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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】固体電池とその製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20240827BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240827BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20240827BHJP
   H01M 4/40 20060101ALI20240827BHJP
   H01M 4/485 20100101ALI20240827BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20240827BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20240827BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20240827BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20240827BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240827BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20240827BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20240827BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M4/36 C
H01M4/38 Z
H01M4/40
H01M4/485
H01M4/505
H01M4/525
H01M4/587
H01M4/62 Z
H01M10/052
H01M10/0562
H01M10/058
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022577437
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-19
(86)【国際出願番号】 CN2020125423
(87)【国際公開番号】W WO2021184768
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】202010191266.4
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522354388
【氏名又は名称】蜂巣能源科技股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】朱 金▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】周 龍捷
(72)【発明者】
【氏名】馬 忠龍
【審査官】梅野 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-167095(JP,A)
【文献】特開2016-164888(JP,A)
【文献】国際公開第2013/073038(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108075111(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M4/00-4/62
H01M10/05-10/0587;10/36-10/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極複合材料と、固体硫化物電解質と、導電剤とを含む正極片であって、前記正極複合材料は、正極材料と前記正極材料の表面に形成されたLATPコーティング層とを含む正極片と、
固体硫化物電解質層と、
負極片であって、前記固体硫化物電解質層は、前記正極片と前記負極片の間に設けられた負極片とを含み、
前記LATPコーティング層は、Li 1.3 Al 0.3 Ti 1.7 (PO 、Li PO 、LiH PO 、LiTi (PO 及びLiPO から選ばれる少なくとも一種を含む固体電池の製造方法であって、
正極材料を得るように、正極材料の水酸化物前駆体を第1のリチウム塩と混合して第1の焼成処理を行い、前記正極材料の表面に第1のリチウム塩が残留されるステップ(1)と、
前記正極材料の表面にLATPコーティング層を形成して正極複合材料を得るように、前記正極材料を第2のリチウム塩、Al、TiO及びリン塩と混合して第2の焼成処理を行うステップ(2)と、
固体硫化物電解質を提供するステップ(3)と、
前記正極複合材料、前記固体硫化物電解質及び導電剤を混合して正極片を製造するステップ(4)と、
固体硫化物電解質層を製造するステップ(5)と、
前記正極片、前記固体硫化物電解質層及び負極片を用いて前記固体電池を製造するステップ(6)とを含む、方法。
【請求項2】
ステップ(1)において、前記第1のリチウム塩と前記前駆体のモル比は(1~1.2):1である、請求項に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(2)において、前記リン塩はリン酸アンモニウムであり、前記Al、TiO及び前記リン酸アンモニウムの質量比は(0.02~0.04):(0.3~0.45):(1.13~1.17)である、請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(3)において、固体硫化物電解質LiClαBrβγを得るように、不活性雰囲気下で、リチウム塩、リン塩、硫黄塩及びハロゲン元素を有する塩を混合して第3の焼成処理を行い、
前記第3の焼成処理は、0.2~5℃/minの昇温速度、200~800℃で2~4時間行って完了し、
ただし、前記LiClαBrβγにおいて、5<k≦6、0.5<m≦1.5、4<n≦6、0<α<1、0≦β<1、0≦γ<1、α+β+γ=1であり、且つβとγは同時にゼロではない、請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(4)において、前記固体硫化物電解質と前記正極複合材料の質量比は1:(7~10)であり、
ステップ(4)において、前記固体硫化物電解質と前記正極複合材料の質量比は1:(8~9)である、請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(4)において、前記正極複合材料、前記LiClαBrβγ及び前記導電剤を混合して正極片を製造し、ステップ(5)において、前記LiClαBrβγを用いて固体硫化物電解質層を製造する、請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記LATPコーティング層の含有量は前記正極材料の0.01~15wt%である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記LATPコーティング層の厚みは1nm~5μmである、請求項1又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記LATPコーティング層はLi 1.3 Al 0.3 Ti 1.7 (PO である、請求項1、7~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記正極材料はA を含み、ただし、0<a≦6、0<b≦4、2≦y≦5であり、Aはリチウムを含むアルカリ金属元素であり、Mは、遷移金属、マグネシウム、カルシウム、ホウ素、バリウム、アルミニウム及びホウ素の元素から選ばれる少なくとも一種であり、
前記遷移金属は、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム及び銅から選ばれる少なくとも一種である、請求項1、7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記正極材料は、Li Mn 、Li MnO 、Li CoO 、Li 、Li NiO 、Li Ni Co 、Li Ni Mn 及びLi Co Mn から選ばれる少なくとも一種及び/又はV 、V 、TiS 、V 、NbSe 及びMoS から選ばれる少なくとも一種を含み、ただし、0.1<x≦2、0<y≦2、0<z≦2、0.5<y+z≦2である、請求項1、7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記固体硫化物電解質層は、Li Cl α Br β γ 、Li 11 、Li 9.54 Si 1.74 1.44 11.7 Cl 0.3 、Li 10 SnP 12 、Li PS Cl、Li S-P 、Li PS 、75Li S-25P 、90Li PS -10ZnO、9Li S-3P -1Ni 、60Li S-25P -10Li N、78Li S-22P 、80(0.7Li S-0.3P )-20LiI、99(70Li S-30P )-1Li ZrO 、Li 2.9 10.85 Mo 0.01 、Li 2.9 10.85 Mo 0.01 、70Li S-29P -1Li PO 、70Li S-29P -1P 、90(0.7Li S-0.3P )-10LiBr、75Li S-23P -2P Se 、95(0.8Li S-0.2P )-5LiI、Li 10.35 [Sn 0.27 Si 1.08 ]P 1.65 12 、Li 10 GeP 12 及びLi 11 AlP 12 の少なくとも一種を含み、ただし、前記Li Cl α Br β γ において、5<k≦6、0.5<m≦1.5、4<n≦6、0<α<1、0≦β<1、0≦γ<1、α+β+γ=1であり、且つβとγは同時にゼロではない、請求項1、7~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記負極片は、リチウム片、リチウムインジウム合金、黒鉛、シリコン、シリコン合金及びシリカの少なくとも一種である、請求項1、7~12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はリチウム電池の技術分野に関し、例えば、固体電池とその製造方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
固体リチウム電池は、高いエネルギー密度と優れた安全性能を有するため、次世代のさまざまなエネルギー貯蔵デバイスの有望な発展の方向として広く認められている。しかしながら、電極片と固体電解質の間の界面の問題は、依然として固体リチウム電池の産業化の発展及び商業化の使用を妨げる鍵である。典型的な固体リチウム電池について、最も一般的で最も厄介な問題は、固相-固相の界面の密接な接触をどのように達成及び保持するかである。同時に、隣接する固体成分の固有の特性に応じて、異なるタイプの固体電解質にも異なる問題が出現する。
【0003】
固体硫化物電解質は固体電解質、即ち、硫黄が酸素の代わりに使用される酸化物電解質である。Sの電気陰性度がOよりも小さいため、Liとの結合エネルギーは低く、Liはより自由に移動可能である。すべての固体電解質の中で、固体硫化物電解質のリチウムイオン伝導度が最も高く、また、固体硫化物電解質のもう1つの顕著な特徴は、その力学的性能であり、これらの材料は、機械的圧力下で塑性変形の特性を示し、この柔軟性により、タイトな界面を製造することを可能にする。近年、固体硫化物電解質の研究の焦点は、良好なリチウムイオン導電性、電気化学的安定性、及び力学的性能を有するLPSCLシステムである。酸化物正極と固体硫化物電解質の間のLi化学ポテンシャル差により、Liは電解質から正極に移動し、それにより両側に表面電荷層(SCL)を形成する可能性がある。しかしながら、電解質の単一イオン導電性により、SCLは電解質側に残り、得られたSCLはLiの輸送を著しく低下させ、高い分極を引き起す。
【0004】
関連技術では、表面電荷層の形成を回避するいくつかの効果的な策略を提案しており、しかしながら、既存の方法は、硫化物固体電池に存在する電気化学的性能の低下、特にサイクル性能の低下のボトルネックを十分に解決できない。そして、関連技術では、リチウムイオン導電性の悪い材料又は絶縁体の材料がコーティングに使用され、これは、正極材料の電気化学的性能をさらに低下させる。例えば、現在最も成功した方法は、LiNbOなどで正極材料をコーティングすることであるが、LiNbOのイオン伝導度が低いため、このようなコーティングは通常、高い電流倍率で不十分な放電容量につながり、特に高ニッケル三元正極システムでは、この方法も成功した方法ではない。したがって、他の方法を考慮する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下は、本明細書で詳細に説明される課題の概要である。本概要は、請求項の保護範囲を限定するためのものではない。
【0006】
本開示は固体電池とその製造方法及び使用を提供する。本開示の固体電池は、硫化物固体電池の導電性、サイクル性能、倍率性能、安全性能、及び耐用年数などを改善し、その結果、硫化物固体電池は、室温及び高温ですべて良好な倍率性能及びサイクル性能を有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は一実施例において固体電池を提供しており、前記固体電池は、
正極複合材料と、固体硫化物電解質と、導電剤とを含む正極片であって、前記正極複合材料は、正極材料と前記正極材料の表面に形成されたLATPコーティング層とを含む正極片と、
固体硫化物電解質層と、
負極片であって、前記固体硫化物電解質層は、前記正極片と前記負極片の間に設けられた負極片とを含み、
前記LATPコーティング層は、前記正極材料の表面に残留されたリチウム塩を指向剤及びリチウム源として、リチウム源、アルミニウム源、チタン源及びリン源を誘導してその場合成法(in-situ synthesis)により得られる。
【0008】
本開示の正極片では、正極材料の表面にLATP(即ち、リン酸チタンアルミリチウム)コーティング層が形成され、該コーティング層は、高いイオン伝導度と優れた化学的及び熱力学的安定性を有し、固体硫化物電解質層と正極材料の間の反応活性を大幅に低下させ、さらに表面電荷層の効果を著しく低下させ、リチウムイオンの迅速な移動を確保することができる。
【0009】
本開示の正極片では、正極材料の合成過程で残留されたリチウム塩を指向剤(同時にさらにリチウム源として)として、リチウム源、アルミニウム源、チタン源及びリン源を誘導して、「デンドライト成長」と類似な方法で正極材料の粒子の表面にその場でLATPを合成し、これは、コストが低く、操作が簡単であるだけでなく、形成されたLATPを正極材料の粒子の表面に均一に分散させ、同時にコーティング層の厚みを効果的に制御し、ナノレベルのコーティング効果を実現することができる。正極材料の表面にLATPコーティング層が形成されていない場合と比較して、本開示の固体電池は、室温及び高温(70℃)での充放電容量及び最初の効果がより高く、且つ容量保持率及びサイクル安定性がよりよく、良好な倍率性能及びサイクル性能を有する。
【0010】
一実施例において、前記LATPコーティング層の含有量は前記正極材料の0.01~15wt%であり、例えば、0.01wt%、0.05wt%、0.1wt%、0.3wt%、0.5wt%、0.8wt%、1wt%、2wt%、3wt%、5wt%、7wt%、8wt%、10wt%、12wt%、13wt%又は15wt%などである。
【0011】
一実施例において、前記LATPコーティング層の厚みは1nm~5μmであり、例えば、1nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、80nm、120nm、150nm、200nm、300nm、400nm、450nm、550nm、600nm、800nm、1μm、1.2μm、1.5μm、2μm、2.3μm、2.4μm、2.6μm、3μm、3.5μm、4μm又は5μmなどであり、好ましくは、30~80nmである。
【0012】
一実施例において、前記LATPコーティング層は、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、LiPO、LiHPO、LiTi(PO及びLiPOの少なくとも一種を含む。
【0013】
一実施例において、前記LATPはLi1.3Al0.3Ti1.7(POである。
【0014】
一実施例において、前記正極材料はAを含み、ただし、0<a≦6、0<b≦4、2≦y≦5であり、Aはリチウムを含むアルカリ金属元素であり、Mは、遷移金属、マグネシウム、カルシウム、ホウ素、バリウム、アルミニウム及びホウ素の元素から選ばれる少なくとも一種である。
【0015】
一実施例において、前記遷移金属は、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム及び銅から選ばれる少なくとも一種である。
【0016】
一実施例において、前記正極材料は、LiMn、LiMnO、LiCoO、Li、LiNiO、LiNiCo、LiNiMn、LiCoMn、V、V、TiS、V、NbSe及びMoSから選ばれる少なくとも一種を含み、ただし、0.1<x≦2、0<y≦2、0<z≦2、0.5<y+z≦2である。なお、上記のさまざまな物質にはいずれもx、y及びzが出現し、異なる物質について、x、y及びzの具体的数値の上記の範囲内での選択は互いに独立している。
【0017】
一実施例において、前記正極材料は高ニッケルのニッケルコバルトマンガン三元正極材料である。前記高ニッケルのニッケルコバルトマンガン三元正極材料とは、材料におけるニッケルのモル数が0.6以上のニッケルコバルトマンガン三元材料を指す。
【0018】
一実施例において、前記固体硫化物電解質層は、LiClαBrβγ、Li11、Li9.54Si1.741.4411.7Cl0.3、Li10SnP12、LiPSCl、LiS-P、LiPS、75LiS-25P、90LiPS-10ZnO、9LiS-3P-1Ni、60LiS-25P-10LiN、78LiS-22P、80(0.7LiS-0.3P)-20LiI、99(70LiS-30P)-1LiZrO、Li2.910.85Mo0.01、Li2.910.85Mo0.01、70LiS-29P-1LiPO、70LiS-29P-1P、90(0.7LiS-0.3P)-10LiBr、75LiS-23P-2PSe、95(0.8LiS-0.2P)-5LiI、Li10.35[Sn0.27Si1.08]P1.6512、Li10GeP12及びLi11AlP12の少なくとも一種を含み、ただし、前記LiClαBrβγにおいて、5<k≦6、0.5<m≦1.5、4<n≦6、0<α<1、0≦β<1、0≦γ<1、α+β+γ=1であり、且つβとγは同時にゼロではない。
【0019】
本開示の実施例はLiClαBrβγを含んでもよく、該固体硫化物電解質において、電気陰性度がより低いBrとIの少なくとも一種を用いて電解質におけるClの一部を置き換えることにより、固体硫化物電解質層と正極材料の間の反応活性をさらに低下させるだけでなく、イオン伝導度に顕著な悪影響を与えず、高い導電性、良好な機械的特性、及び優れた化学的及び熱力学的安定性を有し、室温及び高温での固体電池の倍率性能及びサイクル性能をさらに向上させることができる。
【0020】
一実施例において、前記LiSnClαBrβγにおいて、α、β、γの係数比は(4~10):(0~5):(0~5)である。
【0021】
一実施例において、前記固体硫化物電解質層はLiSnClαBrβγ層である。
【0022】
一実施例において、前記固体硫化物電解質層はLiPSClαBrβγ層である。
【0023】
一実施例において、前記負極片は、リチウム片、リチウムインジウム合金、黒鉛、シリコン、シリコン合金及びシリカの少なくとも一種である。例えば、シリカと黒鉛の混合物、又はシリカ、黒鉛及びシリコンの混合物であってもよい。ここで、リチウムインジウム合金はLi-In合金として表現されてもよい。
【0024】
本開示は一実施例において前記固体電池の製造方法を提供しており、前記方法は、
正極材料の水酸化物前駆体を第1のリチウム塩と混合して第1の焼成処理を行い、正極材料を得て、前記正極材料の表面に第1のリチウム塩が残留されるステップ(1)と、
前記正極材料の表面にLATPコーティング層を形成して正極複合材料を得るように、前記正極材料を第2のリチウム塩、Al、TiO及びリン塩と混合して第2の焼成処理を行うステップ(2)と、
固体硫化物電解質を提供するステップ(3)と、
前記正極複合材料、前記固体硫化物電解質及び導電剤を混合して正極片を製造するステップ(4)と、
固体硫化物電解質層を製造するステップ(5)と、
前記正極片、前記固体硫化物電解質層及び負極片を用いて前記固体電池を製造するステップ(6)とを含む。
【0025】
一実施例において、ステップ(1)において、前記第1のリチウム塩と前記前駆体のモル比は(1~1.2):1であり、例えば、1、1.05、1.1又は1.2などである。
【0026】
一実施例において、ステップ(1)において、前記第1の焼成処理は700~950℃で5~24時間行って完了する。温度は、例えば、700℃、710℃、720℃、750℃、780℃、800℃、850℃、900℃又は950℃である。時間は、例えば、5h、7h、8h、10h、12h、15h、18h、20h又は24hなどである。
【0027】
一実施例において、ステップ(1)において、ステップ(1)において、前記正極材料の表面に残留された第1のリチウム塩と前記正極材料のモル比の百分率は、0.01~0.2%であり、例えば、0.01%、0.05%、0.1%、0.12%、0.15%又は0.2%などである。
【0028】
一実施例において、ステップ(2)において、前記リン塩はリン酸アンモニウムであり、前記Al、TiO及び前記リン酸アンモニウムの質量比は(0.02~0.04):(0.3~0.45):(1.13~1.17)であり、例えば、0.02:0.4:1.15、0.03:0.3:1.16、0.04:0.45:1.13などである。
【0029】
一実施例において、ステップ(2)において、前記正極複合材料の粒径は3ミクロン以下であり、例えば、3ミクロン、2.5ミクロン、2.2ミクロン、2ミクロン又は1.5ミクロンなどであり、前記粒径とは平均粒径を指す。
【0030】
一実施例において、ステップ(2)において、前記第2の焼成処理は、O/N雰囲気下、400~900℃で4~12時間行って完了し、前記O/N雰囲気下での酸素含有量は0.5~20v%である。本実施例において、第2の焼成の温度は、例えば、400℃、450℃、500℃、600℃、650℃、700℃、800℃又は900℃などであり、第2の焼成の時間は、例えば、4h、5h、6h、8h、9h、10h、11h又は12hなどである。前記O/N雰囲気下での酸素含有量は、例えば、0.5v%、1v%、1.5v%、2v%、3v%、5v%、8v%、10v%、12v%、15v%、17.5v%、19v%又は20v%などである。
【0031】
一実施例において、ステップ(3)において、不活性雰囲気下で、リチウム塩、リン塩、硫黄塩及びハロゲン元素を有する塩を混合して第3の焼成処理を行い、固体硫化物電解質LiClαBrβγを得る。
【0032】
一実施例において、前記第3の焼成処理は、0.2~5℃/minの昇温速度、200~800℃で2~4時間行って完了する。本実施例において、第3の焼成処理の昇温速度は、例えば、0.2℃/min、0.5℃/min、0.7℃/min、1℃/min、1.5℃/min、2℃/min、2.5℃/min、3℃/min、4℃/min又は5℃/minなどである。第3の焼成処理の温度は、例えば、200℃、300℃、400℃、450℃、500℃、600℃、700℃又は800℃などである。第3の焼成処理の時間は、例えば、2h、2.5h、3h、3.5h又は4hなどである。
【0033】
一実施例において、ステップ(4)において、前記固体硫化物電解質と前記正極複合材料の質量比は1:(7~10)であり、例えば、1:7、1:8、1:8.5、1:9又は1:10などである。
【0034】
一実施例において、ステップ(4)において、前記固体硫化物電解質と前記正極複合材料の質量比は1:(8~9)である。
【0035】
一実施例において、ステップ(4)において、前記正極複合材料、前記LiClαBrβγ及び前記導電剤を混合して正極片を製造し、ステップ(5)において、前記LiClαBrβγを用いて固体硫化物電解質層を製造する。
【0036】
本開示は一実施例において車両を提供しており、前記車両は前記固体電池又は前記製造方法を用いて得られた固体電池を有する。本開示に記載の車両は安全性がより高く、電池の耐用年数がより長く、車両の競争力が向上する。
【0037】
図面は、本開示の技術案のさらなる理解を提供するために使用され、且つ明細書の一部を構成し、本願の実施例とともに、本開示の技術案を説明するために使用され、本開示の技術案に対する限定を構成するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、本開示の一実施例の固体電池の製造方法のフローチャートである。
図2図2は、本開示の一実施例で製造された正極複合材料のSEM図である。
図3図3は、本開示の一実施例で製造された正極複合材料の別のSEM図である。
図4図4は、本開示の比較例1で製造された正極複合材料のSEM図である。
図5図5は、本開示の比較例1で製造された正極複合材料の別のSEM図である。
図6図6は、本開示の一実施例で製造された正極複合材料のEDSスペクトル図である。
図7図7(a)~図7(b)は、本開示の一実施例で製造された正極複合材料のXPSスペクトル図である。
図8図8は、本開示の一実施例で製造された固体電池の初期性能のテスト図である。
図9図9は、本開示の一実施例及び比較例1で製造された固体電池の初期性能のテスト図である。
図10図10は、本開示の一実施例で製造された固体電池のサイクル性能のテスト図である。
図11図11は、本開示の一実施例及比較例1で製造された固体電池のサイクル性能のテスト図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図において、TMは遷移金属であり、RTは室温であり、室温は25℃である。
【0040】
以下、図面を参照しながら、具体的実施形態によって本開示の技術案をさらに説明する。
【0041】
本開示は一実施例において固体電池を提供しており、該固体電池は、正極片と、固体硫化物電解質層と、負極片とを含む。正極片は、正極複合材料と、固体硫化物電解質と、導電剤とを含み、正極複合材料は、正極材料と、正極材料の表面に形成されたLATPコーティング層とを含み、固体硫化物電解質層は、正極片と負極片の間に設けられ、そのうち、LATPコーティング層は、正極材料の表面に残留されたリチウム塩を指向剤及びリチウム源として、リチウム源、アルミニウム源、チタン源及びリン源を誘導してその場合成法により得られる。
【0042】
該固体電池は、室温及び高温(70℃)での充放電容量及び最初の効果がより高く、且つ容量保持率及びサイクル安定性がよりよく、良好な倍率性能及びサイクル性能を有する。
【0043】
以下、主に正極片、固体硫化物電解質層及び負極片の3つの部分から本開示の上記実施例の固体電池を詳細に説明する。
【0044】
正極片
正極片は、正極複合材料と、固体硫化物電解質と、導電剤とを含み、正極複合材料は、正極材料と、正極材料の表面に形成されたLATP(即ち、リン酸チタンアルミリチウム)コーティング層とを含み、そのうち、LATPコーティング層は、正極材料の表面に残留されたリチウム塩を指向剤及びリチウム源として、リチウム源、アルミニウム源、チタン源及びリン源を誘導してその場合成法により得られる。
【0045】
そのうち、LATPコーティング層は、高いイオン伝導度と優れた化学的及び熱力学的安定性を有し、固体硫化物電解質層と正極材料の間の反応活性を大幅に低下させ、さらに表面電荷層の効果を著しく低下させ、リチウムイオンの迅速な移動を確保することができ、また、正極材料の合成過程で残留されたリチウム塩を指向剤(同時にさらにリチウム源として)として、リチウム源、アルミニウム源、チタン源及びリン源を誘導して、「デンドライト成長」と類似な方法で正極材料の粒子の表面にその場でLATPを合成し、これは、コストが低く、操作が簡単であるだけでなく、形成されたLATPを正極材料の粒子の表面に均一に分散させ、同時にコーティング層の厚みを効果的に制御し、ナノレベルのコーティング効果を実現することができる。
【0046】
一実施例において、LATPコーティング層の厚みは1nm~5μmであってもよく、例えば、10nm、100nm、200nm、500nm、1μm、2μm又は5μmなどであってもよく、本発明者は、LATPコーティング層の厚みが薄すぎると、正極材料へのコーティング効果が弱く、固体硫化物電解質層と正極材料の間の反応活性を低下させる効果が明らかでなく、LATPコーティング層の厚みが厚すぎると、リチウムイオンの輸送速度を著しく低下させ、固体電池の電気化学的性能に影響を及ぼすことを発見し、本開示では、アルミニウムで置き換えたLTP(リン酸チタンアルミニウム)を正極材料の表面のコーティング材料としてLATPコーティング層の厚みを1nm~5μmに制御することにより、コーティング層の厚みが厚すぎることによるリチウムイオン輸送への悪影響を効果的に回避し、表面電荷層の効果を著しく低下させ、リチウムイオンの迅速な移動を確保し、電池の分極を低減することができる。
【0047】
一実施例において、LATPコーティング層の厚みは30~80nmであってもよく、例えば、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm又は80nmなどであってもよく、本発明者は、LATPコーティング層の厚みがナノレベル、特に約50nmであるとき、表面電荷層の効果がより低く、且つリチウムイオンの移動速度がより速やかであることをさらに発見し、これにより、固体電池の倍率性能及びサイクル性能をさらに向上させることができる。
【0048】
一実施例において、LATPコーティング層の含有量は正極材料の0.01~15wt%であってもよく、例えば、0.1wt%、0.5wt%、1wt%、3wt%、5wt%、7wt%、9wt%、12wt%又は15wt%などであってもよく、本発明者は、LATPコーティング層と正極材料の質量比を制御することによりLATPコーティング層の厚みを調整可能であることを発見し、本開示では、LATPコーティング層を上記含有量に制御することにより、LATPコーティング層の厚みを1nm~5μmに維持し、これにより、正極片と固体電解質層の間の表面電荷層の効果を著しく低下させ、リチウムイオンの迅速な移動を確保し、電池の分極を低減することができる。
【0049】
一実施例において、同じ条件下で、コーティングされていないNCM811と比較して、LATPコーティング層の含有量が正極材料NCM811の約1wt%である全固体電池は、室温及び高温(70℃)での電気化学的性能がすべて著しく向上し、充放電容量及び最初の効果がより高く、且つ容量保持率及びサイクル安定性がよりよく、良好な倍率性能及びサイクル性能を有する。
【0050】
一実施例において、LATPコーティング層は、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、LiPO、LiHPO、LiTi(PO及びLiPOから選ばれる少なくとも一種を含んでもよい。
【0051】
一実施例において、LATPはLi1.3Al0.3Ti1.7(POであってもよくLi1.3Al0.3Ti1.7(POは、非常に高いイオン伝導度、非常に低い多孔性、優れた化学的及び熱力学的安定性、及びリチウムイオンの移動に最適な3次元フレームワークのサイズを有し、したがって、コーティング層材料としてLi1.3Al0.3Ti1.7(POを使用することは、正極片と固体電解質層の間の表面電荷層の効果及び電池の分極を低減し、リチウムイオンの迅速な移動を確保することにより寄与し、これにより固体電池の倍率性能及びサイクル性能をさらに向上させることができる。
【0052】
一実施例において、正極材料はAを含んでもよく、ただし、0<a≦6、0<b≦4、2≦y≦5であり、Aはリチウムを含むアルカリ金属元素であり、Mは、遷移金属、マグネシウム、カルシウム、ホウ素、バリウム、アルミニウム及びホウ素の元素から選ばれる少なくとも一種である。
【0053】
一実施例において、遷移金属は、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム及び銅から選ばれる少なくとも一種である。
【0054】
一実施例において、正極材料は、LiMn、LixMnO、LixCoO、Li、LiNiO、LiNiCo、LiNiMn及びLiCoMnから選ばれる少なくとも一種を含んでもよく、ただし、0.1<x≦2、0<y≦2、0<z≦2、0.5<y+z≦2である。これにより、固体電池の倍率性能及びサイクル性能をさらに向上させることができる。
【0055】
一実施例において、正極材料は、LiMn、LiMnO、LiCoO、Li、LiNiO、LiNiCo、LiNiMn、LiCoMn、V、V、TiS、V、NbSe及びMoSから選ばれる少なくとも一種を含んでもよく、ただし、0.1<x≦2、0<y≦2、0<z≦2、0.5<y+z≦2である。
【0056】
一実施例において、前記正極材料は、NCM811などの高ニッケルのニッケルコバルトマンガン三元正極材料であり、高ニッケルのニッケルコバルトマンガン三元正極材料は、比容量が高く、コストが低く、安全性がよいなどの利点を有し、固体電池の総合性能の向上にさらに寄与することができる。
【0057】
固体硫化物電解質層
一実施例において、固体硫化物電解質層は、ハロゲン元素を含む硫化物固体電解質又はハロゲン元素を含まない硫化物固体電解質の少なくとも一種であってもよい。
【0058】
一実施例において、ハロゲン元素を含む硫化物固体電解質はLiClαBrβγを含んでもよく、ただし、5<k≦6、0.5<m≦1.5、4<n≦6、0<α<1、0≦β<1、0≦γ<1、α+β+γ=1であり、且つβとγは同時にゼロではなく、発明者は、電気陰性度がより低いBrとIの少なくとも一種を用いて電解質LiSnClにおけるClを置き換えることにより、より低い反応活性につながり、電荷散逸をある程度低減するが、Clを完全に置き換えると、電解質のイオン伝導度の低下につながることを発見し、したがって、ハロゲンのCl、Br及びIの含有量が異なる一連の固体電解質LiSnClαBrβγを使用することにより、固体硫化物電解質層と正極材料の間の反応活性をさらに低下させるだけでなく、イオン伝導度に顕著な悪影響を与えず、固体硫化物電解質層が高い導電性、良好な機械的特性、及び優れた化学的及び熱力学的安定性を有することを確保し、これにより、室温及び高温での固体電池の倍率性能及びサイクル性能をさらに向上させることができる。
【0059】
一実施例において、硫化物固体電解質LiSnClαBrβγにおいて、α、β、γの係数比は(4~10):(0~5):(0~5)であってもよく、例えば、α、β、γの係数比は、5:2:3、5:3:2、6:1:3、6:2:2、6:3:1、7:1:2、7:2:1、8:0.5:1.5、8:1:1、8:1.5:0.5、9:0.5:0.5などであってもよく、発明者は、BrとIの少なくとも一種が塩素を完全に置き換えると、硫化物固体電解質LiSnClαBrβγのイオン伝導度が低下し、さらにリチウムイオンの移動速度が低下することにつながることを発見し、本開示では、α、β、γの係数比を(4~10):(0~5):(0~5)に制御することにより、LiSnClαBrβγの反応活性を低下させることを前提として、そのイオン伝導度の顕著な低下を回避することができる。
【0060】
一実施例において、LiSnClαBrβγにおいて、BrとIの総含有量はハロゲン元素の総含有量の15~25mol%であってもよく、例えば、15mol%、18mol%、20mol%又は25mol%などであってもよく、これにより、LiSnClαBrβγの反応活性を低下させるだけでなく、そのイオン伝導度に影響を与えないことができる。
【0061】
一実施例において、LiClαBrβγ、Li11、Li9.54Si1.741.4411.7Cl0.3、Li10SnP12、LiPSCl、LiS-P、LiPS、75LiS-25P、90LiPS-10ZnO、9LiS-3P-1Ni、60LiS-25P-10LiN、78LiS-22P、80(0.7LiS-0.3P)-20LiI、99(70LiS-30P)-1LiZrO、Li2.910.85Mo0.01、Li2.910.85Mo0.01、70LiS-29P-1LiPO、70LiS-29P-1P、90(0.7LiS-0.3P)-10LiBr、75LiS-23P-2PSe、95(0.8LiS-0.2P)-5LiI、Li10.35[Sn0.27Si1.08]P1.6512、Li10GeP12及びLi11AlP12の少なくとも一種である。
【0062】
一実施例において、固体硫化物電解質はLiClαBrβγであってもよく、固体硫化物電解質層はLiClαBrβγ層であってもよく、これにより、室温及び高温での固体電池の倍率性能及びサイクル性能をさらに向上させることができる。
【0063】
一実施例において、固体硫化物電解質はLiPSClαBrβγであってもよく、ただし、0<α<1、0≦β<1、0≦γ<1、α+β+γ=1であり、βとγは同時にゼロではなく、且つα、β、γの係数比は(4~10):(0~5):(0~5)であってもよく、したがって、固体硫化物電解質層と正極材料の間の反応活性をさらに低下させ、固体硫化物電解質のイオン伝導度に顕著な悪影響を与えることを回避し、固体硫化物電解質層が高い導電性、良好な機械的特性、及び優れた化学的及び熱力学的安定性を有することを確保し、これにより、室温及び高温での固体電池の倍率性能及びサイクル性能をさらに向上させることができる。
【0064】
負極片
本開示の負極片のタイプは特に限定されず、当業者は実際の必要に応じて選択可能である。
【0065】
一実施例において、負極片はリチウム片、リチウムインジウム合金、黒鉛、シリコン、シリコン合金及びシリカの少なくとも一種であってもよい。例えば、シリカと黒鉛の混合物、又はシリカ、黒鉛及びシリコンの混合物であってもよい。
【0066】
一実施例において、固体電池では、固体硫化物電解質はLiSnClαBrβγであってもよく、導電剤は、炭素材料、例えば、カーボンナノチューブ又は超伝導カーボンブラックなどであってもよく、正極材料は高ニッケルの正極材料であってもよく、LATPコーティング層はLi1.3Al0.3Ti1.7(POコーティング層であってもよく、そのうち、LiSnClαBrβγは、高い導電性、良好な機械的特性及び適切な反応活性を有し、高ニッケル正極材料によく適合可能であり、且つLiSnClαBrβγは高ニッケルの正極材料と反応せず、上記の特徴を有する固体電池は、室温及び70℃の場合で電気化学的性能がいずれも著しく向上し、よい倍率性能及びサイクル性能を有する。
【0067】
本開示は一実施例において上記の固体電池の製造方法を提供しており、該方法は、正極材料を得るように、正極材料の水酸化物前駆体を第1のリチウム塩と混合して第1の焼成処理を行い、正極材料の表面に第1のリチウム塩が残留されるステップ(1)と、正極材料の表面にLATPコーティング層を形成して正極複合材料を得るように、正極材料を第2のリチウム塩、Al、TiO及びリン塩と混合して第2の焼成処理を行うステップ(2)と、固体硫化物電解質を提供するステップ(3)と、正極複合材料、固体硫化物電解質及び導電剤を混合して正極片を製造するステップ(4)と、固体硫化物電解質層を製造するステップ(5)と、正極片、固体硫化物電解質層及び負極片を用いて固体電池を製造するステップ(6)とを含む。正極材料の表面にLATPコーティング層が形成されていない場合と比較して、該方法を用いて製造された固体電池は、常温及び高温(70℃)での充放電容量及び最初の効果がより高く、且つ容量保持率及びサイクル安定性がよりよく、良好な倍率性能及びサイクル性能を有する。
【0068】
以下、図1を参照しながら、本開示の上記実施例の固体電池の製造方法を詳細に説明する。
【0069】
S100は、正極材料を得るように、正極材料の水酸化物前駆体を第1のリチウム塩と混合して第1の焼成処理を行い、正極材料の表面に第1のリチウム塩が残留されるステップである。
【0070】
発明者は、正極材料の合成過程で表面に残留されたリチウム塩を指向剤(同時にさらにリチウム源として)として、リチウム源、アルミニウム源、チタン源及びリン源を誘導して、「デンドライト成長」と類似な方法で正極材料の粒子の表面に化学反応することでその場でLATP(即ち、リン酸チタンアルミリチウム)を合成することができることを発見し、これにより、コストが低く、操作が簡単であるだけでなく、形成されたLATPを正極材料粒子の表面に均一に分散させ、同時にコーティング層の厚みを効果的に制御し、ナノレベルのコーティング効果を実現することができる。
【0071】
一実施例において、第1のリチウム塩と前駆体のモル比は(1~1.2):1であってもよく、発明者は、高いリチウム含有量が正極材料にリチウム含有量が不純になることにつながり、これにより充放電の過程に不必要な副反応をもたらすことを発見し、本実施例では、第1のリチウム塩と前駆体のモル比を(1~1.2):1に制御することにより、正極材料の表面に少量のリチウム塩が残留されることを確保するだけでなく、正極材料に過剰なリチウム含有不純物の生成を回避することができる。
【0072】
一実施例において、正極材料の表面に残留された第1のリチウム塩と正極材料のモル比の百分率は0.01~0.2%であってもよく、これにより、正極材料の表面に残留されたリチウム塩を指向剤としてLATPコーティング層のその場生成を実現するだけでなく、正極材料の純度を確保することにより、充放電の過程に副反応の発生可能性を著しくに低減することができる。
【0073】
一実施例において、第1の焼成処理は700~950℃で5~24時間行って完了してもよく、例えば、750℃の酸素雰囲気下で10~12時間を行って完了してもよく、発明者は、該過程における長い加熱時間及び高い温度によって不純物又は副生成物を生成することを発見し、本実施例では、第1の焼成処理を上記条件に制御することにより、正極材料の水酸化物前駆体を正極材料に完全に変換するだけでなく、過剰な不純物及び副生成物の生成を回避し、正極材料の純度を確保し、これにより、充放電の過程に副反応の発生可能性を著しくに低減することができる。
【0074】
S200は、正極材料を第2のリチウム塩、Al、TiO及びリン塩と混合して第2の焼成処理を行うことにより、正極材料の表面にLATPコーティング層を形成して正極複合材料を得るステップである。
【0075】
本開示のリチウム塩及びリン塩のタイプは特に限定されず、当業者は実際の必要に応じて選択可能である。
【0076】
一実施例において、リン塩はリン酸アンモニウムであってもよく、Al、TiO及びリン酸アンモニウムの質量比は、(0.02~0.04):(0.3~0.45):(1.13~1.17)であってもよく、その結果、Al、TiO及びリン塩が高い変換率を有するだけでなく、反応により得られたLATPコーティング材料が高いイオン伝導度、非常に低い多孔性、優れた化学的及び熱力学的安定性、及びリチウムイオンの移動に最適な3次元フレームワークのサイズを有することができ、これにより、コーティング層材料は、正極片と固体電解質層の間の表面電荷層の効果及び電池の分極をよりよく低減し、リチウムイオンが迅速に移動できることを確保し、固体電池の倍率性能及びサイクル性能を著しく改善することができる。
【0077】
一実施例において、第2の焼成処理は、O/N雰囲気下、400~900℃で4~12時間行って完了してもよく、O/N雰囲気下での酸素含有量は0.5~20v%であってもよく、例えば、酸素含有量は10v%などであってもよい。発明者は、該過程における高い酸素含有量によってコーティング材料の結晶構造においてチタン酸リチウム(LTO)などの他の化合物を生成することにより、電池性能を低下させることを発見し、本実施例では、上記焼成条件を制御することにより、正極材料のコーティング層に過剰な不純物化合物の生成を効果的に回避することができ、その結果、コーティング層は、正極片と固体電解質層の間の表面電荷層の効果及び電池の分極をよりよく低減し、リチウムイオンが迅速に移動できることを確保し、固体電池の倍率性能及びサイクル性能を著しく改善することができる。
【0078】
一実施例において、正極複合材料の粒径は3ミクロン以下であってもよい。これにより、正極複合材料、固体硫化物電解質及び導電剤の完全な混合にさらに寄与することができる。
【0079】
一実施例において、LATPコーティング層の厚みは1nm~5μmであってもよく、例えば、10nm、100nm、200nm、500nm、1μm、2μm又は5μmなどであってもよく、本発明者は、LATPコーティング層の厚みが薄すぎると、正極材料へのコーティング効果が弱く、固体硫化物電解質層と正極材料の間の反応活性を低下させる効果が明らかでなく、LATPコーティング層の厚みが厚すぎると、リチウムイオンの輸送速度を著しく低下させ、固体電池の電気化学的性能に影響を及ぼすことを発見し、本実施例では、アルミニウムで置き換えたLTP(リン酸チタンアルミニウム)を正極材料の表面のコーティング材料としてLATPコーティング層の厚みを1nm~5μmに制御することにより、コーティング層の厚みが厚すぎることによるリチウムイオン輸送への悪影響を効果的に回避し、表面電荷層の効果を著しく低下させ、リチウムイオンの迅速な移動を確保し、電池の分極を低減することができる。
【0080】
一実施例において、LATPコーティング層の厚みは30~80nmであってもよく、例えば、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm又は80nmなどであってもよく、本発明者は、LATPコーティング層の厚みがナノレベル、特に約50nmであるとき、表面電荷層の効果がより低く、且つリチウムイオンの移動速度がより速やかであることをさらに発見し、これにより、固体電池の倍率性能及びサイクル性能をさらに向上させることができる。
【0081】
一実施例において、LATPコーティング層の含有量は正極材料の0.01~15wt%であってもよく、例えば、0.1wt%、0.5wt%、1wt%、3wt%、5wt%、7wt%、9wt%、12wt%又は15wt%などであってもよく、本発明者は、LATPコーティング層と正極材料の質量比を制御することによりLATPコーティング層の厚みを調整可能であることを発見し、本実施例では、LATPコーティング層を上記含有量に制御することにより、LATPコーティング層の厚みを1nm~5μmに維持し、これにより、正極片と固体電解質層の間の表面電荷層の効果を著しく低下させ、リチウムイオンの迅速な移動を確保し、電池の分極を低減することができる。本開示の一つの具体的実施例によれば、同じ条件下で、コーティングされていないNCM811と比較して、LATPコーティング層の含有量が正極材料NCM811の約1wt%である全固体電池は、室温及70℃での電気化学的性能がすべて著しく向上する。
【0082】
一実施例において、LATPコーティング層は、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、LiPO、LiHPO、LiTi(PO及びLiPOから選ばれる少なくとも一種を含んでもよい。
【0083】
一実施例において、LATPはLi1.3Al0.3Ti1.7(POであってもよくLi1.3Al0.3Ti1.7(POは、非常に高いイオン伝導度、非常に低い多孔性、優れた化学的及び熱力学的安定性、及びリチウムイオンの移動に最適な3次元フレームワークのサイズを有し、したがって、コーティング層材料としてLi1.3Al0.3Ti1.7(POを使用することは、正極片と固体電解質層の間の表面電荷層の効果及び電池の分極を低減し、リチウムイオンの迅速な移動を確保することにより寄与し、これにより固体電池の倍率性能及びサイクル性能をさらに向上させることができる。
【0084】
一実施例において、正極材料はAを含んでもよく、ただし、0<a≦6、0<b≦4、2≦y≦5であり、Aはリチウムを含むアルカリ金属元素であり、Mは、遷移金属、マグネシウム、カルシウム、ホウ素、バリウム、アルミニウム及びホウ素の元素から選ばれる少なくとも一種である。
【0085】
一実施例において、遷移金属は、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム及び銅から選ばれる少なくとも一種である。
【0086】
一実施例において、正極材料は、LiMn、LixMnO、LixCoO、Li、LiNiO、LiNiCo、LiNiMn及びLiCoMnから選ばれる少なくとも一種を含んでもよく、ただし、0.1<x≦2、0<y≦2、0<z≦2、0.5<y+z≦2である。これにより、固体電池の倍率性能及びサイクル性能をさらに向上させることができる。
【0087】
一実施例において、正極材料は、LiMn、LiMnO、LiCoO、Li、LiNiO、LiNiCo、LiNiMn、LiCoMn、V、V、TiS、V、NbSe及びMoSから選ばれる少なくとも一種を含んでもよく、ただし、0.1<x≦2、0<y≦2、0<z≦2、0.5<y+z≦2である。
【0088】
一実施例において、前記正極材料は、NCM811などの高ニッケルのニッケルコバルトマンガン三元正極材料であり、高ニッケルのニッケルコバルトマンガン三元正極材料は、比容量が高く、コストが低く、安全性がよいなどの利点を有し、固体電池の総合性能の向上にさらに寄与することができる。
【0089】
S300は、固体硫化物電解質を提供して正極複合材料、固体硫化物電解質及び導電剤を混合して正極片を製造するステップである。
【0090】
一実施例において、固体硫化物電解質は、ハロゲン元素を含む硫化物固体電解質及びハロゲン元素を含まない硫化物固体電解質の少なくとも一種であってもよい。
【0091】
一実施例において、ハロゲン元素を含む硫化物固体電解質はLiClαBrβγを含んでもよく、ただし、5<k≦6、0.5<m≦1.5、4<n≦6、0<α<1、0≦β<1、0≦γ<1、α+β+γ=1であり、且つβとγは同時にゼロではなく、発明者は、電気陰性度がより低いBrとIの少なくとも一種を用いて電解質LiSnClにおけるClを置き換えることにより、より低い反応活性につながり、電荷散逸をある程度低減するが、Clを完全に置き換えると、電解質のイオン伝導度の低下につながることを発見し、したがって、ハロゲンのCl、Br及びIの含有量が異なる一連の固体電解質LiSnClαBrβγを使用することにより、固体硫化物電解質層と正極材料の間の反応活性をさらに低下させるだけでなく、イオン伝導度に顕著な悪影響を与えず、固体硫化物電解質層が高い導電性、良好な機械的特性、及び優れた化学的及び熱力学的安定性を有することを確保し、これにより、室温及び高温での固体電池の倍率性能及びサイクル性能をさらに向上させることができる。
【0092】
一実施例において、硫化物固体電解質LiSnClαBrβγにおいて、α、β、γの係数比は(4~10):(0~5):(0~5)であってもよく、例えば、α、β、γの係数比は、5:2:3、5:3:2、6:1:3、6:2:2、6:3:1、7:1:2、7:2:1、8:0.5:1.5、8:1:1、8:1.5:0.5、9:0.5:0.5などであってもよく、発明者は、BrとIの少なくとも一種が塩素を完全に置き換えると、硫化物固体電解質LiSnClαBrβγのイオン伝導度が低下し、さらにリチウムイオンの移動速度が低下することにつながることを発見し、本開示では、α、β、γの係数比を(4~10):(0~5):(0~5)に制御することにより、LiSnClαBrβγの反応活性を低下させることを前提として、そのイオン伝導度の顕著な低下を回避することができる。
【0093】
一実施例において、LiSnClαBrβγにおいて、BrとIの総含有量はハロゲン元素の総含有量の15~25mol%であってもよく、例えば、15mol%、18mol%、20mol%又は25mol%などであってもよく、これにより、LiSnClαBrβγの反応活性を低下させるだけでなく、そのイオン伝導度に影響を与えないことができる。
【0094】
一実施例において、LiClαBrβγ、Li11、Li9.54Si1.741.4411.7Cl0.3、Li10SnP12、LiPSCl、LiS-P、LiPS、75LiS-25P、90LiPS-10ZnO、9LiS-3P-1Ni、60LiS-25P-10LiN、78LiS-22P、80(0.7LiS-0.3P)-20LiI、99(70LiS-30P)-1LiZrO、Li2.910.85Mo0.01、Li2.910.85Mo0.01、70LiS-29P-1LiPO、70LiS-29P-1P、90(0.7LiS-0.3P)-10LiBr、75LiS-23P-2PSe、95(0.8LiS-0.2P)-5LiI、Li10.35[Sn0.27Si1.08]P1.6512、Li10GeP12及びLi11AlP12の少なくとも一種である。
【0095】
一実施例において、固体硫化物電解質はLiClαBrβγであってもよく、固体硫化物電解質層はLiClαBrβγ層であってもよく、これにより、室温及び高温での固体電池の倍率性能及びサイクル性能をさらに向上させることができる。
【0096】
一実施例において、固体硫化物電解質はLiPSClαBrβγであってもよく、ただし、0<α<1、0≦β<1、0≦γ<1、α+β+γ=1であり、βとγは同時にゼロではなく、且つα、β、γの係数比は(4~10):(0~5):(0~5)であってもよく、したがって、固体硫化物電解質層と正極材料の間の反応活性をさらに低下させ、固体硫化物電解質のイオン伝導度に顕著な悪影響を与えることを回避し、固体硫化物電解質層が高い導電性、良好な機械的特性、及び優れた化学的及び熱力学的安定性を有することを確保し、これにより、室温及び高温での固体電池の倍率性能及びサイクル性能をさらに向上させることができる。
【0097】
一実施例において、固体硫化物電解質はLiClαBrβγであってもよく、例えば、LiPSClαBrβγなどであってもよい。
【0098】
一実施例において、固体硫化物電解質LiClαBrβγは以下の方法で得ることができる。固体硫化物電解質LiClαBrβγを得るように、不活性雰囲気下で、リチウム塩、リン塩、硫黄塩及びハロゲン元素を有する塩を混合して第3の焼成処理を行う。そのうち、第3の焼成処理は、0.2~5℃/minの昇温速度、200~800℃で2~4時間行って完了してもよい。これにより、固体硫化物電解質LiClαBrβγを効果的に製造するだけでなく、過剰な不純物相の生成を回避することができる。
【0099】
一実施例において、不活性雰囲気下でLiS、P及びLiXを混合して第3の焼成処理を行ってもよく、ただし、XはCl、Br及びIから選ばれる少なくとも一種であってもよく、LiS、P及びLiXのモル比は5:1:1であってもよく、Cl、Br及びIのモル比は(4~10):(0~5):(0~5)であってもよく、その結果、製造された固体硫化物電解質と正極材料の間の反応活性をさらに低下させ、固体硫化物電解質のイオン伝導性に顕著な悪影響を与えることを回避し、固体硫化物電解質層が高い導電性、良好な機械的特性、及び優れた化学的及び熱力学的安定性を有することを確保し、これにより、室温及び高温での固体電池の倍率性能及びサイクル性能をさらに向上させることができる。
【0100】
一実施例において、前記固体硫化物電解質と前記正極複合材料の質量比は1:(7~10)であり、好ましくは1:(8~9)であり、その結果、固体硫化物電解質層と正極材料の間の反応活性をさらに低下させるだけでなく、正極片と固体電解質層の間の界面インピーダンスを著しく低減し、これにより、室温及び高温での固体電池の倍率性能及びサイクル性能をさらに向上させることができる。
【0101】
S400は、固体硫化物電解質層を製造して正極片、固体硫化物電解質層及び負極片を用いて固体電池を製造するステップである。
【0102】
一実施例において、正極複合材料、LiClαBrβγ及び導電剤を混合して正極片を製造し、LiClαBrβγを用いて固体硫化物電解質層を製造し、正極片、固体硫化物電解質層及び負極片を用いて固体電池を製造することができる。これにより、室温及び高温での固体電池の倍率性能及びサイクル性能を向上させることができる。
【0103】
本開示の負極片のタイプは特に限定されず、当業者は実際の必要に応じて選択可能である。
【0104】
一実施例において、負極片はリチウム片、リチウムインジウム合金、黒鉛、シリコン、シリコン合金及びシリカの少なくとも一種であってもよく、例えば、単一種でも複数種の物質の混合物であってもよく、例えば、シリカと黒鉛の混合物、又はシリカ、黒鉛及びシリコンの混合物であってもよい。
【0105】
一実施例において、固体電池では、固体硫化物電解質はLiSnClαBrβγであってもよく、導電剤は、炭素材料、例えば、カーボンナノチューブ又は超伝導カーボンブラックなどであってもよく、正極材料は高ニッケルの正極材料であってもよく、LATPコーティング層はLi1.3Al0.3Ti1.7(POコーティング層であってもよく、そのうち、LiSnClαBrβγは、高い導電性、良好な機械的特性及び適切な反応活性を有し、高ニッケル正極材料によく適合可能であり、且つLiSnClαBrβγは高ニッケルの正極材料と反応せず、上記の特徴を有する固体電池は、室温及び70℃の場合で電気化学的性能がいずれも著しく向上し、よい倍率性能及びサイクル性能を有する。
【0106】
また、なお、本開示の第1のリチウム塩、第2のリチウム塩のタイプは特に限定されず、当業者は実際の必要に応じて選択可能である。
【0107】
本開示は一実施例において車両を提供しており、該車両は上記固体電池又は上記製造方法を用いて得られた固体電池を有する。本開示の車両は安全性がより高く、電池の耐用年数がより長い。
【0108】
以下は、本開示の典型的であるが非限定的な実施例である。
【0109】
実施例1
(1)水酸化物共沈法によってNi0.83Co0.08Mn0.09(OH)前駆体を合成し、水酸化リチウムと前駆体とを1.05:1のモル比で混合してから、混合物を750℃で10時間焼成し、得られた正極材料をNCM-811と名付けた。粒径が3μm未満になるまで該焼成した粉末材料を乳鉢で研磨するか、又は超遠心研磨粉砕機で粉砕した後、サンプルの残留アルカリ含有量をテストし、テスト結果は、残留されたリチウム塩の含有量が0.07mol%であることを示し、これを、その後のLATPコーティング層のその場生成の指向剤とした。
【0110】
(2)ステップ(1)で得られた正極材料100gを計量し、また、第2のリチウム塩としたLiCO(0.18g)、Al(0.02g)、TiO(0.35g)及び(NHPO(1.15g)を計量し、そのうち、LiCO、Al、TiO及び(NHPOはすでにナノ研磨機でナノ粒子(<50nm)に研磨された。LiCO、Al、TiO及び(NHPOを乳鉢で十分に研磨して混合してから、高速ミキサーで十分に均一になるまで正極材料と混合した。混合した材料を700℃の焼成炉に入れて酸素含有量1v%のO/N雰囲気下で8時間焼成し、続いて研磨してふるいにかけ、LATPでコーティングされたNCM-811の正極複合材料を得た。
【0111】
(3)ハロゲン元素の比率が異なるLiPSCl0.8Br0.10.1を製造し、アルゴンで満たされたグローブボックスで、LiS、P及びLiX(X=Cl、Br、I)を計量し、各原料のモル比はLiS:LiX:P=5:2:1であり、そのうち、LiCl:LiBr:LiIの三者間のモル比は8:1:1であり、上記原料を遊星ボールミルに入れて、回転速度を200回転/時間に設定し、混合した原料を石英容器に注入して焼成炉に入れ、焼成温度を700℃、昇温速度を3℃/min、焼成時間を12hに設定した。焼成後に一定の速度の8℃/minで降温するか、又は自然降温に設定した。
【0112】
(4)LATPでコーティングされたNCM-811の正極複合材料粉末と、固体電解質LiPSCl0.8Br0.10.1と、炭素材料(VGCF,気相成長炭素繊維)とを70:25:5の質量比で混合し、正極片を製造し、2.5mgのLiPSCl0.8Br0.10.1及び0.5mgのVGCF炭素材料を含む瑪瑙乳鉢に7mgのLATPでコーティングされた正極材料を混合した。その後、複合正極粉末を10mmの直径を有する型電池に移した。続いて、室温で70barの圧力を印加することにより該複合材料を片状にプレスして正極片を得た。
【0113】
(5)正極片を製造した後に、100mgのLiPSCl0.8Br0.10.1を型電池に加え、7barの圧力で再プレスして固体電解質層を形成した。
【0114】
(6)圧力を解放した後に、リチウム/インジウム合金の負極を電解質の頂部に配置して電池構造を完了した。最後に、すべてのコンポーネントを70barの圧力で一緒にプレスして正常に動作できる固体電池を形成した。
【0115】
実施例2
(1)水酸化物共沈法によってNi0.83Co0.08Mn0.09(OH)前駆体を合成し、水酸化リチウムと前駆体とを1.05:1のモル比で混合してから、混合物を750℃で10時間焼成し、得られた正極材料をNCM-811と名付けた。粒径が3μm未満になるまで該焼成した粉末材料を乳鉢で研磨するか、又は超遠心研磨粉砕機で粉砕した後、サンプルの残留アルカリ含有量をテストし、テスト結果は、残留されたリチウム塩の含有量が0.07mol%であることを示し、これを、その後のLATPコーティング層のその場生成の指向剤とした。
【0116】
(2)ステップ(1)で得られた正極材料100gを計量し、また、第2のリチウム塩としたLiCO(0.18g)、Al(0.02g)、TiO(0.35g)及び(NHPO(1.15g)を計量し、そのうち、LiCO、Al、TiO及び(NHPOはすでにナノ研磨機でナノ粒子(<50nm)に研磨された。LiCO、Al、TiO及び(NHPOを乳鉢で十分に研磨して混合してから、高速ミキサーで十分に均一になるまで正極材料と混合した。混合した材料を700℃の焼成炉に入れて酸素含有量1v%のO/N雰囲気下で8時間焼成し、続いて研磨してふるいにかけ、LATPでコーティングされたNCM-811の正極複合材料を得た。
【0117】
(3)ハロゲン元素の比率が異なるLiPSClを製造し、アルゴンで満たされたグローブボックスで、LiS、P及びLiClを計量し、各原料のモル比はLiS:LiCl:P=5:2:1であり、上記原料を遊星ボールミルに入れて、回転速度を200回転/時間に設定し、混合した原料を石英容器に注入して焼成炉に入れ、焼成温度を700℃、昇温速度を3℃/min、焼成時間を12hに設定した。焼成後に一定の速度の8℃/minで降温するか、又は自然降温に設定した。
【0118】
(4)LATPでコーティングされたNCM-811の正極複合材料粉末と、固体電解質LiPSClと、炭素材料(VGCF)とを70:25:5の質量比で混合し、正極片を製造し、2.5mgのLiPSCl及び0.5mgのVGCF炭素材料を含む瑪瑙乳鉢に7mgのLATPでコーティングされた正極材料を混合した。その後、複合正極粉末を10mmの直径を有する型電池に移した。続いて、室温で70barの圧力を印加することにより該複合材料を片状にプレスして正極片を得た。
【0119】
(5)正極片を製造した後に、100mgのLiPSClを型電池に加え、7barの圧力で再プレスして固体電解質層を形成した。
【0120】
(6)圧力を解放した後に、リチウム/インジウム合金の負極を電解質の頂部に配置して電池構造を完了した。最後に、すべてのコンポーネントを70barの圧力で一緒にプレスして正常に動作できる固体電池を形成した。
【0121】
実施例3
(1)水酸化物共沈法によってNi0.83Co0.08Mn0.09(OH)前駆体を合成し、水酸化リチウムと前駆体とを1.12:1のモル比で混合してから、混合物を875℃で8時間焼成し、得られた正極材料をNCM-811と名付けた。粒径が3μm未満になるまで該焼成した粉末材料を乳鉢で研磨するか、又は超遠心研磨粉砕機で粉砕した後、サンプルの残留アルカリ含有量をテストし、テスト結果は、残留されたリチウム塩の含有量が0.07mol%であることを示し、これを、その後のLATPコーティング層のその場生成の指向剤とした。
【0122】
(2)ステップ(1)で得られた正極材料100gを計量し、また、第2のリチウム塩としたLiCO(0.18g)、Al(0.02g)、TiO(0.35g)及び(NHPO(1.15g)を計量し、そのうち、LiCO、Al、TiO及び(NHPOはすでにナノ研磨機でナノ粒子(<50nm)に研磨された。LiCO、Al、TiO及び(NHPOを乳鉢で十分に研磨して混合してから、高速ミキサーで十分に均一になるまで正極材料と混合した。混合した材料を680℃の焼成炉に入れて酸素含有量5v%のO/N雰囲気下で6時間焼成し、続いて研磨してふるいにかけ、LATPでコーティングされたNCM-811の正極複合材料を得た。
【0123】
(3)ハロゲン元素の比率が異なるLiPSClを製造し、アルゴンで満たされたグローブボックスで、LiS、P及びLiX(X=ClとBr)を計量し、各原料のモル比はLiS:LiX:P=5:1:1であり、ClとBrのモル比は5:2であり、上記原料を遊星ボールミルに入れて、回転速度を200回転/時間に設定し、混合した原料を石英容器に注入して焼成炉に入れ、焼成温度を600℃、昇温速度を2℃/min、焼成時間を4hに設定した。焼成後に一定の速度の5℃/minで降温するか、又は自然降温に設定した。
【0124】
(4)LATPでコーティングされたNCM-811の正極複合材料粉末と、固体電解質LiPSClと、炭素材料(VGCF)とを90:10:5の質量比で混合し、正極片を製造し、2.5mgのLiPSCl及び0.5mgのVGCF炭素材料を含む瑪瑙乳鉢に7mgのLATPでコーティングされた正極材料を混合した。その後、複合正極粉末を10mmの直径を有する型電池に移した。続いて、室温で70barの圧力を印加することにより該複合材料を片状にプレスして正極片を得た。
【0125】
(5)正極片を製造した後に、100mgのLiPSClを型電池に加え、7barの圧力で再プレスして固体電解質層を形成した。
【0126】
(6)圧力を解放した後に、リチウム/インジウム合金の負極を電解質の頂部に配置して電池構造を完了した。最後に、すべてのコンポーネントを70barの圧力で一緒にプレスして正常に動作できる固体電池を形成した。
【0127】
実施例4
(1)水酸化物共沈法によってNi0.83Co0.08Mn0.09(OH)前駆体を合成し、水酸化リチウムと前駆体とを1.05:1のモル比で混合してから、混合物を750℃で10時間焼成し、得られた正極材料をNCM-811と名付けた。粒径が3μm未満になるまで該焼成した粉末材料を乳鉢で研磨するか、又は超遠心研磨粉砕機で粉砕した後、サンプルの残留アルカリ含有量をテストし、テスト結果は、残留されたリチウム塩の含有量が0.07mol%であることを示し、これを、その後のLATPコーティング層のその場生成の指向剤とした。
【0128】
(2)ステップ(1)で得られた正極材料100gを計量し、また、第2のリチウム塩としたLiCO(0.18g)、Al(0.02g)、TiO(0.35g)及び(NHPO(1.15g)を計量し、そのうち、LiCO、Al、TiO及び(NHPOはすでにナノ研磨機でナノ粒子(<50nm)に研磨された。LiCO、Al、TiO及び(NHPOを乳鉢で十分に研磨して混合してから、高速ミキサーで十分に均一になるまで正極材料と混合した。混合した材料を700℃の焼成炉に入れて酸素含有量1v%のO/N雰囲気下で8時間焼成し、続いて研磨してふるいにかけ、LATPでコーティングされたNCM-811の正極複合材料を得た。
【0129】
(3)ハロゲン元素の比率が異なるLiPSClを製造し、アルゴンで満たされたグローブボックスで、LiS、P及びLiX(X=ClとI)を計量し、各原料のモル比はLiS:LiX:P=5:1:1であり、ClとIのモル比は10:3であり、上記原料を遊星ボールミルに入れて、回転速度を200回転/時間に設定し、混合した原料を石英容器に注入して焼成炉に入れ、焼成温度を700℃、昇温速度を3℃/min、焼成時間を12hに設定した。焼成後に一定の速度の8℃/minで降温するか、又は自然降温に設定した。
【0130】
(4)LATPでコーティングされたNCM-811の正極複合材料粉末と、固体電解質LiPSClと、炭素材料(VGCF)とを70:25:5の質量比で混合し、正極片を製造し、2.5mgのLiPSCl及び0.5mgのVGCF炭素材料を含む瑪瑙乳鉢に7mgのLATPでコーティングされた正極材料を混合した。その後、複合正極粉末を10mmの直径を有する型電池に移した。続いて、室温で70barの圧力を印加することにより該複合材料を片状にプレスして正極片を得た。
【0131】
(5)正極片を製造した後に、100mgのLiPSClを型電池に加え、7barの圧力で再プレスして固体電解質層を形成した。
【0132】
(6)圧力を解放した後に、リチウム/インジウム合金の負極を電解質の頂部に配置して電池構造を完了した。最後に、すべてのコンポーネントを70barの圧力で一緒にプレスして正常に動作できる固体電池を形成した。
【0133】
比較例1
(1)水酸化物共沈法によってNi0.83Co0.08Mn0.09(OH)前駆体を合成し、水酸化リチウムと前駆体とを1.05:1のモル比で混合してから、混合物を750℃で10時間焼成し、得られた正極材料をNCM-811と名付けた。粒径が3μm未満になるまで該焼成した粉末材料を乳鉢で研磨するか、又は超遠心研磨粉砕機で粉砕した。
【0134】
(2)ハロゲン元素の比率が異なるLiPSClを製造し、アルゴンで満たされたグローブボックスで、LiS、P及びLiClを計量し、各原料のモル比はLiS:LiCl:P=5:2:1であり、上記原料を遊星ボールミルに入れて、回転速度を200回転/時間に設定し、混合した原料を石英容器に注入して焼成炉に入れ、焼成温度を700℃、昇温速度を3℃/min、焼成時間を12hに設定した。焼成後に一定の速度の8℃/minで降温するか、又は自然降温に設定した。
【0135】
(3)正極材料NCM-811の粉末と、固体電解質LiPSClと、炭素材料(VGCF)を70:25:5の質量比で混合し、正極片を製造し、2.5mgのLiPSCl及び0.5mgのVGCF炭素材料を含む瑪瑙乳鉢に7mgの正極材料を混合した。その後、複合正極粉末を10mmの直径を有する型電池に移した。続いて、室温で70barの圧力を印加することにより該複合材料を片状にプレスして正極片を得た。
【0136】
(4)正極片を製造した後に、100mgのLiPSClを型電池に加え、7barの圧力で再プレスして固体電解質層を形成した。
【0137】
(5)圧力を解放した後に、リチウム/インジウム合金の負極を電解質の頂部に配置して電池構造を完了した。最後に、すべてのコンポーネントを70barの圧力で一緒にプレスして正常に動作できる固体電池を形成した。
【0138】
実施例及び比較例1で製造された固体電池の評価
1、形態及び元素特徴の分析
1)実施例で製造された正極複合材料(LATPでコーティングされたNCM-811)と、比較例1で製造された正極材料NCM-811に対して、それぞれSEMテストを行い、テスト結果をそれぞれ図2~5に示した。そのうち、図2及び図3は、本開示の一実施例で製造された正極複合材料のSEM図であり、図4及び図5は比較例1で製造された正極材料のSEM図であった。
【0139】
図2~3と図4~5を比較すると、図2及び図3のNCM-811の表面に均一にコーティングされた粒子の層があり、これは、実施例のその場合成法が、正極材料NCM-811に均一なコーティング層構造を成功に形成したことを示していることが分かった。
【0140】
2)本開示の一実施例で製造された正極複合材料(LATPでコーティングされたNCM-811)に対して、EDS走査テストを行い、そのうち、図6は本開示の一実施例で製造された正極複合材料のEDSスペクトルであった。
【0141】
図6から、正極材料NCM-811の表面にLATPコーティング材料が形成されていることが分かった。
【0142】
3)本開示の一実施例で製造された正極複合材料(LATPでコーティングされたNCM-811)に対して、XPSテストを行い、そのうち、図7(a)、7(b)、7(c)、7(d)、7(e)、7(f)、7(g)は、本開示の一実施例で製造された正極複合材料のXPSスペクトル図であった。そのうち、図7(a)のTM-Oは正極複合材料におけるニッケルコバルトマンガンと酸素の間に形成された化学結合を表し、図7(b)は異なる原子価状態でのTiと酸素の結合エネルギーであり、図7(c)はLi-P-OとAl-P-O結合信号を含むP-O結合を検知した信号であり、図7(f)はAl-O結合を検知した信号であり、図7(d)は894~845eVの特定の領域にあるNi2p信号を検知し、この領域に異なる配位環境でのNiδ+、2価、3価、4価などが含まれ、図7(d)では、異なる原子価状態でのNiの状態を示し、同様に、図7(e)は異なる配位環境でのCoの状態を示し、図7(g)は異なる配位環境でのMnの状態を示した。
【0143】
図7のXPSスペクトル図の分析によると、正極材料NCM-811の表面にアルミニウム元素、チタン元素、リン元素が存在することが確認された。XPSスペクトルによって、材料の酸素結合エネルギー領域に2~3個の酸素元素種が存在することを示し、これは、逆にNCM-811の表面におけるコーティング材料の存在が確認された。
【0144】
2、電気化学的評価
実施例1、実施例2及び比較例1で製造された固体電池の充放電性能、倍率性能及びサイクル性能をそれぞれテストした。
【0145】
1)それぞれ、室温(RT)及び70℃で0.1Cの充放電倍率で固体電池の初期性能を評価し、テスト結果を図8~9及び表1に示し、そのうち、図8は実施例2で製造された固体電池の初期性能のテスト図であり、図9は本開示の一実施例及び比較例1で製造された固体電池の初期性能のテスト図であった。
【0146】
図8~9及び表1に示すように、LATPコーティング層を有する正極材料NCM-811は、室温(25℃)及び70℃での初期充放電容量がいずれも著しく向上し、また、固体電解質LiPSClと比較すると、BrとIの置換を含む固体電解質LiPSClαBrβγは、固体電池の初期充放電容量をさらに向上させることができる。
【0147】
表1 実施例1~実施例4及び比較例1で製造された固体電池の初期性能
【表1】
【0148】
2)それぞれ、室温及び70℃で、それぞれ0.5C/1.0C(0.5C充電、1C放電)の充放電倍率で50回の充放電サイクルを行った後に固体電池のサイクル性能を評価し、テスト結果を図10及び図11に示し、そのうち、図10は本開示の一実施例で製造された固体電池のサイクル性能のテスト図であり、図11は本開示の一実施例及び比較例1で製造された固体電池のサイクル性能のテスト図であった。
【0149】
図10及び図11に示すように、0.5C/1.0Cの充放電倍率で50回の充放電サイクルを行った後に、LATPコーティング層を有する正極材料NCM-811は、室温(25℃)及び70℃での容量保持率がいずれも90%以上であり、サイクル安定性がよく、且つ50回の充放電サイクルにおいて、LATPコーティング層を有する正極材料NCM-811は70℃での放電容量がいずれも200mAh/g以上であり、室温での放電容量がいずれも150mAh/g以上であった。これにより、正極材料のサイクル性能がLATPによる表面変性後に著しく向上することを示した。また、固体電解質LiPSClと比較すると、BrとIの置換を含む固体電解質LiPSClαBrβγを用いることで、さらに固体電池の放電比容量を向上させ、サイクル性能を改善することができる。
【0150】
結果と結論
1、本開示の上記実施例は、その場合成法を用いて正極材料にLATPコーティング層を成功に形成することができる。
【0151】
2、コーティングされていない正極材料と比較すると、LATPを用いて正極材料に対して表面コーティングした後に、それが室温及び70℃での電気化学的性能(倍率性能及びサイクル性能を含む)がいずれも著しく向上し、このような性能改善は正極材料上でイオン伝導性及び非反応性の表面コーティングを作成することにより達成され、これは、LATPコーティングは正極片と固体硫化物電解質の間の反応活性を低下させることに寄与し、且つ電解質層と正極片の間に空間電荷層の形成を回避することができることを示した。
【0152】
3、固体硫化物電解質LiClと比較すると、異なるハロゲン元素の含有量を有する固体硫化物電解質LiClαBrβγは、より高い導電性及びより低い反応活性を有し、且つ表面電荷層の効果の低下にさらに寄与し、正極材料によりよく適合させることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e
図7f
図7g
図8
図9
図10
図11