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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】エアロゾル生成システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20240827BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240827BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/20
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023531170
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(86)【国際出願番号】 JP2021024413
(87)【国際公開番号】W WO2023275955
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100198845
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 善喬
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
(72)【発明者】
【氏名】井上 康信
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-503902(JP,A)
【文献】特開2010-062080(JP,A)
【文献】特表2018-511316(JP,A)
【文献】国際公開第2020/059049(WO,A1)
【文献】特表2015-506170(JP,A)
【文献】国際公開第2021/025363(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電によって発熱し、エアロゾル発生基材を内部から加熱する長手形状の発熱部と、
前記長手形状に沿って前記発熱部の互いに対向する面をそれぞれ覆うように設けられた一対の金属板と、
を備え、
前記発熱部は、発熱量が互いに異なり、前記長手形状の長手方向に互いに分離されて設けられた複数の発熱体を含む、エアロゾル生成システム。
【請求項2】
前記一対の金属板で覆われた前記発熱部が内部に挿入される前記エアロゾル発生基材をさらに備える、請求項1に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項3】
前記長手形状の長手方向における前記一対の金属板の長さは、前記発熱部の長さよりも長い、請求項1又は2に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項4】
前記エアロゾル発生基材の内部に挿入される先端側と反対の根本側では、前記一対の金属板は、前記発熱部よりも前記長手方向に延在して設けられる、請求項3に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項5】
前記発熱部は、前記一対の金属板の間で通電される、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項6】
前記発熱部と、前記一対の金属板の少なくとも一方との間には、前記一対の金属板から前記発熱部への通電を制限する絶縁部がさらに設けられる、請求項5に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項7】
前記複数の発熱体は、互いに異なる大きさ、形状、又は特性を有する、請求項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項8】
前記エアロゾル発生基材の内部に挿入される先端側の前記発熱部の形状は、前記先端側に角を成して突出する形状である、請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項9】
前記一対の金属板の少なくとも一方は、前記発熱部の前記先端側の形状に沿って縁部が折り曲げられた先端リブ部をさらに含む、請求項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項10】
前記一対の金属板の少なくとも一方は、前記長手形状の短手方向の少なくとも一方の側の縁部を前記発熱部に沿って折り曲げたリブ部を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項11】
前記リブ部は、前記一対の金属板の少なくとも一方の前記短手方向の両側に設けられる、請求項10に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項12】
前記発熱部は、平板形状であり、
前記平板形状の厚みは、前記平板形状の幅の1/4未満である、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項13】
前記一対の金属板は、前記発熱部の前記平板形状の対向する両主面に設けられる、請求項12に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項14】
前記発熱部と、前記一対の金属板とは、導電性接着ペーストにて接着される、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項15】
前記一対の金属板は、ニッケル含有鉄合金にて形成される、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項16】
前記発熱部は、PTCヒータである、請求項1~15のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項17】
前記PTCヒータは、チタン酸バリウムを含む、請求項16に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項18】
前記発熱部の発熱温度は、350℃未満である、請求項16又は17に記載のエアロゾル生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザに吸引される物質を生成する電子タバコ及びネブライザ等の吸引装置が広く普及している。このような吸引装置は、エアロゾルを生成するためのエアロゾル源、及び生成されたエアロゾルに香味成分を付与するための香味源を用いることで、香味成分が付与されたエアロゾルを生成することができる。ユーザは、吸引装置にて生成された、香味成分が付与されたエアロゾルを吸引することで、香味を味わうことができる。
【0003】
近年、スティック状に形成された基材をエアロゾル源又は香味源として使用するタイプの吸引装置に関する技術が盛んに開発されている。例えば、下記特許文献1には、スティック状に形成された基材に挿入されることで基材を内部から加熱するブレード状の加熱部が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】中国実用新案第209807157号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に開示された加熱部は、加熱部全域でほぼ均一に熱を発するため、加熱対象である基材の温度分布を制御することが困難であった。そのため、上記特許文献1に開示された加熱部を備える吸引装置では、基材の温度分布を制御することで、基材から生成されるエアロゾル又は香味をより緻密に制御することが困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、加熱対象である基材の温度分布を制御することが可能な、新規かつ改良されたエアロゾル生成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、通電によって発熱し、エアロゾル発生基材を内部から加熱する長手形状の発熱部と、前記長手形状に沿って前記発熱部の互いに対向する面をそれぞれ覆うように設けられた一対の金属板と、を備え、前記発熱部は、発熱量が異なる少なくとも2つ以上の領域を含む、エアロゾル生成システムが提供される。
【0008】
前記一対の金属板で覆われた前記発熱部が内部に挿入される前記エアロゾル発生基材をさらに備えてもよい。
【0009】
前記長手形状の長手方向における前記一対の金属板の長さは、前記発熱部の長さよりも長くてもよい。
【0010】
前記エアロゾル発生基材の内部に挿入される先端側と反対の根本側では、前記一対の金属板は、前記発熱部よりも前記長手方向に延在して設けられてもよい。
【0011】
前記発熱部は、前記一対の金属板の間で通電されてもよい。
【0012】
前記発熱部と、前記一対の金属板の少なくとも一方との間には、前記一対の金属板から前記発熱部への通電を制限する絶縁部がさらに設けられてもよい。
【0013】
前記発熱部は、複数の発熱体を含み、前記複数の発熱体は、前記発熱量が異なる領域ごとに互いに分離されて設けられてもよい。
【0014】
前記複数の発熱体は、互いに異なる大きさ、形状、又は特性を有してもよい。
【0015】
前記複数の発熱体は、前記長手形状の長手方向に互いに分離されて配列されてもよい。
【0016】
前記エアロゾル発生基材の内部に挿入される先端側の前記発熱部の形状は、前記先端側に角を成して突出する形状であってもよい。
【0017】
前記一対の金属板の少なくとも一方は、前記発熱部の前記先端側の形状に沿って縁部が折り曲げられた先端リブ部をさらに含んでもよい。
【0018】
前記一対の金属板の少なくとも一方は、前記長手形状の短手方向の少なくとも一方の側の縁部を前記発熱部に沿って折り曲げたリブ部を含んでもよい。
【0019】
前記リブ部は、前記一対の金属板の少なくとも一方の前記短手方向の両側に設けられてもよい。
【0020】
前記発熱部は、平板形状であり、前記平板形状の厚みは、前記平板形状の幅の1/4未満であってもよい。
【0021】
前記一対の金属板は、前記発熱部の前記平板形状の対向する両主面に設けられてもよい。
【0022】
前記発熱部と、前記一対の金属板とは、導電性接着ペーストにて接着されてもよい。
【0023】
前記一対の金属板は、ニッケル含有鉄合金にて形成されてもよい。
【0024】
前記発熱部は、PTCヒータであってもよい。
【0025】
前記PTCヒータは、チタン酸バリウムを含んでもよい。
【0026】
前記発熱部の発熱温度は、350℃未満であってもよい。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように本発明によれば、加熱対象である基材の温度分布を制御することが可能なエアロゾル生成システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】吸引装置の構成例を模式的に示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る加熱部の斜視図である。
図3図2に示す加熱部が備える加熱部本体の分解斜視図である。
図4】発熱部の詳細構成の一例を示す平面図である。
図5】発熱部の詳細構成の他の例を示す平面図である。
図6図2に示す加熱部が備える固定部の上面図である。
図7】第1の変形例に係る加熱部本体の分解斜視図である
図8図7に示す加熱部本体の上面図である。
図9】第2の変形例に係る加熱部本体の分解斜視図である。
図10図9に示す加熱部本体の上面図である。
図11】第3の変形例に係る加熱部本体の分解斜視図である。
図12】第4の変形例に係る加熱部本体の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0030】
<1.吸引装置の構成例>
本構成例に係る吸引装置は、エアロゾル源を含む基材を基材内部から加熱することでエアロゾルを生成する。以下、図1を参照しながら、本構成例を説明する。
【0031】
図1は、吸引装置の構成例を模式的に示す模式図である。図1に示すように、本構成例に係る吸引装置100は、電源部111、センサ部112、通知部113、記憶部114、通信部115、制御部116、加熱部121、及び収容部140を含む。収容部140にスティック型基材150が収容された状態で、ユーザによる吸引が行われる。以下、各構成要素について順に説明する。
【0032】
電源部111は、電力を蓄積する。そして、電源部111は、吸引装置100の各構成要素に電力を供給する。電源部111は、例えば、リチウムイオン二次電池等の充電式バッテリにより構成され得る。電源部111は、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等により外部電源に接続されることで、充電されてもよい。また、電源部111は、ワイヤレス電力伝送技術により送電側のデバイスに非接続な状態で充電されてもよい。他にも、電源部111は、吸引装置100から取り外し可能に設けられてもよく、新しい電源部111と交換可能に設けられてもよい。
【0033】
センサ部112は、吸引装置100に関する各種情報を検出し、検出した情報を制御部116に出力する。一例として、センサ部112は、コンデンサマイクロホン等の圧力センサ、流量センサ、又は温度センサにより構成される。このような場合、センサ部112は、ユーザによる吸引に伴う数値を検出した場合に、ユーザによる吸引が行われたことを示す情報を制御部116に出力することができる。他の一例として、センサ部112は、ボタン又はスイッチ等の、ユーザからの情報の入力を受け付ける入力装置により構成される。とりわけ、センサ部112は、エアロゾルの生成開始/停止を指示するボタンを含み得る。このような場合、センサ部112は、ユーザにより入力された情報を制御部116に出力することができる。他の一例として、センサ部112は、加熱部121の温度を検出する温度センサにより構成される。温度センサは、例えば、加熱部121の電気抵抗値に基づいて加熱部121の温度を検出する。このような場合、センサ部112は、加熱部121の温度に基づいて、収容部140に収容されたスティック型基材150の温度を検出することができる。
【0034】
通知部113は、情報をユーザに通知する。一例として、通知部113は、LED(Light Emitting Diode)などの発光装置により構成される。これによれば、通知部113は、電源部111の状態が要充電である場合、電源部111が充電中である場合、又は吸引装置100に異常が発生した場合等に、それぞれ異なる発光パターンで発光することができる。ここでの発光パターンとは、色、及び点灯/消灯のタイミング等を含む概念である。通知部113は、発光装置と共に、又は代えて、画像を表示する表示装置、音を出力する音出力装置、及び振動する振動装置等により構成されてもよい。他にも、通知部113は、ユーザによる吸引が可能になったことを示す情報を通知してもよい。ユーザによる吸引が可能になったことを示す情報は、加熱部121により加熱されたスティック型基材150の温度が所定の温度に達した場合に、通知され得る。
【0035】
記憶部114は、吸引装置100の動作のための各種情報を記憶する。記憶部114は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体により構成される。記憶部114に記憶される情報の一例は、制御部116による各種構成要素の制御内容等の吸引装置100のOS(Operating System)に関する情報である。記憶部114に記憶される情報の他の一例は、吸引回数、吸引時刻、又は吸引時間累計等のユーザによる吸引に関する情報である。
【0036】
通信部115は、吸引装置100と他の装置との間で情報を送受信するための通信インタフェースである。通信部115は、有線又は無線の任意の通信規格に準拠した通信を行う。かかる通信規格としては、例えば、無線LAN(Local Area Network)、有線LAN、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等が採用され得る。一例として、通信部115は、ユーザによる吸引に関する情報をスマートフォンに表示させるために、ユーザによる吸引に関する情報をスマートフォンに送信する。他の一例として、通信部115は、記憶部114に記憶されているOSの情報を更新するために、サーバから新たなOSの情報を受信する。
【0037】
制御部116は、演算処理装置及び制御装置として機能し、各種プログラムに従って吸引装置100内の動作全般を制御する。制御部116は、例えばCPU(Central
Processing Unit)、又はマイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。他に、制御部116は、使用するプログラム及び演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、並びに適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでもよい。吸引装置100は、制御部116による制御に基づいて、各種処理を実行する。電源部111から他の各構成要素への給電、電源部111の充電、センサ部112による情報の検出、通知部113による情報の通知、記憶部114による情報の記憶及び読み出し、並びに通信部115による情報の送受信は、制御部116により制御される処理の一例である。各構成要素への情報の入力、及び各構成要素から出力された情報に基づく処理等、吸引装置100により実行されるその他の処理も、制御部116により制御される。
【0038】
収容部140は、内部空間141を有し、内部空間141にスティック型基材150の一部を収容しながらスティック型基材150を保持する。収容部140は、内部空間141を外部に連通する開口142を有し、開口142から内部空間141に挿入されたスティック型基材150を保持する。例えば、収容部140は、開口142及び底部143を底面とする筒状体であり、柱状の内部空間141を画定する。収容部140は、筒状体の高さ方向の少なくとも一部において、内径がスティック型基材150の外径よりも小さくなるように構成され、内部空間141に挿入されたスティック型基材150を外周から圧迫するようにしてスティック型基材150を保持し得る。収容部140は、スティック型基材150を通る空気の流路を画定する機能も有する。かかる流路内への空気の入り口である空気流入孔は、例えば底部143に配置される。他方、かかる流路からの空気の出口である空気流出孔は、開口142である。
【0039】
スティック型基材150は、スティック型のエアロゾル発生基材である。スティック型基材150は、基材部151、及び吸口部152を含む。
【0040】
基材部151は、エアロゾル源を含む。エアロゾル源は、加熱されることで霧化され、エアロゾルを生成する。エアロゾル源は、例えば、刻みたばこ又はたばこ原料を、粒状、シート状、又は粉末状に成形した加工物などのたばこ由来材料を含んでもよい。また、エアロゾル源は、たばこ以外の植物(例えばミント又はハーブ等)から生成された、非たばこ由来材料を含んでもよい。吸引装置100が医療用吸入器である場合、エアロゾル源は、患者が吸入するための薬剤を含んでもよい。なお、エアロゾル源は固体に限られず、例えば、グリセリン若しくはプロピレングリコール等の多価アルコール、又は水等の液体であってもよい。基材部151の少なくとも一部は、スティック型基材150が収容部140に保持された状態において、収容部140の内部空間141に収容される。
【0041】
吸口部152は、吸引の際にユーザに咥えられる部材である。吸口部152の少なくとも一部は、スティック型基材150が収容部140に保持された状態において、開口142から突出する。そして、開口142から突出した吸口部152をユーザが咥えて吸引することで、図示しない空気流入孔から収容部140の内部に空気が流入する。流入した空気は、収容部140の内部空間141を通過して、すなわち、基材部151を通過して、基材部151から発生するエアロゾルと共に、ユーザの口内に到達する。
【0042】
加熱部121は、エアロゾル源を加熱することで、エアロゾル源を霧化してエアロゾルを生成する。例えば、詳細は後述するが、加熱部121は、ブレード状に構成され、収容部140の底部143から収容部140の内部空間141に突出するようにして配置される。そのため、収容部140にスティック型基材150が挿入されると、ブレード状の加熱部121は、スティック型基材150の基材部151に突き刺さるようにして、スティック型基材150の内部に挿入される。そして、加熱部121が発熱すると、スティック型基材150に含まれるエアロゾル源がスティック型基材150の内部から加熱されて霧化され、エアロゾルが生成される。加熱部121は、電源部111から給電されると発熱する。一例として、所定のユーザ入力が行われたことがセンサ部112により検出された場合に、給電された加熱部121によってエアロゾルが生成されてもよい。加熱部121により加熱されたスティック型基材150の温度が所定の温度に達した場合に、ユーザによる吸引が可能となる。その後、所定のユーザ入力が行われたことがセンサ部112により検出された場合に、加熱部121の給電が停止されてもよい。他の一例として、ユーザによる吸引が行われたことがセンサ部112により検出されている期間において、給電された加熱部121によってエアロゾルが生成されてもよい。
【0043】
吸引装置100とスティック型基材150とは、協働してユーザにより吸引されるエアロゾルを生成する。そのため、吸引装置100とスティック型基材150との組み合わせは、エアロゾル生成システムとして捉えられてもよい。
【0044】
<2.加熱部の詳細な構成>
次に、図2図6を参照して、本実施形態に係る吸引装置100が備える加熱部121についてより詳細に説明する。図2は、本実施形態に係る加熱部121の斜視図である。図3は、図2に示す加熱部121が備える加熱部本体1250の分解斜視図である。図4は、発熱部1210の詳細構成の一例を示す平面図である。図5は、発熱部1210の詳細構成の他の例を示す平面図である。図6は、図2に示す加熱部121が備える固定部1260の上面図である。
【0045】
図2に示すように、加熱部121は、加熱部本体1250と、固定部1260とを備える。加熱部本体1250は、固定部1260にて保持され、固定部1260を介して吸引装置100のハウジング等に固定される。
【0046】
図3に示すように、加熱部本体1250は、発熱部1210と、第1の金属板1220と、第2の金属板1230とを含む。加熱部本体1250は、第1の金属板1220及び第2の金属板1230を介して通電される発熱部1210の発熱によって、スティック型基材150を内部から加熱することができる。
【0047】
ここで、図2及び図3において、加熱部本体1250がスティック型基材150の内部に挿入される先端側の方向を上方向とも称し、上方向と反対側の方向を下方向とも称する。また、第1の金属板1220、発熱部1210、及び第2の金属板1230が貼り合わせられる方向を前後方向とも称し、上下方向及び前後方向とそれぞれ直交する方向を左右方向とも称する。
【0048】
発熱部1210は、抵抗加熱によって発熱する長手形状の部材である。具体的には、発熱部1210は、第1の金属板1220及び第2の金属板1230の間で通電されることで発熱するPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータであってもよい。
【0049】
PTCヒータは、所定の温度(キュリー温度と称される)に達すると急激に電気抵抗値が上昇し、電気が流れなくなる特性(PTC特性)を有する抵抗体を用いたヒータである。PTCヒータは、PTC特性を活用することで、制御装置を用いずとも通電量を制御することができるため、加熱温度をキュリー温度未満に制御することが可能である。したがって、PTCヒータは、対象をキュリー温度未満で加熱することが可能である。例えば、発熱部1210は、PTC特性を有するチタン酸バリウム(BaTiO)を抵抗体とするPTCヒータであってもよい。このような場合、発熱部1210は、チタン酸バリウムのキュリー温度を350℃に設定することができるため、350℃未満の温度でスティック型基材150を加熱することができる。
【0050】
本実施形態に係る加熱部121では、発熱部1210は、発熱量が異なる少なくとも2つ以上の領域を含む。発熱量が異なる少なくとも2つ以上の領域は、例えば、発熱部1210の長手形状の長手方向に配列されて設けられる。
【0051】
これによれば、発熱部1210は、発熱部1210の長手方向の温度分布を制御しながらスティック型基材150を加熱することができるため、スティック型基材150から生成されるエアロゾル又は香味をより緻密に制御することが可能となる。例えば、発熱部1210は、エアロゾルを吸引するユーザの口元に近い側(すなわち、加熱部121がスティック型基材150の内部に挿入される先端側)の領域の発熱量を低くすることで、ユーザに吸引されるエアロゾルの温度を低下させることができる。これによれば、吸引装置100は、高温のエアロゾルがユーザに吸引されることを防止することができるため、より快適な香味体験をユーザに提供することができる。
【0052】
具体的には、発熱部1210は、発熱量が異なる複数の領域を構成するために、互いに分離された、発熱量が異なる複数の発熱体(例えば、PTCヒータ)を含んでもよい。
【0053】
例えば、図4に示すように、発熱部1210は、上下方向に配列された第1の発熱体1211、第2の発熱体1212、及び第3の発熱体1213を含んでもよい。第1の発熱体1211、第2の発熱体1212、及び第3の発熱体1213は、大きさ、形状、又は特性の少なくとも1つ以上が互いに異なることで、互いに発熱量が異なるPTCヒータである。第1の発熱体1211、第2の発熱体1212、及び第3の発熱体1213は、発熱部1210の長手形状の長手方向に、互いに分離されて配列される。
【0054】
これによれば、発熱部1210は、第1の金属板1220、及び第2の金属板1230を介して、第1の発熱体1211、第2の発熱体1212、及び第3の発熱体1213の各々に並列に通電することができる。したがって、発熱部1210は、第1の発熱体1211、第2の発熱体1212、及び第3の発熱体1213の各々が設けられた領域で互いに異なる発熱量で発熱することができる。
【0055】
なお、発熱部1210が互いに分離された複数の発熱体を含む場合、発熱部1210は、発熱体の膨張又は収縮によって、発熱体が割れたり、第1の金属板1220及び第2の金属板1230から発熱体が剥離したりすることを防止することも可能である。
【0056】
ここで、発熱部1210が複数の発熱体を含む場合、発熱部1210を挟持する第1の金属板1220、及び第2の金属板1230には、複数の発熱体の配置を示すマーク部が設けられてもよい。例えば、発熱部1210が第1の発熱体1211、第2の発熱体1212、及び第3の発熱体1213を含む場合、発熱部1210を挟持する第1の金属板1220、及び第2の金属板1230には、マーク部1220A,1230Aが設けられてもよい。
【0057】
マーク部1220A、1230Aは、第1の金属板1220、及び第2の金属板1230の左右方向の側面に設けられた切り込み等である。マーク部1220A、1230Aは、互いに分離された第1の発熱体1211、第2の発熱体1212、及び第3の発熱体1213の配置を示すために設けられる。マーク部1220A,1230Aが設けられることで、加熱部121は、製造時に、第1の発熱体1211、第2の発熱体1212、及び第3の発熱体1213の配置をより精密に制御することができる。したがって、加熱部121は、より精密に制御された温度分布にてスティック型基材150を加熱することが可能である。
【0058】
または、図5に示すように、発熱部1210は、発熱体1214、及び非発熱体1216を含んでもよい。発熱体1214は、PTCヒータであり、非発熱体1216は、有機又は無機の絶縁体である。発熱体1214、及び非発熱体1216は、発熱部1210の長手形状の長手方向に、互いに分離されて配列される。
【0059】
これによれば、発熱部1210は、発熱体1214が配置された領域を発熱が生じる領域とし、非発熱体1216が配置された領域を発熱が生じない領域とすることができる。例えば、発熱部1210は、加熱部121がスティック型基材150の内部に挿入される先端側の領域を非発熱体1216が配置された、発熱が生じない領域とし、先端側と反対の後端側の領域を発熱体1214が配置された、発熱が生じる領域としてもよい。
【0060】
また、発熱部1210の発熱体1214には、マスク材1215が貼り合わせられた領域が設けられてもよい。マスク材1215は、パターニングされた開口を有する有機又は無機の絶縁体である。マスク材1215は、発熱部1210を挟持する第1の金属板1220、及び第2の金属板1230から発熱体1214への通電量を制御するために設けられる。マスク材1215は、例えば、液晶ポリマー、絶縁性セラミック、シリコーン樹脂、又は各種ガラスなどで構成されてもよい。
【0061】
具体的には、マスク材1215が貼り合わせられた領域では、第1の金属板1220、及び第2の金属板1230から発熱体1214への通電は、マスク材1215に形成された開口の領域に制限される。そのため、発熱部1210は、発熱体1214にマスク材1215を貼り合わせることで、マスク材1215を貼り合わせた領域の通電量を低減することができるため、該領域の発熱量を低減することができる。これによれば、発熱部1210は、複数の発熱体1214を含まずとも発熱量を領域ごとに変化させることが可能となる。なお、マスク材1215に形成された開口のパターンは、任意であり、特に限定されない。
【0062】
さらに、発熱部1210の発熱体1214には、抵抗加熱を生じさせる抵抗体が貼り合わせられた領域が設けられてもよい。抵抗体が貼り合わせられた領域では、第1の金属板1220、及び第2の金属板1230からの通電量が同じであれば、抵抗体からの抵抗加熱によって該領域の発熱量が増加する。これによれば、発熱部1210は、発熱体1214に抵抗体を貼り合わせることで、抵抗体を貼り合わせた領域の発熱量を増加させることができる。したがって、発熱部1210は、複数の発熱体1214を含まずとも発熱量を領域ごとに変化させることが可能となる。
【0063】
発熱部1210は、複数の領域を含む全体の外形として、上下方向に延在する長手形状の平板にて構成されてもよい。すなわち、発熱部1210は、発熱量が異なる複数の領域を上下方向の隙間を無視して接続した場合の形状が上下方向に延在する長手形状の平板となるように設けられてもよい。発熱部1210の長手形状の長手方向は、上下方向に対応し、長手形状の短手方向は、左右方向に対応する。平板形状にて構成されることで、発熱部1210は、長手形状の長手方向(すなわち、上下方向)と垂直な断面が矩形形状となる。これによれば、発熱部1210は、断面が円形状となる場合と比較して、同一断面積でも断面形状の周長をより長くすることができる。したがって、発熱部1210は、加熱部121と、加熱部121が挿入されるスティック型基材150との接触面積をより広くすることができるため、スティック型基材150をより効率的に加熱することができる。例えば、発熱部1210の平板形状の厚みは、長手形状の短手方向(すなわち、左右方向)の幅の1/4未満であってもよい。
【0064】
また、スティック型基材150の内部に挿入される先端側の発熱部1210は、先端側に向かって(すなわち、上方向に向かって)角を成して突出する形状にて設けられてもよい。先端側に向かって成された角の形状は、鋭角、直角、又は鈍角のいずれであってもよい。発熱部1210は、スティック型基材150の内部に挿入される先端側(すなわち、上方向側)を剣先のように尖った形状とすることで、スティック型基材150の内部への加熱部121の挿入をより容易に行うことができるようになる。
【0065】
第1の金属板1220、及び第2の金属板1230は、発熱部1210を挟持する一対の電極板である。具体的には、第1の金属板1220、及び第2の金属板1230は、平板形状の発熱部1210の前後方向の対向する両主面に設けられてもよい。第1の金属板1220、及び第2の金属板1230は、短絡しないように、互いに離隔されて設けられる。
【0066】
第1の金属板1220、及び第2の金属板1230は、導電性接着ペーストを用いて発熱部1210と貼り合わせられることで、発熱部1210へ通電することができる。導電性接着ペーストとしては、例えば、エポキシ系の接着剤中に導電粒子を均一に分散させた、いわゆる異方性導電接着剤を用いることができる。
【0067】
第1の金属板1220、及び第2の金属板1230は、熱膨張率が低い金属で構成されてもよい。例えば、第1の金属板1220、及び第2の金属板1230は、インバー(登録商標)などの熱膨張率が低いニッケル(Ni)含有鉄合金で構成されてもよい。これによれば、第1の金属板1220、及び第2の金属板1230は、発熱部1210が発熱した際の熱膨張によって、発熱部1210との間の接着が剥離することを抑制することができる。
【0068】
第1の金属板1220、及び第2の金属板1230は、発熱部1210の形状と対応した形状にて発熱部1210を覆うように設けられてもよい。具体的には、第1の金属板1220、及び第2の金属板1230は、発熱部1210の長手形状を長手方向(すなわち、上下方向)にさらに引き延ばした形状にて設けられてもよい。例えば、第1の金属板1220、及び第2の金属板1230は、発熱部1210と同様に、スティック型基材150の内部に挿入される先端側(すなわち、上方向側)に頂点が存在すると共に、上下方向に向かって引き延ばされた五角形の平板形状にて設けられてもよい。なお、第1の金属板1220、及び第2の金属板1230は、互いに同一形状で設けられてもよく、互いに異なる形状で設けられてもよい。
【0069】
先端側と反対の後端側(すなわち、下方向側)の第1の金属板1220、及び第2の金属板1230は、発熱部1210の後端側の端部よりも下方向にさらに延在して設けられてもよい。発熱部1210の後端側の端部よりも下方向に延在された領域の第1の金属板1220、及び第2の金属板1230には、例えば、固定部1260が設けられてもよい。
【0070】
固定部1260は、加熱部本体1250を吸引装置100のハウジングに固定する構造部材である。具体的には、固定部1260には、スリット状の凹構造又は貫通孔構造を有する挿入部1261が設けられる。挿入部1261に第1の金属板1220、及び第2の金属板1230が挿入されることで、固定部1260は、加熱部本体1250を保持することができる。
【0071】
固定部1260は、エンジニアリングプラスチックで構成されてもよい。エンジニアリングプラスチックは、耐熱性及び機械的強度が高く、かつ射出成形などで所望の形状を安価に形成可能であるため、構造部材の構成材料として好適である。例えば、固定部1260は、エンジニアリングプラスチックの一種であるPEEK(PolyEtherEtherKetone)で構成されてもよい。PEEKは、熱可塑性樹脂として非常に高い耐熱性を有すると共に、寸法安定性が高い樹脂である。したがって、固定部1260がPEEKで構成される場合、固定部1260は、発熱部1210が発する熱による影響をより受けにくくすることが可能である。
【0072】
例えば、固定部1260は、図6に示すように、円形の平板形状にて設けられてもよい。固定部1260には、2つの凹構造又は貫通孔構造を有する挿入部1261が設けられてもよい。2つの凹構造又は貫通孔構造の各々に第1の金属板1220、及び第2の金属板1230の各々が挿入されることで、固定部1260は、加熱部本体1250を保持することができる。または、固定部1260には、1つの凹構造又は貫通孔構造を有する挿入部1261が設けられてもよい。1つの凹構造又は貫通孔構造に第1の金属板1220、及び第2の金属板1230がまとめて挿入されることで、固定部1260は、加熱部本体1250を保持することができる。
【0073】
本実施形態に係る吸引装置100が備える加熱部121では、固定部1260は、発熱部1210ではなく、第1の金属板1220、及び第2の金属板1230を保持することで、加熱部本体1250を吸引装置100のハウジングに固定する。これにより、固定部1260は、発熱部1210から発せられる熱が吸引装置100のハウジングに伝播する可能性をより低減することができる。
【0074】
また、先端側と反対の後端側(すなわち、下方向側)の第1の金属板1220、及び第2の金属板1230が発熱部1210の後端側の端部よりも下方向にさらに延在して設けられる場合、固定部1260は、発熱部1210の後端側の端部よりも下方向に延在された領域で第1の金属板1220、及び第2の金属板1230を保持してもよい。固定部1260は、発熱部1210から離れた領域で加熱部本体1250を保持することで、発熱部1210が発する熱による影響をより受けにくくすることができる。これによれば、固定部1260は、耐熱性だけでなく、加工性、及びコストを考慮して構成材料をより柔軟に選択することが可能となる。例えば、固定部1260は、金属等よりも融点又はガラス転位点が低い樹脂を構成材料として用いることが可能となる。
【0075】
以上の構成によれば、本実施形態に係る加熱部121は、発熱部1210の温度分布を制御しながらスティック型基材150を加熱することができるため、スティック型基材150から生成されるエアロゾル又は香味をより緻密に制御することが可能となる。したがって、本実施形態に係る吸引装置100は、より緻密に制御された香味体験をユーザに提供することが可能である。
【0076】
<3.変形例>
図7図12を参照して、本実施形態に係る加熱部本体1250の第1~第4の変形例について説明する。
【0077】
(第1の変形例)
図7は、第1の変形例に係る加熱部本体1250Aの分解斜視図である。図8は、図7に示す加熱部本体1250Aの上面図である。
【0078】
図7及び図8においても、図2及び図3と同様に、上下方向、前後方向、及び左右方向を定義する。具体的には、加熱部本体1250Aがスティック型基材150の内部に挿入される先端側の方向を上方向とも称し、上方向と反対側の方向を下方向とも称する。また、第1の金属板1220、発熱部1210、及び第2の金属板1230が貼り合わせられる方向を前後方向とも称し、上下方向及び前後方向とそれぞれ直交する方向を左右方向とも称する。
【0079】
図7及び図8に示すように、第1の変形例に係る加熱部本体1250Aでは、第1の金属板1220、又は第2の金属板1230の少なくともいずれか一方にリブ部1240が設けられる。発熱部1210については、図2図6を参照して説明したとおりであるため、ここでの説明は省略する。
【0080】
具体的には、リブ部1240は、第1の金属板1220の長手形状の短手方向(すなわち、左右方向)の両方の縁部を発熱部1210の外形に沿って折り曲げることで形成される。例えば、第1の金属板1220が上下方向に引き延ばされた五角形形状で設けられる場合、リブ部1240は、第1の金属板1220の引き延ばされた左右方向の両辺の縁部をそれぞれ折り曲げることで形成されてもよい。
【0081】
リブ部1240が設けられることで、第1の金属板1220は、リブ部1240を折り曲げた前後方向(第1の金属板1220の主面の法線方向)の強度がより高まるため、該法線方向への変形を抑制することができる。これによれば、加熱部本体1250Aは、第1の金属板1220の主面の法線方向(すなわち、前後方向)に変形しにくくなるため、加熱部本体1250Aが該法線方向に折れる可能性を低減することができる。第1の変形例に係る加熱部本体1250Aによれば、加熱部121は、他の上下方向及び左右方向と比較して強度が低い前後方向の強度を高めることができるため、スティック型基材150に挿入された際に加熱部121が折れる可能性を低減することができる。
【0082】
(第2の変形例)
図9は、第2の変形例に係る加熱部本体1250Bの分解斜視図である。図10は、図9に示す加熱部本体1250Bの上面図である。
【0083】
図9及び図10においても、図2及び図3と同様に、上下方向、前後方向、及び左右方向を定義する。具体的には、加熱部本体1250Bがスティック型基材150の内部に挿入される先端側の方向を上方向とも称し、上方向と反対側の方向を下方向とも称する。また、第1の金属板1220、発熱部1210、及び第2の金属板1230が貼り合わせられる方向を前後方向とも称し、上下方向及び前後方向とそれぞれ直交する方向を左右方向とも称する。
【0084】
図9及び図10に示すように、第2の変形例に係る加熱部本体1250Bでは、第1の金属板1220に第1リブ部1241が設けられ、第2の金属板1230に第2リブ部1242が設けられる。発熱部1210については、図2図6を参照して説明したとおりであるため、ここでの説明は省略する。
【0085】
具体的には、第1リブ部1241は、第1の金属板1220の長手形状の短手方向(すなわち、左右方向)の一方の縁部を発熱部1210の外形に沿って折り曲げることで形成されてもよい。第2リブ部1242は、第2の金属板1230の長手形状の短手方向(すなわち、左右方向)の他方の縁部を発熱部1210の外形に沿って折り曲げることで形成されてもよい。例えば、第1の金属板1220、及び第2の金属板1230が上下方向に引き延ばされた五角形形状で設けられる場合、第1リブ部1241は、第1の金属板1220の引き延ばされた右辺の縁部を折り曲げることで形成されてもよい。また、第2リブ部1242は、第2の金属板1230の引き延ばされた左辺の縁部を折り曲げることで形成されてもよい。
【0086】
第1リブ部1241及び第2リブ部1242が設けられることで、第1の金属板1220、及び第2の金属板1230は、第1リブ部1241及び第2リブ部1242を折り曲げた前後方向の強度がより高まるため、該法線方向への変形を抑制することができる。これによれば、加熱部本体1250Bは、第1の金属板1220、及び第2の金属板1230の主面の法線方向(すなわち、前後方向)に変形しにくくなるため、加熱部121が該法線方向に折れる可能性を低減することができる。
【0087】
すなわち、第1リブ部1241及び第2リブ部1242は、一対の電極板の両方(第1の金属板1220、及び第2の金属板1230)に設けられてもよい。このような場合でも、第2の変形例に係る加熱部本体1250Bは、第1の金属板1220にのみにリブ部1240が設けられた加熱部本体1250Aと同様に、スティック型基材150に挿入された際に加熱部121が折れる可能性を低減することができる。
【0088】
(第3の変形例)
図11は、第3の変形例に係る加熱部本体1250Cの分解斜視図である。
【0089】
図11においても、図2及び図3と同様に、上下方向、前後方向、及び左右方向を定義する。具体的には、加熱部本体1250Cがスティック型基材150の内部に挿入される先端側の方向を上方向とも称し、上方向と反対側の方向を下方向とも称する。また、第1の金属板1220、発熱部1210、及び第2の金属板1230が貼り合わせられる方向を前後方向とも称し、上下方向及び前後方向とそれぞれ直交する方向を左右方向とも称する。
【0090】
図11に示すように、第3の変形例に係る加熱部本体1250Cでは、リブ部1240に加えて、発熱部1210の先端側に向かって(すなわち、上方向に向かって)角を成して突出する形状に沿って先端リブ部1243がさらに設けられる。発熱部1210については、図2図6を参照して説明したとおりであるため、ここでの説明は省略する。
【0091】
具体的には、先端リブ部1243は、第1の金属板1220の上方向側(すなわち、発熱部1210の先端側)の各辺の縁部を発熱部1210の外形に沿って折り曲げることで形成されてもよい。例えば、第1の金属板1220が上下方向に引き延ばされた五角形形状で設けられる場合、先端リブ部1243は、第1の金属板1220の上方向側の2辺の縁部を折り曲げることで形成されてもよい。このような場合、第1の金属板1220は、五角形形状の下方向の辺を除いた4辺にリブ部1240又は先端リブ部1243が形成されることになる。
【0092】
先端リブ部1243が設けられることで、第1の金属板1220は、発熱部1210の先端側(すなわち、上方向側)に形成された剣先のように尖った形状を先端リブ部1243にて覆うことができる。これによれば、加熱部本体1250Cは、加熱部121がスティック型基材150に挿入された際に、発熱部1210、第1の金属板1220、及び第2の金属板1230の間に応力が作用することで、第1の金属板1220、及び第2の金属板1230が発熱部1210から剥離することを防止することができる。したがって、加熱部本体1250Cは、スティック型基材150への挿入に対する加熱部121の耐久性をより向上させることが可能である。
【0093】
(第4の変形例)
図12は、第4の変形例に係る加熱部本体1250Dの分解斜視図である。
【0094】
図12においても、図2及び図3と同様に、上下方向、前後方向、及び左右方向を定義する。具体的には、加熱部本体1250Dがスティック型基材150の内部に挿入される先端側の方向を上方向とも称し、上方向と反対側の方向を下方向とも称する。また、第1の金属板1220、発熱部1210、及び第2の金属板1230が貼り合わせられる方向を前後方向とも称し、上下方向及び前後方向とそれぞれ直交する方向を左右方向とも称する。
【0095】
図12に示すように、第4の変形例に係る加熱部本体1250Dでは、第1の金属板1220に第1リブ部1241が設けられ、第2の金属板1230に第2リブ部1242が設けられる。
【0096】
具体的には、第1リブ部1241は、第1の金属板1220の長手形状の短手方向(すなわち、左右方向)の両方の縁部を発熱部1210の外形に沿って折り曲げることで形成されてもよい。第2リブ部1242は、第2の金属板1230の長手形状の短手方向(すなわち、左右方向)の両方の縁部を発熱部1210の外形に沿って折り曲げることで形成されてもよい。例えば、第1の金属板1220、及び第2の金属板1230が上下方向に引き延ばされた矩形形状で設けられる場合、第1リブ部1241は、第1の金属板1220の短手方向の両辺の縁部を折り曲げることで形成されてもよい。また、第2リブ部1242は、第2の金属板1230の短手方向の両辺の縁部を折り曲げることで形成されてもよい。
【0097】
このような場合、発熱部1210は、第1リブ部1241と、第2リブ部1242との間の短絡を防止するために、より厚みを有する形状にて設けられてもよい。例えば、発熱部1210は、上下方向に延在する角柱形状にて設けられてもよい。また、スティック型基材150の内部に挿入される先端側の発熱部1210は、先端側に向かって(すなわち、上方向に向かって)稜線を成して突出するように設けられてもよい。
【0098】
第1リブ部1241及び第2リブ部1242が設けられることで、第1の金属板1220、及び第2の金属板1230は、第1リブ部1241及び第2リブ部1242を折り曲げた前後方向の強度がより高まるため、該法線方向への変形を抑制することができる。これによれば、加熱部本体1250Dは、第1の金属板1220、及び第2の金属板1230の主面の法線方向(すなわち、前後方向)に変形しにくくなるため、加熱部本体1250Dが該法線方向に折れる可能性を低減することができる。したがって、第4の変形例に係る加熱部本体1250Dは、第1の変形例に係る加熱部本体1250Aと同様に、スティック型基材150に挿入された際に加熱部121が折れる可能性を低減することができる。
【0099】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0100】
なお、以下のような構成も本発明の技術的範囲に属する。
(1)
通電によって発熱し、エアロゾル発生基材を内部から加熱する長手形状の発熱部と、
前記長手形状に沿って前記発熱部の互いに対向する面をそれぞれ覆うように設けられた一対の金属板と、
を備え、
前記発熱部は、発熱量が異なる少なくとも2つ以上の領域を含む、エアロゾル生成システム。
(2)
前記一対の金属板で覆われた前記発熱部が内部に挿入される前記エアロゾル発生基材をさらに備える、上記(1)に記載のエアロゾル生成システム。
(3)
前記長手形状の長手方向における前記一対の金属板の長さは、前記発熱部の長さよりも長い、上記(1)又は(2)に記載のエアロゾル生成システム。
(4)
前記エアロゾル発生基材の内部に挿入される先端側と反対の根本側では、前記一対の金属板は、前記発熱部よりも前記長手方向に延在して設けられる、上記(3)に記載のエアロゾル生成システム。
(5)
前記発熱部は、前記一対の金属板の間で通電される、上記(1)~(4)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(6)
前記発熱部と、前記一対の金属板の少なくとも一方との間には、前記一対の金属板から前記発熱部への通電を制限する絶縁部がさらに設けられる、上記(5)に記載のエアロゾル生成システム。
(7)
前記発熱部は、複数の発熱体を含み、
前記複数の発熱体は、前記発熱量が異なる領域ごとに互いに分離されて設けられる、上記(1)~(6)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(8)
前記複数の発熱体は、互いに異なる大きさ、形状、又は特性を有する、上記(7)に記載のエアロゾル生成システム。
(9)
前記複数の発熱体は、前記長手形状の長手方向に互いに分離されて配列される、上記(7)又は(8)に記載のエアロゾル生成システム。
(10)
前記エアロゾル発生基材の内部に挿入される先端側の前記発熱部の形状は、前記先端側に角を成して突出する形状である、上記(1)~(9)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(11)
前記一対の金属板の少なくとも一方は、前記発熱部の前記先端側の形状に沿って縁部が折り曲げられた先端リブ部をさらに含む、上記(10)に記載のエアロゾル生成システム。
(12)
前記一対の金属板の少なくとも一方は、前記長手形状の短手方向の少なくとも一方の側の縁部を前記発熱部に沿って折り曲げたリブ部を含む、上記(1)~(11)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(13)
前記リブ部は、前記一対の金属板の少なくとも一方の前記短手方向の両側に設けられる、上記(12)に記載のエアロゾル生成システム。
(14)
前記発熱部は、平板形状であり、
前記平板形状の厚みは、前記平板形状の幅の1/4未満である、上記(1)~(13)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(15)
前記一対の金属板は、前記発熱部の前記平板形状の対向する両主面に設けられる、上記(14)に記載のエアロゾル生成システム。
(16)
前記発熱部と、前記一対の金属板とは、導電性接着ペーストにて接着される、上記(1)~(15)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(17)
前記一対の金属板は、ニッケル含有鉄合金にて形成される、上記(1)~(16)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(18)
前記発熱部は、PTCヒータである、上記(1)~(17)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(19)
前記PTCヒータは、チタン酸バリウムを含む、上記(18)に記載のエアロゾル生成システム。
(20)
前記発熱部の発熱温度は、350℃未満である、上記(18)又は(19)に記載のエアロゾル生成システム。
【符号の説明】
【0101】
100 吸引装置
111 電源部
112 センサ部
113 通知部
114 記憶部
115 通信部
116 制御部
121 加熱部
140 収容部
141 内部空間
142 開口
143 底部
150 スティック型基材
151 基材部
152 吸口部
1210 発熱部
1211 第1の発熱体
1212 第2の発熱体
1213 第3の発熱体
1214 発熱体
1215 マスク材
1216 非発熱体
1220 第1の金属板
1230 第2の金属板
1220A,1230A マーク部
1240 リブ部
1241 第1リブ部
1242 第2リブ部
1243 先端リブ部
1250,1250A,1250B,1250C,1250D 加熱部本体
1260 固定部
1261 挿入部
図1
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図3
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図5
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図12