(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】ディスプレイ装置および電子デバイス
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1347 20060101AFI20240827BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240827BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20240827BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G02F1/1347
G02F1/13 505
G02F1/1335 510
G02F1/13357
(21)【出願番号】P 2023506318
(86)(22)【出願日】2021-07-07
(86)【国際出願番号】 CN2021104887
(87)【国際公開番号】W WO2022022246
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】202010763098.1
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010800927.9
(32)【優先日】2020-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲譯▼文
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 晨▲項▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 康仲
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-026410(JP,A)
【文献】特開2017-049324(JP,A)
【文献】特開2005-10735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1347
G02F 1/13
G02F 1/1335
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光光を生成するように構成されたバックライトコンポーネントと、
前記バックライトコンポーネントの一方の側に配置され、前記偏光光の振動方向を偏向させるように構成された、光調整コンポーネントと、
前記光調整コンポーネントの一方の側に配置されたディスプレイパネルであって、前記光調整コンポーネントが前記バックライトコンポーネントと前記ディスプレイパネルとの間に配置される、ディスプレイパネルと、
前記光調整コンポーネントと前記ディスプレイパネルとの間に配置された第1の偏光膜であって、前記偏光光の振動方向が前記第1の偏光膜の透過方向と同じ偏光光を透過させるように構成された、第1の偏光膜と
を含み、
前記光調整コンポーネントは、
前記ディスプレイパネルに面する第1の基板と、
前記第1の基板に対向して配置された第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置された液晶層と、
前記第1の基板および/または前記第2の基板に配置され、前記偏光光の前記振動方向を偏向させるために前記液晶層内の液晶の偏向を駆動するように構成された、駆動回路とを含み、
前記第2の基板の、前記液晶層から遠い面に
おいて、表面が粗さ処理されている、ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記第1の基板と前記第2の基板との屈折率は異なっている、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
前記第1の基板の、前記液晶層から遠い面に、突起、溝、または反射防止膜が配置される、請求項1または2に記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
前記第2の基板の、前記液晶層から遠い面に、突起、溝、または反射防止膜が配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
前記光調整コンポーネントは、光電素子をさらに含み、
前記光電素子は、前記第1の基板または前記第2の基板に配置され、前記ディスプレイパネルの一方の側から透過された光信号を検知するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
前記ディスプレイパネルは、パネル本体と、第2の偏光膜とを含み、
前記第2の偏光膜は前記パネル本体の、前記第1の偏光膜から遠い側に配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
【請求項7】
前記ディスプレイ装置は、拡散膜をさらに含み、前記拡散膜は前記光調整コンポーネントと前記第1の偏光膜との間に配置されるか、または、前記拡散膜は前記ディスプレイパネルと前記第1の偏光膜との間に配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
前記ディスプレイパネルには複数の画素ユニットが設けられ、前記光調整コンポーネントには複数の光調整ユニットが設けられ、
前記光調整ユニットの数は前記画素ユニットの数以下である、請求項1から7のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
【請求項9】
前記バックライトコンポーネントのために複数のバックライトユニットが構成され、
前記バックライトユニットの数は前記光調整ユニットの数よりも少ない、請求項8に記載のディスプレイ装置。
【請求項10】
ハウジングと、請求項1から9のいずれか一項に記載のディスプレイ装置とを含み、前記ディスプレイ装置は、前記ハウジング内に取り付けられる、電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2020年7月31日に中国国家知識産権局に出願され、名称が「DISPLAY APPARATUS AND ELECTRONIC DEVICE」である中国特許出願第202010763098.1号の優先権を主張し、また、2020年8月11日に中国国家知識産権局に出願され、名称が「DISPLAY APPARATUS AND ELECTRONIC DEVICE」である中国特許出願第202010800927.9号の優先権を主張し、これらは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、ディスプレイ技術の分野に関し、詳細には、ディスプレイ装置および電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)が広く適用されるにつれて、液晶ディスプレイの使用シナリオはますます多様化している。異なる使用シナリオでは、ユーザは、液晶ディスプレイのディスプレイ効果に対して異なる要求も有する。例えば、いくつかの使用シナリオでは、液晶ディスプレイは、比較的高い、コントラスト性能、すなわち、完全な黒色の画面状態の液晶ディスプレイの輝度に対する完全な白色の画面状態の液晶ディスプレイの輝度の比、を有することが要求される。しかしながら、液晶ディスプレイのバックライトディスプレイの原理、ならびに液晶ディスプレイパネル内の液晶材料および駆動方式によって制限されるため、いくつかの液晶ディスプレイのコントラスト性能は、1500にしか達することができない。液晶ディスプレイのコントラストを改善するために、いくつかの製造業者は、液晶ディスプレイのバックライトモジュールを改善し始めている。例えば、直下型バックライトのデザインが使用され得る。液晶ディスプレイパネルの背面にバックライトモジュールが配置され、かつ、バックライトモジュールで使用される光源の数が増加させられ、その結果、バックライトモジュールは、より低い明るさの暗状態の効果およびより高い明るさの明状態の効果を液晶ディスプレイパネルが達成するのを支援するために、表示された映像の内容に基づいていくつかの領域の明るさを調整することができ、それによって液晶ディスプレイ装置の全体的なコントラストを改善する。しかしながら、バックライトモジュール内に比較的少数の光源が構成されたとき、高精度の明るさ調整が実施されることができない。したがって、液晶ディスプレイのディスプレイ効果が影響を受ける。バックライトモジュール内に比較的小さな光源が構成されたとき、良好な明暗のディスプレイ効果を達成するために液晶ディスプレイの製造コストおよび全体重量が大幅に増加させられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願は、ディスプレイパネルのディスプレイ効果を改善するのに役立ち、容易に製造される、ディスプレイ装置、および電子デバイスを提供する。
【0005】
一態様によれば、本出願は、バックライトコンポーネントと、光調整コンポーネントと、ディスプレイパネルと、第1の偏光膜とを含むディスプレイ装置を提供する。バックライトコンポーネントは偏光光を生成するように構成され、その結果、画像を表示するための光源がディスプレイパネルに提供され得る。光調整コンポーネントは、バックライトコンポーネントの一方の側に配置され、バックライトコンポーネントによって生成された偏光光を偏向させるかまたは偏向させないように構成される。第1の偏光膜は、光調整コンポーネントとディスプレイパネルとの間に配置され、振動方向が第1の偏光膜の透過方向と同じ偏光光を透過させるように構成される。本出願で提供されるディスプレイ装置では、バックライトコンポーネントによって生成された偏光光は、まず、光調整コンポーネントを通過する必要がある。光調整コンポーネントを通過した後、光調整コンポーネントが偏光光を偏向させなければ、偏光光は元の振動方向でそのまま透過させられ得る。あるいは、光調整コンポーネントによって偏光光の振動方向が偏向させられた後に偏光光が透過させられ得る。光調整コンポーネントの後、偏光光が第1の偏光膜を通過するとき、偏光光の振動方向が第1の偏光膜の透過方向と一致していれば、偏光光は透過させられることができる。この場合、ディスプレイパネルは、比較的高い光強度の光を受光することができ、その結果、良好な明状態の効果の映像が表示されることができる。偏光光の振動方向と第1の偏光膜の透過方向とが互いに直交している場合、偏光光は透過させられることができない。この場合、ディスプレイパネルは、有効な光を受光することができず、その結果、良好な黒状態の効果の映像が表示されることができる。
【0006】
具体的な実施に際して、光調整コンポーネントは、第1の基板と、第2の基板と、液晶層と、駆動回路とを含み得る。具体的には、第1の基板は第2の基板に対向して配置され、液晶層は第1の基板と第2の基板との間に配置され、駆動回路は第1の基板に配置され、偏光光の振動方向を偏向させるために液晶層内の液晶の偏向を駆動するように構成される。具体的な構成に際して、駆動回路は、薄膜トランジスタ、蓄積キャパシタなどを含み得る。「駆動回路は第1の基板および/または第2の基板に配置される」は、駆動回路が第1の基板または第2の基板に配置され得るか、または第1の基板および第2の基板の両方に配置され得ることを意味することが理解されよう。
【0007】
製造の際、第1の基板および第2の基板は、ソフトマテリアルで作製され得る。例えば、光調整コンポーネントの重さを効果的に軽減しつつ、モアレなどの現象を効果的に防止するために、第1の基板および第2の基板は無色ポリイミド(CPI)で作製され得る。別の実施態様では、第1の基板および第2の基板は、代替的に、ガラス、ポリイミド(polyimide、PI)、トリカルボン酸サイクル(tricarboxylic acid cycle、TAC)、ポリカーボネート(polycarbonate、PC)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、または低い光位相遅延(Rth<300nmなど)を有する材料で作製され得ることが理解されよう。
【0008】
加えて、第1の基板および第2の基板は、同じ材料を用い得るか、または異なる材料を用い得る。
【0009】
例えば、第1の基板および第2の基板は、光調整コンポーネントの光透過率を改善するために、異なる屈折率の材料で作製され得る。
【0010】
あるいは、第1の基板の表面に粗さ処理が行われ得る。例えば、モアレ等の現象を効果的に防止しつつ、光調整コンポーネントの光透過率を改善するために、第1の基板の、液晶層から遠い面に突起または溝が配置され得る。あるいは、光調整コンポーネントの光透過率を改善するために、第1の基板の、液晶層から遠い面に反射防止膜が配置され得る。
【0011】
別の実施態様では、突起、溝、または反射防止膜の、いずれか1つが、第2の基板の、液晶層から遠い面(図中の上面)に配置され得る。あるいは、突起、溝、または反射防止膜は、第1の基板および第2の基板の両方に配置され得る。
【0012】
いくつかの他の実施態様では、モアレなどの望ましくない現象を防止するために、ディスプレイパネルと光調整コンポーネントとの間に拡散膜がさらに配置され得る。拡散膜は、偏光光の元の振動方向を効果的に維持しつつ、偏光光の視野分布を改善することができる。例えば、拡散膜は、偏光光の視野を10°より多く増加させることができ、偏光光の振動方向を90%より多く維持することができる。
【0013】
具体的な構成に際して、拡散膜は、第1の偏光膜と第1の基板との間に配置され得るか、または第1の偏光膜と第4の基板との間に配置され得る。加えて、拡散膜は、ポリカーボネートまたはポリイミドなどの材料で作製され得、拡散膜の厚みは、実際の状況に即して適応的に調整され得る。これは、本出願において限定されない。
【0014】
加えて、具体的な実施に際して、人-マシンインタラクションなどの機能を実施するために、光調整コンポーネント内に光電素子がさらに配置される。外部光源(ユーザによって使用される赤外線レーザペンなど)がディスプレイ装置を照射したとき、外部光源はディスプレイパネルと第1の偏光膜とを通って光調整コンポーネントまで透過させられる。人-マシンインタラクションの目的を達成するために、光電素子が外部光源を検知した後、外部光源の具体的な照射位置が決定され得る。具体的な実施に際して、外部光源の照射位置の精度を効果的に改善するために、光調整コンポーネントの各光調整ユニット内に1または複数の光電素子が配置され得る。
【0015】
いくつかの実装態様では、光電素子は、第1の基板または第2の基板に配置され得るか、または第1の基板および第2の基板の両方に配置され得る。光電素子は、感光性抵抗、感光性ダイオード、感光性トリプルレーザなどであり得る。
【0016】
ディスプレイパネルが構成されるとき、ディスプレイパネルはパネル本体と第2の偏光膜とを含み得る。パネル本体は、第3の基板と、第4の基板と、液晶層と、カラーフィルタと、駆動回路とを含む。具体的には、第3の基板は第4の基板に対向して配置され、液晶層は第3の基板と第4の基板との間に配置され、駆動回路は第3の基板に配置され、偏光光の振動方向を偏向させるために液晶層内の液晶の偏向を駆動するように構成される。具体的な構成に際して、駆動回路は、薄膜トランジスタ、蓄積キャパシタなどを含み得る。駆動回路は、第3の基板または第4の基板に配置され得るか、または第3の基板および第4の基板の両方に配置され得ることが理解されよう。
【0017】
カラーフィルタは、第3の基板上に配置され、偏光光が液晶層を通過した後、カラーフィルタが光をフィルタリングし、その結果、ディスプレイパネルはカラー映像を表示する。あるいは、カラーフィルタは、第4の基板に配置され得る。
【0018】
第2の偏光膜は、第3の基板の、液晶層から遠い面に配置され、振動方向が第2の偏光膜の透過方向と一致する偏光光を透過させるように構成される。
【0019】
加えて、ディスプレイパネル内に複数の画素ユニットが構成され得る。構成される画素ユニットの数は、実際の要件に即して適応的に選択および調整され得る。例えば、画素ユニットの数は1920×1080に構成され得る。それに応じて、光調整コンポーネントが各画素ユニットに入射する光の量を効果的に調整することを可能にするために、1920×1080個の光調整ユニットが光調整コンポーネント内に構成され得る。すなわち、複数の光調整ユニットが複数の画素ユニットと1対1に対応して配置され、各光調整ユニットは、画素ユニットに入射する光の量を効果的に制御するために、対応する画素ユニットへ透過させられる光を能動的に調整し得る。
【0020】
あるいは、いくつかの他の実施態様では、構成される光調整ユニットの数は、構成される画素ユニットの数より少ないものとし得る。すなわち、複数の画素ユニットに対応して単一の光調整ユニットが構成され得る。あるいは、単一の光調整ユニットに対応する領域内に複数の画素ユニットが配置され得、その結果、単一の光調整ユニットが、複数の対応する画素ユニットに入射する光の量を効果的に制御することができる、ということが理解されよう。
【0021】
加えて、光調整コンポーネントは、ディスプレイ装置のディスプレイ効果を改善するために、バックライトコンポーネントの光に対して均一化処理をさらに行い得る。
【0022】
例えば、バックライトコンポーネント内に複数のバックライトユニットが配置され得、各バックライトユニット内に少なくとも1つの点光源が配置され得る。バックライトユニットの数は、構成される光調整ユニットの数より少ないものとし得る。点光源によって放出される光は均一ではなく、すなわち、点光源の中心位置での光強度はより高く、一方、点光源の周辺領域での光強度はより弱い。したがって、ディスプレイパネルが均一な光強度の面光源を受け取ることを可能にするために、光調整コンポーネントは、より強い光の領域およびより弱い光の領域内の偏光光に対して異なる偏向処理を行い得、その結果、第1の偏光膜を通って透過させられた偏光光は均一な光強度を有する。
【0023】
別の態様によれば、本出願は、ハウジングと前述のディスプレイ装置とを含む電子デバイスをさらに提供する。ディスプレイ装置はハウジング内に取り付けられる。具体的には、「ディスプレイ装置はハウジング内に取り付けられる」は、以下のとおりであり得、すなわち、ハウジングには、ディスプレイ装置を固定的に取り付けるための収容溝が設けられ得る。ディスプレイ装置が収容溝に固定的に取り付けられた後、ディスプレイパネルがハウジングの外面から露出させられることができる。具体的な実施に際して、電子デバイスは、ディスプレイ、テレビ、携帯電話、ノートブックコンピュータ、スマートウォッチなどであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本出願の一実施形態に係るディスプレイ装置の断面構造の概略図である。
【
図2】本出願の一実施形態に係るディスプレイ装置の断面構造の概略図である。
【
図3】バックライトコンポーネントの平面の概略図である。
【
図4】光調整コンポーネントの平面の概略図である。
【
図5】光調整コンポーネントを通過する偏光光の平面分布の概略図である。
【
図6】ディスプレイパベルへ透過させられる偏光光の平面分布の概略図である。
【
図7】本出願の一実施形態に係る別のディスプレイ装置の断面構造の概略図である。
【
図8】本出願の一実施形態に係る光調整コンポーネントの断面構造の概略図である。
【
図9】本出願の一実施形態に係る別の光調整コンポーネントの断面構造の概略図である。
【
図10】本出願の一実施形態に係るさらに別の光調整コンポーネントの断面構造の概略図である。
【
図11】本出願の一実施形態に係るさらに別の光調整コンポーネントの断面構造の概略図である。
【
図12】本出願の一実施形態に係るさらに別の光調整コンポーネントの断面構造の概略図である。
【
図13】本出願の一実施形態に係るさらに別の光調整コンポーネントの断面構造の概略図である。
【
図14】本出願の一実施形態に係るさらに別の光調整コンポーネントの断面構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本出願の目的、技術的解決策および利点をより明確にするために、以下で、添付の図面を参照しつつ本出願を詳細にさらに説明する。
【0026】
本出願の実施形態で提供されるディスプレイ装置の理解を容易にするために、以下で、ディスプレイ装置の適用シナリオについて、まず、説明する。
【0027】
本出願の実施形態で提供されるディスプレイ装置は、ディスプレイ、携帯電話、ノートブックコンピュータ、またはスマートウォッチなどの電子デバイスに適用され得、人-マシンインタラクションの目的を達成するために、テキストもしくは映像などの情報を表示し、またはユーザのタッチもしくはスライドなどの操作に応答する、ように構成され得る。
【0028】
実際の適用に際して、広く使用されているディスプレイ装置は、主に、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)を含む。液晶ディスプレイは、主に、液晶パネルとバックライトとを含む。印加された電界の作用下で、バックライトの光透過率を変化させるように液晶分子の配列方向が変化させられ、それによって、画像を表示するために異なる明るさを透過させる。しかしながら、実際の使用プロセスでは、LCDは、明暗両方の映像を効果的に許容することができない。例えば、表示される画像において、いくつかの領域の映像は比較的高い明るさ(白色の映像など)を映す必要があり、その他の領域の映像は比較的低い明るさ(黒色の映像など)を映す必要がある。しかしながら、実際の適用に際して、液晶ディスプレイは、比較的低い画像明るさの領域を効果的に抑制することができず、それによって、望ましい黒状態の効果を達成することができない。したがって、液晶ディスプレイのコントラストを効果的に改善することが困難である。
【0029】
現在のディスプレイ装置の前述の問題に基づいて、本出願の実施形態は、コントラストを改善するのを助けることができるディスプレイ装置を提供する。
【0030】
本出願の目的、技術的解決策および利点をより明確にするために、以下で、添付の図面を参照しつつ本出願を詳細にさらに説明する。
【0031】
以下の実施形態で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明することを意図しているにすぎず、本出願を限定することを意図するものではない。本明細書および本出願の添付の特許請求の範囲で使用される単数形の「one(1つ)」、「a」、「the foregoing(前述)」、および「the one」という用語は、文脈において明確に特に指定されない限り、「one or more(1または複数)」などの表現も含むことが意図されている。本出願の以下の実施形態において、「at least one(少なくとも1つ)」と「one or more(1または複数)」とは、1つ、2つ、またはそれ以上を指すことをさらに理解されたい。「および/または」は、関連付けられる対象間の関連関係を説明し、3つの関係が存在し得ることを表す。例えば、Aおよび/またはBは、以下の場合、すなわち、Aのみが存在する場合、AとBとの両方が存在する場合、ならびにBのみが存在する場合を表し得、AおよびBは単数または複数であり得る。文字「/」は通常、関連付けられた対象間の「または」の関係を示す。
【0032】
本明細書で説明される「一実施形態」、「いくつかの実施形態」などへの言及は、本出願の1または複数の実施形態が、実施形態を参照しつつ説明される特定の特徴、構造、または特性を含むことを意味する。したがって、本明細書において異なる箇所に現れる「一実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「いくつかの他の実施形態では」、および「他の実施形態では」などの記述は、同じ実施形態を指すことを必ずしも意味しない。代わりに、記述は、別のやり方で特に強調されない限り、「すべてではないが1または複数の実施形態」を意味する。「include(含む)」、「have(有する)」という用語、およびそれらの変形はいずれも、別のやり方で特に強調されない限り、「を含むがそれには限定されない」を意味する。
【0033】
本出願の技術的解決策の理解を容易にするために、以下で、偏光光の特性について、まず、簡単に説明する。
【0034】
光は横波であり、自然光(太陽および電灯などの一般的な光源によって放出される光など)は伝搬方向に垂直なすべての方向に振動する光を含んでいる。自然光を偏光光に変換するプロセスは偏光と称され、変換に使用される光学コンポーネントは偏光子(偏光膜など)と称される。自然光が偏光子を通過した後は、振動方向が偏光子の透過方向と一致する光のみが通過することができる。すなわち、偏光子を通過した光は、特定の方向にのみ振動する。この光は偏光光と称される。偏光光が検光子(偏光膜など)を通過するとき、偏光光の振動方向が検光子の透過方向と一致している場合、偏光光は通過することができる。偏光光の振動方向と検光子の透過方向とが互いに直交している場合、偏光光は通過することができない。偏光光の振動方向と検光子の透過方向とがある角度(0°~90°)に設定された場合、偏光光の一部が通過することができる。偏光光の透過率は、角度の大きさに依存する。すなわち、偏光光の振動方向と検光子の透過方向とのなす角度が小さいほど、偏光光の透過率が大きいことを示し、そうでない場合、透過率はより小さい。
【0035】
本出願の実施形態で提供されるディスプレイ装置は、コントラストを改善するために、偏光光の前述の特性に基づいて比較的低い暗状態の明るさを表示する。
【0036】
図1に示されるように、本出願の一実施形態で提供されるディスプレイ装置10は、バックライトコンポーネント11と、光調整コンポーネント12と、ディスプレイパネル13と、第1の偏光膜14とを含む。バックライトコンポーネント11は偏光光を生成するように構成され、その結果、画像を表示するための光がディスプレイパネル13に提供され得る。光調整コンポーネント12は、バックライトコンポーネント11の一方の側に配置され、バックライトコンポーネント11によって生成された偏光光の振動方向を偏向させるかまたは偏向させないように構成される。第1の偏光膜14は、光調整コンポーネント12とディスプレイパネル13との間に配置され、振動方向が第1の偏光膜の透過方向と同じ偏光光を透過させるように構成される。
【0037】
具体的には、バックライトコンポーネント11によって生成された偏光光は、まず、光調整コンポーネント12を通過する必要がある。光調整コンポーネント12を通過した後、光調整コンポーネント12が偏光光を偏向させない場合、偏光光は元の振動方向でそのまま透過させられ得る。あるいは、偏光光は、光調整コンポーネント12によって偏光光の振動方向が偏向させられた後に透過させられ得る。光調整コンポーネント12の後の偏光光が第1の偏光膜14を通過するとき、偏光光の振動方向が第1の偏光膜14の透過方向と一致していれば、偏光光は透過させられることができる。この場合、ディスプレイパネル13は、比較的高い光強度の光を受光することができ、その結果、良好な明状態の効果の映像が表示されることができる。偏光光の振動方向と第1の偏光膜14の透過方向とが互いに直交している場合、偏光光は透過させられることができない。この場合、ディスプレイパネル13は、有効な光を受光することができず、その結果、良好な黒状態の効果の映像が表示されることができる。
【0038】
例えば、
図1に示されるように、バックライトコンポーネント11によって生成された偏光光が偏光光Sであり、第1の偏光膜14の透過方向が偏光光Sの振動方向と一致するとき、光調整コンポーネント12が偏光光Sの振動方向を偏向させなかった場合、ディスプレイパネル13は比較的高い光強度の光を受光することができる。
【0039】
図2に示されるように、偏光光Sおよび偏光光Pの振動方向は互いに直交している。バックライトコンポーネント11によって生成された偏光光が偏光光Sであり、第1の偏光膜14の透過方向が偏光光Sの振動方向と一致しているとき、光調整コンポーネント12が偏光光Sの振動方向を90°偏向させた(すなわち、光調整コンポーネント12が偏光光Sを偏光光Pに変換する)場合、偏光光Pが第1の偏光膜14を通過するときに、第1の偏光膜14の透過方向と偏光光Sの振動方向とが互いに直交しているため、偏光光Pは第1の偏光膜14によって遮られ、ディスプレイパネル13は有効な光を受光できず、その結果、ディスプレイパネル13は良好な黒状態の効果を有する映像を表示することができる。
【0040】
具体的な実施に際して、光調整コンポーネント12内に複数の光調整ユニットが配置され得、各光調整ユニットは、
図3から
図6を組み合わせて参照して、偏光光の振動方向を独立して調整し得る。
【0041】
図3に示されるように、バックライトコンポーネント11は、偏光光Sを生成することができる。
【0042】
図4に示されるように、6つの光調整ユニットが光調整コンポーネント12内に配置されている。光調整ユニット120b、光調整ユニット120c、および光調整ユニット120dは、偏光光を偏向させない。光調整ユニット120a、光調整ユニット120e、および光調整ユニット120fは、偏光光の偏光方向を90°偏向させるように構成されている。
【0043】
図5を組み合わせて参照すると、バックライトコンポーネント11の偏光光Sが光調整ユニット120b、光調整ユニット120c、および光調整ユニット120dを通過した後、透過された光は偏光光Sのままである。バックライトコンポーネント11の偏光光Sが光調整ユニット120a、光調整ユニット120e、および光調整ユニット120fを通過したとき、透過された光は偏光光Pになる。
【0044】
図6は、ディスプレイパネル13へ透過させられる偏光光の明るさ分布を示している。偏光光Sおよび偏光光Pが第1の偏光膜14を通過するとき、第1の偏光膜14の透過方向が偏光光Sの振動方向と一致しており、第1の偏光膜14の透過方向と偏光光Pの振動方向とが互いに直交しているため、偏光光Sは、第1の偏光膜14の、光調整ユニット120b、光調整ユニット120c、および光調整ユニット120dに対応する領域からが有効に透過させられることができ、偏光光Pは、第1の偏光膜14の、光調整ユニット120a、光調整ユニット120e、および光調整ユニット120fに対応する領域によって有効に遮られる。
【0045】
具体的な構成に際して、ディスプレイパネル13内に複数の画素ユニットが構成され得、光調整ユニットの数は画素ユニットの数と同じであり得る。すなわち、複数の光調整ユニットが複数の画素ユニットと1対1に対応して配置され、各光調整ユニットは、画素ユニットに入射する光の量を効果的に制御するために、対応する画素ユニットへ透過させられる光を能動的に調整し得る。あるいは、いくつかの他の実施態様では、単一の光調整ユニットが複数の画素ユニットに対応して構成され得る。具体的には、単一の光調整ユニットに対応する領域内に複数の画素ユニットが配置され得、その結果、単一の光調整ユニットが、複数の対応する画素ユニットに入射する光の量を効果的に制御することができる。
【0046】
配置されるとき、光調整コンポーネント12の構造はさまざまな形態であり得る。
【0047】
例えば、
図7に示されるように、本出願で提供される一実施形態では、光調整コンポーネント12は、第1の基板121と、第2の基板122と、液晶層123と、駆動回路(図示せず)とを含む。具体的には、第1の基板121は第2の基板122に対向して配置され、液晶層123は第1の基板121と第2の基板122との間に配置され、駆動回路は第1の基板121に配置され、偏光光の振動方向を偏向させるために液晶層123内の液晶の偏向を駆動するように構成される。具体的な構成に際して、駆動回路は、薄膜トランジスタ、蓄積キャパシタなどを含み得る。駆動回路は、第1の基板121または第2の基板122に配置され得るか、または第1の基板121および第2の基板122の両方に配置され得ることが理解されよう。
【0048】
第1の基板121および第2の基板122のそれぞれの、液晶層123に面した面には、配向膜(図示せず)が設けられており、駆動回路から電圧が印加されていないときは、上下の配向膜に基づいて液晶層123内の液晶分子の配列が決定される。具体的には、上下の配向膜間の角度差が90°であるとき、液晶分子の配列は一番上から一番下に90°自動的に回転する。偏光光が液晶層123を通過するとき、液晶分子が合計90°回転するので、偏光光が液晶層123を通過した後、偏光光の振動方向は液晶層によって90°回転させられる。駆動回路が液晶層123に電圧を印加したとき、液晶分子の配列方向は電界方向と平行になる傾向があり、その結果、液晶分子の配列方向は、同じ方向に向かう配列となる傾向があるか、または液晶分子の全体の回転方向は90°未満となる。偏光光が液晶層123を通過するとき、偏光光の振動方向は変化させられないか、または振動方向の偏向角度は90°未満である。
【0049】
それに応じて、上下の配向膜の角度差が0°のとき、液晶分子の配列は上下の配向膜の配列と同じ角度となる。偏光光が液晶層123を通過するとき、偏光光は偏向させられない。駆動回路が液晶層123に電圧を印加したとき、液晶分子の配列方向が偏向させられる。液晶分子の回転角度が90°となる傾向があるとき、偏光光が液晶層123を通過した後、液晶層123によって偏光光の振動方向は90°回転させられる。液晶分子の回転方向が90°未満であるとき、偏光光が液晶層123を通過した後、偏光光の振動方向の偏向角度は90°未満である。
【0050】
前述の実施形態では、液晶分子は、水平方向(第3の基板に平行な方向)に回転することによって偏光光の振動方向を変化させることが理解されよう。別の実施態様では、液晶分子の偏向方向は、垂直(第3の基板に垂直な方向)またはコレステリック液晶のような三次元であり得る。すなわち、本出願では、ディスプレイパネルの具体的なタイプは限定されない。製造の際、第1の基板121および第2の基板122は、ソフトマテリアルで作製され得る。例えば、第1の基板121および第2の基板122は、無色ポリイミド(CPI)、ポリイミド(polyimide、PI)、トリカルボン酸サイクル(tricarboxylic acid cycle、TAC)、ポリカーボネート(polycarbonate、PC)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、または低い光位相遅延(Rth<300nmなど)を有する材料で作製され得る。また、光調整コンポーネント12の重さを効果的に軽減しつつ、モアレ等の現象を効果的に防止するために、第1の基板または第2の基板の表面に粗さ処理が行われ得る。別の実施態様では、第1の基板121および第2の基板122は同じ材料または異なる材料を使用し得ることが理解されよう。
【0051】
例えば、第1の基板121および第2の基板122は、光調整コンポーネント12の光透過率を改善するために、異なる屈折率の材料で作製され得る。
【0052】
あるいは、
図8に示されるように、光調整コンポーネント12の光透過率を改善するために、突起121a、溝121b、または反射防止膜121cの、いずれか1つが、第1の基板121の、液晶層123から遠い面(図中の上面)に配置され得る。
【0053】
別の実施態様では、あるいは、突起121a、溝121b、または反射防止膜121cの、いずれか1つが、第2の基板122の、液晶層123から遠い面に配置され得る。あるいは、突起121a、溝121b、または反射防止膜121cは、第1の基板121および第2の基板122の両方に配置され得る。
【0054】
具体的な実施に際して、ディスプレイパネル13は液晶ディスプレイパネル13であり得る
【0055】
図7に示されるように、本出願で提供される一実施形態では、ディスプレイパネル13は、パネル本体131と第2の偏光膜132とを含む。パネル本体131は、第3の基板1311と、第4の基板1312と、液晶層1313と、カラーフィルタ1314と、駆動回路(図示せず)とを含む。具体的には、第3の基板1311は第4の基板1312に対向して配置され、液晶層1313は第3の基板1311と第4の基板1312との間に配置され、駆動回路は第3の基板1311に配置され、偏光光の振動方向を偏向させるために液晶層1313内の液晶の偏向を駆動するように構成される。具体的な構成に際して、駆動回路は、薄膜トランジスタ、蓄積キャパシタなどを含み得る。駆動回路は、第3の基板1311または第4の基板1312に配置され得るか、または第3の基板1311および第4の基板1312の両方に配置され得ることが理解されよう。
【0056】
カラーフィルタ1314は、第3の基板1311に配置され、偏光光が液晶層1313を通過した後、カラーフィルタ1314が光をフィルタリングし、その結果、ディスプレイパネル13はカラー映像を表示する。別の実施態様では、カラーフィルタ1314は、代替的に、第4の基板1312に配置され得ることが理解されよう。
【0057】
第2の偏光膜132は、第3の基板1311の、液晶層1313から遠い面に配置され、振動方向が第2の偏光膜の透過方向と一致している偏光光を透過させるように構成される。
【0058】
ディスプレイ装置10のディスプレイ原理の理解を容易にするために、2つの映像ディスプレイ効果、すなわち、明状態と暗状態について以下に詳細に説明する。
【0059】
まず、偏光光Sの振動方向は第1の偏光膜14および第2の偏光膜132の透過方向と一致しており、偏光光Sおよび偏光光Pの振動方向は互いに直交していることに留意されたい。
【0060】
図7に示されるように、ディスプレイ装置10が明状態の映像を表示するとき、
バックライトコンポーネント11が偏光光Sを生成し(偏光光Sの割合は100%であると仮定される)、偏光光Sが光調整コンポーネント12を通過するとき、光調整コンポーネント12は偏光光Sの振動方向を偏向させない。偏光光Sの振動方向が第1の偏光膜14の透過方向と一致しているので、偏光光Sは第1の偏光膜14から外に効果的に透過させられることができる。偏光光Sがディスプレイパネル13を通過するとき、ディスプレイパネル13内の液晶層は偏光光Sの振動方向を偏向させない。偏光光Sの振動方向が第2の偏光膜132の透過方向と一致しているため、偏光光Sは第2の偏光膜132から外へ効果的に透過させられることができる。このプロセスでは、第1の偏光膜14も第2の偏光膜132もいずれも、バックライトコンポーネント11によって生成された偏光光Sを効果的に遮らないため、ディスプレイ装置10は明状態の映像を最終的に表示する。
【0061】
図9に示されるように、ディスプレイ装置10が暗状態の映像を表示するとき、
バックライトコンポーネント11が偏光光Sを生成し、偏光光Sが光調整コンポーネント12を通過するとき、光調整コンポーネント12は偏光光Sの振動方向を90°偏向させ、その結果、偏光光Sは偏光光Pに変換される。偏光光Pが第1の偏光膜14を通過するとき、偏光光Pの振動方向と第1の偏光膜14の透過方向とが互いに直交しているので、第1の偏光膜14は偏光光Pを効果的に遮り、したがって、ディスプレイパネル13は有効な光を受光せず、その結果、良好な暗状態のディスプレイ効果が達成されることができる。実際の状況では、バックライトコンポーネント11によって生成される偏光光は、偏光光Sに加えて、一部の迷光P’を含んでいる(迷光P’および偏光光Pの振動方向は同じである)。したがって、少量の迷光P’が光調整コンポーネント12に入射する。バックライトコンポーネント11によって生成された迷光P’が光調整コンポーネント12を通過するとき、迷光P’の振動方向は光調整コンポーネント12の作用下で90°偏向させられ、すなわち、迷光P’は迷光S’に変換される(迷光S’の振動方向は偏光光Sの振動方向と同じである)。迷光S’の振動方向は第1の偏光膜14の透過方向と同じなので、この一部の迷光S’はディスプレイパネル13へ透過させられる。この場合、ディスプレイパネル13内の液晶層1313は、迷光S’を迷光P’に変換するために迷光S’の振動方向を90°偏向させる(迷光P’と偏光光Pの振動方向は同じである)。迷光P’の振動方向と第2の偏光膜132の透過方向とが互いに直交しているので、第2の偏光膜132は迷光P’を効果的に遮る。このプロセスでは、第1の偏光膜14が偏光光Pを効果的に遮り、第2の偏光膜132が迷光P’を効果的に遮るので、ディスプレイ装置10は暗状態の映像を最終的に表示する。
【0062】
別の実施態様では、第1の偏光膜14および第2の偏光膜132の透過方向が互いに直交してい得ることが理解されよう。あるいは、バックライトコンポーネント11によって生成される偏光光Sの振動方向と第1の偏光膜14の透過方向とが互いに直交してい得る。それに応じて、偏光光を処理するとき、光調整コンポーネント12内の液晶層123およびディスプレイパネル13内の液晶層1313は、表示される必要があるディスプレイ効果に基づいて偏光光の偏光方向を偏向させ得る。加えて、構造配置の観点から、第1の偏光膜14は、第4の基板1312の、液晶層1313から遠い面(図中の下面)に取り付けられ得る。第1の偏光膜14は、第1の基板121の、液晶層123から遠い面(図中の上面)に取り付けられ得る。これは本出願では特に限定されない。
【0063】
加えて、具体的な配置に際して、モアレなどの望ましくない現象を防止するために、ディスプレイパネル13と光調整コンポーネント12との間に特定のギャップが維持される。ギャップの幅は、0.5μm以上に維持され得る。あるいは、別の実施態様では、ディスプレイパネル13は、光調整コンポーネント12に取り付けられ得る。例えば、ディスプレイパネル13を光調整コンポーネント12に固定的に取り付けるために、ディスプレイパネル13と光調整コンポーネント12との間に特定の厚みを有する接着層が配置され得る。
【0064】
図10に示されるように、ディスプレイ装置10のディスプレイ効果を改善し、モアレなどの望ましくない現象を防止するために、ディスプレイパネル13と光調整コンポーネント12との間に拡散膜15がさらに配置され得る。拡散膜15は、偏光光の元の振動方向を効果的に維持しつつ、偏光光の視野分布を改善することができる。例えば、拡散膜15は、偏光光の視野を10°より多く増加させることができ、偏光光の振動方向を90%より多く維持することができる。
【0065】
具体的な構成に際して、拡散膜15は、第1の偏光膜14と第1の基板121との間に配置され得るか、または第1の偏光膜14と第4の基板1312との間に配置され得る。加えて、拡散膜15は、ポリカーボネートまたはポリイミドなどの材料で作製され得、拡散膜15の厚みは、実際の状況に即して適応的に調整され得る。これは、本出願において限定されない。
【0066】
本出願の技術的解決策を理解しやすくするために、前述の実施形態は、偏光光が直線偏光光であり、第1の偏光膜14および第2の偏光膜132の両方が直線偏光膜である例を使用して説明されていることに留意されたい。別の実施態様では、偏光光が円偏光光または楕円偏光光であり、第1の偏光膜14が円偏光膜であり、第2の偏光膜132が円偏光膜であるとき、技術的解決策が依然として適用可能であることが理解されよう。例えば、バックライトコンポーネント11によって生成される偏光光が円偏光光である場合、第1の偏光膜14および第2の偏光膜132の両方が直線偏光膜であり得るか、または第1の偏光膜14および第2の偏光膜132の両方が円偏光膜であり得る。
【0067】
加えて、ディスプレイ装置10のディスプレイ効果を改善するために、バックライトコンポーネント11によって生成される光の偏光率は75%以上であり得る。すなわち、バックライトコンポーネント11によって生成される光のうち、同じ振動方向を有する偏光光の割合が75%以上(例えば、偏光光Sの割合が75%以上であり、偏光光P’の割合が25%以下である)である。
【0068】
実際の適用に際して、ディスプレイ装置10は画像ディスプレイ機能を有するだけでなく、人-マシンインタラクションも実施することができる。
【0069】
図11に示されるように、本出願で提供される一実施形態では、光調整コンポーネント12には光電素子124がさらに設けられる(図には5つが示されている)。外部光源(ユーザによって使用される赤外線レーザペンなど)がディスプレイ装置10を照射したとき、外部光源は、ディスプレイパネル13と第1の偏光膜14とを通って光調整コンポーネント12まで透過させられる。光電素子124が外部光源を検知した後、人-マシンインタラクションの目的を達成するために、外部光源の具体的な照射位置が決定され得る。具体的な実施に際して、外部光源の照射位置の精度を効果的に改善するために、光調整コンポーネント12の各光調整ユニットに1つの光電素子124が配置され得る。
【0070】
具体的な実施に際して、光電素子124は、第1の基板121または第2の基板122に配置され得るか、または第1の基板121および第2の基板122の両方に配置され得る。光電素子124は、感光性抵抗、感光性ダイオード、感光性トリプルレーザなどであり得る。
【0071】
加えて、バックライトコンポーネント11も、さまざまな構造で具体的に配置され得る。
【0072】
例えば、バックライトコンポーネント11は、側面照射型バックライトのデザインを使用し得るか、または直下型バックライトの配置を使用し得る。
【0073】
図12に示されるように、具体的には、バックライトコンポーネント11が側面照射型バックライトのデザインを使用するとき、バックライトコンポーネント11は、光調整コンポーネント12の側面に面光源を形成するために、側方光源111と導光板112とを含み得る。構成される側方光源111の数および位置は、実際の要件に即して適切に調整され得る。例えば、一方の側のエッジ(図中の左側)のみに側方光源111が配置され得、1または複数の側方光源111(図では1つ示されている)が配置され得る。
【0074】
図13に示されるように、バックライトコンポーネント11が直下型のデザインを使用するとき、バックライトコンポーネント11は、複数の点光源113(図では5つ示されている)を含み得る。点光源113のコンポーネントは、具体的には、発光ダイオードであり得、複数の点光源113はアレイ状に配置され得る。具体的な配置に際して、単一の点光源113が1つのバックライトユニットを構成し得るか、または1つのバックライトユニットが複数の点光源を含み得る。例えば、1つのバックライトユニットが2×2の点光源を含み得るか、または1つのバックライトユニットが3×4の点光源を含み得る。
【0075】
加えて、本出願で提供される一実施形態では、光調整コンポーネント12は、ディスプレイ装置10のディスプレイ効果を改善するために、バックライトコンポーネント11の光に対して均一化処理をさらに行い得る。
【0076】
図14に示されるように、点光源113によって放出される光は均一ではなく、すなわち、点光源113の中心位置での光強度は高く、一方、点光源113の周辺領域での光強度は弱い。例えば、点光源113の中央領域は100%の偏光光Sを生成することができ、左領域は80%の偏光光Sを生成することができ、右領域は70%の偏光光Sを生成することができる。したがって、ディスプレイパネル13が均一な光強度の偏光光を受光することを可能にするために、光調整コンポーネント12の、点光源113の中央領域に対応する部分は、偏光光の振動方向を偏向させ得る。偏向させられた偏光光は、70%の偏光光Sと30%の偏光光Pとに分解され得る。それに応じて、光調整コンポーネント12の、点光源113の左領域に対応する部分は、偏光光Sの振動方向を偏向させ得る。偏向させられた偏光光は、70%の偏光光Sと10%の偏光光Pとに分解され得る。光調整コンポーネント12の、点光源113の右領域に対応する部分は、偏光光Sの振動方向を偏向させない。偏光光Sおよび偏光光Pの振動方向は互いに直交しており、第1の偏光膜14の透過方向は偏光光Sの振動方向と一致している。第1の偏光膜14は偏光光Sを透過させ、偏光光Pを遮ることができるので、ディスプレイパネル13は70%の偏光光Sを受光する。すなわち、光調整コンポーネント12の異なる領域(光調整ユニット)がバックライトコンポーネント11の偏光光を独立して調整し得、その結果、ディスプレイパネル13は均一な光強度の面光源を受光することができる。
【0077】
加えて、本出願の一実施形態は、ハウジングと前述のディスプレイ装置10とを含む電子デバイスをさらに提供する。ディスプレイ装置10はハウジング内に取り付けられる。具体的には、「ディスプレイ装置10はハウジング内に取り付けられる」は、以下のとおりであり得、すなわち、ハウジングには、ディスプレイ装置10を固定的に取り付けるための収容溝が設けられ得る。ディスプレイ装置10が収容溝に固定的に取り付けられた後、ディスプレイパネル13がハウジングの外面から露出させられることができる。具体的な実施に際して、電子デバイスは、ディスプレイ、テレビ、携帯電話、ノートブックコンピュータ、スマートウォッチなどであり得る。
【0078】
前述の説明は、本出願の具体的な実施態様にすぎず、本出願の保護範囲を限定することが意図されるものではない。本出願で開示される技術的範囲内で当業者によって容易に考え出されるいかなる変形または置換も、本出願の保護範囲内に入るものとする。したがって、本出願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
【符号の説明】
【0079】
10 ディスプレイ装置
11 バックライトコンポーネント
12 光調整コンポーネント
13 ディスプレイパネル
14 第1の偏光膜
15 拡散膜
111 側方光源
112 導光板
113 点光源
120a 光調整ユニット
120b 光調整ユニット
120c 光調整ユニット
120d 光調整ユニット
120e 光調整ユニット
120f 光調整ユニット
121 第1の基板
121a 突起
121b 溝
121c 反射防止膜
122 第2の基板
123 液晶層
124 光電素子
131 パネル本体
132 第2の偏光膜
1311 第3の基板
1312 第4の基板
1313 液晶層
1314 カラーフィルタ
S 偏光光
P 偏光光
P’ 迷光
S’ 迷光