IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エーエーシー マイクロテック(チャンヂョウ)カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-同軸スピーカー 図1
  • 特許-同軸スピーカー 図2
  • 特許-同軸スピーカー 図3
  • 特許-同軸スピーカー 図4
  • 特許-同軸スピーカー 図5
  • 特許-同軸スピーカー 図6
  • 特許-同軸スピーカー 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】同軸スピーカー
(51)【国際特許分類】
   H04R 9/02 20060101AFI20240827BHJP
   H04R 9/06 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H04R9/02 102B
H04R9/06 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022574300
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(86)【国際出願番号】 CN2022115651
(87)【国際公開番号】W WO2024044924
(87)【国際公開日】2024-03-07
【審査請求日】2023-02-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517409583
【氏名又は名称】エーエーシー マイクロテック(チャンヂョウ)カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】No.3 changcao road, Hi-TECH Industrial Zone, Wujin District, Changzhou City, Jiangsu Province, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】任璋
(72)【発明者】
【氏名】鐘志威
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第213342570(CN,U)
【文献】中国実用新案第213126461(CN,U)
【文献】中国実用新案第207200963(CN,U)
【文献】中国実用新案第214481253(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0107112(US,A1)
【文献】中国実用新案第213694107(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 9/02
H04R 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、前記フレームに固定される磁気回路システムと、前記フレームの前記磁気回路システムから離れる側に固定される第1振動システムと、前記磁気回路システムの前記フレームから離れる側に固定される第2振動システムと、を含み、前記第1振動システムは前記第2振動システムと同軸に設けられ、前記第1振動システムは、第1振動板と、前記第1振動板を振動させて音を発生させるように駆動する第1ボイスコイルと、を含み、前記第2振動システムは、第2振動板と、前記第2振動板を振動させて音を発生させるように駆動する第2ボイスコイルと、を含み、前記磁気回路システムは、透磁板と、前記透磁板の前記第1振動板に近い側に固定される第1磁石鋼と、前記第1磁石鋼を取り囲んでかつ前記第1磁石鋼と間隔をあけて設置されることで第1磁気ギャップを形成する第2磁石鋼と、前記第2磁石鋼を取り囲んでかつ前記第2磁石鋼と間隔をあけて設置される第3磁石鋼と、前記透磁板の前記第2振動板に近い側に固定される第4磁石鋼と、を含み、前記第4磁石鋼、透磁板、第2磁石鋼が順次積層して設けられることで、前記第3磁石鋼との間には第2磁気ギャップが形成され、前記第1ボイスコイルの少なくとも一部は、前記第1磁気ギャップ内に挿設され、前記第2ボイスコイルの少なくとも一部は、前記第2磁気ギャップ内に挿設されている、
ことを特徴とする同軸スピーカー。
【請求項2】
前記第1磁石鋼、第2磁石鋼、第3磁石鋼、第4磁石鋼はいずれも前記同軸スピーカーの振動方向に沿って着磁され、かつ、前記第1磁石鋼、第3磁石鋼、第4磁石鋼の着磁方向は同じであり、前記第1磁石鋼と第2磁石鋼との着磁方向は逆である、
ことを特徴とする請求項1に記載の同軸スピーカー。
【請求項3】
前記磁気回路システムは、前記第2磁石鋼と前記第3磁石鋼を搭載する磁気ボウルと、前記第1磁石鋼の下方に積層して設けられる第1磁極芯と、前記第3磁石鋼の上方に積層して設けられる第2磁極芯と、を含み、前記磁気ボウルは前記フレームの前記第1振動板から離れる側に固定されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の同軸スピーカー。
【請求項4】
前記同軸スピーカーは、前記第1ボイスコイルに電力を供給する第1回路基板を含み、前記第1回路基板は、前記第1振動板と前記第1ボイスコイルとの間に挟持された第1固定部と、前記第1振動板と前記フレームとの間に挟持された第2固定部と、前記第1固定部と前記第2固定部とを接続する弾性的な第1接続部と、前記第2固定部から前記第2磁極芯まで折り曲がって延びる溶接部と、を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の同軸スピーカー。
【請求項5】
前記第1固定部は2つがあり、前記第1ボイスコイルの両側にそれぞれ1つずつ前記第1固定部が設けられ、前記第1回路基板は2つの前記第1固定部を接続する第2接続部をさらに含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の同軸スピーカー。
【請求項6】
前記第1振動板は、第1ドームと、前記第1ドームを取り囲む第1サラウンドと、を含み、前記第1サラウンドは前記第1回路基板の第2固定部に接続されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の同軸スピーカー。
【請求項7】
前記磁気ボウルと前記第3磁石鋼の前記溶接部に対応する箇所には、前記溶接部を回避する回避部が設けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載の同軸スピーカー。
【請求項8】
前記同軸スピーカーは、支持フレームをさらに含み、前記第2振動板は、第2ドームと、前記第2ドームを取り囲む第2サラウンドと、前記第2サラウンドを取り囲んでかつ前記第2サラウンドと間隔をあけて設置される第3サラウンドと、前記第2サラウンドと前記第3サラウンドとの間に設けられる第3ドームと、を含み、前記第2ドームは前記第4磁石鋼に貼り合わせて固定され、前記第3サラウンドは前記支持フレームに貼り合わせて固定されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の同軸スピーカー。
【請求項9】
前記第2振動システムは、前記第2振動板に接続されるボイスコイルボビンをさらに含み、前記同軸スピーカーは、前記第2振動システムを弾性的に支持する弾性アセンブリをさらに含み、前記ボイスコイルボビンは、前記第3ドームと貼り合わせるボビン平板部と、前記ボビン平板部の一端から前記第2ボイスコイルへ折り曲がって延び、かつ前記第2ボイスコイルに接続される第1延出部と、前記ボビン平板部の他端から前記弾性アセンブリへ折り曲がって延び、かつ前記弾性アセンブリに接続される第2延出部と、を含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の同軸スピーカー。
【請求項10】
前記フレームには、リーク通路が設けられており、前記リーク通路は、外部と、前記第1振動板と前記磁気回路システムとによって囲まれた空間とを連通する、
ことを特徴とする請求項1に記載の同軸スピーカー。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気音響変換分野に関し、特に、同軸スピーカーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
同軸スピーカーとは、高音スピーカーユニットと低音スピーカーユニットとが集積化され、かつ高音スピーカーユニットと低音スピーカーユニットとが同軸に配置されたスピーカーである。同軸スピーカーの高音スピーカーユニットと低音スピーカーユニットの音源を同軸スピーカーの正面に位置させることができ、すなわち2つのスピーカーユニットの発音方向が同じであり、同軸スピーカーの正面と裏面に位置させることもでき、すなわち2つのスピーカーユニットの発音方向が異なっている。
【0003】
従来技術では、同軸スピーカーの高音スピーカーユニットと低音スピーカーユニットはそれぞれ独立した振動システムと磁気回路システムを備え、構造が複雑であり、高音スピーカーユニットと低音スピーカーユニットによって同軸で構成される同軸スピーカーの全体的な高さが高くなるため、高さが高すぎて取り付けが不便になり、製品の適用性を低下させる。また、分けられた高音・低音磁気回路も生産コストを増加し、製品の市場競争力を低下させ、製品の適用シナリオが単一になる。
【0004】
従って、上記技術的課題を解決するために、新たな同軸スピーカーを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、構造がコンパクトであり、高音と低音の音響効果が優れており、かつ受話器機能を兼ね備えた同軸スピーカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明には、同軸スピーカーが提供され、前記同軸スピーカーは、フレームと、前記フレームに固定される磁気回路システムと、前記フレームの前記磁気回路システムから離れる側に固定される第1振動システムと、前記磁気回路システムの前記フレームから離れる側に固定される第2振動システムと、を含み、前記第1振動システムは前記第2振動システムと同軸に設けられ、前記第1振動システムは、第1振動板と、前記第1振動板を振動させて音を発生させるように駆動する第1ボイスコイルと、を含み、前記第2振動システムは、第2振動板と、前記第2振動板を振動させて音を発生させるように駆動する第2ボイスコイルと、を含み、前記磁気回路システムは、透磁板と、前記透磁板の前記第1振動板に近い側に固定される第1磁石鋼と、前記第1磁石鋼を取り囲んでかつ第1磁石鋼と間隔をあけて設置されることで第1磁気ギャップを形成する第2磁石鋼と、前記第2磁石鋼を取り囲んでかつ前記第2磁石鋼と間隔をあけて設置される第3磁石鋼と、前記透磁板の前記第2振動板に近い側に固定される第4磁石鋼と、を含み、前記第4磁石鋼、透磁板、第2磁石鋼が順次積層して設けられることで、前記第3磁石鋼との間には第2磁気ギャップが形成され、前記第1ボイスコイルの少なくとも一部は、前記第1磁気ギャップ内に挿設され、前記第2ボイスコイルの少なくとも一部は、前記第2磁気ギャップ内に挿設されている。
【0007】
好ましくは、前記第1磁石鋼、第2磁石鋼、第3磁石鋼、第4磁石鋼はいずれも前記同軸スピーカーの振動方向に沿って着磁され、かつ、前記第1磁石鋼、第3磁石鋼、第4磁石鋼の着磁方向は同じであり、前記第1磁石鋼と第2磁石鋼との着磁方向は逆である。
【0008】
好ましくは、前記磁気回路システムは、前記第2磁石鋼と前記第3磁石鋼を搭載する磁気ボウルと、前記第1磁石鋼の下方に積層して設けられる第1磁極芯と、前記第3磁石鋼の上方に積層して設けられる第2磁極芯と、を含み、前記磁気ボウルは前記フレームの前記第1振動板から離れる側に固定されている。
【0009】
好ましくは、前記同軸スピーカーは、前記第1ボイスコイルに電力を供給する第1回路基板を含み、前記第1回路基板は、前記第1振動板と前記第1ボイスコイルとの間に挟持された第1固定部と、前記第1振動板と前記フレームとの間に挟持された第2固定部と、前記第1固定部と前記第2固定部とを接続する弾性的な第1接続部と、前記第2固定部から前記第2磁極芯まで折り曲がって延びる溶接部と、を含む。
【0010】
好ましくは、前記第1固定部は2つがあり、前記第1ボイスコイルの両側にそれぞれ1つずつ前記第1固定部が設けられ、前記第1回路基板は2つの前記第1固定部を接続する第2接続部をさらに含む。
【0011】
好ましくは、前記第1振動板は、第1ドームと、前記第1ドームを取り囲む第1サラウンドと、を含み、前記第1サラウンドは前記第1回路基板の第2固定部に接続されている。
【0012】
好ましくは、前記磁気ボウルと前記第3磁石鋼の前記溶接部に対応する箇所には、前記溶接部を回避する回避部が設けられている。
【0013】
好ましくは、前記同軸スピーカーは、支持フレームをさらに含み、前記第2振動板は、第2ドームと、前記第2ドームを取り囲む第2サラウンドと、前記第2サラウンドを取り囲んでかつ前記第2サラウンドと間隔をあけて設置される第3サラウンドと、前記第2サラウンドと前記第3サラウンドとの間に設けられる第3ドームと、を含み、前記第2ドームは前記第4磁石鋼に貼り合わせて固定され、前記第3サラウンドは前記支持フレームに貼り合わせて固定されている。
【0014】
好ましくは、前記第2振動システムは、前記第2振動板に接続されるボイスコイルボビンをさらに含み、前記同軸スピーカーは、前記第2振動システムを弾性的に支持する弾性アセンブリをさらに含み、前記ボイスコイルボビンは、前記第3ドームと貼り合わせるボビン平板部と、前記ボビン平板部の一端から前記第2ボイスコイルへ折り曲がって延び、かつ前記第2ボイスコイルに接続される第1延出部と、前記ボビン平板部の他端から前記弾性アセンブリへ折り曲がって延び、かつ前記弾性アセンブリに接続される第2延出部と、を含む。
【0015】
好ましくは、前記フレームには、リーク通路が設けられており、前記リーク通路は、外部と、前記第1振動板と前記磁気回路システムとによって囲まれた空間とを連通する。
【発明の効果】
【0016】
従来技術と比べて、本発明に係る同軸スピーカーは、フレームと、前記フレームに固定される磁気回路システムと、前記フレームの前記磁気回路システムから離れる側に固定される第1振動システムと、前記磁気回路システムの前記フレームから離れる側に固定される第2振動システムと、を含み、前記第1振動システムは前記第2振動システムと同軸に設けられ、前記第1振動システムは、第1振動板と、前記第1振動板を振動させて音を発生させるように駆動する第1ボイスコイルと、を含み、前記第2振動システムは、第2振動板と、前記第2振動板を振動させて音を発生させるように駆動する第2ボイスコイルと、を含み、前記磁気回路システムは、透磁板と、前記透磁板の前記第1振動板に近い側に固定される第1磁石鋼と、前記第1磁石鋼を取り囲んでかつ第1磁石鋼と間隔をあけて設置されることで第1磁気ギャップを形成する第2磁石鋼と、前記第2磁石鋼を取り囲んでかつ前記第2磁石鋼と間隔をあけて設置される第3磁石鋼と、前記透磁板の前記第2振動板に近い側に固定される第4磁石鋼と、を含み、前記第4磁石鋼、透磁板、第2磁石鋼が順次積層して設けられることで、前記第3磁石鋼との間には第2磁気ギャップが形成され、前記第1ボイスコイルの少なくとも一部は、前記第1磁気ギャップ内に挿設され、前記第2ボイスコイルの少なくとも一部は、前記第2磁気ギャップ内に挿設されている。本発明に係る同軸スピーカーは、その一端に環状低音振動システムを設置することによって、低音の音響効果を提供し、他端に高音振動システムを設置することによって、高音の音響効果を提供し、低音が正面から発生し、高音が裏面から発生し、低音と高音は同軸全帯域スピーカーを形成し、高品質な音響効果を提供し、2つのボイスコイルは共通の磁気回路システムを使用し、コストをさらに削減し、音響学的性能を向上させ、かつ、同軸スピーカー全体の高さを低くする。本発明に係る同軸スピーカーの高音振動システムは受話器としても機能することができ、この場合、受話器の音響学的性能を向上させるために、低音部分は逆位相消音デバイスとして使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明し、明らかに、以下説明された図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、進歩的な労働をしなくても、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができ、そのうち、
図1図1は、本発明に係る同軸スピーカーを示す斜視構成図である。
図2図2は、図1に示す同軸スピーカーの別の視点からの斜視構成図である。
図3図3は、図1に示す同軸スピーカーの部分分解図である。
図4図4は、図1に示す同軸スピーカーの別の視点からの部分分解図である。
図5図5は、図1に示す同軸スピーカーの分解図である。
図6図6は、図1のA―A線に沿った断面図である。
図7図7は、図1のB―B線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら本発明の実施例における技術案を明確かつ完全に説明する。明らかに、記載された実施例は、全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例に過ぎない。当業者が本発明における実施例に基づいて進歩的な労働をしない前提に得られた他の全ての他の実施例は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0019】
図1~7に示すように、本発明には、同軸スピーカー100が提供され、当該同軸スピーカー100は、フレーム1と、前記フレーム1に固定される磁気回路システム2と、前記フレーム1の前記磁気回路システム2から離れる側に固定される第1振動システム3と、前記磁気回路システム2の前記フレーム1から離れる側に固定される第2振動システム4と、第1回路基板5と、前記第2振動システム4を弾性的に支持する弾性アセンブリ6と、前記第2振動システム4を固定する支持フレーム7と、前記第1振動システム3の上方を覆うように設けられた蓋体8と、を含み、前記第1振動システム3は前記第2振動システム4と同軸に設置されている。
【0020】
前記フレーム1の外周は略矩形であり、環状構造のスチールリングであってもよく、前記フレーム1は、上面11と、前記上面11に対向して設けられる下面12と、前記上面11と下面12を接続する内面13、外面14と、を含み、前記磁気回路システム2はフレーム1の上面11に固定され、前記第1振動システム3はフレーム1の下面12に固定され、前記フレーム1には、その内面13、外面14を貫通するリーク通路15が設けられ、前記リーク通路15は前記フレームの上面11と下面12を貫通していなくてもよいし、上面と下面のうちの少なくとも一方を貫通してもよい。
【0021】
前記磁気回路システム2は、透磁板21と、前記透磁板21の前記第1振動システム3に近い側に設けられる第1磁石鋼22と、前記第1磁石鋼22を取り囲んでかつ前記第1磁石鋼22と間隔をあけて設置される第2磁石鋼23と、前記第2磁石鋼23を取り囲んでかつ前記第2磁石鋼23と間隔をあけて設置される第3磁石鋼24と、前記透磁板21の前記第2振動システム4に近い側に固定される第4磁石鋼25と、前記第2磁石鋼23と前記第3磁石鋼24を搭載する磁気ボウル26と、前記第1磁石鋼22の下方に積層して設けられる第1磁極芯27と、前記第3磁石鋼24の上方に積層して設けられる第2磁極芯28と、を含む。前記第1磁石鋼22と第2磁石鋼23は前記透磁板21の下面に固定されている。前記磁気ボウル26には、貫通孔261が設けられており、前記第1磁石鋼22、第1磁極芯27と、前記第2磁石鋼23及び前記磁気ボウル26によって取り囲んで形成された前記貫通孔261の内壁との間に第1磁気ギャップ291が形成されている。前記第4磁石鋼25、透磁板21、第2磁石鋼23が順次積層して設けられることで、前記第3磁石鋼24、第2磁極芯28との間には第2磁気ギャップ292が形成される。前記磁気ボウル26と前記第3磁石鋼24が積層された結果、回避部293が設けられる。
【0022】
前記透磁板21、第1磁石鋼22、第2磁石鋼23、第3磁石鋼24、第4磁石鋼25、磁気ボウル26、第1磁極芯27及び第2磁極芯28は同軸に設けられ、かつ前記第2磁石鋼23、第3磁石鋼24、磁気ボウル26、第2磁極芯28は中空環状構造である。前記第1磁石鋼22、第2磁石鋼23は前記第4磁石鋼25の下方に正対して設けられ、前記第1磁石鋼22、第2磁石鋼23、第3磁石鋼24、第4磁石鋼25はいずれも前記同軸スピーカー100の振動方向に沿って着磁され、かつ、前記第1磁石鋼22、第3磁石鋼24、第4磁石鋼25の着磁方向は同じであり、前記第1磁石鋼22と第2磁石鋼23との着磁方向は逆である。前記磁気ボウル26は前記フレーム1の前記第1振動システム3から離れる側に固定され、前記第2磁極芯28は前記支持フレーム7に固定される。
【0023】
前記第1振動システム3は、第1振動板31と、前記第1振動板31を振動させて音を発生させるように駆動する第1ボイスコイル32と、を含み、前記第1ボイスコイル32は少なくとも一部が前記第1磁気ギャップ291内に挿設され、前記第1振動板31は高音を発生させることに用いられ、その音発生方向は振動方向に沿って下向きであり、すなわち同軸スピーカー100の裏面から音を発生させ、または、前記第1振動板31は受話器の音発生に用いられることもできる。前記第1振動板31は、一体構造であってもよいし、別体構造であってもよい。前記第1振動板31は、第1ドーム311と、前記第1ドーム311を取り囲むように設けられる第1サラウンド312と、を含む。前記第1サラウンド312は、磁気回路システム2から離れる方向に沿って凹み、前記第1ドーム311に貼り合わせて固定される第1接続端3121と、前記蓋体8に接続される第2接続端3122と、を含む。前記リーク通路15は、外部と、前記第1振動板31と前記磁気回路システム2とによって囲まれた空間とを連通し、すなわち、前記第1振動板31、フレーム1、磁気ボウル26、第2磁石鋼23、透磁板21、第1磁石鋼22、第1磁極芯27によって囲まれた空間は、前記フレーム1におけるリーク通路15のみを介して外部と連通する。
【0024】
前記第2振動システム4は、第2振動板41と、前記第2振動板41を振動させて音を発生させるように駆動する第2ボイスコイル42と、前記第2振動板41に接続されるボイスコイルボビン43と、を含み、前記第2ボイスコイル42は、少なくとも一部が前記第2磁気ギャップ292内に挿設されている。第1振動板31が高音の発生に用いられる場合、前記第2振動板41は低音の発生に用いられ、その音発生方向は振動方向に沿って上向きであり、すなわち同軸スピーカー100の正面から音を発生させ、第1振動板31が受話器の音発生に用いられる場合、受話器の音響学的性能を向上させるように、第2振動板41は逆位相消音デバイスとして用いられることができる。
【0025】
前記第2振動板41は一体構造であってもよいし、別体構造であってもよい。前記第2振動板41は、第2ドーム411と、前記第2ドーム411を取り囲む第2サラウンド412と、前記第2サラウンド412を取り囲んでかつ前記第2サラウンド412と間隔をあけて設置される第3サラウンド413と、前記第2サラウンド412と前記第3サラウンド413との間に設けられる第3ドーム414と、を含み、前記第2ドーム411は前記第4磁石鋼25に貼り合わせて固定され、前記第2サラウンド412は磁気回路システム2から離れる方向に突出しており、前記第3サラウンド413は磁気回路システム2に近い方向へ凹んでいる。本実施例では、前記第3ドーム414は、一対のシート状構造であり、同軸スピーカー100の短軸方向において第2サラウンド412と第3サラウンド413の間に設けられている。前記第3サラウンド413は第3接続端4131を含み、前記第3接続端4131は、前記支持フレーム7の上面に固定され、さらに延びて前記支持フレーム7の外側面の一部を覆い、前記支持フレーム7は環状である。
【0026】
第2ボイスコイル42に十分な振動空間を提供するために、前記磁気ボウル26の前記第2ボイスコイル42に対応する箇所に回避凹み部262が設けられている。
【0027】
第1回路基板5は前記第1ボイスコイル32に電力を供給し、前記第1回路基板5は、前記第1振動板31と前記第1ボイスコイル32との間に挟持された第1固定部51と、前記第1振動板31と前記フレーム1との間に挟持された第2固定部52と、前記第1固定部51と前記第2固定部52とを接続する弾性的な第1接続部53と、前記第2固定部52から前記第2磁極芯28まで折り曲がって延びる溶接部54と、を含み、前記第1固定部51は2つがあり、前記第1ボイスコイル32の両側にそれぞれ1つずつ前記第1固定部51が設けられ、前記第1回路基板5は2つの前記第1固定部51を接続する第2接続部55をさらに含む。前記第1回路基板の第1固定部51、第2固定部52、第1接続部53、第2接続部55はいずれも平板状構造である。前記第1サラウンド312の第2接続端3122は前記第1回路基板5の第2固定部52に接続される。前記磁気ボウル26、前記第3磁石鋼24における回避部293は前記溶接部54を回避するために用いられる。
【0028】
前記弾性アセンブリ6はボイスコイルボビン43と支持フレーム7を接続し、前記弾性アセンブリ6は、第2回路基板61と、前記第2回路基板61に接続される支持振動板62と、を含み、前記第2回路基板61は、前記第2ボイスコイル42に電力を供給するように、前記第2ボイスコイル42と電気的に接続されており、具体的には、前記同軸スピーカー100は前記第2回路基板61に接続される端子9を含み、前記第2ボイスコイル42は前記端子9を介して前記第2回路基板61と電気的に接続されている。本実施例では、弾性アセンブリ6は、その数が2つであり、かつ同軸スピーカー100の短軸方向に設けられ、他の実施形態では状況に応じて決めることができる。
【0029】
前記ボイスコイルボビン43は、前記第3ドーム414と貼り合わせるボビン平板部431と、前記ボビン平板部431の一端から前記第2ボイスコイル42へ折り曲がって延び、かつ前記第2ボイスコイル42に接続される第1延出部432と、前記ボビン平板部431の他端から前記弾性アセンブリ6へ折り曲がって延び、かつ前記弾性アセンブリ6に接続される第2延出部433と、を含む。
【0030】
前記蓋体8には、前記第1振動板31によって発生した音を出すための貫通孔81が設けられている。
【0031】
従来技術と比べて、本発明に係る同軸スピーカーは、フレームと、前記フレームに固定される磁気回路システムと、前記フレームの前記磁気回路システムから離れる側に固定される第1振動システムと、前記磁気回路システムの前記フレームから離れる側に固定される第2振動システムと、を含み、前記第1振動システムは前記第2振動システムと同軸に設けられ、前記第1振動システムは、第1振動板と、前記第1振動板を振動させて音を発生させるように駆動する第1ボイスコイルと、を含み、前記第2振動システムは、第2振動板と、前記第2振動板を振動させて音を発生させるように駆動する第2ボイスコイルと、を含み、前記磁気回路システムは、透磁板と、前記透磁板の前記第1振動板に近い側に固定される第1磁石鋼と、前記第1磁石鋼を取り囲んでかつ第1磁石鋼と間隔をあけて設置されることで第1磁気ギャップを形成する第2磁石鋼と、前記第2磁石鋼を取り囲んでかつ前記第2磁石鋼と間隔をあけて設置される第3磁石鋼と、前記透磁板の前記第2振動板に近い側に固定される第4磁石鋼と、を含み、前記第4磁石鋼、透磁板、第2磁石鋼が順次積層して設けられることで、前記第3磁石鋼との間には第2磁気ギャップが形成され、前記第1ボイスコイルの少なくとも一部は、前記第1磁気ギャップ内に挿設され、前記第2ボイスコイルの少なくとも一部は、前記第2磁気ギャップ内に挿設されている。本発明に係る同軸スピーカーは、その一端に環状低音振動システムを設置することによって、低音の音響効果を提供し、他端に高音振動システムを設置することによって、高音の音響効果を提供し、低音が正面から発生し、高音が裏面から発生し、低音と高音は同軸全帯域スピーカーを形成し、高品質な音響効果を提供し、2つのボイスコイルは共通の磁気回路システムを使用し、コストをさらに削減し、音響学的性能を向上させ、かつ、同軸スピーカー全体の高さを低くする。本発明に係る同軸スピーカーの高音振動システムは受話器としても機能することができ、この場合、受話器の音響学的性能を向上させるために、低音部分は逆位相消音デバイスとして使用することができる。
【0032】
以上は、本発明の実施形態に過ぎない。当業者にとって、本発明の創造思想から逸脱することなく、改良を行うこともできるが、これらの改良はいずれも本発明の保護範囲に含まれるとここで指摘すべきである。

【要約】
【課題】本発明には、同軸スピーカーが提供される。
【解決手段】当該同軸スピーカーは、フレームと、フレームに固定される磁気回路システムと、第1振動システムと、磁気回路システムに固定される第2振動システムと、を含み、第1振動システムは第2振動システムと同軸に設けられ、第1振動システムは、第1振動板と第1ボイスコイルとを含み、第2振動システムは、第2振動板と第2ボイスコイルとを含み、磁気回路システムは、透磁板と、透磁板に固定される第1磁石鋼と、第1磁石鋼を取り囲んでかつ第1磁石鋼と第1磁気ギャップを形成する第2磁石鋼と、第2磁石鋼を取り囲んでかつ第2磁石鋼と間隔をあけて設置される第3磁石鋼と、透磁板の第2振動板に近い側に固定される第4磁石鋼と、を含み、第4磁石鋼、透磁板、第2磁石鋼と第3磁石鋼との間には第2磁気ギャップが形成され、第1ボイスコイルの少なくとも一部は第1磁気ギャップ内に挿設され、第2ボイスコイルの少なくとも一部は第2磁気ギャップ内に挿設される。当該同軸スピーカーは、その正面と裏面の音発生に共通の磁気回路システムが用いられ、同軸全帯域スピーカーを形成できると共に、受話器の機能も兼ね備える。
【選択図】図7

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7