(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】発音デバイス
(51)【国際特許分類】
H04R 9/04 20060101AFI20240827BHJP
H04R 9/06 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H04R9/04 103
H04R9/06 A
(21)【出願番号】P 2022574223
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(86)【国際出願番号】 CN2022120143
(87)【国際公開番号】W WO2024045235
(87)【国際公開日】2024-03-07
【審査請求日】2023-02-27
(31)【優先権主張番号】202222298836.7
(32)【優先日】2022-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517409583
【氏名又は名称】エーエーシー マイクロテック(チャンヂョウ)カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】No.3 changcao road, Hi-TECH Industrial Zone, Wujin District, Changzhou City, Jiangsu Province, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】任璋
(72)【発明者】
【氏名】鐘志威
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0064414(US,A1)
【文献】特開2003-319492(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113596686(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 9/04
H04R 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1フレーム、第1振動システム、磁気回路システム、第2フレーム、第2振動システム、及び外部の電気信号を接続するための導電性インサートを含み、
前記第1振動システムは、外周縁が前記第1フレームに固定される第1振動板と、前記第1振動板を振動させて音を発生させるように駆動する第1ボイスコイルと、を含み、
前記磁気回路システムは前記第1フレームに固定され、前記磁気回路システムの前記第1振動システムに近い側に第1磁気ギャップと第2磁気ギャップが間隔をあけて設置されており、前記第1磁気ギャップは前記第2磁気ギャップを取り囲むように設置され、前記第1ボイスコイルは前記第1磁気ギャップ内に挿設されかつ吊り下げられ、
前記第2フレームは前記磁気回路システムの天部に固定され、
前記第2振動システムは、外周縁が前記第2フレームの前記磁気回路システムから離れる側に固定される第2振動板と、前記第2振動板を振動させて音を発生させるように駆動する第2ボイスコイルと、を含み、前記第2ボイスコイルは前記第2磁気ギャップ内に挿設されかつ吊り下げられ、
前記導電性インサートは、前記磁気回路システムに固定され、かつ前記磁気回路システムの前記第1振動システムから離れる側から他方側まで前記磁気回路システムを貫通し、前記第1磁気ギャップと前記第2磁気ギャップはいずれも前記導電性インサートを取り囲むように設置され、前記第2ボイスコイルのボイスコイルリード線は、その内周側から引き出されて、前記導電性インサートと電気的に接続されるまで延びる、
ことを特徴とする発音デバイス。
【請求項2】
前記導電性インサートは、前記磁気回路システムの前記第1振動システムから離れる側から他方側まで前記磁気回路システムを貫通するインサート本体と、前記インサート本体の前記第2振動システムに近い側から他方側まで前記インサート本体を貫通する2つの導電性ストリップと、を含み、前記導電性インサートのパッドを形成するように、2つの前記導電性ストリップの前記第2振動システムに近い一端はそれぞれ前記インサート本体のトップに固定され、かつ間隔をあけて設置され、前記第2ボイスコイルのボイスコイルリード線は前記パッドに接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の発音デバイス。
【請求項3】
前記磁気回路システムは、前記第1フレームに固定される磁気ボウルと、前記磁気ボウルに固定される磁石鋼アセンブリと、を含み、前記磁気ボウルは、貫通孔が設けられる磁気ボウル底壁と、前記磁気ボウル底壁の外周側から折り曲がって延びて、前記第1フレームに固定される磁気ボウル側壁と、を含み、前記磁石鋼アセンブリは、いずれも環状を呈しかつ前記磁気ボウル底壁に順次積層して固定される第1主磁石鋼、磁極芯及び第2主磁石鋼を含み、前記磁極芯は、前記第1主磁石鋼と前記第2主磁石鋼の間に挟設される環状の磁極芯本体と、前記磁極芯本体の内周側から、前記磁気ボウル底壁から離れる方向へ折り曲がる磁極芯側壁と、を含み、前記第1主磁石鋼、前記磁極芯及び前記第2主磁石鋼は同軸に設置され、前記導電性インサートは前記磁気ボウル底壁の貫通孔を介して挿入され、前記第1主磁石鋼と前記磁気ボウル側壁が間隔をあけることで前記第1磁気ギャップが形成され、前記第2主磁石鋼と前記磁極芯側壁が間隔をあけることで前記第2磁気ギャップが形成され、前記第2フレームは前記第2主磁石鋼の前記磁極芯本体から離れる側に固定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の発音デバイス。
【請求項4】
前記磁石鋼アセンブリは、前記第2主磁石鋼の前記磁極芯本体から離れる側に積層して設けられかつ環状を呈する副磁極芯をさらに含み、前記第2フレームの内周側は前記副磁極芯の外周側と固定接続されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の発音デバイス。
【請求項5】
前記第1振動板は、環状を呈する第1サラウンドと、前記第1サラウンドの内側に間隔をあけて設置され、かつ環状を呈する第2サラウンドと、前記第1サラウンドの内周縁から折り曲がって延びて前記第2サラウンドの外周縁に接続され、かつ環状を呈する第1振動部と、を含み、前記第1サラウンドの外周縁は前記第1フレームに固定され、前記第2サラウンドの内周縁は前記第2主磁石鋼の前記第1主磁石鋼から離れる側に固定され、前記第1ボイスコイルは前記第1振動部の前記磁気回路システムに近い側に固定される、
ことを特徴とする請求項3に記載の発音デバイス。
【請求項6】
前記第2サラウンドの内周縁は前記第2フレームの外周側と固定接続される、
ことを特徴とする請求項5に記載の発音デバイス。
【請求項7】
前記第1振動システムは、ボビンをさらに含み、前記ボビンは、環状を呈するボビン本体と、前記ボビン本体の内周縁から折り曲がって前記第1磁気ギャップまで延びて、前記第1ボイスコイルに固定接続されるボビン固定部と、を含み、前記ボビン本体は前記第1振動部に固定されて第1ドームとして機能する、
ことを特徴とする請求項6に記載の発音デバイス。
【請求項8】
前記ボビンは、その外周縁から前記磁気回路システムに近い方向へ折り曲がって延びて形成されたボビン接続部をさらに含み、前記第1振動システムは、弾性支持アセンブリをさらに含み、前記弾性支持アセンブリは、一端が前記第1フレームに固定され、他端が前記ボビン接続部に固定される弾性部材と、前記弾性部材の前記ボビン接続部から離れる側に貼り付けられるように設けられる補助振動板と、を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の発音デバイス。
【請求項9】
前記第2振動板は、第2振動部と、前記第2振動部の外周縁から外へ延びかつ環状を呈する第3サラウンドと、前記第2振動部に貼り付けられる第2ドームと、を含み、前記第3サラウンドの外周縁は前記第2フレームの前記第2主磁石鋼から離れる側に固定され、前記第2ボイスコイルは前記第2振動部に固定される、
ことを特徴とする請求項3に記載の発音デバイス。
【請求項10】
前記第2振動板は、環状を呈しかつ前記第2振動部に固定される第2ボビンをさらに含み、前記第2ボビンは前記第2振動部の前記磁気回路システムに近い側に位置し、前記第2ドームは前記第2振動部の前記磁気回路システムから離れる側に位置し、前記第2ボイスコイルは前記第2ボビンの前記磁気回路システムに近い側に固定される、
ことを特徴とする請求項9に記載の発音デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気音響変換分野に関し、特に、発音デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
発音デバイスは、電気信号を音声信号に変換するトランスデューサデバイスであり、主にシングル振動システムとダブル振動システムの2つのモードに分けられ、ここで、ダブル振動システムモードの発音デバイスは主にフレームと、フレームに固定される第1振動システムと、フレームに固定される磁気回路システムと、前記第1振動システムに固定される第2振動システムと、を含む。
【0003】
従来のダブル振動システムモードの発音デバイスでは、第2振動システムは磁気回路システムの中部領域に設けられる必要があるため、直接にフレームに接続されることができず、対応するボイスコイルもフレームに取り付けられた導電性の弾性部材を介して外部基板と電気的に接続することができないため、第2振動システムのボイスコイルがどのようにして外部基板と電気的に接続される状態で、第2振動システムの振幅を調整できるようにするかは主な問題となっている。
【0004】
従って、上記技術的課題を解決するために、新たな発音デバイスを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、第2振動システムのボイスコイルが外部基板と電気的に接続されることを実現できるとともに、第2振動システムの振幅を調整可能なダブル振動システムモードを確保できる発音デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明には、発音デバイスが提供され、前記発音デバイスは、第1フレーム、第1振動システム、磁気回路システム、第2フレーム、第2振動システム、及び外部の電気信号を接続するための導電性インサートを含み、前記第1振動システムは、外周縁が前記第1フレームに固定される第1振動板と、前記第1振動板を振動させて音を発生させるように駆動する第1ボイスコイルと、を含み、 前記磁気回路システムは前記第1フレームに固定され、前記磁気回路システムの前記第1振動システムに近い側に第1磁気ギャップと第2磁気ギャップが間隔をあけて設置されており、前記第1磁気ギャップは前記第2磁気ギャップを取り囲むように設置され、前記第1ボイスコイルは前記第1磁気ギャップ内に挿設されかつ吊り下げられ、前記第2フレームは前記磁気回路システムの天部に固定され、前記第2振動システムは、外周縁が前記第2フレームの前記磁気回路システムから離れる側に固定される第2振動板と、前記第2振動板を振動させて音を発生させるように駆動する第2ボイスコイルと、を含み、前記第2ボイスコイルは前記第2磁気ギャップ内に挿設されかつ吊り下げられ、前記導電性インサートは、前記磁気回路システムに固定され、かつ前記磁気回路システムの前記第1振動システムから離れる側から他方側まで前記磁気回路システムを貫通し、前記第1磁気ギャップと前記第2磁気ギャップはいずれも前記導電性インサートを取り囲むように設置され、前記第2ボイスコイルのボイスコイルリード線は、その内周側から引き出されて、前記導電性インサートと電気的に接続されるまで延びる。
【0007】
好ましくは、前記導電性インサートは、前記磁気回路システムの前記第1振動システムから離れる側から他方側まで前記磁気回路システムを貫通するインサート本体と、前記インサート本体の前記第2振動システムに近い側から他方側まで前記インサート本体を貫通する2つの導電性ストリップと、を含み、前記導電性インサートのパッドを形成するように、2つの前記導電性ストリップの前記第2振動システムに近い一端はそれぞれ前記インサート本体のトップに固定され、かつ間隔をあけて設置され、前記第2ボイスコイルのボイスコイルリード線は前記パッドに接続される。
【0008】
好ましくは、前記磁気回路システムは、前記第1フレームに固定される磁気ボウルと、前記磁気ボウルに固定される磁石鋼アセンブリと、を含み、前記磁気ボウルは、貫通孔が設けられる磁気ボウル底壁と、前記磁気ボウル底壁の外周側から折り曲がって延びて、前記第1フレームに固定される磁気ボウル側壁と、を含み、前記磁石鋼アセンブリは、いずれも環状を呈しかつ前記磁気ボウル底壁に順次積層して固定される第1主磁石鋼、磁極芯及び第2主磁石鋼を含み、前記磁極芯は、前記第1主磁石鋼と前記第2主磁石鋼の間に挟設される環状の磁極芯本体と、前記磁極芯本体の内周側から、前記磁気ボウル底壁から離れる方向へ折り曲がる磁極芯側壁と、を含み、前記第1主磁石鋼、前記磁極芯及び前記第2主磁石鋼は同軸に設置され、前記導電性インサートは前記磁気ボウル底壁の貫通孔を介して挿入され、前記第1主磁石鋼と前記磁気ボウル側壁が間隔をあけることで前記第1磁気ギャップが形成され、前記第2主磁石鋼と前記磁極芯側壁が間隔をあけることで前記第2磁気ギャップが形成され、前記第2フレームは前記第2主磁石鋼の前記磁極芯本体から離れる側に固定される。
【0009】
好ましくは、前記磁石鋼アセンブリは、前記第2主磁石鋼の前記磁極芯本体から離れる側に積層して設けられかつ環状を呈する副磁極芯をさらに含み、前記第2フレームの内周側は前記副磁極芯の外周側と固定接続されている。
【0010】
好ましくは、前記第1振動板は、環状を呈する第1サラウンドと、前記第1サラウンドの内側に間隔をあけて設置され、かつ環状を呈する第2サラウンドと、前記第1サラウンドの内周縁から折り曲がって延びて前記第2サラウンドの外周縁に接続され、かつ環状を呈する第1振動部と、を含み、前記第1サラウンドの外周縁は前記第1フレームに固定され、前記第2サラウンドの内周縁は前記第2主磁石鋼の前記第1主磁石鋼から離れる側に固定され、前記第1ボイスコイルは前記第1振動部の前記磁気回路システムに近い側に固定される。
【0011】
好ましくは、前記第2サラウンドの内周縁は前記第2フレームの外周側と固定接続される。
【0012】
好ましくは、前記第1振動システムは、ボビンをさらに含み、前記ボビンは、環状を呈するボビン本体と、前記ボビン本体の内周縁から折り曲がって前記第1磁気ギャップまで延びて、前記第1ボイスコイルに固定接続されるボビン固定部と、を含み、前記ボビン本体は前記第1振動部に固定されて第1ドームとして機能する。
【0013】
好ましくは、前記ボビンは、その外周縁から前記磁気回路システムに近い方向へ折り曲がって延びて形成されたボビン接続部をさらに含み、前記第1振動システムは、弾性支持アセンブリをさらに含み、前記弾性支持アセンブリは、一端が前記第1フレームに固定され、他端が前記ボビン接続部に固定される弾性部材と、前記弾性部材の前記ボビン接続部から離れる側に貼り付けられるように設けられる補助振動板と、を含む。
【0014】
好ましくは、前記第2振動板は、第2振動部と、前記第2振動部の外周縁から外へ延びかつ環状を呈する第3サラウンドと、前記第2振動部に貼り付けられる第2ドームと、を含み、前記第3サラウンドの外周縁は前記第2フレームの前記第2主磁石鋼から離れる側に固定され、前記第2ボイスコイルは前記第2振動部に固定される。
【0015】
好ましくは、前記第2振動板は、環状を呈しかつ前記第2振動部に固定される第2ボビンをさらに含み、前記第2ボビンは前記第2振動部の前記磁気回路システムに近い側に位置し、前記第2ドームは前記第2振動部の前記磁気回路システムから離れる側に位置し、前記第2ボイスコイルは前記第2ボビンの前記磁気回路システムに近い側に固定される。
【発明の効果】
【0016】
従来技術と比べて、本発明の発音デバイスは、磁気回路システムを貫通する導電性インサートを増設し、第2振動システムにおける第2ボイスコイルのボイスコイルリード線はその内周側から引き出されて、導電性インサートと電気的に接続されるまで延び、これにより、第2ボイスコイルは導電性インサートを介して外部の回路基板と電気的に接続されることを実現できるとともに、第2ボイスコイルの巻線工程を調整することでボイスコイル線の両端の延伸全長を制御することができ、これによって、第2振動システムの振幅を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明し、明らかに、以下説明された図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、進歩的な労働をしなくても、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができ、そのうち、
【
図1】
図1は、本発明の実施例に係る発音デバイスを示す立体構成分解図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例に係る発音デバイスを示す斜視構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら本発明の実施例における技術案を明確かつ完全に説明する。明らかに、記載された実施例は、全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例に過ぎない。当業者が本発明における実施例に基づいて進歩的な労働をしない前提に得られた他の全ての他の実施例は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0019】
図1~3に示すように、本考案の実施例には、発音デバイス100が提供され、当該発音デバイス100は、第1フレーム1、第1振動システム2、磁気回路システム3、第2フレーム11、第2振動システム4及び導電性インサート5を含む。
【0020】
ここで、第1振動システム2は、外周縁が第1フレーム1に固定される第1振動板21と、第1振動板21を振動させて音を発生させるように駆動する第1ボイスコイル22と、を含み、磁気回路システム3は第1フレーム1に固定され、磁気回路システム3の第1振動システム2に近い側に第1磁気ギャップ10と第2磁気ギャップ20が間隔をあけて設置されており、第1磁気ギャップ10は第2磁気ギャップ20を取り囲むように設置され、第1ボイスコイル22は第1磁気ギャップ10内に挿設されかつ吊り下げられ、第2フレーム11は磁気回路システム3の天部に固定され、第2振動システム4は、外周縁が第2フレーム11の磁気回路システム3から離れる側に固定される第2振動板41と、第2振動板41を振動させて音を発生させるように駆動する第2ボイスコイル42と、を含み、第2ボイスコイル42は第2磁気ギャップ20内に挿設されかつ吊り下げられ、導電性インサート5は外部の電気信号を接続することに用いられ、導電性インサート5は、磁気回路システム3に固定され、かつ磁気回路システム3の第1振動システム2から離れる側から他方側まで磁気回路システム3を貫通し、第1磁気ギャップ10と第2磁気ギャップ20はいずれも導電性インサート5を取り囲むように設置され、第2ボイスコイル42のボイスコイルリード線は、その内周側から引き出されて、導電性インサート5と電気的に接続されるまで延びる。
【0021】
本実施例では、導電性インサート5は、磁気回路システム3の第1振動システム2から離れる側から他方側まで磁気回路システム3を貫通するインサート本体51と、インサート本体51の第2振動システム4に近い側から他方側までインサート本体51を貫通する2つの導電性ストリップ52と、を含み、導電性インサート5のパッドを形成するように、2つの導電性ストリップ52の第2振動システム4に近い一端はそれぞれインサート本体51のトップに固定され、かつ間隔をあけて設置され、第2ボイスコイル42のボイスコイルリード線はパッドに接続される。
【0022】
第2ボイスコイル42のボイスコイルリード線は2本であり、それぞれ第2ボイスコイル42の正極リード線と負極リード線とされ、かつそれぞれ2つの導電性ストリップ52によって形成されたパッドと電気的に接続される。
【0023】
本実施例では、磁気回路システム3は、第1フレーム1に固定される磁気ボウル31と、磁気ボウル31に固定される磁石鋼アセンブリ32と、を含み、磁気ボウル31は、貫通孔が設けられる磁気ボウル底壁311と、磁気ボウル底壁311の外周側から折り曲がって延びて、第1フレーム1に固定される磁気ボウル側壁312と、を含み、磁石鋼アセンブリ32は、いずれも環状を呈しかつ磁気ボウル底壁311に順次積層して固定される第1主磁石鋼321、磁極芯322及び第2主磁石鋼323を含み、磁極芯322は、第1主磁石鋼321と第2主磁石鋼323の間に挟設される環状の磁極芯本体3221と、磁極芯本体3221の内周側から、磁気ボウル底壁311から離れる方向へ折り曲がる磁極芯側壁3222と、を含み、第1主磁石鋼321、磁極芯322及び第2主磁石鋼323は同軸に設置され、導電性インサート5は磁気ボウル底壁311の貫通孔を介して挿入され、第1主磁石鋼321と磁気ボウル側壁312が間隔をあけることで第1磁気ギャップ10が形成され、第2主磁石鋼323と磁極芯側壁3222が間隔をあけることで第2磁気ギャップ20が形成され、第2フレーム11は第2主磁石鋼323の磁極芯本体3221から離れる側に固定される。
【0024】
また、磁石鋼アセンブリ32は、第2主磁石鋼323の磁極芯本体3221から離れる側に積層して設けられかつ環状を呈する副磁極芯324をさらに含み、第2フレーム11の内周側は副磁極芯324の外周側と固定接続されている。
【0025】
導電性インサート5は磁気ボウル底壁311の貫通孔を介して挿入された後に、第1主磁石鋼321、磁極芯322、第2主磁石鋼323及び副磁極芯324を順次貫通し、これによって、第2ボイスコイル42のボイスコイルリード線と電気的に接続されることができる。
【0026】
本実施例では、第1振動板21は、環状を呈する第1サラウンド211と、第1サラウンド211の内側に間隔をあけて設置され、かつ環状を呈する第2サラウンド212と、第1サラウンド211の内周縁から折り曲がって延びて第2サラウンド212の外周縁に接続され、かつ環状を呈する第1振動部213と、を含み、第1サラウンド211の外周縁は第1フレーム1に固定され、第2サラウンド212の内周縁は第2主磁石鋼323の第1主磁石鋼321から離れる側に固定され、第1ボイスコイル22は第1振動部213の磁気回路システム3に近い側に固定される。
【0027】
第2サラウンド212の内周縁はさらに第2フレーム11の外周側と固定接続される。
【0028】
本実施例では、第1振動システム2は、ボビン23及び弾性支持アセンブリ24をさらに含む。
【0029】
ここで、ボビン23は、環状を呈するボビン本体231と、ボビン本体231の内周縁から折り曲がって第1磁気ギャップ10まで延びて、第1ボイスコイル22に固定接続されるボビン固定部232と、を含み、ボビン本体231は第1振動部に固定されて第1ドームとして機能する。
【0030】
ボビン23は、その外周縁から磁気回路システム3に近い方向へ折り曲がって延びて形成されたボビン接続部233をさらに含む。
【0031】
弾性支持アセンブリ24は、一端が第1フレーム1に固定され、他端がボビン接続部233に固定される弾性部材241と、弾性部材241のボビン接続部233から離れる側に貼り付けられるように設けられる補助振動板と、を含む。
【0032】
本実施例では、第2振動板41は、第2振動部411と、第2振動部411の外周縁から外へ延びかつ環状を呈する第3サラウンド412と、第2振動部411に貼り付けられる第2ドーム413と、を含み、第3サラウンド412の外周縁は第2フレーム11の第2主磁石鋼323から離れる側に固定され、第2ボイスコイル42は第2振動部411に固定される。
【0033】
また、第2振動板41は、環状を呈しかつ第2振動部411に固定される第2ボビン414をさらに含み、第2ボビン414は第2振動部411の磁気回路システム3に近い側に位置し、第2ドーム413は第2振動部411の磁気回路システム3から離れる側に位置し、第2ボイスコイル42は第2ボビン414の磁気回路システム3に近い側に固定される。
【0034】
従来技術と比べて、本実施例に係る発音デバイス100は、磁気回路システム3を貫通する導電性インサート5を増設し、第2振動システム4における第2ボイスコイル42のボイスコイルリード線はその内周側から引き出されて、導電性インサート5と電気的に接続されるまで延び、これにより、第2ボイスコイル42は導電性インサート5を介して外部の回路基板と電気的に接続されることを実現できるとともに、第2ボイスコイル42の巻線工程を調整することでボイスコイル線の両端の延伸全長を制御することができ、これによって、第2振動システム4の振幅を調整することができる。
【0035】
以上は、本発明の実施形態に過ぎない。当業者にとって、本発明の創造思想から逸脱することなく、改良を行うこともできるが、これらの改良はいずれも本発明の保護範囲に含まれるとここで指摘すべきである。
【符号の説明】
【0036】
100 … 発音デバイス
1 … 第1フレーム
11 … 第2フレーム
2 … 第1振動システム
21 … 第1振動板
211 … 第1サラウンド
212 … 第2サラウンド
213 … 第1振動部
22 … 第1ボイスコイル
23 … ボビン
231 … ボビン本体
232 … ボビン固定部
233 … ボビン接続部
24 … 弾性支持アセンブリ
241 … 弾性部材
242 … 補助振動板
3 … 磁気回路システム
31 … 磁気ボウル
311 … 磁気ボウル底壁
312 … 磁気ボウル側壁
32 … 磁石鋼アセンブリ
321 … 第1主磁石鋼
322 … 磁極芯
3221 … 磁極芯本体
3222 … 磁極芯側壁
323 … 第2主磁石鋼
324 … 副磁極芯
4 … 第2振動システム
41 … 第2振動板
411 … 第2振動部
412 … 第3サラウンド
413 … 第2ドーム
414 … 第2ボビン
42 … 第2ボイスコイル
5 … 導電性インサート
51 … インサート本体
52 … 導電性ストリップ
10 … 第1磁気ギャップ
20 … 第2磁気ギャップ
【要約】
【課題】本発明には、発音デバイスが提供される。
【解決手段】当該発音デバイスは、第1フレーム、第1振動システム、磁気回路システム、第2フレーム、第2振動システム、及び導電性インサートを含み、第1振動システムは、第1振動板と、第1ボイスコイルと、を含み、磁気回路システムは、第1振動システムに近い側に第1磁気ギャップと第2磁気ギャップが間隔をあけて設置されており、第1ボイスコイルは第1磁気ギャップ内に挿設されかつ吊り下げられ、第2振動システムは、第2振動板と、第2ボイスコイルと、を含み、第2ボイスコイルは第2磁気ギャップ内に挿設されかつ吊り下げられ、導電性インサートは、磁気回路システムに固定され、かつ磁気回路システムの第1振動システムから離れる側から他方側まで磁気回路システムを貫通し、第2ボイスコイルのボイスコイルリード線は、その内周側から引き出されて、導電性インサートと電気的に接続されるまで延びる。本発明の発音デバイスは、第2振動システムの振幅を調整する目的を達成するために、第2ボイスコイルの巻線工程を調整することでボイスコイル線の両端の曲げ全長を制御することができ、これによって、第2振動システムの振幅をより便利に調整することができる。
【選択図】
図1