(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】NAND型フラッシュメモリおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 43/27 20230101AFI20240827BHJP
H10B 41/27 20230101ALI20240827BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240827BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20240827BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20240827BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H10B43/27
H10B41/27
H01L29/78 371
H01L29/78 613B
(21)【出願番号】P 2023028387
(22)【出願日】2023-02-27
(62)【分割の表示】P 2020170882の分割
【原出願日】2020-10-09
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】511062254
【氏名又は名称】ウィンボンド エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】白田 理一郎
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-078404(JP,A)
【文献】特開2013-016781(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0073635(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0327714(US,A1)
【文献】特開2009-238874(JP,A)
【文献】特開2014-179530(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0264546(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 43/27
H10B 41/27
H01L 21/336
H01L 29/786
H01L 29/788
H01L 29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された下部絶縁層と、
前記下部絶縁層上に形成された複数のチャンネル積層体であって、当該チャンネル積層体は、交互に積層された第1の絶縁層とチャンネル層とを含み、前記チャンネル積層体の最上層は第1の絶縁層であり、
前記チャンネル積層体の最下層は、チャンネル層であり、当該チャンネル層は前記下部絶縁層に接し、前記チャンネル積層体はさらに、前記第1の絶縁層と前記チャンネル層とを露出させる第1の側面と当該第1の側面に対向する前記第1の絶縁層と前記チャンネル層とを露出させる第2の側面とを有し、複数の平行な第1および第2の側面が第1の方向に延在する、前記複数のチャンネル積層体と、
隣接するチャンネル積層体のそれぞれの第1の側面
および第2の側面
と前記下部絶縁層との間の間隙を充填するように形成された第2の絶縁層であって、当該第2の絶縁層は、前記第1の絶縁層と異なる材料で構成され、
前記第2の絶縁層の表面は、前記複数のチャンネル積層体の最上層の第1の絶縁層の表面と同じ高さになるように平坦化されている、前記第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層の前記第1の方向に一定のピッチで形成された平面視が矩形状の複数のトレンチであって、各トレンチの内壁は、前記第1の側面、前記第2の側面および前記第2の絶縁層によって囲まれ、
かつ各トレンチの底面は前記下部絶縁層である、前記複数のトレンチと、
前記複数のチャンネル積層体の最上層の第1の絶縁層および前記第2の絶縁層上に形成される電荷蓄積層を含む絶縁体であって、当該絶縁体は、各トレンチの前記内壁および前記底面を覆い、各トレンチ内に前記絶縁体によって囲まれた内部空間
を形成する、前記絶縁体と、
前記第1の方向と直交する第2の方向に
延在する複数のゲートであって、各ゲートは、各トレンチの前記内部空間を充填
し、かつチャンネル積層体の頂部の前記絶縁体を覆うようにパターニングされる、前記複数のゲートと、
を有するNAND型フラッシュメモリ。
【請求項2】
NAND型フラッシュメモリはさらに、
各チャンネル積層体と平行に各チャンネル積層体の真上を前記第1の方向に延在するようにパターニングされ、かつ前記チャンネル積層体の各チャンネル層の一方の端部にそれぞれ電気的に接続される複数のビット線と、
前記第2の方向に延在し、かつ前記チャンネル積層体の各チャンネル層の他方の端部に電気的に共通に接続されるソース線と、
を有する請求項1に記載のNAND型フラッシュメモリ。
【請求項3】
前記チャンネル層は、ポリシリコン層である、請求項1に記載のNAND型フラッシュメモリ。
【請求項4】
前記第2の絶縁層は、前記第2の絶縁層に前記トレンチをエッチングにより形成するときのエッチャントに対し、前記第1の絶縁層よりもエッチングの選択比が大きい材料である、請求項1に記載のNAND型フラッシュメモリ。
【請求項5】
前記トレンチは、前記チャンネル積層体の第1および第2の側面の
最上層の第1の絶縁層から最下層のチャンネル層まで露出させ
、かつ前記下部絶縁層を露出させる、請求項1に記載のNAND型フラッシュメモリ。
【請求項6】
前記ソース線は、前記複数のチャンネル積層体上の層間絶縁膜上に形成され、前記複数のビット線は、前記ソース線上の層間絶縁膜上に形成される、請求項2に記載のNAND型フラッシュメモリ。
【請求項7】
前記ビット線は、前記チャンネル積層体の一方の端部に形成された最上層の
第1の絶縁層から最下層のチャンネル層に至るコンタクトホール内の導電性プラグに接続され、前記ソース線は、前記チャンネル積層体の他方の端部に形成された最上層の
第1の絶縁層から最下層のチャンネル層に至るコンタクトホール内の導電性プラグに接続される、請求項2に記載のNAND型フラッシュメモリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NAND型フラッシュメモリに関し、特に、3次元構造のNAND型フラッシュメモリに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メモリセルの集積度の向上を図るためメモリセルアレイを基板表面に対して垂直方向に積層した3次元構造のNAND型フラッシュメモリが実用化されている。垂直ゲート構造を用いる3次元NANDフラッシュメモリが非特許文献1によって提案されている。
図1(a)は、メモリセルアレイの3次元構造を示す斜視図、
図1(b)は、その上面図である。
図2は、
図1(a)のメモリセルアレイの等価回路である。
【0003】
メモリセルアレイの底部において、列方向に水平に延在する複数のビット線BLが形成され、これと直交する行方向に水平方向に延在する複数のワード線WL、複数の選択ゲート線SSL、GSL、共通ソース線CSLが形成される。これらビット線BL、ワード線WL、選択ゲート線SSL、GSL上に、複数の短冊状の多層活性領域(multi active layers)が形成される。1つの多層活性領域は、複数のポリシリコン層の活性領域(active)と複数の活性領域の各々の間に形成された絶縁層(ILD)との積層構造であり、それぞれの多層活性領域は、列方向に延在する。多層活性領域と多層活性領域との間の空間には、列方向に離間した複数の垂直ゲートが形成される。複数の垂直ゲートの各々は、ワード線WL、選択ゲート線SSL、GSLから分配される。また、ビット線BLから垂直に分配されたビット線が多層活性領域の一方の端部に接続され、共通ソース線CSLから垂直に分配されたソース線が多層活性領域の他方の端部に接続される。多層活性領域の水平方向の1つの活性領域は、1つのNANDストリングのチャンネルを提供する。
【0004】
図3は、
図1(a)のメモリセルアレイを形成するためのプロセス工程を示している。(1)の最初のステップでは、基板上に、列方向に延在するビット線BLと、行方向に延在するワード線WL、選択ゲート線SSL、GSL、共通ソース線CSLが形成される。但し、これらのプロセスは、後の工程に変更することが可能である。(2)のステップでは、ポリシリコン層と絶縁層の積層体を基板上にデポジットし、ポリシリコン層と絶縁層の積層体をエッチングし、列方向に延在する短冊状の多層活性領域を形成する。(3)のステップでは、多層活性領域と多層活性領域と間の空間に、絶縁体の積層をデポジットする。絶縁体の積層は、少なくとも3層を含み、その中央は、電荷を蓄積する層である。(4)のステップでは、絶縁体が積層された多層活性領域間の空間に、低抵抗のゲート材料をデポジットする。これにより、多層活性領域間の空間は、絶縁体の積層とゲート材料とによって充填される。そして、ゲート材料をパターニングし、列方向に離間された複数の垂直ゲートが形成される。(5)のステップで、ビット線BLおよびソース線CSLの各々に接続される垂直プラグが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】Multi-Layered Vertical Gate NAND Flash Overcoming Stacking Limit for Terabit Density Storage, Wonjoo Kim et. Al, 2009 Symposium on VLSI Tchnology Digest of Technical Papers, P188-189
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図1ないし
図3に示すような垂直ゲート構造の3次元NANDフラッシュメモリには、次のような課題がある。
図4(A)は、垂直ゲートと多層活性領域との概略構成を示す斜視図、
図4(B)は、
図4(A)のA-A線方向の断面図である。チャンネルを提供するポリシリコン層12と、積層されたポリシリコン層12の間の絶縁を行う絶縁層14とを含む多層活性領域10の短冊状のパターニングは、例えば、異方性ドライエッチングにより行われる。パターニングされた多層活性領域10の垂直方向のエッチング面は、必ずしも直線ではない。例えば、多層活性領域10の絶縁層14の横方向のエッチング速度がポリシリコン層12よりも速いと、絶縁層14のエッチング面がポリシリコン層12のエッチング面よりも幾分凹む。多層活性領域10のパターニング後、電荷蓄積層を含む絶縁体22を全面にデポジットし、次いでゲート材料を全面にデポジットし、その後、ゲート材料をパターニングして垂直ゲート20を形成する。ゲート材料のパターニングは、異方性ドライエッチングにより行われるが、
図4(B)に示すように、多層活性領域10のエッチング面に凹みがあると、ゲート材料の膜厚は必ずしも均一ではなく、垂直ゲートを精度良くエッチングすることが難しくなる。また、ゲート材料の膜厚の厚い部分に応じた時間でエッチングすると、多層活性領域10の絶縁層14がさらに横方向にオバーエッチングされ、多層活性領域10の両側で対向する垂直ゲート20間に絶縁不良あるいは短絡を引き起こすおそれがある。さらに、垂直ゲート20のエッチング精度の劣化は、多層活性領域10の延在する方向(A-A線と直交する方向)に隣接する垂直ゲート20間の短絡を引き起こすおそれがある。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決し、垂直方向に延在するゲート間の短絡を防止することができるNAND型フラッシュメモリおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るNAND型フラッシュメモリの製造方法は、絶縁層とチャンネル層と交互に積層した複数のチャンネル積層体を基板上に形成するステップであって、当該チャンネル積層体は、第1の側面と当該第1の側面に対向する第2の側面とを有し、第1および第2の側面が第1の方向に延在する、前記ステップと、前記複数のチャンネル積層体のそれぞれの第1の側面と第2の側面との間に絶縁層を形成するステップと、前記絶縁層の第1の方向に一定のピッチで複数のトレンチを形成するステップと、少なくとも各トレンチの内壁を覆うように、電荷蓄積層を含む絶縁体を形成するステップと、前記第1の方向と直交する第2の方向の各トレンチ内の空間を充填するように前記第2の方向に延在する複数のゲートを形成するステップとを有する。
【0009】
ある実施態様では、前記ゲートは、前記トレンチ内を基板から垂直方向に延在し、かつ前記絶縁体によって包囲される。ある実施態様では、前記ゲートは、前記トレンチ内において、前記絶縁体を介して隣接するチャンネル積層体の第1の側面および第2の側面を覆う。ある実施態様では、前記トレンチを形成するステップは、前記チャンネル積層体の第1および第2の側面の少なくとも最上層のチャンネル層から最下層のチャンネル層まで露出させる。ある実施態様では、前記トレンチを形成するステップは、エッチングマスクを介して前記複数のチャンネル積層体の間に形成された前記絶縁層の一部を除去する。ある実施態様では、製造方法はさらに、前記チャンネル積層体の各チャンネル層の一方の端部に電気的に接続されるビット線を形成するステップと、前記チャンネル積層体の各チャンネル層の他方の端部に電気的に接続されるソース線を形成するステップとを含む。ある実施態様では、前記ビット線を形成するステップは、前記チャンネル積層体の一方の端部に形成された最上層のチャンネル層から最下層のチャンネル層に至るコンタクトホール内に導電性プラグを形成することを含み、前記ソース線を形成するステップは、前記チャンネル積層体の他方の端部に形成された最上層のチャンネル層から最下層のチャンネル層に至るコンタクトホール内に導電性プラグを形成することを含む。ある実施態様では、製造方法はさらに、交互に積層されたチャンネル層と絶縁層とを前記基板上に形成するステップと、前記積層されたチャンネル層と絶縁層とをエッチングによりパターニングし、複数のフィン状のチャンネル積層体を形成するステップとを含む。
【0010】
本発明に係るNAND型フラッシュメモリは、基板と、前記基板上に形成された複数のチャンネル積層体であって、当該チャンネル積層体は、第1の側面と当該第1の側面に対向する第2の側面とを有し、第1および第2の側面が第1の方向に延在する、前記複数のチャンネル積層体と、隣接するチャンネル積層体のそれぞれの第1の側面と第2の側面との間に形成された絶縁層と、前記絶縁層の前記第1の方向に一定のピッチで形成された複数のトレンチと、少なくとも各トレンチの側壁を覆うように形成された電荷蓄積層を含む絶縁体と、前記第1の方向と直交する第2の方向の各トレンチ内の空間を充填するように前記第2の方向に延在する複数のゲートとを有する。
【0011】
ある実施態様では、前記ゲートは、前記トレンチ内を前記基板から垂直方向に延在し、かつ前記絶縁体によって包囲される。ある実施態様では、前記ゲートは、前記トレンチ内において、前記絶縁体を介して隣接するチャンネル積層体の第1の側面および第2の側面を覆う。ある実施態様では、前記トレンチは、前記チャンネル積層体の第1および第2の側面の少なくとも最上層のチャンネル層から最下層のチャンネル層まで露出させる。ある実施態様では、NAND型フラッシュメモリはさらに、前記チャンネル積層体の各チャンネル層の一方の端部に電気的に接続されるビット線と、前記チャンネル積層体の各チャンネル層の他方の端部に電気的に接続されるソース線とを含む。ある実施態様では、前記ビット線は、前記チャンネル積層体の一方の端部に形成された最上層のチャンネル層から最下層のチャンネル層に至るコンタクトホール内の導電性プラグに接続され、前記ソース線は、前記チャンネル積層体の他方の端部に形成された最上層のチャンネル層から最下層のチャンネル層に至るコンタクトホール内の導電性プラグに接続される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、チャンネル積層体の間に形成されたトレンチ内の空間にゲートを形成するようにしたので、第1および第2の方向において隣接するゲートの短絡を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1(a)は、従来の3次元構造のメモリセルアレイの構成を示す斜視図、
図1(b)は、その上面図である。
【
図2】
図1(a)に示すメモリセルアレイの等価回路である。
【
図3】
図1(a)に示すメモリセルアレイの製造プロセスを説明する概略断面図である。
【
図4】従来の3次元構造のフラッシュメモリの課題を説明する図であり、
図4(A)は、垂直ゲートと多層活性領域との接続関係を示す斜視図、
図4(B)は、
図4(A)のA-A線で切断したときの断面図である。
【
図5】本発明の実施例に係る3次元構造のNAND型フラッシュメモリの平面図である。
【
図8A】本発明の実施例に係る3次元構造のNAND型フラッシュメモリの製造工程を説明する図である。
【
図8B】本発明の実施例に係る3次元構造のNAND型フラッシュメモリの製造工程を説明する図である。
【
図8C】本発明の実施例に係る3次元構造のNAND型フラッシュメモリの製造工程を説明する図である。
【
図9】
図9(A)は、トレンチ溝を形成するためのマスクの平面図、
図9(B)は、チャネルスタック上にマスクが形成されたときの平面図である。
【
図9A】同図(A)は、トレンチ溝を形成したときの平面図、同図(B)は、そのC-C線断面図である。
【
図9B】同図(A)は、電荷蓄積層を含む絶縁体スタックを形成したときのD-D線断面の平面図、同図(B)は、C-C線に対応する断面図である。
【
図9C】同図(A)は、ゲート材料をデポジットしたときのD-D線断面の平面図、同図(B)は、C-C線に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る3次元構造のNAND型フラッシュメモリは、記憶媒体として種々の半導体装置(例えば、そのようなフラッシュメモリを埋め込むマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、ロジック等)において利用される。
【実施例】
【0015】
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図面のスケールは、発明の理解を容易にするために誇張されて記載されており、必ずしも実際の製品のスケールを表すものではないことに留意すべきである。
【0016】
図5は、本発明の実施例に係る3次元構造のNAND型フラッシュメモリのメモリセルアレイの一部の概略構成を示す平面図、
図6Aは、
図5のA1-A1線断面図、
図6Bは、
図5のA2-A2線断面図、
図7は、
図5のB-B線断面図である。
【0017】
本実施例のNAND型フラッシュメモリは、基板100と、基板100上に形成された下部絶縁層110と、下部絶縁層110上に形成され、かつX方向に延在する複数のチャンネルスタック120と、複数のチャンネルスタック120の側面を覆うように垂直方向に延び、かつ複数のチャンネルスタック120上をY方向に延在する複数の垂直ゲート130と、各チャンネルスタック120の一方の端部に電気的に接続され、かつX方向に延在する複数のビット線150と、各チャンネルスタック120の他方の端部に電気的に共通に接続され、かつY方向に延在する共通ソース線160とを含んで構成される。
【0018】
基板100は、特に限定されないが、例えば、シリコン基板である。下部絶縁層110は、特に限定されないが、例えば、酸化シリコンやシリコン窒化物である。
【0019】
1つのチャンネルスタック120は、基板100から垂直方向に延びる第1の側面S1と当該第1の側面S1に対向する第2の側面S2とを有し、第1および第2の側面S1、S2は、X方向に延在する。1つのチャンネルスタック120は、フィン状または薄板状であり、Y方向から見た平面形状は、矩形状または短冊状である。チャンネルスタック120は、チャンネル領域を提供するポリシリコン層122と絶縁層124とを交互に積層した構造体であり、このような複数のチャンネルスタック120がY方向に一定のピッチで配置される。
【0020】
複数のチャンネルスタック120の間には絶縁層170が形成され、絶縁層170には、下部絶縁層110にまで通じる複数のトレンチ180が形成される。つまり、トレンチ180は、隣接するチャンネルスタック120の第1の側面S1と第2の側面S2とを露出させるように、絶縁層170のX方向に一定ピッチで複数形成される。それ故、各トレンチ180はY方向にも整列する。
図5の例では、1つのトレンチ180の平面形状は矩形状である。
【0021】
各トレンチ180内には、トレンチ180の底面および側面を覆うように絶縁体スタック190が形成される。絶縁体スタック190は、トレンチ180内で露出されたチャンネルスタック120の第1の側面S1および第2の側面S2を覆う。絶縁体スタック190は、電荷蓄積層を含む3層またはそれ以上の絶縁層を積層した構造体である。絶縁体スタック190は、例えば、酸化物層/窒化物層/酸化物層(ONO)を含み、窒化物層は、酸化物層との界面に電荷を蓄積する。あるいは絶縁体スタック190は、窒化物層に代えて導電性のポリシリコン層を中央に含み、ポリシリコン層に電荷を蓄積する。電荷蓄積層は、プログラム動作または消去動作による負または正の電荷を蓄積することができる。絶縁体スタック190の膜厚は、トレンチ180のX方向およびY方向のサイズよりも小さく、絶縁体スタック190の形成後、トレンチ180には絶縁体スタック190に包囲された空間が形成される。
【0022】
複数のチャンネルスタック120と交差する方向、つまりY方向のトレンチ180を覆うように複数の垂直ゲート130が形成される。垂直ゲート130は、トレンチ180内の絶縁体スタック190によって残された空間を充填する。それ故、垂直ゲート130は、トレンチ180内を基板から垂直方向に延在し、かつ絶縁体スタック190を介してチャンネルスタック120の第1の側面S1および第2の側面S2を垂直方向に延びる。複数の垂直ゲート130の各々は、NANDストリングの複数のビット線側選択トランジスタ、メモリセルおよびソース線側選択トランジスタの選択ゲート線、ワード線を構成する。
【0023】
複数のチャンネルスタック120上には、層間絶縁膜140が形成される。層間絶縁膜140上には、Y方向に延在する共通ソース線160が形成される。共通ソース線160は、例えば、金属等の導電性材料から構成される。共通ソース線160と各チャンネルスタック120とが交差する位置には、
図5、
図7に示すように、層間絶縁膜140、絶縁体スタック190、チャネルスタック120の最上層の絶縁層124Aから最下層の絶縁層124Bまで貫通するコンタクトホール162が形成され、コンタクトホール162内に導電性プラグ164が充填される。これにより、共通ソース線160は、導電性プラグ164を介して、チャンネルスタック120の最上層のポリシリコン層122Aから最下層のポリシリコン層122Bまでの他方の端部に電気的に共通接続される。
【0024】
共通ソース線160を覆うようにさらに層間絶縁膜140が形成され、この層間絶縁膜140上には、X方向に延在する複数のビット線150が形成される。ビット線150は、例えば、金属等の導電性材料から構成され、各ビット線150は、複数のチャンネルスタック120と平行にチャンネルスタック120の真上を延在するようにパターニングされる。各ビット線150の端部の位置には、
図5、
図7に示すように、層間絶縁膜140、絶縁体スタック190、チャネルスタック120の最上層の絶縁層124Aから最下層の絶縁層124Bまで貫通するコンタクトホール152が形成され、各コンタクトホール152内に導電性プラグ154が充填される。これにより、各ビット線150は、各導電性プラグ154を介して、チャンネルスタック120の最上層のポリシリコン層122Aから最下層のポリシリコン層122Bまでの一方の端部にそれぞれ電気的に接続される。
【0025】
ビット線側のコンタクトホール152に隣接する1つまたは複数の垂直ゲート130は、NANDストリングの1つまたは複数のビット線側選択トランジスタの選択ゲート線を構成し、共通ソース線160に隣接する1つまたは複数の垂直ゲート130は、NANDストリングの1つまたは複数のソース線側選択トランジスタの選択ゲート線を構成し、上記以外の複数の垂直ゲート130は、複数のメモリセルのワード線を構成する。
【0026】
NAND型フラッシュメモリでは、ページ単位で読出し動作やプログラム動作はページ単位で行われ、消去はブロック単位で行われる。1つのチャンネルスタック120の1つのX方向のポリシリコン層122は、1つのNANDストリングに対応し、それ故、1つのチャンネルスタック120には、ポリシリコン層122の積層数に応じた数のNANDストリングが形成される。また、1つのNANDストリングの選択は、複数のビット線側選択トランジスタの選択的な駆動によって行われる。ページの選択やブロックの選択等は公知であるため、ここでの詳細な説明を省略する。
【0027】
次に、本実施例の3次元構造のNAND型フラッシュメモリの製造方法について説明する。
図8Aないし
図8Cは、
図5のA1-A1線断面に対応する製造工程を示している。
図8Aに示すように、シリコン基板100上に下部絶縁層110を形成し、下部絶縁層110上にポリシリコン層122と絶縁層124とを交互に積層したチャンネルスタックの前駆体を形成する。次いで、この前駆体を異方性エッチングによりパターニングし、薄板状またはフィン状の複数のチャンネルスタック120を形成する。各チャンネルスタック120の第1および第2の側面S1、S2は、X方向に延在する。
【0028】
次に、
図8Bに示すように、チャンネルスタック120の間を埋めるように全面に絶縁層170をデポジットする。絶縁層170の材料やデポジット方法は特に限定されないが、チャンネルスタック120の段差を覆うことができるようなステップカバレッジの優れた材料や方法が選択される。
【0029】
次に、
図8Cに示すように、チャンネルスタック120の最上層の絶縁層124Aが露出するまで絶縁層170をエッチングする。このエッチング工程は、絶縁層124Aと絶縁層170の平坦化を含むものであってもよい。
【0030】
次の工程を、
図9ないし
図9Cを参照して説明する。
図9(A)は、絶縁層170にトレンチを形成するためのエッチングマスクの平面図である。エッチングマスク200は、X方向に一定のピッチで形成された複数の開口210を有し、各開口210は、Y方向に延在する。
図9(B)は、
図8Cの工程後に、エッチングマスク200を形成したときの平面図である。
【0031】
チャンネルスタック120および絶縁層170の上面にマスクパターン200を形成したとき、Y方向に延在する1つの開口210は、図示するように、各チャンネルスタック120の絶縁層124Aとその間の絶縁層170を露出させる。開口210は、絶縁層170に形成するトレンチ180を位置決めする。
【0032】
次に、エッチングマスク200を介して異方性エッチングを行う。ここでは、チャンネルスタック120の絶縁層124Aもエッチングマスクとして機能させるため、絶縁層170と絶縁層124Aとのエッチングの選択比の大きいエッチャントを使用する。エッチングは、下部絶縁層110が露出するまで行われる。このようなエッチングにより、開口210によって露出された絶縁層170の一部が除去され、そこにトレンチ180が形成される。なお、エッチングマスク200は、必ずしも
図9に示す構成に限定されず、例えば、チャネルスタック120の絶縁層124Aを露出させないような矩形状の開口を2次元的に形成するものであってもよい。この場合、絶縁層170と絶縁層124Aとのエッチングの選択比は必ずしも大きくなくてもよい。
【0033】
図9A(A)は、エッチングマスク200を除去した後の平面図、
図9A(B)は、そのC-C線断面図である。図示するように、隣接するチャンネルスタック120のY方向において第1の側面S1と第2の側面S2とを露出させるトレンチ180が形成される。トレンチ180の内部空間には、後述するように、絶縁体スタック190や垂直ゲート130が充填される。トレンチ180のX方向およびY方向のサイズは、トランジスタのサイズはチャンネルスタック120のY方向のピッチに応じて適宜選択される。
【0034】
次に、トレンチ180を含む基板全面に、電荷蓄積層を含む少なくとも3層もしくはそれ以上の層数の絶縁体スタック190がデポジットされる。
図9B(A)は、同図(B)のD-D線断面の平面図であり、
図9B(B)は、
図9A(A)のC-C線に対応する断面図である。絶縁体スタック190は、トレンチ180の底部および側部を覆うように基板全面に形成される。絶縁体スタック190の膜厚は適宜選択され、絶縁体スタック190を形成した後に残された空間に垂直ゲート130が形成される。なお、絶縁体スタック190は、少なくともトレンチ180内に形成されていればよく、不要であれば、絶縁層170上の絶縁体スタックを除去してもよい。
【0035】
次に、トレンチ180を含む基板全面に、低抵抗のゲート材料(例えば、導電性のポリシリコン)が形成され、その後、ゲート材料は、Y方向のトレンチ180上を延在するようにパターニングされ、これにより垂直ゲート130が形成される。
図9C(A)は、同図(B)のD-D線断面の平面図であり、
図9C(B)は、
図9A(A)のC-C線に対応する断面図である。垂直ゲート130は、トレンチ180内を垂直方向に延び、かつ絶縁体スタック190によって包囲される。垂直ゲート130の一方の面は、絶縁体スタック190を介してチャネルスタック120の第1の側面S1に対向し、他方の面は、隣接するチャネルスタック120の第2の側面S2に対向する。
【0036】
垂直ゲート130の形成後、層間絶縁膜140を形成し、次いで、コンタクトホール162を形成した後、コンタクトホール162内に導電性プラグ164を形成し、その後、導電性プラグ164に接続する共通ソース線150を形成する。次いで、共通ソース線160を覆うように層間絶縁膜140を形成し、次いで、コンタクトホール152を形成した後、コンタクトホール152内に導電性プラグ154を形成し、その後、導電性プラグ154に接続するビット線150形成する。こうして、セルアレイのプロセスが完了される。
【0037】
このように本実施例によれば、予め垂直ゲートを形成するためのトレンチを形成しておき、トレンチ内に垂直ゲートを形成するようにしたので、チャネルスタックの側面と対向する垂直ゲートをパターニングするためのエッチングが不要となり、垂直ゲートの加工精度を向上させることができる。さらにトレンチ内に絶縁体スタックを形成することで、垂直ゲートはトレンチ内で絶縁体スタックによって包囲されるため、X方向およびY方向で隣接する垂直ゲートの短絡を防止することができる。
【0038】
なお、上記実施例では、ビット線150および共通ソース線160をチャネルスタック120の形成後に形成したが、これに限らず、チャネルスタック120を形成する前に下部絶縁層110内にビット線150および共通ソース線160を埋め込むようにしてもよい。この場合、各ビット線150とチャンネルスタック120のポリシリコン層の一方の端部とを電気的に接続するための導電性プラグ154、共通ソース線160とチャンネルスタック120のポリシリコン層の他方の端部とを電気的に接続するための導電性プラグ164が、層間絶縁膜140のコンタクトホール152、162内に充填される。
【0039】
また、メモリセルは、1ビット(2値データ)を記憶するSLCタイプでもよいし、多ビットを記憶するタイプであってもよい。
【0040】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0041】
100:基板
110:下部絶縁層
120:チャンネルスタック
130:垂直ゲート
140:層間絶縁膜
150:ビット線
152:コンタクトホール
154:導電性プラグ
160:共通ソース線
162:コンタクトホール
164:導電性プラグ
170:絶縁層
180:トレンチ
190:絶縁体スタック
200:エッチングマスク
210:開口
S1:第1の側面、S2:第2の側面