接続翼部(28,29,30,31)であって、前記断熱密閉タンクの二次密閉メンブレン(7)と一次密閉メンブレン(9)とを固定する接続翼部(28,29,30,31)と、を備えており、前記第1の壁(20)及び前記第2の壁(21)は前記断熱密閉タンクの一次断熱スペースを通り、前記第1の区域(14)の前記第1の壁(20)と前記第2の区域(15)の前記第1の壁(20)とは平行であり、前記第1の区域(14)と前記第2の区域(15)との連結部において第1の組付窓(16a)を画定し、前記第1の区域(14)の前記第2の壁(21)と前記第2の区域(15)の前記第2の壁(21)とは平行であり、前記第1の区域(14)と前記第2の区域(15)との連結部において第2の組付窓(16b)を画定し、
断熱要素(36)を準備して前記中空の中心コア(17)に当該断熱要素(36)を入れるステップと、
前記組付窓(16a,16b)に対して相補的な形状を有する接続アセンブリ(38)であって、第1の翼部(39)と、当該第1の翼部(39)に接続された第2の翼部(40)と、を有する接続アセンブリ(38)を準備するステップと、ただし、前記第1の翼部(39)は主板部(44)と、当該主板部(44)に接続された第1の部分(46)と、当該主板部(44)に接続された第2の部分(47)と、を有し、前記第1の翼部(39)の前記第1の部分(46)は切欠部(48)によって、当該第1の翼部(39)の前記第2の部分(47)から前記タンク縁部(3)の方向に離隔しており、
前記第1の翼部(39)が前記第1の区域(14)の前記第1の壁(20)と前記第2の区域(15)の前記第1の壁(20)とに対して平行になると共に前記第1の組付窓(16a)を塞ぎ、前記第1の翼部(39)の前記主板部(44)が前記第1の組付窓(16a)に収容されるように、かつ、前記第2の翼部(40)が前記第1の区域(14)の前記第2の壁(21)と前記第2の区域(15)の前記第2の壁(21)とに対して平行になると共に前記第2の組付窓(16b)を塞ぐように、前記組付窓(16a,16b)の領域に前記接続アセンブリ(38)を配置するステップと、
前記第2の翼部(40)を前記第1の区域(14)の前記第2の壁(21)と前記第2の区域(15)の前記第2の壁(21)に重ね溶接し、前記タンク縁部(3)の方向に延在する第1の主ビード部(50)を用いて前記第1の翼部(39)の前記第1の部分(46)を前記第1の区域(14)の前記第1の壁(20)に重ね溶接し、前記タンク縁部(3)の方向に延在する第2の主ビード部(51)を用いて前記第1の翼部(39)の前記第2の部分(47)を前記第2の区域(15)の前記第1の壁(20)に重ね溶接するステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項14に記載のタンカー(70)の積込み又は揚げ荷を行うための方法であって、
断熱パイプ(73,79,76,81)を介して低温液体製品を浮体式若しくは陸上貯蔵設備(77)から前記タンカーの前記断熱密閉タンク(71)へ又は前記断熱密閉タンク(71)から浮体式若しくは陸上貯蔵設備(77)へ搬送する
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンブレンを有する断熱密閉タンクのための接続ビームの分野に関する。本発明は特に、低温での液化ガスの貯蔵及び/若しくは輸送のための断熱密閉タンクのための接続ビーム、例えば-50℃~0℃の温度で液化石油ガス(LPGとも呼ばれる)を輸送するためのタンク、又は大気圧で約-162℃で液化天然ガス(LNG)を輸送するためのタンク等のための接続ビームの分野に関する。かかるタンクは陸上又は浮体構造物に設置することができる。浮体構造物の場合、タンクは、液化ガス輸送用、又は浮体構造物を推進するための燃料として使用される液化ガスを受容するためのタンクとすることができる。
【背景技術】
【0002】
LNGを貯蔵するメンブレンを備えた断熱密閉タンクのための接続ビームは、例えば、韓国公開実用新案第200473167号公報から知られている。かかるタンクは、複数の長手方向タンク壁と複数の横断方向タンク壁とを備える。タンク壁は、二重密閉メンブレンに二重断熱バリアを介在させたものを備えている。このようなタンクは、例えば船舶の船殻によって形成される支持構造に組み込まれる。
【0003】
LNGの荷役作業の際には、タンクの充填状態及び温度の変化により、タンクのメンブレンに有意な応力が与えられる。タンクの密閉特性及び断熱特性の劣化を防止するため、特にタンクの横方向壁と長手方向壁との間に形成される縁部の領域において、接続ビームを用いて一次密閉メンブレン及び二次密閉メンブレンを支持構造に固定する。また、接続ビームは、横方向壁の一次密閉メンブレン及び二次密閉メンブレンを長手方向壁の密閉メンブレンに密閉するように接続するためにも用いられる。
【0004】
支持構造への接続ビームの固定と、その密閉メンブレンへの固定とを行うことにより、メンブレンと船舶の船殻との間の力の伝達が可能になり、これによってタンク全体の構造が高強度化する。
【0005】
韓国公開実用新案第200473167号公報では、接続ビームは、縁部の方向に整列した複数の区域によって構成され、これらの区域は、2つの区域の連結部において組付窓を画定する。
【0006】
2つの隣り合う区域を組み付けるためには、組付窓に対して相補的な形状を有する接続アセンブリが組付窓の領域に固定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願人は、上述のようなビームを使用する際、接続アセンブリの領域に有意な応力が加わるとの認識を得た。さらに、ビームの区域と接続アセンブリとの間の組付け部において過度に大きな剛性が存在すると、その組付けの耐用期間が短くなる可能性があるとの認識も得られた。
【0008】
本発明の基礎となる考え方は、特に接続アセンブリの領域における接続ビームの可撓性を改善することである。
【0009】
また、本発明の基礎となる他の1つの考え方として、接続ビームの耐用期間を延ばすために応力の集中を回避するとの考え方もある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態では、本発明は液化ガスを貯蔵するための断熱密閉タンクのための接続ビームを提供し、当該接続ビームは、タンク縁部に延在する第1の方向に整列した第1の区域及び第2の区域を有し、前記区域はそれぞれ中心コアを有し、前記中心コアは、第1の壁と、当該中心コアの第1の縁部に沿って当該第1の壁に接続された第2の壁と、前記中心コアに固定された接続翼部であって、前記断熱密閉タンクの二次密閉メンブレンと一次密閉メンブレンとを固定する接続翼部と、を備えており、前記第1の壁及び前記第2の壁は前記断熱密閉タンクの一次断熱スペースを通り、前記第1の区域の前記第1の壁と前記第2の区域の前記第1の壁とは平行であり、前記第1の区域と前記第2の区域との連結部において第1の組付窓を画定し、前記第1の区域の前記第2の壁と前記第2の区域の前記第2の壁とは平行であり、前記第1の区域と前記第2の区域との連結部において第2の組付窓を画定し、前記接続ビームは、前記組付窓に対して相補的な形状を有する接続アセンブリを備えており、前記接続アセンブリは前記組付窓の領域で前記第1の区域と前記第2の区域とに固定され、前記接続アセンブリは、前記第1の区域の前記第1の壁と前記第2の区域の前記第1の壁とに平行であり前記第1の組付窓を塞ぐ第1の翼部と、前記第1の翼部に接続された第2の翼部であって前記第1の区域の前記第2の壁と前記第2の区域の前記第2の壁とに平行であり前記第2の組付窓を塞ぐ第2の翼部と、を備えており、前記第2の翼部は前記第1の区域の前記第2の壁と前記第2の区域の前記第2の壁とに重ね溶接されており、前記第1の翼部は、前記第1の組付窓に収容された主板部と、前記主板部に接続されると共に前記第1の区域の前記第1の壁に重ね溶接された第1の部分と、前記主板部に接続されると共に前記第2の区域の前記第1の壁に重ね溶接された第2の部分と、を備えており、前記第1の翼部の前記第1の部分は切欠部によって、当該第1の翼部の前記第2の部分から前記第1の方向に離隔しており、前記第1の翼部の前記第1の部分及び前記第2の部分は、前記第1の方向に延在する第1の主ビード部と第2の主ビード部とを用いて前記第1の区域及び前記第2の区域にそれぞれ溶接されている。
【0011】
かかる構成により、接続ビームは特に接続アセンブリの領域において十分な可撓性を有することとなり、接続アセンブリの領域における応力のいかなる集中も阻止することができる。その理由は、第1の翼部の構成、特にそこに切欠部が設けられていることや、切欠部によって第1の部分と第2の部分とが互いに離隔することにより、第1の区域に固定された第1の部分の挙動と第2の区域に固定された第2の部分の挙動とが切り離されて可撓性が得られるからである。
【0012】
実施形態では、上述の接続ビームは以下の構成のうち1つ又は複数を備えることができる。
【0013】
一実施形態では、第1の部分の第1の主ビード部と第2の部分の第2の主ビード部とが、切欠部によって第1の方向に互いに離隔している。
【0014】
一実施形態では、前記第1の翼部の前記第1の部分及び前記第2の部分はさらに、第1の副ビード部及び第2の副ビード部を用いて前記第1の区域及び前記第2の区域にそれぞれ溶接されて、前記切欠部の縁部に沿って溶接戻り部を形成する。
【0015】
一実施形態では、第1の主ビード部と第1の副ビード部とが連続した1つの溶接ビード部を形成する。
【0016】
一実施形態では、第2の主ビード部と第2の副ビード部とが連続した1つの溶接ビード部を形成する。
【0017】
一実施形態では、前記中心コアは平行四辺形の中空の断面を有し、前記中心コアは、第2の縁部の領域で前記第1の壁に接続された第3の壁と、第3の縁部の領域で前記第2の壁に接続されると共に第4の縁部の領域で前記第3の壁に接続された第4の壁と、を有し、前記第3の壁と前記第4の壁とにより、前記タンク縁部に沿って二次密閉メンブレンが形成される。
【0018】
一実施形態では、前記接続翼部は前記中心コアの外側に向かって突出し、前記接続翼部は、
-前記中心コアの前記第2の縁部に接続された第1の二次接続翼部であって、前記断熱密閉タンクの前記二次密閉メンブレンに密閉するように溶接される第1の二次接続翼部と、
-前記中心コアの前記第3の縁部に接続された第2の二次接続翼部であって、前記断熱密閉タンクの前記二次密閉メンブレンに密閉するように溶接される第2の二次接続翼部と、
-前記中心コアの前記第1の縁部に接続された第1の一次接続翼部であって、前記断熱密閉タンクの前記一次密閉メンブレンに密閉するように溶接される第1の一次接続翼部と、
-前記中心コアの前記第1の縁部に接続されて前記第1の一次接続翼部との間に角度を成す第2の一次接続翼部であって、前記断熱密閉タンクの前記一次密閉メンブレンに密閉するように溶接される第2の一次接続翼部と、
を有する。
【0019】
一実施形態では、各区域は前記中心コアの外側に向かって突出するアンカー翼部を備えており、前記アンカー翼部は、
-前記中心コアの前記第4の縁部に接続された第1の二次アンカー翼部であって、前記第2の二次接続翼部と同一の平面内に配され、前記断熱密閉タンクの前記支持壁に固定される第1の二次アンカー翼部と、
-前記中心コアの前記第4の縁部に接続された第2の二次アンカー翼部であって、前記第1の二次接続翼部と同一の平面内に配され、前記断熱密閉タンクの支持壁に固定される第2の二次アンカー翼部と、
-前記中心コアの前記第3の縁部に接続された第1の一次アンカー翼部であって、前記第2の一次接続翼部と同一の平面内に配され、前記断熱密閉タンクの支持壁に固定される第1の一次アンカー翼部と、
-前記中心コアの前記第2の縁部に接続された第2の一次アンカー翼部であって、前記第1の一次接続翼部と同一の平面内に配され、前記断熱密閉タンクの支持壁に密閉するように溶接される第2の一次アンカー翼部と、
を有する。
【0020】
一実施形態では、前記主板部は、前記第1の区域及び前記第2の区域の前記中心コアの前記第1の壁と同一の平面内に配されており、前記第1の部分と前記第2の部分とは、前記主板部の反対側のコーナ部に位置し、前記第1の翼部は、前記主板部の前記平面から離れた平面内に形成されるように前記主板部の少なくとも1つの縁部に接続されたオフセット部分を有し、前記第1の部分及び前記第2の部分は前記オフセット部分に配されており、前記オフセット部分は前記第1の区域及び前記第2の区域の前記各第1の壁を部分的に覆う。
【0021】
一実施形態では、前記第1の翼部は、前記第1の縁部に平行な切欠部を有し、前記切欠部は、前記第1の翼部の縁部のうち前記第1の縁部の方向に垂直な方向に形成された縁部に形成されており、前記切欠部は、前記第2の翼部に近接し前記第2の翼部とは不連続な前記第1の翼部の前記主板部及び前記オフセット部分を離隔するように構成されている。
【0022】
一実施形態では、前記第1の翼部は、当該第1の翼部の各縁部に形成された凹部を有し、当該凹部は前記第1の方向に対して垂直な方向に形成されている。
【0023】
一実施形態では、前記第1の翼部の前記オフセット部分は、前記第1の縁部の方向に延在する本体部分と、前記本体部分の両側に形成された第1の分岐部及び第2の分岐部と、を有し、前記第1の分岐部及び第2の分岐部は、前記オフセット部分が前記第1の翼部の前記主板部の周囲にU字形となるように前記第1の縁部に対して垂直な方向に延在し、前記第1の分岐部及び第2の分岐部の幅は前記本体部分の幅より小さい。
【0024】
一実施形態では、前記第2の翼部は、前記第1の縁部に平行な切欠部を有し、前記切欠部は、前記第2の翼部の縁部のうち前記第1の縁部の方向に垂直な方向に形成された縁部に形成されており、前記切欠部は、前記第1の翼部に近接し前記第1の翼部とは不連続な前記第2の翼部の前記主板部及び前記オフセット部分を離隔するように構成されている。
【0025】
一実施形態では、前記第2の翼部は、当該第2の翼部の各縁部に形成された凹部を有し、当該凹部は前記第1の方向に対して垂直な方向に形成されている。
【0026】
一実施形態では、各凹部のベースは丸みを有する形態で作製されている。
【0027】
一実施形態では、前記第2の翼部は、前記第1の区域及び前記第2の区域の前記中心コアの前記第2の壁と同一の平面内に配された主板部と、前記主板部の平面から離れた平面内に形成されるように前記主板部の少なくとも1つの縁部に接続されたオフセット部分と、を有し、前記オフセット部分は、前記第1の区域及び前記第2の区域の前記第2の壁を部分的に覆う。
【0028】
一実施形態では、前記第1の翼部及び前記第2の翼部のオフセット部分は前記主板部の周囲に作製されている。
【0029】
一実施形態では、前記第1の翼部の前記第1の部分と当該第1の翼部の前記第2の部分とは、前記主板部における前記第1の方向の向きの縁部と、当該主板部における縁部であって前記第1の方向に垂直な第2の方向の向きの縁部と、に沿って延在する。
【0030】
一実施形態では、前記第1の主ビード部及び第2の主ビード部は前記第1の方向と前記第2の方向とに延在する。かかる構成によって、主ビード部は、主板部における第1の方向の向きの縁部とは反対側に延在する部分と、主板部における第2の方向の向きの縁部とは反対側に延在する部分と、を有することとなる。
【0031】
一実施形態では、前記切欠部の2つの隣り合う縁部は、すみ肉部を用いて互いに接続されている。
【0032】
かかる構成により、すみ肉部によって、亀裂の始点となるおそれのある切欠部の2つの縁部の交差部に応力の集中を防止することができる。
【0033】
一実施形態では、前記第1の部分における前記開口部に沿った縁部と前記主板部における前記開口部に沿った縁部との連結部が、すみ肉部を用いて作製されている。
【0034】
一実施形態では、前記第2の部分における前記開口部に沿った縁部と前記主板部における前記開口部に沿った縁部との連結部が、すみ肉部を用いて作製されている。
【0035】
一実施形態では、前記切欠部は、前記第1の部分の縁部と、前記第2の部分の縁部と、前記主板部の縁部と、によって形成されている。
【0036】
一実施形態では、前記第1の翼部は、前記切欠部に沿って前記第1の部分と前記第2の部分とを接続する第3の部分を有し、前記切欠部は、前記第1の部分の縁部と、前記第2の部分の縁部と、前記第3の部分の縁部と、によって形成されている。
【0037】
一実施形態では、前記第3の部分は前記オフセット部分に配されている。
【0038】
一実施形態では、本発明は液化ガスを貯蔵するための断熱密閉タンクも提供し、当該断熱密閉タンクは、少なくとも第1のタンク壁と第2のタンク壁とを備えており、前記第1のタンク壁及び前記第2のタンク壁はそれぞれ支持壁を有し、前記第1のタンク壁の前記支持壁と前記第2のタンク壁の前記支持壁とがタンク縁部の領域において角度を成してぶつかっており、前記各タンク壁は、前記支持壁から前記断熱密閉タンクの内部スペースに向かって、前記支持壁によって支持される二次断熱バリアと、前記二次断熱バリアによって支持される二次密閉メンブレンと、前記二次密閉メンブレンによって支持される一次断熱バリアと、前記液化ガスと接触する支持された一次密閉メンブレンと、を備えており、前記断熱密閉タンクは、前記タンク縁部の領域に配された上記の接続ビームを備えており、前記接続ビームは、前記第1のタンク壁の前記支持壁と前記第2のタンク壁の前記支持壁とに固定されており、前記接続ビームは、前記第1のタンク壁の前記二次密閉メンブレンと前記第2のタンク壁の前記二次密閉メンブレンとを密閉するように接続すると共に、前記第1のタンク壁の前記一次密閉メンブレンと前記第2のタンク壁の前記一次密閉メンブレンとを密閉するように接続する。
【0039】
一実施形態では、前記中心コアは平行四辺形の断面を有し、前記接続翼部は前記中心コアの外側に向かって突出し、前記接続翼部は、
-前記中心コアの第1の縁部に接続された第1の二次接続翼部であって、前記第1のタンク壁の前記二次密閉メンブレンに平行な平面内に配され、前記第1のタンク壁の前記二次密閉メンブレンに密閉するように溶接された第1の二次接続翼部と、
-前記中心コアの第2の縁部に接続された第2の二次接続翼部であって、前記第2のタンク壁の前記二次密閉メンブレンに平行な平面内に配され、前記第2のタンク壁の前記二次密閉メンブレンに密閉するように溶接された第2の二次接続翼部と、
-前記中心コアの第3の縁部に接続された第1の一次接続翼部であって、前記第1のタンク壁の前記一次密閉メンブレンに平行な平面内に配され、前記第1のタンク壁の前記一次密閉メンブレンに密閉するように溶接された第1の一次接続翼部と、
-前記中心コアの前記第3の縁部に接続された第2の一次接続翼部であって、前記第2のタンク壁の前記一次密閉メンブレンに平行な平面内に配され、前記第2のタンク壁の前記一次密閉メンブレンに密閉するように溶接される第2の一次接続翼部と、
を有する。
【0040】
一実施形態では、各区域は前記中心コアの外側に向かって突出するアンカー翼部を備えており、前記アンカー翼部は、
-前記中心コアの前記第4の縁部に接続された第1の二次アンカー翼部であって、前記第2の二次接続翼部と同一の平面内に配され、前記第1のタンク壁の前記支持壁に固定された第1の二次アンカー翼部と、
-前記中心コアの前記第4の縁部に接続された第2の二次アンカー翼部であって、前記第1の二次接続翼部と同一の平面内に配され、前記第2のタンク壁の支持壁に固定された第2の二次アンカー翼部と、
-前記中心コアの前記第3の縁部に接続された第1の一次アンカー翼部であって、前記第2の一次接続翼部と同一の平面内に配され、前記第1のタンク壁の支持壁に固定された第1の一次アンカー翼部と、
-前記中心コアの前記第2の縁部に接続された第2の一次アンカー翼部であって、前記第1の一次接続翼部と同一の平面内に配され、前記第2のタンク壁の支持壁に密閉するように溶接される第2の一次アンカー翼部と、
を有する。
【0041】
上述のタンクは、例えば液化天然ガス貯蔵用等の陸上貯蔵設備の一部とすることができ、又は、沿岸若しくは深海に設置される浮体構造物、特に液化天然ガスタンカー、浮体式貯蔵再ガス化設備(FSRU)、浮体式貯蔵再ガス化設備(FPSO)等に設置することができる。かかるタンクは、いかなる種類のタンクの燃料貯蔵部としても用いることができる。
【0042】
一実施形態では、低温液体製品を輸送するためのタンカーは、二重船殻と、前記二重船殻に配された上記の断熱密閉タンクと、を備えている。
【0043】
一実施形態では、本発明は低温液体製品のための移送システムも提供し、当該移送システムは、上述のタンカーと、タンカーの前記二重船殻に設置された前記断熱密閉タンクを浮体式又は陸上貯蔵設備に接続するために配置された断熱パイプと、前記断熱パイプを介して低温液体製品の流れを前記浮体式若しくは陸上貯蔵設備から前記タンカーの前記断熱密閉タンクへ又は前記断熱密閉タンクから前記浮体式若しくは陸上貯蔵設備へ送るためのポンプと、を備えている。
【0044】
一実施形態では、本発明はさらに、断熱密閉タンクの接続ビームにおけるタンク縁部に沿って整列した第1の区域と第2の区域とを接続する接続アセンブリも提供し、前記接続アセンブリは、第1の翼部、及び当該第1の翼部との間に角度を成す第2の翼部を備えており、前記第1の翼部と前記第2の翼部とは交差縁部の領域で互いに接続されており、前記交差縁部は第1の方向に延在し、前記第1の翼部は、前記第1の方向に垂直な第2の方向において前記交差縁部の両側に延在する主板部と、前記主板部に接続された第1の部分と、前記主板部に接続された第2の部分と、を備えており、前記第1の翼部の前記第1の部分は切欠部によって、当該第1の翼部の前記第2の部分から前記第1の方向に離隔している。
【0045】
一実施形態では、前記第1の翼部はオフセット部分を有し、オフセット部分は、前記主板部における前記第1の方向に延在する縁部と、前記主板部における前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に延在する少なくとも1つの縁部と、に接続されて、前記主板部の平面とは異なる平面内に形成され、前記第1の部分及び前記第2の部分は前記オフセット部分に配されており、前記オフセット部分は重なりを用いて前記第1の区域及び前記第2の区域に固定される。
【0046】
一実施形態では、前記第2の翼部は、前記交差縁部の両側に配置された主板部を有し、 前記第2の翼部はオフセット部分を有し、オフセット部分は、前記主板部における前記第1の方向に延在する縁部と、前記主板部における前記第1の方向に対して垂直な第3の方向に延在する少なくとも1つの縁部と、に接続されており、前記第1の部分及び前記第2の部分は前記オフセット部分に配されている。
【0047】
一実施形態では、前記オフセット部分は、前記主板部における前記第1の方向に延在する縁部と、前記主板部における前記第2の方向又は前記第3の方向に延在する両反対側の縁部と、に接続されている。
【0048】
一実施形態では、前記第1の翼部における前記オフセット部分を含む部分であって前記交差縁部の一方の側に位置する部分の第2の方向における寸法は、当該第1の翼部の他の部分であって前記交差縁部の他方の側に位置する他の部分の第2の方向における寸法より大きい。このようにして、第1の翼部の他の部分は、第1の一次接続翼部と一次密閉メンブレンとに固定される第1の翼部の第1の接続部分となる。
【0049】
一実施形態では、前記第2の翼部における前記オフセット部分を含む部分であって前記交差縁部の一方の側に位置する部分の第3の方向における寸法は、当該第2の翼部の他の部分であって前記交差縁部の他方の側に位置する他の部分の第3の方向における寸法より大きい。このようにして、第2の翼部の他の部分は、第1の一次接続翼部と一次密閉メンブレンとに固定される第1の翼部の第2の接続部分となる。
【0050】
一実施形態において、本発明はまた、断熱密閉タンクの接続ビームを製造するための方法も提供し、当該方法は、
-タンク縁部の方向に整列した前記接続ビームの第1の区域及び第2の区域を前記タンク縁部に沿って配置するステップと、ただし、前記区域はそれぞれ中空の中心コアを有し、前記中心コアは、第1の壁と、当該中心コアの第1の縁部に沿って当該第1の壁に接続された第2の壁と、前記中心コアに固定された接続翼部であって、前記断熱密閉タンクの二次密閉メンブレンと一次密閉メンブレンとを固定する接続翼部と、を備えており、前記第1の壁及び前記第2の壁は前記断熱密閉タンクの一次断熱スペースを通り、前記第1の区域の前記第1の壁と前記第2の区域の前記第1の壁とは平行であり、前記第1の区域と前記第2の区域との連結部において第1の組付窓を画定し、前記第1の区域の前記第2の壁と前記第2の区域の前記第2の壁とは平行であり、前記第1の区域と前記第2の区域との連結部において第2の組付窓を画定し、
-断熱要素を準備して前記中空の中心コアに当該断熱要素を入れるステップと、
-前記組付窓に対して相補的な形状を有する接続アセンブリであって、第1の翼部と、当該第1の翼部に接続された第2の翼部と、を有する接続アセンブリを準備するステップと、ただし、前記第1の翼部は主板部と、当該主板部に接続された第1の部分と、当該主板部に接続された第2の部分と、を有し、前記第1の翼部の前記第1の部分は切欠部によって、当該第1の翼部の前記第2の部分から前記タンク縁部の方向に離隔しており、
-前記第1の翼部が前記第1の区域の前記第1の壁と前記第2の区域の前記第1の壁とに対して平行になると共に前記第1の組付窓を塞ぎ、前記第1の翼部の前記主板部が前記第1の組付窓に収容されるように、かつ、前記第2の翼部が前記第1の区域の前記第2の壁と前記第2の区域の前記第2の壁とに対して平行になると共に前記第2の組付窓を塞ぐように、前記組付窓の領域に前記接続アセンブリを配置するステップと、
-前記第2の翼部を前記第1の区域の前記第2の壁と前記第2の区域の前記第2の壁に重ね溶接し、前記タンク縁部の方向に延在する第1の主ビード部を用いて前記第1の翼部の前記第1の部分を前記第1の区域の前記第1の壁に重ね溶接し、前記タンク縁部の方向に延在する第2の主ビード部を用いて前記第1の翼部の前記第2の部分を前記第2の区域の前記第1の壁に重ね溶接するステップと、
を有する。
【0051】
一実施形態では、前記第1の翼部の前記第1の部分を前記第1の区域に溶接すると共に前記第1の翼部の前記第2の部分を前記第2の区域に溶接するステップは、第1の副ビード部及び第2の副ビード部も用いて行われ、これにより前記切欠部の縁部に沿った溶接戻り部が形成される。
【0052】
一実施形態では、本発明は上記のタンカーの積込み又は揚げ荷を行うための方法も提供し、当該方法では、断熱パイプを介して低温液体製品を浮体式若しくは陸上貯蔵設備から前記タンカーの前記断熱密閉タンクへ又は前記断熱密閉タンクから浮体式若しくは陸上貯蔵設備へ搬送する。
【0053】
以下の本発明の複数の具体的な実施形態の説明から、本発明をより良好に理解できると共に、本発明の他の課題、詳細、構成及び利点がより明確に理解できる。以下の説明はあくまで例示であって限定ではなく、以下の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】断熱密閉タンクにおける2つの壁の連結部の領域を一部抜粋した斜視図である。
図2】タンクの縁部の領域に配置された接続ビームの部分斜視図である。
図3図2に示された接続ビームの分解斜視図である。
図4】一実施形態の接続アセンブリの斜視図である。
図5】第1の実施形態の接続アセンブリの第1の翼部の正面図である。
図6】第2の実施形態の接続アセンブリの第1の翼部の正面図である。
図7】接続ビームを備えた液化天然ガスタンカーのタンクと、当該タンクの荷役作業用のターミナルと、の概略的な抜粋図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
地球の重力場に対するタンク壁の相対的な向きにかかわらず、慣例的に、「上」又は「上方」との用語はタンクの内部に近い場所を言い、「下」又は「下方」との用語は支持構造に近い場所を言う。同様に、「上部」又は「内部」との用語は、タンクの内部に近い場所に配置された要素について言うものであり、「下部」又は「外部」との用語は、支持構造に近い場所に配置された要素について言うものである。
【0056】
以下、断熱密閉タンク71、特にかかるタンク71のための接続ビームについて説明する。
【0057】
タンカーの船殻に組み込まれるタンク71は、例えば多面体形等である。例えばタンク71は、長手方向底壁と、長手方向天井壁と、2つの長手方向側壁と、下部及び上部長手方向チャンファ壁(傾斜壁)と、を備えることができる。
【0058】
かかるタンク71の全体構造は、周知のものである。よって、タンクの全ての壁が同様の全体構造を有することができると考えて、タンクの1つの壁ゾーンのみについて説明する。
【0059】
図1を参照して、一実施形態に係るタンク壁1の多層構成について説明する。タンク壁1は、タンクの厚さ方向において、外側から内側に向かって、支持壁5に設けられた二次断熱バリア6と、密閉された二次メンブレン7と、一次断熱バリア8と、タンク内に貯蔵された流体と接触する一次密閉メンブレン9と、を備える。
【0060】
一次断熱バリア8及び二次断熱バリア6はそれぞれ断熱要素によって構成されており、具体的には、規則的なパターンに並べられた平行六面体の断熱箱10によって構成されている。このような断熱要素を作製するための種々の技術が知られている。例えば、各断熱箱10は仏国特許出願公開第2877638号明細書に記載されているように形成される。各断熱箱10はアンカー部材によって支持壁5に固定され、かかるアンカー部材は、公知の技術により数多くの手法で作製できるものであり、かかる手法は例えば仏国特許第2973098号明細書等に記載されている。一次断熱バリア8及び二次断熱バリア6の各断熱箱10はそれぞれ、一次メンブレン9及び二次メンブレン7を支持する。
【0061】
二次メンブレン7及び一次メンブレン9は例えば、互いに平行なストレーキ11と呼ばれる金属プレート列によって構成され、これらのストレーキ11は折り畳まれた縁部を有し、長片形の溶接サポート12と交互に配置される。ストレーキ11及び溶接サポート12は、低膨張係数の合金から作製される。ストレーキ11及び溶接サポート12は例えば、典型的には1.2×10-6~2×10-6-1の膨張係数の鉄及びニッケルの合金であるインバー(登録商標)、又は、 典型的には7×10-6-1のオーダの膨張係数の高マンガン含有の鉄合金である。二次メンブレン7及び一次メンブレン9は、典型的には、0.5~1.5mm、好適には0.7mmの厚さを有する。
【0062】
ストレーキ11は幅方向に、平坦な中央ストリップを備えており、この中央ストリップは断熱箱10と、折り畳まれた側縁部に当たるように設けられる。折り畳まれた縁部は、平坦な中央ストリップに対して実質的に垂直に延在する。ストレーキ11の折り畳まれた縁部は、溶接サポート12に密閉するように溶接されている。このようなメンブレンの製造については、仏国特許公開第2968284号に詳細に記載されている。
【0063】
次に、タンクのアングルゾーンについて具体的に説明する。図1は、第1のタンク壁1と第2のタンク壁2との間の縁部ゾーンの斜視図である。
【0064】
このゾーンの領域では、第1の壁1の支持壁5と第2の壁2の支持壁5とがタンク縁部3の領域でぶつかり、2つのタンク壁1,2の二次メンブレン7及び一次メンブレン9は、二次密閉メンブレン7及び一次密閉メンブレン9を固定可能なアンカー装置を用いて、第1の壁1の支持壁5と、第2の壁2の支持壁5と、に接続される。
【0065】
具体的には、第1の壁1の二次メンブレン7及び一次メンブレン9は第2の壁2の支持壁5に垂直に固定される。第2の壁2の二次メンブレン7及び一次メンブレン9も同様に、第1の壁1の支持壁5に垂直に固定される。
【0066】
アンカー装置によって、二次メンブレン7及び一次メンブレン9の熱収縮に起因する引張力を吸収することができる。またアンカー装置によって、タンカーの梁作用に応じた船殻の変形、特にタンカーの長手方向壁の撓曲から生じる力を吸収することもできる。
【0067】
アンカー装置は、長片形の接続ビーム13によって構成される。接続ビームは、タンク縁部3の方向に整列した第1の区域14及び第2の区域15を備えており、第1の区域14及び第2の区域15は両区域14,15間の連結部において組付窓を画定し、この組付窓は、第1の組付窓16a及び第2の組付窓16bにより構成される。
【0068】
各区域14、15は、平行四辺形の断面を有する中空の中心コア17を備えており、図1~3に示す例では2つの支持壁5が直角を形成しているので、本例では中空の中心コア17の断面は矩形となっている。全ての密閉メンブレンと同様に、接続ビーム13は特に、低膨張率の合金、例えば厚さが0.5~1.5mm等の金属シートから製造することができる。
【0069】
接続ビーム13を縁部3の各側に保持するため、各支持壁5は一次扁平アンカー部分18及び二次扁平アンカー部分19を備えている。二次扁平アンカー部分19から縁部3までの距離は二次断熱バリア6の厚さに相当する。扁平アンカー部分18及び19間の距離は、一次断熱バリア8の厚さに相当する。
【0070】
図2及び図3を見るとより良く理解できる通り、接続ビーム13は平坦な金属シートを互いに溶接接合して、
-(縁部ゾーンが直角である場合)矩形又は正方形の断面を有する中空の中心コア17であって、辺の長さが各辺に平行な支持壁の一次扁平アンカー部分18と二次扁平アンカー部分19との距離に等しく、中空の中心コア17は第1の壁20と、当該中心コア17の第1の縁部24に沿って当該第1の壁20に接続された第2の壁21と、第2の縁部25の領域において第1の壁20に接続された第3の壁22と、第3の縁部26の領域において第2の壁21に接続された第4の壁23と、を有し、第4の壁23は第4の領域27において第3の壁22に接続された、中空の中心コア17と、
-中心コアの外側に向かって第1のタンク壁1及び第2のタンク壁2の一次密閉メンブレン9及び二次密閉メンブレン7の方向に突出する接続翼部28,29,30,31であって、タンク壁1,2の二次密閉メンブレン7を密閉状態で接続できると共に当該タンク壁1、2の一次密閉メンブレン9を密閉状態で接続できる接続翼部28,29,30,31と、
-中心コア17の外側に向かってタンク壁1,2の支持壁5の方向に突出すると共に支持壁5に固定されたアンカー翼部32,33,34,35と、
を形成することにより構成される。
【0071】
第1及び第2の区域14,15の第1の壁20は平行であり、両区域14,15間の連結部において第1の組付窓16aを画定し、第1及び第2の区域14,15の第2の壁21は平行であり、両区域14,15の間の連結部で第2の組付窓16bを画定する。
【0072】
接続翼部は、
-中心コア17の第1の縁部24に接続された第1の二次接続翼部28であって、第1のタンク壁1の二次密閉メンブレン7に対して平行な平面内に配され、第1のタンク壁1の二次密閉メンブレン7に密閉するように溶接された第1の二次接続翼部28と、
-中心コア17の第2の縁部25に接続された第2の二次接続翼部29であって、第2のタンク壁2の二次密閉メンブレン7に対して平行な平面内に配され、第2のタンク壁2の二次密閉メンブレン7に密閉するように溶接された第2の二次接続翼部29と、
-中心コア17の第3の縁部26に接続された第1の一次接続翼部30であって、第1のタンク壁1の一次密閉メンブレン9に対して平行な平面内に配され、第1のタンク壁1の一次密閉メンブレン9に密閉するように溶接された第1の一次接続翼部30と、
-中心コア17の第3の縁部26に接続された第2の一次接続翼部31であって、第2のタンク壁2の一次密閉メンブレン9に対して平行な平面内に配され、第2のタンク壁2の一次密閉メンブレン9に密閉するように溶接される第2の一次接続翼部31と、
を有する。
【0073】
アンカー翼部は、
-中心コア17の第4の縁部27に接続された第1の二次アンカー翼部32であって、第2の二次接続翼部29と同一平面内に配され、第1のタンク壁1の二次扁平アンカー部分18に固定された第1の二次アンカー翼部32と、
-中心コア17の第4の縁部27に接続された第2の二次アンカー翼部33であって、第1の二次接続翼部28と同一平面内に配され、第2のタンク壁2の二次扁平アンカー部分18に固定された第2の二次アンカー翼部33と、
-中心コア17の第3の縁部26に接続された第1の一次アンカー翼部34であって、第2の一次接続翼部31と同一平面内に配され、第1のタンク壁1の一次扁平アンカー部分19に固定された第1の一次アンカー翼部34と、
-中心コア17の第2の縁部25に接続された第2の一次アンカー翼部35であって、第1の一次接続翼部30と同一平面内に配され、第2のタンク壁2の一次扁平アンカー部分19に固定された第2の一次アンカー翼部35と、
を有する。
【0074】
接続ビーム17の領域における断熱の連続性を保証するため、中空の中心コア17の内側に断熱要素36がアンカー翼部32~35間に配置されており、これによって、タンク縁部3の領域に二次断熱バリア6及び一次断熱バリア8が形成される。断熱要素36は、例えばガラスウール又はパーライト又は断熱発泡体のブロック等の断熱材料が充填された箱の形態とすることができる。
【0075】
上述したように、また図3を見ると特にわかるように、接続ビーム13は、2つの隣り合う区域14、15間の連結部に第1の組付窓16a及び第2の組付窓16bを有する。各組付窓16a,16bは、中心コア17の第1の壁20及び第2の壁21の各凹部によって形成される。これらの組付窓16a、16bにより、金属製の連結部材37を用いて、特に第1の区域14の第3の壁22を第2の区域15の第3の壁22に密閉するように溶接することができ、第1の区域14の第4の壁23を第2の区域15の第4の壁23に密閉するように溶接することができ、また、第1の区域14の二次接続翼部28,29を第2の区域15の二次接続翼部に密閉するように溶接することができる。これは、第3の壁22、第4の壁23及び二次接続翼部28,29によって、接続ビーム13の領域において第1のタンク壁1と第2のタンク壁2との間の二次密閉メンブレン7の連続性を可能にするからである。さらに、組付窓16a,16bによって、中空の中心コア17の内部に断熱要素36を挿入することも可能である。
【0076】
接続ビーム13は、組付窓に対して相補的な形状を有する接続アセンブリ38を備えており、接続アセンブリ38は、組付窓の領域で第1の区域14と第2の区域15とに固定されている。このようにして、接続アセンブリが組付窓16a,16bの領域に固定される前に断熱要素36が中空の中心コア17に入れられる。というのも、接続アセンブリ38が窓16a、16bを塞いでしまうからである。
【0077】
接続アセンブリ38は、中心コア17の第1の壁20と平行な第1の翼部39と、中心コア17の第2の壁21に平行であると共に第1の翼部39と交差して十字形の断面を形成する第2の翼部40、とを備えている。よって、第1の翼部39は交差縁部61の領域において第2の翼部40の両側に延在し、第2の翼部40についてはその逆となる。このようにして、第1の翼部39は各区域14,15の中心コア17の第1の壁20と整列すると共に、各区域14,15の第1の一次接続翼部30と整列している。第2の翼部40も同様に、各区域14,15の中心コア17の第2の壁21と整列すると共に、各区域14,15の第2の一次接続翼部29と整列している。
【0078】
第1のタンク壁1と第2のタンク壁2との間の一次密閉メンブレン9の連続性は、一次接続翼部30,31によって生じる。しかし、組付窓16の領域においてもこの連続性を保証するため、接続アセンブリ38は翼部39,40の両側に曲げ金属連結部材41を備えており、両曲げ金属連結部材41は第1の翼部39及び第2の翼部40の両方と、一次接続翼部30,31と、に密閉するように溶接されている。
【0079】
第1の区域14を第2の区域15に固定接合するため、図2に示すように、第1の翼部39は第1の区域14の第1の壁20と第2の区域15の第1の壁20とに重ね溶接される。第2の翼部40は、第1の区域14の第2の壁21と第2の区域15の第2の壁21とに重ね溶接されている。
【0080】
図4~6は、接続アセンブリ38の細部、特に第1の翼部39及び第2の翼部40を示す図である。
【0081】
図4から分かるように、第2の翼部40は、各区域14,15の中心コア17の第2の壁21と同一平面内に配された主板部42と、主板部42における第1の翼部39の下方の縁部に接続されて主板部42の平面から離隔した平面内に形成されるオフセット部分43と、を備えている。このようにして、オフセット部分43は第1の区域14の第2の壁21と第2の区域15の第2の壁21とを覆う。従って、区域14,15に溶接されるのは第2の翼部40のオフセット部分43である。主板部42における第1の翼部39及び交差縁部61より上方の部分が第2の翼部40の第2の接続部分60を形成し、この第2の接続部分60は組付けの際に、第1の区域14及び第2の区域15の第2の一次接続翼部31と整列して、この場所で溶接される。
【0082】
第1の翼部39は、当該翼部においてより大きくなる応力の集中を抑えるためにより高い可撓性を必要とするので、第2の翼部40とは異なった構成となる。それゆえ、図5及び図6では接続アセンブリ38の第1の翼部39を詳細に示す。
【0083】
図5は、第1の翼部39の第1の実施形態を示す。本実施形態では第1の翼部39は、各区域14,15の中心コア17の第1の壁20と同一平面内に配された主板部44と、主板部44における第2の翼部40より下方の縁部に接続されて主板部44の平面から離れた平面内に形成されるオフセット部分45と、を備える。
【0084】
第1の翼部39のオフセット部分45は、第1の区域14の第1の壁20に重ね溶接された第1の部分46と、第2の区域15の第1の壁20に重ね溶接された第2の部分47と、を有する。第1の部分46と第2の部分47とは、切欠部48によってタンク縁部3の方向に互いに離隔している。
【0085】
切欠部48の領域における応力の集中を防止するため、切欠部48の2つの隣り合う縁部は、すみ肉部49を用いて互いに接続されている。
【0086】
第1の翼部39も第2の翼部40と同様に、交差縁部61の両側に延在する。第1の翼部39は一方の側に、組付窓16aの領域における重なりを用いて第1及び第2の区域14,15に固定するためのオフセット部分45を備えている。第1の翼部39における交差縁部61の反対側の部分が第1の翼部39の第1の接続部分59を形成し、この第1の接続部分59は組付けの際に、第1の区域14及び第2の区域15の第1の一次接続翼部30と整列して、この場所で溶接される。
【0087】
図5から概略的に分かるように、第1の部分46は、第1の部分46の周上に形成された第1の主ビード部50と、切欠部48の縁部に沿って第1の副ビード部52によって形成された溶接戻り部と、により、第1の区域14の第1の壁20に溶接される。第2の部分47は、第2の部分47の周上に形成された第2の主ビード部51と、切欠部48の縁部に沿って第2の副ビード部53によって形成された溶接戻り部と、により、第2の区域15の第1の壁20に溶接される。
【0088】
さらに、図4に示すように、第1の翼39及び第2の翼40は、それぞれ第1の翼39及び第2の翼40の各縁部に形成された切欠部54を有し、切欠部54は、第1の方向に垂直な方向に延在する。この切欠部54によって、主板部42,44とオフセット部分43,45とを分離することができる。
【0089】
図6は、第1の翼部39の第2の実施形態を示す。本実施形態が図5の第1の実施形態と相違する点は、切欠部48の寸法である。その理由は、第1の実施形態では、切欠部48が主板部44まで延在するのに対し、第2の実施形態では、切欠部48はオフセット部分45にのみ配されているからである。このようにして、本実施形態ではオフセット部分45は、切欠部48に沿って第1の部分46と第2の部分47とを接続する第3の部分55を有することとなる。よって切欠部48は、第1の部分46の縁部と、第2の部分46の縁部と、第3の部分55の縁部と、によって形成される。さらに本実施形態では、第1の翼部39のオフセット部分45は、第1の縁部24の方向に延在する本体部分56と、本体部分56の両側に形成された第1の分岐部57及び第2の分岐部58と、を有し、第1の分岐部57及び第2の分岐部58は、オフセット部分45が第1の翼部の主板部56の周囲にU字形を形成するように第1の縁部に対して垂直な方向に延在し、第1の分岐部57及び第2の分岐部58の幅は本体部分56の幅より小さい。
【0090】
図7を参照すると、液化天然ガスタンカー70の抜粋図が密閉断熱タンク71を示しており、このタンクの全体形状は角柱形であり、タンカーの二重船殻72に取り付けられている。タンク71の壁は、タンクに入っている液化天然ガスと接触する一次密閉バリアと、一次密閉バリアと二重船殻72との間に配置される二次密閉バリアと、一次密閉バリアと二次密閉バリアとの間及び二次密閉バリアと二重船殻72との間にそれぞれ配置される2つの断熱バリアと、を備えている。
【0091】
自明のように、タンク71との間でLNG貨物を移送するため、適切なコネクタを使用して、タンカーの上部ブリッジに配置された荷役パイプ73を海上又は港湾ターミナルに接続することができる。
【0092】
図7は、荷役ステーション75と、水中パイプ76と、陸上設備77と、を備える海上ターミナルの一例を示す。荷役ステーション75は、可動アーム74と、可動アーム74を支持するタワー78と、を備える定置の沖合設備である。可動アーム74は、荷役パイプ73に接続すること可能な断熱性の可撓性パイプ束79を支持する。方向調整可能なこの可動アーム74は、あらゆる規模のタンカーに適合する。タワー78内部には、不図示の接続パイプが延設されている。荷役ステーション75は、液化天然ガスタンカー70と陸上設備77との間で荷役作業を行うためのものである。この設備は、液化ガス貯蔵タンク80と、水中パイプ76を介して荷役ステーション75に接続される接続パイプ81と、を備えている。水中パイプ76によって、例えば5km等の長距離にわたって荷役ステーション75と陸上設備77との間で液化ガスを移送することができるので、荷役作業中に液体天然ガスタンカー70を沿岸から遠距離の場所に留め置くことができる。
【0093】
液化ガスを移送するために必要な圧力を生成するため、タンカー70では船上ポンプが用いられ、並びに/又は、陸上設備77に備え付けられたポンプ及び/若しくは荷役ステーション75に備え付けられたポンプが用いられる。
【0094】
本発明は、一部の具体的な実施形態を参照して説明したが、本発明は決してこれらの実施形態に限定されず、本発明の範囲に属する場合には本願明細書に記載の手段のいかなる技術的均等態様や当該手段の組み合わせも含むことが自明である。
【0095】
動詞「有する(have)」、「備える(comprise)」、又は「含む(include)」の使用、及びそれらの活用形は、請求項に記載されたもの以外の要素又はステップの存在を除外するものではない。
【0096】
特許請求の範囲において、いかなる括弧書きの符号も、特許請求の範囲の限定と解すべきものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7