(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
F04C 18/16 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
F04C18/16 K
(21)【出願番号】P 2022523857
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(86)【国際出願番号】 GB2020052512
(87)【国際公開番号】W WO2021079088
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2023-10-04
(32)【優先日】2019-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】507261364
【氏名又は名称】エドワーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】ミルナー ポール
(72)【発明者】
【氏名】ヘイラー デヴィッド ロイ
(72)【発明者】
【氏名】ノース フィリップ
【審査官】森 秀太
(56)【参考文献】
【文献】特許第5496895(JP,B2)
【文献】特開2011-202604(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0204859(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106194734(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプハウジング(1)用のステータ構成要素(5)であって、前記ステータ構成要素(5)は、
それぞれのポンプチャンバ(11-n)に流体を移送するための複数の流体入口経路(19-n)であって、前記流体入口経路(19-n)の各々は、前記ポンプチャンバ(11-n)内に流体を移送するための入口ポート(21-n)を有する、複数の流体入口経路(19-n)と、
前記流体入口経路(19-n)のそれぞれの1つに流体を移送するための複数の流体移送経路(31-n)であって、前記流体移送経路(31-n)の各々は、ポンプ送給された流体を受け取るための入口(33-n)を有する、複数の流体移送経路(31-n)と、
を備え、
前記ステータ構成要素(5)は、前記ポンプチャンバ(11-n)の関連する1つへの
ポンプ送給された流体の移送を阻止する
ように前記流体移送経路(31-n)又は前記入口ポート(21-n)を少なくとも実質的にシールするための少なくとも1つのシール部材(43)を収容するようになっている、ステータ構成要素(5)。
【請求項2】
実質的に流体密封シールを形成するために
前記シール部材(43)を収容するための座部(45)を備える、請求項1に記載のステータ構成要素(5)。
【請求項3】
前記座部(45)は、前記入口ポート(21-n)又は前記流体移送経路入口(33-n)の周りに少なくとも部分的に広がるリング状のシール面(47)を備えるか又はそれから成る、請求項2に記載のステータ構成要素(5)。
【請求項4】
前記座部(45)は、凹部を備える、請求項2又は3に記載のステータ構成要素(5)。
【請求項5】
ステータ構成要素(5)は、第2の半殻ステータ構成要素(7)に固定するための第1の半殻ステータ構成要素(5)を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載のステータ構成要素(5)。
【請求項6】
ポンプハウジング(1)用のステータ組立体であって、前記ステータ組立体は、請求項1から5のいずれか1項に記載のステータ構成要素(5)と、シール部材(43)とを備え、前記シール部材(43)及び前記ステータ構成要素(5)は、互いに協働して、
前記ポンプチャンバ(11-n)への
ポンプ送給された流体の移送を阻止する、ステータ組立体。
【請求項7】
前記シール部材(43)は、少なくとも実質的に前記流体移送経路(31-n)をシールして、前記流体入口経路(19-n)への
ポンプ送給された流体の移送を阻止し、前記シール部材(43)は、随意的に前記流体移送経路入口(33-n)に配置される、請求項6に記載のステータ組立体。
【請求項8】
前記シール部材(43)は、少なくとも実質的に前記入口ポート(21-n)をシールして、前記ポンプチャンバ(11-n)への
ポンプ送給された流体の移送を阻止する、請求項6に記載のステータ組立体。
【請求項9】
前記シール部材(43)は、外部流体源から前記ポンプチャンバ(11-n)に流体を入れるための流体流入口(13、15)を備える、請求項8に記載のステータ組立体。
【請求項10】
前記ステータ構成要素(5)に固定されたカバープレート(9)を備え、前記シール部材(43)は、前記カバープレート(9)上に配置される、請求項6から9のいずれか1項に記載のステータ組立体。
【請求項11】
前記シール部材(43)は、前記カバープレート(9)と一体形成される、請求項10に記載のステータ組立体。
【請求項12】
ポンプハウジング(1)用のステータ構成要素(7)であって、前記ステータ構成要素(7)は、
それぞれのポンプチャンバ(11-n)からポンプ送給された流体を移送するための複数の流体出口経路(25-n)であって、前記流体出口経路(25-n)の各々は、前記ポンプチャンバ(11-n)からポンプ送給された流体を受け取るための出口ポート(27-n)を有する、複数の流体出口経路(25-n)と、
前記流体出口経路(25-n)のそれぞれの1つから流体を移送するための複数の流体移送経路(31-n)であって、前記流体移送経路(31-n)の各々は、ポンプ送給された流体を移送するための出口を有する、複数の流体移送経路(31-n)と、
を備え、
前記ステータ構成要素(7)は、前記流体移送経路出口を通るポンプ送給された流体の移送を阻止するためのシール部材(43)を収容するようになっている、ステータ構成要素(7)。
【請求項13】
ポンプハウジング(1)のステータ構成要素(5)に固定するためのカバープレート(9)であって、前記カバープレート(9)は、前記ステータ構成要素(5)の流体移送経路(31-n)内に位置してポンプチャンバ(11-n)への
ポンプ送給された流体の移送を阻止するためのシール部材(43)を備える、カバープレート(9)。
【請求項14】
前記シール部材(43)は、前記カバープレート(9)と一体形成される、請求項13に記載のカバープレート(9)。
【請求項15】
外部流体源から前記ポンプチャンバ(11-n)に流体を入れるための流体入口(49)を備える、請求項13又は14に記載のカバープレート(9)。
【請求項16】
請求項1から6のいずれか1項に記載の又は請求項12に記載のステータ構成要素(5)を有するポンプハウジング(1)を備える、ポンプ(3)。
【請求項17】
前記ポンプは、多段容積式真空ポンプである、請求項16に記載のポンプ(3)。
【請求項18】
少なくとも1つのシール部材(43)を収容するようにステータ構成要素(5)を改造する方法であって、前記ステータ構成要素(5)は、
ポンプハウジング(1)用であり、それぞれのポンプチャンバ(11-n)に流体を移送するための複数の流体入口経路(19-n)と、前記流体入口経路(19-n)のそれぞれの1つに流体を移送するための複数の流体移送経路(31-n)とを備え
前記方法は、
前記ポンプチャンバ(11-n)の関連する1つへの
ポンプ送給された流体の移送を阻止するため
前記流体移送経路(31-n)を少なくとも実質的にシールする少なくとも1つのシール部材(43)を収容するための座部(45)を前記ステータ構成要素(5)に形成するステップを含む、方法。
【請求項19】
前記座部(45)は、前記流体入口経路(19-n)の1つの入口ポート(21-n)の周りに少なくとも部分的に広がるリング状のシール面(47)を備えるか又はそれから成り、及び/又は、前記座部(45)は、前記流体移送経路入口(33-n)の1つの周りに少なくとも部分的に広がるリング状のシール面(47)を備えるか又はそれから成り、前記座部(45)の形成は、随意的に前記ステータ構成要素(5)に凹部を形成することを含むことができる、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポンプ装置に関する。本発明の態様及び実施形態は、ポンプハウジング用のステータ構成要素、ポンプハウジング用のカバープレート、ポンプハウジング、及びポンプを提供する。
【背景技術】
【0002】
質量分析システムなどの特定の真空システムは、複数の真空チャンバを備える場合がある。圧力は、連続したチャンバを通って段階的に減少される。各チャンバは、隣接するチャンバと絞り部を介して連通し、必要な真空を提供するために個別のポンピングを必要とする。このようなシステムのポンピングは、従来、複数のポンプを使用して行われ、各チャンバに1又は2以上のポンプが使用される。最も高い真空チャンバをポンピングするためにターボ分子ポンプなどの高真空ポンプが存在する場合があり、一方で低真空チャンバは、スクロールポンプ又はルーツポンプなどの低真空ポンプでポンピングされる。ターボポンプは二次ポンプであり、それ自体はスクロールポンプのようなポンプによってバックアップされる。
【0003】
図9には多段真空ポンプ103が概略的に示されている。真空ポンプ103は、7段172を備える。真空ポンプ103の各段は、真空ポンプ103内の圧力が高くなるにつれて、サイズが徐々に小さくなる。真空ポンプ103は、入口段112に接続された流体流入口113と、出口段172に接続された排気口117とを備える。流体は、比較的低い圧力で流体流入口113から流入し、直列に配置された各段でポンプ送給され、大気圧で排気口117から出力される。流体は、
図9に示される流れ矢印によって示されるように、順に各段を通ってポンプ送給される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のチャンバを差動的にポンピングするのに適する、コスト及び空間効率の良いポンプを提供することが望まれるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様及び実施形態は、特許請求の範囲に記載のポンプハウジング用のステータ構成要素、ポンプハウジング用のカバープレート、ポンプハウジング及びポンプを提供する。
【0006】
本発明の一態様によれば、ポンプハウジング用のステータ構成要素が提供され、ステータ構成要素は、
それぞれのポンプチャンバに流体を移送するための複数の流体入口経路であって、流体入口経路の各々は、ポンプチャンバ内に流体を移送するための入口ポートを有する、複数の流体入口経路と、
流体入口経路のそれぞれの1つに流体を移送するための複数の流体移送経路であって、流体移送経路の各々は、ポンプ送給された流体を受け取るための入口を有する、複数の流体移送経路と、
を備え、
ステータ構成要素は、ポンプチャンバの関連する1つへの流体の移送を阻止するための少なくとも1つのシール部材を収容するようになっている。
【0007】
使用時、少なくとも1つのシール部材は、ステータ構成要素と協働して、実質的に流体密封シールを形成することができる。それによって、シール部材は、ポンプチャンバへの流体の移送を阻止する。ポンプを通る流体の移送は、それによって改良される。ステータ構成要素は、多段ポンプ用、例えば、多段容積式ポンプ用とすることができる。ポンプは、例えば、ルーツポンプ、クローポンプ、スクリューポンプとすることができる。ステータ構成要素は、特に多段真空ポンプに適用される。
【0008】
流体移送経路は、他のポンプチャンバからポンプ送給された流体を受け取るように構成することができる。流体移送経路入口は、別のステータ構成要素に形成された流体移送経路からポンプ送給された流体を受け取るように構成することができる。例示的に、ポンプハウジングは、第1及び第2のステータ構成要素を備えることができる。
【0009】
ステータ構成要素は、シール部材を収容するための座部を備えることができる。座部は、シール部材と協働して実質的に液体密封シールを形成するように構成することができる。シール部材は、座部に着座した場合に実質的に液体密封シールを形成することができる。座部は、シール部材と協働するためのシール面を備えることができる。シール面は、実質的に平面とすることができる。ガスケット又はシーラントのようなシール手段は、随意的に、シール部材と座部との間に設けることができる。
【0010】
座部は、入口ポート又は流体移送経路入口の周りに少なくとも部分的に広がることができる。例えば、座部は、入口ポート又は流体移送経路入口の周りに少なくとも部分的に広がるリング状のシール面を備えるか又はそれらから成ることができる。
【0011】
座部は、凹部を備えることができる。シール部材の少なくとも一部は凹部内に位置して、実質的に流体密封シールを形成することができる。シール面は、凹部上に形成することができる。
【0012】
ステータ構成要素は、半殻ステータ構成要素を備えることができる。ステータ構成要素は、第2の半殻ステータ構成要素に固定するための第1の半殻ステータ構成要素を備えることができる。第1及び第2の半殻ステータ構成要素は、複数のポンプチャンバを形成することができる。第1の半殻ステータ構成要素は、ポンプハウジングの上部構成要素とすることができ、第2の半殻ステータ構成要素は、ポンプハウジングの下部構成要素とすることができる。第1の半殻ステータ構成要素は、第2の半殻ステータ構成要素の上に取り付けることができる。
【0013】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書に記載のステータ構成要素と、シール部材とを備えるステータ組立体が提供される。シール部材及びステータ構成要素は、互いに協働して、ポンプチャンバへの流体の移送を阻止することができる。
【0014】
シール部材は、例えば、ポンプを複数の動作モードで構成することができるように、取り外し可能とすることができる。もしくは、シール部材は、所定位置に固定することができる。
【0015】
シール部材は、流体入口経路への流体の移送を阻止するために、流体移送経路を少なくとも実質的にシールすることができる。シール部材は、流体移送経路の入口又は出口に配置すること又はその近傍に配置することができる。シール部材は、随意的に、流体移送経路入口に配置すること又はその近傍に配置することができる。シール部材は、第1の半殻ステータ構成要素と第2の半殻ステータ構成要素との間に配置することができる。シール部材は、シールプレートを備えることができる。シールプレートは、流体移送経路入口又は流体移送経路出口に形成された座部に位置することができる。座部は、凹部とすることができる。
【0016】
ステータ組立体は、シール部材を所定位置に締結するための締結手段を備えることができる。締結手段は、機械的ファスナ、又は接着ファスナのいずれかを備えることができる。シール部材は、流体移送経路における制限的嵌合(restriction fit)とすることができる。
【0017】
シール部材は、ポンプチャンバへの流体の移送を阻止するために、少なくとも実質的に入口ポートをシールすることができる。シール部材は、入口ポートをシールするためのシールプレートを備えることができる。
【0018】
シール部材は、流体入口経路を閉鎖するためのインサートを備えることができる。インサートは、シールを形成するために流体入口経路を横切って延びることができる。
【0019】
シール部材は、外部流体源からポンプチャンバに流体を入れるための流体流入口を備えることができる。流体流入口は、入口ポートを備えることができる。外部流体源は、流体移送経路及び流体入口経路とは異なることができる。
【0020】
ステータ組立体は、ステータ構成要素に固定されたカバープレートを備えることができる。カバープレートは、流体入口経路の側壁を定めることができる。例えば、ステータ構成要素に形成された流体入口経路は、カバープレートによって閉じられる開放経路とすることができる。シール部材は、カバープレートに設けることができる。シール部材は、カバープレートに取り付けることができる。もしくは、シール部材は、カバープレートと一体形成することができる。
【0021】
変形例では、カバープレートとシール部材は、互いに分離することができる。カバープレートとシール部材は、互いに協働してシールを形成することができる。カバープレートは、シール部材を所定位置に保持することができる。
【0022】
本発明のさらなる態様によれば、ポンプハウジング用のステータ構成要素が提供され、ステータ構成要素は、
それぞれのポンプチャンバからポンプ送給された流体を移送するための複数の流体出口経路であって、流体出口経路の各々は、ポンプチャンバからポンプ送給された流体を受け取るための出口ポートを有する、複数の流体出口経路と、
流体出口経路のそれぞれの1つから流体を移送するための複数の流体移送経路であって、流体移送経路の各々は、ポンプ送給された流体を移送するための出口を有する、複数の流体移送経路と、
を備え、
ステータ構成要素は、流体移送経路出口を通るポンプ送給された流体の移送を阻止するためのシール部材を収容するようになっている。
【0023】
本発明のさらに別の態様によれば、ポンプハウジングのステータ構成要素に固定するためのカバープレートが提供され、カバープレートは、ステータ構成要素の流体移送経路内に位置してポンプチャンバへの流体の移送を阻止するためのシール部材を備える。
【0024】
シール部材は、カバープレートと一体形成することができる。
【0025】
カバープレートは、外部流体源からポンプチャンバに流体を入れるための流体入口を備えることができる。
【0026】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書に記載のステータ構成要素を有するポンプハウジングを備えるポンプが提供される。
【0027】
本発明のさらに別の態様によれば、ポンプハウジング用のステータ構成要素を改造する方法が提供される。ステータ構成要素は、それぞれのポンプチャンバに流体を移送するための複数の流体入口経路を備えることができる。ステータ構成要素は、流体入口経路のそれぞれの1つに流体を移送するための複数の流体移送経路を備えることができる。本方法は、ポンプチャンバの関連する1つへの流体の移送を阻止する少なくとも1つのシール部材を収容するための座部をステータ構成要素に形成するステップを含むことができる。座部は、ドリル加工及び又はフライス加工のような機械加工作業を行うことによって、ステータ構成要素に形成することができる。
【0028】
座部は、流体入口経路の1つの入口ポートの周りに少なくとも部分的に広がるリング状のシール面を備えるか又はそれから成ることができる。代替的に又は追加的に、座部は、流体移送経路入口の1つの周りに少なくとも部分的に広がるリング状のシール面を備えるか又はそれから成ることができる。座部の形成は、ステータ構成要素に凹部を形成することを含むことができる。
【0029】
本発明のさらなる態様によれば、ポンプハウジング用のステータ構成要素が提供される。ステータ構成要素は、ポンプチャンバから流体を移送するための複数の流体出口経路と、流体出口経路からポンプ送給された流体を移送するための複数の流体移送経路とを備えることができる。迂回経路は、ポンプ送給された流体を1つめの出口経路から2つめの出口経路に迂回させるために設けることができる。
【0030】
本発明のさらなる態様によれば、ポンプハウジング用のステータ構成要素を改造する方法が提供される。ステータ構成要素は、ポンプチャンバから流体を移送するための複数の流体出口経路を備えることができる。ステータ構成要素は、流体出口経路からポンプ送給された流体を移送するための複数の流体移送経路を備えることができる。本方法は、ポンプ送給された流体を1つめの出口経路から2つめの出口経路に迂回するための迂回経路をステータ構成要素に形成するステップを含むことができる。迂回経路は、ドリル加工及び/又はフライス加工などの1又は2以上の機械加工を用いて形成することができる。
【0031】
組み立てられたポンプハウジングにおいて、各出口経路は、ポンプチャンバのそれぞれの1つに関連することができる。
【0032】
出口経路の1つめの出口経路及び2つめの出口経路への言及は、出口経路又は関連するポンプチャンバの互いに対する特定の順序又は近接性を意味することを意図していない。出口経路は、互いに隣接することができる。例えば、1つめの出口経路は、第1のポンプチャンバに関連付けること、及び2つめの出口経路は、第2のポンプチャンバに関連付けることができる。この配置では、迂回経路は、第2のポンプチャンバを迂回するように構成することができる。もしくは、出口経路は、互いに間隔を空けて(離れて)配置することができる。例えば、1又は2以上の中間出口経路は、1つめの出口経路と2つめの出口経路との間に配置することができる。この配置では、迂回経路は、中間ポンプチャンバを又はその各々を迂回するように構成することができる。
【0033】
本発明のさらなる態様によれば、ポンプハウジングのステータ構成要素に固定するためのカバープレートが提供される。カバープレートは、外部流体源からポンプチャンバに流体を入れるための流体流入口を備えることができる。
【0034】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に従ってポンプハウジングで用いるためのカバープレートを改造する方法が提供される。改造は、外部流体源からポンプチャンバに流体を入れるための流体流入口をカバープレートに形成することを含むことができる。流体流入口は、ポンプハウジングのための第2の入口を形成することができる。流体流入口は、ポンプハウジングに形成された第2のポンプチャンバに流体を導入するように構成することができる。
【0035】
本発明のさらなる態様によれば、ポンプが提供され、ポンプは、複数のポンプチャンバを備えるポンプハウジングと、1つめのポンプチャンバに流体を移送するための第1の流体流入口と、2つめのポンプチャンバに流体を移送するための第2の流体流入口とを備える。ポンプは、第1の流体流入口への流体の供給を制御するための第1の制御弁及び第2の流体流入口への流体の供給を制御するための第2の制御弁を備えることができる。
【0036】
第1及び第2の制御弁は、互いに独立して制御することができる。ポンプは、第1の制御弁が開放し、第2の制御弁が閉鎖した状態で動作するように構成可能とすることができる。逆に、ポンプは、第2の制御弁が開放し、第1の制御弁が閉鎖した状態で動作するように構成可能とすることができる。
【0037】
1つめのポンプチャンバ及び2つめのポンプチャンバへの言及は、ポンプチャンバの互いに対する特定の順序又は近接性を意味することを意図していない。ポンプチャンバは、互いに隣接すること、又は互いに間隔を空けて配置することができる。例えば、1又は2以上の中間ポンプチャンバは、1つめのポンプチャンバと2つめのポンプチャンバの間に配置することができる。
【0038】
ポンプ制御ユニットは、第1及び第2の制御弁の動作を制御するための設けることができる。ポンプ制御ユニットは、例えば、少なくとも1つの電子プロセッサ及び記憶装置を有する制御装置を備えることができる。
【0039】
ポンプは、真空ポンプとすることができる。ポンプは、多段容積式真空ポンプとすることができる。
【0040】
本出願の範囲内で、前の段落、特許請求の範囲及び/又は以下の説明及び図面に記載された様々な態様、実施形態、実施例、及び代替案、特にその個々の特徴は、独立して又は任意の組み合わせで解釈することができることが明示的に意図される。すなわち、全ての実施形態及び/又は任意の実施形態の特徴は、そのような特徴が相容れない場合を除き、任意の方法及び/又は組み合わせで組み合わせることが可能である。出願人は、当初そのようにクレームされていないが、何らかの他のクレームに従属するように、及び/又はその何らかの特徴を組み込むように、当初提出されたクレームを修正する権利を含む、当初提出されたクレームを変更する権利又は適宜何らかの新しいクレームを提出する権利を有する。
【0041】
本発明の1又は2以上の実施形態は、添付の図面を参照して以下に例示的に説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明の実施形態による多段真空ポンプを概略的に示す。
【
図2】
図1に示す多段真空ポンプの第1及び第2のステータ構成要素を備えるステータ組立体の斜視図である。
【
図3】第1のステータ構成要素と、入口ポートをシールするためのシール部材を収容するための凹部とを示す拡大図である。
【
図4】
図3に示される座部に位置するようにシール部材を組み込んだカバープレートの下面の斜視図である。
【
図5】
図4に示されるカバープレートの端面図である。
【
図6】入口ポートをシールするための別個のシール部材を組み込んだ第1のステータ構成要素の変形例を示す。
【
図7】流体移送経路をシールするためのシールプレートを組み込んだ第1のステータ構成要素のさらなる変形例を示す。
【
図8】流体移送経路をシールするためのシールプレートを組み込んだ第1のステータ構成要素のさらなる変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の実施形態によるポンプハウジング1は、添付の図面を参照して本明細書に説明される。
図1には、ポンプハウジング1を備えるポンプ3が示されている。ポンプ3は、例えば、ルーツポンプとすることができる。ポンプ3は、多段容積式ポンプである。本実施形態では、ポンプ3は、多段容積式真空ポンプである。
【0044】
ポンプハウジング1は、第1のステータ構成部材5、第2のステータ構成部材7、及びカバープレート9を備える。
図2に示すように、第1のステータ構成要素5及び第2のステータ構成要素7は、ポンプハウジング1のステータ組立体を形成する。本実施形態では、第1及び第2のステータ構成要素5、7は、それぞれの第1及び第2の半殻ステータ構成要素である。第1のステータ構成要素5は、第2のステータ構成要素7の上に取り付けられる。
図1に示すように、カバープレート9は、第1のステータ構成要素5の上面に取り付けられる。第1及び第2のステータ構成要素5、7とカバープレート9とは、ボルトなどの機械的ファスナを用いて組み立てられる。第1及び第2のステータ構成要素5、7は、機械加工される、鋳造される、又は別の方法で形作られる。
【0045】
第1及び第2のステータ構成要素5、7は、ポンプハウジング1内に複数のポンプチャンバ11-nを定める。ポンプチャンバ11-nの各々は、ポンプ3の1段を形成する。本実施形態のポンプ3は、7段に対応する7つのポンプチャンバ11-1、11-2、11-3、...11-7を有する。具体的には、ポンプ3は、第1段12、第2段22、第3段32、第4段42、第5段52、第6段62、及び第7段72を備える。ポンプ3の各段は、本明細書において、ポンプハウジング1内のその位置との関連で参照される。ポンプ3内のポンプチャンバ11-nの大きさは徐々に減少し、第1のポンプチャンバ11-1が最も大きな容積を有し、第7のポンプチャンバ11-7が最も小さな容積を有する。ポンプハウジング1は、第1段12に接続された第1の流体流入口13、第2段22に接続された第2の流体流入口15、及び第7段72に接続された排気口17を備える。第1及び第2の外部流体源は、第1及び第2の流体流入口13、15にそれぞれ接続される。使用時、第1及び第2の外部流体源は、第1及び第2の流体流を供給する。本明細書で説明するように、ポンプ3を通ってポンプ送給される流体は、必ずしもポンプ3の段12、22、32、42、52、62、72の全てを通過するとは限らない。さらに、流体は、必ずしも、段12、22、32、42、52、62、72の各々を順番に通ってポンプ送給されるとは限らない。変形例では、第2の流体流入口15は、他の中間段32、42、52、62のうちの1つに接続することができる。
【0046】
本実施形態のポンプ3は、7つの段を2つの6段ポンプとして有効に利用する。第1の6段ポンプは、流体を第1の流体流入口13から第1段12を経由して、第3段32、第4段42、第5段52、第6段62、第7段72を通って排気口30にポンプ送給する。第2の6段ポンプは、流体を第2の流体流入口15から第2の段22を経由して、第3段32、第4段42、第5段52、第6段62、及び第7段72を通って排気口30へ案内する。このように、本実施形態では、第3段32、第4段42、第5段52、第6段62、及び第7段72は、第1及び第2の流体流入口13、15の各々から流入する流体によって共用される。第1段12は、もっぱら第1の流体流入口13から流入した流体をポンプ送給し、第2段22は、もっぱら第2の流体流入口15から流入した流体をポンプ送給する。
【0047】
第1のステータ構成要素5は、複数の流体入口経路19-nを備え、流体入口経路19-nの各々は、ポンプチャンバ11-nのうちの1つと関連する。流体入口経路19-nの各々は、関連するポンプチャンバ11-nに流体を移送するための入口ポート21-nを備える。
図2に示すように、入口経路19-nは、第1のステータ構成要素5の上部の(図示のように)外面23に開口する。第2のステータ構成要素7は、ポンプ送給された流体が排出される複数の流体出口経路25-nを備える。流体出口経路25-nの各々は、ポンプチャンバ11-nのうちの関連する1つから流体を排出するための出口ポート(図示せず)を有する。出口ポートは、第2のステータ構成要素7の底部の(図示のように)外面29に開口する。
【0048】
第1及び第2のステータ構成要素5、7は、ポンプチャンバ11-nの間で流体を移送するための流体移送経路31-nを定める。具体的には、流体移送経路31-nは、流体出口経路25-nからそれぞれの流体入口経路19-nに流体を移送するように構成される。第1の流体移送経路31-1は、第1のポンプチャンバ11-1の第1の出口経路25-1(
図1に破線で示す)から第2のポンプチャンバ11-2の第2の入口経路19-2に流体を移送するように配置される。第2の流体移送経路31-2は、第2のポンプチャンバ11-2の第2の出口経路25-2から第3のポンプチャンバ11-3の第3の入口経路19-3へ流体を移送するように配置される。このパターンは、使用時に、流体が第1のポンプチャンバ11-1から各中間ポンプチャンバ11-nを順に通って第7のポンプチャンバ11-7にポンプ送給されるように、各ポンプチャンバ11-nについて繰り返される。
【0049】
各流体移送経路31-nは、第1のステータ構成要素5及び第2のステータ構成要素7の両方に形成される。流体移送経路31-nの第1(上側)のセクションは、流体入口経路19-nに流体を移送するために第1のステータ構成要素5に形成される。流体移送経路31-nの第2(下側)のセクションは、流体出口経路25-nから流体を移送するために第2のステータ構成要素7に形成される。流体移送経路31-nの第1のセクションは、流体移送経路33-nの第2のセクションに形成された移送経路出口から流体を受け取るための移送経路入口33-nを有する。本実施形態では、入口流体移送経路31-nは、製造及び洗浄を容易にするために、上部及び底部の外面23、29に対して実質的に直交して延びる。
【0050】
入口経路19-nは、移送経路31-nからそれぞれのポンプチャンバ11-nに流体を移送するように形作られている。流体は、入口経路19-nから入口ポート21-nを通ってポンプチャンバ11-nに導入される。本実施形態では、入口経路19-nの各々は、ポンプハウジング1の幅の主要部分を横切って横断方向に延びる。入口経路19-nは、第1のステータ構成要素5の上部の外面23に形成された1又は2以上のスロット(又は溝)の形態である。
図2に示すように、本実施形態における第1及び入口経路19-1、19-2の各々は、中間壁で仕切られた一対のスロットを備える。カバープレート9は、スロットの開放された上部を閉じるように第1のステータ構成要素5に固定される。第2のポンプチャンバ11-2に流体を移送するための第2入口ポート21-2は、
図3に示されている。
【0051】
出口経路25-nは、ポンプ送給された流体を出口ポートからそれぞれの移送経路31-nに移送するように形作られている。ポンプ送給された流体は、ポンプチャンバ11-nから出口ポートを介して出口経路25-nに排出される。出口経路25-nは、次のポンプチャンバ11-nに関連する移送経路31-nにポンプ送給された流体を移送するために、ポンプハウジング1の長手方向軸に対して鋭角に傾斜することができる。代替的に又は追加的に、移送経路31-nは、ポンプハウジング1の長手方向軸に対して鋭角に傾斜することができる。
【0052】
上記で概説したように、第1及び第2の流体流は、第1及び第2の流体流入口13、15に接続される。第1の流体流入口13は、第1の外部流体源から第1のポンプチャンバ11-1に流体を入れるように構成され、第2の流体流入口15は、第2の外部流体源から第2のポンプチャンバ11-2に流体を入れるように構成される。本実施形態のポンプ3は、第1及び第2の流体流入口13、15への流体の供給を選択的に制御するための第1及び第2の制御弁37、39を備える。第1及び第2の制御弁37、39は、互いに独立して制御することができる。第1及び第2の制御弁37、39を制御するために、制御装置を設けることができる。
【0053】
迂回経路(又はバイパスダクト)41は、ポンプ送給された流体を第1の出口経路25-1から第2の出口経路25-2へ迂回させるために設けられている。迂回経路41は、第1の移送経路31-1を迂回して、第2のポンプチャンバ11-2を実質的に迂回する。本実施形態における迂回経路41は、第2のステータ構成部材7に形成される。迂回経路41は、例えば、第1の出口経路25-1と第2の出口経路25-2との間に流体経路を確立するための開口又は導管を備えることができる。流体は、第1の出口経路25-1から第2出口経路25-2に迂回し、第2の移送経路31-2に入る。変形例では、迂回経路41は、第1のポンプチャンバ11-1から他のポンプチャンバ11-nのうちの1つに流体を移送するように構成することができる。例えば、迂回経路41は、第1の出口経路25-1と第3の出口経路25-3とを接続するように構成することができる。
【0054】
ポンプハウジング1は、第1のポンプチャンバ11-1から第1の移送経路31-1を介して第2のポンプチャンバ11-2に流体が移送されるのを阻止するためのシール部材43(
図1に示す)を備える。本実施形態では、シール部材43は、流体が第2のポンプチャンバ11-2に移送される第2の入口ポート21-2を少なくとも実質的にシールするように構成される。シール部材43は、第2の入口ポート21-2の周囲に広がるインサートの形態である。
図3に示すように、第1のステータ構成要素5は、シール部材43と協働してシールを形成するための座部45を備える。本実施形態における座部45は、シール部材43の一部を受け入れるための凹部を備える。座部45は、シール部材43と協働するためのシール面47を定める。これにより、シール部材43は、第2の入口ポート21-2を通る流体の移送を阻止するように動作するシールを形成する。本実施形態では、シール部材43は、カバープレート9と一体に形成される。シール部材43は、ポンプハウジング1が組み立てられる際に所定の位置に固定される。シール部材43とカバープレート9とを一体形成することで、ポンプハウジング1を組み立てる際にシール部材43を省略することができない。変形例では、シール部材43は、例えばカバープレート9に取り付けられた別の構成要素とすることができる。ポンプハウジング1は、シール部材43によって確立されるシールを強化するために、シーラント(sealant)又はガスケットのようなシール手段を備えることができる。
【0055】
また、本実施形態におけるシール部材43は、第2の外部流体源から第2のポンプチャンバ11-2に流体を入れるための第2の流体流入口15を形成する。
図4及び
図5に示すように、第2の流体流入口15は、カバープレート9を貫通して延びる入口開口49を備える。カバープレート9は、第2の外部流体源を接続するためのコネクタ51を備える。本実施形態では、コネクタ51は、カバープレート9と一体形成される。入口開口49は、コネクタ51を貫通して延びる。コネクタ51は、第2の外部流体源を接続するための1又は2以上のファスナ(図示せず)を備える。
【0056】
ポンプハウジング1は、ポンプチャンバ11-nを形成するように、第1のステータ構成要素5を第2のステータ構成要素7に取り付けることによって組み立てられる。カバープレート9は、第1のステータ構成要素5に固定される。シール部材43は、座部45に位置し、第2の入口ポート21-2をシールする。シール部材43は、第2の外部源から流体を受け入れるための第2の流体流入口15を形成する。
【0057】
次に、ポンプ3の動作について説明する。第1の流体流は、第1の流体流入口13を介して第1のポンプチャンバ11-1に供給される。第2の流体流は、第2の流体流入口15を介して第2のポンプチャンバ11-1に供給される。第1及び第2の制御弁37、39は、第1及び第2の流体の供給を制御するように作動する。第1及び第2の制御弁37、39は、第1及び第2の流体流がポンプ3に同時に供給されるように、同時に開放することができる。本実施形態において、第1及び第2の流体は、第3のポンプチャンバ11-3内で混合することができる。変形例では、第1及び第2制御弁37、39の一方を開放し、第1及び第2制御弁37、39の他方を閉鎖することができる。これにより、ポンプ3は、第1及び第2の流体の一方を選択的にポンプ送給するように構成することができる。ポンプ3は、複数のチャンバを差動的にポンプ送給するように構成される。第1の流体流入口13は、低真空チャンバに接続するように構成され、第2の入口15は、高真空チャンバをポンピングする真空ポンプのバッキングポンプとして機能するように構成される。ポンプ3は、第2の入口15を介するよりも第1の流体流入口13を介する方が高いガス流量でポンプ送給するように構成される。ポンプ3は、第1の流体流入口13を通るガス流量をポンプ送給するように構成され、これは第2の入口15を通るガス流量の10倍よりも大きい場合がある。
【0058】
上記実施形態では、シール部材43は、カバープレート9上に配置される。変形例では、シール部材43は、別個の構成要素とすることができ、この構成要素は、第2の流体入口経路19-2に位置し、第2の入口ポート21-2をシールする。この変形例は、
図6に示されている。カバープレート9は、第1のステータ構成要素5に取り付けられ、それによって、シール部材43を所定位置に保持する。
【0059】
次に、
図7及び
図8を参照してポンプハウジング1のさらなる実施形態を説明する。同様の参照符号は、同様の構成要素に使用される。本明細書では、先の実施形態との相違点に着目して説明する。
【0060】
図1から
図6を参照して説明されるポンプハウジング1は、第2の入口ポート21-2をシールするためのシール部材43を備える。本実施形態では、シール部材43は、第1の移送経路31-1をシールするように構成される。
図7に示すように、シール部材43は、移送経路入口33-1に取り付けられるシールプレートから成る。これにより、シール部材43は、第1のステータ構成要素5と第2のステータ構成要素7との間の境界面に配置される。第1ステータ構成要素5は、シールプレートを収容するための座部45を備える。座部45は、第1のステータ構成要素5の下面に形成された凹部を備える。シール部材43は、第1のステータ構成要素5が第2のステータ構成要素7に固定される場合に所定位置に固定される。
【0061】
本実施形態は、第2のステータ構成要素5に座部45を形成することによって変更できることを理解されたい。例えば、座部45は、第2のステータ構成要素7の上面に形成することができる。
【0062】
別のコネクタ51は、第2の外部流体源を第2のポンプチャンバ11-2に接続するために設けることができる。コネクタ51は、例えば、第2の入口経路19-2に開口することができる。
【0063】
上記で概説したように、第1及び第2のステータ構成要素5、7は、機械加工及び/又は鋳造などの適切な技術を使用して形成することができる。本発明のさらなる態様によれば、先行技術のポンプハウジング(1)の第1のステータ構成要素(5)及び/又は第2のステータ構成要素(7)を改造して、本明細書に記載された特徴の少なくとも一部を実施する方法が提供される。
【0064】
本発明の実施形態は、それぞれのポンプチャンバ(11-n)に流体を移送するための複数の流体入口経路(19-n)と、流体入口経路(19-n)のそれぞれの1つに流体を移送するための複数の流体移送経路(31-n)とを備える第1のステータ構成要素(5)を改造する方法に関連することができる。改造プロセスは、ポンプチャンバ(11-n)のうちの関連する1つへの流体の移送を阻止するために、少なくとも1つのシール部材(43)を収容するための座部(45)をステータ構成要素(5)に形成することを含むことができる。本明細書で説明するように、座部(45)は、流体入口経路(19-n)の1つの入口ポート(21-n)の周りに少なくとも部分的に広がるリング状のシール面(47)を備えるか又はそれから成ることができる。代替的に又は追加的に、座部(45)は、流体移送経路入口(33-n)の1つの周りに少なくとも部分的に広がるリング状のシール面(47)を備えるか又はそれから成ることができる。座部(45)は、例えば、第1のステータ構成要素(5)の表面をフライス加工することにより、ステータ構成要素(5)に凹部を形成することによって形成することができる。座部(45)は、実質的に平面を備えること又はそれから成ることができる。
【0065】
本発明の実施形態は、ポンプチャンバ(11-n)から流体を移送するための複数の流体出口経路(25-n)と、流体出口経路(25-n)からポンプ送給された流体を移送するための複数の流体移送経路(31-n)とを備える第2のステータ構成要素(7)を改造する方法に関連することができる。本方法は、1つめの流体出口経路(25-n)から2つめの流体出口経路(25-n)へポンプ送給された流体を迂回させるための迂回経路(41)をステータ構成要素(5)に形成することを含むことができる。迂回経路(41)は、ドリル加工及び/又はフライス加工などの1又は2以上の機械加工を用いて形成することができる。本明細書で説明するように、出口経路(25-n)は、組み立てられたポンプハウジング内のそれぞれのポンプチャンバ(11-n)に関連する。1つめの出口経路(25-n)は、第1のポンプチャンバ(11-1)に関連付けること、及び2つめの出口経路(25-n)は、第2のポンプチャンバ(11-2)に関連付けることができる。この配置において、迂回経路(41)は、第2のポンプチャンバ(11-2)を迂回するように構成することができる。もしくは、複数の出口経路(25-n)は、互いに相隔たることができる。例えば、1又は2以上の中間出口経路(25-n)は、1つめの出口経路(25-n)と2つめの出口経路(25-n)との間に配置することができる。この配置では、迂回経路(41)は、中間ポンプチャンバ(11-n)を、又は各中間ポンプチャンバを迂回するように構成することができる。
【0066】
本出願の範囲から逸脱することなく、本発明に対して様々な変更及び修正を行うことができることを理解されたい。
【符号の説明】
【0067】
1 ポンプハウジング
3 ポンプ
5 第1のステータ構成要素
7 第2のステータ構成要素
9 カバープレート
11-n ポンプチャンバ
12、22、32、42、52、62、72 ポンプ段
13 第1の流体流入口
15 第2の流体流入口
17 排気口
19-n 流体入口経路
21-n 入口ポート(ポンプチャンバ用)
23 上部外面
25-n 流体出口経路
27-n 出口ポート(ポンプチャンバ用)
29-n 底部外面
31-n 流体移送経路
33-n 移送経路入口
37 第1の制御弁
39 第2の制御弁
41 迂回経路(バイパスダクト)
43 シール部材
45 座部
47 シール面
49 入口開口
51 コネクタ