(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】成形用包装材及び成形ケース
(51)【国際特許分類】
B32B 15/08 20060101AFI20240827BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240827BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20240827BHJP
H01M 50/129 20210101ALI20240827BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20240827BHJP
H01M 50/122 20210101ALI20240827BHJP
H01M 50/117 20210101ALI20240827BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20240827BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20240827BHJP
H01G 11/06 20130101ALI20240827BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20240827BHJP
【FI】
B32B15/08 F
B32B27/00 H
B65D65/40 D
H01M50/129
H01M50/105
H01M50/122
H01M50/117
H01M50/121
H01M50/119
H01G11/06
H01G11/78
(21)【出願番号】P 2023007734
(22)【出願日】2023-01-23
(62)【分割の表示】P 2018118461の分割
【原出願日】2018-06-22
【審査請求日】2023-01-23
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501428187
【氏名又は名称】株式会社レゾナック・パッケージング
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】川北 圭太郎
(72)【発明者】
【氏名】南堀 勇二
(72)【発明者】
【氏名】唐津 誠
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-217726(JP,A)
【文献】特開2015-176764(JP,A)
【文献】特開2015-044626(JP,A)
【文献】特開2011-216356(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0089861(US,A1)
【文献】国際公開第2015/045887(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 15/08
B32B 27/00
B65D 65/40
H01M 50/00-50/129
H01G 11/06
H01G 11/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側層としての耐熱性樹脂延伸フィルム層と、内側層としての熱可塑性樹脂層と、これら両層間に配設された金属箔層と、を含む成形用包装材であって、
前記外側層の外面に第1易接着層を介して保護層が積層一体化され、
前記耐熱性樹脂延伸フィルム層および前記金属箔層間において前記耐熱性樹脂延伸フィルム層の内面に第2易接着層が積層され、その第2易接着層の
内側に接着剤層が積層され、
前記第1易接着
層および前記第2易接着
層は、それぞれ、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタアクリル酸エステル樹脂及びポリエチレンイミン樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂を含有し、
前記接着剤層は、ポリウレタン系ポリオール、ポリエステル系ポリオール及びポリエーテル系ポリオールからなる群より選ばれるポリオールの1種または2種以上からなる第1液と、イソシアネートからなる硬化剤の第2液とで構成される2液反応型接着剤であり、
前記保護層を構成する耐熱性樹脂は、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、フェノキシ系樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂を含有し
、
前記第1易接着層および前記第2易接着層は、同一の接着剤組成物によって構成されていることを特徴とする成形用包装材。
【請求項2】
前記第1易接着層および前記第2易接着層は、ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂を含有してなる請求項1に記載の成形用包装材。
【請求項3】
前記第1易接着層および前記第2易接着層は、前記ウレタン樹脂/前記エポキシ樹脂の含有質量比が98/2~40/60の範囲である請求項2に記載の成形用包装材。
【請求項4】
前記第1易接着層および前記第2易接着層は、アクリル酸エステル樹脂及びメタアクリル酸エステル樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上のアクリル樹脂と、エポキシ樹脂とを含有してなる請求項1に記載の成形用包装材。
【請求項5】
前記第1易接着層および前記第2易接着層において、前記アクリル樹脂/前記エポキシ樹脂の含有質量比が98/2~40/60の範囲である請求項4に記載の成形用包装材。
【請求項6】
前記第1易接着層および前記第2易接着層は、樹脂-水系エマルジョンが前記耐熱性樹脂延伸フィルム層に塗布されて形成された接着層である請求項1~5のいずれか1項に記載の成形用包装材。
【請求項7】
前記保護層は、耐熱性樹脂中に無機微粒子が分散含有された樹脂組成物からなる層である請求項1~
6のいずれか1項に記載の成形用包装材。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1項に記載の成形用包装材の深絞り成形体または張り出し成形体からなる成形ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ノートパソコン用、携帯電話用、車載用、定置型の二次電池(リチウムイオン二次電池)のケースとして好適に用いられ、また食品の包装材、医薬品の包装材として好適に用いられる成形用包装材及び成形ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン、タブレット端末等のモバイル電気機器の薄型化、軽量化に伴い、これらに搭載されるリチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池、リチウムイオンキャパシタ、電気2重層コンデンサ等の蓄電デバイスの外装材としては、従来の金属缶に代えて、耐熱性樹脂層(基材層)/外側接着剤層/金属箔層/内側接着剤層/熱融着性樹脂層(内側シーラント層)からなる積層体が用いられている(特許文献1参照)。また、電気自動車等の電源、蓄電用途の大型電源、キャパシタ等も上記構成の積層体(外装材)で外装されることも増えてきている。前記外装材に対して張り出し成形や深絞り成形が行われることによって、略直方体形状等の立体形状に成形される。このような立体形状に成形することにより、蓄電デバイス本体部を収容するための収容空間を確保することができる。
【0003】
そして、上記外装材の保護や成形性の向上を図るために前記基材層の外側にマットコート層を設けた構成の外装材が公知である(特許文献2参照)。前記マットコート層は、耐熱性樹脂に平均粒径が1μm~10μmの無機微粒子が0.1質量%~1質量%含有された樹脂組成物からなる。このようなマットコート層が設けられていることにより、表面に良好な滑り性が付与され、成形性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-288865号公報
【文献】特開2013-224014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記外装材の外面となるマットコート層(保護層)の表面には、例えば電池の製造工程中において外装材の表面に傷等の外観不良が発生するのを防止するべく、外装材の表面(マットコート層の表面)に保護テープを貼り付けておくことが行われる。しかるに、電池の製造後において保護テープを剥がす際にマットコート層が剥がれる場合があった。
【0006】
また、外装材の外面であるマットコート層の表面には、製造者名、型番、容量、ロット番号、バーコード、CRコード等の印字などが印刷されるが、この印字の修正を行う場合があり、この時、エタノールやMEK(メチルエチルケトン)を含ませたクロスで印字の拭き取り除去を行う。その際にマットコート層(保護層)が基材層(外側層)から剥がれやすいという問題もあった。
【0007】
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、保護テープを剥離する際を含めて耐熱性樹脂延伸フィルム層から保護層が剥離することを防止できると共に、耐有機溶剤性にも優れた成形用包装材および成形ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0009】
[1]外側層としての耐熱性樹脂延伸フィルム層と、内側層としての熱可塑性樹脂層と、これら両層間に配設された金属箔層と、を含む成形用包装材であって、
前記外側層の外面に易接着層を介して保護層が積層一体化されていることを特徴とする成形用包装材。
【0010】
[2]前記易接着層は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタアクリル酸エステル樹脂及びポリエチレンイミン樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂を含有してなる前項1に記載の成形用包装材。
【0011】
[3]前記易接着層は、ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂を含有してなる前項1に記載の成形用包装材。
【0012】
[4]前記易接着層において、前記ウレタン樹脂/前記エポキシ樹脂の含有質量比が98/2~40/60の範囲である前項3に記載の成形用包装材。
【0013】
[5]前記易接着層は、アクリル酸エステル樹脂及びメタアクリル酸エステル樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上のアクリル樹脂と、エポキシ樹脂とを含有してなる前項1に記載の成形用包装材。
【0014】
[6]前記易接着層において、前記アクリル樹脂/前記エポキシ樹脂の含有質量比が98/2~40/60の範囲である前項5に記載の成形用包装材。
【0015】
[7]前記易接着層は、樹脂-水系エマルジョンが前記耐熱性樹脂延伸フィルム層に塗布されて形成された接着層である前項1~6のいずれか1項に記載の成形用包装材。
【0016】
[8]前記保護層は、耐熱性樹脂中に無機微粒子および/または有機微粒子が分散含有された樹脂組成物からなる層である前項1~7のいずれか1項に記載の成形用包装材。
【0017】
[9]前項1~8のいずれか1項に記載の成形用包装材の深絞り成形体または張り出し成形体からなる成形ケース。
【発明の効果】
【0018】
[1]の発明では、耐熱性樹脂延伸フィルム層の外面に易接着層を介して保護層が積層一体化されているから、耐熱性樹脂延伸フィルム層と保護層の接着強度が向上し、保護テープを剥離する際を含めて耐熱性樹脂延伸フィルム層から保護層が剥離することを十分に防止できると共に、耐有機溶剤性を向上させることができる。
【0019】
[2]の発明では、易接着層は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタアクリル酸エステル樹脂及びポリエチレンイミン樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂を含有してなる構成であるから、耐熱性樹脂延伸フィルム層と保護層の接着強度が向上し、保護テープを剥離する際を含めて耐熱性樹脂延伸フィルム層から保護層が剥離することを十分に防止できると共に、耐有機溶剤性を向上させることができる。
【0020】
[3]の発明では、易接着層は、ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂を含有してなる構成であるから、耐熱性樹脂延伸フィルム層と保護層の接着強度がさらに向上し、耐熱性樹脂延伸フィルム層から保護層が剥離することをより十分に防止できると共に、耐有機溶剤性をより向上させることができる。
【0021】
[4]の発明では、ウレタン樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比が98/2~40/60の範囲であるから、耐熱性樹脂延伸フィルム層と保護層の接着強度がさらに向上し、耐熱性樹脂延伸フィルム層から保護層が剥離することをより一層十分に防止できると共に、耐有機溶剤性をより一層向上させることができる。
【0022】
[5]の発明では、易接着層は、特定のアクリル樹脂及びエポキシ樹脂を含有してなる構成であるから、耐熱性樹脂延伸フィルム層と保護層の接着強度がさらに向上し、耐熱性樹脂延伸フィルム層から保護層が剥離することをより十分に防止できると共に、耐有機溶剤性をより向上させることができる。
【0023】
[6]の発明では、アクリル樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比が98/2~40/60の範囲であるから、耐熱性樹脂延伸フィルム層と保護層の接着強度がさらに向上し、耐熱性樹脂延伸フィルム層から保護層が剥離することをより一層十分に防止できると共に、耐有機溶剤性をより一層向上させることができる。
【0024】
[7]の発明では、易接着層は、樹脂-水系エマルジョンが前記耐熱性樹脂延伸フィルム層に予め塗布されて形成された接着層であるので、耐熱性樹脂延伸フィルム層と保護層の接着強度が向上し、耐熱性樹脂延伸フィルム層から保護層が剥離することを十分に防止できると共に、耐有機溶剤性を向上させることができる。
【0025】
[8]の発明では、保護層は、耐熱性樹脂中に無機微粒子および/または有機微粒子が分散含有された樹脂組成物からなる構成であるから、保護層の表面硬度及び成形時の滑り性をさらに向上できる。
【0026】
[9]の発明では、保護テープを剥離する際を含めて耐熱性樹脂延伸フィルム層から保護層が剥離することがなく、耐有機溶剤性にも優れた成形ケースを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係る成形用包装材の一実施形態を示す断面図である。
【
図2】本発明に係る蓄電デバイスの一実施形態を示す断面図である。
【
図3】
図2の蓄電デバイスを構成する外装材(平面状のもの)、蓄電デバイス本体部及び成形ケース(立体形状に成形された成形体)をヒートシールする前の分離した状態で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る成形用包装材1の一実施形態を
図1に示す。この成形用包装材1は、リチウムイオン2次電池ケース用包材として用いられるものである。即ち、前記成形用包装材1は、深絞り成形等の成形に供されて2次電池ケースとして用いられるものである。
【0029】
前記成形用包装材1は、金属箔層4の一方の面に第1接着剤層5を介して耐熱性樹脂延伸フィルム層(外側層)2が積層一体化されると共に、前記金属箔層4の他方の面に第2接着剤層6を介して熱可塑性樹脂層(内側層)3が積層一体化された構成からなる。更に、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2の外面(前記金属箔層側とは反対側の面)に第1易接着層11を介して保護層20が積層一体化されている(
図1参照)。
【0030】
本実施形態では、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2の外面にグラビアコート法により第1易接着層11が積層されている。
【0031】
また、本実施形態では、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2の下面(前記金属箔層側の面)には第2易接着層12が積層され、該第2易接着層12の下面(前記金属箔層側の面)に着色インキ層13が積層され、該着色インキ層13と前記金属箔層4とが第1接着剤層5を介して接着一体化されている(
図1参照)。即ち、前記金属箔層4と前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2との間に着色インキ層13が配置されている。本実施形態では、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2の下面にグラビアコート法により第2易接着層12が積層され、該第2易接着層12の下面に印刷により前記着色インキ層13が積層されている。
【0032】
本発明において、前記保護層(マットコート層)20は、耐熱性樹脂中に無機微粒子および/または有機微粒子が分散含有された樹脂組成物からなる層である。前記耐熱性樹脂は、二液硬化型の耐熱性樹脂であるのが好ましい。前記樹脂組成物における前記無機微粒子および有機微粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種の微粒子の含有率は0.1質量%~60質量%であるのが好ましい。また、前記無機微粒子および前記有機微粒子の平均粒径は0.5μm~10μmであるのが好ましい。前記保護層20を構成する耐熱性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、フェノキシ系樹脂等が挙げられ、中でもウレタン系樹脂が好適である。このような保護層20が設けられていることにより、表面に良好な滑り性が付与され、成形性に優れた成形用包装材1を得ることができる。前記保護層20の厚さは、0.1μm~10μmに設定されるのが好ましい。
【0033】
前記無機微粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、シリカ、アルミナ、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム等が挙げられ、中でもシリカを用いるのが好ましい。前記有機微粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル樹脂ビーズ、スチレン樹脂ビーズ、ウレタン樹脂ビーズ等が挙げられ、中でもアクリル樹脂ビーズ、ウレタン樹脂ビーズを用いるのが好ましい。また、前記保護層20には、滑剤を添加することができる。前記滑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪酸アミド(エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等)、ワックス類(ポリエチレンワックス、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス等)などが挙げられる。
【0034】
前記保護層20の形成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、該保護層20を形成するための前記樹脂組成物を前記第1易接着層11の表面(外面)にグラビアコート法、リバースロールコート法、リップロールコート法等により塗布して形成する手法等が挙げられる。
【0035】
前記耐熱性樹脂延伸フィルム層(外側層)2は、包材として良好な成形性を確保する役割を主に担う部材である、即ち成形時の金属箔のネッキングによる破断を防止する役割を担うものである。前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2を構成する耐熱性樹脂としては、成形用包装材1をヒートシールする際のヒートシール温度で溶融しない耐熱性樹脂を用いる。前記耐熱性樹脂としては、熱可塑性樹脂層3を構成する樹脂の融点より10℃以上高い融点を有する耐熱性樹脂を用いるのが好ましく、熱可塑性樹脂層3を構成する樹脂の融点より20℃以上高い融点を有する耐熱性樹脂を用いるのが特に好ましい。
【0036】
本発明において、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2は、熱水収縮率が2%~20%の耐熱性樹脂延伸フィルムにより構成されるのが好ましい。熱水収縮率が2%以上であることで、耐熱性樹脂延伸フィルム層から保護層が剥離することを十分に防止できると共に、熱水収縮率が20%以下であることで、深絞り成形や張り出し成形等の成形を行った際に耐熱性樹脂延伸フィルム層から保護層が剥離することを十分に防止できる。中でも、前記耐熱性樹脂延伸フィルムとして、熱水収縮率が2.5~10%の耐熱性樹脂延伸フィルムを用いるのが好ましい。更に、熱水収縮率が3.0%~6.0%の耐熱性樹脂延伸フィルムを用いるのがより好ましく、さらには熱水収縮率が3.5%~5.0%の耐熱性樹脂延伸フィルムを用いるのが特に好ましい。
【0037】
なお、前記「熱水収縮率」とは、耐熱性樹脂延伸フィルム2の試験片(10cm×10cm)を95℃の熱水中に30分間浸漬した際の浸漬前後の試験片の延伸方向における寸法変化率であり、次式で求められる。
【0038】
熱水収縮率(%)={(X-Y)/X}×100
X:浸漬処理前の延伸方向の寸法
Y:浸漬処理後の延伸方向の寸法。
【0039】
なお、2軸延伸フィルムを採用する場合におけるその熱水収縮率は、2つの延伸方向における寸法変化率の平均値である。
【0040】
前記耐熱性樹脂延伸フィルムの熱水収縮率は、例えば、延伸加工時の熱固定温度を調整することにより制御することができる。
【0041】
前記耐熱性樹脂延伸フィルム層(外側層)2としては、特に限定されるものではないが、例えば、延伸ナイロンフィルム等の延伸ポリアミドフィルム、延伸ポリエステルフィルム等が挙げられる。中でも、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2としては、二軸延伸ナイロンフィルム等の二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム又は二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを用いるのが特に好ましい。また、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2としては、同時2軸延伸法により延伸された耐熱性樹脂二軸延伸フィルムを用いるのが好ましい。また、「T方向における熱水収縮率」に対する「M方向における熱水収縮率」の比(MD/TD)が0.9~1.1の範囲にある耐熱性樹脂二軸延伸フィルムを用いるのが好ましい。前記比(MD/TD)が0.9~1.1の範囲にある構成を採用した場合には、特に良好な成形性を有した成形用包装材を得ることができる。なお、前記「M方向」は、「機械流れ方向」を意味し、前記「T方向」は、「M方向に対して直交する方向」を意味する。前記ナイロンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、6ナイロン、6,6ナイロン、MXDナイロン等が挙げられる。なお、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2は、単層(単一の延伸フィルム)で形成されていても良いし、或いは、例えば延伸ポリエステルフィルム/延伸ポリアミドフィルムからなる複層(延伸PETフィルム/延伸ナイロンフィルムからなる複層等)で形成されていても良い。
【0042】
中でも、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2として、収縮率が2~20%の2軸延伸ポリアミドフィルム、収縮率が2~20%の2軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム又は収縮率が2~20%の2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いるのが好ましい。この場合には、保護層20から保護テープを剥離する際を含めて耐熱性樹脂延伸フィルム層2から保護層20が剥離することを防止する効果をさらに高めることができる。
【0043】
前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2の厚さは、6μm~50μmであるのが好ましい。ポリエステルフィルムを用いる場合には厚さは9μm~50μmであるのが好ましく、ナイロンフィルムを用いる場合には厚さは12μm~50μmであるのが好ましい。上記好適下限値以上に設定することで包装材として十分な強度を確保できると共に、上記好適上限値以下に設定することで張り出し成形時や絞り成形時の応力を小さくできて成形性を向上させることができる。
【0044】
本発明では、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2の外面(金属箔層側とは反対側の面)に第1易接着層11を積層する必要がある。即ち、耐熱性樹脂延伸フィルム層2の外面に第1易接着層11で保護層20を積層一体化する(
図1参照)。もともと接着性の乏しい耐熱性樹脂延伸フィルム層2の表面に、粘着性、接着性に優れる極性樹脂等をコートして第1易接着層11を積層することによって、保護層20との密着性、接着性を向上させることができる。なお、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2の外面(第1易接着層11を積層する面)には、第1易接着層11を積層する前に予めコロナ処理等を行って濡れ性を高めておくのが好ましい。
【0045】
また、本発明では、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2の内面(金属箔層側の面)にコロナ処理を行うか、又は該内面(金属箔層側の面)に易接着層(第2易接着層)12を積層するのが好ましい。易接着層(第2易接着層)12を積層する場合には、もともと接着性の乏しい耐熱性樹脂延伸フィルム層2の表面に、粘着性、接着性に優れる極性樹脂等をコートして第2易接着層12を積層することによって、着色インキ層13との密着性、接着性を向上させることができる。なお、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2の内面(第2易接着層12を積層する面)には、第2易接着層12を積層する前に予めコロナ処理等を行って濡れ性を高めておくのが好ましい。
【0046】
前記第1易接着層11および前記第2易接着層12の形成方法は、特に限定されないが、例えば、耐熱性樹脂延伸フィルム2の表面に、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタアクリル酸エステル樹脂及びポリエチレンイミン樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂の水性エマルジョン(水系エマルジョン)を塗布して乾燥させることによって易接着層11、12を形成することができる。前記塗布方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、スプレーコート法、グラビアロールコート法、リバースロールコート法、リップコート法等が挙げられる。
【0047】
しかして、前記第1易接着層11および前記第2易接着層12は、それぞれ、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタアクリル酸エステル樹脂及びポリエチレンイミン樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂を含有してなる構成であるのが好ましい。前記第1易接着層11において前記好ましい構成を採用した場合には耐熱性樹脂延伸フィルム層2から保護層20が剥離することをより十分に防止できる。また、前記第2易接着層12において前記好ましい構成を採用した場合には耐熱性樹脂延伸フィルム層2と着色インキ層13との接着力をより向上させることができる。
【0048】
中でも、前記第1易接着層11および前記第2易接着層12は、それぞれ、ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂を含有してなる構成、又は、(メタ)アクリル酸エステル樹脂及びエポキシ樹脂を含有してなる構成であるのが特に好ましい。前記第1易接着層11において前記特に好ましい構成を採用した場合には耐熱性樹脂延伸フィルム層2から保護層20が剥離することをより一層十分に防止できる。また、前記第2易接着層12において前記特に好ましい構成を採用した場合には耐熱性樹脂延伸フィルム層2と着色インキ層13との接着力をより一層向上させることができる。
【0049】
上記前者の構成を採用する場合において、第1、2易接着層11、12におけるウレタン樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比は98/2~40/60の範囲であるのが好ましい。前記第1易接着層11においてこのような含有質量比(範囲)を採用した場合には耐熱性樹脂延伸フィルム層2から保護層20が剥離することをさらに十分に防止できるし、前記第2易接着層12においてこのような含有質量比(範囲)を採用した場合には耐熱性樹脂延伸フィルム層2と着色インキ層13との接着力をさらに向上させることができる。前記ウレタン樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比(98/2)よりもウレタン樹脂の含有比率が大きくなると、架橋度が不足して、耐溶剤性、接着力が十分に得られ難くなるので、好ましくない。一方、前記ウレタン樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比(40/60)よりもウレタン樹脂の含有比率が小さくなると、架橋が完了するまでの時間がかかり過ぎるので、好ましくない。中でも、第1、2易接着層11、12におけるウレタン樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比は90/10~50/50の範囲であるのがより好ましい。
【0050】
また、上記後者の構成を採用する場合において、第1、2易接着層11、12における(メタ)アクリル酸エステル樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比は98/2~40/60の範囲であるのが好ましい。前記第1易接着層11においてこのような含有質量比(範囲)を採用した場合には耐熱性樹脂延伸フィルム層2から保護層20が剥離することをさらに十分に防止できるし、前記第2易接着層12においてこのような含有質量比(範囲)を採用した場合には耐熱性樹脂延伸フィルム層2と着色インキ層13との接着力をさらに向上させることができる。前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比(98/2)よりも(メタ)アクリル酸エステル樹脂の含有比率が大きくなると、架橋度が不足して、耐溶剤性、接着力が十分に得られ難くなるので、好ましくない。一方、前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比(40/60)よりも(メタ)アクリル酸エステル樹脂の含有比率が小さくなると、架橋が完了するまでの時間がかかり過ぎるので、好ましくない。中でも、第1、2易接着層11、12における(メタ)アクリル酸エステル樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比は90/10~50/50の範囲であるのがより好ましい。
【0051】
前記第1易接着層11や第2易接着層12を形成するための前記樹脂水性エマルジョン(樹脂-水系エマルジョン)には、グリコール類、グリコールのエチレンオキサイド付加物等の界面活性剤を添加してもよく、この場合には樹脂水性エマルジョンにおいて十分な消泡効果を得ることができるので、表面平滑性に優れた第1易接着層11や第2易接着層12を形成できる。前記界面活性剤は、前記樹脂水性エマルジョン中に0.01質量%~2.0質量%含有せしめるのが好ましい。
【0052】
また、前記第1易接着層11や第2易接着層12を形成するための前記樹脂水性エマルジョン(樹脂-水系エマルジョン)には、シリカ、コロイダルシリカ等の無機微粒子を含有させるのが好ましく、この場合にはブロッキング防止効果を得ることができる。前記無機微粒子は、前記樹脂分100質量部に対して0.1質量部~10質量部添加するのが好ましい。
【0053】
前記第1易接着層11および前記第2易接着層12の形成量(乾燥後の固形分量)は、それぞれ、0.01g/m2~0.5g/m2の範囲であるのが好ましい。0.01g/m2以上であることで、第1易接着層11については耐熱性樹脂延伸フィルム層2と保護層20とを十分に接着できるし、第2易接着層12については耐熱性樹脂延伸フィルム層2と着色インキ層13とを十分に接着できる。また、0.5g/m2以下であることでコストを低減できて経済的である。
【0054】
前記第1易接着層11および前記第2易接着層12における前記樹脂の含有率(乾燥後の含有率)は、88質量%~99.9質量%であるのが好ましい。
【0055】
前記熱可塑性樹脂層(内側層)3は、リチウムイオン二次電池等で用いられる腐食性の強い電解液などに対しても優れた耐薬品性を具備させると共に、包装材にヒートシール性を付与する役割を担うものである。
【0056】
前記熱可塑性樹脂層3としては、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂未延伸フィルム層であるのが好ましい。前記熱可塑性樹脂未延伸フィルム層3は、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系共重合体、これらの酸変性物およびアイオノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂からなる未延伸フィルムにより構成されるのが好ましい。中でも、ブロックポリプロピレンを含有する中間層の両面にランダムポリプロピレンを含有する被覆層が積層されてなる3層積層構成がより好ましい。なお、前記熱可塑性樹脂層3は、単層であってもよいし、複層であってもよい。
【0057】
前記熱可塑性樹脂層3の厚さは、20μm~80μmに設定されるのが好ましい。20μm以上とすることでピンホールの発生を十分に防止できると共に、80μm以下に設定することで樹脂使用量を低減できてコスト低減を図り得る。中でも、前記熱可塑性樹脂層3の厚さは30μm~50μmに設定されるのが特に好ましい。
【0058】
前記金属箔層4は、成形用包装材1に酸素や水分の侵入を阻止するガスバリア性を付与する役割を担うものである。前記金属箔層4としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔等が挙げられ、アルミニウム箔が一般的に用いられる。アルミニウム箔としては、JIS H4160に規定されるA8079、A8021が好ましい。前記金属箔層4の厚さは、20μm~100μmであるのが好ましい。20μm以上であることで金属箔を製造する際の圧延時のピンホール発生を防止できると共に、100μm以下であることで張り出し成形時や絞り成形時の応力を小さくできて成形性を向上させることができる。
【0059】
前記金属箔層4は、少なくとも内側の面4a(内側層3側の面)に、化成処理が施されているのが好ましい。このような化成処理が施されていることによって内容物(電池の電解液、食品、医薬品等)による金属箔表面の腐食を十分に防止できる。例えば次のような処理をすることによって金属箔に化成処理を施す。即ち、例えば、脱脂処理を行った金属箔の表面に、
1)リン酸、クロム酸及びフッ化物の金属塩の混合物からなる水溶液
2)リン酸、クロム酸、フッ化物金属塩及び非金属塩の混合物からなる水溶液
3)アクリル系樹脂又は/及びフェノール系樹脂と、リン酸と、クロム酸と、フッ化物金属塩との混合物からなる水溶液
のいずれかを塗工した後乾燥することにより化成処理を施す。
【0060】
本発明において、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層(外側層)2と前記金属箔層4との間に着色インキ層13を設けてもよい(
図1参照)。このような着色インキ層13を設けることで、成形用包装材1の外面側(保護層20側)に色(無彩色を含む)を付与することができる。
【0061】
前記着色インキ層13としては、特に限定されるものではないが、例えば、黒インキ層、白インキ層、灰色インキ層、赤インキ層、青インキ層、緑インキ層、黄インキ層などが挙げられる。
【0062】
前記黒インキ層13について説明する。前記黒インキ層10は、通常、カーボンブラックを含有する組成物で形成される。
【0063】
中でも、前記黒インキ層13は、カーボンブラック、ジアミン、ポリオール及び硬化剤を含有してなる構成であるのが好ましいが、特にこのような構成に限定されるものではない。
【0064】
前記黒インキ層(乾燥後のインキ層)13において、カーボンブラックの含有率は15質量%~60質量%であり、前記ジアミン、ポリオール及び硬化剤の合計の含有率は40質量%~85質量%であるのが好ましい。中でも、カーボンブラックの含有率は20質量%~50質量%であるのが特に好ましい。
【0065】
カーボンブラックの含有率が15質量%未満では、金属箔層4による金属光沢感が残ってしまって重厚感が損なわれるし、成形をした時に部分的な色ムラを生じるので、好ましくない。一方、カーボンブラックの含有率が60質量%を超えると、黒インキ層13が硬く、脆くなるため、金属箔層4に対する接着力が低下して、成形時に金属箔層4と黒インキ層13との間で剥離を生じやすくなるので、好ましくない。
【0066】
前記黒インキ層13は、前記カーボンブラック、前記ジアミン及び前記ポリオールの合計量100質量部あたり前記硬化剤を2質量部~20質量部含有する構成であるのが好ましい。硬化剤が2質量部未満では、成形時に金属箔層4と黒インキ層13との間で剥離を生じやすくなり、硬化剤が20質量部を超えると、巻き取り状態の成形用包装材1を繰り出す(巻き出す)際にブロッキングが発生し、保護層20や熱可塑性樹脂層3の外面に転写、付着が発生する等の不具合を生じるので、好ましくない。
【0067】
前記カーボンブラックとしては、平均粒子経が0.2μm~5μmのものを用いるのが好ましい。
【0068】
前記ジアミンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレンジアミン、ダイマージアミン、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン等が挙げられる。中でも、前記ジアミンとして、エチレンジアミン、ダイマージアミン、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン及びジシクロヘキシルメタンジアミンからなる群より選ばれる1種または2種以上のジアミンを用いるのが好ましい。
【0069】
前記ジアミンは、ポリオールより硬化剤(イソシアネート等)との反応速度が速く、短時間での硬化を実現できる。即ち、前記ジアミンは、前記ポリオールと共に前記硬化剤と反応し、インキ組成物の架橋硬化を促進する。
【0070】
前記ポリオールとしては、特に限定されるものではないが、ポリウレタン系ポリオール、ポリエステル系ポリオール及びポリエーテル系ポリオールからなる群より選ばれるポリオールの1種または2種以上を用いるのが好ましい。
【0071】
前記ポリオールの数平均分子量は、1000~8000の範囲であるのが好ましい。1000以上であることで硬化後の接着強度を増大させることができると共に、8000以下であることで硬化剤との反応速度を増大させることができる。
【0072】
前記硬化剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、イソシアネート化合物等が挙げられる。前記イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族系、脂肪族系、脂環族系の各種イソシアネート化合物を使用できる。具体例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、及びこれら例示したイソシアネートのポリマー体(多価アルコールとのアダクト体、イソシアヌレート体、ビュレット体等)が挙げられる。
【0073】
前記着色インキ層(黒インキ層を除く)について説明する。前記着色インキ層(黒インキ層を除く)13は、主剤としてのポリエステル樹脂と硬化剤としての多官能イソシアネート化合物とによる二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂バインダーと、無機顔料を含む着色顔料と、を含む着色インキ組成物の硬化膜からなる構成であるのが好ましい。
【0074】
前記着色顔料としては、少なくとも無機顔料を含む構成が採用される。前記着色顔料としては、前記無機顔料以外に、例えば、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、縮合多環系顔料等が挙げられる。また、前記無機顔料としては、特に限定されるものではないが、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、アルミニウム粉等が挙げられる。前記無機顔料としては、平均粒径が0.1μm~5μmのものを使用するのが好ましく、平均粒径が0.5μm~2.5μmであるものを使用するのが特に好ましい。前記着色顔料を分散する際には、顔料分散機を用いて着色顔料を分散させるのが好ましい。前記着色顔料を分散するに際し、界面活性剤等の顔料分散剤を使用することもできる。
【0075】
前記着色顔料の50質量%以上が前記無機顔料で構成されているのが好ましい。この場合には、金属箔層4を隠蔽する隠蔽力がより十分に得られて重厚感、高級感を十分に付与できる特定の色調の着色インキ層13を形成できる。中でも、前記着色顔料の60質量%以上が前記無機顔料で構成されているのがより好ましい。
【0076】
前記着色インキ層13の厚さ(乾燥後)は、1μm~4μmであるのが好ましい。1μm以上であることで、着色インキ層10の色調に透明感が残ることがなく、金属箔層4の色、光沢を十分に隠蔽できる。また、4μm以下であることで、成形時に着色インキ層10が部分的に割れてしまうことを十分に防止できる。
【0077】
前記着色インキ層13は、特に限定されるものではないが、例えば、
1)カーボンブラック、ジアミン、ポリオール、硬化剤及び有機溶媒を含有するインキ組成物
又は
2)主剤としてのポリエステル樹脂と硬化剤としての多官能イソシアネート化合物とによる二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂バインダーと、無機顔料を含む着色顔料と、を含む着色インキ組成物
をグラビア印刷法等で前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2の下面の第2易接着層12の表面に印刷する(塗布する)ことによって、形成することができる。前記有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ノルマルプロピル等が挙げられる。
【0078】
前記着色インキ層13の形成方法は、特に限定されるものではないが、例えば、グラビア印刷法、リバースロールコート法、リップロールコート法等が挙げられる。
【0079】
前記第1接着剤層5としては、特に限定されるものではないが、例えば、2液反応型接着剤により形成された接着剤層等が挙げられる。前記2液反応型接着剤としては、例えば、ポリウレタン系ポリオール、ポリエステル系ポリオール及びポリエーテル系ポリオールからなる群より選ばれるポリオールの1種または2種以上からなる第1液と、イソシアネートからなる第2液(硬化剤)とで構成される2液反応型接着剤などが挙げられる。前記第1接着剤層5は、例えば、前記2液反応型接着剤等の接着剤が、前記「金属箔層4の上面」に、又は/及び、「前記耐熱性樹脂層2の下面に第2易接着層12を介して積層された着色インキ層13の下面」に、グラビアコート法等の手法により塗布されることによって形成される。
【0080】
前記第2接着剤層6としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、エラストマー系接着剤、フッ素系接着剤等により形成された接着剤層が挙げられる。中でも、アクリル系接着剤、ポリオレフィン系接着剤を用いるのが好ましく、この場合には、成形用包装材1の耐電解液性及び水蒸気バリア性を向上させることができる。
【0081】
上述した本発明の成形用包装材1を成形(深絞り成形、張り出し成形等)することにより、成形ケース(電池ケース等)10を得ることができる(
図3参照)。なお、本発明の外装材1は、成形に供されずにそのまま使用することもできる(
図3参照)。
【0082】
本発明の成形用包装材1を用いて構成された蓄電デバイス30の一実施形態を
図2に示す。この蓄電デバイス30は、リチウムイオン2次電池である。本実施形態では、
図2、3に示すように、成形用包装材1を成形して得られた成形ケース10と、平面状の包装材1とにより外装部材15が構成されている。しかして、本発明の成形用包装材1を成形して得られた成形ケース10の収容凹部内に、略直方体形状の蓄電デバイス本体部(電気化学素子等)31が収容され、該蓄電デバイス本体部31の上に、本発明の包装材1が成形されることなくその熱融着性樹脂層3側を内方(下側)にして配置され、該平面状包装材1の熱融着性樹脂層3の周縁部と、前記成形ケース10のフランジ部(封止用周縁部)29の熱融着性樹脂層3とがヒートシールによりシール接合されて封止されることによって、本発明の蓄電デバイス30が構成されている(
図2、3参照)。なお、前記成形ケース10の収容凹部の内側の表面は、熱融着性樹脂層3になっており、収容凹部の外面が保護層20になっている(
図3参照)。
【0083】
図2において、39は、前記包装材1の周縁部と、前記成形ケース10のフランジ部(封止用周縁部)29とが接合(溶着)されたヒートシール部である。なお、前記蓄電デバイス30において、蓄電デバイス本体部31に接続されたタブリードの先端部が、外装部材15の外部に導出されているが、図示は省略している。
【0084】
前記蓄電デバイス本体部31としては、特に限定されるものではないが、例えば、電池本体部、キャパシタ本体部、コンデンサ本体部等が挙げられる。
【0085】
なお、上記実施形態では、外装部材15が、成形用包装材1を成形して得られた成形ケース10と、平面状の包装材1と、からなる構成であったが(
図2、3参照)、特にこのような組み合わせに限定されるものではなく、例えば、外装部材15が、一対の成形ケース10からなる構成であってもよい。
【実施例】
【0086】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0087】
<第1、2易接着層形成用接着剤>
(接着剤組成物W)
水系ウレタン樹脂として三井化学株式会社製「タケラックW-6010」70質量部、水系エポキシ樹脂としてナガセケムテック株式会社製「デナコールEX-521」30質量部、ブロッキング防止剤として日産化学工業株式会社製のコロイダルシリカ「スノーテックスST-C」(平均粒径10nm~20nm)5質量部を混合し、さらにイオン交換水を加えて希釈して、不揮発分含有率が2質量%の接着剤組成物Wを得た。
(接着剤組成物V)
水系アクリル酸エステル樹脂として中央理化工業株式会社製「リカボンドSA-513」70質量部、水系エポキシ樹脂としてナガセケムテック株式会社製「デナコールEX-521」30質量部、ブロッキング防止剤として日産化学工業株式会社製のコロイダルシリカ「スノーテックスST-C」(平均粒径10nm~20nm)5質量部を混合し、さらにイオン交換水を加えて希釈して、不揮発分含有率が2質量%の接着剤組成物Vを得た。
(接着剤組成物Z)
水系エポキシ樹脂としてナガセケムテック株式会社製「デナコールEX-521」100質量部、ブロッキング防止剤として日産化学工業株式会社製のコロイダルシリカ「スノーテックスST-C」(平均粒径10nm~20nm)5質量部を混合し、さらにイオン交換水を加えて希釈して、不揮発分含有率が2質量%の接着剤組成物Zを得た。
【0088】
<実施例1>
平均粒子径0.8μmのカーボンブラック50質量部、エチレンジアミン5質量部、ポリエステル系ポリオール(数平均分子量:2500)45質量部を配合して、主剤を得た。前記主剤100質量部に対して硬化剤であるトリレンジイソシアネート(TDI)3質量部を配合し、さらにトルエンを50質量部配合して良く撹拌することによって、インキ組成物を得た。
【0089】
同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸ナイロン(6ナイロン)フィルム(耐熱性樹脂延伸フィルム層、MD/TD=0.95)2の一方の面(内面)に、上記接着剤組成物Wをグラビアロールコート法により塗布して乾燥させた後、40℃環境下で1日放置することにより硬化反応を進行させて、形成量0.1g/m2の第2易接着層12を形成した。
【0090】
次に、前記二軸延伸ナイロンフィルム2の第2易接着層12の表面に、前記インキ組成物をグラビア印刷法により印刷した(塗布した)後、40℃環境下で1日間放置することによって、乾燥と共に架橋反応を進行させて、厚さ3μmの黒インキ層(着色インキ層)13を形成した。
【0091】
一方、厚さ35μmのアルミニウム箔4の両面に、ポリアクリル酸、三価クロム化合物、水、アルコールからなる化成処理液を塗布し、180℃で乾燥を行って、クロム付着量が10mg/m2となるようにした。
【0092】
次に、前記化成処理済みアルミニウム箔4の一方の面に、ポリエステル系ポリウレタン接着剤5を介して前記二軸延伸ナイロンフィルム2をその黒インキ層(着色インキ層)13側で貼り合わせ、次いでアルミニウム箔4の他方の面に、ポリアクリル接着剤6を介して厚さ30μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(熱可塑性樹脂層)3を貼り合わせた後、40℃環境下で5日間放置することによって、積層体を得た。
【0093】
更に、前記積層体の二軸延伸ナイロンフィルム2の外面(未積層面;コロナ処理済み)に、上記接着剤組成物Wをグラビアロールコート法により塗布して乾燥させた後、40℃環境下で1日放置することにより硬化反応を進行させて、形成量0.1g/m2の第1易接着層11を形成した。
【0094】
次に、前記第1易接着層11の表面(外面)に、ウレタン系樹脂20質量部、平均粒径が2μmの粉状シリカ3質量部、平均粒径が3μmのアクリル樹脂ビーズ5質量部、平均粒径が1μmの粉状硫酸バリウム5質量部、平均粒径が3μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス1質量部、トルエン66質量部からなる樹脂組成物をグラビアコート法により塗布することによって、厚さ2μmの保護層20を形成して、
図1に示す成形用包装材1を得た。
【0095】
<実施例2>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率2.5%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す成形用包装材1を得た。
【0096】
<実施例3>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率3.5%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=1.0)を用い、保護層20を形成する樹脂組成物として、ポリエステル樹脂20質量部、平均粒径が2μmの粉状シリカ3質量部、平均粒径が3μmのアクリル樹脂ビーズ5質量部、平均粒径が1μmの粉状硫酸バリウム5質量部、平均粒径が3μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス1質量部、トルエン66質量部からなる樹脂組成物を用い、第2易接着層12を設けない構成とした(即ち二軸延伸ナイロンフィルム2の内面(コロナ処理済み)に直接に黒インキ層(着色インキ層)13を積層した)以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す成形用包装材1を得た。
【0097】
<実施例4>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率5.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=1.1)を用い、保護層20を形成する樹脂組成物として、ウレタン系樹脂20質量部、平均粒径が1μmの粉状アルミナ3質量部、平均粒径が3μmのアクリル樹脂ビーズ5質量部、平均粒径が1μmの粉状硫酸バリウム5質量部、平均粒径が3μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス1質量部、トルエン66質量部からなる樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す成形用包装材1を得た。
【0098】
<実施例5>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率2.0%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(MD/TD=1.1)を用い、保護層20を形成する樹脂組成物として、ウレタン系樹脂20質量部、平均粒径が2μmの粉状の炭酸カルシウム3質量部、平均粒径が3μmのアクリル樹脂ビーズ5質量部、平均粒径が1μmの粉状硫酸バリウム5質量部、平均粒径が3μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス1質量部、トルエン66質量部からなる樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す成形用包装材1を得た。
【0099】
<実施例6>
接着剤組成物Wに代えて、接着剤組成物Vを用いて、第1易接着層11及び第2易接着層12を形成した以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す成形用包装材1を得た。
【0100】
<実施例7>
接着剤組成物Wに代えて、接着剤組成物Zを用いて、第1易接着層11及び第2易接着層12を形成した以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す成形用包装材1を得た。
【0101】
<実施例8>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率5.0%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(MD/TD=1.1)を用い、保護層20を形成する樹脂組成物として、エポキシ系樹脂20質量部、平均粒径が2μmの粉状シリカ3質量部、平均粒径が3μmのアクリル樹脂ビーズ5質量部、平均粒径が1μmの粉状硫酸バリウム5質量部、平均粒径が3μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス1質量部、トルエン66質量部からなる樹脂組成物を用いて、厚さ3μmの保護層20を形成した以外は、実施例7と同様にして、
図1に示す成形用包装材1を得た。
【0102】
<実施例9>
厚さ15μm、熱水収縮率3.5%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=1.0)に代えて、厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)を用い、該二軸延伸6ナイロンフィルムの外面にコロナ処理は行わないものとすると共に、保護層20を形成する樹脂組成物として、ポリエステル樹脂20質量部、平均粒径が1μmの粉状アルミナ3質量部、平均粒径が3μmのアクリル樹脂ビーズ5質量部、平均粒径が1μmの粉状硫酸バリウム5質量部、平均粒径が3μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス1質量部、トルエン66質量部からなる樹脂組成物を用いて、厚さ4μmの保護層20を形成した以外は、実施例3と同様にして、
図1に示す成形用包装材1を得た。
【0103】
<比較例1>
第1易接着層11を設けない構成とした(即ち二軸延伸ナイロンフィルム2の外面(コロナ処理済み)に直接に保護層20を積層した)以外は、実施例2と同様にして、成形用包装材を得た。
【0104】
<比較例2>
第1易接着層11を設けない構成とした(即ち二軸延伸ナイロンフィルム2の外面(コロナ処理済み)に直接に保護層20を積層した)以外は、実施例3と同様にして、成形用包装材を得た。
【0105】
上記のようにして得られた各成形用包装材について下記評価法に基づいて評価を行った。その結果を表1に示す。
【0106】
【0107】
<耐溶剤性評価法A(耐エタノール性)>
テスター産業社製の学振法摩擦堅牢度試験機(荷重200gのアルミニウム治具付き)を用いて、前記アルミニウム治具に脱脂綿を巻き付けてエタノールを含浸せしめてなる評価用治具を成形用包装材の表面(保護層20の表面)において20回往復させて接触させた後、保護層の剥がれの有無やその程度を調べて、下記判定基準に基づいて耐エタノール性を評価した。
(判定基準)
「○」…保護層に剥がれが全く認められない
「△」…保護層の剥がれが僅かに認められるが、殆ど目立たない
「×」…保護層の剥がれが明瞭に認められた。
【0108】
<耐溶剤性評価法B(耐MEK性)>
テスター産業社製の学振法摩擦堅牢度試験機(荷重200gのアルミニウム治具付き)を用いて、前記アルミニウム治具に脱脂綿を巻き付けてMEK(メチルエチルケトン)を含浸せしめてなる評価用治具を成形用包装材の表面(保護層20の表面)において20回往復させて接触させた後、保護層の剥がれの有無やその程度を調べて、下記判定基準に基づいて耐エタノール性を評価した。
(判定基準)
「○」…保護層に剥がれが全く認められない
「△」…保護層の剥がれが僅かに認められるが、殆ど目立たない
「×」…保護層の剥がれが明瞭に認められた。
【0109】
<耐テープ剥離性(テープ剥離に対する耐性)評価法>
成形用包装材を縦10cm×横10cmの大きさに切り出して試験片を得、該試験片を基板の上に粘着力の強い両面粘着テープで貼り付けて固定した。基板の上に固定した試験片の表面(保護層20の表面)にスリーエム社製の「Scotchテープ#600」(保護テープ)を2kgのローラーの荷重により貼り合わせた後、その直後に前記保護テープを勢いよく剥がして保護層の状態を観察するという「テープ剥離試験」を15回繰り返し行い、下記判定基準に基づいて耐テープ剥離性を評価した。
(判定基準)
「○」…テープ剥離試験を15回繰り返し行っても保護層に剥がれが全く認められない
「△」…テープ剥離試験を10回繰り返し行っても保護層に剥がれが全く認められないものの、11回目、12回目、13回目または14回目のテープ剥離試験において保護層に剥がれが認められた
「×」…テープ剥離試験を10回繰り返し行うまでの間に保護層が剥がれた。
【0110】
<成形性評価法>
成形深さフリーのストレート金型を用いて成形用包装材に対し下記成形条件で深絞り1段成形を行い、各成形深さ(6.0mm、5.5mm、5.0mm、4.5mm、4.0mm、3.5mm、3.0mm、2.5mm、2.0mm)毎に成形性を評価し、コーナー部にピンホールが全く発生しない良好な成形を行うことができる最大成形深さ(mm)を調べ、下記判定基準に基づいて成形性を評価した。なお、ピンホールの有無は、ピンホールを透過してくる透過光の有無を目視により観察することにより調べた。
(成形条件)
成形型…パンチ:33.3mm×53.9mm、ダイ:80mm×120mm、コーナーR:2mm、パンチR:1.3mm、ダイR:1mm
しわ押さえ圧…ゲージ圧:0.475MPa、実圧(計算値):0.7MPa
材質…SC(炭素鋼)材、パンチRのみクロムメッキ。
(判定基準)
「◎」…ピンホール及び割れが発生しない最大成形深さが5.5mm以上である(合格)
「○」…ピンホール及び割れが発生しない最大成形深さが4.5mm以上5.5mm未満である(合格)
「△」…ピンホール及び割れが発生しない最大成形深さが3.0mm以上4.5mm未満である(合格)
「×」…ピンホール及び割れが発生しない最大成形深さが3.0mm未満である。
【0111】
表1から明らかなように、本発明の実施例1~9の成形用包装材は、成形性に優れる上に、耐熱性樹脂延伸フィルム層から保護層が剥離することを十分に防止できていると共に、耐有機溶剤性にも優れていた。
【0112】
これに対し、第1易接着層を設けていない比較例1、2では、耐テープ剥離性に劣っていたし、比較例2ではさらに耐溶剤性にも劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明に係る成形用包装材は、ノートパソコン用、携帯電話用、車載用、定置型のリチウムイオンポリマー二次電池等の電池のケースとして好適に用いられ、これ以外にも、食品の包装材、医薬品の包装材として好適であるが、特にこれらの用途に限定されるものではない。中でも、電池ケース用として特に好適である。
【符号の説明】
【0114】
1…成形用包装材
2…耐熱性樹脂延伸フィルム層(外側層)
3…熱可塑性樹脂層(内側層)
4…金属箔層
10…成形ケース
11…第1易接着層
20…保護層