(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】力覚提示装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20240827BHJP
G06F 3/0346 20130101ALI20240827BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G06F3/0346 424
(21)【出願番号】P 2023503344
(86)(22)【出願日】2021-07-02
(86)【国際出願番号】 JP2021025125
(87)【国際公開番号】W WO2022185560
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2023-08-22
(31)【優先権主張番号】P 2021032661
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【氏名又は名称】三木 友由
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】香田 祐太
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-200140(JP,A)
【文献】特開2010-182315(JP,A)
【文献】国際公開第2019/225170(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/220803(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/0346
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの手で把持される基体と、
前記基体を把持した状態でユーザが指先を置くための指置き部を有する可動部と、
前記可動部を前記基体
の長手方向に移動させる移動機構と、を備え、
前記可動部は、手の平に力覚を提示するための押込部材を有
し、
前記移動機構が前記可動部を前記基体に引き込む方向に移動させると、前記指置き部および前記押込部材がユーザに力覚を提示する、
ことを特徴とする力覚提示装置。
【請求項2】
前記基体は、2つ以上の指で挟持される、
ことを特徴とする請求項1に記載の力覚提示装置。
【請求項3】
前記指置き部は、前記可動部の移動方向とは異なる向きに立設された指係合部を有する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の力覚提示装置。
【請求項4】
前記指係合部は、指先に接触する湾曲面を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の力覚提示装置。
【請求項5】
前記指置き部に置かれた指先により操作可能なスイッチ機構を備える、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の力覚提示装置。
【請求項6】
前記移動機構は、前記可動部を、前記基体の長手方向と平行な軸線回りに回転させる、
ことを特徴とする請求項1から
5のいずれかに記載の力覚提示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの手により把持されて、ユーザに力覚を提示する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、使用者がベースに固定されたリングに人差し指を挿入し、親指、人差し指、中指で可動部を把持した状態で、可動部がベースに対して移動することにより、使用者の3指に対して固有受容感覚を提示するペン型の力覚提示デバイスを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された力覚提示デバイスにおいては、使用者が人差し指をリングに挿入して、手をベースに固定することで、可動部を把持する指に固有受容感覚が提示されるようになる。そのため使用者の人差し指のサイズとリング内径とが合っていなければ、手をベースにうまく固定することができない。
【0005】
そこで本発明は、ユーザが使用しやすい力覚提示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の力覚提示装置は、ユーザの手で把持される基体と、基体を把持した状態でユーザが指先を置くための指置き部を有する可動部と、可動部を基体に対して移動させる移動機構と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】力覚提示装置をユーザが把持した状態を示す図である。
【
図4】可動部を基体に対して相対移動させる移動機構を示す図である。
【
図6】力覚提示装置の機能ブロックを示す図である。
【
図8】力覚提示装置をユーザが把持した状態を示す図である。
【
図9】力覚提示装置をユーザが把持した状態を示す図である。
【
図11】可動部を基体に対して相対回転移動させる移動機構を示す図である。
【
図12】力覚提示装置を正面から見たときの支持台フレームの傾きを示す図である。
【
図13】力覚提示装置の機能ブロックを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施例1)
図1は、実施例1の力覚提示装置1をユーザが把持した状態を示す。
図1(a)は、力覚提示装置1を正面から見た状態を示し、
図1(b)は、力覚提示装置1を側面から見た状態を示す。力覚提示装置1は、ユーザの手で把持される基体2と、基体2に対して相対移動可能な可動部3とを備える。力覚提示装置1はペン型のハプティクスデバイスであり、基体2は略平行に配置される両側面をもつ。ユーザは基体2の両側面を親指と中指で挟持し、人差し指を可動部3に置いた状態で、力覚提示装置1を使用する。
【0009】
力覚提示装置1は、たとえば仮想的な空間に設置されたホワイトボードに絵や文字を描く描画アプリケーションにおいて、インクを出す仮想ペンとして利用される。この描画アプリケーションでは、力覚提示装置1の先端部が仮想ペンのペン先に対応し、仮想空間においてペン先がホワイトボード等の仮想物体に接触すると、基体2に対して可動部3が相対的に移動して、ユーザの人差し指に力覚が提示される。力覚が提示されることで、ユーザは絵や文字を描き始めてよいことを認識できる。
【0010】
図2は、力覚提示装置1の側面図である。力覚提示装置1において、可動部3が設けられている側が先端側と定義され、
図2に示す側面視にて左側を前側、右側を後側と呼ぶ。
図2に示す状態で可動部3は基体2から前方に最も突き出た位置にあり、この位置が可動部3の「基準位置」となる。
【0011】
可動部3の上面には、ユーザが基体2を把持した状態で、人差し指の指先を置くための指置き部5が設けられる。指置き部5の前端には、指の先端部分が係合する指係合部4が設けられる。指係合部4は、可動部3の移動方向(つまり前後方向)とは異なる向きに立設され、実施例1で指係合部4は、可動部3の上面に垂直な方向に立設されている。指係合部4は、指の腹に沿うように傾斜し且つ曲率を有する湾曲面4aを有する。湾曲面4aが、可動部3の上面に対して傾斜し且つ指先を接触させる方向に凹状に形成されていることで、ユーザは、人差し指の先端部分を安定して湾曲面4aに接触させることができる。
【0012】
ユーザは、ペンを持つように親指と中指で基体2の両側面を挟持し、人差し指の腹を指置き部5に置く。このためユーザは利き手に関係なく、人差し指を指置き部5に置くことができる。なおユーザは、3本以上の指で基体2を挟持し、基体2の挟持に主として関与しない別の指の腹を指置き部5に置いてもよい。このように力覚提示装置1の基体2は、2つ以上の指で把持されることで、基体2を手に固定するための特別な把持機構を必要とせずに、基体2を手に固定できる。
【0013】
図3(a)は、基準位置にある可動部3に指を置いた状態を示す。ユーザが指置き部5に指の腹を置くと、指の先端部分が湾曲面4aにフィットして接触する。このように指の先端部分が指係合部4に当接することで、可動部3が基体2に引き込まれる方向に動くときに、指が指係合部4とともに確実に移動するようになる。
【0014】
図3(b)は、可動部3が基体2に引き込まれる方向に移動する状態を示す。可動部3が移動するとき、指先端部は、指置き部5との間に作用する摩擦力により、可動部3に連動するように動くが、移動方向に対して垂直方向に立設されている指係合部4と接触していることで、可動部3の動きに確実に連動するようになる。
【0015】
図4は、可動部3を基体2に対して相対移動させる移動機構30を示す。
図4(a)は、可動部3が基準位置にあるときの移動機構30の状態を示し、
図4(b)は、可動部3が基準位置から引き込まれたときの移動機構30の状態を示す。
【0016】
移動機構30は、回転アクチュエータ10、送りねじ12、ナット14、ガイド機構16、ロッド18、固定部20および回転角センサ22を備えて、可動部3を基体2の長手方向にスライド移動させる。この移動機構30においては、回転アクチュエータ10が送りねじ12を正回転または逆回転することで、ナット14を、送りねじ12の軸方向(基体2の長手方向)に移動させる。ナット14には複数のロッド18が固定されており、ロッド18の先端部には、可動部3の被固定部に固定される固定部20が取り付けられる。ロッド18は、基体2の内壁に固定されたガイド機構16によって、進行方向の動きをガイドされる。回転角センサ22は回転アクチュエータ10の回転角度を検出し、可動部3の移動は、回転角センサ22の検出値にもとづいて制御される。
【0017】
図5は、ユーザが操作入力を行うスイッチ機構40の例を示す。実施例1の力覚提示装置1は、指置き部5に置かれた指先により操作可能なスイッチ機構40を備える。スイッチ機構40は、接点構造40bを有するタクタイルスイッチとして構成されてよく、ユーザはプッシュ式の操作ボタン40aを押し込むことで、スイッチをオンする。なおスイッチ機構40は、他の種類の構造を有してもよい。
【0018】
ユーザが操作する操作ボタン40aは、指置き部5において湾曲面4aより後方側に設けられる。仮想的な空間に設置されたホワイトボードに絵や文字を描く描画アプリケーションにおいて、操作ボタン40aは、インクを出すための操作部材として利用されてよい。
【0019】
操作ボタン40aが指置き部5に設けられることで、ユーザは、基体2を親指と中指で挟持した状態で、操作ボタン40aを人差し指で自由に操作できる。スイッチ機構40は操作ボタン40aを上方向に付勢するバネ部材を有し、人差し指が操作ボタン40aに置かれているだけでは、接点構造40bがオンにならないように構成される。人差し指の先端部は、力覚提示装置1の挟持に主として関与しないため、ユーザは、指置き部5に置いた人差し指を、任意のタイミングで押し込んで、スイッチ機構40を作動できる。
【0020】
図6は、力覚提示装置1の機能ブロックを示す。制御部50は、力覚提示装置1の動作を制御する。通信部52は、描画アプリケーションを実行する処理装置と力覚提示装置1との間で、データの送受信を行う。ユーザが仮想ペンのペン先を、仮想空間におけるホワイトボードに接触させると、描画アプリケーションは、その接触による反力を生成するための反力データを力覚提示装置1に提供する。なお力覚提示装置1の実空間における位置座標は、外部カメラを利用してトラッキングされてよく、また内蔵のIMU(Inertial Measurement Unit)やカメラを利用して自己位置推定されてもよい。通信部52が反力データを受信すると、制御部50は、回転角センサ22の検出値を監視しながら回転アクチュエータ10を制御して、基準位置にある可動部3を基体2に引き込む方向に移動させる。これによりユーザの人差し指は、指係合部4から押し込み力を受け、ユーザは、ペン先がホワイトボードに接触したことを認識する。
【0021】
その状態でユーザが操作ボタン40aを操作してスイッチ機構40を作動させると、通信部52がスイッチオンを示すデータを処理装置に送信する。これによりユーザは、仮想ペンを用いて、ホワイトボードに絵や文字を描画できる。このように実施例1の力覚提示装置1を用いると、ユーザは、ペン先にかかる力を感じながら、描画アプリケーションを楽しむことができる。
【0022】
図7は、可動部3に設けられる押込部材6の例を示す。押込部材6は、手の平に力覚を提示するための部材であり、可動部3の下面に形成される。押込部材6は、可動部3が移動するとユーザの手の平に押し込まれる棒状部材として構成されてよい。
図7(a)は、基準位置にある可動部3を示し、
図7(b)は、基体2に引き込まれる方向に移動したときの可動部3を示す。
【0023】
図8は、力覚提示装置1をユーザが把持した状態を示す。この例では、可動部3が基準位置にあって、基体2から前方に最も突き出ている。この状態から移動機構30が可動部3を引き込む方向に移動させると、押込部材6の端部がユーザの手の平に押し当たる。このように力覚提示装置1は、指係合部4だけでなく、押込部材6を用いて力覚を提示することで、ユーザが仮想物体から受ける反力を、より感じることができる。
【0024】
(実施例2)
実施例1では、移動機構30が、可動部3を基体2の長手方向に移動させることで、仮想空間において仮想ペンのペン先が仮想物体(ホワイトボード)に接触したときの反力を提示する。実施例2では、仮想ペンのペン先が仮想物体上を動くときの摩擦力を提示するため、移動機構が、可動部を、基体の長手方向と平行な軸線回りに回転させる機能を備える。
【0025】
図9は、実施例2の力覚提示装置100をユーザが把持した状態を示す。力覚提示装置100は、ユーザの手で把持される基体102と、基体102に対して相対移動可能な可動部103とを備える。力覚提示装置100はペン型のハプティクスデバイスであり、基体102は略平行に配置される両側面をもつ。ユーザは基体102の両側面を親指と中指で挟持し、人差し指を可動部103に置いた状態で、力覚提示装置100を使用する。実施例2における可動部103は、基体102に対して、基体102の長手方向に相対移動可能であり、さらに基体102の長手方向と平行な軸線回りに相対回転可能である。
【0026】
基体102の側面には、スイッチ機構107を配置したスイッチ設置部材106が設けられ、ユーザはスイッチ設置部材106の表面に中指を接触させる。スイッチ機構107は、プッシュ式の操作ボタンを有し、実施例1のスイッチ機構40と同じ構造を有してよい。ユーザは、中指で操作ボタンを押し込むことで、スイッチをオンできる。
【0027】
実施例2の力覚提示装置100は、実施例1の力覚提示装置1と同様に、仮想的な空間に設置されたホワイトボードに絵や文字を描く描画アプリケーションにおいて、インクを出す仮想ペンとして利用されてよい。描画アプリケーションでは、基体102に対して可動部103がスライド移動することで、人差し指に対してペン先の押込方向の力覚が提示され、基体102に対して可動部103が回転移動することで、人差し指に対してホワイトボード上でペン先が動く向きとは逆向きの力覚(ペン先にかかる摩擦力に相当)が提示される。力覚が提示されることで、ユーザは、仮想ペンを動かして絵や文字を描いていることを体感できる。
【0028】
図10は、力覚提示装置100の斜視図である。力覚提示装置100において、可動部103が設けられている側が先端側と定義される。
図10に示す状態で可動部103は基体102から前方に最も突き出た位置にあり、この位置が可動部103の「基準位置」となる。また
図10に示す状態で可動部103の回転角はゼロであり、この姿勢が可動部103の「基準姿勢」となる。
【0029】
可動部103の上面には、ユーザが基体102を把持した状態で、人差し指の指先を置くための指置き部105が設けられる。指置き部105の両側部分および前端部分には、指の先端部分が係合する指係合部104が設けられる。指係合部104は、可動部103の2つの移動方向、つまり基体102の長手方向と、当該長手方向と平行な軸線回りの回転方向とは異なる向きに形成される。具体的に指係合部104は、後述する支持台フレーム112の梁部材上面に立設される。指係合部104は、指の腹に沿うように傾斜し且つ曲率を有する湾曲面104aを有する。湾曲面104aが、梁部材上面に対して傾斜し且つ指先を接触させる方向に凹状に形成されていることで、ユーザは、人差し指の先端部分を安定して湾曲面104aに接触させることができる。
【0030】
ユーザは、ペンを持つように親指と中指で基体102の両側面を挟持し、人差し指の腹を指置き部105に置きつつ、中指の腹をスイッチ設置部材106の表面に置く。なおユーザは、3本以上の指で基体102を挟持し、基体102の挟持に主として関与しない別の指の腹を指置き部105に置いてもよい。このように力覚提示装置100の基体102は、2つ以上の指で把持されることで、基体102を手に固定するための特別な把持機構を必要とせずに、基体102を手に固定できる。
【0031】
図11は、可動部103を基体102に対して相対回転移動させる移動機構120を示す。移動機構120は、回転アクチュエータ110、支持台フレーム112、基部114、ストッパ116および回転角センサ118を備えて、可動部103を軸線回りに回転移動させる。なお可動部103の被固定部122には、
図4に示す固定部20が固定されて、可動部103が、移動機構30によりスライド移動可能とされる。
【0032】
基部114は、可動部103の筐体に固定されて、指置き部105を設置した支持台フレーム112を回転可能に支持する。支持台フレーム112は、一対の柱部材と、一対の柱部材を連結する梁部材とを含む門型構造を有し、一対の柱部材は基部114に対して回転可能に連結され、梁部材は指置き部105を上面に搭載する。回転アクチュエータ110は基部114に固定されて、モータシャフトが支持台フレーム112の1つの柱部に連結される。移動機構120において、回転アクチュエータ110が正回転または逆回転することで、力覚提示装置100を正面から見たときに、支持台フレーム112が、右回転または左回転する。基部114には、一対のストッパ116が形成され、ストッパ116は支持台フレーム112の回転を規制する。回転角センサ118は回転アクチュエータ110の回転角度を検出し、可動部103の回転は、回転角センサ118の検出値にもとづいて制御される。
【0033】
図12は、力覚提示装置100を正面から見たときの支持台フレーム112の傾きを示す。
図12(a)は、基準姿勢にある基部114および支持台フレーム112を示す。基準姿勢において、回転角は0度である。
図12(b)は、基部114に対して支持台フレーム112が左回転した状態を示す。支持台フレーム112は、ストッパ116により回転を規制され、左回転時の最大回転角度は-45度であってよい。
図12(c)は、基部114に対して支持台フレーム112が右回転した状態を示す。支持台フレーム112は、ストッパ116により回転を制限され、右回転時の最大回転角度は+45度であってよい。
【0034】
図13は、力覚提示装置100の機能ブロックを示す。制御部50は、力覚提示装置100の動作を制御する。通信部52は、描画アプリケーションを実行する処理装置と力覚提示装置100との間で、データの送受信を行う。ユーザが仮想ペンのペン先を、仮想空間におけるホワイトボードに接触させて、ペン先をホワイトボード上で動かすと、描画アプリケーションは、そのペン動作による反力を生成するための反力データを力覚提示装置100に提供する。通信部52が反力データを受信すると、制御部50は、回転角センサ22の検出値を監視しながら回転アクチュエータ10を制御して、基準位置にある可動部103を基体102に引き込む方向に移動させ、および/または回転角センサ118の検出値を監視しながら回転アクチュエータ110を制御して、基準姿勢にある支持台フレーム112を回転させる。これによりユーザの人差し指は、指係合部4から押し込み力および/または回転力を受け、ユーザは、ホワイトボード上でペンを動かしていることを体感する。
【0035】
その状態でユーザがスイッチ機構107を作動させると、通信部52がスイッチオンを示すデータを処理装置に送信する。これによりユーザは、仮想ペンを用いて、ホワイトボードに絵や文字を描画できる。このように実施例2の力覚提示装置100を用いると、ユーザは、ペン先にかかる力を感じながら、描画アプリケーションを楽しむことができる。
【0036】
以上、本発明を複数の実施例をもとに説明した。上記実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0037】
たとえばユーザが挟持する基体2、102に、振動子が設けられてもよい。これにより力覚提示装置1、100は、ユーザに、振動による触覚刺激を提示することが可能となる。なお力覚提示装置1、100は力覚を提示する際に、内蔵スピーカから、接触音を示す音声を出力してもよい。
【0038】
実施例1では、移動機構30が送りねじ12を利用して、可動部3を前後方向に移動するが、変形例では、移動機構30がワイヤ直動機構を用いて、可動部3を前後方向に移動してよい。
【0039】
図14、
図15は、移動機構30の変形例を示す。移動機構30は、リール60、第1プーリ62、第2プーリ64、第3プーリ66、固定部材70およびリニアスライダ72を有する。
図16は、移動機構30から抽出したワイヤ直動機構を示す。ワイヤ直動機構を構成するリール60、第1プーリ62、第2プーリ64および第3プーリ66には、ワイヤ68が巻かれ、リール60が回転することで、ワイヤ68が移動する。ユーザは、テンション調整ねじ74を操作して第3プーリ66の位置を動かすことで、ワイヤ68が緩まないようにワイヤテンションを調整できる。
【0040】
固定部材70の先端部に、可動部3の被固定部に固定される固定部(図示せず)が設けられる。固定部材70はワイヤ68に固定され、リニアスライダ72は、固定部材70の移動方向を前後方向に規制する。変形例の移動機構30においては、回転アクチュエータ10がリール60を正回転または逆回転することで、ワイヤ68を前後方向に動かし、したがって固定部材70に固定された可動部3の前後方向の移動が実現される。変形例におけるワイヤ直動機構は、摩擦抵抗の影響を受けにくいため、小さいヒステリシスで正確な力覚を提示できる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、ユーザの手により把持されて、ユーザに力覚を提示する装置に利用できる。
【符号の説明】
【0042】
1・・・力覚提示装置、2・・・基体、3・・・可動部、4・・・指係合部、4a・・・湾曲面、5・・・指置き部、6・・・押込部材、10・・・回転アクチュエータ、12・・・送りねじ、14・・・ナット、16・・・ガイド機構、18・・・ロッド、20・・・固定部、22・・・回転角センサ、30・・・移動機構、40・・・スイッチ機構、40a・・・操作ボタン、40b・・・接点構造、50・・・制御部、52・・・通信部、60・・・リール、62・・・第1プーリ、64・・・第2プーリ、66・・・第3プーリ、68・・・ワイヤ、70・・・固定部材、72・・・リニアスライダ、74・・・テンション調整ねじ、100・・・力覚提示装置、102・・・基体、103・・・可動部、104・・・指係合部、104a・・・湾曲面、105・・・指置き部、106・・・スイッチ設置部材、107・・・スイッチ機構、110・・・回転アクチュエータ、112・・・支持台フレーム、114・・・基部、116・・・ストッパ、118・・・回転角センサ、120・・・移動機構、122・・・被固定部。