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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】回転操作子及び音響装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 3/10 20060101AFI20240827BHJP
   G05G 1/12 20060101ALI20240827BHJP
   H01H 19/14 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H01H3/10
G05G1/12 B
H01H19/14
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022579301
(86)(22)【出願日】2021-02-08
(86)【国際出願番号】 JP2021004605
(87)【国際公開番号】W WO2022168316
(87)【国際公開日】2022-08-11
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】315017409
【氏名又は名称】AlphaTheta株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 健司
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-109239(JP,U)
【文献】実開昭64-054113(JP,U)
【文献】特開平02-100302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 3/00- 7/16
G05G 1/12
H01H 19/00-21/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転部材と、
第1の方向から前記回転部材に被せられる操作ノブと、
前記第1の方向において前記回転部材とは反対側で前記操作ノブに嵌合する第1の部分、および前記第1の方向に直交する第2の方向に延びて前記回転部材に係合する第2の部分を含む係止部材と、を備え
前記回転部材は、
前記操作ノブが被せられる回転軸部と、
前記回転軸部を覆い、前記回転軸部と一体的に回転するカバーとを含み、
前記係止部材は、前記カバーと前記操作ノブとを係止する、回転操作子。
【請求項2】
請求項1に記載の回転操作子において、
前記第1の方向は、前記回転部材の回転軸に沿う方向である、回転操作子。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の回転操作子において、
前記第1の部分の少なくとも一部は、前記係止部材が前記操作ノブに嵌合したときに、前記操作ノブの外部に露出する露出部を含む、回転操作子。
【請求項4】
請求項3に記載の回転操作子において、
前記露出部は、前記操作ノブの前記回転部材とは反対側の面に露出する、回転操作子。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の回転操作子において、
前記露出部は、前記操作ノブの前記回転部材とは反対側の面で前記回転部材の回転軸と交差する位置から前記回転軸に直交する方向に延出している、回転操作子。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の回転操作子を備える音響装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転操作子及び音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な装置において回転操作子が用いられている。例えば、特許文献1には、操作ノブが取り付けられる回転軸の寸法精度を高めることができ、操作ノブの取り付けが確実な回転型電気部品が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-179882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転操作子に関しては、寸法精度の要望だけでなく、用途に応じて様々な要望がある。例えば、音響装置に用いられる回転操作子では、ユーザーであるDJ等が激しく操作しても簡単に抜けたり破損したりしない耐久性、および演奏性を高める操作感に関する要望が多い。そこで、例えば、簡単に抜けないように回転軸と操作ノブとの間の摩擦力を大きくすると、操作ノブを回転軸に取り付ける際に過大な力が必要になることにより生産性の低下、および回転軸を含む部品の破損等の問題が発生する場合がある。また、消耗部品の交換やカスタマイズのために回転操作子の交換を容易に行いたいという要望もあるため、操作ノブの取り付けに過大な力が必要になることは望ましくない。
本発明は、耐久性および操作感を維持しつつ、取り付けおよび取り外しが容易な回転操作子、および回転操作子を備える音響装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]回転部材と、第1の方向から前記回転部材に被せられる操作ノブと、第1の方向において回転部材とは反対側で操作ノブに嵌合する第1の部分、および第1の方向に直交する第2の方向に延びて回転部材に係合する第2の部分を含む係止部材と、を備える回転操作子。
[2][1]に記載の回転操作子において、第1の方向は、回転部材の回転軸に沿う方向である、回転操作子。
[3][1]または[2]に記載の回転操作子において、第1の部分の少なくとも一部は、係止部材が操作ノブに嵌合したときに、操作ノブの外部に露出する露出部を含む、回転操作子。
[4][3]に記載の回転操作子において、露出部は、操作ノブの回転部材とは反対側の面に露出する、回転操作子。
[5][3]または[4]に記載の回転操作子において、露出部は、操作ノブの回転部材とは反対側の面で回転部材の回転軸と交差する位置から回転軸に直交する方向に延出している、回転操作子。
[6][1]から[5]のいずれかに記載の回転操作子において、回転部材は、操作ノブが被せられる回転軸部と、回転軸部を覆い、回転軸部と一体的に回転するカバーとを含み、係止部材は、カバーと操作ノブとを係止する、回転操作子。
[7][1]から[6]のいずれかに記載の回転操作子を備える音響装置。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の一実施形態に係るDJミキサーの構造を示す上面図。
図2】本発明の一実施形態における操作子の構造を示す斜視図。
図3】本発明の一実施形態における操作ノブが取り付けられた状態の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて説明する。
[全体構成]
図1には、本発明の第1の実施の形態に係るDJミキサー1が示されている。DJミキサー1の入力側には、図示を略したが、アナログプレーヤー、CDプレーヤー、およびコンピュータ等の楽曲データを再生する楽曲再生装置や、DJコントローラ等の楽曲操作装置が接続される。また、DJミキサー1の出力側には、スピーカ等の音響装置が接続される。
【0008】
音響装置としてのDJミキサー1は、楽曲再生装置、楽曲操作装置で再生された音響信号となる楽曲データが入力され、入力された楽曲データに対して、エフェクト処理を行う。さらに、DJミキサー1は、エフェクト処理を行った楽曲データの増幅処理を行い、アナログ信号に変換した後、音響装置から音声を出力する。
DJミキサー1は、マイク調整部2、エフェクト処理部3、マスター調整部4、およびイコライザー調整部5を備える。
【0009】
マイク調整部2は、DJミキサー1に接続されたマイク(図示略)の出力音量の調整を行ったり、エフェクト処理部3によるエフェクト処理の開始、停止を行ったりするための操作子を含む、また、マイク調整部2には、ユーザーがヘッドホンを接続して、DJミキサー1から出力される楽曲データの出力音量をモニターするための端子を含む。具体的には、マイク調整部2は、ヘッドホン端子21、ヘッドホン音量調整部22、ミキシング調整部23、マスターエフェクト切替部24、マスターエフェクト量調整部25、マイク切替部26、マイクイコライザー調整部27、およびマイク音量調整部28を備える。
【0010】
ヘッドホン端子21には、ヘッドホンが接続され、DJミキサー1のユーザーは、ヘッドホンを介して各チャンネルから出力される楽曲データや、マスター調整部4から出力される最終的な楽曲データをモニターする。
ヘッドホン音量調整部22は、ヘッドホンから出力される音量の調整を行う。
ミキシング調整部23は、CUEボタンが押されているチャンネルの出力音量と、マスターチャンネルの出力音量とのヘッドホンから出力される音量のバランスを調整する。
【0011】
マスターエフェクト切替部24は、イコライザー調整部5に接続されるすべてのチャンネルから入力される楽曲データ全体に付与する効果を選択する。本実施の形態では、たとえば、ノイズ、スイープ、クラッシュ等の効果を選択することができる。
マスターエフェクト量調整部25は、マスターエフェクト切替部24で選択された効果の効果付与量、効果の深さを調整する。
【0012】
マイク切替部26は、DJミキサー1に接続されたマイクのオンオフを切り替える。マイクイコライザー調整部27は、マイクから出力される音響データの出力音量を、周波数に応じて調整する。
マイク音量調整部28は、マイクから出力される音響データの出力音量を調整する。
【0013】
エフェクト処理部3は、入力された楽曲データに対してエフェクト処理を行うための操作子を含む。具体的には、エフェクト処理部3は、エフェクト切替部31、チャンネル切替部32、エフェクト時間設定部33、エフェクト量調整部34、倍率設定部35、および表示部36を備える。
【0014】
エフェクト切替部31は、楽曲データに付与する効果を選択するスイッチである。これを操作することにより、たとえば、エコー、ディレー、リバーブ、フランジャー等のエフェクト処理を選択することができる。
チャンネル切替部32は、イコライザー調整部5に設けられた複数のチャンネルのうち、どのチャンネルに入力した楽曲データに効果を付与するかを選択する。
エフェクト時間設定部33は、エフェクト切替部31で選択された効果の楽曲データに付与する時間を設定する。
エフェクト量調整部34は、エフェクト切替部31で選択された効果の効果付与量、効果の深さを調整する。
【0015】
倍率設定部35は、入力された楽曲データのBPMに基づいて、効果を付与するタイミングを同期させる拍の倍率を設定する。倍率設定部35は、たとえば、楽曲データのBPMの1拍、2拍、1/2拍、1/4拍で同期させて、楽曲データに効果を付与させることができる。
表示部36は、選択された効果や、入力された楽曲データのBPMを表示して、ユーザーに視認させる。本実施の形態の場合、エフェクト切替部31により選択された効果の名称、楽曲データのBPM、倍率設定部35で設定された拍の倍率が表示される。
【0016】
マスター調整部4は、DJミキサー1から出力される効果付与、増幅された楽曲データ全体の調整を行うための操作子を含む。具体的には、マスター調整部4は、マスター音量調整部41、レベルインジケータ42、マスター音量バランス調整部43、イコライザー切替部44、チャンネルフェーダー切替部45、およびクロスフェーダー切替部46を備える。
【0017】
マスター音量調整部41は、DJミキサー1から出力される楽曲データの全体の出力音量を調整する。
レベルインジケータ42は、DJミキサー1から出力される楽曲データの左右の出力音量を表示する。
チャンネルフェーダー切替部45は、後述するチャンネルフェーダー58のカーブ特性を切り替える。
クロスフェーダー切替部46は、後述するクロスフェーダー60による切替を行った際のカーブ特性を切り替える。たとえば、クロスフェーダー切替部46では、クロスフェーダー60の切替操作に伴い、切替前と切替後をいきなり切り替えたり、切替前と切替後の間に両者を半分の音量で出力する切り替えを行ったりすることができる。
【0018】
イコライザー調整部5は、DJミキサー1に接続された楽曲再生装置から入力される楽曲データを、チャンネル毎にイコライザー処理を行うための操作子を含む。具体的には、イコライザー調整部5は、4つのチャンネル1からチャンネル4を調整する第1調整部5Aから第4調整部5Dを備える。
第1調整部5Aから第4調整部5Dには、それぞれ楽曲再生装置、楽曲操作装置が接続され、第1調整部5Aから第4調整部5Dのそれぞれについてイコライザー調整を行うことができる。第1調整部5Aから第4調整部5Dのそれぞれは、入力切替部51、入力チャンネル音量調整部52、チャンネルレベルインジケータ53、高周波域調整部54、中周波域調整部55、低周波域調整部56、エフェクト調整部57、チャンネルフェーダー58、およびクロスフェーダー切替部59を備える。また、イコライザー調整部5は、クロスフェーダー60を備える。
【0019】
入力切替部51は、DJミキサー1に接続される楽曲再生装置、楽曲操作装置の入力ソースの切り替えを行う。具体的には、入力切替部51は、DJミキサー1のフォノ端子に接続されたアナログプレーヤー、ライン端子に接続されたCDプレーヤー、USB端子に接続されたコンピュータ等の接続機器を切り替える。
入力チャンネル音量調整部52は、入力切替部51によって選択された接続機器の入力音量を調整する。
チャンネルレベルインジケータ53は、入力された接続機器からの楽曲データの入力音量を表示する。
【0020】
高周波域調整部54は、入力される楽曲データの高周波域の音量を調整する。高周波域としては、たとえば、4649Hz以上の周波数の音量を調整する。
中周波域調整部55は、入力される楽曲データの中周波域の音量を調整する。中周波域としては、たとえば、284Hzを超え、4649Hz未満の周波数の音量を調整する。
低周波域調整部56は、入力される楽曲データの低周波域の音量を調整する。低周波域としては、たとえば、284Hz以下の周波数の音量を調整する。
【0021】
エフェクト調整部57は、第1調整部5Aから第4調整部5Dのそれぞれに設定された効果付与量、効果の深さを調整する。
チャンネルフェーダー58は、第1調整部5Aから第4調整部5Dのそれぞれから出力される出力音量を調整する。
クロスフェーダー切替部59は、第1調整部5Aから第4調整部5Dの出力先を、クロスフェーダー60のA側(右側)か、B側(左側)かに切り替える。
クロスフェーダー60は、A側(右側)に切り替えられたチャンネルから出力される楽曲と、B側(左側)に切り替えられたチャンネルから出力される楽曲との切り替えを行う。
【0022】
[エフェクト調整部57の詳細構成]
図2は、エフェクト調整部57を構成する調整ノブ6の構造を示す斜視図である。調整ノブ6は、図2に示されるように、回転部材61と、回転部材61に被せられ、回転部材61に対して取り付けおよび取り外し可能な操作ノブ62と、回転部材61と操作ノブ62とを互いに係止する係止部材63とを備える。なお、少なくとも操作ノブ62と係止部材63とは異なる色または素材により構成されることにより、視覚的に識別可能であることが好ましい。
回転部材61は、操作ノブ62を被せることにより取り付け可能な回転軸部61A、および回転軸部61Aを覆い、回転軸部61Aと一体的に回転するカバー61Bを含む。カバー61Bは、その一部に、後述する係止部材63の一部を挿入可能な凹部61Cを含む。
操作ノブ62は、回転部材61の一部を挿入可能な挿入部62Aと、係止部材63の一部を挿入可能な孔部62Bと、係止部材63の一部と嵌合する溝部62Cとを含む。
係止部材63は、回転部材61とは反対側で操作ノブ62に嵌合するU字型の第1の部分63Aと、回転部材61に係合する第2の部分63Bとを含み、第1の部分63Aは露出部63Cを含む。
【0023】
以下の説明では、互いに直交する三方向をX方向、Y方向及びZ方向とする。このうち、Z方向(第1の方向)は、回転部材61の回転軸Rxに沿う方向で、かつ操作ノブ62の取り外し方向である。また、操作ノブ62は、Z方向(第1の方向)から回転部材61に被せられる。X方向(第2の方向)およびY方向は、互いに直交し、かつ操作ノブ62の取り外し方向とそれぞれ直交する方向である。
【0024】
図3は、操作ノブ62が取り付けられた状態のX-Z平面に沿う断面を示す図である。
操作ノブ62の取り付けの際には、係止部材63の第1の部分63Aのうち、第2の部分63Bと反対側の端部が、操作ノブ62の孔部62Bに挿入される。そして、係止部材63の第1の部分63Aの一部が、操作ノブ62の内側に嵌合し、係止部材63の第1の部分63Aの露出部63Cが、操作ノブ62の溝部62Cと嵌合して操作ノブ62から露出する。
さらに、回転部材61の回転軸部61Aのうち、操作ノブ62取り付け側の端部に操作ノブ62の挿入部62Aが被せられる。そして、係止部材63の第2の部分63Bが、回転部材61の凹部61Cと係合する。
【0025】
図3に示すように、操作ノブ62が回転部材61に取り付けられた状態において、係止部材63の第1の部分63Aの一部が操作ノブ62の内側に嵌合することにより、操作ノブ62と係止部材63とをガタつきが生じない程度に係止する。
また、係止部材63の第2の部分63Bは、X方向(第2の方向)に延びて回転部材61の凹部61Cと係合する。したがって、操作ノブ62が回転部材61に取り付けられた状態において、係止部材63の第2の部分63Bが、回転部材61の凹部61Cと係合することにより、係止部材63が回転部材61を係止する。その結果、係止部材63は、回転部材61側と反対側とで回転部材61と操作ノブ62とを係止する。
【0026】
この状態において、Z方向に操作ノブ62を抜こうとすると、係止部材63の第2の部分63Bの鉤状の部分が、回転部材61の凹部61Cに係合していることにより、操作ノブ62が固定されているため操作ノブ62は抜けない。つまり、係止部材63は、回転部材61と操作ノブ62とを係止する固定ピンとして機能する。
【0027】
一方、操作ノブ62の取り外しの際には、係止部材63の露出部63C付近を撓ませながら、第2の部分63BをX方向に移動させ、第2の部分63Bと回転部材61の凹部61Cとの係合を解除する。さらに、操作ノブ62の挿入部62Aから、回転部材61の回転軸部61Aのうち、操作ノブ62取り付け側の端部を離脱させる。
【0028】
図3に示すように、X方向において、係止部材63の第2の部分63Bは、回転部材61の凹部61Cから容易に離脱可能である。そして、第2の部分63Bが凹部61Cから離脱して係止部材63と回転部材61とが係合していない状態において、操作ノブ62は回転部材61からZ方向に容易に離脱することができる。
【0029】
また、図2および図3に示されるように、操作ノブ62が取り付けられた状態において、係止部材63の露出部63Cは、操作ノブ62の外部、特に回転部材61とは反対側の面に露出する。つまり、操作ノブ62の外側から係止部材63を取り付けることができるので、係止部材63の取り付け容易性が高められる。
また、図3に示すように、操作ノブ62が取り付けられた状態において、係止部材63の露出部63Cは、操作ノブ62において回転部材61の回転軸Rxと交差する位置から回転軸Rxに直交する方向であるX方向に延出している。そのため、係止部材63を、調整ノブ6の回動位置を示すポインターとして利用することができる。
【0030】
[実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るDJミキサー1では、調整ノブ6が、回転部材61と、第1の方向(Z方向)から回転部材61に被せられる操作ノブ62と、第1の方向において回転部材61とは反対側で操作ノブ62に嵌合する第1の部分63A、および第1の方向に直交する第2の方向(X方向)に延びて回転部材61に係合する第2の部分63Bを含む係止部材63とを備える。
このような構成によれば、回転操作子である調整ノブ6の耐久性および操作感を維持しつつ、目的に応じた取り付けおよび取り外しを容易に行うことができる。また、操作ノブ62と回転部材61とが異なる素材から製造されている場合であっても、温度変化の影響を抑えることが可能である。また、係止部材を利用せずに操作ノブと回転部材とを係止する場合と比較して、操作ノブ62および回転部材61における寸法精度の要求を抑えることができるため、生産性の低下の問題を低減することが期待できる。また、係止部材を利用せずに操作ノブと回転部材とを係止する場合と比較して、回転部材61に対する操作ノブ62の取り付けに関係する部分の寸法に余裕を持たせることができるため、部品の破損等のリスクを低減することが期待できる。また、係止部材63を追加するのみで、操作ノブ62と回転部材61とを係止することができるため、少ない部品点数で上述した効果を得ることができる。
特に、調整ノブ6を備える音響装置であるDJミキサー1では、ユーザーであるDJ等が激しく操作しても簡単に抜けたり破損したりしない耐久性、および演奏性を高める操作感を維持しつつ、消耗部品の交換やカスタマイズのための回転操作子の交換を容易に行うことができる。
【0031】
また、本実施形態によれば、第1の方向(Z方向)は、回転操作子である調整ノブ6の回転軸Rxに沿う方向である。そのため、第1の方向と直交する第2の方向(X方向)に延びて回転部材61に係合する係止部材63によって、回転部材61と操作ノブ62とを係止し、調整ノブ6の操作ノブ62の抜けを防ぐことができる。
【0032】
また、本実施形態によれば、第1の部分63Aの少なくとも一部は、係止部材63が操作ノブ62に嵌合したときに、操作ノブ62の外部に露出する露出部63Cを含む。そのため、操作ノブ62の外側から係止部材63の取り付けを行うことが可能となり、係止部材63の取り付け容易性を高められる。
【0033】
また、本実施形態によれば、露出部63Cは、操作ノブ62において回転部材61とは反対側の面に露出する。そのため、係止部材63を、調整ノブ6の回動位置を示すポインターとして利用することができる。したがって、係止部材63を追加しても、従来の操作ノブと同様のデザインを維持することができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、露出部63Cは、操作ノブ62の回転部材61とは反対側の面で回転部材61の回転軸Rxと交差する位置から回転軸Rxに直交する方向に延出している。そのため、係止部材63をポインターとして利用することにより、回転操作子である調整ノブ6の操作性を高められる。
【0035】
[実施形態の変形]
上記実施形態では、回転操作子として、調整ノブ6を例に挙げて説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、調整ノブ6以外の回転操作子にも本発明を同様に適用することができる。
【0036】
また、上記実施形態では、第1の方向(Z方向)は、回転操作子である調整ノブ6の回転軸Rxに沿う方向である例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、第1の方向(Z方向)、つまり操作ノブの取り外し方向が、回転操作子の回転軸に沿う方向以外の方向である回転操作子にも本発明を同様に適用することができる。また、例えば、フェーダー等に利用される直線移動するスライド操作子にも本発明を同様に適用することができる。
【0037】
また、上記実施形態では、係止部材63の第1の部分63Aの少なくとも一部は、係止部材63が操作ノブ62に嵌合したときに、操作ノブ62の外部に露出する露出部63Cを含む例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、係止部材63が回転部材61と操作ノブ62とを係止可能であれば、第1の部分63Aのすべてが操作ノブ62の外部に露出してもよいし、第1の部分63Aのすべてが操作ノブ62の外部に露出しなくてもよい。
また、係止部材63の形状は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、第2の部分63Bに回転部材61の凹部61Cと係合可能な2以上の鉤状の部分を設けてもよい。また、例えば、係止部材63を互いに取り付け可能な2以上の部材により構成してもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、露出部63Cは、操作ノブ62において回転部材61とは反対側の面に露出する例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、露出部63Cをポインターとして利用する代わりに、印刷等により操作ノブ62にポインターを付加してもよいし、操作ノブ62を多色成形することにより、ポインターを付加してもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、回転部材61は、操作ノブ62が被せられる回転軸部61Aと、回転軸部61Aを覆い、回転軸部61Aと一体的に回転するカバー61Bとを含み、係止部材63は、カバー61Bと操作ノブ62とを係止する例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、カバー61Bを備えなくてもよい。また、カバー61Bの有無にかかわらず、係止部材63が回転軸部61Aと操作ノブ62とを係止する構成としてもよい。また、カバー61Bの構成および形状は上記実施形態の例に限定されない。
【0040】
また、上記のような機能をもった音響装置は一実施形態として説明されたようなミキサーには限られず、例えばミキサーおよびプレーヤーが一体となったDJシステム、ミキサー機能を備えたDJコントローラなどであってもよい。また、本発明はDJ機器に限られず、一般的なミキサーや電子楽器などの音響装置にも本発明を同様に適用することができる。さらに、音響装置以外の各種装置にも本発明を同様に適用することができる。
【0041】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0042】
1…DJミキサー、2…マイク調整部、3…エフェクト処理部、4…マスター調整部、5…イコライザー調整部、5A…第1調整部、5D…第4調整部、7…制御部、21…ヘッドホン端子、22…ヘッドホン音量調整部、23…ミキシング調整部、24…マスターエフェクト切替部、25…マスターエフェクト量調整部、26…マイク切替部、27…マイクイコライザー調整部、28…マイク音量調整部、31…エフェクト切替部、32…チャンネル切替部、33…エフェクト時間設定部、34…エフェクト量調整部、35…倍率設定部、36…表示部、41…マスター音量調整部、42…レベルインジケータ、43…マスター音量バランス調整部、44…イコライザー切替部、45…チャンネルフェーダー切替部、46…クロスフェーダー切替部、51…入力切替部、52…入力チャンネル音量調整部、53…チャンネルレベルインジケータ、54…高周波域調整部、55…中周波域調整部、56…低周波域調整部、57…エフェクト調整部、58…チャンネルフェーダー、59…クロスフェーダー切替部、60…クロスフェーダー、61…回転部材、61A…回転軸部、61B…カバー、61C…凹部、62…操作ノブ、62A…挿入部、62B…孔部、62C…溝部、63…係止部材、63A…第1の部分、63B…第2の部分、63C…露出部。
図1
図2
図3