(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】電子制御装置と故障診断システム及び故障診断方法
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20240827BHJP
G06Q 10/20 20230101ALI20240827BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240827BHJP
【FI】
B60R16/02 650J
G06Q10/20
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2023576635
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(86)【国際出願番号】 JP2022041844
(87)【国際公開番号】W WO2023145193
(87)【国際公開日】2023-08-03
【審査請求日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2022010434
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新保 健一
(72)【発明者】
【氏名】植松 裕
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】鳥羽 忠信
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-159914(JP,A)
【文献】特開2010-013004(JP,A)
【文献】特開2015-207946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
G06Q 10/20
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも主電源を含む電源から電力の供給を受けて診断対象の状態を示す診断データを前記診断対象から収集し、収集した前記診断データをメモリに格納する診断データ管理部と、
外部電源を含む外部通信機器との接続を条件に、前記外部通信機器から前記外部電源を取り込む外部コネクタと、
前記外部コネクタに導入された前記外部電源の供給を受けて起動し、前記診断データ管理部が出力可能な複数の外部電源給電系統に前記外部電源を出力する外部電源制御部と、
前記外部コネクタに導入された前記外部電源の供給を受けて起動し、前記診断データ管理部及び前記外部通信機器と情報の送受信を行う外部インターフェース制御部と、
前記主電源を供給する主電源給電系統と前記外部電源を供給する前記外部電源給電系統との間に配置されて、前記主電源又は前記外部電源のうち一方の電源を選択し、選択した前記一方の電源を前記診断データ管理部に供給する電源選択部と
を備え、
前記外部インターフェース制御部は、
前記外部通信機器からの要求信号に応答して、前記診断データ管理部から前記診断データを読み出し、読み出した前記診断データを前記外部通信機器に送信
し、
前記要求信号に応答して、電源切替信号を前記電源選択部に出力し、
前記電源選択部は、
前記主電源給電系統から前記主電源が入力された場合に、前記主電源を選択し、前記主電源給電系統から前記主電源が入力されない場合には、前記電源切替信号に応答して、前記外部電源給電系統から前記外部電源を選択する
ことを特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子制御装置であって、
前記主電源の供給を受けて、収集対象からデータを収集し、収集したデータを前記診断データ管理部に転送する周辺回路を更に備え、
前記診断データ管理部は、
前記外部インターフェース制御部と情報の送受信を行う第1インターフェース部と、前記メモリと情報の送受信を行う第2インターフェース部と、前記メモリ及び前記周辺回路と情報の送受信を行う第3インターフェース部と、前記第1インターフェース部乃至前記第3インターフェース部及び前記メモリを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記主電源が給電されたことを条件に、前記第1インターフェース部及び前記第2インターフェース部の動作を無効とし、前記第3インターフェース部の動作のみを有効とし、前記外部電源が給電されたことを条件に、前記第3インターフェース部の動作を無効とし、前記第1インターフェース部及び前記第2インターフェース部の動作のみを有効とするインターフェース制御を実行することを特徴とする電子制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電子制御装置であって、
前記診断データ管理部は、
電源電圧の異なる複数の診断データ管理部で構成され、
前記複数の診断データ管理部の各々に対応して、前記各診断データ管理部の電源電圧に対応した電圧を出力する複数の主電源又は前記各診断データ管理部の電源電圧に対応した電圧を出力する複数の外部電源の中から一つの主電源又は一つの外部電源を選択し、選択した前記一つの主電源又は前記一つの外部電源を前記各診断データ管理部に供給する複数の電源選択部を更に備え、
前記外部インターフェース制御部は、
前記要求信号に応答して、前記各電源選択部に順序を特定する情報に従って電源切替信号を出力すると共に、前記各診断データ管理部から前記順序を特定する情報に従って前記診断データを読み出し、読み出した前記診断データを前記外部通信機器に送信し、
前記複数の電源選択部の各々は、
前記一つの主電源が入力される場合に、前記一つの主電源を選択し、前記一つの主電源が入力されない場合には、前記電源切替信号に応答して、前記一つの外部電源を選択することを特徴とする電子制御装置。
【請求項4】
バッテリーと診断アプリケーションを実行するプロセッサを有する携帯用通信機器と、
サポートセンターに配置されたサポート用サーバと、
車両に搭載された電子制御装置と、を備え、
前記携帯用通信機器と前記サポート用サーバ、及び前記電子制御装置が通信ネットワークを介して接続される故障診断システムであって、
前記電子制御装置は、
少なくとも主電源を含む電源から電力の供給を受けて診断対象の状態を示す診断データを前記診断対象から収集し、収集した前記診断データをメモリに格納する診断データ管理部と、
前記携帯用通信機器の前記バッテリーに接続されたことを条件に、前記バッテリーから、前記バッテリーに蓄電された電力を外部電源として取り込む外部コネクタと、
前記外部コネクタに導入された前記外部電源の供給を受けて起動し、前記診断データ管理部が出力可能な複数の外部電源給電系統に前記外部電源を出力する外部電源制御部と、
前記外部コネクタに導入された前記外部電源の供給を受けて起動し、前記診断データ管理部及び前記携帯用通信機器と情報の送受信を行う外部インターフェース制御部と、
前記主電源を供給する主電源給電系統と前記外部電源を供給する前記外部電源給電系統との間に配置されて、前記主電源又は前記外部電源のうち一方の電源を選択し、選択した前記一方の電源を前記診断データ管理部に供給する電源選択部と
を備え、
前記携帯用通信機器は、
操作に応答して要求信号を前記電子制御装置に送信し、
前記外部インターフェース制御部は、
前記携帯用通信機器からの前記要求信号に応答して、前記診断データ管理部から前記診断データを読み出し、読み出した前記診断データを前記携帯用通信機器に送信
し、
前記要求信号に応答して、電源切替信号を前記電源選択部に出力し、
前記電源選択部は、
前記主電源給電系統から前記主電源が入力された場合に、前記主電源を選択し、前記主電源給電系統から前記主電源が入力されない場合には、前記電源切替信号に応答して、前記外部電源給電系統から前記外部電源を選択する
ことを特徴とする故障診断システム。
【請求項5】
請求項
4に記載の故障診断システムであって、
前記携帯用通信機器は、
前記診断データを受信した場合、受信した前記診断データに、前記携帯用通信機器の位置を示す位置情報及び前記診断データを受信した時間を含む環境情報を付加し、前記位置情報及び前記環境情報を含む前記診断データを、前記通信ネットワークを介して前記サポート用サーバに送信し、
前記サポート用サーバは、
前記位置情報及び前記環境情報を含む前記診断データを受信した場合、受信した前記位置情報及び前記環境情報を含む前記診断データを基に前記車両又は前記電子制御装置の故障要因を分析することを特徴とする故障診断システム。
【請求項6】
請求項
5に記載の故障診断システムであって、
前記サポート用サーバに前記通信ネットワークを介して接続されるサービス員用情報端末を更に備え、
前記サポート用サーバは、
前記車両又は前記電子制御装置の故障要因の分析結果を基に前記車両又は前記電子制御装置に対するリペア処理の情報を生成し、生成した前記リペア処理の情報を、前記通信ネットワークを介して前記サービス員用情報端末に送信することを特徴とする故障診断システム。
【請求項7】
請求項
4に記載の故障診断システムであって、
前記主電源の供給を受けて、収集対象からデータを収集し、収集したデータを前記診断データ管理部に転送する周辺回路を更に備え、
前記診断データ管理部は、
前記外部インターフェース制御部と情報の送受信を行う第1インターフェース部と、前記メモリと情報の送受信を行う第2インターフェース部と、前記メモリ及び前記周辺回路と情報の送受信を行う第3インターフェース部と、前記第1インターフェース部乃至前記第3インターフェース部及び前記メモリを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記主電源が給電されたことを条件に、前記第1インターフェース部及び前記第2インターフェース部の動作を無効とし、前記第3インターフェース部の動作のみを有効とし、前記外部電源が給電されたことを条件に、前記第3インターフェース部の動作を無効とし、前記第1インターフェース部及び前記第2インターフェース部の動作のみを有効とするインターフェース制御を実行することを特徴とする故障診断システム。
【請求項8】
請求項
4に記載の故障診断システムであって、
前記診断データ管理部は、
電源電圧の異なる複数の診断データ管理部で構成され、
前記複数の診断データ管理部の各々に対応して、前記各診断データ管理部の電源電圧に対応した電圧を出力する複数の主電源又は前記各診断データ管理部の電源電圧に対応した電圧を出力する複数の外部電源の中から一つの主電源又は一つの外部電源を選択し、選択した前記一つの主電源又は前記一つの外部電源を前記各診断データ管理部に供給する複数の電源選択部を更に備え、
前記外部インターフェース制御部は、
前記要求信号に応答して、前記各電源選択部に順序を特定する情報に従って電源切替信号を出力し、前記各診断データ管理部から前記順序を特定する情報に従って前記診断データを読み出し、読み出した前記診断データを前記
携帯用通信機器に送信し、
前記複数の電源選択部の各々は、
前記一つの主電源が入力される場合に、前記一つの主電源を選択し、前記一つの主電源が入力されない場合には、前記電源切替信号に応答して、前記一つの外部電源を選択することを特徴とする故障診断システム。
【請求項9】
バッテリーと診断アプリケーションを実行するプロセッサを有する携帯用通信機器と、
サポートセンターに配置されたサポート用サーバと、
車両に搭載された電子制御装置と、を備え、
前記電子制御装置は、
少なくとも主電源を含む電源から電力の供給を受けて診断対象の状態を示す診断データを前記診断対象から収集し、収集した前記診断データをメモリに格納する診断データ管理部と、
前記携帯用通信機器の前記バッテリーに接続されたことを条件に、前記バッテリーから、前記バッテリーに蓄電された電力を外部電源として取り込む外部コネクタと、
前記外部コネクタに導入された前記外部電源の供給を受けて起動し、前記診断データ管理部が出力可能な複数の外部電源給電系統に前記外部電源を出力する外部電源制御部と、
前記外部コネクタに導入された前記外部電源の供給を受けて起動し、前記診断データ管理部及び前記携帯用通信機器と情報の送受信を行う外部インターフェース制御部と、
前記主電源を供給する主電源給電系統と前記外部電源を供給する前記外部電源給電系統との間に配置されて、前記主電源又は前記外部電源のうち一方の電源を選択し、選択した前記一方の電源を前記診断データ管理部に供給する電源選択部と
を含み、
前記携帯用通信機器と前記サポート用サーバ、及び前記電子制御装置が通信ネットワークを介して接続される故障診断システムにおける故障診断方法であって、
前記携帯用通信機器が、操作に応答して要求信号を前記電子制御装置に送信する第1送信ステップと、
前記外部インターフェース制御部が、前記携帯用通信機器からの前記要求信号に応答して、前記診断データ管理部から前記診断データを読み出し、読み出した前記診断データを前記携帯用通信機器に送信する第2送信ステップと、
前記外部インターフェース制御部が、前記要求信号に応答して、電源切替信号を前記電源選択部に出力する出力ステップと、
前記電源選択部が、前記主電源給電系統から前記主電源が入力された場合に、前記主電源を選択し、前記主電源給電系統から前記主電源が入力されない場合には、前記電源切替信号に応答して、前記外部電源給電系統から前記外部電源を選択する選択ステップと、
を備えることを特徴とする故障診断方法。
【請求項10】
請求項
9に記載の故障診断方法であって、
前記携帯用通信機器が、前記診断データを受信した場合、受信した前記診断データに、前記携帯用通信機器の位置を示す位置情報及び前記診断データを受信した時間を含む環境情報を付加し、前記位置情報及び前記環境情報を含む前記診断データを、前記通信ネットワークを介して前記サポート用サーバに送信する第3送信ステップと、
前記サポート用サーバが、前記位置情報及び前記環境情報を含む前記診断データを受信した場合、受信した前記位置情報及び前記環境情報を含む前記診断データを基に前記車両又は前記電子制御装置の故障要因を分析する分析ステップと、を備えることを特徴とする故障診断方法。
【請求項11】
請求項
10に記載の故障診断方法であって、
前記故障診断システムは、前記サポート用サーバに前記通信ネットワークを介して接続されるサービス員用情報端末を更に備え、
前記サポート用サーバが、前記車両又は前記電子制御装置の故障要因の分析結果を基に前記車両又は前記電子制御装置に対するリペア処理の情報を生成し、生成した前記リペア処理の情報を、前記通信ネットワークを介して前記サービス員用情報端末に送信する第4送信ステップを備えることを特徴とする故障診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される電子制御装置と電子制御装置を診断する故障診断システム及び故障診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、各種センサの検出信号を基にエンジン等を制御する電子制御装置が搭載されている。この種の電子制御装置が搭載された車両は、車載バッテリーの故障等によって、エンジンやモータが正常に動作しなくなることがある。車両の故障に対処するために、車両の故障診断を遠隔的に行う故障診断システムとして、例えば、「サーバ6は、各ユーザの個人データ及び各ユーザが所有する車両のデータを含むユーザ情報を格納する第1データベース20と、車種別にその車種のユーザからの不満及び不具合を含む車種別情報を格納する第2データベース22と、車両の故障診断を行う診断プログラムを格納する第3データベース26と、ユーザ情報が第1データベースに格納されているユーザの車両に対し、故障診断プログラムをネットワーク28を介して送信する診断プログラム送信手段と、を有し、車両は、診断プログラムをサーバに要求する要求手段と、診断プログラムを受信する診断プログラム受信手段と、この受信した診断プログラムにより車両を検査して検査結果を得る検査手段とを、有する」ものが提案されている(特許文献1参照)。上記故障診断システムによれば、車両の状態を遠隔からネットワーク経由で診断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1における故障診断システムでは、電子制御装置自体に電源が入らなくなる異常事象が発生した場合には、電子制御装置そのものが動作しないので、ネットワーク経由で電子制御装置の故障を診断することができない。また、車両メーカーの整備工場などで使用される従来の外部診断装置を用いても、電源が入らない電子制御装置の故障を診断することはできない。このような異常事象が発生した場合、電子制御装置内に記録されている診断データを収集できないため、車両や電子制御装置の故障の原因を解析するのに時間を要する。
【0005】
本発明の目的は、電源が入らない状態であってもメモリから診断データを収集することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、少なくとも主電源を含む電源から電力の供給を受けて診断対象の状態を示す診断データを前記診断対象から収集し、収集した前記診断データをメモリに格納する診断データ管理部と、外部電源を含む外部通信機器との接続を条件に、前記外部通信機器から前記外部電源を取り込む外部コネクタと、前記外部コネクタに導入された前記外部電源の供給を受けて起動し、前記診断データ管理部が出力可能な複数の外部電源給電系統に前記外部電源を出力する外部電源制御部と、前記外部コネクタに導入された前記外部電源の供給を受けて起動し、前記診断データ管理部及び前記外部通信機器と情報の送受信を行う外部インターフェース制御部と、を備え、前記外部インターフェース制御部は、前記外部通信機器からの要求信号に応答して、前記診断データ管理部から前記診断データを読み出し、読み出した前記診断データを前記外部通信機器に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電源が入らない状態であってもメモリから診断データを収集することができる。
【0008】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の発明を実施するための形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例1に係る電動システムの構成例を示す構成図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る通信処理部の構成例を示す構成図である。
【
図3】本発明の実施例1に係る診断データ管理部に属するCPUの構成例を示す構成図である。
【
図4】本発明の実施例1に係る電子制御ユニットの他の構成例を示す構成図である。
【
図5】本発明の実施例2に係る電動システムの構成例を示す構成図である。
【
図6】本発明の実施例3に係る電動システムの構成例を示す構成図である。
【
図7】本発明の実施例3に係る電動システムにおける非常時データ収集部の構成例を示す構成図である。
【
図8】本発明の実施例4に係る電動システムのサービス形態の一例であって、自動車の非常時遠隔診断サービスを示すモデル図である。
【
図9】本発明の実施例4に係る電動システムのサービス形態の一例であって、自動車の非常時遠隔診断サービスを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。実施形態は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0011】
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0012】
各種情報の例として、「テーブル」、「リスト」、「キュー」等の表現にて説明することがあるが、各種情報はこれら以外のデータ構造で表現されてもよい。例えば、「XXテーブル」、「XXリスト」、「XXキュー」等の各種情報は、「XX情報」としてもよい。識別情報について説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「ID」、「番号」等の表現を用いるが、これらについてはお互いに置換が可能である。
【0013】
同一あるいは同様の機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。また、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0014】
実施形態において、プログラムを実行して行う処理について説明する場合がある。ここで、計算機は、プロセッサ(例えばCPU、GPU)によりプログラムを実行し、記憶資源(例えばメモリ)やインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら、プログラムで定められた処理を行う。そのため、プログラムを実行して行う処理の主体を、プロセッサとしてもよい。同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路を含んでいてもよい。ここで、専用回路とは、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)等である。
【0015】
プログラムは、プログラムソースから計算機にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバまたは計算機が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源を含み、プログラム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また、実施形態において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1に係る電動システムの構成例を示す構成図である。
図1において、電動システム1は、車両に搭載される電子制御装置として構成される。具体的には、電動システム1は、駆動制御や自律走行制御など各種システム制御を行うための複数の電子制御ユニット2、6、7と、外部のサーバなどと通信を行うための通信ユニット5と、電動システム1の電源供給制御を行う電源制御ユニット8と、電動システム1の起動と停止を行う電源スイッチ9と、電子制御ユニット2、6、7を含む電装機器に主電源(電力)を供給する補機バッテリー10と、診断を目的として、電動システム1と外部通信機器3とを有線接続するための外部コネクタ4と、を備える。
【0017】
電子制御ユニット2は、主に電動システム1内のデータ通信処理を行うユニットであり、通信ユニット5と、電子制御ユニット6、7、及び電源制御ユニット8に接続される。電子制御ユニット2は、非常時データ収集部21と、通信処理部24とを備える。非常時データ収集部21は、外部IF(Interface)制御部22と、外部電源制御部23とから構成される。通信処理部24は、CPU(Central Processing Unit)26及びメモリ(不揮発性メモリ)27を含む診断データ管理部25と、CPU29及びその他の構成要素を含む周辺回路28とから構成される。
【0018】
通信処理部24のCPU26は、通信ユニット5と情報の送受信を行うと共に、車両各部の診断対象の状態を検出するセンサ、例えば、回転数センサ、速度センサ等のセンサの検出によるデータを、診断対象の状態を示す診断データとして各センサから収集し、収集した診断データをメモリ27に格納する。この際、CPU26は、周辺回路28の状態等を示すデータを収集するCPU29から、CPU29の収集したデータであって、診断データを含むデータを収集し、収集したデータをメモリ27に格納する。周辺回路28のCPU29は、CPU26及び電子制御ユニット6、7とデータの送受信を行い、通信処理部24と同一の機能を有する電子制御ユニット6、7で収集した診断データや各種データを電子制御ユニット6、7から受信し、受信した診断データや各種データをCPU26に転送する。診断データ管理部25のCPU26は、電動システム1内のデータ通信処理に加えて、電子制御ユニット2、6、7および通信ユニット5における診断データや各種データを管理する。この際、診断データ管理部25は、診断データを全てメモリ27に集約した状態で管理し、適切なタイミングで通信ユニット5を介して外部のサーバに送信する。
【0019】
診断データ管理部25は、その電源領域が周辺回路28の電源領域から分離されており、補機バッテリー10に蓄積された電力を主電源(内部電源)とする通常時には、電源制御ユニット8から供給される主電源で動作し、主電源による給電が停止された非常時には、非常時データ収集部21の外部電源制御部23から供給される外部電源によって動作する。非常時データ収集部21の診断データ管理部25は、外部コネクタ4から、外部電源制御部23を介して供給される外部電源をトリガーとして、外部電源の供給がある場合にのみ動作する。
【0020】
非常時データ収集部21の外部IF制御部22は、外部コネクタ4に接続された外部通信機器3に実装された診断アプリ(診断アプリケーション)30に従って診断データ管理部25による診断データの読出しを制御する。外部電源制御部23は、外部通信機器3に内蔵されたバッテリー31から供給される電源を必要電源種に変換し、必要電源種に変換された電源を外部電源として診断データ管理部25のみに供給する。この際、例えば、外部通信機器3の所有者(ユーザー)は、外部通信機器3のバッテリー端子と外部コネクト4とを接続ケーブルで接続する。接続ケーブル及び外部コネクタ4におけるインターフェース規格としては、USB(Universal Serial Bus)など、通信と給電が可能な規格を採用することができる。すなわち、外部コネクタ4は、外部通信機器3と非常時データ収集部21とを結ぶ通信路及び給電路を形成する。
【0021】
外部通信機器3は、携帯用通信機器であって、プロセッサ、記憶装置、入力装置、表示装置、通信装置、及びバッテリーを備える計算機(図示せず)で構成され、例えば、スマートフォン等の携帯端末を用いることができる。この際、記憶装置には、診断アプリ30が格納され、バッテリーとして、接続ケーブルに接続可能な接続端子を有するバッテリー31が利用される。
【0022】
電動システム1において、通常時に、電源スイッチ9をオンすると、電源制御ユニット8は、補機バッテリー10に蓄積された電力である主電源(内部電源)を必要な複数の電源種に変換し、複数の電源種に変換された主電源を各種ユニットに通常電源として供給する。これにより、電動システム1が起動する。電動システム1が正常に起動する通常時には、外部通信機器3を外部コネクタ4に接続しても、外部通信機器3から電動システム1内に外部電源が供給されないように、電源制御ユニット8は、外部電源制御部23にイネーブル信号200を印加して、外部電源制御部23の動作を停止する。
【0023】
ここで、電動システム1が何らかの原因、例えば、電源スイッチ9、或いは電源制御ユニット8の故障で電源が入らず、電動システム1が正常に起動しなくなった非常時には、診断データの読出しを目的として、ユーザーが、外部コネクタ4に接続ケーブルを介して外部通信機器3を接続する。この後、ユーザーの操作により、外部通信機器3の診断アプリ30が起動すると、外部通信機器3のバッテリー31から非常時データ収集部21に外部コネクタ4を介して給電が開始され、非常時データ収集部21が起動する。非常時データ収集部21が起動すると、非常時データ収集部21と外部通信機器3との間で認証処理が行われ、非常時データ収集部21と外部通信機器3との間でデータ通信が可能となる。外部通信機器3は、診断アプリ30による診断処理が開始されると、認証処理で認識済みの非常時データ収集部21を介して、診断データ管理部25への給電とデータ通信を開始する。このとき、電動システム1には主電源(内部電源)が供給されず、電源制御ユニット8が起動しないので、電源制御ユニット8から外部電源制御部23へのイネーブル信号200は解除される。このため、外部電源制御部23から診断データ管理部25への給電(外部電源の供給)が開始される。
【0024】
なお、診断データ管理部25は、異常時の診断データだけでなく、正常動作中にも、定期的なイベントまたは任意のイベントをトリガーとして、周辺回路28およびその他のコンポーネントである、電子制御ユニット6、7から診断データを収集し、収集した各診断データを管理すると共に、収集した各診断データをメモリ27に格納することもできる。
【0025】
図2は、本発明の実施例1に係る通信処理部の構成例を示す構成図である。
図2において、通信処理部24は、診断データ管理部25と、周辺回路28と、DC(Direct Current)/DCコンバータ32と、リレー部33と、DC/DCコンバータ34を備える。
【0026】
診断データ管理部25と周辺回路28は、電源領域が互いに分離されており、診断データ管理部25には、リレー部33から主電源(内部電源)又は外部電源が供給され、周辺回路28には、DC/DCコンバータ34から主電源のみが供給される。DC/DCコンバータ32は、直流電力を直流電力に変換する電力変換器であって、外部電源制御部23からの外部電源をリレー部33に供給する。DC/DCコンバータ34は、直流電力を直流電力に変換する電力変換器であって、電源制御ユニット8からの主電源をリレー部33及び周辺回路28に供給する。
【0027】
リレー部33は、リレーコイル33aと、スイッチ(リレー接点)33bから構成され、リレーコイル33aが非励磁状態にあるときには、スイッチ33bが、DC/DCコンバータ34側に接続され、DC/DCコンバータ34からの主電源を診断データ管理部25に供給する。一方、リレー部33は、非常時に、外部IF制御部22からの電源切替信号300によってリレーコイル33aが励磁状態になったときには、スイッチ33bが、DC/DCコンバータ32側に接続され、DC/DCコンバータ32からの外部電源を診断データ管理部25に供給する。この際、リレー部33は、通常時には、診断データ管理部25への給電系統として、主電源による主電源給電系統34aを選択し、非常時には、診断データ管理部25への給電系統として、外部電源による外部電源給電系統32aを選択する。
【0028】
すなわち、リレー部33は、主電源を供給する主電源給電系統34aと外部電源を供給する外部電源給電系統32aとの間に配置されて、主電源又は外部電源のうち一方の電源を選択し、選択した一方の電源を診断データ管理部25に供給する電源選択部として構成される。この際、電源選択部は、主電源給電系統34aから主電源が供給され、リレーコイル33aが非励磁状態にある場合に、主電源給電系統34aからの主電源を選択し、主電源給電系統34aから主電源が供給されない場合には、電源切替信号300に応答して、リレーコイル33aが励磁状態になったことを条件に、外部電源給電系統32aからの外部電源を選択する。電源切替信号300は、外部IF制御部22が、外部通信機器3から要求信号を受信した際に、外部IF制御部22から出力される。
【0029】
また、リレー部33は、電源切替信号300を利用することなく、主電源又は外部電源のうち一方の電源を選択する構成とすることができる。例えば、リレーコイル33aの一端を、外部IF制御部22に接続する代わりに、DC/DCコンバータ34の出力側に接続する。この際、リレー部33は、主電源給電系統34aから主電源が入力されば場合、主電源給電系統34aからの主電源を選択し、主電源給電系統34aから主電願が入力されない場合には、外部電源給電系統32aからの外部電源を選択する電源選択部として構成される。例えば、リレー部33は、主電源給電系統34aから主電源が入力された場合に、リレーコイル33aが励磁状態に保持され、スイッチ33bが、DC/DCコンバータ34側に接続されて、DC/DCコンバータ34からの主電源を選択する。一方、リレー部33は、主電源給電系統34aから主電願が入力されない場合には、リレーコイル33aが非励磁状態になって、スイッチ33bが、DC/DCコンバータ32側に接続されて、DC/DCコンバータ32からの外部電源を選択する。
【0030】
診断データ管理部25は、外部電源が給電されると、非常時にも起動する。この際、外部通信機器3の診断アプリ30の処理により、外部通信機器3から、診断データを読み出すための要求信号が出力されると、この要求信号は、外部コネクタ4を介して外部IF制御部22に送信される。要求信号を受信した外部IF制御部22は、要求信号に応答して、読み出し制御信号301を診断データ管理部25に出力する。診断データ管理部25は、読み出し制御信号301に応答して、CPU26が、メモリ27に格納された診断データを読み出し、読み出した診断データを外部IF制御部22に転送する。外部IF制御部22は、転送された診断データを外部通信機器3に送信する。外部通信機器3は、受信した診断データを記録領域に保存する。
【0031】
なお、
図2では、DC/DCコンバータ34において、同一電圧の主電源を診断データ管理部25と周辺回路28に供給しているが、例えば、診断データ管理部25と周辺回路28が異なる電圧で動作する場合、DC/DCコンバータ34において、電圧の異なる複数の主電源を生成し、各主電源をそれぞれ診断データ管理部25と周辺回路28に供給する構成を採用することもできる。
【0032】
また、診断データ管理部25の電源領域と周辺回路28の電源領域を同一にすることもできる。この際、診断データ管理部25に、リレー部33から、主電源又は外部電源を供給する構成と同様に、周辺回路28には、DC/DCコンバータ34から主電源のみを供給する代わりに、リレー部33から、主電源又は外部電源を供給する構成を採用する。この構成を採用した場合、周辺回路28は、非常時にも、診断データ管理部25と情報の送受信を行うことができる。
【0033】
図3は、本発明の実施例1に係る診断データ管理部に属するCPUの構成例を示す構成図である。
図3において、診断データ管理部25に属するCPU26は、入出力インターフェースとして、複数のインターフェース部71、72、73、74を備える。インターフェース部71は、外部IF制御部22と情報の送受信を行う第1インターフェース部として構成され、インターフェース部72は、メモリ27と情報の送受信を行う第2インターフェース部として構成される。インターフェース部73は、メモリ27及び周辺回路28と情報の送受信を行う第3インターフェース部として構成され、インターフェース部74は、周辺回路28と情報の送受信を行う第4インターフェース部として構成される。この際、CPU26は、メモリ27と各インターフェース部71、72、73、74を制御する制御部として構成され、電源制御ユニット8から診断データ管理部25に主電源が給電されたことを条件に、インターフェース部71、72の動作を無効とし、インターフェース部73、74の動作のみを有効とするインターフェース制御を実行する。また、CPU26は、外部電源制御部23から診断データ管理部25に外部電源が給電されたことを条件に、インターフェース部73、74の動作を無効とし、インターフェース部71、72の動作のみを有効とするインターフェース制御を実行する。
【0034】
具体的には、CPU26が主電源で起動された場合には、インターフェース部73、74の動作のみが有効となり、診断データ管理部25は、CPU26が通常時の動作を実行する。この際、CPU26は、診断対象から診断データを収集すると共に、周辺回路28で得られた診断データを、インターフェース部73、74を介して収集し、収集した各診断データを、インターフェース部73を介してメモリ27に格納する。一方、CPU26が外部電源で起動された場合には、インターフェース部71、72の動作のみが有効となり、診断データ管理部25は、CPU26が非常時の動作を実行する。この際、CPU26は、メモリ27に格納された診断データを、インターフェース部72を介して読み出し、読み出した診断データを、インターフェース部71を介して外部IF制御部22に送信する。
【0035】
このようなインターフェース制御が実行される環境下で、非常時に、診断データ管理部25と周辺回路28のうち診断データ管理部25のみが動作する場合でも、周辺回路28との影響が無いように不要信号の入出力をマスクできる。すなわち、外部電源の給電により、非常時データ収集部21が稼働し、診断データ管理部25のみに外部電源が供給される場合、インターフェース部71、72の動作のみが有効で、インターフェース部73、74の動作が無効となっているので、CPU26から、主電源が供給されていない周辺回路28に対して不要な信号が出力されるのを防止することができ、逆に、周辺回路28から、不安定な信号が出力されたとしても、不安定な信号がCPU26に入力されるのを防止することができる。なお、インターフェース部73を、メモリ27と情報の送受信を行うインターフェース部として構成することもできる。この場合、インターフェース部73は、インターフェース部74が周辺回路28から収集した診断データやCPU26が収集した診断データをメモリ27に格納する。
【0036】
図4は、本発明の実施例1に係る電子制御ユニットの他の構成例を示す構成図である。
図4において、電子制御ユニット2は、非常時データ収集部21と、通信処理部35とを備え、非常時データ収集部21と通信処理部35とがイーサーネットケーブル36を介して接続される。
【0037】
通信処理部35は、DC/DCコンバータ32と、リレー部33と、DC/DCコンバータ34と、診断データ管理部37と、周辺回路40と、を備える。診断データ管理部37は、車内ネットワーク用のスイッチデバイス38と、スイッチデバイス38に直接接続されるメモリ(不揮発性メモリ)39とを備え、リレー部33から、主電源(内部電源)又は外部電源が供給される。周辺回路40は、収集対象からデータ、例えば、環境に関するデータや診断データを収集する複数のCPU41を備え、DC/DCコンバータ34から主電源(内部電源)が供給される。
【0038】
スイッチデバイス38は、イーサーネットケーブル36を介して外部IF制御部22に接続されると共に、メモリ39及びCPU41に接続される。この際、スイッチデバイス38は、外部IF制御部22と各CPU41との間で送受信される情報を中継すると共に、外部IF制御部22からの読み出し制御信号301に応答して、複数のCPU41の中から指定のCPU41を選択する機能を有する。また、スイッチデバイス38は、各CPU41で収集された診断データが、各CPU41から転送された場合、転送された各診断データをメモリ39に格納する機能を有する。さらに、異常時に、外部IF制御部22からの読み出し制御信号301に応答して、メモリ39に格納された診断データをメモリ39から読み出し、読み出された診断データを、イーサーネットケーブル36を介して外部IF制御部22に転送する機能を有する。
【0039】
車内ネットワークがイーサーネットの場合、イーサーネットケーブル36を利用して、データと同時に電源を供給するPoE(Power over Ethernet)で構成することができる。
【0040】
本実施例において、電動システム1と外部通信機器3との通信は、有線だけでなく無線による通信機能を使用してもよい。また、電動システム1への給電は外部通信機器3とは別のモバイルバッテリーを使用し、通信のみを外部通信機器3で行う構成でもよい。
【0041】
また、外部コネクタ4の設置位置は、車室内のコンソールボックス内や、コックピット付近に設置される診断用OBD(On Board Diagnostics)コネクタの近くに配置してもよいし、ボンネットの中に配置してもよい。
【0042】
また、診断データ管理部25で使用するCPUやプロセッサは、非常時の起動時にセーフモードなどの省電力モードで起動してもよい。
【0043】
また、診断データには、異常発生前後の時間帯の診断データだけでなく、車両情報データや、車両環境に関するセンサデータが含まれていてもよい。
【0044】
本実施例によれば、電源が入らない状態の電動システム(電子制御装置)1のメモリ27から診断データを収集することができる。すなわち、ユーザーが所有する外部通信機器3から外部電源を電動システム1内に取り込んで、診断データ管理部25に供給し、診断データ管理部25から診断データを読み出すようにしたので、電源が入らない状態の電動システム1のメモリ27から、診断データを読み出すことができ、結果として、読み出した診断データを基に迅速に故障要因を特定することが可能になる。
【実施例2】
【0045】
図5は、本発明の実施例2に係る電動システムの構成例を示す構成図である。
図5において、電動システム43は、実施例1における電動システム1内の非常時データ収集部21と同一機能を有する非常時データ収集部44を、実施例1における電動システム1内の電子制御ユニット2から分離させ、非常時データ収集部44と、通信処理部24とを互いに独立したコンポーネントとしたものであり、他の構成は、実施例1と同様であり、実施例1と同一のものには、同一の符号を付して、それらの説明は、省略する。
【0046】
非常時データ収集部44は、実施例1の外部IF制御部22と同一機能を有する外部IF制御部45と、実施例1の外部電源制御部23と同一機能を有する外部電源制御部46から構成される。非常時データ収集部44は、電動システム43内において、通信処理部24や電源制御ユニット8等からは独立したコンポ―ネットとして実装される。
【0047】
本実施例によれば、実施例1と同様の効果を奏することができると共に、非常時データ収集部44の配置を電動システム43の構造に合わせて自由に決定することができる。
【実施例3】
【0048】
図6は、本発明の実施例3に係る電動システムの構成例を示す構成図である。
図6において、電動システム47は、外部コネクタ4、電源スイッチ9、補機バッテリー10、非常時データ収集部48、車載ネットワークバス51、通信処理部52、54、電源制御ユニット56を備える。なお、実施例1と同一のものには、同一符号を付してそれらの説明は、省略する。また、本実施例では、通信処理部52、54、及び電源制御ユニット56がそれぞれ異なる電圧(電源電圧)で動作することを考慮し、DC/DCコンバータ34(図示せず)において、通信処理部52、54、及び電源制御ユニット56の電源電圧に合わせて、電圧の異なる複数の主電源を生成し、生成した各主電源をそれぞれ通信処理部52、54、及び電源制御ユニット56に供給する構成を採用している。
【0049】
非常時データ収集部48は、外部IF制御部49と外部電源制御部50を備える。外部IF制御部49は、外部コネクタ4を介して、外部通信機器3と情報の送受信を行うと共に、車載ネットワークバス51を介して、通信処理部52、54及び電源制御ユニット56と情報の送受信を行うインターフェースである。非常時データ収集部48は、外部通信機器3からの外部電源が外部コネクタ4を介して給電された場合に起動する。非常時データ収集部48が起動すると、外部電源制御部50は、電源制御ユニット56からイネーブル信号200が印加されていないことを条件に、外部コネクタ4に給電された外部電源の電圧を、通信処理部52、54、及び電源制御ユニット56に供給される主電源の電圧に合わせて、複数の電圧Va、Vb、Vcに変換し、変換された電圧Va、Vb、Vcの外部電源を、それぞれ通信処理部52、54及び電源制御ユニット56に供給する。例えば、電圧Vaの外部電源を通信処理部52に供給し、電圧Vbの外部電源を通信処理部54に供給し、電圧Vcの外部電源を電源制御ユニット56に供給する。
【0050】
通信処理部52、54及び電源制御ユニット56には、CPUとメモリを含む診断データ管理部53、55、57が分散して配置される。診断データ管理部53、55、57に属するCPUは、各診断対象(センサー)から診断データを収集し、収集した診断データをメモリに格納する。
【0051】
通信処理部52、54及び電源制御ユニット56には、実施例1と同様に、DC/DCコンバータ32、リレー部33、DC/DCコンバータ34(図示せず)が配置される。例えば、通信処理部52には、電圧Vaの外部電源に接続されるVa用DC/DCコンバータ32と、補機バッテリー10の出力電圧を変圧して得られた電圧Vaの主電源に接続されるVa用DC/DCコンバータ34と、Va用DC/DCコンバータ32とVa用DC/DCコンバータ34との間に配置されるVa用リレー部33が配置される。通信処理部54には、電圧Vbの外部電源に接続されるVb用DC/DCコンバータ32と、補機バッテリー10の出力電圧を変圧して得られた電圧Vbの主電源に接続されるVb用DC/DCコンバータ34と、Vb用DC/DCコンバータ32とVb用DC/DCコンバータ34との間に配置されるVb用リレー部33が配置される。電源制御ユニット56には、電圧Vcの外部電源に接続されるVc用DC/DCコンバータ32と、補機バッテリー10の出力電圧を変圧して得られた電圧Vcの主電源に接続されるVc用DC/DCコンバータ34と、Vc用DC/DCコンバータ32とVc用DC/DCコンバータ34との間に配置されるVc用リレー部33が配置される。
【0052】
Va用リレー部33は、Va用主電源給電系統とVa用外部電源給電系統との間に配置されて、電圧Vaの主電源又は電圧Vaの外部電源のうち一方の電源を選択し、選択した一方の電源を診断データ管理部53に供給するVa用電源選択部として構成される。この際、Va用電源選択部は、Va用リレーコイル33aが非励磁状態にある場合に、電圧Vaの主電源を選択し、Va用電源切替信号に応答して、Va用リレーコイル33aが励磁状態になった場合には、電圧Vaの外部電源を選択する。Va用電源切替信号は、外部IF制御部49が、外部通信機器3から要求信号を受信した際に、外部IF制御部49から出力される。
【0053】
Vb用リレー部33は、Vb用主電源給電系統とVb用外部電源給電系統との間に配置されて、電圧Vbの主電源又は電圧Vbの外部電源のうち一方の電源を選択し、選択した一方の電源を診断データ管理部55に供給するVb用電源選択部として構成される。この際、Vb用電源選択部は、Vb用リレーコイル33aが非励磁状態にある場合に、電圧Vbの主電源を選択し、Vb用電源切替信号に応答して、Vb用リレーコイル33aが励磁状態になった場合には、電圧Vbの外部電源を選択する。Vb用電源切替信号は、外部IF制御部49が、外部通信機器3から要求信号を受信した際に、外部IF制御部49から出力される。
【0054】
Vc用リレー部33は、Vc用主電源給電系統とVc用外部電源給電系統との間に配置されて、電圧Vcの主電源又は電圧Vcの外部電源のうち一方の電源を選択し、選択した一方の電源を診断データ管理部57に供給するVc用電源選択部として構成される。この際、Vc用電源選択部は、Vc用リレーコイル33aが非励磁状態にある場合に、電圧Vcの主電源を選択し、Vc用電源切替信号に応答して、Vc用リレーコイル33aが励磁状態になった場合には、電圧Vcの外部電源を選択する。Vc用電源切信号は、外部IF制御部49が、外部通信機器3から要求信号を受信した際に、外部IF制御部49から出力される。
【0055】
この際、診断データ管理部53には、通常時に、電源制御ユニット56からVa用主電源が供給され、非常時には、非常時データ収集部48の外部電源制御部50からVa用外部電源(電圧Vaの外部電源)が供給される。診断データ管理部55には、通常時に、電源制御ユニット56からVb用主電源が供給され、非常時には、非常時データ収集部48の外部電源制御部50からVb用外部電源(電圧Vbの外部電源)が供給される。診断データ管理部57には、通常時に、電源制御ユニット56からVc用主電源が供給され、非常時には、非常時データ収集部48の外部電源制御部50からVc用電源(電圧Vcの外部電源)が供給される。
【0056】
外部IF制御部49は、Va用電源切替信号、Vb用電源切替信号、Vc用電源切替信号を、順序を特定する情報に従って出力することができる。例えば、外部IF制御部49は、任意の順序(順序が任意に設定された情報)、予め設定された順序(予め順序が設定された情報)、外部電源の充電残量に基づいて決定された順序(外部電源の充電残量に従って決定された順序の情報)、或いは正常時にメモリ27に格納された診断データの情報量に基づいて決定された順序(診断データの情報量を基に決定された順序の情報)で各電源切替信号を出力することができる。また、外部IF制御部49は、Va用電源切替信号、Vb用電源切替信号、及びVc用電源切替信号を出力する順序に合わせて、読み出し制御信号を診断データ管理部53、55、57に出力し、診断データ管理部53、55、57に対する診断データの読み出しを実行することができる。
【0057】
図7は、本発明の実施例3に係る電動システムにおける非常時データ収集部の構成例を示す構成図である。
図7において、非常時データ収集部48は、外部IF制御部49と外部電源制御部50を備え、外部電源制御部50は、電源供給制御部60と、供給電圧調整部61と、リレー部62とを備える。外部電源制御部50の電源供給制御部60は、非常時データ収集部48に外部電源が供給されたときに起動し、各診断データ管理部53、55、57への給電の順序を規定した給電シーケンスに従って、給電制御信号400をリレー部62に出力する。供給電圧調整部61は、電源制御ユニット56からイネーブル信号200が印加されていないことを条件に、非常時データ収集部48に外部電源が供給されたときに起動し、外部コネクタ4から供給された外部電源の電圧を複数の電圧Va、Vb、Vcに変換し、変換された電圧Va、Vb、Vcの外部電源を、それぞれリレー部62に供給する。
【0058】
この際、電源供給制御部60は、リレー部62に対する給電制御信号400として、例えば、全ての診断データ管理部53、55、57に対して同時に給電するための給電制御信号400を生成することができる。また、電源供給制御部60は、外部IF制御部49と連携して、外部IF制御部49が、Va用電源切替信号300、Vb用電源切替信号300、及びVc用電源切替信号300を出力する順序に合わせて、給電制御信号400を生成することができる。例えば、電源供給制御部60は、外部IF制御部49と連携して、順序を特定する情報に従って給電制御信号400を出力することができる。また、電源供給制御部60は、任意の順序(順序が任意に設定された情報)、予め設定された順序(予め順序が設定された情報)、外部電源の充電残量に基づいて決定された順序(外部電源の充電残量に従って決定された順序の情報)、或いは正常時にメモリ27に格納された診断データの情報量に基づいて決定された順序(診断データの情報量を基に決定された順序の情報)で給電制御信号400を出力することができる。
【0059】
また、外部IF制御部49は、各診断データ管理部53、55、57から診断データを読出すのに必要な電力量を示す電力情報を外部IF制御部49から取り込み、取り込んだ情報を基に、各診断データ管理部53、55、57に対する給電及びデータ収集の優先順位をそれぞれ設定し、設定された各優先順序を基に、電源供給制御部60と連携して、給電およびデータ収集を実施することもできる。この場合、外部通信機器3のバッテリー残量によってデータ収集が途中で中断されるのを抑制することが可能になる。また、外部IF制御部49は、各診断データ管理部53、55、57に格納された診断データの情報量や診断データの重要度を示す情報を各診断データ管理部53、55、57から取り込み、取り込んだ情報を基に、各診断データ管理部53、55、57に対する給電及びデータ収集の優先順位をそれぞれ設定し、設定された各優先順序を基に、電源供給制御部60と連携して、給電およびデータ収集を実施することもできる。
【0060】
本実施例によれば、実施例1と同様の効果を奏することができる。また、本実施例によれば、電源電圧の異なる複数の診断データ管理部53、55、57に各電源電圧に合った外部電源を供給することができると共に、順序を特定する情報に従って各診断データ管理部53、55、57から診断データを読み出すことができる。
【実施例4】
【0061】
図8は、本発明の実施例4に係る電動システムのサービス形態の一例であって、自動車の故障診断システムであり、特に、非常時の遠隔診断サービスを示すモデル図である。このモデルは、ユーザー101が所有する車両100の電源が入らず、車両100に搭載された電動システム1が起動しない事象が発生した場合に、非常時診断機能を有する車両100であれば、車両内部に記憶されている診断データを、ユーザー101が所有するスマートフォン102を利用して読み出し、読み出した診断データをスマートフォン102経由でサポートセンター103に転送することで、最適な診断サポートを受けられるものである。
【0062】
図8において、ユーザー101が所有する車両100の電源が入らない事象が発生した場合、ユーザー101は、外部通信機器3に相当するスマートフォン102に予めインストールした診断アプリ30を起動する。スマートフォン102は、診断アプリ30の起動と同時に、トラブル発生の通知を含むサポート依頼通知とスマートフォン102の位置情報(GPS位置情報)をサポートセンター103に送信する(A1)。
【0063】
サポートセンター103は、スマートフォン102からのサポート依頼通知とスマートフォン102の位置情報を受付け、電話やチャットを利用したユーザーサポートを開始し、サポートを受付けた旨の情報とサポート指示の情報をスマートフォン102に送信する(A2)。
【0064】
ユーザー101は、受信したサポートの指示の情報又はマニュアルに従って、車室内に設けられた外部コネクタ4に有線(接続ケーブル)でスマートフォン102を接続し、スマートフォン102から、外部コネクタ4を介して車両100に外部電源を給電する(A3)。スマートフォン102からの外部給電によって、車両内の非常時データ収集部21が起動すると、スマートフォン102は、車両100との接続を認識し、認識結果を画面上に表示する(A4)。
【0065】
この際、ユーザー101が、スマートフォン102の画面上に表示された車両情報を選択すると、選択された情報が、スマートフォン102から車両100に送信され(A5)、車両内部の診断データ管理部25に対する外部電源の給電が開始される。診断データ管理部25は、起動した後、自動的にメモリ27から診断データを読み出し、読み出した診断データをスマートフォン102に送信する(A6)。
【0066】
スマートフォン102は、車両100から送信された診断データを受信した場合、受信した診断データを画面上に表示すると共に、記憶デバイスに保存し、さらに、受信した診断データに環境情報・位置情報を付加してサポートセンター103に送信する(A7)。
【0067】
サポートセンター103は、スマートフォン102から送信された環境情報・位置情報を含む診断データを受信した場合、受信した環境情報・位置情報を含む診断データを基にリペア処理内容を推定するための故障分析を実行し、故障分析の結果として、交換部品・交換手順を含むリペア処理の情報を生成し、生成したリペア処理の情報をサービス員104に通知する(A8)。
【0068】
サービス員104は、サポートセンター103から通知されたリペア処理の情報に従って現地で車両100の整備を実施する。サービス員104は、車両100の整備を十分に実施し、詳細な診断後、車両100に異常がなければ、車両100をユーザー101に返却する(A9)。
【0069】
図9は、本発明の実施例4に係る電動システムのサービス形態の一例であって、自動車の故障診断システムであり、特に、非常時の遠隔診断サービスを示すモデル図である。
図9において、ユーザー101が所有する車両100の電源が入らない事象が発生した場合、ユーザー101は、外部通信機器3に相当するスマートフォン102に予めインストールした診断アプリ30を起動する。
【0070】
スマートフォン102は、診断アプリ30の起動と同時に、トラブル発生の通知を含むサポート依頼通知とスマートフォン102の位置情報(GPS位置情報)をサポートセンター103に送信する(S1)。
【0071】
サポートセンター103に配置されて、情報送受信部を含む計算機で構成されたサーバ(サポート用サーバ)103aは、スマートフォン102からのサポート依頼通知とスマートフォン102の位置情報を受付け、電話やチャットを利用したユーザーサポートを開始し、サポートを受付けた旨の情報とサポート指示の情報をスマートフォン102に送信する(S2)。
【0072】
ユーザー101は、スマートフォン102が受信したサポートの指示の情報又はマニュアルに従って、車室内に設けられた外部コネクタ4に有線(接続ケーブル)でスマートフォン102を接続する。スマートフォン102は、外部コネクタ4を介して車両100に外部電源を給電する(S3、S4)。この際、非常時データ収集部21の外部電源制御部23は、スマートフォン102から、外部電源の供給を受けて起動する。車両内の外部電源制御部23が起動すると、非常時データ収集部21の外部IF制御部22に外部電源が給電され(S5)、スマートフォン102は、車両100との接続を認識し(S6)、認識結果が外部IF制御部22からスマートフォン102に送信され(S7)、車両100の車両情報がスマートフォン102の画面上に表示される。
【0073】
この際、ユーザー101が、スマートフォン102の画面上に表示された車両情報を選択すると、例えば、データ収集対象として、例えば、診断データ管理部25を選択するためのデータ収集対象選択情報を含む第1要求信号が、スマートフォン102から外部IF制御部22に送信される(S8)。第1要求信号を受信した外部IF制御部22は、診断データ管理部25に外部電源を給電するための電源切替信号300をリレー部33に出力する(S9)。これにより、外部電源制御部23から診断データ管理部25に外部電源が給電される(S10)。外部電源が給電された診断データ管理部25が起動すると、診断データ管理部25は、起動通知を外部IF制御部22及びスマートフォン102に送信する(S11、S12)。
【0074】
起動通知を受信したスマートフォン102は、診断データを収集するためのデータ収集指示の情報を含む第2要求信号を、外部IF制御部22に送信する(S13)。第2要求信号を受信した外部IF制御部22は、外部電源制御部23と連携して診断データ管理部25に対する処理を実行する(S14)。例えば、外部IF制御部22は、外部電源制御部23と連携して、診断データ管理部25に対して入出力マスクを指示し(S15)、その後、診断データ管理部25に対して、読み出し制御信号301を出力する(S16)。診断データ管理部25は、メモリ27から診断データを読み出す処理を実行し、メモリ27から読み出した診断データを、外部IF制御部22に転送する(S17)。外部IF制御部22は、診断データ管理部25から転送された診断データに診断データの保存を依頼する通知を付加してスマートフォン102に送信する(S18)。
【0075】
診断データ・保存通知を受信したスマートフォン102は、診断データを記憶デバイスに保存すると共に、環境情報・位置情報を含む診断データをサポートセンター103に送信する(S19)。環境情報・位置情報を含む診断データを受信したサポートセンター103のサーバ103aは、受信した環境情報・位置情報を含む診断データを基にリペア処理内容を推定するための故障分析(故障要因解析)を実行し、故障分析の結果として、交換部品・交換手順を含むリペア処理の情報を生成し、生成したリペア処理の情報をサービス員104に指示するために、リペア処理の情報をサービス員104のサービス員用情報端末104aに送信し(S20)、更に対処方法を示す指示情報をスマートフォン102に送信する(S21)。
【0076】
サービス員104は、サポートセンター103から通知されたリペア処理の情報に従って、部品を準備すると共に、現地に赴き、現地で車両100の整備を実施する。サービス員104は、車両100の整備を十分に実施し、詳細な診断後、車両100に異常がなければ、車両100をユーザー101に返却し、車両100に対するリペア処理を終了する(S22)。なお、本実施例では、車両100に、電動システム1が搭載されている例を説明したが、電動システムとしては、電動システム1の代わりに、電動システム43、47を搭載することもできる。また、スマートフォン102は、第1要求信号と第2要求信号を纏めて一つの要求信号として出力することもできる。この際、外部IF制御部22は、一つの要求信号に応答して、電源切替信号300と読み出し制御信号301を出力する。
【0077】
本実施例によれば、電源が入らない状態の電動システム1から診断データを読み出し、読み出された診断データをサポートセンター103に送信し、サポートセンター103のサーバ103aが、受信した診断データを基に車両100又は電動システム1の故障分析を行うようにしたので、サポートセンター103のサーバ103aにおいて詳細な故障要因を特定することが可能になる。すなわち、非常時にも対応可能な遠隔診断ソリューションを提供することができる。また、本実施例によれば、故障原因の分析結果をサービス員104に提供し、サービス員104が現地に赴いて車両100を整備することで、レッカーなどによる整備工場への回収を避け、現地での復旧率を向上させることで、車両100の整備に要する時間・コストを削減できる。
【0078】
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、各実施例で示した機能を組み合わせて実現する構成も含まれる。また、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されるものではない。
【0079】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0080】
また、前述した各構成、機能等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0081】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、IC(Integrated Circuit)カード、SD(Secure Digital)カード、DVD(Digital Versatile Disc)の記録媒体に格納することができる。
【符号の説明】
【0082】
1、43、47・・・電動システム、2、6、7・・・電子制御ユニット、3・・・外部通信機器、4・・・外部コネクタ、5・・・通信ユニット、8、56・・・電源制御ユニット、9・・・電源スイッチ、10・・・補機バッテリー、21、44、48・・・非常時データ収集部、22、45、49・・・外部IF制御部、23、46、50・・・外部電源制御部、24、52、54・・・通信処理部、25、37、53、55、57・・・診断データ管理部、26、29、41・・・CPU、27、39・・・メモリ、28・・・周辺回路、30・・・診断アプリ、31・・・バッテリー、32、34・・・DC/DCコンバータ、33、62・・・リレー部、36・・・イーサーネットケーブル、38・・・スイッチデバイス、51・・・車載ネットワークバス、60・・・電源供給制御部、61・・・供給電圧調整部、71、72、73、74・・・インターフェース部、100・・・車両、102・・・スマートフォン、103・・・サポートセンター