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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】カプセルを含む液体布地ケア組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/50 20060101AFI20240827BHJP
   D06M 23/12 20060101ALI20240827BHJP
   B01J 13/18 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
C11D3/50
D06M23/12
B01J13/18
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023521601
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 US2021071853
(87)【国際公開番号】W WO2022082188
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】63/092,522
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】バロス、アンドレ・マルティム
(72)【発明者】
【氏名】カルドソ、マリアナ・ベー・テー
(72)【発明者】
【氏名】スメツ、ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】スミス、スティーヴン・ダリル
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルストレット、ピエール・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ウォン、ヴァレリー
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-517323(JP,A)
【文献】特表2015-507522(JP,A)
【文献】特開2015-128762(JP,A)
【文献】特開2015-129116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00 - 19/00
B01J 13/02 - 13/22
D06M 10/00 - 11/84
D06M 16/00 - 16/00
D06M 19/00 - 23/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
布地処理補助剤とカプセルの集団とを含む、液体布地ケア組成物であって、
前記布地処理補助剤が、コンディショニング活性物質、界面活性剤、又はこれらの混合物からなる群から選択され
前記コンディショニング活性物質が存在する場合、前記コンディショニング活性物質は、アルキル四級アンモニウム化合物(「アルキルクアット」)、アルキルエステル四級アンモニウム化合物(「アルキルエステルクアット」)、及びこれらの混合物からなる群から選択され;
前記界面活性剤が存在する場合、前記界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、両性電解質界面活性剤、及びそれらの混合物からなる群から選択され、
前記カプセルは、コアと前記コアを取り囲むシェルとを含み、
前記コアが香料原料を含み
前記シェルが、
縮合層とナノ粒子層とを含む、実質的に無機の第1のシェル構成要素であって、
前記縮合層が、前駆体の縮合生成物を含み、
前記ナノ粒子層は、無機ナノ粒子を含み、
前記縮合層は、前記コアと前記ナノ粒子層との間に配設されている、第1のシェル構成要素、及び
前記第1のシェル構成要素を取り囲む無機の第2のシェル構成要素であって、前記ナノ粒子層を取り囲む、第2のシェル構成要素を含み、
前記前駆体が、式(I)、式(II)、及びそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つの化合物を含み、
式(I)は、(Mであり、
式(II)は、(M であり、
式(I)、式(II)、又はそれらの混合物について、
各Mは、ケイ素、チタン、及びアルミニウムからなる群から独立して選択され、
vはMの原子価数であって、3又は4であり、
zは、0.5~1.6であり、
各Yは、独立して、-OH、-OR、ハロゲン、
【化1】
-NH、-NHR、-N(R、及び
【化2】
から選択され、
は、C~C20アルキル、C~C20アルキレン、C~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールであり、
は、H、C~C20アルキル、C~C20アルキレン、C~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールであり、
wは、2~2000であり;
式(I)について、
nは0.7~(v-1)であり;
式(II)について、
nは0~(v-1)であり;
各Rは、独立して、C~C30アルキル;C~C30アルキレン;ハロゲン、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、-OCN、-NCO、アルコキシ、エポキシ、アミノ、メルカプト、アクリロイル、-COH、-C(O)-アルキル、-C(O)O-アリール、及び-C(O)O-ヘテロアリールからなる群から選択されるメンバーによって置換されたC~C30アルキル;並びにハロゲン、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、-OCN、-NCO、アルコキシ、エポキシ、アミノ、メルカプト、アクリロイル、-C(O)OH、-C(O)O-アルキル、-C(O)O-アリール、及び-C(O)O-ヘテロアリールからなる群から選択されるメンバーによって置換されたC~C30アルキレンから選択され;
pは、0より大きく、pmaxまでの数であり、
pmax=60/[9Mw(R)+8]であり、
Mw(R)は、R基の分子量である、
液体布地ケア組成物。
【請求項2】
前記前駆体が、少なくとも1種の、式(I)による化合物を含む、請求項1に記載の液体布地ケア組成物。
【請求項3】
前記前駆体が、少なくとも1種の、式(II)による化合物を含む、請求項1又は2に記載の液体布地ケア組成物。
【請求項4】
前記カプセルの集団が、以下の:
(a)10μm~200μmの体積加重平均カプセル直径;
(b)170nm~1000nmの平均シェル厚;
(c)50:50~99:1のコア/シェル体積比;
(d)前記第1のシェル構成要素が、前記第1のシェル構成要素の、5重量%以下%の有機成分含有量を含むこと;又は
(e)(a)~(d)を組み合わせたもの、
のうちの1つ以上によって特徴付けられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体布地ケア組成物。
【請求項5】
前記式(I)、式(II)、又はその両方の化合物が、以下の:
(a)700Da~30,000Daのポリスチレン換算重量平均分子量(Mw);
(b)0.2~0.6の分岐度;
(c)1~20の分子量多分散指数;又は
(d)(a)~(c)を組み合わせたもの、
のうちの1つ以上によって特徴付けられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の液体布地ケア組成物。
【請求項6】
式(I)、式(II)、又はその両方について、Mがケイ素である、請求項1~5のいずれか一項に記載の液体布地ケア組成物。
【請求項7】
式(I)、式(II)、又はその両方について、YがORであり、式中Rが、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の液体布地ケア組成物。
【請求項8】
前記第2のシェル構成要素が、炭酸カルシウム、シリカ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の液体布地ケア組成物。
【請求項9】
前記第1のシェル構成要素の無機ナノ粒子が、金属ナノ粒子、鉱物ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、及び半金属酸化物ナノ粒子のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の液体布地ケア組成物。
【請求項10】
前記無機の第2のシェル構成要素が、SiO、TiO、Al、CaCO、CaSiO、Fe、Fe、鉄、銀、ニッケル、金、銅、又は粘土のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の液体布地ケア組成物。
【請求項11】
前記液体布地ケア組成物が、前記組成物の5重量%~99.5重量%の水を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の液体布地ケア組成物。
【請求項12】
前記布地処理補助剤が、前記コンディショニング活性物質を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記布地処理補助剤が、界面活性剤を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記液体布地ケア組成物が、構造化剤を更に含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の液体布地ケア組成物。
【請求項15】
面を処理するプロセスであって、
任意に水の存在下で、前記表面を、請求項1~14のいずれか一項に記載の液体布地ケア組成物と接触させる工程を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、特定の布地処理補助剤及び/又は水を含み、実質的に無機のシェル、例えばシリカ系シェルを特徴とするカプセルを更に含む、液体布地ケア組成物に関する。本開示は更に、そのような組成物の製造方法及び使用方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
多くの液体布地ケア製品は、香料入りコア/シェルカプセルを用いて配合される。典型的には、このようなカプセルのコアは香料を含み、シェルは多くの場合、アミノプラスト、ポリ尿素、又はポリアクリレートなどのポリマー材料を含む。これらのカプセルは、有益剤を布地などの標的表面に送達するのに有用である。次いで、様々な接触点で、カプセルは破裂し、香料を放出する。しかしながら、香料カプセルは、消費者製品の液体環境においては漏出を起こし、それによって香料送達系の効率を低下させることが知られている。
【0003】
更に、香料カプセルは、典型的には、様々な香料原料(「perfume raw material、PRM」)を封入している。問題として、異なるPRMは、カプセル壁を通して、異なる速度で漏出し得る。時間の経過と共に、例えば、製品が輸送又は保管されている間に、いくつかのPRMが他のPRMよりも多く漏出するために、香料の特性は変化し得る。これにより、製品の初回の用量によってもたらされる爽快感プロファイルが最後の回の用量によってもたらされる爽快感プロファイルと異なる場合に、製造者が配合をした際に得ようとした嗅覚経験よりも望ましくない嗅覚経験、品質管理上の問題、更には消費者の不満がもたらされる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
改善された香料漏出プロファイルを有する香料送達系を含む液体布地ケア製品が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、実質的に無機のシェルを有するカプセルの集団を含む、液体布地ケア組成物に関する。
【0006】
例えば、本開示は、布地処理補助剤と、カプセルの集団とを含む液体布地ケア組成物に関する。その布地処理補助剤は、コンディショニング活性物質、界面活性剤、又はこれらの混合物から選択される。コンディショニング活性物質が存在する場合、そのコンディショニング活性物質は、アルキル四級アンモニウム化合物(「アルキルクアット」)、アルキルエステル四級アンモニウム化合物(「アルキルエステルクアット」)、又はこれらの混合物から選択される。界面活性剤が存在する場合、その界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性界面活性剤、両性界面活性剤、両性電解質界面活性剤、又はこれらの混合物から選択される。カプセルは、コアとコアを取り囲むシェルとを含む。コアは香料原料を含む。シェルは、(a)縮合層とナノ粒子層とを含む実質的に無機の第1のシェル構成要素、及び(b)第1のシェル構成要素を取り囲み、ナノ粒子層を取り囲む無機の第2のシェル構成要素、を含む。縮合層は、前駆体の縮合生成物を含み、ナノ粒子層は、無機ナノ粒子を含み、縮合層は、コアとナノ粒子層との間に配設されている。
【0007】
本開示は、組成物の約5重量%~約99.5重量%の水と、コア及びコアを取り囲むシェルを含むカプセルの集団と、を含む、液体布地ケア組成物に更に関する。コアは、香料原料を含む。シェルは、(a)縮合層とナノ粒子層とを含む実質的に無機の第1のシェル構成要素、及び(b)第1のシェル構成要素を取り囲み、ナノ粒子層を取り囲む無機の第2のシェル構成要素、を含む。縮合層は、前駆体の縮合生成物を含み、ナノ粒子層は無機ナノ粒子を含む。縮合層は、コアとナノ粒子層との間に配設されている。
【0008】
本開示はまた、表面、好ましくは布地を処理するプロセスであって、任意に水の存在下で、表面を、本明細書に記載の液体布地ケア組成物と接触させる工程を含む、プロセスに更に関する。
【0009】
本開示は、表面を処理するためのプロセスに更に関し、そのプロセスは、布地処理補助剤及び/又は水を含む液体ベース組成物を提供することと、カプセルの集団をベース組成物に提供することとを含み、布地処理補助剤は、コンディショニング活性物質、界面活性剤、又はこれらの混合物から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書の図面は、事実上例示的なものであり、限定的であることを意図したものではない。
図1】疎水性コアを用いて調製された第1のシェル構成要素を有するカプセルを製造する方法の概略図である。
図2】第1のシェル構成要素及び第2のシェル構成要素を有するカプセルの概略図である。
図3】カプセルの走査型電子顕微鏡画像である。
図4】実施例4の漏出結果のグラフである。
図5】実施例10の漏出結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、特定の布地処理活性物質(例えば、コンディショニング活性物質及び/又は界面活性剤)と、特定のカプセルの集団とを含む、液体布地ケア組成物に関する。カプセルは香料原料を含有する。更に、カプセルのシェルは無機材料を含有し、その選択の結果として、機械的特性の改善並びに低い及び/又は一貫した透過性をもたらす。
【0012】
例えば、本開示のカプセルは、本明細書で開示される組成物中の香料原料の漏出を制御する際に驚くほど良好に機能し、結果として比較的低く一貫した香料漏出をもたらすことが判明した。理論に束縛されるものではないが、香料原料の漏出は、有機ポリマー材料を含有するシェルと比較して、高度に架橋された無機材料を含有するシェルについて根本的に異なる機序によって駆動されると考えられる。具体的には、均質な有機ポリマーシェルを横切って香料原料(「PRM」)などの小分子が拡散する場合、その拡散は、均質なポリマー膜を横切る拡散の機序と同様である。この場合、所与の溶質に対するポリマー膜の透過性は、ポリマーの自由体積(結晶化度及び架橋密度によって影響を受ける)並びにポリマーに対する溶質の相対溶解度の両方に依存する。異なるPRMは、異なる範囲の関連する物理的及び化学的特性(例えば、分子量及び極性)を有するので、PRMの所与のセットについて拡散速度は均一ではなく、この場合、物理的及び化学的特性も均一ではない。
【0013】
一方、高度に架橋された無機シェルを横切っての小分子の拡散は、主に、シェル中に存在する微小孔の浸透ネットワークによって形成されるマイクロチャネルを通して起こると考えられる。そのような高度に架橋された無機シェルは、本開示で開示されるように、第1のシェル構成要素と組み合わせて第2のシェル構成要素を使用することによって得ることができる。この場合、無機シェルの透過性は、主に、コア相と連続相とを効果的に接続しているマイクロチャネルの数、密度、及び寸法に依存し、これにより、PRM漏出速度が互いに比較的均一又は一貫したものとなり得ると共に、比較的低くなり得ると考えられる。
【0014】
様々なPRMが、開示された組成物中の開示されたカプセルから比較的一貫した速度で漏出するので、香料の意図された特性が維持され、より満足のいく一貫した嗅覚性能をもたらすと更に考えられる。
【0015】
その構成要素、組成物、及び関連するプロセスについて、以下でより詳細に説明する。
【0016】
本明細書で使用するとき、特許請求の範囲で使用される場合の冠詞「a」及び「an」は、特許請求又は記載されているもののうちの1つ以上を意味すると理解される。本明細書で使用するとき、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含んでいる(including)」という用語とは、非限定的であることを意味する。本開示の組成物は、本開示の成分を含み得る、それらから本質的になり得る、又はそれらからなり得る。
【0017】
本明細書では、「実質的に含まない(substantially free of)」又は「実質的に含まない(substantially free from)」という用語を使用してもよい。これは、指示される材料が最小限の量であり、組成物の一部を形成するように意図的にその組成物に添加されたものでないこと、又は好ましくは、分析的に検出可能な濃度で存在しないことを意味する。それは、指示される材料が、意図的に含まれるその他の材料のうちの1つの中に不純物としてのみ存在する、組成物を含むことを意味する。指示される材料は、存在したとしても、組成物の1重量%未満、又は0.1重量%未満、又は0.01重量%未満、又は更には0重量%の濃度で存在してもよい。
【0018】
本明細書で使用するとき、「布地ケア組成物」という語句とは、布地を処理するために設計された組成物及び配合物を含む。このような組成物としては、洗濯洗浄組成物及び洗剤、布地軟化組成物、布地増強組成物、布地消臭組成物、洗濯前洗浄剤、洗濯前処理剤、洗濯添加剤、スプレー製品、ドライクリーニング剤又は組成物、洗濯すすぎ添加剤、洗浄添加剤、すすぎ後布地処理剤、アイロン助剤、単位用量配合物、遅延送達配合物、多孔質基材又は不織布シート上又は中に含まれる洗剤、及び本明細書の教示を考慮して当業者に明らかであり得る他の好適な形態が挙げられるが、これらに限定されない。このような組成物は、洗濯前処理剤、洗濯後処理剤として使用することができ、又は洗濯操作のすすぎ若しくは洗浄サイクル中に添加することができる。
【0019】
別途注記がない限り、全ての構成成分又は組成物のレベルは、その構成成分又は組成物の活性部分に関するものであり、このような構成成分又は組成物の市販の供給源に存在する場合のある不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0020】
本明細書における全ての温度は、別途指示がない限り、摂氏(℃)である。別途記載のない限り、本明細書における全ての測定は、20℃及び大気圧下で実施される。
【0021】
本開示の全ての実施形態では、全てのパーセンテージは、特に記載のない限り、全組成物の重量に対するものである。特に記載のない限り、全ての比率は重量比である。
【0022】
本明細書の全体を通して与えられる全ての最大数値制限は、全てのより低い数値制限を、あたかもそのようなより低い数値制限が本明細書に明示的に記載されているかのよう含むことが理解されるべきである。本明細書の全体を通して与えられる全ての最小数値制限は、全てのより高い数値制限を、あたかもそのようなより高い数値制限が本明細書に明示的に記載されているかのように含むものとする。本明細書の全体を通して与えられる全ての数値範囲は、そのような広い数値範囲内に入るあらゆる狭い数値範囲を含み、あたかもそのような狭い数値範囲が全て本明細書に明示的に記載されているかのようである。
【0023】
液体布地ケア組成物
本開示は、液体布地ケア組成物に関する。液体布地ケア組成物は、液体布地向上剤(fabric enhancer)、液体洗剤(例えば、強力液体洗剤)、噴霧可能な布地消臭剤組成物、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0024】
組成物は、布地処理補助剤及びカプセルの集団を含んでもよい。カプセルは香料を含有し、様々な接触点で芳香効果/爽快感効果をもたらし得る。布地処理補助剤は、コンディショニング効果又は洗浄効果などの効果を、標的布地にもたらすことができる。例えば、好適な布地処理補助剤は、エステル四級アンモニウム化合物などのコンディショニング活性物質、及び/又はアニオン性界面活性剤若しくは非イオン性界面活性剤などの界面活性剤を含んでもよい。
【0025】
組成物は水を含んでもよい。組成物は実質的に水性であってもよい。組成物は、少なくとも5重量%の水、好ましくは少なくとも25重量%、好ましくは少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%、又は更には85重量%超の水を含んでもよい。組成物は、組成物の約5重量%~約99.5重量%、約50重量%~約99.5重量%、好ましくは約50重量%~約99.5重量%、より好ましくは約60重量%~約95重量%、更により好ましくは約75重量%~約90重量%の水を含んでもよい。
【0026】
液体布地ケア組成物は、注入可能なボトルにパッケージ化されてもよく、このような場合、組成物は、組成物の約50重量%~約99重量%、又は約60重量%~約95重量%、又は約70重量%~約90重量%の水を含むことが好ましい場合がある。以下により詳細に記載されるように、液体布地ケア組成物は、噴霧可能なボトルにパッケージ化されてもよく、このような場合、組成物は、組成物の約75重量%~約99.5重量%、好ましくは約80重量%~約99重量%、約90重量%~約99重量%、又は約95重量%~約99重量%の水を含むことが好ましい場合がある。
【0027】
液体布地ケア組成物は、噴霧可能製品の形態であってもよい。例えば、液体布地組成物は、(a)液体組成物を収容するためのボトルと、(b)噴霧エンジンと、を含み得るスプレーディスペンサに収容されてもよい。
【0028】
ボトルは、開口部で終端する基部及び側壁を有する容器として構成することができる。ボトルは、バッグインバッグ又はバッグインカン容器を含み得る。
【0029】
噴霧エンジンは、直接圧縮型トリガー噴霧器、予圧型トリガー噴霧器、又はエアゾール型スプレーディスペンサなどの様々な方法で構成され得る。1つの好適なスプレーディスペンサは、TS800トリガー噴霧器(Exxon Mobil PP1063、material classification 10003913、製造業者:Calmar)である。別の好適な噴霧エンジンとしては、Afa Dispensing Group製のFLAIROSOL(商標)ディスペンサなど連続動作式噴霧器が挙げられる。FLAIROSOL(商標)ディスペンサには、圧力又は緩衝チャンバを使用した、水性組成物の予圧噴霧エンジン及びエアゾール様加圧器が含まれる。適切なトリガー噴霧器又はフィンガーポンプ噴霧器は、Calmar,Inc.(City of Industry,Calif.);CSI(Continental Sprayers,Inc.)(St.Peters,Mo.);Berry Plastics Corp.(Evansville,Ind.)(Guala(登録商標)噴霧器の販売業者);又はSeaquest Dispensing(Cary,Ill)(円筒形Euromist II(登録商標)の販売業者)などの供給業者から容易に入手可能である。スプレーディスペンサがエアゾールとして構成される場合、スプレーディスペンサは噴射剤で加圧することができる。任意の好適な噴射剤が使用され得る。
【0030】
組成物は、パウチなどの単位用量物品の形態であってよい。そのようなパウチは、典型的には、組成物を少なくとも部分的に封入する水溶性フィルムを含む。好適なフィルムは、MonoSol,LLC(Indiana,USA)から入手可能である。組成物は、単一区画式パウチ又は多区画式パウチに封入することができる。多区画式パウチは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの区画を有し得る。多区画式パウチは、並べて及び/又は重ねて配置された区画を含んでもよい。パウチ又はその区画に収容される組成物は、液体、固体(粉末など)、又はこれらの組み合わせであってもよい。パウチにした組成物は、比較的少量の水、例えば、洗剤組成物の約20重量%未満、又は約15重量%未満、又は約12重量%未満、又は約10重量%未満、又は約8重量%未満の水を有してもよい。
【0031】
組成物は、20秒-1及び21℃で、1~1500センチポアズ(1~1500mPa・s)、100~1000センチポアズ(100~1000mPa・s)、又は200~500センチポアズ(200~500mPa・s)の粘度を有してもよい。
【0032】
本開示の組成物は、pHが約2~約12、又は約2~約8.5、又は約2~約7、又は約2~約5であることを特徴とすることができる。本開示の組成物は、好ましくは水性液体の形態で、約2~約4のpH、好ましくは約2~約3.7のpH、より好ましくは約2~約3.5のpHを有してもよい。このようなpHレベルにより、四級アンモニウム化合物、特に四級アンモニウムエステル化合物の安定性が促進されると考えられる。組成物のpHは、組成物を脱イオン水中に溶解/分散させて、約20℃で10%濃度の溶液を形成することによって測定される。
【0033】
布地処理補助剤
本開示の液体布地ケア組成物は、布地処理補助剤を含んでもよい。布地処理補助剤は、コンディショニング効果又は洗浄効果などの効果を、標的布地にもたらすように選択されてもよい。例えば、好適な布地処理補助剤は、エステル四級アンモニウム化合物などのコンディショニング活性物質、及び/又はアニオン性界面活性剤若しくは非イオン性界面活性剤などの界面活性剤を含んでもよい。追加的又は代替的に、布地処理補助剤は、布地ケア組成物に加工効果及び/又は安定性効果をもたらすように選択されてもよい。これらの材料は、以下に、より詳細に説明される。
【0034】
a.コンディショニング活性物質
本開示の液体布地ケア組成物は、コンディショニング活性物質を含んでもよい。これらの材料は、標的表面にコンディショニン効果グ又は柔軟化効果をもたらすことができ、組成物が布地向上剤組成物の形態である場合に特に有用である。
【0035】
コンディショニング活性物質が存在する場合、そのコンディショニング活性物質は、アルキル四級アンモニウム化合物(「アルキルクアット」)、アルキルエステル四級アンモニウム化合物(「アルキルエステルクアット」)、及びこれらの混合物からなる群から選択される。環境/生分解性の理由から、コンディショニング活性物質はアルキルエステルクアットを含むことが好ましい場合がある。
【0036】
コンディショニング活性物質は、組成物の約0.1重量%~約50重量%、約2重量%~約40重量%、又は約3重量%~約25重量%、好ましくは4重量%~18重量%、より好ましくは5重量%~15重量%の濃度で存在してもよい。コンディショニング活性物質は、組成物の0重量%超~約50重量%、約1重量%~約35重量%、約1重量%~約25重量%、約3重量%~約20重量%、又は約4.0重量%~18重量%、より好ましくは4.5重量%~15重量%、更により好ましくは5.0重量%~12重量%の濃度で存在してもよい。コンディショニング活性物質は、組成物の約1重量%~約8重量%、又は約1.5重量%~約5重量%の濃度で存在してもよい。コンディショニング活性物質の濃度は、組成物(希釈又は濃縮組成物)中の全コンディショニング活性物質の所望の濃度、及び他のコンディショニング/柔軟化材料の存在(又は不在)に依存し得る。非常に高いコンディショニング活性物質濃度では、粘度はもはや十分に制御され得ず、製品が使用に適さなくなる。しかしながら、コンディショニング活性物質の濃度が低すぎる場合、もたらされる効果は次善最適であり得る。
【0037】
コンディショニング活性物質は、脂肪酸(親脂肪酸と呼ばれることもある)から誘導されてもよい。脂肪酸は、飽和脂肪酸及び/又は不飽和脂肪酸を含むことができる。脂肪酸は、ヨウ素価によって特徴付けられてもよい(「方法」を参照)。好ましくは、四級アンモニウム布地化合物を形成する脂肪酸のヨウ素価は、0~140、又は0~約90、又は約10~約70、約15~約50、又は約18~約30である。ヨウ素価は、約25~50、好ましくは30~48、より好ましくは32~45であってもよい。理論に束縛されるものではないが、四級アンモニウム化合物を形成する脂肪酸が少なくとも部分的に不飽和である場合、FCAをより加工容易性にするより低い融点が得られる。特に、二重不飽和脂肪酸は、FCAの加工容易性を実現すると考えられる。
【0038】
脂肪酸は、重量平均で、約13個~約22個の炭素原子、又は約14個~約20個の炭素原子、好ましくは約16個~約18個の炭素原子を含有するアルキル部分を含んでもよい。
【0039】
好適な脂肪酸としては、(1)牛脂、ラードなどの動物脂肪及び/又は部分水素添加動物脂肪、(2)カノーラ油、サフラワー油、ピーナッツ油、ヒマワリ油、ゴマ種子油、菜種油、綿実油、トウモロコシ油、大豆油、トール油、米糠油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、他の熱帯パーム油、亜麻仁油、キリ油などの植物油及び/又は部分水素添加植物油、(3)熱処理、圧力処理、アルカリ異性化処理及び触媒処理による亜麻仁油又はキリ油などの加工油及び/又はスタンド油、(4)飽和(例えば、ステアリン酸)、不飽和(例えば、オレイン酸)、多価不飽和(リノール酸)、分枝鎖状(例えば、イソステアリン酸)又は環状(例えば、多価不飽和酸の飽和又は不飽和α-二置換シクロペンチル又はシクロヘキシル誘導体)脂肪酸を生成するこれらの混合物から誘導されるものを挙げることができる。
【0040】
コンディショニング活性物質は、不飽和である脂肪酸から形成される化合物を含み得る。脂肪酸は、不飽和C18鎖を含んでもよく、これは、単一の二重結合(「C18:1」)を含んでもよく、又は二重不飽和(「C18:2」)であってもよい。
【0041】
コンディショニング活性物質は、脂肪酸から、及び任意にトリエタノールアミンから、好ましくは18個の炭素を含む不飽和脂肪酸(「C18脂肪酸」)、より好ましくは単一の二重骨(「C18:1脂肪酸」)を含むC18脂肪酸から誘導されてもよい。コンディショニング活性物質は、コンディショニング活性物質の約10重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、又は約15重量%~約30重量%の、トリエタノールアミン及びC18:1脂肪酸から誘導される化合物を含み得る。このような濃度の脂肪酸は、得られるエステルクアット材料の取り扱いを容易にすることができる。
【0042】
コンディショニング活性物質を形成する脂肪酸は、全脂肪酸鎖の1.0重量%~20.0重量%、好ましくは1.5重量%~18.0重量%、又は3.0重量%~15.0重量%、より好ましくは4.0重量%~15.0重量%の二重不飽和C18鎖(「C18:2」)を含んでもよい。コンディショニング活性物質を形成するために使用される全脂肪酸の約2重量%~約10%、又は約2重量%~約8重量%、又は約2重量%~約6重量%は、C18:2脂肪酸であってもよい。
【0043】
一方、布地柔軟剤組成物の経時的な酸化の結果としての悪臭形成を最小限に抑えるために、非常に高濃度の不飽和脂肪酸鎖は避けるべきである。
【0044】
好適なコンディショニング活性物質エステルクアットは、モノエステル四級材料(「モノエステルクアット」)、ジエステル四級材料(「ジエステルクアット」)、トリエステル四級材料(「トリエステルクアット」)、及びそれらの混合物からなる群から選択される。モノエステルクアットの濃度は,全コンディショニング活性物質の2.0重量%~40.0重量%であってもよく、ジエステルクアットの濃度は全コンディショニング活性物質の40.0重量%~98.0重量%であってもよく、トリエステルクアットの濃度は全コンディショニング活性物質の0.0重量%~30.0重量%であってもよい。モノエステルクアットの濃度は、全コンディショニング活性物質の2.0重量%~40.0重量%であってもよく、ジエステルクアットの濃度は全コンディショニング活性物質の40.0重量%~98.0重量%であってもよく、トリエステルクアットの濃度は全コンディショニング活性物質の5.0重量%未満若しくは1.0重量%未満、又は更に0.0重量%であってもよい。モノエステルクアットの濃度は、全コンディショニング活性物質の15.0重量%~35.0重量%であってもよく、ジエステルクアットの濃度は全コンディショニング活性物質の40.0重量%~60.0重量%であってもよく、トリエステルクアットの濃度は全コンディショニング活性物質の15重量%~38.0重量%であってもよい。四級アンモニウムエステル化合物は、トリエステル四級アンモニウム材料(「トリエステルクアット」)を含んでもよい。
【0045】
好適なアルキルエステルクアットは、アルカノールアミン、例えば、C1~C4アルカノールアミン、好ましくはC2アルカノールアミン(例えば、エタノールアミン)から誘導されてもよい。アルキルエステルクアットは、モノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン、トリアルカノールアミン、又はこれらの混合物、好ましくはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、又はこれらの混合物から誘導されてもよい。アルキルエステルクアットは、ジエタノールアミンから誘導されてもよい。アルキルエステルクアットは、ジ-イソプロパノールアミンから誘導されてもよい。アルキルエステルクアットは、トリエタノールアミンから誘導されてもよい。アルキルエステルクアットが誘導されるアルカノールアミンは、アルキル化モノ-又はジアルカノールアミン、例えば、C1~C4アルキル化アルカノールアミン、好ましくはC1アルキル化アルカノールアミン(例えば、N-メチルジエタノールアミン)であってもよい。
【0046】
コンディショニング活性物質は、少なくとも部分的に置換された四級化窒素原子を含んでもよい。四級化窒素原子は、少なくとも部分的に、1つ以上のC1~C3アルキル基又はC1~C3ヒドロキシルアルキル基で置換されてもよい。四級化窒素原子は、少なくとも部分的に、メチル、エチル、プロピル、ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、1-メチル-2-ヒドロキシエチル、ポリ(C~Cアルコキシ)、ポリエトキシ、ベンジル、より好ましくはメチル又はヒドロキシエチルからなる群から選択される部分で置換されてもよい。
【0047】
コンディショニング活性物質は、式(1)による化合物を含んでもよい:
{R (4-m)-N+-[X-Y-R}A 式(1)
(式中、
mは、1、2、又は3であり、ただし、所与の分子内で、各mの値は、同一であり、
各Rは、13個~22個の炭素原子を含んでもよく、独立して、直鎖状ヒドロカルビル基又は分岐鎖状ヒドロカルビル基であり、好ましくは、Rは、直鎖状であり、より好ましくは、Rは、部分不飽和直鎖状アルキル鎖であり、
各Rは、独立して、C~Cアルキル基又はC~Cヒドロキシアルキル基であり、及び/又は、各Rは、メチル、エチル、プロピル、ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、1-メチル-2-ヒドロキシエチル、ポリ(C~Cアルコキシ)、ポリエトキシ、ベンジル、より好ましくはメチル又はヒドロキシエチルから選択され、
各Xは、独立して、-(CH-、-CH-CH(CH)-又は-CH(CH)-CH-であり、各nは独立して1、2、3又は4であり、好ましくは、各nは2であり、
各Yは、独立して、-O-(O)C-又は-C(O)-O-であり、
A-は、独立して、クロリド、ブロミド、メチルサルフェート、エチルサルフェート、サルフェート、及びニトレートからなる群から独立して選択され、好ましくは、A-は、クロリド及びメチルサルフェートからなる群から選択され、より好ましくは、A-はメチルサルフェートである)。
【0048】
少なくとも1つのX、好ましくは各Xは、独立して、-CH-CH(CH)-又は-CH(CH)-CH2-から選択されてもよい。mが2の場合、Xは、-CH-CH(CH)-、-CH(CH)-CH-、又はこれらの混合物から選択されてもよく、は、アルキルエステルクアットの窒素に最も近い末端を示す。単一の化合物中に2個以上のX基が存在する場合、X基のうちの少なくとも2つは互いに異なっていてもよい。例えば、mが2の場合、一方のX(例えば、第1のX)は、-CH-CH(CH)-であってもよく、他方のX(例えば、第2のX)は、-CH(CH)-CH-であってもよく、は、アルキルエステルクアットの窒素に最も近い末端を示す。mの添え字及びX基のこのような選択により、アルキルエステルクアットの加水分解安定性を改善し、ひいては、組成物の安定性を更に改善することができることが判明した。
【0049】
同様の安定性の理由から、コンディショニング活性物質は、ビス-(2-ヒドロキシプロピル)-ジメチルアンモニウムメチルサルフェート脂肪酸エステルと、(2-ヒドロキシプロピル)-(1-メチル-2-ヒドロキシエチル)-ジメチルアンモニウムメチルサルフェート脂肪酸エステルと、ビス-(1-メチル-2-ヒドロキシエチル)-ジメチルアンモニウムメチルサルフェート脂肪酸エステルとの混合物を含んでもよく、脂肪酸エステルはC12~C18脂肪酸混合物から生成される。コンディショニング活性物質は、本段落に列挙されている脂肪酸エステルのいずれかを個別に又は混合物として含んでもよい。
【0050】
各Xは-(CH-であってもよく、各nは独立して、1、2、3又は4であり、好ましくは、各nは2である。
【0051】
各R基は、上記に提供された親脂肪酸のいずれかのアルキル部分に対応してもよく、及び/又はそれから誘導されてもよい。R基は、重量平均で約13個~約22個の炭素原子、又は約14個~約20個の炭素原子、好ましくは約16個~約18個の炭素原子を含んでもよい。Yが-O-(O)C-である場合(は、X部分に最も近い末端を示す)、各Rにおける炭素の合計は、13個~21個、好ましくは、13個~19個であるということがあり得る。
【0052】
本開示のコンディショニング活性物質は、式(1)による四級アンモニウム化合物の混合物を含んでもよく、例えば、m=1(例えば、モノエステル)であるいくつかの化合物、及びm=2(例えば、ジエステル)であるいくつかの化合物を有する。いくつかの混合物は、m=3(例えば、トリエステル)である化合物を更に含み得る。四級アンモニウム化合物は、式(1)による化合物(式中、mは1又は2であるが3ではない(例えば、トリエステルを実質的に含まない)を含んでもよい。
【0053】
本開示のコンディショニング活性物質は、式(1)による化合物(式中、各Rはメチル基である)を含んでもよい。本開示のコンディショニング活性物質は、式(1)(式中、少なくとも1つのR、好ましくは少なくとも1つのRはヒドロキシエチル基、及び少なくとも1つのRはメチル基である)による化合物を含んでもよい。式(1)による化合物の場合、mは1に等しくてもよく、1つのRのみがヒドロキシエチル基であってもよい。
【0054】
本開示のコンディショニング活性物質は、対イオンとしてメチルサルフェートを含んでもよい。本開示のコンディショニング活性物質が式(1)による化合物を含む場合、A-は、好ましくはメチルサルフェートであってもよい。理論に束縛されるものではないが、メチルサルフェート対イオンがクロリドと比較してより緊密に結合しているため、対イオンとしてメチルサルフェートを有するエステルクアットは、クロリドを有するエステルクアットと比較して、より低い静電反発力を有し、布地などの標的表面上により効果的な堆積が生じると考えられる。
【0055】
本開示のコンディショニング活性物質は、以下からなる群から選択される1つ以上のメンバーを含んでもよい:
(A)ビス-(2-ヒドロキシプロピル)-ジメチルアンモニウムメチルサルフェート脂肪酸エステルと、ビス-(2-ヒドロキシプロピル)-ジメチルアンモニウムメチルサルフェート脂肪酸エステルの異性体及び/又はそれらの混合物、アシル部分が、分画及び/又は水素化できるヤシ、タロー、カノーラなどのC12~C22脂肪酸及び/又は他の好適な脂肪酸、並びに/又はそれらの混合物から誘導される、N,N-ビス-(2-(アシル-オキシ)-プロピル)-N,N-ジメチルアンモニウムメチルサルフェート及び/又はN-(2-(アシル-オキシ)-プロピル)N--(2-(アシル-オキシ)1-メチル-エチル)N,N-ジメチルアンモニウムメチルサルフェート及び/又はそれらの混合物;
(B)アシル部分が、分画及び/若しくは水素化され得る、パーム、タロー、カノーラなどのC12~C22脂肪酸及び/若しくは他の好適な脂肪酸、並びに/又はこれらの混合物から誘導される、1,2-ジ(アシルオキシ)-3-トリメチルアンモニオプロパンクロリド;
(C)N,N-ビス(ヒドロキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド脂肪酸エステル;アシル部分が、分画及び/又は水素化され得る、ヤシ、タロー、カノーラ及び/若しくは他の好適な脂肪酸などのC12~C22脂肪酸、並びに/又はこれらの混合物から誘導される、N,N-ビス(タローオイル-オキシ-エチル)N,N-ジメチルアンモニウムクロリドなどの、N,N-ビス(アシル-オキシ-エチル)-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド;
(D)ジメチルサルフェートで四級化された、脂肪酸とトリエタノールアミンとのエステル化生成物;アシル部分が、分画及び/又は水素化され得る、ヤシ、タロー、カノーラ及び/若しくはその他の好適な脂肪酸などのC12~C22脂肪酸、並びに/又はこれらの混合物から誘導される、N,N-ビス(タローオイル-オキシ-エチル)N-(2-ヒドロキシエチル)-N-メチルアンモニウムメチルサルフェートなどの、N,N-ビス(アシル-オキシ-エチル)N-(2-ヒドロキシエチル)-N-メチルアンモニウムメチルサルフェート;
(E)ジカノーラジメチルアンモニウムクロリド;ジ(ハード)タロージメチルアンモニウムクロリド;ジカノーラジメチルアンモニウムメチルサルフェート;1-メチル-1-ステアロイルアミドエチル-2-ステアロイルイミダゾリニウムメチルサルフェート;1-タローウイルアミドエチル-2-タローウイルイミダゾリン;ジパルミル(dipalmyl)メチルヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェート、並びに/又は
(F)それらの混合物。
【0056】
好適なコンディショニング活性物質の例は、商品名Rewoquat WE18及び/又はRewoquat WE20でEvonikから、及び商品名Stepantex GA90、Stepantex VK90及び/又はStepantex VL90AでStepanから市販されている。
【0057】
布地コンディショニング活性物質としてコンディショニング活性物質を含む組成物は、そのような化合物の非四級化誘導体、及び未反応反応物質(例えば、遊離脂肪酸)を更に含んでもよいことが理解される。
【0058】
本開示の液体布地ケア組成物は、例えば、アルキルクアット及び/又はアルキルエステルクアットに加えて、他のコンディショニング材料を含んでもよい。そのような材料には、シリコーン、アミン、脂肪酸エステル、スクロースエステル、シリコーン、分散性ポリオレフィン、多糖類、脂肪酸、軟化油若しくはコンディショニング油、ポリマーラテックス、又はそれらの組み合わせ、好ましくはシリコーンが含まれてもよい。コンディショニング活性物質(上に説明したようなもの)とシリコーンとの合計量は、組成物の約5重量%~約70重量%、又は約6重量%~約50重量%、又は約7重量%~約40重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は約15重量%~約25重量%であってもよい。組成物は、コンディショニング活性物質(上に説明したようなもの)とシリコーンとを、約1:10~約10:1、又は約1:5~約5:1、又は約1:3~約1:3、又は約1:2~約2:1、又は約1:1.5~約1.5:1、又は約1:1の重量比で含んでもよい。
【0059】
B.界面活性剤
本開示の液体布地ケア組成物は、布地処理補助剤として界面活性剤を含んでもよい。これらの材料は、標的表面に洗浄効果をもたらすことができ、組成物が、強力液体(「HDL」)洗剤組成物などの液体洗剤組成物の形態である場合に特に有用である。追加的又は代替的に、界面活性剤は、加工助剤及び/又は安定化助剤として機能し得る。
【0060】
界面活性剤は、1種以上の界面活性剤、好ましくは2種以上の界面活性剤を含み得る。2種以上の界面活性剤が存在する場合、それは、界面活性剤系と見なすことができる。
【0061】
界面活性剤が存在する場合、その界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、両性電解質界面活性剤、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。好ましくは、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、又はこれらの混合物を含む。より好ましくは、界面活性剤は、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、更により好ましくは少なくとも2種のアニオン性界面活性剤を含んでもよく、それは、このような系が効率的な洗浄効果をもたらすことができるためである。界面活性剤は、アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との組み合わせ、任意に、双性イオン性界面活性剤との更に組み合わせを含んでもよい。
【0062】
組成物は、組成物の約1重量%から、又は約5重量%から、又は約10重量%から、又は約15重量%から、又は約20重量%から、約30重量%から、約80重量%まで、又は約65重量%まで、又は約50重量%まで、又は約45重量%まで、又は約35重量%まで、又は約25重量%までの界面活性剤を含み得る。組成物は、組成物の約1重量%~約50重量%、好ましくは約5重量%~約45重量%、より好ましくは約10重量%~約40重量%の界面活性剤を含み得る。
【0063】
典型的なHDL洗剤は、組成物の約5重量%~約50重量%、好ましくは約7重量%~約40重量%、より好ましくは約10重量%~約35重量%の界面活性剤、好ましくはアニオン性界面活性剤を含み得る。水溶性フィルムに封入され得るものなどの圧縮液体洗剤は、組成物の約15重量%~約50重量%、又は約15重量%~約45重量%、又は約20重量%~約40重量%の界面活性剤、好ましくはアニオン性界面活性剤を含んでもよい。
【0064】
組成物は、アニオン性界面活性剤を含み得る。アニオン性界面活性剤は、洗浄効果又は汚れ除去効果をもたらすのに特に有用であり得る。好適なアニオン性界面活性剤としては、アルコキシル化アルキルサルフェート、非アルコキシル化アルキルサルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、及びこれらの混合物が挙げられる。アニオン性界面活性剤は、直鎖状、分岐鎖状(例えば、中鎖分岐状)、又はこれらの組み合わせであってもよい。他の好適なアニオン性界面活性剤としては、メチルエステルスルホネート、パラフィンスルホネート、α-オレフィンスルホネート、内部オレフィンスルホネート、及びこれらの混合物を挙げることができる。更に他の好適なアニオン性界面活性剤としては、アルキルエーテルカルボキシレートが挙げられ得、それには、C10~C26直鎖又は分岐鎖、好ましくはC10~C20直鎖、最も好ましくはC16~C18直鎖アルキルアルコールと、2~20、好ましくは7~13、より好ましくは8~12、最も好ましくは9.5~10.5エトキシレートとが含まれる。酸形態又はナトリウム若しくはアンモニウムの塩などの塩形態を使用してよく、アルキル鎖は、1つのシス又はトランス二重結合を含有していてもよい。アルキルエーテルカルボン酸は、花王(Akypo(登録商標))、Huntsman(Empicol(登録商標))及びClariant(Emulsogen(登録商標))から入手可能である。他の具体的なアニオン性界面活性剤としては、C11.8直鎖アルキルベンゼンスルホネート、平均1.8個のエトキシ基を有するアルキルエトキシ化サルフェート、及び平均3個のエトキシ基を有するアルキルエトキシ化サルフェートを挙げることができる。
【0065】
アニオン性界面活性剤は酸形態で存在してもよく、酸形態は部分的又は完全に中和されて界面活性剤塩を形成してもよい。典型的な中和剤としては、水酸化物、例えば、NaOH又はKOHなどの金属対イオン塩基;アンモニア;アミン;及び/又はアルカノールアミン、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及び/又はトリエタノールアミンが挙げられる。
【0066】
組成物は、非イオン性界面活性剤を含み得る。非イオン性界面活性剤は、汚れ除去効果をもたらすのに有用であり得る。それらはまた、加工効果及び/又は安定性効果をもたらすのに、例えば、香料を可溶化するのを助けるのに有用であり得る。好適な非イオン性界面活性剤としては、エトキシル化脂肪族アルコールなどのアルコキシル化脂肪族アルコールが挙げられる。その他の好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化アルキルフェノール、アルキルフェノール縮合体、中鎖分枝鎖状アルコール、中鎖分枝鎖状アルキルアルコキシレート、アルキル多糖類(例えば、アルキルポリグリコシド)、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、エーテルキャップされたポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられる。アルコキシレート単位は、エチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、又はこれらの混合物であってもよい。非イオン性界面活性剤は、直鎖状、分岐鎖状(例えば、中鎖分岐状)、又はこれらの組み合わせであってもよい。特定の非イオン性界面活性剤は、平均約12~約16個の炭素を有し、かつ平均約3~約9個のエトキシ基を有するアルコール、例えばC12~C14のEO7非イオン性界面活性剤を含んでもよい。
【0067】
本明細書に開示の組成物は、カチオン性界面活性剤を含み得る。カチオン性界面活性剤の非制限的な例としては、最高26個の炭素原子を有し得る、四級アンモニウム界面活性剤などのカチオン性界面活性剤を挙げることができ、その例としては、アルコキシレート四級アンモニウム(AQA)界面活性剤、ジメチルヒドロキシエチル四級アンモニウム、及び/又はジメチルヒドロキシエチルラウリルアンモニウムクロリド;ポリアミンカチオン性界面活性剤;カチオン性エステル界面活性剤;アミノ界面活性剤、例えば、アミドプロピルジメチルアミン(APA);並びにこれらの混合物を挙げることができる。洗剤効果のために、カチオン性界面活性剤は、好ましくはアニオン性界面活性剤と組み合わせて使用される。
【0068】
本明細書に開示の組成物は、双性イオン性界面活性剤を含み得る。双性イオン性界面活性剤の例としては、二級及び三級アミンの誘導体、複素環式二級及び三級アミンの誘導体、又は四級アンモニウム化合物、四級ホスホニウム化合物若しくは三級スルホニウム化合物の誘導体が挙げられる。双性イオン性界面活性剤の好適な例としては、アルキルジメチルベタイン及びココジメチルアミドプロピルベタイン、C~C18(例えば、C12~C18)アミンオキシド、並びにアルキル基がC~C18であってよいN-アルキル-N,N-ジメチルアミノ-1-プロパンスルホネートなどのスルホ及びヒドロキシベタインを含む、ベタインが挙げられる。アミンオキシドは、性能上の理由から好ましい場合がある。
【0069】
本明細書に開示の組成物は、両性界面活性剤を含み得る。両性界面活性剤の例としては、二級又は三級アミンの脂肪族誘導体、又は脂肪族基が直鎖状又は分枝鎖状であってよく、かつ脂肪族置換基のうちの1つが少なくとも約8個の炭素原子、若しくは約8個~約18個の炭素原子を含有し、脂肪族置換基のうちの少なくとも1つがアニオン性水溶性基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェートを含有するヘテロ環式二級及び三級アミンの脂肪族誘導体が挙げられる。好適な両性界面活性剤としては、サルコシネート、グリシナート、タウリネート、及びこれらの混合物も挙げられる。
【0070】
カプセルの集団
本開示の液体布地ケア組成物は、カプセルの集団を更に含む。以下により詳細に記載されるように、カプセルは、実質的に無機のシェルによって取り囲まれたコアを含み得る。
【0071】
カプセルは、組成物中に、組成物の約0.05重量%~約20重量%、約0.05重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、又は約0.2重量%~約2重量%の量で存在し得る。組成物は、組成物の約0.05重量%~約10重量%、又は約0.1重量%~約5重量%、又は約0.1重量%~約2重量%の香料原料を組成物に提供するのに十分な量のカプセルを含んでいてもよい。本明細書で論じる場合、カプセルの量又は重量パーセントは、シェル材料とコア材料との合計を意味する。
【0072】
カプセルは、10nm~10,000nm、好ましくは170nm~1000nm、より好ましくは300nm~500nmの平均シェル厚さを有することができる。
【0073】
カプセルは、0.1μm~300μm、好ましくは10μm~200μm、より好ましくは10μm~50μmの、体積加重平均カプセル直径を有することができる。有利なことには、本明細書の実施形態によれば、カプセルの全体としての安定性を犠牲にすることなく、かつ/又は良好な破壊強度を維持しながら、大型のカプセル(例えば、平均直径が10μm以上)を提供することができることが判明した。
【0074】
驚くべきことに、無機シェルに加えて、コア対シェルの体積比も、カプセルの物理的完全性を確保するために重要な役割を果たし得ることが判明した。カプセルの全体的なサイズに対して薄すぎるシェル(コア:シェルの比が、98:2より大)は、自己完全性の欠如に悩まされる傾向がある。他方、カプセルの直径に対して極端に厚いシェル(コア:シェルの比が80:20未満)は、界面活性剤の豊富なマトリックスにおいて、より高いシェル透過性を有する傾向がある。厚いシェルでは、シェルの透過性がより低くなると直感的に考えられる(なぜならば、このパラメータはシェルを横切る活性物質の平均的な拡散経路に影響を及ぼすためである)が、その一方で、驚くべきことに、閾値を超える厚さを有するシェルを有する本発明のカプセルは、より高いシェル透過性を有することが判明した。この上限閾値は、部分的に、カプセル直径に依存すると考えられる。コア対シェルの体積比は、以下の試験方法のセクションに記載される方法に従って測定される。
【0075】
カプセルは、50:50~99:1、好ましくは60:40~99:1、好ましくは70:30~98:2、より好ましくは80:20~96:4の、コア対シェルの体積比を有し得る。
【0076】
上記のカプセル特性の特定の組み合わせを有することが望ましい場合がある。例えば、カプセルは、約99:1~約50:50のコア対シェルの体積比と、約0.1μm~約200μmの体積加重平均カプセル直径と、約10nm~約10,000nmの平均シェル厚さとを有することができる。カプセルは、約99:1~約50:50のコア対シェルの体積比と、約10μm~約200μmの体積加重平均カプセル直径と、約170nm~約10,000nmの平均シェル厚さとを有することができる。カプセルは、約98:2~約70:30のコア対シェルの体積比と、約10μm~約100μmの体積加重平均カプセル直径と、約300nm~約1000nmの平均シェル厚さとを有することができる。
【0077】
本実施形態による方法では、カプセル直径の変動係数が低いカプセルを製造することができる。カプセルのサイズの分布を制御することにより、集団の破壊強度を改善し、しかも集団の破壊強度をより均一にすることを可能にし得る。カプセルの集団は、カプセル直径の変動係数が40%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下であり得る。
【0078】
液体洗剤又は液体布地柔軟剤などの消費財用途において働き、しかも費用対効果が高いコア材料を含有するカプセルの場合、そのカプセルは、i)液体製品の貯蔵寿命中において、コアの拡散に対する耐性を有する(例えば、低い漏出性又は透過性を有する)べきであり;ii)適用(例えば、洗濯機サイクル)中に標的表面上に堆積する能力を有するべきであり;かつ、iii)最終消費者に意図された効果をもたらすために、適切な時点及び場所で、機械的にシェルを破裂させることによってコア材料を放出することが可能であるべきである。
【0079】
本明細書に記載のカプセルは、0.1MPa~10MPa、好ましくは0.25MPa~5MPa、より好ましくは0.25MPa~3MPaの平均破壊強度を有することができる。完全に無機のカプセルは、従来、破壊強度が劣っていたが、本明細書に記載のカプセルの場合、カプセルの破壊強度は、0.25MPaを超えることができ、安定性が改善されると共に、指定の大きさの破裂応力を受けて、有益剤の放出を誘発させることができる。
【0080】
カプセルの体積加重平均直径は、1~200μm、好ましくは1~10μm、更により好ましくは2~8μmであることが好ましい場合がある。シェルの厚さは、1~10000nm、好ましくは1~1000nm、より好ましくは10~200nmであることが好ましい場合がある。カプセルは、1~10μmの体積加重平均直径及び1~200nmのシェル厚さを有することが好ましい場合がある。1~10μmの体積加重平均直径及び1~200nmのシェル厚さを有するカプセルは、より高い破壊強度を有し得ることが判明した。
【0081】
理論に束縛されるものではないが、洗濯プロセスは、洗濯機における機械的制約により、機械的に弱いカプセルの早期破裂を引き起こし得るので、破壊強度が高くなることにより、洗濯プロセス中のより良好な残存性をもたらすと考えられる。
【0082】
1~10μmの体積加重平均直径及び10~200nmのシェル厚さを有するカプセルは、特に、使用されるシリカ前駆体のうちの特定のものを選択して製造される場合には、機械的制約に対する耐性をもたらすことができると考えられる。前駆体は、2~5kDaの分子量、更により好ましくは2.5~4kDaの分子量を有することが好ましい場合がある。加えて、前駆体の濃度を慎重に選択することで、例えば、濃度を、封入プロセス中に使用される油相の20~60重量%、好ましくは40~60重量%とすることができる。
【0083】
理論に束縛されるものではないが、より高分子量の前駆体は、油相から水相への移動時間をより遅らせることができると考えられる。このより遅い移動時間をもたらすものは、3つの現象(拡散、分配、及び反応速度)の組み合わせであると考えられる。この現象は、例えば、小型カプセルの文脈において重要であり得、それは、カプセル直径が減少するにつれて、系内の油と水との間の全表面積が増加するという事実があることによる。より大きな表面積は、油相から水相に、前駆体をより高速で移動させることがあり、このことは、次に界面での重合の収率を低減させ得る。したがって、より高分子量の前駆体は、表面積の増加によってもたらされる影響を緩和し、本開示によるカプセルを得るのに有用であり得る。
【0084】
本開示によるカプセルによってもたらされる爽快感/香料送達効果に加えて、本開示による布地処理組成物がこのようなカプセルを含むことで、布地に柔軟性/手触り効果をもたらすことができると更に考えられる。典型的には、爽快感効果及び感触効果などの2つの効果が、単一の成分によってもたらされることが有利であり、それは、この場合には、コスト削減、製造の複雑さの低減、及び配合の効率化をもたらし得るためである。このような成分は、一方又は両方の効果が消費者によって典型的に期待される製品、例えば、液体洗濯洗剤、布地向上剤、又はビーズ若しくは錠剤の形態の洗濯添加剤において、特に有用であり得る。
【0085】
i.コア
カプセルはコアを含む。コアはオイルベースであってもよく、又はコアは水性であってもよい。好ましくは、コアはオイルベースである。コアは、配合された製品中で使用される温度において液体であってよい。コアは、室温及び室温付近で液体であってよい。
【0086】
コアは香料を含む。コアは、コアの総重量に基づいて、約1重量%~100重量%の香料を含んでもよい。好ましくは、コアは、コアの総重量に基づいて、約50重量%~100重量%の香料を、又はコアの総重量に基づいて約80重量%~100重量%の香料を含み得る。典型的には、より高い濃度の香料が、送達効率改善のために好ましい。
【0087】
香料は、1種以上、好ましくは2種以上の香料原料を含んでもよい。「香料原料」という用語(又はperfume raw material、「PRM」)は、本明細書で使用するとき、少なくとも約100g/モルの分子量を有し、かつ匂い、芳香、エッセンス、又は香りを、単独で又は他の香料原料と共に付与するのに有用な化合物を指す。典型的なPRMとしては特に、アルコール、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、ナイトライト、及びテルペンなどのアルケンが挙げられる。一般的なPRMのリストは、例えば、「Perfume and Flavor Chemicals」の第I巻及び第II巻;Steffen Arctander Allured Pub.Co.(1994)及び「Perfumes:Art,Science and Technology」、Miller,P.M.and Lamparsky,D.,Blackie Academic and Professional(1994)のような様々な参照元に見出され得る。
【0088】
PRMは、常圧(760mmHg)で測定されるそれらの沸点(B.P.)と、「試験方法」のセクションに説明される試験方法に従って測定されるlogPにより記載され得るオクタノール/水分配係数(P)とを特徴とし得る。下記でより詳細に記載されるように、これらの特徴に基づいて、PRMを、象限I、象限II、象限III、象限IVの香料として分類してもよい。異なる象限からの種々のPRMを有する香料は、例えば、通常の使用中に異なる接触点で芳香効果をもたらすのに望ましい場合がある。
【0089】
約250℃より低い沸点B.P.と、約3より低いlogPとを有する香料原料は、象限I香料原料として知られる。象限1香料原料は、香料組成物の30%未満に限定されることが好ましい。約250℃より高いB.P.と、約3より高いlogPとを有する香料原料は、象限IV香料原料として知られ、約250℃より高いB.P.と、約3より低いlogPとを有する香料原料は、象限II香料原料として知られ、約250℃より低いB.P.と、約3より高いlogPとを有する香料原料は、象限III香料原料として知られる。好適な象限I、II、III、及びIV香料原料は、米国特許第6,869,923(B1)号に開示されている。
【0090】
香料マイクロカプセルは、香料を含む。好ましくは、マイクロカプセルの香料は、少なくとも3種、又は更には少なくとも5種、又は少なくとも7種の香料原料の混合物を含む。マイクロカプセルの香料は、少なくとも10種又は少なくとも15種の香料原料を含んでもよい。香料原料の混合物は、より複雑で望ましい審美性、及び/又はより良好な香料性能若しくは長期間にわたる持続性を、例えば、種々の接触点でもたらし得る。しかしながら、配合の複雑性及び/又はコストを低減又は制限するために、香料中の香料原料の数を制限することが望ましい場合もある。
【0091】
香料は、天然由来の少なくとも1種の香料原料を含んでもよい。このような成分は、持続可能性/環境上の理由から望ましい場合がある。天然由来の香料原料は、PRMの混合物を含有し得る天然抽出物又はエッセンスを含んでもよい。このような天然抽出物又はエッセンスとしては、オレンジ油、レモン油、バラ抽出物、ラベンダー、ムスク、パチョリ、バルサムエッセンス、白檀油、松根油、スギなどが挙げられてもよい。
【0092】
コアは、香料原料に加えて、爽快感効果の長期間にわたる持続性の改善に寄与し得るプロ香料(pro-perfume)を含んでもよい。プロ香料は、例えば、単純な加水分解の結果としての香料物質を放出又は香料物質に変換する不揮発性物質を含んでもよく、あるいはpH変化誘発性のプロ香料(例えば、pH低下により誘発される)であってもよく、又は酵素により放出可能なプロ香料、若しくは光誘発性のプロ香料であってもよい。プロ香料は、選択されたプロ香料に応じて、様々な放出速度を呈し得る。
【0093】
本開示の封入体のコアは、例えば分配調整剤及び/又は密度調整剤などのコア調整剤を含んでもよい。コアは、香料に加えて、コアの総重量に基づいて、0%超~約80%、好ましくは0%超~約50%、より好ましくは0%超~約30%のコア調整剤を含んでもよい。分配調節剤は、植物油、変性植物油、C~C24脂肪酸のモノ-、ジ-、及びトリ-エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ドデカノフェノン、ラウリン酸ラウリル、ベヘン酸メチル、ラウリン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、並びにこれらの混合物からなる群から選択される材料を含み得る。分配調整剤は、好ましくはミリスチン酸イソプロピルを含んでもよい、又はミリスチン酸イソプロピルからなってもよい。変性植物油は、エステル化及び/又は臭素化されたものであってもよい。変性植物油は、好ましくは、ヒマシ油及び/又はダイズ油を含んでもよい。参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20110268802号は、本明細書に記載される香料封入体において有用であり得る他の分配調整剤について記載している。
【0094】
ii.シェル
本開示のカプセルは、コアを取り囲むシェルを含む。
【0095】
シェルは、第1のシェル構成要素を含み得る。シェルは、好ましくは、第1のシェル構成要素を取り囲む第2のシェル構成要素を含み得る。第1のシェル構成要素は、前駆体の縮合生成物から形成された縮合層を含み得る。以下に詳細に記載されるように、前駆体は、1つ以上の前駆体化合物を含み得る。第1のシェル構成要素は、ナノ粒子層を含み得る。第2のシェル構成要素は、無機材料を含み得る。
【0096】
シェルは、実質的に無機(後で定義する)であってもよい。実質的に無機のシェルは、コアを取り囲む縮合層を含む第1のシェル構成要素を含み得、縮合層を取り囲むナノ粒子層を更に含み得る。実質的に無機のシェルは、第1のシェル構成要素を取り囲む第2のシェル構成要素を更に含み得る。第1のシェル構成要素は、無機材料、好ましくは金属/半金属酸化物、より好ましくは、SiO2、TiO2及びAl2O3、更により好ましくはSiO2を含む。第2のシェル構成要素は、無機材料を含み、好ましくは金属/半金属酸化物、金属及び鉱物の群からの材料、より好ましくはSiO、TiO、Al,ZrO,ZnO、CaCO、CaSiO、Fe、Fe、粘土、金、銀、鉄、ニッケル、及び銅から選択され、更により好ましくはSiO及びCaCOから選択される材料を含む。好ましくは、第2のシェル構成要素の材料は、化学的適合性を最大化するために、第1のシェル構成要素と同じ種類の化学物質である。
【0097】
第1のシェル構成要素は、コアを取り囲む縮合層を含み得る。縮合層は、1つ以上の前駆体の縮合生成物であり得る。1つ以上の前駆体は、式(I)が(Mであり、式(II)が(M である、式(I)、式(II)、及びそれらの混合物からなる群からの少なくとも1つの化合物を含み得る。前駆体は、例えばカプセルシェルの有機成分含有量を低減する(すなわち、R基がない)ように、式(I)のみを含み、式(II)による化合物を含まないことが好ましい場合がある。式(I)及び式(II)については、以下に、より詳細に説明する。
【0098】
1つ以上の前駆体は、式(I)のものであり得る:
(M(式I)
(式中、Mはケイ素、チタン、及びアルミニウムのうちの1つ以上であり、vはMの原子価数であり、3又は4であり、zは、0.5~1.6、好ましくは0.5~1.5であり、各Yは、独立して、-OH、-OR、-NH、-NHR、-N(Rから選択され、Rは、C1~C20アルキル、C1~C20アルキレン、C6~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールであり、Rは、H、C~C20アルキル、C~C20アルキレン、C~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールであり、nは、0.7~(v-1)であり、wは2~2000である)。
【0099】
1つ以上の前駆体は、式(I)のものであってよく、式中、Mはケイ素である。Yは-ORであるという場合がある。nは1~3であるという場合がある。Yが、-ORであり、nが1~3であることが好ましい場合がある。nは少なくとも2であり、Yのうちの1つ以上は、-ORであり、Yのうちの1つ以上は、-OHであるという場合がある。
【0100】
は、C~C20アルキルであり得る。R2は~C22アリールであり得る。Rは、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、及びCアルキルのうちの1つ以上であり得る。RはCアルキルであり得る。Rは、Cアルキルであり得る。Rは、Cアルキルであり得る。Rは、Cアルキルであり得る。
【0101】
zは、0.5~1.3、0.5~1.1、0.5~0.9、0.7~1.5、0.9~1.3、又は0.7~1.3であるという場合がある。
【0102】
Mはケイ素であり、vは4であり、各Yは、-ORであり、nは2及び/又は3であり、各RはCアルキルであることが好ましい場合がある。
【0103】
前駆体は、ポリアルコキシシラン(PAOS)を含み得る。前駆体は、加水分解プロセスを介して合成されたポリアルコキシシラン(PAOS)を含み得る。
【0104】
前駆体は、代替的に又は更に、式(II)の化合物の1つ以上を含み得る:
(M (式II)
(式中、Mはケイ素、チタン、及びアルミニウムのうちの1つ以上であり、vはMの原子価数であり、3又は4であり、zは、0.5~1.6、好ましくは0.5~1.5であり、各Yは、独立して、-OH、-OR、-NH、-NHR、-N(Rから選択され、Rは、C~C20アルキル、C~C20アルキレン、C~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールから選択され、Rは、H、C~C20アルキル、C~C20アルキレン、C~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールであり;nは0~(v-1)であり;各Rは、独立して、C~C30アルキル;C~C30アルキレン;ハロゲン、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、-OCN、-NCO、アルコキシ、エポキシ、アミノ、メルカプト、アクリロイル、-C(O)OH、-C(O)O-アルキル、-C(O)O-アリール、-C(O)O-ヘテロアリール、及びこれらの混合物からなる群から選択される(例えば、1つ以上の)メンバーによって置換されたC~C30アルキル;並びに、ハロゲン、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、-OCN、-NCO、アルコキシ、エポキシ、アミノ、メルカプト、アクリロイル、-C(O)OH、-C(O)O-アルキル、-C(O)O-アリール、及び-C(O)O-ヘテロアリールからなる群から選択されるメンバーによって置換されたC~C30アルキレン、からなる群から選択され;pは0より大きくpmaxまでの数であり、pmax=60/[9Mw(R)+8]であり、Mw(R)はR基の分子量であり、wは2~2000である)。
【0105】
は、ハロゲン、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、-OCN、-NCO、アルコキシ、エポキシ、アミノ、メルカプト、アクリロイル、COH(すなわち、C(O)OH)、-C(O)O-アルキル、-C(O)O-アリール、及び-C(O)O-ヘテロアリールから独立して選択される、1~4個の基によって置換されたC~C30アルキルであり得る。Rは、ハロゲン、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、-OCN、-NCO、アルコキシ、エポキシ、アミノ、メルカプト、アクリロイル、COH、-C(O)O-アルキル、-C(O)O-アリール、及び-C(O)O-ヘテロアリールから独立して選択される、1~4個の基によって置換されたC~C30アルキレンであり得る。
【0106】
上に示したように、第1のシェル構成要素中の有機成分含有量を減少させるか又は更には排除するために、R基を有する式(II)による化合物の存在を減少させるか又は更には排除することが好ましい場合がある。前駆体、縮合層、第1のシェル構成要素、及び/又はシェルは、式(II)による化合物を含まなくてもよい。
【0107】
式(I)及び/又は(II)の前駆体は、1つ以上の物理的特性、具体的には、分子量(Mw)、分岐度(DB)、及び分子量分布の多分散指数(PDI)によって特徴付けられ得る。表面上で放置乾燥されるとその機械的完全性を保持し、界面活性剤系マトリクス中においてシェルの透過性が低いカプセルを得るためには、特定のMw及び/又はDBを選択することが有用であると考えられる。式(I)及び(II)の前駆体は、0~0.6、好ましくは0.1~0.5、より好ましくは0.19~0.4のDB、及び/又は600Da~100000Da、好ましくは700Da~60000Da、より好ましくは1000Da~30000DaのMwを有することを特徴とし得る。特徴は、本発明のカプセルを得るための、当該前駆体の有用な特性をもたらす。式(I)及び/又は(II)の前駆体は、1~50のPDIを有することができる。
【0108】
金属/半金属酸化物を含む縮合層は、少なくとも1種の式(I)の化合物及び/又は少なくとも1種の式(II)の化合物を含む前駆体の縮合生成物から形成されてもよく、任意に、金属/半金属酸化物の1種以上のモノマー前駆体と組み合わせてもよく、当該金属/半金属酸化物は、TiO2、Al2O3、及びSiO2、好ましくはSiO2を含む。金属/半金属酸化物のモノマー前駆体としては、式M(Y)V-n(式中、M、Y及びRは式(II)で定義した通りであり、nは0~3の整数であってよい)の化合物を挙げることができる。金属/半金属酸化物のモノマー前駆体は、好ましくは、Mがケイ素であり、化合物が一般式Si(Y)4-n(式中、Y及びRは式(II)と同様に定義され、nは0~3の整数であり得る)を有する上式のものであり得る。このようなモノマーの例は、TEOS(テトラエトキシオルトシリケート)、TMOS(テトラメトキシオルトシリケート)、TBOS(テトラブトキシオルトシリケート)、トリエトキシメチルシラン(TEMS)、ジエトキシ-ジメチルシラン(DEDMS)、トリメチルエトキシシラン(TMES)、及びテトラアセトキシシラン(TAcS)である。これらは、使用することができるモノマーの範囲を限定することを意味するものではなく、本明細書において組み合わせて使用することができる好適なモノマーが何であるかは当業者には明らかであろう。
【0109】
第1のシェル構成要素は、任意によるナノ粒子層を含み得る。ナノ粒子層は、ナノ粒子を含む。ナノ粒子層のナノ粒子は、SiO、TiO、Al、ZrO、ZnO、CaCO、粘土、銀、金、及び銅のうちの1つ以上であり得る。好ましくは、ナノ粒子層は、SiOナノ粒子を含み得る。
【0110】
ナノ粒子は、1nm~500nm、好ましくは50nm~400nmの平均直径を有することができる。
【0111】
カプセルの細孔のサイズは、ナノ粒子の形状を変化させることによって、かつ/又は異なるサイズのナノ粒子を組み合わせて使用することによって調整することができる。例えば、非球状で不規則なナノ粒子は、ナノ粒子層を形成する際に詰め込みが改善され得るので使用することができ、それによって、より高密度のシェル構造をもたらすと考えられる。このことは、透過性を限定する必要がある場合に、有利であり得る。使用されるナノ粒子は、球状など、より規則的な形状を有することができる。任意の想到されるナノ粒子形状を本明細書においては使用することができる。
【0112】
ナノ粒子は、疎水変性を実質的に含まなくてもよい。ナノ粒子は、有機化合物の変性を実質的に含まなくてもよい。ナノ粒子は、有機化合物の変性を含み得る。ナノ粒子は親水性であり得る。
【0113】
ナノ粒子は、表面改質、例えば、直鎖又は分枝鎖C~C20アルキル基、表面アミノ基、表面メタクリル基、表面ハロゲン、又は表面チオールを含み得るが、それらに限定されない。これらの表面改質により、ナノ粒子表面が、自らの上に有機分子を共有結合させることができるようになる。無機ナノ粒子が使用されることが本明細書に開示される場合、これは、明示的に挙げられていない、前述の表面改質のうちの任意のものを含むこと、又は前述の表面改質を全く含まないことを意味する。
【0114】
本開示のカプセルは、第1のシェル構成要素及び第2のシェル構成要素を含む、実質的に無機のシェルを含むものとして定義され得る。実質的に無機とは、第1のシェル構成要素が、有機成分含有量の計算において後で定義されるように、最大で10重量%まで又は最大で5重量%の有機成分含有量、好ましくは最大で1重量%の有機成分含有量を含むことができることを意味する。第1のシェル構成要素、第2のシェル構成要素、又は両方が、場合によっては、第1のシェル構成要素の、約5重量%以下、好ましくは約2重量%以下、より好ましくは約0重量%の有機成分含有量を含むことが好ましい場合がある。
【0115】
第1のシェル構成要素は、機械的に堅牢なスカフォールド又は骨格を構築するのに有用であるが、例えば洗濯洗剤、シャワージェル、クレンザーなどの界面活性剤を含有する液体製品においては、シェルの透過性を低くすることもできる(Surfactants in Consumer Products,J.Falbe,Springer-Verlagを参照)。第2のシェル構成要素は、シェル透過性を大幅に低下させることができ、これは、界面活性剤系マトリックスにおけるカプセル不透過性を改善する。第2のシェル構成要素はまた、例えばカプセルの破裂力及び破壊強度などの、カプセルの機械的特性を大幅に改善することができる。理論に束縛されるものではないが、第2のシェル構成要素は、第1のシェル構成要素内に残っている細孔内に前駆体を堆積させることによって、全体的なシェルの高密度化に寄与すると考えられる。第2のシェル構成要素はまた、カプセルの表面上に更なる無機層を追加する。第2のシェル構成要素によってもたらされるこれらの改善されたシェル透過性及び機械的特性は、本発明において定義される第1のシェル構成要素と組み合わせて使用される場合にのみ生じるものである。
【0116】
シェル構造、それらの材料、及びこれらが互いにどのように相互作用して最適な性能をもたらすかについてのより詳細な説明は、米国特許出願第16/851173号、同第16/851176号、及び同第16/851194号に見出すことができ、それらの開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0117】
iii.カプセルの製造プロセス
本開示のカプセルは、最初に疎水性材料を、上で定義された縮合層の前駆体のいずれかと混合し、それによって油相を形成することによって形成されてもよく、油相は油系前駆体及び/又は油溶性前駆体を含み得る。次いで、その前駆体/疎水性材料の混合物を、分散相として又は連続相として水相と共に使用する。2つの相が当業者に既知の方法を介して混合及び均質化されると、分散層の場合にはO/W(水中油型)エマルジョンが形成され、連続層の場合にはW/O(油中水型)エマルジョンが形成される。好ましくは、O/Wエマルジョンが形成される。ナノ粒子は、所望のエマルジョンのタイプに関係なく、水相及び/又は油相中に存在することができる。油相は、油系コア変性剤及び/又は油系有益剤、並びに縮合層の前駆体を含み得る。油相中で使用されるのに好適なコア材料は、本明細書において既に説明されている。
【0118】
いずれかのエマルジョンが形成されると、以下の工程を行うことができる。
(a)ナノ粒子が油/水界面に移動し、その結果ナノ粒子層を形成する。
(b)金属/半金属酸化物の前駆体を含む縮合層の前駆体が、油/水界面で水との加水分解/縮合反応を起こし始め、その結果、ナノ粒子層によって取り囲まれた縮合層を形成する。縮合層の前駆体は、ナノ粒子層のナノ粒子と更に反応することができる。
【0119】
縮合層を形成する前駆体は、油相の総重量に基づいて1重量%~50重量%、好ましくは10重量%~40重量%の量で存在することができる。
【0120】
油相組成物は、上記の「コア」のセクションで定義した任意の化合物を含むことができる。油相は、乳化前に、10重量%~約99重量%の有益剤を含むことができる。
【0121】
本開示によるカプセルを製造する方法では、油相は分散相であってもよく、連続水性(又は水)相は、水、酸又は塩基、及びナノ粒子を含むことができる。水性(又は水)相は、少なくとも油相及び水性相の両方を一緒に混合する時点で、1~11、好ましくは1~7のpHを有し得る。上記の酸は強酸であり得る。強酸は、HCl、HNO、HSO、HBr、HI、HClO、及びHClOのうちの1つ以上、好ましくはHClを含み得る。上記の酸は、弱酸であってもよい。弱酸は、酢酸又はHFであり得る。連続水相中の酸の濃度は、10-7M~5Mであり得る。塩基は、無機塩基又は有機塩基、好ましくは無機塩基であり得る。無機塩基は、水酸化ナトリウムなどの水酸化物及びアンモニアであってよい。例えば、無機塩基は、約10-5M~0.01MのNaOH、又は約10-5M~約1Mのアンモニアであり得る。上記に例示された酸及び塩基並びにそれらの濃度範囲のリストは、本発明の範囲を限定することを意味せず、連続相のpHの制御を可能にする他の好適な酸及び塩基が、本明細書において企図される。
【0122】
本開示によるカプセルを製造する方法では、pHは、酸及び/又は塩基を添加することによってプロセス全体を通じて変化させることができる。例えば、本方法を、酸性又は中性のpHの水相を用いて開始することができ、後で、プロセス中に塩基を添加して、pHを上昇させることができる。あるいは、本方法を、塩基性又は中性のpHの水相を用いて開始することができ、後で、プロセス中に酸を添加して、pHを低下させることができる。更に、本方法を、酸性又は中性のpHの水相を用いて開始することができ、プロセス中に酸を添加して、pHを更に低下させることができる。また更に、本方法を、塩基性又は中性のpHの水相を用いて開始することができ、プロセス中に塩基を添加して、pHを更に上昇させることができる。任意の好適なpH移動を使用してもよい。更に、酸及び塩基の任意の好適な組み合わせを任意の時点で使用して、所望のpHを達成することができる。上で説明したナノ粒子の任意のものを、水相中で使用することができる。ナノ粒子は、水相の総重量に基づいて、約0.01重量%~約10重量%の量で存在し得る。
【0123】
本方法は、約1:10~約1:1の油相対水相の比で、油相と水相とを混合することを含むことができる。
【0124】
第2のシェル構成要素は、第1のシェル構成要素を有するカプセルを第2のシェル構成要素前駆体の溶液と混合することによって形成することができる。第2のシェル構成要素前駆体の溶液は、水溶性又は油溶性の第2のシェル構成要素前駆体を含み得る。第2のシェル構成要素前駆体は、上記で定義した式(I)の化合物、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラブトキシシラン(TBOS)、トリエトキシメチルシラン(TEMS)、ジエトキシ-ジメチルシラン(DEDMS)、トリメチルエトキシシラン(TMES)、及びテトラアセトキシシラン(TAcS)のうちの1つ以上であり得る。第2のシェル構成要素前駆体はまた、Si(Y)4-n(式中、Yは加水分解性基であり、Rは非加水分解性基であり、nは0~3の整数であり得る)タイプのシランモノマーの1種以上を含む。このようなモノマーの例は、本段落において先に記載されており、これらは、使用することができるモノマーの範囲を限定することを意味するものではない。第2のシェル構成要素前駆体は、ケイ酸塩、チタン酸塩、アルミン酸塩、ジルコン酸塩、及び/又は亜鉛酸塩を含み得る。第2のシェル構成要素前駆体は、炭酸塩及びカルシウム塩を含み得る。第2のシェル構成要素前駆体は、鉄、銀、銅、ニッケル、及び/又は金の塩を含み得る。第2のシェル構成要素前駆体は、亜鉛、ジルコニウム、ケイ素、チタン、及び/又はアルミニウムのアルコキシドを含み得る。第2のシェル構成要素前駆体は、ケイ酸ナトリウムなどのケイ酸塩溶液、ケイ素テトラアルコキシド溶液、硫酸鉄塩及び硝酸鉄塩、チタンアルコキシド溶液、アルミニウムトリアルコキシド溶液、亜鉛ジアルコキシド溶液、ジルコニウムアルコキシド溶液、カルシウム塩溶液、炭酸塩溶液のうちの1つ以上を含み得る。CaCOを含む第2のシェル構成要素は、カルシウム塩と炭酸塩とを組み合わせて使用することから得ることができる。CaCOを含む第2のシェル構成要素は、炭酸塩を添加せずに、カルシウム塩から、はCOから炭酸イオンをインサイチュで生成することにより得ることができる。
【0125】
第2のシェル構成要素前駆体は、前述の化合物のいずれかの、任意の好適な組み合わせを含み得る。
【0126】
第2のシェル構成要素前駆体の溶液は、第1のシェル構成要素を含むカプセルに滴下することができる。第2のシェル構成要素前駆体の溶液とカプセルとは、1分~24時間、一緒に混合することができる。第2のシェル構成要素前駆体及びカプセルの溶液は、室温又は高温で、例えば20℃~100℃の温度で、一緒に混合することができる。
【0127】
第2のシェル構成要素前駆体の溶液は、第2のシェル構成要素前駆体の溶液の総重量に基づいて、約1重量%~50重量%の量で第2のシェル構成要素前駆体を含み得る。
【0128】
第1のシェル構成要素を有するカプセルは、1~11のpHで、第2のシェル構成要素前駆体の溶液と混合することができる。第2のシェル前駆体の溶液は、酸及び/又は塩基を含有することができる。上記の酸は強酸であり得る。強酸としては、HCl、HNO、HSO、HBr、HI、HClO、及びHClOのうちの1つ以上、好ましくはHClを挙げることができる。他の実施形態において、上記の酸は弱酸であり得る。実施形態において、その弱酸は、酢酸又はHFであり得る。第2のシェル構成要素前駆体溶液中の酸の濃度は、10-7M~5Mであり得る。塩基は、無機塩基又は有機塩基、好ましくは無機塩基であり得る。無機塩基は、水酸化ナトリウムなどの水酸化物及びアンモニアであってよい。例えば、無機塩基は、約10-5M~0.01MのNaOH、又は約10-5M~約1Mのアンモニアであり得る。上記に例示された酸及び塩基のリストは、本発明の範囲を限定することを意味せず、第2のシェル構成要素前駆体溶液のpHの制御を可能にする他の好適な酸及び塩基が、本明細書において企図される。
【0129】
第2のシェル構成要素を形成するプロセスは、プロセス中のpHの変更を含み得る。例えば、第2のシェル構成要素を形成するプロセスは、酸性又は中性のpHで開始することができ、後で、プロセス中に塩基を添加して、pHを上昇させることができる。あるいは、第2のシェル構成要素を形成するプロセスは、塩基性又は中性のpHで開始することができ、後で、プロセス中に酸を添加して、pHを低下させることができる。また更に、第2のシェル構成要素を形成するプロセスは、酸性又は中性のpHで開始することができ、プロセス中に酸を添加して、pHを更に低下させることができる。なおまた更に、第2のシェル構成要素を形成するプロセスは、塩基性又は中性のpHで開始することができ、プロセス中に塩基を添加して、pHを更に上昇させることができる。任意の好適なpH移動を使用してもよい。更に、酸及び塩基の任意の好適な組み合わせを、第2のシェル構成要素前駆体の溶液中に、任意の時点で使用して、所望のpHを達成することができる。第2のシェル構成要素を形成するプロセスは、最大で±0.5pH単位の偏差で、プロセス中に安定したpHを維持することを含み得る。例えば、第2のシェル構成要素を形成するプロセスは、塩基性、酸性、又は中性のpHで維持され得る。あるいは、第2のシェル構成要素を形成するプロセスは、酸又は塩基を使用してpHを制御することによって、特定のpH範囲に維持され得る。任意の好適なpH範囲を使用してよい。更に、酸と塩基との任意の好適な組み合わせを、第2のシェル構成要素前駆体の溶液中に、任意の時点で使用して、望ましい範囲に安定なpHを保つことができる。
【0130】
カプセルの製造方法及び全てのシェル構成要素前駆体(すなわち、縮合層前駆体、ナノ粒子、及び第2のシェル構成要素前駆体)の関連特性のより詳細な説明は、米国特許出願第16/851173号、同第16/851176号、及び同第16/851194号に見出すことができ、これらの開示全体は、本発明のカプセルの製造方法を定義している。
【0131】
油系コアを製造するか水性コアを製造するかに関わらず、エマルジョンは、前駆体を固化させる条件下で硬化され得、それによってコアを取り囲むシェルが形成される。
【0132】
硬化のための反応温度を上昇させて、固化したカプセルが得られる速度を速めることができる。硬化プロセスは、前駆体の縮合を誘導することができる。硬化プロセスは、室温又は室温よりも高い温度で行うことができる。硬化プロセスは、30℃~150℃、好ましくは50℃~120℃、より好ましくは80℃~100℃の温度で行うことができる。硬化プロセスは、任意の好適な期間にわたって行われて、カプセルのシェルが前駆体材料の縮合を介して強化されることを可能にすることができる。硬化プロセスは、1分間~45日間、好ましくは1時間~7日間、より好ましくは1時間~24時間の期間にわたって行うことができる。カプセルが、硬化されたと考えられるのは、それがもはや崩壊しなくなったときである。カプセル崩壊の判定について以下に詳述する。硬化工程中、Y部分(式(I)及び/又は(II)から)の加水分解が起こり、続いて、-OH基と別の-OH基との、又は-OH基とY型の別の部分(それらの2つのY部分は必ずしも同じではない)との縮合が起こると考えられる。前駆体の加水分解された部分は、ナノ粒子の表面部分と最初に縮合する(ナノ粒子がそのような部分を含有する場合)。シェルの形成が進行するにつれて、前駆体部分は、先に形成されたシェルと反応するようになる。
【0133】
エマルジョンは、シェル前駆体が縮合するように硬化され得る。エマルジョンは、シェル前駆体がナノ粒子と反応して縮合するように硬化され得る。以下に、シリカ系シェルについて、本明細書に記載の加水分解工程及び縮合工程の例を示す。
【0134】
【表1】
【0135】
例えば、式(I)又は(II)の前駆体が使用される場合、以下は、加水分解工程及び縮合工程を記載している。
【0136】
【表2】
【0137】
カプセルは、スラリー組成物(又は本明細書では単に「スラリー」)として提供され得る。本明細書に記載される方法の結果は、カプセルを含有するスラリーであり得る。スラリーは、消費者向け製品などの製品に配合することができる。
【0138】
補助成分
本開示の液体布地ケア組成物は、上述のコンディショニング剤及び香料カプセルに加えて、1種以上の補助成分を含んでもよい。補助成分は、改善された性能、加工、及び/又は審美性を促進するために適切な濃度で選択され得る。1種以上の補助成分は、加工助剤、香料送達系、構造化剤、レオロジー変性剤、他の補助剤、又はこれらの混合物から選択され得る。いくつかのこれらの補助剤について、以下に更に詳細に論じる。
【0139】
加工助剤
組成物は1つ以上の加工助剤を含み得る。加工助剤は、凝集阻害材料(二価塩など)及び粒子懸濁ポリマーのうちの1つ以上を含み得る。凝集阻害材料としては、カプセルの周囲に電荷遮蔽効果を有することができる塩、具体的には例えば、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化マグネシウム、及び硫酸マグネシウムを挙げることができる。組成物は、キサンタンガム、カラギーナンガム、グアーガム、シェラック、アルギネート、及びキトサン;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びカチオン性セルロース系材料などのセルロース系材料;ポリアクリル酸;ポリビニルアルコール;水素添加ヒマシ油;並びにエチレングリコールジステアレートの1つ以上を更に含み得る。組成物は1種以上の担体を含んでもよい。1種以上の担体は、極性溶媒、非極性溶媒、又はそれらの混合物であってもよい。極性溶媒としては、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びグリセロールを挙げることができ、非極性溶媒としては、鉱油、シリコーン油、及び炭化水素パラフィン油を挙げることができる。
【0140】
追加の香料送達系
本開示のカプセルに加えて、組成物は、1種以上の追加の香料送達系を含んでもよい。追加の香料送達系は、遊離香料、プロ香料、他の香料カプセル(例えば、シェル中に5重量%超の有機材料を含むコアシェルカプセル)、及びこれらの混合物を含んでもよい。
【0141】
湿った布地に付随する悪臭に対抗するために、香料送達系が遊離(例えば、封入されていない)香料を含むことは特に有効であり得る。組成物は、0.01重量%~10重量%、又は0.1重量%~5重量%、又は更には0.2重量%~2重量%の遊離香料を含んでもよい。組成物は、組成物の少なくとも0.75重量%又は少なくとも1重量%の遊離香料を含んでもよい。好ましくは、遊離香料は、少なくとも3種、又は更には少なくとも5種、又は少なくとも7種、又は少なくとも10種、又は少なくとも15種の香料原料の混合物を含む。
【0142】
本開示の組成物は、爽快感効果の長期間にわたる持続性の改善に寄与することができるプロ香料を含んでもよい。プロ香料は、例えば、単純な加水分解の結果としての香料物質を放出又は香料物質に変換する不揮発性物質を含んでもよく、あるいはpH変化誘発性のプロ香料(例えば、pH低下により誘発される)であってもよく、又は酵素により放出可能なプロ香料、若しくは光誘発性のプロ香料であってもよい。プロ香料は、選択されたプロ香料に応じて、様々な放出速度を示し得る。
【0143】
組成物は、他の香料カプセルを含んでもよい。これらのカプセルは、コア-シェルカプセルであってもよく、シェル材料の5重量%超の有機材料をシェル中に含んでもよい。そのようなカプセルは、本明細書に記載され、特許請求される無機カプセルと区別するために、本開示において「有機」カプセルと見なされ得る。有機カプセルのシェル材料は、メラミン、ポリアクリルアミド、シリコーン、ポリスチレン、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリアクリレート系材料、ゼラチン、スチレン無水マレイン酸、ポリアミド、及びこれらの混合物から誘導される材料、好ましくはポリマー材料を含んでもよい。有機カプセルは、堆積助剤、カチオン性ポリマー、非イオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、又はこれらの混合物でコーティングされてもよい。好適な堆積ポリマーは、ポリビニルホルムアルデヒド、部分ヒドロキシル化ポリビニルホルムアルデヒド、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、エトキシル化ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、カチオン性多糖類(例えば、キトサン)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。有機カプセルは、約0.5μm~約100μm、より好ましくは約1μm~約60μmの体積加重平均粒径、代替的に、約25μm~約60μm、より好ましくは約25μm~約60μmの体積加重平均粒径を有し得る。
【0144】
レオロジー変性剤/構造化剤
本開示の組成物は、レオロジー変性剤及び/又は構造化剤を含んでもよい。レオロジー変性剤は、液体組成物を所望の粘度に「増粘する」又は「減粘する」ために使用されてもよい。構造化剤は、相安定性を促進するために、及び/又は本明細書に記載された封入物などの液体組成物中の粒子を懸濁させるために、又はその凝集を阻害するために使用されてもよい。
【0145】
好適なレオロジー変性剤及び/又は構造化剤としては、非ポリマー結晶性ヒドロキシル官能性構造化剤(水素添加ヒマシ油に基づくものを含む)、ポリマー構造化剤、セルロース繊維(例えば、木材を含む、細菌、真菌、若しくは植物起源から誘導され得るミクロフィブリル化セルロース)、ジアミドゲル化剤、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0146】
ポリマー構造化剤は、天然由来又は合成由来であってもよい。天然由来のポリマー構造化剤は、ヒドロキシエチルセルロース、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、多糖誘導体、及びこれらの混合物を含んでもよい。多糖誘導体は、ペクチン、アルギネート、アラビノガラクタン(アラビアガム)、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム、及びこれらの混合物を含んでもよい。合成ポリマー構造化剤は、ポリカルボキシレート、ポリアクリレート、疎水変性エトキシル化ウレタン、疎水変性非イオン性ポリオール、及びこれらの混合物を含んでもよい。ポリカルボキシレートポリマーは、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、又はこれらの混合物を含んでもよい。ポリアクリレートは、不飽和一炭酸又は二炭酸と、(メタ)アクリル酸のC~C30アルキルエステルとのコポリマーを含んでもよい。このようなコポリマーは、商品名Carbopol Aqua 30でNoveon Inc.から入手可能である。別の好適な構造化剤は、BASFから入手可能であり、商品名Rheovis CDEで販売されている。
【0147】
構造化剤は、2種以上の構造化剤材料を含む構造化剤系の形態であってもよい。例えば、構造化剤系は、多糖類系の形態であり得る。好ましい多糖類としては、キサンタンガム、グルコマンナン、ガラクトマンナン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。グルコマンナンは、コンニャクガムなどの天然ガム由来であり得る。ガラクトマンナンは、ローカストビーンガムなどの天然(naturals)ガム由来であってもよい。多糖類はまた、カラギーナンも含んでもよい。キサンタンガムは、脱アセチル化などによって変性されてもよい。少なくとも2種の多糖類を含む多糖類は、第1の多糖類及び第2の多糖類などを含んでもよい。第1の多糖類は、キサンタンガムであり得る。第2の多糖類は、グルコマンナン、ガラクトマンナン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。第2の多糖類は、コンニャクガム、ローカストビーンガム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。好ましくは、第1の多糖類は、キサンタンガムであり、第2の多糖類は、コンニャクガムである。このような多糖類系は、噴霧可能な製品において特に有用であり得る。組成物が噴霧可能な製品の形態である場合、液体組成物中に存在する多糖類の総濃度は、約0.5重量%未満、又は好ましくは約0.2重量%未満、又は好ましくは約0.1重量%未満、より好ましくは0.08重量%未満、及び最も好ましくは0.06重量%未満であってもよい。理論に束縛されるものではないが、噴霧可能な組成物中に存在する総多糖類濃度を最小化することで、残留物を減少させ、かつ/又は噴霧特性を最適化すると考えられる。
【0148】
他の補助剤
本開示の布地ケア組成物は、製品に含めるのに、及び/又は最終使用に好適な他の補助剤を含んでもよい。例えば、布地ケア組成物は、カチオン性ポリマー、洗浄ポリマー、酵素、溶媒、乳化剤、抑泡剤、染料、色相剤、増白剤、キレート剤、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0149】
製造プロセス
本開示は、本明細書に記載された液体布地ケア組成物のいずれかの製造プロセスに関する。液体布地向上剤であってもよい液体布地ケア組成物を製造するプロセスは、本明細書に記載のカプセルを布地処理補助剤と組み合わせる工程を含んでもよい。布地処理補助剤は、液体ベース組成物の一部であってもよい。本プロセスは、布地処理補助剤、水、及びこれらの混合物からなる群から選択されるメンバーを含む液体ベース組成物を提供する工程を含んでもよい。カプセルは、液体ベース組成物と組み合わせることができる。
【0150】
本開示の液体布地ケア組成物は、任意の好適な形態に配合され得、配合者によって選択される任意のプロセスによって調製され得る。布地処理補助剤、カプセル、及び他の補助剤は、存在する場合、バッチプロセス、循環ループプロセス、及び/又はインライン混合プロセスで合わせてもよい。本明細書で開示されたプロセスで使用するのに好適な装置としては、連続撹拌槽型反応器、ホモジナイザー、タービン撹拌機、再循環ポンプ、パドルミキサー、プラウ剪断ミキサー、リボンブレンダー、垂直軸造粒機及びドラムミキサー(両方ともバッチ式であり、利用可能な場合は連続プロセスの構成のもの)、噴霧乾燥機、並びに押出成形機を挙げてもよい。
【0151】
使用プロセス
本開示は更に、液体布地ケア組成物の使用方法に関する。例えば、本開示は、本開示による組成物で布地を処理する方法に関する。そのような方法は、洗浄、コンディショニング、及び/又は消臭に関わる効果をもたらし得る。
【0152】
この方法は、布地を本開示の液体布地ケア組成物と接触させる工程を含むことができる。組成物は、そのままの形態であってもよく、又は液体、例えば、洗浄液又はすすぎ液で希釈されてもよい。組成物は、表面又は物品との接触前、接触中、又は接触後に水で希釈されてもよい。布地は、接触工程の前及び/又は後に、任意に洗浄及び/又はすすがれてもよい。組成物は、布地上に直接適用されてもよく、又は自動洗濯機の分配容器若しくはドラムに供給されてもよい。
【0153】
布地を処理する方法は、(a)任意に、布地を洗浄、すすぎ、及び/又は乾燥する工程と、(b)任意に水の存在下において、布地を本明細書に記載された組成物と接触させる工程と、(c)任意に、布地を洗浄及び/又はすすぐ工程と、(d)任意に、受動的に及び/又は洗濯乾燥機などの能動的方法を介して乾燥させる工程と、を含んでもよい。この方法は、自動洗濯機の洗浄サイクル又はすすぎサイクル、好ましくはすすぎサイクル中に行うことができる。
【0154】
本発明の目的のために、処理は、擦り洗い及び/又は機械的撹拌を含み得るが、これらに限定されない。布地は、標準的な消費者の使用条件で洗濯又は処理することが可能な、ほとんどいずれの布地を含んでもよい。
【0155】
開示された組成物を含む液体は、約3~約11.5のpHを有してもよい。希釈される場合、このような組成物は、典型的には、溶液中で約500ppm~約15,000ppmの濃度で使用される。洗浄溶媒が水である場合、水の温度は、典型的には、約5℃~約90℃の範囲であり、水対布地の比は、典型的には、約1:1~約30:1であってよい。
【0156】
カプセルの使用
本開示によるカプセルは、例えば、布地ケア組成物中に配合され、布地を処理するために使用される場合、標的布地に様々な効果をもたらすために使用することができることが判明した。本開示は、布地が、カプセルを含む布地ケア組成物で処理される場合に、布地に爽快感効果、柔軟性効果、又はこれらの組み合わせをもたらすためのカプセルの使用に関し得る。
【0157】
例えば、本開示は、布地が、このようなカプセルを含む布地ケア組成物で処理される場合に、布地に爽快感効果をもたらすための、本開示によるカプセルの使用に関する。本明細書で使用するとき、「爽快感効果」とは、このようなカプセルの非存在下で同じ布地ケア組成物によって処理された比較布地と比較して、かつ/又は比較布地が比較カプセルを含む同じ布地ケア組成物で処理された場合と比較して、標的布地にもたらされる望ましい芳香に関連する効果を意味する。爽快感効果は、嗅覚パネル及び/又はヘッドスペース分析を介してなど、本明細書に記載される任意の技術によって評価され得る。
【0158】
本開示はまた、布地が、このようなカプセルを含む布地ケア組成物で処理される場合に、布地に柔軟性効果をもたらすための、本開示によるカプセルの使用に関する。本明細書で使用するとき、「柔軟性効果」とは、このようなカプセルの非存在下で同じ布地ケア組成物によって処理された比較布地と比較して、かつ/又は比較布地が比較カプセルを含む同じ布地ケア組成物で処理された場合と比較して、標的布地にもたらされる、柔軟性、潤滑性、摩擦低減、又は他の手触り効果の増大に関連する効果を意味する。柔軟性効果は、任意の好適な技術によって評価され得る。
【0159】
本開示はまた、布地が、このようなカプセルを含む布地ケア組成物で処理される場合に、布地に爽快感効果及び柔軟性効果の両方をもたらすための、本開示によるカプセルの使用に関する。典型的には、爽快感効果及び感触効果などの2つの効果が、単一の成分によってもたらされることが有利であるが、それは、この場合には、コスト削減、製造の複雑さの低減、及び配合の効率化をもたらし得るためである。このような成分は、一方又は両方の効果が消費者によって典型的に期待される製品(例えば、液体洗濯洗剤、布地向上剤、又はビーズ若しくは錠剤の形態の洗濯添加剤など)において、特に有用であり得る。
【0160】
本明細書に記載の使用は、布地ケア組成物で「処理」された布地に関する。処理は、好ましくは自動洗濯機中で、好ましくは従来の洗浄/すすぎサイクルに従い得る。布地ケア組成物は、液体又は固体、好ましくは液体の形態であってよく、より好ましくは液体洗濯洗剤、液体布地向上剤、又は液体布地消臭剤スプレーの形態であってよく、最も好ましくは液体布地向上剤の形態であってよい。布地ケア組成物は、本開示による液体布地ケア組成物であってもよく、これは、カプセルに関する開示を含む本明細書に記載される成分及び濃度を含むものであってよい。
【0161】
組み合わせ
本開示の具体的に企図される組み合わせを、本明細書において以下のアルファベット付きの段落に記載する。これらの組み合わせは、本質的に例示を目的としたものであり、限定することを意図したものではない。
【0162】
A.布地処理補助剤とカプセルの集団とを含む液体布地ケア組成物であって、布地処理補助剤が、コンディショニング活性物質、界面活性剤、又はこれらの混合物からなる群から選択され、コンディショニング活性物質が存在する場合、コンディショニング活性物質は、アルキル四級アンモニウム化合物(「アルキルクアット」)、アルキルエステル四級アンモニウム化合物(「アルキルエステルクアット」)、及びこれらの混合物からなる群から選択され;界面活性剤が存在する場合、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、両性電解質界面活性剤、及びそれらの混合物からなる群から選択され、カプセルは、コア及びコアを取り囲むシェルを含み、コアが香料原料を含み、シェルが、縮合層とナノ粒子層とを含む、実質的に無機の第1のシェル構成要素であって、縮合層が、前駆体の縮合生成物を含み、ナノ粒子層は無機ナノ粒子を含み、縮合層は、コアとナノ粒子層との間に配設されている、第1のシェル構成要素、及び第1のシェル構成要素を取り囲む無機の第2のシェル構成要素であって、ナノ粒子層を取り囲む、第2のシェル構成要素を含み、前駆体が、式(I)、式(II)、及びそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つの化合物を含み、式(I)は、(Mであり、式(II)は、(M であり、式(I)、式(II)、又はそれらの混合物について:各Mは、ケイ素、チタン、及びアルミニウムからなる群から独立して選択され、vはMの原子価数であり、3又は4であり、zは、0.5~1.6であり、各Yは、独立して、-OH、-OR、ハロゲン、
【0163】
【化1】
-NH、-NHR、-N(R、及び
【0164】
【化2】
から選択され、Rは、C~C20アルキル、C~C20アルキレン、C~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールであり、Rは、H、C~C20アルキル、C~C20アルキレン、C~C22アリール、又はO、N、及びSから選択される1~3個の環ヘテロ原子を含む5~12員ヘテロアリールであり、wは2~2000であり;式(I)について、nは、0.7~(v-1)であり;式(II)について、nは、0~(v-1)であり;各Rは、独立して、C~C30アルキル;C~C30アルキレン;ハロゲン、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、-OCN、-NCO、アルコキシ、エポキシ、アミノ、メルカプト、アクリロイル、-COH、-C(O)-アルキル、-C(O)O-アリール、及び-C(O)O-ヘテロアリールからなる群から選択されるメンバーによって置換されたC~C30アルキル;並びにハロゲン、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、-OCN、-NCO、アルコキシ、エポキシ、アミノ、メルカプト、アクリロイル、-C(O)OH、-C(O)O-アルキル、-C(O)O-アリール、及び-C(O)O-ヘテロアリールからなる群から選択されるメンバーによって置換されたC~C30アルキレン、からなる群から選択され;pは0より大きくpmaxまでの数であり、pmax=60/[9Mw(R)+8]であり、Mw(R)はR基の分子量である、液体布地ケア組成物。
B.組成物の約5重量%~約99.5重量%の水と、コア及びコアを取り囲むシェルを含むカプセルの集団と、を含む液体布地ケア組成物であって、コアが香料原料を含み、シェルが段落Aに記載されている通りである、液体布地ケア組成物。
C.前駆体が、少なくとも1種の式(I)による化合物を含み、好ましくは前駆体が式(II)による化合物を含まない、段落A又はBに記載の液体布地ケア組成物。
D.前駆体が、少なくとも1種の、式(II)による化合物を含む、段落A~Cのいずれか1つに記載の液体布地ケア組成物。
E.カプセルの集団が、以下の:(a)約10μm~約200μm、好ましくは約10μm~約190μmの体積加重平均カプセル直径;(b)約170nm~約1000nmの平均シェル厚;(c)約50:50~99:1、好ましくは60:40~99:1、より好ましくは70:30~98:2、更により好ましくは80:20~96:4のコア/シェル体積比;(d)第1のシェル構成要素が、第1のシェル構成要素の、約5重量%以下、好ましくは約2重量%以下、より好ましくは約0重量%の有機成分含有量を含むこと;又は(e)上記(a)~(d)を任意に組み合わせたもの、のうちの1つ以上によって特徴付けられる、段落A~Dのいずれか1つに記載の液体布地ケア組成物。
F.式(I)、式(II)、又はその両方の化合物が、以下の:(a)約700Da~約30,000Daのポリスチレン換算重量平均分子量(Mw);(b)0.2~約0.6の分岐度;(c)約1~約20の分子量多分散指数;又は(d)上記(a)~(c)を任意に組み合わせたもの、のうちの1つ以上によって特徴付けられる、段落A~Eのいずれか1つに記載の液体布地ケア組成物。
G.式(I)、式(II)、又はその両方について、Mがケイ素である、段落A~Fのいずれか1つに記載の液体布地ケア組成物。
H.式(I)、式(II)、又はその両方について、YがORであり、式中Rがメチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基から選択され、好ましくはエチル基である、段落A~Gのいずれか1つに記載の液体布地ケア組成物。
I.第2のシェル構成要素が、炭酸カルシウム、シリカ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む、段落A~Hのいずれか1つに記載の液体布地ケア組成物。
J.第1のシェル構成要素の無機ナノ粒子が、金属ナノ粒子、鉱物ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、及び半金属酸化物ナノ粒子のうちの少なくとも1つを含み、好ましくは、無機ナノ粒子が、SiO、TiO、Al、Fe、Fe、CaCO、粘土、銀、金、又は銅からなる群から選択される1つ以上の材料を含み、より好ましくは、無機ナノ粒子が、SiO、CaCO、Al及び粘土からなる群から選択される1つ以上の材料を含む、段落A~Iのいずれか1つに記載の液体布地ケア組成物。
K.無機の第2のシェル構成要素が、SiO、TiO、Al、CaCO、CaSiO、Fe、Fe、鉄、銀、ニッケル、金、銅、又は粘土のうちの少なくとも1つを、好ましくは、SiO又はCaCOの少なくとも1つを、より好ましくはSiOを含む、段落A~Jのいずれか1つに記載の液体布地ケア組成物。
L.液体布地ケア組成物が、組成物の5重量%~99.5重量%の水を、好ましくは約50重量%~約99.5重量%、より好ましくは約60重量%~約95重量%、更により好ましくは約75重量%~約90重量%の水を含む、段落A~Kのいずれか1つに記載の液体布地ケア組成物。
M.組成物が、20秒-1及び21℃での、1~1500センチポアズ(1~1500mPa・s)、100~1000センチポアズ(100~1000mPa・s)、又は200~500センチポアズ(200~500mPa・s)の粘度により特徴付けられる、段落A~Lのいずれか1つに記載の液体布地ケア組成物。
N.布地処理補助剤がコンディショニング活性物質を含み、好ましくはコンディショニング活性物質が、組成物の約1重量%~約35重量%の濃度で存在する、段落A~Mのいずれか1つに記載の液体布地ケア組成物。
O.布地処理補助剤がコンディショニング活性物質を含み、コンディショニング活性物質が、アルキルエステルクアット、好ましくは、モノエステルアルキルクアット、ジエステルアルキルクアット、トリエステルアルキルクアット、及びこれらの混合物からなる群から選択されるアルキルエステルクアットを含む、段落A~Nのいずれか1つに記載の液体布地ケア組成物。
P.布地処理補助剤が、界面活性剤を含み、好ましくは界面活性剤が、組成物の約1重量%~約50重量%、より好ましくは約5重量%~約45重量%、更により好ましくは約10重量%~約40重量%の濃度で存在する、段落A~Oのいずれか1つに記載の液体布地ケア組成物。
Q.布地処理補助剤が、界面活性剤を含み、界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される、段落A~Pのいずれか1つに記載の液体布地ケア組成物。
R.液体布地ケア組成物が、シリコーン、非エステル四級アンモニウム化合物、アミン、脂肪エステル、スクロースエステル、シリコーン、分散性ポリオレフィン、多糖類、脂肪酸、柔軟化油若しくはコンディショニング油、ポリマーラテックス、又はこれらの組み合わせから選択される材料、好ましくはシリコーンを更に含む、段落A~Qのいずれか1つに記載の液体布地ケア組成物。
S.封入体の集団が、液体布地ケア組成物の約0.1重量%~約10重量%の濃度で存在する、段落A~Rのいずれか一つに記載の液体布地ケア組成物。
T.液体布地ケア組成物が、構造化剤を更に含む、段落A~Sのいずれか一項に記載の液体布地ケア組成物。
U.液体布地ケア組成物が、液体布地向上剤である、段落A~Tのいずれか1つに記載の液体布地ケア組成物。
V.液体布地ケア組成物が、噴霧可能なボトルにパッケージ化されている、段落A~Uのいずれか1つに記載の液体布地ケア組成物。
W.表面、好ましくは布地を処理するプロセスであって、任意に水の存在下で、表面を、段落A~Vのいずれか1つに記載の液体布地ケア組成物と接触させる工程を含む、プロセス。
X.液体布地ケア組成物の製造プロセスであって、布地処理補助剤、水、及びこれらの混合物からなる群から選択されるメンバーを含む液体ベース組成物を提供する工程であって、布地処理補助剤が、コンディショニング活性物質、界面活性剤、又はこれらの混合物からなる群から選択され、コンディショニング活性物質が存在する場合、コンディショニング活性物質は、アルキル四級アンモニウム化合物(「アルキルクアット」)、アルキルエステル四級アンモニウム化合物(「アルキルエステルクアット」)、及びこれらの混合物からなる群から選択され、界面活性剤が存在する場合、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、両性電解質界面活性剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される、工程と;カプセルの集団をベース組成物に提供する工程であって、カプセル及び/又は液体ケア組成物が、段落A~Vのいずれかに記載の通りである、工程と、を含む、プロセス。
Y.布地を、段落A~Vのいずれか1つに記載のカプセルを含む布地ケア組成物で処理したときに、布地に爽快感効果、柔軟性効果、又はこれらの組み合わせを提供するための、カプセルの使用。
【0165】
試験法
本出願の「試験方法」のセクションに開示される試験方法を用いて、本出願において特許請求され説明される、本出願人が特許請求する主題のパラメータのそれぞれの値が測定されるべきであるという点が理解されよう。
【0166】
logPを測定する方法
試験する香料混合物中の各PRMについて、オクタノール/水の分配係数のlog値(logP)を計算する。個々のPRMのlogP値は、Advanced Chemistry Development Inc.(ACD/Lab)(Toronto,Canada)から入手可能なConsensus logP Computational Model、バージョン14.02(Linux(登録商標))を用いて計算され、無単位のlogP値が得られる。ACD/LabsのConsensus logP Computational Modelは、ACD/Labsモデルスイートの一部である。
【0167】
粘度法
未希釈製品の粘度は、ブルックフィールド(登録商標)DV-E回転粘度計、スピンドル2を用いて、60rpm、約20~21℃で測定する。
【0168】
平均シェル厚さ測定
第1のシェル構成要素と、存在する場合に第2のシェル構成要素と、を含むカプセルのシェルを、20個の有益剤を含有する送達用カプセルについて、収束イオンビーム走査型電子顕微鏡(FIBーSEM、FEI製Helios Nanolab 650)又は同等の機器を用いて、ナノメートルの単位で測定する。少量の液体カプセル分散液(20μL)を蒸留水で希釈する(1:10)ことによって、試料を調製する。次いで、懸濁液をエタノール洗浄されたアルミニウムスタブ上に堆積させ、カーボンコーター(Leica EM ACE600又は同等の機器)に移す。試料を、コーター中、真空下で乾燥させる(真空レベル:10-5mbar)。次に、25nm~50nmの炭素を試料上にフラッシュ堆積させて、表面上に伝導性炭素層を堆積させる。次いで、アルミニウムスタブをFIB-SEMに移し、カプセルの断面を準備する。断面洗浄パターンを使用して、30kVの加速電圧で2.5nAの放出電流を用いてイオン粉砕することによって、断面を準備する。画像を、5.0kV及び100pAで、浸漬モード(ドウェル時間:約10マイクロ秒)を用いて、拡大率約10,000倍で取得する。
【0169】
サイズの偏りがない、無作為に選択された20個の有益剤送達用カプセルから、破砕されたシェルの画像を断面図で得て、存在するカプセルのサイズ分布の代表的な試料を作り出す。20個の封入体の各々のシェル厚さを、カプセルのシェルの外面の接面に対して垂直な測定線を引くことによって、較正された顕微鏡ソフトウェアを使用して、ランダムに選んだ異なる3箇所で測定する。60個の独立した厚さ測定値を記録し、それらを用いて平均厚さを計算する。
【0170】
体積加重カプセル直径の平均及び変動係数。
カプセルサイズの分布は、AccuSizer 780 AD機器又は同等の機器と、付随するソフトウェアCW788バージョン1.82(Particle Sizing Systems(Santa Barbara,California,U.S.A.))又は同等のソフトウェアとを使用して、光学的粒子計数法(OPC)とも呼ばれる単一粒子光学検知法(SPOS)によって測定される。器具は、以下の条件及び選択肢を用いて構成する:流速=1mL/秒;サイズ下限側閾値=0.50μm;センサーモデル番号=LE400-05SE又は同等のもの;自動希釈=オン;収集時間:60秒;数チャネル=512;容器の流体体積=50mL;最大同時計数=9200。測定は、バックグラウンド計数が100未満になるまで水でフラッシングすることによって、センサを低温状態にすることによって開始される。懸濁液中の送達カプセルの試料が導入され、必要に応じてカプセルの密度が、脱イオン水を用いて自動希釈を介して調整されて、カプセルの計数が最大で、1mLあたり9200となるようにする。60秒間かけて、懸濁液を分析する。使用されるサイズの範囲は、1μm~493.3μmであった。
【0171】
体積分布:
【0172】
【数1】
式中、
CoVは、体積加重サイズ分布の変動係数であり、
σは、体積加重サイズ分布の標準偏差であり、
μは、体積加重サイズ分布の平均であり、
は、分画iの直径であり、
i、Vは、分画i(直径iに対応する)における体積加重サイズ分布の頻度であり、
【0173】
【数2】
【0174】
コア対シェルの体積比の評価
コア対シェルの体積比の値は、以下のように測定され、シェル厚さ試験方法によって測定される平均シェル厚さに依存する。平均シェル厚さが測定されたカプセルのコア対シェルの体積比は、以下の等式によって計算される:
【0175】
【数3】
(式中、厚さは、FIBSEMによって測定される、カプセルの集団の平均シェル厚さであり、Dcapsは、光学的粒子計数法によって測定される、そのカプセルの集団の体積加重平均直径である)。
【0176】
この比は、以下の式を用いてコア重量パーセンテージを計算することによって、コア対シェル分率値に変換することができる。
【0177】
【数4】
シェルパーセンテージは、以下の等式に基づいて計算することができる:
%シェル=100-%コア。
【0178】
分岐度測定方法
前駆体の分岐度を以下のように測定した:分岐度は、(29Si)核磁気共鳴スペクトル法(NMR)を使用して測定される。
【0179】
試料の調製
各試料を、重水素化ベンゼン(Benzene-D6「100%」(D,99.96%、Cambridge Isotope Laboratories Inc.(Tewksbury,MA)から入手可能)又は同等物を使用して25%溶液に希釈する。0.015Mのクロム(III)アセチルアセトナート(純度99.99%、Sigma-Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能なもの、又は同等物)を、常磁性緩和試薬として添加する。ガラスNMRチューブ(Wilmad-LabGlass(Vineland,NJ)又は同等物)を分析に使用する場合、試料を溶解するために使用されるのと同じタイプの重水素化溶媒でNMRチューブを充填することによって、ブランク試料も調製する必要がある。ブランク及び試料を分析するために、同じガラスチューブを使用する必要がある。
【0180】
試料の分析
分岐度は、Bruker 400 MHz核磁気共鳴スペクトル法(NMR)装置、又は同等の装置を使用して測定される。標準的なケイ素(29Si)法(例えば、Brukerから)は、最小1000回のスキャン及び30秒の緩和時間を伴うデフォルトパラメータ設定で使用される。
【0181】
試料の処理
試料は保管され、MestReNovaバージョン12.0.4-22023(Mestrelab Researchから入手可能)又は同等物などのNMRスペクトル法に適切なシステムソフトウェアを使用して処理される。位相調整及び背景補正が適用される。ガラスNMRチューブ及びプローブハウジング内に存在するガラスを使用した結果である、-70~-136ppmまで伸びる、大きいブロードシグナルが存在する。このシグナルは、ブランク試料のスペクトルを合成試料のスペクトルから減算することによって抑制され、ただし同じチューブ及び同じ方法パラメータがブランク及び試料を分析するために使用される。データ収集、チューブなどのわずかな差異を更に考慮するために、関心領域のピークの外側の領域が、積分され一貫した値に正規化されるべきである。例えば、-117~-115ppmを積分し、全てのブランク及び試料について積分値を4に設定する。
【0182】
得られたスペクトルは、最大5つの主ピーク面積を生成する。第1のピーク(Q0)は、未反応のTAOSに対応する。第2のピークセット(Q1)は、末端基に対応する。次のピークのセット(Q2)は、直鎖状基に対応する。次のブロードピークのセット(Q3)は、半樹枝状単位である。最後のブロードピークのセット(Q4)は樹枝状単位である。PAOS及びPBOSが分析されるとき、各群は、定義されたppm範囲内に入る。代表的な範囲が、以下の表に記載される。
【0183】
【表3】
【0184】
ポリメトキシシランは、以下の表に記載されるように、Q0及びQ1に対して異なる化学シフトを有し、重なるシグナルをQ2に対して有し、Q3及びQ4が不変である:
【0185】
【表4】
【0186】
上記表に示されるppm範囲は、全てのモノマーに適用されなくてもよい。しかしながら、他のモノマーは、異なる化学シフトを引き起こし得るが、Q0~Q4の適切な帰属に影響を与えるものではない。
【0187】
MestReNovaを使用して、各ピーク群を積分し、分岐度を以下の式によって計算することができる:
【0188】
【数5】
【0189】
分子量及び多分散指数測定方法
本明細書に記載の縮合層前駆体の分子量(ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw))及び多分散指数(Mw/Mn)は、屈折率検出を伴うサイズ排除クロマトグラフィーを使用して測定される。Mnは数平均分子量である。
【0190】
試料の調製
試料を秤量し、次いで装置システムで使用される溶媒で、標的濃度10mg/mLまで希釈する。例えば、50mgのポリアルコキシシランを5mLのメスフラスコに秤量し、溶解し、トルエンで所定の体積に希釈する。試料が溶媒中に溶解した後、それを0.45μmのナイロンフィルターに通し、計器の自動サンプラーに装填する。
【0191】
試料の分析
屈折率検出器(例えば、Wyatt 2414屈折率検出器(Santa Barbara,CA)、又は同等物)に接続された自動サンプラー(例えば、Waters(Milford MA)、Waters 2695 HPLC分離モジュール(Waters(Milford MA))、又は同等物)を用いたHPLCシステムを、ポリマー分析に使用する。分離は3つのカラムで実施され、各々が内径7.8mm×長さ300mmであり、5μmのポリスチレン-ジビニルベンゼン媒体が充填され、それぞれ1、10、及び60kDAの分子量でのカットオフがなされる。好適なカラムは、TSKGel G1000HHR、G2000HHR、及びG3000HHRカラム(TOSOH Bioscience(King of Prussia,PA)から入手可能)又は同等物である。内径6mm×長さ40mmの、5μmのポリスチレン-ジビニルベンゼンのガードカラム(例えば、TSKgel Guardcolumn HHR-L(TOSOH BIOSCIENCE)、又は同等物)を使用して、分析カラムを保護する。トルエン(HPLCグレード又は同等物)を、カラム及び検出器の両方が25℃に維持された状態で、1.0mL/分で定組成にてポンプ圧送する。100μLの調製された試料を、分析のために注入する。試料データは、GPC計算能力を有するソフトウェア(例えば、Wyatt Technologies(Santa Barbara,CA)から入手可能なASTRA Version 6.1.7.17ソフトウェア又は同等物)を使用して、保存及び処理される。
【0192】
システムは、約0.250~70kDaの範囲の既知の分子量を有する10以上の狭く分散したポリスチレン標準(例えば、Standard ReadyCal Set(例えば、Sigma-Aldrich、PN76552、又は同等物))を使用し、Mp対滞留時間曲線に対する三次フィットを使用して較正される。
【0193】
システムソフトウェアを使用して、重量平均分子量(Mw)及び多分散指数(Mw/Mn)を計算及び報告する。
【0194】
第1のシェル構成要素における有機成分含有量を計算する方法
本明細書において使用する場合、本開示によるカプセルの無機シェル中の有機部分の定義は以下の通りである:金属又は半金属Mの無機前駆体に当該部分を連結するM-X結合(Mは、金属及び半金属の族に属し、Xは非金属の族に属する)の加水分解を介して指定の反応条件の下で、金属Mを担持する金属前駆体から切断することができない任意の部分Xは、有機部分と見なされる。撹拌せずに中性のpHを有する蒸留水に24時間にわたって曝露したときに、最低でも1%の加水分解度を有することが、上記の反応条件として設定される。
【0195】
この方法は、全ての加水分解性基の完全な変換を想定して、理論上の有機成分含有量を計算することを可能にする。したがって、シランの任意の混合物について有機成分の理論的パーセンテージを評価することが可能になり、その結果は、第1のシェル構成要素中の実際の有機成分含有量ではなく、この前駆体混合物自体のみを示す。したがって、第1のシェル構成要素の有機成分含有量について特定のパーセンテージが本文献のどこかに開示されている場合、そのパーセンテージは、開示されている数よりも小さい理論的な有機成分含有量を以下の計算に従って与える、加水分解されていない又は予め重合された前駆体の任意の混合物を含有するものとして理解されるべきである。
【0196】
シランの例(これに限定されるものではないが、本セクションの最後の一般式を参照されたい):
各々のモル分率Yを有するシランの混合物を検討する。式中、iは各シランの識別番号である。この混合物は、以下のように表され得る:
【0197】
【数6】
式中、XRは、上記定義で述べた条件下で加水分解性の基であり、R niは上記の条件下で非加水分解性であり、n=0、1、2、又は3である。
【0198】
このようなシランの混合物は、以下の一般式を有するシェルをもたらす。
【0199】
【数7】
【0200】
次に、先に定義したような有機部分の重量パーセンテージは、以下のように計算することができる。
1)各前駆体(ナノ粒子が含まれる)のモル分率を見つける。
2)各前駆体(ナノ粒子が含まれる)の一般式を決定する。
3)モル分率に基づいて、前駆体とナノ粒子との混合物の一般式を計算する。
4)反応したシランに変換(全ての加水分解性基を酸素基に)する。
5)有機部分対合計質量(フレームワークに対しての1モルのSiを想定する)の重量比を計算する。
【0201】
【表5】
【0202】
混合物の一般式を計算するために、個々の式中の各原子の指数は、それらのそれぞれのモル分率で乗算される。次いで、混合物の場合、同様の指数が発生するときには、分率指数の合計を採用する(典型的にはエトキシ基に対して)。
【0203】
注記:全てのSi分率の合計は、計算方法(Siの全モル分率の合計が1)により、混合物一般式中で常に1となる。
【0204】
【数8】
【0205】
未反応の式を反応後の式に変換するには、単に、全ての加水分解性基の指数を2で除し、次いでそれらを一緒に合計して(適用可能な場合には任意の既存の酸素基と共に)、完全に反応したシランを得る。
SiO1.88Me0.20
【0206】
この場合、予想される結果は、全ての指数の合計が以下の式に従う必要があるため、SiO1.9Me0.2である:
A+B/2=2、
(式中、Aは酸素原子指数であり、Bは、全ての非加水分解性指数の合計である)。小さい誤差が、計算中に概数をとることから発生し、それは補正されるべきである。次いで、酸素原子の指数を再調整して、この式を満たすようにする。
【0207】
したがって、最終式はSiO1.9Me0.2であり、有機成分の重量比は以下のように計算される:
重量比:=(0.2015)/(28+1.916+0.2015)=4.9%
【0208】
一般的な場合:
上記の式は、金属又は半金属Mの価数を考慮することによって一般化することができ、したがって、以下の修正された式を得ることができる:
M(XR)V-ni ni
また、同様の方法を使用するが、それぞれの金属の価数Vが考慮される。
【0209】
四級アンモニウムエステル化合物のヨウ素価を測定する方法
四級アンモニウムエステル布地化合物のヨウ素価は、布地コンディショニング活性物質を形成する親脂肪酸のヨウ素価であり、布地コンディショニング化活性物質を形成する親脂肪酸100gと反応するヨウ素のグラム数として定義される。
【0210】
まず、四級アンモニウムエステル化合物を、以下のプロトコルに従って加水分解する:布地処理組成物25gを、水50mL及び水酸化ナトリウム0.3mL(50%活性)と混合する。この混合物が乾燥するのを回避しながら、混合物をホットプレート上で少なくとも1時間沸騰させる。1時間後、混合物を放冷し、pHストリップ又は較正済みpH電極を使用して、25%硫酸でpHを中性(pH6~8)に調整する。
【0211】
次に、ヘキサン又は石油エーテルによる酸性液-液抽出によって混合物から脂肪酸を抽出する:抽出シリンダにおいて試料混合物を水/エタノール(1:1)で160mLに希釈し、塩化ナトリウム5g、硫酸(25%活性)0.3mL、及びヘキサン50mLを加える。シリンダに栓をして、少なくとも1分間振盪する。次に、2層が形成されるまで、シリンダを静置する。ヘキサン中に脂肪酸を含む最上層を別の受容器に移す。次に、ホットプレートを使用してヘキサンを蒸発させ、抽出した脂肪酸を残す。
【0212】
次に、布地コンディショニング活性物質を形成する親脂肪酸のヨウ素価を、ISO3961:2013に従って測定する。親脂肪酸のヨウ素価を計算する方法は、規定量(0.1~3g)をクロロホルム15mLに溶解することを含む。次に、溶解した親脂肪酸を、酢酸溶液(0.1M)中の一塩化ヨウ素25mLと反応させる。これに、10%ヨウ化カリウム溶液20mL及び脱イオン水150mLを加える。ハロゲンの添加を行った後、ブルースターチ法指示薬粉末の存在下で、チオ硫酸ナトリウム溶液(0.1M)で滴定することにより、過剰な一塩化ヨウ素を測定する。同時に、同じ量の試薬を用い、同一条件下でブランクを測定する。ブランクに使用したチオ硫酸ナトリウムの量と、親脂肪酸との反応に使用した量との差により、ヨウ素価を算出することができる。
【0213】
漏出方法
液体組成物(例えば、液体布地向上剤/「LFE」組成物、及び/又は強力液体/「HDL」洗剤)におけるカプセル漏出の試験は、以下のように実施される。
【0214】
均質化されたスラリー(全スラリー中の香料の重量分率として定義される、既知の香料活性を有するもの)を、最終配合物中の香料重量分率が0.25重量%(又は0.2重量%~0.3重量%)であるように、既知量のLFEベース又はHDLベースに添加し、適切に分散させる。
【0215】
配合された製品を、気密蓋で覆われたジャー又はガラス容器中に、35℃及び相対湿度40%で7日間保管し、液体上のヘッドスペースの体積は、液体自体の体積の5倍以下である。
【0216】
試料の調製
7日間の保管後、カプセル、全油、及び遊離油の試料を以下のように調製する:
(a)カプセル試料の調製:スラリーを含有する0.1g~0.11gの配合物をGCバイアル(GCバイアル及び方法の仕様については以下を参照されたい)の底部に導入し、GCバイアルにクリンプキャップで蓋をして気密環境を得て、こうしてカプセル試料を得る。この工程は、2つの読み取り値を得るために2回実行され、2つの値の平均は、それらが互いにあまり大きく異ならない場合に使用されるものであり、分析は繰り返される必要がある。次いで、GCバイアルを、以下に詳述するように、GC/MSによって分析する。
(b)全油試料の調製:配合物の1gアリコートを、直径1cm~1.5cmの7mL円筒形バイアルに導入する。バイアルは、7mLバイアルの半径以上の長さの磁気撹拌棒を装備し、これによりバイアル中での適切な混合を確保する。次いで、7mLバイアル中の1gのアリコートを、撹拌プレート上で500rpmで24時間混合し、それによって、7mLバイアルの底に対する撹拌棒の粉砕作用によってカプセルが破壊されることを確保する。光学顕微鏡を使用して、もはや無傷のカプセルが残っていないことを確認することができる。そのようなカプセルが見出された場合、上記の工程は、更に24時間、又は全て若しくはほとんど全てのカプセルが破壊されるまで繰り返される。次いで、破壊されたカプセルを含有する配合物を、工程(a)と同様の方法でGCバイアルに導入する。これにより全油試料が得られる。カプセル試料及び全油試料は、漏出試料が保管場所から取り出された後に全油試料を調製する必要があるので、同じ日には分析されないことに留意されたい。カプセル試料及び全油試料は、カプセル試料が保管場所から取り出された後に全油試料を調製する必要があるので、同じ日には分析されないことに留意されたい。これは結果に影響を与えない(又は実質的に影響を与えない)。
(c)遊離油試料の調製:既知量の香油組成物を既知量のLFE又はHDLに添加し、適切に分散させることによって、0.2重量%~0.3重量%(好ましくは0.25重量%)の遊離油を含有するLFE又はHDL配合物を調製する。本明細書で配合される香油組成物は、スラリー中に存在する香油組成物の代表例である。次いで、遊離油配合物を、工程(a)と同様の方法でGCバイアルに導入する。これにより、カプセル試料及び全油試料の両方を分析するときに使用する必要がある、基準試料が得られる。
【0217】
分析の各日には、カプセル試料又は全油試料を基準試料と共に試験する必要がある。
【0218】
GC/MS法
各試験試料及び基準試料に関して、0.1g~0.11gの試料のアリコートを、20mLのヘッドスペースバイアル(Gerstel SPMEバイアル20mL、部品番号093640-035-00)に移し、直ちに密封する(Gerstel SPME用クリンプキャップ、部分番号093640-050-00を用いて)。2つのヘッドスペースバイアルを、各試料に対して準備する。次いで、密封されたヘッドスペースバイアルを平衡化させる。試料は、室温で3時間後に平衡に到達するが、ヘッドスペースバイアルを密封した後最長で24時間後まで、結果を損なうことも変化させることもなく、より長く放置することができる。平衡化後、試料をGC/MSにより分析する。
【0219】
GS/MS分析は、各バイアルのヘッドスペースをSPME(50/30μm DVB/Carboxen/PDMS、Sigma-Aldrich、部品番号57329-U)を介してサンプリングすることにより、25mmのバイアル侵入及び1分間の抽出時間により、室温下で実施される。SPME繊維は、続いて、GCインジェクタにオンラインで熱脱離される(270℃、スプリットレスモード、0.75mmのSPMEインレットライナー(Restek、物品番号23434)又は同等物を用い、300秒の脱着時間、及び43mmのインジェクタ侵入で実施)。高速GC/MSによりフルスキャンモードで香料組成物を分析した。各成分に対する特定質量のイオン抽出が得られる。
【0220】
漏出計算
漏出は、カプセル試料及び全油試料について別々に、以下のように計算され、式中、「面積」は、対象となるPRMに対応するクロマトグラムのピーク下の面積を示す。
各PRMについて、以下の式がPRM漏出を与える。
【0221】
【数9】
【0222】
全油試料及びカプセル試料の両方について全てのPRMが計算されると、補正されたPRM漏出を、以下の式を使用して計算することができる。
【0223】
【数10】
【0224】
補正されたPRM漏出が全てのPRMについて計算されると、平均漏出は、各補正されたPRM漏出の算術平均をとることによって得られる。
【実施例
【0225】
以下に提供される実施例は、事実上例示を意図するものであり、限定することを意図するものではない。
【0226】
実施例1.非加水分解性前駆体の合成
試料A.
1000gのテトラエトキシシラン(TEOS、Sigma Aldrichから入手可能)を、窒素雰囲気下で、撹拌棒及び蒸留装置を装備した清浄な乾燥した丸底フラスコに加える。490mLの無水酢酸(Sigma Aldrichから入手可能)及び5.8gのテトラキス(トリメチルシロキシ)チタン(Gelestから入手可能)を添加し、フラスコの内容物を、135℃で28時間撹拌する。この時間中に、エトキシシラン基と無水酢酸との反応によって生成した酢酸エチルを留去する。反応フラスコを室温まで冷却し、ロータリーエバポレーター(Buchi Rotovapor R110)上に置いて、このロータリーエバポレーターを水浴及び真空ポンプ(Welch 1402 DuoSeal)と共に使用して、残りの溶媒と揮発性化合物とを全て除去する。生成されたポリエトキシシラン(PEOS)は、表1に見られる以下の仕様を有する黄色の粘性液体である。TEOSの無水酢酸に対する比を変化させ、表1に示されるパラメータを制御することができる。
【0227】
【表6】
【0228】
試料B.
1000gのTEOS(Sigma Aldrichから入手可能)を、窒素雰囲気下で、撹拌棒及び蒸留装置を装備した清浄な乾燥した丸底フラスコに加えた。次に、564gの無水酢酸(Sigma Aldrichから入手可能)及び5.9gのテトラキス(トリメチルシロキシド)チタン(Gelest、Sigma Aldrichから入手可能)を添加し、フラスコの内容物を撹拌しながら135℃に加熱した。30分間にわたり激しく攪拌しながら、反応温度を135℃に維持し、その際、アルコキシシラン基と無水酢酸との反応により生成した有機エステルを、ポリエトキシシラン(PEOS)が生成された際に発生した他のアルコキシシラン基とシリル-アセテート基との縮合によって生成された追加の有機エステルと共に留去した。反応フラスコを室温まで冷却し、ロータリーエバポレーター(Buchi Rotovapor R110)上に置いて、このロータリーエバポレーターを水浴及び真空ポンプ(Welch 1402 DuoSeal)と共に使用して、残りの溶媒を全て除去した。合成されたPEOSポリマーの分岐度(DB)、分子量(Mw)、及び多分散指数(PDI)は、それぞれ0.42、2.99、及び2.70であった。
【0229】
実施例2.カプセルの集団の合成
集団A.
油相は、前駆体を有益剤及び/又はコア変性剤(有益剤及び/又はコア変性剤4部に対して前駆体1部)と混合及び均質化する(又は全ての化合物が混和性である場合には溶解する)ことによって調製する。水相は、1.25重量%のAerosil 300(Evonikから入手可能)を、0.1MのHCl水溶液中に添加し、超音波浴で少なくとも30分間分散させることによって調製する。
【0230】
各相を別々に調製してから、それらを合わせ(4部の水に対して1部の油相)、IKA ultraturrax S25N-10G混合ツールを用いて、13400RPMで1分間、油相を水相に分散させる。乳化工程が完了してから、得られたエマルジョンを異なる時間及び温度の組み合わせで硬化させる(表2Aを参照されたい。「RT」=室温、約22℃)。第2のシェル構成要素を堆積させるために、カプセルは、第2のシェル構成要素溶液による後処理を受ける:スラリーを0.1MのHCl中に前希釈し、室温で、一時停止していた磁気撹拌反応器を350RPMで使用して、10重量%ケイ酸ナトリウム水溶液の制御された添加により処理する(ケイ酸ナトリウム溶液の前希釈及び注入速度及び量についての詳細は表2Aにある;25%希釈は4倍希釈に等しい)。1MのHCl(水)溶液及び1MのNaOH(水)溶液を使用して、pH7でpHを一定に保つ。カプセルを300RPMで撹拌しながら24時間保持し、次いで2500rpmで10分間、遠心分離にかけて、脱イオン水中に再分散させる。
【0231】
カプセルが崩壊するかどうかを試験するために、スラリーは、脱イオン水で少なくとも10倍に希釈する必要がある。得られた希釈液の液滴を、顕微鏡用マイクロスライド上に加えて、室温で一晩乾燥させる。翌日、乾燥したカプセルを、(カバースライドを使用せずに)光透過によって光学顕微鏡下で観察して、カプセルがそれらの球形を保持しているかどうかを評価する。
【0232】
【表7】
【0233】
図1は、疎水性コア4を用いて調製された第1のシェル構成要素6を有する、カプセル8を製造する方法の概略図を示す。例えば、第1のボックス100では、油相1が水相2に提供される。油相2は、1種以上の香料原料などの疎水性有益剤、及び液体前駆体材料を含む。ナノ粒子3は、油相1を取り囲んでおり、例えばピッカリングエマルジョンを形成している。第2のボックス101では、加水分解された前駆体5が、コア4の周りの界面で形成され始め、コア4は、有益剤を含む油相を含む。第3のボックス102では、第1のシェル構成要素6が、コア4の周りに形成されており、第1のシェル構成要素がナノ粒子3及び加水分解された前駆体5から形成される。
【0234】
図2は、シェル10を有するカプセル9のボックス103内の概略図を示し、シェル10は、コア4の周りに第1のシェル構成要素6及び第2のシェル構成要素7を有する。カプセル9は水相2中に示されている。コア4は、1種以上の香料原料を含む。図3は、そのようなカプセル9の断面の走査型電子顕微鏡画像を示す。コア4はシェル10によって取り囲まれており、シェル10は、第2のシェル構成要素7によって取り囲まれた第1のシェル構成要素6を含む。
【0235】
表2Bは、試料A、表2Aのカプセルのいくつかのパラメータを示す。
【0236】
【表8】
【0237】
集団B.
5つのバッチを以下の手順に従って製造し、硬化工程の後、5つのバッチを合わせて、合わせたスラリーを得た。
【0238】
油相は、上述の合成した3gのPEOS前駆体有益剤を、2gの有益剤及び/又はコア変性剤、ここでは芳香油と混合し、均質化すること(又は、全ての化合物が混和性である場合には溶解させること)によって調製した。0.5gのNaClと、3.5gのEvonik製のAerosil 300ヒュームドシリカと、96gのDI水とを混合することによって、100gの水相を調製した。IKA ultra-turrax(S25N)を用いて、20000RPMで15分間、ヒュームドシリカを水相に分散させた。
【0239】
各相を別々に調製してから、5gの油相を16gの水相中に、IKA Ultra-Turraxミキサー(S25N-10g)を用いて25000RPMで5分間分散させて、所望の平均油滴直径に到達させた。次に、0.1MのHClを滴下して、pHを1にした。乳化工程が完了してから、得られたエマルジョンを撹拌せずに室温で4時間静置し、次いでカプセルが崩壊しないように十分な硬化が起こるまで90℃で16時間静置した。5つのバッチを硬化工程後に合わせて、合わせたカプセルスラリーを得た。
【0240】
第2のシェル構成要素を堆積させるために、合わせたカプセルスラリーを第2のシェル構成要素溶液で後処理した。50gの合わせたスラリーを50gの0.1MのHCl(水溶液)で希釈した。1MのNaOH(水溶液)を滴下して、pHを7に調整した。次に、一時停止していた磁気撹拌反応器を300RPM、室温で使用して、希釈スラリーを、第2のシェル構成要素前駆体溶液(15重量%のケイ酸ナトリウム(水溶液)20mL)の制御された添加(40μL/分)で処理した。1.6MのHCl(水)溶液及び1MのNaOH(水)溶液を連続的に注入することにより、pH7でpHを一定に保った。次に、カプセルを2500RPMで10分間、遠心分離した。上清を捨て、カプセルを脱イオン水中に再分散させた。
【0241】
カプセルが崩壊するかどうかを試験するために、スラリーを、脱イオン水に、10倍に希釈した。得られた希釈液の液滴を、顕微鏡用マイクロスライドに加えて、室温で一晩乾燥させた。翌日、乾燥したカプセルを、(カバースライドは使用せず)光透過によって光学顕微鏡下で観察して、カプセルがその球形の形状を維持しているかどうかを評価した。カプセルは乾燥に耐え、崩壊しなかった。測定されたカプセルの体積加重平均直径は5.3μmであり、CoVは46.2%であった。シェル中の有機成分含有量は0%であった。
【0242】
実施例3.例示的な液体布地ケア組成物配合
液体布地ケア組成物、具体的には液体布地向上剤(「LFE」)組成物の例示的な配合を以下の表3に提供する。カプセルを含まない「ベース」液体布地向上剤は、以下の組成に従って、ただし香料カプセルを使用せず(すなわち、0重量%)、調製され得る。
【0243】
【表9】
エステルクアット1:ビス-(2-ヒドロキシプロピル)-ジメチルアンモニウムメチルサルフェート脂肪酸エステルと、(2-ヒドロキシプロピル)-(1-メチル-2-ヒドロキシエチル)-ジメチルアンモニウムメチルサルフェート脂肪酸エステルと、ビス-(1-メチル-2-ヒドロキシエチル)-ジメチルアンモニウムメチルサルフェート脂肪酸エステルとの混合物であって、脂肪酸エステルはC12~C18脂肪酸混合物(REWOQUAT DIP V 濃度20M、Evonik製)から製造される、混合物
エステルクアット2:C12~C18脂肪酸混合物(REWOQUAT CI-DEEDMAC,Evonik製)から製造された、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド脂肪酸エステル
エステルクアット3:ジメチルサルフェート(REWOQUAT WE 18,Evonik製)で四級化された、トリエタノールアミンを伴う(C16~18及びC18不飽和)脂肪酸のエステル化生成物
上記表2Aの試料A~Fのいずれかによる、又は後続の実施例に記載されるカプセル。
【0244】
実施例4.LFE配合物中の異なるタイプのカプセルの漏出の比較
この実施例では、異なるタイプのカプセルの漏出プロファイルを比較する。実施例3、表3、組成物1に提供される配合を有するベース液体布地向上剤(「LFE」)を調製する。
【0245】
実施例4-1:実施例2、試料Aに従って、香料原料の混合物「香料1」を封入した香料カプセルの集団を調製する。集団のカプセルは、本開示による、シリカ系の第1のシェル構成要素及び第2のシェル構成要素を含む。
【0246】
比較例4-1:米国特許出願公開第2011/0268802号に開示されているプロセスに従って製造された封入体による、香料原料の同じ混合物(「香料1」)を封入している、ポリアクリレートシェルを含む香料カプセルの集団。
【0247】
2つのタイプのカプセルは、等量の香料(組成物の0.25重量%)を提供するように、ベース液体布地柔軟剤組成物の試料にそれぞれ提供される。得られた製品を35℃で1週間保管する。保管期間の終わりに、各製品組成物の試料を、ヘッドスペース分析を用いて、カプセルからの香料漏出について分析する。データは、ヘッドスペースに見られる個々の香料原料の量を、カプセルに最初に提供された量と比較することによって測定されるパーセンテージとして報告される。結果を表4に提供する。図4は、漏出結果のグラフを示す。
【0248】
【表10】
【0249】
上記の表4に示されるように、本開示によるカプセルは、平均して、ポリアクリレート壁を有するカプセルと比較して、試験されたPRMに関して相対的に漏出量が少ない。
【0250】
更に、本開示によるカプセルの漏出率の標準偏差は、ポリアクリレートカプセルのものと比較して相対的に小さく、異なるPRMにわたってより一貫していることを示す。
【0251】
実施例5.HDL配合物中の異なるタイプのカプセルの漏出の比較
表5Aに提供される配合を有する、ベースの強力液体(「HDL」)洗剤組成物を調製する。
【0252】
【表11】
【0253】
実施例5-1
実施例2の試料Aによる香料原料の混合物「香料1」を封入した香料カプセルの集団を調製する。1つの集団のカプセルは、本開示によるシリカ系の第1のシェル構成要素及び第2のシェル構成要素を含む。
【0254】
比較例5-1
米国特許出願公開第2011/0268802号に開示されているプロセスに従って製造された封入体による、香料原料の同じ混合物(「香料1」)を封入した、ポリアクリレートシェルを含む香料カプセルの集団。
【0255】
比較例5-2
欧州特許第2500087(B1)号に開示されているものによるカプセルを製造する。144gの香料1を容器中で秤量した。別々の容器で、25重量%のCTAC溶液3.84gを脱イオン水と混合し、質量を96gにすることによって、1重量%のCTAC溶液96gを作製した。上記の芳香剤を、上記の界面活性剤混合物と、IKA ULTRATURRAXミキサー(S25N混合ツール)を用いて、8000rpmで5分間混合した。
【0256】
次に、3.8のpHを有する(濃HClで整えた)水144gを、上記の調製したエマルジョン系に添加した。
【0257】
次に、26.73gのTEOS及び0.27gのジメチルジエトキシシランを含有する混合物27gを、一定して混合しながらエマルジョン系に滴下した。全ての前駆体を添加した時点で、混合物を50℃に加熱し、ジャケット付き反応器内でオーバーヘッドミキサーを用いて、200rpmで2時間撹拌した。
【0258】
比較例5-3
国際公開第2010013250(A2)号に開示されているものに従って製造されるカプセルを製造する。20gのTEOSと、78gのミリスチン酸イソプロピルと、52gの香料1とを混合することによって、油相を調製した。次に、25重量%のCTAC(水)溶液10gを秤量して、重量を脱イオン水で150gにして、1.67重量%のCTAC濃度に到達させることによって水相を調製した。2つの相を、ULTRATURRAXミキサー(IKA製のS25Nツール)を用いて、6000rpmで1分間混合した。次に、50gのLudox TM-50を加え、系を更に1分間、8000rpmで混合した。次に、1MのHClを用いて、pHを5に調整した。
【0259】
上記混合物に、水中の10重量%のPVOH(Selvol 540)を50gと、水中の25重量%のケイ酸ナトリウム5gとを添加した。次いで、pHを4に再調整し、系を室温で、オーバーヘッドミキサーを用いて200rpmで20時間撹拌した。
【0260】
4つのタイプのカプセルは、等量の香料(0.25%)を提供するように、強力液体組成物の試料にそれぞれ提供される。得られた製品を35℃で1週間保管する。保管期間の終わりに、各製品組成物の試料を、ヘッドスペース分析を用いて、カプセルからの香料漏出について分析する。データは、ヘッドスペースに見られる個々の香料原料の量を、カプセルに最初に供給された量と比較することによって測定されるパーセンテージとして報告される。結果を表5Bに提供する。
【0261】
【表12】
比較例5-2及び5-3の漏出値は、場合により100%より高い。これは、測定の固有の誤差によるものであり、カプセルが完全に又はほぼ完全に漏出する場合、100%を超える漏出数を示すことがある。この方法の誤差は、絶対漏出値自体が高くなるにつれて増大することが分かった。これらは、本明細書において、試験条件の際にほぼ完全に、又は完全に漏出したカプセルを有すると考えられる。
【0262】
上の表5Bに示されるように、本開示によるカプセルは、平均して、ポリアクリレート壁を有するカプセル(比較例5-1)と比較して、試験されたPRMに関して相対的により多く漏出する。しかしながら、本開示によるカプセルの漏出率の標準偏差は、ポリアクリレートカプセルのものと比較して相対的に小さく、異なるPRMにわたってより一貫していることを示す。理論に束縛されるものではないが、異なるPRMにわたる一貫した漏出率は、香料放出時にコア香油での香料特性の一貫性をもたらすものと考えられる。したがって、試験されたシリカ系カプセルは、試験されたポリアクリレートカプセルと比較して、HDL製品において特定の利点をもたらす。
【0263】
加えて、シリカカプセルの、以前に公開された開示に従って製造される比較例5-2及び5-3は、約100%の高い漏出を示す一方で、本開示のカプセルを代表する実施例5-1は、より低い漏出を有するだけでなく、試験された全てのPRMについて一貫した漏出も有する。これは、本発明に開示されるように、正しい第2のシェル構成要素と組み合わせて正しい第1のシェル構成要素を選択することの重要性を示す。
【0264】
実施例6.第2のシェル構成要素の効果
本実施例では、第2のシェルコンポーネントに関連する効果を調査する。
【0265】
実施例6-1:本開示による、シリカ系の第1のシェル構成要素及び第2のシェル構成要素を含むカプセルの集団を調製し(実施例2、試料A)、「香料1」を封入する。
【0266】
比較例6-1:実施例6-1と同じシリカ系の第1のシェル構成要素を有するが、第2のシェル構成要素シェルを有していない、比較カプセルも調製し、実施例6-1と同じ香料混合物(「香料1」)を封入する。
【0267】
2つのタイプのカプセルを、それぞれ、実施例3、表3、組成物1に提供される配合によるベース液体布地向上剤(「LFE」)の試料に、等量の香料を提供するような濃度で提供する。得られた製品を35℃で1週間保管する。保管期間の終わりに、各製品組成物の試料を、ヘッドスペース分析を用いて、カプセルからの香料漏出について分析する。データは、ヘッドスペースに見られる個々の香料原料の量を、カプセルに最初に提供された量と比較することによって測定されるパーセンテージとして報告される。結果を表6に提供する。
【0268】
【表13】
【0269】
表6に示されるように、第2のシェル構成要素を有するカプセルにおける漏出は、第2のシェル構成要素を有していないカプセルと比較して、相対的に少なく、相対的により一貫している。
【0270】
実施例7.異なるアルキルエステルクアットと組み合わせた効果
本開示によるシリカ系の第1のシェル構成要素及び第2のシェル構成要素を有し、香料1を封入した、実施例2の試料Aによるカプセルを調製し、3つの異なる液体ベース組成物に等量で提供し、液体布地ケア組成物(例えば、液体布地向上剤)として有用な、3つの製品を得る。組成物の各々(組成物1、2、及び3)は、実施例3の表3に提供されるように、異なるコンディショニング活性物質を含んでいた。
【0271】
得られた製品を35℃で1週間保管する。保管期間の終わりに、各製品組成物の試料を、ヘッドスペース分析を用いて、カプセルからの香料漏出について分析する。データは、ヘッドスペースに見られる個々の香料原料の量を、カプセルに最初に提供された量と比較することによって測定されるパーセンテージとして報告される。結果を表7に提供する。
【0272】
【表14】
【0273】
表7に示されるように、シリカ系の第1のシェル構成要素及び第2のシェル構成要素を有するカプセルにおける漏出は、様々なクアットタイプを含む製品配合物にわたって比較的類似しており、一貫している。
【0274】
実施例8.異なる香料混合物による効果
2つの異なる香料を、本開示に従って、シリカ系の第1のシェル構成要素及び第2のシェル構成要素を有するカプセル中にそれぞれ封入する(実施例2の表2Aからの試料C及びD)。
【0275】
2つのタイプのカプセルは、それぞれ、実施例3、表3、組成物1に提供される配合による液体布地向上剤(「LFE」)の試料に、等量の香料を提供するような濃度で提供される。得られた製品を35℃で1週間保管する。保管期間の終わりに、各製品組成物の試料を、ヘッドスペース分析を用いて、カプセルからの香料漏出について分析する。データは、ヘッドスペースに見られる個々の香料原料の量を、カプセルに最初に提供された量と比較することによって測定されるパーセンテージとして報告される。結果を表8に提供する。
【0276】
【表15】
【0277】
表8に示されるように、本開示によるカプセルは、液体布地向上剤製品中に保管された場合、異なる香料配合物にわたって比較的低く一貫した漏出を示す。例えば、いくつかの組成物マトリックスにおいて実証されている、香料1を含むカプセルについて低い漏出プロファイルを示す、上の実施例7も参照されたい。
【0278】
実施例9.公知のカプセル(1)との比較
この実施例では、香料4を使用して、本開示によるシリカ系カプセルを、欧州特許出願公開第3078415(A)号に開示されているシリカ系カプセル(以下の比較例9-1及び比較例9-2を参照されたい)と比較する。それぞれについて漏出試験を行う。
【0279】
実施例9~1:
実施例2、表2A、試料Eに従って、香料原料の混合物(「香料4」)を封入した、シリカ系の第1のシェル構成要素及び第2のシェル構成要素を含む香料カプセルの集団を調製する。
【0280】
比較例9-1:
25重量%のCTAC(水)溶液(Sigma Aldrichによって供給される)を脱イオン水中に希釈して、CTACの濃度を0.52重量%に到達させることによって、水相を調製した。40gの「香料4」と10gのTEOSとを混合することによって、油相を製造した。上記油相を上記の水相100gと、ULTRATURRAXミキサー(IKA製のS25N混合ツール)を用いて8500rpmで、1分間混合した。得られたエマルジョンのpHを、1MのNaOH(Sigma Aldrichにより供給)を使用して、3.9に整えた。次いで、エマルジョンを、オーバーヘッドミキサーを用いて160rpmで連続的に撹拌し、水の蒸発もいかなる他の構成成分の蒸発も回避するために覆われたジャケット付き反応器内で、30℃で17時間にわたって加熱した。17時間の反応時間後、カプセルが形成された。カプセルは、風乾時に崩壊した。
【0281】
比較例9-2:
カプセルスラリーが形成された後、pHを3.2に整えたこと、5.7gのTEOSを320分間かけて滴下したこと、その間、温度が30℃に維持されたこと、及びオーバーヘッドミキサーを用いた混合速度が160rpmで維持されたことを除き、比較例9-1と同様にしてカプセルを製造した。全てのTEOSを添加した後、スラリーを、オーバーヘッドミキサーを用いて160rpmで、30℃の温度下、更に18時間混合してカプセルを得た。カプセルは、風乾時に崩壊しなかった。
【0282】
実施例9-1並びに比較例9-1及び比較例9-2から得られたカプセルスラリーを、それぞれ、等量の香料を提供するような濃度で、実施例3の表3、組成物1に提供される配合に従って、液体布地向上剤(「LFE」)の試料に提供する。得られた製品を35℃で1週間保管する。保管期間の終わりに、各製品組成物の試料を、ヘッドスペース分析を用いて、カプセルからの香料漏出について分析する。データは、ヘッドスペースに見られる個々の香料原料の量を、カプセルに最初に提供された量と比較することによって測定されるパーセンテージとして報告される。結果を表9に提供する。
【0283】
【表16】
【0284】
表9に示されるように、実施例9-1のカプセルを含む試験組成物は、比較カプセルと比較して、複数のPRMにわたる、より低くより均一な漏出によって特徴付けられる。
【0285】
実施例10.公知のカプセル(2)との比較。
この実施例では、香料1を使用して、本開示によるシリカ系カプセルを、欧州特許第2500087(B1)号(以下の比較例10-1を参照されたい)及び国際公開第2010013250(A2)号(以下の比較例10-2を参照されたい)によって開示される公知のカプセルと比較する。実施例10-2及び比較例10-2は各々、コア調整剤、具体的にはミリスチン酸イソプロピル、すなわち「IPM」を更に含む。それぞれについて漏出試験を行う。
【0286】
実施例10-1
この実施例のカプセルを、実施例2の試料Fのプロトコルに従って製造した。油相は、前駆体1部と、有益剤及びコア調整剤の混合物(それぞれ、40/60のw/w比の香料1及びミリスチン酸イソプロピル(IPM))4部とから構成された。
【0287】
実施例10-2
この実施例のカプセルを、実施例2の試料Aのプロトコルに従って製造した。油相は、前駆体を1部と、香料1を4部とから構成された。
【0288】
比較例10-1
欧州特許第2500087(B1)号に開示されているものにより、カプセルを製造する。144gの香料1を容器中で秤量した。別々の容器で、25重量%のCTAC溶液3.84gを脱イオン水と混合し、質量を96gにすることによって、1重量%のCTAC溶液96gを作製した。上記の芳香剤を、上記の界面活性剤混合物と、IKA ULTRATURRAXミキサー(S25N混合ツール)を用いて、8000rpmで5分間混合した。
【0289】
次に、3.8のpHを有する(濃HClで整えた)水144gを、上記の調製したエマルジョン系に添加した。
【0290】
次に、26.73gのTEOS及び0.27gのジメチルジエトキシシランを含有する混合物27gを、一定して混合しながらエマルジョン系に滴下した。全ての前駆体を添加した時点で、混合物を50℃に加熱し、ジャケット付き反応器内でオーバーヘッドミキサーを用いて、200rpmで2時間撹拌した。
【0291】
比較例10-2
国際公開第2010013250(A2)号に開示されているものに従って製造されるカプセルを製造する。20gのTEOSと、78gのミリスチン酸イソプロピルと、52gの香料1とを混合することによって、油相を調製した。次に、25重量%のCTAC(水)溶液10gを秤量して、重量を脱イオン水で150gにして、1.67重量%のCTAC濃度に到達させることによって水相を調製した。2つの相を、ULTRATURRAXミキサー(IKA製のS25Nツール)を用いて、6000rpmで1分間混合した。次に、Ludox TM-50を50g加え、系を更に1分間、8000rpmで混合した。次に、1MのHClを用いて、pHを5に調整した。
【0292】
上記混合物に、水中の10重量%のPVOH(Selvol 540)を50gと、水中の25重量%のケイ酸ナトリウム5gとを添加した。次いで、pHを4に再調整し、系を室温で、オーバーヘッドミキサーを用いて200rpmで20時間撹拌した。
【0293】
実施例10-1及び10-2、並びに比較例10-1及び10-2から得られたカプセルスラリーを、それぞれ、等量の香料を提供するような濃度で、上記の実施例3の表3、組成物1に提供される配合に従って、液体布地向上剤(「LFE」)の試料に提供する。得られた製品を35℃で1週間保管する。保管期間の終わりに、各製品組成物の試料を、ヘッドスペース分析を用いて、カプセルからの香料漏出について分析する。データは、ヘッドスペースに見られる個々の香料原料の量を、カプセルに最初に提供された量と比較することによって測定されるパーセンテージとして報告される。結果を表10に提供する。図5は、漏出結果のグラフを示す。
【0294】
【表17】
【0295】
表10に示される結果によって示されるように、試験されたPRMについて低い漏出及び均一な漏出の両方を得るためには、本開示に記載されるような第2のシェル構成要素と組み合わせて、第1のシェル構成要素(式(I)の適切な前駆体を含む)を使用することが重要である。
【0296】
実施例11.例示的な布地消臭剤スプレー配合物
布地消臭剤スプレー組成物の例示的な配合を表11に示す。表11に提供される液体組成物は、本明細書に開示される噴霧器のいずれかにパッケージ化され得る。組成物は、標的布地上に噴霧されてもよい。
【0297】
【表18】
コンニャクガム(Nutricol(登録商標)XP 3464、FMC Corporation(Philadelphia,PA))の水溶液;1%活性
キサンタンガム水溶液1%活性
本開示に開示される第1及び第2のシェル構成要素を有するシリカ系香料カプセル;例えば、実施例2のカプセルを参照されたい。
KemEcal 142 PG、100%(Kemira Chemicals,Inc.(BA、Atlanta))
ジエチレングリコール、99.6%(100%)(Indorama Ventures LLC(Pasadena,TX))
ポリアルキレンオキシドメチルシロキサンコポリマー、60~100%(100%)(Momentive(商標))
ヒドロキシプロピルベータシクロデキストリン(CD)スラリー、Cavasol W7 HP TL、40%、Wacker Biosolutions(Munchen,Germany))
エタノール:SDA40B/190PF/DNB TBA/137600、94.3%(Equistar Chemicals、LP(Houston,TX))
Koralone(商標)B-119防腐剤、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン、19%(The Dow Chemical Company(Philadelphia,PA))
【0298】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、別途指定されない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0299】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるあらゆる発明に対する先行技術であるとは見なされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献又は複数の参考文献と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとは見なされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0300】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5