(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】電動カートの利用管理装置及び利用管理システム、プログラム、並びに、電動カートの利用管理方法
(51)【国際特許分類】
B60L 58/14 20190101AFI20240827BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20240827BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240827BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B60L58/14
B60L15/20 J
B60L50/60
H02J7/00 P
(21)【出願番号】P 2022527489
(86)(22)【出願日】2020-12-25
(86)【国際出願番号】 JP2020048932
(87)【国際公開番号】W WO2021240857
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2020091439
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100136353
【氏名又は名称】高尾 建吾
(72)【発明者】
【氏名】内藤 栄一
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 康介
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-225564(JP,A)
【文献】特開2014-143883(JP,A)
【文献】特開2003-219503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 58/14
B60L 15/20
B60L 50/60
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリから供給される電力によって走行モータが駆動される電動カートの利用管理装置であって、
前記電動カートの次回の予定走行情報を取得する走行情報取得部と、
前記バッテリの残量情報を取得する残量情報取得部と、
前記予定走行情報と前記残量情報とに基づいて前記バッテリの充電の要否を判定する判定部と、
前記判定部が前記バッテリの充電が不要と判定した場合には、前記走行モータの駆動を許容する許容制御を実行し、前記判定部が前記バッテリの充電が必要と判定した場合には、前記走行モータの駆動を禁止する禁止制御を実行する制御部と、
前記禁止制御を解除する解除命令を、予め登録された外部端末から受信する受信部と、
予め作成された前記電動カートの行動パターン情報を格納する情報格納部と、
を備え
、
前記受信部は、前記禁止制御が実行されている場合において、前記行動パターン情報とは異なる移動のために前記バッテリの充電を省略して入力された前記解除命令を、前記外部端末から受信する、電動カートの利用管理装置。
【請求項2】
前記行動パターン情報とは異なる前記移動は、短距離の移動を含む、請求項1に記載の電動カートの利用管理装置。
【請求項3】
前記バッテリの充電を省略して入力された前記解除命令を前記受信部が受信すると、前記制御部は、前記許容制御を実行する、請求項1に記載の電動カートの利用管理装置。
【請求項4】
前記バッテリの充電を省略して入力された前記解除命令を前記受信部が受信すると、前記制御部は、さらに、
前記電動カートの利用禁止が解除されたこと、及び、前記バッテリの残量が乏しいことを示す報知情報を出力する、請求項3に記載の電動カートの利用管理装置。
【請求項5】
前記制御部が前記禁止制御を実行していることを示す禁止通知を、
前記外部端末に送信する送信
部をさらに備え、
前記制御部は、前記受信部が前記解除命令を受信した場合には、前記許容制御を実行する、請求項1に記載の電動カートの利用管理装置。
【請求項6】
前記送信部はさらに、前記電動カートの次回の走行における予定走行距離と、現在の前記バッテリの残量に基づく走行可能距離とを、前記外部端末に送信する、請求項
5に記載の電動カートの利用管理装置。
【請求項7】
前記送信部はさらに、前記電動カートの次回の走行における予定使用電力量と、現在の前記バッテリの残量とを、前記外部端末に送信する、請求項
5に記載の電動カートの利用管理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記禁止制御の実行を開始した後に、前記バッテリの残量が、前記電動カートの次回の走行における予定使用電力量以上となった場合には、前記許容制御を実行する、請求項1~
7のいずれか一つに記載の電動カートの利用管理装置。
【請求項9】
前記制御部が前記禁止制御を実行していることを示す報知情報を出力する情報出力部をさらに備える、請求項1~
8のいずれか一つに記載の電動カートの利用管理装置。
【請求項10】
前記走行情報取得部は、前記行動パターン情報に基づいて、前記予定走行情報を取得する、請求項1~
9のいずれか一つに記載の電動カートの利用管理装置。
【請求項11】
予め作成された前記電動カートの行動予測モデルを格納する予測モデル格納部をさらに備え、
前記走行情報取得部は、現在時刻情報と前記行動予測モデルとに基づいて、前記予定走行情報を取得する、請求項1~
9のいずれか一つに記載の電動カートの利用管理装置。
【請求項12】
バッテリから供給される電力によって走行モータが駆動される電動カートの利用管理システムであって、
前記電動カートの次回の予定走行情報を取得する走行情報取得部と、
前記バッテリの残量情報を取得する残量情報取得部と、
前記予定走行情報と前記残量情報とに基づいて前記バッテリの充電の要否を判定する判定部と、
前記判定部が前記バッテリの充電が不要と判定した場合には、前記走行モータの駆動を許容する許容制御を実行し、前記判定部が前記バッテリの充電が必要と判定した場合には、前記走行モータの駆動を禁止する禁止制御を実行する制御部と、
前記禁止制御を解除する解除命令を、予め登録された外部端末から受信する受信部と、
予め作成された前記電動カートの行動パターン情報を格納する情報格納部と、
を備え
、
前記受信部は、前記禁止制御が実行されている場合において、前記行動パターン情報とは異なる移動のために前記バッテリの充電を省略して入力された前記解除命令を、前記外部端末から受信する、電動カートの利用管理システム。
【請求項13】
バッテリから供給される電力によって走行モータが駆動される電動カートに搭載される情報処理装置を、
前記電動カートの次回の予定走行情報を取得する走行情報取得手段と、
前記バッテリの残量情報を取得する残量情報取得手段と、
前記予定走行情報と前記残量情報とに基づいて前記バッテリの充電の要否を判定する判定手段と、
前記判定手段が前記バッテリの充電が不要と判定した場合には、前記走行モータの駆動を許容する許容制御を実行し、前記判定手段が前記バッテリの充電が必要と判定した場合には、前記走行モータの駆動を禁止する禁止制御を実行する制御手段と、
前記禁止制御を解除する解除命令を、予め登録された外部端末から受信する受信手段と、
予め作成された前記電動カートの行動パターン情報を格納する情報格納手段と、
として機能させ、
前記受信手段は、前記禁止制御が実行されている場合において、前記行動パターン情報とは異なる移動のために前記バッテリの充電を省略して入力された前記解除命令を、前記外部端末から受信する、プログラム。
【請求項14】
バッテリから供給される電力によって走行モータが駆動される電動カートの利用管理方法であって、
前記電動カートに搭載される情報処理装置が、
前記電動カートの次回の予定走行情報を取得し、
前記バッテリの残量情報を取得し、
前記予定走行情報と前記残量情報とに基づいて前記バッテリの充電の要否を判定し、
前記バッテリの充電が不要と判定した場合には、前記走行モータの駆動を許容する許容制御を実行し、前記バッテリの充電が必要と判定した場合には、前記走行モータの駆動を禁止する禁止制御を実行
し、
前記禁止制御を解除する解除命令を、予め登録された外部端末から受信し、
予め作成された前記電動カートの行動パターン情報を格納し、
前記解除命令の受信は、前記禁止制御が実行されている場合において、前記行動パターン情報とは異なる移動のために前記バッテリの充電を省略して入力された前記解除命令を、前記外部端末から受信することを含む、電動カートの利用管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動カートの利用管理装置及び利用管理システム、プログラム、並びに、電動カートの利用管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、電気自動車を対象とした遠隔制御システムが開示されている。当該遠隔制御システムは、車両の充電スタンド等の所定の施設内に配置された検出部と、上記施設と通信可能な所定の建物内に配置された遠隔制御装置とを備えている。検出部は、車両から受信した情報に基づいて車両のバッテリの残量を検出し、その検出結果を遠隔制御装置に送信する。遠隔制御装置は、バッテリの残量が所定の閾値以下であれば、バッテリを充電させる制御情報を、上記施設を介して車両に送信する。制御情報を受信した車両は、上記施設の非接触式充電設備を用いてバッテリの充電操作を実行する。
【0003】
上記特許文献1に開示された電気自動車の遠隔制御システムによると、システムの構成要素として、施設内の検出部、建物内の遠隔制御装置、施設-建物間の通信装置、車両-施設間の通信装置等が必要である。従って、当該遠隔制御システムを、シニアカー(登録商標)等の電動カートのバッテリ管理に転用しようとすると、システム構成が複雑となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本開示は、電動カートの電欠を簡易にかつ効果的に防止することが可能な技術を提供する。
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る電動カートの利用管理装置は、バッテリから供給される電力によって走行モータが駆動される電動カートの利用管理装置であって、前記電動カートの次回の予定走行情報を取得する走行情報取得部と、前記バッテリの残量情報を取得する残量情報取得部と、前記予定走行情報と前記残量情報とに基づいて前記バッテリの充電の要否を判定する判定部と、前記判定部が前記バッテリの充電が不要と判定した場合には、前記走行モータの駆動を許容する許容制御を実行し、前記判定部が前記バッテリの充電が必要と判定した場合には、前記走行モータの駆動を禁止する禁止制御を実行する制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施の形態に係る電動カートの利用管理装置の構成を簡略化して示すブロック図である。
【
図3】利用管理装置のメモリに格納されている行動予定表の一例を示す図である。
【
図4】電動カート及び外部端末の処理シーケンスの概要を示すシーケンス図である。
【
図5】
図4に示した処理シーケンスのうち禁止通知の送信までの処理に関して、電動カートにおける処理内容を示すフローチャートである。
【
図6】情報出力部による報知情報の出力態様の一例を示す図である。
【
図7】
図4に示した処理シーケンスのうち禁止制御の報知処理に関して、外部端末における処理内容を示すフローチャートである。
【
図8】情報報知部による報知情報の出力態様の一例を示す図である。
【
図9】
図4に示した処理シーケンスのうちロック解除命令の送信までの処理に関して、外部端末における処理内容を示すフローチャートである。
【
図10】
図4に示した処理シーケンスのうち許容制御の実行処理に関して、電動カートにおける処理内容を示すフローチャートである。
【
図11】情報出力部による報知情報の出力態様の一例を示す図である。
【
図12】情報出力部による報知情報の出力態様の一例を示す図である。
【
図13】第1変形例に係る電動カートの利用管理装置の構成を簡略化して示すブロック図である。
【
図14】メモリ及び走行情報取得部の構成を示す図である。
【
図15】情報報知部による報知情報の出力態様の一例を示す図である。
【
図16】情報報知部による報知情報の出力態様の一例を示す図である。
【
図17】電動カート及び外部端末の処理シーケンスの概要を示すシーケンス図である。
【
図18】情報出力部による報知情報の出力態様の一例を示す図である。
【
図19】情報報知部による報知情報の出力態様の一例を示す図である。
【
図20】
図17に示した処理シーケンスのうち許容制御の実行処理に関して、電動カートにおける処理内容を示すフローチャートである。
【
図21】情報出力部による報知情報の出力態様の一例を示す図である。
【
図22】
図17に示した処理シーケンスのうちロック解除の報知処理に関して、外部端末における処理内容を示すフローチャートである。
【
図23】情報報知部による報知情報の出力態様の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見)
近年における高齢化社会の進行に伴い、シニアカー(登録商標)等の電動カートの普及が進みつつある。電動カートはバッテリによる走行モータの駆動によって走行するため、バッテリの残量がゼロになって電欠を起こす前に、バッテリを充電する必要がある。電動カートのバッテリの充電は、通常、家庭のコンセントと電動カート本体とを充電ケーブルで接続することによって行われる。
【0009】
しかし、電動カートを利用する高齢者等にとって、バッテリの充電作業を自らが行うことは、肉体的に負担が大きい場合がある。また、バッテリ容量の増大及び充放電効率の改善等によってバッテリの満充電状態からの最大稼働時間が伸びており、バッテリの充電頻度が低下したことが、却ってバッテリの充電忘れを引き起こす要因となり得る。バッテリの充電忘れにより電動カートが外出先で電欠となった場合には、電動カートは走行不能となってしまうため、電動カートの電欠対策は重要である。
【0010】
次に、上述の特許文献1について検討する。特許文献1に開示された電気自動車の遠隔制御システムは、車両の充電スタンド等の所定の施設内に配置された検出部と、上記施設と通信可能な所定の建物内に配置された遠隔制御装置とを備えている。検出部は、車両から受信した情報に基づいて車両のバッテリの残量を検出し、その検出結果を遠隔制御装置に送信する。遠隔制御装置は、バッテリの残量が所定の閾値以下であれば、バッテリを充電させる制御情報を、上記施設を介して車両に送信する。制御情報を受信した車両は、上記施設の非接触式充電設備を用いてバッテリの充電操作を実行する。このように特許文献1に開示された電気自動車の遠隔制御システムによると、バッテリの残量が所定の閾値以下になれば、遠隔制御によって自動的にバッテリの充電が行われる。これにより、利用者によるバッテリの充電忘れに起因する電欠の発生が、予め回避されている。しかし、当該遠隔制御システムでは、バッテリの残量が上記閾値よりわずかに大きい場合には充電操作は実行されないため、その状態で長距離の走行が開始された場合には、外出先で電欠が発生する可能性がある。また、システムの構成要素として、施設内の検出部、建物内の遠隔制御装置、施設-建物間の通信装置、車両-施設間の通信装置等が必要であり、システム構成が大掛かりである。従って、当該遠隔制御システムを電動カートのバッテリ管理に転用しようとすると、システム構成が複雑となってシステム導入コストが増大する。さらに、通勤、買い物、及び行楽等の多用途で使用される電気自動車とは異なり、電動カートは、日常生活における移動手段として利用者の自宅周辺の限定された生活圏内で使用されることが多いため、行き先及び曜日等の行動パターンがある程度定まっていることが多い。また、電動カートの主な利用者は高齢者であり、外出先で電欠が発生した場合には対応に苦慮する状況も想定されるため、バッテリの残量が少なく電欠が発生する可能性がある場合には、強制的に外出自体を制限することも必要である。
【0011】
このような課題を解決するために、本発明者は、電動カートの予定走行情報を管理し、予定走行情報とバッテリの残量情報とに基づいてバッテリの充電の要否を判定し、充電が必要と判定した場合には電動カートの走行モータの駆動を禁止することによって、電動カートの電欠を簡易にかつ効果的に防止できるとの知見を得て、本開示を想到するに至った。
【0012】
次に、本開示の各態様について説明する。
【0013】
本開示の一態様に係る電動カートの利用管理装置は、バッテリから供給される電力によって走行モータが駆動される電動カートの利用管理装置であって、前記電動カートの次回の予定走行情報を取得する走行情報取得部と、前記バッテリの残量情報を取得する残量情報取得部と、前記予定走行情報と前記残量情報とに基づいて前記バッテリの充電の要否を判定する判定部と、前記判定部が前記バッテリの充電が不要と判定した場合には、前記走行モータの駆動を許容する許容制御を実行し、前記判定部が前記バッテリの充電が必要と判定した場合には、前記走行モータの駆動を禁止する禁止制御を実行する制御部と、を備えるものである。
【0014】
この構成によれば、判定部は、予定走行情報と残量情報とに基づいてバッテリの充電の要否を判定し、制御部は、判定部がバッテリの充電が必要と判定した場合には、走行モータの駆動を禁止する禁止制御を実行する。このように、予定走行情報と残量情報とに基づいてバッテリの充電が必要と判定された場合には走行モータの駆動を禁止して外出を制限することにより、外出先で電動カートの電欠が発生することを簡易にかつ効果的に防止することが可能となる。
【0015】
上記態様において、前記制御部が前記禁止制御を実行していることを示す禁止通知を、予め登録された外部端末に送信する送信部と、前記禁止制御を解除する解除命令を前記外部端末から受信する受信部と、をさらに備え、前記制御部は、前記受信部が前記解除命令を受信した場合には、前記許容制御を実行すればよい。
【0016】
この構成によれば、予め登録された外部端末(例えば家族の携帯端末)に禁止通知が送信されるため、禁止通知を受信した外部端末の所持者(例えばその家族)によってバッテリの充電作業を行うことができる。また、バッテリの充電が完了した場合等には外部端末から解除命令を送信し、電動カートの受信部が解除命令を受信した場合には制御部は許容制御を実行するため、利用者は電動カートを利用することが可能となる。
【0017】
上記態様において、前記送信部はさらに、前記電動カートの次回の走行における予定走行距離と、現在の前記バッテリの残量に基づく走行可能距離とを、前記外部端末に送信すればよい。
【0018】
この構成によれば、電動カートの予定走行距離と走行可能距離とが外部端末に送信されるため、外部端末の所持者にこれらの情報を提供することにより、当該所持者に対して速やかにバッテリの充電作業を促すことができる。
【0019】
上記態様において、前記送信部はさらに、前記電動カートの次回の走行における予定使用電力量と、現在の前記バッテリの残量とを、前記外部端末に送信すればよい。
【0020】
この構成によれば、電動カートの予定使用電力量とバッテリの残量とが外部端末に送信されるため、外部端末の所持者にこれらの情報を提供することにより、当該所持者に対して速やかにバッテリの充電作業を促すことができる。
【0021】
上記態様において、前記制御部は、前記禁止制御の実行を開始した後に、前記バッテリの残量が、前記電動カートの次回の走行における予定使用電力量以上となった場合には、前記許容制御を実行すればよい。
【0022】
この構成によれば、制御部は、電動カートの受信部が外部端末から解除命令を受信したか否かに拘わらず、バッテリの残量が予定使用電力量以上となった場合には許容制御を実行する。従って、通信エラー等によって外部端末から解除命令を受信しない場合であっても、バッテリが十分に充電された場合には、利用者は電動カートを利用することが可能となる。
【0023】
上記態様において、前記制御部が前記禁止制御を実行していることを示す報知情報を出力する情報出力部をさらに備えるとよい。
【0024】
この構成によれば、制御部が禁止制御を実行していることを示す報知情報が情報出力部から出力されるため、利用者はこの報知情報を確認することによって、電動カートの故障ではないことを認識することができる。
【0025】
上記態様において、予め作成された前記電動カートの行動パターン情報を格納する情報格納部をさらに備え、前記走行情報取得部は、前記行動パターン情報に基づいて、前記予定走行情報を取得すればよい。
【0026】
この構成によれば、走行情報取得部は、情報格納部に格納されている行動パターン情報に基づいて、予定走行情報を取得する。電動カートは、日常生活における移動手段として利用者の自宅周辺の限定された生活圏内で使用されることが多いため、行き先及び曜日等の行動パターンがある程度定まっていることが多い。従って、その行動パターンを示す行動パターン情報を予め作成することが可能であり、走行情報取得部が当該行動パターン情報を参照することにより、利用者の行動パターンに即した正確な予定走行情報を取得することが可能となる。
【0027】
上記態様において、予め作成された前記電動カートの行動予測モデルを格納する予測モデル格納部をさらに備え、前記走行情報取得部は、現在時刻情報と前記行動予測モデルとに基づいて、前記予定走行情報を取得すればよい。
【0028】
この構成によれば、走行情報取得部は、情報格納部に格納されている行動予測モデルに基づいて、予定走行情報を取得する。電動カートは、日常生活における移動手段として利用者の自宅周辺の限定された生活圏内で使用されることが多いため、行き先及び曜日等の行動パターンがある程度定まっていることが多い。従って、その行動パターンを予測する行動予測モデルを機械学習によって予め作成することが可能であり、走行情報取得部が当該行動予測モデルを参照することにより、利用者の行動パターンに即した正確な予定走行情報を取得することが可能となる。
【0029】
本開示の一態様に係る電動カートの利用管理システムは、バッテリから供給される電力によって走行モータが駆動される電動カートの利用管理システムであって、前記電動カートの次回の予定走行情報を取得する走行情報取得部と、前記バッテリの残量情報を取得する残量情報取得部と、前記予定走行情報と前記残量情報とに基づいて前記バッテリの充電の要否を判定する判定部と、前記判定部が前記バッテリの充電が不要と判定した場合には、前記走行モータの駆動を許容する許容制御を実行し、前記判定部が前記バッテリの充電が必要と判定した場合には、前記走行モータの駆動を禁止する禁止制御を実行する制御部と、を備えるものである。
【0030】
この構成によれば、判定部は、予定走行情報と残量情報とに基づいてバッテリの充電の要否を判定し、制御部は、判定部がバッテリの充電が必要と判定した場合には、走行モータの駆動を禁止する禁止制御を実行する。このように、予定走行情報と残量情報とに基づいてバッテリの充電が必要と判定された場合には走行モータの駆動を禁止して外出を制限することにより、外出先で電動カートの電欠が発生することを簡易にかつ効果的に防止することが可能となる。
【0031】
本開示の一態様に係るプログラムは、バッテリから供給される電力によって走行モータが駆動される電動カートに搭載される情報処理装置を、前記電動カートの次回の予定走行情報を取得する走行情報取得手段と、前記バッテリの残量情報を取得する残量情報取得手段と、前記予定走行情報と前記残量情報とに基づいて前記バッテリの充電の要否を判定する判定手段と、前記判定手段が前記バッテリの充電が不要と判定した場合には、前記走行モータの駆動を許容する許容制御を実行し、前記判定手段が前記バッテリの充電が必要と判定した場合には、前記走行モータの駆動を禁止する禁止制御を実行する制御手段と、として機能させるためのものである。
【0032】
この構成によれば、判定手段は、予定走行情報と残量情報とに基づいてバッテリの充電の要否を判定し、制御手段は、判定手段がバッテリの充電が必要と判定した場合には、走行モータの駆動を禁止する禁止制御を実行する。このように、予定走行情報と残量情報とに基づいてバッテリの充電が必要と判定された場合には走行モータの駆動を禁止して外出を制限することにより、外出先で電動カートの電欠が発生することを簡易にかつ効果的に防止することが可能となる。
【0033】
本開示の一態様に係る電動カートの利用管理方法は、バッテリから供給される電力によって走行モータが駆動される電動カートの利用管理方法であって、前記電動カートに搭載される情報処理装置が、前記電動カートの次回の予定走行情報を取得し、前記バッテリの残量情報を取得し、前記予定走行情報と前記残量情報とに基づいて前記バッテリの充電の要否を判定し、前記バッテリの充電が不要と判定した場合には、前記走行モータの駆動を許容する許容制御を実行し、前記バッテリの充電が必要と判定した場合には、前記走行モータの駆動を禁止する禁止制御を実行するものである。
【0034】
この構成によれば、情報処理装置は、予定走行情報と残量情報とに基づいてバッテリの充電の要否を判定し、バッテリの充電が必要と判定した場合には、走行モータの駆動を禁止する禁止制御を実行する。このように、予定走行情報と残量情報とに基づいてバッテリの充電が必要と判定された場合には走行モータの駆動を禁止して外出を制限することにより、外出先で電動カートの電欠が発生することを簡易にかつ効果的に防止することが可能となる。
【0035】
本開示の一態様に係るコンピュータプログラムを、CD-ROM等のコンピュータ読取可能な不揮発性の記録媒体として流通させ、あるいは、インターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは言うまでもない。
【0036】
なお、以下で説明する実施形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、構成要素、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、全ての実施形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
【0037】
(実施の形態)
以下、本開示の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0038】
図1は、本開示の実施の形態に係る電動カートの利用管理装置1の構成を簡略化して示すブロック図である。利用管理装置1の管理対象は、シニアカー(登録商標)又は電動車椅子等の電動カート100である。電動カート100は、利用管理装置1と、バッテリ2と、バッテリ2の充放電動作を制御するバッテリコントローラとしての充放電制御部3と、バッテリ2から供給される電力によって駆動される走行モータ4とを備えている。
【0039】
利用管理装置1は、管理部11、メモリ12、走行情報取得部13、残量情報取得部14、ロック制御部15、情報出力部16、及び通信部17を備えている。メモリ12は、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置である。情報出力部16は、電動カート100の運転席の操作パネルに設けられた、LED照明、液晶ディスプレイ、又は有機ELディスプレイ等である。但し、情報出力部16は、音声情報を出力するスピーカであっても良い。
【0040】
通信部17は、送信部31及び受信部32を有している。通信部17は、公衆電話回線網等の任意の通信ネットワークを介して、予め登録された外部端末200(
図2)との間で相互に無線通信が可能である。外部端末200は、例えば、電動カート100の利用者と同居する家族が所持する携帯端末(スマートフォン又は携帯電話等)である。但し、外部端末200は、デスクトップPC等の据え置き型の固定端末であっても良い。
【0041】
管理部11は、判定部21及び制御部22を有している。走行情報取得部13は、電動カート100の次回の予定走行情報を取得する。残量情報取得部14は、バッテリ2についての現在の充電の残量情報を取得する。判定部21は、予定走行情報と残量情報とに基づいて、バッテリ2の充電の要否を判定する。制御部22は、判定部21がバッテリ2の充電が不要と判定した場合には許容制御(電動カート100の電源スイッチが押下されると走行モータ4の駆動を開始させる制御)を実行し、判定部21がバッテリ2の充電が必要と判定した場合には禁止制御(電動カート100の電源スイッチが押下されても走行モータ4の駆動を開始させない制御)を実行する。これらの処理内容の詳細については後述する。ロック制御部15は、例えば、バッテリ2から走行モータ4への給電経路に介挿されたスイッチ(図示しない)のオン又はオフを制御する。当該スイッチは、許容制御においてオンされ、禁止制御においてオフされる。管理部11、走行情報取得部13、残量情報取得部14、及びロック制御部15は、ROM等の不揮発性の記憶媒体から読み出したプログラムをCPU等の情報処理装置が実行することによってソフトウェア的に実現されても良いし、FPGA等の専用回路を用いてハードウェアとして構成されても良い。
【0042】
なお、利用管理装置1のうち、メモリ12、走行情報取得部13、及び管理部11は、電動カート100内ではなく、電動カート100と相互通信可能なクラウド等の外部端末内に設けられても良い。つまり、利用管理装置1と外部端末とを備える利用管理システムとして構成されても良い。
【0043】
図2は、外部端末200の構成を簡略化して示す図である。外部端末200には、利用管理装置1と情報の授受等を行うための専用アプリケーションソフトウェアがインストールされている。外部端末200は、管理部41、情報報知部42、操作入力部43、及び通信部44を備えている。例えば、情報報知部42は外部端末200の液晶ディスプレイであり、操作入力部43は当該液晶ディスプレイのタッチパネルである。通信部44は、公衆電話回線網等の任意の通信ネットワークを介して、利用管理装置1との間で相互に無線通信が可能である。
【0044】
図3は、利用管理装置1のメモリ12に格納されている行動予定表60の一例を示す図である。行動予定表60は、電動カート100の利用者又は外部端末200の所持者等によって予め作成されて、そのデータがメモリ12に予め格納されている。この例において、行動予定表60は、電動カート100の利用者に関して、電動カート100の利用を伴う一週間のイベント情報を、曜日別及び時間帯別に示したものである。例えば、月、水、金曜の夕方にはスーパーマーケットへ買い物に行くというイベントが設定されており、火、木曜の午前中には診療所に通院するというイベントが設定されている。また、曜日別の合計走行距離、又は距離から換算した曜日別の合計消費電力量が、行動予定表60の一部として又は行動予定表60に付随して、メモリ12に格納されている。例えば、上記専用アプリケーションソフトウェアを起動し、地図データ上で利用者の自宅及び各イベントでの行き先を指定することによって、イベント毎の走行距離及び消費電力量が自動計算される。それらの走行距離及び消費電力量が曜日別に集計されることによって、曜日別の合計走行距離及び合計消費電力量が自動計算される。電動カート100は、日常生活における移動手段として利用者の自宅周辺の限定された生活圏内で使用されることが多いため、行き先及び曜日等の行動パターンがある程度定まっていることが多い。従って、その行動パターンを示す行動予定表60を予め作成することが可能である。
【0045】
図4は、電動カート100及び外部端末200の処理シーケンスの概要を示すシーケンス図である。電動カート100は、まず次回の予定走行情報を取得し、次にバッテリ2の残量情報を取得し、次に予定走行情報とバッテリ残量情報とに基づいてバッテリ2の充電の必要性を判定する。電動カート100は、充電の必要性がある場合には禁止制御を実行し、禁止通知を外部端末200に送信する。
【0046】
外部端末200は、電動カート100から禁止通知を受信すると、禁止制御が実行されていることを所持者に報知する。所持者は、バッテリを十分に充電した後、外部端末200にロック解除命令を入力する。次に外部端末200は、所持者からのロック解除命令の入力を受け付けると、ロック解除命令を電動カート100に送信する。
【0047】
電動カート100は、外部端末200からロック解除命令を受信すると、許容制御を実行する。
【0048】
図5は、
図4に示した処理シーケンスのうち禁止通知の送信までの処理に関して、電動カート100における処理内容を示すフローチャートである。
【0049】
まずステップSP101において走行情報取得部13は、メモリ12に格納されている行動予定表60を参照することにより、毎日定刻(例えば21時)に、電動カート100の次回(以下の例では翌日)の予定走行情報を取得する。予定走行情報には、予定使用電力量の情報も含まれる。なお、日にち単位ではなくイベント単位で管理することもでき、その場合は、あるイベントが終了する毎に次のイベントに関する予定走行情報が取得される。
【0050】
次にステップSP102において残量情報取得部14は、バッテリ2の現在の充電残量を示すバッテリ残量情報を、バッテリ2から取得する。
【0051】
次にステップSP103において判定部21は、走行情報取得部13から入力された予定走行情報と、残量情報取得部14から入力されたバッテリ残量情報とに基づいて、バッテリ2の充電の必要性を判定する。
【0052】
具体的にはステップSP104において判定部21は、走行情報取得部13から入力された予定走行情報に含まれる予定使用電力量と、残量情報取得部14から入力されたバッテリ残量情報とを比較する。判定部21は、予定使用電力量がバッテリ残量以上である場合には充電が必要であると判定し、予定使用電力量がバッテリ残量未満である場合には充電は不要であると判定する。
【0053】
判定部21によって充電が不要であると判定された場合(ステップSP104:NO)は、次にステップSP105において制御部22は、次回に電動カート100の電源がオンされた際にはバッテリ2から走行モータ4への電力供給を許容することによって、走行モータ4の駆動を許容する許容制御を実行する。
【0054】
判定部21によって充電が必要であると判定された場合(ステップSP104:YES)は、次にステップSP106において制御部22は、次回に電動カート100の電源がオンされた際にはバッテリ2から走行モータ4への電力供給を禁止することによって、走行モータ4の駆動を禁止する禁止制御を実行する。制御部22が禁止制御を実行すると、情報出力部16は、制御部22が禁止制御を実行していることを示す報知情報を出力する。
【0055】
図6は、情報出力部16による報知情報の出力態様の一例を示す図である。禁止制御の報知において、情報出力部16は、ロック状態を示す警告灯71を点灯又は点滅させ、また、電動カート100をロックしたこと、及び、外部端末200からのロック解除を促すメッセージ72Aを表示し、さらに、バッテリ2の残量が乏しいことを示す図形73Aを表示する。
【0056】
図5を参照して、次にステップSP107において送信部31は、制御部22が禁止制御の実行を開始したことを示す禁止通知を、外部端末200に送信する。
【0057】
図7は、
図4に示した処理シーケンスのうち禁止制御の報知処理に関して、外部端末200における処理内容を示すフローチャートである。
【0058】
まずステップSP201において受信部52は、電動カート100の送信部31から送信された禁止通知を受信する。受信部52は、受信した禁止通知を管理部41に入力する。
【0059】
次にステップSP202において管理部41は、情報報知部42を制御することにより、制御部22が禁止制御を実行していることを外部端末200の所持者に報知するための報知情報を、情報報知部42に出力させる。
【0060】
図8は、情報報知部42による報知情報の出力態様の一例を示す図である。情報報知部42は、電動カート100がロックされたこと、及び、ロック解除を促すメッセージ81Aを液晶ディスプレイ80に表示し、また、ロック解除ボタン82及び解除保留ボタン83を液晶ディスプレイ80に表示する。
【0061】
図9は、
図4に示した処理シーケンスのうちロック解除命令の送信までの処理に関して、外部端末200における処理内容を示すフローチャートである。
【0062】
外部端末200の所持者は、
図8に示した報知情報を受けて電動カート100のバッテリ2を充電する。例えば、利用者の自宅のコンセントと電動カート100の本体とを充電ケーブルで接続することにより、充放電制御部3によってバッテリ2の充電が開始され、満充電になることによって充電が終了する。外部端末200の所持者は、充電完了後、ロック解除ボタン82をタップする。ロック解除ボタン82がタップされることにより、操作入力部43からロック解除命令が入力される。操作入力部43は、ロック解除命令を管理部41に入力する。
【0063】
管理部41は、操作入力部43からのロック解除命令の入力を待機している。管理部41は、操作入力部43からロック解除命令が入力される(ステップSP301:YES)と、次にステップSP302において送信部51を制御することにより、ロック解除命令を電動カート100に送信させる。
【0064】
図10は、
図4に示した処理シーケンスのうち許容制御の実行処理に関して、電動カート100における処理内容を示すフローチャートである。
【0065】
受信部32は、外部端末200からのロック解除命令の受信を待機している。受信部32は、外部端末200の送信部51から送信されたロック解除命令を受信する(ステップSP401:YES)と、受信したロック解除命令を制御部22に入力する。
【0066】
次にステップSP402において制御部22は、受信部32からロック解除命令が入力されたことを受けて、走行モータ4の駆動を許容する許容制御を実行する。制御部22が許容制御を実行すると、情報出力部16は、制御部22が許容制御を実行していることを示す報知情報を出力する。
【0067】
図11は、情報出力部16による報知情報の出力態様の一例を示す図である。許容制御の報知において、情報出力部16は、警告灯71を消灯させ、また、ロックが解除されたことを示すメッセージ72Bを表示し、さらに、バッテリ2の残量が十分であることを示す図形73Bを表示する。
【0068】
なお、以上の説明では、外部端末200の所持者は、電動カート100のバッテリ2を充電した後に操作入力部43からロック解除命令を入力した。これに限らず、行動予定表60に示された行動パターンとは異なる短距離の移動のために電動カート100が利用される場合等には、所持者は、バッテリの充電を省略して操作入力部43からロック解除命令を入力することもできる。上記と同様に、ロック解除命令は外部端末200から電動カート100に送信され、制御部22は許容制御を実行する。
図12は、情報出力部16による報知情報の出力態様の一例を示す図である。バッテリ2の充電が省略された場合の許容制御の報知において、情報出力部16は、警告灯71を消灯させ、また、ロックが解除されたことを示すメッセージ72Bを表示し、さらに、バッテリ2の残量が乏しいことを示す図形73Aを表示する。
【0069】
本実施の形態に係る利用管理装置1によれば、判定部21は、予定走行情報と残量情報とに基づいてバッテリ2の充電の要否を判定し、制御部22は、判定部21がバッテリ2の充電が必要と判定した場合には、走行モータ4の駆動を禁止する禁止制御を実行する。このように、予定走行情報と残量情報とに基づいてバッテリ2の充電が必要と判定された場合には走行モータ4の駆動を禁止して外出を制限することにより、外出先で電動カート100の電欠が発生することを簡易にかつ効果的に防止することが可能となる。
【0070】
また、予め登録された外部端末200(例えば家族の携帯端末)に禁止通知が送信されるため、禁止通知を受信した外部端末200の所持者によってバッテリ2の充電作業を行うことができる。また、バッテリ2の充電が完了した場合等には外部端末200からロック解除命令を送信し、電動カート100の受信部32がロック解除命令を受信した場合には制御部22は許容制御を実行するため、利用者は電動カート100を利用することが可能となる。
【0071】
また、制御部22が禁止制御を実行していることを示す報知情報が情報出力部16から出力されるため、利用者はこの報知情報を確認することによって、走行モータ4が駆動されなくても電動カート100の故障ではないことを認識することができる。
【0072】
また、走行情報取得部13は、メモリ12(情報格納部)に格納されている行動予定表60(行動パターン情報)に基づいて、予定走行情報を取得する。電動カート100は、日常生活における移動手段として利用者の自宅周辺の限定された生活圏内で使用されることが多いため、行き先及び曜日等の行動パターンがある程度定まっていることが多い。従って、その行動パターンを示す行動予定表60を予め作成することが可能であり、走行情報取得部13が行動予定表60を参照することにより、利用者の行動パターンに即した正確な予定走行情報を取得することが可能となる。
【0073】
(第1変形例)
図13は、第1変形例に係る電動カートの利用管理装置1の構成を簡略化して示すブロック図である。
図1に示した構成に対して、GPS受信機等の位置検出部18が追加されている。
【0074】
図14は、メモリ12及び走行情報取得部13の構成を示す図である。メモリ12には、行動履歴情報61及び行動予測モデル62が格納されている。走行情報取得部13は、予測モデル生成器91及び行動予測器92を備えている。
【0075】
電動カート100の一日の利用が終了すると、その当日に行われた各イベントに関して、行き先、利用時刻(曜日及び時間帯)、走行距離、並びに消費電力量のデータセットが、行動履歴情報61としてメモリ12に蓄積される。行き先は、位置検出部18によって検出された、施設名称又は緯度・経度の位置座標情報等である。これらのデータセットを曜日別及び時間帯別に集計することにより、
図3に示した行動予定表60と同様の行動履歴情報61を作成することができる。
【0076】
予測モデル生成器91には、蓄積された行動履歴情報61のデータセットが、学習用データS1として入力される。予測モデル生成器91は、ニューラルネットワークを用いたディープラーニング等の機械学習を行うことによって、電動カート100の行動を予測する行動予測モデル62を作成し、そのデータS2をメモリ12に格納する。例えば、連続する二日分の行動履歴情報61の組合せを予測モデル生成器91に入力し、1日目の行動履歴情報61を説明変数、2日目の行動履歴情報61を目的変数として予測モデル生成器91が機械学習を行うことにより、当日の行動履歴情報61が入力された時に翌日の行動(予定走行距離及び予定使用電力量)を予測することが可能な行動予測モデル62を作成することができる。なお、日にち単位ではなくイベント単位で管理することもでき、その場合は、利用時刻としては上記の時間帯に代えて出発時刻又は帰宅時刻が使用される。
【0077】
上記と同様に、走行情報取得部13は、毎日定刻(例えば21時)に、電動カート100の翌日の予定走行情報を取得する。行動予測器92には、現在時刻情報として当日の曜日データS3が入力される。行動予測器92は、行動予測モデル62を参照することにより、曜日データS3で示される曜日の翌日の曜日に関する行動(予定走行距離及び予定使用電力量)を予測し、その予測データS4を出力する。
【0078】
制御部22が禁止制御の実行を開始すると、電動カート100の送信部31は、上記の禁止通知とともに、電動カート100の翌日の行動予定情報(行き先、予定走行距離、及び予定使用電力量)と、バッテリ2の現在の状態情報(残量及び走行可能距離)とを、外部端末200に送信する。外部端末200の情報報知部42は、制御部22が禁止制御を実行していることを報知するための報知情報を出力する。
【0079】
図15,16は、情報報知部42による報知情報の出力態様の一例を示す図である。
図15に示した例では、情報報知部42は、電動カート100がロックされたこと、及び、ロック解除を促すメッセージ81Aと、ロック解除ボタン82及び解除保留ボタン83と、電動カート100の翌日の行動予定情報及びバッテリ2の現在の状態情報を示すテキスト情報84とを、液晶ディスプレイ80に表示する。行き先情報としては、施設の名称が表示されている。
【0080】
図16に示した例では、情報報知部42は、
図15と同様のメッセージ81A、ロック解除ボタン82、及び解除保留ボタン83と、電動カート100の翌日の行動予定情報及びバッテリ2の現在の状態情報を示すイメージ情報85とを、液晶ディスプレイ80に表示する。行き先情報としては、ポインタによって行き先の所在地が示された地図情報が表示されている。
【0081】
本変形例によれば、電動カート100の送信部31は、電動カート100の予定走行距離及び予定使用電力量と、バッテリ2の現在の残量及び走行可能距離とを、外部端末200に送信する。外部端末200の情報報知部42は、外部端末200の所持者に対してこれらの情報を報知する。これにより、当該所持者は電動カート100の電欠の可能性を明確に認識できるため、当該所持者に対して速やかにバッテリ2の充電作業を促すことができる。
【0082】
(第2変形例)
図17は、電動カート100及び外部端末200の処理シーケンスの概要を示すシーケンス図である。電動カート100は、まず次回の予定走行情報を取得し、次にバッテリ2の残量情報を取得し、次に予定走行情報とバッテリ残量情報とに基づいてバッテリ2の充電の必要性を判定する。電動カート100は、充電の必要性がある場合には禁止制御を実行し、禁止通知を外部端末200に送信する。
【0083】
外部端末200は、電動カート100から禁止通知を受信すると、禁止制御が実行されていることを所持者に報知する。次に外部端末200は、当該所持者からのロック解除命令の入力を待機する。
【0084】
電動カート100は、禁止通知を送信した後、バッテリ2の十分な充電、又は、外部端末200からのロック解除命令の受信を待機する。電動カート100は、外部端末200からロック解除命令を受信するよりも前にバッテリ2が十分に充電されると、許容制御を実行し、ロック解除通知を外部端末200に送信する。
【0085】
外部端末200は、電動カート100からロック解除通知を受信すると、電動カート100のロックが解除されたことを所持者に報知する。
【0086】
以下、上記実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0087】
上記実施の形態と同様に、制御部22が禁止制御の実行を開始すると、情報出力部16は、制御部22が禁止制御を実行していることを示す報知情報を出力する。
【0088】
図18は、情報出力部16による報知情報の出力態様の一例を示す図である。禁止制御の報知において、情報出力部16は、ロック状態を示す警告灯71を点灯又は点滅させ、また、電動カート100をロックしたこと、及び、バッテリ2の充電又は外部端末200からのロック解除を促すメッセージ72Cを表示し、さらに、バッテリ2の残量が乏しいことを示す図形73Aを表示する。
【0089】
また、上記実施の形態と同様に、制御部22が禁止制御の実行を開始すると、電動カート100の送信部31は、禁止通知を外部端末200に送信し、外部端末200の情報報知部42は、制御部22が禁止制御を実行していることを報知するための報知情報を出力する。
【0090】
図19は、情報報知部42による報知情報の出力態様の一例を示す図である。情報報知部42は、電動カート100がロックされたこと、及び、バッテリ2の充電又はロック解除を促すメッセージ81Bと、ロック解除ボタン82と、解除保留ボタン83とを、液晶ディスプレイ80に表示する。
【0091】
図20は、
図17に示した処理シーケンスのうち許容制御の実行処理に関して、電動カート100における処理内容を示すフローチャートである。
【0092】
制御部22が禁止制御の実行を開始した後、ステップSP501において残量情報取得部14は、バッテリ2の現在の充電残量を示すバッテリ残量情報を、バッテリ2から取得する。
【0093】
次にステップSP502において判定部21は、走行情報取得部13から入力された予定走行情報と、残量情報取得部14から入力されたバッテリ残量情報とに基づいて、バッテリ残量が次回の走行に十分か否か、つまり、バッテリ2の現在の充電残量が電動カート100の次回(この例では翌日)の予定使用電力量以上であるか否かを判定する。
【0094】
バッテリ残量が次回の走行に十分でない場合(ステップSP502:NO)は、バッテリ2が十分に充電されるまで(又は外部端末200からロック解除命令を受信するまで)、ステップSP501,SP502の処理が繰り返し実行される。
【0095】
バッテリ残量が次回の走行に十分である場合(ステップSP502:YES)は、次にステップSP503において制御部22は、バッテリ2が次回の走行に対して十分に充電されたことを受けて、走行モータ4の駆動を許容する許容制御を実行する。制御部22が許容制御を実行すると、情報出力部16は、制御部22が許容制御を実行していることを示す報知情報を出力する。また、送信部31は、許容制御によってロックが解除されたことを通知するためのロック解除通知を、外部端末200に向けて送信する。
【0096】
図21は、情報出力部16による報知情報の出力態様の一例を示す図である。許容制御の報知において、情報出力部16は、警告灯71を消灯させ、また、バッテリ2が十分に充電されたことによってロックが解除されたことを示すメッセージ72Cを表示し、さらに、バッテリ2の残量が十分であることを示す図形73Bを表示する。
【0097】
図22は、
図17に示した処理シーケンスのうちロック解除の報知処理に関して、外部端末200における処理内容を示すフローチャートである。
【0098】
まずステップSP601において受信部52は、電動カート100の送信部31から送信されたロック解除通知を受信する。受信部52は、受信したロック解除通知を管理部41に入力する。
【0099】
次にステップSP602において管理部41は、情報報知部42を制御することにより、電動カート100のロックが解除されたことを外部端末200の所持者に報知するための報知情報を、情報報知部42に出力させる。
【0100】
図23は、情報報知部42による報知情報の出力態様の一例を示す図である。情報報知部42は、バッテリ2が十分に充電されたことによってロックが解除されたことを報知するメッセージ81Cと、確認ボタン86とを、液晶ディスプレイ80に表示する。
【0101】
本変形例によれば、制御部22は、電動カート100の受信部32が外部端末200からロック解除命令を受信したか否かに拘わらず、充電によってバッテリ2の残量が次回の予定使用電力量以上となった場合には許容制御を実行する。従って、通信エラー等によって外部端末200からロック解除命令を受信しない場合であっても、バッテリ2が十分に充電された場合には、利用者は電動カート100を利用することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本開示に係る利用管理技術は、シニアカー(登録商標)又は電動車椅子等の電動カートを対象とするバッテリの充電残量管理に特に有用である。