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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】車両熱管理システム及び電気自動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/615 20140101AFI20240827BHJP
   B60H 1/22 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H01M10/615
B60H1/22 611Z
B60H1/22 671
B60H1/22 651A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023505883
(86)(22)【出願日】2021-07-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-23
(86)【国際出願番号】 CN2021108444
(87)【国際公開番号】W WO2022022463
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-01-27
(31)【優先権主張番号】202010738220.X
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(72)【発明者】
【氏名】リエン、イーボー
(72)【発明者】
【氏名】リン、フーピン
(72)【発明者】
【氏名】シオン、ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ガン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ、イーリー
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-217946(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104835994(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0152286(US,A1)
【文献】特開2019-016584(JP,A)
【文献】特開2018-043741(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111231657(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/615
B60H 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両熱管理システムであって、車両用空調システム及び車両用バッテリー熱管理システムを備え、
前記車両用バッテリー熱管理システム、車両用空調システムに接続される熱伝導素子及び車両パワーバッテリーに接続される自己発熱回路を備え、前記熱伝導素子、前記車両用空調システムの圧縮機及び前記車両用空調システムの室外凝縮器は電池冷却回路を構成し、前記電池冷却回路は前記熱伝導素子内の冷媒を介して前記パワーバッテリーからの熱を吸収して前記パワーバッテリーを降温し、前記自己発熱回路と前記パワーバッテリーとはバッテリー自己発熱回路を構成し、前記パワーバッテリーは前記バッテリー自己発熱回路における前記自己発熱回路を介して高周波交互充放電を実現して自己発熱を行
前記車両用空調システムは圧縮機、室外凝縮器及び蒸発器を含み、前記圧縮機の出口は前記室外凝縮器の入口に接続され、前記室外凝縮器の出口は前記蒸発器の入口及び前記熱伝導素子の入口に接続され、前記蒸発器の出口及び前記熱伝導素子の出口はいずれも前記圧縮機の入口に接続され、前記圧縮機、前記室外凝縮器及び前記蒸発器は乗員室冷却回路を構成し、前記乗員室冷却回路は乗員室に配置される前記蒸発器を介して乗員室を冷却し、
前記車両用空調システムは室内凝縮器、第1の電磁弁及び第3の膨張弁をさらに備え、前記室内凝縮器の入口及び前記第1の電磁弁の入口はいずれも前記圧縮機の出口に接続され、前記第1の電磁弁の出口は前記室外凝縮器の入口に接続され、前記室内凝縮器の出口は第3の膨張弁によって前記室外凝縮器の入口に接続され、
前記圧縮機、前記室内凝縮器、前記室外凝縮器及び前記熱伝導素子は第1の乗員室加熱回路を構成し、前記第1の乗員室加熱回路は前記熱伝導素子内の冷媒を介して前記パワーバッテリーからの熱を吸収して前記圧縮機を介して吸収された熱を前記室内凝縮器に伝達した後、乗員室内に設置される前記室内凝縮器によって乗員室を加熱する、ことを特徴とする車両熱管理システム。
【請求項2】
前記熱伝導素子は前記パワーバッテリー内に集積された直冷板である、ことを特徴とする請求項1に記載の車両熱管理システム。
【請求項3】
前記車両用空調システムはいずれも冷媒圧力を低減するための第1の膨張弁と第2の膨張弁とをさらに備え、前記第1の膨張弁の入口と前記第2の膨張弁の入口とはいずれも前記室外凝縮器の出口に接続され、前記第1の膨張弁の出口は前記蒸発器の入口に接続され、前記第2の膨張弁の出口は前記熱伝導素子の入口に接続される、ことを特徴とする請求項に記載の車両熱管理システム。
【請求項4】
前記車両用空調システムは車体に取り付けられて且つ前記室外凝縮器に対向して設置された電子ファンをさらに備える、ことを特徴とする請求項又はに記載の車両熱管理システム。
【請求項5】
前記車両用空調システムは液体収集器をさらに備え、前記液体収集器の入口は前記熱伝導素子の出口及び前記蒸発器の出口に接続され、前記液体収集器の出口は前記圧縮機の入口に接続される、ことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の車両熱管理システム。
【請求項6】
前記車両用空調システムは第2の電磁弁をさらに備え、前記第2の電磁弁の入口は前記室外凝縮器の出口に接続され、前記第2の電磁弁の出口は前記圧縮機の入口に接続され、前記圧縮機、前記室内凝縮器、前記第3の膨張弁、前記室外凝縮器及び前記第2の電磁弁は第2の乗員室加熱回路を構成し、前記第2の乗員室加熱回路は前記室内凝縮器によって乗員室を加熱する、ことを特徴とする請求項に記載の車両熱管理システム。
【請求項7】
前記車両用空調システムは、車体に設けられ且つ車両乗員室を加熱するためのヒータをさらに備える、ことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の車両熱管理システム。
【請求項8】
電気自動車であって、請求項のいずれか1項に記載の車両熱管理システムを備える、ことを特徴とする電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は車両熱管理技術分野に属し、特に車両用バッテリー熱管理システム、車両熱管理システム及び電気自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーバッテリー技術の高速発展に伴い、電気自動車が、ますます多く使用されるようになり、パワーバッテリーは電気自動車上の重要なエネルギー供給素子であり、パワーバッテリーの優位性は電気自動車の優位性を大きく決定している。従来の技術におけるバッテリー熱管理システムは、通常、車両パワーバッテリーの電池パック内に2セットの熱管理パイプラインを設置し、一方の熱管理パイプラインは冷媒の流通に使用され、他方のものは冷却液の流通に使用され、この手段の電池パック内に複雑なパイプラインが装備されているため、電池パックの重量を増加するだけでなく、電池パックのレイアウトと生産の難しさも増加し、車両パワーバッテリーの直接冷却及び自己発熱と比較して、従来の技術におけるパワーバッテリーの耐熱性及び低温耐性に劣る。同時に、従来の技術において、外部熱源を使用してパワーバッテリーを加熱する場合が多いが、外部熱源によってパワーバッテリーを加熱する方法は、その昇温効率が低く、且つパワーバッテリーに加えて外部熱源を追加設置する必要があるため、パワーバッテリーの生産コストを増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願は、従来の技術におけるパワーバッテリーの耐熱性と低温耐性が悪く、及び昇温効率が低い等の問題を解決し、車両用バッテリー熱管理システム、車両熱管理システム及び電気自動車を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以上の問題を鑑みて、本願の実施例による車両用バッテリー熱管理システムは、車両用空調システムに接続される熱伝導素子及び車両パワーバッテリーに接続される自己発熱回路を備え、前記熱伝導素子、前記車両用空調システムの圧縮機及び前記車両用空調システムの室外凝縮器は電池冷却回路を構成し、前記電池冷却回路は前記熱伝導素子内の冷媒を介して前記パワーバッテリーからの熱を吸収して前記パワーバッテリーを降温し、前記自己発熱回路と前記パワーバッテリーとはバッテリー自己発熱回路を構成し、前記パワーバッテリーは前記バッテリー自己発熱回路における前記自己発熱回路を介して高周波交互充放電を実現して自己発熱を行う。
【0005】
本願のいくつかの実施例によれば、前記熱伝導素子は前記パワーバッテリー内に集積された直冷板である。
【0006】
本願の一実施例は、車両用バッテリー熱管理システムをさらに提供し、車両用空調システム及び車両用バッテリー熱管理システムを備え、前記車両用空調システムは圧縮機、室外凝縮器及び蒸発器を含み、前記圧縮機の出口は前記室外凝縮器の入口に接続され、前記室外凝縮器の出口は前記蒸発器の入口及び前記熱伝導素子の入口に接続され、前記蒸発器の出口及び前記熱伝導素子の出口はいずれも前記圧縮機の入口に接続され、前記圧縮機、前記室外凝縮器及び前記蒸発器は乗員室冷却回路を構成し、前記乗員室冷却回路は乗員室に配置される前記蒸発器を介して乗員室を冷却する。
【0007】
本願のいくつかの実施例によれば、前記車両用空調システムはいずれも冷媒圧力を低減するための第1の膨張弁と第2の膨張弁とをさらに備え、前記第の膨張弁の入口と前記第2の膨張弁の入口とはいずれも前記室外凝縮器の出口に接続され、前記第1の膨張弁の出口は前記蒸発器の入口に接続され、前記第2の膨張弁の出口は前記熱伝導素子の入口に接続される。
【0008】
本願のいくつかの実施例によれば、前記車両用空調システムは車体に取り付けられて且つ前記室外凝縮器に対向して設置された電子ファンをさらに備える。
【0009】
本願のいくつかの実施例によれば、前記車両用空調システムは液体収集器をさらに備え、前記液体収集器の入口は前記熱伝導素子の出口及び前記蒸発器の出口に接続され、前記液体収集器の出口は前記圧縮機の入口に接続される。
【0010】
本願のいくつかの実施例によれば、前記車両用空調システムは室内凝縮器、第1の電磁弁及び第3の膨張弁をさらに備え、前記室内凝縮器の入口及び前記第1の電磁弁の入口はいずれも前記圧縮機の出口に接続され、前記第1の電磁弁の出口は前記室外凝縮器の入口に接続され、
前記圧縮機、前記室内凝縮器、前記室外凝縮器及び前記熱伝導素子は第1の乗員室加熱回路を構成し、前記第1の乗員室加熱回路は前記熱伝導素子内の冷媒を介して前記パワーバッテリーからの熱を吸収して前記圧縮機を介して吸収された熱を前記室内凝縮器に伝達した後、乗員室内に設置される前記室内凝縮器によって乗員室を加熱する。
【0011】
本願のいくつかの実施例によれば、前記車両用空調システムは第2の電磁弁をさらに備え、前記第2の電磁弁の入口は前記室外凝縮器の出口に接続され、前記第2の電磁弁の出口は前記圧縮機の入口に接続され、前記圧縮機、前記室内凝縮器、前記第3の膨張弁、前記室外凝縮器及び前記第2の電磁弁は第2の乗員室加熱回路を構成し、前記第2の乗員室加熱回路は前記室内凝縮器によって乗員室を加熱する。
【0012】
本願のいくつかの実施例によれば、前記車両用空調システムは、車体に設けられ且つ車両乗員室を加熱するためのヒータをさらに備える。
【0013】
本願の一実施例は、前記車両熱管理システムを備える電気自動車をさらに提供する。
【発明の効果】
【0014】
本願において、車両用バッテリー熱管理システムは車両用空調システムに接続される熱伝導素子及び車両パワーバッテリーに接続される自己発熱回路を備え、パワーバッテリーの温度が低い場合、パワーバッテリーはバッテリー自己発熱回路における自己発熱回路によって高周波交互充放電を実現して自己発熱を行い、これにより、パワーバッテリーの温度が上昇し、パワーバッテリーが低い温度環境で作動することができる。また、熱伝導素子は車両用空調システムの圧縮機及び室外凝縮器とともに電池冷却回路を構成し、パワーバッテリーの温度が高い場合、電池冷却回路は熱伝導素子内の冷媒を介してパワーバッテリーの熱を吸収してパワーバッテリーを降温することによって、パワーバッテリーが高い環境条件下で作動することができ、このため、本願による車両用バッテリー熱管理システムは、パワーバッテリーの温度を適切な温度範囲内に維持させることができ、パワーバッテリーの耐熱性と低温耐性を向上させるだけでなく、電気自動車の適応性も向上する。同時に、本願の車両用バッテリー熱管理システムは前記パワーバッテリーの電池パック内に外部熱源を追加設置する必要せずに、パワーバッテリーの自己発熱を実現することができ、パワーバッテリーの生産コストと重量を低減すると同時に、パワーバッテリーのエネルギー利用率を更に向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下、図面と実施例を組み合わせて、本願を更に説明する。
【0016】
図1】本願の一実施例による車両熱管理システムの構造模式図である。
図2】本願の他の実施例による車両熱管理システムの構造模式図である。
図3】本願の一実施例による電気自動車のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願が解決しようとする技術的課題、技術的解決手段及び有益な効果をより明らかで理解しやすくするために、以下、図面及び実施例を組み合わせて、本願を更に詳細説明する。ここで説明する具体的な実施例は本願を解釈するためにのみ使用され、本願を限定するためのものではないことを理解すべきである。
【0018】
なお、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「中部」という用語などによって示される方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づいており、本願の説明の容易さと説明の簡潔さにのみ使用され、言及された装置または素子は特定の方位を有し、特定の方位で構造及び操作しなければならないといった、本願の限定として解釈されるべきではない。
【0019】
図1に示すように、本願の一実施例による車両用バッテリー熱管理システムは、車両用空調システム1に接続される熱伝導素子2及び車両パワーバッテリー3に接続(電気的接続)される自己発熱回路4を備え、前記熱伝導素子2、前記車両用空調システム1の圧縮機101及び前記車両用空調システム1の室外凝縮器102は電池冷却回路を構成し、前記電池冷却回路は前記熱伝導素子2内の冷媒(冷媒はフロン等を含む)を介して前記パワーバッテリー3からの熱を吸収して前記パワーバッテリー3を降温し、前記自己発熱回路4と前記パワーバッテリー3とはバッテリー自己発熱回路を構成し、前記パワーバッテリー3は前記バッテリー自己発熱回路内の前記自己発熱回路4によって高周波交互充放電を実現して自己発熱を行う。なお、前記熱伝導素子2は前記パワーバッテリー3に熱伝導材料によって接続され、且つ前記熱伝導素子2内に冷媒の流通に使用されるパイプラインが設けられ、これにより、前記パワーバッテリー3は前記熱伝導素子2のパイプライン内を流れる冷媒との熱交換を実現することに役に立つ。
【0020】
なお、前記バッテリー自己発熱回路とは、前記パワーバッテリー3の高周波充放電を実現できる回路モジュールであり、該回路モジュールはコンデンサ、インダクタ等のエネルギー貯蔵素子を含み、前記パワーバッテリー3の温度が低い場合、前記パワーバッテリー3は、まず前記バッテリー自己発熱回路内のエネルギー貯蔵素子によって放電し、一定の期間放電した後、前記バッテリー自己発熱回路の極性が逆になり、この場合、エネルギー貯蔵素子に蓄えられた電気エネルギーは、前記パワーバッテリー3を充電し、しかも、前記パワーバッテリー3を充電する過程において、前記パワーバッテリー3の内部抵抗が発熱して前記パワーバッテリー3の温度が上昇する。本願のいくつかの実施例によれば、前記パワーバッテリー3の充放電時間又は充放電状態の交互は前記バッテリー自己発熱回路内のスイッチング素子の規則的なオン・オフによって制御される。
【0021】
本願において、車両用バッテリー熱管理システムは接続車両用空調システム1の熱伝導素子2及び車両パワーバッテリー3に接続される自己発熱回路4を備え、前記自己発熱回路4と前記パワーバッテリー3とはバッテリー自己発熱回路を構成し、前記パワーバッテリー3の温度が低い場合、前記パワーバッテリー3は前記バッテリー自己発熱回路内の前記自己発熱回路4によって高周波交互充放電を実現して自己発熱を行い、これにより、パワーバッテリー3の温度を上昇させ、パワーバッテリー3が低い温度環境下で作動することができる。また、前記熱伝導素子2と前記車両用空調システム1の圧縮機101及び室外凝縮器102は電池冷却回路を構成し、前記パワーバッテリー3の温度が高い場合、前記電池冷却回路は前記熱伝導素子2内の冷媒を介して前記パワーバッテリー3からの熱を吸収して前記パワーバッテリー3を降温することにより、前記パワーバッテリー3が高い環境条件下で作動することができ、このため、本願による車両用バッテリー熱管理システムは、前記パワーバッテリー3の温度を適切な温度範囲内に維持させ、前記パワーバッテリー3の耐熱性と低温耐性を向上させることができるだけでなく、電気自動車の適応性も向上する。同時に、本願による車両用バッテリー熱管理システムは、前記パワーバッテリー3の電池パック内に外部熱源を追加設置する必要せずに、前記パワーバッテリー3の自己発熱を実現でき、前記パワーバッテリー3の生産コストと重量を低減すると同時に、前記パワーバッテリー3のエネルギー利用率を更に向上させる。
【0022】
一実施例において、前記熱伝導素子2は前記パワーバッテリー3内に集積された直冷板である。なお、前記直冷板は前記パワーバッテリー3の電池パック内に集積され、前記パワーバッテリー3の表面に十分に接触されるため、前記パワーバッテリーの電池パック内(前記直冷板と前記パワーバッテリー3はいずれも前記電池パック内に集積される)のパイプラインを最適化し、前記パワーバッテリーの電池パック内の空間が十分に利用され、前記パワーバッテリーの電池パックの重量と生産コストが低減されることに役に立つ。
【0023】
図1に示すように、本願の一実施例による車両熱管理システムは、車両用空調システム1及び前記車両用バッテリー熱管理システムを備え、前記車両用空調システム1は圧縮機101、室外凝縮器102及び蒸発器103を備え、前記圧縮機101の出口は前記室外凝縮器102の入口に接続され、前記室外凝縮器102の出口は前記蒸発器103の入口及び前記熱伝導素子2の入口に接続され、前記蒸発器103の出口及び前記熱伝導素子2の出口はいずれも前記圧縮機101の入口に接続され、前記圧縮機101、前記室外凝縮器102及び前記蒸発器103は乗員室冷却回路を構成し、前記乗員室冷却回路は乗員室内に設けられる前記蒸発器103によって乗員室を冷却することを特徴とする。なお、前記圧縮機101、前記室外凝縮器102、前記蒸発器103及び前記熱伝導素子2はいずれもパイプラインによって接続され、且つ該パイプライン内に冷媒(フロン等)が含まれる。具体的に、冷媒が前記蒸発器103内で液状から気体状に変化し、この相転移中に前記冷媒が乗員室内の熱を吸収し、乗員室を冷却する効果を奏する。本願において、前記車両熱管理システムは前記パワーバッテリー3の降温を実現できるだけでなく、乗員室の冷却を実現することができ、これにより、該車両熱管理システムの適用性を向上させる。
【0024】
好ましくは、図1に示すように、前記車両用空調システム1は、車体上に取り付けられ且つ前記蒸発器103に対向して設置されるブロワー113をさらに備える。なお、前記蒸発器103からの冷たい空気が乗員室に吹き込まれることによって、車両の快適性をさらに向上させる。
【0025】
一実施例において、図1に示すように、前記車両用空調システム1はいずれも冷媒の圧力を低減するための第1の膨張弁104と第2の膨張弁105とをさらに備え、前記第の膨張弁10の入口と前記第2の膨張弁105の入口とはいずれも前記室外凝縮器102の出口に接続され、前記第1の膨張弁104の出口は前記蒸発器103の入口に接続され、前記第2の膨張弁105の出口は前記熱伝導素子2の入口に接続される。なお、前記第1の膨張弁104は前記蒸発器103の位置する分岐路に設けられ、前記第2の膨張弁105は前記熱伝導素子2の位置する分岐路に設けられる。
【0026】
具体的に、前記乗員室冷却回路の具体的な過程は以下の通りであり、前記第1の膨張弁104が閉じ、前記第2の膨張弁105が開弁し、前記圧縮機101の増圧後、冷媒が高圧ガス冷媒に変換し、高圧ガス冷媒は前記室外凝縮器102を介して外界環境と熱交換した後、高圧ガス冷媒が高圧液状の冷媒(前記冷媒が乗員室外で放熱する)に変換し、高圧液状の冷媒は前記第1の膨張弁104を通った後低圧液状の冷媒に変換し、車両乗員室内に取り付けられる蒸発器103によって、低圧液状の冷媒(前記冷媒が乗員室内で吸熱する)に変換し、低圧ガス冷媒が前記圧縮機101に流れる。
【0027】
本願のいくつかの実施例によれば、前記電池冷却回路の具体的な過程は以下の通りであり、前記第1の膨張弁104と前記第1の電磁弁109とが閉じ、前記第2の膨張弁105と前記第3の膨張弁110とが開弁し、前記圧縮機101の増圧後、冷媒が高圧ガス冷媒に変換し、高圧ガス冷媒が前記室内凝縮器108を介して乗員室と熱交換した後、高圧ガス冷媒が高圧液状の冷媒(前記冷媒が乗員室内で吸熱する)に変換し、高圧液状の冷媒が前記室外凝縮器102と前記第2の膨張弁105とを通った後低圧液状の冷媒に変換し、低圧液状の冷媒は前記熱伝導素子2によって低圧ガス冷媒(前記冷媒が前記パワーバッテリー3の電池パック内で吸熱する)に変換し、低圧ガス冷媒が前記圧縮機101に流れる。
【0028】
本願において、前記車両熱管理システムは前記パワーバッテリー3の降温を実現できるだけでなく、乗員室の冷却を実現し、パワー自動車の適用性及び快適性を向上させる。
【0029】
一実施例において、図2に示すように、前記車両用空調システム1は車体上に取り付けられて前記室外凝縮器102に対向して設けられる電子ファン106をさらに備える。なお、前記電子ファン106は前記室外凝縮器102に対向して設けられ、前記電子ファン106が前記室外凝縮器102と外界環境との間の熱対流を補助し、これにより、前記室外凝縮器102での冷媒の発生状態の変換速度を速くするのに有利であり、これにより、電子ファン106の設計は前記車両用空調システム1の冷却と加熱効果を向上させる。
【0030】
一実施例において、図2に示すように、前記車両用空調システム1は液体収集器107をさらに備え、前記液体収集器107の入口は前記熱伝導素子2の出口及び前記蒸発器103の出口に接続され、前記液体収集器107の出口は前記圧縮機101の入口に接続される。なお、前記液体収集器107は、前記圧縮機101内に入る冷媒がすべてガス状になるように冷媒を気液分離するため、前記液体収集器107の設計は、前記車両用空調システム1の冷却と加熱効果を確保すると同時に、前記車両用空調システム1の使用寿命を延ばす。
【0031】
一実施例において、図2に示すように、前記車両用空調システム1は室内凝縮器108、第1の電磁弁109及び第3の膨張弁110をさらに備え、前記室内凝縮器108の入口と前記第1の電磁弁109の入口とはいずれも前記圧縮機101の出口に接続され、前記第1の電磁弁109の出口は前記室外凝縮器102の入口に接続され、前記室内凝縮器108の出口は前記第3の膨張弁110によって前記室外凝縮器102の入口に接続され、
前記圧縮機101、前記室内凝縮器108、前記室外凝縮器102及び前記熱伝導素子2は第1の乗員室加熱回路を構成し、前記第1の乗員室加熱回路は前記熱伝導素子2内の冷媒を介して前記パワーバッテリー3の熱を吸収して前記圧縮機101によって吸収された熱を前記室内凝縮器108に伝達した後、乗員室内に設けられる前記室内凝縮器103によって乗員室を加熱する。なお、前記第1の電磁弁109の位置する分岐路は前記室内凝縮器108と前記第3の膨張弁110での分岐路に並列接続され、本願のいくつかの実施例によれば、前記車両熱管理システムが電池冷却回路又は乗員室冷却回路にある場合、前記第1の電磁弁109が開弁し、前記第3の膨張弁110が閉じ、前記車両熱管理システムが第1の乗員室加熱回路又は以下の第2の乗員室加熱回路にある場合、前記第1の電磁弁109が閉じ、前記第3の膨張弁110が開弁する。
【0032】
具体的に、外界環境温度が低い場合、前記圧縮機101だけによって乗員室を加熱すると、その加熱効果と加熱効率の両方ともが低いため、このとき、前記第1の乗員室加熱回路が作動する必要があり、前記第1の乗員室加熱回路の具体的な過程は以下の通りであり、前記圧縮機101の増圧後、冷媒が高圧ガス冷媒に変換し、高圧ガス冷媒が前記室内凝縮器108を介して乗員室と熱交換した後、高圧ガス冷媒が高圧液状の冷媒(前記冷媒が乗員室内で吸熱する)に変換し、高圧液状の冷媒が前記第2の膨張弁105を通った後に低圧液状の冷媒に変換し、前記室外凝縮器102と前記第2の膨張弁105とを介して前記熱伝導素子2に流れ、前記熱伝導素子2内の冷媒は前記パワーバッテリー3からの熱を吸収し、吸熱後の冷媒が前記圧縮機101に流れる。本願のいくつかの実施例によれば、外界環境温度が非常に低い場合、前記第1の乗員室加熱回路と前記自己発熱回路4の両方とも作動し、前記パワーバッテリー3は前記バッテリー自己発熱回路内の前記自己発熱回路4によって高周波交互充放電を実現して自己発熱を行い、このとき、前記冷媒が前記パワーバッテリー3から吸熱した熱はそれに伴って増加し、乗員室の加熱効果を更に向上させる。
【0033】
前記第1の乗員室加熱回路において、前記冷媒は室外凝縮器102から外界環境の熱を吸収することができ、前記パワーバッテリー3からの熱を吸収することもでき、これにより、前記車両用空調システム1は依然として高い効率範囲内での加熱を保持することができ、車両用空調システム1の温度適応性を広げ、パワーバッテリーのエネルギー利用率を更に向上させる。
【0034】
一実施例において、図2に示すように、前記車両用空調システム1は第2の電磁弁111をさらに備え、前記第2の電磁弁111の入口は前記室外凝縮器102の出口に接続され、前記第2の電磁弁111の出口は前記圧縮機101の入口に接続され、前記圧縮機101、前記室内凝縮器108、前記第3の膨張弁110、前記室外凝縮器102及び前記第2の電磁弁111は第2の乗員室加熱回路を構成し、前記第2の乗員室加熱回路は乗員室内に設けられる前記室内凝縮器108によって乗員室を加熱する。なお、前記第2の電磁弁111での分岐路は前記蒸発器103の位置する分岐路、及び前記熱伝導素子2の位置する分岐路にいずれも並列接続される。
【0035】
具体的に、前記第2の乗員室加熱回路の具体的な過程は以下の通りであり、前記圧縮機101の増圧後、冷媒が高圧ガス冷媒に変換し、高圧ガス冷媒が前記室内凝縮器108によって乗員室と熱交換した後、高圧ガス冷媒が高圧液状の冷媒(前記冷媒が乗員室内で放熱する)に変換し、高圧液状の冷媒が前記第2の膨張弁105を通った後に低圧液状の冷媒に変換し、低圧液状の冷媒が前記室外凝縮器102を介して外界環境温度の熱を吸収した後、前記第2の電磁弁111を介して前記圧縮機101に流れる。前記第2の乗員室加熱回路が作動する場合、外界環境温度が低くなく、且つ前記車両用空調システム1の自己発熱効率に影響を及ぼさない。
【0036】
以上のように、本願における車両熱管理システムは外界の環境温度に基づいてその加熱モードを選択することができ、異なる温度条件下で作動することに適応すると同時に、車両熱管理システムの加熱効率がより高い。
【0037】
一実施例において、図1に示すように、前記車両用空調システム1は車体上に設けられ且つ車両乗員室を加熱するためのヒータ112をさらに備える。なお、前記車両用バッテリー熱管理システムは乗員室の冷却と前記パワーバッテリー3の降温を実現することができ、前記ヒータ112はその自体の加熱効果によって車両乗員室を加熱することができる。且つ前記ヒータ112が乗員室を加熱する場合、前記電池冷却回路と前記乗員室冷却回路がいずれも作動しない。本願のいくつかの実施例によれば、前記ヒータ112は前記車両用空調システム1内に集積されたエアヒータ、又は冷却液加熱回路であってもよく、該冷却液加熱回路に順次にウォーターポンプ、ヒータ112及び加熱チップが直列接続され、冷却液がヒータ112によって加熱された後、加熱チップを流れて該加熱チップが昇温して乗員室の温度を上昇し、これにより、乗員室の加熱効果を実現する。
【0038】
図3に示すように、本願の一実施例は、前記車両熱管理システム10を備える電気自動車20をさらに提供する。
【0039】
以上は本願の好ましい実施例に過ぎず、本願を制限するためのものではなく、本願の精神と原則から逸脱しない限り行ったいずれの修正、等価置換及び改善等は、いずれも本願の保護範囲内に含まれる。
【0040】
本願は、2020年7月28日に中国特許庁に提出された、出願番号が202010738220.Xで、出願名称が「車両用バッテリー熱管理システム、車両熱管理システム及び電気自動車」である中国特許出願の優先権を主張し、その全部内容は、すべて援用により本願に組み込まれる。
【0041】
(付記)
(付記1)
車両用バッテリー熱管理システムであって、車両用空調システムに接続される熱伝導素子及び車両パワーバッテリーに接続される自己発熱回路を備え、前記熱伝導素子、前記車両用空調システムの圧縮機及び前記車両用空調システムの室外凝縮器は電池冷却回路を構成し、前記電池冷却回路は前記熱伝導素子内の冷媒を介して前記パワーバッテリーからの熱を吸収して前記パワーバッテリーを降温し、前記自己発熱回路と前記パワーバッテリーとはバッテリー自己発熱回路を構成し、前記パワーバッテリーは前記バッテリー自己発熱回路における前記自己発熱回路を介して高周波交互充放電を実現して自己発熱を行う、ことを特徴とする車両用バッテリー熱管理システム。
【0042】
(付記2)
前記熱伝導素子は前記パワーバッテリー内に集積された直冷板である、ことを特徴とする付記1に記載の車両用バッテリー熱管理システム。
【0043】
(付記3)
車両熱管理システムであって、車両用空調システム及び付記1に記載の車両用バッテリー熱管理システムを備え、前記車両用空調システムは圧縮機、室外凝縮器及び蒸発器を含み、前記圧縮機の出口は前記室外凝縮器の入口に接続され、前記室外凝縮器の出口は前記蒸発器の入口及び前記熱伝導素子の入口に接続され、前記蒸発器の出口及び前記熱伝導素子の出口はいずれも前記圧縮機の入口に接続され、前記圧縮機、前記室外凝縮器及び前記蒸発器は乗員室冷却回路を構成し、前記乗員室冷却回路は乗員室に配置される前記蒸発器を介して乗員室を冷却する、ことを特徴とする車両熱管理システム。
【0044】
(付記4)
前記車両用空調システムはいずれも冷媒圧力を低減するための第1の膨張弁と第2の膨張弁とをさらに備え、前記第2の膨張弁の入口と前記第2の膨張弁の入口とはいずれも前記室外凝縮器の出口に接続され、前記第1の膨張弁の出口は前記蒸発器の入口に接続され、前記第2の膨張弁の出口は前記熱伝導素子の入口に接続される、ことを特徴とする付記3に記載の車両熱管理システム。
【0045】
(付記5)
前記車両用空調システムは車体に取り付けられて且つ前記室外凝縮器に対向して設置された電子ファンをさらに備える、ことを特徴とする付記3又は4に記載の車両熱管理システム。
【0046】
(付記6)
前記車両用空調システムは液体収集器をさらに備え、前記液体収集器の入口は前記熱伝導素子の出口及び前記蒸発器の出口に接続され、前記液体収集器の出口は前記圧縮機の入口に接続される、ことを特徴とする付記3~5のいずれか一つに記載の車両熱管理システム。
【0047】
(付記7)
前記車両用空調システムは室内凝縮器、第1の電磁弁及び第3の膨張弁をさらに備え、前記室内凝縮器の入口及び前記第1の電磁弁の入口はいずれも前記圧縮機の出口に接続され、前記第1の電磁弁の出口は前記室外凝縮器の入口に接続され、前記室内凝縮器の出口は第3の膨張弁によって前記室外凝縮器の入口に接続され、
前記圧縮機、前記室内凝縮器、前記室外凝縮器及び前記熱伝導素子は第1の乗員室加熱回路を構成し、前記第1の乗員室加熱回路は前記熱伝導素子内の冷媒を介して前記パワーバッテリーからの熱を吸収して前記圧縮機を介して吸収された熱を前記室内凝縮器に伝達した後、乗員室内に設置される前記室内凝縮器によって乗員室を加熱する、ことを特徴とする付記3~6のいずれか一つに記載の車両熱管理システム。
【0048】
(付記8)
前記車両用空調システムは第2の電磁弁をさらに備え、前記第2の電磁弁の入口は前記室外凝縮器の出口に接続され、前記第2の電磁弁の出口は前記圧縮機の入口に接続され、前記圧縮機、前記室内凝縮器、前記第3の膨張弁、前記室外凝縮器及び前記第2の電磁弁は第2の乗員室加熱回路を構成し、前記第2の乗員室加熱回路は前記室内凝縮器によって乗員室を加熱する、ことを特徴とする付記7に記載の車両熱管理システム。
【0049】
(付記9)
前記車両用空調システムは、車体に設けられ且つ車両乗員室を加熱するためのヒータをさらに備える、ことを特徴とする付記3~8のいずれか一つに記載の車両熱管理システム。
【0050】
(付記10)
電気自動車であって、付記3~9のいずれか一つに記載の車両熱管理システムを備える、ことを特徴とする電気自動車。
【符号の説明】
【0051】
1、車両用空調システム
101、圧縮機
102、室外凝縮器
103、蒸発器
104、第1の膨張弁
105、第2の膨張弁
106、電子ファン
107、液体収集器
108、室内凝縮器
109、第1の電磁弁
110、第3の膨張弁
111、第2の電磁弁
112、ヒータ
113、ブロワー
2、熱伝導素子
3、パワーバッテリー
4、自己発熱回路
10、車両熱管理システム
20、電気自動車。
図1
図2
図3