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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】ウェハ供給装置及び部品移載装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20240827BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20240827BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20240827BHJP
   H01L 21/67 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H01L21/78 N
H05K13/02 E
H01L21/68 A
H01L21/68 E
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023521990
(86)(22)【出願日】2021-05-17
(86)【国際出願番号】 JP2021018556
(87)【国際公開番号】W WO2022244040
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祐輝
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-29499(JP,A)
【文献】特開平8-37396(JP,A)
【文献】特許第4322863(JP,B2)
【文献】国際公開第2014/080500(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/049820(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H05K 13/02
H01L 21/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品に分割されたウェハを所定の部品取出作業位置に供給するウェハ供給装置であって、
前記部品取出作業位置側を向いて開口する第1開口部が形成された第1フレーム板と、前記部品取出作業位置側とは反対側を向いて開口する第2開口部が形成された第2フレーム板とを含み、前記第1フレーム板と前記第2フレーム板との間に前記第1開口部及び前記第2開口部に連通する内部空間を規定する装置本体と、
前記ウェハを収容可能に構成され、前記内部空間内に配置されるウェハ収容体と、
前記ウェハ収容体と前記部品取出作業位置との間における前記ウェハの前記第1開口部を介した移動が許容される第1位置と、前記ウェハ収容体に収容された前記ウェハの前記第2開口部を介した交換が許容される第2位置との間において、前記第1位置から前記第2位置に向かう第1移動方向へ前記ウェハ収容体を移動させるとともに、前記第2位置から前記第1位置に向かう第2移動方向へ前記ウェハ収容体を移動させる移動機構と、
前記移動機構による前記ウェハ収容体の移動に連動した移動が可能となるように前記内部空間内に設けられ、前記ウェハ収容体が前記第1位置に配置された状態では前記第1開口部の全体を開放する一方、前記ウェハ収容体が前記第2位置に配置された状態では前記第1開口部の全体を閉鎖する開閉板と、を備えるウェハ供給装置。
【請求項2】
前記開閉板は、前記ウェハ収容体における前記第1移動方向の上流側且つ前記第1フレーム板側の端部に取付けられている、請求項1に記載のウェハ供給装置。
【請求項3】
前記第1開口部と前記第2開口部とは、前記第1移動方向及び前記第2移動方向と直交する方向から見る視点において重ならないように形成されている、請求項2に記載のウェハ供給装置。
【請求項4】
前記ウェハ収容体は、
前記内部空間内において前記第1フレーム板との間に所定の間隙が形成されるように配置され、前記ウェハを収容するための収容本体と、
前記収容本体に対して前記間隙の範囲内で前記第1フレーム板側に突出して設けられ、前記収容本体からの前記ウェハの前記第1フレーム板側への移動を規制する移動規制姿勢と当該移動を許容する移動許容姿勢との間の姿勢変更が可能なウェハ移動制御部材と、を含み、
前記開閉板は、
前記収容本体における前記第1移動方向の上流側且つ前記第1フレーム板側の端部から前記間隙の範囲内で前記第1フレーム板側に突出する突出部と、
前記第1開口部の全体を開放又は閉鎖することが可能となるように、前記突出部から延びる延出部と、を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のウェハ供給装置。
【請求項5】
前記開閉板は、前記突出部と前記延出部とが一体の、断面形状がL型の部材から構成されている、請求項4に記載のウェハ供給装置。
【請求項6】
前記ウェハ供給装置は、前記収容本体からの前記ウェハの前記第1フレーム板側への移動を検知する機構であって、前記間隙の範囲内で前記第1移動方向及び前記第2移動方向に延びる光路上に互いに対向配置される発光部及び受光部により構成されるウェハ検知機構を、更に備え、
前記開閉板の前記突出部は、前記光路を開放することで前記発光部から前記受光部への光の通過を許容する光通過孔を有している、請求項4又は5に記載のウェハ供給装置。
【請求項7】
前記装置本体は、前記第2開口部を開閉するための扉体を含み、
前記ウェハ供給装置は、前記扉体の開放を要求する操作を受付けた場合には扉開放要求信号を出力する扉スイッチと、前記扉スイッチから出力される信号に基づいて前記移動機構を制御する移動制御部と、を更に備え、
前記移動制御部は、前記扉スイッチから前記扉開放要求信号が出力された場合、前記ウェハ収容体が前記第2位置に向けて移動して当該第2位置に配置されるように、前記移動機構を制御する、請求項1~6のいずれか1項に記載のウェハ供給装置。
【請求項8】
前記装置本体は、前記第2開口部を開閉するための扉体を含み、
前記ウェハ供給装置は、前記扉体が閉鎖された場合には扉閉鎖信号を出力する扉スイッチと、前記扉スイッチから出力される信号に基づいて前記移動機構を制御する移動制御部と、を更に備え、
前記移動制御部は、前記扉スイッチから前記扉閉鎖信号が出力された場合、前記ウェハ収容体が前記第1位置に向けて移動して当該第1位置に配置されるように、前記移動機構を制御する、請求項1~7のいずれか1項に記載のウェハ供給装置。
【請求項9】
前記ウェハ供給装置は、
前記ウェハ収容体が前記第2位置に配置されていることを検知した場合に収容体検知信号を出力する収容体検知機構と、
前記扉体が前記第2開口部を閉鎖した状態を維持する扉ロック機構と、
前記収容体検知機構から前記収容体検知信号が出力された場合、前記扉ロック機構による前記扉体の閉鎖状態の維持が解除されるように、前記扉ロック機構を制御するロック制御部と、を更に備える、請求項7又は8に記載のウェハ供給装置。
【請求項10】
前記ウェハ供給装置は、前記扉体が開放されたことを検知した場合に扉開放検知信号を出力する扉検知機構を更に備え、
前記移動機構は、前記ウェハ収容体を移動させるための駆動力を発する駆動モータを含み、
前記移動制御部は、前記扉検知機構から前記扉開放検知信号が出力された場合、前記駆動モータの駆動を停止させる、請求項7~9のいずれか1項に記載のウェハ供給装置。
【請求項11】
複数の部品に分割されたウェハを所定の部品取出作業位置に供給する、請求項1~10のいずれか1項に記載のウェハ供給装置と、
前記部品取出作業位置に供給された前記ウェハから前記部品を取出して所定の部品移載部に移載する部品移載ユニットと、を備える部品移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の部品に分割されたウェハを供給するウェハ供給装置、及びこのウェハ供給装置を備えた部品移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に部品を実装するための部品実装装置として、部品をパレットに保持された状態で所定の部品取出作業位置に供給する部品供給装置を備えた装置が知られている。この種の部品供給装置が、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示される部品供給装置は、複数の部品を配置したトレイが搭載されたパレットを収容するパレット収容体(マガジン)と、パレット収容体を上下方向に移動させるエレベータ機構とを備えている。エレベータ機構は、前記部品取出作業位置と同一の高さ位置の第1位置と、使用済みのパレットを交換するための第2位置との間で、パレット収容体を上下方向に移動させる。パレット収容体が第1位置に配置された状態では、パレットがパレット収容体から部品取出作業位置に供給される。一方、パレット収容体が第2位置に配置された状態では、使用済みのパレットがパレット収容体から取り出されて新たなパレットと交換される。
【0004】
部品供給装置では、パレット収容体が第2位置に配置された状態において、パレット収容体を通した部品取出作業位置へのアクセスを規制する必要がある。特許文献1に開示される部品供給装置では、複数の挿入防止部材がパレットの通過を許容する所定の間隔をあけた状態でパレット収容体に取付けられている。パレット収容体に取付けられた複数の挿入防止部材によって、パレット収容体を通した部品取出作業位置へのアクセスを規制することができる。
【0005】
ところで、部品供給装置の一種として、ウェハ供給装置が存在する。ウェハ供給装置は、複数の部品に分割されたウェハをそのままの状態で、或いは、パレットに保持された状態でウェハを供給する装置である。このウェハ供給装置では、パレットに保持された状態でウェハを供給する場合には、通常、厚みの大きいパレットが用いられる。上記の特許文献1に開示される挿入防止部材をウェハ供給装置に適用した場合、隣接する挿入防止部材同士の間隔がパレットの厚みの増大に応じて大きくなる。この場合、パレットに保持された状態のウェハを収容するパレット収容体(ウェハ収容体)が第2位置に配置された状態において、ウェハ収容体を通した部品取出作業位置へのアクセスを的確に規制することができなくなる虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4322863号公報
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、ウェハ収容体を通した部品取出作業位置へのアクセスを的確に規制することが可能なウェハ供給装置、及びそれを備えた部品移載装置を提供することである。
【0008】
本発明の一の局面に係るウェハ供給装置は、複数の部品に分割されたウェハを所定の部品取出作業位置に供給する装置である。このウェハ供給装置は、前記部品取出作業位置側を向いて開口する第1開口部が形成された第1フレーム板と、前記部品取出作業位置側とは反対側を向いて開口する第2開口部が形成された第2フレーム板とを含み、前記第1フレーム板と前記第2フレーム板との間に前記第1開口部及び前記第2開口部に連通する内部空間を規定する装置本体と、前記ウェハを収容可能に構成され、前記内部空間内に配置されるウェハ収容体と、前記ウェハ収容体と前記部品取出作業位置との間における前記ウェハの前記第1開口部を介した移動が許容される第1位置と、前記ウェハ収容体に収容された前記ウェハの前記第2開口部を介した交換が許容される第2位置との間において、前記第1位置から前記第2位置に向かう第1移動方向へ前記ウェハ収容体を移動させるとともに、前記第2位置から前記第1位置に向かう第2移動方向へ前記ウェハ収容体を移動させる移動機構と、前記移動機構による前記ウェハ収容体の移動に連動した移動が可能となるように前記内部空間内に設けられ、前記ウェハ収容体が前記第1位置に配置された状態では前記第1開口部の全体を開放する一方、前記ウェハ収容体が前記第2位置に配置された状態では前記第1開口部の全体を閉鎖する開閉板と、を備える。
【0009】
本発明の他の局面に係る部品移載装置は、複数の部品に分割されたウェハを所定の部品取出作業位置に供給する、上記のウェハ供給装置と、前記部品取出作業位置に供給された前記ウェハから前記部品を取出して所定の部品移載部に移載する部品移載ユニットと、を備える。
【0010】
本発明の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る部品実装装置の全体構成を示す、上面視の平面図である。
図2】ヘッドユニット及び突き上げユニットを示す概略斜視図である。
図3】ウェハ供給装置のウェハ収納エレベータを+Y側から見た斜視図である。
図4】ウェハ供給装置のウェハ収納エレベータを-Y側から見た斜視図である。
図5】ウェハ供給装置のウェハ収納エレベータを、フレーム板を外した状態で+Y側から見た斜視図である。
図6】ウェハ供給装置のウェハ収納エレベータを、フレーム板を外した状態で-Y側から見た斜視図である。
図7】パレット収容体の斜視図であって、ラッチ部材が移動規制姿勢を取った状態を示す図である。
図8】パレット収容体の斜視図であって、ラッチ部材が移動許容姿勢を取った状態を示す図である。
図9】ウェハ供給装置の制御構成を示すブロック図である。
図10】ウェハ供給装置によるパレット供給回収処理を説明するための図であって、パレット収容体が第1位置に配置された状態を示す図である。
図11】ウェハ供給装置によるパレット供給回収処理を説明するための図であって、パレット収容体が第2位置に配置された状態を示す図である。
図12】ウェハ供給装置によるパレット供給回収処理を説明するための図であって、扉体が開かれた状態を示す図である。
図13】ウェハ供給装置によるパレット供給回収処理を説明するための図であって、パレット収容体が第1位置に移動された状態を示す図である。
図14】ウェハ供給装置によるパレット供給回収処理のフローチャートである。
図15】ウェハ供給装置の第1変形例を示す図である。
図16】ウェハ供給装置の第2変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下では、方向関係についてはXYZ直交座標軸を用いて説明する。X方向及びY方向は水平面上において互いに直交し、Z方向がX方向及びY方向の両方向と直交する鉛直方向に延びる方向である。また、X方向の一方側を「+X側」と称し、X方向の一方側とは反対の他方側を「-X側」と称する。同様に、Y方向の一方側を「+Y側」と称し、Y方向の一方側とは反対の他方側を「-Y側」と称する。また、Z方向の一方側である上方側を「+Z側」と称し、Z方向の一方側とは反対の他方側である下方側を「-Z側」と称する。
【0013】
本発明に係るウェハ供給装置を備えた部品移載装置は、例えばウェハからダイシングされたダイをテープに収容するテーピング装置、前記ダイを基板にワイヤボンディングするダイボンダ、或いは前記ダイを基板に実装する部品実装装置などの各種装置に適用することができる。ここでは、本発明の部品移載装置が、部品実装装置に適用される例について説明する。
【0014】
[部品実装装置の全体構成]
図1に示されるように、本実施形態に係る部品実装装置1は、ウェハ7からダイシングされたダイ7a(部品)を基板P(所定の部品移載部)に実装する装置である。図1及び図2に示されるように、部品実装装置1は、基台2、コンベア3、ヘッドユニット4(部品移載ユニット)、部品供給部5、ウェハ供給装置6、カメラユニット32U及び突き上げユニット40を含む。
【0015】
基台2は、部品実装装置1が備える各種の機器の搭載ベースである。コンベア3は、基台2上にX方向に延びるように設置された、基板Pの搬送ラインである。コンベア3は、機外から所定の実装作業位置に基板Pを搬入し、実装作業後に基板Pを前記実装作業位置から機外へ搬出する。コンベア3は、基板Pを前記実装作業位置で保持する図略のクランプ機構を有する。なお、図1中に基板Pが示されている位置が、前記実装作業位置である。部品供給部5は、複数個のダイ7aを、ウェハ7からダイシングされた配置状態で供給する。
【0016】
ヘッドユニット4は、部品供給部5においてダイ7aをウェハ7から取出してピッキングし、上記実装作業位置へ移動すると共に、基板Pにダイ7aを実装する。ヘッドユニット4は、前記ピッキングの際にダイ7aを吸着して保持し、前記実装の際に保持しているダイ7aをリリースする複数のヘッド4Hを備える。ヘッド4Hは、ヘッドユニット4に対するZ方向への進退(昇降)移動と、軸回りの回転移動とが可能である。ヘッドユニット4には、基板Pを撮像する基板認識カメラ31が搭載されている。基板認識カメラ31の撮影画像より、基板Pに付されたフェデューシャルマークが認識される。これにより基板Pの位置ずれが認識され、部品実装時に前記位置ずれの補正が為される。
【0017】
部品実装装置1は、ヘッドユニット4を、少なくとも部品供給部5と前記実装作業位置で保持された基板Pとの間の上方空間を、水平方向(X方向及びY方向)に移動可能とする第1駆動機構D1を備える。第1駆動機構D1は、ヘッドユニット4のY方向の移動機構として、それぞれ+X側及び-X側で一対のY軸固定レール13、第1Y軸サーボモータ14及びボールねじ軸15を備える。一対のY軸固定レール13は、基台2上に固定され、X方向に所定間隔を隔てて互いに平行にY方向に延びている。ボールねじ軸15は、Y軸固定レール13に近接する位置においてY方向に延びるように配置されている。第1Y軸サーボモータ14は、ボールねじ軸15を回転駆動する。一対のY軸固定レール13間には、ヘッドユニット4を支持する支持フレーム16が架設されている。支持フレーム16の+X側端部及び-X側端部には、各ボールねじ軸15に螺合されるナット17が組付けられている。
【0018】
第1駆動機構D1は、ヘッドユニット4のX方向の移動機構として、支持フレーム16に搭載された図略のガイド部材、第1X軸サーボモータ18及びボールねじ軸19を備える。前記ガイド部材は、ヘッドユニット4のX方向の移動をガイドする部材であり、支持フレーム16の+Y側の面においてX方向に延びるように固定されている。ボールねじ軸19は、前記ガイド部材に近接して、X方向に延在するよう配設されている。第1X軸サーボモータ18は、ボールねじ軸19を回転駆動する。ヘッドユニット4には図略のナットが付設され、当該ナットはボールねじ軸19に螺合されている。
【0019】
以上の構成を備える第1駆動機構D1によれば、第1Y軸サーボモータ14が作動してボールねじ軸15が回転駆動されることにより、ヘッドユニット4が支持フレーム16と一体にY方向に移動する。また、第1X軸サーボモータ18が作動してボールねじ軸19が回転駆動されることにより、ヘッドユニット4が支持フレーム16に対してX方向に移動する。
【0020】
部品供給部5は、複数個のダイ7aに分割されたウェハ7を所定の部品取出作業位置(ウェハステージ10)に供給するウェハ供給装置6を備える。本実施形態では、ウェハ供給装置6は、パレット8に保持された状態でウェハ7をウェハステージ10に供給する。ウェハ7は、円盤形状の半導体ウェハであって、回路パターン等が既に形成されている。パレット8は、ウェハシート8aを保持している。ウェハシート8aには、ウェハ7を碁盤目状にダイシングされて形成された多数のダイ7a,7a…の集合体が貼着されている。つまり、ウェハ供給装置6は、複数個のダイ7aがウェハシート8aに貼着された状態のウェハ7をパレット8に保持された状態でウェハステージ10に供給する。ウェハ供給装置6の詳細については後述する。なお、部品供給部5は、ウェハ供給装置6に加えて、電子部品を収容した部品収容テープの形態で部品供給するテープフィーダを備えていても良い。
【0021】
カメラユニット32Uは、X方向及びY方向に移動可能なユニットであって、ウェハカメラ32を備えている。ウェハカメラ32は、ウェハステージ10上に位置決めされたウェハ7の一部分、つまりカメラ視野内のダイ7aを撮像する。この撮像画像に基づいて、ピックアップ対象のダイ7aの位置認識が為される。部品実装装置1は、カメラユニット32Uを、少なくとも部品供給部5と所定の待機位置との間の上方空間を、水平方向(X方向及びY方向)に移動可能とする第2駆動機構D2を備える。この第2駆動機構D2は、ヘッドユニット4を駆動する第1駆動機構D1とは別個に独立した駆動系である。なお、本実施形態では、前記待機位置は、ウェハステージ10から+Y側に離間した位置である。
【0022】
第2駆動機構D2は、カメラユニット32UのY方向の移動機構として、+X側及び-X側で一対のY軸固定レール33と、+X側に配置された第2Y軸サーボモータ34及びボールねじ軸35とを備える。一対のY軸固定レール33は、基台2上に固定され、X方向に所定間隔を隔てて互いに平行にY方向に延びている。ボールねじ軸35は、+X側のY軸固定レール33に近接する位置においてY方向に延びるように配置されている。第2Y軸サーボモータ34は、ボールねじ軸35を回転駆動する。一対のY軸固定レール33間には、カメラユニット32Uを支持する支持フレーム36が架設されている。支持フレーム36の+X側端部には、ボールねじ軸35に螺合されるナット37が組付けられている。
【0023】
第2駆動機構D2は、カメラユニット32UのX方向の移動機構として、支持フレーム36に搭載された図略のガイド部材、第2X軸サーボモータ38及びボールねじ軸39を備える。前記ガイド部材は、カメラユニット32UのX方向の移動をガイドする部材であり、支持フレーム36の-Y側面においてX方向に延びるように固定されている。ボールねじ軸39は、前記ガイド部材に近接して、X方向に延在するよう配設されている。第2X軸サーボモータ38は、ボールねじ軸39を回転駆動する。カメラユニット32Uには図略のナットが付設され、当該ナットはボールねじ軸39に螺合されている。
【0024】
以上の構成を備える第2駆動機構D2によれば、第2Y軸サーボモータ34が作動してボールねじ軸35が回転駆動されることにより、カメラユニット32Uが支持フレーム36と一体にY方向に移動する。また、第2X軸サーボモータ38が作動してボールねじ軸39が回転駆動されることにより、カメラユニット32Uが支持フレーム36に対してX方向に移動する。
【0025】
突き上げユニット40は、部品供給部5の下方に配置され、ヘッド4Hが吸着すべきダイ7aを、ウェハシート8aの下面側から突き上げる。突き上げユニット40は、ウェハステージ10に対応する程度の範囲にわたってXY方向に移動可能に、基台2上に配置されている。突き上げユニット40は、Y方向に延びる一対のガイドレール41に沿って移動可能な支持フレーム42に、X方向に移動可能に支持されている。
【0026】
支持フレーム42の内部に設けられた図略のナット部分に螺合するボールねじ軸43が、第3Y軸サーボモータ44により回転駆動される。これにより、突き上げユニット40が支持フレーム42と一体にY方向に移動する。また、支持フレーム42には、突き上げユニット40の内部に設けられた図略のナット部分と螺合するボールねじ軸45が配設されている。ボールねじ軸45が第3X軸サーボモータ46により回転駆動されることで、突き上げユニット40がX軸方向に移動する。突き上げユニット40は、ダイ7aを突き上げる突き上げピン47を有する。ヘッド4Hによるダイ7aの吸着時に、突き上げピン47が上昇し、ウェハシート8aを通してダイ7aを突き上げる。突き上げピン47は、ピン昇降モータによって昇降駆動される。
【0027】
基台2には、部品認識カメラ30が据え付けられている。部品認識カメラ30は、ヘッドユニット4のヘッド4Hに吸着されているダイ7aを、基板Pへの実装の前に下側から撮像する。この撮像画像に基づいて、ヘッド4Hによるダイ7aの吸着異常や吸着ミス等が判定される。
【0028】
[ウェハ供給装置の詳細構成]
図1に加えて図3図8を参照しながら、ウェハ供給装置6の構成を詳細に説明する。ウェハ供給装置6は、ウェハ収納エレベータ9と、ウェハステージ10と、ウェハコンベア11とを備える。ウェハ収納エレベータ9は、ウェハ7が貼着されたウェハシート8aをパレット8に保持した状態で、Z方向に多段に収納している。ウェハステージ10は、ウェハ収納エレベータ9の-Y側の位置において、基台2上に設置されている。基板Pの停止位置となる前記実装作業位置に対して、ウェハステージ10は+Y側に並ぶ位置に配置されている。本実施形態では、複数個のダイ7aに分割されたウェハ7が基台2上で配置されるエリアとなるウェハステージ10が、ウェハ供給装置6によりパレット8を供給する対象の部品取出作業位置となる。ウェハコンベア11は、ウェハ収納エレベータ9からウェハステージ10上にパレット8を引き出す、或いは、ウェハステージ10上のパレット8をウェハ収納エレベータ9に戻す。
【0029】
ウェハ収納エレベータ9は、ウェハ7が貼着されたウェハシート8aを保持したパレット8をウェハステージ10に供給するとともに、使用済みのパレット8をウェハステージ10から回収することが可能に構成されている。ウェハ収納エレベータ9は、装置本体91と、パレット収容体95(ウェハ収容体)と、移動機構96と、開閉板97とを備えている。
【0030】
装置本体91は、パレット収容体95、移動機構96及び開閉板97などが配置される内部空間917を規定する筐体構造を有している。装置本体91は、Y方向に互いに対向配置される第1フレーム板911及び第2フレーム板912と、X方向に互いに対向配置される一対の第3フレーム板913と、Z方向に互いに対向配置される第4フレーム板914及び第5フレーム板915と、を含む。装置本体91は、前記の各フレーム板によって囲まれた空間を前記内部空間917として規定する。
【0031】
第1フレーム板911は、装置本体91の-Y側の壁面を構成する。第1フレーム板911には、ウェハステージ10側である-Y側を向いて開口する第1開口部911Aが形成されている。図4に示されるように、第1開口部911Aは、ウェハ7を保持した状態の1つのパレット8の通過を許容する形状を有している。具体的には、第1開口部911AのX方向に沿った長さは、1つのパレット8のX方向に沿った長さよりも僅かに大きい値に設定され、第1開口部911AのZ方向に沿った長さは、1つのパレット8のZ方向に沿った長さよりも僅かに大きい値に設定される。第1開口部911Aは、Z方向においてウェハステージ10と同一の高さ位置に形成されている。
【0032】
第2フレーム板912は、装置本体91の+Y側の壁面を構成する。第2フレーム板912には、ウェハステージ10側とは反対側である+Y側を向いて開口する第2開口部912Aが形成されている。図3に示されるように、第2開口部912Aは、内部空間917内に配置される後記のパレット収容体95の全体の露出を許容する形状を有している。具体的には、第2開口部912AのX方向に沿った長さは、パレット収容体95のX方向に沿った長さよりも大きい値に設定され、第2開口部912AのZ方向に沿った長さは、パレット収容体95のZ方向に沿った長さよりも大きい値に設定される。第2開口部912Aの開口面積は、第1開口部911Aの開口面積よりも大きい。
【0033】
装置本体91において第1フレーム板911と第2フレーム板912との間に規定される内部空間917は、第1開口部911A及び第2開口部912Aに連通している。そして、第1開口部911Aと第2開口部912Aとは、内部空間917内におけるパレット収容体95の移動方向となるZ方向と直交するY方向から見る視点において、互いに重ならないように形成されている。第1開口部911Aは、第2開口部912AよりもZ方向において-Z側に形成されている。
【0034】
一対の第3フレーム板913は、装置本体91の+X側及び-X側の壁面をそれぞれ構成する。第4フレーム板914は、装置本体91の+Z側の壁面を構成する。第5フレーム板915は、装置本体91の-Z側の壁面を構成する。
【0035】
また、図3に示されるように、装置本体91は、第2開口部912Aを開閉するための扉体916を更に含む。扉体916は、第2フレーム板912における-X側の端部に設けられたZ方向に延びる回動軸回りに回動することにより、第2開口部912Aを開閉する。
【0036】
また、図5及び図6に示されるように、装置本体91の第5フレーム板915における+X側の端部領域部分には、収容体支持構造92が設けられている。収容体支持構造92は、内部空間917内においてZ方向の移動が可能となるようにパレット収容体95を支持するための構造である。収容体支持構造92は、Y方向に互いに間隔を隔てて配置されるとともに、Z方向に延びる一対のレール部材921を有している。この一対のレール部材921は、パレット収容体95を移動可能に支持する。パレット収容体95は、一対のレール部材921に支持された状態において、当該一対のレール部材921に沿って移動することにより、Z方向への移動が可能である。
【0037】
また、図3に示されるように、第4フレーム板914における+Y側の領域部分には、扉スイッチ94Aが設けられている。更に、一対の第3フレーム板913のうち+X側の第3フレーム板913における+Y側の端面には、扉ロック機構93が設けられるとともに、扉検知機構94Bが設けられている。
【0038】
扉スイッチ94Aは、扉体916の開閉に関する操作を受付けるスイッチである。扉スイッチ94Aは、扉体916の開放を要求するための操作を受付けた場合には扉開放要求信号SA1(後記の図11)を出力する一方、扉体916が閉鎖された場合には扉閉鎖信号SA2(後記の図13)を出力する。
【0039】
扉ロック機構93は、扉体916が第2開口部912Aを閉鎖した状態を維持するための機構である。扉検知機構94Bは、扉ロック機構93による扉体916の閉鎖状態の維持が解除されて、扉体916が開放されたことを検知するための検知機構である。扉検知機構94Bは、扉体916が開放されたことを検知した場合、扉開放検知信号SC(後記の図12)を出力する。
【0040】
パレット収容体95は、パレット8に保持された状態のウェハ7をZ方向に複数並んだ状態で収容するウェハ収容体である。つまり、パレット収容体95は、ウェハ7を保持した状態のパレット8を収容する。パレット収容体95は、装置本体91の内部空間917内において、収容体支持構造92の一対のレール部材921によってZ方向に移動可能に支持されている(図5及び図6参照)。図7及び図8に示されるように、パレット収容体95は、マガジンラック951と、ラッチ部材952と、ラッチ開閉機構953とを含む。
【0041】
マガジンラック951は、Y方向の両端が開口した箱形に形成され、ウェハ7を保持した状態のパレット8を収容するための収容本体を構成する構造体である。マガジンラック951のX方向の両側面には、パレット8をY方向に移動可能に支持する支持部9511がZ方向に並んで複数設けられている。なお、複数の支持部9511の各々に支持される各パレット8に保持される各ウェハ7は、互いに同一の種類である。つまり、マガジンラック951に収容される複数のパレット8の各々は、同一種のダイ7aを有するウェハ7を保持している。本実施形態では、マガジンラック951は、装置本体91の内部空間917内において、第1フレーム板911との間に所定の間隙GP(図6)が形成されるように配置される。
【0042】
ラッチ部材952は、マガジンラック951に対して前記間隙GPの範囲内で第1フレーム板911側に突出して設けられる、Z方向に延びる棒状の部材である。ラッチ部材952は、ウェハ移動制御部材の一例である。ラッチ部材952は、マガジンラック951における第1フレーム板911側(-Y側)且つX方向の+X側及び-X側の各端部にそれぞれ設けられる。ラッチ部材952は、Z方向に延びるラッチ回動軸9521回りの回動が可能である。ラッチ回動軸9521は、マガジンラック951における-Y側且つ+X側の端部と、-Y側且つ-X側の端部とに、それぞれ設けられている。ラッチ部材952は、ラッチ回動軸9521回りに回動することにより、ウェハ7を保持した状態のパレット8の、マガジンラック951からの第1フレーム板911側(-Y側)への移動を規制する移動規制姿勢(図7の姿勢)と、当該移動を許容する移動許容姿勢(図8の姿勢)との間の姿勢変更が可能である。
【0043】
ラッチ開閉機構953は、マガジンラック951における+Z側の上面に設けられる。ラッチ開閉機構953は、ラッチ部材952をラッチ回動軸9521回りに回動させることにより、当該ラッチ部材952を前記移動規制姿勢と前記移動許容姿勢との間で姿勢変更させる機構である。
【0044】
図6に示されるように、装置本体91には、パレット検知機構94Cが取付けられている。パレット検知機構94Cは、ウェハ7を保持した状態のパレット8の、マガジンラック951からの第1フレーム板911側(-Y側)への移動を検知するためのウェハ検知機構の一例である。パレット検知機構94Cは、発光部94C2及び受光部94C3により構成される。発光部94C2と受光部94C3とは、マガジンラック951と第1フレーム板911との間に形成された前記間隙GPの範囲内でZ方向(パレット収容体95の移動方向)に延びる光路94C1上に、互いに対向配置される。パレット検知機構94Cは、発光部94C2から出射されて光路94C1に沿って進行する光の、受光部94C3における受光の状況に基づいて、マガジンラック951からのパレット8の第1フレーム板911側への移動を検知する。
【0045】
移動機構96は、装置本体91の内部空間917内において収容体支持構造92の一対のレール部材921によって支持されたパレット収容体95を、Z方向に移動させるための機構である。図5及び図6に示されるように、移動機構96は、ボールねじ軸961と駆動モータ962とを備える。ボールねじ軸961は、一対のレール部材921に近接して、Z方向に延在するように配設されている。駆動モータ962は、パレット収容体95を移動させるための駆動力を発するサーボモータであって、ボールねじ軸961を回転駆動する。パレット収容体95には図略のナットが付設され、当該ナットはボールねじ軸961に螺合されている。このような構成の移動機構96によれば、駆動モータ962が作動してボールねじ軸961が回転駆動されることにより、パレット収容体95が一対のレール部材921に沿ってZ方向に移動する。
【0046】
移動機構96は、装置本体91の内部空間917内において、第1開口部911Aに面する第1位置と、第2開口部912Aに面する第2位置との間でパレット収容体95をZ方向に移動させる。前記第1位置は、パレット収容体95とウェハステージ10との間におけるパレット8の第1開口部911Aを介した移動が許容される位置である。前記第2位置は、パレット収容体95に収容されたパレット8の第2開口部912Aを介した交換が許容される位置である。なお、既述の通り、第1開口部911Aは第2開口部912AよりもZ方向の-Z側に形成されているので、この場合には、前記第1位置は前記第2位置よりもZ方向の-Z側に位置することとなる。移動機構96は、前記第1位置から前記第2位置に向かう第1移動方向Z1へパレット収容体95を移動させるとともに、前記第2位置から前記第1位置に向かう第2移動方向Z2へパレット収容体95を移動させる。
【0047】
なお、図5に示されるように、装置本体91の内部空間917内には、収容体検知機構94Dが設けられている。収容体検知機構94Dは、パレット収容体95が前記第2位置に配置されていることを検知するための機構である。収容体検知機構94Dは、パレット収容体95における第1フレーム板911側の端部に取付けられる発光部94D1と、第1フレーム板911における第2開口部912Aに対向する領域部分に取付けられる受光部94D2とにより構成される(後記の図10図13参照)。なお、発光部94D1が第1フレーム板911に取付けられ、受光部94D2がパレット収容体95に取付けられていてもよい。収容体検知機構94Dは、発光部94D1から出射された光の、受光部94D2における受光の状況に基づいて、パレット収容体95が前記第2位置に配置されていることを検知する。収容体検知機構94Dは、パレット収容体95が前記第2位置に配置されていることを検知した場合には、収容体検知信号SB(後記の図11)を出力する。なお、収容体検知機構94Dは、パレット収容体95が前記第2位置に配置されていることを検知することが可能であれば、光を利用した上記の構造に限定されるものではない。
【0048】
開閉板97は、移動機構96によるパレット収容体95の移動に連動した移動が可能となるように、装置本体91の内部空間917内に設けられた板状部材である。開閉板97は、パレット収容体95の移動に連動した移動によって、第1フレーム板911に形成された第1開口部911Aを開閉する。
【0049】
具体的には、開閉板97は、パレット収容体95が前記第1位置に配置された状態では第1開口部911Aの全体を開放する。これにより、パレット収容体95が前記第1位置に配置された状態において、パレット収容体95からウェハステージ10への第1開口部911Aを通したパレット8の供給が可能である。また、ウェハステージ10からパレット収容体95への第1開口部911Aを通したパレット8の回収が可能である。一方、パレット収容体95が前記第2位置に配置された状態では、開閉板97は、第1開口部911Aの全体を閉鎖する。これにより、パレット収容体95が前記第2位置に配置された状態においては、パレット収容体95からウェハステージ10への第1開口部911Aを通した連通を、第1開口部911Aの全体に亘って開閉板97によって遮断することができる。このため、パレット収容体95が前記第2位置に配置された状態において、パレット収容体95を通したウェハステージ10へのアクセスを的確に規制することが可能となる。
【0050】
図6図8に示されるように、開閉板97は、パレット収容体95における第1移動方向Z1の上流側(-Z側)且つ第1フレーム板911側(-Y側)の端部に取付けられている。このように開閉板97をパレット収容体95に取付けるという簡単な構成で、移動機構96によるパレット収容体95の移動に連動した移動が可能な開閉板97を実現することができる。しかも、パレット収容体95において開閉板97が取付けられる箇所は、前記第1位置から前記第2位置に向かう第1移動方向Z1の上流側であり、且つ、第1開口部911Aが形成された第1フレーム板911側の端部である。このため、前記第1位置よりも第1移動方向Z1の下流側の前記第2位置にパレット収容体95が配置された状態では、当該パレット収容体95における第1移動方向Z1の上流側且つ第1フレーム板911側の端部に取付けられた開閉板97によって、第1フレーム板911に形成された第1開口部911Aを確実に閉鎖することができる。これにより、パレット収容体95が前記第2位置に配置された状態において、パレット収容体95を通したウェハステージ10へのアクセスを、より的確に規制することが可能となる。
【0051】
既述の通り、第1開口部911Aと第2開口部912Aとは、装置本体91の内部空間917内におけるパレット収容体95の移動方向となるZ方向と直交するY方向から見る視点において、互いに重ならないように形成されている。この場合、パレット収容体95が第2開口部912Aに対応した前記第2位置に配置された状態においては、パレット収容体95からウェハステージ10への第1開口部911Aを通した連通を、第1開口部911Aの全体に亘って開閉板97によってより確実に遮断することができる。このため、パレット収容体95が前記第2位置に配置された状態において、パレット収容体95を通したウェハステージ10へのアクセスを、より的確に規制することが可能となる。
【0052】
また、既述の通り、パレット収容体95は、マガジンラック951と第1フレーム板911との間に形成された前記間隙GPの範囲内でマガジンラック951に対して第1フレーム板911側に突出したラッチ部材952を含んで構成されている。ラッチ開閉機構953によるラッチ回動軸9521回りの回動に応じてラッチ部材952が前記移動許容姿勢を取った状態では、マガジンラック951からのパレット8の第1フレーム板911側への移動が許容される。この場合、マガジンラック951からウェハステージ10への第1開口部911Aを通したパレット8の供給が可能となる。一方、ラッチ部材952が前記移動規制姿勢を取った状態では、マガジンラック951からのパレット8の第1フレーム板911側への移動が規制される。この場合、例えば、移動機構96によるパレット収容体95の移動時やパレット収容体95が前記第2位置に配置された状態において、マガジンラック951からのパレット8の第1フレーム板911側への飛び出しの規制が可能となる。
【0053】
パレット収容体95がラッチ部材952を含んで構成される場合には、上記のようにマガジンラック951と第1フレーム板911との間に間隙GPが形成された状態となる。この間隙GPはマガジンラック951と第1フレーム板911との間に形成されているので、第1フレーム板911に形成された第1開口部911Aと間隙GPとは、連通している。このため、パレット収容体95が前記第2位置に配置された状態においては、マガジンラック951とウェハステージ10とは、間隙GP及び第1開口部911Aを通して連通状態となる。この場合、マガジンラック951を通したウェハステージ10へのアクセスを規制するためには、マガジンラック951からウェハステージ10への間隙GP及び第1開口部911Aを通した連通を遮断する必要がある。
【0054】
そこで、図6に示されるように、開閉板97は、突出部971と延出部972とを含んで構成される。突出部971は、マガジンラック951における第1移動方向Z1の上流側(-Z側)且つ第1フレーム板911側(-Y側)の端部から前記間隙GPの範囲内で第1フレーム板911側に突出する板状の部分である。突出部971におけるX方向に沿った長さは、マガジンラック951のX方向に沿った長さと略同一の値に設定される。また、マガジンラック951からの突出部971の突出長さは、前記間隙GPの寸法よりも僅かに小さい値に設定される。延出部972は、第1開口部911Aの全体を開放又は閉鎖することが可能となるように、突出部971から第2移動方向Z2側(-Z側)に延びる板状の部分である。延出部972におけるX方向に沿った長さは、突出部971のX方向に沿った長さと同一であって、第1開口部911AのX方向に沿った長さよりも大きい値に設定される。また、延出部972におけるZ方向に沿った長さは、第1開口部911AのZ方向に沿った長さよりも大きい値に設定される。
【0055】
本実施形態では、開閉板97は、突出部971と延出部972とが一体の、断面形状がL型の部材から構成されている。断面形状がL型の部材を用いることによって、突出部971と延出部972とが一体の開閉板97を簡単に構成することができる。
【0056】
開閉板97の突出部971は、マガジンラック951における第1移動方向Z1の上流側且つ第1フレーム板911側の端部から前記間隙GPの範囲内で第1フレーム板911側に突出する。これにより、前記第1位置よりも第1移動方向Z1の下流側の前記第2位置にパレット収容体95が配置された状態では、突出部971によって、前記間隙GPと第1開口部911Aとの連通を遮断することができる。しかも、開閉板97の延出部972は、第1開口部911Aの全体を開放又は閉鎖することが可能となるように突出部971から延びる。これにより、パレット収容体95が前記第2位置に配置された状態では、延出部972によって第1開口部911Aを閉鎖することができる。つまり、パレット収容体95が前記第2位置に配置された状態では、マガジンラック951と第1フレーム板911との間の前記間隙GPと第1開口部911Aとの連通を突出部971によって遮断するとともに、延出部972によって第1開口部911Aを閉鎖する。これにより、パレット収容体95が前記第2位置に配置された状態において、マガジンラック951を通したウェハステージ10へのアクセスを的確に規制することが可能となる。
【0057】
また、既述の通り、マガジンラック951と第1フレーム板911との間に形成された前記間隙GPの範囲内には、当該間隙GPの範囲内でZ方向に延びる光路94C1上に互いに対向配置される発光部94C2及び受光部94C3により構成されたパレット検知機構94Cが設けられている。パレット検知機構94Cの検知結果に基づいて、マガジンラック951からのパレット8の第1フレーム板911側への飛び出し状況などを検出することができる。この場合、マガジンラック951から前記間隙GPの範囲内で第1フレーム板911側に突出する開閉板97の突出部971は、光通過孔9711を有している。この光通過孔9711は、パレット検知機構94Cの光路94C1を開放することで、発光部94C2から受光部94C3への光の通過を許容する孔である。これにより、開閉板97がパレット検知機構94Cによるパレット8の検知の邪魔となることを回避することができる。
【0058】
[ウェハ供給装置の制御構成]
次に、図9のブロック図を参照しながら、ウェハ供給装置6の制御構成について説明する。ウェハ供給装置6は、ウェハコンベア11及びウェハ収納エレベータ9の動作を制御する制御部6Cを備えている。制御部6Cは、例えば制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)や一時的にデータを記憶するフラッシュメモリ等の記憶装置が内蔵されたマイクロコンピュータからなる。制御部6Cは、前記制御プログラムが読み出されることにより、ウェハコンベア11及びウェハ収納エレベータ9の動作を制御する。制御部6Cは、例えば装置本体91における第5フレーム板915上に配置される(図5参照)。制御部6Cは、機能構成として、コンベア制御部11Cとエレベータ制御部9Cとを含む。
【0059】
コンベア制御部11Cは、ウェハコンベア11を制御する。コンベア制御部11Cは、ウェハステージ10にパレット8を供給する場合には、パレット収容体95からウェハステージ10上に第1開口部911Aを通してパレット8が引き出されるように、ウェハコンベア11を制御する。一方、ウェハステージ10に配置された使用済みのパレット8を回収する場合には、コンベア制御部11Cは、ウェハステージ10上のパレット8が第1開口部911Aを通してパレット収容体95に戻されるように、ウェハコンベア11を制御する。
【0060】
エレベータ制御部9Cは、ウェハ収納エレベータ9を制御する。エレベータ制御部9Cには、扉スイッチ94Aの出力信号が入力されるとともに、扉検知機構94B、パレット検知機構94C及び収容体検知機構94Dの各検知信号が入力される。エレベータ制御部9Cは、機能構成として、ロック制御部9C1と、ラッチ制御部9C2と、移動制御部9C3とを含む。
【0061】
ロック制御部9C1は、収容体検知機構94Dの検知信号に基づいて、扉ロック機構93を制御する。ロック制御部9C1は、パレット収容体95が前記第2位置に配置されていることを示す収容体検知信号SB(後記の図11)が収容体検知機構94Dから出力された場合に、扉ロック機構93による扉体916の閉鎖状態の維持が解除されるように、扉ロック機構93を制御する。これにより、パレット収容体95が前記第2位置に配置されている場合に限り、扉体916の閉鎖状態の維持が解除される。つまり、パレット収容体95が前記第2位置に配置されることに応じて開閉板97が第1開口部911Aの全体を閉鎖した状態において、扉体916の閉鎖状態の維持が解除される。このため、パレット収容体95が前記第2位置に配置された状態であって、且つ、第1開口部911Aが開閉板97によって閉鎖された状態である場合に限り、扉体916を開放することができる。一方、収容体検知機構94Dから収容体検知信号SBが出力されていない場合には、ロック制御部9C1は、扉ロック機構93による扉体916の閉鎖状態が維持されるように、扉ロック機構93を制御する。
【0062】
ラッチ制御部9C2は、装置本体91の内部空間917内におけるパレット収容体95の位置に応じて、ラッチ開閉機構953を制御する。ラッチ制御部9C2は、パレット収容体95が前記第1位置に配置されている場合には、ラッチ部材952が前記移動許容姿勢を取るように、ラッチ開閉機構953を制御する。ラッチ部材952が前記移動許容姿勢を取った状態では、マガジンラック951からのパレット8の第1フレーム板911側への移動が許容される。これにより、マガジンラック951からウェハステージ10への第1開口部911Aを通したパレット8の供給が可能となる。一方、移動機構96によるパレット収容体95の移動時やパレット収容体95が前記第2位置に配置されている場合には、ラッチ制御部9C2は、ラッチ部材952が前記移動規制姿勢を取るように、ラッチ開閉機構953を制御する。ラッチ部材952が前記移動規制姿勢を取った状態では、マガジンラック951からのパレット8の第1フレーム板911側への移動が規制される。これにより、マガジンラック951からのパレット8の第1フレーム板911側への飛び出しの規制が可能となる。
【0063】
移動制御部9C3は、扉スイッチ94Aの出力信号に基づいて、移動機構96を制御する。扉体916の開放を要求する操作を受付けた場合の扉開放要求信号SA1(後記の図11)が扉スイッチ94Aから出力された場合には、移動制御部9C3は、扉体916が設けられた第2開口部912Aに対応した前記第2位置にパレット収容体95が配置されるように、移動機構96を制御する。これにより、扉スイッチ94Aの操作後に扉体916が開放される場面では、パレット収容体95が前記第2位置に配置されることになる。このようにパレット収容体95が前記第2位置に配置された状態では、扉体916を開放することにより、パレット収容体95に収容されたパレット8の第2開口部912Aを介した交換が可能である。この場合、パレット収容体95を通したウェハステージ10へのアクセスが開閉板97によって的確に規制されている。
【0064】
一方、扉体916が閉鎖された場合の扉閉鎖信号SA2(後記の図13)が扉スイッチ94Aから出力された場合には、移動制御部9C3は、ウェハステージ10に向いて開口する第1開口部911Aに対応した前記第1位置にパレット収容体95が配置されるように、移動機構96を制御する。これにより、扉体916が閉鎖されている場面では、パレット収容体95が前記第1位置に配置されることになる。このようにパレット収容体95が前記第1位置に配置された状態では、開閉板97によって第1開口部911Aが開放されている。このため、パレット収容体95からウェハステージ10への第1開口部911Aを通したパレット8の供給が可能である。
【0065】
また、移動制御部9C3は、扉検知機構94Bの検知信号に基づいて、移動機構96を制御する。扉体916が開放されたとの検知結果を示す扉開放検知信号SC(後記の図12)が扉検知機構94Bから出力された場合に、移動制御部9C3は、移動機構96の駆動モータ962の駆動を停止させる。これにより、扉体916が開放された状態において、パレット収容体95が移動されるのを規制することができる。なお、移動制御部9C3が駆動モータ962の駆動を停止させた状態においても、部品実装装置1におけるヘッドユニット4を移動させるための各サーボモータ14,18、カメラユニット32Uを移動させるための各サーボモータ34,38、及び、突き上げユニット40を移動させるための各サーボモータ44,46の駆動は停止されない。このため、ウェハ供給装置6の駆動モータ962の駆動が停止された状態においても、ウェハステージ10に配置されたパレット8上のウェハ7のダイ7aを用いた部品実装装置1による実装動作は継続して行われる。
【0066】
[ウェハ供給装置の基本動作]
次に、図10図13と、図14のフローチャートを参照しながら、ウェハ供給装置6によるパレット8の供給及び回収の処理を示すパレット供給回収処理について説明する。
【0067】
図10に示されるように、装置本体91の内部空間917内においてパレット収容体95が前記第1位置に配置された状態では、開閉板97によって第1開口部911Aが開放されている(ステップS1)。この場合、ラッチ制御部9C2は、ラッチ部材952が前記移動許容姿勢を取るように、ラッチ開閉機構953を制御する。ラッチ部材952が前記移動許容姿勢を取った状態では、マガジンラック951からのパレット8の第1フレーム板911側への移動が許容される。この状態では、コンベア制御部11Cは、ウェハステージ10に配置された使用済みのパレット8Eが第1開口部911Aを通してパレット収容体95に戻されるように、ウェハコンベア11を制御する(ステップS2)。これにより、ウェハステージ10に配置された使用済みのパレット8Eがパレット収容体95に回収される。
【0068】
使用済みのパレット8Eの回収後において、コンベア制御部11Cは、パレット収容体95からウェハステージ10上に第1開口部911Aを通して新たなパレット8が引き出されるように、ウェハコンベア11を制御する(ステップS3)。これにより、使用済みのパレット8Eに代えて新たなパレット8がウェハステージ10に供給される。ヘッドユニット4は、ウェハステージ10に供給された新たなパレット8に保持されるウェハ7からダイ7aを取出す。
【0069】
パレット収容体95が前記第1位置に配置された状態において、エレベータ制御部9Cは、扉スイッチ94Aから扉開放要求信号SA1が出力されたか否かを監視する(ステップS4)。図11に示されるように、扉スイッチ94Aから扉開放要求信号SA1が出力された場合(ステップS4でYES)、ラッチ制御部9C2は、ラッチ部材952が前記移動規制姿勢を取るように、ラッチ開閉機構953を制御する。ラッチ部材952が前記移動規制姿勢を取った状態では、マガジンラック951からのパレット8の第1フレーム板911側への移動が規制される。この状態で、移動制御部9C3は、扉体916が設けられた第2開口部912Aに対応した前記第2位置にパレット収容体95が配置されるように、移動機構96を制御する(ステップS5)。
【0070】
エレベータ制御部9Cは、収容体検知機構94Dから収容体検知信号SBが出力されたか否かを監視する(ステップS6)。図11に示されるように、収容体検知機構94Dから収容体検知信号SBが出力された場合(ステップS6でYES)、パレット収容体95が前記第2位置に配置された状態であって、開閉板97が第1開口部911Aの全体を閉鎖した状態となっている。この状態で、ロック制御部9C1は、扉ロック機構93による扉体916の閉鎖状態の維持が解除されるように、扉ロック機構93を制御する(ステップS7)。
【0071】
扉ロック機構93による扉体916の閉鎖状態の維持が解除されると、扉体916を開放することができる。エレベータ制御部9Cは、扉検知機構94Bから扉開放検知信号SCが出力されたか否かを監視する(ステップS8)。図12に示されるように、扉検知機構94Bから扉開放検知信号SCが出力された場合(ステップS8でYES)、移動制御部9C3は、移動機構96の駆動モータ962の駆動を停止させる(ステップS9)。これにより、扉体916が開放された状態において、パレット収容体95が移動されるのを規制することができる。扉体916が開放された状態では、パレット収容体95に回収された使用済みのパレット8Eを、第2開口部912Aを介して新たなパレット8と交換することが可能である。この場合、パレット収容体95を通したウェハステージ10へのアクセスが開閉板97によって的確に規制されている。なお、この状態で、ヘッドユニット4は、ウェハステージ10に供給されたパレット8に保持されるウェハ7からダイ7aを取出す動作を継続して行う。
【0072】
エレベータ制御部9Cは、扉スイッチ94Aから扉閉鎖信号SA2が出力されたか否かを監視する(ステップS10)。図13に示されるように、扉スイッチ94Aから扉閉鎖信号SA2が出力された場合(ステップS10でYES)、移動制御部9C3は、ウェハステージ10に向いて開口する第1開口部911Aに対応した前記第1位置にパレット収容体95が配置されるように、移動機構96を制御する(ステップS11)。これにより、扉体916が閉鎖されている場面では、パレット収容体95が前記第1位置に配置されることになる。このようにパレット収容体95が前記第1位置に配置された状態では、開閉板97によって第1開口部911Aが開放されている。このため、パレット収容体95からウェハステージ10への第1開口部911Aを通したパレット8の供給が可能である。
【0073】
[ウェハ供給装置の変形実施形態について]
以上、本発明の実施形態に係る部品実装装置1に備えられるウェハ供給装置6について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採用することができる。
【0074】
上記の実施形態では、ウェハ収納エレベータ9の装置本体91において、第1開口部911Aが第2開口部912AよりもZ方向において-Z側に形成されている構成について説明したが、これに限定されない。図15に示されるように、第1開口部911Aが第2開口部912BよりもZ方向において+Z側に形成されていてもよい。この場合、移動機構96によるパレット収容体95の移動方向について、第1開口部911Aに対応した第1位置から第2開口部912Aに対応した第2位置に向かう第1移動方向Z1は、+Z側から-Z側へ向かう方向となる。一方、第2開口部912Aに対応した第2位置から第1開口部911Aに対応した第1位置に向かう第2移動方向Z2は、-Z側から+Z側へ向かう方向となる。
【0075】
この場合、開閉板97は、パレット収容体95における第1移動方向Z1の上流側(+Z側)且つ第1フレーム板911側(-Y側)の端部に取付けられる。このような構成では、第1位置よりも第1移動方向Z1の下流側(-Z側)の第2位置にパレット収容体95が配置された状態においては、当該パレット収容体95における第1移動方向Z1の上流側(+Z側)且つ第1フレーム板911側(-Y側)の端部に取付けられた開閉板97によって、第1フレーム板911に形成された第1開口部911Aを確実に閉鎖することができる。これにより、パレット収容体95が第2位置に配置された状態において、パレット収容体95を通したウェハステージ10へのアクセスを的確に規制することが可能となる。
【0076】
また、上記の実施形態では、パレット収容体95においてパレット8を収容するための収容本体がマガジンラック951のみで構成されている例を示したが、これに限定されない。図16に示されるように、パレット収容体95における収容本体がマガジンラック951とハウジング951Aとによって構成されていてもよい。ハウジング951Aは、Y方向の両端が開口した箱形の筐体である。ハウジング951Aは、移動機構96のボールねじ軸961に取付けられるとともに、Y方向の+Y側への移動が可能となるようにマガジンラック951を収容する。この場合、パレット収容体95が第2位置に配置された状態では、ハウジング951Aに対してマガジンラック951を、第2開口部912Aを通して出し入れすることができる。このため、複数のパレット8を収容した状態のマガジンラック951の単位で交換することができる。
【0077】
この場合、開閉板97は、ハウジング951Aにおける第1移動方向Z1の上流側且つ第1フレーム板911側の端部に取付けられる。このような構成では、パレット収容体95が第2位置に配置された状態においては、ハウジング951Aにおける第1移動方向Z1の上流側且つ第1フレーム板911側の端部に取付けられた開閉板97によって、第1フレーム板911に形成された第1開口部911Aを確実に閉鎖することができる。これにより、パレット収容体95が第2位置に配置された状態において、パレット収容体95を通したウェハステージ10へのアクセスを的確に規制することが可能となる。
【0078】
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
【0079】
本発明の一の局面に係るウェハ供給装置は、複数の部品に分割されたウェハを所定の部品取出作業位置に供給する装置である。このウェハ供給装置は、前記部品取出作業位置側を向いて開口する第1開口部が形成された第1フレーム板と、前記部品取出作業位置側とは反対側を向いて開口する第2開口部が形成された第2フレーム板とを含み、前記第1フレーム板と前記第2フレーム板との間に前記第1開口部及び前記第2開口部に連通する内部空間を規定する装置本体と、前記ウェハを収容可能に構成され、前記内部空間内に配置されるウェハ収容体と、前記ウェハ収容体と前記部品取出作業位置との間における前記ウェハの前記第1開口部を介した移動が許容される第1位置と、前記ウェハ収容体に収容された前記ウェハの前記第2開口部を介した交換が許容される第2位置との間において、前記第1位置から前記第2位置に向かう第1移動方向へ前記ウェハ収容体を移動させるとともに、前記第2位置から前記第1位置に向かう第2移動方向へ前記ウェハ収容体を移動させる移動機構と、前記移動機構による前記ウェハ収容体の移動に連動した移動が可能となるように前記内部空間内に設けられ、前記ウェハ収容体が前記第1位置に配置された状態では前記第1開口部の全体を開放する一方、前記ウェハ収容体が前記第2位置に配置された状態では前記第1開口部の全体を閉鎖する開閉板と、を備える。
【0080】
このウェハ供給装置によれば、装置本体は、部品取出作業位置側を向いて開口する第1開口部と、部品取出作業位置側とは反対側を向いて開口する第2開口部とを有する。移動機構は、ウェハ収容体と部品取出作業位置との間におけるウェハの第1開口部を介した移動が許容される第1位置と、ウェハ収容体に収容されたウェハの第2開口部を介した交換が許容される第2位置との間でウェハ収容体を移動させる。開閉板は、移動機構によるウェハ収容体の移動に連動した移動が可能である。
【0081】
開閉板は、ウェハ収容体が第1位置に配置された状態では第1開口部の全体を開放する。これにより、ウェハ収容体が第1位置に配置された状態において、ウェハ収容体から部品取出作業位置への第1開口部を通したウェハの供給が可能である。一方、ウェハ収容体が第2位置に配置された状態では、開閉板は、第1開口部の全体を閉鎖する。これにより、ウェハ収容体が第2位置に配置された状態においては、ウェハ収容体から部品取出作業位置への第1開口部を通した連通を、第1開口部の全体に亘って開閉板によって遮断することができる。このため、ウェハ収容体が第2位置に配置された状態において、ウェハ収容体を通した部品取出作業位置へのアクセスを的確に規制することが可能となる。
【0082】
上記のウェハ供給装置において、前記開閉板は、前記ウェハ収容体における前記第1移動方向の上流側且つ前記第1フレーム板側の端部に取付けられている構成であってもよい。
【0083】
この態様では、開閉板をウェハ収容体に取付けるという簡単な構成で、移動機構によるウェハ収容体の移動に連動した移動が可能な開閉板を実現することができる。しかも、ウェハ収容体において開閉板が取付けられる箇所は、第1位置から第2位置に向かう第1移動方向の上流側であり、且つ、第1開口部が形成された第1フレーム板側の端部である。このため、第1位置よりも第1移動方向の下流側の第2位置にウェハ収容体が配置された状態では、当該ウェハ収容体における第1移動方向の上流側且つ第1フレーム板側の端部に取付けられた開閉板によって、第1フレーム板に形成された第1開口部を確実に閉鎖することができる。これにより、ウェハ収容体が第2位置に配置された状態において、ウェハ収容体を通した部品取出作業位置へのアクセスを、より的確に規制することが可能となる。
【0084】
上記のウェハ供給装置において、前記第1開口部と前記第2開口部とは、前記第1移動方向及び前記第2移動方向と直交する方向から見る視点において重ならないように形成されている構成であってもよい。
【0085】
この態様では、ウェハ収容体が第2開口部に対応した第2位置に配置された状態においては、ウェハ収容体から部品取出作業位置への第1開口部を通した連通を、第1開口部の全体に亘って開閉板によってより確実に遮断することができる。このため、ウェハ収容体が第2位置に配置された状態において、ウェハ収容体を通した部品取出作業位置へのアクセスを、より的確に規制することが可能となる。
【0086】
上記のウェハ供給装置において、前記ウェハ収容体は、前記内部空間内において前記第1フレーム板との間に所定の間隙が形成されるように配置され、前記ウェハを収容するための収容本体と、前記収容本体に対して前記間隙の範囲内で前記第1フレーム板側に突出して設けられ、前記収容本体からの前記ウェハの前記第1フレーム板側への移動を規制する移動規制姿勢と当該移動を許容する移動許容姿勢との間の姿勢変更が可能なウェハ移動制御部材と、を含む構成であってもよい。この場合、前記開閉板は、前記収容本体における前記第1移動方向の上流側且つ前記第1フレーム板側の端部から前記間隙の範囲内で前記第1フレーム板側に突出する突出部と、前記第1開口部の全体を開放又は閉鎖することが可能となるように、前記突出部から延びる延出部と、を含む。
【0087】
この態様では、ウェハ収容体の収容本体と第1フレーム板との間に形成される間隙を利用してウェハ移動制御部材が設けられる。このウェハ移動制御部材が移動許容姿勢を取った状態では、収容本体からのウェハの第1フレーム板側への移動が許容される。この場合、収容本体から部品取出作業位置への第1開口部を通したウェハの供給が可能となる。一方、ウェハ移動制御部材が移動規制姿勢を取った状態では、収容本体からのウェハの第1フレーム板側への移動が規制される。この場合、例えば、移動機構によるウェハ収容体の移動時やウェハ収容体が第2位置に配置された状態において、収容本体からのウェハの第1フレーム板側への飛び出しの規制が可能となる。
【0088】
ウェハ収容体がウェハ移動制御部材を含んで構成される場合には、上記のように収容本体と第1フレーム板との間に間隙が形成された状態となる。この間隙は収容本体と第1フレーム板との間に形成されているので、第1フレーム板に形成された第1開口部と間隙とは、連通している。このため、ウェハ収容体が第2位置に配置された状態においては、収容本体と部品取出作業位置とは、間隙及び第1開口部を通して連通状態となる。この場合、収容本体を通した部品取出作業位置へのアクセスを規制するためには、収容本体から部品取出作業位置への間隙及び第1開口部を通した連通を遮断する必要がある。
【0089】
そこで、開閉板を突出部と延出部とを含んだ構成とする。開閉板の突出部は、収容本体における第1移動方向の上流側且つ第1フレーム板側の端部から間隙の範囲内で第1フレーム板側に突出する。これにより、第1位置よりも第1移動方向の下流側の第2位置にウェハ収容体が配置された状態では、収容本体における第1移動方向の上流側且つ第1フレーム板側の端部から間隙の範囲内で第1フレーム板側に突出する突出部によって、間隙と第1開口部との連通を遮断することができる。しかも、開閉板の延出部は、第1開口部の全体を開放又は閉鎖することが可能となるように突出部から延びる。これにより、ウェハ収容体が第2位置に配置された状態では、延出部によって第1開口部を閉鎖することができる。つまり、ウェハ収容体が第2位置に配置された状態では、収容本体と第1フレーム板との間の間隙と第1開口部との連通を突出部によって遮断するとともに、延出部によって第1開口部を閉鎖する。これにより、ウェハ収容体が第2位置に配置された状態において、収容本体を通した部品取出作業位置へのアクセスを的確に規制することが可能となる。
【0090】
上記のウェハ供給装置において、前記開閉板は、前記突出部と前記延出部とが一体の、断面形状がL型の部材から構成されている。
【0091】
この態様では、断面形状がL型の部材を用いることによって、突出部と延出部とが一体の開閉板を簡単に構成することができる。
【0092】
上記のウェハ供給装置は、前記収容本体からの前記ウェハの前記第1フレーム板側への移動を検知する機構であって、前記間隙の範囲内で前記第1移動方向及び前記第2移動方向に延びる光路上に互いに対向配置される発光部及び受光部により構成されるウェハ検知機構を、更に備える構成であってもよい。この場合、前記開閉板の前記突出部は、前記光路を開放することで前記発光部から前記受光部への光の通過を許容する光通過孔を有している。
【0093】
この態様では、ウェハ検知機構の検知結果に基づいて、収容本体からのウェハの第1フレーム板側への飛び出し状況などを検出することができる。この場合、開閉板において収容本体と第1フレーム板との間の間隙の範囲内で突出している突出部には、ウェハ検知機構の光路を開放する光通過孔が形成されている。これにより、開閉板がウェハ検知機構によるウェハの検知の邪魔となることを回避することができる。
【0094】
上記のウェハ供給装置において、前記装置本体は、前記第2開口部を開閉するための扉体を含む構成であってもよい。この場合、前記ウェハ供給装置は、前記扉体の開放を要求する操作を受付けた場合には扉開放要求信号を出力する扉スイッチと、前記扉スイッチから出力される信号に基づいて前記移動機構を制御する移動制御部と、を更に備える。そして、前記移動制御部は、前記扉スイッチから前記扉開放要求信号が出力された場合、前記ウェハ収容体が前記第2位置に向けて移動して当該第2位置に配置されるように、前記移動機構を制御する。
【0095】
この態様では、移動制御部は、装置本体の扉体における第2開口部の開閉に関する扉スイッチの出力信号に基づいて、移動機構を制御する。扉体の開放を要求する操作を受付けた場合の扉開放要求信号が扉スイッチから出力された場合には、移動制御部は、扉体が設けられた第2開口部に対応した第2位置にウェハ収容体が配置されるように、移動機構を制御する。これにより、扉スイッチの操作後に扉体が開放される場面では、ウェハ収容体が第2位置に配置されることになる。このようにウェハ収容体が第2位置に配置された状態では、扉体を開放することにより、ウェハ収容体に収容されたウェハの第2開口部を介した交換が可能である。この場合、ウェハ収容体を通した部品取出作業位置へのアクセスが開閉板によって的確に規制されている。
【0096】
上記のウェハ供給装置において、前記装置本体は、前記第2開口部を開閉するための扉体を含む構成であってもよい。この場合、前記ウェハ供給装置は、前記扉体が閉鎖された場合には扉閉鎖信号を出力する扉スイッチと、前記扉スイッチから出力される信号に基づいて前記移動機構を制御する移動制御部と、を更に備える。そして、前記移動制御部は、前記扉スイッチから前記扉閉鎖信号が出力された場合、前記ウェハ収容体が前記第1位置に向けて移動して当該第1位置に配置されるように、前記移動機構を制御する。
【0097】
この態様では、扉体が閉鎖された場合の扉閉鎖信号が扉スイッチから出力された場合には、移動制御部は、部品取出作業位置に向いて開口する第1開口部に対応した第1位置にウェハ収容体が配置されるように、移動機構を制御する。これにより、扉体が閉鎖されている場面では、ウェハ収容体が第1位置に配置されることになる。このようにウェハ収容体が第1位置に配置された状態では、開閉板によって第1開口部が開放されている。このため、ウェハ収容体から部品取出作業位置への第1開口部を通したウェハの供給が可能である。
【0098】
上記のウェハ供給装置は、前記ウェハ収容体が前記第2位置に配置されていることを検知した場合に収容体検知信号を出力する収容体検知機構と、前記扉体が前記第2開口部を閉鎖した状態を維持する扉ロック機構と、前記収容体検知機構から前記収容体検知信号が出力された場合、前記扉ロック機構による前記扉体の閉鎖状態の維持が解除されるように、前記扉ロック機構を制御するロック制御部と、を更に備える構成であってもよい。
【0099】
この態様では、ウェハ収容体が第2位置に配置されているとの検知結果を示す収容体検知信号が収容体検知機構から出力された場合に、ロック制御部は、ロック機構による扉体の閉鎖を維持するロック状態が解除されるように、ロック機構を制御する。これにより、ウェハ収容体が第2位置に配置されている場合に限り、扉体の閉鎖状態の維持が解除される。つまり、ウェハ収容体が第2位置に配置されることに応じて開閉板が第1開口部の全体を閉鎖した状態において、扉体の閉鎖状態の維持が解除される。このため、ウェハ収容体が第2位置に配置された状態であって、且つ、第1開口部が開閉板によって閉鎖された状態である場合に限り、扉体を開放することができる。
【0100】
上記のウェハ供給装置は、前記扉体が開放されたことを検知した場合に扉開放検知信号を出力する扉検知機構を更に備える構成であってもよい。そして、前記移動機構は、前記ウェハ収容体を移動させるための駆動力を発する駆動モータを含み、前記移動制御部は、前記扉検知機構から前記扉開放検知信号が出力された場合、前記駆動モータの駆動を停止させる。
【0101】
この態様では、扉体が開放されたとの検知結果を示す扉開放検知信号が扉検知機構から出力された場合に、移動制御部は、移動機構の駆動モータの駆動を停止させる。これにより、扉体が開放された状態において、ウェハ収容体が移動されるのを規制することができる。
【0102】
本発明の他の局面に係る部品移載装置は、複数の部品に分割されたウェハを所定の部品取出作業位置に供給する、上記のウェハ供給装置と、前記部品取出作業位置に供給された前記ウェハから前記部品を取出して所定の部品移載部に移載する部品移載ユニットと、を備える。
【0103】
以上説明した通り、本発明によれば、ウェハ収容体を通した部品取出作業位置へのアクセスを的確に規制することが可能なウェハ供給装置、及びそれを備えた部品移載装置を提供することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16