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特許7544992排気ガス浄化用酸化触媒およびそれを用いた排気ガスの酸化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】排気ガス浄化用酸化触媒およびそれを用いた排気ガスの酸化方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/63 20060101AFI20240827BHJP
   B01J 37/34 20060101ALI20240827BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B01J23/63 A ZAB
B01J37/34
B01D53/94 222
B01D53/94 245
B01D53/94 280
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023565246
(86)(22)【出願日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 JP2023023556
(87)【国際公開番号】W WO2024009821
(87)【国際公開日】2024-01-11
【審査請求日】2023-10-23
(31)【優先権主張番号】P 2022109527
(32)【優先日】2022-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】312016218
【氏名又は名称】ユミコア日本触媒株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小糸 祐介
(72)【発明者】
【氏名】中野 史哉
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0015622(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110614101(CN,A)
【文献】特開平06-219721(JP,A)
【文献】特開2004-337840(JP,A)
【文献】特開2010-119969(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106732518(CN,A)
【文献】特表2016-517342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00-38/74
B01D 53/86-53/90,53/94-53/96
C01F 17/32
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元構造体上に、白金と、パラジウムと、セリウム-アルミニウム複合酸化物またはセリウム-アルミニウム複合酸化物およびアルミニウム酸化物と、を含む触媒層が形成されてなる排気ガス浄化用酸化触媒であって、
前記セリウム-アルミニウム複合酸化物は、Ce0.95Al0.052.00を含み、
X線回折パターンにおけるCe0.95Al0.052.00に対するCeOのピーク強度比は、1.66~4.21であり、
前記触媒中に占める前記セリウム-アルミニウム複合酸化物の含有率(固形分換算)が24.7質量%~98.7質量%である、排気ガス浄化用酸化触媒。
【請求項2】
前記触媒層は、白金、パラジウムおよびセリウム-アルミニウム複合酸化物から構成される、請求項1に記載の排気ガス浄化用酸化触媒。
【請求項3】
前記触媒層は、白金、パラジウム、セリウム-アルミニウム複合酸化物およびアルミニウム酸化物から構成される、請求項1に記載の排気ガス浄化用酸化触媒。
【請求項4】
前記パラジウムに対する前記白金の含有比が1.0を超え7.0未満(質量比)である、請求項1に記載の排気ガス浄化用酸化触媒。
【請求項5】
ディーゼルエンジンから排出される排気ガスを酸化するための触媒である、請求項1に記載の排気ガス浄化用酸化触媒。
【請求項6】
セリウム源およびアルミニウム源を酸性溶液に添加して水溶液1を調製し、前記水溶液1に超音波を印加して水溶液2を調製し、前記水溶液2を塩基性溶液に添加して粉末を得、前記粉末を乾燥し、前記乾燥した粉末を焼成することにより前記セリウム-アルミニウム複合酸化物を製造し、
前記セリウム-アルミニウム複合酸化物または前セリウム-アルミニウム複合酸化物およびアルミニウム酸化物、白金源ならびにパラジウム源を含むスラリーを三次元構造体に塗布、乾燥して塗膜を形成し、前記塗膜を焼成して、前記触媒層を形成することを有する、請求項1に記載の排気ガス浄化用酸化触媒の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の排気ガス浄化用酸化触媒を用いて排気ガスを処理することを有する、排気ガスの酸化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス浄化用酸化触媒およびそれを用いた排気ガスの酸化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関から生じる排気ガスの浄化技術については、従来から多くの技術が提案されている。例えば、ディーゼルエンジンからの排気ガス浄化に関しては、排気ガス中に含まれる粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)の低減を目的として、様々な技術が提案されている。
【0003】
例えば、特開2002-211908号公報(US 2002/0090512 A1に該当)には、セリウム酸化物と、セリウム酸化物と固溶しないAl、Ti及びSiから選ばれる少なくとも一種の金属の酸化物とがnmスケールで分散している複合酸化物に少なくとも白金を含む貴金属が担持してなる触媒が開示されている。上記特開2002-211908号公報(US 2002/0090512 A1に該当)の触媒は、耐久性に優れると記載されている。
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、特開2002-211908号公報(US 2002/0090512 A1に該当)の触媒は、三元触媒に対するものであるためNOxの還元には効果があるものの、ディーゼルエンジンからの排気ガスなどに対して充分な酸化性能(特にNO酸化性能)を発揮できない。
【0005】
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、排気ガスを効果的に酸化できる触媒を提供することを目的とする。
【0006】
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、特定のセリウム-アルミニウム複合酸化物を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、発明を完成させた。
【0007】
すなわち、上記目的は、三次元構造体上に、白金と、パラジウムと、セリウム-アルミニウム複合酸化物またはアルミニウム酸化物およびセリウム-アルミニウム複合酸化物と、を含む触媒層が形成されてなり、前記セリウム-アルミニウム複合酸化物は、CeAl(但し、x>y、x+y=1、1.95≦z≦2.05)を含む、排気ガス浄化用酸化触媒によって達成される。
【0008】
本発明は、三次元構造体上に、白金と、パラジウムと、セリウム-アルミニウム複合酸化物またはセリウム-アルミニウム複合酸化物およびアルミニウム酸化物と、を含む触媒層が形成されてなり、前記セリウム-アルミニウム複合酸化物は、CeAl(但し、x>y、x+y=1、1.95≦z≦2.05)を含む、排気ガス浄化用酸化触媒に関する。本発明の触媒によれば、排気ガスを効果的に酸化できる。
【0009】
ディーゼルエンジンからの排気ガスを浄化するために、尿素SCRシステムが知られている。この尿素SCRシステムでは、SCR触媒にFast SCR反応(4NH+2NO+2NO→4N+6HO)に必要な量のNOを供給することが重要である。NOを供給するための手段として、SCR触媒よりもエンジン側の排気経路に配置した酸化触媒によりNOを酸化させる方法が知られている。しかし、排気ガスの温度が低い運転条件下では、NOからNOへの酸化反応を効率的に進行させることが難しく、重要な課題である。上記課題を解決することを目的として、検討を行った結果、上記構成を有する触媒が優れた排気ガス酸化性能(特にNO酸化性能;以下、同様)を発揮できることが判明した。上記効果を奏するメカニズムは不明であるが、以下のように推測される。なお、本発明は、下記推測によって限定されない。CeAl(但し、x>y、x+y=1、1.95≦z≦2.05)ではセリアとアルミナ界面で電荷のバランスを補完するために格子欠陥サイトが選択的に生じやすい。この格子欠陥サイトからの余剰酸素供給により、NO酸化を促進すると考えられる。
【0010】
本明細書において、「排気ガス浄化用酸化触媒」を単に「本発明に係る触媒」または「触媒」とも称する。「CeAl(但し、x>y、x+y=1、1.95≦z≦2.05)」を、単に「本発明に係るCeAl」または「CeAl」とも称する。本明細書において、「CeAl(但し、x>y、x+y=1、1.95≦z≦2.05)を含むセリウム-アルミニウム複合酸化物」を、単に「本発明に係るセリウム-アルミニウム複合酸化物」または「セリウム-アルミニウム複合酸化物」とも称する。本明細書において、「白金と、パラジウムと、セリウム-アルミニウム複合酸化物またはアルミニウム酸化物およびセリウム-アルミニウム複合酸化物と、を含む触媒層」を、単に「本発明に係る触媒層」または「触媒層」とも称する。
【0011】
本明細書において、「Xおよび/またはY」とは、XおよびYの少なくとも一方を含むことを意味し、「X単独」、「Y単独」ならびに「XおよびYの組み合わせ」を包含する。また、本明細書において、範囲を示す「X~Y」は、XおよびYを含み、「X以上Y以下」を意味する。
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみに限定されず、特許請求の範囲内で種々改変することができる。また、本明細書に記載される実施の形態は、任意に組み合わせることにより、他の実施の形態とすることができる。
【0013】
本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むと理解されるべきである。したがって、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」等)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むと理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられると理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含む)が優先する。
【0014】
<排気ガス浄化用酸化触媒>
本発明に係る排気ガス浄化用酸化触媒は、排気ガス中のCO、HC、NO(特にNO)を効率よく酸化できる。このため、本発明に係る触媒は、SCR触媒と組み合わせることで、ディーゼルエンジンから排出される排気ガス(特にNO)を酸化することを目的として使用できる。すなわち、本発明の好ましい形態では、本発明に係る触媒は、ディーゼルエンジンから排出される排気ガスを酸化するための触媒である。また、本発明は、ディーゼルエンジンから排出される排気ガスを酸化するための本発明に係る触媒の使用をも提供する。本発明のより好ましい形態では、本発明に係る触媒は、ディーゼルエンジンから排出される排気ガス中のNOを酸化するための触媒である。また、本発明は、ディーゼルエンジンから排出される排気ガス中のNOを酸化するための本発明に係る触媒の使用をも提供する。
【0015】
以下、本発明に係る触媒の各構成要件について順に説明する。
【0016】
[セリウム-アルミニウム複合酸化物]
本発明に係る触媒層は、CeAl(但し、x>y、x+y=1、1.95≦z≦2.05)のセリウム-アルミニウム複合酸化物を必須に含む。
【0017】
CeAlにおいて、xはyより大きく(x>y)、x+y=1である。xは、0.5を超え1.00未満である。CeO結晶構造中へのAlの置換を考慮すると、xは、好ましくは0.80を超え0.99未満であり、より好ましくは0.90を超え0.97未満であり、特に好ましくは0.95である。同様に、CeO結晶構造中へのAlの置換を考慮すると、zは、1.95以上2.05以下である(1.95≦z≦2.05)。本発明によるさらなる効果の向上などを考慮すると、zは、好ましくは1.95を超え2.05未満であり、より好ましくは1.97を超え2.03未満であり、特に好ましくは2.00である。
【0018】
すなわち、本発明の好ましい形態では、CeAlにおいて、0.80<x<0.99、x+y=1、1.95<z<2.05である。本発明のより好ましい形態では、CeAlにおいて、0.90<x<0.97、x+y=1、1.97<z<2.03である。本発明の特に好ましい形態では、CeAlは、Ce0.95Al0.052.00である。
【0019】
CeAlの存在は、X線回折(XRD)において所定の組成のCeAlに固有な測定角度(2θ)でのピークの存在を確認するなど、公知の方法によって確認できる。例えば、CeAlがCe0.95Al0.052.00である場合には、その存在は実施例に記載の方法によって確認できる。なお、「ピーク」は、X線回折装置で用いられている定性分析や定量分析のための解析ソフトでXRDパターンを解析することにより検出できる。このため、当該解析ソフトにおいて、ピークとして検出されなかった時は、CeAlが存在しないと判断する。また、XRDパターンにおいて特定の範囲に2以上のピークが存在する場合には、一番強度の高いピークを選択する。
【0020】
セリウム-アルミニウム複合酸化物におけるCeAlの量は、XRDパターンより観察されるCeAlのピーク強度に対するCeOのピーク強度の割合(ピーク強度比)を指標とすることで確認できる。X線回折パターンにおけるCeAlに対するCeOのピーク強度比は、5.63未満、好ましくは5.00未満、より好ましくは4.21以下であり、さらに好ましくは4.21未満であり、特に好ましくは3.80以下である。このような範囲であれば、排気ガスの酸化性能をさらに向上できる。なお、CeAlに対するCeOのピーク強度比は、小さいほど好ましいが、通常、0超であり、1.17以上であってもよく、排気ガスの酸化性能のさらなる向上などの観点から、好ましくは1.24を超え、より好ましくは1.66以上であり、さらに好ましくは1.70以上である。本発明に係る触媒では、セリウム酸化物(セリア)はセリウム-アルミニウム複合酸化物中にのみ存在することが好ましい。すなわち、本発明に係る触媒層は、セリウム-アルミニウム複合酸化物以外に、セリウム酸化物を実質的に含まないことが好ましく、セリウム酸化物を含まない(触媒層中のセリウム酸化物の含有量=0質量%)ことがより好ましい。本明細書において、「触媒層がセリウム酸化物を実質的に含まない」とは、触媒層中のセリウム酸化物の含有量(担持量)が、3質量%未満であることを意図し、好ましくは1質量%未満である。
【0021】
本明細書において、CeAlに対するCeOのピーク強度比は、X線回折(XRD)において所定の組成のCeAlに固有な測定角度(2θ)でのピーク強度およびCeOに固有な測定角度(2θ)でのピーク強度を求め、CeAlのピーク強度でCeOのピーク強度を除することによって求められる。例えば、CeAlがCe0.95Al0.052.00である場合には、Ce0.95Al0.052.00に対するCeOのピーク強度比は、実施例に記載の方法によって求められる。なお、本明細書において、X線回折パターンにおけるCeAlに対するCeOのピーク強度比を、単に「本発明に係るピーク強度比」、「CeAlに対するCeOのピーク強度比」または「ピーク強度比」とも称する。
【0022】
本発明に係るセリウム-アルミニウム複合酸化物は、アルミニウム酸化物(アルミナ)の中にセリウム元素および/またはセリウム酸化物(セリア)が海島の状態で配置することが好ましく、アルミニウム酸化物(アルミナ)の中に少なくともCe-O-の構造が海島状態で配置することがより好ましい。この場合には、アルミナとセリアとの境界にCeAlが形成される。当該形態をとることにより、本発明による効果をさらに向上できる。このため、本発明に係るセリウム-アルミニウム複合酸化物は、セリアよりアルミナの方を多く含むことが好ましい。具体的には、本発明に係るセリウム-アルミニウム複合酸化物における、セリウム-アルミニウム複合酸化物100質量部に対するセリアの質量は、1質量部以上50質量部未満であり、好ましくは2質量部以上20質量部以下であり、より好ましくは2質量部を超え20質量部未満であり、さらに好ましくは3質量部以上10質量部以下であり、特に好ましくは3質量部を超え10質量部未満である。このような組成であれば、排気ガスの酸化性能をさらに向上できる。
【0023】
本発明に係るセリウム-アルミニウム複合酸化物の担持量は、三次元構造体1L当たり、好ましくは20~400gであり、より好ましくは50~300gであり、特に好ましくは80~200gである。三次元構造体1L当たりのセリウム-アルミニウム複合酸化物の含有量が20g以上であると、セリウム-アルミニウム複合酸化物による効果を充分発揮できる。また、白金やパラジウムを充分にセリウム-アルミニウム複合酸化物に分散でき、より優れた触媒性能を有する触媒が得られる。一方、セリウム-アルミニウム複合酸化物の含有量が400g以下であると、白金やパラジウムと排気ガスとの接触状態が良好となり、排気ガス酸化性能がより充分に発揮され得る。
【0024】
また、触媒中に占める本発明に係るセリウム-アルミニウム複合酸化物の含有率(固形分換算)は、触媒に対して、例えば、20質量%以上99.9質量%未満であり、好ましくは45質量%以上99.5質量%以下であり、より好ましくは95質量%を超え99.5質量%未満である。このような含有率であれば、白金やパラジウムと排気ガスとの良好な接触状態を維持しつつ、セリウム-アルミニウム複合酸化物による効果を充分発揮できる。
【0025】
本発明に係るCeAlは、セリウム源およびアルミニウム源を含む水溶液を超音波処理することによって製造される。すなわち、本発明は、セリウム源およびアルミニウム源を含む水溶液を超音波処理することを有する、CeAl(但し、x>y、x+y=1、1.95≦z≦2.05)の製造方法を提供する。
【0026】
好ましくは、本発明に係るCeAlは、セリウム源およびアルミニウム源を酸性溶液に添加して水溶液1を調製し(水溶液1調製工程);前記水溶液1に超音波を印加して水溶液2を調製し(水溶液2調製工程);前記水溶液2を塩基性溶液に添加して粉末を得(粉末調製工程);前記粉末を焼成する(焼成工程)ことによって製造されうる。以下、上記方法について詳述する。
【0027】
(水溶液1調製工程)
本工程では、セリウム源(セリウム原料)およびアルミニウム源(アルミニウム原料)を酸性溶液に添加して水溶液1を調製する。
【0028】
ここで、セリウム源(セリウム原料)としては、酢酸セリウム、硝酸セリウム、塩化セリウム、硫酸セリウム、亜硫酸セリウム、セリウム錯塩などが挙げられる。上記セリウム原料は、水和物の形態であってもよい。これらのうち、塩化セリウム、硝酸セリウムが好ましく、塩化セリウムがより好ましい。アルミニウム源(アルミニウム原料)としては、酢酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、アルミニウム錯塩、などが挙げられる。上記アルミニウム原料は、水和物の形態であってもよい。これらのうち、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムが好ましく、塩化アルミニウムがより好ましい。セリウム原料およびアルミニウム原料の混合比は、上記したようなセリウム-アルミニウム複合酸化物の組成となるような割合であることが好ましい。
【0029】
セリウム原料およびアルミニウム原料を添加する酸性溶液は、酸性物質を溶媒に添加することによって調製されうる。ここで、酸性物質としては、例えば、塩化水素、硫酸、硝酸などが挙げられる。これらうち、塩化水素、硝酸が好ましく、塩化水素がより好ましい。また、溶媒としては、水、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール)などが挙げられる。上記溶媒は、単独で使用されても、または2種以上を混合して使用してもよい。これらのうち、水が好ましい。酸性溶液中の酸性物質の濃度は、例えば、0.01~1モル/L、好ましくは0.05~0.5モル/L程度である。
【0030】
セリウム原料およびアルミニウム原料の酸性溶液への添加量は、セリウム原料およびアルミニウム原料の合計濃度が1~40質量%、より好ましくは10~30質量%となるような量である。
【0031】
(水溶液2調製工程)
本工程では、上記(水溶液1調製工程)で調製した水溶液1に超音波を印加して水溶液2を調製する。水溶液1に超音波処理を施すことによって、本発明に係るCeAl(特にCe0.95Al0.052.00)が形成される。これは、超音波印加によって、Al骨格中にCeが入っていくことができるためと思われる。なお、上記は推測であり、本発明は上記に限定されない。このため、本工程において、水溶液1に超音波処置を施さない場合には、本発明に係るCeAl(特にCe0.95Al0.052.00)は十分量形成されない。
【0032】
本工程において、通常の超音波発振源を備えた装置が使用できる。例えば、市販の超音波洗浄機などを使用してもよい。超音波処理での周波数は、例えば、10~50kHzであり、好ましくは30~45kHzである。超音波処理での周波数が上記範囲であると、Ceが好適に振動する。その結果として、CeがAl骨格中に侵入しやすいため、CeAl(特にCe0.95Al0.052。00)がより効果的に形成されるため好ましい。なお、超音波処理を同一の周波数で継続して行ってもよく、あるいは周波数発振切替モードを用いて処理の途中で周波数を切り替えてもよい。周波数切り替えの回数は1回でもよく、あるいは複数回であってもよい。超音波処理温度(水溶液1温度)は、例えば、20~60℃であり、好ましくは30~50℃である。超音波処理温度が上記範囲であれば、溶媒中のAl分散性が高くなる。その結果として、CeがAl骨格中に侵入しやすくなり、CeAl(特にCe0.95Al0.052。00)がより効果的に形成されるため好ましい。超音波処理時間は、例えば、15分間~2時間であり、好ましくは20分間~1時間である。エネルギー印加条件は、例えば、30~100W/cmであり、好ましくは50~80W/cmである。上記条件によれば、本発明に係るCeAl(特にCe0.95Al0.052.00)が効率よく形成される。なお、超音波処理は、水溶液1を撹拌しながらおこなわれてもよい。
【0033】
(粉末調製工程)
本工程では、上記(水溶液2調製工程)で調製した水溶液2を塩基性溶液に添加して粉末を得る。
【0034】
塩基性溶液は、塩基性物質を溶媒に添加することによって調製されうる。ここで、塩基性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、およびテトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの第四級アンモニウム塩、エチレンジアミンおよびピペラジンなどのアミン等が挙げられる。これらうち、アンモニアが好ましい。また、溶媒としては、水、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール)などが挙げられる。上記溶媒は、単独で使用されても、または2種以上を混合して使用してもよい。これらのうち、水が好ましい。塩基性溶液中の塩基性物質の濃度は、例えば、0.01~1モル/L、好ましくは0.05~0.5モル/L程度である。
【0035】
水溶液2の塩基性溶液への添加量は、セリウム原料およびアルミニウム原料の合計濃度(固形分濃度)が1~30質量%、より好ましくは5~20質量%となるような量である。
【0036】
水溶液2を塩基性溶液に添加すると、粉末が沈殿する。上記粉末は、遠心分離、濾過などの方法によって、単離できる。単離した粉末は、必要であれば、水(例えば、脱イオン水、純水、超純水、蒸留水)などによって洗浄してもよい、また、洗浄工程は、1回のみ行われても、または複数回繰り返し行われてもよい。
【0037】
また、粉末は、必要であれば、乾燥される。粉末を乾燥する際の乾燥条件は、特に制限されない。乾燥温度は、例えば、50~170℃、好ましくは70~150℃である。乾燥時間は、例えば、10~100時間、好ましくは20~60時間である。また、乾燥は、空気中で行われても、または不活性ガス雰囲気中で行われてもよい。
【0038】
(焼成工程)
本工程では、上記(粉末調製工程)で得られた粉末を焼成する。
【0039】
ここで、焼成条件は、特に制限されない。焼成温度は、例えば、500~1000℃、好ましくは600~900℃である。焼成時間は、例えば、10分間~3時間、好ましくは15分間~1時間である。また、焼成は、空気中で行われても、または不活性ガス雰囲気中で行われてもよい。
【0040】
[アルミニウム酸化物(アルミナ)]
本発明に係る触媒層は、セリウム-アルミニウム複合酸化物に加えて、アルミニウム酸化物(アルミナ)を含んでもよい。
【0041】
本発明に係る触媒がアルミナを含む場合の、アルミナは、アルミニウムの酸化物が含まれるものであれば特に制限されず、γ、δ、η、θ-アルミナなどの活性アルミナ、ランタナ含有アルミナ、シリカ含有アルミナ、シリカ-チタニア含有アルミナ、シリカ-チタニア-ジルコニア含有アルミナなどが挙げられる。これらのアルミナは、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用しても構わない。
【0042】
アルミナのBET比表面積は、特に制限されないが、触媒成分を担持させる観点から、好ましくは50~350m/g、より好ましくは80~250m/gである。このような比表面積であれば、充分量の白金およびパラジウム(触媒成分)をアルミニウム酸化物に担持させることができ、触媒成分と排気ガスとの接触面積を増加させたり、反応物を吸着させたりすることができる。その結果、触媒全体としての反応性をさらに高めることが可能となる。
【0043】
アルミナの担持量は、特に制限されないが、三次元構造体1L当たり、好ましくは10~200gであり、より好ましくは50~100gである。三次元構造体1L当たりのアルミナの含有量が10g以上であると、白金やパラジウムを充分にアルミニウム酸化物に分散でき、より優れた触媒性能を有する触媒が得られる。一方、アルミナの含有量が200g以下であると、白金やパラジウムと排気ガスとの接触状態が良好となり、排気ガス酸化性能がより充分に発揮され得る。
【0044】
また、セリウム-アルミニウム複合酸化物(特にCeAl)と、アルミナと、の混合比は、セリウム-アルミニウム複合酸化物(特にCeAl)が、アルミニウム酸化物100質量部に対して、好ましくは30質量部以上150質量部以下、より好ましくは35質量部以上100質量部以下である。このような混合比であれば、排気ガス酸化性能がより充分に発揮され得る。なお、本発明によるさらなる効果の向上などを考慮すると、本発明に係る触媒層は、セリウム-アルミニウム複合酸化物以外に、アルミナを実質的に含まないことが好ましく、アルミナを含まない(触媒層中のアルミニウム酸化物の含有量=0質量%)ことがより好ましい。本明細書において、「触媒層がアルミニウム酸化物を実質的に含まない」とは、触媒層中のアルミニウム酸化物の含有量(担持量)が、3質量%未満であることを意図し、好ましくは1質量%未満である。
【0045】
[貴金属]
本発明に係る触媒(触媒層)は、白金(Pt)およびパラジウム(Pd)を貴金属として含む。本発明によるさらなる効果の向上などを考慮すると、本発明に係る触媒(触媒層)に含まれる貴金属は、白金(Pt)およびパラジウム(Pd)のみである。
【0046】
白金(Pt)の担持量は、特に制限されないが、排気ガス酸化性能を考慮すると、三次元構造体1リットル当たり、貴金属換算で、0.01~20gが好ましく、0.05~10gがより好ましく、0.5gを超えて5g未満が最も好ましい。
【0047】
パラジウム(Pd)の担持量は、特に制限されないが、排気ガス(特にHC)酸化能を考慮すると、三次元構造体1リットル当たり、貴金属換算で、0.01~20gが好ましく、0.05~5gがより好ましく、0.3~3gが最も好ましい。
【0048】
また、白金とパラジウムの混合比は、排気ガス酸化性能の観点から、白金がパラジウムに比して多くなることが好ましい。具体的には、パラジウムに対する白金の含有比(白金/パラジウム(質量比))は、1.0を超え7.0未満であり、好ましくは2.0~5.0であり、より好ましくは2.0を超え4.9未満である。白金とパラジウムの混合比の範囲が上記好ましい範囲になるにつれて、排気ガス酸化性能をさらに向上できる。
【0049】
貴金属源(貴金属の出発原料)は、特に制限されることなく、水溶性貴金属塩、貴金属錯体等、当該分野で用いられている原料を用いることができ、これらは触媒を調製する方法に応じて変更して使用することができる。
【0050】
貴金属源量は、特に制限されないが、上記したような各貴金属の担持量や混合比となるような量であることが好ましい。なお、貴金属源を2種以上組み合わせて使用する場合には、貴金属源の合計量が上記貴金属の担持量や混合比となるような量であることが好ましい。
【0051】
[他の添加成分]
本発明に係る触媒層は、白金、パラジウム、セリウム-アルミニウム複合酸化物またはアルミナおよびセリウム-アルミニウム複合酸化物に加えて、他の添加成分を含んでもよい。他の添加成分としては、具体的には、耐火性無機酸化物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、またはそれらの酸化物もしくは硫化物などが挙げられる。
【0052】
本発明に係る触媒層が耐火性無機酸化物(セリウム-アルミニウム複合酸化物およびアルミナを除く)を含む場合、耐火性無機酸化物としては、例えば、ゼオライト、チタニア、ジルコニア、シリカなどを挙げることができる(セリウム-アルミニウム複合酸化物およびアルミニウム酸化物を除く)。これらの耐火性無機酸化物は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用しても構わない。
【0053】
本発明に係る触媒層がアルカリ金属(アルミナが含有する場合を除く)を含む場合、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムが挙げられ、好ましくはカリウムである。アルカリ金属は、それぞれ、単独で配合されてももしくは2種以上の混合物の形態で配合されてもよい。
【0054】
本発明に係る触媒層がアルカリ土類金属(アルミナが含有する場合を除く)を含む場合、アルカリ土類金属としては、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムが挙げられ、好ましくはバリウムである。アルカリ土類金属は、それぞれ、単独で配合されてももしくは2種以上の混合物の形態で配合されてもよい。または、少なくとも一種のアルカリ金属および少なくとも一種のアルカリ土類金属を組み合わせて配合してもよい。
【0055】
本発明に係る触媒層が希土類金属(アルミナが含有する場合を除く)を含む場合、希土類金属としては、特に制限されないが、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、イットリウム(Y)、スカンジウム(Sc)およびプラセオジム(Pr)などが挙げられる。これらのうち、ランタン、ネオジム、イットリウムおよびプラセオジムが好ましく、ランタンおよびプラセオジムがより好ましい。これらの希土類金属は、単独で含有されていてもよいし、2種以上が組み合わされて含有されていてもよい。
【0056】
本発明の好ましい形態では、触媒層は、白金、パラジウムおよびセリウム-アルミニウム複合酸化物から構成される。または、本発明の好ましい形態では、触媒層は、白金、パラジウム、セリウム-アルミニウム複合酸化物およびアルミニウム酸化物から構成される。本発明のより好ましい形態では、触媒層は、白金、パラジウムおよびセリウム-アルミニウム複合酸化物から構成される。
【0057】
[三次元構造体]
本発明に係る触媒は、白金と、パラジウムと、セリウム-アルミニウム複合酸化物またはアルミナおよびセリウム-アルミニウム複合酸化物と、が三次元構造体(耐火性三次元構造体)に担持されて、触媒層が形成される。本発明に係る触媒層は、1層が三次元構造体に担持されても、または2層以上が三次元構造体に担持されてもよい。後者の場合、各触媒層は、同じ組成であってもまたは異なる組成であってもよい。また、1層以上の本発明に係る触媒層に加えて、本発明に係る触媒成分以外の他の触媒層を別途設けてもよい。この場合には、本発明に係る触媒層が排気ガスに接する側(最表層)に存在することが好ましい。
【0058】
ここで、三次元構造体は、特に制限されず、当該分野で通常使用される耐火性三次元構造体を同様にして使用することができる。三次元構造体としては、例えば、貫通口(ガス通過口、セル形状)が三角形、四角形、六角形を有するハニカム担体等の耐熱性担体が使用できる。三次元構造体は一体成形型のもの(三次元一体構造体、一体構堰体)が好ましく、例えば、モノリス担体、メタルハニカム担体、ディーゼルパティキュレートフィルター等のフィルタ機能を有するプラグドハニカム担体、パンチングメタル等が好ましく用いられる。なお、必ずしも三次元一体構造体である必要はなく、例えばペレット担体等を用いることもできる。また、球状、コルゲート担体を用いることができる。
【0059】
三次元構造体の材質としては、通常、セラミックハニカム担体と称されるものであればよく、特に、コージェライト、ムライト、アルミナ、α-アルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素等を材料とするものが好ましく、中でもコージェライト質のもの(コージェライト担体)が特に好ましい。その他、ステンレス鋼、Fe-Cr-Al合金等を含む酸化抵抗性の耐熱性金属を用いて一体構造体としたもの等が用いられる。
【0060】
これらモノリス担体は、押出成形法やシート状素子を巻き固める方法等によって製造される。その貫通口(ガス通気口、セル形状)の形は、六角形(ハニカム)、四角形、三角形又はコルゲート(コルゲーション形)のいずれであってもよい。セル密度(セル数/単位断面積)は、100~1200セル/平方インチであれば充分に使用可能であり、好ましくは200~900セル/平方インチ、より好ましくは200~600セル/平方インチ(1インチ=25.4mm)である。
【0061】
<排気ガス浄化用酸化触媒の製造方法>
本発明に係る排気ガス浄化用酸化触媒は、白金、パラジウム、セリウム-アルミニウム複合酸化物またはセリウム-アルミニウム複合酸化物およびアルミナ、ならびに必要であれば他の添加成分を触媒成分として使用する以外は、公知の手法を適宜参照することにより製造することができる。本発明の一実施形態では、セリウム源およびアルミニウム源を含む水溶液を超音波処理してCeAl(但し、x>y、x+y=1、1.95≦z≦2.05)を製造することを有する、本発明の排気ガス浄化用酸化触媒の製造方法が提供される。本発明の好ましい形態では、本発明に係る排気ガス浄化用酸化触媒の製造方法は、(a)スラリー調製工程、(b)スラリー塗布工程、(c)乾燥工程、および(d)焼成工程を含む。本発明のより好ましい形態では、本発明の排気ガス浄化用酸化触媒の製造方法は、セリウム源およびアルミニウム源を含む水溶液を超音波処理してCeAl(但し、x>y、x+y=1、1.95≦z≦2.05)を製造し、前記CeAlまたは前記CeAlおよびアルミニウム酸化物、白金源ならびにパラジウム源を含むスラリーを三次元構造体に塗布、乾燥して塗膜を形成し、前記塗膜を焼成することを有する。
【0062】
<排気ガスの酸化方法>
本発明に係る触媒は、排気ガスに対して高い酸化性能を発揮できる。ゆえに、本発明は、本発明に係る排気ガス浄化用酸化触媒を用いて排気ガスを処理することを有する、排気ガスの酸化方法をも提供する。特に、本発明に係る触媒は、ディーゼルエンジンから排出される排気ガスに対して高い酸化性能、特に排気ガス中の一酸化窒素(NO)の優れた酸化性能を発揮できる。ゆえに、本発明の好ましい形態では、本発明に係る排気ガス浄化用酸化触媒を用いてディーゼルエンジンから排出される排気ガスを処理する(特に排気ガス中の一酸化窒素(NO)を酸化する)ことを有する、ディーゼルエンジン排気ガスの酸化方法をも提供する。ディーゼルエンジンを用いて排気ガスの浄化率を測定するには、合成ガスによるLight Off試験、NEDCモード、JC08モード、WLTC、WHTC、FTP75、FTP1199、NRTC、NRSCモードなど、排気ガス規制に対する評価モードを用いることが好ましい。例えば、NEDCモードで評価を行う場合は、United Nations Economic Commission for Europe、Addendum 82:Regulation No.83に従う。
【0063】
ここで、排気ガス中のNO濃度は、特に制限されないが、好ましくは1~10000体積ppm、より好ましくは10~5000体積ppm、さらに好ましくは20~1000体積ppmである。また、NO以外に排気ガス中にHC、COが含まれていても処理することができる。
【0064】
上記形態において、排気ガス中のHC濃度は、特に制限されないが、好ましくは1~50000体積ppmC1、より好ましくは10~10000体積ppmC1、さらに好ましくは50~1000体積ppmC1である。また、排気ガス中のCO濃度は、特に制限されないが、好ましくは10~50,000体積ppm、より好ましくは50~15,000体積ppm、さらに好ましくは50~5,000体積ppmである。
【0065】
また、ディーゼルエンジンから排出される排気ガスには、パティキュレート成分(粒子状物質、PM)が含まれる。このため、PMを除去するために、フィルタ機能を有する三次元構造体を用いることが好ましい。または、PMを除去するためのフィルタを別途設けてもよい。
【0066】
排気ガスの空間速度(SV)は、通常の速度であってもよいが、好ましくは1,000~500,000hr-1、より好ましくは5,000~200,000hr-1である。また、ガス線速もまた、通常の速度であってもよいが、好ましくは0.1~8.5m/秒、より好ましくは0.2~6.7m/秒で接触させる。
【0067】
また、本発明に係る触媒は低温の排気ガスに対して優れた酸化性能を維持、発揮できる。具体的には、本発明に係る触媒は、50~600℃(好ましくは300℃以下、特に250℃以下)の低温の排気ガスに対して優れた排気ガス酸化性能を発揮できる。同様にして、本発明に係る触媒は、長時間、高温の排気ガスに曝された時においても優れた酸化性能を維持、発揮できる。具体的には、本発明に係る触媒は、内燃機関からの650~900℃の高温の排気ガスに長時間曝された後の50~600℃の低温の排気ガスに対しても、優れた排気ガス酸化性能を発揮できる。このため、例えば、排気ガス浄化用酸化触媒を内燃機関(ディーゼルエンジン)の排気ポートの排気流路中に設置し、高温の排気ガスを排気流路に長時間流入させた場合であっても、排気ガスを効率よく酸化できる。
【0068】
このため、上記したような本発明に係る触媒または上記したような方法によって製造される触媒は、温度が650~900℃、好ましくは700℃~850℃である排気ガスに曝されていてもよい。また、本発明に係る触媒を高温の排気ガスに曝す時間(排気ガスを流入させる時間)も、特に限定されるものではなく、例えば、10~800時間、好ましくは16~500時間、より好ましくは40~100時間である。このような高温の排気ガスに曝された後にも本発明に係る触媒は、高い性能を有する。このように高温の排気ガスに曝された後の触媒の排気ガス酸化性能を調べるために、熱処理として、650~900℃の排気ガスに、10~800時間曝す処理を触媒に施した後に、排気ガス酸化性能(触媒の劣化に対する耐性)を評価することが有効である。
【0069】
なお、本明細書において「排気ガスの温度」とは、触媒入口部における排気ガスの温度を意味する。ここで、「触媒入口部」とは、排気ガス浄化用酸化触媒が設置された排気管における排気ガス流入側の触媒端面から内燃機関側に向かって10cmまでの部分を指し、かつ、排気管の長手方向(軸方向)の中心部分の箇所を指す。また、本明細書において「触媒床部」とは、上記排気管における排気ガス流入側の触媒端面から排気ガス流出側の触媒端面までの間の中央部分であり、かつ、排気管の横断面の中心部分の箇所(排気管の横断面が円形でない場合は、排気管の横断面の重心部分の箇所)を指す。
【0070】
本発明の実施形態を詳細に説明したが、これは説明的かつ例示的なものであって限定的ではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって解釈されるべきであることは明らかである。
【0071】
本発明は、下記態様および形態を包含する:
1.三次元構造体上に、白金と、パラジウムと、セリウム-アルミニウム複合酸化物またはセリウム-アルミニウム複合酸化物およびアルミニウム酸化物と、を含む触媒層が形成されてなり、
前記セリウム-アルミニウム複合酸化物は、CeAl(但し、x>y、x+y=1、1.95≦z≦2.05)を含む、排気ガス浄化用酸化触媒;
2.前記CeAlは、Ce0.95Al0.052.00である、上記1.に記載の排気ガス浄化用酸化触媒;
3.X線回折パターンにおけるCeAlに対するCeOのピーク強度比が5.00未満である、上記1.または上記2.に記載の排気ガス浄化用酸化触媒;
4.前記触媒層は、白金、パラジウムおよびセリウム-アルミニウム複合酸化物から構成される、上記1.~上記3.のいずれかに記載の排気ガス浄化用酸化触媒;
5.前記触媒層は、白金、パラジウム、セリウム-アルミニウム複合酸化物およびアルミニウム酸化物から構成される、上記1.~上記3.のいずれかに記載の排気ガス浄化用酸化触媒;
6.前記パラジウムに対する前記白金の含有比が1.0を超え7.0未満(質量比)である、上記1.~上記5.のいずれかに記載の排気ガス浄化用酸化触媒;
7.ディーゼルエンジンから排出される排気ガスを酸化するための触媒である、上記1.~上記6.のいずれかに記載の排気ガス浄化用酸化触媒;
8.セリウム源およびアルミニウム源を含む水溶液を超音波処理することを有する、CeAl(但し、x>y、x+y=1、1.95≦z≦2.05)の製造方法;
9.セリウム源およびアルミニウム源を含む水溶液を超音波処理してCeAl(但し、x>y、x+y=1、1.95≦z≦2.05)を製造することを有する、上記1.~上記7.のいずれかに記載の排気ガス浄化用酸化触媒の製造方法;
10.セリウム源およびアルミニウム源を含む水溶液を超音波処理してCeAl(但し、x>y、x+y=1、1.95≦z≦2.05)を製造し、前記CeAlまたは前記CeAlおよびアルミニウム酸化物、白金源ならびにパラジウム源を含むスラリーを三次元構造体に塗布、乾燥して塗膜を形成し、前記塗膜を焼成することを有する、上記1.~上記7.のいずれかに記載の排気ガス浄化用酸化触媒の製造方法;
11.上記1.~上記7.のいずれかに記載の排気ガス浄化用酸化触媒を用いて排気ガスを処理することを有する、排気ガス(特にNO)の酸化方法。
【実施例
【0072】
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。
【0073】
製造例1:粉体aの調製
Ce原料1としてCeCl・7HOおよびAl原料1としてAlCl・6HOを、CeOとAlとの混合比が5:95(質量比)となるように秤量した。秤量したCe原料1およびAl原料1を0.1モル/L HCl水溶液に、Ce原料1およびAl原料1の合計濃度が20質量%となるように加え、Ce/Al混合液1を調製した。
【0074】
このCe/Al混合液1を、超音波処理装置(日本エマソン株式会社1510J-DTH)に200mL入れた。Ce/Al混合液1の液温を40℃に保った状態で、42kHzの周波数で70W/cmのエネルギーを印加しながら0.5時間、超音波処理を行った(超音波処理溶液)。得られた超音波処理溶液を0.1モル/L NHOH水溶液200mLに滴下した後、濾過することで、薄黄色粉体を得た。なお、Ce/Al混合液1のNHOH水溶液への添加量は、Ce原料1およびAl原料1の合計濃度が10質量%となるような量である。
【0075】
得られた粉体を蒸留水で複数回洗浄し、100℃で48時間乾燥後、650℃で30分間焼成し、粉体a(CeO含有量=5質量%)を得た。
【0076】
製造例2:粉体bの調製
製造例1において、Ce原料1およびAl原料1を、CeOとAlとの混合比
が10:90(質量比)となるように秤量した以外は、製造例1と同様にして、粉体b(CeO含有量=10質量%)を得た。
【0077】
製造例3:粉体cの調製
製造例1において、Ce原料1およびAl原料1を、CeOとAlとの混合比が20:80(質量比)となるように秤量した以外は、製造例1と同様にして、粉体c(CeO含有量=20質量%)を得た。
【0078】
製造例4:粉体dの調製
超音波処理を行わなかったこと以外は、製造例1と同様にして、粉体d(CeO含有量=5質量%)を得た。
【0079】
実施例1:触媒Aの調製
Pt原料として硝酸白金、Pd原料として硝酸パラジウム、および製造例1で調製した粉体aを、表1の比率となるよう秤量した。純水に、pH1.5となるように硝酸を加え、その後、粉体aを投入し、30分間撹拌した。次に、湿式粉砕機(ボールミル)を用いて60回転/分の回転速度で14時間湿式粉砕した後、スラリーを撹拌しながら硝酸白金および硝酸パラジウムをこの順で滴下し、スラリーA1(固形分濃度=32質量%)を得た。得られたスラリーA1中の触媒成分の平均粒子径(D50)は5μm以下であった。
【0080】
得られたスラリーA1をコージェライト担体(直径=24mm、長さ=67mm、300セル/平方インチ、5ミル)に焼成後の担持量が111.44g/Lとなるようウォッシュコートした。次に、150℃で15分間乾燥した後、550℃で30分間焼成することで触媒Aを得た。
【0081】
実施例2:触媒Bの調製
実施例1において、粉体aの代わりに、製造例2で調製した粉体bを使用した以外は、実施例1と同様にして、触媒Bを得た。
【0082】
実施例3:触媒Cの調製
実施例1において、粉体aの代わりに、製造例3で調製した粉体cを使用した以外は、実施例1と同様にして、触媒Cを得た。
【0083】
比較例1:触媒Dの調製
Pt原料として硝酸白金、Pd原料として硝酸パラジウム、アルミナ(BET比表面積:215m/g、平均二次粒子径:15μm)、およびセリア(BET比表面積:152m/g、平均二次粒子径:4μm)を、表1の比率となるよう秤量した。純水に、pH1.5となるように硝酸を加え、その後、アルミナおよびセリアをこの順で投入し、30分間撹拌した。次に、湿式粉砕機(ボールミル)を用いて60回転/分の回転速度で14時間湿式粉砕した後、スラリーを撹拌しながら硝酸白金および硝酸パラジウムをこの順で滴下し、スラリーD1(固形分濃度=32質量%)を得た。得られたスラリーD1中の触媒成分の平均粒子径(D50)は5μm以下であった。
【0084】
実施例1において、スラリーA1の代わりに、上記にて調製したスラリーD1を使用した以外は、実施例1と同様にして、触媒Dを得た。
【0085】
実施例4~5:触媒Eおよび触媒Fの調製
Pt原料として硝酸白金、Pd原料として硝酸パラジウム、製造例2で調製した粉体b、およびアルミナ(BET比表面積:215m/g、平均二次粒子径:15μm)を、表1の比率となるよう、それぞれ、秤量した。純水に、pH1.5となるように硝酸を加え、その後、粉体bおよびアルミナをこの順で投入し、30分間撹拌した。次に、湿式粉砕機(ボールミル)を用いて60回転/分の回転速度で14時間湿式粉砕した後、スラリーを撹拌しながら硝酸白金および硝酸パラジウムをこの順で滴下し、スラリーE1(固形分濃度=32質量%)およびスラリーF1(固形分濃度=32質量%)をそれぞれ得た。得られたスラリーE1およびF1中の触媒成分の平均粒子径(D50)は5μm以下であった。
【0086】
実施例1において、スラリーA1の代わりに、上記にて調製したスラリーE1およびF1をそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様にして、触媒EおよびFを得た。
【0087】
比較例2:触媒Gの調製
Pt原料として硝酸白金、Pd原料として硝酸パラジウム、およびアルミナ(BET比表面積:215m/g、平均二次粒子径:15μm)を、表1の比率となるよう、それぞれ、秤量した。純水に、pH1.5となるように硝酸を加え、その後、アルミナを投入し、30分間撹拌した。次に、湿式粉砕機(ボールミル)を用いて60回転/分の回転速度で14時間湿式粉砕した後、スラリーを撹拌しながら硝酸白金および硝酸パラジウムをこの順で滴下し、スラリーG1(固形分濃度=32質量%)を得た。得られたスラリーG1中の触媒成分の平均粒子径(D50)は5μm以下であった。
【0088】
実施例1において、スラリーA1の代わりに、上記にて調製したスラリーG1を使用した以外は、実施例1と同様にして、触媒Gを得た。
【0089】
比較例3:触媒Hの調製
Pt原料として硝酸白金、Pd原料として硝酸パラジウム、およびアルミナ(BET比表面積:215m/g、平均二次粒子径:15μm)を、表1の比率となるよう、それぞれ、秤量した。純水に、pH1.5となるように硝酸を加え、その後、アルミナを投入し、30分間撹拌した。次に、湿式粉砕機(ボールミル)を用いて60回転/分の回転速度で14時間湿式粉砕した後、スラリーを撹拌しながら硝酸白金および硝酸パラジウムをこの順で滴下し、スラリーH1(固形分濃度=32質量%)を得た。得られたスラリーH1中の触媒成分の平均粒子径(D50)は5μm以下であった。
【0090】
実施例1において、スラリーA1の代わりに、上記にて調製したスラリーH1を使用し、スラリーH1をコージェライト担体に焼成後の担持量が111.76g/Lとなるようウォッシュコートした以外は、実施例1と同様にして、触媒Hを得た。
【0091】
実施例6:触媒Iの調製
Pt原料として硝酸白金、Pd原料として硝酸パラジウム、および製造例1で調製した粉体aを、表1の比率となるよう秤量した。純水に、pH1.5となるように硝酸を加え、その後、粉体aを投入し、30分間撹拌した。次に、湿式粉砕機(ボールミル)を用いて60回転/分の回転速度で14時間湿式粉砕した後、スラリーを撹拌しながら硝酸白金および硝酸パラジウムをこの順で滴下し、スラリーI1(固形分濃度=32質量%)を得た。得られたスラリーI1中の触媒成分の平均粒子径(D50)は5μm以下であった。
【0092】
実施例1において、スラリーA1の代わりに、上記にて調製したスラリーI1を使用し、スラリーI1をコージェライト担体に焼成後の担持量が111.76g/Lとなるようウォッシュコートした以外は、実施例1と同様にして、触媒Iを得た。
【0093】
比較例4:触媒Jの調製
Pt原料として硝酸白金、Pd原料として硝酸パラジウム、およびアルミナ(BET比表面積:215m/g、平均二次粒子径:15μm)を、表1の比率となるよう秤量した。純水に、pH1.5となるように硝酸を加え、その後、アルミナを投入し、30分間撹拌した。次に、湿式粉砕機(ボールミル)を用いて60回転/分の回転速度で14時間湿式粉砕した後、スラリーを撹拌しながら硝酸白金および硝酸パラジウムをこの順で滴下し、スラリーJ1(固形分濃度=32質量%)を得た。得られたスラリーJ1中の触媒成分の平均粒子径(D50)は5μm以下であった。
【0094】
実施例1において、スラリーA1の代わりに、上記にて調製したスラリーJ1を使用した以外は、実施例1と同様にして、触媒Jを得た。
【0095】
実施例7:触媒Kの調製
Pt原料として硝酸白金、Pd原料として硝酸パラジウム、および製造例2で調製した粉体bを、表1の比率となるよう、それぞれ、秤量した。純水に、pH1.5となるように硝酸を加え、その後、粉体bを投入し、30分間撹拌した。次に、湿式粉砕機(ボールミル)を用いて60回転/分の回転速度で14時間湿式粉砕した後、スラリーを撹拌しながら硝酸白金および硝酸パラジウムをこの順で滴下し、スラリーK1(固形分濃度=32質量%)をそれぞれ得た。得られたスラリーK1中の触媒成分の平均粒子径(D50)は5μm以下であった。
【0096】
実施例1において、スラリーA1の代わりに、上記にて調製したスラリーK1を使用した以外は、実施例1と同様にして、触媒Kを得た。
【0097】
比較例5:触媒Lの調製
実施例1において、粉体aの代わりに、製造例4で調製した粉体dを使用した以外は、実施例1と同様にして、触媒Lを得た。
【0098】
上記にて得られた触媒A~Lの組成を下記表1に要約する。下記表1中、「Pt」および「Pd」は、それぞれ、白金およびパラジウムの担持量(貴金属換算)(g/L)を表わす。下記表1中、「Al」および「CeO」は、それぞれ、アルミナおよびセリアの担持量(酸化物換算)(g/L)を表わす。また、「Ce-Al複合体」はセリウム-アルミニウム複合酸化物を表わす。「AlCe」はセリウム-アルミニウム複合酸化物の担持量(酸化物換算)(g/L)を表わし、「Ce-Al複合体中のAl量」および「Ce-Al複合体中のCeO量」はセリウム-アルミニウム複合酸化物中のAlの量(酸化物換算)(g/L)およびCeOの量(酸化物換算)(g/L)をそれぞれ表わす。「全担持量に対するCe-Al複合体の含有率」は触媒に含まれるセリウム-アルミニウム複合酸化物の割合(質量%)を表わす。
【0099】
【表1】
【0100】
上記のようにして得られた触媒A~F、I、KおよびLについて、以下のようにして、Ce0.95Al0.052.00の存在を確認し、Ce0.95Al0.052.00に対するCeOのピーク強度比を測定した。結果を下記表2に示す。
【0101】
-Ce0.95Al0.052.00の確認およびCe0.95Al0.052.00に対するCeOのピーク強度比の測定-
各触媒について、下記条件によりX線回折(X-ray diffraction、XRD)を行い、XRDパターンを得る。
【0102】
(X線回折条件)
X線回折測定装置:スペクトリクス製、X’Pert PRO
線源:CuKα線
測定角度範囲(2θ):25°~89°
ステップ間隔:0.013°
走査速度:1.2°/分
作動電圧:45kV
作動電流:40mA。
【0103】
得られたXRDパターンにおいて、2θ値が77.0°以上78.0°未満の範囲に観察されるピークの強度(ピーク強度I)および2θ値が76.0°以上77.0°未満の範囲に観察されるピークの強度(ピーク強度I)を測定する。ここで、CeおよびAlを含有し、かつ、2θ値が77.0°以上78.0°未満の範囲に観察されるピークは、Ce0.95Al0.052.00に固有のピークである。このため、2θ値が77.0°以上78.0°未満の範囲にピークが観察される場合には、Ce0.95Al0.052.00が存在すると判断する。同様にして、2θ値が76.0°以上77.0°未満の範囲に観察されるピークはセリア(CeO)に固有のピークである。このため、2θ値が76.0°以上77.0°未満の範囲にピークが観察される場合には、セリア(CeO)が存在すると判断する。また、XRDパターンの同定検索においてピークとして検出されなかった場合には、存在しないと解し、下記表2では「-」と示す。
【0104】
次に、上記ピーク強度Iをピーク強度Iで除した値(I/I比)を算出する。当該「I/I比」が、Ce0.95Al0.052.00に対するCeOのピーク強度比である。同等の量のCeO及びAlを含むセリウム-アルミニウム複合酸化物を比較した場合、I/I比が小さいほど、セリウム-アルミニウム複合酸化物に存在するCe0.95Al0.052.00の割合が多い。
【0105】
また、上記のようにして得られた触媒A~Lについて、以下により、NO酸化性能を評価した。詳細には、各触媒(0.0303L)に、GHSV:40,000h-1の流量で、混合ガス(NO:300体積ppm、NO:0体積ppm、O:10vol%、CO:300体積ppm、HC(Cのみ):300体積ppmC1、CO:6vol%、HO:6vol%、残部:N)を、触媒の入口温度100℃から400℃まで20℃/分の速度で昇温させながら流通させ、250℃および300℃で触媒を流通した生成ガスに含まれるNO濃度を測定して、各触媒のNO生成率(%)を測定した。結果を下記表2に示す。また、同時にCOおよびHCの各浄化率も算出した。各ガスの浄化率が50%に達する温度をT50(℃)とし、結果を下記表2に示す。なお、T50が低いほど、各ガスの着火性が高い(触媒性能が高い)ことを意味する。
【0106】
【表2】
【0107】
上記表2から、実施例の触媒A~C、E、F、IおよびKは、比較例1~5の触媒D、G、H、JおよびLに比して、有意に高いNO生成率を示すことが分かる。
【0108】
本出願は、2022年7月7日に出願された日本特許出願番号2022-109527号に基づいており、その開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。